第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが合理的であると判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、1896年にわが国における保温・断熱分野のパイオニアとしてスタートし、様々な産業分野へ「断つ・保つ」の技術を基盤とした製品とサービスを提供することで成長してまいりました。

2011年には経営理念として

 

ニチアス理念

「ニチアスは、『断つ・保つ』の技術で地球の明るい未来に貢献します。」

 

を制定し、「風通しを良くする」「仲間で仕事をする」「全体最適で考える」という具体的行動指針のもと、以下の3項目を「私たちの約束」として掲げ、事業運営を行っております。

 

□ルールを守り、社会と共に歩みます。

□感謝の心を忘れず、お客様の満足を追求します。

□互いに信頼し、共に成長します。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

  当社グループでは、長期ビジョンに「『断つ・保つ』で明るい未来へ」を掲げております。

「断つ・保つ」の6つの要素技術とニチアス独自のビジネスモデルの歯車を組合せ、さらには、変化に適応するスピードと効率化を加え深化することで、環境と社会課題の解決に向け貢献してまいります。

 


※ 当社グループでは従業員の理解・浸透を目的に、長期ビジョンとコーポレートスローガンは同一にしております。

 

ニチアス理念のもと当社グループは、「働きやすい、明るい会社」の実現に向け、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「しくみ・130」(2023年3月期~2027年3月期)を策定し、数値目標、環境目標については、下記のとおりといたしました。当社グループは、長期ビジョンを踏まえ、中期経営計画期間を環境と社会課題の解決に向けた土台をつくるための重要な期間と捉えており、前半3ヵ年を第1ステージ、後半2ヵ年を第2ステージとして、安定的かつ着実な成長を目指してまいります。

 

□ 数値目標

 

2023年3月期

実績

2025年3月期

目標

2027年3月期

目標

売上高(億円)

2,381

2,400

2,500

営業利益率(%)

12.6

13.0

15.0

ROE(%)

13.1

12.5

13.0

ROIC(%)

11.3

11.0

12.0

 

 

□ 環境目標

 

2023年3月期

実績

2025年3月期

目標

2027年3月期

目標

CO2排出量(万t)

22.6

19.4

18.7

産業廃棄物排出量(千t)

19.1

18.3

17.1

 

 

※中期経営計画「しくみ・130」において、「し」は従業員と家族の幸せ、「く」は課題解決のための工夫、「み」は持続的成長を目指す明るい未来と定義づけ、外部環境が目まぐるしく変化する中、変化に適応できる「しくみ」を構築し、当社創立130周年となる2027年3月期の目標達成に向け、課題に取り組んでまいります。

 

 

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、「断つ・保つ」の技術を基盤として、各種プラント設備向けに製品やエンジニアリングを提供する「プラント向け工事・販売事業」、基幹産業を主な市場とする「工業製品事業」、半導体産業に特化した「高機能製品事業」、自動車メーカーなどを主な客先とする「自動車部品事業」、ビルや住宅の建材を供給・施工する「建材事業」の5つの事業を展開しております。セグメントごとの経営環境及び対処すべき課題は以下のとおりです。

 

 <プラント向け工事・販売事業>

プラント向け工事・販売事業では、シール材をはじめとする製品や極低温から超高温に至る領域で独自技術を駆使したエンジニアリングサービスを提供しています。電力、LNG、石油精製・石油化学などのプラント施設に常駐体制を構築することで、各種工事やメンテナンス工事におけるお客さまからのニーズへお応えしています。

国内市場は人口減少に伴い長期的には縮小傾向にありますが、石油精製・石油化学分野においては、プラントの安定操業を目的とした設備保全に対する投資は継続していくと予想されます。また、政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け、再生可能エネルギー由来の発電設備新設、火力発電における燃料の脱炭素化、原子力発電所の再稼働に向けた取組み等も順次進められていくと考えられます。

このような環境のなか、従来築いてきた全国のプラント施設への常駐体制を維持し、お客さまのニーズに真摯に対応していくとともに、将来見込まれる人手不足や働き方改革に対応するための省力化工法・製品の開発、工事現場管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してまいります。

 

 <工業製品事業>

工業製品事業は、半導体・電子部品、自動車、医療、食品、医薬、石油精製・石油化学、電力、鉄鋼、インフラ建設などの幅広い産業分野に対し、生産工場の設備用部材や各種機器の部品として、ガスケット・パッキン、ふっ素樹脂製品、各種断熱材、VOC(揮発性有機化合物)除去フィルター製品などの「断つ・保つ」技術・製品を提供しています。また、当社のマザー事業本部として新規事業創出の役割を担っています。

外需については、中国環境規制への対応や、EVの急速な普及に伴う電池工場への投資拡大に伴い、VOC除去フィルターや産業用除湿フィルターの需要が増大しています。内需については、半導体関連の大型投資により薬液製造および薬液供給の分野で大型物件が見込まれます。また、建築や医療、食品等の需要は堅調であり、加えて、カーボンニュートラル実現に向け、主力事業分野の一つである省エネ関連製品(断熱材)への関心が高まっています。

このような環境下で、幅広い産業分野を顧客に持つ工業製品事業本部としては、国内外の有望地域や有望成長市場における機会損失を最小限とするべく、需要増に対応できるよう設備投資や生産体制整備を積極的に進めてまいります。また、カーボンニュートラルに向けた市場および顧客の構造転換を見極め、「断つ・保つ」技術を基軸とした戦略製品群の開発・拡充を行っていくことで、社会要求に対応してまいります。

 

 <高機能製品事業>

高機能製品事業では、技術革新の早いエレクトロニクス関連産業分野のなかで、半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造プロセスにおける、熱・薬液・ガスなどに関わる先進の部品や部材(樹脂・ゴム製品、ヒータ・無機断熱製品)を提供しています。

半導体市場の2023年前半は、スマートフォンやPC向けの需要減に伴い、半導体メモリに対する投資が抑制された上、米国の対中輸出規制強化も加わり、調整局面に入る見込みです。

ただし、2024年以降は徐々に需要が持ち直すと予想されます。中長期的にはIoT・AI・5G・メタバースの普及、加速するデータ社会により、半導体市場は拡大・成長していくと考えております。

このような環境のなか、将来の市場拡大に備えた生産体制の構築を進めるとともに、将来の環境規制にも配慮した先進技術や材料開発を展開してまいります。

 

 

 <自動車部品事業>

自動車部品事業では、シリンダーヘッドガスケットなどの流体の漏れを「断つ」機能製品であるシール材をはじめ、自動車の進化に対応した防熱、防音、制振関連の製品や技術を提供しています。

 2022年の世界全体の自動車生産台数は、原材料不足や半導体不足が続いており、先行き不透明な状況が続いていますが、長期的には中国、ASEAN、インドを中心に伸長が予想されています。また、脱炭素に向けた取組みが加速しており、世界各国で厳しい環境規制や新エネルギー車の導入目標が設定され、EV(電気自動車)へのシフトが進んでいます。

このような環境のなか、進化を続ける自動車産業の未来に貢献すべく、長年培ってきた技術を駆使し、時代のニーズに対応した高付加価値製品の創出、開発を進めていくとともに、グローバルでの拡販と原価低減活動を推進し利益確保に注力してまいります。

 

 <建材事業>

建材事業では、不燃・断熱・耐火などの性能を備えた建材を提供するとともに、その建材を活用した施工事業も展開しており、オフィスビル、住宅、工場、研究施設などの、より安全で快適な空間づくりに寄与しています。

住宅市場における近年の新設着工戸数は緩やかに減少しており、今後も同様の傾向が続くと予想されます。一方、非住宅における新設着工需要は、物流倉庫の新設については旺盛であり、都市部の大型再開発事業についても計画通り進むと考えられますが、工場、店舗等については回復に遅れがみられます。

このような環境のなか、当社の戦略としては、建築物には欠かせない耐火被覆工事の施工性を大きく改善させた巻付け耐火被覆材をはじめとする差別化製品(環境対応型製品)の拡販を進めるとともに、事業の構造改革を進め、収益の改善を進めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが合理的であると判断したものであります。

当社グループでは、従業員が活躍できる職場環境が実現できてこそ、業績向上とサステナブルな未来が望めるものと考えます。従業員の活躍は、より良い技術や製品、サービスを社会に提供することにつながると確信します。このような考えのもと、当社グループは「私たちが目指す姿」として「働きやすい、明るい会社」の実現を掲げ、中期経営計画「しくみ・130」(2023年3月期~2027年3月期)を策定しております。

中期経営計画においては、サステナビリティに関連する環境や人材などの各項目について、環境委員会をはじめとする各部が検討した結果を経営企画部がとりまとめ、全社課題として設定しております。

これらの課題の進捗状況については、中期経営計画で制定した「ニチアス幸せ価値指数」を用いて評価し、その成果については経営会議および取締役会に報告する体制としております。ニチアス幸せ価値指数では、ESGの要素を踏まえた事業活動に直結する5つの重要課題のほか、従業員の働く環境(従業員満足度)を定量的に評価しています。同時に、従業員のエンゲージメントサーベイ(従業員幸福度)、従業員を支える家族や当社グループを取り巻くステークホルダーへのアンケートも実施し、総合的な視点で評価・検証を行っています。

 

 


 

 

 

 

 

(1) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への対応

激甚災害が増加し、経済活動が停滞するなど、気候変動がグローバルに様々な影響を及ぼすことが問題になるなか、当社グループは「断つ・保つ」の技術を基盤とした保温・断熱・保冷などの機能を備えた製品およびサービスの提供を通じ、CO2排出量削減に貢献してきました。当社グループは、気候変動を地球の明るい未来に対する多大なリスクと捉え、地球温暖化の緩和と適応の両面から積極的に活動を推進しております。当社グループは、2021年4月にカーボンニュートラル宣言を制定し、2030年度にCO2排出量を2019年度比で30%削減することを目指し活動しております。また、2023年6月には、気候変動問題に適切に対応すべく、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明しました。今後は、さらなる脱炭素活動を推進するとともに、気候変動に関する情報開示をさらに積極的に進めてまいります。

 

<ガバナンス>

当社グループは、ニチアス環境憲章において、「断つ・保つ」の技術を活かし、地球温暖化をはじめとするさまざまな環境負荷を低減し、持続発展可能な社会の実現に貢献することを宣言しており、気候変動対応を重要事項と捉え、全社環境委員会を中心に、環境負荷を低減した製品開発および製造事業場の環境負荷低減を推進しております。

全社環境委員会は、代表取締役社長を委員長として、取締役および各本部長から構成され、当社グループの気候変動を含む環境問題にかかわる課題についてリスク・機会の分析や取り組みの立案・推進、中期環境方針の策定・進捗管理などを担っております。全社環境委員会の下には工場部会を設置し、工場部会は、製造事業場の脱炭素目標の達成状況などをチェック、当社グループ全体のパフォーマンスの向上等について議論することにより、製造事業場を監督・指導しております。

全社環境委員会は、四半期に一度開催され、その討議事項は取締役会に報告し、取締役会の意見は気候変動対応をはじめとする環境対応へ反映しております。

 

<リスク管理>

当社グループは、2030年度を想定し、将来における気温上昇として、1.5℃と4℃の気温帯のシナリオを用いてシナリオ分析を実施しております。具体的には、カーボンニュートラル推進室が中心となって、当社グループ全体のサプライチェーン、各プロセスを想定し、気候変動リスクの洗い出し、分析を実施し、重要な影響を及ぼす事象への対応を進めております。分析で洗い出されたリスクに対する対応策の進捗については四半期に一度開催している全社環境委員会で重要リスクを認識したうえで、必要に応じて取締役会で審議し、リスク回避などの対応やリスク発生時の影響低減に向けて活動を推進しております。

 

 

<戦略>

当社グループは、国際エネルギー機関(International Energy Agency;IEA)が発行しているWorld Energy Outlook等から、 2030年度を想定し、低炭素社会への移行が進む1.5℃シナリオ(NZEシナリオ)および気候変動が進む4℃シナリオ(STEPSシナリオ)に基づくシナリオ分析を実施し、気候変動によるリスクと機会のインパクトを評価しました。

1.5℃シナリオにおけるCO2排出およびエネルギー調達に対する炭素価格の影響は大きく、2030年のCO2排出削減対策実施後に当社グループで約26億円の炭素税賦課額※が見込まれ、操業コストが増加する可能性が示されました。この対策として、2050年カーボンニュートラルに向けたCO2排出量削減計画を着実に進めると同時に、環境貢献の高い製品が創出する市場価値を製品・サービス価格に反映していきます。

※World Energy Outlook 2022より、先進国140ドル/t-CO2、新興国25ドル/t-CO2[2030年、1.5℃シナリオ]として計算

 


(注) 表中の太枠内に記載された項目は、提出日現在において、当社グループが重要性が高いと判断した項目であります。

 

さらに当社グループの各セグメントについて1.5℃シナリオにおけるリスクおよび機会の事業インパクトを算定しました。結果は下表の通りです。算定した各インパクトへの適切な対応を進めていきます。

 

 

 


(注) 表中の太枠内に記載された項目は、提出日現在において、当社グループが重要性が高いと判断した項目であります。

 

 

<指標及び目標>

当社グループは、2021年4月に2050年のカーボンニュートラルを目指すこととし、中期目標として2030年度のCO2排出量を、2019年度(基準年度)比30%削減することを目標に活動しております。活動は①脱炭素につながるものづくりへの転換、②グループ全体における徹底した省エネルギー、③再生エネルギーの積極的活用の3本柱で進めております。

① 脱炭素につながるものづくりへの転換

製造時のCO2排出量が特に多い製品については、カーボンニュートラルにむけての当社の重点課題ととらえ、事業部門・研究開発部門・製造部門の領域を超えて全社で排出量の削減に努めております。CO2排出量の少ないエネルギーへの転換はもとより、製法の低炭素化も検討しております。また、ライフサイクルを考慮した低炭素製品の開発、移行も実施しております。

 

② グループ全体における徹底した省エネルギー

省エネ活動は、従来から実施しておりますが、

・自社省エネ技術・製品の活用

・各種省エネ機器の導入、設備更新、燃料転換の実施

・全製造ラインでの不良低減・生産性向上活動によるエネルギーの無駄削減

・全従業員の意識・行動による日々の省エネ徹底

を、ひとつひとつやり切ることを目標に活動をリスタートしております。このような活動を促進するため、2021年度に省エネ設備投資ガイドラインを策定しました。社内炭素価格※(インターナルカーボンプライシング)を導入し、CO2削減につながる投資を促進しております。

社内炭素価格の効果もあり、2022年度に投資した設備によりCO2削減目標の基準年度である2019年度CO2排出量の約1.5%に相当する約4,000t-CO2/年の削減が見込まれます。

※2022年度は10,500円/t-CO2に設定し、2023年度は12,500円/t-CO2に設定

 

③ 再生エネルギーの積極的活用

製造建屋の屋根上などへの太陽光発電装置の設置を積極的に進めており、先行して実施している国内拠点においては、2025年度までに約2,000t-CO2/年の削減を目標に活動しております。また、地域の再エネ由来電力、環境証書の購入などを推進しており、2022年度は太陽光発電装置、環境証書の購入により、電力に対する再エネ比率は2021年度の0.5%から3.0%に向上しております。

 

 

(2) 人的資本

<人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略>

人材は当社グループの最大の資産と捉えます。永続的かつ持続的に企業価値の向上を図る上では、多様な人材が集い、安心して働くことができる環境整備、風土醸成が重要と考えており、当社グループでは「ニチアスグループ人権方針」を制定し、ダイバーシティの推進など、人権尊重の取り組みに力を入れております。なかでも、管理職に占める女性労働者の割合が低い状況にあることから、中長期的な視点に立って将来の女性管理職候補者の採用・育成を図り、正社員における女性比率を高めていくことを目標としております。

また、従業員の健康と安全が企業活動の基盤と捉え、「ニチアスグループ健康経営宣言」を制定し、会社と従業員およびその家族と健康保険組合が一体となって、健康づくりを推進しています。ワークライフバランスを念頭に、心身ともに健康増進を図る上で、有給休暇取得を促進するとともに、時間外労働時間の削減を目標に掲げています。

人材育成については、職務を遂行するために必要な知識やスキルの習得を目的とし、階層別研修や各種集合研修の実施、通信教育の推進を行っています。また、当社グループでは「仲間で仕事をする」ことを合言葉に、従業員の働きがいと生産性の向上の両立を目的とした「NKK(ニチアス改善活動)」に取り組むことで問題解決できる人材の育成を図っております。

 

<指標及び目標>

 

項目

中期目標

(2027年3月期)

2023年3月期

実績

正社員における女性比率

25.0%以上

18.7%

男性労働者の育児休業取得率

30.0%以上

36.1%

有給休暇取得率

70.0%以上

71.0%

1ヶ月の平均時間外労働時間

15.0時間以内

13.8時間

 

(注)各項目における中期目標および2023年3月期実績は、提出会社の数値であります。

 

 

 

 

3 【事業等のリスク】

投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

□景気変動、経済情勢のリスク

当社グループは、ガスケット、パッキンなどのシール材の製造販売、ロックウール、無機繊維などを基材とする各種の無機断熱材の製造販売、ふっ素樹脂など高機能樹脂を使用した耐食材や耐食機器部品の製造販売、エンジンおよび周辺機器用のシール材や防音・防熱用機能材などの自動車部品の製造販売、けい酸カルシウム板や断熱材を中心とした各種不燃建材の製造販売、また、電力・ガス、石油精製・石油化学プラントの保温保冷工事、フリーアクセスフロア工事などを事業として行っており、需要先は石油精製・石油化学、化学、鉄鋼、電力・ガス、自動車、半導体、建設など幅広い産業分野にわたっています。このため、全産業の設備投資動向、また耐食材については半導体の需要動向、自動車部品については自動車の生産、販売台数の動向、建材については住宅およびビル建設需要の動向に依存し、最終的には内外の景気動向や経済情勢次第で業績が変動する可能性があります。

 

海外事業活動のリスク

当社グループはアジアをはじめとして海外で事業を展開しております。海外での事業においては、通常予期しえない法律や規制の変更あるいは急激な金融情勢の変化など、経済的に不利な要因の発生や政治的混乱などのリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化した場合、当社グループの海外での活動に支障が生じ、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

原材料調達のリスク

当社グループは、主な原材料として金属、コークス、パルプ、ゴム、ふっ素樹脂等を使用しています。これらの原材料の供給元の経済環境の変化、供給能力の低下などにより、必要な原材料の調達が困難になった場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

債権管理のリスク

当社グループは取引先に対して、売掛金や受取手形などの債権を有しております。与信管理については常に充分注意しておりますが、予期せぬ貸倒れにより、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

□会計上の見積りに係わるリスク

当社グループは、工事契約に係る収益認識、固定資産減損会計に関連する回収可能価額、繰延税金資産の回収可能性等に関して見積りを行っております。これらの見積りは、将来に関する一定の仮定に基づいて作成しており、それらの見直しにより当社グループの業績や財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

退職給付債務のリスク

当社グループの年金資産の時価が下落した場合や年金資産の運用利回りが低下した場合、または、予定給付債務を計算する前提となる基礎率などに変更があった場合、損失が発生する可能性があります。

 

製品の品質維持のリスク

当社グループは、各生産拠点において品質保証の国際規格ISO9001のもとで各製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来クレームが発生する可能性が全くないという保証はありません。製品の欠陥は当社グループの評価に影響を与え、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

情報セキュリティのリスク

当社グループは、当社および顧客・取引先についての個人情報・機密情報を保有しており、これらの情報の外部流出を防止するために、社内ルールの整備、教育の徹底、セキュリティシステム強化等の対策を講じていますが、情報の流出が発生した場合には、損害補償等により当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

□災害に係わるリスク

当社グループは国内外に複数の生産拠点などを有しています。製品供給が途絶えた場合の顧客への影響度合い、市場での重要性、代替品への切り替え可能性などを考慮した対策を施しておりますが、当該拠点のいずれかが大規模地震などに被災し稼動困難となった場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

□アスベスト(石綿)による健康障害者への補償のリスク

当社および一部の国内子会社は、当社起因のアスベスト疾病により死亡または療養されている従業員および元従業員に対して、社内規程に基づき補償金を支払っております。また、一定の基準を満たされた当社および一部の国内子会社の工場周辺住民の方に救済金を支払っております。今後もアスベストによる健康障害者への補償費用等の負担が継続する可能性があります。

なお、アスベスト健康被害に関し、損害賠償請求の提訴を受けておりますが、当社といたしましては、適切に対処していく所存です。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 

(1) 経営成績

 

 

売上高

(百万円)

営業利益

(百万円)

親会社株主に

帰属する当期純利益

(百万円)

1株当たり

当期純利益

(円)

当連結会計年度

238,116

29,954

21,398

322.59

前連結会計年度

216,236

26,264

22,034

332.18

増減

21,879

3,689

△636

△9.59

増減率(%)

+10.1

+14.0

△2.9

△2.9

 

 

当連結会計年度における事業環境は、日本の景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しています。製造業では設備投資や生産が復調傾向にあるものの、輸出は弱含みとなっております。海外の景気は、中国では新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により、一部弱さが残るものの、緩やかに持ち直しており、米国および新興国では持ち直しております。

このような状況の中、当社グループにおいては、自動車の生産調整の影響もありましたが、半導体製造装置向けの製品需要が高水準で推移したため、当社グループの売上高は、前連結会計年度に対し10.1%増238,116百万円となりました。

売上原価については、売上高の増加に伴い前連結会計年度に対し17,250百万円(10.6%)増加180,107百万円となりました。また、販売費及び一般管理費については、売上高の増加に伴う経費の増加により、前連結会計年度に対し939百万円(3.5%)増加28,055百万円となりました。

営業利益については、売上高の増加により、前連結会計年度に対し3,689百万円(14.0%)増加29,954百万円となり、営業利益率は12.6%となりました。

営業外収益については、為替差益の減少により前連結会計年度に対し1,188百万円(25.4%)減少3,490百万円となりました。また、営業外費用については、前連結会計年度に対し8百万円(2.4%)減少362百万円となりました。

上記の結果、経常利益については、前連結会計年度に対し2,509百万円(8.2%)増加33,082百万円となりました。また、建材部門の事業構造見直しによる国内ロックウール断熱材製造拠点の再編に伴う事業整理損失1,176百万円および国内自動車部品製造拠点の固定資産の減損損失679百万円を特別損失に計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度に対し636百万円(2.9%)減少21,398百万円となりました。

 

当連結会計年度のセグメント別の経営成績は以下のとおりです。

 

<プラント向け工事・販売>

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

58,969

65,242

6,273

+10.6

セグメント利益

6,164

8,426

2,261

+36.7

 

 

プラント向け工事・販売については、石油精製、石油化学向けを中心に需要が堅調に推移したため、売上高は前連結会計年度に対し10.6%増65,242百万円、セグメント利益は前連結会計年度に対し36.7%増8,426百万円となりました。

 

<工業製品>

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

47,903

51,566

3,662

+7.6

セグメント利益

8,033

8,984

950

+11.8

 

 

工業製品については、中国の経済状況悪化の影響で環境製品の需要が減少しましたが、国内での電子部品やインフラ向けシール材、無機断熱材の需要が堅調に推移したため、売上高は前連結会計年度に対し7.6%増51,566百万円、セグメント利益は前連結会計年度に対し11.8%増8,984百万円となりました。

 

<高機能製品>

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

36,019

45,159

9,140

+25.4

セグメント利益

7,931

10,957

3,025

+38.1

 

 

高機能製品については、半導体メモリを中心に投資減少の傾向にあり、先々については不透明な状況にあるものの、半導体製造装置向け製品の需要が高水準で推移したため、売上高は前連結会計年度に対し25.4%増45,159百万円、セグメント利益は前連結会計年度に対し38.1%増10,957百万円となりました。

 

<自動車部品>

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

44,662

46,750

2,088

+4.7

セグメント利益

4,032

2,467

△1,565

△38.8

 

 

自動車部品については、中国での新型コロナウイルス感染症拡大に伴う都市封鎖や、サプライチェーンの混乱による自動車の生産調整が続きましたが、為替相場の円安進行により、売上高は前連結会計年度に対し4.7%増46,750百万円となりました。一方で、原材料価格の上昇等の影響により、セグメント利益は前連結会計年度に対し38.8%減2,467百万円となりました。

 

<建材>

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率(%)

売上高

28,681

29,396

714

+2.5

セグメント利益
又は損失(△)

102

△880

△982

 

 

建材については、耐火被覆材の需要が堅調に推移したため、売上高は前連結会計年度に対し2.5%増29,396百万円となりました。一方で、原材料価格の高騰やエネルギーコストの上昇等の影響により、セグメント損失は880百万円(前連結会計年度はセグメント利益102百万円)となりました。

 

 

生産、受注及び販売の状況は以下のとおりです。

 

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

工業製品

42,773

+13.3

高機能製品

29,830

+21.0

自動車部品

38,417

+0.4

建材

8,831

+2.5

合計

119,853

+9.7

 

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

②受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比(%)

プラント向け工事・販売

68,514

+14.4

19,048

+20.7

工業製品

52,289

+2.6

9,731

+8.0

高機能製品

44,916

+0.7

14,426

△1.7

自動車部品

45,617

△1.9

2,684

△29.7

建材

29,033

△0.7

5,985

△5.7

合計

240,372

+3.9

51,877

+4.5

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

③売上実績

当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

前年同期比(%)

プラント向け工事・販売

65,242

+10.6

工業製品

51,566

+7.6

高機能製品

45,159

+25.4

自動車部品

46,750

+4.7

建材

29,396

+2.5

合計

238,116

+10.1

 

(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上実績および当該売上実績の総売上実績に対する割合は、当該割合が10%以上の相手先がないため省略しております。

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における総資産は、原材料及び貯蔵品が4,982百万円、現金及び預金が4,835百万円、電子記録債権が3,101百万円、建物及び構築物が2,393百万円、商品及び製品が1,104百万円、受取手形及び売掛金が1,090百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して19,982百万円増加の266,907百万円となりました。

当連結会計年度末における負債は、未払法人税等が1,237百万円減少しましたが、固定負債のその他に含まれる資産除去債務等が860百万円、支払手形及び買掛金が859百万円、繰延税金負債が668百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して1,762百万円増加の93,165百万円となりました。

当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金が15,428百万円、為替換算調整勘定が1,840百万円、退職給付に係る調整累計額が517百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して18,220百万円増加の173,742百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比較して4,548百万円増加し58,962百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は18,650百万円(前年同期は25,073百万円の獲得)となりました。

これは、法人税等の支払額10,286百万円、棚卸資産の増加5,227百万円、売上債権の増加4,460百万円等により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益30,822百万円、減価償却費7,454百万円等により資金が増加したことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金は8,651百万円(前年同期は5,523百万円の支出)となりました。

これは、有形固定資産の取得による支出8,190百万円等により資金が減少したことによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は6,368百万円(前年同期は5,881百万円の支出)となりました。

これは、配当金の支払額5,967百万円等により資金が減少したことによります。

 

②資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

運転資金のうち主なものは、当社グループの製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いによるものです。

設備投資資金需要については、今後成長が見込まれる事業分野を中心に生産設備の増強によるものです。

(財務政策)

運転資金及び設備投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローから得られる資金、社債の発行及び金融機関からの借入れにより資金を調達しております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、“地球の明るい未来に貢献する”という基本理念のもと、「断つ・保つ」をコアとしたシール技術、断熱技術、防音技術、耐火技術、耐食技術、クリーン技術を用いた製品・サービスを提供しています。これらの事業を支えるため、基盤技術の整備と差別化技術の強化に努め、中長期的視点に立った研究開発、顧客・社会の要望に密着した迅速な開発について、選択と集中を行い進めております。

当社グループの研究開発活動は、浜松研究所、鶴見研究所の2研究所と各事業部門の技術開発部からなる体制で推進し、研究・開発スタッフはグループ全体で479名であります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、5,715百万円で売上高の2.4%でありました。当連結会計年度における各部門の研究開発活動及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(1) プラント向け工事・販売

エネルギー産業、環境関連産業などから要求される、保温・保冷、高温断熱、耐火に関する構造や吸音・遮音に関する構造、およびそれらの施工システムの研究開発を行っております。

当セグメントに係わる研究開発費は933百万円であります。

 

(2) 工業製品

環境関連、エネルギー、石油精製・石油化学など各種産業から要求されるシール材、断熱材、耐火材、ふっ素樹脂製品などの部材ならびに装置部品の研究開発を行っております。

当セグメントに係わる研究開発費は2,076百万円であります。

 

(3) 高機能製品

半導体、液晶製造装置などの産業から要求されるシール材、断熱材、ふっ素樹脂製品などの部材ならびに装置部品の研究開発を行っております。

当セグメントに係わる研究開発費は801百万円であります。

 

(4) 自動車部品

自動車産業から要求されるシール材、断熱材、吸音材などの部材の研究開発を行っております。

当セグメントに係わる研究開発費は1,444百万円であります。

 

(5) 建材

ビル建築産業、住宅産業などから要求される断熱材、耐火材、不燃建築材料およびそれらの施工システムなどの研究開発を行っております。

当セグメントに係わる研究開発費は458百万円であります。