第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

①基本方針

当社グループは、経営理念「私たちクラボウグループは、新しい価値の創造を通じてより良い未来社会づくりに貢献します。」のもと、ESG経営を推進し、当社グループが株主及び取引先をはじめとするステークホルダーから存在価値を評価され、信頼感が持てる企業、安心感を与える企業として支持されることを目指します。

また、社会的責任遂行のための行動指針「クラボウグループ倫理綱領」に則り、地球環境の保全をはじめとするサステナブルな社会の実現に貢献するとともに、豊かで健康的な生活環境づくりを目指して、独創的で真に価値のある商品・情報・サービスを提供し、グループの企業価値を高めてまいります。

②中期経営計画

当社グループは、2022年4月よりスタートした、2024年度を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画「Progress'24」を実行中です。「Progress'24」では、基本方針を「高収益事業の拡大と持続可能な成長に向けた基盤事業の強化」、重点施策を①成長・注力事業の業容拡大と基盤事業の収益力強化、②R&D活動の強化による新規事業創出と早期収益化、③SDGs達成への貢献、④多様な人材の活躍推進の4点とし、変化の激しい経営環境にあっても、持続的に企業価値を高めていくための最適な事業ポートフォリオを構築してまいります。また、グループガバナンスを強化するとともに、社会課題の解決に取り組むなどサステナビリティを意識した経営を進めてまいります。

 

その目標数値は、以下のとおりです。

指 標

2022年度

2023年度

2024年度

売上高

1,450億円

1,520億円

1,600億円

営業利益

70億円

85億円

96億円

R O E

5.5%

6.3%

7.0%

R O A

4.1%

4.8%

5.3%

R O I C

4.3%

5.1%

5.6%

(注)ROE:自己資本当期純利益率、ROA:総資産営業利益率、ROIC:投下資本利益率

 

(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の経済情勢につきましては、新型コロナウイルス感染症による社会経済活動への制約が解消されたものの、長引くロシア・ウクライナ情勢などの地政学的リスクを背景に、資源価格相場やサプライチェーンは依然として不安定な状況が続くなか、インフレ進行に対する各国の金融引き締めの影響により、景気後退が懸念されます。

このような経営環境のなかで、原燃料価格の変動リスクへの対応が大きな課題であり、引き続き、価格転嫁やコストダウンを進めてまいります。

また、当社グループでは、「イノベーションと高収益を生み出す強い企業グループ」を目指す「長期ビジョン2030」のセカンドステージにあたる中期経営計画「Progress'24」が進行中であり、高収益事業体制の確立に向けて、成長市場における注力事業へ経営資源を集中するとともに、基盤事業の収益力強化に取り組んでおります。さらに、引き続きグループガバナンスを強化するとともに、社会課題に取り組むなどサステナビリティを意識した経営を進めてまいります。

 

セグメントごとの経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は、以下のとおりであります。

 

①繊維事業

(経営環境)

繊維事業では、紡績、織布、染色整理加工、縫製における独自の技術を生かし、綿を中心とした天然繊維をベースに高機能・高感度な糸、テキスタイル、繊維製品に関する事業を展開しています。繊維業界を取り巻く環境は、海外製品との価格競争の激化や衣料品需要の低迷に加え、原燃料価格や為替の大幅な変動などきびしい状況が続いていますが、一方で高機能繊維製品やサステナブルを訴求した素材への需要が増加しています。

当社は収益向上を目指して、独自技術を生かした新商品・サービスの開発を進めるとともに、生産の効率化を目指してAI・IoTを活用したスマート工場実現に向けた取組みに注力するなど、新しい価値を提供するビジネスモデルへの変革を推進しています。

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

糸では、原料改質技術を活用した高機能製品「NaTech(ネイテック)」の開発の推進と販売の拡大、テキスタイル及び繊維製品では、ユニフォーム分野においては、働く人へ安全と快適を提供するビジネスへの転換を進め、カジュアル分野においては、サステナブル原料を活用した商品展開や、アップサイクルシステム「L∞PLUS(ループラス)」を活用した製品の拡販等に取り組んでまいります。これらの取組みにより、各分野でサステナブル社会の実現に貢献できる商品・技術の開発、販売を行うとともに、原燃料価格の高騰に対しては製品価格への転嫁に加え、生産の効率化を進め、収益拡大に努めてまいります。

また、海外拠点を含めたQR対応力を強化し、効率的な適地生産、適地販売に努めてまいります。

 

②化成品事業

(経営環境)

化成品事業では、自動車をはじめフィルム、半導体、建材、産業資材など様々な業界に幅広く、汎用から高機能にわたる合成樹脂を中心とした製品事業を展開しており、顧客に密着した商品開発・営業により、顧客ニーズに迅速かつ、きめ細かく対応できる体制を構築しています。それぞれの分野において処方開発、成形技術やSDGsを意識した商品開発など、開発体制の一層の強化と、生産技術の向上による業容の拡大に注力しています。

なお、原燃料価格の変動や、米中対立に伴う半導体市況の悪化により、事業に影響を及ぼすことが懸念されます。

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

高機能樹脂加工品、機能フィルム、機能資材、不織布を成長・注力事業と位置付け、経営資源を集中して業容拡大に取り組んでまいります。なかでも高機能樹脂加工品では、半導体市場の今後の更なる拡大に向けた生産能力増強を図り、機能フィルムでは、三重工場の生産能力の強化による拡販、機能資材では、今後の市場拡大が見込まれる熱可塑性炭素繊維複合シート「クラパワーシート」の早期事業化に向けたマーケティング活動と技術開発に注力してまいります。

基盤事業と位置付けている軟質ウレタン、住宅用建材では、安定した収益確保に向けて生産体制の効率化に取り組むとともに、新商品開発・新市場開拓にも取り組んでまいります。

また、原燃料価格の高騰に対しては、引き続き製品価格への転嫁に注力してまいります。

 

③環境メカトロニクス事業

(経営環境)

環境メカトロニクス事業では、エレクトロニクスは半導体回路基板、フィルムなど幅広い業界へ向けた検査・計測・制御システム等を開発・販売しています。画像処理及び情報処理を基盤技術として深化させ、当社独自技術を生かした最先端の検査・計測システムや、電子部品等の生産ラインの自動化を推進するFA設備は、多岐にわたる業界の生産現場で顧客企業の品質、生産性の向上に貢献しています。

エンジニアリングでは、環境関連プラントのエンジニアリング工事やバイオマス発電所の運営等を行っています。

バイオメディカルでは遺伝子抽出・解析及び各種検査試薬キットの販売、工作機械では国内外の金型メーカー等に対し横中ぐりフライス盤の製造・販売を行っています。

依然として、電機メーカー、駆動機構メーカー等の市場への部材供給が遅滞しており、顧客企業の設備導入時期の遅延や当事業での生産面への影響が生じています。

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

エレクトロニクスでは、商品力強化による競争優位性の獲得、海外市場への拡販に努め、新技術であるロボットビジョンシステムの商品開発力を強化するとともに、半導体関連の検査・計測ビジネスの拡充を図ってまいります。

エンジニアリングでは、環境関連の新規事業の拡大及び海外市場への拡販に努めてまいります。

バイオメディカルでは、遺伝子抽出・解析関連での業容拡大、工作機械では新機種の投入による販売の拡大及びコスト競争力の強化に取り組んでまいります。

 

④食品・サービス事業

(経営環境)

食品・サービス事業では、フリーズドライ食品の製造・販売やホテル等の運営を行っています。

食品事業が属するフリーズドライ業界では、小売り価格の値上げによる買い控えの影響や、ウィズコロナ下での行動制限の撤廃により外食需要が増加傾向にあることから、内食需要の伸び悩みが懸念されます。

ホテル関連では、宿泊が観光事業支援策の効果やインバウンド需要の回復により、復調の兆しが見られるものの、宴会などは新型コロナウイルス感染症の影響が残り、また、原燃料価格の高騰により、依然としてきびしい状況にあります。

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

食品事業では、引き続き価格転嫁を進めるとともに、消費者の低価格志向に対応すべく、安価で高機能な商品の開発・提案にも注力し、顧客満足度の向上に努めてまいります。また、環境面に配慮した事業活動も積極的に進めてまいります。

ホテル関連では、感染対策の継続により安心・安全をPRしつつ、旅行・宴会需要の回復を捉えた魅力的な商品・サービスの開発・提供などによる集客力の強化を図ってまいります。

 

⑤不動産事業

(経営環境)

不動産事業では、工場跡地等の遊休資産の有効活用による長期安定収益の確保を目指し、オフィスや商業施設、大規模メガソーラー用地等の不動産賃貸を展開しています。

賃貸事業の主力である大型商業施設では、ネット通販やドラッグストアとの競争激化などにより、賃貸先の経営環境に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

大型商業施設賃貸事業では、賃貸先の経営環境を注視しながら、効率的な事業推進を行い、引き続き、長期安定収益の維持・確保に努めてまいります。

また、遊休地の再開発等による早期収益化についても、取り組んでまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する基本方針

当社グループでは、持続可能な社会の実現に貢献するためには、企業自らが持続的な企業価値の向上を目指さなければならないと考えており、付加価値の高い技術や商品・サービスを創出し、高収益事業を育成・拡大するとともに、当社グループの経営理念である「私たちクラボウグループは、新しい価値の創造を通じてより良い未来社会づくりに貢献します。」のもと、以下の実践に努めます。

①事業を通じた社会課題解決への貢献

②地球環境の保全を意識した事業活動の推進

③人権の尊重及び働きやすさとやりがいのある職場環境の整備

④信頼される企業づくりの推進

 

(2) ガバナンス

当社取締役会は、下記の「(3) リスク管理」に記載のクラボウグループCSR活動推進体制のもと、クラボウCSR委員会の活動を通じて当社グループのサステナビリティ活動の統括を行っています。

当社のガバナンス体制は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (1) コーポレートガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 イ.当該体制を採用する理由」に記載する体制図を参照ください。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、「クラボウグループ倫理綱領」に則り、クラボウCSR委員会の統括のもと、8つのCSR専門委員会がそれぞれ担当するサステナビリティ関連のリスクや課題への対応を行っています。

クラボウCSR委員会は毎年4月に、各CSR専門委員会から前年度の活動結果の報告を受けるとともに、当該年度の活動内容を承認しています。これらの内容は、取締役会に報告され、その承認を得ています。

また、リスク管理・コンプライアンス委員会は、毎年、当社グループの事業リスクを抽出し、これをもとにリスクマップを策定しています。

 

■クラボウグループCSR活動推進体制図

 

 

 

クラボウCSR委員会

(委員: 取締役(監査等委員である取締役を除く。)・執行役員、
監査等委員には出席・意見陳述権)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラボウCSR推進委員会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人権啓発

委員会

 

安全衛生

管理委員会

 

環境

委員会

 

リスク管理・コンプライアンス委員会

 

製品安全

委員会

 

情報セキュリティ

委員会

 

品質保証

委員会

 

広報

委員会

 

内部通報

体制(ホットライン)

 

(4) 戦略

当社は、中期経営計画「Progress'24」において、社会課題の解決に取り組むなどサステナビリティを意識したESG経営を進めることを表明し、重点施策として「SDGs達成への貢献」、「多様な人材の活躍推進」を掲げています。

「SDGs達成への貢献」に関しては、創業以来、労働環境の改善や地域社会の発展へ貢献してまいりましたが、
メーカーとしての責任を果たすものとして、目標9の「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標11の「住み続けられるまちづくりを」及び目標12の「つくる責任 つかう責任」を最重要課題と捉え、その目標達成に注力してまいります。

「多様な人材の活躍推進」については、ダイバーシティ&インクルージョンやフレックスタイム制度・テレワーク制度等の柔軟な働き方の推進により、多様な人材が個々の能力を最大限に発揮し、自律的に業務を進めることのできる企業風土づくりに努めてまいりましたが、今後はさらに、企業価値を持続的に向上させる事業変革力を持った社員を育成するとともに、社員が組織に主体的に貢献する「エンゲージメントの高い組織」の構築を目指してまいります。「多様な人材の活躍推進」の取組については、下記の「(6) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」を参照ください。

また、気候変動への対応についても、リスク・機会の面で事業を推進する上で重要なファクターの1つとして捉えております。気候変動に関する取組については、下記の「(7) TCFD提言に基づく報告」を参照ください。

 

(5) 指標及び目標

「女性管理職比率」等の多様性に関する指標及び目標は下記の「(6) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」を、気候変動に関する指標及び目標は下記の「(7) TCFD提言に基づく報告」を参照ください。

 

(6) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

当社は1888年の創業当初から「従業員の幸福なくして事業の繁栄はなし」との労働理想主義のもと、従業員への教育、労働環境の改善、福利厚生の充実、従業員の健康管理に取り組むとともに、地域社会の発展にも尽力しており、現在もその姿勢に変わりはありません。

当社グループは「イノベーションと高収益を生み出す強い企業グループ」を目指し、企業価値を持続的に向上させるため、社員一人ひとりが充実感やポジティブな感情を持ち、組織に主体的に貢献する「エンゲージメントの高い組織」の構築に取り組んでおり、そのための3つの柱を以下の①活力ある組織風土の醸成、②柔軟な働き方の推進、③多様な人材の確保と育成としております。

 

①活力ある組織風土の醸成

ア.女性活躍の推進、LGBTQ+やアンコンシャスバイアスの理解促進、障がい者雇用の促進等、社員自身が自分の個性や強みを発揮することにより、イノベーションと新しい価値を創造し、より良い未来社会づくりに貢献する「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進

イ.自身や部下のパーパスを考え共有することにより、社員の能力を引き出し、発揮させ、会社の活力にする、エンパワーメントの推進

ウ.エンゲージメント調査の実施と対策

 

②柔軟な働き方の推進

ア.仕事と家庭生活などを両立できる、働きやすい職場づくりを推進するための、フレックスタイム制度・テレワーク制度の定着、時間単位有給休暇制度の活用や男性育児休職取得率の向上

イ.自律的で自由な発想が生まれやすい職場づくりやコミュニケーションの活性化のための、オフィスカジュアルの定着や有給休暇の取得促進

ウ.安全衛生管理の推進と健康経営優良法人認証の連続取得

エ.諸制度の活用を図るための社内イントラネットやグループ社内報「ドウシン」を活用した周知

 

③多様な人材の確保と育成

ア.成長市場における注力事業への人的資源配分と経験者を含む採用力の強化

イ.社内研修定着のための教育内容のフィードバック

ウ.スマートファクトリー化や事業変革推進のためのIoT推進教育、DX技術活用教育

 

また、当社は、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

指標

2021

年度

2022

年度

目標

①活力ある組織風土の醸成

管理職に占める女性の割合

2.1%

2.2%

3%以上(2024年度末)

 

新卒総合職に占める女性の割合

30.0%

40.0%

30%以上(2024年度)

 

経験者総合職採用に占める女性の割合

28.6%

26.1%

定めず(男女区分なし)

 

総合職女性の配属課比率

40.4%

41.4%

45%以上(2024年度末)

 

障がい者雇用率

2.04%

2.57%

法定雇用率以上

 

エンゲージメントスコア

42%

43%

50%以上(2023年度)

②柔軟な働き方の推進

男性の育休取得率

4.2%

39.1%

30%以上(2024年度)

 

有休取得日数

11.8日

13.6日

12日以上(2024年度)

 

業務上災害発生件数

5件

10件

0件

③多様な人材の確保と育成

総合職採用に占める経験者の割合

41.2%

69.7%

定めず

 

1人当たり社内研修費用

2.7万円

3.4万円

4万円以上

(注)当社グループにおける実績把握は困難であるため、当社単体の数値を記載しております。

 

(7) TCFD提言に基づく報告

昨今、世界では気候変動を含む環境課題が深刻化しています。地球温暖化の影響により、グローバルベースで異常気象が発生するなど悪影響が生じており、気候変動への対応は企業にとって重要な課題となっています。

このような中、当社グループは、気候変動関連のリスクと機会が事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識し、「カーボンニュートラルの実現」を重要課題と位置付け、サステナブルな社会の実現を目指します。

当社グループでは、今般、カーボンニュートラルの実現に向けた推進体制強化の一環として、TCFD提言に基づく気候変動への取組に関する情報開示を行います。

 

①ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティに関する基本方針の中で、「地球環境の保全を意識した事業活動の推進」を掲げています。

気候変動を含む環境課題を、社会課題の解決と企業の持続的な発展のための重要課題(マテリアリティ)の1つとして捉え、代表取締役社長が委員長を務めるクラボウCSR委員会の統括のもと、技術系執行役員が委員長を務める環境委員会を中心に取組を推進しています。気候変動関連のリスクと機会の対応について、CSR委員会が環境委員会の活動方針を承認するとともに、活動の結果報告を受け、同活動方針及び結果について、年1回取締役会へ報告しています。

取締役会は、その取組の目標や計画の内容、各施策の進捗状況を審議の上、監督しています。

0102010_001.png

サステナビリティに関する基本方針やクラボウグループ環境憲章等、サステナビリティに関する戦略についても、取締役会において決定しています。

<取締役会での主な審議・承認事項(2021~2022年度)>

・CO2排出量削減の移行計画(カーボンニュートラルロードマップ)の策定

・サステナビリティに関する基本方針に関わる事項(地球環境の保全を意識した事業活動の推進)

・クラボウグループ環境憲章の改定

・環境レポートの作成

 

②戦略

当社グループでは政府目標である2050年のカーボンニュートラルに向けて、2022年にCO2排出量削減の移行計画(カーボンニュートラルロードマップ)を定めており、グループ全体でCO2排出量削減に向けた活動を進めています。

加えて、2030年における気候変動が事業に及ぼす影響を網羅的に把握し、気候変動に起因する課題への取組を推進するために、リスクと機会の一覧表として整理しました。

リスクと機会の特定のプロセスとして、まず各部門から気候変動関連のリスクと機会についてヒアリングを実施し、網羅的にリストアップを行いました。さらに事業に与える影響の大きさの観点から整理と絞込みを行い、シナリオ分析の評価結果を踏まえ、当社グループの事業に対する重要な気候変動関連のリスクと機会を特定しました。

今後は内容の精査を進め、影響の大きいリスクの軽減と機会を的確に捉えた事業運営に努めてまいります。

 

■シナリオ分析の概要

シナリオ分析は国際エネルギー機関(IEA)「World Energy Outlook」の中で想定される「STEPS」、「SDS」、「NZE2050」、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次報告書の「SSP1-1.9」、「SSP5-8.5」を参照し、「1.5℃シナリオ」で移行リスクと機会、「4℃シナリオ」で物理リスクと機会を分析しました。

分析にあたっての影響度と時間軸の定義は以下のとおりです。

[影響度] 大:長期的に重大な影響、又は想定影響金額5億円以上

中:一時的に重大な影響、又は想定影響金額1億円以上

[時間軸] 短期:~3年、中期:3~10年、長期:10年~

 

■CO2排出量削減の移行計画(カーボンニュートラルロードマップ)

0102010_002.png

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■リスクの一覧表

類型

小分類

リスクの影響

対応策

影響度

(大中)

時間軸

移行リスク

政策

及び

法規制

GHG排出の価格付け進行

(カーボンプライシング)

炭素税の導入によるエネルギーコストの増加

・ボイラ燃料転換、ヒートポンプ等の省エネルギー対策の推進

・太陽光PPA等の再生可能エネルギーの導入

中長期

エネルギーや原材料等サプライチェーンへの炭素価格導入による価格転嫁発生

・低炭素の原材料開発等のサプライヤーへの働き掛け・連携

・原材料調達手段の多様化

中長期

既存製品・サービスに対する義務化と規制化

プラスチックをはじめとする取扱商品への環境規制強化による原材料価格上昇

・環境負荷を考慮した上でのサプライヤーの多様化

・原材料、部材の使用量削減の取組

短中長期

技術

市場

顧客行動の変化

省エネルギー化の推進、高効率設備導入等に伴うコストの増加

・自社の生産プロセスの高効率化

・バリューチェーン全体における生産プロセスの高効率化

短中長期

脱炭素対応コストの高騰

再生可能エネルギー導入、クリーンエネルギーの購入に伴うコストの増加

・太陽光PPA等の再生可能エネルギーの導入

・既設の大規模電源(メガソーラー、バイオマス)の有効活用

中長期

評判

ステークホルダーの不安増大又はマイナスのフィードバック

研究開発人材の確保や、新卒採用等への影響発生

・人的資本経営の推進、高度化

短中長期

 

 

類型

小分類

リスクの影響

対応策

影響度

(大中)

時間軸

物理リスク

急性

リスク

サイクロン・洪水等の異常気象の激甚化

台風・洪水等による設備損壊、活動停止に伴う生産減少、復旧コスト増加

・事業継続計画(BCP)の強化

・自社拠点や主要取引先におけるハザード
マップの確認とリスク評価

短中長期

台風・洪水等によるサプライヤーの被災、輸送ルート寸断による生産停止

・調達先の分散、供給網の再構築など生産・調達手法の多様化

・サプライヤーにおける調達BCPの展開、BCPアセスメントの実施

中長期

慢性

リスク

平均気温の上昇

空調費用の増加

・工場、事業所における省エネ機器の導入と節電の強化

・太陽光PPA等の再生可能エネルギーの導入

短中長期

 

■機会の一覧表

類型

小分類

機会の影響

対応策

影響度

(大中)

時間軸

機会

資源の

効率

リサイクルの利用

循環型経済への移行を背景とした、循環型経済に適合する部材の需要拡大

・「L∞PLUS (ループラス)」等の服の裁断くず再資源化による循環型ビジネスの推進、拡大

・「AIR FLAKE」等の再生ポリエステルや生分解性繊維商品の拡大

・「KURATTICE ECO」等の再生木粉樹脂商品の拡大

短中長期

エネル

ギー源

より低排出のエネルギー源の使用

脱炭素化対策を通じたGHG排出量削減による炭素税負荷の低減

・ボイラ燃料転換、ヒートポンプ等の省エネルギー対策の推進

・太陽光PPA等の再生可能エネルギーの導入

中長期

省エネ活動、安価で高品質の再生可能エネルギー・水素の調達によるエネルギーコストの低減

・ボイラ燃料転換、ヒートポンプ等の省エネルギー対策の推進

・太陽光PPA等の再生可能エネルギーの導入

短中長期

製品

及び

サービス

低排出商品及びサービスの開発・拡張

低炭素・脱炭素製品に対する要請の高まり/ニーズと需要の拡大

・カーボンフットプリントの把握による脱炭素化推進、製品競争力強化

・「NaTech」等の環境配慮型高機能素材商品の拡大

・「クランシール シリーズ」等の環境に配慮した機能性フィルムの拡大

・不動産賃貸建物の環境認証等の取得によるテナント獲得

短中長期

市場

新たな市場へのアクセス

EVの急速的な普及による部材の需要拡大

・高機能樹脂加工品を通じた半導体需要拡大への対応

・環境メカトロニクス事業をはじめとした各セグメントの主力商品や新開発商品の需要拡大

短中長期

レジリエンス

(弾力性)

事業活動の継続性

生産拠点が地理的に分散していることによる災害への強い対応力を背景とした競争力の強化

・事業継続計画(BCP)の強化を通じた持続的な事業活動の実践

短中長期

 

③リスク管理

気候変動関連のリスクに関しては、以下の評価・管理プロセスに則り、環境委員会の主導のもと適切な管理をしています。また、気候変動関連リスクを当社グループの事業に大きな影響を与えるリスクの1つとして、当社グ
ループ全体として管理をしています。

 

 

リスクの

洗い出し

 

リスクの

分析・評価

 

対応策の検討

 

戦略への

組込み・実行

 

モニタリング

 

 

 

 

 

 

 

 

 

環境委員会事務局と各部門にて気候変動関連リスクの洗い出しを実施

環境委員会事務局と各部門にてリスクレベルを総合的に判断

各リスクに対する対応策を環境委員会事務局と各部門にて検討し、CSR委員会へ報告

対応策を戦略に組み込み、各部門にて対応策を実行

環境委員会を年2回開催し、モニタリング実施

 

④指標及び目標

当社グループは、CO2排出量削減の長期目標として、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指します。特に2030年までの期間については、CO2の自社排出量(Scope1、Scope2)の絶対量ベースで、政府目標である2013年度比46%削減を達成するためのロードマップを策定し当社グループ全体で取り組んでまいります。そしてこの取組を進めることが、企業グループの存在価値をさらに高めるとともに、生産の効率化、製造業としての基盤強化、ひいては収益性の向上につながると考えています。

なお、CO2サプライチェーン排出量(Scope3)に関しても、算定準備を進めています。算定でき次第、CO2排出量削減目標(Scope3)の策定も検討してまいります。

 

■CO2排出量削減の中長期目標

 

 

 

■CO2排出量実績

 

2024年

2030年

2050年

 

カテゴリー

2022年度実績値

CO2排出量削減目標

40%削減

46%削減

カーボン

 

Scope1

36,237 t-CO2/年

(Scope1, 2)

(2013年度比)

(2013年度比)

ニュートラル

 

Scope2

133,378 t-CO2/年

 

 

 

 

 

合計

169,615 t-CO2/年

■環境目標及び実績

当社グループでは、計画的に環境保全を推し進めるため、「CO2排出量の削減」と「ゼロエミッションの推進としての再資源化率」の中期目標(3カ年の数値目標)を設定し、気候変動対策や資源の有効活用に努めています。

2022年度は、CO2排出量については、2013年度比38%削減目標を掲げ、省エネルギー対策等を通じてエネルギー使用量の削減を進めました。結果は35.2%削減となり、目標には至っておりませんが、2021年度実績である31.3%削減からは向上しております。

ゼロエミッション推進については、再資源化率96%の目標に対して95.2%と目標に至っておりませんが、ゼロエミッション達成(再資源化率98%以上)した事業所は2021年度27事業所から2022年度32事業所に増加しており、取組は着実に進んでおります。

目標項目

2021年度実績

2022年度目標

2022年度実績

CO2排出量の削減

絶対量での削減

(2013年度比)

31.3%削減

38%削減

35.2%削減

ゼロエミッションの推進

再資源化率の向上

94.7%

96%

95.2%

当社グループは、CO2排出量を2030年までに2013年度比46%削減し、2050年までのカーボンニュートラルを目指すことを、長期環境目標として設定しています。中期経営計画「Progress'24」(2022~2024年)の環境目標は、CO2排出量を2024年度に2013年度比40%削減としております。中期経営計画「Progress'24」の2年目である2023年度は、2013年度比39%削減を目指します。

目標項目

2023年度目標

CO2排出量の削減

絶対量での削減

2013年度比

39%削減

ゼロエミッションの推進

再資源化率の向上

再資源化率

96%

 

■今後対応を検討する項目

上記で記載のとおり、CO2排出量(Scope3)関連指標の算定・開示を進めてまいります。また、カーボンニュートラル推進体制強化の一環として、TCFDガイダンスにて開示が推奨されている「産業横断的な指標」の1つである社内炭素価格(インターナル・カーボンプライシング)の社内導入や、事業の使用電力の100%再生可能エネル
ギー化(RE100への参加)、パリ協定が求める水準に合致したCO2削減目標の認定(SBT認定)取得の検討を進めてまいります。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループでは、戦略・事業遂行上におけるリスク及びその対応策につき「リスク管理・コンプライアンス委員会」にて把握・検討し、取締役会及び経営会議での議論、検討を踏まえたうえで、当社グループの主要なリスクとして整理しています。

以下では、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスク及びその対応策につき記載しており、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では特筆すべき、又は重要とみなされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場リスク

①主要な市場における景気の悪化

当社グループは、様々な市場で事業を展開しておりますが、主要な市場は衣料品、自動車、半導体、住宅、工作機械、不動産の各業界であり、経済情勢の変化等により当該市場における景気が悪化した場合には、受注減により売上が減少する等当該事業の経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、主要な市場における市況の変化を注意深く見守りつつ、中期経営計画「Progress'24」の重点施策であるR&D活動の強化により、各事業分野において新規事業、新規市場の開拓を図っております。

 

②競争優位性の低下

当社グループが関連する各事業分野においては、競合他社に対する品質面、価格面での競争が激化しており、優位性が低下した場合には、売上や利益が減少する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、各事業分野において、独自技術を生かした持続可能な社会の実現に貢献できる新製品・サービスを開発、提供していくことで競争優位性、顧客満足の向上を目指してまいります。

 

(2) 事業運営、戦略リスク

①特定の取引先の業績悪化等

当社グループは、各種製品・サービスを国内外で販売・提供しておりますが、各事業分野においては収益への影響度が大きい特定の取引先が存在しており、当該取引先の業績悪化による受注減、大規模な在庫調整や生産調整等が生じた場合には、当社グループの売上が減少する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、各事業分野において高品質かつ安定的な製品・サービスの提供による当該取引先との更なる関係強化を図るとともに、リスク分散のため、当該取引先以外の取引先への販売強化、新規顧客の開拓にも注力しております。

 

②原材料等の調達困難

当社グループが提供する製品で使用している一部の部品、原材料については、市場の需給状況や物流の混乱により、安定的な調達を確保できないリスクがあります。原材料等の供給不足により当社グループ製品の生産能力を十分に確保できない場合、販売機会喪失による売上高の減少、顧客への納入遅延が発生する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、原材料等の備蓄、代替原材料又は代替の調達先の確保等を行い、原材料等の安定調達、製品の安定供給に努めてまいります。

 

(3) 経済リスク

①原材料価格、エネルギー価格の高騰

当社グループが使用している綿花、石化原料などの原材料や燃料は、市場の需給状況、国際商品市況やその他の環境要因(為替レート等)により購入価格が高騰することがあり、価格上昇分を製品価格に十分転嫁できない場合等には、利益の減少等当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。なお、近時の原油価格高騰の影響等により、当社グループが使用している原綿や石化原料が高騰しております。

当社グループでは、原材料やエネルギーの価格動向等に注意を払うとともに、価格高騰等の影響を最小限に抑えるべく国内外の複数の供給元の確保、当該供給元からの購買等の対応を行っております。また、販売価格への転嫁にも取り組んでおります。

②為替、株価等の相場変動

当社グループは、グローバルに事業を展開しており、為替レートの大幅な変動が生じた場合は、売上高やコストに影響が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。為替レートの変動の影響を最小限度に抑えるべく、為替予約等のヘッジ取引を行っております。

また、当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価が著しく下落した場合は、評価損が発生する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。株式の時価評価を定期的に実施し、適切な会計処理を行うとともに、政策保有株式については、保有の意義が必ずしも十分でないと判断したものについては、縮減を図ることとしております。

 

③海外での事業活動

当社グループの繊維事業、化成品事業及び環境メカトロニクス事業並びにこれらに属する連結子会社は、世界各国での事業展開を行うとともに、アメリカ、ブラジル、タイ、インドネシア、中国、台湾等に事業拠点を有しております。これら海外での事業活動においては、予期しない法律又は規制の改廃、政治体制又は経済状況の変化、テロ・戦争・紛争等の社会的混乱、インフラの未整備等のリスクが内在しております。

当社グループでは、情報収集、海外関係子会社と連携を図りながら、状況に応じた対応を行ってまいります。また、海外での紛争等の有事の発生に関しては、安全確保・損失回避に向けた体制整備等の対応に努めております。

 

(4) 自然災害、事故リスク

当社グループは、国内外の各地で生産活動等の事業活動や、それに伴う原材料などの調達を行っておりますが、大規模な地震、台風、火災等の災害が生じた場合には、生産活動の停止、工場等の設備の損壊に加え、原材料などの調達や顧客への製品供給に支障が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、従業員の生命・安全を最優先として、気象予報などの情報収集により、想定される自然災害への事前の対応を綿密に行うことで災害発生を未然に防ぎ、また定期的な設備点検や防災訓練、マニュアルの整備、顧客やサプライチェーンとの情報共有等の連携などにより、事故のリスクや想定困難な自然災害発生時の生産活動等の事業活動への影響を最小限に留めるように日々努めております。また、万一被害が生じた場合に備えて、データセンターの活用や損害保険の付保などのリスクヘッジを行っております。

なお、2022年6月、当社の化成品事業部が防熱工事を実施した物流施設において火災事故が発生しました。本件火災の影響等につきましては、連結財務諸表「注記事項(連結貸借対照表関係)8.偶発債務」に記載のとおりです。

 

(5) 人事リスク

当社グループは企業価値の持続的向上のため、異なる個性を持つ多様な人材の育成や確保に努めておりますが、それらが計画通りに進まなかった場合、中長期的に見て、当社グループの事業展開、業績及び成長の見通しに重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、社員が充実感やポジティブな感情を持ち組織に主体的に貢献する、エンゲージメントの高い組織の構築を目指し、社員の能力を引き出すエンパワーメントやお互いの個性を認め合うダイバーシティ&インクルージョンの推進、フレックスタイム制度・テレワーク制度の活用による柔軟な働き方の実現、教育プログラムの充実、採用力の強化などに努めてまいります。

 

(6) 情報セキュリティリスク

当社グループは、事業活動を通じて、機密情報、顧客情報、個人情報等を保有しておりますが、コンピュータウイルス・マルウェア等外部からの不正な手段によるコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為や使用人もしくは委託業者の過誤等により、これらの情報が流出し、又は改ざんされる事態が発生した場合は、事業活動の停止、損害賠償の発生や社会的信用の低下等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループでは、情報セキュリティポリシーを制定し、適切な情報管理体制を構築するとともに、適切なセキュリティソフトの導入・更新、定期的な教育の実施などの対策を行っております。

 

(7) 気候変動リスク

当社グループは、サステナビリティに関連するリスクのうち、気候変動に関するリスクが重要なリスクの一つであると認識しております。当社グループの気候変動に関するリスクに関する取組みについては、上記「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナ下での行動制限の緩和などにより、景気の持ち直しが期待されましたが、ロシア・ウクライナ情勢の長期化などの地政学的リスクを契機とした資源価格の高騰や円安の進行によるコストアップ、一部の半導体や電子部品などの供給不足などの影響により、本格的な景気回復には至りませんでした。

このような環境下にあって当社グループは、2022年4月よりスタートした中期経営計画「Progress'24」の基本方針である「高収益事業の拡大と持続可能な成長に向けた基盤事業の強化」のもと、半導体製造関連分野に向けて、高機能樹脂加工品などの成長・注力事業の拡大を図るとともに、基盤事業である繊維事業では、カジュアル需要の取り込みや独自技術による高機能・高付加価値素材の拡販などにより、業績回復に努めました。また、原燃料などの価格高騰に対しては、販売価格への転嫁とコストダウンに取り組み、収益改善を図りました。

この結果、売上高は1,535億円(前年同期比16.1%増)、営業利益は86億7千万円(同15.2%増)、経常利益は100億2千万円(同14.1%増)となりましたが、特別損失に減損損失を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は55億1千万円(同1.5%減)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

(繊維事業)

糸は、高付加価値製品が順調に推移し、国内及び海外子会社ともに、増収となりました。

テキスタイルは、カジュアル向け素材の受注が海外子会社を中心に回復し、また、ユニフォーム向け素材も順調に推移し、増収となりました。

繊維製品は、国内カジュアル衣料の受注が増加したことにより、増収となりました。

また、これまで進めてきた収益改善策も着実に進捗しました。

この結果、売上高は565億円(前年同期比26.5%増)、営業利益は3億円(前年同期は営業損失1億7千万円)となり、5期ぶりに黒字化しました。

 

(化成品事業)

軟質ウレタンは、自動車内装材向けでは、国内及び中国子会社で半導体不足や中国のゼロコロナ政策によるサプライチェーンの混乱の影響はあったものの回復傾向で推移し、また、ブラジル子会社の受注が順調で、全体では増収となりました。

機能樹脂製品は、半導体製造装置向け高機能樹脂加工品が好調に推移し、また、自動車向け機能フィルムの受注が回復し、増収となりました。

住宅用建材は、景観材及び断熱材が順調で、増収となりました。

機能資材は、補強用繊維資材の受注が回復し、増収となりました。

この結果、売上高は597億円(前年同期比15.5%増)、営業利益は37億1千万円(同24.6%増)となりました。

 

(環境メカトロニクス事業)

エレクトロニクスは、飲料容器の検査装置や基板検査装置の販売は低調でしたが、半導体業界向け液体成分濃度計の販売が順調に推移し、子会社でも半導体洗浄装置の大型案件があり、増収となりました。

エンジニアリングは、排ガス処理設備及びプラント関係の大型案件が少なく、減収となりました。

バイオメディカルは、撹拌脱泡装置の海外向け販売などが順調で増収となりました。また、工作機械は、中国向けの販売は低調に推移しましたが、国内及び米国向けの販売が順調でした。

この結果、売上高は242億円(前年同期比2.9%増)、営業利益は28億3千万円(同2.1%増)となりました。

 

 

(食品・サービス事業)

食品は、内食需要の定着により、成型スープの販売が好調で、増収となりました。

ホテル関連は、行動制限緩和や観光事業支援策の効果により、増収となりました。

この結果、売上高は92億円(前年同期比9.8%増)、営業利益は4億6千万円(同71.0%増)となりました。

 

(不動産事業)

不動産賃貸は、一部賃貸条件の変更などにより、売上高は37億円(前年同期比1.9%減)となり、修繕費の増加などにより営業利益は24億3千万円(同11.4%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ37億1千万円減少し、当連結会計年度末には103億6千万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、25億1千万円(前連結会計年度は92億4千万円の資金の増加)となりました。これは、棚卸資産の増加による資金減69億3千万円があったものの、税金等調整前当期純利益76億1千万円や減価償却費の内部留保51億8千万円があったことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、29億6千万円(前連結会計年度は33億4千万円の資金の減少)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入16億円があったものの、有形及び無形固定資産の取得による支出45億3千万円があったことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、35億8千万円(前連結会計年度は140億6千万円の資金の減少)となりました。これは、配当金の支払額20億6千万円や自己株式の取得による支出20億円があったことなどによるものです。

 

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

52.5

53.7

54.8

57.4

58.2

時価ベースの自己資本比率(%)

24.8

32.2

23.2

20.8

27.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.4

2.9

3.0

1.5

6.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

33.9

29.4

40.9

51.8

7.7

 (注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の「営業活動によるキャッシュ・フロー」を使用しております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しております。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

ア.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

繊維事業(百万円)

43,661

136.5

化成品事業(百万円)

50,743

118.8

環境メカトロニクス事業(百万円)

17,981

104.9

食品・サービス事業(百万円)

5,708

105.1

合計(百万円)

118,095

121.4

(注)1.セグメント間の取引については、仕入先の属するセグメントにおいて相殺消去しております。

2.繊維事業には、上記生産実績のほかに、販売を主たる事業とする会社の商品仕入実績が、8,891百万円あります。

3.不動産事業は、生産活動を行っておりません。

4.金額は製造原価で記載しております。

 

イ.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

環境メカトロニクス事業

17,199

143.3

11,402

190.5

(注)上記以外は、主として見込生産を行っております。

 

ウ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

繊維事業(百万円)

56,507

126.5

化成品事業(百万円)

59,726

115.5

環境メカトロニクス事業(百万円)

24,271

102.9

食品・サービス事業(百万円)

9,292

109.8

不動産事業(百万円)

3,724

98.1

合計(百万円)

153,522

116.1

(注)1.セグメント間の取引については、販売会社の属するセグメントにおいて相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、相手先別販売実績が総販売実績の10%未満のため、省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

ア.当連結会計年度の経営成績の分析

(ア)売上高

当連結会計年度の売上高は1,535億円と前連結会計年度に比べ16.1%、213億円の増収となりました。これは「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、繊維事業のカジュアル衣料品や化成品事業の半導体製造装置向け高機能樹脂加工品の販売が順調に推移したことなどによります。

(イ)営業利益

当連結会計年度の営業利益は86億7千万円と前連結会計年度に比べ15.2%、11億4千万円の増益となりました。これは、繊維事業や化成品事業の売上が増加したことなどによります。

(ウ)経常利益

当連結会計年度の経常利益は100億2千万円と前連結会計年度に比べ14.1%、12億4千万円の増益となりました。これは、営業利益の増益に加え、営業外損益が受取配当金や為替差益の増加などで前連結会計年度に比べ9千万円改善したことによります。

(エ)特別損益

当連結会計年度の特別利益は6億2千万円でその主なものは、投資有価証券売却益4億6千万円であります。一方、特別損失は30億3千万円でその主なものは、減損損失24億3千万円、火災損害等損失2億9千万円、固定資産処分損2億9千万円であります。

(オ)親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は55億1千万円と前連結会計年度に比べ1.5%、8千万円の減益となりました。これは、経常利益の増益や税金費用の減少があったものの、特別損益が前連結会計年度に比べて20億4千万円悪化したことなどによります。

また、1株当たり当期純利益は287.08円と前連結会計年度に比べ6.73円増加しました。

 

イ.当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金や有形固定資産は減少しましたが、棚卸資産や投資有価証券が増加したことなどにより、1,740億円と前連結会計年度末に比べ68億円増加しました。

負債は、長期借入金や支払手形及び買掛金は減少しましたが、短期借入金が増加したことなどにより、711億円と前連結会計年度末に比べ13億円増加しました。

純資産は、その他有価証券評価差額金や利益剰余金が増加したことなどにより、1,029億円と前連結会計年度末に比べ54億円増加しました。

以上の結果、自己資本比率は0.8ポイント上昇して58.2%となりました。

 

 

ウ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

中期経営計画「Progress'24」の初年度である2022年度では、半導体製造関連分野に向けて、高機能樹脂加工品などの成長・注力事業の拡大を図るとともに、基盤事業である繊維事業では、カジュアル需要の取り込みや独自技術による高機能・高付加価値素材の拡販などにより、業績回復に努めました。また、原燃料などの価格高騰に対しては、販売価格への転嫁とコストダウンに取り組み、収益改善を図りました。結果、売上高、営業利益とも「Progress'24」1年目の業績目標を達成し、順調に進捗しております。

 

指標

Progress'24(a)2022年度計画

2022年度(b)(実績)

計画比(b)-(a)

売上高

1,450億円

1,535億円

+85億円

営業利益

70億円

86億円

+16億円

R O E

5.5%

5.6%

+0.1ポイント

R O A

4.1%

5.1%

+1.0ポイント

R O I C

4.3%

5.3%

+1.0ポイント

(注)ROE:自己資本当期純利益率、ROA:総資産営業利益率、ROIC:投下資本利益率

 

エ.経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ア.キャッシュ・フロー

「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

イ.契約債務

2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超2年

以内

2年超3年

以内

3年超4年

以内

4年超5年

以内

5年超

短期借入金

10,974

10,974

長期借入金

3,582

2,027

148

203

600

506

96

リース債務

856

148

140

120

119

95

231

その他有利子負債

128

128

上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

当社グループの第三者に対する保証は、社会福祉法人の借入金に対する債務保証であります。保証した借入金等の債務不履行が保証期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2023年3月31日現在の債務保証額は、230百万円であります。

 

ウ.財務政策

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は、固定金利の長期借入金での調達を基本としております。また、当社及び国内子会社は、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社の余剰資金を当社へ集約し、一元管理を行うことで、資金の効率化を図っております。

なお、マーケット環境の一時的な変化など、不測の事態への対応手段確保のため、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計9,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入未実行残高9,000百万円)。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、新素材及び新製品の開発等を中心とした研究開発活動を行っております。

研究開発は、当社の技術研究所を中心に実施しており、研究スタッフは、グループ全体で98名であります。

当連結会計年度の研究開発費は1,903百万円であり、各セグメント別の研究の目的、主要課題及び研究成果は、次のとおりであります。

(1)繊維事業

繊維事業部では、テキスタイルイノベーションセンターを中心に、社会課題を解決するためのデジタル技術の応用や、紡織技術や加工技術など繊維製造技術を生かしたサステナブル商品の開発を行っております。

当連結会計年度は、繊維製品とAI・IoT技術の融合として研究開発に取り組んできた暑熱環境下におけるリスク低減の管理システム(スマートフィット®)については、顧客の要望が高かったスマートフォン不要のウォッチ型デバイスの販売を開始しました。また、アルゴリズムの精度向上、マルチデバイス機能の構築、ユーザビリティーの向上に取り組みました。販売は着実に拡大しています。

次に、サステナブルな取り組みの推進として、廃棄している裁断屑を再度原料にし、衣料を製造するシステム(L∞PLUS®:ループラス)の開発の推進は、裁断屑の再利用で取り組みが拡大しておりますが、それに加えて回収衣料の再利用への展開、国内産地における端材の活用や地方自治体との衣料回収等の取組みも進めました。

また、サステナブル原料であるコットンに、グラフト重合技術を活用して、原料段階で機能を付与する商品(NaTech®:ネイテック)の開発については、生産ラインの生産性向上も進み、更なる機能開発も引き続き行いました。

当事業に係る研究開発費は182百万円であります。

 

(2)化成品事業

住宅建材、機能フィルム、精密製品及び高機能複合材料の製品開発を行っております。

当連結会計年度は、住宅建材分野では、不燃無機材料による造形材用途の開発や東京大学と建設用3Dプリンタを活用したメタマテリアル材料の研究開発に着手しました。機能フィルム分野では、半導体・自動車・電子部品用途での新規機能性付与や生産技術の開発に取り組みました。精密製品分野では、半導体分野向け製品の生産技術向上、高性能化に取り組みました。また、炭素繊維強化複合材料用基材(クラパワーシート®)の加工技術、生産技術の開発に引き続き取り組みました。

当事業に係る研究開発費は507百万円であります。

 

(3)環境メカトロニクス事業

(エレクトロニクス分野)

画像処理技術及び情報処理技術を活用したマシンビジョンシステムやロボットビジョンシステム、光応用計測技術を用いた半導体洗浄システムや膜厚計測システムについて、これら各種システムの市場調査・研究開発・商品開発を行っております。当連結会計年度は、微細化・多機能化が進行する半導体パッケージ用プリント基板の需要拡大に向けた検査装置の開発継続と、半導体洗浄プロセス向けに新規濃度計/アプリケーションの開発継続中です。また、ロボットシステム関連では、クラセンスの後継機種や高精度版の開発完了、システム関連ではワイヤーハーネス製造装置標準機を技術研究所と共同で開発しました。

(エンジニアリング分野)

排ガス、排水の浄化システムや廃プラスチックや古紙を由来とするRPF燃料や未利用廃棄物を使用したボイラ・燃焼装置の開発を行っています。また、バイオマス発電の発電効率の向上と自動化制御に関する研究開発を行っています。当連結会計年度はFUNTO(家畜排せつ物処理装置)の装置改良と省エネルギー化の検討を行いました。徳島バイオマス発電所における発電効率の向上と自動制御化による安定運転を図るため、技術研究所と共同でボイラ・タービン等の運転データの収集と分析を継続して行っています。収集したデータを用いてボイラ内の燃焼やタービン等の解析を行い、燃焼の最適化と発電効率を向上させる取り組みにより、自動制御化を検討しています。

(バイオメディカル分野)

遺伝子検査や解析に用いるサンプルを各種生体試料から分離するシステムやプロトコルに関する研究開発をメンブレンフィルター法の核酸分離システム(QuickGene®-Auto12S/24S)を活用して行っております。当連結会計年度は、がんの早期発見を目指した研究が加速するマイクロRNAの分離自動化用のプロトコルと試薬キット開発を技術研究所と共同で行いました。また、これまでに開発したFFPE(組織切片)のDNA並びにRNAや血中遊離核酸(cfDNA)のプロトコル改良を進め、がん検査の前処理自動化の商品力強化を図ります。

(工作機械分野)

主力製品の横中ぐりフライス盤をはじめとする金属加工機械及びソフトウェアの高機能化の研究開発を行っております。

当連結会計年度では、金属加工機械分野について、複雑形状をもつ大型部品の加工用に開発した大型6軸マシニングセンタの機能充実を図りました。また、主力機種の横中ぐりフライス盤についても、新機種の開発を継続しております。ソフトウェア分野では、主力のCAD/CAMについて、機能を強化したバージョンアップを行いました。

当事業に係る研究開発費は151百万円であります。

 

(4)食品・サービス事業

真空凍結乾燥技術による乾燥加工食品の研究開発を行っております。当連結会計年度では、「健康増進」「環境負荷軽減」を目的として注目されている植物性由来の肉様商品を開発いたしました。原材料に由来する特異な臭気を軽減し、お湯で復元した際の畜肉の食感・ジューシー感を表現する商品の製品化に取り組んでいます。

当事業に係る研究開発費は71百万円であります。

 

(5)その他(全社研究開発)

当社グループの研究開発組織である技術研究所は、各事業分野の競争力強化を図るために、「数理科学」、「情報工学」、「物理科学」、「光電工学」、「物質科学」、「生命科学」の6つの分野をコア技術領域と定めて研究活動を行っております。これらのコア技術の深耕により、Society5.0へ対応する事業基盤を継続的に整備し、技術イノベーションによる業容の拡大と収益力の強化、さらに社会課題の解決や環境に配慮した技術の研究開発に取り組みました。また、当社グループの将来を担う新規事業の創出をめざして、ロボット産業用のセンシングデバイスを開発する「ロボットセンシング」、半導体産業用の薬液を精密に計測・制御する機器ユニットを開発する「セミコンソリューション」、革新的な核酸抽出手法や高度遺伝子解析の分野でバイオメディカル市場向けの次世代製品を開発する「ライフサイエンス」、各種樹脂と強化繊維との複合素材やスーパーエンプラフィルムを応用した新規素材を開発する「マテリアルソリューション」、の4つのプロジェクトを推進しました。繊維分野ではNaTech事業の拡大を図るために、電子線グラフト重合を活用した原綿改質の技術開発に注力しました。

全社研究開発に係る研究開発費は990百万円であります。