第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、1939年に有機・無機の工業薬品の製造を目的に創業した柳澤有機化学工業所を前身とし、1946年に設立した日本化学産業株式会社との統合を経て、以来、新規の製品開発・用途開発を進めた結果、現在はOA機器・エレクトロニクス等幅広い分野に用いられる表面処理用薬品、触媒用薬品、電池・電子部品用薬品、セラミックス・ガラス用薬品等、多品種、多用途にわたる無機・有機金属薬品を製造販売しており、1999年にはタイにおけるめっき加工業を、2000年には同じくタイにおけるめっき液製造業を加える等、海外にも進出しております。更に2013年以降、タイの子会社の生産品目に車載関連製品を加える等、海外での生産・販売の強化を図っております。また国内の薬品事業でも本格稼働した二次電池用正極材の受託加工の月産600トン体制を確立しております。一方、1963年に進出した建材事業は、アルミよろい戸をはじめ独自製品を開発し、現在は防火、通気、防水関連の機能を有した住宅建材製品を製造販売しております。

当社の経営の基本方針は、上記のとおり当社が長年にわたり開発、蓄積したノウハウとそれに基づく開発力と薬品製造における生産技術力、建材製造における金属加工技術力を更に追求、前進させ、成長力の確保と、堅実経営に基づく財務体質の強化を図ることといたしております。

更に「企業は公器」との理念に基づき、コーポレート・ガバナンスの充実と透明性、信頼性の高いコンプライアンスの遵守及び内部統制制度の強化を重要な経営方針としております。

 

(2) 中長期的な経営戦略と会社の対処すべき課題

気候変動や資源の枯渇等の環境問題、国内人口の減少や少子高齢化の進行による人手不足の問題、及びLGBTQ+等の人権問題など、社会問題はますます深刻化し、当社グループを取り巻く事業環境にも大きな変化が生じております。また、足元では地政学的リスクによる原材料価格の高騰や物流費の上昇等が企業収益を圧迫し、今後も更なる上昇が懸念されております。このような状況においても、当社グループは、独自技術を磨くことで、収益の確保、拡大を図るとともに、新たな価値を創造し、多様な産業に資する製品の提供を通じて、サステナブル社会の実現への貢献と企業価値の向上に努めてまいります。

薬品事業におきましては、マーケティングの更なる強化に取り組むことで、市場及び顧客の様々なニーズに応え、当社独自技術を活用した高付加価値製品の創出を推進します。また、新たな安価原料・リサイクル原料の拡充をはじめ、生産体制の継続的な見直し等によりコストダウンの実現に取り組みます。更に新たな成長領域への取り組みとして、大学等、多様なパートナーとともに戦略的な研究開発を行うことにより、オンリーワンの製品や新規ビジネスの創出、海外市場への展開強化を目指してまいります。これらの取り組みを推進するために、2023年4月、薬品事業部門全体を効率的に一体運営する新たな体制もスタートさせております。

また、建材事業におきましては、建築市場とりわけ戸建て住宅市場における、短期のみならず中長期にわたる需要動向を踏まえつつ、当社の特長を発揮し、市場・顧客ニーズへ機敏に応える多様な製品群の実現、及び新たな得意先の開拓等に引き続き取り組んでまいります。

以上を推進するために、地球温暖化対策への対応や金属資源を有効活用するためのリサイクル技術を磨くことで、社会課題解決に向けた貢献と当社の持続的な成長を実現するとともに、サーキュラーエコノミーの実現を目指してまいります。更に、経営環境の変化に対応しながら、ガバナンス体制を強化するために、取締役と執行役員の体制の再構築、コンプライアンスの徹底、リスク・危機管理の徹底も踏まえた内部統制の更なる強化等、企業の持続的成長のための基盤強化も引き続き進めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、サステナビリティ基本方針「新たな価値を創出、提供する事業活動を通じて、環境、社会、経済における中長期課題の解決と持続可能性の実現に貢献し、全てのステークホルダーとともに成長を確実なものにする」を2022年12月26日開催の取締役会で決議しております。

この基本方針に沿って、毎月サステナビリティ推進委員会を開催し諸課題について討議、取り組み方針を定め、その内容を毎月の取締役会に報告、確認することで取締役会との連携を図っております。主なリスクのうち、事業リスクに直結する非鉄金属等資源の枯渇問題、及び年々深刻化する気候変動問題については、資源需給環境変動並びに頻発する異常気象・自然災害に対し、企業としてリスク管理を徹底することで、サステナビリティ基本方針の実現に努めてまいります。資源需給環境変動に対しては、歩留まり向上あるいは消費原単位の低減に努めるとともにサーキュラーエコノミー実現の要請に応えるべくリサイクル原料の有効活用を引き続き進めてまいります。また、気候変動問題を引き起こす最大の要因である温室効果ガスについては、排出量を可視化するとともに削減に努めております。更に、人的資本は、人的資本経営及び企業の持続的成長の実現にあたり最も重要であるとの考えに基づき、人材育成や働きやすい環境の整備に取り組んでおります。

 

(1) ガバナンス

非鉄金属等資源枯渇問題に関わる重要事項はサステナビリティ推進委員会で中長期戦略の策定を行い、実行方針の具体化は予算編成に反映させ、進捗状況は経営会議において報告、討議しております。また、気候変動及び人的資本に関わる重要事項はサステナビリティ推進委員会で、中長期戦略の策定、及び進捗状況のレビューを行い、非鉄金属等資源枯渇問題に関わる重要事項と併せ定期的に取締役会に報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制をとっております。

 

(2) リスク管理

非鉄金属等資源枯渇問題に係るリスク、及び気候変動に係るリスクについてはサステナビリティ推進委員会で、また、人的資本に係るリスクについてはリスク管理委員会で、リスクの洗い出しと重要リスクの絞り込みをしたうえで、モニタリング及び再評価を行い、適切に管理しております。

 

(3) 人的資本に関する戦略

 ① 人材育成の基本方針

「企業における人材育成は、人的資本経営及びサステナビリティの実現にあたり最も重要な取り組みであるとの考えに基づき、一人ひとりが能力を高め多様性を活かして役割期待に能動的に応えつつ成長し、企業の持続的成長とサステナビリティ実現に向け主体的に活躍する人材を育成する」ことを基本方針としております。

 

また、人材育成基本方針を達成するために、当社は以下のとおり、社内環境整備方針を策定しております。

1)経営環境並びに事業戦略と有機的に連動する人材育成課題を全社並びに各組織で明確化し、OJTとOFFJTを組み合わせて効果的な人材育成を進める。OJTにおいては、上司と部下はともに育成課題にチャレンジし,取り組み過程における対話と適切なジョブローテーションを通じて成果を共有化する。

2)OFFJTについては経営戦略並びに事業戦略展開に資するOFFJTプログラム・機会を階層別、役職別に設け、全階層へ積極的に展開、運用する。

3)自己啓発については、職能、キャリア、年齢、ジェンダー等に応じ多面的に支援し自発的な取り組みを推奨していく。

 

この人材育成方針及び社内環境整備方針に基づき人材育成並びに人的資本の充実を進めてまいります。

 

 ② 人材育成の強化

社内環境整備方針に基づき研修制度を改革し、人材育成の更なる強化に取り組んでおります。

 

   a) 管理職研修の拡充

  新任管理職を対象に行っていた当該研修について、管理職全員を対象に実施することとし、より主体的に行動する管理職になるための研修に切り替えました。また、誰もが成長機会を得られるように、中堅社員を対象とした研修を強化することといたしました。更に、次世代経営層の候補者育成研修も開始しております。

 

   b) コンプライアンス、ハラスメント防止研修

人的資本経営のためには、コンプライアンス遵守、ハラスメント防止が不可欠です。定期的に従業員全員がコンプライアンス研修を受講するよう、eラーニングでの配信を行っております。

 

 ③ 多様な人材の活躍

ダイバーシティ推進の一環として、外国人及び女性の活用を進めております。

外国人活用については、これから当社が海外を強化するうえで、その重要度は増しております。当社では従前より外国籍人材の受入れを定期的に行っております。新型コロナウイルス感染症拡大により、一時中断いたしましたが、2022年に2年ぶりに再開し、今後も継続的に実施する予定です。

女性の採用については、既に社外取締役に女性1名が就任しております。また、ここ5年の新卒採用においては、48名中12名が女性で、女性の採用数は増加傾向にあります。

現在、女性管理職は名と全体の3.1%に過ぎないことから、上位職をめざす土壌を形成し、管理職への登用を図っていきます。

更に、キャリア採用も積極的に進めており、この5年間で採用したキャリア採用者も44名(内、女性名、外国人名)となる等、さまざまな視点から多様な人材が活躍できる土壌の形成に取り組んでおります。

なお、障害者雇用については、特別支援学校より継続的に採用しており、現段階では法定雇用率で定められた障害者数11人を上回る、13名を雇用しております。

 

 ④ 多様な働き方を実現する取り組み

多様な人材が働きやすい環境整備の一環として、テレワーク勤務制度を新たに設け、在宅勤務を推進しております。また、仕事と育児を両立するための支援策として、男女を対象とした育児休業制度を設け、取得を推進しております。その結果、女性の育児休業取得率は100%になりましたが、取得実績のない男性の取得については、今後、取得率を増加させるよう努めてまいります。

 

 (4) 人的資本に関する指標・目標

人的資本に関する戦略において記載した、方針及び施策に係る指標については、連結グループにおける記載が困難であることから、当社単体での記載となっております。

 

指標

実績

目標

2023年3月

2025年3月

女性管理職比率

3.1

4.0

女性育児休業取得率

100.0%

100.0%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

 当社グループは工業薬品と住宅向けを中心とする建材製品の二つの事業分野に展開しており、特定分野への過度の集中は極力排しております。更に、当社グループの主力事業である工業薬品の分野においては、エレクトロニクス、自動車・船舶、石油化学、塗料・インキ、セラミック・ガラス、ゴム・プラスチック、エネルギー等、多方面に、多品種少量で供給しており、それぞれの分野の景気変動リスクは分散される構造となっております。このようななかで、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性のある事業リスクは以下のようなものがあります。

① 薬品事業の非鉄金属・石油関連の原料等、建材事業の鉄・ステンレス・アルミ等の材料は、世界的需給関係や投機資金の動き等により急騰、急落することがあり、それによるコストの上昇が売価に転嫁できないリスク、相場下落の影響を売価が先行して受けるリスクがあります。

 また、非鉄金属原料は、生産国が偏っており、政治的、経済的又は自然災害トラブルにより供給面で障害が生ずるリスクがあります。

② 当社グループが製造・販売する工業薬品は、メーカーに納入する中間材が主体ですが、納入メーカーの事業戦略変更等が発生した場合、先方の都合により当該製品の納入中止等のリスクがあります。

③ 当社グループが展開する事業分野で、当社グループ製品が引き続いて優位性を発揮する為には、絶えず新製品・新技術の開発が必要でありますが、投資に対する効果面で、必ずしも目標とした成果が得られないリスクがあります。

④ 当社グループの海外における生産・販売の拠点構築は、需要動向を勘案し、計画的、段階的に拡充しておりますが、進出先の自然災害発生、法規制変更、テロ、戦争の勃発等、予期し得ない出来事により、現地での生産・販売が阻害され、業績、財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。

⑤ 当社グループが製造、販売する工業薬品及び使用する原料の一部に、法令で定める劇毒物・危険物薬品があります。その管理については、法令を遵守するとともに内部統制の観点からも、万全を期しておりますが、使用、保管、輸送途上等での不測の事態によって発火、盗難、散逸等が発生した場合、火災の発生、環境汚染を招いたり、人体に危害が加わる可能性があります。ひいては損害賠償を求められるリスクがあります。

⑥ 当社はISO9001はじめ製品の品質規格については、関連法規の遵守、ユーザーとの契約基準遵守等、管理、開発、生産、販売には万全を期しておりますが、不測の品質トラブルが発生し、当社製品や当社グループ製品全体の評価を低下させ、ひいては当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

⑦ 当社グループが供給する製品は様々な知的財産権を取得しており、適切な対応に努めておりますが、第三者に侵害されるリスクがあります。一方で新たに開発する製品については、第三者の知的財産権を侵害しないよう常に留意しておりますが、当社の調査が十分かつ網羅的である保証はありません。万一、当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には損害賠償請求等を起こされるリスクがあります。

⑧ 当社グループは、東日本大震災と福島原発事故、タイの大規模洪水等により被災したことを受けて、事業継続計画(BCP)を策定し、計画を実行しておりますが、事業継続計画での想定を越える災害が発生した場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

⑨ 当社グループの従業員に新型コロナウイルス等の感染が拡大した場合、一時的に操業停止となり、当社グループの業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

⑩ 国内労働人口の減少や少子高齢化の進行による人手不足や人件費の高騰が大きな問題となっております。当社グループが事業の拡大を続けていくためには優秀な人材の確保・育成が不可欠となりますが、それらの人材が確保・育成できない場合、また、人件費が高騰し続ける場合には、当社グループの業績、財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)当期の経営成績の概況

当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への制約の緩和が進む一方、ウクライナ情勢の長期化に起因する資源・エネルギー価格の高騰や為替相場の大幅な変動による急速な物価の上昇、各国におけるインフレの高進や金融引き締めによる金利の上昇懸念等により、景気の先行きはより一層不透明な状況となりました。

このような状況のもと、当社グループは生産活動等に影響を及ぼさないように配慮しながら、引き続き新型コロナウイルス感染防止対策を徹底するとともに、事業環境の激変のなかでも需要を的確に捉え、更に新しい需要を掘り起こし、既存製品等の販売・生産数量の確保・拡大に努めてまいりました。また、既存ユーザー向けに新製品・新規用途開発品の早期の実績化を図るとともに、新規ユーザーの開拓にも積極的に取り組みました。更に、薬品部門でのリサイクル原料の活用・拡大や会社全体でのより一層のITを活用した業務の効率化、生産拠点・生産工程の最適化等の生産性向上を図り、価格競争力の向上と低コスト体質の強化に、引き続き取り組んでまいりました。

その結果、当連結会計年度の当社グループ全体の売上高は前期比346百万円 1.5%増24,062百万円となったものの、資源・エネルギー価格や原材料価格が高騰したことによる調達コストの上昇を価格転嫁できずに収益性が低下したこと等から営業利益は前期比1,323百万円 31.3%減2,899百万円、経常利益は前期比1,245百万円 27.6%減3,265百万円となり、またタイ子会社の一部設備の減損、2022年9月の本社移転の固定資産除却損等もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比1,001百万円 31.0%減2,234百万円となりました。

セグメント別の概況は以下のとおりであります。

[薬品事業]

主力の薬品事業は、当連結会計年度開始当初まで需要は前期並みに推移したものの、第2四半期後半以降は電子部品、自動車関連向けを中心に顧客の在庫調整の動きが顕著となり既存製商品の販売数量が大きく減少いたしました。一方で、全般的に非鉄金属相場が高止まり、それに連動する販売単価が前期に比べて上昇いたしました。また、福島第一工場における受託加工が堅調に推移したことに加えて、2022年1月から開始した埼玉工場における受託加工が安定操業となったことにより、売上高は前期比313百万円 1.6%増20,099百万円となりました。

一方、利益面では、既存製品の販売数量の減少に加え、原材料や部材価格、電力費の高騰を売価に全面的に転嫁できず、営業利益は前期比1,018百万円 26.7%減2,797百万円となりました。

[建材事業]

建材事業は、主力の住宅建材製品の需要が伸び悩み、売上高は前期比33百万円 0.8%増3,963百万円に留まったことに加えて、鋼材価格高騰の売価への反映は一部しか転嫁できず、営業利益は前期比196百万円 17.5%減924百万円となりました。

 

 

 生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。

① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

薬品事業

14,406,471

9.4

建材事業

2,335,239

13.0

合計

16,741,710

9.8

 

(注) 金額は製造原価で表示しており、セグメント間の内部取引はありません。

 

② 商品仕入実績

 当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

薬品事業

1,674,389

10.4

建材事業

205,438

4.3

合計

1,879,827

9.7

 

(注) 金額は仕入価格で表示しており、セグメント間の内部取引はありません。

 

③ 受注実績

   当社グループは、需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

④ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

薬品事業

20,099,071

1.6

建材事業

3,963,780

0.8

合計

24,062,851

1.5

 

(注) 1  セグメント間の内部取引はありません。

2  総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

 

 

(2)当期の財政状態の概況

当連結会計年度末における流動資産は、売上債権が減少した一方で、現金及び預金、棚卸資産が増加したことにより、前連結会計年度末比1,229百万円増31,132百万円となりました。固定資産は、有形固定資産が機械及び設備等の減価償却が進む一方で、建材部門の設備投資等の増加により、前連結会計年度末比83百万円増7,434百万円となりましたが、投資その他の資産が一部の保有株式の株価下落等で前連結会計年度末比697百万円減11,376百万円となったことにより、前連結会計年度末比656百万円減18,928百万円となりました。

この結果、総資産は前連結会計年度末比572百万円増50,060百万円となりました。一方、流動負債は、未払法人税等が減少したことにより、前連結会計年度末比778百万円減4,931百万円となり、固定負債がその他有価証券評価差額金減少に伴う繰延税金負債の減少により前連結会計年度末比38百万円減1,766百万円となったことから、負債合計では前連結会計年度末比816百万円減6,697百万円となりました。また、純資産は前連結会計年度末比1,389百万円増43,362百万円となり、その結果、自己資本比率は前連結会計年度末の84.8%から86.6%となりました。

 

セグメントごとの資産は次のとおりであります。

① 薬品事業

薬品事業は、棚卸資産が増加したものの、売上債権の減少により、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ219百万円減17,007百万円となりました。

② 建材事業

建材事業は、売上債権が減少したものの、棚卸資産、及び固定資産の増加により、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ126百万円増2,553百万円となりました。

③ その他

保有株式の株価下落等により、投資その他の資産が減少したものの、現預金が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末に比べ666百万円増30,499百万円となりました。

 

(3)当期のキャッシュ・フローの概況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動によるキャッシュ・フローで3,064百万円増加、投資活動によるキャッシュ・フローで655百万円減少、財務活動によるキャッシュ・フローで633百万円減少し、この結果、換算差額による影響等も含めると、当連結会計年度末は、前連結会計年度末に比べ1,821百万円増加し、18,608百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金は、3,064百万円の増加(前連結会計年度は2,761百万円の資金の増加)となりました。この主な要因は、法人税等の支払額1,602百万円、棚卸資産の増加額500百万円、仕入債務の減少額215百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益が3,113百万円、売上債権の減少額1,226百万円、減価償却費1,046百万円等により資金が増加したことであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金は、655百万円の減少(前連結会計年度は954百万円の資金の減少)となりました。この主な要因は、定期預金の払戻による収入400百万円等があったものの、有形固定資産の取得による支出647百万円、定期預金の預入による支出400百万円等があったことであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金は、633百万円の減少(前連結会計年度は981百万円の資金の減少)となりました。この主な要因は、配当金の支払額632百万円等があったことであります。

当社グループの資金需要は、主に製品製造に使用する主要材料及び補助材料の購入、製造費や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスの調達等の運転資金であります。設備投資資金は、生産設備の取得等生産体制の構築等に支出されております。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。これらの必要資金は、利益、減価償却費等により生み出される自己資金により賄うことを基本方針としております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、顧客に信頼され、満足していただける製品開発に加え、薬品事業は、近年強く求められております地球環境に配慮した製品及び需要の伸びが期待できる二次電池をはじめとするIT関連の製品の開発に、建材事業は、住宅関連を中心に安全で利便性の良い製品の開発に鋭意取り組んでまいりました。また目まぐるしく変化する市場に対応するため、研究開発体制の大規模な刷新を図り、研究開発活動の活性化、開発品の早期販売実績化を強力に推進いたしました。なお、セグメント別の研究開発活動は次のとおりです。

(薬品事業)

当連結会計年度は、長く続いたコロナ禍から経済が回復しつつあるものの、エネルギーや資源価格の高騰、半導体不足に伴う設備導入の遅れ等様々な問題が噴出し、依然先が見えない状況が継続しております。このような不透明な状況を打開するため、効率的な研究開発を推進すべく研究部門、開発部門を統合したR&Dセンターが2年前に発足されましたが、それから2年が経ち、大型案件の進展が加速する等、効果が徐々に浸透しつつあります。

化成品事業分野では、当社のコア技術である金属石鹸技術や機能性粉体技術を発展させ、有機合成触媒や環境関連触媒、あるいは電子材料等に求められる様々な機能を有する化成品の開発を積極的に進めております。このような考え方の下、顧客との密なコミュニケーションを通し、顧客ニーズに適合した柔軟かつきめ細かい製品の提供を目指しております。一方で、中長期的な視点として、昨今注目されているカーボンニュートラルを重要テーマとしてとらえ、それと関連する水素関連技術や二酸化炭素の貯蔵・分離材料、各種触媒の開発を精力的に進めております。また、資源循環への取り組みとして、当社が保有する分離精製技術を応用したリサイクル技術の強化を推進しております。特に産学共同研究の成果である当社独自のナノ連珠セラミックスは燃料電池や水電解といった関連市場からも高い評価を受けており、これらの分野において、NEDOより4件の研究を受託するとともに、実用化に向けて実験レベルから量産レベルの検討に移行しつつあります。また、当社コア技術を活用した機能性粉体プロセスは電子材料を中心とする顧客との共同研究を通して技術的な課題の抽出、改善を行い、より特徴的かつ洗練された技術に昇華されつつあります。

表面処理事業分野では、当社製品の中で競争力の高いスルファミン酸ニッケルや酸化銅DCの拡販に向けた技術支援に注力するとともに、独自性の高い選択エッチング、複合めっき、黒色めっき及びカラー化技術を中心に新規用途開発を推進しております。また、これまで基礎研究を続けてきたWOエッチング技術、白色アルマイト技術は基礎研究段階を終え、展示会・学会等でのプレゼンテーションを通し、市場への周知を進めております。翌連結会計年度はマーケティング部門の大幅強化を行い、表面処理分野をはじめとしたソリューション事業を更に強化するとともに、新規ニーズや市場トレンドの把握を強力に進めます。

リチウムイオン二次電池事業分野では来るべくEV時代に向けて主力である受託加工の安定生産に努めるとともに、激化しつつあるコスト競争に勝ち残るため、生産効率の高い技術や革新的な正極材の検討を継続して行っております。また、顕在化しつつある電池廃材の増加や電池原料の不足に対し、当社コア技術を活用したリサイクル技術を重要なテーマとして捉え、関係企業と密に連携を図りながら強力に推進しております。一方で、有望技術として期待されている全固体電池材料も当社独自技術をベースとして要素技術開発を進めております。

(建材事業)

主力製品である「防火通気見切り縁BMシリーズ」は、拡販に向け建築物における設置条件の対応度を高めた新たな準耐火認定取得をいたしました。その他にも住宅関連の新製品開発では、お客様の用途に合わせた提案を行い、当社が得意とする曲げ、プレスといった成形技術を利用して製品化に向け取り組んでおります。産業用金属加工製品である制御盤用熱交換器「クールフィン」につきましては、工作機械メーカー向けに製品の拡充に取り組んでおります。これら研究開発活動では設計ツールとして3次元CAD、シミュレーションソフト及び3Dプリンターを活用し、試作・性能検証等の効率化及び設計技術・提案力の強化を推進しております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費は、上記の各チームの活動費を含め530百万円(薬品事業470百万円、建材事業60百万円)であります。