第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 

① 新規開拓に向けた営業力の強化

機能性精密成形品で培った強み・特徴を活かし、これまでの産業機器、レジャーに加えて、
ロボット、センサ、通信、医療などの他市場・他分野へ新規顧客開拓のためのアプローチを強化する。

 

② 環境への対応と未来への商品開発

環境方針、管理体制、規程類を整備し、環境に関わる全社的な体制づくりを行うとともに、
「未来への商品開発」を推進し、成果を出す。

(世界的な環境意識の加速に対応するため、2023年3月期に変更しました。)

 

③ 生産力の強化と人材育成

個別製品の原価低減に取り組むとともに、検査機やロボット等の導入による自動化と効率化を
さらに進める。

会社と社員の成長、成果の配分を徹底する。

 

(2)経営環境

わが国の経済の先行きにつきましては、地政学的分断は続くものの、世界的なインフレがピークに達したとの見通しや日本国内では大企業中心に賃上げの活発化、大型の最先端半導体工場建設の発表等を始め設備投資の増加により、景気は緩やかに持ち直しつつあると思われます。

また、新型コロナウイルスの5類への移行やインバウンド需要の増加も経済にプラスに働くものと考えられます。

こうした中、当社は、売上高の拡大や導入済設備の本格稼働・個別原価低減等による収益力向上、開発投資、人的資本への投資に注力していくことを計画しております。

 

当社のセグメントごとの経営環境の認識は以下のとおりであります。

 

<ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業>

映像機器分野は、ミラーレスの新機種の寄与が見込まれことから、売上高は増加するものと思われます。

OA機器分野は、主力顧客の増産体制の維持と民生用インクジェット関連の回復から売上高は増加するものと思われます。

産業機器分野は、産業用インクジェット関連の回復から売上高は増加するものと思われます。

レジャー分野は、引き続き海外のアウトドア需要の好調もあり、順調に推移するものと思われます。

 

<マクロ・テクノロジー関連事業>

機能性樹脂複合材料、樹脂成形碍子ともに景気動向の影響は受けにくいものの、ライフラインを支えるインフラ設備に使用される製品であるため、定期的な入れ替え需要のほか、電線の地中化や高圧受配電盤の樹脂絶縁部品などが見込まれます。売上高は前期からの値上げが寄与することから、増加するものと思われます。

 

 

 

(3)対処すべき課題

中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)

当社は、2022年3月期から2024年3月期(第31期~第33期)の3年間における経営方針として「当社の強みをお客様の付加価値に繋げる!」をスローガンに、

 

① 新規開拓に向けた営業力の強化

② 顧客提案力の向上と未来への商品開発

→「環境への対応と未来への商品開発へ」(2023年3月期)

(変更理由:世界的な環境意識の加速に対応するため)

③ 生産力の強化と人材育成

 

を行い、当社の強みをお客様の付加価値向上と当社の利益向上に繋げていく施策を継続的に推進してまいりました。その中で、売上高を、3年後(2024年3月期)に10億円超を目標とする中期経営計画を2021年5月に発表いたしました。

当社は、同計画の初年度である2022年3月期において、コロナ禍での厳しい売上状況が引き続き予想されると判断し、個別製品の原価低減を推進いたしました。対処すべき製品を個別に選定し、その利益率の改善に積極的に取り組んでまいりました。

こうした中、当社のナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業が、米中の景気回復や巣ごもり需要等を背景に産業用機器やOA機器関連を中心に売上高は回復し、個別製品の原価低減の積極推進と相まって、営業利益は大幅に改善してまいりました。

以上の結果、中期経営計画の初年度(2022年3月期)は、期初予想を大きく上回る業績を達成することが出来ました。特に、利益面におきましては、10年ぶりに過去最高益を更新いたしました。

しかし、中期経営計画の第2年度(2023年3月期)においては、売上高の未達に加え、製造コストの急激な上昇、設備投資や自動化への投資について、当該投資に対する本格生産の立上げ遅れなど、コスト削減効果が充分に得られないこと等により営業利益、経常利益、当期純利益とも期初予想より大幅に悪化する結果となりました。

 

中期経営計画の最終年度(2024年3月期)の取組

当社は、中期経営計画の第2年度(2023年3月期)の大幅な業績修正に伴い、中期経営計画の最終年度(2024年3月期)の業績の修正と同時に、次期中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を発表いたしました(「事業計画及び成長可能性に関する事項の開示」 2023年5月19日適時開示)

 

a. 新規設備投資と新商品「PasCom」(バイオマスプラスチック複合材料)の拡販

当社の工場の設備は、購入後年数も経過しており老朽化が散見されていましたが、安定的な利益確保の観点から、大幅な設備の更新に充分な手当がなされていなかったところがありました。そこで当社の更なる発展には、設備の更新や生産工程の自動化が必須と考え、当事業年度(2023年3月期)において、関東工場に自動検査機や成形機など比較的大型の投資を実施しました。

しかし、期初に想定できなかった製造コストの急激な上昇と当該投資に対する本格生産の立上げ遅れなど、コスト削減効果が充分に得られない結果となりました。当社は当事業年度の反省を踏まえ、2024年3月期以降の新規設備投資を当面の間抑制すると共に、2023年3月期に導入した設備の本格稼働に注力し、収益力を高めることを計画しております。

さらには、新商品「PasCom」(バイオマスプラスチック複合材料)の拡販、改良、応用製品への展開に注力してまいります。

 

b. 人材の育成と外部人材採用による競争力の強化

当社は、近年重要な経営資源の一つである人材(社員)の待遇改善等を推進してまいりました。これまで実施した賞与支給額の増額等によるモチベーション向上は上記の原価低減等の推進に大きな原動力の一つとなりました。

しかし、安定的な利益確保を優先するために給与原資の制限を考えざるを得ず、待遇改善も限定的なものに留まらざるを得ない状況が続いていました。

当社は、2018年3月期以降、営業損益が5期連続黒字化し、2022年3月期においては過去最高益を更新する利益体質になったことから、2022年4月より、給与体系・人事制度を抜本的に改定いたしました。

年功序列の色彩が強かった従来制度から脱却し、人材活性化(優秀な人材確保を含む)を通じて会社を飛躍させるために給与体系・人事制度の見直しを行いました。具体的には、仕事内容・役割や成果に応じて給与やポストを決め、公平に評価し分配していく制度へ変革いたしました。

その結果、待遇改善原資のうち、月額給与の給与原資は増加し、将来の活躍が期待できる20代から30代の人材や女性幹部の待遇改善が大きく前に進みました。また、当社における男女間の給与格差はなくなりました。

当事業年度において、事業環境は大きく変化し、業績の下方修正を余儀なくされました。しかし、当社は人材が今後の収益力回復・拡大のカギとなると考えており、今後も更なる待遇改善を前提に経営を進めていく所存です。

 

c. 次期中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期)の前倒し発表

当社は、現中期経営計画の最終年度(2024年3月期)の目標を下方修正したことから、株主及び投資家の皆様の当社への理解を深めて頂くことを目的に、次期中期経営計画(2025年3月期から2027年3月期)の定量目標を前倒しで発表いたしました。

既存顧客の横展開、新規分野開拓、開発製品の拡販をベースに売上高を2024年3月期比、約20%拡大し、12億円超を目指します。また、営業利益は120百万円とし、2022年3月期の100百万円の最高益更新を目指してまいります。

 

(4)事業方針

「高精度・高機能に特化した樹脂製品の提供」

 

当社は高精度と高機能を軸として樹脂製品に機能を付加することにより、お客様の商品価値の向上に貢献します。

 

(5)当社の強み

① 樹脂製品の概念を変える

樹脂製品は「精度がでない」「物性が満足できない」今までの常識で樹脂化を断念していませんか。当社は新たな樹脂化の可能性を追求し、樹脂製品の概念を変えます。

② 樹脂製品のコーデイネーター

当社はお客様の樹脂製品の設計から生産に至るまでのプロセスをトータル的(材料、金型、成形、後加工に至るまで)にサポート提案します。お客様の商品価値向上と量産を視点にあらゆる角度から最適な樹脂製品を提案します。

③ 樹脂製品のカスタマイズ

熱硬化性・熱可塑性に関わらず、様々な種類の樹脂を取り扱う事が可能です。独自コンパウンド技術により、お客様商品にマッチしたオリジナル材料を提案・開発・製造することが可能です。

④ 樹脂製品の一貫生産

樹脂複合材料をコアとして、金型、成形、後加工に至るまで一貫した技術と生産体制を保有しており、提案力、スピード、完成度の優れた樹脂製品を提供できます。一貫体制ならではの安定した量産構築が可能であり、品質保証も一貫して行います。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

a.ガバナンス

当社は、世界的な環境意識への対応は、今後の企業活動に不可欠であると判断し、2023年3月期以降の経営方針の一つとして「環境への対応と未来への商品開発」と掲げてまいりました。

具体的な取組としては、環境方針、管理体制、規程類を整備し、環境に関わる全社的な体制づくりを行うとともに、「未来への商品開発」を推進し、成果を出すこととしました。

当社は、2023年3月期を通じ、1.地球環境保護が全ての企業にとって重要な責務である、2.当社の化学物質に関するリスク管理が重要性であるとの認識を明確化し、2023年3月の取締役会にて、気候変動に関わる環境方針・環境規程、製品含有化学物質管理規程、ガバナンス体制等を決議しました。

気候変動に関わる基本方針や重要事項等を検討・審議する組織として、環境保全委員会を設置し、取締役会からの指示、任命、同委員会から取締役会への報告を行ない、当社のリスク管理を行なってまいります。

 

 

[環境保全委員会 組織図]

 


 

b.戦略

<人的資本に関する戦略>

当社は、近年重要な経営資源の一つである人材(社員)の待遇改善等を推進してまいりました。これまで実施した賞与支給額の増額等によるモチベーション向上は原価低減等の推進に大きな原動力の一つとなりました。

しかし、安定的な利益確保を優先するために給与原資の制限を考えざるを得ず、待遇改善も限定的なものに留まらざるを得ない状況が続いていました。当社は、2018年3月期以降、営業損益が5期連続黒字化し、2022年3月期においては過去最高益を更新する利益体質になったことから、2022年4月より、給与体系・人事制度を抜本的に改定いたしました。

年功序列の色彩が強かった従来制度から脱却し、人材活性化(優秀な人材確保を含む)を通じて会社を飛躍させるために給与体系・人事制度の見直しを行いました。具体的には、仕事内容・役割や成果に応じて給与やポストを決め、公平に評価し分配していく制度へ変革いたしました。

その結果、待遇改善原資のうち、月額給与の給与原資は増加し、将来の活躍が期待できる20代から30代の人材や女性幹部の待遇改善が大きく前に進みました。また、当社における男女間の給与格差はなくなりました。

当事業年度において、事業環境は大きく変化し、業績の下方修正を余儀なくされました。

しかし、当社は人材が今後の収益力回復・拡大のカギとなると考えており、今後も更なる待遇改善を前提に経営を進めていく所存です。

 

c.リスク管理

当社のリスク管理としては、「環境保全委員会」を設置し、環境方針の策定、環境関連の指揮、リスクの調査、識別、実施計画の確認・決定等を行い、取締役会にて報告し、環境関連リスク・機会の評価、経営戦略等への反映を協議してまいります。

 

d.指標及び目標 

<人的資本に関する指標及び目標>

当社は、人的資本に関する戦略を踏まえ、2024年3月期以降の取組として、

① 各部門のコア人材育成と将来の役割の意識付けを明確にするため、管理職間の情報共有と成長機会を話し合う会合を設け、実行してまいります。

② 工場においては、技術継承方法の確立やワーキンググループ活動を強化し現場の意識改革をISO9001の品質目標と連動させて取り組んでまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)製品開発への取組状況について

① 製品開発の方向のズレに関して

顧客や市場の要求特性及び要求項目は常に変化しているため、製品開発の的を絞れず大幅な開発の遅れを引き起こしたり、具体的な製品の製造や販売前の研究開発段階で開発テーマが頓挫するリスクがあります。そのような場合には、当社の製品開発活動に係る費用が回収できず、当社の業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 技術の商業化に関して

完成した技術について、価格、他社技術との差別化、タイミング、技術動向及び要求の変化のため、新製品が市場で受け入れられないリスクがあります。また、新製品が市場で受け入れられたとしても、当社の生産能力を上回る受注については対応できないことも想定されるため、喪失利益が生じる可能性があります。

 

③ 技術の陳腐化について

当社の保有する技術あるいは開発中の技術以外のまったく新しい技術により、当社技術の相対的な優位性、重要性が損なわれた場合は、当社製品の価値が損なわれ当社事業の収益に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

 

④ 技術的難易度に関して

当社が現在推進しているテーマや開発案件について、時間的制約、他社の特許、未知の技術ゆえの難易度などのために、技術的な壁を打ち破ることができず開発を断念せざるを得ないリスクがあります。

 

(2)将来に関する事項

① 新規顧客の開拓について

当社は、主力商品であるデジタルカメラ向けの機能性部品で培った強み・特徴を活かし、他市場・他部品への水平展開を積極的に推進しております。具体的には産業機器、監視用カメラ、センサ、工業用プリンター、レジャー関連、固形封止材料等の分野で展開を強化し、売上拡大を図っております。しかしながら、上記の製品開発の取組状況や市場動向の変化により、将来の事業展開へ大きな影響を及ぼす恐れがあります。

 

② ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業の将来

当社は、パルスインジェクター®関連製品や機能性精密成形品を提供するナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業を引き続き展開していく考えであり、そのなかでも高耐熱性・高熱伝導性・低温硬化などの固形封止材の「エポクラスター®クーリエ」の関連事業を展開していく考えですが、将来の中核事業となるかは現時点で未知数です。

 

③ 競合他社の参入

多業種、異業種の大手企業のナノ/マイクロ・テクノロジー業界への参入が当社事業へ影響を及ぼすリスクがあります。また、マクロ・テクノロジー関連事業でも、台湾、韓国、中国の低価格品がさらに日本市場へ流入した場合、当社の樹脂成形碍子事業に大きな影響を及ぼすリスクがあります。

 

④ 当社製品に不具合が生じた場合

当社製品に何らかの不具合が発生した場合、当社製品及び当社のブランド・ネームに対する信頼感が著しく下落又は喪失する可能性があります。また、場合によっては、エンドユーザーから当社に対する製造物責任の追及がなされる可能性もあります。

 

⑤ 人材の確保に関して

当社の研究開発は、高分子化学、無機化学、充填材技術、精密成形技術、金型技術などの多彩な能力を持った技術者を必要としております。そのため必要とする人材(質と量)を確保できない場合、あるいは有能な人材が何らかの理由により社外に流出した場合、当社の事業に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

 

⑥ 小規模組織による人員規模と管理体制について

当社は、2023年3月末現在、役員6名並びに従業員68名と人員規模が小さく、内部管理体制もその規模に応じたものになっております。今後は事業規模の拡大に応じて、管理体制の充実を図っていく考えですが、人員規模の拡大等が順調に進まなかった場合、業務に支障をきたす可能性があります。

 

⑦ 知的財産権について

当社が保有している特許については権利の範囲が狭く限定されて解釈される可能性もあります。また、類似の技術や製品等が登場し、その商品化を当社が特許権等の行使によって効果的に阻止できない場合は、類似の技術や製品等による競合の激化により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社が実装している技術について他社が特許権等を取得するような事態が生じた場合には、他社が当社に対して特許権に基づく各種の権利を行使する可能性があります。その場合は、ロイヤリティ支払の要求、技術の使用差止及び損害賠償請求等によって、当社の事業が大きな影響を受けることになります。

 

⑧ 安全規制の変化

当社の事業の強みの一つは、自社開発の複合材料を持っていることです。しかし、化学原料の安全規制が見直され、安全面の点から現在添加している素材が使用できなくなった場合には、当社の製品の製造に大きな影響を及ぼすリスクがあります。

 

⑨ 大規模な自然災害・感染症について

当社は、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、大規模な地震や台風等の自然災害が発生した場合、また、新型インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行した場合においては、その直接的、間接的影響により、関係先の生産設備の休止、閉鎖、出荷規制などで関連部品の不足や外出規制による新規開拓営業の中止により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑩ 石油、鉱物資源の価格変動について

当社は、石油や鉄、銅などの鉱物資源の急激な価格変動があった場合、当社製品の原材料や部品、電気料金などの製造原価の上昇により、製品の利益率が大幅に変動する可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における世界経済は、石炭や天然ガスなどの資源価格は高止まっているものの、各国の金融政策の引き締めによりインフレ抑制の兆しが出てきました。中国製造業景況感指数も今年1月以降、好・不調の境目である50を上回ってきました。国際通貨基金(IMF)は、2023年の経済成長見通しを2.9%と、昨年10月時点比0.2%上方修正し、2024年には経済成長率は3.1%へ加速する見込みと発表しました。しかし、当事業年度末には、米欧で金融システム不安がくすぶり、予断を許さない状況ではあります。

わが国製造業においては、原材料コストの負担を価格転嫁する動きで、企業物価指数は10%前後の高水準で推移しており、企業のコスト負担増は続いております。一方で5月8日の新型コロナウイルスの5類への移行や北海道に大型の最先端半導体工場の建設を発表するなど明るい兆しも見えてきました。

 

ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業については、下半期以降に好転を予想していた売上高が、中国のロックダウン(都市封鎖)による経済失速と、一部顧客製品で使用する半導体不足に伴う影響から、当社受注製品の生産調整があり、産業機器分野やインクジェット関連部品などを中心に伸び悩みました。

映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式タイプは、回復傾向をやや強めておりますが、当社においては、前期にミラーレス機種や人気機種の好調に支えられ、大幅に増加した反動もあり、前年同期比では減少いたしました。

OA機器分野は、主力顧客の増産体制に伴い、前年同期比で大幅に増加いたしました。

産業機器分野は、中国のロックダウンや顧客の生産調整等の影響が続き、前年同期比では減少いたしました。

レジャー分野は、引き続き海外のアウトドア需要が堅調ですが、下半期後半の売上高の伸び悩みがあり、前年同期比、横這いとなりました。

一方、「新規開拓に向けた営業力の強化」については、Web会議での打ち合わせを活用し、商社と連携しながら積極的な顧客訪問を引き続き実施し、徐々に成果が出始めております。

パルスインジェクター®(以下、PIJという)は、Web会議の活用や顧客訪問により、大学研究室及び各企業の研究・開発部門へ積極的にアプローチをしております。引き続き、研究開発を支えるツールとして多分野への展開を推進いたします。

 

マクロ・テクノロジー関連事業については、樹脂成形品の売上高は減少しましたが、樹脂成形材料の売上高は好調に推移した結果、前年同期比では増加いたしました。

高耐熱性・高熱伝導性・低温硬化などの固形封止材「エポクラスター®クーリエ」をはじめとする固形封止材につきましては、一部顧客への納品は継続しているものの、引き続き半導体デバイスメーカーや産業機器メーカー等へサンプル供給しながら用途展開及び顧客拡大を推進しております。

 

利益面においては、当初予想売上高の減少に伴う利益の減少、ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業における生産効率の低下要因、さらには、減価償却費の増加、原材料価格や電気料金等の上昇による製造費用増加、設備投資や自動化への投資について、当該投資に対する本格生産の立上げ遅れなど、コスト削減効果が充分に得られていないことや販管費の増加等により営業利益、経常利益、当期純利益とも大幅に悪化しました。

 

以上の結果、当事業年度の全社の売上高は925百万円(前年同期比2.1%増)、売上総利益368百万円(前年同期比3.8%減)、営業利益は72百万円(前年同期比27.9%減)、経常利益は74百万円(前年同期比27.1%減)、当期純利益は59百万円(前年同期比48.4%減)となりました。

 

 

当事業年度のセグメントの業績は次のとおりであります。

 

ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業

ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料及び機能性精密成形品並びにPIJ関連製品の当事業年度の売上高は745百万円(前年同期比0.1%減)、セグメント利益は320百万円(前年同期比6.7%減)となりました。

 

マクロ・テクノロジー関連事業

マクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料、樹脂成形碍子及び金型・部品の当事業年度の売上高は178百万円(前年同期比12.5%増)、セグメント利益は47百万円(前年同期比22.1%増)となりました。

 

その他事業

その他の事業につきましては、医療薬品容器の異物検査事業などにより、当事業年度の売上高は1百万円(前年同期比0.7%増)、セグメント利益は0百万円(前年同期比42.1%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ70百万円減少し、当事業年度末には245百万円となりました。

 

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動によるキャッシュ・フローは、27百万円の増加となりました。

これは、主に税引前当期純利益と棚卸資産によるものです。

 

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動によるキャッシュ・フローは、95百万円の減少となりました。
 これは、有形固定資産の取得による支出によるものです。

 

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動によるキャッシュ・フローは2百万円の減少となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

前年同期比(%)

ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業(千円)

431,830

105.3

マクロ・テクノロジー関連事業(千円)

136,161

113.6

報告セグメント計(千円)

567,992

107.2

その他事業(千円)

502

74.0

合計(千円)

568,494

107.1

 

(注) 上記の金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

 

b.受注実績

当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業

726,676

94.5

111,295

85.5

マクロ・テクノロジー関連事業

187,605

116.5

36,484

134.3

報告セグメント計

914,282

98.3

147,779

93.9

その他事業

4,006

367.3

2,921

7,133.1

合計

918,289

98.6

150,700

95.7

 

(注) 上記の金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

前年同期比(%)

ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業(千円)

745,624

99.9

マクロ・テクノロジー関連事業(千円)

178,295

112.5

  報告セグメント計(千円)

923,920

102.1

その他事業(千円)

1,126

100.7

合計(千円)

925,047

102.1

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

  2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

長瀬産業株式会社

363,066

40.1

391,029

42.3

黒田電気株式会社

169,573

18.7

156,750

16.9

 

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。

 

経営成績の分析

(売上高)

当事業年度における売上高は925百万円(前年同期は905百万円)となりました。

ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業において、映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式タイプは、回復傾向をやや強めておりますが、前期にミラーレス機種や人気機種の好調に支えられ、大幅に増加した反動もあり、前年同期比では減少いたしました。

OA機器分野は、主力顧客の増産体制に伴い、前年同期比で大幅に増加いたしました。

産業機器分野は、中国のロックダウンや顧客の生産調整等の影響が続き、前年同期比では減少いたしました。

レジャー分野は、引き続き海外のアウトドア需要が堅調ですが、下半期後半の売上高の伸び悩みがあり、前年同期比、横這いとなりました。

 

(売上総利益)

当事業年度における売上総利益は368百万円(前年同期は383百万円)となりました。これは主に、減価償却費の増加、原材料価格や電気料金等の上昇による製造費用増加、設備投資や自動化への投資について、当該投資に対する本格生産の立上げ遅れなど、コスト削減効果が充分に得られていないことなどから、大幅に悪化いたしました。

 

(営業利益)

当事業年度における営業利益は72百万円(前年同期は100百万円)となりました。これは主に、人件費及び研究開発費の増加によるものです。

 

(経常利益)

当事業年度における経常利益は74百万円(前年同期は102百万円)となりました。営業外収益は3百万円(前年同期は2百万円)、営業外費用は1百万円(前年同期は1百万円)となりました。

 

(当期純利益)

当事業年度における当期純利益は59百万円(前年同期は114百万円)となりました。これは法人税等及び繰延税金資産計上による法人税等調整額の計上によるものです。

 

財政状態の分析

(資産)

当事業年度末の資産は、前事業年度より69百万円増加し、1,705百万円となりました。

これは、主に現金及び預金の減少70百万円、棚卸資産の増加21百万円、有形固定資産の増加115百万円によるものです。

 

(負債)

負債合計は、前事業年度より10百万円増加し、211百万円となりました。

これは、主に買掛金の減少21百万円、未払金の増加71百万円、未払法人税等の減少12百万円、未払消費税等の減少15百万円によるものです。

 

(純資産)

純資産は、前事業年度より59百万円増加し、1,493百万円となりました。
 これは、当期純利益59百万円の計上によるものです。

 

当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

当社の運転資金需要のうち、主なものは製品の製造にかかる原材料の購入、金型及びその労務費、販売並びに一般管理、研究開発の労務費や経費などの販売費及び一般管理費です。

また、成形機をはじめとする生産設備の更新、増強による設備投資、情報システムの更新のための資金需要が生じております。

 

(財務政策)

当社の運転資金につきましては、現在、借り入れを行うことなく、内部資金(現金及び預金)にて調達しております。なお、2023年3月期の資産における流動比率は582.6%となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。健全な財務報告を行うためには、財務諸表の作成にあたって収益・費用又は資産・負債の状況に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは、過去の実績やその時点において入手可能な情報及び合理的であると判断した一定の前提に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果とは異なることがあります。

当社の財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりですが、見積りによって重要な影響を受ける可能性がある会計方針は、貸倒引当金、賞与引当金、繰延税金資産、固定資産の減損評価であり、その金額は過去の実績や将来予測に基づく一定のルールや内規に基づいて合理的に決定しております。繰延税金資産については毎期慎重に回収可能性を判断し、将来の事業年度において回収が見込まれない税金の額は、繰延税金資産から控除しております。なお、貸倒引当金は貸倒実績及び貸倒懸念債権等の回収不能見込額がないため計上しておりません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

2021年4月より、営業・マーケティング本部内開発本部内に「技術営業部」を新設し、開発本部員の大半が異動しました。「技術営業部」は新規開拓営業の強化と共に市場のニーズを追求し、コミュニケーションを徹底することで顧客の要求を重視した“顧客志向”の製品開発を継続しております。一方、開発本部は部内に「商品企画部」を新設し、当社の数年先のビジネスに向けて「未来への商品開発」を推進する役割で活動を開始しております。

 

当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は41百万円であります。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりです。

 

(1)ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業

ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業は、顧客テーマによる機能性樹脂複合材料や成形加工を主とした開発、顧客の商品開発に対する技術提案及びパルスインジェクター®システム(PIJ)の改良に特化して活動しております。

機能性樹脂複合材料や成形加工を主とした開発については、顧客との新たなコミュニケーションの手段として提案型の材料開発に取り組んでいます。潜在的な顧客要求に対し、金属部品を樹脂製部品に置き換えるメリットとそのための技術について様々な提案と試作を行い、顧客の真のニーズをいち早く発掘することを目指しています。

なお、PIJの開発は幅広い分野にむけた研究開発だけでなく、使い易さの向上やラインナップの強化も進めてまいります。

また、既存顧客の次世代製品に向けた機能性樹脂複合材料の開発を顧客とともに進めています。従来から開発を進めている高耐熱性・高熱伝導性・低温硬化などの固形封止材については、エレクトロニクス、産業機器、レジャー関連を中心に顧客開拓を進め、積極的にサンプル評価を進め、量産へ向けて材料のカスタマイズを進めております。

 

(2)マクロ・テクノロジー関連事業

既存のマクロ関連材料につきましても、顧客の要求に応じて電気的特性の向上、物理的特性の向上のための材料開発に取り組んでいます。

 

(3)その他事業

現在、その他事業の開発活動は行っておりません。

 

(4)未来への商品開発

地球環境や環境政策なども視野に入れた商品の一つとして、バイオマス度95%のバイオマスマーク認定を取得したバイオマスプラスチック複合材料「PasCom」を開発し、ラインアップを拡充し採用拡販に向け継続して開発に取り組んでおります。また、これら応用商品についても開発を検討しております。今後は更なるニーズ探索とニーズに応じた開発を行い、ビジネス化へ向けて改良を重ねてまいります。