当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)企業理念、行動基準/行動指針
当社は、「わたしたちはお客様を念(おも)い、仲間を想(おも)い、社会を憶(おも)い、高度情報通信ネットワーク社会のラストワンマイルである人と人との接点に新たな価値を創造していきます。」を企業理念として掲げております。
当社の活動する現場は、人と人との接点の場であり、お客様、仲間、社会それぞれへの思いを大切に活動してまいります。
◆お客様 = 最も大切な存在 『念う(一心に思う)』
◆仲間 = お互いに尊敬しあい、大切にする存在 『想う(感情をこめて思う)』
◆社会 = 深い問題意識を持ちつつ貢献していく 『憶う(深く思う)』
当社の保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業の現場は、人と人との接点にこそあります。
医療機関に導入されている電子カルテシステムやレセプトコンピュータ等の機器、あるいは企業に導入されているパソコン、サーバ等のIT機器の設置や保守といった業務は、実際に病院やクリニック、企業に当社の社員が出向いて作業を行います。そこで機器を利用する方々の使用状況を伺いながら、エンジニアの視点からの機器使用についてのアドバイスを行うこと、顧客の要望に応えるべく現場ごとに適切な作業を行うこと、それが高度情報通信ネットワーク社会のラストワンマイルを担う当社に求められた使命であると考えております。
上記企業理念に加えて、以下6項目を行動基準/行動指針として掲げております。
わたしたちは、お客様第一で行動します。
そのために、お客様の期待を超えるサービスを提供します。
わたしたちは、プロフェッショナルとして行動します。
そのために、日々の研鑽を怠らず、スキルの習得に努めます。
わたしたちは、チャレンジ精神で行動します。
そのために、前向きに努力し、常に挑戦し続けます。
わたしたちは、コンプライアンス意識をもって行動します。
そのために、ルールを正しく理解し厳守します。
わたしたちは、チームワークを大切に行動します。
そのために、仲間の個性と価値観を尊重します。
わたしたちは、社会貢献を喜びとして行動します。
そのために、社会の一員として責任を果たします。
これらを実現することにより、法令を遵守した継続的かつ安定的な企業成長を目指し、社会的責任を果たしてまいります。
(2)経営環境
当社の事業領域である国内IT市場の2023年は、全産業の経済活動が新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に回復し、IT支出を本格的に再開すると予測しております。リモートワーク、リモート学習へのシフトへの対応、サプライチェーンやサイバーセキュリティの強化等、IT分野の優先度が高く、積極的な支出が継続する見通しのため、市場規模は前年比6.0%増の21兆7,381億円、また2022年~2027年の年平均成長率は4.0%と予測されております。(出典:IDC Japan, 2023年4月「国内IT市場産業分野別/従業員規模別/年商規模別予測、2023年~2027年」(JPJ49208023))
当社が約50年にわたって関わりのある医療分野においては、2022年10月に内閣総理大臣を本部長とする医療DX推進本部の設置が閣議決定され、政府が推進する医療DXは、2023年1月の電子処方箋の情報を皮切りに、電子カルテ情報、予防接種情報の共有拡大を検討しており、将来的には全国医療情報プラットフォームの適切かつ効率的な運用の実現を目指しております。2024年にはマイナンバーカードと保険証の一体化が予定されており、当社においても2023年3月期におけるオンライン資格確認導入作業に続き、今後も医療DXに関連した業務の依頼が増加することが期待されます。また、医療機関へのランサムウェアによるサイバー攻撃が多発しており、昨年も電子カルテシステムがダウンし、新規外来患者の受入れや手術の停止が余儀なくされ、通常の診療体制に戻るまで約2か月を要したケースがあったとの報道がありました。このような状況から、当社へは病院内のネットワーク構築の依頼に加えてセキュリティ対策への相談も増加傾向にあることから、医療分野における事業拡大の機会は大いにあると予測しております。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)による企業変革、新たなビジネス展開に向けた取り組みが本格化しており、業務効率化や非対面チャネル強化、既存システムのクラウドシフトを推進するIT支出の拡大が予測されております。ソリューション事業においては、これに伴う機器の販売、設定設置等の需要が増加することが見込まれ、そこに付随して保守サービスにおいてはオンサイト保守の他、故障機器を送付し修理や代替品との交換を受けるセンドバック修理の需要が増加することも期待されます。
大都市圏を除いた地域では、人口減少、ならびに企業流出が深刻化しており、地域経済は停滞が継続しているという一面もありますが、医療、教育、地方自治体といった各地に不可欠な分野におけるIT支出の機会はあることから、全国拠点を生かして新規開拓、事業拡大の余地はあると考えております。
また、コロナ禍による影響の沈静化が、国内の観光、飲食、流通、運輸等に関連する産業分野の企業での業績回復につながり、すべての産業分野でIT投資はプラス成長になる見込みであることから、新たな分野における新規ビジネス展開の機会もあると考えられます。
このようにDXの進展に伴いIT人材の需要が増加する一方、経済産業省の調査では、2030年には全体需要が129.7万人から192.0万人に対し、16万人から79万人の人材不足が予測されております(経済産業省ホームページ https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf 2019年3月時点データ)IT人材不足が深刻な課題となっております。これにより当社の人材サービス事業では、今後CE、SEの派遣需要が増加することが見込まれます。
(3)経営戦略
変革するIT市場において、当社は様々な機器への対応スキルの向上と、高度なネットワーク技術を核として、セキュリティ対策等、新たな価値を創造してまいりました。今後は、取引先企業の成長を更に支援し、新たな付加価値を提供できる会社へと、一層の変革を進めることを目標として事業セグメントごとに戦略を立てております。
保守サービス事業では既存パートナーからの保守エリアの拡大及び取扱機器の種類の増加依頼の他、ソリューション事業での機器設置展開後の保守委託が毎年増加しており、そのような需要に対応するため、技術資料、マニュアル等を電子化し、オンサイト先でも利用できるよう、全保守員にiPadを配備しております。加えて、最近ではスマートグラスを用いた遠隔からの作業支援等、DXを活用した取り組みを始めております。更に、業務報告等の事務処理を電子化し、業務プロセスの効率化を図っております。今後は更なる業務効率化を目指し、品質管理システムの刷新を計画しており、2024年5月の利用開始に向けて、現在準備を進めております。
保守サービス事業に関連する情報はテクニカルセンターにて一括管理し、それを基にCEやSEへの技術支援を行っております。テクニカルセンターではその他、運用・保守に関する顧客からの問合せを受けるコールセンター業務及び全国展開案件の管理を行っております。コールセンターにおいては、人工知能(以下「AI」といいます)を活用した自動会話プログラムである「チャットボット」を導入し、顧客からの問い合わせ対応の効率化を図っております。AIの活用及び、品質管理システムにより、対応履歴の記録、故障部品の傾向等ナレッジの蓄積が可能となります。保守サービス事業では、機器の新規導入やリプレース時に最も重要視される項目として、サービス品質があります。当社では全ての保守サービス委託元のメーカーやベンダーのシェア拡大のためにも品質の向上を目指して活動をしております。
今後はテクニカルセンターを更に強化、活用し、5Gネットワーク構築、クラウドシステム基盤構築等の新たなITインフラの需要、また、従来の事業領域以外の金融・運輸・物流等にも範囲を広げ、新たな保守サービスの需要に対応し、事業展開を加速していきたいと考えており、2024年2月の移転に向けて現在準備を進めております。
さらに、医療機器修理業においても更なる事業拡大を目指し、現在北海道、宮城県、東京都、大阪府、福岡県において取得している医療機器修理業の許可を全国にて取得することを目指しております。医療機関における保守実績から、同業他社からの協業依頼もあり、医療機器修理業が今後保守サービス事業における新たな基盤となれるよう取り組んでまいります。
ソリューション事業では、継続的に取引のある企業との関係性の維持・構築に尽力する一方、高いスキルが求められる高単価案件の獲得を目指し、SEの専門部隊を設置し、現場作業のみの受託から、全体のシステム構築、手順書作成、工事業者等の外注コントロール、全国展開作業のマネジメントまでをワンストップで受けることができる体制を整えております。
2021年3月期には文部科学省が推進する児童・生徒向けの1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する事業であるGIGAスクール構想関連案件の入札へ参加し、さいたま市にて1区画を落札しました。以降官公庁、自治体案件の入札に積極的に参加しております。GIGAスクール構想によりハード環境や通信環境が整った学校のシステム、設備の運用、保守の依頼が増加しており、当社の強みであるソリューション事業から保守サービス事業へのシナジー効果が現れてきているものと認識しております。また、今後IT市場で大きな成長が見込まれる情報サービスや小売といった市場にも徐々に参入しており、今後取引先を拡大すること、また、Wi-Fi、各種センサー、金融端末等新規プロダクトを増やすことで、成長を図ってまいりたいと考えております。
人材サービス事業では、社内教育により公的資格やベンダー資格(ネットワークスペシャリスト、CCNA、LPI、CompTIA等)の取得を促進しております。これらの資格を有することで、企業からの派遣要請にスムーズに対応できております。また、絶えず予備人材を確保することにより、機会損失の軽減を図っております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①優秀な人材の採用と育成
ITエンジニア不足の市場環境において、今後SE、CE派遣の需要が増加していくことが予想されます。取引先企業からの要請に対して速やかに適切な人員を派遣することが、人材サービス事業の安定的な成長に繋がることから、事業の要となる人材の採用と育成が重要な課題と認識し、採用活動を強化しております。その一つの取り組みとして大学就職活動支援を実施しております。具体的には、当社人財開発推進室が自己分析、業界職種研修、企業面接対策、ビジネスマナー講座や、就職に有利な技術スキル習得のためのITパスポート、Microsoft Office Word Specialist、Microsoft Office Excel Specialist等の資格の研修を、要請のあった大学の学生に対して提供しております。2023年3月期は3大学で実施し、受講した学生からは非常に高い満足度評価を得ました。この取り組みにより研修を実施した大学からの新卒応募が増加しております。
当社新入社員には、ビジネスマナー等の基礎教育からスタートし、IT基礎教育、派遣予定先企業での業務を踏まえての取扱機器の実機研修やネットワーク構築基礎教育、公的資格取得研修等、入社後約3ヶ月でエンジニアとして活躍できるITエンジニア育成プログラムを用意しております。
また、全国に拠点があることを生かし、Uターン、Iターン、Jターン希望にジョブローテーションを活用して応えていくことで、従業員がライフスタイルに合わせて長く働ける環境を作っていきたいと考えております。
②エンジニアのスキルアップと活用
ソリューション事業の成長、特に利益率の向上には、より高度なスキルを必要とする案件に対応できるよう、エンジニアのスキルアップが必要と考えております。当社のエンジニアは、多種多様な現場作業案件に携わることで、機器の保守から導入設計、設置展開等マルチなスキルや対応力を身に付けておりますが、今後はネットワークやサーバの設計、開発、提案等といった分野にも業務を拡大できるよう、本社にSEの専門部隊を設置し、経験豊富なSEを中心としてOJTを兼ねた高レベルな案件対応を行い、スキルアップを図っております。また、定期的にネットワークスキル資格取得のための教育研修を実施しており、これにより全世界共通のネットワークスキルを証明するシスコ技術者認定CCNA、CCNP Enterpriseや、IT運用スキルを証明するCompTIA A+等の資格を取得するエンジニアが増えております。
下記は当社従業員が保有する資格の一例とその保有人数です。(2023年4月30日時点)
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IPA ネットワークスペシャリスト試験(NW) |
7名 |
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IPA 応用情報技術者試験(AP) |
11名 |
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CompTIA Project+ |
2名 |
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CCNP Enterprise |
6名 |
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CCNA |
68名 |
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CompTIA A+ |
58名 |
人材サービス事業において、派遣に際して上記資格を有することがエンジニアの条件として求められることが多々あるため、今後も求められる必要な技術の教育及び資格取得促進に向けた制度の確立を行ってまいります。
③医療機器修理業受託のための体制整備
医療機器修理という分野に進出することで、既存のレセプトコンピュータや電子カルテだけではなく、その他病院、診療所内のネットワークに繋がる全ての機器やシステムの保守を当社が一括して受託することが可能となり、結果として全導入機器のヘルスチェックや予防的対策も可能となります。この実現には社内体制の強化も必要であり、医療機器修理業の全国エリアでの許可取得と、エンジニアのスキルアップを図ってまいります。
④リソースコントロール
当社の経営資源は「人」であります。当社では利益拡大のために人的リソースの有効活用に取り組んでおります。当社が受託する全国規模の大型案件は本社及びテクニカルセンターを中心に全拠点のリソースを管理しながら対応しております。特にソリューション事業では、年度末に案件が集中する傾向があり、全国規模の案件と各拠点で受託した個別案件と通常業務が重複することにより人員不足となり、急遽外注によりリソースを確保せざるを得ない状況が発生する場合があります。案件の見える化及びリソースコントロールにより、支店間の支援体制を組むため、テクニカルセンターを活用し、業務効率化を図ってまいります。
⑤パートナー企業とのグリップ強化
日本電気株式会社、KDDI株式会社をはじめとする、継続的に取引のある企業からの受注拡大のため、機会損失のない営業体制を構築します。
⑥品質の向上、効率化の実現
サービス品質の向上は、顧客の当社に対する信頼性を高めることに繋がることから、品質管理システムを活用し、全社的なサービスレベルの底上げと業務効率化を目指します。2024年5月に品質管理システムの刷新を予定しており、現在導入に向けた準備を進めております。
⑦財務上の課題
現在、運転資金は自己資金で賄えておりますが、大規模なシステム・整備への投資等を行った場合、運転資金が不足する可能性があります。その手当として金融機関からの借入を想定しております。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、売上高、セグメント利益を設定し、企業規模の拡大、企業価値の向上を目指しております。
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項目 |
前事業年度 至 2022年3月31日) |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
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売上高 |
全社 |
13,886,281 |
15,948,715 |
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(千円) |
保守サービス事業 |
4,358,834 |
4,557,688 |
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ソリューション事業 |
7,331,986 |
9,212,092 |
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人材サービス事業 |
2,195,459 |
2,178,933 |
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セグメント利益 |
営業利益 |
605,681 |
752,829 |
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(千円) |
保守サービス事業 |
568,242 |
705,932 |
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ソリューション事業 |
687,973 |
865,249 |
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人材サービス事業 |
361,757 |
318,027 |
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調整額※1 |
△1,012,292 |
△1,136,380 |
※1 セグメント利益の調整額は、報告セグメントに配賦していない本社費用であり、本社管理部門に係る人件費、
不動産賃借料等の販売費及び一般管理費です。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。
地球環境問題、人権、従業員の健康や労働環境への配慮、公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害への危機管理等、サステナビリティをめぐる課題への対応は、リスクを減少させるだけでなく企業の持続可能性と企業価値の向上にもつながる重要な経営課題と認識しております。このような認識の下、これまで当社は以下のとおり取り組んでまいりました。
(1)ガバナンス
当社ではコンプライアンスの徹底を図るとともに、経営の公正性及び透明性を確保するため、内部監査を強化し、2022年には独立社外取締役を増員する等コーポレート・ガバナンスの充実を図ってまいりました。今後も同様の取り組みを継続して行ってまいります。
(2)戦略
当社はこれまで安定的かつ継続的な事業成長をしてきましたが、恒常的なIT人材不足に伴う人材の流動化、退職者の増加は大きなリスクとなっております。
事業の要となる人材の採用と育成が重要な課題と認識し、採用活動を強化しております。強化の取り組みの一つとして、要請のあった大学の学生に対し、自己分析、業界職種研修、就職に有利な技術スキル習得のための研修を提供し、実際に研修を実施した大学からの新卒応募が増加しております。
また、性別、国籍にかかわらず全ての社員の職制や社歴に応じた教育・研修を実施し、社員の能力開発に努めております。資格取得支援制度により社員の資格取得を支援し、事業に必要な資格者を確保するとともにエンゲージメントの強化を図っております。離職防止のために従業員満足度を高めることを目指し、毎年調査を実施しております。ストレスチェックも定期的に行っており、心身の問題や不満がどこにあるのかという点について情報収集を行うほか、従業員とは組合等を通じて話し合いを定期的に行っております。
(3)リスク管理
サステナビリティ関連のリスクについては、リスク管理委員会において、事業における他のリスクと同様に内容や機会を監視、管理しております。
(4)指標及び目標
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異等を指標にし、今後目標値を設定していく予定であります。当社にとって現実的かつ達成可能な目標値を設定すべく、今後検討を重ねてまいります。
また、環境への具体的取り組みとして、CO2排出量の削減を目的に社有車のエコカー導入、LED照明の導入、電力の見える化、ペーパーレス化、省電力オフィス機器への更新などを実施しています。今後、社有車エコカー(HV・EV)の導入率25%以上、LCMサービスの展開によるPC等のリユースにも取り組んでまいります。
当社は今後、サステナビリティ経営の強化に向け、長期ビジョンを策定しそれを踏まえた中期事業計画を策定いたします。自社を取り巻く重要課題(マテリアリティ)を特定し解決に向けた個別テーマの具体戦略、評価指標(KPI)を設定し、サステナビリティについての研修やワークショップにより会社が目指すサステナビリティの方向性の社内への浸透を図る等、サステナビリティへの取り組みを強化いたします。事業活動を通じさまざまな社会課題の解決に取り組み、持続的な成長とさらなる企業価値の向上を目指してまいります。
当社の事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。またリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
当社はこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。当社におけるリスク管理を適切に実施、管理するためリスク管理委員会を設置しております。リスク管理委員会については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 6.リスク管理委員会」に、リスク管理体制の整備の状況については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ④リスク管理体制の整備の状況」に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
事業戦略リスク
(1)事業環境について(発生可能性:高/影響度:中)
当社が事業展開している市場は、技術革新と変化が激しいため、常に市場に適応した新サービスを提供する必要があります。当社が魅力ある新サービスを提供できない場合、競合他社が新たな技術を利用した新サービスを提供した場合、当社サービスのニーズが減少し当社の業績並びに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社では、新たな技術の情報収集と習得に努め、技術革新に対応したサービスの提供と競争力の確保に努めています。
また、当社の保守サービスは、保守対象機器の販売価格に従って保守料金が設定されることが多く、ハードウェアの市場価格が低下傾向にあることから保守料金も合わせて低下する傾向にあります。当社は、業務の効率化と技術力の向上により利益確保と受注拡大に努めています。
(2)経営成績の季節変動性に関するリスク(発生可能性:中/影響度:中)
当社の保守サービス事業、人材サービス事業は、季節による大きな変動はありませんが、ソリューション事業は作業完了時期や機器の納期が年度末に集中することから、年度末に売上が集中する傾向があります。
社内で対応できない事情により作業の完了や機器の調達が遅れた場合、納品が翌期となり当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社では、業務の進捗管理を徹底し作業遅延に繋がる事象の早期発見に努めるとともに、協力会社や機器の調達先を多様化し期限内の納品や作業完了に努めています。
(3)PHC株式会社及びウィーメックス株式会社との関係について(発生可能性:低/影響度:大)
保守サービス事業の中心は電子カルテシステム、レセプトコンピュータ等のウィーメックス株式会社(PHC株式会社メディコム事業部とPHCメディコム株式会社が2023年4月に統合)製品及び温冷配膳車、注射払出機等のPHC株式会社製品の保守であります。当事業年度の保守サービス事業の売上高に占めるPHC株式会社及び関連会社製品を使用するクリニックや調剤薬局等の売上割合は65.5%、当事業年度の保守サービス事業の仕入高に占めるPHC株式会社及び関連会社からの仕入割合は46.5%となっております。また、ソリューション事業及び人材サービス事業でもPHC株式会社及び関連会社へサービスを提供しており、当事業年度の売上高に占めるPHC株式会社及び関連会社の売上割合は13.0%となっております。
このような取引関係にあることから、PHC株式会社に当社普通株式の14.8%を保有いただくとともに、ウィーメックス株式会社より社外取締役1名の派遣を受けております。
現在、PHC株式会社及びウィーメックス株式会社との関係は良好ですが、仮に関係が悪化するような事態が発生した場合、売上高が減少し当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、今後もサービス品質の維持向上を図りPHC株式会社及びウィーメックス株式会社の期待に応え、良好な関係維持に努めてまいります。
(4)特定会社への依存について(発生可能性:低/影響度:大)
人材サービス事業の主な顧客はKDDI株式会社、NECフィールディング株式会社の2社であり、当事業年度の人材サービス事業の売上高に占める割合は、KDDI株式会社が38.2%、NECフィールディング株式会社が47.1%となっております。なお、当事業年度の売上高に占めるPHC株式会社、KDDI株式会社及びNECフィールディング株式会社の3社の売上割合は28.2%となっております。
今後上記3社及び2023年4月よりPHC株式会社メディコム事業部とPHCメディコム株式会社が合併し事業を開始したウィーメックス株式会社からの受託業務等が、サービス品質や料金等で折り合わず他社に変更される、取引先の経営方針により受託業務等が縮小又は終了される等の事態が生じた場合、売上高が減少し当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、サービス品質の維持向上に努め受注の継続を図るとともに、新たな取引先を積極的に開拓し特定会社への依存度を低めるよう努めております。
(5)人材サービスについて(発生可能性:低/影響度:大)
当社は、人材サービスとして労働者派遣事業と委任契約による役務の提供を行っておりますが、派遣するスタッフは無期雇用の従業員であり人件費が固定的に発生いたしますので、派遣先の経営状況や経営方針の変更により派遣及び役務依頼が減少した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客ニーズに対応する人材が確保できなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため当社は、新たな派遣先の開拓に努めるとともに、派遣を終了した従業員が社内で就業できるよう請負業務の受注拡大に努めています。また、技術者の中途採用や社内の教育研修により顧客ニーズに対応する人材の確保に努めております。
(6)事業の許認可と法的規制について(発生可能性:低/影響度:中)
当社の事業を規制する主な法律として、保守サービス事業の特にヘルスケア関連(医療機器修理及び販売)においては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)、ソリューション事業(電気工事、電気通信工事、古物商(予定))においては「建設業法」及び「古物営業法」、人材サービス事業(労働者派遣)においては「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)があります。
当社は許認可を取得し必要な資格者、責任者等をおき事業を推進しておりますが、資格者や責任者等が退職する等の当該法令に抵触する事態が生じ営業停止又は許可取消等により事業活動に支障が出た場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
許認可に必要な資格者や責任者等が欠員となることが無いよう資格者や責任者等を十分確保する、法令に抵触するような事態が生じないよう社員への教育を徹底する等、事業の許認可と法的規制遵守の体制を強化し
事業を継続してまいります。
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許認可の名称 |
関連法規制 |
有効期間 |
登録交付者 |
取消条項 |
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高度管理医療機器等 |
医薬品医療機器等法 |
6年間 |
各所轄保健所長 |
営業所の構造設備が、厚生労働省令で定める基準に適合しないとき |
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医療機器修理業 |
医薬品医療機器等法 |
5年間 |
各都道府県知事 |
許可行政庁が許可の審査に当たって必要とする事項についての虚偽の記載、記載漏れ等 |
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一般建設業 |
建設業法 |
5年間 |
国土交通大臣 |
許可行政庁が許可の審査に当たって必要とする事項についての虚偽の記載、記載漏れ等 |
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古物商 (許可) |
古物営業法 |
なし |
都道府県公安委員会 |
六月以上の営業の休止、営業所の不確知等 |
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労働者派遣事業 |
労働者派遣法 |
5年間 |
厚生労働大臣 |
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に違反したとき |
(7)コンプライアンスについて(発生可能性:低/影響度:大)
万一重大なコンプライアンス違反や法令違反により取引先等との間に問題が生じた場合、損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起されることで、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、コンプライアンス規程を制定し、教育・研修等により従業員のコンプライアンス意識を高めるとともに、内部通報窓口を設置し、コンプライアンス違反の把握と未然防止に努めております。
(8)人材の確保・育成について(発生可能性:中/影響度:大)
当社事業の中心は人的サービスであり、顧客に満足いただける品質のサービスを提供できる高スキル技術者の確保・育成が、事業の継続と発展を左右するものと認識しております。高い技術を持った人材を確保・育成できなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業計画の重要項目の一つとして人材採用と教育研修を位置づけており、採用計画に基づき予算を計上し人材の確保と育成に努めております。
オペレーションリスク
(9)品質管理について(発生可能性:中/影響度:大)
品質面で重大な瑕疵があった場合、取引先への損害賠償や信用失墜による受注の減少等が発生する可能性があります。このような事態が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このため当社は、業務研修やミーティングにより従業員への業務マニュアルの教育、作業上の注意事項についての周知の徹底を図り、作業ミスの防止と作業品質の均一化に努めております。
(10)内部管理体制について(発生可能性:低/影響度:中)
当社は、今後も事業を拡大し円滑に運営していくためには管理体制の一層の充実を図る必要があると認識しております。管理体制と規程等の適正な整備に努めておりますが、今後、事業規模や人員数等が急激に変化し管理体制の整備が間に合わないような事態が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。今後も当社は、内部管理に必要な人材と要員を迅速適正に配置し管理体制に不備が生じないよう努めてまいります。
(11)自然災害について(発生可能性:低/影響度:大)
地震、津波、台風等の想定外の大規模災害が発生した場合、事務所や設備の損壊、業務システムの停止、従業員の就労不能等により事業運営に支障をきたし、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため当社は、自然災害が発生した場合に備え、支店、営業所のハザードマップを確認して具体的な危険度を把握するほか、事業継続計画を策定し社員の安全確保と事業を継続するための社内対応を定めています。
(12)新型コロナウイルスその他の感染症について(発生可能性:高/影響度:中)
当社の事業は、顧客先での作業や役務の提供が主であり、従業員が新型コロナウイルスその他の感染症に感染した場合、サービスの提供ができず当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため当社は、感染予防と感染時の対応方法を作成して従業員に周知し、従業員の感染防止に努めております。
(13)システム障害について(発生可能性:低/影響度:大)
当社の事業の遂行にはコンピュータシステムとネットワークが不可欠であり、これらのシステムに障害が発生した場合、業務の一部遅延や停止等、業務に支障が出る可能性があります。これにより取引先からの損害賠償や当社への信頼低下による失注等が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、社内のシステムトラブルを未然に防止し、障害が発生した場合でも迅速に復旧できるよう社内情報システムの管理部門を置いております。情報システム部門は、常に社内システムとネットワーク機器の稼働状況を監視しており、外部アタックやウイルス等のセキュリティについても対策しています。また、地震や火災等に備え、業務システムサーバを外部のデータセンターに置きシステムの安全を図っております。
(14)情報セキュリティについて(発生可能性:中/影響度:大)
当社の責により顧客からの預かり情報を紛失、あるいは機密とされている情報を漏洩した場合、顧客に重大な損害を与え、多額の損害賠償が発生し、当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、社内の機密情報や個人情報の流失や漏洩は、会社の信用失墜や重大な損害に繋がる可能性があります。ウイルスや外部ハッカーにより社内システムが破壊や使用不能となった場合、業務の停止や遅延等が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、ISO27001情報セキュリティマネジメント活動を通してこうした情報リスクへの対策に取り組み、顧客情報、社内情報やハードウェア、ソフトウェア等の情報資産について、その機密性・完全性・可用性の保持を図り情報セキュリティの確保に努めております。
その他
(15)株式会社ヒューマンサービスについて(発生可能性:‐/影響度:‐)
株式会社ヒューマンサービスは提出日現在において、当社の普通株式を15.1%保有しており、当社の主要株主であります(持株割合第1位)。
当社は、「第1 企業の概況」に記載のとおり2回のMBOを実施しております。
2014年11月に完了した1回目のMBOにより、MBOに参加したプライベートエクイティ・ファンド(以下、「当該ファンド」といいます)が当社の普通株式の66.7%及び全てのA種優先株式(無議決権)を保有することになりました。その後、2016年9月頃に当社及び経営者株主である福留泰蔵は当該ファンドより株式投資契約及び株主間契約に基づき普通株式及びA種優先株式全ての取得要請を受けたことから、経営の独立性を維持し、事業を安定的に運営することを目的に当該ファンドから株式を取得するための受け皿会社として、2016年12月に当時の当社役員6名(福留泰蔵、佐山龍一、高坂喜一、石田英章、菊池薫、佐藤秀樹)は株式会社ヒューマンサービスを設立しました。株式会社ヒューマンサービスには上記の当社役員6名及びPHC株式会社が出資(計10百万円)したほか、当社A種優先株式及び普通株式の取得資金に充当するため、株式会社りそな銀行から借入にて800百万円、りそなキャピタル株式会社から優先株式発行にて200百万円を調達しました。また上記の当社役員6名は株式会社ヒューマンサービスの役員に就任しました。2017年1月に、当社が当該ファンド株主からA種優先株式の一部を自己株式取得し消却した上で、株式会社ヒューマンサービスは残るA種優先株式5,887株(350百万円)と普通株式1,104株(549百万円)を当該ファンドから取得しました。一般的なMBOスキームのように株式会社ヒューマンサービスを存続会社として当社が株式会社ヒューマンサービスと合併した場合には、合併後の存続会社に多額ののれんが発生し償却負担が生じることが想定されたため、当社と株式会社ヒューマンサービスは合併を行うことなく、株式会社ヒューマンサービスが調達した借入金及び優先株式の返済等の原資には、株式会社ヒューマンサービスが取得した当社のA種優先株式の配当を充てるスキームを採用しました。以上が2回目のMBOであります。
株式会社ヒューマンサービスは、当社の上場時に当社株式の一部を売り出すことにより得た資金を基に、福留泰蔵以外の株式会社ヒューマンサービス株主が保有する株式を2023年6月30日に取得し、同氏の資産管理会社となる予定です。なお、株式会社ヒューマンサービスは、当社株式の保有以外に事業は行っておらず、当社との取引関係もありません。
提出日現在の株式会社ヒューマンサービスの株主構成は以下のとおりであります。
|
氏名又は名称 |
所有株式数(株) |
発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%) |
|
福留 泰蔵(当社代表取締役社長) |
84 |
42.0 |
|
PHC株式会社 |
36 |
18.0 |
|
佐山 龍一(元当社取締役) |
16 |
8.0 |
|
高坂 喜一(当社取締役) |
16 |
8.0 |
|
石田 英章(当社取締役) |
16 |
8.0 |
|
菊池 薫(元当社取締役) |
16 |
8.0 |
|
佐藤 秀樹(当社取締役) |
16 |
8.0 |
|
計 |
200 |
100.0 |
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は5,452,747千円となり、前事業年度末に比べ1,007,778千円増加いたしました。これは主として、保守サービス事業のメディコム保守に係る契約形態の変更に伴い前払費用が41,130千円減少したものの、オンライン資格確認端末の設置、導入案件等大型案件の進捗により売掛金が731,830千円、同案件の翌事業年度計画分に係る必要機材の調達により棚卸資産が291,711千円増加したことによります。固定資産は1,013,982千円となり、前事業年度末に比べ63,048千円減少いたしました。これは主として、社内インフラのリース導入により有形固定資産が10,498千円増加したものの、償却進行により無形固定資産が27,788千円、外形標準課税適用に伴う実効税率の見直しにより繰延税金資産が42,960千円減少したことによります。
この結果、総資産は6,466,730千円となり、前事業年度末に比べ944,730千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は3,397,162千円となり、前事業年度末に比べ275,310千円増加いたしました。これは主として、買掛金が130,399千円減少したものの、運転資金のための短期借入金が300,000千円、未払法人税等が81,508千円増加したことによります。固定負債は1,444,302千円となり、前事業年度末に比べ34,505千円増加いたしました。これは主として、社内インフラのリース導入によりリース債務が9,884千円増加した他、退職給付引当金が24,557千円増加したことによります。
この結果、負債合計は4,841,464千円となり、前事業年度末に比べ309,816千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,625,265千円となり、前事業年度末に比べ634,913千円増加いたしました。これは公募増資による資本金80,960千円、資本準備金80,960千円の増加の他、当期純利益481,563千円及び剰余金の配当8,570千円によるものであります。
この結果、自己資本比率は25.1%(前事業年度末は17.9%)となりました。
②経営成績の状況
わが国経済は、ここ数年にわたってプラス成長とマイナス成長を繰り返し、一進一退の状態が続いておりましたが、当事業年度においては2022年10月より外国人観光客の受け入れが再開し、経済活動の正常化が図られ、2023年3月の政府の月例経済報告によると、一部に弱さが見られるものの、緩やかに持ち直しているとあります。
2022年9月には、米国の大幅利上げによる日米金利差拡大を背景に、円安・ドル高が進展し、政府・日銀はおよそ24年ぶりとなる円買い・ドル売りの為替介入を実施しました。世界経済は、2023年3月にはシリコンバレー銀行の破綻により金融システム不安が高まり、米国経済の先行きは不透明となっております。海外経済の景気後退は、わが国の景気を下押しするリスクとなることから、今後も注視していく必要があります。
そのような中、国内においては製造業を中心に企業収益の改善傾向が続いており、人手不足やテレワーク関連の投資やデジタル化に向けたソフトウェア投資等、設備投資が増加しております。
当社においても、介護業務支援ソフトや薬局DXに伴う薬局経営サポートシステムの需要増加により、機器の販売、設定の依頼が想定以上に増加しました。また、2022年6月には2023年4月よりオンライン資格確認の導入を原則として義務付けることが閣議決定され、保険医療機関・保険薬局においては、顔認証付きカードリーダーの設置等体制整備が必要となりました。当社にも多くの企業から設置作業の依頼があり、当事業年度の業績は計画を大きく上回りました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高15,948,715千円(前事業年度比14.9%増)、営業利益752,829千円(同24.3%増)、経常利益762,418千円(同24.5%増)、当期純利益481,563千円(同13.7%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、「セグメント利益」は、本源的な事業の業績を図るために、本社管理部門の販売費及び一般管理費配賦前の営業損益を示しており、各報告セグメントの全社への貢献を明確化した利益指標であります。
保守サービス事業
保守サービス事業では、PHC株式会社の製品である、全国の医院・クリニックに導入されているメディコム(レセプトコンピュータ、電子カルテ)をはじめ、調剤薬局に導入されている薬歴システムや錠剤包装機、病院に導入されている注射薬払出システムや適温配膳車等の保守サービスを提供しております。メディコムの保守は、既存顧客の機器リプレース時に契約形態を当社と顧客がメディコムハード保守契約を直接締結する方式から、顧客とPHC株式会社がハード保守契約を締結し、PHC株式会社から当社が保守を受託するシステムサポート契約方式への切り替えが近年進んでおり(図1)、この契約形態の変更により、利益は確保しつつ売上実績は減少傾向にあります。一方でこの契約方式になることで、これまで未契約であった顧客との契約締結が促進されており、契約件数は増加傾向にあります。
また、PHC株式会社以外では、ソリューション事業において設置展開した機器の保守、運用を引き続き当社で受託するケースが増加傾向にあり、導入、展開から保守運用までワンストップで対応可能という当社の強みが、新規案件獲得に繋がっております。また、全国60超の拠点を生かした既存顧客からの保守エリア拡大要請や、新規顧客からの保守依頼も増加傾向にあり、事業は堅調に成長しております。
この結果、当事業年度の業績は、売上高4,557,688千円(同4.6%増)、セグメント利益705,932千円(同24.2%増)となりました。
(図1)
ソリューション事業
ソリューション事業では、主要取引先である日本電気株式会社、KDDI株式会社をはじめ、その他全国の企業からの依頼により、IT機器の物販、設計・構築、設置展開作業を受注しております。
当事業年度は、介護業務支援ソフトや薬局経営サポートシステムの需要増加に伴い、機器の設定、販売の依頼が増加しました。また、政府による医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入が2023年4月より義務化されるのに伴い、保険医療機関・保険薬局への顔認証付きカードリーダーの設置作業依頼が多くありました。その後、オンライン資格確認原則義務化の期限付き経過措置が設けられ、一部設置作業が次年度に持ち越されましたが、当初想定していた以上の案件受託により、売上高は大幅に増加いたしました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高9,212,092千円(同25.6%増)、セグメント利益865,249千円(同25.8%増)となりました。
人材サービス事業
人材サービス事業では、NECフィールディング株式会社へのカスタマエンジニア派遣、KDDI株式会社へのシステムエンジニア派遣、提案書作成等の業務請負、その他企業へもエンジニアを派遣しております。
当事業年度は、近年の転職市場の活性化、IT人材不足の市場におけるエンジニアの求人倍率の増加により、採用活動が想定のとおりには進まず、また退職者が例年と比較して多くおりました。しかしながら、新規取引先への派遣開始や、派遣単価の引き上げ交渉等により、売上高の減少幅は微減に抑えることができました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高2,178,933千円(同0.8%減)、セグメント利益318,027千円(同12.1%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は929,594千円となり、前事業年度末に比べ8,600千円増加いたしました。
なお、当事業年度における各活動によるキャッシュ・フローは以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、401,526千円の減少(前事業年度は、978,093千円の増加)となりました。これは主として、税引前当期純利益760,103千円の収入があったものの、オンライン資格確認端末の設置、導入案件等大型案件の進捗による売上債権の増加額751,720千円、同案件の翌事業年度計画分に係る必要機材の調達による棚卸資産の増加額291,711千円、仕入債務の減少額130,399千円による支出があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、29,778千円の減少(前事業年度は、35,430千円の減少)となりました。これは主として、事務所レイアウト変更、社内基幹ネットワーク機器の老朽化に伴う入れ替え等に伴う有形固定資産の取得による支出14,330千円、基幹システムの改修、電子申請システムのバージョンアップ等各種社内システムの機能拡充に伴う無形固定資産の取得による支出15,448千円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、439,905千円の増加(前事業年度は、959,404千円の減少)となりました。これは主として、運転資金のための短期借入れによる収入300,000千円、翌事業年度に計画しているテクニカルセンターの拡張及び品質管理システムの更新に係る設備資金調達のための株式発行による収入161,920千円があったことによります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
保守サービス事業(千円) |
4,557,688 |
104.6 |
|
ソリューション事業(千円) |
9,212,092 |
125.6 |
|
人材サービス事業(千円) |
2,178,933 |
99.2 |
|
合計(千円) |
15,948,715 |
114.9 |
(注)1.セグメント間の取引については発生しておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
PHC株式会社 |
1,942,767 |
14.0 |
2,074,030 |
13.0 |
|
KDDI株式会社 |
1,454,868 |
10.5 |
1,356,650 |
8.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積りや評価が含まれております。これらの見積りにつきましては、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等に関する分析
イ.経営成績
当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
ロ.財政状態
当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
ハ.キャッシュ・フローの状況
当該事項につきましては、本書の「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金、設備資金等の所要資金につきましては、営業活動で得られた資金を財源としております。大規模なシステム・整備への投資に伴い資金の不足が見込まれる場合には金融機関からの借入による手当を想定しております。また、ソリューション事業の拡大に伴い、大型案件の商品調達に係る資金需要が見込まれますが、こちらについても金融機関からの借入により所要資金の確保を行ってまいります。
季節的な変動に伴う資金需要に機動的に対応する為、取引先金融機関2行と当座貸越契約を締結しております。当座貸越枠の合計は1,000,000千円であり、当事業年度において、本契約に基づく当座貸越残高は700,000千円となっております。
また、当社の現金及び現金同等物により、現在必要とされる資金水準を満たす流動性を保持していると考えております。
当社は当事業年度において、東京証券取引所スタンダード市場へ上場いたしました。その際、新株の発行により161,920千円の資金調達を行いました。調達した資金は、翌事業年度に計画しているテクニカルセンター拡張のための設備資金及び品質管理システム更新のための設備資金に充当する予定であります。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析について
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。
当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、売上高、セグメント利益を設定し、経営上の目標としております。
売上高は各事業、毎年順調に伸長してきましたが、当事業年度は転職市場の活性化の影響もあり、エンジニアの退職が例年よりも多くあり、人材サービス事業において前期比99.2%となりました。同様にセグメント利益についても前期比87.9%となりました。また、保守サービス事業において前事業年度はセグメント利益が減少しておりました。これは、中部エリアにおける事業拡大のための支店、営業所の移転と新設に伴い、不動産賃借料等販売費及び一般管理費が増加したことによります。このように保守サービスは新たな体制整備に当たっては、一時的に販売費及び一般管理費が増加するという特徴があります。体制が整った当事業年度は、利益が再び上昇し前期比124.2
%となり、セグメント利益率も回復しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。