第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループのMissionは、創業以来磨き上げてきた技術を通して「あかり・エネルギーとしての光の利用を進め、人々の幸せと社会の発展を支える」ことであり、社会課題の解決を通じて経済的価値の拡大、持続的な企業価値向上を実現していく「『光』のソリューションカンパニー」をありたい姿としてのVisionに定めております。

便利・快適、感動・共有、安心・安全をキーワードに社会的価値と企業価値を一致させ、すべてのステークホルダーとも価値を共有することで、持続的な発展に向けて活動してまいります。

 

(2)中期経営計画

2023年4月からスタートする3ヵ年の新しい経営計画として、Vision 2030の実現に向けた「第2次中期経営計画(2023~2025年度)」を策定し、2023年5月に発表しました。

前中期経営計画で掲げた2030年の目指す姿である「『光』のソリューションカンパニー」及び定量目標である売上高2,500億円、営業利益率12%以上及びROE10%以上の目標を達成させるため、本中期経営計画を「成長を仕込む」期間と位置付けました。具体的には、光ソリューション提供体制の構築に向け、製品軸の事業ドメインであった「光源事業」、「光学装置事業」及び「映像装置事業」から、市場軸の「Industrial Process事業」、「Visual Imaging事業」、「Life Science事業」及び「Photonics Solution事業」へと再編し戦略を推進してまいります。また、事業を支える経営基盤の構築として、戦略投資の拡大や資本効率の改善及びESG経営を本格的に推進してまいります。

 

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本中期経営計画のゴールとして、次の指標を最重要KPIとして設定しました。

EBITDA *1

300億円

ROE *2

8%以上

*1 EBITDA=営業利益+減価償却費及びのれん償却費

*2 ROEの目標値は、新規ののれん償却を除いて算出

 

 

Industrial Process事業戦略

中長期的な成長が見込まれる半導体市場を主軸とした事業成長を目指すとともに、半導体以外も含めたモノづくりプロセスでの光ソリューション提案により事業機会の創出及び拡大を目指します。半導体市場は一時的な減速傾向にありますが、IoT、AI及び5Gの進展などにより中長期的には成長が見込まれます。その中で半導体の微細化及び高性能化ニーズが高まることにより、最先端ICパッケージ技術の進化がその進展を支えるというトレンドが続くと見込んでいます。

このような環境の下、当社グループは、半導体パッケージ基板向けの成長製品(最先端ICパッケージ基板向け投影露光装置及び直描式露光装置)による確実な収益の確保やEUVリソグラフィマスク検査用EUV光源の中長期での採用拡大に向けた取り組みに注力してまいります。加えて、EV用電池、建材及び印刷といった様々なものづくりの領域で環境負荷低減を背景としたプロセス改革ニーズの高まりをとらえた光機能によるプロセス提案(加熱、表面改質、接着など)を拡大してまいります。また、従来からのUVランプを中心としたランプ領域での販売及びカスタマーサービス強化による安定収益の確保も進めてまいります。

 

Visual Imaging事業戦略

本中期経営計画において「再構築事業」と位置付け、2030年に向け事業構造を見直し、安定的な運営基盤を構築すべく取り組みを強化してまいります。

当事業領域で、シネマ市場でのデジタルシネマプロジェクターの置き換え需要が堅調に推移し、加えて、プレミアム体験へのニーズが高まると予測しております。このような事業環境の下、顧客企業がその先のお客様にプレミアム体験を提供するために、ワンストップソリューション体制の構築と高付加価値提案の強化を進めてまいります。また、業績悪化リスク要因であるサプライチェーンマネジメントやキセノンガスの価格高騰及び光源の固体光源技術の進展に伴うランプ需要減少への対応強化、バランスシートを重視した事業推進を継続してまいります。

 

Life Science事業戦略

長期目線での事業拡大を視野に、本中期経営計画においては、「育成事業」として位置付けています。将来、Industrial Process事業やVisual Imaging事業に匹敵する事業領域となることを目指し、本中期経営計画期間中に、気候変動対策や食料問題及び健康寿命の延伸といった社会課題に対し、新たな事業創出に向け、当社グループの光技術を軸にソリューション提案ができる有望事業テーマを選定し推進してまいります。そのために、専門人材など光ソリューション提案に必要なリソースの確保、また、販売チャネルや周辺技術などに関しては、M&Aを含めた投資を通じた強化を行い、現状の事業領域である環境衛生ソリューション及びヘルスケア分野の事業拡大に加え、中長期目線での新たな事業創出を目指してまいります。

 

Photonics Solution事業戦略

本中期経営計画において「強化・再構築事業」と位置付けています。固体光源市場は、Industrial Process事業、Visual Imaging事業及びLife Science事業のそれぞれの分野において、モノづくりのデジタル処理ニーズやパーソナルユース機器の普及、及び遠隔治療などで非常に高い成長が見込まれています。当社グループの強みである「光をあやつる力」によって、モジュールやサブシステムの高付加価値化をさらに強化し、ニッチトップポジションの早期確立に向け、アプリケーションの強化を進めてまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、創業以来、光をあかりとして、エネルギーとして利用し、新しい光市場を創造し続けることで、持続的な成長を成し遂げてきました。しかしながら、当社グループの成長トレンドは2008年のリーマンショック頃を境に、大きく基調が変わり、売上は緩やかな増加が継続するも、営業利益率は漸減傾向を辿り、収益性低下に歯止めを掛けることができず、また有力な新規事業の創出にも至りませんでした。これは、既存事業において関連市場の多くが成熟期を迎えていることや、収益の源泉である光源事業において、映像関連分野を中心に従来のランプに代わる固体光源技術の進展に伴い、ランプのリプレイス需要が減少傾向にあることなどが背景にありました。このような状況下において、今後の持続的な成長、収益性の改善・向上が課題となっています。

これらの課題に対処すべく、主に既存事業では、多様化するマーケットニーズに対応した競争力のある製品のラインアップ充実や、徹底したコスト管理、品質・生産性の向上や国内外での生産・販売拠点の統廃合などを通じた抜本的な構造改革を引き続き実行することで、収益性を改善させ、持続的に収益性を維持・向上させていくことができる体質へ改善してまいります。また、長期的な成長の道筋として、今まで以上に社会課題解決に起点を置いた新規事業創出に注力することで、社会の発展・成長とともに、当社グループが持続的に成長していくことを目指してまいります。

加えて、強固な財務基盤を背景に、事業投資(M&Aや企業提携等)にも積極的に取り組み、機動力のある事業の発展及び収益性の向上を図りながら、株主還元との適正な資産配分を引き続き検討してまいります。

さらに、当社グループをあげてESG経営を強化・推進することで、省エネルギー・省資源、廃棄物削減・リサイクル化等、持続的環境負荷低減に積極的に取り組むほか、コーポレートガバナンス、コンプライアンス体制強化による内部統制システムの充実、BCPなどリスク管理体制の整備による安定した事業継続にも引き続き取り組み、あらゆるステークホルダーからの信頼にお応えできるよう努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社は、サステナビリティ経営推進にあたり、2021年度よりESG経営の強化に着手、2022年度より「ESG推進本部」を新設しました。

当社のESG経営は、企業理念を具現化するためのものであり、「人々の幸せと社会の発展を支える」ことを共通の目的としています。社会が抱える問題を解決する「『光』のソリューションカンパニー」になるために、「5つの経営のフォーカス」を設定し、取り組むべき事項について、バランスのとれた運営を推進します。

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①ガバナンス

サステナビリティ経営のガバナンスとして、代表取締役社長を議長とし、取締役、執行役員等の経営陣が参画するコーポレート戦略会議の中でESG経営への取り組み内容や方針を決定しています。この方針に従い、ESG推進本部が経営と現場とのアライメント機能として、各事業部・各事業所やグループ各社と連携の上、計画・施策を展開しています。また、各専門委員会や各拠点のサステナブルな取り組みを共有する個別会議を通じて、周知や社内の情報共有を行っています。ESGに関する重大事項については、取締役会への報告がなされます。

 

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②リスク管理

リスク全般に関しては、全社で導入している「リスクマネジメント管理システム」において、リスク管理委員会が軸となり、リスク管理PDCAを実施しております。当社グループでは、各事業領域におけるリスクと、各事業領域共通のリスクについて、それぞれ対処すべき重要な要素を特定して対応することとしており、さらに、その中でESGリスクについても特定し、対応を進めています。

 

主要リスクマトリックス表

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(2)重要なサステナビリティ項目

① 人的資本

当社グループでは、当社が掲げる5つの経営のフォーカスのうち「ビジョンに近付くための人財の質向上」及び「成果を上げやすい職場環境作り」の2項目を人的資本経営の取組の中核に据え、各種戦略を策定しています。

 

戦略

(ⅰ)ビジョンに近付くための人財の質向上

中長期的な目標として、個々の属性・価値観を尊重し、多彩な人財が活躍できる企業風土をベースに、グローバルモビリティが実現しており、能力・スキルを最大限引き出す人財マネジメントへと進化し、国籍・性別・年齢・働き方に関係なく、誰もが活躍できる職場環境を目指します。

 

・グローバルな重要ポジションのリーダー人財を育成するため、GHCC(Global Human Capital Committee)を通じて当社グループの将来を担う社員を選抜し、選抜型人財育成を実施します。また、グループ間人事交流も強化します。

 

・当社グループの事業ニーズに基づいた採用活動と社内研修制度を通じた学習機会の提供により、広範な学術領域において人財拡充を目指します。

 

・DXによる生産性向上や新たな顧客価値創造に向け、Ushio Learning Place等を通じたスキル・キャリア教育により、「データを使って未来をつくる」デジタル・DX人財の育成を推進します。

 

・当社グループ全社員が活躍する人財マネジメントのため、グループベースでの人事情報を収集・可視化するためグローバルモビリティ課を設置しています。

 

・当社グループ全社員が企業理念(ビジョン)を理解し、自身のキャリアと紐づけできる事を目指し、社員と経営陣による対話会を継続的に実施します。また、セルフ・キャリアドックを導入し、個々人のキャリア形成を支援します。

 

(ⅱ)成果を上げやすい職場環境作り

中長期的な目標として、社員の多様性が尊重され、社員一人ひとりが心身ともに健康で活き活きと働くことができ、会社と社員が共に成長し貢献しあっている「エンゲージメントの高い集団」を目指します。

 

・社員の多様性が尊重され、女性や障がい者を含む全社員が属性に関わらず活躍できるよう、2018年度よりD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)プロジェクトを立ち上げ、セミナーの開催、サークル活動、ハンドブックの制作・更新等の活動を継続推進しています。

 

・社員が働きやすさと働きがいを実感できる職場環境作りを増進するため、エンゲージメントサーベイ「U-Voice」を継続的に実施しております。また、男性の育児休業取得の促進や、全社員の有給休暇取得率アップ等の改善諸施策に取り組み、魅力的な職場環境に繋げます。

 

・社員の健康と労働安全衛生のため、「生産性向上(シゴトの健康)」、「メンタルヘルス疾患者の減少(ココロの健康)」、「生活習慣病有所見者の減少(カラダの健康)」実現に向けた健康経営を推進しています。

 

指標及び目標

 

実績(2023年3月期)

目標

管理職の女性比率

単体:4.3%

グループ:16.7%

単体:2025年までに10%へ引き上げ

グループ:15%以上を維持

男性育児休業取得率

単体:60%

政府目標に準ずる

労働災害

0件

0件を維持

 

② 気候変動

ガバナンス

ESG推進本部と関連委員会が検討した気候変動に関する課題や基本方針並びに重要事項等を、コーポレート戦略会議にて審議し、審議結果を年1回以上取締役会へ報告しています。

 

リスク管理

気候変動リスクは、全社で導入している「リスクマネジメント管理システム」の下で定期的に識別し、リスク管理委員会にて評価・モニタリングされ、重大と評価されたリスクは取締役会へ報告されます。

 

戦略

(ⅰ)気候変動シナリオの選択

IEA(国際エネルギー機関)等が公表している気候変動シナリオから1.5-2℃シナリオ、及び4℃シナリオを選択し、2050年における気候変動の影響を分析しました。

 

(ⅱ)分析のプロセス

光源事業、光学装置事業及び映像装置事業へ影響する主な気候変動リスク・機会を外部情報に基づいて整理し、それぞれのリスク・機会に関する将来予測データを収集しました。これに基づいて、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会と気候変動に起因する物理リスクについて事業影響を試算し、当社事業に2050年までに影響を与えうる重要なリスクと機会を特定しています。

 

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(ⅲ)シナリオ分析結果

重要度の高いリスク・機会の財務影響を分析した結果、特に気温が上昇する4℃シナリオにおいては、生産拠点が洪水等で被災することによる影響が大きいことを特定しました。併せて、該当する生産拠点への適切な保険手配により、気候変動リスクが財務へ与える影響を軽減できることを確認しました。

 

重要な気候変動リスク・機会

時間軸

気候変動リスク・機会が財務へ与える影響

移行リスク・

機会

炭素価格、各国の炭素排出目標・政策

炭素税負担

中期

GHG排出への炭素税の賦課により、操業コストが1.5℃シナリオでは2.0億円、2℃シナリオでは1.6億円増加する。*1

原材料価格の上昇

銅価格

長期

低炭素技術(太陽光発電やEVバッテリー等)に関連する需要の増加に伴い、各鉱物の需給が逼迫。その結果、各鉱物の価格が上昇し、原材料コストが増加する。

亜鉛価格

モリブデン価格

物理リスク

水不足

渇水による

逸失利益

中期

水不足に伴う取水制限により、製品生産が遅延・停止し、逸失利益が発生する。

異常気象の

激甚化

洪水による

物損・逸失利益

短期

洪水により生産拠点が被災し、製品生産が遅延・停止。物損コスト及び逸失利益が4℃シナリオでは66.8億円発生する一方で、被害額のうち66.7億円は保険により補填可能。

保険料の増加

短期

洪水・台風の激甚化による生産拠点の被災リスクの増加に伴い、保険料が上昇。保険コストが増加する。

 *1 IEAによる炭素価格の予測値と当社の各国におけるGHG排出量から試算

 

(ⅳ)機会創出

当社グループは、「5つの経営のフォーカス」のひとつに「より社会的価値の大きい事業創出」を掲げており、気候変動対策や食糧問題等の社会課題を起点とし、当社グループが持つ「光」とその周辺技術によるソリューションの提案、及び既存を含め今後市場に提供する製品に対する環境配慮型製品の追求、並びにサーキュラーエコノミーの取組みを強化してまいります。

 

指標及び目標

(ⅰ)実績

・GHG排出量(Scope1、2、3)※1

・環境配慮型製品、スーパーグリーン製品の売上高※2

 

※1:当社グループにおける、2017年~2021年3月期のGHG排出量実績について、当社ウェブページ(以下)にて、地域別・スコープ別に開示しています。排出量はGHGプロトコルに基づき算定しています。https://www.ushio.co.jp/documents/sustainability/2022/non-finance_FY2021_v3.pdf

 

※2:当社では環境性能を向上させた製品を「環境配慮型製品」として認定し、その中でも既存製品とは一線を画した革新的環境対応技術を採用した製品を「スーパーグリーン製品」として認定しています。

https://www.ushio.co.jp/jp/sustainability/eco/g-products.html

 

(ⅱ)目標

近年の気候変動に関する国際的見地から、当社では2018年にSBT(Science Based Targets)目標を設定し、認定されました。この目標値は定期的に見直しを行い、現在Scope1+Scope2については、2030年度までに2017年度比で45%、Scope3(Cat.11)については同33%のGHG排出量削減を目標値としています。事業所での活動等によるCO2排出削減のみならず、環境配慮型製品の開発により、Scope3にあたる製品使用段階でのCO2排出削減も進めて参ります。さらに現在、2050年までに当社グループでScope1+Scope2においてカーボンニュートラルを達成する目標の設定を検討しています。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において当社グループが判断したものであり、また、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 各事業領域におけるリスク

①グローバル展開によるリスク

当社グループは、海外での売上が大半を占め、生産及び販売活動は北米やヨーロッパ並びにアジア等でも行われているため、日本のみならず世界各地における諸規則や諸規制等の変更、経済動向、天災又は悪天候、テロ攻撃や地域紛争、戦争、疫病の発生・蔓延、人材確保の不安定さ、インフラ面の未整備などにより当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

これら事業全般にわたるリスクに関しては、グループ経営体制を自立型から連帯型の連峰経営へのシフトチェンジを行っており、さらにグループ横断の対策組織を編成するなど柔軟に対応していく方針です。

②Industrial Process事業におけるリスク

本事業では、製品及びサービスの競争力を強化するため、半導体パッケージ及びプリント基板・電子部品市場、EUVリソグラフィマスク検査市場といった成長分野において、関連製品の採用拡大及び新規採用に向け、研究開発投資を継続的に行っています。しかしながら、研究開発投資において想定した成果が十分かつ迅速にもたらされない可能性、又は競合他社に技術開発を先行されてしまう可能性があります。これらは、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、世界各国の経済動向や各事業分野における事業環境変化により、消耗品が搭載される機器の需要及び装置の稼働状況に想定を超える大幅な変化が生じた場合、収益力の低下につながる可能性があります。

今後の技術動向や市場環境変化及び取引先動向を早期に情報取得できる体制を構築し、柔軟に事業体制及び技術開発動向変化に対応していく考えです。

③Visual Imaging事業におけるリスク

本事業では、取引先として映画館や公共施設、企業、アミューズメントパーク、代理店等がありますが、市況環境の変化により取引先の経営状況の悪化が加速した場合、取引先が契約の条項を履行できなくなる可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。中長期的には映画館市場において、映像コンテンツのストリーミングサービスの充実・普及拡大、消費者のコンテンツ消費行動・スタイルの変化により、シネマチェーンの存続に影響を与えるほどの大きな業界構造変化が起こった場合、プロジェクターを中心とした映像装置の需要に大きな変化が生じ、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、シネマ用ランプでは消耗品収益モデルが主体となっていますが、近年、従来のランプから固体光源への代替が一部の分野において急速に進んでおり、ランプの総需要は減少しています。固体光源への代替は特に本事業を中心にその動きが加速していますが、想定を超える革新的な技術の進展があった場合、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、世界各国の経済動向や各事業分野における事業環境変化により、消耗品が搭載される装置の需要及び稼働状況に想定を超える大幅な変化が生じた場合、収益力の低下につながる可能性があります。

 

なお、今後、当社グループとしては、技術の進展を含む事業環境変化から常に長期的な需要予測を更新し、それに応じて柔軟に対応していきます。具体的には、需要予測を基に、それに見合った生産等の体制へ柔軟に変化させていくことや、既存技術や製品を活用した競争優位のある光源を新規市場で展開するなどの新規事業創出に力を入れてまいります。

 

(2) 各事業領域共通のリスク

①原材料等の調達に係るリスク

光源の製造において、主要原材料としてタングステンやモリブデン等のレアメタルや特殊ガスを使用しています。また、光学装置や映像装置においても、主要な半導体等関連部材などを外部調達していることから、全世界的な供給不足や価格高騰が急速に生じた場合、安定した製品供給に支障がでることや、製造原価が大幅に上昇し、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

これらの調達については、当社グループ全体での最適化を図れるよう、横断的な調達共有会議等を設置し、幅広い供給元から安定した原材料供給量を安定した価格で受けることができるよう努めています。

②知的財産権によるリスク

当社グループは頻繁な技術革新を伴う業界に属しており、特許、商標及びその他の知的財産権の保護・維持・管理が、各市場シェア及び競争力維持のために重要となります。しかし、当社グループの保有する当該権利が第三者に侵害された場合や、当社グループが第三者の保有する当該権利を侵害した場合、訴訟へと発展する可能性があります。こうした知的財産権の保護が大きく損なわれるような場合には、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

③外国為替のリスク

当社グループは、円建とともに外貨建も含めて一般事業取引や投融資を行っています。従って、外貨建の商取引及び投融資の損益は、外国為替の変動による影響を受ける状況にあります。為替の変動が当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性がありますが、為替予約等を適宜行うことで為替リスクの軽減を図っています。

④有価証券の価格変動リスク

当社グループは有価証券を保有しており、価格変動が当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

⑤情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、情報システム・情報通信ネットワークの安全性及び信頼性を確保するため、外部からのサイバー攻撃(侵入防止・検知)への対策、標的型攻撃に対する社員への啓発・教育などを行い、情報セキュリティ及びサイバーセキュリティを強化しています。しかしながら、外部からのサイバーテロやコンピュータウイルスの侵入、自然災害による設備の損壊があった場合、それらを完全に防止できるものではなく、被害の規模により、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

⑥新型コロナウイルス等感染症の拡大によるリスク

新型コロナウイルス感染症の拡大については、徐々に行動制限が緩和され、経済活動も正常化に向かっております。そのため、現時点での当社グループへの影響は限定的でありますが、当該感染症等の影響が再度大きくなった場合には、当社グループ及び販売先・取引先等への事業活動の制限等が発生する可能性があります。

なお、当社グループは従業員の感染を防止するために、リモートワークや時差通勤など感染抑制につながる施策を積極的に実施しております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界環境は、ロシア・ウクライナ情勢等の影響によるエネルギー・原材料価格の上昇、欧米におけるインフレ加速に伴う政策金利の引き上げの継続などにより世界的に景気の減速がみられました。中国においてはゼロコロナ政策からウィズコロナへの政策転換により景気は緩やかに回復に向かうなどの地域的な変化はあるものの世界的な不況感は継続しており、また米中の貿易摩擦激化など不透明な状況が続いています。

このような環境のもと、半導体・電子デバイス・プリント基板市場においては、5Gの実用化やIoT・AIの活用進展により設備投資は好調であった一方で、下期より世界的な景気の減速に加え最終需要が減速し、一部稼働が引き下げられました。フラットパネルディスプレイ市場でもモバイルやモニター向けなどの液晶パネル需要の一巡に伴い、液晶パネルメーカー各社では在庫調整のための稼働の引き下げが続きました。一方、映像関連市場においては、コロナ政策の継続で中国の回復は遅れたものの、世界全般で映画館の営業再開や稼働の回復が進みました。

 

a.  財政状態

(資産)

当連結会計年度末における資産は、3,236億2千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億2千6百万円増加いたしました。主な増加要因は、光学装置等の受注増加による棚卸資産の増加及び米国会計基準Topic842 ASU第2016-02「リース」の適用による使用権資産の増加であります。一方、主な減少要因は、外部借入の返済、配当支払、納税及び自己株式購入等による現金及び預金の減少であります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は、795億1千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ63億7千6百万円減少いたしました。主な減少要因は、外部借入の返済による1年内返済予定の長期借入金の減少及び売上実現に伴う契約負債の減少であります。一方、主な増加要因は、材料等の仕入増加に伴う支払手形及び買掛金の増加及び米国会計基準Topic842 ASU第2016-02「リース」の適用によるリース債務の増加であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、2,441億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ89億2百万円増加いたしました。主な増加要因は、当連結会計年度末にかけて円安が進行したことによる為替換算調整勘定の増加及び親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加であります。一方、主な減少要因は、配当支払及び自己株式消却による利益剰余金の減少であります。

 

b.  経営成績

当連結会計年度は、売上高は1,750億2千5百万円(前年同期比17.6%増)、営業利益は158億6千1百万円(前年同期比21.4%増)、経常利益は201億4千4百万円(前年同期比32.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は136億9千9百万円(前年同期比8.7%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(光源事業)

[放電ランプ]

露光用UVランプについては、5Gの実用化やIoT・AIの活用進展などを背景とした半導体や電子デバイス向けで、稼働調整が入り、下期は販売が低調に推移しました。また、液晶パネルディスプレイ向けはパネルメーカー各社による生産調整に伴い販売が減少し、UVランプは減収となりました。シネマプロジェクター用クセノンランプについては、全世界的に映画館の営業再開や稼働の回復が進んだことから、リプレイスランプの販売が増加しました。その結果、放電ランプ全体としては、前年同期比で増収となりました。

 

[ハロゲンランプ]

OA用ハロゲンランプについては、足元で在庫調整の動きが見られるものの、年間を通じてセットメーカーの部材不足問題の解消が進みOA機器需要が回復したことから、販売が増加しました。また、半導体市場活況の動きに伴い、半導体製造工程で使用される熱処理用ランプの販売が増加しました。その結果、ハロゲンランプは、前年同期比で増収となりました。

 

一方、主に欧米市場向けに複数用途で販売していたナトリウムランプにおいて、急速な固体光源化の影響を背景にランプ需要が縮小したため、棚卸資産評価損を計上しました。

以上の結果、光源事業の売上高は618億2千5百万円(前年同期比6.9%増)、セグメント利益は90億2千万円(前年同期比8.8%増)を計上いたしました。

 

(光学装置事業)

半導体・電子デバイス・プリント基板市場においては、5Gの実用化やIoT・AIの進展に伴うデータセンター向けサーバー需要等の高まりが継続していることから、最先端ICパッケージ基板向け投影露光装置及びパッケージ・プリント基板向け直描式露光装置の販売が増加しました。一方で、液晶パネル需要が一巡したことにより関連する設備投資が縮小し、液晶パネル向け装置の販売は減少しました。また、EUVリソグラフィマスク検査用EUV光源については、当期以前に販売した光源の稼働が好調に推移したことから保守メンテナンスサービスの販売は増加したものの、光源の販売は需要の一時的な調整局面にあり減少しました。

以上の結果、光学装置事業の売上高は578億5百万円(前年同期比19.4%増)、セグメント利益は71億6千万円(前年同期比55.0%増)を計上いたしました。

 

(映像装置事業)

シネマ分野では、欧米を中心に映画館の営業再開や稼働の回復が進み、設備投資需要も回復傾向にあるなかで、半導体等の部材不足の影響や部材調達コストの上昇を受け、デジタルシネマプロジェクターの販売は減少しましたが、為替の円安効果により増収となりました。一般映像分野においては、イベント等の再開の動きなどにより需要の回復が北米市場を中心に進み映像関連製品の販売が増加したことや、為替の円安効果もあり増収となりました。なお、映像装置事業における部材不足問題や部材調達コストの上昇は緩和傾向にあります。

以上の結果、映像装置事業の売上高は513億3千3百万円(前年同期比31.0%増)、セグメント損失は6億4千2百万円(前年同期はセグメント損失5千3百万円)を計上いたしました。

 

(その他事業)

新型コロナウイルス感染症再拡大の影響から後ろ倒しとなっていた各種成型機などを中心に投資の回復が進み、販売が増加しました。

以上の結果、売上高は41億1千3百万円(前年同期比18.0%増)、セグメント利益は1億9千1百万円(前年同期比70.3%増)を計上いたしました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ241億3百万円減少し575億1千6百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、8億7千1百万円の収入(前連結会計年度は216億2千8百万円の収入)となりました。

この主な内訳は、税金等調整前当期純利益の計上202億2千万円、減価償却費の発生76億1千5百万円及び仕入債務の増加43億5千6百万円による収入と、棚卸資産の増加165億4千9百万円、契約負債の減少33億6千9百万円及び法人税等の支払73億4千6百万円の支出によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、11億7千5百万円の支出(前連結会計年度は55億1千9百万円の支出)となりました。

この主な内訳は、定期預金の払戻310億7千4百万円及び有価証券の売却及び償還38億8千7百万円による収入と、定期預金の預入280億6千6百万円及び有形固定資産の取得77億6千7百万円の支出によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、268億1千1百万円の支出(前連結会計年度は106億2千5百万円の支出)となりました。

この主な内訳は、長期借入金の返済187億7千万円、自己株式の取得50億4百万円及び配当金の支払60億3千7百万円の支出によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.  生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

 前年同期比(%)

光源事業(百万円)

54,708

100.5

光学装置事業(百万円)

61,745

118.2

映像装置事業(百万円)

36,880

152.4

報告セグメント計(百万円)

153,335

117.2

その他(百万円)

 合計(百万円)

153,335

117.2

 (注)1.上記金額は販売価格にて算定しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.当連結会計年度において、映像装置事業の生産実績に著しい変動がありました。これは新型コロナウイルス感染症の影響から市場が回復したことによるものであります。

 

b.  受注実績

当社グループの生産は過去の販売実績及び市場調査による需要の予測並びに将来の予測等を考慮し、生産計画を設定し、これに基づいて勘案された見込生産であります。

 

c.  販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

 前年同期比(%)

光源事業(百万円)

61,813

106.9

光学装置事業(百万円)

57,794

119.4

映像装置事業(百万円)

51,328

131.0

報告セグメント計(百万円)

170,937

117.6

その他(百万円)

4,087

118.5

 合計(百万円)

175,025

117.6

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度では、映像関連事業において、中国を除く世界全般で市場の回復が進んだこと、また、半導体や液晶パネルなどのエレクトロニクス分野において拡大した需要が下期に停滞したものの半導体・電子デバイス・プリント基板市場での設備投資が好調で需要が拡大したこと、さらに、固定費の削減を着実に進めたことで前期よりも収益性が改善し、営業利益率は9.1%となり、前中期経営計画の必達目標として掲げた営業利益率8%以上を達成いたしました。

 

光源事業戦略

「攻める戦略」において、有望製品として環境衛生分野向け抗ウイルス・除菌用紫外線技術Care222搭載製品を立ち上げ、販売を開始したものの、各国の各種規制緩和の遅れや認知度不足、紫外線に対する理解浸透の遅れなど、これらの課題改善に時間を要し、当初の計画に対し大幅な未達となりました。このように一部で課題が継続したものの、「防ぐ戦略」による構造改革の実行による収益構造の転換及び円安による為替効果などにより、前中期経営計画で掲げた最重要KPIの営業利益率において、野心的目標を達成いたしました。

 

光学装置事業戦略

「攻める戦略」において、有望製品としてあり続けたEUVリソグラフィマスク検査用EUV光源は、2023年3月期において、市場からのコスト低減要求に対する課題により調整局面が継続し、想定を下回り推移しました。一方で、IoTやAI、5Gの進展を背景とした半導体パッケージ基板の需要拡大及び技術進化により、関連する露光装置の販売が拡大しました。また、以前より取り組んできた収益構造改善の取り組み成果により、収益性の大幅な改善が進んだことで、前中期経営計画で掲げた最重要KPIの営業利益率において、野心的目標を達成いたしました。

今後も、旺盛な最先端ICパッケージ基板市場での着実な需要を取り込むための生産体制の確保及び次世代機に向けた開発投資継続による競争優位性を維持する取り組みを強化するとともに、課題が継続しているEUVリソグラフィマスク検査用EUV光源については、中長期での需要拡大期を見据えた採用拡大に向けた開発投資を拡大するなどの取り組みを強化してまいります。

 

映像装置事業戦略

シネマ及び一般映像分野ともに、全世界の経済活動再開に伴い投資意欲は回復傾向にあり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により落ち込んだ需要も回復しつつあります。一方で、新たに部材不足の影響や部材調達コストの上昇による生産及び販売への影響から機会損失が生じ、収益率も悪化したため前中期経営計画で掲げた最重要KPIの営業利益率において、必達目標は未達となりました。なお、業績に大きな影響を与えた部材不足への対応強化や収益力改善に向けた事業範囲の選択と集中などへの取り組み及び経営効率化への取り組みを重点施策として継続し、売上高の拡大とともに、収益性の向上にも努めてまいります。

 

なお、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.  財務・資本政策の基本的な方針

当社グループは、財務の健全性・安定性、資本効率の向上、安定的・継続的な株主還元のバランスを追求するとともに、企業価値向上のために経営資源を適切に配分することを財務戦略の基本方針としております。

株主還元については、株主の皆様に対する利益還元が企業として最重要課題の一つであることを常に認識し、安定的な配当の実施に加え、資本効率、業績、キャッシュ・フローの状況等を勘案しながら自己株式の取得を行っております。なお、自己株式については、保有上限を発行済株式総数の5%を目途とし、その部分を上回る自己株式については毎期消却することを基本方針としております。

 

b.  資金需要及び資金調達について

当社グループの資金需要として、原材料、商品等の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用に加え、設備投資、研究開発及びM&Aのための資金や配当支払、自己株式の取得等を見込んでおります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金は基本的に自己資金によって賄い、設備投資やM&A等の長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの借入も活用しております。なお、当連結会計年度末における借入金の残高は53億3千1百万円となっております。

当社グループは当連結会計年度末において現金及び現金同等物575億1千6百万円を保有しており、また、換金性の高い金融資産も保有していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りが必要とされますが、これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的な根拠を有した仮定や基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点での見積りと異なることも考えられます。

当社グループにおける連結財務諸表作成のための重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

a.  固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。

 

b.  繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、課税主体ごとに将来の課税所得又は税金等調整前損益を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は主に将来の課税所得又は税金等調整前損益の見積りに依存するため、これらの見積り額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

c.  退職給付債務及び退職給付費用

当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、主に数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計算されております。割引率は、従業員の平均残存勤務期間に対応する期間の安全性の高い長期債利回りを参考に決定し、また、年金資産の長期期待運用収益率は、過去の運用実績及び将来見通し等を基礎として設定しております。割引率及び長期期待運用収益率の変動は、将来の退職給付費用に影響を与える可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

経営上の重要な契約として特記すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、産業用の光源の開発・製造を中核として光学系技術をはじめ、エレクトロニクスやメカトロニクスなど、光を利用・応用していく上で不可欠なさまざまな周辺技術の開発を推し進め、光のユニット化、光の装置・システム化へと事業を展開しております。新市場・新技術の動向を常に把握し、戦略的な研究開発活動を行うとともに、各研究開発部門が相互に連携・連動しながら数々の新しい光源及び光の関連装置やソリューションを生み出す体制となっております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は11,460百万円であり、光源事業、光学装置事業及び映像装置事業を中心に行っております。

当連結会計年度の主な成果は、次のとおりであります。

 

(光源事業)

・近紫外~可視~近赤外半導体レーザーの開発

当社グループでは、Industrial Process事業、Visual Imaging事業及びLife Science事業の各事業に幅広く跨る様々な分野のアプリケーション拡大に向け、近紫外~可視~近赤外領域の半導体レーザーの製品展開を行ってきました。高輝度、高効率、小型、長寿命という半導体レーザーの特長を活かし様々なアプリケーションで課題解決や技術革新に貢献しております。当連結会計年度においては、近紫外、可視、近赤外の各々の波長領域において下記の新製品の開発に取り組んできました。

近紫外領域では、波長405nm帯、光出力175mWのシングルモード半導体レーザーの開発を推進し、業界で最も広い使用温度範囲で安定したビーム品質を実現した製品の量産を開始しました。

可視領域では、近い将来のメタバース実現のためのキーアイテムとなるAR/MR/XRグラス向けの半導体レーザーに要求される波長制御技術、多ビーム集積化技術等の研究開発を推進しております。また、非常に広い動作温度範囲での信頼性が要求される車載用途に向けても、高温動作・高信頼化技術の開発を進めております。

近赤外領域では、距離計測用センサーや赤外線照明用途等に用いられる850nm帯で世界最高クラスの250mWの光出力と良好なビーム品質を両立したシングルモード半導体レーザーの製品化を完了しました。

今後も、半導体レーザーの特長を活かして様々な社会課題の解決に貢献すべく引き続き開発投資を行ってまいります。

 

・Care222技術を用いた抗ウイルス・除菌装置の拡販

当社グループでは、エキシマランプによる環境衛生用途のアプリケーションとして、脱臭、揮発性の高い有害な化学物質の除去などを目的とした技術ブランドClean172のアプリケーション探査を目的とした実証デモ装置の開発に取り組むとともに、紫外線が持つ殺菌力を活かしたCare222という技術ブランドのもと感染制御の領域において有人環境下で利用できる紫外線として安全性、効果の検証を進め、2020年から実用化してまいりました。2022年度においては、1台でより広範囲に照射できる新しいユニットi-FTシリーズの開発・販売をいたしました。また、これら装置の除菌効果を実証するため、外部試験機関で実証実験を行うなど、開発・販売の両側面で連携した活動を推進してまいりました。さらにはアプリケーション拡大を狙った小型モジュールの開発を進め、試作モジュールを完成、顧客へのニーズヒアリングに活用しております。

今後もCare222のさらなる安全性、効果検証エビデンスの取得だけでなく、この技術の可能性を追求し、我々の使命である光を用いた様々な社会課題解決のソリューション提案に向けた新たなアプリケーション開拓投資を行ってまいります。

光源事業に係る研究開発費は4,238百万円であります。

 

(光学装置事業)

・最先端ICパッケージ基板向け投影露光装置開発及び環境配慮型露光装置の研究開発

IoT、AI及び5Gなどの進展に伴うデータセンター向け半導体用パッケージ技術は大学やコンソーシアムで盛んに研究され「More than Moore」として期待されています。当社でも最先端ICパッケージ基板向け投影露光装置開発とパッケージプロセスの研究開発へ継続的に投資を行い、2023年5月に高い解像性と重ね合わせ精度を実現した露光装置(UX-58112SC)の開発が完了し、上市しました。引き続き、先端パッケージ向け露光装置開発の継続に加え、環境対応にも積極的に取り組んでおり、環境配慮型露光装置の開発を進めています。

今後も社会のニーズを的確に捉えた露光装置を開発・上市することで、社会やお客様に貢献してまいります。

 

・小型、高輝度、高信頼性のEUV光源の研究開発

当社グループでは、EUVリソグラフィマスク検査用EUV光源の研究開発に継続的に取り組んでおります。高度な微細化が進む半導体業界では、EUVリソグラフィマスク検査装置の量産プロセスへの導入が進んでいます。

これまでの研究開発成果として、当社のEUV光源はエンドユーザーの量産条件を満たす高い安定稼働と充分な性能を達成いたしました。今後も開発投資を継続し、高性能、高安定稼働などの技術優位性の維持・向上に注力すると共に、交換パーツの寿命延長などの更なるランニングコスト低減を目指します。また、新規顧客獲得に向けた取り組みも進めてまいります。

光学装置事業に係る研究開発費は4,798百万円であります。

 

(映像装置事業)

・映像表示装置及び周辺機器の研究開発

子会社であるCHRISTIE DIGITAL SYSTEMS USA, INC.では、映画館向けや、テーマパークなどエンタープライズ用途の高輝度プロジェクターやLEDディスプレイなどの映像表示装置の研究開発に継続的に取り組んでおります。プロジェクターでは、高輝度・高精細・広色域への要求を実現するレーザー光源を採用し、その上で小型化や使いやすさを追求したプロジェクターのラインアップ拡充を進めております。また、近年、用途が拡大しているLEDディスプレイ市場向けでは、広色域で設置容易性を追求した独自のマイクロタイルLEDディスプレイなどの開発も進めております。

さらに、付加価値向上のため、プロジェクターでマルチ画面などに柔軟に、そして簡単に対応するための自動調整を可能にするソフトウェアの研究開発にも取り組んでおり、周辺機器と合わせてプロジェクションマッピング等でのコンテンツ管理を行う製品などの開発を展開しております。

また、ネットワークをベースとした、画像の伝送・管理・保管を行う周辺機器も開発しており、映像全体をトータルなシステムとして提供出来る機材やソフトも開発提供しております。今後も、観客の映像体験の向上や展示者の運営の簡素化、効率化を実現する研究開発を進めてまいります。

映像装置事業に係る研究開発費は2,356百万円であります。

 

(その他事業)

その他事業に係る研究開発費は66百万円であります。