第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 京王グループ理念

当社グループでは、グループとしての存在価値を明文化した「京王グループ理念」を制定し、これをグループ内外に発信することで、グループ全体の価値観や方向性の共有化をはかっております。

 

<京王グループ理念>

私たち京王グループは、

 つながりあうすべての人に誠実であり、環境にやさしく、

「信頼のトップブランド」になることを目指します。

そして、幸せな暮らしの実現に向かって

生活に溶け込むサービスの充実に日々チャレンジします。

 

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループを取り巻く事業・社会環境は、新型コロナウイルス感染症による生活様式の変容を経て、ポストコロナ社会に移行しています。ホテル業では、インバウンド需要の急激な回復が見られ、百貨店業においても沿線のお客様を中心に回復が見られますが、テレワーク等の定着により、鉄道・バスの輸送人員は、コロナ禍以前の水準に回復することは想定できない状況にあり、駅を中心にビジネス展開しているグループの各事業においても、エネルギー価格が高騰するなか、より能動的に需要創造をしていく努力が求められております。

当社グループでは、これら事業・社会環境の変化に対応した事業構造への抜本的な変革を完遂するため、2022年度を初年度とする「京王グループ中期3カ年経営計画(以下、「中期経営計画」といいます。)」に取り組んでおります。

 

<中期経営計画の位置づけ>


 

具体的には、「RESTART」を全体テーマとして掲げ、鉄道会社としての社会における存在意義を見つめ直し、新しいライフスタイルを牽引する存在として、生活圏内の回遊性向上をはかるとともに、豊かで魅力的な「まちづくり」に主体的に関与し、お客様のニーズを捉えた新しい移動需要を創出することで、沿線力の向上をはかります。

 

<中期経営計画の取組み>

「日本一安全でサビスの良い鉄道」に向けた取組み

 

より高度な

安全・安心の追求

〇京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業について、引き続き用地の取得、及び高架橋構築等の工事を推進

〇ホームドア整備について、笹塚駅2番線・3番線ホームの2023年度内の使用開始、久我山駅をはじめとした全駅整備計画を推進

〇リアルタイム伝送機能付き防犯カメラについて、設置工事を進め、2023年度内に整備を完了

〇減災対策について、高架橋や橋梁などの耐震補強工事、電力柱の鋼管柱への更新を継続

お客さまニーズ
を先取りした

サービスの提供

〇京王ライナーについて、5000系車両のさらなる増備と運行の拡大を検討

〇新しい鉄道利用ニーズへの対応に向けて、鉄道乗車ポイントサービスの導入を準備

〇ターミナル駅における大規模駅改良について、新宿駅では新設予定の改札口などの設計業務、橋本駅では駅移設や機能強化に向けた計画の検討・協議を推進

未来を見据えた

盤石な事業体制の構築

〇2023年3月に認可申請を行った鉄道旅客運賃の改定について、2023年10月(予定)の実施に向け準備

〇DXについて、検査データをもとに老朽化や異常を予知し効果的なメンテナンスにつなげる新技術の活用を推進

 

REDEVELOPMENT

まちづくりへの注力

〇当社の最重要拠点である新宿エリアで取り組んでいる新宿駅西南口地区開発計画について、南街区の2028年度竣工に向けて工事を推進

〇沿線エリアのまちづくりに向けて、以下の各施策を推進

 ・橋本駅周辺開発エリアのグランドデザイン検討

 ・京王多摩川駅周辺地区の再開発事業

 ・聖蹟桜ヶ丘地区での賑わい醸成・活性化

 ・京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業により生まれる高架下空間を活用した地域連携・交流人口増加に向けた取組み

〇まちの回遊性とエリア価値の向上策として、FC東京との包括連携協定、バスケットボール女子日本リーグ「Wリーグプレーオフ」での大会冠協賛をはじめとした、スポーツを通じた魅力的なまちづくりの推進・地域振興、人流創出

RESTRUCTURING

事業構造改革の推進

〇オープンイノベーションの取組みである「KEIO OPEN INNOVATION PROGRAM」では、AIを活用した落としもの検索サービス「find」の本格導入をはじめとした鉄道事業の変革を継続・推進するほか、沿線拠点エリアの課題解決・活性化を目指した新たなイノベーションプログラムを実施

〇グループ顧客戦略の一環として、「京王NEOBANK」による金融サービスと京王ポイント施策の融合を通じた長期的な顧客接点の構築

〇ホテル全社の早期の営業黒字化実現に向けた、急回復する宿泊需要の取込みの強化、DXによる業務効率向上と要員配置の最適化、及び営業施設改装と顧客サービスの拡充による競争力の強化

REINFORCE

稼ぐ力の強化

〇バリューアップ投資事業・新築分譲マンション事業をはじめとする不動産販売業の拡大や、保有資産のバリューアップ・新規資産開発による不動産賃貸業の収益力向上など、不動産業の利益成長と資産効率の向上を目指した諸施策の推進

〇大規模投資期を見据えた、不動産ファンド組成による保有資産の流動化とアセットファイナンス体制の整備

〇㈱NB建設のグループ会社化によるシナジー創出をはじめとした、BtoB領域における業容拡大

強固な経営基盤の

整備

〇サステナビリティ経営体制の構築・運用、TCFD提言への賛同・開示とカーボンニュートラル宣言を含む連結環境目標の設定・推進

〇「人財戦略」に基づく、人財確保、人財育成、エンゲージメント、ダイバーシティ&インクルージョン、組織風土・組織構造の各視点について取組み推進

 

 

 

<経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標>

中期経営計画最終年度の2024年度には、2018年度(コロナ禍以前)の85%程度まで営業利益を回復させ、2030年代までには過去最高益を超える水準を目指します。

財務指標に関しては、ネット有利子負債残高4千億円以下、ネット有利子負債/EBITDA倍率6倍以内、自己資本比率38%程度を目標とし、格付けを維持し、2030年代の大規模投資本格化によるキャッシュアウトに備えます。

(単位:億円)

 

2021年度

実績

2022年度

実績

2023年度

計画

2024年度

中期経営計画

連結営業収益

2,998

3,471

3,680

3,880

連結営業利益

7

214

210

340

連結経常利益

53

217

197

324

親会社株主に帰属する当期純利益

55

131

158

240

連結EBITDA

322

506

531

675

 

(注)1.中期経営計画の目標の設定にあたっては、鉄道輸送人員はコロナ禍以前の水準と比べ、2024年度で15%減程度の水準を前提としております。国内レジャー需要は2023年度、訪日外国人旅行客による需要は2024年度中にそれぞれコロナ禍以前の水準まで達することを想定しております。

2.2023年度計画、2024年度中期経営計画の数値には、2023年3月に認可申請を行った当社鉄道事業の運賃改定による影響額は見込んでおりません。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、公共交通事業者としての社会的責務を果たすという使命を軸に、流通業、不動産業、レジャー・サービス業など幅広い事業を通じて、幸せな暮らしの実現や地域の発展を目指してまいりました。当社グループでは、このような幅広い事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値の向上を目指す旨を明文化した、「京王グループ サステナビリティ基本方針」を策定しています。

 

 <京王グループ サステナビリティ基本方針>

当社の交通ネットワークが広がる沿線地域を事業基盤としている私たちは、

「京王グループ理念」に基づく誠実かつ環境に優しい事業活動を通じ、

交通サービスを中心とした暮らしにおける「安全・安心」を提供し続けます。

そして時代の変化にいち早くきめ細やかに対応しながら多様化するライフスタイルを牽引し、

地域やパートナーと共に多世代が交流・躍動する「まちづくり」に取り組むことで、

持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値を向上させてまいります。

 

 

 

(1)ガバナンス

当社グループではサステナビリティの視点を踏まえた経営を推進するため、当社代表取締役社長 社長執行役員が委員長を務める「サステナビリティ推進委員会」を2023年5月に設置しています。同委員会では、サステナビリティに関する全社方針や推進体制の整備、ESG課題の把握、マテリアリティの設定と目標策定・実績把握等について審議・決定を行い、当社取締役会に報告することとしています。

また、当社のマテリアリティには、気候変動に関する取組み課題が紐づく「環境にやさしく」と、人的資本に関する取組み課題が紐づく「活躍する人財」があり、それぞれについて、2023年5月に「環境基本方針」を改定するとともに、「人財戦略」を策定しています。

 

<サステナビリティ推進体制>

 


 

(2)戦略

「京王グループ サステナビリティ基本方針」のもと長期的に取り組むべき主要課題として、SDGs等のガイドラインにおける社会課題の視点も取り入れた7つのマテリアリティ(重要課題)を設定し、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しています。以下の社会課題を当社グループの事業を通じて解決していく中で、ステークホルダーに対して価値を提供し、沿線力を向上させ、長期的に「住んでもらえる、選んでもらえる沿線」であり続け、そこで生活する人の「幸せな暮らし」を実現することで、当社グループの価値を創造してまいります 。

 


 

 

マテリアリティ

主な社会課題

目指す姿

安全・安心

輸送事故ゼロ

混雑緩和

踏切による地域の分断

ユニバーサルサービス

自然災害への安全対策

無差別テロ行為の抑止

・日本一安全で、快適なサービスの実現(鉄道)

「まち」との共生・

発展

人口減少・高齢化

郊外の役割変化

ワークスタイルの変化

災害に強い街

・お客様が足を運びたくなる沿線拠点

・多世代が交流・共生し、住民が増加、企業も集まる沿線

・暮らしやすく、愛着を持ってもらえるまちづくり

幸せな暮らし

ウェルビーイングの追求

ライフスタイルの変化

テクノロジーの進化

・付加価値の提供によって、多世代が精神的にも満たされた、「豊かさ」や「幸せ」を感じられる暮らしを実現する

・多様化し変化するライフスタイルに対して、適切な事業・商品・サービスを開発し提供する

・人流が変化する中での新しいライフスタイルを牽引する

デジタル社会への

対応

急速な社会全体のデジタル化

イノベーション・DX人財の育成

・デジタル技術を駆使し自社ビジネスを通し、お客様に新たな価値を提供し続ける

・イノベーションマインドを持った人財が、お客様やパートナーと共に成長し続け、還元していく

活躍する人財

(注1)

ダイバーシティ&インクルージョン

働きやすい職場

環境整備

個人のキャリア成長実感

働き手の確保

・「安全・安心」を基本とし、個の強みに磨きをかけ、失敗を恐れず、変革や挑戦の気概を持ち、自律的に業務を遂行する人財を創出

・それら個の多様性を許容し、相互に機能し合うことにより、スピーディーに新しい価値を地域社会に提供できる集団へと変化する

環境にやさしく

(注2)

気候変動の緩和と適応

生物多様性

資源循環

・ステークホルダーの皆様の暮らしを支える事業を通じて、未来社会に豊かな環境を引き継ぐために、環境に配慮した活動を行う

経営基盤

企業不祥事・不正

情報開示の充実

透明性・公平性

企業の成長・株価向上

健全な財務状況

・「信頼のトップブランド」として、すべてのステークホルダーに誠実で公正な企業であり続ける

 

 

 

(注1)活躍する人財

公共交通事業者として、鉄道事業において「安全・安心」を確保しつつ、お客様のニーズを捉えた移動需要を創出し、新しいライフスタイルを牽引することは当社グループの原点と考えます。

「安全・安心」という価値観を守りつつ、ポストコロナ社会に適応した抜本的な事業構造変革を成し遂げるという、2022年度を初年度とする「京王グループ中期3カ年経営計画」を遂行するため、まずは当社グループの中核会社である当社において必要な人財とあるべき組織を制定し、その実現のために、当社では「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」として、以下の「人財戦略」を掲げています。

 

<人財戦略>

人財確保

社内外を問わず優秀な人財確保のため、採用、処遇面、働き方、制度を柔軟に見直していく

人財育成

「安全・安心」はすべてに優先するという価値観を醸成・定着させる

経営戦略実現に必要な専門人財を育成するとともに、各自の自律的なキャリア形成を支援する

エンゲージメント

社員と会社が深い信頼で繋がり、働き甲斐を感じながら互いに成長していく環境を整える

ダイバーシティ&

インクルージョン

性別・世代・知識・経験・価値観ほか多様な個性を積極的に評価し新たな価値を創造する組織を実現する

組織風土・組織構造

挑戦を認め、失敗を許容する組織風土を形成し、スピード感をもって改革・実行を推進する組織を作り上げる

 

 

(注2)環境にやさしく

気候変動に関する開示については、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同の意を表明し、鉄道事業を中心に提言に沿った情報開示を京王ホームページにて公表しています。詳しいリスク・機会に関する説明や気候シナリオについての考え方は京王ホームページをご参照ください。

URL:https://www.keio.co.jp/company/sustainability/tcfd/index.html

なお、上記サイトは将来更新する場合があります。

 

 

(3)リスク管理

当社では、「鉄道安全管理委員会」「拡大鉄道安全管理委員会」「リスク管理委員会」「内部統制委員会」を設置し、リスクの把握と対応に努めています。

「鉄道安全管理委員会」では、安全統括管理者(鉄道事業本部長)を中心に、他社で発生した事案も含めて事故・トラブルの原因を把握し、対応策の検討・検証などを行っています。また、代表取締役社長 社長執行役員が出席する「拡大鉄道安全管理委員会」を年2回開催し、鉄道事業の安全管理体制全般のマネジメントレビューを行っています。

「リスク管理委員会」では、「京王グループリスク管理方針」のもと、リスク低減と事故・トラブルの発生防止を目的として、対策重点項目の設定と対策の実施状況の確認を行っています。

「内部統制委員会」では、「京王グループ内部統制システムに関する基本方針」のもと、リスク管理に関わる事項や内部監査・財務報告に係る内部統制について、整備状況を確認・検証し、必要に応じた見直しを行っています。

サステナビリティを巡るリスクと機会については、これらの委員会で審議した事項も踏まえて、「サステナビリティ推進委員会」で認識・評価を行い、対応について経営計画に反映させ、当社取締役会に報告することとしています。

 

 

(4)指標及び目標

①人財に関する目標及び実績

当社グループでは、上記「(2)戦略(注1)活躍する人財」において記載した、「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループの中核会社である提出会社のものを記載しております。

 

個の多様性を許容し、相互に機能し合う集団というあるべき組織の実現に向け、まずは女性活躍推進の取組みについて目標を設定しました。また、人財戦略のうち、「人財確保」に向けた働きやすい職場環境の推進状況を示す指標として、年次有給休暇取得率についても、毎年度、前年度水準以上とするよう目標を定めた他、「人財育成」、「エンゲージメント」、「組織風土・組織構造」の状況をモニタリングするためトータルエンゲージメントと職場の心理的安全性について良好と判断できる基準値を設定し、推移を注視してまいります。

 

項目

2022年度実績

目標

達成時期

新卒女性採用比率

33.3%(総合職)

50%(総合職)

2024年度入社以降

女性管理職比率

7.7%

30%

2030年度

男女別育児休業取得率

女性100%、男性41.0%

100%

毎年度継続

年次有給休暇取得率

86.3%

前年度水準以上

毎年度継続

 

 

 

 

トータルエンゲージメント(注1)

3.50

3.5点以上を継続

(5点満点)

モニタリング指標

職場の心理的安全性(注2)

3.46

3.5点以上を継続

(5点満点)

モニタリング指標

 

(注)1.外部の調査専門会社が提供するエンゲージメント調査サービスにおける評価指標で、「一人ひとりが今の仕事や職場・会社で働くことに意味や価値を感じ、自ら貢献する意思をもって働いているか」などの度合いについて、当社全社員を対象とした調査結果を点数化したもの(3.5点以上が「良好」)であります。

2.(注1)と同様の評価指標で、「職場にはお互いを尊重し、協力し合う雰囲気や何でも言い合える安心感があるか」などの度合いについて、当社全社員を対象とした調査結果を点数化したもの(3.5点以上が「良好」)であります。

 

②環境に関する目標及び実績

「環境にやさしく」というマテリアリティを掲げるとともに、環境目標を「当社グループのCO排出量(注1)の削減」とし、新たに2050年度実質ゼロを掲げ、中間地点となる2030年度の目標を設定しました。

 

項目

基準年度

基準年度

排出量

2030年度

削減目標率

2050年度

削減目標

 

2021年度

排出量(注2)

連結CO排出量

2019年度

323,296t-CO

△30%

実質ゼロ

 

289,314t-CO

鉄道事業CO排出量

2013年度

155,641t-CO

△46%

実質ゼロ

 

118,976t-CO

 

(注)1.対象範囲はScope1、Scope2であります。

2.有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において入手可能な最新の実績であります。

 

なお、その他のマテリアリティに対する指標については、サステナビリティ推進委員会で継続して審議し、目標を設定してまいります。

 

 

 


 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスクを認識した上で、事態の発生の回避に努め、発生した場合には事業への影響を最小限にとどめるべく対策を講じる所存です。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものです。

 

(1)気候変動・自然災害等

大規模地震の発生のほか、気候変動により発生頻度が高まっている大型台風や集中豪雨等の自然災害が発生した場合、当社グループの事業運営に支障をきたし、営業休止やお客様の減少等により売上が減少するほか、施設等の復旧費用が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、鉄道事業において「自然災害への対応力と危機管理体制の強化」を目指し、安全性向上に向けた取組みを行っております。気象情報システムによる監視体制の構築や耐震補強工事などの施設改良の推進、災害発生を想定した各種訓練の実施など、策定しているBCP(事業継続計画)の改善もはかりながら各種対策に取り組んでおります。

 

(2)事故等の発生

人為的要因を含む機器の誤作動などによるトラブルや事故、踏切などにおける第三者に起因する事故、テロ等不法行為による被害等により、当社グループにおける施設に損害が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社では、皆様から信頼され、愛される鉄道であるために、「『安全』は最大の使命であり、最高のサービスである」ことを常に意識し、「全社員が一丸となり継続的改善に取り組み、安全最優先の鉄道を創る」ことを最大の命題として、日々の業務に取り組んでおります。鉄道事故やトラブルが発生した際は、原因究明と再発防止策を速やかに実行するなど、継続的改善を進めております。

なお、2021年10月31日に京王線布田駅~国領駅間を走行中の車内で発生した傷害事件への対応については、第2〔事業の状況〕4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ア.経営成績等の状況に関する分析〔運輸業〕a.営業概況に記載のとおりです。

 

(3)品質管理

当社グループでは多数の資産を保有しているほか、物件の施工販売、食品の販売等を行っているため、当社グループ固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる一般的な品質問題などが発生した場合、売上の減少や損害賠償費用の発生等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(4)経営環境の変化

テレワークなど新たな生活様式の定着や長期的な人口減少・少子高齢化に加え、当社グループの競争力低下等により、当社グループが提供する商品・サービスの需要が減退する場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、ステークホルダーに対して価値を提供し、長期的に「住んでもらえる、選んでもらえる沿線」であり続けるため、沿線力を向上させ、そこで生活する人の「幸せな暮らし」を実現することで、当社グループの価値を創造してまいります。

 

(5)デジタル社会への対応

当社グループは、多数のITシステムやクラウドサービス等の情報通信ネットワークを活用して事業を行っているほか、お客様の個人情報を含む機密情報を保持しております。また、取引先や委託先等のサプライチェーンも多岐に渡っております。そのため、重大なシステム障害や個人情報流出が発生した場合、システム復旧や損害賠償費用等が発生するほか、信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ分科会が中心となり、適切な情報管理を推進するとともに、個人情報については、京王グループ個人情報管理体制のもと、適切な管理に努めております。

また、当社グループは、今後の競争力強化のため事業のデジタルトランスフォーメーション(DX)にかかる投資を行っております。DXに対する資金、人財、その他リソースが不足した場合、また将来の技術革新や顧客志向・社会情勢の変化に適切に対応できない場合、当社グループの競争力が低下する可能性があります。

 

 

(6)人財の確保

当社グループは鉄道事業を中心に、地域沿線の方々への生活サービスに関連する幅広い事業を展開しています。鉄道・開発事業に限らず、グループの業種が多岐にわたるため、それぞれの分野で専門的知見と経験を積んだ人財の確保・育成が、事業の発展には不可欠であると考えております。このため、雇用の流動化等により、適切な人財の確保・育成の継続が困難な場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社では、「人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針」として「人財戦略」を掲げ、多様な価値観・ライフスタイルを持つ従業員がその能力を存分に発揮できるよう働きやすく、働きがいのある職場環境づくりを継続することで、グループ全体としての多様かつ専門的な人財を確保してまいります。

 

(7)感染症の流行

新型コロナウイルス感染症の流行により、当社グループは、出控えや渡航制限に伴う運輸業における輸送人員の減少、流通業における来店客数の減少や休業・短縮営業による売上低迷、ホテル業における外国人宿泊客・国内宿泊客の減少のほか、感染対策に伴う事業運営体制への制約など、各事業で多大な影響を受けました。今後、新たな感染症の流行が発生した場合も、各事業で多大な影響を受ける可能性があります。当社グループでは、社会インフラを担う企業グループとして、当社を中心としたBCPに基づき、感染症の流行への対策に取り組んでおります。

 

(8)コンプライアンス

当社グループは、鉄道事業をはじめとする各事業において関係法令を遵守しておりますが、これらに反する行為が発生した場合、信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、グループ全体のコンプライアンス体制を推進し、コンプライアンスに関する各種取組みの検証や改善策の検討等を行っています。

 

(9)大規模投資期における財務負担

当社グループでは、鉄道事業における安全対策をはじめ、事業の継続性を確保するための中長期的な視点に立った設備投資を実施しているほか、2030年代に新宿・橋本エリアでの再開発等の大規模投資の本格化を計画しております。このため、大規模投資期においては、当社グループの財務負担の増加が見込まれます。当社グループでは、金利の長期固定化により市場金利の変動リスクを低減しているほか、余剰資金の活用等により有利子負債を適正水準に管理して財務健全性を維持し、大規模投資期のキャッシュアウトに耐えうる財務基盤づくりを進めてまいります。

 

(10)経済環境

当社グループは、鉄道事業を中心に、当社沿線を主たるマーケットとして事業を展開しており、国内の経済情勢の影響を受けております。消費の低迷、所有資産の価値低下、資材・原材料費の上昇や供給不足等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。現在、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格の高騰、資材・原材料等の価格上昇の影響を受けておりますが、引続き効率化や費用の削減に向けて、あらゆる施策に取り組んでまいります。

 

(11)法的規制

鉄道事業をはじめとする当社グループが展開する各事業については、様々な法令・規則等による規制を受けており、これらの規制に重大な変更があった場合、当社グループの事業活動が制限されるほか、法令・規則・開示制度等を遵守するための費用が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

なお、上記は当社グループの事業その他に関し、予想される主なリスクを具体的に示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

ア. 経営成績

連結営業収益は、すべてのセグメントで増収となり、3,471億3千3百万円(前期比15.8%増)、連結営業利益は、その他業を除く各セグメントで改善し、214億7千9百万円となりました。連結経常利益は217億7千2百万円(前期比305.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は131億1千4百万円(前期比134.8%増)となりました。

なお、連結EBITDAは、506億7百万円(前期比57.1%増)となりました。

また、連結減価償却費は、291億2千7百万円(前期比6.5%減)となりました。

 

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

増 減 額
(百万円)

増 減 率
(%)

連結営業収益

299,872

347,133

47,261

15.8

連結営業利益

740

21,479

20,739

連結経常利益

5,366

21,772

16,406

305.7

親会社株主に帰属する

当期純利益

5,585

13,114

7,528

134.8

連結EBITDA

32,208

50,607

18,399

57.1

連結減価償却費

31,164

29,127

△2,036

△6.5

 

(注)連結EBITDAは、連結営業利益 + 減価償却費 + のれん償却額により算出しております。

 

セグメントごとの経営成績の概要は、次のとおりであります。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

営 業 収 益

営 業 利 益 又 は 営 業 損 失 (△)

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 率

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 率

 

 

 

%

 

 

%

運輸業

99,232

111,193

12.1

△2,699

3,929

流通業

96,941

102,833

6.1

2,026

3,925

93.7

不動産業

47,202

52,841

11.9

10,470

12,090

15.5

レジャー・サービス業

32,982

52,752

59.9

△13,441

△2,173

その他業

62,548

64,711

3.5

5,142

4,478

△12.9

 計 

338,908

384,332

13.4

1,497

22,249

連結修正

△39,035

△37,199

△757

△769

連結

299,872

347,133

15.8

740

21,479

 

 
イ. 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、販売用不動産の取得による仕掛品の増加や有形固定資産の増加などにより490億2千1百万円増加し、9,552億3千3百万円となりました。
 負債は、社債の発行や借入金の増加などにより397億4千万円増加し、6,036億6千6百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより92億8千万円増加し、3,515億6千6百万円となりました。

 

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

増 減 額
(百万円)

増 減 率
(%)

総資産

906,212

955,233

49,021

5.4

負債

563,925

603,666

39,740

7.0

純資産

342,286

351,566

9,280

2.7

負債及び純資産

906,212

955,233

49,021

5.4

 

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加などにより、流入額は前連結会計年度に比べ31億8千2百万円減少し、250億3千9百万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出の増加などにより、流出額は前連結会計年度に比べ277億2千6百万円増加し、420億4千5百万円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行や長期借入れによる収入などにより、流入額は206億3千3百万円となりました。

これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は710億2千1百万円となりました。

また、有利子負債の当連結会計年度末残高は、4,026億5千3百万円となりました。

(注) 有利子負債は、借入金 + コマーシャル・ペーパー + 社債により算出しております。

 
③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの業種構成はサービス業が中心であり、受注生産形態をとらない会社が多いため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため第2〔事業の状況〕4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況においてセグメントごとの営業収益を示すこととしております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。重要な会計方針および見積りには、以下のようなものがあります。

ア. 有価証券の評価損

当社グループは金融機関や取引先等の株式を保有しております。これらの株式の評価、時価が著しく下落した場合の回復可能性については、当社グループで定める「金融商品取扱規程」により合理的に判断しておりますが、価格変動リスクを負っているため、将来、損失が発生する可能性があります。

イ. 固定資産の減損

当社グループは多くの固定資産を保有しております。これらの価値は個別物件の将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しているため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。

ウ. 退職給付債務および費用

当社グループの退職給付債務および費用は、年金資産の長期期待運用収益率や割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しているため、実際の結果が前提条件と異なる場合、または算出の前提条件に変更があった場合には、損失が発生する可能性があります。

エ. 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得等を合理的に見積っております。そのため、将来の課税所得の見積額等に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額または減額され、税金費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症が会計上の見積りに与える影響に関しては、第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕(1)〔連結財務諸表〕〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)に記載しております

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア. 経営成績等の状況に関する分析

当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策として取られていた行動制限が緩和されたことから、観光需要にも回復が見られるなど経済活動の正常化が進み、緩やかな持ち直しの動きがみられましたが、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格の高騰、資材・原材料等の価格上昇に加えて、欧米各国の金融引き締め策により海外景気の下振れが懸念されるなど、依然として先行きが見通せない厳しい状況が続きました。

このような情勢のもとで、当社グループは、2022年度を初年度とする「京王グループ中期3カ年経営計画」に基づき、コロナ禍以前の利益水準と財務体質を回復するため、大きく「各事業の足元の出血をできる限り早期に止める」ことと「2030年代を見据えた事業変革を完遂する」ことの2点に取り組んでまいりました。

なお、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

〔運輸業〕

a. 営業概況

鉄道事業では、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業について、事業主体である東京都と用地取得を引き続き進めたほか、代田橋駅~明大前駅間や桜上水駅付近などで高架橋柱の構築工事を進めました。安全への取組みでは、京王線布田駅~国領駅間を走行中の車内で発生した傷害事件を受けて、リアルタイム伝送機能を持つ防犯カメラの車両、駅への設置を進めました。また、警察・消防と連携した車内暴漢対処訓練を実施し、テロ行為等への抑止力を向上させるとともに、万一の場合でもお客様に被害が及ばないよう対応力を強化するなど、安心して当社線をご利用いただけるよう安全体制の強化に取り組みました。その他の安全性向上策では、笹塚駅において1番線、4番線でホームドアの使用を開始したほか、2番線、3番線でも設置に向けた準備を進めました。また、自然災害対策として、高架橋柱や盛土、トンネルなどの耐震補強工事を引き続き実施しました。営業面では、5000系車両1編成を増備するとともにダイヤ改正を実施し、「京王ライナー」の朝間および夕夜間時間帯の運行を拡大したほか、「Mt.TAKAO号」を増発するなど、利便性の向上をはかりました。新宿駅については、新宿駅西南口地区開発計画の進捗を受けて改良工事の検討に着手しております。環境への取組みでは、車両について、より消費電力削減効果に優れたVVVFインバータ制御装置への更新を進めたほか、駅構内の照明のLED化に取り組みました。

バス事業では、路線バスにおいて、JR西八王子駅と中野団地を結ぶ路線を新設したほか、CO等を排出せず騒音が少ない大型電気バスを東京都で初めて導入しました。また、運営を受託している「バスターミナル東京八重洲」の第1期エリアが開業し、営業を開始しました。さらに、橋本駅と物流拠点「GLP ALFALINK相模原」間において新たな従業員用通勤バスの運行を受注しました。

新たな取組みでは、専用ECサイトで注文した商品を駅の専用ロッカーで受け取ることができる「トレくるby KEIO」の実証実験を行いました。

なお、運輸業の各事業は、新型コロナウイルスの流行によりテレワーク等の新しい生活様式が定着するなか、移動需要が以前の水準には戻らないと想定されるなど、極めて厳しい事業環境にあります。このような中、効率化や費用の削減に向けて、あらゆる施策に取り組んでまいりましたが、公共交通事業者として安心で安全な運行を維持し、お客様サービスの向上を進めていくためには、運賃の改定が必要との判断に至りました。そこで、タクシー業では一部エリアについて11月に、バス事業では路線バスの一部エリアについて3月にそれぞれ運賃を改定するとともに、当社では3月に鉄道運賃の改定について認可申請を行いました。今後も経営努力を徹底していくとともに、安全・安心・快適な輸送サービスの実現を目指してまいります。

 

 

 

(単位:百万円)

業 種 別

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 率(%)

鉄道事業

64,141

71,096

10.8

バス事業

26,049

31,790

22.0

タクシー業

9,653

10,618

10.0

その他

2,351

2,418

2.9

消去

△2,963

△4,730

営業収益

99,232

111,193

12.1

営業利益又は営業損失(△)

△2,699

3,929

セグメント資産

413,608

426,412

3.1

 

 

 

(うち鉄道事業)

種  別

単 位

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 率(%)

営業日数

365

365

営業粁

84.7

84.7

客車走行粁

千粁

130,324

129,019

△1.0

輸送人員

定期

千人

287,659

308,409

7.2

定期外

213,565

245,480

14.9

501,224

553,889

10.5

旅客運輸収入

定期

百万円

25,195

26,311

4.4

定期外

35,260

40,819

15.8

60,456

67,130

11.0

乗車効率

31.5

35.3

 

(注) 乗車効率の算出は

延人粁

によります。

客車走行粁×平均定員

 

 

b. 業績等

鉄道事業では、前期と比べて回復が進み、旅客運輸収入が11.0%増(うち定期4.4%増、定期外15.8%増)となりました。また、バス事業およびタクシー業においても、増収となりました。これらの結果、営業収益は1,111億9千3百万円(前期比12.1%増)、営業利益は前期と比べて改善し39億2千9百万円となりました。

〔流通業〕
a. 営業概況

百貨店業では、「京王百貨店」新宿店において、新宿駅周辺地区の再開発にともなう環境変化を見据えて、全館にわたる大規模改装に着手し、2階から7階フロアの一部をリニューアルいたしました。4階には、ライフスタイル提案の強化を目的として“くつろぐ。はたらく。体験する。心地よく過ごせる自分時間”をテーマとした複合型カフェラウンジ「Lounge K」をオープンいたしました。また、「ぷらりと京王府中」に小型サテライト店をオープンいたしました。

ストア業では、「京王ストア」八幡山店および稲城店において、惣菜・冷凍食品売場の強化など売場リニューアルを実施したほか、(株)セブン‐イレブン・ジャパンのフランチャイズ店について、京王府中駅店など20店をオープンいたしました。

ショッピングセンター事業では、「ようこそ。遊ぶと働くの未完地帯へ。」をコンセプトとした複合施設「ミカン下北」をグランドオープンしました。同施設ロゴデザインは、世界3大デザイン賞のうち「Red Dot Design Award 2022」と「iF DESIGN AWARD 2023」の2つを受賞しております。また、「ぷらりと京王府中」の飲食フロア「TSUZUMI(つづみ)」のリニューアルを完了しました。

「京王ポイントサービス」では、お客様の利便性向上を目的として、スマートフォンをポイントカードとしてご利用いただける「京王パスポートデジタルポイントカード」の発行を開始しました。

 

 

 

(単位:百万円)

業 種 別

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 率(%)

百貨店業

27,108

31,077

14.6

ストア業

46,973

48,334

2.9

書籍販売業

5,322

4,748

△10.8

ショッピングセンター事業

14,012

14,871

6.1

その他

9,083

9,622

5.9

消去

△5,558

△5,821

営業収益

96,941

102,833

6.1

営業利益

2,026

3,925

93.7

セグメント資産

100,341

101,882

1.5

 

b. 業績等

百貨店業では、前期と比べて人流の回復が進み、増収となりました。ストア業では、スーパーマーケット事業で減収となったものの、コンビニ事業の売上増などにより増収となりました。また、ショッピングセンター事業では、2022年3月に開業した「ミカン下北」が寄与したことなどにより増収となりました。これらの結果、営業収益は1,028億3千3百万円(前期比6.1%増)、営業利益は39億2千5百万円(前期比93.7%増)となりました。

〔不動産業〕

a. 営業概況

不動産賃貸業では、賃貸マンション「ACOLT中野富士見町」および「MODIER NIHONBASHI NINGYOCHO」が竣工し、入居を開始しました。また、「働く」「遊ぶ」「食べる」などをテーマに入居者が交流できるスペースを備えた賃貸住宅「Well-Blend」について、蒲田など3棟で入居を開始しました。さらに、多摩境駅の近隣において店舗、オフィス、物流倉庫からなる複合施設の建設に着手しました。

不動産販売業では、共同販売を進めていた「ブリリアタワー聖蹟桜ヶ丘ブルーミングレジデンス」が竣工し、引渡しを開始しました。また、賃貸マンション「MODIER ICHIGAYA」を一棟販売したほか、バリューアップ工事を実施した新宿区西早稲田の賃貸マンションを一棟販売しました。さらに、(株)サンウッドと共同で進めている「(仮称)浜田山三丁目プロジェクト」において、新築分譲マンションの建設工事に着手しました。

なお、新宿駅西南口地区開発計画については、11月に都市計画決定の告示がなされたことを受け、新宿全体を活性化させる「新宿グランドターミナル」の実現に向けて本計画における南街区開発を推進するため、2023年4月から既存建物の解体工事に着手しました。

 

 

 

(単位:百万円)

業 種 別

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 率(%)

不動産賃貸業

37,539

37,529

△0.0

不動産販売業

17,032

21,913

28.7

その他

2,811

3,538

25.9

消去

△10,181

△10,140

営業収益

47,202

52,841

11.9

営業利益

10,470

12,090

15.5

セグメント資産

224,720

252,398

12.3

 

b. 業績等

不動産賃貸業では、前期並みに推移しました。不動産販売業では、分譲マンションや投資用マンションの売上増などにより増収となりました。これらの結果、営業収益は528億4千1百万円(前期比11.9%増)、営業利益は120億9千万円(前期比15.5%増)となりました。

〔レジャー・サービス業〕
a. 営業概況

ホテル業では、グループ各ホテルにおいて、「ただいま東京プラス」などの全国旅行支援に対応した専用宿泊プランを販売するなど、国内旅行需要の取り込みをはかりました。また、「京王プラザホテル(新宿)」において、季節毎の素材やテーマを冠したスイーツブッフェを展開するなど集客力の強化をはかったほか、コロナ後を見据え、インバウンド需要を取り込むため、海外セールス活動に取り組みました。さらに、「京王プラザホテル札幌」において開業40周年を記念した各種フェアを行ったほか、高山グリーンホテルにおいて本館地下1階大浴場「天領の湯~風雅~」をオープンいたしました。

旅行業では、プロスポーツチームや学生スポーツ大会の参加チームの選手等の移動・宿泊の取扱いを新規受注するなど営業強化に取り組みました。また、広告代理業では、八王子市日本遺産PRキャンペーンを受注したほか、都内商店街の魅力をPRするイベントの企画・運営を受注するなど収益拡大に取り組みました。

なお、事業の選択と集中をすすめるため、ホテル業において「京王プレッソイン東銀座」および「京王プラザホテル多摩」を閉館したほか、旅行業において、個人向け旅行商品を販売するカウンター店舗の一部について営業を終了しました。

 

 

 

(単位:百万円)

業 種 別

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 率(%)

ホテル業

24,227

39,433

62.8

旅行業

3,951

7,859

98.9

広告代理業

7,044

8,028

14.0

その他

5,001

5,805

16.1

消去

△7,242

△8,375

営業収益

32,982

52,752

59.9

営業損失(△)

△13,441

△2,173

セグメント資産

122,544

122,520

△0.0

 

b. 業績等

ホテル業では、10月以降の水際対策緩和による訪日外国人旅行客の増加や全国旅行支援の影響などにより、前期と比べて稼働率や客室単価が大きく回復し増収となりました。これらの結果、営業収益は527億5千2百万円(前期比59.9%増)となりました。また、前期と比べて改善しましたが営業損失は21億7千3百万円となりました。

〔その他業〕
a. 営業概況

ビル総合管理業では、東京都立多摩産業交流センター「東京たま未来メッセ」の施設管理に関する受託業務を開始しました。また、多摩都市モノレール(株)の多摩センター駅から玉川上水駅までの17駅についてエレベーターの保守・修繕業務を受注しました。

車両整備業では、東京都交通局から全般重要部検査業務や台車検査業務を受注したほか、三陸鉄道(株)から車輪交換業務を、わたらせ渓谷鐵道(株)から全般検査業務を受注するなど、引き続き各鉄道事業者から車両整備業務を受注しました。また、アルピコ交通(株)の上高地線鉄道車両の改造工事を完了し、同社新村車両基地(長野県松本市)に納入しました。

建築・土木業では、東京消防庁国分寺消防署新庁舎の建設工事を竣工したほか、多摩都市モノレール軌道桁伸縮装置更新工事や多摩市コミュニティセンター改修工事を完了しました。また、豊島区池袋や港区西麻布などでマンションを建設するなど、新築マンション建設工事の受注に取り組んだほか、トミンハイム国分寺泉町の大規模修繕工事を完了しました。なお、業容のさらなる拡大を目的として、京王建設(株)では2023年5月に(株)NB建設(本社:神奈川県横浜市)の全株式を取得し、子会社とすることとしました。

 

 

 

(単位:百万円)

業 種 別

前連結会計年度

当連結会計年度

増 減 率(%)

ビル総合管理業

24,271

26,377

8.7

車両整備業

9,087

7,637

△16.0

建築・土木業

23,314

23,598

1.2

その他

8,596

9,408

9.4

消去

△2,721

△2,310

営業収益

62,548

64,711

3.5

営業利益

5,142

4,478

△12.9

セグメント資産

37,965

37,733

△0.6

 

b. 業績等

ビル総合管理業では、受注増などにより増収となりました。一方、車両整備業では、受注減などにより減収となりました。これらの結果、営業収益は647億1千1百万円(前期比3.5%増)、営業利益は粗利益の減少などにより44億7千8百万円(前期比12.9%減)となりました。

 

イ. 資本の財源及び資金の流動性
 a. 重要な資本的支出の予定

2022年度を初年度とする「京王グループ中期3カ年経営計画」においては、引き続き、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業、車両やホーム上における防犯・安全対策の推進など安全性向上を中心とした投資のほか、販売用不動産等の仕入を推進してまいります。

 

連結資本的支出

2021年度

実績

2022年度

実績

2023年度

計画

2024年度

中期経営計画

338億円

528億円

675億円

636億円

 

 

鉄道事業投資額

2021年度

実績

2022年度

実績

2023年度
計画

2024年度
中期経営計画

138億円

186億円

380億円

333億円

 

 

 b. 重要な資本的支出に要する資金の調達源、資金の流動性

重要な資本的支出に要する資金は、営業活動によるキャッシュ・フローを充てるほか、不足する資金については、経済情勢や金利動向を勘案し、社債の発行や金融機関からの借入などによる調達を予定しております。なお、主力事業である鉄道事業の特性を鑑み、その設備資金は長期の負債(社債、長期借入金)を中心に調達してまいります。

短期的な運転資金は、運輸業などの日々の収入金を中心に、必要な流動性資金を十分に確保しております。また、CMS(キャッシュマネジメントシステム)によりグループ内の余剰資金を有効に活用しているほか、必要に応じてコマーシャル・ペーパーの発行による調達も実施してまいります。

当社グループでは、当社を中心に新型コロナウイルス感染症への対策としてBCP(事業継続計画)に基づき、社会インフラを担う企業グループとして、感染拡大防止と事業活動の継続に取り組んでおり、必要な流動性資金を十分に確保するため、コマーシャル・ペーパーや社債の発行のほか、借入金の調達などで手元資金を確保しております。

 

ウ. 目標とする経営指標の状況

2022年度における当社グループは、2022年度を初年度とする「京王グループ中期3カ年経営計画」に基づき、コロナ禍以前の利益水準と財務体質を回復するため、大きく「各事業の足元の出血をできる限り早期に止める」ことと「2030年代を見据えた事業変革を完遂する」ことの2点に取り組んでまいりました。「京王グループ中期3カ年経営計画」については、第2〔事業の状況〕1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕(2)経営環境及び対処すべき課題に記載のとおりです。

(単位:億円)

 

2021年度

実績

2022年度

実績

2023年度

計画

2024年度

中期経営計画

連結営業収益

2,998

3,471

3,680

3,880

連結営業利益

7

214

210

340

連結経常利益

53

217

197

324

親会社株主に帰属する当期純利益

55

131

158

240

連結EBITDA

322

506

531

675

 

(注)1.中期経営計画の目標の設定にあたっては、鉄道輸送人員はコロナ禍以前の水準と比べ、2024年度で15%減程度の水準を前提としております。国内レジャー需要は2023年度、訪日外国人旅行客による需要は2024年度中にそれぞれコロナ禍以前の水準まで達することを想定しております。

2.2023年度計画、2024年度中期経営計画の数値には、2023年3月に認可申請を行った当社鉄道事業の運賃改定による影響額は見込んでおりません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。