第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、2025年(第100期事業年度)を見据え、グループビジョン「YAMADA toward 2025」を掲げ、企業価値向上のための取り組みを推進しております。中期経営計画「Jump!!2024」の2年目となる2023年3月期は、コロナ禍の影響を最小限に抑え業績回復に努めました。また、積極的な改革の手を緩めることなく、新相模原工場の生産性向上や、新基幹システムの構築、新人事制度の構築など、更なる企業価値向上を目指す施策に取り組んでおります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「堅実で公正な企業活動を通じて、お客様のニーズ、社員の喜び、株主の期待、産業と社会の発展に誠実に取り組む」ことを企業理念として掲げ、ポンプ事業、カーメンテナンス機器事業、作業環境改善機器事業の三つの事業を核として、ものづくりの「品質へのこだわり」、販売からアフターサービスに至る徹底したお客様サービス「トータルサポート」でグローバルリーディングカンパニーを目指します。

 

(2) 目標とする経営指標

・企業の持続的な成長や価値向上のためには、持続的かつコンスタントな投資が不可欠であるという認識から、投資の原資となる収益を重視し、営業利益率の適正なマネジメントに努めます。2022年6月には新相模原工場が稼働を開始しましたが、償却負担も踏まえて早期に投資効果を実現し適切な利益を確保する必要性を認識しております。

・株主を重視する経営の観点から、株主資本に対する利益率(ROE)の向上を目指します。当社の将来へ向けた成長戦略とその着実な推進がそれを実現すると考えております。

・これらを実現していくため、人財と生産能力の質的向上に注力していきます。2023年3月に制定した当社の「人財ビジョン」に基づく人財育成を促進するとともに、2022年6月から稼働した新相模原工場の生産能力の極大化やサプライチェーンの再構築などにより原価低減や生産性向上に継続的に取り組んでいきます。

 

(3) 経営環境

国内市場において安定的に推移してきたオートモティブ部門は、自動車のEV化の流れが強まる中、市場の需要が大きく変質していくことが想定されますが、当面は底堅いニーズがあると見込んでおります。

海外市場においては、国際的な政治情勢の変動、エネルギー価格や原材料の高騰、世界的なインフレ進行と金融政策の動向など、先行きの不透明感が増しており、様々な要因が経営に与える影響も予測がより難しい環境になっております。しかしながら、当社の主力製品であるダイアフラムポンプに対する多様なニーズや潜在需要を鑑みると、グローバルに事業を行うなか各々の地域情勢に応じた戦略を展開することで持続的な成長を目指すことが可能と考えております。そのためには、グローバルカンパニーとしての組織力や人財力の向上が重要であると認識しております。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

・全世界への拡販

当社の製品があらゆる地域で利用していただけることを願い、常にお客様目線を念頭に市場把握力を強化する「ニーズに応えるマーケティング戦略」を推進し、グローバルな経営を推し進めます。

・技術開発

新製品の開発と新商品の探索を最優先課題として取り組み、「価格」と「価値」のベストバランスを実現した競争力の高い製品を市場に投入すべく、「ニーズに応えるものづくり品質向上戦略」を推進し、業容拡大と生産性向上に継続的にチャレンジします。

・お客様への対応力向上

製造から販売、さらにはメンテナンスに至るお客様への「トータルサポート」の実現を目指し、「トータルサポート向上戦略」を推し進めます。

 

・人財力強化

中期経営計画「Jump!!2024」においても、当社グループは引き続き大きな改革実現を目指しておりますが、その要諦はやはり、人財力と組織力の改革です。そのために当社は“開かれた組織”を目指してまいります。2023年3月に当社の求める人財像を「変化」「お客様志向」「共創」の3つの価値観で明確化した「人財ビジョン」を定めましたが、この価値観をしっかりと共有していくことで、当社グループや従業員個人を取り巻く様々な変化に対応し変革・改革を実現する力、組織や個人の枠に囚われず共創して物事を成し遂げる力を高め、常にお客様に目を向け事業を通じて社会に貢献し続けることを目指してまいります。

・情報力向上

激動する時代の変化を敏感かつ確実に捉え、よりよい意思決定と、最適な情報発信をすべく、「マネジメント基盤強化戦略」を推進し、IT基盤の強化を中心に情報力の強化を推し進めます。コロナ禍を契機として加速した働き方の多様化を支えるIT基盤の整備や変質または増加する情報リスクへのセキュリティの向上も進めてまいります。

 

(5) 中期経営計画「Jump!!2024」の基本方針

1. 市場拡大

2. 生産効率化

3. 人財力強化

4. 事業継続計画(BCP)

5. 働き方の多様化

 

<三大戦略>

・マーケティング戦略

国内外ともダイアフラムポンプの売上拡大に最大注力する。市況の成り行きに抗う。

・生産戦略

ダイアフラムポンプを中心に原価低減を更に推し進める。売上拡大による量産効果だけでなく、全局面で原価低減し、利益を確保する。

・人財戦略

売上拡大、原価低減を支える人財戦略を迅速に実行する。

 

<共通戦略基盤>

・BCP、DR(事業継続計画、災害復旧計画)

収益性の回復の前提として、感染症から命を守り、事業を継続することで、社員と取引先の生活と安心を維持する。

・ABW(機能に応じた働き方、働く場の実現)

これまでの仕事の仕方を変えていくため、働く「場」も変えていく。

 

<財務戦略>

・外部負債の圧縮、資金コストの削減

大方針である収益性の回復によって生み出されるキャッシュ・フローを重点施策と成長領域に再投資していくことによって、持続的成長と企業価値向上を図りながら安定的な株主還元を実現していく。

収益管理の観点では売上高営業利益率を、資本効率の観点ではROEを重要指標とする。

 

<重点施策目標>

・売上高総利益率向上(営業)×製造原価率の低減(工場)

 

<コロナ後を見据えた仕込み>

・ITを積極活用した「見える化」すなわち当社グループにとってのDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループでは、従来より「行動憲章」、「行動規範」及び「環境方針」において地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適性な取引などについて定めております。なお、「行動憲章」、「行動規範」及び「環境方針」は、当社HPの「CSR情報」(https://yamadacorp.co.jp/csr/)に掲載がございますので、ご参照ください。

また、帰属する地域や社会の持続可能性への視点を常に持ち、国際社会の潮流や対応の動向を捉え、事業環境の変化やリスク及び機会を適切に評価できる体制を構築し、当社グループの事業の継続、持続的な成長を図っていきます。

上記については当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)ガバナンス

 環境、社会、経済におけるリスクが世界規模・地球規模で相互に関連し多様化や複雑化するなかで、適時・適切なリスクマネジメントを行っていくため、従前の事業等のリスクへの対応に限定された統治体制からより広範囲のリスクを統治する体制に拡充し、サステナビリティ管理規程を定め、サステナビリティ委員会を設置しております。

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サステナビリティ委員会の構成メンバー

委員長:取締役管理本部長

委 員:取締役、社外取締役、執行役員、常勤社外監査役

 

(2)リスク管理

サステナビリティに関するリスクについて、連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)に記載のとおり、当社グループは、海外市場も含めた製商品の販売を行っており、また材料・部品等も海外調達が増加していることから、国際情勢の動向の影響を強く受けやすい経営環境に置かれております。また、当社の主要な事業セグメントの一つであるオートモティブ部門は、環境・気候変動対策の影響を大きく受ける自動車産業を対象としており、これらの事由より、サステナビリティに関する主なリスクを下記のとおり分類しております。

 

①国際情勢や地政学的な動向に起因するリスク

・当社が事業を展開するマーケットへの影響

当社販売の地域セグメントは「日本」「米国」「オランダ」「中国」「タイ」となっており、連結売上高に占める海外売上は全体の過半数を超える事から、政治・経済等の国際情勢の急激な変化や輸出管理規制等の法務リスクおよびテロ・紛争等による情勢不安などにより、各地域の販売市場の縮小や閉鎖、また、営業活動が著しく制約される可能性をリスクとして認識しております。

・サプライチェーンへの影響

当社グループは、製造に関わる部品・材料を、国内のみならずインド・中国・ベトナム等から調達しており、自然災害、パンデミック、国際紛争、人権問題等による調達先の閉鎖、材料・部品納入の遅延等により、生産工場の稼働率低下や需要に対して供給が出来なくなる事による機会損失が発生する可能性があります。

また、諸外国も含めた調達先の人権問題等が判明し、当社販売先のポリシーに抵触することによる取引制限やサプライチェーンから排除される可能性があります。

 

②環境・気候変動への対応

当社の主要な事業セグメントの一つであるオートモティブ部門については、温室効果ガス排出規制に伴うガソリン車からEV車への転換に伴うカーメンテナンス製品の需要の変化により、市場が大きく変質する可能性をリスクまたは機会と認識しております。

当社の環境対策への取組みとしては、相模原工場において、太陽光熱で加熱した温水の給湯や床暖房への利用や地熱を利用した冷暖房機器の設置等、環境に配慮した施設整備を進めております。

 

上記のサステナビリティに関するリスクについて、サステナビリティ委員会にて定期または随時にリスクと機会の評価を行うとともに必要な対策や戦略を検討し、重要な事項については取締役会に諮り、当社グループの経営方針や施策に反映させております。

なお、事業等のリスクについては、有価証券報告書 第2 事業の状況「3.事業等のリスク」に記載の通りでございます。

 

(3)人財に関する戦略及び目標

当社グループの中期的な経営戦略において、事業のグローバルな展開がさらに加速するなか、社員の総合力向上、女性の積極的登用、コンプライアンスへの意識強化に注力し「社内風土改革・人材力強化戦略」の推進を掲げております。

これからも変化に対応し持続的に成長できる企業文化を醸成するとともに、各階層で次代を担う人材育成に取組んでいきます。

①人財ビジョンの制定・人事制度の再構築

企業理念等に基づき、当社で活躍し次世代を担う人財像を「3つの価値観」に集約した人財ビジョンを2023年3月に制定しました。

(人財ビジョンの3つの価値観)

『変化』

今までの固定観念を疑い、自らの殻を破り、変化を楽しみ、変革を成し遂げられる人財

『お客様志向』

お客様の潜在ニーズを探り、創意工夫を凝らし、お客様価値を創造し続ける人財

『共創』

共通の目標に向かって共に成長し、仲間の長所を引き出し、生かせる人財

 

今後、当社人財ビジョンを社内外に周知することにより様々な施策の基盤として浸透、定着させていき、2023年度から人財ビジョンに基づく評価制度の運用を開始し、2025年度を目途に新たな人事制度の導入を計画しています。

②従業員の成長支援・次世代リーダーの育成

・従業員個人個人の成長をきめ細かく支援するとともに、各階層の業務遂行力を向上する教育研修等を充実します。

・部署を横断した階層別研修を実施し、各々の課題や役職ごとの役割等を共有し、業務レベルの向上および社内コミュニケーションの向上により、人財ビジョンで求める人財育成を進めます。

・次期管理職候補としての係長等を対象とし、一定期間所属部署以外の業務を体験させ、部署間の相互理解と人事交流活性化を促進するプログラムを実施することで次世代人財の育成を図ります。

・資格取得に対して報奨金を支給する資格取得奨励制度や外部研修、通信研修、英会話研修等の様々な研修制度を拡充し、従業員の自主的なスキルアップを促進しております。2023年3月時点の英会話研修受講率は累計で10.9%とグローバルな人材の育成にも注力しており、今後は海外拠点での研修制度の導入等も予定しております。

・当社グループでは、さらなる女性の積極的登用、性別や国籍にとらわれない優秀な人財が活躍できる環境作りに取り組むとともに、次世代リーダーとなる管理職、監督職の育成に努めております。

2023年3月時点での女性管理職比率はグループ全体で8%ですが、2028年3末までに10%以上の達成を目指しています。

(参考)女性管理職比率の推移

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

管理職数

76人

76人

83人

女性管理職数

4人

5人

7人

女性管理職比率

5%

7%

8%

 

③働き方改革の促進

当社グループでは、2022年度の時間外労働の年間平均時間が10.2H、有給休暇取得率が83.9%など働きやすい環境の実現に取組んでおります。良好な労働環境の維持とともに、より多様な働き方の実現に向け様々な施策を継続的に実施しております。

(取組事例)

・相模原工場および製商品物流センターでは、自由に働き場所を選ぶことができるフリーアドレスを導入し、業務の効率化や部署間の交流を促進しております。

・在宅勤務制度や時差出勤制度を2021年度から、また、時間単位有給休暇を2023年度から導入し、社員一人一人が更に多様な働き方ができるよう対応しております。

・働き方改革の一環として、社員がより快適に働ける職場環境の提供を目指し「通年服装自由化」を実施しております。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には次のようなものがありますが、すべてのリスクを網羅するものではありません。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避あるいは発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済環境の変化によるリスク

 当社グループの主力製品であるダイアフラムポンプ及びオートモティブ製品の業界は、国内外の景気動向・設備投資動向に大きく影響を受ける傾向にあり、さらに国又は地域の経済事情による様々なリスク要因も存在しております。このような経済環境の変化は当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)海外事業展開によるリスク

 当社グループは成長戦略の一環として、海外事業の拡大を進めております。海外事業は、グローバル経済や為替などの動向、投資や競争などに関する法的規制、商習慣、労使関係など、様々な要因の影響を受ける可能性があります。海外事業のリスク管理は、現地のグループ会社や拠点が当社主幹組織と連携し、状況の的確な把握と速やかな対策の協議等、管理体制の向上に取り組んでおります。しかしながら、これらのリスクが予期しない形で顕在化した場合は、当社グループの事業及び業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)為替レートの変動によるリスク

 当社グループは、外貨建ての売上、資産、負債などがあり、急激な為替レートの変動は、売上高や損益、資産や負債などの財務諸表上の円換算により、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品の品質に関するリスク

 当社グループの製品は、世界で認められる品質管理基準のもと、国内外で製造及び販売を行っておりますが、将来にわたり、全ての製品において欠陥が発生し得ないという保証はありません。製造物賠償責任については、保険に加入しておりますが、重大な品質問題が生じた場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)金利変動によるリスク

 当社グループは、金利変動リスクを抱える金融資産・負債を保有しており、想定を超えた金利の変動は、受取利息、支払利息及び金融資産の価値に影響を与え、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)投資有価証券に関するリスク

 当社グループは、投資有価証券を保有しており、その評価額の変動は当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)設備投資計画におけるリスク

 当社グループは、成長が期待される分野に重点をおいた戦略的投資、並びに合理化及び更新のための設備投資等を実施しておりますが、グループ事業の拡大が想定通りなされなかった場合や、カントリーリスク等国内とは異なる環境に晒される海外事業については、減価償却負担の増加や投資回収の長期化など、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)情報セキュリティにおけるリスク

 当社グループは、当社グループ内及び取引先等の機密情報や個人情報を有しています。これらの情報について、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とセキュリティの強化、社員教育等を行っております。しかし、過失や盗難等によりこれらの情報が流出あるいは改ざんされる可能性があり、万が一、こうした事態が発生した場合には、当社の社会的信用の低下や損害賠償等の費用により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)災害・事故及び感染症等によるリスク

 当社グループは、国内外に事業拠点を有しております。各拠点では不慮の自然災害、火災等の事故、感染症発生等に対する防災、事業継続性の確保に努めておりますが、想定をはるかに超えた状況が発生した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)固定資産の減損会計によるリスク

 当社グループが保有する固定資産において、将来キャッシュ・フローにより資産の帳簿価額を回収できないと判断される場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する必要があります。当社グループが保有する固定資産において減損損失を計上する必要になる場合は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済の動向は、米国においては、実質GDPのプラス成長は続いているものの、住宅投資はマイナス成長になるなど、FRBによる金融引き締めが民間需要を低迷させており、設備投資や個人消費の成長率の伸びも鈍化しました。

欧州においては、高インフレと金融引き締めを受けて景気は減速しておりますが、景況感は底打ちし、ガス価格の低下、堅調な雇用環境、脱ロシアや復興基金などに後押しされた投資需要などが成長の下支えとなりました。

中国をはじめとする新興国経済は、中国においては、上海市の事実上のロックダウンなどから経済活動に支障をきたし、成長率を大きく押し下げました。ゼロコロナ政策の堅持により緩やかに回復しましたが、その後、ウィズコロナ政策に舵を切ったものの、各地で感染爆発が発生し再び失速するなど一進一退の動きが続きました。

一方、日本経済においては、鉱工業生産は、供給制約や海外経済減速に伴う輸出の低迷を受けて弱い動きとなりましたが、個人消費は、対面型サービスを中心に持ち直してきており、また、設備投資も高水準の企業収益を背景に底堅く推移しているなど、一部に弱さがみられるものの、緩やかな持ち直しの動きとなりました。

こうした中、当社グループにおいては、オートモティブ部門の売上は、環境改善機器でありますフロンガス交換機が好調を維持したことにより順調な推移となり、また、インダストリアル部門では、当社の主力製品でありますダイアフラムポンプの売上が海外を中心に増加し好調な推移となりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。

a.財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は18,059百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,020百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加(981百万円)等によるものであります。

 負債合計は4,315百万円となり、前連結会計年度末に比べ438百万円の減少となりました。これは主に長期借入金の減少(△333百万円)、未払法人税等の減少(△125百万円)等によるものであります。

 純資産合計は13,743百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,459百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加(1,240百万円)、為替換算調整勘定の増加(220百万円)等によるものであります。

 この結果、自己資本比率は74.5%となりました。

b.経営成績

 当連結会計年度の連結売上高は13,716百万円(前年同期比1,512百万円、12.4%増)となりました。売上高を部門別にみますと、オートモティブ部門は3,465百万円(前年同期比72百万円、2.1%増)、インダストリアル部門は8,572百万円(前年同期比1,240百万円、16.9%増)となり、上記部門に属さないサービス部品や修理売上などのその他の部門の売上高は1,678百万円(前年同期比199百万円、13.5%増)となりました。

 利益面では、売上総利益は5,746百万円(前年同期比396百万円、7.4%増)となり、営業利益は1,872百万円(前年同期比61百万円、3.4%増)、経常利益は2,095百万円(前年同期比398百万円、23.5%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,494百万円(前年同期比327百万円、28.0%増)となりました。

 当連結会計年度における報告セグメントの業績は次のとおりであります。

 日本における外部顧客に対する売上高は6,300百万円(前年同期比196百万円、3.2%増)、営業利益は1,122百万円(前年同期比△71百万円、6.0%減)となりました。米国における外部顧客に対する売上高は4,837百万円(前年同期比972百万円、25.2%増)、営業利益は602百万円(前年同期比242百万円、67.5%増)となりました。オランダにおける外部顧客に対する売上高は1,311百万円(前年同期比95百万円、7.9%増)、営業利益は62百万円(前年同期比16百万円、37.1%増)となりました。中国における外部顧客に対する売上高は948百万円(前年同期比220百万円、30.4%増)、営業利益は101百万円(前年同期比27百万円、36.6%増)となりました。タイにおける外部顧客に対する売上高は318百万円(前年同期比26百万円、9.2%増)、営業利益は67百万円(前年同期比28百万円、71.7%増)となりました。

 また、当連結会計年度の連結売上高に占める海外売上高は7,803百万円(前年同期比1,237百万円、18.9%増)で、その割合は56.9%(前年同期53.8%、3.1ポイント増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は4,530百万円となり、前連結会計年度末に比べ981百万円の増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは1,729百万円の純収入(前年同期は778百万円の純収入)となりました。これは主に棚卸資産の増加156百万円、仕入債務の減少208百万円等の支出要因があったものの、税金等調整前当期純利益2,081百万円等の収入要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは343百万円の純支出(前年同期は1,315百万円の純支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による302百万円等の支出要因があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは463百万円の純支出(前年同期は159百万円の純支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による227百万円、配当金の支払による253百万円等の支出要因があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

6,004,644

110.9

米国(千円)

オランダ(千円)

中国(千円)

タイ(千円)

合計

6,004,644

110.9

(注) 金額は製造原価で表示しております。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

968,383

99.0

米国(千円)

811,322

115.5

オランダ(千円)

329,934

132.5

中国(千円)

タイ(千円)

合計

2,109,640

109.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は仕入価格で表示しております。

c.受注実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、販売計画に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

日本(千円)

6,300,994

103.2

米国(千円)

4,837,896

125.2

オランダ(千円)

1,311,196

107.9

中国(千円)

948,008

130.4

タイ(千円)

318,766

109.2

合計

13,716,862

112.4

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、採用している重要な会計方針は、第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。

 当社グループの連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択や適用、資産・負債及び収益・費用の報告及び開示に影響を与える見積りを必要とします。その見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づく様々な要因を考慮し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

 当連結会計年度末における資産合計は18,059百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,020百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加(981百万円)等によるものであります。

 負債合計は4,315百万円となり、前連結会計年度末に比べ438百万円の減少となりました。これは主に長期借入金の減少(△333百万円)、未払法人税等の減少(△125百万円)等によるものであります。

 純資産合計は13,743百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,459百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加(1,240百万円)、為替換算調整勘定の増加(220百万円)等によるものであります。

 この結果、自己資本比率は74.5%となりました。

2)経営成績

 当連結会計年度の連結売上高は13,716百万円(前年同期比1,512百万円、12.4%増)となりました。利益面では、売上総利益は5,746百万円(前年同期比396百万円、7.4%増)となり、営業利益は1,872百万円(前年同期比61百万円、3.4%増)、経常利益は2,095百万円(前年同期比398百万円、23.5%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,494百万円(前年同期比327百万円、28.0%増)となりました。

3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は4,530百万円となり、前連結会計年度末に比べ981百万円の増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは1,729百万円の純収入(前年同期は778百万円の純収入)となりました。これは主に棚卸資産の増加156百万円、仕入債務の減少208百万円等の支出要因があったものの、税金等調整前当期純利益2,081百万円等の収入要因があったことによるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは343百万円の純支出(前年同期は1,315百万円の純支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による302百万円等の支出要因があったことによるものであります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは463百万円の純支出(前年同期は159百万円の純支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による227百万円、配当金の支払による253百万円等の支出要因があったことによるものであります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

72.8

77.4

71.7

70.4

74.5

時価ベースの自己資本比率(%)

43.7

35.0

38.8

36.2

37.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.4

0.4

1.4

2.4

1.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

615.7

101.2

275.6

134.3

580.7

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式を除く期末発行済株式数により算出しております。

※ 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、2025年(第100期事業年度)を見据え、グループビジョン「YAMADA toward 2025」を掲げ、企業価値向上のための取り組みを推進しております。中期経営計画「Jump!!2024」の2年目となる2023年3月期は、コロナ禍の影響を最小限に抑え業績回復に努めました。また、積極的な改革の手を緩めることなく、新相模原工場の生産性向上や、新基幹システムの構築、新人事制度の構築など、更なる企業価値向上を目指す施策に取り組んでおります。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、市場動向、海外事業展開、為替動向、製品品質、金利動向、投資有価証券、設備投資計画、情報セキュリティ、災害・事故及び感染症等、固定資産の減損会計があります。

 市場環境については、国内外の景気動向・設備投資動向に大きく影響を受ける傾向にあり、国又は地域の経済事情による様々なリスク要因も存在し、このような経済環境の変化は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 海外事業展開については、成長戦略の一環として、海外事業の拡大を進めており、グローバル経済や為替などの動向、投資や競争などに関する法的規制、商習慣、労使関係など、様々な要因の影響を受ける可能性があります。海外事業のリスク管理は、現地のグループ会社や拠点が当社主幹組織と連携し、状況の的確な把握と速やかな対策の協議等、管理体制の向上に取り組んでおりますが、これらのリスクが予期しない形で顕在化した場合は、当社グループの事業及び業績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 為替動向については、外貨建ての売上、資産、負債などがあり、急激な為替レートの変動は、売上高や損益、資産や負債などの財務諸表上の円換算により、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 製品品質については、世界で認められる品質管理基準のもと、国内外で製造及び販売を行っておりますが、将来にわたり、全ての製品において欠陥が発生し得ないという保証はありません。製造物賠償責任については、保険に加入しておりますが、重大な品質問題が生じた場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 金利動向については、金利変動リスクを抱える金融商品・負債を保有しており、想定を超えた金利の変動は、受取利息、支払利息及び金融資産の価値に影響を与え、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 投資有価証券については、当社グループは投資有価証券を保有しており、その評価額の変動は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 設備投資計画については、成長が期待される分野に重点をおいた戦略的投資、並びに合理化及び更新のための設備投資等を実施しておりますが、グループ事業の拡大が想定通りになされなかった場合や、カントリーリスク等国内とは異なる環境に晒される海外事業については、減価償却負担の増加や投資回収の長期化など、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 情報セキュリティについては、当社グループは、当社グループ内及び取引先等の機密情報や個人情報を有しております。これらの情報について、グループ全体で管理体制を構築し、徹底した管理とセキュリティの強化、社員教育等を行っておりますが、過失や盗難等により、これらの情報が流出あるいは改ざんされる可能性があり、万が一、こうした事態が発生した場合には、当社の社会的信用の低下や損害賠償等の費用により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 災害・事故及び感染症等については、当社グループは国内外に拠点を有しており、各拠点では、不慮の自然災害、火災等の事故や感染症発生等に対する防災、事業継続性の確保に努めておりますが、想定をはるかに超えた状況が発生した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 固定資産の減損会計については、当社グループが保有する固定資産において、将来キャッシュ・フローにより資産の帳簿価額を回収できないと判断される場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する必要があり、当社グループが保有する固定資産において減損損失を計上する必要になる場合は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な資金(材料・外注費及び人件費等)、営業活動に係る販売費及び一般管理費等、新製品開発に係る研究開発費等の営業費用等によるものであります。投資活動については、成長期待分野に重点をおいた戦略的投資、合理化及び更新のための設備投資等が主な内容であります。

 当連結会計年度における設備投資等の資金については、全て自己資金によっております。

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、収益性を重視する観点から、売上高に占める営業利益率の向上に努めます。また、株主を重視する観点から、株主資本に対する利益率(ROE)の向上に努めます。

(参考)主要な経営指標の推移

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

売上高営業利益率(%)

16.1

12.1

12.1

14.8

13.6

ROE(自己資本利益率)(%)

14.7

9.6

8.7

10.2

11.7

売上高営業利益率:営業利益/売上高

ROE(自己資本利益率):親会社株主に帰属する当期純利益/((期首自己資本+期末自己資本)÷2)

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 日本における外部顧客に対する売上高は6,300百万円(前年同期比196百万円、3.2%増)、営業利益は1,122百万円(前年同期比△71百万円、6.0%減)となりました。米国における外部顧客に対する売上高は4,837百万円(前年同期比972百万円、25.2%増)、営業利益は602百万円(前年同期比242百万円、67.5%増)となりました。オランダにおける外部顧客に対する売上高は1,311百万円(前年同期比95百万円、7.9%増)、営業利益は62百万円(前年同期比16百万円、37.1%増)となりました。中国における外部顧客に対する売上高は948百万円(前年同期比220百万円、30.4%増)、営業利益は101百万円(前年同期比27百万円、36.6%増)となりました。タイにおける外部顧客に対する売上高は318百万円(前年同期比26百万円、9.2%増)、営業利益は67百万円(前年同期比28百万円、71.7%増)となりました。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、空圧式駆動ポンプを主力製品として、その市場分野が広範囲にわたるため、各市場ニーズに適応した製品の開発・改良を積極的に行っており、海外子会社のヤマダアメリカINC.、ヤマダヨーロッパB.V.、ヤマダ上海ポンプ貿易有限公司及びヤマダタイランドCO.,LTD.は当社製品に関連する海外のマーケティング情報を提供しております。

 研究開発は主に当社の技術部によって行われており、オートモティブ部門においては、自動車自体の技術革新に対応すべく、車両整備機器及びその派生機器の開発を行っております。また、インダストリアル部門においては、世界市場の多角的なニーズ、新たなニーズに応え、さらに潜在的なニーズを掘り起こすべく、ダイアフラムポンプの開発を行っております。

 当社は、製造・販売体制を基礎とした地域別のセグメントから構成されており、「日本」、「米国」、「オランダ」、「中国」、「タイ」の5つを報告セグメントとしておりますが、研究開発については、全てのセグメントに係るため、一括して表示しております。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は25,940千円であります。