文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営方針
当社グループは創業以来「社業の発展を通じ社会に貢献する」を社是として経営を行なっております。
お取引先である電力業界や多岐に亘る各産業界においては、環境等の社会課題に対しての関心や意識が高まるとともに、継続的な改善等の積み重ねと飛躍的な技術革新等を背景に、たゆまぬ進化と変貌が続いておりますが、当社グループは、そうした進化・変貌を能動的かつ的確に捉え、お取引先および社会からの要請や期待に応えられるよう、常に先進性と多様性を保持するとともに、永年培ってきた知見と機能を活かし、産業設備・機器等の商取引を通じ社会に貢献してまいります。
(2)グループポリシー、グループ行動規範、グループミッション
当社グループは、結束力やグループ経営を推進していくため、「グループポリシー」、「グループ行動規範」、「グループミッション」を定め、グループに属する各社および、そこで働く社員一人ひとりがこれらを共有し、日々の行動に繋げ、グループ全体で企業価値の向上を目指しております。
(3)長期経営ビジョン
当社グループは、気候変動への対策としてのカーボンニュートラルの取り組みなど「環境」をめぐる変化の流れのなかにこそ、貢献すべきことがあるはずと考え、以下を基本戦略とする2030年に向けた長期経営ビジョン「VIORB 2030」を策定しました。
1)当社の存在意義
エネルギーおよび産業のインフラ分野に強みを持つ商社を核とする企業グループとして、地球環境と調和したサステナブルなエネルギー創出・産業活動を支援する。
2)事業面での重点分野
以下の4点をキーワードとして掲げ、時代の流れに応じたユーザーニーズと技術を的確に捉えて対応することで、ビジネスを創り上げていく。
① 脱炭素のユーザーニーズと技術革新を機敏に捉えビジネス化
② 省エネ・省資源に関する産業界の恒久ニーズへの支援を拡大
③ サーキュラーエコノミーの進展・実現の動きへの対応を強化
④ デジタルトランスフォーメーションを広義に捉え商機を探求
3) 経営面での主要施策
上述の事業展開を支え、現実性のあるものとするため経営面では当面の主要施策として以下のことを実行する。
① キャッシュマネジメントの仕組みの整備による資金余力の最大化
② 100億円規模の事業投資による既存事業の深化と事業領域の拡張
③ SDGsに資すると判断される事業や活動を応援するため10億円のファンドを設定
④ 組織スリム化と生産性向上による重点分野への人的リソース投入
⑤ グループ各社毎の特性を踏まえた強みを明確にし経営資源を集中
(4)中期経営計画 VIORB2030 Phase1
2023年4月から2027年3月までの4ヵ年計画として、中期経営計画「VIORB2030 Phase1」を策定し推進しております。
長期経営ビジョン「VIORB 2030」の前半部を担い、当社グループが飛躍的に成長する礎を築くための計画として位置付けております。
なお、本中期経営計画の初年度より、長期的目線で成長のトレースが出来る明確な区分とするため、従来の4セグメントから「エネルギー事業」「産業機械事業」「プロダクト事業」の3セグメントへと変更いたしました。夫々のセグメントで実効性の高い事業戦略を策定してまいります。
① 成長戦略
以下の戦略を軸とし、持続的な収益構造を確立、グループ全体の強靭化を図ります。

② 経営数値目標
(連結)
(5)会社の対処すべき課題
当社は、2030年度に向けた長期経営ビジョンであるVIORB 2030を2022年度に公表しておりますが、今般、その2年目(2023年度)から2026年度までの期間をカバーする新たな中期経営計画を策定し、2023年5月に公表しました。この新中計は、VIORB 2030の基本思想を踏襲し、『環境』を主たるテーマとして掲げ、それにまつわる取引先と社会の要請や期待に応えられるよう努めるとともに、それを成長ドライバーとして当社自身の持続的な成長と中長期的な企業価値向上につなげるという基本戦略のもと、その戦略を地に足がついた形で実行に移していくための道標として、また成果を測るための指標となるものとして、具体的な取組み方針、主要施策および数値目標が記されたものとなっています。現進行期である2023年度は、この新中計の初年度であり、まずは本計画に基づく経営および事業活動を軌道に乗せるとともに、検証・修正を交えつつも、加速させていけるよう、着実に実践・推進してまいります。
当社は、三菱重工業株式会社との間で原子力発電所設備関連の販売代理店契約を締結し、2023年4月1日より原子力発電の主要機器・設備に関わる代理店業務を開始しております。加えて、他のメーカー製品の原子力発電設備における代理権も多く同時に取得しており、今後は、当社の主力事業のひとつという位置付けで、原子力発電関連業務に取り組んで行くことになります。当社は、火力発電設備に関わる代理店業務においては長い歴史と経験を有しておりますが、原子力発電関連業務は、それとは性質の異なる部分も多く、新たな事業領域と捉えて、真摯かつ丁寧に取り組む必要があると考えております。既に、拠点新設を含む組織の構築、経験者の採用を含む要員・体制の増員、手続きやシステムに関する整備など、業務開始に当たって必要な手当ては実施しておりますが、それらが実際に有効に機能するよう不断に検証と修正・改善を重ねつつ、早期に安定的な運営が実現され、当社に期待される役割を果たせるよう努めてまいります。
③ 事業投資等を活用した商権の拡大、競争力ある商材等の確保
長期経営ビジョンVIORB 2030およびそれを踏まえた新中期経営計画においては、新たに優良な商権を獲得のうえ実効的に運用できるようにして事業の拡大につなげるため、また競争力ある技術・製品等を当社グループの手持ち商材化するため、有効かつ必要と判断される場合には、躊躇なく効率的に投資を活用する、ということを事業戦略の中核のひとつとして掲げております。そのために、各営業現場では普段から仕入メーカー等取引先と肌理細かく交流・対話することで情報収集に努め、一方、本部サイドでは収集・連携されたシーズ情報に基づき調査・分析と深耕を図るとともに投資の要否・是非を判断する、という体制・フローを整えております。
また、資金面からもこの事業戦略を担保するために、コミットメントラインを含むキャッシュマネジメントの仕組みを導入し運用を始めることで資金余力の最大化を図っており、必要な際には時機を逸せずに資金を投入することができる態勢が整っております。
④ 経営資源である社員のモチベート・成長を図る人事施策の遂行
当社グループにおいては、人材は最も重要な経営資源であり、日々の事業活動を支えているというのみならず、目指すべき持続的な成長と中長期的な企業価値向上を現実のものとするためのキーでありドライバーでもあると捉えております。当社グループでは、こうした位置付けにある人材=社員に関し、モチベーションを高揚させ、成長を促すとともに、全員の能力と役割とが最適にマッチした人員配置をすることで、組織としてのパフォーマンスの最大化を図ることを目指しております。その実現のために、人事制度の見直し、教育体系の高度化、働き方改革、といった人事関連施策を着実に進めてまいります。
また、会社の持続性の観点では経営を担うに足る素養を備えた人材が安定的に輩出されることが重要と考え、能動的に経営人材の育成を図る取組みについても継続していきます。
⑤ グローバル/グループベースの連結経営の高度化と営業力強化
当社グループは、13カ国29社の会社から成る企業グループとして存在しております。その各々が自社の強みを認識・定義し経営資源を集中するとともに、グループとしてのシナジーを発揮していくことで、グループ全体としての成長と価値向上を図っていきます。そのために、人材の交流と最適活用、資金の共有と効果的投入、業務上の連携と課題共有、管理部門の共有化等による生産性向上と重点分野へのリソース配分、など連結経営の高度化に取り組んでまいります。
また、商社型の海外現地法人については、事業面においては、当社本体の営業場所と同等に、本部機能から情報・商材・意思決定・手続き等に係る支援が得られるようにするとともに、国内営業場所との協働を活性化させることで、営業力の強化を図っていきます。
⑥ 資本コストや株価を意識した経営の実現へ向けた対応
東京証券取引所より「資本コストや株式を意識した経営の実現に向けた対応について」の要請文が2023年3月31日付けで発表・通知されております。企業がステークホルダーの期待に応え持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するためには、売上や利益水準だけでなく、バランスシートに基づく資本コストや資本収益性を意識して経営することが重要、という主旨のものですが、プライム市場上場企業であり本件要請の背景にあるROEやPBRが低い企業が多いという具体的問題にも該当する当社は、本件要請を切迫した課題として捉え真摯に対応してまいります。まずは当社の現状分析をしたうえで、PBR1.0倍超ほかを実現すべく、改善のための目標・計画と取組みを策定し、わかりやすく情報開示してまいります。
⑦ サステナビリティに関わる経営上の体制整備と対外アピール
「持続可能な社会の実現」が社会全体の課題として認識されるようになり、企業経営においてもSDGs等のサステナビリティを意識した戦略を打ち出す先が多く見られます。当社は「社業の発展を通じ社会に貢献する」を社是としており、また長期経営ビジョンVIORB 2030では「地球環境と産業発展のためにわたしたちができることは」と謳い、環境配慮と持続的成長の両立を誓い・表明しております。これを具体的な行動に落とし込み、より実効性の高いものとするとともに、対外的にも宣言できるようにするため、サステナビリティ委員会を設置したうえで、その下で、サステナビリティに関し、基本方針の策定、既存分を含む関連施策の体系整備、その実施状況フォローと情報開示、等を検討・推進してまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)基本的な考え方
当社グループは、「地球環境と調和したサステナブルなエネルギー創出・産業活動を支援する」というパーパスを実践し、豊かな社会の実現に貢献するため、2030年に向けた長期経営ビジョン「VIORB 2030」を策定致しました。環境・社会・経済の観点から持続可能な社会にしていくこと、気候変動への取組みを通じて当社が地球環境に貢献できることを追求しながら、企業の成長との両立を進めてまいります。また、当社において最も重要な資本である人材の確保や育成に係る取組みを通じ、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげてまいります。
<参考>
取引先の温室効果ガス排出削減や産業の持続的成長を支援する、「グリーンイノベーション関連商品」取扱高の実績と目標

(2)ガバナンス
当社グループの気候変動対応推進の実務統括は企画部が行っております。また、企画部はグループ内の事業部門、本社機構、子会社と連携し、気候変動リスク・機会の事業戦略への落とし込みや気候変動関連課題への対応策、管理指標および目標の検討を行い、管掌執行役員を通じて経営会議等への上申、取締役会への報告を行います。

(3)戦略
気候変動が当社事業・業績に与える影響について、TCFDフレームワークに基づき、以下2つのシナリオ分析を行っております。
2℃未満シナリオ:低炭素経済へ移行するシナリオ
4℃シナリオ:物理的気候変動リスクが高まるシナリオ
気候変動シナリオはIPCC SSP1-2.6、IPCC SSP5-8.5を使用しています。
なお、分析の時間軸は基本的に移行リスクについては2030年、物理的リスクは2050年を基準としています。
分析対象として、西華産業本社及び連結子会社である日本ダイヤバルブ、敷島機器、セイカダイヤエンジン、Tsurumi(Europe)の計 5 社を選定しています。上記分析対象企業で当社連結売上高、営業利益のそれぞれ 90% 以上を占めています。
特定したリスクと機会に関しては、リスクへの対応や機会の最大化に向けて、中期経営計画で掲げた取組を推進しております。

(4)リスク管理
気候変動に係るリスク・機会の管理に関しては、専務執行役員(企画管掌)の監督のもとに企画部が実施しています。特定したリスク・機会に基づいた中期経営計画を策定し、リスクへの対応、機会の最大化に向け全社で取り組んでおります。
また重要なリスク等については、全社リスク管理のプロセスと同様に、経営会議による分析を経てその影響度や管理状況について適宜取締役会への報告を行っています。
(5)指標と目標
西華産業(単体)の二酸化炭素(以下、CO2)排出量は以下の通りです。今後、グループ企業でのスコープ1,2*1の温室効果ガス(以下、GHG)排出量の捕捉を進め、グループ全体でのGHG排出量及び削減目標の早期の開示を実現します。加えて、サプライチェーンのお取引先様との情報共有を進めながら、当社グループにおけるスコープ3*1のGHG排出量の捕捉にも取り組んでまいります。
(注)1
スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出 (燃料の燃焼、工業プロセス)
スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
スコープ3:スコープ1 、スコープ2以外の間接排出 (事業者の活動に関連する他社の排出)

(人的資本経営の取り組み)
当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針、社内環境整備に関する戦略、指標等については以下のとおりとなっております。
(1)人材育成の基本方針
社員一人ひとりの個性を尊重し、本人の成長意欲を高めるための環境づくりを推進しております。高度な専門性を伴う実務能力の向上、並びに幅広い知識・能力の習得を目的に、経営戦略の実現を担う人材の育成に取り組んでおります。
(2)人材育成プログラム(教育・研修制度)
当社では以下のようなプログラムを用意し、絶えず人材の育成に取り組んでおります。
※1 当該年度において実施した「階層別研修」および「目的別研修」の延べ実施時間を合算
※2 人材育成プログラムにおける各種費用(外部機関への研修委託料、セミナー受講料、公的認定資格受験料およびこれらに付随する諸費用)の合計金額
2023年度(101期)は、関連予算を大幅に拡大し、教育・研修プログラムの更なる充実化を図ります。
(3)採用
全体方針を以下のとおり掲げた上で、新卒採用以外にもエキスパート採用、エリア採用、キャリア・リターン採用といった多様な採用活動を推進しております。
1.当社グループの持続的成長を担保し、その事業を強靭化するために必要な人材を採用する
2.足元の人的需要だけではなく、中長期的な事業の成長を見据える
3.事業の急拡大や想定外の離職による人員不足へ対処できるよう、エネルギー事業等の基礎収益事業向けを中心に、中長期的な視野で、計画的に人材を採用する
4.グループ経営の高度化を図るため、コーポレート部門の機能強化に必要な人材は、専門性や希少性等を考慮のうえ採用する
(4)給与テーブルのベースアップ、新卒入社者の初任給引上げ
従業員がモチベーションを維持・高揚させ、一人ひとりの成長を促すために、人材への「投資」は最重要課題の一つと捉えており、2023年4月より給与テーブルのベースアップとともに、新卒初任給引き上げを実施しました。
現状の物価上昇など社会情勢を踏まえ、全社員の給与の底上げ等を目的として、2023年度給与において社員一律15,000円の定額ベースアップを実施しました。定期昇給相当分を含めると、平均して約5%の賃上げとなります。
新卒初任給(大学卒):
2022年度(現行)215,900円→2023年度 250,000円 引き上げ額 34,100円(+15.8%)
新卒初任給(大学院卒):
2022年度(現行)254,800円→2023年度 274,800円 引き上げ額 20,000円(+7.8%)
(5)人事制度改革
社員の能力・意欲の向上と適材適所による組織の能力最大化を図ることを目的に、2024年4月より年齢に関係なく個人の行動や成果を反映した制度の導入を目指して進めております。
(6)次世代法・女性活躍推進法に基づく行動計画)
多様な人材を適材適所に配置し、個人の能力を発揮させることが会社の持続的な成長・発展には不可欠であると考えております。
今後も、育児や介護と仕事を両立しながら、その能力や適性を発揮できるよう、更なる職場環境の整備を行うとともに、積極的に女性の活躍を推進し、社員がより生き生きと働ける環境の構築に努めてまいります。
(計画期間:2023年4月1日~2026年3月31日までの3年間)
(7)その他
当社における上記人材育成プログラム、採用、次世代法・女性活躍推進法に基づく行動計画に係る指標については、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。
このため、前述の指標に関する目標および実績は、当社における情報を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、財務の状況等に関する事項のうち、経営者が企業の業績、財務状況および資金繰りに甚大な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業領域拡大に応じた組織・運営体制を適切に整備できない場合のリスク
当社は、三菱重工業株式会社との間で原子力発電所設備関連の販売代理店契約を締結し、2023年4月1日より原子力発電の主機の取扱いを開始しました。また、同社以外のメーカー製品の原子力発電設備に係る代理権も多く保有しており、原子力発電関連業務は当社の主力事業のひとつという位置付けになります。当社は、既に、拠点新設を含む組織の構築、経験者の採用を含む要員・体制の増員、手続き・システムの整備など、業務開始に当たって必要な手当ては実施済ですが、何よりも安全が優先するという原子力事業の特性も踏まえれば、確実に安定的な運営をして行くことが求められます。それが実現できなければ、取引先からの信用を失うだけでなく、社会的信用も失墜し、当社グループの事業環境や中長期的な業績にも甚大な影響が生じることになります。
(2)顧客や時代の要請に見合う新技術や商権・商材が得られない場合のリスク
当社グループは、電力業界や産業界における脱炭素に関わる技術革新を絡めた長期スパンでの動きや、省エネ・省資源に関する産業界の恒久ニーズへの支援、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組み、といったものをビジネスチャンスと捉えて、当面する事業活動および成長戦略を推進して行こうとしています。その際、当社グループが緊密な関係性を持つ電力会社をはじめとする主要顧客がこれらの課題に喫緊の問題意識を持っていること、一方、数多い仕入メーカー等取引先の中に脱炭素や省エネ等に資する技術開発に計画的・先進的に取り組む先が在ること、の両要素が強みになると考えています。
しかしながら、当社グループ自身が存在意義や付加価値を示し続けられなければ、顧客側も仕入メーカー側も独自ないし直接的な取引形態を選択することも想定され、その場合には、目論見どおり当社グループの事業の発展につなげることができず、業績および成長性に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(3)営業取引において契約不備や要件不充足等が当社損失につながるリスク
当社グループは、長期経営ビジョンVIORB 2030および新中期経営計画に掲げた成長戦略に基づき、新たな事業領域・商材・取引形態にチャレンジしていくとともに、輸出・輸入を含む海外関連取引についても拡大を図っていきたいと考えております。一方で、そうした海外取引や新規領域においては、準拠すべき法令や商習慣およびリスクの質が既存の得意分野とは異なるため、従来の延長線上での考慮や判断および手当てをするのみでは、営業事故等の発生につながる確率が高まるだけでなく、実際に事故等に至った際に当社側が想定外ないし不当な損失を被るケースも多くなる可能性があります。
その予防およびリスクの軽減を図るため、会社組織として審査や意思決定に関わる体制やプロセスを見直し・適正化することで、収益性や効率性を犠牲にすることなしに、情報収集・調査、分析・評価、審査・判断、リーガルチェックおよび牽制・検知等の機能を強化しております。
(4)脱炭素の流れや国際情勢の混乱によるエネルギー政策不透明化や地政学的リスク
世界的な脱炭素の流れ、ロシアによる戦争、その他豪州での自然災害といった様々な要因が相俟って、エネルギー政策にも大きな転換の動きが見られ、まだその方向性は定まったとは言えない状況にあります。エネルギー基本計画に基づく電源構成の変化等、当社グループの事業にとって不利となるような内容の政策提示があることや、主要顧客において自主的なエネルギー転換の判断・動きがある可能性も否定できません。そうした場合には、当社グループ自身の事業戦略についても見直しをしていく必要が生じます。
また、当社は、安全保障上の輸出規制等が強化されている地域や、地政学的リスクが高まっていると評される地域にも、支店や現地法人を構えており、その情勢・動向によっては、営業活動に支障が出る、または、望まない形で取引自体を断念せざるを得ないケースも発生すると想定され、その場合には、該当の支店や現地法人を中心に、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。
(5)特定の取引先・製品・技術への依存に関わるリスク
当社は、創業以来、三菱重工業株式会社の代理人として国内電力会社などに発電設備を納入する事業を営んでおり、現在も三菱重工グループ各社から委託された販売代理店業務は当社グループの最大の主力事業であります。また、三菱重工グループ各社は、当社グループの顧客としても安定した取引関係があり、総合的に当社の事業にとって極めて重要性が高い関係主体となっております。
そうしたなか、仮に三菱重工グループ製品の需給動向に大きな変化が生じる、同社側判断により特定事業からの撤退等がある、または三菱重工グループ各社との関係性が損なわれることにより、その取り扱い量が急激に縮小するといったことがあれば、当社グループの信用や業績に甚大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、代理人としてユーザーの要望や関連情報を迅速かつ正確につなぐ営業活動に永続的に真摯に取り組むことで、技術や製品の競争力の維持を間接的に支援するとともに、存在価値を認められ信頼される関係性が維持・継続されるよう努めてまいります。
(6)気候変動に関わるリスク
当社グループは、環境・社会・経済の3つの視点から、社会と事業活動を遠い未来に向けて持続可能にしていくこと、具体的には、環境・社会のニーズを考慮することで新たなビジネスを創造していくとともに、廃棄物ゼロ化の推進や働く環境の改善によりコストを削減するなど、環境・社会への配慮と経済的なリターンとを両立させる長期的な戦略に基づいて事業運営をしております。
一方で、世界的な気候変動とその対策に関わる動向により、温室効果ガス排出削減のための法的規制の強化や、仕入取引先や顧客を含むサプライチェーンとしての影響なども含め、当社グループの事業活動上の特別な配慮または対応が必要となる場合が想定されます。また、気候変動による激甚な天候災害によって当社グループまたはサプライチェーン上の拠点・設備・システム等に被害を受けた場合には、営業や生産活動に支障が生じることで、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(業績等の概要)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス禍による行動制限が緩和され、持ち直しの傾向が見られた一方で、急激な円安の進行や地政学的リスクに伴う資源や原材料の高騰があり、それが個人消費等に与える影響を含め、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような経済環境のもと、当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、各連結子会社の事業が堅調に推移するなか当社単体において大型案件の受け渡しが例年より多くあったため、売上高は前期比9.4%増の933億11百万円、営業利益は前期比21.2%増の46億36百万円となりました。これに加え、政策保有株式の縮減に伴う売却益および持分法適用会社化に繋がる株式取得に伴う負ののれんの計上があったため、経常利益は前期比62.0%増の62億86百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比122.6%増の50億1百万円と何れも大幅増となりました。
(2) セグメント別の状況
「電力事業」
安定的な西日本各地区の電力会社向け設備メンテナンス商談に加え、山陰地区における発電所新設に関する対応や北陸地区の発電所への営業取引の推進により、売上高は前期比36.1%増の154億69百万円、セグメント利益は前期比10.6%増の13億19百万円となりました。
「化学・エネルギー事業」
大手の製鉄、石油精製、化学および製紙等の各メーカー企業の自家発電設備の新設や更新といった大型で長期間の取引の受け渡しが順調に進んだことにより、売上高は前期比18.7%増の264億25百万円、セグメント利益は前期比58.8%増の11億83百万円となりました。
「産業機械事業」
大手繊維メーカー向けフィルム製造装置や健康食品メーカー工場新設などの大型案件が完了するとともに日本ダイヤバルブ株式会社の業績が好調であることに加え、前期に発生した中国向け一部取引での費用負担の反動もあり、売上高は前期比12.6%増の396億29百万円、セグメント利益は前期比47.9%増の16億91百万円と何れも大幅増となりました。
「グローバル事業」
欧州において工事用水中ポンプを扱うTsurumi(Europe)GmbHグループの業績は堅調に推移したものの、中国・台湾および東南アジアの各拠点の業績がコロナ禍の影響等により大きく落ち込み、売上高は前期比28.5%減の117億87百万円、セグメント利益は前期比33.2%減の4億89百万円となりました。
なお、当社グループの海外売上高は、前期比16.4%減の150億10百万円となり、当社グループ全体の売上高に占める割合が16.1%となりました。
(3) 目標とする経営指標の達成状況等
当社グループにおける中期経営計画Re-SEIKA 2023の中で目標とする経営指標および経営数値目標は、最終年度(2023年3月期)の連結「営業利益」37億円および「親会社株主に帰属する当期純利益」25億円としており、2023年3月期の実績は連結営業利益46億36百万円、連結当期純利益50億1百万円であり、何れの目標も達成いたしました。
(4) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ248億74百万円(23.7%)減少し、799億90百万円となりました。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ295億10百万円(40.0%)減少し、442億54百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ46億35百万円(14.9%)増加し、357億36百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の28.7%から43.7%となりました。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ63億46百万円減少し106億53百万円となりました。
なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動によって、資金は、7億31百万円減少(前連結会計年度49億71百万円の増加)しております。
当連結会計年度における投資活動によって、資金は、10億68百万円減少(前連結会計年度11億25百万円の増加)しております。
当連結会計年度における財務活動によって、資金は、48億16百万円減少(前連結会計年度33億4百万円)しております。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度において、生産実績に著しい変動はありません。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記記載の金額は、百万円未満を切り捨てて表示しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は総販売実績
の100分の10未満であるため記載を省略しております。
(注)2.上記記載の金額は、百万円未満を切り捨てて表示しております。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。
(1) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ248億74百万円(23.7%)減少し、799億90百万円となりました。これは、固定資産が34億42百万円増加した一方で、流動資産が283億17百万円減少したことによるものであります。流動資産の減少は、商品及び製品が28億54百万円増加した一方で、短期借入金の返済等により現金及び預金が66億80百万円減少、化学・製紙会社向け発電設備設置工事の受渡があったこと等により前渡金が248億32百万円減少したこと等によるものであります。また、固定資産の増加は、日本ダイヤバルブ株式会社による本社工場用地等の取得があったこと等により土地が14億91百万円、株式会社TVEの株式を追加取得したこと等により投資有価証券が16億13百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ295億10百万円(40.0%)減少し、442億54百万円となりました。これは、未払法人税等が4億99百万円増加した一方で、短期借入金が34億99百万円、未払金が4億26百万円減少、化学・製紙会社向け発電設備設置工事の受渡があったこと等により前受金が262億3百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ46億35百万円(14.9%)増加し、357億36百万円となりました。これは、非支配株主持分が1億88百万円減少した一方で、株主資本が41億52百万円、その他の包括利益累計額が7億36百万円増加したこと等によるものであります。
株主資本の増加は、利益剰余金が40億79百万円増加、自己株式が1億29百万円減少したこと等によるものであり
ます。利益剰余金の増加は、剰余金の配当9億1百万円による減少と、親会社株主に帰属する当期純利益50億1百万円を計上したこと等によるものであります。
その他の包括利益累計額の増加は、その他有価証券評価差額金が3億26百万円、為替換算調整勘定が3億95百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の28.7%から43.7%となりました。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの業績につきましては、各連結子会社の事業が堅調に推移するなか当社単体において大型案件の受け渡しが例年より多くあったため、売上高は前期比9.4%増の933億11百万円、営業利益は前期比21.2%増の46億36百万円となりました。これに加え、政策保有株式の縮減に伴う売却益および持分法適用会社化に繋がる株式取得に伴う負ののれんの計上があったため、経常利益は前期比62.0%増の62億86百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比122.6%増の50億1百万円となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
感染症による行動制限が緩和され、経済の持ち直しの傾向がみられるものの、急激な円安の進行や、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、それに伴うエネルギー資源等の高騰、国内外におけるビジネス環境は厳しさを増していくことが予想されます。一方で、今般のエネルギー危機に対し低炭素化や再エネ投資の需要が拡大する中で、当社の基礎収益分野であるエネルギー事業においては、原子力発電関連業務の他、火力発電の高効率化や再エネ商材の取扱い拡大等の営業機会拡大が期待されます。
(4) 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、主たる資金需要として、営業活動上の運転資金に加えて長期経営ビジョン「VIORB 2030」遂行のための資金投資や、配当支払等を見込んでおります。
当社においては、換金性の高い金融資産を相当量保有していることに加え、当社および主要な国内グループ会社間でキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化に努めております。また、金融機関との間で総額50億のコミットメントライン契約の締結並びに総額111億円の当座貸越枠の設定をしていることから、将来の当社グループの資金需要に対して不足が生じる懸念は極めて少ないものと認識しております。
当連結会計年度における営業活動上の運転資金を除く主な資金使途としては、成長投資の一環として日本ダイヤバルブ株式会社による本社工場用地等の取得、株式会社TVEの株式の追加取得等があり、この他に35億円の短期借入金返済を実施しております。
また、当社における配当につきましては、当連結会計年度において1株当たり年間75円、総額9億1百万円の配当の支払を実施しました。更に、2023年6月27日に開催された当社の定時株主総会において2023年3月31日現在の株主に対し、2023年6月28日に1株当たり55円、総額6億63百万円の期末配当を実施することが承認されました。
当連結会計年度末の流動資産は614億29百万円と、前連結会計年度末に対し283億17百万円減少し、また、流動負債は404億73百万円と、前連結会計年度末に対し299億36百万円減少しております。これは主に、短期借入金の返済等により現金及び預金並びに短期借入金が減少したことや、大口の発電設備設置工事等の受渡により、前渡金並びに前受金が減少したこと等によります。(詳細は、前述の「(1) 財政状態」を参照下さい。)その結果、流動比率は151.8%と改善し、引続き健全な財務状態を維持しております。
以上の結果、翌連結会計年度においても、営業活動から得られるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等により、当社グループの資金需要に対応できると考えております。
次に、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によって、資金は7億31百万円減少(前連結会計年度49億71百万円の増加)しております。これは、税金等調整前当期純利益69億98百万円(前連結会計年度40億50百万円)の計上、前渡金の減少248億39百万円(前連結会計年度78億66百万円の増加)等による資金の増加があった一方で、持分法による投資利益12億13百万円(前連結会計年度2億65百万円の損失)の計上、投資有価証券売却益6億55百万円(前連結会計年度3百万円)の計上、棚卸資産の増加29億58百万円(前連結会計年度7億37百万円の減少)、前受金の減少262億32百万円(前連結会計年度73億81百万円の増加)、法人税等の支払額13億96百万円(前連結会計年度6億96百万円)等の資金の減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によって、資金は10億68百万円減少(前連結会計年度11億25百万円の増加)しております。これは、有価証券の売却による収入4億22百万円(前連結会計年度31億17百万円)、投資有価証券売却による収入14億60百万円(前連結会計年度1億31百万円)等の資金の増加があった一方で、有形固定資産の取得による支出23億56百万円(前連結会計年度3億70百万円)、関連会社株式の取得による支出5億98百万円(前連結会計年度―百万円)等の資金の減少があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によって、資金は48億16百万円減少(前連結会計年度33億4百万円)しております。これは、短期借入金の純減少35億6百万円(前連結会計年度8億60百万円)、配当金の支払額8億98百万円(前連結会計年度6億7百万円)、連結範囲変更を伴わない子会社株式の取得による支出2億95百万円(前連結会計年度―百万円)等の資金の減少があったことによるものです。
(5) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益、費用の報告数値および開示に影響を与える見積り、判断および仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は過去の実績や状況に応じた合理的な見積り、判断および仮定により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断および仮定は不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針および見積りは、「第5 経理の状況」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成に重要な影響を及ぼすと考えております。
① 貸倒引当金
債権の貸倒れによる損失にそなえるため、一般債権については、貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討して、回収不能見込額を計上しております。
将来、債務者の財務状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性の評価
繰延税金資産の回収可能性の判断に際しては、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、将来において当社グループを取り巻く環境に大きな変化があった場合など、その見積り額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
③ 固定資産の減損処理
固定資産については、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失に計上しておりますが、回収可能価額は、資産グループの正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか大きい方としていることから、将来、固定資産の使用方法を変更した場合または資産グループを使用している事業の損益の悪化が見られ、短期的にその状況が回復しない場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。
当社グループにおいては、主として産業機械事業に属する日本ダイヤバルブ(株)にて研究開発活動を行っております。同社は、ダイヤフラム弁・ボール弁・バタフライ弁を主体とするメーカーとして、新製品開発および改良による競争力の維持に努めており、当連結会計年度における研究開発費の総額は