第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「常にお客さまの信頼にこたえ、彩りの知と技をもとにこころをこめた作品を創りだし、情報・文化の担い手としてふれあい豊かなくらしに貢献する」ことを企業理念として掲げ、お客さまや社会とともに発展していくことを経営の基本方針としております。

21世紀の企業像と事業領域を定めた「TOPPAN VISION 21」に基づき、全社員が目的意識と価値観を共有し、新しい技術や事業の確立に挑戦するとともに、社会との関わりの中で企業倫理を遵守し環境と安全に配慮した企業活動を推進してまいります。

「TOPPAN VISION 21」の実現を通して事業領域の拡大と新たな利益の創出を図り、当社グループの永続的な発展と、株主の皆さまやお客さまはもちろん、広く社会や生活者から評価され信頼される企業を目指してまいります。

 

(2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題

トッパングループは、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、中期的な経営課題を、①事業ポートフォリオ変革、②経営基盤の強化、③ESGの取り組み深化とし、次の施策を展開することにより経営資源の最適配分と有効活用を進め、事業の拡大を図ってまいります。

 

① 事業ポートフォリオの変革

「事業ポートフォリオ変革」につきましては、DX、国内SX・海外生活系、新事業(フロンティア)の3つを成長事業と位置付け、収益力の向上を目指してまいります。

DX事業については、全社を挙げて取り組むDXのコンセプトを「Erhoeht-X(エルへートクロス)」とし、デジタル技術と高度なオペレーションノウハウを掛け合わせたハイブリッドなDXサービスを根幹に、データ分析、コンサルティングを含めたビジネスモデルの確立を目指します。

国内SX・海外生活系事業については、材料調達から廃棄までのサプライチェーンを通して、CO2排出量・プラスチック使用量削減に貢献し、脱炭素・循環型社会の実現を目指します。

新事業(フロンティア)については、競争優位を持つテクノロジー・ビジネスモデルを核に、ヘルスケア、メタバース、センサ関連などの領域で、事業化を推進します。

 

② 経営基盤の強化

「経営基盤の強化」につきましては、事業変革の基盤を形成するため、持株会社体制への移行、人財戦略、システム基盤のモダナイゼーション、製造基盤強化などを推進してまいります。

持株会社体制への移行については、グループシナジーの最大化を目的として、2023年10月から持株会社体制へ移行を予定しています。グループガバナンスの強化を通じた経営資源の最適配分や、迅速な意思決定を可能とする経営体制への進化を図ります。

人財戦略については、DXやSX、グローバル事業を牽引する人財の強化に向け、新たな人財開発プログラムの導入やグループ内の人財活性化施策を推進するとともに、ダイバーシティ&インクルージョンの実現を進めてまいります。

システム基盤のモダナイゼーションについては、営業面、業務面の効率化・高度化を図るとともに、データドリブン型の経営を実現し、ビジネスモデル変革や新事業への迅速な対応を可能にする、有機的に繋がったグループシステムの構築を目指してまいります。

製造基盤強化については、AIを活用した自動化・少人化、次世代MES(製造実行システム)を活用した全体最適の実現により、「安全・安心、高品質で少人化された持続可能なスマートファクトリー」を目指します。

 

 

③ ESGの取り組み深化

「ESGの取り組み深化」につきましては、サステナビリティ(持続可能性)経営推進に向け、「サステナビリティ推進委員会」を設置し、当社グループ内のESG、SDGsテーマの課題共有、取り組み連携を強化しております。

SDGsへの取り組みとしては、SDGsが示す課題への事業を通じた貢献において特に注力すべき分野を特定した「TOPPAN Business Action for SDGs」のもと、これまで以上に社会から信頼される強い企業グループを目指してまいります。

環境への取り組みとしては、2023年3月に改定した「トッパングループ環境ビジョン2050」に基づき、環境課題への取り組みをサプライチェーン全体や地域社会との協働で進めてまいります。また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に沿って、リスクと機会の両面からその影響についてさらなる情報開示を進めてまいります。

社会への取り組みとしては、「企業は人なり」という考えに立ち、一人ひとりの力を最大限に引き出すため、体系的な人財開発プログラムの構築など、従業員のスキルアップやキャリア形成支援を進めてまいります。また、「トッパングループ人権方針」に基づき事業活動全般において人権に対する取り組みを強化するとともに、「サステナブル調達ガイドライン」に基づきサプライチェーン全体で持続可能な調達活動を進めてまいります。

ガバナンスへの取り組みとしては、政治・経済情勢の変化やサイバー攻撃の巧妙化、人権課題等を背景に多様化するリスクに対し、適切に対処することで経営に与える影響を最小化するなど、持続可能な企業経営を推進してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。実際の結果は、社会動向の変化等の影響により異なる可能性があります。

 

1900年の創業以来、「印刷」を原点とするあらゆる技術・ノウハウを活用した製品・サービスの提供を通じてステークホルダーであるお客さま、従業員、取引先、地域社会、株主・投資家、行政・自治体等、広く社会に関わり、社会課題の解決に寄与する事業活動を行ってまいりました。今日、気候変動に伴う災害多発や自然破壊等、環境問題の深刻化をはじめ、人権リスクや地政学リスクの高まり等、グローバル規模で問題が多発し、将来予測が困難な時代を迎えております。当社グループは当社事業が社会に与えるインパクトを認識し、企業として責任を果たすとともに、事業を通じて社会課題を解決しながら企業価値向上を目指すサステナビリティ(持続可能性)経営を推進しております。

 

(1) サステナビリティ共通

①ガバナンス

当社グループは、2020年4月より代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会(以下、サステナ委員会)を設置しております。サステナ委員会は、コーポレートガバナンス体制の中に位置付けられ、グループ全体のサステナビリティ推進の役割を担っております。

取締役会はサステナ委員会に、当社グループのサステナビリティ課題についての検討・審議を担当させております。サステナ委員会で検討・審議された具体的な取り組み施策は、経営会議を通じて取締役会に報告され、取締役会においてサステナビリティ経営についての総合的な意思決定を行っております。また、取締役会では、サステナビリティの取り組み施策、目標設定及び進捗について、継続的に議論・モニタリング・監督を行っております。

サステナ委員会内に、当社グループ企業の代表取締役社長及び取締役をメンバーとするトッパングループESG経営推進会議を設置しており、当社グループ内のESG、SDGsテーマの課題を共有し、連携して取り組んでおります。

サステナ委員会の下部には、部門横断で編成されたSDGs推進プロジェクトとコーポレートESGプロジェクトを設定し、各プロジェクトが連携しながら、個別テーマの対応・推進を担っております。SDGs推進プロジェクトでは主に事業活動におけるサステナビリティの取り組みを推進し、事業におけるSDGs貢献の注力分野「TOPPAN Business Action for SDGs」の活動推進と進捗確認を担っております。コーポレートESGプロジェクトでは、主に自社活動におけるサステナビリティ課題を担当し、2022年度は、人権ワーキンググループ(以下WG)、サプライチェーンWG、TCFD WG、リスクマネジメントWGが編成され、各テーマのプロジェクトを推進しました。

また、将来的なサステナビリティ課題について意見交換を行う場として、エグゼクティブ・サステナビリティ推進委員会を設置しております。外部有識者と当社取締役が意見交換等を行い、重要な課題についてはサステナ委員会と連携して、検討しております。

 


 

 

②戦略

当社グループは、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、当社グループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会課題の解決とともに持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」により、ワールドワイドで社会課題を解決するリーディングカンパニーとして企業価値向上とサステナブルな社会の実現を目指しております。その一環として、事業ポートフォリオを変革し、経営基盤の強化とサステナビリティの取り組み深化を推進しております。2023年度を初年度とする中期経営計画において、2026年3月期には「DX」「SX」関連を含む成長事業の営業利益構成が全体の50%以上となるよう変革を進めております。

SDGs貢献の観点では、2030年までの長期視点で、事業活動マテリアリティとして定めている、「環境」「まち」「ひと」の3つのテーマにおける注力分野「TOPPAN Business Action for SDGs」を中期経営計画に織り込み、中期経営計画の事業ポートフォリオ変革とも連動させております。また、事業活動マテリアリティを支える基盤として全社活動マテリアリティを設定し、「環境配慮・持続可能な生産」と「従業員の健康・働きがい」を掲げております。

こうした一連の取り組みを、「気候変動」「人的資本・多様性」「人権」「サプライチェーン」というサステナビリティの重要テーマと連携させ、グループ全体で推進しております。

当社グループでは、ワールドワイドでの社会課題解決への貢献と持続的成長のため、グローバル規模で事業を加速させており、国内だけでなく海外にも拠点・サプライチェーンが拡大していることからも、世界共通の課題となっている気候変動への対応は経営の重要課題であると認識しております。地球環境課題への長期的な取り組み方針を定めた「トッパングループ環境ビジョン2050」では、「脱炭素社会への貢献」についても設定しており、「2050年の温室効果ガス排出の実質ゼロ」に向けた取り組みを進めております。また、本ビジョンからバックキャストで検討した「トッパングループ2030年度中長期環境目標」においても、指標の1つとして温室効果ガス排出量削減を設定し、中長期視点での取り組みを進めております。

また、当社グループは、1900年に大蔵省印刷局から独立した技術者集団が立ち上げたベンチャー企業として創業して以来、「人によるイノベーション」や「共創」は事業成長にとって必要不可欠であると考えております。事業の土台として「人間尊重」を重要な価値観としており、従業員やお客さま等の関係性を重視し、従業員を資源ではなく、会社の貴重な財産である「人財」、すなわち「人的資本」と捉えております。また、価値創造のプロセスにおいては、多様な人財が個々の属性や価値観の違いを認め、尊重し合い、多様な人財の能力を生かし互いに高め合うダイバーシティ&インクルージョンを推進しております。人的資本・多様性は、サステナビリティ経営の重要課題であると認識しております。

当社グループは、事業を通じて多くのお客さまに多種多様な製品・サービスを提供しており、その事業を維持・発展させるため、グローバルに広がる幅広いサプライチェーン網を有しております。当社グループが社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現に貢献するためには、サプライチェーン全体でサステナビリティに取り組むことが必要不可欠と考えております。その中でグローバルな社会課題である人権課題についても、サプライチェーン全体で取り組むべき課題と認識しております。

 

③リスク管理

当社グループのサステナビリティ課題についてのリスク管理は、取締役会の管理のもと、本社主管部門、事業(本)部各部門とサステナ委員会の下部組織であるコーポレートESGプロジェクトの1つであるリスクマネジメントWG(責任者:リスク管理担当取締役、メンバー:本社主管部門リスク担当者、事務局:法務本部コンプライアンス部)が密接に連携して推進する総合的なリスク管理に組み込まれております。

リスクマネジメントWGは、年1回のリスクアセスメントを実施し、当社グループの経営に重大な影響を与えるリスクを「重大リスク」として特定しております。

 

「重大リスク」の特定にあたっては、本社主管部門が統括している事業(本)部各部門、子会社、グループ会社でのアセスメント結果及び中長期視点での顕在化の可能性、発生頻度やインパクトの強弱等を踏まえております。「重大リスク」は当社グループが事業を展開するグローバルな社会・経済環境の変化に加えて、気候変動に伴う環境問題、デジタル化の進展によるサイバー攻撃の巧妙化、強制労働をはじめとする人権課題等様々なグローバルリスクへの対応も含め、サステナビリティ経営推進の観点からも十分に検討されております。2023年度の「重大リスク」としては、「気候変動リスク」「事業の発展を支える人材の確保」「調達におけるリスク」「人権リスク」等を含む、25項目が選定されております。(「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」参照)

「重大リスク」は、サステナ委員会に報告・検討された上で、取締役会が報告を受け、取締役会の管理のもと毎年見直しされております。

また、「重大リスク」を含む様々なリスクが顕在化しないように、本社主管部門及び事業(本)部各部門で対応策を検討し、国内外の事業活動に結びつけて適切なリスク管理を実施しております。取締役会は、そのリスクへの対応状況について、本社主管部門からリスク管理担当取締役を通じて定期的に報告されております。リスクが顕在化した場合には危機管理体制に基づき、迅速な対応が図られております。

 

④指標と目標

「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトとした事業ポートフォリオ変革による持続可能な社会の実現と企業価値の向上を評価するため、成長事業「DX(Erhoeht-X)」「国内SX・海外生活系」「新事業(フロンティア)」の営業利益構成及びSDGsに対する事業貢献を定めた「TOPPAN Business Action for SDGs」にて「環境」「まち」「ひと」の3つのテーマに区分した各成長事業と連携する目標値を設定し、これらを指標としております。

「環境」における「サステナブルパッケージの売上比率」は「生活系事業のエコプロダクツ・ソリューションの拡大」の指標として、「まち」における「生活を豊かにするサービス数(情報銀行・メタバース活用パーソナルデータプラットフォーム)」は「DX事業における安全なパーソナルデータ関連ビジネス」の指標として、「ひと」における「健康に貢献するサービス数」は「新事業における健康寿命延伸関連ビジネス」の指標としてそれぞれ位置付けております。

 

◇成長事業「DX(Erhoeht-X)」「国内SX・海外生活系」「新事業(フロンティア)」の営業利益構成


 

◇成長事業と連携する「TOPPAN Business Action for SDGs」


 

 

(2) 気候変動

当社グループは、気候変動がグローバルで事業を展開しているグループ全体に与える影響の大きさを認識し、気候変動を当社グループのサステナビリティ経営における重要課題の1つとしております。金融安定理事会が設立したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に対し、2019年に賛同を表明しております。2020年から提言に基づいたシナリオ分析を開始し、TCFDの提言に沿った気候変動に関する財務インパクト及びその対応について継続して開示を行っております。

 

①ガバナンス

取締役会は、気候変動を経営戦略における重要課題の1つと認識し、気候変動リスクと機会は事業成長のための成長投資(社会課題の解決に向けた「DX」「SX」を柱とする事業ポートフォリオの変革を含む)として考慮しております。

取締役会は、サステナ委員会に気候変動関連課題を担当させ、その下部組織であるコーポレートESGプロジェクトにおけるTCFD WG(本社関連部門及び事業部門、当社グループ会社が参画)が取り組みを主導しております。TCFD WGはSDGs推進プロジェクト、リスクマネジメントWGと連携して気候関連課題の評価と対応策の取りまとめを行っております。

取締役会は、サステナ委員会より経営会議を通じて、気候関連課題の評価や状況、目標管理についての報告を受けるとともに、気候関連の課題を考慮し、経営戦略の策定等について総合的な意思決定を行っております。

取締役会は毎年4月に、「トッパングループ環境ビジョン2050」達成に向けて設定された「トッパングループ2030年中長期環境目標」における温室効果ガス排出量の前年度実績及び当該年度の単年度温室効果ガス排出量目標について報告を受け、承認を行っております。2023年3月には、カーボンニュートラルの実現に向けた全社での取り組み強化のため、「トッパングループ2030年中長期環境目標」において1.5℃水準に向けた温室効果ガス排出量削減目標の引き上げを実施しております。これは、当社グループがグローバルでの事業展開、M&A強化による事業推進を加速していることを鑑み、バウンダリー(算定対象範囲)の適切な見直しにも対応しております。また、「トッパングループ環境ビジョン2050」では、同じく2023年3月に生物多様性保全に向けてビジョンも新たに設定しており、今後「TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)」の対応も検討してまいります。

 


 

 

②戦略

TCFD WGは、気候変動に関する重要リスク・重要機会の洗い出し、財務面のインパクト評価、その評価に基づいた対応策検討を行っております。2022年度の事業機会の検討においては、本社関連部門に加えて、事業部門及びグループ会社の事業戦略担当メンバーが参画しております。シナリオ分析の検討を各事業部門の中期計画と連動させ、より具体的なビジネスを想定した財務インパクトの評価と対応策の検討を行っております。

シナリオ分析として、当社グループの主要事業地域である日本国内拠点に海外拠点を加え、研究開発から調達、生産、製品供給までのバリューチェーン全体に対し、1.5℃シナリオ、4℃シナリオで、2050年までの長期を想定し、考察しております。リスク及び機会の時間軸としては、短期1年以内、中期1~3年、長期4~30年以上として、当社グループの事業活動計画である年度計画、中期計画、長期ビジョンの時間軸との整合を図り、気候関連課題におけるリスクと機会について関係部門による検討を行っております。

当社グループが認識する移行リスクとして、世界全体におけるカーボンニュートラル実現に向けたカーボンプライシング制度の規制拡大を背景に、運用コスト負担の増加等が考えられます。また、当社グループが認識する物理的リスクでは、生産事業所の洪水等の浸水被害による生産停止や復旧費用の増加等が挙げられます。その対応として、再生可能エネルギーの段階的な導入等によるスコープ1+2及びスコープ3での温室効果ガス排出量削減、防災対策の強化等に取り組んでまいります。スコープ1+2温室効果ガス排出量削減については、2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画を策定しております。将来を見据えた長期的視野での低炭素投資や対策の意思決定にICP(インターナルカーボンプライシング)制度を活用し、さらなる省エネ・再エネ設備の導入を推進いたします。

当社グループの機会として、このような変化に対し、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトとした事業ポートフォリオ変革と連動させ、事業機会の創出・拡大を図ります。具体的には、サプライチェーンの温室効果ガス排出量削減に貢献するDX支援サービスの開発、リサイクル適性の向上や食品ロスの削減ができるサステナブルパッケージの充実化を図ってまいります。

 

◇重要リスク・重要機会の評価及び主な対応策


 

 

◇2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画


 

◇ICP制度概要


※ICP(Internal Carbon Pricing):低炭素投資・対策推進に向け企業内部で独自に設定、使用する炭素価格のこと。CO2排出量1トン当たり費用を自社の基準で仮想的に費用換算し、気候変動リスクを定量化。投資判断の基準の1つとすることで、脱炭素社会に向け、低炭素設備・省エネ投資を加速させることが可能。

 

③リスク管理

気候変動リスクは当社グループの「重大リスク」の1つに特定され、「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」に記載のとおり総合的なリスク管理に組み込まれております。サステナ委員会への報告にあたってはTCFD WGとリスクマネジメントWGが密接に連携しております。

TCFD WGは、気候変動関連リスクについて当社グループの事業活動及び提供する製品、サービスに対する現行規制、新規規制、技術、法制、市場、評判、急激又は緩慢な物理変化といったリスクタイプから識別し、それらのリスクタイプから想定されるリスクと機会を抽出し、それぞれの財務インパクトやブランドイメージへの影響を評価しております。また、影響評価を踏まえたリスクの対応計画の策定・推進についても担当しております。気候変動リスクの評価・対応策の内容はそれぞれ、サステナ委員会に報告・検討された上で、取締役会が報告を受け、気候変動リスクの管理及び管理プロセスの監督を行っております。

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (2)気候変動リスク」参照)

 

 

④指標と目標

気候変動関連リスクへの対応を評価する指標として「トッパングループ2030年度中長期環境目標」における「温室効果ガス排出量削減(スコープ1+2)」を設定、気候変動関連機会獲得への対応を評価する指標として「TOPPAN Business Action for SDGs」における「温室効果ガス削減に貢献するサービス数」を設定しております。

 

◇トッパングループ2030年度中長期環境目標「温室効果ガス排出量削減(スコープ1+2)」


 

※事業のグローバル化・海外M&Aによるバウンダリー変更に対応するため、2022年度に2025年目標・2030年目標の見直しを行っております。

 

◇気候変動への取り組みに連動する「TOPPAN Business Action for SDGs」


 

(3) 人的資本・多様性

当社グループは「人間尊重」「企業は人なり」の理念のもと、持続的成長と社会への貢献を目指し、社員と企業がともに成長できる環境、風土を整備し、新たな「知」と「技」を創出する人財を育てることを目指しております。「人財」を、会社の貴重な財産、すなわち「人的資本」と捉え、「人財」の価値を最大限に引き出すことで生まれる「人によるイノベーション」が事業成長の源泉であると考え、人事諸施策を講じ「人財」への投資を行うとともに「事業の発展を支える人財の確保」に努めております。

 

①ガバナンス

人財の採用計画の策定・人財開発プログラムの開発等の人的資本・多様性に関わる施策立案は本社人事労政本部が担当しております。取締役会は、採用計画の審議・承認をはじめ「人的資本・多様性」について報告を受け、継続的に、議論・モニタリング・監督を行っております。人財開発プログラムについては、テーマごとに担当取締役が報告を受け、承認しております。

 

②戦略

当社グループは、2023年度を初年度とする中期経営計画において、経営基盤の強化における重要なテーマとして「成長事業を牽引する人財の確保・活用・育成」を設定しております。中長期の重点施策である事業ポートフォリオ変革に向け、DX事業の推進・生活系事業の推進(SX事業・グローバル事業の展開)・新事業(フロンティア)の創出に注力しており、これを支える人財の確保や育成を重要な経営課題と認識し、当社グループの中長期的な価値創造に資する「人財」への投資や様々な人事諸施策を推進しております。

 

 

1)人財開発プログラムの構築

人財の開発・育成にあたって、本社人事労政本部人財開発センターが、各部門の人財開発担当と連携して体系的な人財開発プログラムを構築しております。社員一人ひとりの業務やキャリアに合わせた能力開発を進めるため、学びのプラットフォームとして、多彩な人財開発プログラムを実施しております。また、当社独自の人財開発に関するR&D拠点である「人財開発ラボ」において、脳神経科学研究会やコンディション研究会等の複数の研究会を運用し、従業員の「自己革新」と、トッパンならではの新しい価値創造の実現を促す次世代型人財開発プログラムの実装を図っております。

 

a DX人財の育成

基礎的な教育を全社員に行い、DXに関する知識を一定水準に引き上げ、デジタル時代の急速なパラダイムシフトに適応可能な人財、組織の強化を図っております。併せて、顧客を超える知識とさらなる自己研鑽が必要との認識を社員と共有し、学び続ける組織文化の醸成を図っております。また、従業員一人ひとりのキャリアプランに合わせて、最新のデジタル知識を学べるように、サブスクリプション型のデジタル教育プラットフォームも導入しております。

 

b SX人財の育成

基礎的な教育を全社員に行い、持続可能な社会の実現に貢献するために主体的に行動できる人財の強化を図っております。また、社会課題の解決と経済的価値を両立した次世代イノベーション事業を実現する人財育成の取り組みとして、ソーシャルイノベーションプログラム、トッパングループ未来創発プログラム・アドバンス他、管理者を対象としたフィールドワーク等を実施しております。

 

c グローバル人財の育成

年次での英語コミュニケーション能力のアセスメントを実施し、全社的な英語レベル・グローバル人財の人員数等を顕在化させ、人財投資や人財配置等に活用しております。また、外国籍社員の採用、海外グループ会社との交流を積極的に進めるとともに、海外現地法人で実務研修を行う「海外トレーニー制度」、海外駐在員候補者向けの「グローバル選抜研修」や海外ビジネススクールへの派遣等、様々な育成プログラムを展開しております。

 

d 次世代リーダー・新事業開発人財の育成

次世代リーダー・新事業開発人財としての知識・スキル・マインドを醸成するプログラムとして、社長講話や討議セッションを通して、リーダーとしてのマインド・行動力を学ぶ「麿'sイノベーションプログラム」、経営リテラシーの向上を図り、現場視点で企業価値向上を実現できる人財の育成を目指す「次世代経営者育成プログラム」、新事業の創出に向けたフレームワークを体系的に学び、企業内起業家マインドを強化する「新事業開発人財育成プログラム」等、階層別に様々な人財育成プログラムを展開しております。

 

2)ダイバーシティ&インクルージョンの推進

当社グループは、価値創造のための重要な要素の1つとして、違いを変革の原動力に変えていくダイバーシティ&インクルージョンを重要視し、「ダイバーシティ&インクルージョン推進方針」のもと、事業活動と一体になった取り組みを推進しております。

2019年に人事労政本部内にダイバーシティ推進室を発足させ、全体像の策定と施策の企画・立案を担い、そのもとで、各事業所のダイバーシティ推進委員が各事業所の特色にあわせて、具体的な施策を展開しております。

社員が個々の属性や価値観の違いを認め合い尊重し、一人ひとりが能力を十分に発揮できるようにするとともに、これらの力を結集して、グループの総合力を最大限に高めることを目指しております。

 

a 仕事と育児の両立支援、仕事と介護の両立支援

「働く意志を支援する」という考え方に基づき、多様な状況下にある従業員が仕事と生活を両立しやすい環境づくりを進めており、育児・介護休業制度や勤務短縮制度の整備、家族手当の増額等の施策を実施しております。

 

b 女性活躍の推進、性の多様性に関する取り組み

性別を問わず、誰もが健康に働き続けられ、能力に応じて活躍できることを基本的な考え方として、女性の活躍推進を進めております。働き方改革や両立支援制度等の環境整備を施策のベースとして、さらに、能力や意欲に基づき女性の管理職への登用を積極的に進めるポジティブアクションを推進しております。また性の多様性(SOGI・LGBTQ)への理解を促し、誰もが働きやすい職場環境を実現するため、理解促進のためのセミナー開催・同性パートナーや事実婚パートナー制度の導入等の取り組みを進めております。

 

3)従業員のWell-being

当社グループは、経営戦略の実現に向けて、従業員が健康で、やりがいや働きがいを感じ、主体的に業務に取り組める環境を整備し、組織力の維持・向上を目指すことが重要だと考えております。

 

a 健康と安全

「健康経営宣言」「安全衛生・防火基本方針」に基づき、それぞれの取り組みを進めております。「健康経営宣言」では、ワーク・ライフ・バランスも含め、従業員や家族の健康づくりをより一層推進するとともに、健康関連事業を通じ、世の中全ての人々の健康づくりを支援し、社会に貢献する、という2つの軸を打ち出しております。また、「安全衛生・防火基本方針」は、災害ゼロに取り組むために、社員及び契約社員をはじめとする職場で働く全ての人々を対象に、「安全は全てに優先する」を第一義に制定された方針で、ゼロ災害を目標に取り組んでおります。

メンタルヘルス対策についても重要視しており、会社、産業医、健康保険組合が連携し、一次予防から三次予防、さらに一人ひとりのこころとからだのコンディション向上や対話力アップ、チーム力アップといった「ゼロ次予防」を推進して、「メンタル不調者を出さない職場づくり」に取り組んでおります。

 

b 従業員エンゲージメント

従業員のやりがい・働きがいの向上に向けて、従業員エンゲージメントの状況を把握するためのサーベイを2021年度から導入しております。グループ会社を含めた24社21,000名を対象に実施しており、本調査を通じて明らかになった社員からの声をもとに、経営と現場が連携し、組織課題の解決に向けたアクションを推進しております。

 

4)トッパン版ジョブ型人事処遇制度

当社グループは、多彩な能力・キャリアを持つ人財の適切な処遇、従業員のスキルアップ・キャリア形成、若手の抜擢、高年齢社員の活躍、チャレンジできる環境の提供等を目指し、人事諸制度の改革を進めております。

トッパン版ジョブ型人事処遇制度は、全職種統一の職能等級制度から職群別の要素を取り入れた等級制度に再構築し、また年功制の排除の観点から、各等級における在位年数も撤廃した制度です。社員の処遇の根幹である等級制度の改定により、多彩な能力・キャリアを持つ人財の活用が進んでおります。人事評価の指標には、新たな項目として「持続可能な社会の実現」「ダイバーシティ」「人権の尊重」「社会的価値の創造」を加え、成長や行動革新のための方向性を示すことで、組織全体のパフォーマンス向上を目指しております。

 

③リスク管理

「人的資本・多様性」の観点から、「事業の発展を支える人材の確保」「人権リスク」「火災及び労災」「労務問題に関するリスク」は、当社グループの「重大リスク」の1つに特定され、「重大リスク」にかかるリスク管理は、「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」に記載のとおり総合的なリスク管理に組み込まれております。当リスクについては人事労政本部が主管部門として、法務部門・製造部門等の関係部門と連携し、対応を行っております。これらのリスクへの対応状況については、定期的に、リスク担当取締役から取締役会が報告を受け、管理を行っております。

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (6)事業の発展を支える人材の確保、(20)人権リスク、(21)火災及び労働災害、(22)労務問題に関するリスク(労働法規違反、労務トラブル等)」参照)

 

 

④指標と目標

ダイバーシティ&インクルージョンを評価する指標として、管理職に占める女性管理職比率を設定しております。従業員のWell-beingを評価する指標として、エンゲージメントスコア、健康リスク値、コンディション危険判定を設定しております。

 


 

(4) 人権

当社グループは、事業の土台となる基本精神は「人間尊重」であると考え、「TOPPAN VISION 21」における社員の考え方や行動のあり方を定めた「行動指針」においても、「人権を尊重する」と明記しております。また、2006年から国連「グローバル・コンパクト」に参加し、人権と労働に関わる6つの原則を支持しております。

2021年に事業活動全般において基本的人権を尊重し「社会的価値創造企業」としてさらに進化していくため、「トッパングループ人権方針」を策定し、人権に対しての取り組みを強化しております。

 

①ガバナンス

「トッパングループ人権方針」において、当社グループの人権尊重の取り組みについては、取締役会が監督し、人事労政本部の担当責任者が実施の責任を担うことを表明しております。

取締役会は、サステナ委員会に人権尊重の取り組みを担当させ、その下部組織であるコーポレートESGプロジェクトにおける人権WG(人事労政本部が主管、担当取締役が監督)が取り組みを主導し、人事労政本部、法務本部、製造統括本部等の部門が連携して、当社グループ全体で人権尊重の取り組みを推進しております。

取締役会は、年に一度、人権尊重に係る重要案件・課題について、サステナ委員会で検討・審議された活動内容について経営会議を通じて報告を受けており、取り組みの目標設定及び進捗を議論・モニタリング・監督しております。人権課題に関する事象(労働災害・火災、ハラスメントの発生等)が発生した場合は、社内関係部門による対応策を含め、取締役会が報告を受け、対応について議論・決議を行っております。

 

②リスク管理

人権リスクは当社グループの「重大リスク」の1つに特定され、「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」に記載のとおり総合的なリスク管理に組み込まれております。サステナ委員会への報告にあたっては人権WGとリスクマネジメントWGが密接に連携しております。

人権WGは、人権リスクについての識別・評価、その影響評価を踏まえた対応計画の策定・推進を担当しております。人権リスクの評価・対応策の内容はそれぞれ、サステナ委員会に報告・検討された上で、取締役会が報告を受け、人権リスクの管理及び管理プロセスの監督を行っております。

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (20)人権リスク」参照)

 

 

③施策

1)人権デューデリジェンスプロセス

当社グループは、「ビジネスと人権に関わる指導原則」を支持するとともに、人権デューデリジェンスの重要性を認識しております。リスク評価に当たっては、「国際人権章典」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、賃金や労働時間等労働者の人権に関する条約等の人権に関わる国際規範を支持し、その観点での人権デューデリジェンス体制を構築しております。

当社グループは、人権リスクの発生が、レピュテーションリスクや法務リスク、財務リスク等の経営に関するリスクにも繋がる可能性があることを認識し、当社だけでなく国内外のグループ会社やステークホルダーへの人権リスク評価を実施し、軽減・是正に向けた取り組みを行い、人権デューデリジェンスプロセスのPDCAサイクルを回しております。

 

a 負の影響の特定

人権デューデリジェンスプロセスの第一歩として、負の影響の特定を実施しております。当社事業の特性や同業者の動向、国際的な人権基準をもとに、「人権リスク重要度評価」を行い、人権課題を整理・評価しました。その結果、当社の人権リスクを「強制労働・人身取引」「差別」「非人道的な扱い」「プライバシーに対する権利」「グループ全体の人権ガバナンス」と特定しております。加えて、当社の国内外グループ会社に対して、人権リスク調査として国内1社、海外1社のヒアリング調査を実施し、人権リスク特定の精度向上を図っております。今後も継続的に国内外グループ会社に対し、現地調査を含めた人権リスク調査を実施し、負の影響の特定に向けた取り組みを推進いたします。

 

b 負の影響の防止・軽減

特定された負の影響の防止・軽減に向け、当社グループにおける人権リスク調査の全体周知やベストプラクティスの共有により、人権尊重の取り組みに対する意識の醸成・浸透を図っております。

人権尊重の基本的な考え方の理解に加え、上記調査で特定された個別課題(ハラスメント、ダイバーシティ&インクルージョン、労働安全衛生等)に対する理解を深める全従業員を対象とした研修を毎年実施し、人権尊重の取り組みの具体的対応についても周知徹底をしていきます。

 

2)労働者の人権

労働における人権については、当社と凸版印刷労働組合が、労使関係の安定と労働条件の維持改善、企業の平和を確保するために労働協約を締結し、労使の基本的な考え方、組合活動や労使交渉のルール、賃金・労働時間等の労働条件を定めております。凸版印刷労働組合は、当社と当社連結子会社8社の組合員で組織されており、労働協約の債務的部分(組合活動や労使交渉のルール)は、9社共通の内容で締結しております。

適正な賃金の支払いについては、当社グループでは、各国の最低賃金を定めた法令に従い、現地の生活物価を踏まえ、従業員に適正な給与を支払うことを遵守しております。加えて、金銭的報酬はもちろん、法令で定める福利厚生を提供することに加え、働きがいの向上や自己実現・キャリア開発に対する会社の支援・サポート等の非金銭的報酬についても配慮しております。

 

 

(5) サプライチェーン

当社グループは、企業が社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現に貢献するためには、サプライチェーン全体でCSR調達に取り組むことが重要であると考え、サプライヤーや協力会社の皆さまとともに「CSR調達ガイドライン」に沿った活動を進めてまいりました。近年、企業の人権課題、労働安全衛生、環境等の取り組みについて、社会的な関心や要求が高まり、サプライチェーンマネジメントとして、より具体的かつ幅広い対応が求められていると認識し、2022年1月に「トッパングループCSR調達ガイドライン」(2007年制定、2014年に第2版に改訂)の内容を改訂し、その名称を「トッパングループ サステナブル調達ガイドライン」に変更しました。サプライチェーン全体に本ガイドラインを周知し、運用、監査、是正するサイクルを回し、サプライヤーや協力会社の皆さまと協力して持続可能な調達活動をさらに推進してまいります。

 

①ガバナンス

取締役会は、サステナ委員会にサステナブル調達の取り組みを担当させ、その下部組織であるコーポレートESGプロジェクトにおけるサプライチェーンWG(製造統括本部が主管、担当取締役が監督)がグループ全体で進める体制を構築しております。取り組みは製造統括本部、事業部門管理部門が中心となり、当社グループ全体の関係部門と連携して行っております。

取締役会は、サステナブル調達に係る重要案件・課題について、サステナ委員会で検討・審議された活動内容について経営会議を通じて報告を受けており、取り組みの目標設定及び進捗を議論・モニタリング・監督しております。サステナブル調達課題に関する事象が発生した場合は、社内関係部門による対応策を含め、取締役会が報告を受け、対応について議論・決議を行っております。

 

②リスク管理

調達に関するリスクは当社グループの「重大リスク」の1つに特定され、「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」に記載のとおり総合的なリスク管理に組み込まれております。サステナ委員会への報告にあたってはサプライチェーンWGとリスクマネジメントWGが密接に連携しております。

サプライチェーンWGは、調達に関するリスクについての識別・評価、その影響評価を踏まえた対応計画の策定・推進を担当しております。調達に関するリスクの評価・対応策の内容はそれぞれ、サステナ委員会に報告・検討された上で、取締役会が報告を受け、調達に関するリスクの管理及び管理プロセスの監督を行っております。

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (17)調達におけるリスク」参照)

 

③施策

サステナブル調達ガイドラインをサプライチェーン全体に周知し、その運用及び監査、是正するサイクルを回すことで、サプライヤーや協力会社と協働し、サステナブル調達の取り組みを加速し、サプライチェーンの質的向上を図ってまいります。

2022年度は、サプライヤー・協力会社に対してサステナビリティに関わる国別リスク・業種別リスク・アンケート調査等によるリスク調査を行い、分析を踏まえ、リスクの軽減・是正に向けた取り組みを協働で行うデューデリジェンスプロセスのPDCAサイクルをスタートさせております。その他、「トッパングループ サステナブル調達ガイドライン」説明会の実施、サステナブル調達基準の自己評価アンケート、「トッパングループ サステナブル調達ガイドライン」の協力同意締結、事業継続に関わる取り組み状況の確認等を実施しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 地震、風水害等の自然災害、感染症による人的・物的被害

(リスクの概要)

当社グループでは、地震、台風等の自然災害の発生や感染症拡大の影響により、事業所の設備や従業員等が大きな被害を受け、その一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループでは災害が発生した際に、従業員の安全を確保し、事業活動への影響を最小限に留めるために、事業継続計画(BCP)を策定しています。また、全社体制と対応手順を「災害対策基本計画」にまとめ、毎年見直しを行っています。事業継続マネジメント(BCM)活動を進めるにあたっては、本社法務本部内に設置されたBCP推進室が中心となり、本社各本部及び全国の事業(本)部に配置したBCP推進担当者と活動を行っております。また、BCPにおけるサプライチェーンの重要性を鑑み、その強化を目的として、外部講師による取引先向けの勉強会を年に1回開催しております。なお、厳格な事業継続が必要とされる事業については、ISO22301の認証を取得し、継続的なPDCA活動に基づき改善を進めております。

 

(2) 気候変動リスク

(リスクの概要)

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動」にも示しましたように年々深刻さを増す気候変動の影響は大きく、環境規制の強化・低炭素な事業活動や代替素材利用への要請といった「移行リスク」と、洪水などの激甚災害による事業所罹災・サプライチェーン寸断による調達停滞といった「物理的リスク」それぞれに適切に対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループでは、サステナビリティ推進委員会が対応策のとりまとめを行っています。「移行リスク」については、環境規制の要求水準より高いレベルの温室効果ガス排出抑制に向けてSBT認証を受けた削減目標を設定し、省エネ活動や再生可能エネルギーの導入でPDCAを回しています。「物理的リスク」については、BCP対策として罹災に対する備え、被害の軽減策(防風、防水)、製造と調達のバックアップ体制構築による供給体制の維持継続を行っています。

気候変動リスクでは、長期的な視点でリスクを分析し、対策を進めています。

 

(3) 市場環境の変化に関するリスク

(リスクの概要)

当社を取り巻く市場環境は、社会のグローバル化や情報技術の革新、ネットワーク化の進展の他、地球環境保全や人権問題などサステナブルな社会の実現に向けたニーズも高まり、大きく変化しております。これらの市場環境変化に対する施策が不十分である場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主なリスク対応策)

既存印刷事業の需要が減少する中、DX事業、国内SX・海外生活系事業、新事業(フロンティア)の3つを成長事業に掲げ、事業ポートフォリオの変革を推進しております。具体的には、DX事業においては、顧客企業のBX(ビジネス・トランスフォーメーション)に貢献するデジタルマーケティングの推進の他、デジタル技術と高度なオペレーションノウハウを掛け合わせたハイブリッドBPOの事業展開及び海外セキュア事業の拡大を図ってまいります。国内SX・海外生活系事業においては、バリアフィルムを活用したサステナブル包材のグローバル事業拡大に加え、SX商材の開発・拡販やプラスチックリサイクルスキームへの実証参画などCO2排出量やプラスチック使用量削減に貢献してまいります。新事業(フロンティア)においては、競争優位を持つテクノロジー・ビジネスモデルを核に、ヘルスケア、メタバース、センサ関連などの領域で、事業化を推進してまいります。

 

(4) 戦略的提携、投資及び企業買収に関するリスク

(リスクの概要)

当社グループは、他社との戦略的提携、合弁事業、投資を通して、多くの事業を推進しており、将来におきましても、他の企業を買収する可能性があります。このような活動は、新技術の獲得、新製品の発売、新規市場参入のためには重要です。しかし、様々な要因により、提携関係を継続できない場合や、当初期待した効果を得られない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループは、各投資の実行に際しては、少額出資検討会、投資契約検討会、経営会議等の承認プロセスを経て投資判断を行っており、出資等の実行後も定期的にモニタリングを実施しております。また、特に出資先がスタートアップ企業や海外の企業等の場合は、必要に応じて外部の調査機関も活用し、十分なデューデリジェンスを行った上で投資を実行しております。しかしながら、当初想定通りの効果(回収)が得られないと判断された投資案件は、改善プランを策定し、改めてリスク等の精査に基づく挽回策を実施しておりますが、その上でなお成果が得られないと判断した場合は、株式売却や清算等もやむなく実施してまいります。こうしたケースは知見やノウハウを蓄積するための重要な機会であり、内容の精査・原因分析を通じて次の投資検討案件へのリスク低減と成功確率を高める活動へ繋げてまいります。

 

(5) 研究開発に関するリスク

(リスクの概要)

当社グループの研究開発活動につきましては、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載のとおりであります。当社グループは、各事業分野の新商品開発をはじめ、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けての研究開発、さらに産官学との連携を図りながら中長期の収益の柱となる新規事業の創出のための研究開発にも投資をしております。しかしながら、予測を超えた市場の変化、投資先・アライアンス先の業績悪化、事業化や上市のタイミングの遅れなどにより、研究開発投資が十分な成果をもたらさなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループの研究開発は、総合研究所を中心に行っております。研究開発テーマに関しては、中長期スケジュールのもと、細かな進捗確認、ステージアップ判断、リスク把握などを行い、課題遂行の遅延の防止を図っております。また、市場環境や技術動向、競合他社特許などの調査・分析を定期的に行い、研究開発テーマの方針変更の要否やテーマ継続の可否を適切に判断し、開発リソースの最適化を図っております。

 

 

(6) 事業の発展を支える人材の確保

(リスクの概要)

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性」にも記載したように、当社グループが将来にわたり事業を発展させていくためには、既存製品における高品質化と、高度な新技術導入による新製品・新サービスの開発が重要であると認識しております。そのためには、高度な技術力・企画提案力を有した優れた人材が不可欠です。当社グループは計画的な人材の採用と育成に向けた教育に注力しておりますが、優秀な人材を確保又は育成できなかった場合には、当社グループが将来にわたって成長し続けていくことができない可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループでは、効果的な採用広報により、当社グループに関心を持つ人材の母集団形成を図るとともに、新卒採用と経験者採用の両面において様々な採用チャネルを構築し、幅広い領域の人材を採用しております。また、社内の人材開発プログラムを常に更新し、基礎的能力から実践的スキルまで一貫して習得する場を提供し、事業を牽引する人材を育成している他、人事処遇や働き方の改革により従業員のエンゲージメント向上に努めています。さらに、成長事業への人材シフトやローテーションにより、人材面からの事業基盤強化を進めております。

 

(7) 円滑な資金調達

(リスクの概要)

当社グループは、事業の拡大や急速な技術革新に対応するために、事業投資や設備投資を必要としております。これらの投資に向ける資金調達につきましては、事業計画に基づき外部から調達する場合もありますが、金利情勢の大幅な変化等により適正な条件で必要十分な追加資金を調達することができない可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループは、事業計画に基づく資金調達を円滑に遂行するため、資金調達手段と調達期間を適切に分散しています。

また、有事の際においても事業継続に必要な資金調達を可能とするため、格付けの維持にも資する健全な財務体質の維持・強化に努めています。さらに、金融市場の動向に関する最新の情報と事業環境の分析に基づき、資金計画の見直しを適時に行っております。

 

(8) グループ統制に関するリスク

(リスクの概要)

当社グループは、国内外に多くのグループ会社を持つことから、グループ統制が重要であると認識しております。そのため、財務報告に係る内部統制を含め、「内部統制システム構築の基本方針」に基づき、内部統制システムを整備・運用をしておりますが、グループ会社が行なった経営上の意思決定に際し、結果的に法令違反や巨額の損失が発生した場合には、当社グループの社会的信用を失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループは、グループ会社の事業運営の独立性と自立性を尊重しつつ、グループ会社の取締役の職務執行の適正を確保するため、「関係会社管理規程」において、管理項目ごとに報告等の手続き方法を定め、報告を受けることとしております。

また、当社グループは、コンプライアンス基本規程として「トッパングループ行動指針」を定め、この周知徹底を図ることで従業員の職務執行の適法性を確保しております。そのために、本社法務本部コンプライアンス部を中心に、グループ会社の法務部門等と連携し、グループ全体の法令遵守と企業倫理の確立を図るとともに、行動指針推進リーダー制度を導入し、各職場での浸透活動を展開しております。

さらに、当社の内部監査部門が、定期的に当社各事業部及びグループ会社における業務執行状況を監査し、その結果を代表取締役、取締役会、監査役会及びグループ会社の取締役等に直接報告しております。

 

 

(9) 厳しい市場競争及び価格競争

(リスクの概要)

当社グループは、継続的に新製品や新サービスを開発・販売するとともに、既存製品のコストダウンに努めておりますが、競合関係にある企業との製品開発競争や価格競争が近年激しくなっております。当社グループの製品及びサービスが市場における優位性を維持できない場合や、激しい競争によって価格の下落を招いた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

あらゆる分野でデジタル化が加速する中、当社グループはDX事業領域へのリソース投入を進め、当社保有技術の棚卸やアライアンスも含めた開発力を強化してまいります。マーケティングテクノロジーを活用した得意先のビジネス変革支援であるBXの推進、デジタル技術と高度なオペレーションノウハウを掛け合わせたハイブリッドBPOの構築など、得意先のバリューチェーン全体に対して積極的に参入する機会を創出し、市場競争力の維持・向上を図ってまいります。また、世界的なサステナブルニーズの高まりを受け、優位性を保持しているバリアフィルムなど、サステナブル包材のモノマテリアル化を進め、グローバル市場への販路を拡大します。

一方、既存事業や構造改革事業は、AIを活用した自動化・少人化設備の導入などのスマートファクトリーを推進する他、拠点の集約、設備の圧縮などを進めております。また、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)やAIを活用した営業部門、間接部門の業務効率化や、不採算取引の見直し等、総合的な改善活動を進めてまいります。なお、改善が進まないと判断された不採算、低収益事業は、撤退・縮小も見据えた事業ポートフォリオの見直しも行ってまいります。

 

(10) 資産管理の不備による不良棚卸資産発生・長期在庫化等

(リスクの概要)

環境変化による需要の減少等で市場価格が大きく下落した場合や、経年劣化した場合は、棚卸資産の評価損が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

営業部門、製造部門、管理部門が連携し、販売促進による回転効率の向上及び棚卸資産の品質と管理状況の定期的なチェックによる品質の保持を徹底することで、不良棚卸資産発生と長期在庫化のリスク回避に努めております。

 

(11) 債権関連事故(不良債権発生・得意先倒産等)

(リスクの概要)

当社グループは、多種多様な業界の得意先と取引をしておりますが、各業界の業況悪化を通じた得意先の経営不振等により、多額の債権の回収が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループは、与信管理規程に基づき、取引先ごとに与信限度額を設定するとともに、定期的な与信の見直しを行っております。加えて、回収遅延や信用不安が発生した場合には、迅速に債権保全策を講じ、貸倒リスクの回避に努めております。

 

(12) 市場性のある有価証券における時価の変動

(リスクの概要)

当社グループは、市場性のある有価証券を保有しております。従って、株式市場及び金利相場等の変動によっては、有価証券の時価に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスクの対応策)

当社は、保有する政策保有株式について、事業運営面と投資資産としての価値の両面から総合的に分析し、保有の合理性について定期的に検証を行うとともに、保有先の財務状況等を把握することでリスクの低減に努めております。

また、その状況については取締役会へ報告するとともに、取締役会においては検証結果をもとに保有継続、売却の判断を行っており、保有意義の薄れた銘柄については売却を進めるなど縮減を図る方針としております。

 

 

(13) 外国為替相場の変動

(リスクの概要)

国内印刷市場の成熟化が進んでいる中、海外市場での事業が拡大しておりますが、海外現地法人において現地通貨で取引されている収支の各項目は、連結財務諸表を作成する際に円に換算されるため、結果として換算する時点での為替相場の変動に影響される可能性があります。

また、為替相場の変動は、当社グループが現地で販売する製品の価格、現地生産品の製造・調達コスト、国内における販売価格にも影響を与えることが想定されます。そのような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループでは、為替相場の変動について、リスク管理のガイドラインを制定し、グループ全体で為替リスクの軽減に努めております。事業の中で発生する為替変動リスクは取引の中で極力吸収することに努めるとともに、為替予約等のヘッジ手段も適宜活用しながら為替変動リスクを最小化することに努めております。

 

(14) 情報セキュリティにおけるリスク(サイバー攻撃、情報漏洩)

(リスクの概要)

当社グループでは、事業の一環として得意先から預託された機密情報や個人情報の収集・保管・運用を行っております。特に、BPO事業につきましては、政府・地方自治体や企業等のアウトソーシング需要の取り込みにより、取り扱う情報量が増加しております。また、当社グループが推進するDXにおきましては、データの収集・分析を通じた製品・サービスの提供をビジネスモデルとして実施しており、個人情報を含む情報の利活用を進めております。

DXを推進し、得意先の重要情報を取り扱う当社グループにとって、サイバー攻撃、及び当社グループ社員もしくは業務の委託会社等の不正行為等による情報の不適切な取り扱いや情報漏洩の発生は、特に重大なリスクであると認識しております。標的型メールランサムウェア攻撃をはじめとして、最近ではテレワークやオンライン会議の脆弱性をついたサイバー攻撃が急増し、攻撃手法も高度化・巧妙化しております。万一サイバー攻撃や不正行為等により情報漏洩やデータの破壊・改ざん、システム停止、サービス停止などの被害が生じた場合には、当社グループの社会的評価が悪影響を受け、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

機密情報や個人情報を含む重要な情報については、厳重な情報セキュリティ管理体制により管理しております。具体的には、当社グループにおいては、トッパングループ情報セキュリティ基本方針のもと、国内外の法規制及び情報セキュリティに関する規格をもとにした規定を定め、法改正等に合わせた規程類の改定整備や、トッパングループ各社のセキュリティ成熟度の評価・改善指導を適宜行っております。また、従業員等に対しても定期教育により当該規程類の周知を図るとともに、内部監査及び委託先監査による遵守状況の確認、改善指導を行っております。

外部からのサイバー攻撃等による情報漏洩やシステム停止に対する対策としては、端末上におけるウイルス等の振る舞い検知システムの導入やネットワーク監視を実施する等の技術的な対策を実施するだけではなく、標的型攻撃メールや各種インシデントへの対応、開発部門や製造部門等の特定部門での対応力強化のための教育など、全従業員教育に加え、各職種・各階層に合わせた教育を実施し、教育、訓練・演習、診断、教育というサイクルを回しながら定着を図っております。

また、重要情報を取扱うエリアを限定しかつ業務監視を行うなど漏洩対策を実装し、適宜強化・最適化を行っております。さらにサイバー脅威情報を収集・評価・分析し対策に反映させる運用体制を整備するとともに、インシデント対応のためのCSIRT機能(Computer Security Incident Response Team)として「TOPPAN-CERT」(トッパングループ全体を対象)及び「TOPPAN Edge CSIRT」(TOPPANエッジグループを対象)を設置し、他社CSIRTや関係機関と連携してサイバーリスク低減に取り組んでまいります。

 

 

(15) ITシステムの停止に関するリスク(生産ライン、デジタルサービス等)

(リスクの概要)

当社グループでは、当初より電子出版をはじめとした印刷のデジタル化を推進してまいりました。そのノウハウをコンテンツ制作に活かし、デジタルとリアルが融合したソリューションの提供や社会インフラのデジタル化など、さまざまなデジタルサービス事業を展開しております。また、製造工程においても、多様な生産装置やIoTデバイスからのリアルタイム情報を分析・活用することでスマートファクトリーを実現し高レベルな品質管理を行っており、ITシステムの役割は極めて重要であると考えております。

当社グループでは、生産ラインを稼働させる重要な環境として、またデジタルサービス事業の提供環境としてITシステムの安定稼働に向けた強化が必要と考えており、万一の障害や事故に備え、システムの冗長化やバックアップ体制の整備などを行っております。しかしながら、安定稼働していたシステムにおいても、機器故障や人的ミスの発生、そのバックアップシステムが正常に稼働しない等により、生産ラインやデジタルサービス事業などの突発的な停止が引き起こされることがあり得ます。万一このような事態が生じた場合には、社会的信頼を失うばかりか、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループでは、重要なITシステム構築時のガイドラインを策定し、システム停止が発生しないよう対策を講じるとともに、停止が発生した際の業務影響範囲の確認、復旧優先度や復旧手順の確認及び訓練の実施など、万一システム停止が発生した際の被害の最小化並びに早期復旧に向けた取り組みを定期的に実施しております。

 

(16) 製品の品質に関するリスク

(リスクの概要)

生産活動におきましては、品質管理上、十分な注意を払い全ての製品について品質事故やクレームを発生させないための対応を図っておりますが、将来にわたっては品質事故が発生することで業績に影響を及ぼす可能性があります。特に安全性が損なわれた製品が市場に流出した場合、当該製品を販売する得意先と連携し、製品の自主回収を行うこととなります。その場合、多額の回収費用や賠償費用が発生する他、社会的な信用を失い、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループでは、「製品の安全管理についての基本方針」のもと、各事業においてISO9001に基づく品質マネジメントシステムを構築し、品質管理の徹底・継続的改善を行い、製品の品質事故防止に取り組んでまいります。

万一重大な品質事故が発生した場合、本社製造統括本部品質保証センターが中心となり、原因の追究及び対策の指導を全社的に水平展開し、再発の防止に努めております。

また、特に安全衛生面で高い品質保証が求められる食品関連事業・ヘルスケア関連事業に対しては、本社が制定する品質保証ガイドライン及び品質監査チェックシートに基づく監査を実施し、製造を許可する認定制度を採用して、品質事故の未然防止に努めてまいります。

 

(17) 調達におけるリスク

(リスクの概要)

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (5)サプライチェーン」にも記載のとおり、当社グループは、サステナブル調達の取り組みを進めており、事業に使用する用紙、インキ、ガラスといった原材料やエネルギーを外部の取引先から調達しております。事業活動を維持するためには、十分な量の原材料やエネルギーを適正な価格で安定的に確保することが重要ですが、取引先の被災や倒産、事故や人権問題、環境規制違反、地政学リスクによる混乱などにより、供給の中断、供給量の大幅な不足や納期の遅延、原材料やエネルギー価格の高騰などが起こる可能性があり、そのような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(主なリスク対応策)

当社グループでは、社会の要請や国際規格などを鑑み、原材料やエネルギーなどの安定した持続可能な調達(サステナブル調達)を行うためのガイドライン「トッパングループ サステナブル調達ガイドライン」を策定しています。サプライヤーの皆さまと密接に連携し、このガイドラインの浸透を図るとともに大規模災害発生時の事業継続の取り組み状況や、人権・労働・環境・腐敗防止への取り組み状況等を定期的に確認し、サステナブル調達を推進しています。

また、エネルギー調達については、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入に向けた取り組みを強化するとともに、複数のエネルギー供給元を確保するなどリスク分散をしています。

さらに、当社グループの調達に関わるサプライヤーからの通報窓口として「サプライヤーホットライン」を当社のコーポレートWebサイト上に設置し、サプライヤーとの信頼関係を構築し安定した調達の実現に努めております。

 

(18) 有害物質の漏洩・汚染リスク

(リスクの概要)

国内外において、国や地方自治体の法律及び規制により、有害物質の不適切な使用・廃棄やそれに起因する土壌汚染、大気汚染、水質汚染等の環境汚染に関して、重大な責任が発生する可能性があります。当社グループの製造工程及び研究開発におきましては、特定の有害物質を使用し、廃棄物を管理する必要があり、適用される規制を守るために厳重な注意を払っております。しかし、このような物質に起因する偶発的な汚染や放出及びその結果としての影響を完全に予測することは困難であり、万一発生した場合には、近隣など外部への影響及び当社グループの従業員を含め事業活動にも影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

偶発的な汚染や放出の原因となる有害物質の貯蔵タンクの管理、保全を実施しております。日常での運用管理や設備点検を徹底するとともに、自社で設定した管理ガイドラインに基づき、使用年数に応じて劣化診断や計画的な更新を行っております。さらに、貯蔵タンク設置場所には防液堤を設置し、漏洩流出の未然防止を図っております。また、薬液類の給油、貯留、運搬、廃棄等の取扱い時における偶発的な汚染や漏洩流出を想定し、あらかじめ緊急事態対応手順を整備し、その手順に則り定期的に訓練も行うことで、影響を最小限に抑えられるように備えております。これらの管理状況は本社製造統括本部エコロジーセンターによる環境監査の中でも確認し、状況に応じて改善指導も行っております。

 

(19) 廃棄物に関するリスク

(リスクの概要)

当社グループの廃棄物は、情報コミュニケーションと生活・産業の事業分野を中心とした事業所から出る紙くずが最も多く、総排出量の約60%を占めております。これに生活・産業事業分野の廃プラスチック類、エレクトロニクス事業分野の廃酸が続きます。これらの廃棄物の処理につきましては、廃棄物処理事業者に委託しておりますが、万一これらの委託事業者が不法投棄や不適切な処理を行っていた場合には、排出事業者として当社グループの社名等が公表される他、当社印刷物の得意先商品名がSNS等で拡散され、得意先の社会的信頼を毀損する可能性があるなど、社会的な信用を失い、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループは、委託事業者による不法投棄や不適切処理対策として、マニュフェスト管理の徹底、自社評価シートによる廃棄物処理事業者の適正処理の評価、本社製造統括本部エコロジーセンター及び各事業所による現地視察などを行っております。

また、廃棄物の適正処理とともに、中長期環境目標に廃棄物の最終埋立量、廃プラスチックのマテリアルリサイクル率を設定、管理することにより、事業活動に伴って生じる廃棄物の排出抑制、並びに排出される廃棄物の再使用・再資源化にも取り組み、近年注目されている海洋プラスチック問題、サーキュラーエコノミーに対しても、対応を強化してまいります。

 

(20) 人権リスク

(リスクの概要)

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)人権」にも記載したように当社グループでは「人間尊重」の精神を基本に事業活動を行っており、人権を事業活動やサステナビリティの取り組みを推進するにあたり、最も重要なテーマであると捉えています。

しかしながら、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントをはじめとする人権問題が発生した場合には、職場環境の悪化にとどまらず、労災補償やブランド価値の毀損などが発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループでは、「人権方針」を2021年10月に制定するとともに、自社の行動規範である「行動指針」で、人格と個性の尊重、差別行為やハラスメント行為の禁止、児童労働・強制労働の禁止など、基本的人権を尊重することを定めています。また「トッパングループ サステナブル調達ガイドライン」においても人権を重視する姿勢を明示し、サプライチェーン全体で人権に関する取り組みを推進しています。さらに、国内外グループ会社・サプライヤー等の当社グループを取り巻くステークホルダーへの調査・ヒアリングを通じて人権リスクの軽減・是正に向けた取り組みを行っています。

推進体制としては、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」の下部に設置されている「コーポレートESGプロジェクト」における「人権ワーキンググループ」が人権尊重の取り組みを主管し、グループ全体への浸透を進め、あらゆる人権リスクに対する対応基盤の構築を目指します。

また、ハラスメントに対しては、トッパングループ行動指針にハラスメント行為の禁止を定め、研修などを通じて徹底しております。また、総務部門を通じた各職場への啓発活動、各職場の行動指針推進リーダーを中心とした日常業務レベルでの浸透・徹底、各職場の管理職への教育、アンケートによる実態把握などを行っております。各種ハラスメントに関する相談体制を拠点単位で設置するとともに、内部通報制度「トッパングループ・ヘルプライン」にも通報することができるようにし、早期に発見し適切に対処する機能を果たしております。

さらに、労使でハラスメントの問題を認識し、労使協力してその行為を防止し、ハラスメントの無い快適な職場環境の実現に向け、「ハラスメント防止に関する取扱い」の労使協定を締結しております。

 

(21) 火災及び労働災害

(リスクの概要)

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性」にも記載したように当社グループは、事業活動を行うにあたり、「安全は全てに優先する」を第一義とする「安全衛生・防火基本方針」を制定し、労使一体となり、安全衛生・防火活動に取り組んでおります。不測の事態により火災及び労働災害が発生した場合、事業所の設備や従業員等が大きな被害を受け、その一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業活動、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。さらに、安全衛生・防火の管理において不備があった場合は、当社グループの社会的評価に悪影響を与える可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループでは、全国の事業所に、安全師範や安全担当者、技術安全推進担当者などを配置するとともに、職場で働く全ての人々に安全意識を浸透させるべく、5S活動、危険予知訓練(KYT)、リスクアセスメントなどの基礎知識、全国の事業所で取り組んでいる安全活動などを紹介する「勉強会」や、グループも横断した製造の各工程で取り組んでいる安全活動の情報を共有する「分科会」活動を推進しています。リスクアセスメントによる設備の本質安全化や職長教育を中心とした各種の階層別教育の徹底なども進めております。また、安全に対する意識と危険に対する感受性の向上を目指すため、「挟まれ・巻き込まれ」や「発火・爆発」などを実際に体感することができる「安全道場」を国内外の主要製造拠点に開場している他、VR技術を活用し、多言語での解説を搭載したバーチャル映像と音を通じて事故の疑似体験をするデジタルコンテンツによる安全教育も国内外のグループ会社に展開しています。

 

(22) 労務問題に関するリスク(労働法規違反、労務トラブル等)

(リスクの概要)

「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本・多様性」にも記載したように当社グループでは、従業員を会社の貴重な財産、すなわち「人財」と捉え、「企業は人なり」という理念のもと、従業員が「やる気」、「元気」、「本気」の3つの「気」を持つことで、従業員がそれぞれの力を十分に発揮することが大切であると考えております。それを実現するために、従業員の労働については、国の政策や法制度の動向を踏まえ、労働組合と協議しながら、様々な施策を展開しております。しかしながら、基準を超える長時間労働が行われたり、規定の有給休暇が取得されないなど、労働法規違反により当局から行政処分などを受けた場合や、労務トラブルが発生した場合には、当社グループ従業員の業務パフォーマンスの低下に加え、当社グループのブランド価値が毀損し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループは、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けて、各社の労使関係の中で、継続した労働時間短縮に向けた取り組みや、法改正への対応に関して意見交換及び協議を行うとともに、残業実態の分析、新たな勤務制度の導入・活用状況の検証を行っております。今後は長時間労働の撲滅に向けて、各社の労働時間や年次休暇の取得状況を日々把握できる体制・システムを検討し、グループ全体での生産性の向上と労働時間の短縮を目指すとともに、法令順守の体制を構築してまいります。コロナ禍において定着した「リモートワーク制度」による働き方改革を継続し、従業員が自律的かつ効率的に業務を行える環境を整備しております。また、各拠点に労務相談の窓口を設け、ハラスメント相談員の資格を持った担当者が対応に当たるなど、労務トラブルの未然防止にも努めております。

 

(23) 特許権や著作権等の知的財産権の侵害

(リスクの概要)

当社グループでは、事業戦略と知財戦略をマーケット志向と研究開発活動により、一層密着させ、戦略的な知的財産ポートフォリオの構築に取り組んでおり、創出された知的財産により事業競争力の確保、維持、強化をしております。

しかしながら、当社グループの技術等が、見解の相違等により他者の知的財産権を侵害しているとされる可能性や訴訟に巻き込まれる可能性があります。また、他者が当社グループの知的財産を不正使用することを防止できない可能性や、侵害を防ぐための対応が成功しない可能性があります。

さらに、当社グループは、お客さまに印刷物や商品パッケージのデザインを提案する業務において、著作物を日常的に取り扱っております。そのため、当社グループが取り扱う著作物の権利について、事前かつ十分に処理状況を確認できなかった等の理由により、他者の著作権を侵害しているとされる可能性や訴訟に巻き込まれる可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループは、新事業や新商品、新技術の研究・開発にあたり、グローバルな視点も含めて、他者の知的財産権を継続的に調査・経過観察することにより、他者の知的財産権を侵害するリスクを未然に防止してまいります。当社グループは、事業展開する国や地域に合わせた権利取得を行い、強固な知的財産ポートフォリオを構築することにより、当社グループの知的財産権が他者に侵害されるリスクを回避しております。

また、知的財産に関する階層別の社内教育を定期的に実施して、他者の知的財産権の尊重とその重要性について社内に周知徹底しています。さらに、著作権教育についても社内をはじめ、委託先である外部デザイナーに向けて定期的に実施し、事前かつ適切な著作権処理を徹底することにより、他者の著作権を侵害するリスクを未然に防止しております。

 

(24) 不祥事(重大な不正、不適切な行為等)・コンプライアンス違反(談合、贈賄、その他法的規制違反)

(リスクの概要)

当社グループは、国内外で多くの拠点を持ち、多種多様な業界にわたる多くの得意先と取引をしていることから、関連する法令や規制は多岐にわたっております。事業活動を行うにあたり、会社法、金融商品取引法、税法、独占禁止法、下請法、贈賄関連諸法などの法規制に従う他、免許・届出・許認可等が必要とされるものもあります。万一、従業員による重大な不正や不適切な行為等の不祥事があった場合、あるいはコンプライアンス違反があった場合には、法令による処罰、損害賠償の請求だけでなく、社会的信用の失墜、得意先や取引先の離反などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスク対応策)

当社グループは、従業員一人ひとりの遵法精神と企業倫理に基づく行動のあり方を示した「トッパングループ行動指針」を制定し、この行動指針の徹底こそがコンプライアンスの実践であると考えております。そこで、行動指針推進リーダー制度を導入し、各職場の行動指針推進リーダーを中心として、日常業務レベルでの行動指針の浸透・徹底を図っております。

また、談合・カルテル、下請法違反、贈賄などを防止するため、研修や監査を実施するなど、従業員のコンプライアンス意識向上のための施策を実施しております。

当社グループは、法令違反の早期発見と迅速かつ適切な対応を行うため、グループ共通の内部通報制度である「トッパングループ・ヘルプライン」を設置しております。

 

(25) 海外ビジネスに関するリスク(規制法違反、地政学リスク、訴訟、労働争議、国際税務等、前各項に含まれない事項)

(リスクの概要)

当社グループは、米国をはじめ中国、東南アジア地域、欧州など数多くの国や地域で事業活動を行っております。将来的にも、開発途上国を含む海外の国や地域で新たに事業を展開する可能性があります。事業展開する国や地域における政治及び経済面における不安定さ、疫病及び大規模な災害の発生、労働争議や紛争の発生などにより、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外子会社におけるガバナンス不全や社内管理の不備により、法規制への違反、外国公務員への贈賄や国際カルテルなどの不法行為、現地従業員による着服、不正会計、税制の変更や不適切な税務申告などが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

さらに地政学リスクという観点では、ロシア・ウクライナ情勢を巡る動きをはじめ、世界的に先行きの不透明感が増し、リスクは高まっています。加えて、そのような状況から派生した輸出入規制の強化、資金決済への制限など、当社グループのビジネスにも影響が及んでいます。紛争の長期化や激化、新たな戦闘や抗争による事業停止や撤退など、さらなる影響を受ける可能性があります。

(主なリスク対応策)

海外ビジネスに関するリスクを低減するためには、各海外子会社におけるガバナンス体制の構築と、その実効性の高い運用が重要であると考えております。そこで、当社グループでは、マネジメント全般、コンプライアンス、情報セキュリティ、人事、安全衛生、会計、税務、品質、環境、調達などについて「あるべき姿」を示し、それに基づき各海外子会社で体制・仕組みの構築と遵守・運用・実践を一体となって進めております。また、社内監査や会計監査などを実施し、指摘事項に対する改善指導を行い、より効果的なガバナンス体制の構築に努めております。

さらに海外での事業開始前に、第三者機関が提供する事業環境リスク評価システムを活用したリスク評価を行うなど対応を強化するとともに、海外出張者・海外駐在員に対し、渡航前に安全教育やリスク管理・危機管理研修を実施しております。

地政学リスクについても、情勢の変化を見ながら当社グループへの影響分析、評価を行い、BCP策定などの対策を講じています。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①  財政状態及び経営成績の状況

当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されるなど、持ち直しの動きがみられた一方、ウクライナ侵攻の長期化に伴うサプライチェーンの混乱や資源価格の高騰、急激な為替変動など、先行き不透明な状況が続きました。

当社グループを取り巻く環境におきましては、情報媒体のデジタルシフトによるペーパーメディアの需要減少の他、原材料の供給面での制約や価格高騰など厳しい経営環境が続きましたが、生活様式の変化に伴うデジタル需要の増加や地球環境に対する意識の高まりなど、新たな需要が見込まれています。

このような環境の中で当社グループは、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、トッパングループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会的課題の解決とともに持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」を柱に、ワールドワイドで社会課題の解決を目指しています。

以上の結果、当期の売上高は前期に比べ5.9%増1兆6,388億円となりました。また、営業利益は4.3%増766億円、経常利益は6.4%増811億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ投資有価証券売却益が減少したことに加え、当期に減損損失が増加したことなどにより、50.6%減608億円となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

a   情報コミュニケーション事業分野

セキュア関連では、帳票類の電子化などによりビジネスフォーム関連が減少したものの、ICカード関連が増加したことなどにより、前年を上回りました。

コンテンツ・マーケティング関連では、ペーパーメディアやSP関連が減少したものの、ゲームカードや株式会社BookLiveによる電子書籍関連事業、Web広告運用などのデジタルマーケティング関連の増加により、前年を上回りました。

BPO関連は、デジタルとオペレーションを組み合わせたハイブリッドBPOの拡販に努めたものの、昨年度の大型案件の反動により、減収となりました。

DX領域の「Erhoeht-X(エルへートクロス)」事業の取り組みとしては、デジタルマーケティングの運用体制強化に向け、札幌エンゲージメントセンターの開設や、CRM領域で豊富なノウハウを持つフュージョン株式会社との資本業務提携を実施しました。また、トッパン・フォームズ株式会社(新社名:TOPPANエッジ株式会社)が提供するメッセージ配信サービス「EngagePlus」の機能拡充などにより、企業や団体の業務効率改善を推進しています。
  以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前期に比べ1.8%減8,875億円、営業利益は16.3%減428億円となりました。

 

b   生活・産業事業分野

パッケージ関連では、国内は、食品向けを中心とした需要の増加やサステナブル包材の拡大により、前年を上回りました。海外は、昨年度買収した米国軟包装メーカーInterFlex社、5月に買収したタイの軟包装メーカーMajend Makcs社に加え、インドネシアを中心に販売が拡大しました。なお、国内、海外ともに原材料やエネルギー価格の高騰を受け、価格改定を進めました。

建装材関連では、国内は、高意匠・高機能化粧シートの販売が拡大し、増収となりました。海外は、欧州での急速なインフレ及び北米での住宅金利の上昇による需要減の影響があったものの、家具などのインテリア向け化粧シートの販売拡大や価格改定に加え、為替の影響もあり、前年を上回りました。

高機能関連では、昨年度連結子会社化したインド大手フィルムメーカーのToppan Speciality Films社(旧社名:Max Speciality Films社)が貢献し、増収となりました。

 

SX領域の取り組みでは、世界最高水準のバリア性能を持つ透明バリアフィルム「GL BARRIER」を用い、リサイクル適性の高いモノマテリアル包材や、プラスチック使用量及びCO2排出量を削減するレトルト対応の紙製パウチなど、環境配慮型包材の開発に取り組みました。

以上の結果、生活・産業事業分野の売上高は前期に比べ17.2%増5,206億円、営業利益は17.6%減235億円となりました。

 

c   エレクトロニクス事業分野

半導体関連では、フォトマスクは、5G・AI、車載向けなどの堅調な半導体需要を背景に、増収となりました。高密度半導体パッケージ基板のFC-BGA基板は、業界最高水準の品質と技術を武器に、大型・高多層の高付加価値品が、データセンターやサーバー向けなどを中心に好調に推移しました。

ディスプレイ関連では、テレビ向けなどの需要が減少した反射防止フィルム及び構造改革を進めたカラーフィルタが減少し、前年を下回りました。

新事業創出の取り組みとしては、IoTの本格普及に向け、次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)通信規格「ZETA」を活用した、工場や施設における環境データの遠隔監視や設備保全業務を効率化するシステム「e-Platch®(イープラッチ)」を開発し、クラウドセキュリティの国際標準規格「ISO/IEC 27017認証」を取得しました。また、産業用の自律走行ロボットなどの普及を見据え、最長30mの距離を測定できる次世代ToFセンサを世界で初めて開発しました。

以上の結果、エレクトロニクス事業分野の売上高は前期に比べ15.3%増2,553億円、営業利益は60.6%増482億円となりました。

 

財政状態の状況は、次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ493億円減少2兆2,388億円となりました。これは有価証券が464億円、建設仮勘定が104億円、商品及び製品が89億円、無形固定資産のその他に含まれるソフトウェア仮勘定が69億円、土地が52億円、それぞれ増加したものの、投資有価証券が1,319億円減少したことなどによるものです。
  負債は、前連結会計年度末に比べ643億円減少7,866億円となりました。これは流動負債のその他に含まれる契約負債が160億円、短期借入金が118億円、それぞれ増加したものの、繰延税金負債が411億円、1年内償還予定の社債が400億円、未払法人税等が166億円、それぞれ減少したことなどによるものです。
  純資産は、前連結会計年度末に比べ149億円増加1兆4,521億円となりました。これはその他有価証券評価差額金が843億円減少したものの、非支配株主持分が558億円、利益剰余金が468億円、それぞれ増加したことなどによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ333億円増加し4,476億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,095億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、1,060億円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入があった一方、設備投資などを行ったことから、314億円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却などを行った一方、社債の償還や自己株式の取得、配当金の支払などを行ったことから、501億円の支出となりました。


 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション事業分野

879,733

△1.3

生活・産業事業分野

520,055

18.0

エレクトロニクス事業分野

255,952

14.1

合    計

1,655,742

6.4

 

(注) 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション事業分野

881,379

△1.2

50,354

24.4

生活・産業事業分野

511,410

15.8

107,231

△1.2

エレクトロニクス事業分野

385,268

69.8

170,164

589.1

合    計

1,778,058

13.9

327,751

88.7

 

(注) 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報コミュニケーション事業分野

871,508

△2.2

生活・産業事業分野

512,671

17.6

エレクトロニクス事業分野

254,654

15.4

合    計

1,638,833

5.9

 

(注) 1  セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。

2  相手先別販売実績につきましては、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、5.9%増1兆6,388億円となりました。

売上原価は前期比5.3%増1兆2,766億円売上原価率は0.5ポイント低下して77.9%となりました。この結果、売上総利益は、前期比8.2%増3,621億円となりました総合的なコスト削減策が奏功し、売上原価率は2020年3月期に80%を切った後、さらに3期連続で低減しています。引き続き、組織のスリム化や生産の効率化、原材料調達の見直しなどに取り組んでまいります。

販売費及び一般管理費は、前期比9.3%増2,855億円となりました。対売上高比率は17.4%で、前期の16.9%から0.5ポイント上昇しました。当社グループでは現在、収益力強化に向けた事業構造改革を進めており、最適な人員配置による外部委託費の低減、総労務費圧縮などを引き続き推進していく方針です。

営業利益は前期比4.3%増766億円となり、売上高営業利益率は4.7%前期並みとなりました。当社グループは、本業の収益力を測る指標として営業利益を重視し、今後もその拡大に向けた施策を積極的に講じる方針です。

税金等調整前当期純利益は前期比39.5%減1,095億円となりました。これは、当社の進めている保有資産価値見直し施策において、株安の影響もあり投資有価証券売却益が減少したこと、また世界的なインフレ・消費停滞等を受けて、北米の軟包材コンバーティング事業や国内紙器事業で減損損失を計上したことなどによるものです。

以上の結果、非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比50.6%減608億円となり、1株当たり当期純利益は前期の365円21銭から185円7銭に減少しました。

利益率は、総資産当期純利益率(ROA)が前期の5.3%から2.7%へ、自己資本当期純利益率(ROE)が前期の9.2%から4.5%へ、それぞれ低下しました。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

情報コミュニケーション事業分野の総資産は10億円0.1%)増加し、8,413億円となりました。生活・産業事業分野の総資産は193億円3.8%)増加し、5,248億円となりました。エレクトロニクス事業分野の総資産は822億円36.6%)増加し、3,072億円となりました。

なお、セグメント別の経営成績については「第2  事業の状況  4  経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要  ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金は主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理経費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出されております。

これらの必要資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローから創出し、必要に応じて柔軟的かつ機動的に借入や社債発行等により調達しており、資産効率の向上と今後の持続的な成長を実現させるため、M&Aなどの事業投資を含む成長投資や構造改革等の投資財源へ充当してまいります。

また、当社グループは手元流動性残高から有利子負債を控除したネットキャッシュの水準を重視した資金管理を実施しており、必要な流動性資金は充分に確保しております。これらの資金をグループ内ファイナンスで有効に活用することにより、効率的な資金運用を図っております。

これらの方針により、持続的成長に向けた投資の強化、構造改革の推進及び安定的な株主還元のバランスをとり、財務健全性との両立を重視した運営を堅持してまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術導入契約

契約会社名

契約先

契約の内容

契約発効日

技術料

凸版印刷㈱
(当社)

インターメック アイピー

(アメリカ)

RFIDインサート及び
RFIDタグに関する技術

2005年9月1日

売上高に対し
一定率

九州ナノテック光学㈱

液晶調光フィルムに関する
技術

2016年5月10日

頭金及び売上高に対し一定率

 

 

(2) 技術供与契約

該当事項はありません。

 

(3) 技術導入契約の終了

該当事項はありません。

 

(4) 吸収分割契約

(トッパン・フォームズ株式会社に対する吸収分割に係る吸収分割契約)

当社は、2022年9月29日開催の取締役会において、2023年4月1日を効力発生日として、2022年10月1日付当社組織運営体制変更後の情報コミュニケーション事業本部セキュア事業部が営む事業に関して有する権利義務の一部を、当社の連結子会社であるトッパン・フォームズ株式会社(2023年4月1日付でTOPPANエッジ株式会社に商号変更)に吸収分割の方法により承継させることを決議し、2022年11月24日付で、当該吸収分割に係る吸収分割契約を締結しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

(TOPPAN株式会社に対する吸収分割に係る吸収分割契約)

当社は、2023年3月9日開催の取締役会において、2023年10月1日(予定)を効力発生日として、当社が営む一切の事業(但し、グループ経営管理事業(当社が株式又は持分を保有する会社等の事業活動に対する支配又は管理並びにグループ経営戦略としての新事業開発に必要な業務及び当社を上場会社である持株会社として運営するために必要な業務に係る事業を含みます。)並びに当社のDXデザイン事業部が営む事業を除きます。)に関して有する権利義務の一部を、当社の完全子会社かつ分割準備会社として設立したTOPPAN株式会社に吸収分割の方法により承継させることを決議し、2023年4月27日付で、当該吸収分割に係る吸収分割契約を締結しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

(TOPPANデジタル株式会社に対する吸収分割に係る吸収分割契約)

当社は、2023年3月9日開催の取締役会において、2023年10月1日(予定)を効力発生日として、当社のDXデザイン事業部が営む事業に関して当社が有する権利義務の一部を、当社の完全子会社かつ分割準備会社として設立したTOPPANデジタル株式会社に吸収分割の方法により承継させることを決議し、2023年4月27日付で、当該吸収分割に係る吸収分割契約を締結しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、21世紀のあるべき姿を定めた「TOPPAN VISION 21」に基づき、各事業領域の基盤強化と市場ニーズを先取りした新商品の開発を積極的に推進しております。

当社グループの研究開発は、総合研究所を中心に、事業(本)部の技術関連部門及び主要連結子会社が一体となり収益力の強化を図っており、各事業分野の新商品開発に注力するとともに、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けた開発を進めております。また、次世代商品系分野についても総合研究所を中心に産官学との連携を図り、中長期の収益の柱となる新規事業創出に努めております。

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は26,591百万円であり、セグメントにおける主な研究開発とその成果は次のとおりであります。なお、研究開発費につきましては、当社の本社部門及び総合研究所で行っている基礎研究に係る費用を次の各セグメントに配分することができないため、研究開発費の総額のみを記載しております。

 

(1)  情報コミュニケーション事業分野

セキュア関連では、量子コンピュータによる公開鍵暗号の解読リスクに対し、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と連携し、量子コンピュータでも解読が難しい耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography 以下PQC)の研究を進めております。NICTが運用するテストベッド「H-LINCOS」(※1)において、PQC対応のプライベート認証局(※2)を構築しました。さらに、電子署名や電子証明書発行機能に加え、当社とNICTが開発した「PQC CARD®」による改ざん検知機能を実装しました。これらの研究の一部を内閣府SIPプログラム「光・量子を活用したSociety 5.0実現化技術」(研究推進法人:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)にて実施しました。今後、これらの技術を活用し、インターネット上のサイバーセキュリティを担保し、安全・安心な社会インフラ実現を目指します。

自動認識技術関連では、環境に配慮したNFC(近距離無線通信)タグラベルを開発しました。これは、従来のPETフィルムに代わり、紙素材をアンテナ基材としつつも、新たな回路形成技術によってNFCデバイスとしての通信性能を維持しております。紙への置き換えによりプラスチックの使用量をゼロにすると同時に、紙製のNFCタグラベルは、剥がすと破壊される特性を活かし、不正利用防止が可能です。

DXの取り組みとしては、流通小売業の販促業務の効率化を支援する「PROMO CORE® for cloud」を開発しました。これは、当社が以前から提供している、販促情報や取扱商品を一元管理できるデータベース「PROMO CORE®(プロモコア)」をクラウド化したもので、より簡単・安価・スピーディーな導入が可能になります。

また、メタバースに対する社会的な関心の高まりを受け、商品の精緻な3D再現が可能な「MiraVerse® Core」を開発しました。利用企業はWebサイトを通じて、幅広い利用者にバーチャル体験の提供が可能になり、購買意思決定を強力にサポートできるようになります。また、「デジタルツイン・ワールドトリップ®」を開発しました。仮想空間とリアルタイム中継の組み合わせによる新たな体験を提供します。これらの技術は、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が展開する共創空間「LINKSPARK OSAKA」での実証実験にも利用され、施設の魅力を遠隔地からでも体験できるサービスの立ち上げを目指します。

 

(2)  生活・産業事業分野

パッケージ関連では、「TOPPAN S-VALUE® Packaging」を通じて「価値あるパッケージ」を提供し、より良い社会と心豊かで快適な生活に貢献します。軟包材においては、「即食ニーズ」に応えるため、冷凍食品向け新型包材「いただきピロー®」を開発しました。この製品はレンジ調理後にそのまま食器として使用可能で、プラスチックの使用量を大幅に削減し、包材製造時のCO2排出量も約20%削減します。

「GL BARRIER」(※3)シリーズの新しいラインアップとして、高いバリア性能と遮光性を有する「GL-ME-RC」を開発しました。この製品は、従来のアルミ蒸着フィルムでは実現が難しかった優れた耐屈曲バリア性能を有し、高いバリア性と遮光性、耐屈曲性が必要な医薬品や食品への使用が可能です。また、包材製造時に排出するCO2量を約15%削減することが可能です。

また、リサイクル適性に優れたバリアパッケージを2種類開発しました。レトルト食品向けのPP(ポリプロピレン)モノマテリアルバリアパッケージと、液体内容物向けのPE(ポリエチレン)モノマテリアルバリアパッケージです。これらの新製品はそれぞれ耐熱性等の強度と環境適性を両立しております。

 

さらに、「チューブなパウチ®」を開発し、公益社団法人日本包装技術協会が主催する「第46回木下賞 研究開発部門」を受賞しました。この製品は、消費者の利便性向上と、プラスチック樹脂使用量の大幅削減を同時に実現しました。

紙器では、レトルト対応の新型紙製スタンディングパウチを開発しました。この製品は「GL BARRIER」を使用し、レトルト殺菌や電子レンジ加熱が可能な紙製パウチです。従来のアルミを使用したレトルトパウチと比較して、プラスチック使用量を約25%削減でき、また、包材製造時のCO2排出量を約17%削減できます。

建装材関連では、周波数28~300GHzのミリ波帯で、複数の電波を選択的に吸収する、マルチバンド対応ミリ波吸収体を開発しました。この製品はメタサーフェス構造(※4)のフレキシブル性のあるシートで、装飾用としてオフィスや工場内部に取り付けることができ、第5世代移動通信システム(5G)で使用する高周波数のミリ波帯において、無線通信機器からの電波の干渉や漏洩を低減し、高速化・低遅延・多数同時接続を可能にします。

 

(3)  エレクトロニクス事業分野

近年、スマートフォンやゲーム機の高機能化、産業用の自律走行ロボットなどの普及に伴い、3Dセンサの市場拡大が期待されております。当社は、2023年4月1日付で吸収合併した株式会社ブルックマンテクノロジと共同で、1~30mの範囲で距離を測定できる「ハイブリッド駆動ToF(Time of Flight)方式」(※5)による「三次元距離画像センサ(3Dセンサ)」を開発しました。本製品は、従来の「間接ToF方式」による3Dセンサよりも5倍以上の距離の計測が可能で、自律飛行ドローンや自律走行型搬送ロボットなどの操作性と安全性の向上に寄与します。また、独自の外光ノイズ除去機能を搭載し、CMOS方式のイメージセンサとして世界で初めて(※6)真夏の日中に相当する照度10万ルクスの環境下で、最長20mまでの距離測定が可能となりました。

製造工場の環境データ自動収集とリスクマネジメント強化を可能とする統合監視システム「e-Platch®(イープラッチ)」を開発しました。本製品は、当社が以前より進めてきた次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)規格ZETA(ゼタ)(※7)を活用し、「死角のない通信ネットワーク」上で「環境データ自動収集システム」を構築したものです。本システムにより、工場・施設の環境保全や、点検作業の負荷軽減・効率化が可能となり、人的リソースをより積極的に環境保全活動へ割り当てることができます。さらに、工場内の金属同士の衝突や摩擦により起こる異常音を遠隔監視する収音センシングシステムを「e-Platch®」専用のツールとして開発しました。これにより、設備の異常を早期発見し、機械部品の交換時期を適切に把握することで、保守・点検作業の効率化を実現できます。

当社が2016年より提供している液晶調光フィルム「LC MAGIC™(エルシーマジック)」の新たなラインアップとして、「ノーマルブラック」を開発しました。これは、電源OFF時に可視光線透過率が「5%」の「黒色」となるものです。本製品を自動車のサンルーフなどに搭載することで、電源ONの時には開放的な空間、電源OFF時には遮光性のあるプライバシー空間を瞬時に実現します。モーターや可動部品を必要としないため、車体の軽量化と車内の居住性向上の両立が可能です。

 

(4)  その他

ヘルスケア関連では、当社は「健康・ライフサイエンス」領域を今後の成長領域と定め、事業拡大を進めております。電子カルテデータの匿名加工とデータベース構築を共同で推進してきたICI株式会社を2023年1月に連結子会社化しました。

これにより、2022年度初めに提供を開始した「DATuM IDEA(デイタム イデア)」は、医療機関から収集した電子カルテデータから、診断患者数、処方患者数、性別、年代などの情報を直感的に分析できるようになります。電子カルテデータベースの強化と、データ分析ツールのさらなる拡充により、より効果的な医薬品開発や治験モデル構築、個別化医療の実現に貢献していきます。

また、当社は、地方自治体が直面する課題にも取り組んでおります。ライフスタイルの変化や長寿命化により、医療費の適正化や健康増進対策が必要になっております。自治体の保有する健診結果や医療レセプト情報、自治体独自の保健事業によって取得した住民のヘルスケアデータなどを集約・可視化する「自治体向けBIツール」を開発しました。この製品は、保有データを一元的に分析し、新たな保険事業の立案に貢献します。今後は、疾病予測や介護状態の予測など、AIによる分析機能などのアップデートを進め、提供先の拡大と、当社が提供する他のヘルスケア関連サービスとの連携も進めていきます。

 

北海道大学大学院先端生命科学研究院の湯山耕平特任准教授らの研究グループと共同研究を行い、アルツハイマー病の発症リスク評価に有用な血液バイオマーカーである、アミロイドβ(※8)が結合したエクソソーム(※9)を1個単位で識別・検出する技術を開発しました。本技術は、検出チップ上に集積した100万個のマイクロメートルサイズの微小なウェル(※10)に、標的となる分子や粒子を確率的に1個ずつ閉じ込め、分子や粒子から発する信号の有り「1」、無し「0」で標的をデジタル検出・定量する高感度バイオセンシング技術です。当社は、高感度蛍光検出技術「Digital ICA®」や検査キット等の提供により、エクソソームの検出・定量に関する技術開発を推進します。

また、大阪大学等との共同研究により「3Dプリントによる独自組織造形技術」の実用化を目指し、株式会社島津製作所、伊藤ハム米久ホールディングス株式会社、株式会社シグマクシスと共に「培養肉未来創造コンソーシアム」を設立しました。この協業により「3Dバイオプリント技術の応用開発」「生産・流通までの一貫したバリューチェーンの確立」「省庁や民間企業との連携による法規制整備への貢献」を進めます。

昨今の少子高齢化による労働力不足への対策として、受付業務ロボットや清掃ロボットなどを一元管理する「TransBots®(トランスボッツ)」を開発しております。AIによる人物認識機能を有しており、登録した人物が入場した際に、走行している複数台のロボットがその人物を認識し、病院や入場制限が設けられた展示会など様々な活用が期待できます。さらに、テレプレゼンスロボット(※11)以外の搬送ロボット、移動型ピッキングロボットなど多様なサービスロボットへの応用も可能です。

 

(※1)H-LINCOS:保健医療用の長期セキュアデータ保管・交換システムH-LINCOS(Healthcare Long-Term Integrity and Confidentiality Protection System)は秘密分散と量子暗号など秘匿通信及び公開鍵認証基盤の技術により、電子カルテデータのセキュアかつ可用性の高いバックアップや、医療機関間での相互利用などを行う保健医療用の長期セキュアデータ保管・交換システム。

(※2)プライベート認証局:社内ネットワークなど限られた範囲で運用され、サーバーの正当性を保証する電子証明書を発行する機能を持つシステム。

(※3)GL BARRIER:当社が開発した世界最高水準のバリア性能を持つ透明バリアフィルムの総称。独自のコーティング層と高品質な蒸着層を組み合わせた多層構造でバリア性能を発揮。

(※4)メタサーフェス構造:波長より小さい構造体を周期配置して任意の誘電率・透磁率を実現する人工媒質(メタマテリアル)の一種で、構造体の周期を二次元配置した人工表面。

(※5)ハイブリッド駆動ToF(Time of Flight)方式:静岡大学・川人祥二教授により提唱されたToF計測法で、位相差によって距離を計測する「間接ToF方式」をベースに、時間差によって計測する「直接ToF方式」の機能を組み合わせた、新しいセンシング技術。「マルチタイムウインドウ技術」と呼ばれる、複数の短時間ウインドウの組み合わせにより光の往復時間を推定するため、従来の間接ToF方式と比較して、屋外でのセンシング時に問題となる外光ノイズの影響を受けにくいという特長がある。

(※6)CMOS方式のイメージセンサとして世界で初めて:アバランシェフォトダイオードを用いない、従来のCMOSイメージセンサ型の画素構造を用いたToFセンサとして。(先行技術論文及び先行製品のカタログ調査に基づく当社調べ(2022年6月))

(※7)ZETA:英国ZiFiSense社が開発した、超狭帯域(UNB: Ultra Narrow Band)による多チャンネルでの通信、メッシュネットワークによる広域の分散アクセス、双方向での低消費電力通信が可能といった特長を持つ、IoTに適した最新のLPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク規格。LPWAの規格の1つであるZETAは、中継器を多段に経由するマルチホップ形式の通信を行うことで、他のLPWAと比べ、基地局の設置を少なくでき、低コストでの運用が可能な方式として注目されている。

(※8)アミロイドβ:アミロイドβ前駆体タンパク質が切断されて産生され、約40個のアミノ酸で構成される蛋白質。アルツハイマー病では、この蛋白質の過剰な脳内蓄積が発病の引き金になると考えられている。

(※9)エクソソーム:様々な種類の細胞から分泌される細胞外小胞の一種。特定の分子を包含し、細胞間で受け渡すキャリアーの役割を担う。

(※10)微小なウェル:樹脂版の表面に設けられた直径数マイクロメートルの凹部で、1つの解析チップに100万個を配置。検出対象の分子を格納し、検出反応が行われる反応容器となる。

(※11)テレプレゼンスロボット:遠隔制御技術とロボット技術を組み合わせ、人が離れた場所から制御し、自分を存在(プレゼンス)させるロボット。