第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針、経営環境および対処すべき課題

当社グループは、2019年11月に経営ビジョン「Compass2030 エネルギーとソリューションを 暮らし、都市、地球の未来に」を発表し、①CO2ネット・ゼロへの移行をリード、②価値共創のエコシステム構築、③LNGバリューチェーンの変革、の3つの挑戦を掲げ、当社グループの変革の姿を示しました。

次いで2020年3月に2020-22年度中期経営計画、2021年11月に「Compass Action」を発表し、Compass2030実現のための具体的な道筋を示しました。

また、脱炭素化、デジタル化、価値観の多様化、エネルギー市場の競争激化など、当社グループをとりまく環境が大きく変わる中、こうした変化に正面から向き合い、今後も社会から必要とされる企業グループであり続けるため、グループ経営理念を新たにしました。

2023-25年度は、「従来のエネルギーの枠を超えたソリューションと事業群で、社会の持続的発展とお客さまへの一層の価値提供を追求すべく、東京ガスグループ自らがビジネスモデルを変革」する期間と位置づけ、グリーントランスフォーメーション(GX)・デジタルトランスフォーメーション(DX)・お客さまとのコミュニケーション変革(CX)を軸に3つの主要戦略を実行していきます。戦略実行にあたっては、エネルギー市場のボラティリティや不確実性に迅速かつ柔軟に対応すべく、「収益性」「成長性」「安定性」の視点から事業ポートフォリオマネジメントを強化し、新たな成長領域への経営資源のシフトを加速します。

 

◆東京ガスグループ 2023-25年度中期経営計画「Compass Transformation 23-25」の3つの主要戦略

①エネルギー安定供給と脱炭素化の両立:エネルギー安定供給を確保しながら、脱炭素分野を順次事業化・収益化

≪バリューチェーン全体の柔軟性を駆使した市場変動への対応・安定供給の推進≫

・エネルギー市場変動の増大に対応すべく、調整力や環境価値等の新たに成長する市場に適した資産形成・運用を行うとともに、デジタル取引プラットフォームの構築を通じ、お客さまのニーズに応じた安定性・環境性・柔軟性に優れたエネルギー供給を実現していきます。

≪責任あるトランジションの実行≫

・国内外でLNGの高度利用を一層推進しCO2削減を図りながら、その収益を再エネ(特に市場規模の大きい洋上風力等)、e-methane、水素等の先進的な脱炭素分野に投入・順次事業化を図ります。また自社排出削減はもとより、お客さまニーズに応じた最適なソリューションを提供し、お客さまと東京ガスグループがともに持続的に発展する好循環を確立することで、社会全体の脱炭素化と経済的成長の両立を図ります。

≪ガス・電力双方の脱炭素技術実現に向けた取組み≫

・エネルギー需要の大宗を占める熱分野の脱炭素化を積極的に推進するため、e-methane に関する取組みをこれまでの小規模実証から大規模サプライチェーン構築へと強化・拡大します。電力分野では太陽光・バイオに加え、洋上風力の大規模化・低コスト化に向けた取組みを推進し、国とも連携しながら早期にGXの実現を目指します。

 

②ソリューションの本格展開:GX・DXを取り入れたソリューションをブランド化し、拡充することで、エネルギーに次ぐ事業の柱へ

≪統合事業ブランド構築とソリューションの拡充≫

・お客さまへの提供価値を「レジリエンス」「最適化」「脱炭素」と再定義し、これらに関わるソリューションを統合する新たなブランドを構築するとともに、「ご家庭」「法人」「地域・コミュニティ」のお客さまにとって、分かりやすい・使いやすいソリューションメニューを提供します。

≪リアルの強みとデジタルを活用したお客さまとのコミュニケーション強化≫

・オクトパスエナジー社等の先進的なデジタル技術を活用し、お客さまとのコミュニケーションを強化することで、これまでのリアルな接点で培ったお客さまとの関係をより一層強固なものにします。

≪地域密着の強みを活かした最適ソリューションの提供を通じた地域社会との価値共創≫

・東京ガスグループとアライアンスパートナーの省エネから先進的な脱炭素技術までのあらゆる環境ソリューションを最適に組み合わせ、お客さまや地域社会の課題解決に貢献します。さらにソリューションや商圏・分野の拡大により、ESG型不動産開発やまちづくりも推進し、持続可能な地域の実現を目指します。

 

③変化に強いしなやかな企業体質の実現:DXによるビジネスモデル変革に加え、人的資本経営や財務基盤強化により不確実性への耐性を向上

≪DX主要3施策の推進≫

・先進企業の知見も取り入れ、デジタルの特徴を活かした仕組み・業務プロセスへと進化させるべく、DXの3本柱として次の施策を推進します。施策①:再エネの主力電源化に伴い今後成長が見込まれる調整力、環境価値等の新市場を見据え、将来の収益基盤となるデジタル取引プラットフォームを整備します。施策②:顧客管理システム基盤を一元化し、顧客体験(CX)を大幅に向上させます。施策③:スタッフ業務の業務プロセスを抜本的に見直し、間接業務の生産性を倍増します。

≪人的資本経営の実践≫

・カンパニー・基幹事業会社が、各々の市場でインパクトのある仕事を生み出し、収益力を高めるため、戦略的人員採用・配置・育成・リスキリングを行い、多様な人材がグループ全体で活躍できる制度を充実します。これらによりグループ員一人ひとりと東京ガスグループ双方が成長を実感できる人的資本経営を実践していきます。

≪財務基盤強化≫

・事業ポートフォリオマネジメントの強化を通じて、健全な財務体質と成長投資を両立し、持続的な成長・企業価値向上を実現します。

 

■主要計数

財務・環境指標

現在の姿(注)2

(20‐22年度平均)

2025年度

財務

セグメント利益(注)1

(営業利益+持分法利益)

1,300億円

1,500億円

ROA(注)1

3.0%

4%程度

ROE(注)1

7.3%

8%程度

D/Eレシオ

0.91

0.9程度

環境

CO2削減貢献量

600万t(注)3

1,200万t(注)4

 

 

キャッシュフロー・投資計画

20-22年度見通し(注)2

23-25年度

累積営業キャッシュフロー

(純利益+減価償却費)

9,600億円

1.1兆円

投資

成長投資

(うち脱炭素関連投資)

5,300億円

(1,900億円)

6,500億円

(2,300億円)

基盤投資

3,700億円

3,500億円

合計(3ヶ年)

9,000億円

1兆円

 

(注) 1 スライド差補正後利益

2 各数値は2023-25年度中期経営計画策定時の見通し値

3 20-21年度の平均、国内のみ

4 海外含む

 

(2) 新型コロナウイルス感染症に対する当社グループの対応方針

新型コロナウイルス感染症については、現下の社会情勢を踏まえながら、引き続きお客さまへの対応等を行っていきます。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ推進の考え方

当社グループは、グループ経営理念「人によりそい、社会をささえ、未来をつむぐエネルギーになる。」を体現していくため、サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)を特定し、事業活動を通じて取り組んでいきます。これにより、社会的価値と経済的価値を両立して創出していくことを実現していきます。

 

(2) サステナビリティに関するガバナンスおよびリスク管理について

① ガバナンス

当社グループの各組織で、マテリアリティに基づく事業活動を推進するとともに、「執行役の合理的な意思決定を支援する会議体」及び、社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を活用し、グループ全体のサステナビリティ経営を推進しています。その上で、重要な事項については、取締役会に報告しています。

 

② リスク管理

当社グループは全社的リスク管理(ERM=Enterprise Risk Management)体制を構築し、「リスク統制規則」の中で重要リスクを明文化しています(詳細は 第2 事業の状況 3 事業等のリスク、第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 参照)。その中で、サステナビリティに関わるリスクも重要リスクとして定められています。

 

 (3) サステナビリティに関する重要な戦略および指標と目標について

① マテリアリティ

現在のマテリアリティの特定にあたり、各種国際基準・ガイドライン(GRIスタンダード等)なども踏まえて、社会問題が企業活動に及ぼす影響と、企業活動が社会に及ぼす影響の両面で、当社グループにとってのリスクと機会を検討し、重要な社会課題を整理しました。その上で、経営理念や戦略・ビジョンとの整合、社内外のステークホルダーからの期待・要請の適切な反映を確認し、マテリアリティを特定しています。

なお、本マテリアリティは経営に関わる重要事項として経営会議で討議の上、2023-2025年度中期経営計画「Compass Transformation 23-25」と併せて取締役会で決議しました。

<マテリアリティ(2023年度~)>

1.脱炭素社会への責任あるトランジション

2.地球環境の保全

3.エネルギーの安定供給

4.安全と防災の徹底・安心なまちづくりへの貢献

5.ウェルビーイングなくらしとコミュニティへの貢献

6.多様な人材が活躍できる組織の実現

7.サプライチェーン全体における人権の尊重

 

② 戦略

当社グループは、マテリアリティを踏まえて経営ビジョン・中長期計画を策定しています。

具体的な戦略として、長期経営ビジョンであるグループ経営ビジョン「Compass2030」において「「CO2ネット・ゼロ」をリード」「「価値共創」のエコシステム構築」「LNGバリューチェーンの変革」の3つの挑戦を掲げています。また、その実現に向けた2023-2025年度中期経営計画「Compass Transformation 23-25」では、「従来のエネルギーの枠を超えたソリューションと事業群で、社会の持続的発展とお客さまへの一層の価値提供を追求すべく、当社グループ自らがビジネスモデルを変革」する期間と位置づけ、グリーントランスフォーメーション(GX)・デジタルトランスフォーメーション(DX)・お客さまとのコミュニケーション変革(CX)を軸に以下の3つの主要戦略を設定し、2023年度東京ガスグループ経営計画において取り組みを推進しています(詳細は  第2 事業の状況 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 参照)。この中で、気候変動はa・b、人的資本はcに関わる重要なテーマとなります。

a  エネルギー安定供給と脱炭素化の両立

b  ソリューションの本格展開

c  変化に強いしなやかな企業体質の実現

 

③ 指標と目標

当社グループは、各マテリアリティについて指標と目標を設定し、サステナビリティ委員会で進捗をモニタリングしています。

 

マテリアリティに関する主な指標と目標

マテリアリティ

指標

目標

1.脱炭素社会への責任あるトランジション

CO2削減貢献量

2030年:1,700万t

2025年:1,200万t

再エネ電源取扱量

2030年:600万kW

2025年:220万kW

海外大規模メタネーション推進

自社活動排出CO2ネット・ゼロ

(2020年度比)

2030年:100%達成

2025年:60%達成

GHG(温室効果ガス)排出量:スコープ1,2,3(注)

2050年:CO2ネット・ゼロ

2. 地球環境の保全

ガス設備・ガスメーター等設備の資源利用高度化

生物多様性保全の推進

3. エネルギーの安定供給

 

都市ガス重大事故・重大供給支障件数

0件

調達リスクへの対応

4. 安全と防災の徹底・安心なまちづくりへの貢献

供給指令センターでの非常事態緊急措置訓練参加率

100%維持

大規模地震時における供給停止エリアの局所化に資する防災ブロックの細分化の継続

レジリエンスなエネルギーシステムの導入推進

5. ウェルビーイングなくらしとコミュニティへの貢献

心身共に豊かなくらしに資するサービス提供

カーボンニュートラルシティに関する地域・自治体連携

6. 多様な人材が活躍できる組織の実現

 

(詳細は 下記(4)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標 参照)

7. サプライチェーン全体における人権の尊重

サプライチェーン全体での人権対応の推進

 

(注) 2022年度実績値は、2023年8月末発行予定の「東京ガスグループサステナビリティファクトブック2023(https://www.tokyo-gas.co.jp/sustainability/download/index.html)」「環境データ」を参照ください。

 

(4)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標

[戦略]

<経営戦略と人材戦略>

当社グループは、2022年4月に新たなグループ経営理念「人によりそい、社会をささえ、未来をつむぐエネルギーになる。」を公表しました。これに先駆けて当社グループはこれまで、事業環境が大きく変化する中にあっても社会から必要とされる企業グループであり続けるため、自らガバナンスを変え、戦略を変え、組織・マネジメントを変え、変革に向けた取組みを行ってきました。さらなる変革のステップを踏み出すためには、唯一、価値を創り出すことのできる「人」つまりグループ員一人ひとりが行動を変容していくことが不可欠であるとの想いから、グループ員一人ひとりが自ら行動を変容していくための拠り所として、自分たちが何者か・何のために存在するのかを表した「存在意義」とグループ員が大切にする「価値観」を定めました。

 

 

2023年2月には、2023-2025年度グループ中期経営計画「CompassTransformation23-25」を公表しました。「変化に強いしなやかな企業体質の実現」を主要戦略の一つと位置づけ、その実現に向けて「人的資本経営の強化」を掲げました。当社グループの果たすべき役割を実行していくのはグループ員に他ならないことをステークホルダーの皆さまと共有しています。グループ員一人ひとりの使命に対するエンゲージメントを高め、ホールディングス(HD)型グループ体制のもとで各カンパニー・基幹事業会社が組織としての強みを発揮していくことを目指し、グループ員一人ひとりと東京ガスグループ双方が成長を実感できる人的資本経営を実践していきます。

 

[人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針]

<人的資本経営実践に向けたポイント>

<ポイント1> 人材シフトと事業変化への対応力強化

カンパニー・基幹事業会社が、各々の市場でインパクトのある仕事を生み出し競争力を強化するため、戦略的人員採用・配置・育成・リスキリングを行います。加えて、DX分野や脱炭素分野等、当社として更に競争力を高めていく必要がある分野において、突出した高い専門性を有する高度専門人材の採用を進めます。

 

<ポイント2> 知・経験のダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

当社グループに集う多様な人材の多様な背景・考え・働き方を尊重して背中を押し、育て、やりがいの大きい業務で成果を出してもらうことを通じて会社の成長と社会の発展につなげていきます。中でも女性活躍はダイバーシティの端緒と位置付けて様々な取組みを進めています。2023年には東京ガスの女性執行役員数が増加し3名になるなど、各役職段階に占める女性の割合が着実に増加しており、多様な人材が活躍できる土壌が形成されています。また、変化に強いしなやかな企業体質の実現に向けて、男女ともに柔軟な働き方や仕事と育児の両立を推進しています。

 

<ポイント3> プロ人材としての成長・挑戦、自律的キャリア形成促進

タレントマネジメントシステムやデータを活用し、一人ひとりの適性や意志を反映したキャリア形成やスキル構築の機会を提供します。また、会社が機会を提供するだけでなく、自らが機会をつかむ社外兼業・社内公募等を推進・拡充していきます。

 

戦略実行の中心にあるのは人であり、従業員エンゲージメントの向上は必須と考えています。エンゲージメントを定期測定し指数を施策に反映することで、人事制度・運用やマネジメントを高度化していきます。

 

・指標及び実績

上記方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績](提出会社)

取組み

指標

2022年度

実績

2025年度

目標到達点

アウトカム

事業変化への対応力強化

プロ人材としての成長・挑戦

リスキル学び直し実施率

(注)1

100%

変化に強いしなやかな企業体質の実現

知と経験のDE&I

女性活躍

女性管理職比率

9.8%

11%

男性育休

育児休業等取得率

110%

100%(注)2

育児休職取得率

47%

 

(注) 1 2023年度から取組みを開始するため、2022年度の実績はありません。

2 育児休職の取得率。育児休職と育児を目的とした休暇を合わせた取得日数1ヶ月以上

 

・女性活躍、男性育休に関する実績の推移(提出会社)

 

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

女性管理職比率(注)1

8.0%

8.7%

9.2%

9.5%

9.8%

男性の育児休業等取得率(注)2

110%

男性育児休職取得率

2%

5%

8%

16%

47%

 

(注) 1 翌年度の4月時点実績

2 2018年度~2021年度については、育児・介護休業法に規定された計算方法に基づく算出なし

3 詳細は、当社「サステナビリティファクトブック(https://www.tokyo-gas.co.jp/sustainability/
download/index.html)」、「統合報告書(https://www.tokyo-gas.co.jp/IR/library/anurp_j.html)」
を参照ください。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1) 事故・災害等

① 原料調達支障

 当社は天然ガスをはじめとする都市ガス原料の大半を海外から輸入しているため、原料輸入先のカントリーリスクやガス田・LNG液化基地でのトラブル、LNG船の運航途上でのトラブル、東京湾での入港規制等により原料が長期にわたり調達できない場合には、都市ガスの供給に支障を来し、事業収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、1969年の受入開始以来、安定調達を続けている主要原料のLNGについては、現在、4カ国13プロジェクトから購入し、調達先の多様化を進めています。また、自社管理LNG船等を活用した柔軟な配船やトレーディングの活用等により、安定的かつ柔軟なLNG調達に取り組み、原料調達リスクの低減を進めています。

 なお、ロシア・ウクライナ問題に起因した原料調達支障は、2023年5月末現在発生しておりませんが、関係各所と連携しつつ、引き続き都市ガスの安定供給に努めていきます。

② 自然災害

 当社グループは、都市ガスの製造・供給設備を事業活動の基盤としている装置産業であるため、大規模な自然災害が発生した場合には、LNG基地等の製造設備や導管等の供給設備等に損害を受け、都市ガスの供給に支障を来す可能性があり、その復旧対応等に伴う費用が収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、主要設備は阪神・淡路大震災、東日本大震災クラスの大地震でも十分耐えられる構造になっているものの、さらに二次災害を防止するための予防対策等を実施しています。また、内閣府想定の大規模地震災害に備えた事業継続計画(BCP=Business Continuity Plan)の策定をはじめ、地震、台風、津波等の自然災害に対する非常事態体制の整備、定期的な訓練の実施及び近年の大型台風等の風水害リスクに対するレジリエンス向上策の実施等、災害の影響を最小限に止める対策を実施しています。

③ 都市ガスの製造・供給及び発電に伴う事故及び供給支障

 当社グループは、お客さまの生活や産業を支える都市ガスの製造・供給及び発電を行っているため、都市ガスの製造・供給に伴う大規模な漏洩・爆発事故や供給支障が発生した場合には、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生し、事業収支にも影響を及ぼす可能性があります。また、発電に支障が発生した場合には、電力の市場調達が必要となり、その対応に伴う費用等により、電力収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、ガスの大規模供給支障事故に備えたBCPの策定をはじめ、各種保安対策を計画的に実施するとともに、非常事態体制を整備し、定期的な訓練を実施する等事故・供給支障の防止に取り組んでいます。また、当社は複数のLNG基地を有し、基地間での補完が可能なため、ガスの供給停止に至る可能性は低いと考えます。

④ 病原性や伝播力の高い感染症の流行

 当社グループの業務従事者の病原性や伝播力の高い感染症への感染により、万一、都市ガスの製造・供給及び発電に支障を来した場合には、当社の事業収支に影響を及ぼすとともに社会的責任の発生等有形無形の損害が生じる可能性があります。

 このため、流行発生の予見は困難ですが、病原性や伝播力の高い感染症に備え、BCPの策定や非常事態体制の整備により影響を最小化する対策を実施しています。

⑤ 不測の大規模停電

 当社のLNG基地は信頼性の高い受電系統を配しており、LNG基地への電力供給が停止する可能性は低いと考えます。また、導管におけるガスの輸送は、ガス自身の圧力差によって行われるため、電力が不要です。ただし、ガスの需要量や製造・供給設備の状況によってはガスの製造・供給に支障を来し、事業収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、当社グループは、関東エリアで不測の大規模停電が発生した場合に備えて、BCPの策定をはじめ影響を最小限に止める対策を実施しています。また、系統電源からの電力供給が停止した場合には、停電によるガス需要減も見込まれるとともに、自家用発電設備で稼働することが可能なため、停電時にも一定量のガス送出が可能となっています。さらに、当社のLNG基地は仮に1つのLNG基地が停止しても、他のLNG基地からバックアップが可能であり、ほぼ必要なガスの製造・供給が可能となっています。

⑥ 都市ガスの保安確保・ガス機器等製品品質上の問題

 当社グループは、都市ガス供給上の保安責任を負うことから、都市ガス供給に関わる事故やガス機器等に起因する事故が発生した場合には、その対応に伴う直接・間接の損害が発生する可能性があります。

 このため、お客さまへの定期保安点検・開栓の品質向上や安全機器への取り替え促進等の安全強化策を実施しています。また、連結子会社や協力企業等を通して安全機能を持つガス機器を販売しており、ガス機器重大事故は着実に減少しています。

 

⑦ 他社の都市ガス事故に起因する風評被害

 発生の予見は困難ですが、他社における都市ガス事故が都市ガス業界全体の信頼に重大な影響を及ぼし、有形無形の損害を被る事態が発生する可能性があります。

 このため、平時から都市ガスの防災対策やガス機器の安全性向上対策を深化するとともに、お客さま・行政・マスコミ等に対し、当社の取り組みやガスの安全な使用方法等に関する周知活動を行っています。万一、事故が発生した際には、事故に関連する情報等について正確かつ誠実な広報を行い、ステークホルダーに正しく理解いただけるよう取り組みます。

 

(2) 市場リスク

① 市場価格・金利の変動

 所有する不動産や株式をはじめとした有価証券等の資産の市場価格が変動する場合、または年金資産が市場変動の影響により運用計画未達成となる場合には、会計基準にしたがって損失を計上する可能性があります。また、有利子負債について金利変動により支払利息が増加する可能性があります。

 これらの損失影響を抑制するため、不動産については長期安定収益を志向する物件の取得、株式については保有意義が希薄化した証券の順次売却の実施、年金運用については特定の市場変動の影響を過度に受けないような分散投資の実施等の対応を行っています。また、当社の有利子負債は大部分が固定金利で調達していることに加え、借り換え時期を分散していることから、金利変動による影響は限定的です。

② 電力市場やLNG価格の変動

 電力市場やLNG価格の変動が、収支に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社は需要・供給両面での市場リスクマネジメントに取り組んでいます。

 

(3) 事業遂行に伴うリスク

① 既存事業に関するリスク
イ 競争激化による需要の減少

 ガス小売全面自由化による他企業との競合激化や原油価格の変動、及び脱炭素の潮流による制度・お客さま志向の変化等LNGそのものが他エネルギーとの競争力を失う場合には、需要が減少し、収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、当社グループは、環境性・効率性・快適性の高いガス利用設備の導入や販売体制の強化をはじめとする営業強化及び効率化の徹底による競争力向上に取り組んでいます。

ロ 原料費の変動

 主として都市ガスの原料としているLNGの調達先との契約更改・価格交渉の動向によっては、収支に影響を及ぼす可能性があります。また、LNGは主に原油価格に連動して価格が決定されるため、原油価格の変動が収支に影響を及ぼす可能性があることに加え、ドル建ての売買契約になっているため、円の対ドル為替レート変動が収支に影響を及ぼす可能性があります。

 さらに、長期契約のLNGプロジェクトからの調達量を上回る需要増、感染症の拡大等に伴う経済活動の制限による需要減、出荷基地・輸送上のトラブルの発生、新規LNGプロジェクトの供給開始遅延等が生じ、スポットLNGの追加調達や転売が必要となる場合には、スポット市況により、収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、当社は調達先の多様化、契約条件の多様化、LNGグローバルネットワーク化の推進等により、原料費の低減と安定化に取り組んでいます。

 一方、原料費が変動しても「原料費調整制度」により、最大5ヶ月後にはガス料金に転嫁されます。ただし、原料費調整制度に基づき算定される平均原料価格(1トン当たり)が調整上限を超過した場合には超過分は未回収となります。また、会計年度を越えてガス料金に反映される場合には、年度収支に原料費の未回収・過回収による影響が及ぶ可能性があります。

ハ 法令・制度・国及び地方自治体の政策変更

 ガス・電力事業においては、小売全面自由化に続き、送配電部門・ガス導管部門の法的分離が実施される等、制度の見直しが進められており、当社グループを取り巻く環境は大きく変化しています。今後のエネルギー政策の動向や他事業者との競争激化により、当社グループの事業収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、ガスは徹底的な効率化による競争力向上、電力は拡販と効率化の両立に取り組むとともに、当社グループの強みを活かしたサービスを通じて、お客さまそれぞれの暮らしやビジネスの多様なニーズにお応えすべく取り組みを進めています。

ニ 天候変動によるガス販売量の変動

 当社の連結売上高の多くが都市ガスの販売によるものであるため、猛暑や暖冬等の異常気象が発生した場合には、給湯・暖房用を中心とする家庭用ガス販売量や一部の業務用ガス販売量が変動し、事業収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、気象の影響を受けづらい工業用やコージェネ用都市ガス販売に加え、中長期的にはCompass2030にて掲げている、都市ガス販売以外の海外事業・ソリューションビジネスの拡大等による事業バランスの変更を図っていきます。

 

ホ 事業環境の変化による既存需要の減少

 中長期的な省エネ活動の進展及び産業構造の変化等により、将来の工業用・商業用の既存ガス需要の一部が減少する可能性があります。また、さらなる世帯人員の減少・生活形態の変化や省エネ機器の普及等により家庭用の既存需要の一部が減少する可能性があります。

 このため、上記のような事業環境の変化に対応するため、省エネの進展や産業構造の変化等の中長期的な市場の変化に対して、Compass2030で掲げた「CO2ネット・ゼロ」をリードするとともに「価値共創のエコシステム構築」を図っていきます。

ヘ コールセンターへの電話不通

 当社はお客さまからのお問い合わせの大部分を電話により受け付けているため、自然災害等による受付体制縮小によってコールセンターへの電話が緊急用件以外不通となった場合には、お客さまへの対応が広範囲にわたり停滞し、契約獲得やサービス提供機会の損失による売上減少、顧客離脱が発生する可能性があります。

 このため、自然災害等の発生時に備えて、電話以外のWebによる受付手段の拡充に取り組んでいます。

ト 技術開発の遅延

 将来のCO2削減に向けた社会的要請や機運が一層高まる中で、それらの開発や実用化が、将来、他社と比較して遅延した場合には、その新技術を活用できない、若しくはその活用に必要な知財使用・購入コストや代替技術開発コストが増加すること等により、結果的に競争力が低下し、経営成績等に中長期的に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、Compass2030で掲げた「CO2ネット・ゼロ」に挑戦するため、革新的メタネーション技術、安価な水素製造技術や浮体式洋上風力技術等、ガス・電力の脱炭素化技術分野において、環境性に優れ、安全性の高い、コストが適正な新技術の開発・実用化を目指します。また、自社開発に加えてオープンイノベーションを戦略的に活用し、スピードや知財マネジメントを意識しつつ、開発状況の見える化・進捗管理を適宜実施しています。

② 海外事業展開に伴うリスク

 Compass2030で掲げた海外への展開において、原油・ガス・電力価格及び外国為替相場は、常に変動することから、収支に影響を及ぼす可能性があります。また、原油・ガス・電力価格が想定以上に下落する場合には、当該投資が減損の対象となる可能性があります。

 このため、資源開発事業のほか、LNGインフラ事業や再エネを含む脱炭素分野等、事業の多様化や資産入替により、リスクを分散していきます。

③ 新市場開拓の遅延

 自由化の進展や技術革新により、中期的に既存ガス商材に対する競合の激化、競争力低下の恐れがあります。さらに、国や自治体の制度・政策等動向によっては、既存事業における競争環境が悪化する可能性があります。

 このため、Compass2030で掲げた「価値共創のエコシステム構築」の取組みとして、デジタルマーケティング力を活かした商圏拡大、ラストワンマイルにおけるサービス拡充、デジタルソリューションや低・脱炭素商材の提供等を推進し、新たな市場を開拓し差別化・収益化を図ります。

④ 投資未回収

 当社は設備投資、出資、融資及び債務保証に関する案件に対しては投資評価委員会において採算性及びリスク評価を行い、その結果を踏まえて経営会議若しくは取締役会に付議する等、総合的な経営判断の下に投資を決定しています。

 しかし、パイプラインやLNG基地建設等の安定供給基盤の強化や、電力事業、再エネ事業、エネルギーサービス事業、ガス田の開発等の海外事業やLNG輸送事業、IT及び保有不動産の活用に係わる大規模投資が、その後の経済情勢の変化等によっては、適切に回収されない、又は所期の成果を生み出せず、特別損失として収支に悪影響を及ぼす可能性があります。

 このため、経済情勢の変化等は通年管理しており、その短・中期的影響を踏まえ未回収リスクの発現時は決算に反映させています。

 

(4) 情報管理・システム運用に関するリスク

① 個人情報の流出

 お客さまの個人情報が外部へ流出した場合には、対応に要する直接的な費用、被害が深刻なお客さまからの信頼や当社グループのブランドイメージの毀損等により、事業収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、グループ全体を対象とした情報セキュリティ推進体制の構築、情報セキュリティ教育や自主検査の実施、流出事故発生時のエスカレーションルールの徹底等を行うとともに、その構築・運用状況を内部監査により確認し、必要な改善を行う体制を整備する等の人的・組織的対策と外部からの不正アクセスやコンピュータウィルスによるシステムへの攻撃に対する侵入防止対策等の技術的対策により、個人情報の流出防止と事故発生時の影響の最小化に取り組んでいます。

 

② ITシステムの停止・動作不良

 基幹ITシステムが停止した場合や動作不良を起こした場合には、お客さま対応業務の縮小・停滞・お約束不履行の発生等による当社グループのブランドイメージ毀損、通常と異なる手段で業務継続をするための追加費用の発生等のリスクがあります。また、ITシステムの停止・動作不良は、プログラム・オペレーティングシステム・データベース・機器の不具合等様々な原因で発生します。

 このため、発生防止及び発生時の影響の最小化を目指して、対障害性・耐災害性に優れた堅牢なデータセンターの設置、各種セキュリティ対策及び定期的な訓練の実施等、システムの安定稼動に必要な対策を実施しています。また、万一発生した際には、再発防止及び再発時の影響の最小化のため、根本原因の徹底追究、他システムも含めた情報共有・点検等を実施していきます。なお、都市ガスの製造・供給調整に関するITシステムは、独自にバックアップシステムの整備及び自営無線の整備等の安全対策を施しているため、当該システムの停止・動作不良により都市ガスの製造・供給へ大きな影響が及ぶ可能性は低いものとなっています。

③ サイバー攻撃

 近年、サイバー攻撃のリスクが増大しています。サイバー攻撃の脅威が想定以上に高度化、複雑化し、個人情報の流出、基幹ITシステム及び都市ガスの製造・供給及び発電に関する制御システムの停止・動作不良等が発生した場合には、お客さま対応の停滞、被害が深刻なお客さまからの信頼や当社グループのブランドイメージの毀損、社会的責任の発生等有形無形の損害が発生し、事業収支にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

 このため、部門横断的な体制を整備し、各種セキュリティ対策やインシデント対応訓練を実施する等、サイバー攻撃の影響を最小限に止める対策を実施するとともに、サイバーセキュリティ基本法等各種法令に従い、重要インフラ事業者として適切に対応しています。

 

(5) 企業の社会的責任に関するリスク

① コンプライアンス違反

 コンプライアンス違反は、事業を加速させている海外も含め、世の中の企業コンプライアンスに対する意識の高まりとともに顕在化の可能性も高まっており、法令・定款に照らして不適切な行為、情報開示における不適切な対応、若しくは企業倫理・社会的規範に反する行為等が発生した場合には、対応に要する直接的な費用にとどまらず、社会的信用の毀損等有形無形の損害が発生し、結果として事業収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、コンプライアンスを業務運営の基盤と位置付け、社長を委員長とする経営倫理委員会において審議する「コンプライアンス推進活動計画」の下に、グループ全体でコンプライアンス向上の取り組みを実施し、法令・企業倫理・社会的規範の遵守の周知徹底や、その状況等を内部監査により確認する等コンプライアンスの推進に取り組んでいます。

② 新たな環境規制等への対応

 新たな環境関連法規制や環境改善の追加的義務が発生した場合には、事業遂行体制見直しや費用増加によって事業運営や収支に影響を及ぼす可能性があります。気候変動問題においては、世界的に脱炭素化に向けた潮流が強まっており、化石燃料の競争力低下により収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、環境関連法規制等への対応として、環境法令の遵守、省エネルギーや廃棄物の削減等対策を強化しています。また、気候変動問題対応として、Compass2030で掲げた「CO2ネット・ゼロ」に挑戦するため、天然ガスの有効利用の拡大や再生可能エネルギーの導入促進、カーボンニュートラルLNGの導入促進、革新的メタネーション技術、安価な水素製造技術や浮体式洋上風力技術等ガス・電力の脱炭素化の技術開発に取り組んでいます。更に、環境マネジメントシステムの強化を通じて、継続的な改善に取り組んでいきます。

③ 不十分なCS・お客さま対応

 不適切なお客さま対応等が発生した場合には、SNS等を通じて容易に拡散され、当社グループのブランドイメージの毀損による企業競争力の低下や既存顧客の流出等の有形無形の損害が発生し、事業収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため、CS(お客さま満足)の向上を経営上の重要課題と位置付け、グループ全体でCSの向上を進めています。

④ 人権問題への不十分な対応

 事業活動における人権尊重を経営上の重要課題として位置付けていますが、事業を加速させている海外も含め、世の中の「ビジネスと人権」に関する意識はますます高まっている中で、人権リスクの顕在化の可能性は高まっており、人権リスクを把握して対応しなければ、訴訟費用の発生に止まらず、社会的信用の毀損等有形無形の損害が発生し、結果として事業収支に影響を及ぼす可能性があります。

 このため当社は、2018年4月に、国連の指導原則で求められている「東京ガスグループ人権方針」を制定し、グループ内への浸透を図っています。

 また、コンプライアンス部担当役員を委員長とする「中央人権啓発推進委員会」を設置し、その中で毎年、当社グループの「人権啓発活動計画」を定め、人権啓発活動に取り組んでいます。

 サプライチェーンにおける人権尊重については、海外も含めた当社グループの取引先購買ガイドラインの周知や取引先へのアンケートの実施等を通じて「人権デュー・デリジェンス」や「救済メカニズム」の仕組みを強化しており、今後もさらなる人権尊重に取り組んでいきます。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

① 経営成績等の状況の概要

(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況)

(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 経営環境

当連結会計年度における我が国の経済は、輸出や生産の一部に弱さが残るものの、個人消費や設備投資の回復基調を受けて景気が緩やかに持ち直してきました。今後、新型コロナウイルス感染症に係る規制の緩和等により更なる回復が期待されますが、足下の物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等により経済の先行きは依然として不透明な状況にあります。

そのような経済環境の中、2016年4月の電力小売全面自由化に続く2017年4月のガス小売全面自由化により、エネルギー業界ではエネルギー事業者間の競争、さらには業種の垣根を超えた競争が激しさを増しています。また脱炭素化が世界的な潮流となる等、エネルギー事業を取り巻く環境は大きく変化しました。そうした中、当社グループは、総合エネルギー事業化とグローバル化によって、国内外のお客さまにお届けする付加価値を増大し、引き続き当社グループを選んでいただけるよう、さまざまな施策に積極的に取り組んできました。

また、当社は、グループ経営ビジョン「Compass2030」の具体的道筋となる「Compass Action」を2021年11月に策定するとともに、ビジョンの実現に向けた体制を構築するため、2022年4月1日よりホールディングス型グループ体制に移行しました。これを受け、2021年度まで、「ガス」、「電力」、「海外」、「エネルギー関連」及び「不動産」の5つの事業を報告セグメントとしてきましたが、2022年度より、「エネルギー・ソリューション」、「ネットワーク」、「海外」、「都市ビジネス」の4つの事業を報告セグメントとすることとなりました。

なお、以下の「⑦ セグメント情報」において、「エネルギー・ソリューション」及び「ネットワーク」については、新しい報告セグメントでの前連結会計年度の売上高及び利益の金額等に関する情報を作成することが困難であるため、当連結会計年度の業績のみ記載しています。

 

② 売上高

売上高は、都市ガスの原料費調整による売上単価の増加及び電力の販売量の増加等により、前連結会計年度比52.7%増3,289,634百万円となりました。

 

③ 営業費用及び営業利益

売上原価、販売費及び一般管理費を合計した営業費用は、前連結会計年度比41.5%増2,868,157百万円となりました。

原油価格が前期より上昇傾向にあったこと等により、売上原価は前連結会計年度比47.0%増2,596,462百万円となりました。経営効率化の一層の推進を図り、費用の抑制に最大限の努力を重ねてきたものの、退職給付に係る数理計算上の差異の費用処理額の増加等により販売費及び一般管理費は前連結会計年度比4.1%増271,695百万円となりました。

売上高の増加が営業費用の増加を上回ったことから、営業利益は前連結会計年度比230.5%増421,477百万円となりました。

 

④ 営業外損益及び経常利益

営業外損益純額は、前連結会計年度の8,955百万円から、△12,630百万円となりました。

営業外収益の合計は、前連結会計年度の49,399百万円から、28,500百万円となりました。これは、為替差益が前連結会計年度比9,461百万円減の5,089百万円となったことが主な要因です。

営業外費用の合計は、前連結会計年度の40,444百万円から、41,130百万円となりました。これは、デリバティブ損失等の減少があった一方、持分法による投資損失が4,450百万円となったことが主な要因です。

この結果、経常利益は前連結会計年度比199.6%増408,846百万円となりました。

 

⑤ 特別損益

特別損益純額は、前連結会計年度の133百万円から、△1,367百万円となりました。

特別利益の合計は、前連結会計年度の6,344百万円から、7,301百万円となりました。これは、前連結会計年度に2,226百万円計上した固定資産売却益が当連結会計年度はなかったものの、投資有価証券売却益3,795百万円及び事業譲渡益3,506百万円を計上したことが要因です。

特別損失の合計は、前連結会計年度の6,211百万円から、8,669百万円となりました。これは、エネルギー・ソリューションセグメントの減損損失4,093百万円、投資有価証券評価損2,420百万円及び長期貸付金評価損2,154百万円を計上したことが要因です。

 

⑥ 税金等調整前当期純利益、法人税等、並びに親会社株主に帰属する当期純利益

税金等調整前当期純利益は、経常利益の増加により、前連結会計年度比198.3%増407,479百万円となりました。法人税等は、同219.8%増125,956百万円となりました。

以上の結果から、親会社株主に帰属する当期純利益は同193.5%増280,916百万円となりました。

売上高に対する親会社株主に帰属する当期純利益率は、前連結会計年度の4.4%から4.1ポイント増加し、8.5%となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の217円67銭から、646円99銭となりました。

 

⑦ セグメント情報

イ エネルギー・ソリューション

売上高は、都市ガスの原料費調整による売上単価の増加及び電力の販売量の増加等により、3,031,188百万円となりました。営業費用は、原油価格が前期より上昇傾向にあったこと等により2,665,107百万円となりました。この結果、セグメント利益は365,981百万円となりました。

(都市ガス)

販売量は、前連結会計年度比4.4%減12,574百万m3となりました。高気温影響等による需要減等により、家庭用需要は前連結会計年度と比較して前連結会計年度比9.1%減2,802百万m3、業務用需要は同1.4%減2,224百万m3となりました。工業用需要は、需要家の稼働減等により、同4.3%減5,932百万m3となりました。また、他事業者向け供給は、供給先の稼働増等により、同0.4%増1,616百万m3となりました。

 

[2022年度連結都市ガス販売量]

 

2022年度

2021年度

増減

増減率

(%)

小売お客さま件数

千件

8,701

8,688

13

0.2

取付メーター数

千件

12,331

12,202

129

1.1

都市ガス

販売量

家庭用

百万m3

2,802

3,083

△281

△9.1

 

業務用

百万m3

2,224

2,256

△32

△1.4

 

工業用

百万m3

5,932

6,198

△266

△4.3

百万m3

8,156

8,454

△297

△3.5

他事業者向け供給

百万m3

1,616

1,609

7

0.4

合計

百万m3

12,574

13,146

△572

△4.4

平均気温

16.8

16.2

0.6

 

(注) 1 小売お客さま件数は、ガス小売事業者としてのガス料金請求対象件数

2 取付メーター数は、休止中・閉栓中・他社小売分を含む導管事業者としてのメーター取付数

3 業務用は、商業用、公用及び医療用

4 都市ガス販売量は45MJ(メガジュール)/m3

5 2021年度の各数値については、会計方針の変更に伴い遡及修正が行われたため、遡及適用後の数値を記載しています。

 

(電力)

販売量は、小売件数増及び卸他での需要増等により、前連結会計年度比21.8%増34,445百万kWhとなりました。

 

[2022年度連結電力販売量]

 

2022年度

2021年度

増減

増減率
(%)

小売お客さま件数

千件

3,475

3,014

461

15.3

電力
販売量

小売

百万kWh

12,019

11,305

714

6.3

卸他

百万kWh

22,426

16,983

5,443

32.1

合計

百万kWh

34,445

28,288

6,157

21.8

 

(注) 小売お客さま件数は、電力小売事業者としての電気料金請求対象件数

 

ロ ネットワーク

売上高は都市ガスの託送供給収益の計上等により370,385百万円、営業費用は、修繕費や減価償却費の計上等により、370,725百万円となりました。この結果、セグメント損失は339百万円となりました。

ハ 海外

売上高は、前連結会計年度から74,019百万円(86.2%)増加し、159,912百万円となりました。営業費用は前連結会計年度から24,729百万円(39.8%)増加し、86,866百万円となりました。持分法による投資損失は、5,135百万円となり、前連結会計年度の持分法投資利益2,765百万円に比べ、7,900百万円悪化しました。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ41,391百万円(156.1%)増加の、67,911百万円となりました。

ニ 都市ビジネス

売上高は、前連結会計年度から4,715百万円(8.1%)増加し、62,676百万円となりました。営業費用は前連結会計年度から2,678百万円(5.9%)増加し、48,283百万円となりました。持分法による投資利益は、785百万円と前連結会計年度比149百万円(16.0%)減少しました。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ1,887百万円(14.2%)増加し、15,177百万円となりました。

なお、参考のため、セグメント別の売上高及び構成比を示します。

 

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

エネルギー・

ソリューション

3,031,188

83.7

ネットワーク

370,385

10.2

海外

85,893

159,912

4.4

都市ビジネス

57,961

62,676

1.7

合計

3,624,163

100.0

調整額

△72,899

△334,529

連結

2,154,860

3,289,634

 

(注) 各セグメントの売上高には、事業間の内部取引を含んでいます。

 

(2) 経営成績に重要な影響を与える経済フレームについて
① 原料購入価格の変動

当社が供給する都市ガスの主要原料であるLNGは海外から輸入しており、ドル建ての売買契約になっているため、円/ドル為替の変動リスクを受けます。また、ドル建てのLNG価格は主として原油価格に連動して決定されるため、国際原油価格市場の変動リスクも受けます。

ただし、原料購入価格が変動しても変動分について最大5ヶ月遅れ(注1)で都市ガス料金に反映する「原料費調整制度(注2)」が適用されるため、年度を区切ると回収超過や回収不足が発生(スライドタイムラグ)しますが、中長期的には収支への影響は軽微です。

為替及び原油価格の変動が翌連結会計年度の売上総利益に与える影響額は、以下のとおりです。

為替:1円/ドルの円安により、約12億円減

原油価格:1ドル/バレルの価格上昇により、約11億円減

翌連結会計年度見通しにおける年平均為替相場と原油価格は、当連結会計年度が135.50円/ドル、102.67ドル/バレルであったのに対し、それぞれ130.00円/ドル、90.00ドル/バレルを想定しています。

(注) 1 都市ガス料金への反映は、契約により5ヶ月遅れではない場合もあります。

2 調整の上限があり、変動幅が基準原料価格の160%を超過した場合には超過分は未回収となります。

 

② 気温の変動

当社グループの年度売上高は、都市ガスの販売によるものが多く含まれており、その販売量は気温の影響を受けます。家庭用においては、主な都市ガスの利用目的は給湯・暖房であるため、暖冬の場合には都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となります。業務用においては、主な利用目的が空調であるため、夏場においては気温が低い場合、冬場においては気温が高い場合に、それぞれ都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となります。

当連結会計年度の平均気温(※)は上期で22.7℃、下期で10.9℃(通期で16.8℃)でしたが、翌連結会計年度の平均気温は通期で16.3℃を想定しています。

(※)平均気温は、各日における平均気温を月間で平均したものです。

 

 

③ 金利の変動

当社の有利子負債は、長期・短期ともに概ね固定金利であるため、借入れ期間中の金利変動リスクは軽微ですが、借換え時等においては金利変動のリスクを受ける可能性があります。

 

④ 株価の変動

当社の保有する株式のうち、上場株式の株価はマーケットリスクに晒されています。保有株式の取扱いについては、管理規則を設けています。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 連結キャッシュ・フロー

 

営業活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)

投資活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)

財務活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

487,030

△203,522

△22,403

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

145,227

△224,656

90,490

 

当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益の計上に対し、売上債権の増加、棚卸資産の増加、有形固定資産の取得等があったものの、減価償却費の計上及び長期借入れによる収入等により、現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ273,733百万円増加し、当連結会計年度末には453,432百万円となりました(前期末比152.3%増)。

イ 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において487,030百万円となりました。

これは、税金等調整前当期純利益の計上(407,479百万円)に対し、売上債権の増加(114,253百万円)、棚卸資産の増加(78,491百万円)、及び法人税等の支払(40,437百万円)等があったものの、減価償却費が計上(205,076百万円)されたこと等によるものです。

また、これは、前連結会計年度に比べて341,803百万円の収入の増加となります(前期比235.4%増)。

ロ 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果減少した資金は、当連結会計年度において203,522百万円となりました。

これは、投資有価証券の売却及び償還による収入(13,574百万円)等があったものの、都市ガス供給体制整備のための設備投資等に伴う有形固定資産の取得による支出(150,647百万円)、無形固定資産の取得による支出(34,294百万円)、投資有価証券の取得による支出(28,011百万円)等により資金が減少したことによるものです。

また、これは、前連結会計年度に比べて21,134百万円の支出の減少となります(前期比9.4%減)。

ハ 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果減少した資金は、当連結会計年度において22,403百万円となりました。

これは、長期借入れによる収入(97,366百万円)及び社債の発行による収入(19,791百万円)等があったものの、長期借入金の返済による支出(72,241百万円)、コマーシャル・ペーパーの減少(30,000百万円)及び配当金の支払(29,474百万円)があったこと等によるものです。

また、これは、前連結会計年度に比べて112,893百万円の支出の増加(収入の減少)となります(前期は90,490百万円の収入)。

 

② 資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から393,798百万円(12.4%)増加し、3,581,425百万円となりました。これは、その他流動資産の減少があったものの、現金及び預金の増加に加え、都市ガスの原料費調整による売上単価の増加及び電力の販売量の増加等に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加があったこと等により、流動資産が前連結会計年度末から318,044百万円増加し、1,217,914百万円となったこと等によるものです。また、総資産利益率(ROA)は、前連結会計年度末の3.2%から8.3%に上昇しました。

 

 

③ 負債

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末から85,647百万円(4.5%)増加し、1,992,124百万円となりました。これは、未払法人税等の増加に加え、ハイブリッドファイナンスによる資金調達に伴う長期借入金及び社債の増加等によるものです。

 

④ 有利子負債

長期借入金や社債の増加等に伴い、当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ42,644百万円(3.5%)増加し、1,263,233百万円となりました。有利子負債比率(有利子負債÷総資産)は、総資産の増加率の方が大きかったため、前連結会計年度末の38.3%から35.3%に下落しました。

 

⑤ 純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ308,151百万円(24.1%)増加し、1,589,301百万円となりました。これは、株主資本について剰余金の配当29,485百万円等による減少及び自己株式の取得16,031百万円の減少に対し、親会社株主に帰属する当期純利益の計上280,916百万円等による増加が大きく233,744百万円増加したことや、為替換算調整勘定の増加等によりその他の包括利益累計額が72,879百万円増加したことによるものです。

自己資本比率は、前連結会計年度末の39.3%から43.5%に上昇し、自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度末の7.9%から20.0%に上昇しました。負債資本倍率(D/Eレシオ)は、前連結会計年度末の0.98から0.81へと減少しました。また、ハイブリッドファイナンスを考慮した後の負債資本倍率(D/Eレシオ)は、0.76となりました。

 

(生産、受注及び販売の実績)

当社グループの製品・サービスは広範囲かつ多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくありません。また、都市ガスの販売が外部顧客に対する売上高及び営業費用の多くを占めています。

このため、以下は、エネルギー・ソリューションセグメントにおける都市ガスの生産実績について記載しています。

(1) 生産実績

最近2連結会計年度の都市ガスの生産実績は次のとおりです。

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

都市ガス(千m3)

13,190,246

12,569,553

 

 

(2) 受注実績

都市ガスについては、その性質上受注生産は行いません。

 

(3) 販売実績

都市ガスは導管を通じて直接需要家に販売していますが、一部については他事業者向け供給を行っています。

最近2連結会計年度の都市ガスの販売実績は次のとおりです。

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

数量(千m3)

金額(百万円)

数量(千m3)

金額(百万円)

家庭用

3,083,364

447,301

2,802,204

536,644

その他

10,062,604

679,485

9,771,845

1,132,542

13,145,968

1,126,787

12,574,049

1,669,186

 

 

 

② 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

重要な会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 事業全体及びセグメントごとの経営成績等

<事業全体>

当連結会計年度の連結決算は、2期連続の増収となりました。また、営業利益、経常利益及び当期純利益のいずれにおいても増益となり、過去最高益となりました。以下では、経常利益ベースで増益となった理由について説明します。

増益となった主な要因は、①エネルギー・ソリューションにおける都市ガス販売において、ロシアのウクライナ侵攻などでLNG価格が世界的に高騰する中で、LNG調達コストを抑えられたこと、②資源価格の高騰等により海外事業の売上単価が上昇したことです。

<セグメント別>

エネルギー・ソリューションセグメントは、都市ガスの原料費調整制度による売上単価の増加及び電力販売量の増加等により、売上高は3兆311億円となり、LNG調達コストを抑えられたこと等により、セグメント利益は3,659億円となりました。

ネットワークセグメントは、冬場の高気温影響等に伴い家庭用、業務用のガス託送量が減少したこと等により、売上高が3,703億円、セグメント損失は3億円となりました。

海外セグメントは、豪州上流LNG事業における原油価格上昇、北米上流シェール事業におけるガス価格上昇、および円安影響に伴う単価増等により、売上高が前期比+741億円(+86.2%)の1,599億円、セグメント利益は前期比+414億円(+156.1%)の679億円となりました。

都市ビジネスセグメントは、ホテル事業においてコロナ規制の緩和と円安影響によりインバウンド需要が回復したこと等により、売上高が前期比+47億円(+8.1%)の626億円、セグメント利益は前期比+19億円(+14.2%)の151億円となりました。

 

売上高

(億円)

セグメント利益

(億円)

2022年度

2021年度

増減

増減率(%)

2022年度

2021年度

増減

増減率(%)

エネルギー・

ソリューション

30,311

3,659

ネットワーク

3,703

△3

海外

1,599

858

741

86.2

679

265

414

156.1

都市ビジネス

626

579

47

8.1

151

132

19

14.2

調整額

△3,345

△728

△2,617

△317

△424

107

連結

32,896

21,548

11,348

52.7

4,170

1,312

2,858

217.7

 

 

 

<認識>

過去最高益を更新する決算となった主な要因は、①エネルギー・ソリューションにおける都市ガス販売において、ロシアのウクライナ侵攻の影響などでLNG価格が世界的に高騰する中で、LNG調達コストを抑えられたこと、②資源価格の高騰等により海外事業の売上単価が上昇したこと等、市況の影響を大きく受けています。事業環境の不透明感は今後も継続し、予断を許さない状況であり、引き続き状況の変化を注視していく必要があります。新中期経営計画「Compass Transformation 23-25」で掲げた3つの主要戦略「エネルギー安定供給と脱炭素化の両立」「ソリューションの本格展開」「変化に強いしなやかな企業体質の実現」の実行にあたっては、エネルギー市場のボラティリティや不確実性に迅速かつ柔軟に対応すべく、「収益性」「成長性」「安定性」の視点から事業ポートマネジメントを強化し、新たな成長領域への経営資源のシフトを加速させていくことが必要であると認識しています。

② 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの主な資金需要は、中長期的な成長に必要な設備投資及び投融資向けの資金です。

当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フロー4,870億円に対して、投資活動によるキャッシュ・フローは海外事業を中心とする投資拡大に伴い△2,035億円となり、フリーキャッシュフロー(営業活動によるキャッシュ・フローから、投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた額)が2,835億円となりました。

引き続き、将来に向けた成長投資を実行していきますが、その原資確保のために資金が不足する場合には、主に社債・長期借入金で対応する方針です。なお、短期運転資金は主にコマーシャル・ペーパーで賄っていく方針です。

③ 経営計画上の客観的な指標等

2023年2月22日発表の「東京ガスグループ 2023-2025年度 中期経営計画」に基づき、事業ポートフォリ オマネジメントの強化を通じて、健全な財務体質と成長投資を両立し、持続的な成長・企業価値向上を実現していきます。

イ 投資・資本効率性

投資に伴うリスク及び採算性に留意し個別の投資判断を行うとともに、投資効率の維持・向上及び株主資本の有効活用に努めます。また、稼ぐ力を考慮した投資・資産売却により、資産効率性を向上していきます。

具体的には、ROA(総資産利益率)・ROE(自己資本利益率)を主要経営指標と位置付け、2025年度における到達点を、ROAは4%程度、ROEは8%程度と定め上記の実現を図ります。

ロ 財務体質

現在の資金調達力を維持し財務健全性を確保するとともに、資本コストを意識した最適な資本構成の実現に努めます。

具体的には、D/Eレシオ(負債資本倍率)を主要経営指標と位置付け、2025年度における到達点を0.9倍程度と定め上記の実現を図ります。

ハ 株主還元

配当に加え、消却を前提とした自己株式取得を株主還元の一つとして位置付け、総還元性向(連結当期純利益に対する配当と自己株式取得の割合)は、各年度4割程度を目安とします。

また、配当については、安定配当を維持しつつ、中長期の利益水準を総合的に勘案し、成長に合わせて緩やかな増配を実現していきます。

n年度総還元性向=((n年度の年間配当金総額)+(n+1年度の自己株取得額))÷n年度連結当期純利益

 

2022年度実績

2025年度

(中期経営計画)

ROA

8.3%

4%程度

ROE

20.0%

8%程度

D/Eレシオ

0.81

0.9程度

総還元性向

50.3%

40%程度

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 東京ガスネットワーク株式会社への会社分割(吸収分割)

当社は、2021年4月28日の取締役会決議により、当社が営むガス導管事業等を会社分割の方法によって東京ガスネットワーク株式会社に承継させる旨を決議し、同日付で、同社との間で吸収分割契約を締結(以下、「本会社分割」といいます。)しました。また、本会社分割は、2021年6月29日開催の第221回定時株主総会において関連議案が承認可決された後、2022年3月17日に、所管官庁によってガス導管事業についての分割が認可され、2022年4月1日に効力が発生しました。

 

(2) 子会社株式の譲渡

当社は2022年10月7日付で、当社の豪州子会社であるTokyo Gas Australia Pty Ltdの子会社5社(4プロジェクト)を米国EIG Global Energy Partners, LLCの子会社MidOcean Energy Holdings Pty Ltd(以下「MidOcean」)に譲渡することに合意し、同社と株式譲渡契約を締結しました。

 

① 株式譲渡の理由

当社は、2003年以降、5件の豪州LNGプロジェクトへ参画し、LNG上流権益の保有事業を拡大してまいりましたが、当社の最適な資産ポートフォリオの構成を勘案した結果、以下の連結子会社の全株式をMidOceanに譲渡することが適切であると判断しました。

 

② 株式譲渡の相手先の名称

MidOcean Energy Holdings Pty Ltd

 

③ 株式譲渡実行予定日

当初は株式譲渡実行予定日を2023年3月としていましたが、引き続き関係者との協議を継続中であるため、これを延期し、その時期は未定です。

 

④ 譲渡対象会社の名称及び事業内容

名称

事業の内容

Tokyo Gas Pluto Pty Ltd(以下、Pluto)

ガス田開発、LNG・コンデンセートの生産・販売事業

Tokyo Gas Gorgon Pty Ltd(以下、Gorgon)

Tokyo Gas QCLNG Pty Ltd(以下、QCLNG)

Tokyo Gas Ichthys Pty Ltd(以下、Ichthys)

Tokyo Gas Ichthys F&E Pty Ltd

(以下、Ichthys F&E)

 

 

⑤ 譲渡株式所有割合及び譲渡後の所有株式数

名称

Pluto

Gorgon

QCLNG

Ichthys

Ichthys F&E

譲渡株式所有割合

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

100.0%

譲渡後の所有株式数

0株

(所有割合0%)

0株

(所有割合0%)

0株

(所有割合0%)

0株

(所有割合0%)

0株

(所有割合0%)

 

 

⑥ 留意事項

本件譲渡の契約金額は21.5億米ドルですが、今後の豪州政府や関係者の承認状況、その他契約上の条件によって、プロジェクトの一部または全部について売却が実行されない可能性があり、また、実現する売却額と契約金額との間に差異が生じる可能性があります。なお、当連結会計年度を含め、譲渡完了時までに本件譲渡対象から生じる当社に帰属する当期純利益については、売却損益から控除されます(当連結会計年度の譲渡対象の当期純利益は約3億米ドル)。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、研究開発を経営戦略の一つとして位置付け、経営ビジョンCompass2030に沿って、以下の3つの挑戦に取り組んでいます。

・「CO2ネット・ゼロ」をリード

・「価値共創」のエコシステムの構築

・LNGバリューチェーンの変革

研究開発の推進にあたっては、投入原資の選択と集中を図るとともに、スピードと採算性を重視して取り組んでいます。

当連結会計年度の研究開発費総額は7,362百万円です。

主な研究開発活動は、エネルギー・ソリューションセグメントを中心に行われており、6,076百万円です。

当連結会計年度における具体的な研究成果は、以下のとおりです。

 

① 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構および株式会社IHIと共同で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が公募した「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」の「合成メタン製造に係る革新的技術開発」の中で、低温プロセスによる革新的メタン製造技術開発を実施します。

② Shell Eastern Petroleum(Pte.)Limitedと脱炭素分野の共同検討に関する覚書を締結し、メタネーションをはじめ、水素、バイオメタン、CCUSなど、さまざまな脱炭素領域において、新たな脱炭素化ソリューションの実現を目指した共同検討を開始します。

③ 国立大学法人九州大学およびジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社と、洋上風力発電の風車ウエイク現象(発電量の低下につながる風車下流における風速の低下や風の乱れ)を高精度に再現し、設備利用率向上と故障率低減に寄与するツールの開発を開始しました。なお、本開発は、国立研究開発法人科学技術振興機構が公募する「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産学共同(本格型)」に前連結会計年度に続き2期連続で採択されました。

④ 大阪ガス株式会社、東邦ガス株式会社および三菱商事株式会社と、米国テキサス州・ルイジアナ州における合成メタン(e-methane)の製造および2030年の日本への合成メタン導入開始に向けた共同での詳細検討に着手しました。世界初となる合成メタンの製造規模と国際的なサプライチェーン確立を目指します。

⑤ 米国グローバルサーモスタット社に出資し、大気中のCO2を直接回収するDACの実用化を進めます。同社は、独自の固体吸着方式に関する開発を10年以上にわたり行っています。

⑥ 米国のスタートアップ企業H2Uテクノロジーズ社と共同で、水素製造のための水電解装置向け低コスト触媒を開発します。同社が有する独自の触媒探索エンジンを用いて、非イリジウム触媒を開発し、安価な水素製造コストの早期達成を目指します。

⑦ 株式会社SCREENホールディングスと共同で、水電解用触媒層付き電解質膜の高速量産化技術を確立しました。同社のロールtoロール生産方式を活用し、800cm2超サイズの製作に成功し、所定の電解性能を達成しました。今後更に5,000cm2サイズの量産化を目指します。

⑧ 株式会社ヒートエナジーテックと共同で塗装乾燥用水素燃焼式熱風発生バーナを開発、また日工株式会社とアスファルトプラント用水素専焼バーナを開発、サンレー冷熱株式会社と共同で水素専焼ガスタービンコージェネレーションシステム用追焚きバーナを開発しました。水素バーナで課題となるNOxの生成を抑えながら、工場の脱炭素化を実現します。

 

また、ネットワークセグメントにおいてガススマートメーターシステムの研究開発等を行っており、当事業に係る研究開発費は1,286百万円です。