本項においては、将来に関する事項が含まれているが、当該事項は2023年3月末現在において判断したものである。
当社グループは、「快適な環境づくりを通して社会に貢献します。」「技術力で未来に挑戦し、新しい価値を創造します。」「人をいかし、人を育てる人間尊重の企業を目指します。」を企業理念の柱に掲げ、電気、空気調和、冷暖房、給排水、情報通信などの設計・施工を営む総合設備業として、社会的使命を果たすと同時に、お客さまや地域社会とともに発展し続ける企業であることを経営の基本としている。
また、これらの事業に関連する環境、エネルギー効率化、リニューアルなどの分野についても、一層の技術開発の促進と品質の向上に努め、お客さまの信頼と期待に応えると同時に、新規分野・新規市場への積極的な事業展開を図ることで、社会構造の変化に適宜適切に対応しながら、企業価値の向上をめざしている。
当社グループでは、企業理念を柱として、将来のメガトレンドを視野に、創立100周年(2044年)にかけて想定される社会環境の中で、当社のビジネス機会や展開にも注視しながら長期ビジョンを策定し、持続可能な社会づくりに向けて私たちが果たす役割〈3つの貢献〉やビジョン実現に向けた基本姿勢を具体的に定めている。
この「長期ビジョン」を九電工“イズム”として浸透させ、継承しつつ、時代の進化や当社グループを取り巻く環境の変化に応じて、その内容をブラッシュアップさせていく予定である。


〔中期経営計画2020-2024〕
当社グループは、前中期経営計画の成果を検証、分析し、継続して取り組むべき課題を整理したうえで、企業理念に基づいた長期的な戦略の過程で2024年度までに達成すべき目標として本中期経営計画を策定している。
本中期経営計画では、「持続的な成長を実現するための経営基盤の確立~3つの改革の実現~」をメインテーマに掲げ、前中期経営計画で得られた成果と反省を踏まえ、当社グループが新たな成長を遂げるためには、これを支える基盤づくりが最重要であるとの認識に立ち、現状の施工力に見合った電気・空調衛生工事の受注量を確保・維持しながら、たとえ景気後退局面に陥ったとしても熾烈な競争を勝ち抜くことができる「強靭で筋肉質な企業体質」づくりに全力を傾注する。
具体的には、コア事業を支える技術者の確保に加え、施工管理方法の見直しや技術者の適正配置による「施工戦力改革」、競争力の源泉となる品質・コスト力向上をはじめ、働き方改革も見据えた「生産性改革」、クリーンで透明性の高い企業風土をつくり上げるための「ガバナンス改革」の「3つの改革」を実現し、本中期経営計画最終年度、その後の創立100周年(2044年度)での飛躍的な成長・発展を目指す。
なお、新型コロナウイルス感染症については、収束に向かうものと期待しているが、本中期経営計画においては、最終年度の目標数値を含め、その影響を反映していない。目標達成に向け注力していくが、今後必要に応じ計画の見直しを行う可能性がある。

さらに、当社グループは、本中期経営計画に掲げた「3つの改革」と前中期経営計画の総括に伴い定めた「継続取り組み課題」に加え、事業環境の変化に対応すべく「新たな取り組み課題」を定めている。2021年度には「環境経営の推進」を定め、環境経営に関する中長期目標や、サステナビリティに関する基本方針などを設定・策定した。2022年度からは、増加する大型手持ち案件への対応やサステナビリティ経営のさらなる加速を実現するため、「大型プロジェクトにおける進捗管理の徹底」と「人的資本経営の推進」を新たに課題として加え、持続的な成長に向け取り組んでいく。

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の建設業界においては、物価の上昇、とりわけ人件費の高騰が想定され、加えて2024年度からの時間外労働上限規制に向けた労働環境整備など、施工戦力の不足が懸念されている、当社グループにおいては、過去最大の仕掛工事量を抱える中、時間外労働の上限規制に速やかに対応しつつ最適な要員体制を確立する必要があり、これらを直面する最大の課題と認識している。
このような環境認識を踏まえ、直面する課題を解決するためには、これまでの手法や考え方、仕組みなどを抜本的に見直し、グループを挙げて働き方改革を実現し、生産性を向上させることが必須であると判断し、中期経営計画4年目となる2023年度の経営基本方針のテーマを「新しい時代に向けた生産性の向上」としたうえで、働き方改革の加速を実現し、当社グループの成長へと繋げていく。
また、かつてないスピードで変化する環境へ適応していくためには、中期経営計画のロードマップで定めた再生可能エネルギー事業やDXを始めとした取り組みを進捗させつつ、環境経営やCSV経営を経営戦略として浸透させる必要があると認識しており、今回、中期経営計画に掲げる改革・課題のうち「新たな取り組み課題」に、「人的資本経営の推進」を追加した。そのうえで、これらの課題のうち、2023年度に特に注力すべき内容を、「生産性改革の実践」「人的資本経営の推進」「受注基盤の強化・拡充」「新たな事業領域の開拓」「サステナビリティ経営の推進」「ガバナンス体制の強化・コンプライアンスの徹底」「重要災害の撲滅」と定め、それぞれ具体的な施策を定め実行していく。


当社グループの経営上の目標を判断するための客観的な指標(KPI)は、売上高、経常利益、経常利益率、投下資本利益率(ROIC)であり、2024年度の目標値は、売上高5,000億円、経常利益500億円、経常利益率10.0%以上、ROIC10.0%以上である。当該KPIの各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではない。


文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性がある。
当社グループは、企業理念と長期ビジョンに基づき、地球環境や社会、経済などに配慮しながら長期的な視点で企業価値の向上により一層注力していくため、サステナビリティ基本方針及び重要課題(マテリアリティ)を制定した。
今後、当社グループは、サステナビリティ基本方針のもと、重要課題(マテリアリティ)について計画的かつ積極的な取り組みを推進し、持続可能な社会づくりに貢献していく。




気候変動を含むサステナビリティに関するリスクの識別と評価、並びにリスクへの対応策の検討は、環境経営推進室が中心となり、組織横断的な議論を経て、サステナビリティ推進委員会で審議している。
サステナビリティ推進委員会で審議した内容は、必要に応じて経営会議、取締役会への付議・報告を行っている。
(3)人的資本・多様性に関する戦略
当社は、「人をいかし、人を育てる人間尊重の企業を目指します」という企業理念に基づき、もっとも重要な経営資源である「人財」の育成に関する方針を明確にし、全従業員への浸透を図るため、「人財育成憲章」を制定している。人は「財(たから)」であるとの信念に基づき、会社の発展と従業員一人ひとりの働きがいや自己実現のための能力向上を図り、教育の成果を発揮する場を提供することで、従業員のさらなる成長と会社の発展を目指す。
中期経営計画における経営戦略の過程において、施工戦力改革や生産性改革の実現のためには、人財戦略を経営計画と連動させ、スピード感をもって取り組む必要があると考えており、そのための具体的な施策を実施している。
また、当社は「社員の健康」を重要な経営資源の一つと捉え、社員の「健康第一」という意識の向上と自発的な健康増進活動を支援するため、「九電工 健康経営宣言」を策定し、組織一丸となって「安心して働ける環境」「明るく快適な職場づくり」と、家族を含めた健康の維持向上の実現により、健康経営優良法人認定に向け取り組んでいる。
加えて、職務に対して熱意ある従業員を増やし、そのような従業員が思う存分に挑戦し“力”を発揮できる職場を作ることによって、収益性や生産性の向上と離職の抑制に繋げるために、エンゲージメントの向上に取り組んでおり、エンゲージメントサーベイを実施している。
また、経営環境が大きく変化する中で、当社グループが新たな価値を生み出し、競争力を高め、持続的な成長を続けるためには、異なる考え方や多様な視点を加えることが必要であり、ダイバーシティの推進が不可欠であるとの考えにより、2021年7月に「ダイバーシティ推進準備室(現ダイバーシティ推進室)」を設置し、取り組みを行っている。企業理念・行動憲章を基本とした「目指す姿」を定めたうえで、ダイバーシティを推進し、SDGsの達成に貢献していく。


(4)人的資本・多様性に関する指標と目標

(5)環境経営の推進(TCFD提言に基づく取り組み)
当社は、企業理念や長期ビジョンのもと、省エネルギーやクリーンエネルギーに関連する施設や災害に強いインフラ設備の施工など、総合設備工事会社としての技術力を生かして、サステナビリティをめぐる様々な社会課題の解決に取り組んでいる。
また、当社は、気候変動を含む環境問題への対応を、重要課題(マテリアリティ)の一つとして認識し、2021年12月に環境経営に関する中長期目標を設定するとともに、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同している。
気候変動を含む環境問題への対応に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」については、「統合報告書KYUDENKO REPORT 2022」において開示している。
当社グループの経営成績、財政状況に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、主として以下のようなものがある。
文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
当社グループにおいては、これらのリスクの発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の適切かつ迅速な対応に努める所存である。
以下の事項は当社グループが事業を継続するうえで、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるものではない。
(1)経済状況等
当社グループの設備工事業は、九州電力送配電㈱を始めとする国内民間企業及び官公庁などの設備投資の動向に左右されることから、これらの設備投資抑制などは、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
配電工事については、九州電力送配電㈱との連絡を密にし、より効率的かつ安定的に配電網を維持する仕組みと契約の在り方に向け改善を続けている。一般工事については、地域密着営業による小型元請工事の拡大や元施工案件の保守メンテナンス・リニューアルの獲得など、比較的景気の影響を受けにくい案件の増加に取り組んでいる。加えて、得意先の拡大、工事種別の多様化も進めている。
(2)工事材料費及び労務費の変動
工事材料費及び労務費が著しく上昇し、これらを請負金額に反映できない場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
長期にわたる大型工事については、フロントローディングを徹底し、早期に資材発注や施工業者を選定し取り決めを行い、リスクを回避する。工事材料費については、グループ内の資材購買専門会社㈱Q-mastにより、資材調達における規模のメリットを追求するとともに、代替資材の提案など資材調達に係る専門知識をグループ内に蓄積していく。労務費については、グループ内の技能工数を増加させるとともに多能工化を進め、外部要因によるリスクを低減する。また、徹底した業務プロセスの見直し、全社・全部門の最適稼働などの抜本的な働き方改革、全社横断を可能とする要員体制・施工戦力の有効活用により生産性の向上を図るとともに、物価高騰を反映した価格交渉を推進している。
(3)人的資本が不足するリスク
建設業界においては、建設業従事者・施工戦力の不足が懸念されており、多面的なアプローチによる対策を講じない場合、施工体制の維持が困難になり、売上高の減少や外注・労務コストの上昇による利益率の低下が生じる可能性がある。
サプライチェーン全体の生産性向上を目指した働き方改革を加速し、人的資本経営の推進に取り組んでいる。
(4)貸倒れリスク
当社グループは、取引先別の財務状態に応じた与信設定を行い、信用状態を継続的に把握するなど、不良債権の発生防止に努めているが、取引先の経営・財務状況が悪化した場合、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
当社では、毎月の支店長会議において、長期未収入金の確認を行い営業債権の不良化を監視している。日頃よりこまめな出来高請求を行うことでリスクの低減に努めるとともに、全社で集金に取り組む集金強調期間を年2回設けるなど、集金管理意識の向上を図っている。
(5)保有資産に関するリスク
当社グループは、営業活動に関連して不動産や有価証券等の資産を保有しているが、これら保有資産の時価が著しく低下した場合や、事業用不動産の収益性が著しく低下した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
配電工事を除く設備工事業に関しては、本来多額の設備投資を必要としない。新規事業エリアへ進出する際は、基本的に賃貸を選択している。配電工事については、九州一円に不動産を保有し緊急工事などへ対応しているが、新規の設備投資については過年度に概ね終了しており、現在は維持更新や事業所の移転に伴う投資にとどめている。
(6)設備工事業以外の事業にかかるリスク
当社グループは、中核である設備工事業以外に、不動産販売事業、再生可能エネルギー発電事業、人材派遣事業、ソフト開発事業、環境分析・測定事業、医療関連事業、ゴルフ場経営、ビジネスホテル経営、商業施設の企画・運営事業など、グループの経営資源やネットワークを有効に活用しながら事業領域の拡充を図っている。これらの事業は、他事業者との競合の進展など事業環境の変化により、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(7)再生可能エネルギー発電事業等にかかるリスク
再生可能エネルギー発電事業は、通常その事業期間が長期にわたることから、事業環境に著しい変化が生じた場合や、事業遂行上重大な災害・事故等が発生した場合には、収益性が低下する可能性がある。また、未だ運転を開始していない宇久島メガソーラーを含む複数のプロジェクトについては、予期しない障害の発生による事業計画の遅れに伴い、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
なお、当該事業は、十分な事前調査及び検討を行ったうえでプロジェクトを採択しており、主な発電所については保険契約を締結するなど、想定されるリスクについても回避又は極小化のための対応を行っている。
(8)海外事業に伴うリスク
海外での事業活動では、当該国の政治・経済情勢の変化や法令・規則等に変更があった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性がある。
情報収集と危機管理の早期化のため、進出国に日本人スタッフを直接派遣し、リスク管理に努めている。
(9)退職給付債務
当社グループ退職年金資産の運用結果が前提条件と異なる場合、その数理計算上の差異は、発生の翌連結会計年度以降一定の期間で費用処理することとしているため、年金資産の運用利回りの悪化や割引率の低下は、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
年金管理委員会では、毎年運用商品の評価を行うとともに、期待リターンとリスクを加味した投資効率の極大化を図っている。外部コンサルタントを活用し、掛金と給付までのデュレーションを反映した中期的なポートフォリオ構築に努めている。
(10)自然災害の発生・疫病のまん延
大規模な自然災害の発生あるいは疫病のまん延などに伴い、サプライチェーンの寸断や行政機関からの事業停止要請などによる工事の中断や大幅な遅延又は当社グループの設備の損傷や就業者の減少といった事態が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
なお、社長執行役員を統括責任者とした緊急事態管理対応体制を構築し、緊急時の事業継続計画を策定するなど、日頃より緊急事態に備えている。
(11)気候変動リスク
気候変動が、事業や戦略、財務計画に影響を与える可能性があり、そのリスクを移行リスクと物理リスクに整理し開示している。
リスク及び対応策については、サステナビリティ推進委員会で審議し、取締役会に付議・報告を行っている。その内容は、中期経営計画に組み込んだうえで、組織ごとの方針や事業計画に展開し実践するとともに、定期的な見直しを行い、リスクの回避・低減に取り組んでいる。
(12)規制当局による措置や法的手続に係るリスク
当社グループは、建設業法をはじめとした各種法令の規制を受けており、これらの法令に抵触する行為があった場合において、行政処分等がなされたときは、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは、中期経営計画の重点課題の一つとして、クリーンで透明性の高い企業風土をつくり上げるための「ガバナンス改革」を掲げ、リスクの完全な払拭に努めている。
(1) 経営成績
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度の経済情勢は、地政学的リスクの高まりにより、エネルギーをはじめとしたさまざまな財・サービスの価格が上昇する一方で、製造業を中心に国内での設備投資が増加し、景気を下支えする中で推移した。また、新型コロナウイルス感染症が事業活動に与える影響は、夏場の拡大期以降、収束しつつある。
当社グループにおいても、資材・労務価格の値上がりが顕在化するなか、複数の大型プロジェクトが発注され、施工戦力の確保や価格の交渉など難しい受注戦略が求められた。また、主に新型コロナウイルス感染症の影響により、遅れている大型メガソーラー案件の本格着工がさらに延期された。
このような経営環境のもと当社グループは、中期経営計画(2020年度~2024年度:5カ年計画)の3年目である2022年度のテーマを2021年度の総括を踏まえたうえで「環境変化に適合した業務改革の実践」と位置付け、特に大型プロジェクトの受注・施工や材料費・人件費の高騰といった、直面する最大の課題を解決するため、「業務改革の実践による生産性の向上」「材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進」に全社を挙げて注力した。
このような事業運営の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなった。
〔連結業績〕
営業利益は、前年同期から1,054百万円減少し、32,083百万円、経常利益は、1,365百万円減少し、35,462百万円となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、保有していた投資有価証券の売却に伴う特別利益を計上したことなどにより前年同期から132百万円増加し、26,349百万円となった。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりである。
工事受注高は、九州を中心に製造業の設備投資やデータセンターの増設などに対応しつつ、再開発に伴う大型案件や、コロナ禍の影響で発注が延期された案件の受注に向け、営業・技術部門が一体となった営業活動を展開した結果、前連結会計年度と比べ65,032百万円増加(17.3%増)し、440,507百万円となった。
売上高は、大型太陽光工事の着工遅れなどにより伸び悩んだものの、好調な受注を背景に15,914百万円増加(4.4%増)し、380,355百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、売上高は増加したものの、前年度以前に受注した比較的利益率が低い新設大型案件のウエイトの増加と、新規連結子会社の増加やDX投資、脱コロナに伴う固定費の増加により、前連結会計年度と比べ1,619百万円減少(5.3%減)し、28,908百万円となった。
売上高は、発電事業や施設運営事業が増加したことなどから、前連結会計年度と比べ3,305百万円増加(27.3%増)し、15,428百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、売上高の増加に伴い、前連結会計年度と比べ513百万円増加(20.5%増)し、3,015百万円となった。
流動資産は、現金・預金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ61,241百万円増加し、278,220百万円となった。
固定資産は、退職給付に係る資産の増加などにより、前連結会計年度末と比べ6,773百万円増加し、168,189百万円となった。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末と比べ68,014百万円増加し、446,410百万円となった。
流動負債は、未成工事受入金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ18,244百万円増加し、141,691百万円となった。
固定負債は、長期借入金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ27,947百万円増加し、41,702百万円となった。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末と比べ46,192百万円増加し、183,393百万円となった。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末と比べ21,822百万円増加し、263,017百万円となった。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ26,060百万円増加し、63,851百万円となった。
営業活動の結果増加した資金は、17,386百万円(前連結会計年度比12,134百万円の収入額の増加)となった。
これは、主に売上債権の増加や棚卸資産の増加、消費税の支払いを、税金等調整前当期純利益の計上や未成工事受入金の増加が上回ったことによるものである。
投資活動の結果支出した資金は、3,113百万円(前連結会計年度比4,423百万円の支出額の減少)となった。
これは、主に投資有価証券の売却による収入を、投資有価証券の取得及び有形固定資産の取得による支出が上回ったことによるものである。
財務活動の結果増加した資金は、11,615百万円(前連結会計年度比21,807百万円の収入額の増加)となった。
これは、主に配当金の支払や長期借入金の返済による支出を、長期借入金の調達による収入が上回ったことによるものである。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
大型プロジェクトの受注・施工と材料費・人件費の高騰といった局面にあたり、当社グループは、目標案件を確実に受注し、その工事進捗をしっかりと管理し、利益を確保することが最も重要であると判断し、当連結会計年度における最重要取り組みを「業務改革の実践による生産性の向上」「材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進」と定め、課題の解決に注力した。

また、最重要取り組み事項以外の中期経営計画の重点課題については、「新たな取り組み課題」として「環境経営の推進」を加え、環境経営やCSV経営を経営戦略に取り入れつつ、経営環境の変化に適応すべく取り組んだ。

まず、最重要取り組みとして掲げた「材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進」は、営業・技術部門が一体となり、折衝に取り組んだ結果、概ね成果が得られていると評価している。また、重点課題である、「国内設備工事の受注・収益基盤の強化・拡充」についても天神ビッグバンや首都圏再開発、半導体工場などの大型プロジェクトを順調に受注することで、受注・仕掛工事量が大きく増加しており、その成果が表れている。
一方で、最重要取り組みの一つである「業務改革の実践による生産性改革」については、仕掛工事量が大きく増加する中、時間外労働に対する働き方改革の推進が道半ばであると評価している。加えて、技術者の採用数確保や若年技術者の離職率改善、時間外労働規制への対応など、新たな課題を見据えたうえで、これまで以上に抜本的な業務改革(生産性改革)を強力に進めていく必要があると考えている。
経営環境の変化に対しては、サステナビリティ経営を推進するため、新たな取り組み課題として「環境経営の推進」を掲げ、「サステナビリティ推進委員会」及び「環境経営推進室」を設置し、当社グループの基本方針や11項目からなるマテリアリティを定めるなどの取り組みを行った。
また、「ガバナンス体制強化とコンプライアンス遵守の徹底」については、改定コーポレートガバナンスコードへの対応や「監査等委員会設置会社への移行」を実施するなど強化を図った
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ売上高が増加したものの、減益となった。
設備工事業の売上高の増加は、好調な受注実績に伴い、仕掛工事量が大きく増加したことが要因である。
一方で、設備工事業の利益率悪化については、売上高の構成の中で、リニューアルや保守メンテナンスを中心とする中小型案件に比べ比較的利益率が低い新規大型案件のウエイトが増加したことが主な要因であると分析している。なお、新規大型案件の受注時点での想定利益率については、当連結会計年度の重点項目である「材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進」により、一定程度の水準を維持している。また、材料費高騰の影響を極小化するため、早期の資材発注を行うなど利益の圧迫抑制に努めている。加えて、新規大型案件の利益率を改善するための対策として大型案件利益向上プロジェクトを立ち上げ、利益率の改善を実現するための施策・対策を実施している。
販売管理費や工事原価に含まれる固定費の増加については、新規連結子会社の増加やDX投資、脱コロナに伴う固定費の増加によるものである。

総売上実績に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上実績及びその割合は、次のとおりである。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 当社グループでは設備工事業以外は受注生産を行っていない。
3 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
〇 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
工事の受注方法は、特命と競争並びに九州電力送配電㈱との委託契約によるものに大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
(注) 1 九州電力グループとは、九州電力㈱、九州電力送配電㈱及び㈱九電送配サービスのことである。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
〇 次期繰越工事高(2023年3月31日現在)
次期繰越工事のうち請負金額 10億円以上の主なものは、次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローについて
当連結会計年度における営業キャッシュ・フローは、17,386百万円となり、前連結会計年度に比べ、12,134百万円の収入額の増加となった。事業規模の拡大及び施工案件の大型化に伴い、運転資本は増加する傾向にあるが、日頃よりこまめな出来高請求を行うことに加え、毎月末に長期未収金の確認を行うなど貸倒れリスクの低減に努めている。また、全社で集金に取り組む集金強調期間を年2回設けるなど、キャッシュ・フロー経営の浸透を図っている。
投資活動によるキャッシュ・フローについて
当社グループは、中期経営計画の経営指標としてROICを採用し、加重平均資本コストを意識した投資を行っている。当連結会計年度における設備投資等の概要については「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に、設備の新設、除却等の計画については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載している。なお、設備工事業に係る通常の維持更新投資については、年間50億円程度を想定している。
また、再生可能エネルギー発電事業を行うSPCへの出資を行っている。
財務活動によるキャッシュ・フローについて
設備工事業に関する運転資金は、300億円程度を想定していたが、仕掛工事量の増加に伴い、増加傾向にある。一方で、ウクライナ情勢など不確実性の増大に備えるため、手元流動性の確保に努めている。
当連結会計年度において、借入金の満期返済及び仕掛工事量の増加に伴う運転資金の増加に対応するため、金融機関より資金調達を行っている。
加えて、再生可能エネルギーや脱炭素などESGへの取り組みをはじめとした投融資を主な使途とした社債発行登録を行っている。今後も、調達コストを勘案しながら、機動的に資金使途に応じた資金調達を遂行していく。
業容拡大やリスク対応に伴う棚卸資産や運転資金の回転率の低下に対しては、営業債権の回収率改善や事業外資産の見直しを行うことで対処し、営業活動及び投資活動のキャッシュ・フローを通じたROICの改善を図っていく。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されている。この連結財務諸表作成に際し、当社グループ経営陣は、決算日における資産・負債の数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、継続して可能な限り正確な見積りと適正な評価を行っている。
なお、見積り、判断及び評価は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っているが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる可能性がある。
当社グループの会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載している。個別の取引や経済事象に会計方針を適用するに当たり、現在及び将来の財政状態及び経営成績に大きな影響を与えると想定される事項は以下のとおりである。
宇久島メガソーラーについては、顧客と工事請負契約を締結しているが、当社グループは、当該契約を、財又はサービスの支配を一定期間にわたって顧客に移転するものと判断し、当連結会計年度末における見積総原価(工事原価総額)に対する発生原価の割合を、履行義務の充足に係る進捗度とし、その収益を認識している。ただし、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができなくなった場合において、発生する費用を回収することが見込まれるとき、あるいは、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、コストの上昇や予期しない工事進捗の遅れにより工事原価総額が増加した場合において、不可抗力条項や保険の付保にもかかわらずその影響を工事請負契約に十分に反映できないときは、採算性が低下するリスクがある。
該当事項なし。
(設備工事業)
当社グループにおける研究開発活動は、主に「技術開発部」を拠点とし、先進的な技術や業務ツール等を全社に先駆けて検証・導入していく役割と、現場での技術的問題を解決し社内に展開する役割を担っている。
また、持続可能な社会への貢献と目標達成に向けた未来社会におけるイノベーション創出、企業価値向上、業務効率化のため、産学共同による技術創出を目指している。
なお、当連結会計年度における研究開発費は
配電技術分野では、九州電力送配電㈱の配電線設備における建設・保守作業を、より「安全」、「高品質」かつ「効率的」に行うための車両・機械・工具の開発、改良及び様々な工法の開発、改善を行っている。
なお、配電技術分野における研究開発費は25百万円である。
電気技術分野では、デジタル技術(クラウドモバイルカメラ・レーザ墨出器・3Dレーザスキャナ等)を導入し、工事や現場調査業務の大幅な効率化・省力化を進めている。
また、多様化・複雑化する社会課題の解決に向けたイノベーションの創出を目的とし、2021年12月に九州大学と締結した『組織対応型連携』の取り組みとして、「スワームロボット(小型群ロボット)システムを用いた室内照度測定器」をシステム情報科学研究院の倉爪教授と共同開発しており、2022年12月21日にプロトタイプ完成の成果発表を実施した。このロボットの計測作業代替により作業員の業務軽減が期待でき、今後は現場での実用化に向けた開発を進めている。
なお、電気技術分野における研究開発費は155百万円である。
空調管技術分野では、気流・温度シミュレーションを用いた最適設備の検討や、配管・設備用鉄骨架台向けの構造解析シミュレーション、3D-CAD、BIMを用いた円滑な工事進捗と施工品質の向上を図っている。また、2022年1月にZEBプランナーに登録されている。
また、脱炭素化社会の実現やDXの活用・推進に向けて、大規模施設・ビル向けのAIを用いた空調熱源制御最適化システムを開発し、2022年度は3施設での実証試験より、年間の削減効果(CO2排出量:最大16.3%、エネルギーコスト:最大15%)を確認した。さらに、当社グループが運営する木質バイオマス発電所から排出される燃焼灰の有効活用や、燃料源の木材『日本早生桐』の育成に関して、大学等(広島大学・宮崎大学・鹿児島工業高等専門学校)とも連携している。
なお、空調管技術分野における研究開発費は109百万円である。
子会社における研究開発活動は特段行われていない。
(その他)
研究開発活動は特段行われていない。