当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献します。より良い地球環境の実現に努め、倫理的・社会的責任を果たすとともに、顧客・株主・従業員をはじめ全ての人々を大切に、企業価値の最大化を目指して、誠心誠意をもって「考働(※)」します。」を経営理念に掲げ、「モノづくりからコトづくり」「製造業から創造業への変革」の実践と、「品質、コスト、納期、サービス、技術」などあらゆる面で最上級を目指すトップノッチ経営を打ち出し、積極的な成長戦略を展開し、企業価値の向上を図ります。
これらを踏まえ、当社グループは中期成長目標「Vision 2025」に基づき、売上高と営業利益率の持続的な成長を経営指標として事業運営を行っています。
※考働:考えて働くという当社の造語
(2)中期的な成長戦略、経営環境と対処すべき課題
当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池等の電子デバイスを主体としたコンデンサ事業と、家庭用/公共・産業用蓄電システム、EV・PHV用急速充電器、V2Hシステムの環境関連製品、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品としたNECST事業を展開し、「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発により社会課題の解決に貢献し、既存事業の拡大と新規事業の創出に努めています。
①低炭素社会の実現とキーテクノロジーの進展に向けた事業機会の獲得
コンデンサ事業では、アルミ電解コンデンサの幅広い製品群と国内外の生産・販売体制を強みとし、モビリティ、通信、環境関連の成長市場にフォーカスし、品質、コスト、納期、サービスに渡る事業基盤を強化、拡充します。また、金属蒸着フィルムから独自開発、生産するxEV用フィルムコンデンサでは、需要の拡大を成長機会と捉え、販売拡大とグローバル生産体制の強化に向け、積極的に経営リソースを投下します。コンデンサ事業で創業以来培った強みを今後も継続的に進化させていくため、技術面ではニーズ開発から商品開発、産学連携によるシーズ開発を、生産面では継続的な品質向上等の推進に加えて、共通指標をベースとしたKPI目標管理を導入し、プロセス強化に取り組んでいきます。
NECST事業では、脱炭素化のメガトレンドを受けて、エネルギー・環境関連の幅広い製品群とスイッチング電源から応用機器までをカバーする電源技術を生かし、価値提供のさらなる充実を図ります。とりわけ、環境関連製品では、世界的な脱炭素化の高まりやエネルギー価格の高騰による再エネ、蓄電市場拡大への対応と、蓄電、電力制御技術を活かしたトータルシステム展開を強化します。また、ガソリン車規制により急速に拡大するEVシフトへの対応として、急速充電器、外部給電器「パワー・ムーバー®」、V2Hシステムで社会充電インフラを拡充していきます。回路製品では、スイッチング電源においては、ユーザー対応力でトップシェアを堅持する強みを生かし、特に空調機器、ロボット、5G通信などの成長市場へ拡大を目指します。応用機器では、大型特殊電源、医療用/学術用加速器電源でグローバル展開を図り、社会インフラシステムへ貢献します。加えて、小形リチウムイオン二次電池、家庭用蓄電システム、V2Hシステムに代表されるナンバーワン、オンリーワンの革新的な製品・技術開発体制を強化し、社会課題の解決に貢献する製品開発をさらに加速していきます。
②外部環境に左右されない強い経営体質への変革
SDGsやカーボンニュートラル等により、循環経済やシェアリングエコノミーといった新しい価値観が世界規模で広がりを見せています。これらは産業構造や社会経済に変革をもたらし、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の進展と相まって、大きなビジネスチャンスを生み出す可能性が高まっています。今後、クルマの電動化とEVへのシフトが飛躍的に進み、人びとの生活では5G、AI、IoT等デジタルテクノロジーの革新的進歩が見られ、自動化や省電力化の需要が先進国だけでなく新興国にも拡大し、これを支えるための発電コストの低減による再生エネルギーの主力電源化が進展していくことが予想されます。
パラダイムシフトと不確実性がより一層増すなか、当社グループでは、中長期視点での成長を成し遂げていくにあたり、「G:グリーン(環境)」と「D:デジタル(DX)」が重要なポイントになると考えています。
G(環境)については、気候変動問題が世界的な課題になるなか、関連マーケットもさらに巨大化し、環境配慮型の当社の製品・ビジネスのチャンスもさらに大きくなると予想されます。再生可能エネルギーの活用を拡大する蓄電システムをはじめ、気候変動ニーズに対応したコンデンサ事業、NECST事業の各製品をさらにレベルアップしていくことで競争優位性をさらに高めていきます。
また、D(デジタル)については、企業競争力の強化という面でDXの推進がより不可欠になっています。事業成長では単に良い製品・技術を生み出すだけでなく、DXを駆使してお客さまへのサービス向上や生産性の向上、投資効率の向上によって収益体質を高めることに注力しています。この様にして「稼ぐ力」に磨きをかけることで、次なる成長のための設備投資や研究開発投資、優秀な人材の確保といった好循環を生み出していきます。サステナブルな社会に貢献していくには、まず当社グループ自身が収益を上げ持続可能であることを念頭に、DXを成長ドライバーとして各部門の業務を合理化・効率化し、ビジネスの創出と利益体質の構築に取り組んでいきます。
③ESG経営の構築と推進
当社グループではESGで評価される企業を目指して「サステナビリティ方針」を定め、持続的な成長と企業価値の増大に向けて、当社製品による地球環境への貢献と自社での対応取り組み、多様な働き方など人材面の基盤強化、コーポレートガバナンスやコンプライアンス体制の強化に努めていきます。
環境課題については、自社拠点において太陽光で発電した電力を蓄電し、これをEVへの充電や生産設備への給電を無駄なく効率的に行う複合システムを設置し、生産工場などの大規模施設における再生可能エネルギーの新たな活用方法によるCO2削減に取り組んでいます。さらに気候変動が事業に与えるリスク・機会について分析を進め、中長期的な事業展開やCO2削減活動に生かすとともに、ガバナンス・戦略などの関連する情報開示にも取り組んでいきます。
また、当社グループでは「人こそニチコンのエネルギー」を人事理念とし、「人」が最大の経営資源であるとの観点に立ち、従業員一人ひとりが社会や時代のニーズを敏感に察知し、コンプライアンスへの意識を高く持ちながら考働していくこと、やりがいや成長を実感でき、能力を発揮できるよう人事制度や社内環境の整備に努めています。社会との接点においては、産学連携にも注力しており、エネルギーの地産地消とスマート社会の創造に寄与することを目的にスタートした東京大学生産技術研究所との包括的な産学連携研究協力協定など、大学機関との研究開発活動も積極的に推進していきます。
コーポレートガバナンスについては、取締役会の経営の監督と執行の役割の一層の明確化を図るため、社外取締役比率を3分の1以上としており、さらに、取締役会の諮問機関として過半数を社外役員で構成する指名・報酬委員会を設置し、取締役の指名および報酬等に関する手続きの公正性、透明性、客観性を確保しています。コンプライアンス体制の強化では、業務の適正を確保するための体制ならびに財務報告の信頼性を確保するための体制を充実させ、一層の内部統制の整備・運用を推進していきます。
これらに加え、政策保有株式は、中長期的な視点に基づいた保有先企業との取引状況や関係性、ならびに保有先企業の財政状態および株価、配当等の状況など、継続保有の合理性について取締役会にて定期的に検証を行っています。保有意義の薄れてきた銘柄については、取引先等との対話・交渉を実施しながら、縮減を進めています。
政策保有株式の連結貸借対照表上の合計額(2023年3月31日現在)
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区分 |
第86期 (2021年3月期) |
第87期 (2022年3月期) |
第88期 (2023年3月期) |
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銘柄数 |
48 |
47 |
42 |
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連結貸借対照表計上額の 合計額(百万円) |
34,462 |
27,100 |
23,581 |
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連結純資産比率(%) |
38.6 |
28.6 |
23.3 |
(注)みなし保有株式に該当する株式を保有していません。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(サステナビリティ方針)
私たちは、ニチコングループ経営理念に基づき、価値ある製品の創造を通じて明るい未来社会づくりに貢献するとともに、より良い地球環境の実現に努めます。
また、全てのステークホルダーに対し誠心誠意をもって対応し、企業の社会的・倫理的責任を果たすことで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指します。
1.素材開発からシステム設計まで幅広い技術を融合し、デジタルトランスフォーメーションとオープンイノベーションの推進により気候変動など社会の課題を解決し、明るい未来社会づくりに貢献します。
2.全てのステークホルダーとの対話と連携を大切にし、共有価値の創造と公正かつ透明性の高い経営を実現します。
3.人権の尊重と多様性の確保、人材の育成、トップノッチ経営(※)によりお客様価値を高め、企業の発展と全従業員の幸福を目指します。
※品質、コスト、納期、サービス、技術などあらゆる面において最上級を目指すこと。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス、リスク管理および人的資本・多様性に関する戦略、指標と目標
①ガバナンス
(サステナビリティ推進体制)
ニチコングループは2021年11月30日に、中期成長目標「Vision 2025」と同時に、目標の達成を通して持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指す「サステナビリティ方針」を定めました。この方針に基づく経営を実践していくため、2022年2月1日にサステナビリティ推進室を新設し、4月1日に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を発足させました。
サステナビリティ推進委員会は、これまでの「CSR推進委員会」(2003年6月発足)の機能を強化・発展させたもので、全社的な取り組みの方針検討や決定に加え、進捗管理や改善指示などの機能を担います。そのため、本推進委員会に紐づく委員会もESGに対応させた「環境・エネルギー」(E)、「ダイバーシティ」(S)、「コンプライアンス・リスク管理」(G)としました。サステナビリティ推進委員会は月1回開催し、3つの委員会で議論し
たサステナビリティ課題への検討結果を議論します。
≪サステナビリティ推進体制図≫
②リスク管理
サステナビリティ推進委員会は、社長・取締役・執行役員のほか各部門の部長・課長クラスの幹部・中堅社員も参加し、現場の実態を踏まえた意見やアイデアを出すことにより議論の活性化を図っています。各委員会での検討を踏まえた問題提起や具体的な提案を検討する場として、会議体としての実効性をより高めています。
ダイバーシティ推進やCO2排出削減など、各活動に関するKPIの選定および目標を設定し、目標達成のための課題などについて議論を重ねるとともに、関連情報の収集・アップデートやベンチマーク設定を進めています。
サステナビリティ推進委員会の活動は「サステナビリティ方針」や中期成長目標「Vision 2025」に基づいたもので、根底には当社の経営理念が礎となっています。そのことを常に念頭に置きつつ、総務・人事をはじめ社内の各部門や他の会議体とも連携を図りながら、スピーディ、かつダイナミックな活動を進めています。
サステナビリティ全般に係るリスク管理は、サステナビリティ推進委員会内にコンプライアンス・リスク管理委員会を設け、関連部門の責任者がメンバーとなり、コンプライアンス全般、環境安全衛生、情報セキュリティをはじめ、あらゆるリスクに対して横断的に対処できる体制としています。
≪サステナビリティ経営の概念≫
③戦略
人材の多様性の確保を含む人材の育成
(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針)
当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針は以下のとおりです。
中期成長目標「Vision 2025」や経営戦略、事業戦略を達成するためには、人材戦略が重要な基盤となります。経営理念に基づいて人事理念を定め、求める人材像と人事ポリシーを明確化した新しい人事制度を2023年4月から導入し、私たち一人ひとりが「個」の力を高めるとともに、チーム力を発揮し、みなが相互理解のうえで経営理念の実現を目指します。
≪人事理念≫
・人こそニチコンのエネルギー
≪求める人材像≫
・社会の変化を察知し、変化に対応できる人材
・顧客に期待以上の価値を提供できる人材
・できるまでやり抜く力を持った人材
・チームとして成果を出せる人材
≪人事ポリシー≫
・チャレンジ精神あふれる人、ベストを尽くす人に活躍の場を提供し、公正に評価する
・変化に対応し、価値を創造できる人材を育成・支援する
・多様な能力や個性の違いを受け入れ、個人の成長を促す
・全従業員の幸福を目指す
これまで実施していた「階層別研修」「職能別研修」「コンプライアンス研修」「競争法研修」「エチケット・マナー研修」に「女性リーダー研修」を加え、従業員の育成・成長支援への施策(特に女性が活躍できる施策)を加速するとともに、QC検定合格や資格取得奨励のほか多彩な通信教育の受講を推奨し、意欲ある従業員の能力向上の機会を充実させています。
2020年1月のコロナ禍以降、対面での研修を自粛していたものの、若手技術者育成の一環として、産学連携研究協力協定を締結している東京大学生産技術研究所に若手技術者を派遣し、最先端技術の共同研究を通して技術者育成支援を積極的に行うとともに、今後さらに普及が見込まれるNECST商品のデザイン力向上を企図した工業デザイン分野にも新たに派遣をしています。また、事業本部を跨いだ若手中心の新規商品開発会議を新たに実施するなど、さまざまな人材育成の施策を行っています。
(社内環境整備に関する方針)
当社グループにおける社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。
企業の健全な成長のためには従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが重要であり、法定健診はもとより、生活習慣病健診や人間ドックの実施により疾病の早期発見、早期治療のための取り組みを行うとともに、健康障害の予防として、長時間労働の抑制や、一斉有給休暇取得日を設け、休暇取得を促進するなど就業環境の向上に取り組んでいます。また、ストレスチェックを年1回実施し、高ストレスと判断された場合や希望者には産業医による面談を実施するなど、メンタル不調となることを未然に防止する対策を講じています。
「労働災害・通勤途上災害の発生ゼロを目標に安全指導・教育の徹底」を重点テーマとして、2カ月に一度、事業所間で活動状況の取組事例を共有し、優れた点については横展開することで、安全衛生活動のレベルアップを図っています。
当社グループの行動規範では、すべての人の基本的人権・個人の尊厳とプライバシーの尊重を掲げ、国籍・人種・性別等による差別を行わないことに加え、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどの名誉毀損行為による人権侵害を一切行わないことを繰り返し教育しています。
障がい者、高齢者、女性、外国人をはじめ多様な人材を登用し、個人の能力が最大限に発揮できるよう、ダイバーシティへの取り組みを推進しています。
2023年4月の新卒採用実績は107名で、内女性は27名、外国人留学生は5名です。また2022年度の中途採用実績は91名で、スキルのある人材を積極的に採用することで、多様な人材が活躍できる組織体制と組織風土を築いています。
④指標と目標
当社グループでは、上記において記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いており、当該指標に関する目標および実績は次のとおりです。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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管理職に占める女性労働者の割合 (注)1 |
2026年3月:7% |
5.6% |
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度数率 (注)2 |
ゼロ |
ゼロ |
(注)1.提出会社の目標と2023年3月末時点の実績
2.100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数をもって災害発生の頻度を表したもの
提出会社を含む国内連結子会社の目標と2022年度の実績
(2)重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンスおよびリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は、気候変動リスクと捉えて、対応すると同時に新たな機会も見いだし、企業戦略へ活かすことにより持続可能な社会の実現に貢献していきます。
①ガバナンス
当社グループは1997年12月にニチコングループ環境憲章を制定(2015年8月改訂)し、経営理念として、価値ある製品の創造を通じて明るい未来社会づくりに貢献するとともに、より良い地球環境の実現に努めてまいりました。中期成長目標「Vision 2025」では、サステナビリティ方針に基づき気候変動への対応を重要課題のひとつとして設定し、取締役会において低炭素社会の実現に向けた事業機会の獲得やESG経営の構築と推進について対応方針や施策を決定しています。
また、これらの推進体制として、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、同推進委員会内に環境・エネルギー委員会を設け、関連部門の責任者がメンバーとなり、横断的な体制としています。
②戦略
当社グループの主要事業であるコンデンサ事業およびNECST事業について、気候変動がおよぼすリスクと機会について検討を行いました。リスクと機会は、当社事業を取り巻く環境を整理し、ステークホルダーや当社グループにとっての重要性を考慮したうえで、事業活動への影響を「大」「中」「小」の3段階で評価しています。
気候関連リスク/機会と事業活動への影響
③リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ推進委員会内の環境・エネルギー委員会において、全社的な環境保全や気候変動に関する戦略・方針・目標・計画・施策などを審議し設定するとともに、毎月のサステナビリティ推進委員会にて環境・エネルギー委員会による実施状況のレビューを実施しています。また、本社管理本部に環境管理総括責任者、製造事業所にEMS(環境マネジメントシステム)管理責任者、EMS事務局を置き、環境方針・環境保全計画に沿って活動する体制としています。
サステナビリティ推進委員会において、気候関連リスクのほか、同推進委員会内のコンプライアンス・リスク管理委員会を中心にその他の重要リスクの洗い出しと管理を行っています。
事業継続計画(BCP)や事業継続マネジメント(BCM)に基づくリスク発生時の全社連絡体制を整備しており、危機発生時には、規模、レベルに応じた対策本部を設置して対策立案と指揮・命令を実行する仕組みとしています。
④指標および目標
当社グループは、世界的な地球温暖化抑制のための取り組みに貢献するため、自社および協力会社が排出するCO2の削減目標として、2030年に46%削減(2021年度比)、2050年にカーボンニュートラルを目指します。また、環境保全や資源維持に向けた産業廃棄物排出量の管理、再資源化量・再資源化率の向上にも積極的に取り組んでいます。
加えて、当社製品やサービスを活用いただくことによって、お客さまの気候変動対策に関する役立ちをわかりやすくすることにも注力しています。
当社グループは、これらの目標設定を踏まえ、より一層の地球環境の保全に向けた事業活動を推進していくことにより、サステナブルな社会の実現への貢献と企業価値の向上を図ります。
当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経済状況について
当社グループは世界各地で、アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、回路製品などの製品を製造・販売しています。このため、当社グループ製品の需要は、製品を販売している国または地域の経済状況によって事業運営や経営成績および財務状況に直接的な影響を及ぼす可能性があります。
これに対し当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化を毎月開催している経営会議や半期毎に開催しているグローバルの事業計画推進会議などで注意深く見守り、機動的な販売戦略や生産体制を講じるなど、状況に応じた対応が取れるように対策を行っています。
2024年3月期の経済環境の見通しについても、地政学リスクの高まりを背景とする原燃料価格の高騰や部材調達難が継続し、先行きの不透明感と不確実性が高い状況が続いています。引き続き動向には注視するとともに、業績確保に向けた様々な対策、施策を講じていきます。
(2)為替変動によるリスクについて
当社グループの事業、経営成績および財務状況における外貨建ての項目については、連結財務諸表作成のため円換算されています。これらは、為替レートの変動により、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、為替リスクを軽減・ヘッジするために必要に応じて為替予約を締結していますが、当社グループの経営成績および財務状況への影響を完全に排除できる保証はありません。
(3)価格競争リスクについて
当社グループは、アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、回路製品などのコア事業の強化とグローバル体制の構築を目指し、国内外の生産拠点の強化および販売体制の拡充、新製品開発のスピード化を推進しています。このような中で、競合他社との間の価格競争激化の影響を受け、当社グループの製品・サービスが価格競争に直面し、当社グループの事業、経営成績および財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
これに対し当社グループでは、各事業分野において、競争優位性を高める新製品の企画・開発を継続的に行うとともに、コスト力の強化と適切な売価マネジメントに注力し、提案型営業を推進することで顧客満足を獲得していきます。
(4)新製品の開発リスクについて
当社グループでは、将来にわたり、ユーザーニーズを先取りした魅力ある新製品を開発し、提供できると考えていますが、以下のような能力が不足した場合、当社グループの事業、経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 多様化・高度化する顧客の要求に対応する能力
② 新製品を適時かつ適正コストで開発し生産する能力
③ 顧客の新製品に当社グループの製品が使用されるようにする能力
④ 新たな製品・サービスおよび技術を使用し展開する能力
⑤ 既存の製品・サービスおよび技術を向上させる能力
⑥ 業界と市場の変化を十分に予測する能力
あらゆる分野での技術革新がグローバル規模で進む中、お客様や社会が直面する課題をいち早く解決できる技術の重要性がますます高まっています。これらに対応するため、当社グループでは、日本と中国に研究開発拠点を設け、それぞれの製品分野ごとに、材料開発からの一貫した研究開発体制を構築しています。また、研究開発部門と生産部門が密接に連携することで、新技術の早期実用化・製品化を実現しています。さらに、変化の激しい市場環境に対応するために、必要な技術領域において強みのある大学・研究機関・企業と積極的に連携し、研究開発活動を加速させるオープンイノベーションと、東京大学生産技術研究所との包括的な産学連携研究協定を通じて、将来の技術経営を担う人材育成にも注力しています。
(5)海外進出の潜在リスク、法的規制の変更・強化について
当社グループが事業を展開する国または地域において、法令または規制の重要な変更、税制または税率の変更、その他経済的、社会的および政治的変動、為替政策の変更、輸出または輸入に関する法規制などの変更があった場合、それらの事象は当社グループの事業、経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、中国・無錫市および宿遷市にアルミ電解コンデンサなどの製造拠点を設けていますが、現地で政治、法的環境、経済状況などに予期せぬ事象が発生した場合、事業の遂行に問題が生じ、当社グループの事業、経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「(1)経済状況について」において説明のとおり、グローバルでの政治・経済状況の変化を注意深く見守り、状況に応じた対応が取れるように対策を行っています。
(6)原材料などの購入価格の高騰について
国際市況に大きく影響を受ける当社グループの主要製品に使用する原材料の購入価格の高騰は、当社グループの経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、原材料のマーケット変動に柔軟に対応するべく、代替材料の検討や複数購買化を推進するとともに、吸収できない調達コスト上昇に関しては、市場価格も見つつ適切に製品売価に反映するようにしています。
(7)製造物責任について
当社グループは、品質管理を徹底し、世界的な品質管理基準に従い製品を製造していますが、提供する製品・サービスには欠陥が生じる可能性があります。また、製造物賠償責任保険に加入していますが、賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。
欠陥が原因で生じた損失は、多額のコストや当社グループの評価の低下を通じ、当社グループの事業、経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、全製造事業所で「いつ」「どこで」「どの製品が」「どのような状況で」つくられたかを確実にチェックできる生産管理システムを導入しています。これはシステムで品質管理を徹底し、"不良ゼロ"による安定生産を実現するためのものです。このゼロ・ディフェクトに向けた取り組みを毎期、生産事業所ごとに事業計画として策定するとともに、品質保証システムの国際的規格であるISO9001やIATF16949の取得や更新審査を通じて、常に最新の品質管理基準と運用体制の構築につなげています。
(8)環境規制などによる影響について
当社グループの事業は様々な環境法令の適用を受けており、過去、現在および将来の生産活動に関し、環境責任のリスクを抱えています。将来、環境に関する規制が厳しくなり有害物質などを除去する義務が追加された場合、これにかかる費用が当社グループの事業、経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
地球との共存を目指して、当社は全社・全グループの環境保全活動を進めるために、資源の有効活用、環境汚染防止を最優先としたニチコングループ環境憲章を1997年12月に制定(2015年8月改定)し、環境保全に向けた取り組みを推進してきました。現在、国内外の13製造事業所で環境マネジメントシステム規格ISO14001の認証を取得しており、全社・全グループをあげて、環境に配慮した技術と製品の提供に努めています。
(9)災害などによる影響について
当社グループは、すべての生産設備における定期的な災害防止検査・点検を実施していますが、自然災害、事故、情勢変化や事件などによる悪影響を完全に阻止または軽減できる保証はありません。それらは、当社グループの事業、経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、災害等の発生に備え、生命の安全確保・安否確認体制を整備するとともに、重要業務の継続・中断した場合を想定し、早期復旧を目指せる体制、事業継続計画(BCP)および事業継続マネジメント(BCM)の見直しと追加構築に取組んでいます。
(10)その他
上記に掲げたリスク要因は、当社グループの事業展開その他に関するリスクの全てを網羅しているものではありません。その他、知的財産権に係る法的リスク、情報漏洩やハッキングに係る情報セキュリティリスク、顧客の信用リスク、人材育成・確保に係るリスクなども発生する恐れがあり、当社グループの事業、経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
これら様々なリスクに対し、当社グループでは「ニチコングループ行動規範」(2002年10月制定・2013年4月に改訂)を全役職員に徹底し、法令・定款および社内規則はもとより、健全な社会規範、倫理規範に則った職務を遂行し、企業風土の醸成と教育・啓発活動の推進に努めています。また、これらを確保するための体制として、従来の「CSR推進委員会」を機能強化・発展させ、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が徐々に緩和されたことに伴い、経済活動の正常化が進み、景気の持ち直しの動きがみられました。一方で、エネルギー価格や原材料価格の高騰によるインフレ圧力の強まり、急激な為替相場の変動に加えて、ロシア・ウクライナ情勢の長期化など、依然として景気の下押し懸念は強く、先行き不透明な状況が続いています。米国経済は、雇用が伸びるなど景気が持ち直しましたが、インフレ抑制のための相次ぐ金融引き締めが続き、景気後退のリスクが高まりました。欧州経済は、エネルギーの供給懸念による物価上昇を背景に、景気の回復が遅れています。中国経済は、ゼロコロナ政策を解除したものの、不動産市場の低迷や輸出の減少などにより経済成長のペースは鈍化しました。
このような状況において当社は、中期成長目標「Vision 2025」を策定し、目標達成を通して持続可能な成長の実現を目指しています。当期の取り組みについて、コンデンサ事業においては、欧米市場等で自動車の電動化、電装化を背景に車載向けが伸長しました。また、産業機器向けについても省人化、自動化を背景に堅調に推移しており、エアコンを中心とした民生家電市場においても国内やアセアン市場を中心に堅調に推移しました。
また、当社の経営の新たな柱であるNECST事業におきましては、脱炭素化のメガトレンドを受けて、再生可能エネルギーの活用拡大と温室効果ガス排出削減に寄与する環境関連製品においては、太陽光で発電した電気を家庭やEVにも活用できる新型家庭用蓄電システム「トライブリッド蓄電システム®」およびV2Hシステム「EVパワー・ステーション®」が伸長したほか、公共・産業用蓄電システムやEV化に必須の社会インフラである急速充電器等の需要が拡大し、売上が大幅に伸長しました。また、太陽光発電システムの生産事業所への導入や当社NECST製品による電力の家産家消(※)を体験できる「ニチコン 明るい未来館」を開設するなど、事業活動での温室効果ガス排出削減を進めるとともに、事業を通じた環境啓蒙活動も進めており温暖化対策に貢献しています。
※家産家消:電力を家で作って家で使うという意味
これらの結果、当連結会計年度の売上高は184,725百万円と前期比29.9%の増収となり過去最高を更新しました。また、利益につきましては、営業利益は12,676百万円と前期比97.2%の増益、経常利益は為替差益を1,730百万円計上し15,263百万円と前期比77.6%の増益となり過去最高を更新しました。親会社株主に帰属する当期純利益は、米国競争当局による調査に伴い発生した米国の個別訴訟およびカナダのクラスアクションに関する和解金を独占禁止法関連損失として6,395百万円計上したことなどにより7,814百万円と前期比1.1%の減益となりました。
製品区分別売上高につきましては、電子機器用は、車載関連機器向けに加え、産業機器や白物家電などのインバータ関連機器向けなどの売上が増加したことなどにより100,613百万円と前期比22.7%の大幅増収となりました。
電力・機器用及び応用機器は、主としてxEV向け機器用フィルムコンデンサの売上が大幅に増加したことなどにより23,387百万円と前期比20.3%の大幅増収となりました。
回路製品は、家庭用蓄電システムやV2HシステムおよびEV・PHV用急速充電器、スイッチング電源などの売上が伸長したことなどにより60,363百万円と前期比49.4%の大幅増収となり、NECST事業の成長が全体にも大きく寄与しました。
設備投資につきましては、新規事業の成長を見据えた技術・開発投資や当社のコア事業であるアルミ電解コンデンサの生産能力増強、xEV向けフィルムコンデンサの増強を中心に11,200百万円の設備投資を実施しました。
所在地別の経営成績は、次のとおりです。
a.日 本
国内においては、アルミ電解コンデンサの車載関連機器向けやインバータ関連機器向けの売上が増加したことに加え、家庭用蓄電システムやV2HシステムおよびEV・PHV用急速充電器、スイッチング電源などの売上が増加したことなどにより、売上高は80,886百万円と前期比27.4%の増収となりました。営業利益は、売上高の増収や円安の影響などにより7,000百万円と前期に比べ2.8倍となり、大幅増益となりました。
b.米 国
米国地域においては、主に電気自動車向け需要が大幅に増加したことなどにより、売上高は17,583百万円と前期比46.3%の大幅増収となりました。営業利益は、販売コストの削減や売上高の増収などにより1,059百万円と前期比85.1%の大幅増益となりました。
c.アジア
アジア地域においては、車載関連機器向けやインバータ関連機器向けアルミ電解コンデンサの売上が増加したことなどにより、売上高は74,317百万円と前期比28.0%の増収となりました。営業利益は、製造コストの削減や売上高の増収による稼働益などにより3,784百万円と前期比23.0%の増益となりました。
d.欧州他
欧州その他の地域においては、車載関連機器向けおよび産業機器向けのアルミ電解コンデンサの需要が増加したことなどにより、売上高は11,938百万円と前期比38.4%の大幅増収となりました。営業利益は、売上高の増収などにより667百万円と前期比61.5%の大幅増益となりました。
・所在地別の経営成績
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
|
|
日本 (百万円) |
米国 (百万円) |
アジア (百万円) |
欧州他 (百万円) |
計 (百万円) |
消去又は 全社 (百万円) |
連結 (百万円) |
|
売上高 |
|
|
|
|
|
|
|
|
(1)外部顧客に対する売上高 |
63,474 |
12,017 |
58,079 |
8,627 |
142,198 |
- |
142,198 |
|
(2)所在地間の内部売上高又は振替高 |
47,207 |
0 |
14,844 |
- |
62,051 |
△62,051 |
- |
|
計 |
110,681 |
12,017 |
72,923 |
8,627 |
204,250 |
△62,051 |
142,198 |
|
営業利益 |
2,528 |
572 |
3,077 |
413 |
6,592 |
△165 |
6,427 |
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
|
|
日本 (百万円) |
米国 (百万円) |
アジア (百万円) |
欧州他 (百万円) |
計 (百万円) |
消去又は 全社 (百万円) |
連結 (百万円) |
|
売上高 |
|
|
|
|
|
|
|
|
(1)外部顧客に対する売上高 |
80,886 |
17,583 |
74,317 |
11,938 |
184,725 |
- |
184,725 |
|
(2)所在地間の内部売上高又は振替高 |
58,294 |
1 |
18,006 |
- |
76,302 |
△76,302 |
- |
|
計 |
139,181 |
17,585 |
92,323 |
11,938 |
261,028 |
△76,302 |
184,725 |
|
営業利益 |
7,000 |
1,059 |
3,784 |
667 |
12,512 |
164 |
12,676 |
・海外売上高
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
|
|
米州 |
アジア |
欧州他 |
計 |
|
Ⅰ 海外売上高(百万円) |
12,023 |
59,074 |
8,637 |
79,735 |
|
Ⅱ 連結売上高(百万円) |
|
|
|
142,198 |
|
Ⅲ 連結売上高に占める海外売上高の割合(%) |
8.5 |
41.5 |
6.1 |
56.1 |
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
|
|
米州 |
アジア |
欧州他 |
計 |
|
Ⅰ 海外売上高(百万円) |
17,592 |
75,456 |
11,941 |
104,991 |
|
Ⅱ 連結売上高(百万円) |
|
|
|
184,725 |
|
Ⅲ 連結売上高に占める海外売上高の割合(%) |
9.5 |
40.8 |
6.5 |
56.8 |
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ7,269百万円増加し25,068百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ3,922百万円収入が増加し9,186百万円の収入となりました。これは主に、棚卸資産の増加額が5,069百万円、売掛債権の増加額が4,891百万円および和解金の支払額が3,487百万円発生しましたが、税金等調整前当期純利益9,970百万円、減価償却費7,543百万円を計上したことに加え、仕入債務の増加額が1,289百万円となったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べ2,146百万円支出が増加し8,121百万円の支出となりました。これは主に、有価証券・投資有価証券の売却及び償還による収入が2,167百万円となりましたが、有形固定資産の取得による支出が9,350百万円、有価証券・投資有価証券の取得による支出が607百万円となったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,435百万円の収入(前期は2,303百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額が1,915百万円、長期借入金の返済による支出が1,152百万円、短期借入金の純減少額1,000百万円となった一方で、長期借入れによる収入が10,000百万円となったことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)における製品区分の生産実績は、次のとおりです。
|
製品区分 |
当連結会計年度(百万円) |
前期比(%) |
|
電子機器用 |
102,816 |
118.4 |
|
電力・機器用及び応用機器 |
23,238 |
114.4 |
|
回路製品 |
60,908 |
150.7 |
|
その他 |
361 |
95.1 |
|
合計 |
187,324 |
126.6 |
(注)金額は、販売価格によります。
b.受注実績
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)における製品区分の受注実績は、次のとおりです。
|
製品区分 |
受注高(百万円) |
前期比(%) |
受注残高(百万円) |
前期末比(%) |
|
電子機器用 |
101,191 |
91.3 |
57,402 |
101.0 |
|
電力・機器用及び応用機器 |
25,817 |
115.4 |
9,614 |
133.8 |
|
回路製品 |
66,129 |
147.0 |
14,675 |
164.7 |
|
その他 |
116 |
14.5 |
521 |
68.1 |
|
合計 |
193,255 |
108.0 |
82,214 |
111.6 |
c.販売実績
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)における製品区分の販売実績は、次のとおりです。
|
製品区分 |
当連結会計年度(百万円) |
前期比(%) |
|
電子機器用 |
100,613 |
122.7 |
|
電力・機器用及び応用機器 |
23,387 |
120.3 |
|
回路製品 |
60,363 |
149.4 |
|
その他 |
361 |
95.1 |
|
合計 |
184,725 |
129.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針および見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたって、財政状態および経営成績に影響を与える項目は下記のとおりです。なお、当社グループの重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4.会計方針に関する事項」に記載しています。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
a.固定資産の減損
当社グループは、事業用の様々な有形固定資産および無形資産を所有しています。毎期、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)があるかどうかを判定し、減損の兆候がある資産または資産グループについて、帳簿価額がこれらの資産の継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる割引前の将来キャッシュ・フローの総額を超える場合に、減損損失を認識することとしています。また、資産または資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの割引現在価値と、正味売却価額のいずれか高い方の金額を資産の回収可能価額とし、帳簿価額が回収可能価額を上回る額を減損損失として測定しています。今後の事業計画との乖離や市況・需要の変化等によって、期待される収益やキャッシュ・フローが生み出せない可能性を示す事象(減損の兆候)が見られる場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
b.貸倒引当金
当社グループは、売掛債権、貸付金等による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権および破産更生債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しています。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合は追加引当が必要となる可能性があります。
c.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客等および金融機関の株式を所有しています。これらの株式には価格変動性が高い上場会社の株式と、株価の決定が困難である非上場会社の株式が含まれています。当社グループは連結会計年度末において、上場会社では株価が取得価額を50%以上下落した場合、非上場会社では会社の純資産額が欠損により50%以上下落した場合に減損損失を計上しています。また、株価が取得価額の30~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損損失を計上しています。将来の市況悪化または投資先の経営成績不振により、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
d.繰延税金資産の回収可能性
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り) 2.繰延税金資産の回収可能性」に記載のとおりです。
e.退職給付に係る負債および年金制度
当社の退職金規程では、勤続年数3年以上の従業員については、原則として退職時に退職一時金の受給資格を有することになります。この退職給付金は、通常、勤務年数、退職の事由、退職時の算定基礎額により算出されています。
当社および一部の国内連結子会社は、従業員の退職給付に関し、確定給付型年金制度および退職一時金制度を採用しており、当社および在外連結子会社の一部につきましては、確定拠出型年金制度を採用しています。退職給付に係る負債および退職給付費用の計算は、数理計算上で設定された前提条件に基づいて算出されており、これらの前提条件には割引率、年金資産の長期期待運用収益率、将来の昇給率、退職率、死亡率などが含まれます。当社グループが使用した前提条件は妥当なものと考えていますが、実際の結果が異なる場合、または前提条件が変更された場合は、退職給付に係る負債および退職給付費用に影響を与える可能性があります。
f.製品保証引当金
当社は、製品の販売に係る一定期間内の無償サービスの費用に備えるため、当該費用の発生割合および支出実績を勘案した見積額を計上していますが、実際の製品不良率や保証費用が見積りと異なる場合には、追加の引当が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
イ.財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べて22,227百万円増加し192,339百万円(前期末比13.1%増)となりました。
流動資産は、前期末に比べて20,832百万円増加して115,830百万円(前期末比21.9%増)となりました。これは主に、現金及び預金が前期末に比べて7,269百万円増加し25,068百万円、棚卸資産が前期末に比べ6,060百万円増加し37,203百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が前期末に比べ5,314百万円増加し42,413百万円となったことなどによるものです。
有形固定資産は、前期末に比べて4,757百万円増加して44,314百万円(前期末比12.0%増)となりました。これは主に、当連結会計年度における設備投資実施額が11,200百万円となり、減価償却費7,543百万円を上回ったことなどによるものです。
投資その他の資産は、前期末に比べて3,351百万円減少して30,884百万円(前期末比9.8%減)となりました。これは主に、投資有価証券が前期末に比べて3,430百万円減少して27,862百万円となったことなどによるものです。
流動負債は、前期末に比べて7,420百万円増加して60,530百万円(前期末比14.0%増)となりました。これは主に、短期借入金が前期末に比べ1,000百万円減少し10,600百万円となった一方で、未払金が前期末に比べ3,764百万円増加し5,674百万円、契約負債が前期末に比べ2,923百万円増加し3,251百万円、電子記録債務が前期末に比べ1,582百万円増加し13,138百万円、支払手形及び買掛金が前期末に比べ1,057百万円増加し17,755百万円となったことなどによります。
固定負債は、前期末に比べて8,104百万円増加して30,453百万円(前期末比36.3%増)となりました。これは主に、繰延税金負債が前期末に比べて1,149百万円減少して4,605百万円となった一方で、長期借入金が前期末に比べ8,750百万円増加したことなどによるものです。
利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益を7,814百万円計上、配当金の支払いを1,915百万円行ったことで、前期末に比べて5,898百万円増加して60,938百万円となりました。その他有価証券評価差額金は、前期末に比べて2,226百万円減少して11,724百万円となりました。また、為替換算調整勘定は、前期末に比べて2,747百万円増加して6,656百万円となりました。
自己株式の期末残高は、前期末に比べて1百万円増加して11,627百万円となりました。
以上の結果、純資産は前期末に比べて6,701百万円増加し101,354百万円(前期末比7.1%増)となりました。
直近3事業年度の自己資本比率および時価ベースの自己資本比率は次のとおりです。
|
|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
55.9 |
54.3 |
51.4 |
|
時価ベースの 自己資本比率(%) |
49.2 |
47.3 |
49.1 |
(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
ロ.経営成績の分析
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、前期に比べ42,526百万円増加し、184,725百万円(前期比29.9%増)となり過去最高を更新しました。
国内売上は、アルミ電解コンデンサの車載関連機器向けやインバータ関連機器向けの売上が増加したことに加え、家庭用蓄電システムやV2HシステムおよびEV・PHV用急速充電器、スイッチング電源などの売上が増加したことなどにより、売上高は79,734百万円と前期比27.6%の増収となりました。海外売上高については、アジア市場において車載関連機器向けやインバータ関連機器向けアルミ電解コンデンサの売上が増加したことなどにより、売上高は75,456百万円と前期比27.7%の増収となりました。米州については主に電気自動車向け需要が大幅に増加したことなどにより、売上高は17,592百万円と前期比46.3%の大幅増収となりました。また、欧州他は車載関連機器向けおよび産業機器向けのアルミ電解コンデンサの需要が増加したことなどにより、売上高は11,941百万円と前期比38.3%の大幅増収となり、海外市場全体では104,991百万円となり前期比31.7%の増収となりました。これらの結果、連結売上高に占める海外売上高の割合は、前期比0.7ポイント上昇し56.8%となりました。
b.売上原価・販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、電力料をはじめとする燃料費や部材調達コストの高騰などの影響を受けましたが、生産性向上や品質改善による仕損じの削減を図った結果、前期に比べ33,183百万円増加し150,977百万円(前期比28.2%増)となり、売上原価率は前期比1.1ポイント改善し81.7%となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費や運送コストの高騰などにより前期に比べ3,093百万円増加し21,071百万円(前期比17.2%増)となりました。売上高販管費比率は前期比1.2ポイント下降して11.4%となりました。
c.営業利益と親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の営業利益は、上記a.およびb.の結果、前期に比べ6,249百万円増加し12,676百万円(前期比97.2%増)となりました。また、営業利益率は前期比2.4ポイント良化し6.9%となりました。
営業外損益項目では、為替差益を1,730百万円(前期は1,332百万円)計上したことなどにより、経常利益は前期に比べ6,668百万円増加し15,263百万円(前期比77.6%増)となり過去最高を更新しました。
特別損益項目では、特別利益として投資有価証券売却益を1,123百万円(前期は1,088百万円)計上し、特別損失には独占禁止法関連損失6,395百万円(前期はなし)を計上しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ87百万円減少し7,814百万円(前期比1.1%減)となりました。
ハ.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ7,269百万円増加し25,068百万円となりました。
変動要因は「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、1,065百万円のプラスとなりました。資金調達の方法および状況ならびに資金需要の動向については次項「ニ.資本の財源及び資金の流動性」に記載のとおりです。
ニ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、設備投資、改修等に係る投資資金や、当社製品製造のための人件費や経費、材料および部品などの製造費用、研究開発費を含む販売費及び一般管理費等の運転資金です。
これらに必要な資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入による資金調達および社債の発行により対応します。当連結会計年度においては、コンデンサ事業およびNECST事業の地球環境の解決に貢献する製品・サービスに要する設備投資資金として、総額100億円のグリーンファイナンスによる資金調達を実施しました。
当社グループは、手許資金ならびに直接・間接金融による資金調達を実施し、事業の拡大に必要な資金の流動性を確保できるものと考えています。
ホ.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
翌期(2024年3月期)の経済環境の見通しは、地政学リスクの高まりを背景とする原燃料価格の高騰や部材調達難が継続し、先行きの不透明感と不確実性が高い状況が続いています。
重点4市場と位置付ける「エネルギー・環境・医療機器」「自動車・車両関連機器」「白物家電・産業用インバータ機器」「情報通信機器」の各市場ともに、半導体をはじめとする部材不足や素材価格の上昇圧力があるものの、カーボンニュートラルの動きの加速により環境関連需要は拡大する見通しです。
当連結会計年度の期初計画の達成状況は以下のとおりです。
|
指標 |
当連結会計年度 (計画) |
当連結会計年度 (実績) |
当連結会計年度 (計画比) |
|
売上高(百万円) |
153,000 |
184,725 |
31,725( 20.7%) |
|
営業利益(百万円) |
7,800 |
12,676 |
4,876( 62.5%) |
|
営業利益率(%) |
5.1 |
6.9 |
1.8ポイント |
|
経常利益(百万円) |
8,600 |
15,263 |
6,663( 77.5%) |
|
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
7,400 |
7,814 |
414( 5.6%) |
当社グループは、2021年11月、2026年3月期を最終年度とする中期成長目標「Vision 2025」を公表しています。2026年3月期において売上高2,000億円、営業利益率10%以上の目標としており、2期目となる当連結会計年度においては売上高、営業利益率ともに年度計画を達成し、2期連続計画を達成しています。
該当事項はありません。
当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池等の電子デバイスを主体としたコンデンサ事業と、家庭用/公共・産業用蓄電システム、EV・PHV用急速充電器、V2Hシステムの環境関連製品、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品としたNECST事業を展開し、「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発に取り組んでいます。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
製品区分毎の研究開発状況は、次のとおりです。
(1)コンデンサ事業
①アルミ電解コンデンサは、電極箔や電解液といった主要部材を自社で研究開発する強みを活かして、重点分野向け製品の研究開発に取り組みました。カーボンニュートラルを目指して急速に電動化が進む「自動車・車両関連機器」、高度化するネットワーク社会を支える5G通信基地局やサーバーといった「情報通信機器」において需要拡大する導電性高分子アルミ固体電解コンデンサおよび導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、各種電源装置やエアコンインバータ等の白物家電・産業用インバータ機器、情報通信機器に加え、EVの世界的な普及に伴いOBC(車載充電器)などの自動車・車両関連機器が伸長するアルミ電解コンデンサにおいて、小形・高容量化、高温度対応、長寿命化といった商品力強化に取り組みました。
これらの研究成果として、導電性高分子固体アルミ電解コンデンサは情報通信機器から車載機器まで需要拡大している組込みCPU/FPGAボードに最適な業界最高レベルの125℃3000時間保証の「RDSシリーズ」を市場投入し、高温度・高信頼ニーズへの対応を図りました。また、MLCC(積層セラミックコンデンサ)が使用されていた大電流用途に対して、業界初となるリプル電流重畳で耐久性を保証する125℃2000時間保証の「PCWシリーズ」を開発しました。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサは、業界トップレベルの高容量化を達成した新シリーズ「GYFシリーズ」を市場投入し、小形・高容量化ニーズへの対応強化を図りました。
②小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」は、異常時にも発煙発火の可能性が極めて低い特長を活かした開発を進めました。エネルギーハーベスティング用PMIC(パワーマネジメントIC)のリーディングカンパニーであるe-peas(ベルギー)と小形チタン酸リチウムイオン(LTO)二次電池のリーディングカンパニーである当社は、高性能PMICとマイクロエネルギー貯蔵デバイスという独自の価値を組み合わせ、バッテリーメンテナンス不要の超小型、軽量、長期間に渡る電源供給ソリューションをセンサー機器開発者に提案開始しました。
③フィルムコンデンサは、xEV(EV、HEV、PHEV、FCEV)に搭載される走行用モータの駆動インバータに不可欠なDC-LINKコンデンサ用途で需要が拡大しています。高い信頼性とコンパクト化を両立させるニーズに対して、当社は基本材料である金属蒸着フィルムを自社開発するとともに、これまでに多くのxEVに採用された実績を活かして、車種ごとに最適な性能をより小形サイズで提案できることを強みとし、国内外メーカーの多くの車種に採用されています。今後の技術トレンドとして、特にEVにおける充電時間短縮を背景とした800V以上の高電圧化ニーズ、SiC(シリコンカーバイド)などパワー半導体の進化に伴い、125℃を超える高温度化ニーズが見込まれることから、当社はフィルム材料の性能向上や蒸着パターン技術の開発、DC-LINKコンデンサ本体と周辺部品も融合させ高度なモジュール化技術を実現するための製法、設備など、生産技術開発にも注力しています。
④電力・機器用コンデンサでは、防災形進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその附属機器をラインアップしています。進相コンデンサは、製品の安全性を重視し、誘電体絶縁破壊時に自己回復する信頼性の高い「金属蒸着電極(SH)コンデンサ」を全機種に採用しています。附属機器は、省エネルギー化を目的としてさらに導入が進むインバータ機器から発生する高調波電流に起因した電力系統の電圧ひずみや、お客さまの配電系統における高調波電流障害から設備や電気機器を保護するための高調波継電器を市場投入しました。この高調波継電器は、一般的な高調波に対する保護モードに加え、コンデンサ回路に特化した保護モードなど、保護対象に応じた保護モードの選定ができるほか、保護方式においても電圧ひずみ率、電流ひずみ率、電流値の3種類の保護方式に対応でき、高調波障害から電気機器を守ります。加えて、電力のバックアップや安定化に寄与する瞬時電圧低下/停電補償装置などの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。
(2)NECST事業
当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献」することを経営理念に掲げ、その具現化を目指して、再生可能エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、EVやPHVなどの次世代自動車とそのインフラの普及を目指した取り組みを進めています。
2020年10月に日本政府が発表した方針において、2050年にカーボンニュートラルを目指すことを掲げ、環境関連政策を重視する姿勢を明確にしました。
そうした中、世界の自動車メーカーがEVの開発を加速させる動きを見せており、ガソリン車からEVに大きくシフトを始めました。日本においてもEVや充電インフラ設備の購入や設置費用に対して政府や地方自治体の補助金が増額され、それに伴って急速充電器の需要が広がりを見せています。これまでは高速道路のサービスエリアや道の駅などが主な設置場所でしたが、課金制度の見直しや通信機能の拡大などにより民間企業の設置が増加してきております。この状況に対応する商品として課金認証を組み込んだ大容量の急速充電器として2台を同時に充電できる100kW出力システムと一口で50kWの2種類の急速充電器の新製品を開発しました。当社は、充電サービスの提供と充電インフラの整備・拡充を行う株式会社e-Mobility Power様と共同で高速道路のサービスエリア向けに複数の充電ポートを持ち、それぞれの充電ポートの充電電力を可変できる新型200kW出力EV・PHV用マルチ急速充電器を開発し、首都高速道路のサービスエリアなど複数個所に納入しました。
2022年4月に東京証券取引所の市場区分の再編に伴い、プライム上場企業に対し環境に関する情報開示を求められるようになりました。その中にはカーボンニュートラルに向けた具体的な取り組みや計画の開示も含まれており、企業の投資行動を後押しする国の支援策も多くなってきました。この社会の動向を先取りする製品として、公共・産業用蓄電システムの大容量化の要請に応えて200kWのパワーコンディショナーと650kWhの蓄電池を備えたシステムを開発し、初号機を納入しました。
医療関係分野では、がん治療として注目されている粒子線(陽子線・重粒子線)治療向けの医療用加速器電源の性能向上や、小型化など次世代の粒子線治療装置に求められる電源の開発に取り組みました。研究用途の加速器電源では、東北地方に新たに建設される日本国内初の高輝度中型3GeV級放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」向けに電源を開発、納入し、現地試験の上、引き渡しが完了しました。
事務機器向けスイッチング電源関連では、新たな分野への展開を目指して技術開発を進めています。
(3)産学連携による研究開発
最近は技術の進歩が早く、社内で研究開発だけでは最新の技術を取り入れた製品の開発が難しくなっています。そうした状況の中、当社は最先端技術を社内の開発に取り入れることや、その過程において当社技術者の成長にもつながることを配慮した産学連携プログラムを実施しています。その中でも2016年9月に締結した東京大学生産技術研究所と包括的な産学連携研究協力協定では、一定額のファンドを拠出し、それを原資として複数の教授陣との共同研究をフレキシブルに実施できる体制を構築しています。当社技術者を派遣し、コンデンサの素材基礎開発からNECSTの次世代ビジネスに関わるシミュレーションまで、多岐にわたる開発テーマを展開しており、当社技術者の育成にも効果を発揮しています。一方、次世代半導体として期待され、一部に実用化が進んでいるSiCのモジュール化の開発においては、大阪大学などと共同開発を継続的に行っており、NECST製品やサービスの要素開発やプラットフォーム構築、および商品開発に寄与しています。こうした産学連携を数年来継続しており、大学の教員と当社社員との交流も深まり、当社技術者に対する教育効果を含めて研究開発力強化が図られつつあります。