文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは以下4項目を経営理念とし、東邦亜鉛グループの経営を行っております。
① “顧客”を満足させる良質の製品・サービスを提供する。
② “株主”の期待に応える業績をあげ、企業価値の増大を図る。
③ “従業員”の生活を向上させ、働き甲斐のある会社にする。
④ “地域”の一員として認められ、地域にとって存在価値のある会社を目指す。
これらの経営理念を土台に、2021年度から「再生から新たな挑戦へ」をスローガンに第12次中期経営計画をスタートさせるにあたり、さらに長期的観点から「金属事業で培った技術・開発力をベースに、ニッチ分野での輝きと拡大に挑戦を続ける会社」を10年後の当社のありたい姿として描きました。このありたい姿の実現に向かって、グループ一丸となって取り組んでまいります。
2022年度における当社グループを取り巻く経営環境は、具体的には「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」の《経営環境》に記載したとおりとなります。ウクライナ情勢の長期化とこれに伴うエネルギー価格の高騰、中国のゼロコロナ政策の継続、世界的な金融引き締め政策などから景気減速感が強まり、金属相場は下落しました。また、原油、LNGや石炭などのエネルギー資源価格上昇に伴う電力料やコークス代の高騰、その他各種資材価格も軒並み上昇し、すべての事業においてコスト上昇圧力となりました。特に電力多消費型産業である亜鉛事業には大変厳しい事業環境となりました。この状況は2023年度も継続するとみられ、その対策が急務となっております。
昨今の当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しており、加えて3月末には東証から「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」がリリースされました。これらを受け、当社は既に10年ビジョンとして掲げた「金属事業で培った技術・開発力をベースに、ニッチ分野での輝きと拡大に挑戦を続ける会社」をテーマとして事業ポートフォリオの再構築に動いており、現状の低PBR脱却に向け市場の評価を得るべく対応中です。
2)経営基盤強化として、人材育成、コーポレートガバナンス、健全な財務基盤の3課題の強化を掲げます。
現12次中計の最終年度であるとともに、次の第13次中計に向けて当社の立ち位置を明確にする重要な年度となります。
2)川下領域については、今後の成長分野と位置付け、リサイクル、電子部材・機能材料事業の拡大、さらに新事業への発展を目指し、タスクチームを立ち上げ検討を進めております。なお、中国拠点を含むグローバル経営にも選択と集中の視点を配します。
3)以上、事業再編と成長シナリオを市場に訴求することで、株価・PBRの改善に向けて取り組んでまいります。
第13次中計につきましては、安定的な企業価値増大を目指して2023年度に社内横断的に事業戦略を検討し、2024年度に詳細をご報告いたします。当社の最重要課題は、マテリアリティ6項目に対応しつつ、短期的課題に挙げた基盤強化策を含む事業ポートフォリオの再構築を進め成長シナリオを着実に実行することにより、収益力強化とキャッシュフローを安定化させることであります。特にキャッシュフローについては、今後も在庫管理を厳格化し運転資金を抑制するとともに、設備投資も採算と成長重視の目線でフリー・キャッシュフローのプラス化を徹底的に意識し、借入金返済も進めてD/Eの改善に取り組みます。結果として、残余現金が株主資本コストに見合う水準で安定し、株主還元の自由度も上がることで、株価・PBRの改善に向けて取り組んでまいります。
最終的に以下の財務目的達成につなげてまいります。
2)事業ポートフォリオ再編により安定したフリー・キャッシュフローを債務返済の原資とし、D/Eの1倍回帰を目指しつつ、資本コストに見合う剰余キャッシュを創出することで株主還元の自由度を確保いたします。
3)以上の施策によって、最終的な株価・PBR(安定的に1以上)の改善に向けて取り組んでまいります。
当社グループでは、経営理念とグループ行動指針の価値観に基づき、2021年5月に公表した「10年ビジョン」の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
東邦亜鉛グループのサステナビリティ基本方針
『10年ビジョン』
「金属事業で培った技術・開発力をベースに、ニッチ分野での輝きと拡大に挑戦を続ける会社」を目指し、
① 地球環境保全に積極的に取り組み、社会・経済活動に貢献する
② 企業価値を高め、全てのステークホルダーに報いる
③ 職場の安全・安心を確保し、社員の生活向上を図れる 会社となる。
当社は、取締役会の監督の下でサステナビリティ経営の推進体制を構築し、2022年4月にサステナビリティ推進本部を設立して、サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理の強化を図っております。サステナビリティ推進会議では、半期に1回、サステナビリティ課題について経営幹部による討議や情報共有を通じた審議を行い、リスク及び機会を識別・評価・管理しております。この結果に基づき代表取締役社長が最高責任者として意思決定を行います。審議結果は、必要に応じて取締役会に報告しております。
[サステナビリティ推進体制]

当社グループは、サステナビリティを巡る課題への適切な対応を経営の重要なテーマと考え、社外取締役及び社外有識者の意見を参考にマテリアリティ(重要課題)を特定し、取締役会にて決議しております。特定したマテリアリティは「気候変動」「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」「人権尊重/地域との関連性」「人材育成」「コーポレートガバナンス」「健全な財務基盤」の6項目であります。これらマテリアリティへの対応をより具体化させるとともに、取締役会において重要度の高いテーマについて議論を行い、当社グループの長期的な企業価値向上に向けて取り組んでいく方針としております。
以降「気候変動」「人権尊重/地域との関連性」「人材育成」の取り組みに関して報告いたします。
なお、残る3つのマテリアリティについては今後KPIを設定するなど、管理手法の高度化を進めてまいります。
当社では脱炭素社会の実現に向けて、自社の事業活動に伴うGHG排出量の削減や将来の気候変動が自社に与えるリスクや機会を把握し適切に対処していくことが企業を存続させ、中長期的な企業価値を高めていくためには不可欠であると認識しております。
気候変動対策の最高責任者は、代表取締役社長です。
気候変動によるリスクや機会が事業に大きな影響を及ぼすと判断された場合は、取締役会へ報告します。
取締役会では報告を受けた場合、審議を通じて対策指示することで東邦亜鉛の気候変動対策が適切に推進されるよう監督します。
また、2022年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、TCFDのフレームワークに沿った情報開示を推進しております。
1.5℃及び4℃シナリオを設定し、シナリオ分析を実施しました。
リスクとして、主にカーボンプライシング、エネルギー価格の変動等を特定し、対策を検討しました。
機会として、主にリサイクル需要の増加、ZEV化の進行、世界的な非鉄金属需要の増加等を特定し、対策を検討しました。今後、各要素の定量的な財務影響評価と事業戦略への取り込みを進めてまいります。
詳細については、Webサイトをご覧下さい。
気候変動対策委員会において半期に一度リスクモニタリング等を行い、重要な気候変動対策に関する報告・提案事項は、サステナビリティ推進会議に付議され経営幹部による討議や情報共有を通じて審議が行われます。
最終的には代表取締役社長が最高責任者として意思決定を行います。
気候変動緩和のための指標として、GHG削減目標を策定しております。
Scope1及びScope2において、2013年度対比でGHG排出量を2030年度までに38%削減、2050年度にカーボンニュートラルを達成することを目標として設定しております。2022年度のGHG排出状況(※)は、453千t-CO2(2013年度対比27.2%削減)となります。
※ 算定対象範囲は国内・海外を含めた連結子会社とし、国内は連結子会社の内、影響度の観点から「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)」の定期報告対象となっている子会社を対象としております。
Scope3については、所属する業界団体のカーボンフットプリント算定方法ガイドラインの作成に関する研究会に参加、取引先との情報共有を進め算定範囲の拡大及び精度向上に向けた検討、を行ってまいります。
社内炭素税については、2022年度より導入しております。2023年3月には世界的な炭素規制強化の動きや対策コストの増加を考慮した再評価を実施し取締役会にて決議を行い、現在は10,000円/t-CO2として運用中です。
当社は、市場の多様なニーズに的確に対応し、新規ビジネスや、付加価値の創造をしながら、企業を存続させその中長期的な企業価値を高めていくためには、「組織の多様性、つまり中核人材の多様性」が不可欠であると考えております。
中核人材の登用においては、個人の能力・適性により評価・判断を行い、その属性に左右されないことを徹底しながら、様々な職歴、属性、価値観を持つ人材を登用してまいります。
中核人材における多様性の確保のための人材育成と社内環境整備に対しては、特に女性の職場での積極的な活躍を後押しすることをはじめとして、様々な属性の人材が働きやすい、そして働きがいのある職場環境を確保できるよう、育児・介護に関連する休暇や在宅勤務等、柔軟な働き方を可能とする社内制度を整備・運用しております。
さらには管理職をはじめとする職制に対し、育児や介護、働き方に関するセミナーを実施するなど、多様性を理解し受け入れるための啓蒙・教育活動を行っております。
女性比率については、社員全体での女性比率(現状13%)も考慮しつつ、この比率に近づけるよう採用・登用を進めており、直近5年間で5名の女性管理職を登用しております。
外国人に関しては、1名を管理職に登用いたしました。今後も、より深く国際的な視野を醸成・体得していると考えられる人材として、外国人に加え海外勤務経験者についても、社内外からの採用・登用を進め、比率増を図ってまいります。
[属性別管理職比率目標]
女性 :現状6% ⇒ 2026年 8%
外国人及び海外勤務経験者 :現状14% ⇒ 2026年 15%
中途採用者 :現状19% ⇒ 2026年 25%
男性労働者の育児休業取得率は、現在29%ですが啓蒙・教育活動を行うとともに、有給の育児休業日も設定し、子育ての後押しをしてまいります。
なお、現在の労働者の男女の賃金差異(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)は、以下のとおりです。
① 全労働者:62%
② 正規雇用労働者:79%
③ パート・有期労働者:50%
賃金差異の主な要因は、高い職位に任用されている女性の比率がまだ低いことが主な要因であります。加えて、男性比率の高い現場作業者に支給される製錬手当等も差異の一因となっております。
女性社員については特に「職務範囲の拡大等により、職務経験の機会を増やす」ことに取り組み、引き続き、女性社員のより一層の活躍を支援してまいります。
パート・有期労働者に関しては、勤務時間の短い社員の女性比率が高いことが差異の要因であります。
当社グループの経営成績、財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
製錬事業の亜鉛及び鉛や銀の原料鉱石価格と製品価格は、LME(ロンドン金属取引所)やその他の国際市場の価格を基準としております。国際市場の価格は、需給バランスや投機筋の思惑、政治や経済の状況などから影響を受けて変動し、価格が予想以上に急激かつ大幅に変動した場合など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
亜鉛及び鉛の製錬事業の主原料である鉱石は、海外から輸入しておりますが、その買鉱条件である製錬費(T/C)は米ドル建てとなっていることと、各製品の国内販売価格は米ドル建て価格を円換算したものを基礎としているため、米ドルに対する円高は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。この関係は豪州で鉱山業を営む連結子会社CBH Resources Ltd.(CBH社)においても同様で、生産物である鉱石価格が米ドル建てであるため、豪ドル安が好影響をもたらします。そのため、為替相場が予想以上に急激かつ大幅に変動した場合など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主要製品である亜鉛の製造には多量の電力消費を伴います。また、亜鉛・鉛の製造にはコークスや重油等を多く使用いたします。電力やコークスの価格は原油、LNGや石炭といったエネルギー資源価格に大きく影響を受けるものであり、同価格が大幅に悪化した場合には、製造原価が大きく悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループは根本的には市況の影響を相対的に受けにくい事業の収益拡大及び安定化を図っていくとともに、市況影響を受けやすい製錬事業・資源事業に多くを依存した当社グループの事業ポートフォリオの見直しが必要であります。また、当座の市況影響に対しては、市況変動のリスクヘッジを目的とした為替予約、商品先渡取引やオプション取引などを用いて対処いたします。エネルギーコスト高に対しては、製法や仕入先の工夫により対処いたします。なお、市況の変動が2023年度業績に与える影響額については、以下の感応度をご参照下さい。
連結営業利益影響額のうち、( )内はCBH社の影響額であり、89.1円/豪ドルにより換算しております。
当社グループの主力事業である製錬事業の主原料である亜鉛及び鉛鉱石の確保は、経営上の重要課題です。亜鉛及び鉛鉱石は、すべてを海外の鉱山から調達しており、世界的な鉱石需給の状況や、鉱山における事故等不測の事態の発生は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。具体的には原料不足による減産による販売機会の喪失や、単位当たり原価の悪化による影響です。これらに対して、当社グループは自社鉱山の開発に努めるとともに、ペルー・豪州等の有力鉱山との間で長期買鉱契約を結ぶ等、安定的な原料確保を図っております。さらに、廃バッテリーの利用増等、鉱石以外の原料の多様化を図ってまいります。
当社グループの主力事業である製錬事業や資源事業は市況の影響を受けやすい業態です。市況のコントロールは難しいことから、計画通りの生産を行うことで販売機会を確保することが当社グループの業績には重要です。自然災害(地震や洪水などに加え新型コロナウイルス感染症の拡大といった病気の蔓延を含む)や操業上の事故・トラブルで操業に支障が生じて計画通りの生産が行えない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。具体的には減産による販売機会の喪失や、単位当たり原価の悪化による影響です。これらについては、長期的な計画に沿った予防的設備保守や、安全操業のための各種施策を確実に行ってまいります。
当社グループは、主に亜鉛・鉛・銀の原料鉱石の安定確保を目指して、豪州において自社開発鉱山を運営しております。しかしながら、鉱山の開発や運営には埋蔵量や操業状況などに関連して、想定外の採算や投資効率の悪化といった不確実性リスクが不可避であり、経営成績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。具体的には採掘コスト増によるコスト高や減損損失の計上による影響です。
これらに対して当社グループは、現地の鉱山開発に精通した人員による慎重な採算性評価に基づく投資を行うとともに、投資後の開発においても不確実性の軽減に努めてまいります。また、鉱山開発には不確実性が伴うという性質を理解し、投資リスクを当社の財政状態の許容範囲内でコントロールしていくといった対応にも努めてまいります。
国内外の事業所においては、環境関連法令に基づき、大気、排水、土壌、地下水等の汚染防止に努め、また、国内の管理鉱山については、鉱山保安法に基づき、坑廃水による水質汚濁の防止や堆積場の安全管理等、鉱害防止に努めておりますが、関連法令の改正等によっては、当社グループに新たな費用が発生する可能性があります。また、気候変動対策に対する社会的要請が急速に高まっており、当社ではTCFDフレームワークによる分析を実施し、リスク及び機会の把握に努めています。カーボンニュートラルの達成は気候変動対策の中核となりますが、脱炭素実現に向けた取り組みにより、原材料の調達や製造工程等において、追加的な義務(コスト)や事業形態の変更などの可能性があり、経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
なお、非鉄スラグの問題(当社が過去に出荷した非鉄スラグの一部における土壌汚染対策法の土壌環境基準超過及び不適切な使用・混入の問題)につきましては、再発防止のため、業務執行部門から独立した専門部署として「品質保証室」、「環境・安全室」を本社に設置しており、品質保証体制を強化するとともに、今一度、環境保全に対する意識を高め、これに取り組んでまいります。
当社グループが事業活動を行う上で保有する情報資産について、万一、従業員等による操作上の錯誤や不正アクセスによる紛失や盗難、サイバー攻撃やコンピュータウイルスの感染等による漏洩や改竄、関連法令への不適合などの事態が発生した場合には、当社グループに対する社会的信用の低下、対策費用の発生、生産プロセスの中断や取引の停止等により、当社グループの経営成績及び財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
これらの情報資産を適切に保護・管理することは経営上の重要課題と位置付けており、情報セキュリティ関連規程を制定し、役職員の情報資産の保護に対する認識を高め管理を強化するとともに、社長の直轄下にサステナビリティ推進本部長を委員長とする「情報セキュリティ管理委員会」を設置し、当該委員会においてPDCAサイクルを回すことにより情報セキュリティ管理における運用体制を定期的に見直しさらなる向上に取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の連結業績は以下のとおり、売上高は増収、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益ともに減益となりました。
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化とこれに伴うエネルギー価格の高騰、中国のゼロコロナ政策の継続、インフレ抑制に向けた世界的な金融引き締め政策などから、景気減速の警戒が続きました。日本経済は、コロナ禍による行動制限も緩和され、経済活動の正常化が進み、景気持ち直しの動きもみられました。一方で、エネルギー価格の高騰や円安進行による物価上昇から、先行きに対する不透明感が高まりました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、金属相場、特に当社の主力製品である亜鉛は、前述の世界経済の状況を反映して景気減速感が強まったことで、期を通じて下落基調となりました。
一方為替相場は、米国の大幅利上げにより、11月半ばまで米ドル高が進行しましたが、年末から年初に掛けて米ドル安となった後は、年度末まではやや落ち着いた動きとなりました。
販売面では、半導体・部品不足による国内自動車産業の減産の影響なども受け、主力製品の亜鉛・鉛は減販となりました。
当社グループにおける当連結会計年度の業績は、主として円安影響により国内販売価格が年間平均で前期と比べ上昇したことなどもあり、売上高は1,457億64百万円と前期比214億84百万円(17%)の増収となりました。
損益面では、製錬事業はエネルギー価格及び諸資材価格の高騰による原価高の影響が大きく36億円の減益、資源事業も高品位鉱体の採掘数量減少による鉱石品位の低下を主因に、コロナ禍でのオペレーター不足による選鉱プラント減速操業などから29億円の減益となりました。その結果、営業利益は40億49百万円と前期比64億60百万円、経常利益は31億37百万円と前期比62億16百万円の減益となりました。また、関係会社出資金評価損の計上もあり親会社株主に帰属する当期純利益は7億94百万円と前期比71億27百万円の減益となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります(以下、各セグメントの売上高には、セグメント間売上高を含みます)。
販売面では自動車減産等の影響を受け前期比減販となりましたが、円安による国内販売価格高もあり、売上高は前期比12%の増収となりました。
鉛も販売面では前期比減販となりましたが、亜鉛同様円安による国内販売価格高により売上高は前期比4%の増収となりました。
銀は増産・増販となったことに加え、円安による国内販売価格高もあり売上高は前期比18%の増収となりました。
以上のほか、金や硫酸などその他の製品を合わせた当事業部門の業績は、前期比での国内販売価格の上昇もあり、売上高は1,234億88百万円と前期比211億29百万円(21%)の増収となりました。しかしながら損益面では、電力料金や諸資材価格の高騰などの減益要因が大きく、前期比36億47百万円(56%)の減益となり、営業利益は28億22百万円になりました。
なお、金属相場(平均)及び為替相場(平均)の推移は下表のとおりであります(米ドル/豪ドルの通期は1月-12月に対応します)。
自動車のタイヤ製造に用いられる主力製品の酸化亜鉛は、市販用タイヤの需要回復や、亜鉛価格が前期比で高かったこともあり、当事業部門の売上高は59億37百万円と前期比13億54百万円(30%)の増収となりました。一方営業利益は、電力料金や諸資材価格の高騰の影響が大きく14億62百万円と、ほぼ前期並みとなりました。
金属相場高と豪ドル安は業績に追い風となったものの、豪州CBH社ラスプ鉱山では、高品位鉱体の採掘数量減少による鉱石品位の低下を主因に、コロナ禍でのオペレーター不足による選鉱プラント減速操業などが重なり、精鉱生産数量が前期比減少しました。その結果、売上高は105億30百万円と前期比23億13百万円(18%)の減収となりました。損益面でもラスプ鉱山の精鉱生産数量減少による売上減少にエネルギー価格及び諸資材価格の高騰などもあり、営業損益は13億44百万円の損失となりました。
電子部品事業は、急速に拡大するEV(電気自動車)市場からの部品需要が強まり車載電装品向け販売が倍増したことなどもあり、売上高は前期比で42%の増収となりました。
電解鉄事業は、世界的な半導体不足などの影響を受け航空機生産が停滞したことや、部品の在庫調整などが重なり、主力の航空機用特殊鋼向けの販売が減少し、売上高は前期比で12%の減収となりました。
以上のほか、プレーティング事業及び機器部品事業を合わせた当事業部門の売上高は59億38百万円と前期比6億70百万円(13%)の増収、営業利益は6億88百万円と前期比22百万円(3%)の増益となりました。
防音建材事業、土木・建築・プラントエンジニアリング事業、運輸事業、環境分析事業などからなる当事業部門の業績は、特に運輸事業で原料、製品輸送取扱量減少などもあり、売上高は98億91百万円と前期比4億41百万円(4%)の減収、営業利益は7億47百万円と前期比1億8百万円(13%)の減益となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
ただし、電子部材事業、環境・リサイクル事業、その他事業の生産高は、販売金額と同額であります。
2.製錬事業には、八戸製錬㈱他委託分が含まれております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。
2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原料鉱石の購入代金のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、既存鉱山の坑道掘進や周辺探査、新規鉱山の探査、鉱山及び国内製錬所・事業所の設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、鉱山投資や設備投資といった長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入や資本市場からの調達を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は663億72百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は95億36百万円となっております。
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、過去の業績悪化により棄損した財政状態の早期立て直しが当社グループの喫緊の課題となっております。この一環として2023年3月28日から2024年3月27日の期間で、前期から引き続きシンジケート方式による160億円のコミットメントラインを契約し、財務基盤の強化を図っております。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ27億96百万円減少し、1,429億99百万円となりました。これは主に資金収支改善のための棚卸資産削減などによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ73億50百万円減少し、924億80百万円となりました。これは主にヘッジ損失が減少したことによるものです。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や、繰延ヘッジ損失の減少もあり、前連結会計年度末に比べ45億54百万円増加し、505億19百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は当連結会計年度末において35.3%となり、前連結会計年度末に比べ3.8ポイント増加しております。
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ16億6百万円増加し、当連結会計年度末は95億36百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、110億9百万円の収入(前期は51億78百万円の支出)となりました。資金収支改善のため棚卸資産在庫管理を徹底したことなどにより、営業活動によるキャッシュ・フローは前期の支出から、収入へと転じました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、81億28百万円の支出(前期比2億74百万円の支出減)となりました。前期は新規鉱山への追加投資のための支出があったものの、当期は鉱山への追加支出も落ち着いたことから、支出減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは13億73百万円の支出(前期は155億71百万円の収入)となりました。前期は金属相場高に伴う運転資金需要の増加や新規鉱山投資への対応により、有利子負債が増加しましたが、当期は新規鉱山投資などの大型資金需要も無く、在庫削減努力なども功を奏したことから、比較的少額の支出となりました。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループは長年培ってきた素材、製錬等の技術をベースに工程効率化、原料多様化、製品品質安定化のための研究開発に努力しております。また、電子部品、電子材料など来るべき電化社会のニーズに合致した製品の開発を長期的視野に立って鋭意行っております。
研究開発拠点としては、安中製錬所内に技術開発本部開発部新事業創造ラボを設置し、サーキュラーエコノミーやカーボンニュートラルのような中長期の社会的要求に合致した電池材料、資源リサイクル等に関する研究開発を経営のトップダウンにより進めております。特に高純度電解鉄のさらなる需要拡大と新規用途開発を目指した研究活動に注力しております。
その他各製錬所では現場密着型の研究組織を配置し、製錬プロセスの高度化・効率化のための研究開発に加えて、製錬インフラを活用した環境・リサイクル事業の推進に重点を置いた研究を行っております。また、電子部品に関しては東邦亜鉛テクニカルセンターが研究開発を担っております。同時に大学、外部研究機関との共同研究、提携研究も積極的に行っております。
なお、当連結会計年度中に支出した研究開発費は
セグメント別の主な研究開発の内容は、次のとおりであります。
② 素材、製錬等の技術をベースとした廃棄物再資源化や、鉱石中有価金属の回収促進のための技術開発に努力しております。
低品位かつ難処理原料からの有価物回収に取り組んでおります。
電気電子機器の小型化、軽量化と高効率化に貢献できる様、最適構造を有する電子部品の開発はもとより、コイル、トランスの性能を決定づける高機能、高性能の磁性材料研究を進めています。
プレーティング材料は需要家ニーズに応えるため、より精密な製品についての技術開発を続けております。
電解鉄の優れた機能をより引き出して製品化するため、技術開発本部開発部新事業創造ラボにおいて、大学や外部研究機関と提携し研究を進め、特許取得や学会発表等も行っております。
以上のように、顧客ニーズへの対応を第一に、従来の技術の応用のほか、新規素材、新規製品を世に送り出すため、研究人員、研究インフラ、生産設備を並行して充実する努力を続けております。