第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は「創意あふれる技術を結集して、健康的で快適な人間生活に寄与する商品をつくり出し、当社に関係するすべての人々により大きな満足を与えることをめざす」ことを企業使命とし、以下の事項を経営理念に据え、グループの総力を尽くしてこれらを実現させながら企業価値の増大を図るとともに、結果としてお客様、株主、従業員、その他のステークホルダーの信頼を得て、経済・社会の発展に貢献してまいります。

1 法令(行政上の通達・指針等を含む)、就業規則及び企業倫理を遵守する。

2 独自の技術を基盤に人々の生活に役立つ商品を多面的、積極的に開発し提供していく。

3 高品質を徹底して追求することによってオリジナルブランド「オカモト」への信頼感を高め、国内・国際市場で強い競争力を維持していく。

4 可能なかぎりの合理化努力を続け、つねにユーザーやお客様に歓迎されるよい仕事を継続する。

5 社内においては、協調を旨とし、全員一丸となって生き甲斐と潤いのある職場環境を創造していく。

 

(2) 目標とする経営指標

当社はROE(株主資本利益率:当期利益/株主資本)を世間一般の要求水準とされている8以上とすることを目標としております。過去の株価等の市場データに基づき、CAPM(資本資産評価モデル)により推計される当社の株主資本コストはこれを下回る水準ですが、中長期的に株主資本コストを上回るリターンを継続することによって企業価値の増大を目指してまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、原油価格や為替の変動及び海外発の不安が引き続きリスクとなっておりますが、上記の経営方針のもと更なる成長と事業基盤の拡大に努めるため、次の課題に重点的に取り組んでまいります。

①  産業用製品事業及び生活用品事業それぞれにおいて、事業の継承や経営権の取得等を通じて事業の多角化を進めてまいりましたが、これら事業及びグループ企業における生産面及び販売面での一層の相乗効果を出し、グループ全体の売上及び利益の向上を目指す。

②  原油価格や為替の変動等により事業環境が変動しても、固定費・経費の圧縮等を更に進め、確たる利益を継続的に計上できる体質を強化する。

③  競争力のある高付加価値の新製品を市場に投入していくため、研究開発力の維持・向上を図るとともに、研究開発センターを中心に長年培ってきた技術を生かして製造コストの削減を継続的に行い、製造期間の短縮・品質の向上等モノづくりの強化に努め、さらに、資材調達から物流までのサプライチェーンの最適化及び強化を進め、コスト競争力の向上を図る

④  ISO14001認証の企業グループとして、省資源の促進及び廃棄物の削減による環境負荷低減活動を進めるとともに、ユーザーが要望する環境対応商品の開発及び上市を進め、また、コンドーム業界のリーディング・カンパニーとして、HIV/AIDSをはじめとするSTI(性感染症)予防啓発活動を積極的に展開し、環境問題や社会的要請への取り組みを強化し、もってサステナビリティ(持続可能な社会)の実現を目指す

⑤  品質の追求と顧客ニーズに合致した製品開発により他社との差別化を図り、オカモトのブランド力を高め、中長期的に市場競争力を維持する

⑥  製造現場での再生可能エネルギーの積極的な活用とさらなる省エネを推進し、また生産性をさらに改善させるための設備投資により廃棄物を削減し、太陽光発電事業についても維持発展させることにより持続可能な成長を図ってまいります。

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症による厳しい行動制限が徐々に緩和され、社会経済活動の正常化が進んでおります。また、各種催事の復活が相次いだことで、人出が増加し、外食、旅行などを中心とした個人消費が持ち直したことに加え、各国の行動規制緩和を受けインバウンド需要も戻りつつあり、景気は緩やかに回復基調にあります。しかしながら、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴う資源・原材料やエネルギー価格の高騰、円安による輸入品価格の上昇、市況悪化による生産数量の減少や多品種少量生産による生産性の悪化に起因する原価率のアップや利益率の低下という事態に直面しております。

これらに対応することが当社グループの喫緊の課題であり、当社が掲げる「身近な暮らしを科学する」の下、以下の取り組みを推進してまいります。

産業用製品事業においては、主力であるプラスチック製品は、従来からの市場構造やサプライチェーンの変革期にあるうえ、世界レベルでの温室効果ガス削減の動きを踏まえた「脱プラスチック」の影響も重なり、社会的にも3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進が求められておりますので、環境負荷に配慮した新素材の研究や新たな機能性・用途の開発等により細かなニーズの獲得に努めてまいります。また、自動車内装材及び建材関連製品は、半導体その他の部品の供給不足及び既存のサプライチェーンの見直し等により市況は不安定で、競争環境は激化しており、新製品の開発や積極的な販売戦略を展開してまいります。

生活用品事業においては、主力であるコンドーム市場は、各種の規制緩和に伴い訪日外国人によるインバウンド需要が戻りつつありますが、日本国内においては少子化の影響もあり、先行きが不透明な状況にありますので、国内では新商品の上市や店頭での積極的な販促活動を行い需要喚起を図り、また、国外では、引き続き技術力及びブランド力をより強化してシェア拡大に努めてまいります。また、その他の生活用品は、既存製品のブランド力の強化を図りながら、多様化する消費者のニーズを踏まえた新製品の開発と積極的な販売戦略に努めてまいります。

全社的には、サステナビリティを意識した経営体制を確立・推進するため、前期に「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。同委員会での活動を中心に、脱炭素社会の実現に向けたプラスチック製品使用削減の動きを踏まえて、全社を挙げて石化製品及びエネルギーの使用量の削減と産業廃棄物の削減に取り組むとともに、各既存工場での自然災害対策と岡山県井原市内での新工場・新倉庫の建設等によりサプライチェーンの強化を図り、また、引き続き少子高齢化を踏まえた人手不足に対応するため、省人化、業務の効率化のための設備投資を継続し生産効率のさらなる向上に取り組んでまいります。

また、株主のほか従業員・取引先・得意先・地域社会を含むすべてのステークホルダーの成長や幸福を実現するため、サプライチェーンの適正化や職場環境の改善に加え、地域社会との交流を継続的に行うことにより、企業としての社会的責任を果たすべく活動してまいります。

更に、幅広く株主の皆様の支持を得られるよう、資本コストを意識した経営に努め、生産性の向上や収益力の強化を図ることに加え、サステナブルな企業として中・長期的な視点での企業価値の向上を実現するため、各ステークホルダーとの協働・協調と、コンプライアンスやリスク管理体制の更なる充実を図り、より透明性の高い経営を行うとともに、それらに関する情報の積極的な開示に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) サステナビリティ基本方針

当社は、創業以来の創意あふれる技術を結集し、健康的で快適な人間生活に寄与する製品を作り出すことで、社会に貢献しステークホルダーの皆様により大きな満足を与えることを使命としています。

「身近な暮らしを科学する」を企業メッセージとして掲げ、安全で高品質な製品の企画開発を通じ、新たな価値を創造しながら継続的な成長と持続可能な社会へ貢献することにより、コーポレート・サステナビリティを実現していきます。

 

①  ガバナンス

当社はサステナビリティに係る対応を経営上の重要課題と認識し、サステナビリティ委員会を中心とするガバナンス体制を構築するとともに、取締役会による監督を行っております。

 

≪取締役会による監督体制≫

取締役会は、サステナビリティ関連の重大なリスクと機会に係る重点課題についての検討を執行役員会に指示するとともに、定期的に、サステナビリティ委員会及び執行役員会より取組状況や目標の達成状況の報告を受け、その報告内容を監査し、対応策を指示します。

 

≪サステナビリティに係る経営者の役割≫

サステナビリティに係る事項は、代表取締役社長が統括します。また、執行役員会はサステナビリティ関連事項が事業に与える影響について評価し、対応策の立案及び目標の設定を行い、その実行をサステナビリティ委員会に指示し、それらの達成状況を管理します。

 

≪サステナビリティ委員会≫

サステナビリティ委員会は、執行役員会からの指示に基づき サステナビリティに係るESG重点課題への対応について検討し、その具体的な施策についてサステナビリティ推進室を通じて社内各部署に指示を行い、その対応結果を執行役員会及び取締役会へ報告します。

また、サステナビリティ委員会は、サステナビリティに係るESG重点課題が事業に与える影響についてサステナビリティ推進室とともに定期的に評価を行い、識別したリスクの最小化と機会の獲得に向けた対応策を示し、その対応策の達成状況を毎年1回以上、執行役員会及び取締役会に報告します。

 

≪サステナビリティに係る所管部署≫

サステナビリティ推進室は、サステナビリティ委員会の下部組織として、サステナビリティ委員会の指示・命令に従い、社内各部署のサステナビリティに係る取組状況の確認や指示目標の達成数値を集計し、サステナビリティ委員会に報告します。

当社のサステナビリティに係るガバナンス体制図は、以下のとおりです。

 


 

②  リスク管理

≪サステナビリティ関連リスクを識別・評価・管理するプロセス≫

サステナビリティ推進室は、サステナビリティ委員会の具体的な指示・命令に従い、社内各部署のサステナビリティに係るリスク及び機会に関する情報を収集し、サステナビリティ委員会へ報告します。

サステナビリティ委員会は、識別されたサステナビリティ関連リスクについてリスクの潜在的な大きさを評価した上で対応策を検討し、執行役員会に報告します。

執行役員会は、その報告内容を精査した上で取締役会に報告し、取締役会は、その報告内容を監査し、更なる対応策を指示します。

 

③  戦略

当社は、現在~2025年までを「短期」、~2030年までを「中期」、~2050年までを「長期」と捉え、サステナビリティ委員会を中心に短期・中期・長期のサステナビリティ関連のリスク及び機会について現状調査を行い、対応策を検討しております。

その検討を踏まえ、識別したリスク及び機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響の把握と情報開示の更なる拡充に努めます。

 

④  指標と目標

サステナビリティ関連リスクのうち気候関連リスク・機会を管理するための指標として温室効果ガス(Scope1,2,3)排出量を指標と定め、中長期的な温室効果ガス排出量削減を目指し、GHG排出量の把握、削減目標の策定取組みを進めます。

 

(2) 人的資本、多様性に関する開示

①  戦略

人材育成方針

当社は、「身近な暮らしを科学する」を企業メッセージとして掲げ、安全で高品質な製品の企画開発を通じ、新たな価値を創造しながら、創意あふれる技術を結集し、健康的で快適な人間生活に寄与する製品を作り出し、継続的な成長と持続可能な社会へ貢献する人材を育成します。

 

人権に対する基本的な考え

当社は、すべての人々の人権を尊重し、国籍、人種、民族、宗教、思想信条、年齢、性別、障害の有無などによる差別となる行為を行ないません。また、いかなる形態であれ強制労働、児童労働は絶対的に禁止した上で、従業員の多様な価値観を尊重し、その能力を発揮できるように適材適所に配置し、従業員個人の成長と会社全体の持続的な発展を図ります。

 

 

②  指標及び目標

人的資本の活用と多様性に関して、指標及び目標を次の通り掲げます。

● 女性管理職比率を2033年までに10%以上を目指します。

● 男性の育児休業取得率を2025年までに30%以上を目指します。

● 男女間賃金格差の縮小に向けて、賃金や雇用管理のあり方を見直すための視点や、性別を問わず社員の活躍を促進することを目指します。

 

社内環境整備方針

当社は、様々な国で、様々な事業を展開していることに加え、事業領域や市場ニーズは急速に多様化が進んできておりますので、幅広く多様な人材を獲得するため、定期採用に加えて、経験者採用活動を実施して参ります。

また、採用した社員のスキル向上が組織及び企業としての競争力の向上に資することから、積極的かつ多様な社内教育を実施することとし、階層別の研修を実施しているほか、座学形式・討議形式・実践形式等、様々なカリキュラムを行なうことに加え、指導面接制度等により目標設定と進捗管理を実施し、実質的な人材の育成に力を入れて参ります。

 

さらに、当社は、製造業として「安全は、全てに優先する」を理念とし 、従業員の安全衛生の確保が企業活動の最重要基盤であると考え、上記「理念」の下、「安全衛生方針」、「安全六原則」及び「行動六原則」を定めて活動して参ります。

 


 

特に職場においては、リスクアセスメントを実施し、事故やケガの予防活動に注力するとともに、心身の健康 の維持・増進のため、健康に関する啓発啓蒙活動と、定期健康診断を実施継続して参ります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
 

(1) 原材料価格高騰のリスク

当社グループの製品群の多くは、石油など一次産品をもとにした原材料を加工したものであり、ここ数年来の原材料価格の高騰に伴い、製品価格に転嫁が出来ないような景気動向が続く場合、営業利益への圧迫が懸念されます。

(2) 季節要因のリスク

当社グループの製品群には、カイロ、雨衣、除湿剤等の季節的要因、特に冷夏・暖冬、低降水量・低降雪量といった天候の影響を受けやすい製品があります。機動的な生産、在庫の最適化に努めておりますが、これらの季節的要因については予測が困難であるため、その変動によって当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 海外展開に伴うリスク

当社グループは、事業をグローバルに展開しておりますが、これに伴い以下の場合には当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

①  為替変動リスク

当社グループは外貨建取引を行っておりますが、それらは為替レート変動による影響を受けることがあります。為替予約等による相場変動のリスクヘッジを行っているものの、急激な為替レートの変動は、業績に影響を与える可能性があります。

②  地政学的リスク

当社グループではアジア及び北米地域に事業拠点を開設するとともに、グローバルに取引を展開しておりますが、昨今の国際情勢で経済格差が顕著な地域や一部には政治的な緊張感が高まっている地域があり、こうした地域で、政治変動・経済情勢の変化・法改正等により、著しい景気の悪化、労働力不足やストライキのほか、テロ、戦争などが発生した場合、当社グループの経営成績や財政状況などに影響を及ぼす可能性があります。

(4) 地震等自然災害及び感染症によるリスク

当社グループは、全社的に突発的な自然災害、不慮の事故の発生等に備えて、損害保険及び火災保険等により影響を最小限度に止めるよう努めておりますが、当社の産業用製品事業の中核を担う静岡工場は大規模地震発生の可能性を指摘されている地域に位置し、また、福島工場は「令和元年東日本台風」による浸水被害が発生した地域に位置しており、これらを含めた自然災害が発生した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、感染症の発生及び拡大は、原材料の継続的な調達、生産体制の維持、市場への製品の安定供給やサプライチェーンに著しい支障をきたす場合があり、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、お客様、取引先及び従業員の安全を第一に考えるとともにさらなる感染拡大を防ぐため、出張制限やテレワーク等の勤務形態の見直し等を実施しながら事業活動への影響の低減に努めておりますが、今後事態が長期化又はさらなる感染拡大が進行した場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当該影響を現時点において合理的に算定することは困難であります。

(5) 気候変動に関するリスク

当社グループは、気候変動により気温上昇が進んだ場合に考えられる台風・集中豪雨等の異常気象や自然災害によって風水害の発生による工場等の復旧のためのコスト負担など経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会に向けた各種規制の強化、炭素税の導入など移行時の環境変化により、今後の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 製品の品質によるリスク

当社グループは、品質管理を経営の重要課題とし、品質管理体制に万全を期しておりますが、予想を超える品質トラブルが発生すれば、売上の減少や企業ブランド価値の低下等経営成績や財政状態に支障をきたす懸念があります。

 

 

(7) 情報漏洩のリスク

当社グループは、事業活動において顧客等の個人や信用に関する情報を入手し、他企業等の情報を受け取ることがあります。これらの情報の秘密保持には細心の注意を払い、情報の漏洩が生じないよう最大限の管理に努めておりますが、不測の事態により情報が外部に流出する可能性があります。この場合には、損害賠償等の多額な費用負担が発生して、事業活動やブランドイメージに影響が及ぶ可能性があります。また、事業上の重要機密が第三者に不正流用されるおそれもあり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 法律・規制・訴訟等のリスク

当社グループは、事業活動を行っている各国において、展開している事業に関連する様々な法律や規制の適用を受けております。今後、国内外における予期せぬ法律や規制の変更、新たな法律や規制により当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの国内外の事業活動に関連して、重要な訴訟等が提起された場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 固定資産の減損リスク

①  産業用製品事業の減損リスク

当社及び当社グループの産業用製品事業が有する固定資産は、固定資産全体の約37%であります。これら製品は主として、取引先の生産工程で使用されるなど事業者向けの製品であります。これらを生産する設備は事業者向けのため、製造設備の構造的規模あるいは投資金額が大きくなる傾向があり、短期的な回収より長期的な視点で設備投資を実施する場合があります。その場合、将来キャッシュ・フローを短期的に生成することが出来ず減損損失に至る場合があります。

②  生活用品事業の減損リスク

当社及び当社グループの生活用品事業が有する固定資産は、固定資産全体の約32%であります。当社及び当社グループの一部製品は、他社と競合する製品が多数あり、その年の事業環境あるいは販売動向等、市場での商圏変動や販売価格変動等が起こりやすい環境下にあります。これにより収益性の低下が生じた場合、減損損失の兆候を認識し将来キャッシュ・フローを生成することが出来なかった場合は減損損失に至る場合があります。

(10) 知的財産侵害に関するリスク

当社グループは、技術ノウハウの蓄積と知的財産権の保護に努めておりますが、第三者による知的財産権の侵害を効果的に防止できないことがあります。また、当社グループの製品又は技術が第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、その訴えが認められた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①  財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぎ、年度末に向けて厳しい制限が徐々に緩和され、社会経済活動の正常化が進み、約3年ぶりとなる各種催事の復活が相次いだことで人出が増加し、外食、旅行などを中心とした個人消費が持ち直したことに加え、各国の行動規制緩和を受けたインバウンド需要により、景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、一方で、中国市場の景気回復の遅れ、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴う資源・原材料やエネルギー価格の高騰、円安による輸入品価格の上昇などによる物価の上昇もあり、依然として不透明な状況が続いております。

このような、いまだ先行きに不透明感の残る経営環境が続くなか、当社グループは、自動車業界及びフイルム業界等での一時的な需要回復に対応し機会損失を被らないための原材料の調達及び生産体制の構築と、コンドーム事業や家庭用品事業におけるシェア拡大のための新製品開発と供給能力の増強に努めるとともに、環境保全を意識したリサイクル事業の推進とエネルギー消費量の削減に努め、また、依然として予測困難な外部環境の急激な変化に対応し、資金の機動的な活用を実現するため、生産体制の見直しと生産効率の管理のより厳格化に努め、企業グループ全体において収益力の向上を図ってまいりました。

結果、当連結会計年度における売上高は99,076百万円(前年同期比10.6%増)となりました。利益面では、原材料及び電力価格の高騰の影響で営業利益は6,898百万円(前年同期比8.5%減)、経常利益は7,922百万円(前年同期比14.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,893百万円(前年同期比12.3%減)となりました。

 

a.  経営成績

  セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

  (産業用製品)

一般用フイルム及び産業用フイルムは、春先の需要が回復傾向となり売上増となりました。工業用フイルムは、サプライチェーンの混乱による市場在庫過多の影響により売上減となりました。建材用フイルムは、住宅需要の落込みによる影響がありましたが新規商権の取込みにより売上増となりました。多層フイルムは、工業材料用の需要低迷により売上減となりました。壁紙は、新規案件の受注及び価格改定の影響で売上増となりました。農業用フイルムは、価格改定と値上げ前の駆け込み需要により売上増となりました。自動車内装材は、各自動車メーカーの半導体不足解消に伴う増産計画は実現されませんでしたが、受注拡大により売上増となりました。フレキシブルコンテナは、石油化学向けの需要が増加し売上増となりました。粘着テープは、包装用テープの販売が堅調に推移し売上増となりました。工業テープは、精密機械用の受注が堅調に推移したため売上増となりました。食品衛生用品は、業務用ラップ及び小巻ラップは新規採用があり売上増となりましたが、手袋衛生用品は飲食店向けが徐々に回復の兆しですが売上前年並みとなりました。食品用吸水・脱水シートであるピチット製品は、外食関連は回復傾向ですが水産加工向けが漁獲高不安定の影響により売上前年並となりました。研磨布紙等は、機械工具商向け研磨布及び精密加工用フイルム製品が堅調に推移し、半導体向けの研磨材が伸長したことから売上増となりました。

以上により、当セグメントの売上高は64,083百万円(前年同期比12.1%増)、セグメント損失は5百万円(前年同期比100.3%減)となりました。

 

  (生活用品)

コンドームは、訪日外国人によるインバウンド需要が戻りつつあり売上増となりました。浣腸は、主要卸店の受注減及び海外向けの出荷時期の変更の影響により売上前年並となりました。除湿剤は、3月に気温上昇により湿度が高まり店頭での販売が好転し売上増となりました。カイロは、年末年始の急激な気温低下と需要の増加により売上増となりました。手袋は、炊事用は拡販により堅調でしたが、医療用及び産業用が供給過多の影響で売上減となりました。メディカル製品のうち滅菌器は、特需の反動により販売台数減となりました。ブーツ及び雨衣は、ホームセンター等での消費者の購買意欲の低迷で店頭での販売が振るわず売上減となりました。シューズは、輸入品のサプライチェーンの混乱からの回復がみられ売上増となりました。

以上により、当セグメントの売上高は34,761百万円(前年同期比8.0%増)、セグメント利益は8,634百万円(前年同期比13.6%増)となりました。

 

 

  (その他)

その他事業は、物流受託事業及び太陽光発電事業であります。

当セグメントの売上高(振替前)は3,443百万円(前年同期比3.1%減)、セグメント利益は312百万円(前年同期比10.5%増)となりました。

 

b.  財政状態

  (資産)

当連結会計年度末における総資産は127,176百万円で、前連結会計年度末と比べ9,615百万円増加しております。

流動資産は78,364百万円で、前連結会計年度末と比べ5,337百万円の増加となりました。これは主として、売掛金1,904百万円、現金及び預金776百万円、原材料及び貯蔵品710百万円、電子記録債権699百万円、商品及び製品529百万円が増加したことによるものです。

固定資産は48,812百万円で、前連結会計年度末と比べ4,278百万円の増加となりました。これは主として、投資有価証券1,304百万円、長期性預金1,300百万円、土地810百万円、機械装置及び運搬具526百万円が増加したことによるものです。

 

  (負債)

当連結会計年度末における総負債は48,076百万円で、前連結会計年度末と比べ5,432百万円増加しております。

流動負債は36,330百万円で、前連結会計年度末と比べ5,533百万円の増加となりました。これは主として、支払手形及び買掛金3,460百万円、短期借入金663百万円、未払法人税等356百万円が増加したことによるものです。

固定負債は11,745百万円で、前連結会計年度末と比べ101百万円の減少となりました。これは主として、繰延税金負債が1,055百万円増加し、長期借入金が944百万円減少したことによるものです。

 

  (純資産)

当連結会計年度末における純資産は79,099百万円で、前連結会計年度末と比べ4,183百万円増加しております。これは主として、その他有価証券評価差額金2,112百万円、為替換算調整勘定1,671百万円、利益剰余金873百万円が増加したことによるものです。

 

②  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ806百万円(2.5%)増加し、32,616百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、8,318百万円(前年同期比21.8%減)となりました。

増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益7,610百万円、仕入債務の増加による増加2,581百万円、減価償却費2,458百万円、減少の主な内訳は、法人税等の支払額2,132百万円、売上債権の増加による減少1,569百万円、棚卸資産の増加による減少1,118百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、2,892百万円(前年同期比22.9%減)となりました。

収入の主な内訳は、持分法の適用範囲の変更を伴う関連会社持分譲渡による収入2,273百万円、支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出3,788百万円、長期性預金の預入による支出1,300百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、5,611百万円(前年同期比46.6%増)となりました。

支出の主な内訳は、自己株式の取得による支出2,671百万円、配当金の支払額2,000百万円、長期借入金の返済による支出284百万円、短期借入金の純減額232百万円であります。

 

 

③  生産、受注及び販売の実績

 

a.  生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

産業用製品

54,362

6.2

生活用品

24,533

11.4

合計

78,895

7.7

 

(注) 1  金額は、販売価格によっております。

 

 

b.  受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

産業用製品

37,300

11.5

3,354

13.0

生活用品

6,593

13.6

558

19.7

合計

43,893

11.8

3,912

13.9

 

 

 

c.  販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

産業用製品

64,083

12.1

生活用品

34,761

8.0

その他

231

△4.7

合計

99,076

10.6

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①  財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの事業領域は、大きく産業用製品事業と生活用品事業に分かれ、その代表的な製品は、産業用製品事業ではプラスチックフイルム、壁紙、フレキシブルコンテナ、車輌内装材、粘着テープ、食品衛生用品、食品用脱水・吸水シート等であり、生活用品事業ではコンドーム、カイロ、除湿剤、メディカル製品、手袋、シューズ・雨衣等と多岐に亘ります。これらの事業は1934年の創業以来培ってきた素材の研究と高度な技術の追求、並びに会社の統合・合併・事業の譲受等による製造技術・ノウハウの吸収により、成長してまいりました。これらの事業を基盤として当社グループは環境にやさしい製品を世に送り出し、株主・顧客・取引先・地域社会・従業員などの様々のステークホルダーとの友好な関係の維持、発展に努めてまいりました。このような状況のなか、当連結会計年度における売上高は99,076百万円(前年同期比10.6%増)、在庫圧縮やコストダウンを継続してまいりましたが営業利益は、6,898百万円(前年同期比8.5%減)となりました。営業外損益は、為替レートの変動により169百万円の為替差損となりました。特別利益は、持分法適用会社の持分を譲渡したことにより、関係会社出資金譲渡益649百万円、為替換算調整勘定取崩益277百万円を計上しております。特別損失は、収益性の低下が生じ短期的な業績回復が見込まれないと判断した事業(農業用フイルム事業、カイロ事業、除湿剤事業、壁紙事業、フレキシブルコンテナ事業、ラップ事業、PPフイルム事業、シューズ事業及び研磨布紙事業)に関して減損損失を1,110百万円計上しております。これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益4,893百万円(前年同期比12.3%減)となりました。

事業全体としては、新型コロナ感染症は、5類への移行で社会活動が回復しつつあります。また人出が増加し、訪日外国人も戻りつつあるため、それら仮定を定めた上で会計上の見積もりを実施しております。

経営成績については「第2  事業の状況  4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  a.経営成績」に記載のとおりですが、産業用製品事業のうち特に車輌内装材は、新型コロナウイルス感染症による自動車メーカーの生産調整から回復傾向にありますが、サプライチェーンにおける部品の供給遅延などによる生産拠点の生産活動への影響が一部残っております。また、原材料やエネルギーコストの上昇が収益を圧迫しております。当該状況においても安定して収益を得られるように、より幅広い受注のための研究開発力の強化と、将来を見据えた営業体制の構築に努めてまいります。

生活用品事業のうち特にコンドームは、人出の増加やインバウンドが徐々に戻りつつあるため、コロナ前同様に安定して収益を得られるように、新製品販売や販売強化を国内及び国外で努めてまいります。なお、メディカル製品や衛生用品においては、円安の影響が継続し、先行き不透明ではありますが、値上げや拡販を行い収益の確保するよういたします。

今後、将来への成長をより加速・維持する経営を図るため、当社並びに連結子会社各社に至るまで収益の基盤を広げ、かつ強固なものとするため設備投資を進めてまいります

 

 

②  キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ806百万円(2.5%)増加し、32,616百万円となりました

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益は71百万円減少し7,610百万円の増加となりました。また売上債権の増加による減少1,569百万円(前年同期比3,169百万円減)、棚卸資産の増加による減少1,118百万円(前年同期比323百万円減)となりました。さらに、減価償却費2,458百万円(前年同期比31百万円増)、固定資産減損損失1,110百万円(前年同期比360百万円増)などにより、営業活動によるキャッシュ・フロー全体では8,318百万円の増加(前年同期比2,325百万円の収入減)となりました

投資活動によるキャッシュ・フローは、将来の事業基盤となる設備投資を実施しており、投資活動によるキャッシュ・フロー全体では2,892百万円の支出(前年同期比859百万円の支出減)となっております

財務活動によるキャッシュ・フローは、株主還元の充実及び資本効率の向上等を目的とした施策としての配当金の支払額2,000百万円、自己株式の取得2,671百万円により財務活動によるキャッシュ・フロー全体では5,611百万円の支出(前年同期比1,784百万円の支出増)となっております

よって、これらにより当連結会計年度末においての現金及び現金同等物は32,616百万円となりました

また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、円滑な事業活動に必要な流動性の確保を主眼とし、主として銀行等から長期借入金及び短期借入金にて資金調達を行っております。なお、現時点では借入れによる資金調達により一定程度手許資金が確保されている状況のため、社債等の資金調達手段は考えておりません。今後も今まで築いてきた金融機関等との良好な関係を確保しつつ、追加で資金が必要になった時点で最良の判断を行っていく考えであります

さらに当社グループは、様々な事業を展開していることから戦略的に資源配分を行っていく方針であります。特にここ最近では、将来の事業基盤を支える事業に積極的に設備投資を実施しており、設備投資額も高水準となっております。今後も経済状況を鑑み、競争力を維持していくための資源配分を行う考えであります。また同時に、株主還元の充実を図るため配当及び自己株式の取得も併せて実施する考えであります

 

③  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5  経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております

 

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 当社は、2022年12月16日開催の取締役会において、当社を存続会社として当社の完全子会社である世界長ユニオン株式會社を吸収合併することを決議し、2023年4月1日をもって吸収合併いたしました。 

 詳細は、「第5 経理の状況 2財務諸表等 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、今まで独自の技術とノウハウを培い、高品質、高性能を追求することにより、「オカモトブランド」に対する消費者の信頼性を高める努力を続けてまいりました。

今後も、常に消費者に求められる「人々の生活に役立つ環境にやさしい製品」を積極的に開発し、提供してまいります。

現在、産業用製品の研究開発は静岡研究開発センターを中心に、また生活用品については茨城研究開発センターを中心に行っております。

当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は1,583百万円であります。

セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(1) 産業用製品

当社が中心となり、プラスチックフイルム、農業用フイルム、車輌内装材、食品包装用フイルム、壁紙等の分野で、新素材、複合機能製品、非塩ビ製品、環境配慮製品等の消費者のニーズにあった製品開発を行っており、また粘着製品では包装用、工業用(電気・電子用テープ等)の新素材、新用途及び環境配慮製品の研究開発を行っております。

当セグメントに係る研究開発費の金額は1,056百万円であります。

(2) 生活用品

当社が中心となり、コンドーム、手袋、カイロ、除湿剤、介護用品、医療機器、シューズ、ブーツ等の分野にて多様化するニーズに応えるため研究開発を行っております。

当セグメントに係る研究開発費の金額は527百万円であります。