第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(または本書提出日)現在において当社が判断したものでありま
 す。

 

(1)経営の基本方針

当社は、キャッシュレス決済サービス事業を取り巻く経営環境が大きく変化する中、これまでに醸成されてきた社内文化や価値観を改めて明文化し、Corporate Identityである「ミッション(存在意義)・ビジョン(目指す姿)・バリュー(価値観)」を2020年12月に新たに制定いたしました。これらを、経営戦略の策定や経営の意思決定における根幹の考え方と位置づけ、全社一丸となって持続的成長を目指しております。

 

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当社のキャッシュレス決済サービス事業は、社会インフラであり日本中の生活者の暮らしを支えるものとして高い倫理観を持ち続けながらも、「新しい生活を生み出す会社。」として、さらなる便利で安全な消費社会の創出を目指し、「ありえないを、やり遂げる。」の精神で今後もダイナミックにチャレンジを続けてまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、主な財務指標としては売上高、当期純損益を特に重視しておりますが、KPI(Key Performance Indicators)としては、①全社の売上高、②「情報プロセシング」分野の売上高、③定常的収益源であるセンター利用料売上、④加盟店に対する物理的な「ラストワンマイル」であり非財務指標における当社の事業規模を示す当社センターへの接続端末台数、⑤将来の利益源泉となる開発投資を経常的に実施していることから過年度の投資の影響の少ないEBITDAの5点をKPIとして事業計画上定めております。また、9つのマテリアリティで構成されるサステナビリティ・ステートメントを定め、持続的な成長と企業価値の向上を目指しております。

 

(3)経営環境

2018年4月の経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」において、2025年にキャッシュレス決済比率40%の実現を目指す(将来的には世界最高水準の80%を目指す)ことがうたわれ、「国策」としてキャッシュレス決済が推進されております。「国策」を後押しするかたちで一般社団法人キャッシュレス推進協議会(当社も正会員として参画)が設置され、改正割賦販売法・軽減税率のポイントバック等の政策的な追い風も吹き、キャッシュレス決済の市場規模は拡大傾向にあります。

 

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一般社団法人キャッシュレス推進協議会 「キャッシュレス・ロードマップ 2022」(2022/6)から当社作成

 

一方、政府の成長戦略により、業界全体の決済手数料減少が推進されることが見込まれている他、決済手数料を主な収益源としないQR・バーコード決済サービス事業者の新規参入や、既存の株式会社エヌ・ティ・ティ・データが運営する「CAFIS」及び株式会社日本カードネットワークが運営する「CARDNET」の決済ネットワーク以外に次世代決済ネットワークとして三井住友カード株式会社等が運営する「stera」が登場するなど、業界全体の再編の可能性を注視しております。当社は、決済業界における各プレイヤーと、一部では競合しながらも、競合の少ない電子マネーサービスを強みに、多くのプレイヤーと広く協業し、面を拡大するオープン戦略をとっていることから、市場再編や新規参入にも柔軟に対応していく方針です。

マクロでは、雇用人口減少に伴う自動化の発展、特に主な対面市場となっている小売業のニューリテイル(注)化の流れは新規プレイヤーの参入を促す脅威でもあると同時に、新たな市場機会と捉えております。

 

[ 決済業界の各プレイヤーと当社の関係性 ]

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また、新型コロナウイルス感染症による影響については、2類から5類への引き下げにより、経済活動の正常化が進み、当社の業績への影響も軽微であると判断しております。しかしながら、今後、新型コロナウイルス感染症の変異による感染拡大や、同様の感染症発生に伴う外部環境の変化が、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(注)小売業において、IT及びデータを活用することで、売上の拡大やコスト削減を図ると共に、消費者に対しオンラインとオフラインの融合等により新しい消費体験を提供するコンセプト

 

(4)経営戦略

当社は、これまで市場が求める全ての決済端末に接続しあらゆる決済サービスを高いセキュリティかつワンストップで提供するという方針のもと、クラウド型の電子決済処理で事業を拡大してまいりました。既に接続端末台数は83万台超(2023年3月末時点)、年間で3.7兆円(2023年3月期実績)を超える決済を処理する社会インフラとして拡大しております。

[短期成長戦略]

今後、短期経営戦略としては、「キャッシュレス決済サービス事業」の面的拡大・岩盤化を推進し、市場成長のフェーズにおいて、ダイレクト営業とホワイトレーベルによる幅広い営業ルートにより圧倒的な規模を追求する「①接続端末の増加戦略」と、汎用電子マネーをフックとしソリューションを複合的に提供することで加盟店に深く入り込む「②クロスセル(注1)戦略」により、ストック収入の成長カーブを引き上げる方針です。

 

①接続端末の増加戦略

大型案件としては、三井住友カード株式会社等が推進する次世代決済プラットフォーム「stera」と接続し電子マネー、QR・バーコード決済等々を提供し、新たな面の拡大を追求しております。

 尚、自社端末としては、次世代決済端末として世界有数の決済端末メーカーと協業し同枠組みにて、外回り方式(注2)の自前端末を開発するとともに、他社端末ではSquare株式会社の電子マネー対応を支援し、当社決済処理センターでのプロセシングを行う等、引続きセンター運用強化のために端末レイヤーはオープンに協業を進める戦略です。

 

②クロスセル戦略

直近では、キャッシュレス推進の追い風を捉え、QR・バーコード決済等の市場に導入される新決済サービスも取り込みつつ、端末あたりの定額(決済手段やブランド数に依存するが、処理件数、金額に連動しない)サブスクリプション型の課金体系から一部(QR・バーコード決済精算業務等)の従量課金(GMV課金(注3)、処理件数課金)の導入を進めており、ストック収入による収益拡大とあわせて、定額型・従量型のベストミックスを追求していきます。

 

[中長期成長戦略]

中長期での経営戦略としては、決済インフラを梃に、店舗の高度化を目的とした「総合流通ソリューション」の提供による新たな収益基盤を構築し、また、これらにより集まるあらゆるデータを保管、分析、連携し「情報プロセシング」を推進することで新たな価値提供を行う方針です。「情報プロセシング」とは、決済ゲートウェイに集約されたデータを安全に保存し、高度なデータ分析へ活用できるよう情報処理をする仕掛けを構築し、販促、インキュベーション、ファイナンス等のさまざまなサービスへ連携するものです。

店舗を高度化する「総合流通ソリューション」としては、決済、プリペイド、ポイントサービスのほか、マーケティングや、画像認識をはじめとするIoT、広告、医療等、領域を拡大しています。

 

新たな取り組みとして、次世代自社端末を活用し、これまでの大型加盟店中心だった顧客基盤に加え中小規模以下のロングテールに対して、マルチ決済サービスとして2020年4月に「nextore」をローンチしました。当該端末はAndroidベースで様々なアプリケーションを搭載することが可能となり、「情報プロセシング」のデータの出入り口として活用する戦略をとっております。「nextore」については、従来のPOSメーカーやクレジットカード会社との営業連携に加え、地方銀行と新たに提携を行うことで、地方の中小企業のキャッシュレス化に加え、Android端末上に搭載するアプリケーション等によるデジタル化支援を企図しております。

また、当社は、地方創生を掲げ、公共プロジェクト推進を強化し「地方交通マネーのクラウド化」等にも取り組んでおり、複合的な面展開を行っております。

更に、一定規模以上の加盟店に対しては、決済領域における事業の可能性として、流通ソリューション領域全体へ視野を広げ、その中でも決済と最も親和性の高い店舗業務のラストワンマイルであるPOSに着目し、POSのクラウド化とIoT化を進めております。POSをクラウド化及びIoT化することにより、あらゆる情報がつながり、大容量データの高速処理が可能な5Gの定着を見据え、クラウドPOSから集約された決済データと、非決済データを融合させた新たなサービスの提供を目指しております。新たに参入したクラウドPOSは情報の出入り口として、「情報プロセシング」の重要な要素と捉えております。

 

(注) 1. 契約済や検討中のサービスと併せて、他のサービスを販売すること

   2. 外回り方式は、カード会員データの取扱を決済端末側ですべて対応し、POS側の開発コストを抑える方式

   3.Gross Merchandise Value(流通取引総額)

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① セキュリティ体制の継続的強化及びシステムの強化

当社は、クレジットカード業界のセキュリティ基準協議団体(PCI SSC)が定めるPCI DSSの基準に則った運用をしており、決済端末で暗号化されたカード情報は、データセンターで復号化されるまで、決済処理の経路上でカード情報を取得できないようにしております。また、当社の事業は、インターネットを介しての通信ネットワークに依存していることから、データセンター内の多層化・冗長化を進めております。今後もセキュアな決済システムを維持強化していくことが重要な課題であると認識しております。現在、社内規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後も継続して、社内教育・研修の実施を通じて強固な基盤システムの構築に努めてまいります。

 

②データセンター移設体制の強化

当社は2025年にデータセンターの移設を予定しております。今後の「情報プロセシング」拡大を見据え、より安全で拡張性の高いデータセンターの選定、サービス提供に影響を及ぼさない移設作業を行うために仮想化技術に長け、決済系に精通しているベンダー選定を行っております。また、移行方式含めたアーキテクチャの第三者評価を実施し、予期せぬ事象が発生しないような詳細スケジュール策定とバックアッププラン策定を進めております。

 

③ ストック収入による定常的な利益の創出

当社の収益モデルは、顧客端末が当社決済処理センターに接続され継続して利用されることで収益が積み上がっていくストック型の構造にありますが、収益を積み上げていくために先行して費用が計上されるインフラ事業的要素があります。顧客基盤の拡大と端末設置台数の増加に伴い、当社決済処理センター利用売上のみで定常的な利益を創出すべく固定費のマネジメントを行っております。

 

④ 「情報プロセシング」及び流通ソリューション事業の立ち上げ

当社は今後10年間を掛けて決済のみならず流通業が必要とするソリューションを総合的に提供する企業体、そしてデータを保存・分析・連携する「情報プロセシング」を提供する高度なインフラ事業体へと進化をとげることが戦略的方向性であることから、顧客等との実証実験等を通じ具体化をはかるべく、取組を加速させております。

 

⑤組織体制の強化

当社の持続的な事業継続には、事業拡大に応じて多岐にわたるバックグラウンドの優秀な人材を採用し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を行っていくとともに、従業員が働きやすい環境の整備、人事制度の構築に努めてまいります。また、特に今後、総合流通ソリューションあるいは「情報プロセシング」へ足を踏み出す中、これまでとは異なる事業企画やシステム開発ができる人材の獲得・育成が必須と考えております。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)基本的な考え方

当社は、「安心できる、暮らしをつくる」をミッションとして掲げ、3つの持続可能なマテリアリティを特定して、取り組んでいくことで、ミッションの達成に取り組んでおります。当社は、『当社が提供するサービスを「誰でも、どこでも」使えるように利便性を高め、「いつでも、確実に」ご利用いただけるよう質を高めていく。その土台として「社員も、パートナーも」いきいきと活躍できる環境づくりに努めていくこと』を掲げ、「だれでも、どこでも」、「いつでも、確実に」、「社員も、パートナーも」の3つをマテリアリティとして特定し、キャッシュレス決済事業サービスを通じてサスティナブルな社会の実現を目指しております。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(2)ガバナンス

 サステナビリティ関連のリスク及び機会の監視、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続については、当社の主要事業が環境に与える負荷が小さく、また気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響が少ないことから、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり、取締役会や経営会議へ、継続的に進捗状況及び課題等への対応につき、報告され、経営によるサスティナブル経営の推進に取り組んでおります。

 

(3)戦略

短期、中期及び長期にわたり当社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組のうち、重要なものについて該当事項はありません。

人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について当社は、すべての社員の多様な個性を活かし、尊重し、また、公平で柔軟な仕組みと健康を何よりも大切にする風土を醸成し、働きがいのある職場であり続けることを目指すことをマテリアリティの一つに掲げております。その実現のため、生産性の向上、健康企業宣言、健康経営の実践をテーマに社内環境整備に取り組んでおります。

 

(4)リスク管理

サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程については、当社の主要事業が環境に与える負荷が小さく、また気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響が少ないことから、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の識別、評価、管理の過程にて対応しております。今後の状況に応じて、サステナビリティに係るリスク管理の強化を検討してまいります。

 

(5)指標及び目標

サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する会社の実績を長期的に評価し、管理し、及び監視するために用いられる情報のうち、重要なものについて、該当事項はありません。

 人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績については、従業員満足度調査の総合評価指数前年以上を目標とし、調査結果から課題を特定し、継続的な対策を講じることで、目標の達成に向けて取り組んでおります。従業員満足度の総合評価指数においては具体的な数値は公表しておりませんが、通信業・ソフトウェア業・インターネット付随サービス業・その他の事業サービスといった同業種と比較して偏差値が50ポイント以上となっており、平均以上の従業員満足度を創出できております。継続的にすべての社員がいきいきと活躍できる職場環境の実現に取り組むことで、総合評価指数が前年以上となるよう目指してまいります。

 

 

3【事業等のリスク】

本書に記載した当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上で重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

 

(1)経営環境について

 

顕在化可能性:中

影響度:中

当社の主要な事業領域は、日本国政府のキャッシュレス推進の追い風により市場拡大が見込まれておりますが、市場の成長鈍化や政府方針の転換などにより縮小した場合、若しくは当社の成長予測を下回った場合には、キャッシュレス決済の取扱高の減少や端末導入の鈍化等によって当社業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の主要な事業領域は、情報サービス産業の中で成長分野であると見做されており、従来他業種であった企業が参入してきております。業界の地殻変動の中、これからのマーケットには先行き不透明な部分があり、競合他社の積極参入による競争激化が当社業績に影響を及ぼす可能性があります。当リスクについては事業計画をモニタリングし、兆候の把握と情報プロセシング事業等の収益の多角化によってリスクの低減に向けた対応を行っております。

 

 

(2)新型コロナウイルス感染症について

 

顕在化可能性:低

影響度:小

当社は、新型コロナウイルス感染症の2類から5類への引き下げにより、経済活動の正常化が進んでいると考えており、当社の事業及び業績への影響も軽微であると判断しております。また、当社ではリモートワーク制度を導入しており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大局面においても、事業を継続できる体制を整備しております。

しかしながら、今後、新型コロナウイルス感染症の変異による感染拡大や、同様の感染症発生に伴う外部環境の変化が、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の役職員等に大規模な感染が発生し、事業活動に支障が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3)半導体不足について

 

顕在化可能性:中

影響度:小

新型コロナウイルス感染症による外出制限をきっかけとした、テレワークや巣ごもり生活によるパソコン・大型テレビやゲーム機の販売拡大、自動車販売の回復等を背景に半導体の需要が増加しており、供給が間に合わず半導体の不足が生じております。当社で取り扱う決済端末に関して、半導体不足の影響を考慮し、先行発注により在庫確保に努めております。しかしながら、半導体不足が長期化し、その影響により納期遅延が発生した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

(4)売上高の計上時期について

 

顕在化可能性:低

影響度:中

当社は納期管理を徹底しており当社起因による納期遅延の事例は少ないものの、大型開発案件等で検収時期が遅延し、計画通りに売上計上ができない場合があります。特に期末月の3月に予定されていた顧客の検収時期に遅延が生じた場合には、売上計上月が翌期にずれ込むことにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)特定の取引先(仕入先等)への依存について

 

顕在化可能性:中

影響度:中

当社は、複数のメーカーと調達契約を締結することで、購買ルートの分散を図っておりますが、顧客のニーズ等を勘案して取引先を選定した結果、特定の調達先からの仕入構成比が比較的高くなっております。2023年3月期においては、Pax Japan株式会社からの仕入が台数ベースで41%、金額ベースで45%を占めており、自然災害、感染症等の要因によりメーカーにおいて決済端末の生産体制に支障を生じるような事態が発生した場合など、予期せぬ事象の発生によって決済端末の調達が困難になり、収益機会の損失等により当社業績に影響を及ぼす可能性があります。また、仕入れた決済端末の不具合等によって当社責任の下交換が生じた場合や、仕入れる決済端末で予期せぬ問題等が発生した場合は、顧客からの信頼性の低下により、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6)特定のデータセンター業者への依存と災害リスクについて

 

顕在化可能性:中

影響度:大

当社の事業を支える決済処理センターは、当社が契約するデータセンターで管理されており、複数のサーバーによる負荷の分散、定期的なバックアップの実施等を図り、システム障害を未然に防ぐべく取り組みを行っております。障害が発生した場合に備え、リアルタイムのアクセスログチェック機能やソフトウエア障害を即時にスタッフに通知する仕組みを整備しており、障害が発生したことを想定した復旧訓練も実施しておりますが、特定のデータセンターを活用していることから、火災、地震等の自然災害や、外的大規模通信障害、外的破損、人的ミスによるシステム障害、その他予期せぬ事象の発生により、万が一、当社の設備及びネットワークの利用に支障が生じた場合には、サービスの停止等を余儀なくされることによる収益機会の損失、顧客からの信頼性の低下等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は2025年にデータセンターの移設を予定しており、既存データセンターの閉鎖時期も決定されております。災害対策を考慮したデータセンターを選定し、仮想化技術に長け決済系に精通しているベンダー選定、移行方式含めたアーキテクチャの第三者評価の実施、新データセンターを早期に構築し既存データセンターとの平行稼働することによる稼働確認期間と切替作業期間を十分に確保した移設計画と、バックアッププランを立て計画に基づき移設作業を行う予定でおります。しかしながら予期せぬ事象の発生等により、一時的にサービスの停止等を余儀なくされるなどサービス提供に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7)情報処理センターネットワークの利用について

 

顕在化可能性:低

影響度:大

当社の決済サービスは、株式会社エヌ・ティ・ティ・データが運営する「CAFIS」のネットワーク、株式会社日本カードネットワークが運営する「CARDNET」のネットワーク及び三井住友カード株式会社が運営する「stera」と連携するものもあり、今後これらのネットワークシステム障害等の理由により、当社のサービス提供が困難になる可能性があります。

また、株式会社エヌ・ティ・ティ・データは「INFOX」、株式会社日本カードネットワークは「JET-S」、三井住友カード株式会社は「stera」のサービス名称で、国内の主要な決済プラットフォームを提供しており、当社の決済処理センターはそのすべてと接続されております。これらの接続に関する契約終了等が発生した場合、当社の業績に対して影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

(8)技術革新への対応とシステムインフラ等への投資について

 

顕在化可能性:低

影響度:中

当社は新技術の積極的な投入を行い、適時に独自のサービスを構築していく方針ではありますが、技術革新等への対応が遅れた場合や、予想外に追加の設備投資等が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、事業の拡大に応じて、システムインフラ等への投資を実施、計画しておりますが、当社の想定を超える急激なユーザー数やアクセス数の増加、インターネット技術の急速な進歩に伴い、予定していないハードウエアやソフトウエアへの投資等が必要となった場合、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。一般的に、高度なソフトウエアは不具合の発生を完全に解消することは不可能であるとも言われており、当社のアプリケーション、ソフトウエアやシステムにおいても、各種不具合が発生する可能性があります。今後も信頼度の高い開発体制を維持・構築するために投資の実施を計画しておりますが、当社事業の運用に支障をきたす致命的な不具合が発見され、その不具合を適切に解決できない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9)「情報プロセシング」について

 

顕在化可能性:中

影響度:中

当社は、「情報プロセシング企業」への進化を標榜しており、当該事業は既存のキャッシュレス決済サービス事業のアセットを有効に活用して展開をはかることで最大限効率的に立上げを行う予定ですが、未だ先行投資のフェーズであり、新規事業の側面があることから事業の立ち上がりの遅延やシステムへの先行投資の発生によって、利益率が低下する可能性があります。また、展開した新領域への事業拡大・成長や、新組織が当初の予測通りに進まない場合、投資を回収できず、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

(10)情報漏洩リスクについて

 

顕在化可能性:低

影響度:大

当社のクレジットゲートウェイを利用する場合、クレジットカード番号を当社のコンピュータシステムに送信する必要があります。また、プリペイドサービスにおいてはクレジットカード番号のほかに氏名・住所・電話番号・メールアドレス等の個人情報の登録を求める場合があり、登録された情報は当社の管理下にあるデータベースにて保管しております。昨今、企業が保有する個人情報の漏洩が相次ぐ中、個人情報の扱いに対する社会的関心が高まっております。2017年5月に改正個人情報保護法が全面施行され、今後益々個人情報管理の徹底が必要となります。

このような中、当社は一般社団法人日本クレジット協会へ加入し、同協会で義務化されている個人情報保護指針に基づく個人情報管理の運用を実施しています。クレジットカード情報及び個人情報を守るために、プライバシーマークやPCI DSSの認定(有効期限2023年9月、1年更新でPCI SSCが認定する審査機関による監査に基づき更新されるもの)を取得し、個人情報の漏洩を未然に防止するよう努めております。PCI DSSは当社のクレジットサービスゲートウェイ提供の前提となっており、取り消し事由は明確に定められておりませんが、万が一、重大な個人情報漏洩等によりPCI DSSの認定がPCI SSCによって取り消された場合は認定再取得の期間において一部のサービス提供が困難になる可能性があり、当社の強みであるワンストップサービスを提供する当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、本日現在で許認可が取り消されるような事象は生じておりません。

また、当社は、取引先情報等、様々な企業情報を保有しています。当社では、情報セキュリティの基本方針を定め、外部及び内部からの不正なアクセスを防止する対策を行い管理しています。社内の情報セキュリティの状況を常に把握し、必要な対策を迅速かつ円滑に実施すべく情報セキュリティ委員会を設置し管理しています。クレジット決済サービス提供部門については、情報セキュリティにおける国際標準規格であるISO27001(ISMS認証)の認定を受け、情報漏洩を未然に防止するよう努めております。しかし、人為的なミスや、外部及び内部からの何らかの不正な方法により、クレジットカード情報や企業情報等の重要な情報が外部に流出した場合には、セキュリティインシデントに対する対応コストの発生や、当社への社会的信用の失墜が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

(11)知的財産について

 

顕在化可能性:中

影響度:中

当社は、第三者の知的財産権を侵害することのないように弁護士・弁理士等と連携し啓蒙及び社内管理体制を強化しておりますが、当社の事業分野における知的財産権の現況を完全に把握することは困難であり、当社が把握できないところで第三者が既に特許・著作権・その他知的財産を保有している可能性は否めません。また、今後当社の事業分野において第三者が当社より早く特許・著作権・その他知的財産を保護し、損害賠償又は使用差止等の請求を受けた場合は、当社の業績に何らかの影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(12)訴訟リスクについて

 

顕在化可能性:低

影響度:中

当社は、現時点において、係争中の訴訟を有してはおりませんが、当社事業分野において、第三者が当社より早く特許権・著作権・その他知的財産権が認められ、当社が高額の対価、損害賠償、又は使用差止等の請求を受けた場合や予期せぬトラブルの発生等により訴訟を提起された場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事実が判明したときは直ちに、事案に応じて、弁護士・弁理士等と連携し解決に努める体制が整っております。

 

 

(13)減損損失について

 

顕在化可能性:低

影響度:大

当社は、将来の収益獲得あるいは費用削減が確実であると認められた開発費用についてはソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)に計上しております。このソフトウエアについて、今後使用状況の変更やサービスの陳腐化等により収益獲得、費用削減効果が大幅に損なわれた場合や、利用期間が想定より短縮された場合に、ソフトウエアの償却や減損が必要になり、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

(14)親会社等との関係について

 

顕在化可能性:低

影響度:小

三菱商事株式会社は、当社の発行済株式総数の25.51%(2023年5月31日現在)を保有する筆頭株主であり、当社の「その他の関係会社」に該当します。当社は独自に経営方針・政策決定及び事業展開の意思決定を行っております。

 

①グループ内での位置付け

三菱商事株式会社は天然ガス、総合素材、石油・化学、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発等の幅広い産業を事業領域としておりますが、その中で当社はコンシューマー産業グループに位置付けられております。尚、三菱商事株式会社の企業グループ内において、当社の電子決済サービス提供事業と類似する事業を展開している企業はないため、競合の状況について該当事項はありません。

 

②親会社等との取引

三菱商事株式会社本体との直接の取引関係は、関連当事者取引に該当し2023年3月期で出向に伴う事務協力費31,560千円及び、自己株式の取得により1,500,000千円の支払いが発生しております。詳細は「第5 経理の状況1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(関連当事者情報)」を参照ください。

親会社等との取引については、一般株主との間に利益相反リスクが存在しますが、当社は実効的なガバナンス体制を構築することによって、一般株主の利益に十分配慮した対応を実施しております。

 

③人的関係

本書提出日現在、当社の役員10名のうち、三菱商事株式会社の従業員を兼ねる者は1名であり、豊富な経営経験から当社事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであります。

尚、三菱商事株式会社では人材育成及びキャリアパス形成等の観点から、積極的に事業投資先での人材交流が行われており、当社においても出向社員を受け入れております。本書提出日現在で三菱商事株式会社から当社へ出向している社員は3名(社外役員を除く)でありますが、業務分掌を受けた組織体の責任者である組織規程に規定される部室長、本部長、取締役の職制の人事については、独立性及び経営の安定性の観点から、原則として出向関係を解消し転籍した者とする方針です。

 

④資本関係

三菱商事株式会社は、当社の発行済株式総数の25.51%(2023年5月31日現在)を保有する筆頭株主であり、当社の「その他の関係会社」に該当します。

 

⑤親会社等からの独立性確保

当社の事業展開にあたっては、親会社等の指示や承認に基づいて行うのではなく、一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立役員、及び過半数を占める専任役員を中心とする経営陣の判断のもと、独自に意思決定して実行しております。

 

 

(15)特定の経営者への依存について

 

顕在化可能性:低

影響度:中

代表取締役社長 大高 敦は当社の創業者であり、経営方針や事業戦略等について、経営の重要な役割を果たしております。現在、当社では同氏に過度に依存しないよう、本部制を導入し各本部長により各本部体制を整備・強化しておりますが、現在の状況において、同氏が当社の業務を遂行することが困難となった場合には、当社の事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

 

(16)事業の拡大に応じた経営管理体制について

 

顕在化可能性:中

影響度:中

当社は、業容の拡大及び従業員の増加に合わせて内部管理体制の整備を進めており、今後も一層の充実を図る予定ですが、適切な人的・組織的な対応ができずに、事業規模に応じた事業体制、内部管理体制の構築が追いつかない場合には、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(17)人員の育成・確保について

 

顕在化可能性:中

影響度:大

当社は今後の更なる事業拡大に向け、引き続き、人員の採用を積極的に進めていく予定であり、また処遇や勤労環境の改善等に継続的に取り組んでおります。特に技術力の高い人材の確保が必要となる中、政府が発表している「2025年の崖」にもあります通り、国内の人的リソースの不足が見込まれており、当社が事業拡大に向け十分な人員採用を実現できなかった場合、あるいは技術力の高い人材が大量に流出した場合には、事業拡大の遅延等により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(18)配当政策について

 

顕在化可能性:中

影響度:小

当社は、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指すため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来、当事業年度を含め配当は実施しておりません。しかし、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針です。内部留保資金につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として、有効に活用していく所存であります。

 

 

(19)税務上の繰越欠損金について

 

顕在化可能性:高

影響度:中

2023年3月31日現在において、当社に税務上の繰越欠損金が存在しております。今後、当社の業績が事業計画に比して順調に推移し、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

  当事業年度末における資産合計は9,808,555千円となり、前事業年度末に比較して563,507千円減少いたしました。

 これは主に、流動資産において、短期借入金の返済等に伴い現金及び預金が558,435千円減少したこと、また固定資産において、減価償却等に伴う有形固定資産の減少148,994千円、ソフトウエアの新規投資等に伴う無形固定資産の増加68,273千円、繰延税金資産の計上に伴う増加147,282千円によるものであります。

(負債)

  当事業年度末における負債合計は4,852,465千円となり、前事業年度末と比較して246,919千円増加いたしました。

 これは主に、QR・バーコード決済の取扱いが増加したことにより預り金が1,022,973千円増加、未払金が360,557千円増加した一方、収益認識に伴う売上高への振替により契約負債が519,354千円減少、返済により短期借入金が500,000千円減少したことによるものであります。

(純資産)

  当事業年度末における純資産合計は4,956,089千円となり、前事業年度末と比較して810,427千円減少いたしました。

 これは主に、欠損填補による取崩し及び自己株式の取得及び消却により資本剰余金が2,845,272千円減少した一方、繰越利益剰余金の欠損填補ならびに当期純利益の計上により利益剰余金が2,017,792千円増加したことによるものであります。

 

②経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、コロナ禍からの緩やかな持ち直しが続く一方で、世界的なエネルギー・食料価格の高騰や世界経済減速の影響を受け、先行きは不透明な状況が続いております。

このような状況の中でも、政府はキャッシュレス決済の推進を国策として、2025年には同決済比率を40%、将来的に世界最高水準となる80%を目指しております(注1)。これを追い風に、キャッシュレス決済業界においては、生活様式の変化を踏まえつつ、無人店舗やモバイルを起点とした新たなサービスやソリューションが出現しました。

当社においても、当事業年度は、当社データセンターに17万台を超える新規端末が接続され、稼働端末台数は83万台となりました(2023年3月末)。これによりセンター利用料が継続して増加しており、キャッシュレス決済サービスは堅調に推移しております。また、情報プロセシングサービスにおいては、当事業年度から高い拡張性、高セキュリティを備えたクラウドPOSの商用展開を開始いたしました。クラウドPOSから取得したデータを活用するための「データレイク」の基盤構築にも着手し、当社データセンターの競争優位性をさらに高めるための取り組みを鋭意進めております。

これらの結果、当事業年度における売上高は7,831,435千円(前期比9.7%増)、売上総利益2,562,183千円(前期比12.4%増)、営業利益560,038千円(前期比21.2%減)、経常利益535,357千円(前期比24.8%減)となりました。また繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額△147,282千円の計上により当期純利益672,519千円(前期は当期純損失385,789千円)となりました。

なお、当社の事業セグメントはキャッシュレス決済サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

(注1)「キャッシュレス・ビジョン」経済産業省(2018年4月)

 

(参考情報)

 当社は、投資家が会計基準の差異にとらわれることなく、当社の業績評価を行い、当社の企業価値についての純粋な成長を把握するうえで有用な情報を提供することを目的として、財務諸表に記載された売上高以外に、当社の主要なサービスごとに外部顧客への売上高の推移を下表のとおり把握しています。またEBITDAを経営成績に関する参考指標としており、当該EBITDA及び算出方法は以下のとおりであります。

 

 日本基準に基づくEBITDA=経常利益+減価償却費+支払利息

                                            (単位:千円)

会計期間

第12期

第13期

第14期

第15期

第16期

売上高

4,977,125

8,169,935

6,451,089

7,139,159

7,831,435

(売上内訳)

 

 

 

 

 

センター利用料

1,608,390

2,367,075

3,133,165

3,496,550

3,822,014

決済端末販売売上

1,574,154

3,266,140

1,459,692

1,364,468

1,360,886

QR・バーコード

精算料

22,400

188,890

486,812

1,147,778

登録設定料等

473,975

1,209,290

631,720

728,445

647,724

開発売上

1,235,591

1,116,732

820,645

897,052

636,416

その他

85,013

188,296

216,973

165,829

216,615

経常利益

294,711

1,648,730

158,690

712,345

535,357

調整額:

+減価償却費

+支払利息

 

781,419

2,624

 

1,016,526

1,735

 

1,206,470

1,981

 

1,463,926

4,624

 

1,601,425

255

調整額小計

784,044

1,018,262

1,208,452

1,468,550

1,601,681

EBITDA

1,078,756

2,666,992

1,367,143

2,180,896

2,137,039

(注)「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第15期の期首から適用しており、第15期以降は当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、2,861,304千円となり、前事業年度末に比べて558,435千円減少いたしました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、2,803,902千円となりました。これは主に、減価償却費1,601,425千円、預り金の増加1,022,973千円、および税引前当期純利益540,461千円を計上する一方、契約負債が519,354千円減少したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、1,377,459千円となりました。これは、無形固定資産の取得による支出1,276,584千円、有形固定資産の取得による支出100,874千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、1,984,877千円となりました。これは主に、自己株式の取得による支出1,500,000千円、短期借入金の返済による支出500,000千円の一方で、新株予約権の発行による収入22,156千円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

b.受注実績

 当社は、受注から役務提供の開始までの期間が短いため受注実績に関する記載は省略しております。

c.販売実績

 当社は、提供するサービスについて、サービス内容に従って「センター利用料」、「決済端末販売売上」、「開発売上」、「登録設定料等」、「QR・バーコード精算料」、「その他」の6つに売上を区分しております。

 

センター利用料

電子決済処理の月額利用料

決済端末販売売上

非接触リーダー・ライター等の販売

開発売上

決済処理サービスに関連する開発売上

登録設定料等

決済処理センターへの登録料

QR・バーコード精算料

QR決済処理の利用料

その他

上記以外の売上

 

 当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はキャッシュレス決済サービス事業の単一セグメントであるため、上記のサービス別に記載しております。

 

(単位:千円)

 

サービスの名称

当事業年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

前年同期比(%)

センター利用料

3,822,014

109.3

決済端末販売売上

1,360,886

99.7

QR・バーコード精算料

1,147,778

235.8

登録設定料等

647,724

88.9

開発売上

636,416

70.9

その他

216,615

130.6

合計

7,831,435

109.7

 

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

当事業年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

金額

(千円)

割合

(%)

金額

(千円)

割合

(%)

株式会社日本カードネットワーク

1,352,078

18.9

1,431,164

18.3

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

809,782

11.3

778,205

9.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。

 

②財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

(売上高、売上原価、売上総利益)

 売上高については、主にセンター利用料及びQR・バーコード精算料が増加したことにより、7,831,435千円(前期比9.7%増)となりました。

 売上原価については、主に社内開発の決済システム等リリースによる減価償却費の増加により、5,269,251千円(前期比8.4%増)となりました。

 その結果、売上総利益は、2,562,183千円(前期比12.4%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費については、賞与支給増や時間外勤務手当の支給等に伴う人件費増加、QR・コード決済の取扱増による支払手数料の増加などにより2,002,144千円(前期比27.6%増)となりました。

 その結果、営業利益は560,038千円(前期比21.2%減)となりました。

(営業外損益、経常利益)

 営業外収益については、主に前期に発生した助成金収入の減少により2,945千円(前期比54.5%減)となりました。

 営業外費用については、主に株式公開費用の発生により27,626千円(前期比430.4%増)となりました。

 その結果、経常利益は535,357千円(前期比24.8%減)となりました。

(特別損益、当期純利益)

 特別利益については、新株予約権戻入益の発生により5,103千円(前期はなし)となりました。

 特別損失の計上はありません。

 法人税等合計については、主に繰延税金資産の計上による、法人税等調整額△147,282千円を計上したことによるものです。

 その結果、当期純利益は、672,519千円(前期385,789千円の当期純損失)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社は、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、運転資金や設備投資等の調達につきましては、自己資金、金融機関からの借入及びリースを基本としております。

必要な運転資金は、金融機関との当座貸越契約を締結し十分な借入枠を有しております。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

⑤経営者の問題意識と今後の方針に関して

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さ
い。

 

⑥重要な会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社は、新型コロナウイルス感染症による事業への影響も含め、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

 繰延税金資産の回収可能性

期末に税務上の繰越欠損金を有する場合の繰延税金資産の回収可能性の判断については、税務上の繰越欠損金が将来の一時差異等加減算前課税所得の見積額及び将来加算一時差異の解消見込額と相殺され、税金負担額を軽減することができると認められる範囲内で計上するものとされています。当社は、事業計画の算定においては、過年度実績、受注見込み及び市場動向を考慮して売上収益の成長を見積り、また、当社の設備投資計画等に基づいて営業費用の増加を見積っております。

将来の事業計画の算定に基づき一時差異等加減算前課税所得の金額を算出しております。繰延税金資産の金額は、今後の事業年度における一時差異等加減算前課税所得が見積りと異なった場合や、見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が異なる可能性があります。

 

⑦経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、主な財務指標としては売上高、当期純損益を特に重視しておりますが、KPIとしては、①全社の売上高、②「情報プロセシング」分野の売上高、③定常的収益源であるセンター利用料売上、④加盟店に対する物理的な「ラストワンマイル」であり非財務指標における当社の事業規模を示す当社センターへの接続端末台数、⑤将来の利益源泉となる開発投資を経常的に実施していることから過年度の投資の影響の少ないEBITDAの5点を事業計画上定めております。また、9つのマテリアリティで構成されるサステナビリティ・ステートメントを定め、持続的な成長と企業価値の向上を目指し、目標達成に向け注力してまいる所存であります。各指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

前事業年度

(自2021年4月1日

至2022年3月31日)

当事業年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

全社の売上高(千円)

7,139,159

7,831,435

情報プロセシング分野の売上高(千円)

71,036

117,553

センター利用料売上(千円)

3,496,550

3,822,014

接続端末台数(台)

696,000

833,000

EBITDA(千円)

2,180,896

2,137,039

 

 

5【経営上の重要な契約等】

当社は、決済業界における主要なプラットフォームである「INFOX」、「JET-S」、「stera」のすべてと当社センターが接続しており、これら個別の契約としては重要なものとして位置付けております。

 

契約締結年月日

契約の相手先

契約の名称

契約の内容

2020年3月9日

三井住友カード株式会社

TMN決済サービス利用契約書

三井住友カード㈱(以下SMCC)と当社の、SMCCが次世代プラットフォーム「stera」を提供するにあたり、「stera」加盟店向けに当社が接続を認めた決済端末を用いて「TMN決済サービス」を利用することについて定めた契約であります。

契約期間:2020年3月9日から2025年3月8日まで

     以降1年ごとの自動更新

2013年4月17日

株式会社日本カードネットワーク

業務委託契約書

㈱日本カードネットワーク(以下JCN)と当社の、当社がJCNに提供する「TMN決済サービス」に関し、JCNが当サービスを自らの顧客に提供するにあたり、当社がJCNに対し本サービスを提供するための契約であります。

契約期間:2013年4月17日から2014年4月16日まで

     以降1年ごとの自動更新

2011年4月15日

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

サービス提供業務委託契約書

㈱エヌ・ティ・ティ・データ(以下NTTD)と当社の、当社がNTTDに提供する「TMN決済サービス」に関し、当社は本サービスを組込んだNTTDの「INFOX-NET シンクライアント」サービスをNTTDが自らの顧客に提供するにあたり、NTTDに対し本サービスを提供するものとする契約であります。

契約期間:2011年4月15日から2014年4月14日まで

     以降1年ごとの自動更新

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。