第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針

 当社グループは、全社員が共有する理念・行動体系である「Futaba Way」の下、Futaba哲学の「本質之直視」により、事業戦略策定から業務執行全般・モノづくりの現場に至るまで、常に本質を見失うことなく事業を推進することにより、「なくてはならない器材・サービスを創出し世界の発展に貢献する」ことを企業理念としています。

 この理念を実現するために、AIやIoTなどの技術を取り込んだ「モノづくりの進化」、Futabaテクノロジーを進化・融合させた「新製品開発」に注力しています。さらに「モノづくりを基軸としたソリューション」による事業領域の拡大、「市場ニーズ」をダイレクトに商品企画や製造に反映させる取り組みの他、「選択と集中」により成長市場に向けた差別化と効率化を進め、継続的な企業価値の向上を図っています。

 また、コンプライアンスの徹底による公正で透明性の高い経営を実践するとともに、当社グループの製品やサービスの提供を通じて企業価値を高め、さらに持続可能な社会の実現を目指し、事業活動に取り組んでいます。

 

(2)経営環境

 当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の継続的な影響に加え、エネルギーコストの高騰、欧米での政策金利の引き上げに伴う急激な為替の変動、さらに半導体をはじめとした部材調達難による各製品の納期調整、中国でのロックダウンによる生産調整の影響を受ける等、厳しい経営環境となりました。

 このような経営環境の変化を取締役会他、執行役員を含めた経営会議等の場で電子デバイス関連事業および生産器材事業の主要製品ごとに影響を検討し適時対応してきました。

 今後の状況については、世界経済は2023年後半にかけて緩やかな回復が見込まれているものの、ウクライナ情勢、米国による金利政策の行方、各国の新型コロナウイルス感染症等の影響に伴うエネルギーコストおよび運送費の高騰、半導体をはじめとする部品の需要バランス等、依然として不透明な状況が予想されます。我が国の経済については、資源価格の上昇や急激な円安状況を背景に物価は総じて上昇しており、今後しばらくは物価高が継続する動きが見られると予想されますが、コロナ禍からの回復によるインバウンド需要も見込まれ、サービス分野を中心とした景気の回復も期待されています。

 当社を取り巻く市場環境は依然不透明な状況が予想されますが、中長期的な市場ニーズでは、コネクテッド、EV化、自動化等の高付加価値化およびサービス、エネルギー、デジタル、インフラ等の領域においてソフトウエア・システム化を駆使した多様なモビリティ活用製品や耐環境製品に加え、検査・監視、生産合理化支援等のニーズが高まることが予想されています。

 このような状況から、電子デバイス関連事業および生産器材事業では、センサーや無線技術を活用した融合商品、IoT機器やサーボ関連機器、UAV関連機器、成形・生産合理化機器等への継続的な需要が見込まれると捉え、タイムリーな市場投入を進めるとともに、持続的な成長に向けた体質の改革を図っていきます。

 

(3)中期経営計画と目標とする経営指標

当社グループは、企業ビジョンとして掲げております「Futabaテクノロジーを進化させ、世界で躍進するリーディングカンパニーを目指します」という将来ありたい姿の実現に向けて、中期的な戦略、方針を示すために、3カ年の中期経営計画を策定しております。

① 中期経営計画(Futaba Innovation Plan2023)の振り返り

 当社グループは、2020年度から2022年度までの3年間を前中期経営計画(Futaba Innovation Plan2020)の期間に取り組んできた新製品や新規事業の成長を促進させる「萌芽ステージ」と位置付けて、次の3つの基本方針の基、事業活動に取り組んできました。

「体質の改革」:事業ポートフォリオの再構築、組織再編、コスト構造改革により実現

「深化と拡張」:固有技術を進化させ、利便性の高い製品を供給し、合理化ソリューションを提供することで、新たな領域へと事業を拡張

「投資と挑戦」:積極的な投資を行い、新たな価値を持続的に創出するための挑戦を促進

 「体質の改革」においては、コスト構造改革での国内・海外拠点の統廃合により固定費の大幅削減を図ったものの、事業ポートフォリオの再構築によっての抜本的な収益構造の改革までには至らず課題が残る結果となりました。

 「深化と拡張」においては、新事業領域への展開として産業用ドローンや生産器材事業での生産性向上に寄与するWEB受託加工サービスなど複数の製品・サービスの上市を図ったものの、大きく売上げを伸ばす計画となっていたタッチセンサーと有機ELディスプレイの新製品は市場ニーズとの乖離もあり、目標としていた売上高を下回る結果となりました。

 「投資と挑戦」においては、新型コロナウイルス感染症の影響による自動車・工作機械などの当社主要市場の低迷を受け、設備投資計画を後ろ倒したことやタッチセンサーと有機ELディスプレイを中心に新製品の方針見直しを行なったことで、投資計画と実績が乖離する結果となりました。

 最終年度の経営目標に対する連結業績の結果は下記のとおりで当初の計画を下回る結果となりました。

  目標:売上高640億円 営業利益23億円

  実績:売上高603億円 営業損失24億円

 

② 目標とする経営指標と次期中期経営計画について

 前述のように、当社グループは2020年8月5日に中期経営計画「Futaba Innovation Plan 2023」を発表し、コスト構造改革による収益改善を最優先に掲げ、収益を追求する経営体質への変革に取り組んできましたが、電子デバイス関連事業における大きな損失計上を主要因に4期連続の営業赤字となり、当社グループの財務基盤を著しく毀損いたしました。この結果を真摯に受け止め、2023年度中の中期経営計画の更新を延期し、単年度の事業再生計画「Re-Futaba–考動(決意と約束)–」を実行いたします。

本計画に基づき、構造改革を断行し、持続的に成長できる体制に立て直しを進め、2024年3月期の連結業績は売上高560億円、営業損失12億円と収益性の確実な向上を目指していきます。

また、次期中期経営計画は、2024年度に公表する予定です。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 全社共通事項では、世界的な原材料、エネルギーコストや運送費などの高騰に対する、一層の生産性向上や固定費削減の取り組み、および適正在庫管理の徹底、適正売価政策などを実行いたします。また、全社的なデジタル化と業務の効率化、および保有資産の継続的な見直しを進めます。

 事業別には、電子デバイス関連事業のタッチセンサーは、2024年度に一部製品を除き、自社生産を終了し、今後は自社設計および外部生産を基本としたモジュール事業へ転換を進めます。 また、有機ELディスプレイは、2024年度に自社生産を終了し、今後は2022年10月に事業提携契約を締結いたしましたRiTdisplay Corporationの高い生産能力とコスト競争力に、当社の車載信頼性技術を融合し、付加価値を向上させた有機ELディスプレイの販売および当社でのモジュール化を実施したディスプレイモジュールの販売を推進します。さらに、新領域としてモビリティのEV化に伴い、リチウムイオンキャパシタ・リチウムイオン電池用「タブリード」の市場開拓および高機能化を推進します。

 続いて、システムソリューションは、中長期のありたい姿として「お客様の時間を創出し、ありたい社会の実現に貢献」と設定し、無線・システム・ロボティクス技術の深耕化で事業領域を拡大していきます。具体的な取り組みとしては、ドローン関連製品は開発を促進するとともに、ハードウエア製品を核に機体メンテナンス・スクールなどのサービス事業への領域拡大と市場開拓を行います。また、各種センサーと無線技術を融合させた製品の開発および市場開拓を図ります。産業用サーボにおいては、UAV/FA市場をターゲットとし、開発と拡販を強化していきます。EMSでは既存顧客の深耕化により次世代製品の継続獲得と高い信頼性を求められる市場に対し拡販を強化し、新規案件の獲得を図っていきます。

 ホビー用ラジコン機器は、中長期のありたい姿として「新技術の継続的な導入と魅力的な製品提供」と設定し、ホビー用ラジコン市場をリードし強みを生かした製品・サービスを展開していきます。具体的な取り組みとしては、BtoCとして継続的にカー用・空用の新商品を投入し、SNS等を活用した情報の発信・収集による市場の活性化とシェア拡大を目指します。また、UAV/ドローンの航続距離延長を目的としたエンジン、スターター、発電機が一体となったシステム「レンジエクステンダー」を産業用途へ拡販していきます。海外展開として米州・欧州・中国地域以外の未開拓地域への拡販と、米国開発部門設置により現地ニーズを反映した製品のタイムリーな市場への提供を推進していきます。

 生産器材事業は、中長期のありたい姿を「モノづくり業界内でプレゼンスのさらなる向上」とし、金型器材加工を基礎にソリューションを提供し業界に貢献していきます。具体的な取り組みとしては、金型用器材・プレート製品は、多様化する市場要求に合わせ、合理的な自動化生産体制を構築し、納期や品質で顧客満足度の向上を図ります。また、WEB受注システムやオンデマンド受託製造サービスによるお客様への合理化支援サービスを強化するとともに、省エネ・加工時間短縮に寄与するCFRP製切削加工用厚板プレート「フェルカーボ」の用途開拓と拡販を図ります。昨今の市況変化から厳しい経営環境が継続しており、国内では小型モールドベースの市場縮小に伴う生産拠点の集約、中国子会社では適正人員体制でのターゲット業界・お客様に特化した活動による業務効率化を図ることで収益性の向上を目的とした構造改革を実施いたします。

 成形・生産合理化機器については、金型内計測システムおよびホットランナシステムの海外販売強化と売上構成比の拡大を図ります。また、新たな販売・マーケティングツールであるランディングページの充実やウェビナーのさらなる活用およびお客様へのSDGs貢献を提案し、工作機械IoTモニタリングシステム等の拡販を図っていきます。

 なお、新型コロナウイルス感染症からの回復期を迎えておりますが事業活動への影響が残っている部分もあり、対策を継続していきます。電子デバイス関連事業では半導体の需給逼迫による生産遅れのリスクを最小化すべく、設計変更や代替品採用など、その対策をグローバルに実施します。また、長期的には災害時の状況確認のための製品やデジタル関連、テレワーク需要、医療関連といった新たな市場や機会が再認識され、独自の技術による高付加価値製品の開発やアッセンブリなど事業領域の拡大を行います。生産器材事業では部品供給体制についてBCP観点でのサプライチェーンの再検討、人手不足による自動化投資、遠隔操作やデータ取得による生産性の向上への寄与など、ハードウエアを中心としたソフトウエア・サービスへ事業ポートフォリオの転換を推進していきます。

 

 今後とも感染再拡大に伴う経済活動への影響を注視することにより、リスクや不測の事態を想定し、経営環境の変化に臨機応変に対応できる体制の構築や柔軟な働き方への取り組みを実施し、迅速かつ的確な研究・製品開発と生産体制の構築を推進していきます。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)全般

①基本方針

 当社グループは、商品・サービスの提供を通じて企業価値を高めつつ、自然の営みを尊重し、次世代へ「負の遺産」を残さないよう、環境負荷の低減に取り組み、持続可能な社会の実現を目指します。

②ガバナンス

 当社グループは、環境面において、「気候変動問題」と「資源の有効活用」の2つのアイテムを、また、社会面において、「人財育成」、「ダイバーシティの実現」、「従業員の健康と安全の確保」、「人権への取り組み」、「働き方改革の推進」の5つのアイテムを優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)と捉え、真摯に向き合い、事業に影響するリスクと機会への理解を深め、それぞれのマテリアリティに対して指標と目標を明確化し、実現に向けて推進しています。

 気候変動問題については、「脱炭素社会の実現」を目指してCO₂排出量の削減に取り組んでいます。環境負荷の低減については、資源の有効活用の観点から廃棄物の有価物への移行およびリサイクル率向上に取り組んでいます。

 人的資本については、従業員の成長なしには企業の持続的な成長はないとの考えから、人財育成のための教育プログラムの充実を進めるとともに、多様な人財が働きがいをもって働き続けることのできる環境づくりに取り組んでいます。

 これらサステナビリティへの取り組みを一体となって加速させ、持続可能な社会の実現に貢献すべく、2021年10月に、代表取締役社長を委員長としたSDGs推進委員会を設置いたしました。委員会が主催するSDGs会議(マネジメントレビュー)を原則として年2回(6月、12月)開催し、サステナビリティに関する事項の審議・報告を行い、重要事項については、必要に応じて取締役会に報告し、取締役会が監督する体制となっています。

③リスク管理

 リスク管理体制として、コンプライアンス・リスク管理委員会(以下CR委員会)を設置し、グループ全体のリスクの管理の識別・評価・管理を実施しています。CR委員会は、リスクアセスメントを定期的に実施しています。リスクの脅威に関する影響度および発生可能性の両側面で一元的なマトリクス分析を実施の上、優先順位の高いリスクを全社レベルで抽出し、対策と結果を取締役会に報告しています。

 SDGs推進委員会は、抽出された課題をリスクとして捉え、CR委員会と連携し、取締役会に報告しています。

 

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(2)気候変動への取り組み

①戦略

 当社グループは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のRCP2.6(1.5℃シナリオ)、RCP8.5 (4℃シナリオ)を参照し、国際的な議論の動向や当社事業への影響度を考慮して重要なリスクと機会の抽出と財務影響度を評価しています。

 気候変動に伴うリスクと機会を認識し、「脱炭素社会の実現」を目指してCO₂排出量の削減のほか、お客様にとってCO₂排出量削減につながる製品・サービスの提供等を行なっています。

②指標と目標

 当社グループは、2050年度までにエネルギー使用に伴うCO₂排出量(Scope1、Scope2)を実質ゼロにすることを目指して、2030年度に向けたCO₂排出量の削減目標を策定し、指標をモニタリングし、施策の進捗管理および有効性評価を実施しています。

 2022年度末時点におけるグループ全体の削減率は、2013年度実績に対し32.0%となりました。2021年度に対し削減率が5.4ポイント低下しましたが、2022年4月から削減対象拠点を追加したことが要因となります。

 今後は削減対象をサプライチェーン全体に拡大(Scope3を追加)し、削減活動を推進していきます。2023年度中に当社単体の排出量の算定および開示を目指し、2025年度までに当社グループ全体の排出量の把握、2026年度以降に目標値を設定の上、削減活動を開始する予定です。

 

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(3)資源の有効活用への取り組み

①戦略

 当社グループは、限りある資源を大切に使うため、廃棄物を細かく分解・分別し、有価物として処理することで再資源化に取り組んでいます。樹脂類は5種類に、金属類は8種類に適切な分別を行うことで資源の有効活用、天然資源使用の削減に貢献しています。また、この取り組みにより財務面においても、当社グループの廃棄物処理費削減の効果が得られています。今後も継続して廃棄量の発生抑制(分解・分別の徹底)を図っていくとともに、再資源化を推進してまいります。

②指標と目標

 当社グループは、2030年度末までにリサイクル率99%以上の達成を目標として、指標をモニタリングし、施策の進捗管理および有効性評価を実施しています。2022年度の当社グループ全体におけるリサイクル率は92.3%でした。排出量については、2021年度に対し増加となっていますが、対象拠点追加に伴うものとなります。

 

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(4)人的資本・多様性への取り組み

①戦略

 当社グループは、「会社で最も大切なのは人」という考えから、人材を「人財」と表現しています。当社グループにおける人財戦略の中で、「人財育成」、「ダイバーシティの実現」、「従業員の健康と安全の確保」、「人権への取り組み」、「働き方改革の推進」の5つのアイテムを重要課題(マテリアリティ)と捉え、指標と目標を設定の上、グローバルな活躍の期待できる人財の育成と、働きがいのある環境づくりに積極的に取り組んでいます。

<人財育成>

 「将来的なコア人財」を育成するために、職位・階層に応じたさまざまな研修を計画し実施しています。新卒入社の従業員に対しては、入社3年目まで毎年「フォローアップ研修」を実施しています。

 また、次世代の核となるグローバル人財育成の一環として、入社5年目までの従業員を対象に、海外グループ会社へ一定期間赴任する研修制度を設定し、実施しています。これまでの参加者は、現地従業員と共に実践的な業務経験を積み、当社グループでの活躍の場を広げています。

 その後は「管理職候補者を対象とした研修」、「幹部人財を対象とした研修」などを実施し、従業員のキャリア形成を支援しています。

<ダイバーシティの実現>

 当社グループは、「女性活躍の促進」、「外国籍人財の雇用推進」、「障がい者の雇用推進」、「シニア人財の雇用推進」に取り組んでおり、その中でも女性活躍の促進は、加速を要する喫緊の課題と捉えています。また、管理職を対象に「女性社員活躍推進研修」を実施し、女性従業員育成のための考え方や取り組み方を学んでいます。さらに、女性従業員が当社で永続的に活躍できるように、自身のキャリアについて考える「キャリア教育研修」も実施しているほか、これまで男性の仕事と思われていた業務についても、環境などの見直しを実施し、職域の拡大に取り組んでいます。

<従業員の健康と安全の確保>

 当社は、毎年全社安全衛生統合管理者が全社安全衛生管理方針を出し、各職場ではこの方針に基づいた年間計画を策定し実行しています。また、毎年社内安全衛生スローガンを募集・選出し、全社への周知を行うことで、従業員の安全衛生に対する意識の維持・向上を図っています。

 また、暦年ゼロ災害を目標に掲げ、リスクアセスメント、安全教育と安全巡視の実施により、労働災害の未然防止に努めています。さらに、入社3年目の従業員を対象とする安全面に対する体験実習や、衛生面に対するセミナーを実施しています。

<人権への取り組み>

 当社は、就業規則において人権の尊重やあらゆる差別的取り扱いを禁止することを明示しているほか、企業倫理を明文化した「社員倫理行動規範ガイドブック」を配付し、周知徹底を図っています。また、ハラスメント防止教育を定期的に実施しています。

<働き方改革の推進>

 当社は、従業員が生き生きと働ける「働きがい」のある職場環境を目指し、さまざまな労務管理の改善を実施しています。働き方改革として、計画年休、テレワーク、兼業・副業、育児・介護休職、短時間勤務および年次有給休暇の一斉行使などの制度を整備し、推進しています。また、全従業員を対象に毎年ストレスチェックを実施し、従業員自らがメンタルヘルス不調の未然防止を図るとともに、職場環境の改善に活用しています。

②指標と目標

 当社グループでは、別表1に示すように人的資本・多様性に関する各マテリアリティに対して、指標と目標を設定し、施策の進捗管理および有効性評価を実施しています。

 グローバル人財育成研修は、新型コロナウイルス感染症への対応から2020年度から2022年度は未実施でしたが、2023年度より再開する計画で進めています。管理職候補者を対象とした研修の受講者数について、2022年度は目標を大幅に超えていますが、既存対象者の受講を一斉に実施したためです。2023年度以降は新規昇格者のみが対象となります。

 女性活躍の促進については、管理職への登用を継続して推進しますが、そのためには、正社員および新規雇用比率を向上させる必要があると考えています。女性従業員によるリクルーター活動の活性化や女性活躍推進施策の積極的なPR等を実施していきます。なお、正社員における2022年度の女性比率は、目標を超える結果となっていますが、現在当社で進めている事業ポートフォリオの見直しにより、2023年度は約25%に低下する見込みです。

 年休取得率については、積極的に年次有給休暇の取得を促すともに、休暇制度の見直し等を進めることにより、向上を図っていきます。

 

(別表1) 人的資本・多様性に関する指標と実績

マテリアリティ

取り組み

指標

2022年度実績

目標

人財育成

グローバル人財の育成

研修参加者数

0名

3名/年

幹部人財の育成

研修参加者数

18名

25名以上/年

管理職候補者の育成

研修参加者数

78名

40名以上/年

ダイバーシティの実現

女性活躍の促進

女性比率

管理職

13.8%(0.6%)

2030年度末までに20%以上

正社員

27.4%(12.8%)

2030年度末までに26%(18%)

新規雇用

18.8%(15.9%)

2030年度末までに38%(30%)

従業員の健康と安全の確保

労働災害の撲滅

休業4日以上の労働災害発生件数

1件

0件/年

人権への取り組み

ハラスメントの防止

ハラスメント教育の受講率

100%

100%

働き方改革の推進

育児と仕事の両立支援

育児休職後の復職率

100%

100%

男性の育児休職取得率

42.9%

2025年度末までに50%以上

ワークライフバランスの実現

年休取得率

70.6%

80%以上

(注)1. 連結グループにおける算定が困難であるため、2022年度の実績および目標は、女性比率を除き、当社単体の数値となります。

2. 2022年度のグローバル人財育成研修は、新型コロナウイルス感染症への対応から実施していません。

3. 女性比率の2022年度実績および目標内の()内数値は、当社単体の実績および目標となります。

4. 当社単体の管理職における女性比率の目標は、「積極的に登用」となります。

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローの状況への重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。

これらのリスクに対応するため、平時および有事におけるリスク管理の定めに基づいて、リスクの把握とその評価を行い、対応方針の策定と整備を行なっています。また、有事においては対策組織を立ち上げ、迅速かつ適切に対応することで、被害や損害の最小化を図っています。

なお、当該事項は有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において判断した記載となっており、現時点では予測できない又は、重要と見なされないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

 

カテゴリー

リスク項目

リスク内容

対応策

事業戦略

市場ニーズ・

技術の急速な変化

市場ニーズの急速な変化、技術の進化への適切な対応が当社の製品・サービスの付加価値となっており、十分な対応が取れないことや、成長分野への積極的投資等の回収計画未達により、業績や成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

多様化するニーズや技術革新に対応するために、研究開発部門で技術動向による新たな固有技術の探求、営業部門で市場・顧客ニーズの把握を行い、それに基づき各事業で1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等の「(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載の施策に取り組んでいます。

また、設備投資については、計画段階での審査に加え、定期的に回収状況を確認しています。

 

競争の激化

それぞれの事業の関連する分野において、他業種からの新規参入も含めて価格競争が激化する可能性があり、想定を超える価格競争が発生した場合には、売上高、市場シェア、利益等に影響を及ぼす可能性があります。

各事業分野において、徹底した原価低減によりコスト競争力を高めるとともに、独自技術や品質・信頼性で競合他社と差別化を図り、シェア拡大を図っています。

さらに、市場の動向や競争の状況によって事業ポートフォリオの見直しを行なっています。

財務

金融市場の

変化

取引先および取引地域が世界各地に渡っており、外貨建てで取引され、製品、サービス等のコストおよび価格が、為替変動による影響を受けます。また、金融変動、インフレ、デフレ等が予想を超えた場合、業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

米ドル建てを主としており、一部は為替予約を実施し、定期的な外貨建て資産の見直しによる売却等で、リスクを軽減させる措置を講じています。

製造および

サプライチェーン

品質問題

製造販売する製品は技術製品であり、その用途が拡大するなどの原因により、未知の分野や予期せぬ環境での使用に伴う不具合の発生などで、信用低下につながる場合があり、業績および財務状況へ影響を及ぼす可能性があります。

IATF16949やISO9001の認証取得を含む品質保証体制の確立およびレベルの高いサービス体制の構築に努めています。また、万が一に備えPL保険等の損害賠償責任保険に加入し、賠償額の負担軽減を図っています。

 

コスト競争力

グループ外調達により原材料、部品、サービスの供給を受けており、部品・材料・原油等の予想を超える価格の高騰が生じた場合の他に、歩留や生産性の低迷により、コスト競争力で他社に遅れを取る可能性があります。また、棚卸資産が陳腐化した場合には損失が発生し、業績や事業等に影響を及ぼす可能性があります。

製品設計や材料のVA/VE、コスト競争力のある部品・材料の調達の他に、自動化および最適地生産も含めコスト削減を図っています。また、棚卸資産の停滞や過剰の発生を極力抑え、評価損等を軽減させる取り組みも行なっています。

 

 

カテゴリー

リスク項目

リスク内容

当社の対応策

研究開発

技術革新

世の中の技術革新が急激に進化し、その対応に遅れるだけでなく、新たな表示デバイスの出現や代替品の出現等で、当社の既存製品が陳腐化し、市場を奪われ、業績や事業等に影響を及ぼす可能性があります。

「なくてはならない器材・サービスを創出することで、世界の発展に貢献する」ことを企業理念としており、顧客価値を追求した事業モデルの開発、先鋭化(新技術の探求、要素技術開発)、外部リソースを融合したソフトウエア要素や共鳴する技術の獲得に取り組んでおり、成長分野への積極投資も行なっていきます。

 

知的財産権

独自に開発した技術などが、グローバルな競合の中で、第三者より知的財産権に基づく権利の主張を受ける可能性が常に存在します。また、営業秘密の予期せぬ流出により、競争力が低下することもあり、その場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

製品の差別化と競争力強化のために、独自に開発した技術を特許権などとして権利化するとともに、ノウハウなどの営業秘密については、企業秘密管理規定により管理しており、それらを活用した市場競争力のある新製品の開発に注力しています。

人財

人財の確保

営業部門、研究開発部門、技術部門、製造部門、間接部門の全ての部門において、優秀な人財を確保する必要があります。しかしながら、少子高齢化に伴い、若手社員の確保が難しくなり、優秀な社員の引き抜きや、今後の定年退職者の増加により技能の継承ができず、将来の事業運営等に影響を及ぼす可能性があります。

継続的に優秀な人財を確保するために、新卒採用の他に、専門性の高い人財の中途採用を継続的に行うとともに、人財の定着にも配慮しています。また、人員不足に対応すべく技能に頼らない自動化生産体制の構築も行なっています。

災害

自然災害・

感染症

南海トラフを原因とする巨大地震や首都圏直下地震をはじめとする火災、風水害、火山噴火等の自然災害の他に、新型インフルエンザや、新型コロナウイルス等の感染症が発生した場合、リスクとして取引先の倒産等による影響を含め全てを回避することは困難であり、昨今の気候変動などに伴う災害の大規模化も含め、事業運営および業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、大地震等の大災害発生時における対応策を予め策定・準備し、日頃より各種災害対策訓練の他に、大災害が発生した場合も、社長自らを本部長とする災害対策本部を設置し、人的・物的被害を最小限に抑え、事業を中断することのないようにBCP(事業継続計画)を準備しています。また、政府から発信される情報に基づき、感染症などへの対応も行なっています。

情報

情報セキュリティ

従業員やハッカーなどの外部の人間によるインターネットの悪用、ウイルス侵入、顧客情報や機密情報の流出、データ紛失・改ざんなどが発生した場合、生産活動の停滞および停止に陥り、業績や事業等に影響を及ぼす可能性があります。

ネットワークへの侵入防止・外部のセキュリティオペレーションによる監視、並びにソフトウエアのアップデート適用管理を行なっています。障害発生時の連絡体制は、関係会社も含めて構築し運用しています。また、ITセキュリティ教育および訓練は定期的に実施しています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の概要

(1) 経営成績

 当期の経営成績

 当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響について、国内における行動制限や海外からの入国制限の緩和など徐々に社会・経済活動の正常化に向けた動きがみられたものの、円安や資源・エネルギー価格の高騰による輸送費や原材料価格の上昇など、依然として厳しい状況が続きました。

 世界経済におきましても、資源・エネルギー価格の高騰などによる欧米を中心としたインフレの進行とそれを抑制するための政策金利引き上げ、ウクライナ情勢の長期化、急激な為替変動など先行きが不透明な状況が継続しています。

 こうした経済情勢下、当社グループは当連結会計年度が最終年度となる第2次中期経営計画(Futaba Innovation Plan 2023)に基づき、コスト構造改革による収益の改善と積極投資による事業成長の促進に努めました。

 なお、当期に実施した主な取り組みは、以下のとおりです。

(コスト構造改革)

・有機ELディスプレイのコスト競争力を強化するため、台湾企業と事業提携を締結

・ドイツ子会社の事業を休止し、欧州市場の情報収集・広告宣伝・販売代理店の支援を目的に欧州駐在員事務所を設立

・円安や資源・エネルギー価格の高騰による輸送費や原材料価格の上昇に対応するため、適正売価政策を推進

(事業成長の促進)

・新製品であるリチウムイオンキャパシタ・リチウムイオン電池用「タブリード」の量産を開始

・産業用ドローン関連製品について、専用ウェブサイトの開設や実証実験の推進、防災分野への積極的な展開

・ホビー用ラジコン製品では、空用プロポや920MHz帯RFモジュール「TM-18」などの新製品を上市

・生産器材事業では、金型内計測システムの専用ウェブサイト開設やウェビナーの活用によりデジタルコンテンツを拡充

・「未来創生3号ファンド」に出資し、投資を通じた異業種との交流により新たな事業の創出を推進

 

 以上の結果、当期における売上高は603億2千6百万円(前期比12.9%増)となりました。このうち海外売上高は347億6千7百万円(前期比16.1%増)となり、国内売上高は255億5千8百万円(前期比8.7%増)となりました。収益面では、営業損失は23億8千7百万円(前期は営業損失18億6千3百万円)となりました。また、経常損失は11億3千4百万円(前期は経常損失6億5千4百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は、減損損失を計上したことにより34億9千9百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失26億6千8百万円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

① 電子デバイス関連

(主な製品:タッチセンサー、有機ELディスプレイ、蛍光表示管、複合モジュール、産業用ラジコン機器、

      ホビー用ラジコン機器等)

 タッチセンサーでは、顧客における半導体をはじめとした部材の調達難が一部で解消したことで、海外での車載用途が順調に推移し、円安の影響も受けたことから売上げは前期を上回りました。

 有機ELディスプレイでは、構成比率の高い海外での映像用途が好調に推移し、円安の影響も受けたことから、売上げは前期を上回りました。

 複合モジュールでは、半導体の調達難が一部で解消したことで、国内での計測器用途や娯楽用途、EMSの車載用途や事務機用途が順調に推移し、円安の影響も受けたことから、売上げは前期を上回りました。

 産業用ラジコン機器では、トラッククレーン向けは低調に推移しましたが、FA向けが好調であったことから、売上げは前期を上回りました。

 ホビー用ラジコン機器は、新製品の販売などにより、国内、欧州ともに堅調に推移し、円安の影響も受けたことから、売上げは前期を上回りました。

 営業損失は、売上げの増加による操業度の良化に加えて、拠点集約によるコスト削減効果が出たものの、半導体等の部材調達難を回避するために原材料を先行手配したことにより棚卸資産が増加したことから在庫関連損益が悪化しました。また、海外製造拠点においてエネルギーコスト高騰の影響も受けたことから、前期並みとなりました。

② 生産器材

(主な製品:プレート製品、金型用器材、成形・生産合理化機器)

 国内では、市場の回復に遅れがみられ、成形・生産合理化機器が低調に推移したものの、引き続き適正売価政策を推し進めたことから、売上げは前期並みとなりました。

 海外では、主力の韓国において、携帯電話向けが低迷したものの、自動車関連での需要に回復がみられたほか、円安の影響も受けたことから、売上げは前期を上回りました。

 営業利益は、鋼材価格の上昇に対し適正売価政策の推進や円安の影響も受けたことにより売上げは増加したものの、度重なる鋼材価格の上昇に対して販売価格への転嫁が一部遅れたこと、また、国内外製造拠点においてエネルギーコスト高騰の影響も受けたことから、前期に比べて減益となりました。

 

(2) 当期の財政状態の概況

(資産、負債、純資産及びキャッシュ・フローの状況に関する分析)

① 総資産は、現金及び預金や有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べ23億1千6百万円減少し、981億1千8百万円となりました。

  負債は、電子記録債務や未払法人税等の減少などにより、前連結会計年度末に比べ7億3千9百万円減少し、129億7百万円となりました。

  純資産は、利益剰余金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ15億7千7百万円減少し、852億1千万円となりました。この結果、自己資本比率は75.2%となりました。

② 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は155億2千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億5千8百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、58億2千9百万円(前期は60億7千1百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失25億2千3百万円や棚卸資産の増加額24億2千1百万円などによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は、10億5千6百万円(前期は13億4千7百万円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入6億1千6百万円などによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、14億5千8百万円(前期は16億2千万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額8億9千3百万円などの支出によるものです。

(3) 生産、受注及び販売の実績

 ① 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

電子デバイス関連(百万円)

26,125

125.8

生産器材(百万円)

29,954

108.6

 合  計 (百万円)

56,079

116.0

 (注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでいます。

2.金額は売価換算値で表示しています。

 

 ② 受注実績

 製品の性質上、原則として需要予測に基づく見込み生産を主体としていますので記載を省略しています。

 ③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

電子デバイス関連(百万円)

27,294

120.1

生産器材(百万円)

33,031

107.5

 合  計 (百万円)

60,326

112.9

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当

  該割合が100分の10以上の相手先が無いため、記載を省略しています。

(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りについては、過去の実績を勘案し、合理的に判断していますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

 

 ② 経営成績の分析

当連結会計年度の当社グループの売上高は603億2千6百万円、営業損失は23億8千7百万円、経常損失は11億3千4百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は34億9千9百万円となりました。

売上高については、前期比12.9%増となりました。収益面では、蛍光表示管事業の終息に伴う保有在庫の整理を実施したことに加え、顧客要請に伴う出荷延期や、部材欠品を回避するための原材料先行手配による在庫の増加により、在庫関連損益が悪化し、さらに、国内外の製造拠点においてエネルギーコストの高騰影響を受けたことにより営業損失は23億8千7百万円(前期は営業損失18億6千3百万円)となり赤字拡大となりました。経常損失は為替差益を計上したものの営業損失の拡大により11億3千4百万円(前期は経常損失6億5千4百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、減損損失を計上したことなどから34億9千9百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失26億6千8百万円)となりました。

 ③ 財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金や有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べ23億1千6百万円減少し、981億1千8百万円となりました。

当連結会計年度末の負債は、電子記録債務や未払法人税等の減少などにより、前連結会計年度末に比べ7億3千9百万円減少し、129億7百万円となりました。

また、当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ15億7千7百万円減少し、852億1千万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末75.3%から0.1ポイント減少して75.2%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末に比べて42円98銭減少して、1,739円57銭となりました。

 

 ④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

・ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は155億2千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億5千8百万円減少しました。

 営業活動の結果使用した資金は、58億2千9百万円(前期は60億7千1百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失25億2千3百万円や棚卸資産の増加額24億2千1百万円などによるものです。

 投資活動の結果獲得した資金は、10億5千6百万円(前期は13億4千7百万円の獲得)となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入6億1千6百万円などによるものです。

 財務活動の結果使用した資金は、14億5千8百万円(前期は16億2千万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額8億9千3百万円などの支出によるものです。

 

・ 資金需要及び財務政策

 当社グループでは、今後もグローバルな市場への展開のために、主に日本における研究開発が不可欠であると考えており、そのための研究開発投資とグループ内の事業投資を継続していきます。

 また、当社グループでは引き続き財務の健全性を堅持し、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの成長に必要な資金を調達していくことが可能であると考えています。

 

 ⑤ 経営者の問題認識と今後の方針

経営者の問題認識と今後の方針については、本項に記載のほか、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

当社グループ(当社および連結子会社)における研究開発費は、1,598百万円となりました。当社グループは、企業哲学である「本質之直視」を研究開発活動に展開し、物事を原理まで突き詰めることを常に意識しながら、各事業センターならびに国内外の子会社が一体となり研究開発を推進しています。研究開発体制について、コア技術開発センターにおいては、新事業の創出と既存事業の拡大・強化を目的に据え、当社コア技術・製品の強みを更に発展させる研究開発を主な活動とし、各事業センターにおいては所管事業に関する新製品の開発を中心に、相互に連携をとりながら、研究開発活動を行なっています。さらに、ベンチャーキャピタルを通じたオープンイノベーションの取り組みを強化してまいります。また、グループ全体の技術力向上と高付加価値製品の開発に寄与する知的財産の蓄積を図るとともに、大学・外部研究機関との共同研究にも積極的に取り組んでいます。

 

(1) 電子デバイス関連

電子デバイス関連については、有機ELディスプレイ、静電容量式タッチセンサーおよびそのモジュール、二次電池用部材、ドローン、サーボ(アクチュエータ)、産業用ラジコン、ホビー用ラジコンなどの製品をいち早く市場に投入すべく研究開発を行なっています。

有機ELディスプレイについては、厳しさを増す海外メーカーとのコスト競争に対応すべく、既報の通りRiTdisplay Corporation(以下RiT社)との事業提携を行いました。提携の一環でRiT社への生産委託拡大へ向けた技術開発を進めております。

LCD表示モジュールについては、表示から周辺機能(筐体・メカスイッチ・センサー等含む)を取り込んだ産業用途向け高機能TFT-LCDモジュールの開発を進めています。

静電容量式タッチセンサーについては、自社設計および外部生産を基本とした体制に業容変更し、センサーとディスプレイ、カバーを複合化した商品を産機、医療機器、家電、美容機器向けに市場投入していく予定です。

新製品であるタブリードの量産を開始しました。二次電池の高容量化や高い安全性のニーズに応えるため、材料および製品開発を進めていきます。

ドローン関連については、優れた耐風性を強みとした大型機と中型機の標準プラットフォームを応用し、点検市場を主なターゲットとして機体、搭載機材のカスタム開発を進め、お客様のビジネス現場への導入を加速させるべく取り組んでいます。サーボ(アクチュエータ)関連については、耐久性を向上させたIP67(防水・防塵規格)、CANインターフェースに対応した製品を開発し、UAV機器向けに市場投入しました。産業用ラジコン製品については、建機・農機向けに免許不要な周波数帯を利用した無線リモコンを市場投入しました。また、IoT市場向けに地方自治体と連携しながら、無線と各種センサーを組み合わせたシステムの実証実験を開始し、防災、減災、防犯面など街の課題解決に向けたシステム開発を進めています。

産業向けのエンジン製品については、ドローン用レンジエクステンダー(1kW出力)を用いて、測量などで必要な長時間飛行の実証実験を積み重ね、機能改善・機能追加を行いました。現在、2kW出力レンジエクステンダーの開発や、固定翼機用エンジンのラインアップの拡充を進めており、市場ニーズへの対応を図っています。

ホビー用ラジコン製品については、多くのファンにご愛用頂いているカー用と空用のミドルロークラスのプロポに、ハイエンドモデルに迫る機能を盛り込んだマイナーチェンジを行い市場投入しました。また、電波障害を回避して安全なフライトを楽しんでいただける920MHz空用システムを国内市場に初めて投入しました。周辺機器では、ドローン用テレメトリーアダプター、バッテリーチェッカー、カー用ジャイロ、カー用サーボ、カー用ESC(Electronic Speed Controller)、フライトシミュレーターなどの新製品を開発し、市場投入しました。ホビー向けのエンジン製品については、カー用エンジンの改良・改善を進めると共に、世界選手権優勝記念モデルの市場投入や、OEM受注を推進する事でシェアNo.1を維持しました。

以上を含め、当事業における研究開発費は、1,388百万円となりました。

(2) 生産器材

生産器材については、金型および設備・治工具向け基礎器材をはじめ、量産現場におけるシステム開発や成形・生産合理化機器および新製品の用途・顧客開拓を進めました。

金型および設備・治工具向け基礎器材では、お客様の器材調達合理化の仕組みであるフタバオーダーサイトと、関係会社である株式会社カブクが展開する簡易設計・調達サービスである「Plate Builder」の連携を開始し、お客様が切削加工品の設計・見積もり・発注を、オンラインで完結させることを可能としました。この仕組みにサイズ/鋼種拡大や加工可能な要素の追加等を進め、よりお客様が調達しやすい環境を構築します。また、プレート生産の合理化の為、自動フライス加工ラインの開発を進めました。

成形・生産合理化機器では、ホットランナシステムにおいて、各種キーパーツの内製化による原価低減を進めました。金型内計測システム(モールドマーシャリングシステム)においては、小形成形品への計測ニーズに対応したΦ1小径表面温度センサーを市場投入しました。また、Futabaセンシングスクールにおいては、複合計測の有効性を研究し、その成果を応用編として紹介する予定です。

さらに、顧客支援ツールとしましては、樹脂試作試験のニーズを取り込み、センサー付き試験金型の提供を進めています。

新製品分野では、工作機械IoTモニタリングシステムにおいてお客様の要望に対応し、工作機械の稼働状況を更に見やすくしたソフトを開発しました。また、海外対応モデル(タイ・ベトナム向け)の開発も進めております。CFRP製切削加工用厚板プレート「フェルカーボ」は、お客様のご要請による用途開発を進めるとともに、加工生産性の向上による原価低減を進めました。

以上を含め、当事業における研究開発費は、210百万円となりました。