第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針,経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において判断したものである。

 

(1) 会社の経営の基本方針

「くらしに欠かせないエネルギーをお届けし,社会の発展に貢献する」という当社グループの企業理念を実践していくために,「中部電力グループ 経営ビジョン2.0」を掲げております。

新型コロナウイルスの感染拡大を契機として,暮らしや働き方などの新しい生活様式の浸透とともに,DX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素への取り組みの進展により,社会構造そのものが大きく変容しております。とりわけ,2050年カーボンニュートラル実現を見据え,GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針が閣議決定されるなど,エネルギー事業を取り巻く環境は大きな転換点を迎えております。2018年3月に制定した経営ビジョンに掲げた,「一歩先を行く総合エネルギー企業グループ」を目指す当社グループの行動姿勢は,変わるものではありませんが,こうした事業環境の激変を新たなビジネスチャンスと捉え,2050年の社会像を見据えて果敢にチャレンジしてまいります。まちづくりへの貢献,資源循環などの地域インフラ事業による脱炭素・循環型社会の構築,医療・健康といった生活関連事業の拡大などを通じて,「新しいコミュニティの形」の提供を加速し,2050年に向け,「安心・安全で強靭な暮らしやすい社会」の実現に貢献してまいります。2030年に向けては,2050年に実現すべき社会像からのバックキャストに基づき,取り組みを加速し,「2030年には連結経常利益2,500億円以上」及び「国内エネルギー事業と新しい成長分野や海外事業などの事業ポートフォリオの比率1:1」を目指すこととしております。

当社グループは,この経営ビジョンのもと,お客さまや社会が求める価値を起点に新たなサービスを創出し,エネルギーとともにお届けするビジネスモデルへの変革に,当社グループの人財一人ひとりが取り組み,2050年に向けて持続的に成長してまいります。

また,脱炭素社会への貢献,社会課題の解決,大規模災害時における事業継続,コンプライアンス経営の徹底など,ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点を踏まえた事業経営を深化させることで,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し,持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。

今後とも,お客さまや株主・投資家のみなさまに信頼,選択されるよう努め,地域社会の発展にも貢献してまいる所存です。

 

(2) 目標とする経営指標

2022年4月,中期経営目標として「2025年度に連結経常利益1,800億円以上,ROIC3.0%以上」を設定いたしました。当社グループは,この目標の達成に向け,グループ一丸となって様々な取り組みを進めてまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略・会社の対処すべき課題

当社は,2020年4月から,送配電部門を中部電力パワーグリッド,販売部門を中部電力ミライズにそれぞれ分社し,これらにJERAを加えた3つの事業会社を核とする体制といたしました。パワーグリッドにおいては,一層の中立性・公平性を図るとともに,ミライズ・JERAにおいては,それぞれの市場,お客さまと向き合い,より強靭な企業グループへの成長を目指してまいります。

このような事業体制のもと,以下の課題への対応をはじめ,グループを挙げてエネルギーの安定供給に努めるとともに,お客さまの期待を超えるサービスを実現・提供することにより,中部電力グループ全体の持続的成長と企業価値の向上を果たしてまいります。

 

 

(安全・安価で安定的なエネルギーのお届け)

資源価格のボラティリティの激しさや,為替変動によって,エネルギー市場の不確実性が高まり,不安定な事業環境が継続しております。当社グループとして,あらゆるコストダウンに取り組んできましたが,経営努力だけでは対応できず,お客さまに安定して電気をお届けするため,2023年4月より特別高圧電力及び高圧電力の標準メニューの見直しを実施いたしました。引き続き徹底した経営効率化に取り組むとともに,いかなる状況においても,バリューチェーン全体で良質なエネルギーを安全・安価で安定的にお届けするという「変わらぬ使命」をグループ一丸となって完遂してまいります。

このため,燃料調達の安定化を図るとともに,電源調達ポートフォリオの見直しや,電力先物,燃料先物取引などのヘッジ手法を適切に組み合わせてまいります。さらに,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などのサービス拡充にも取り組んでまいります。

自然災害の激甚化や送配電設備の高経年化など,レジリエンス向上の取り組みもより一層重要となっております。引き続き,設備のメンテナンスを確実に行いつつ,中長期的な視点から,高経年化設備の更新を計画的に進めてまいります。

また,太陽光発電をはじめとした自然変動電源が大量導入され,需要の増加と太陽光発電量などの低下が重なる冬季に需給ひっ迫が生じやすくなっております。この課題に対し,休止火力発電所の再稼働などを通じ,追加供給力の確保などに取り組むとともに,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整により,周波数や電圧を適切に維持し,中部エリアの安定供給に努めつつ,全国の安定供給にも寄与してまいります。

なお,不透明な環境が継続する状況ではありますが,物価高騰等によりお客さまが大変厳しい状況にあることを踏まえ,足元における資源価格の下落などに,当社グループ全体で取り組んでいるコストダウンなどの経営努力を加え,2023年6月から10月にかけて電気料金の負担軽減をはじめとした施策を実施いたします。

 

(浜岡原子力発電所の再稼働に向けた取り組み)

浜岡原子力発電所については,「福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさない」という固い決意のもと,安全性向上対策を進めております。3・4号機については,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けており,基準地震動・基準津波の確定に向けて着実に進捗しております。これらが概ね確定した後は,プラント関係審査に対応していくとともに,これらにもとづき安全性向上対策の有効性をはじめ浜岡原子力発電所の安全性に係る理解活動を実施してまいります。

エネルギー資源の乏しいわが国において,化石燃料価格の変動や地球温暖化という課題に対処しつつ,将来にわたり安定的にエネルギーを確保していくためには,原子力を引き続き重要な電源として活用することが不可欠であると考えております。

今後も,新規制基準への適合性確認を早期にいただけるよう最大限努力するとともに,地域のみなさまのご理解をいただけるようコミュニケーションを図り,安全確保を大前提に浜岡原子力発電所の再稼働に向けて取り組んでまいります。

 

(脱炭素社会実現に向けた取り組み)

中部電力グループは,経営ビジョン2.0,ゼロエミチャレンジ2050及びJERAゼロエミッション2050にもとづき,再生可能エネルギーの拡大や,水素・アンモニアサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求などに取り組むとともに,社会・お客さまと一体となって進めるエネルギー利用の電化・脱炭素化を通じて,脱炭素社会の実現を目指しております。また,国の「GXリーグ基本構想」に賛同し,CO排出量削減に向けた取り組みを着実に進めてまいります。

経営ビジョン2.0で掲げた「2030年頃に,保有・施工・保守を通じた再生可能エネルギーの320万kW(80億kWh)以上の拡大に貢献」という目標の達成に向け,短期的には太陽光発電,中期的には水力・バイオマス・陸上風力発電,長期的には洋上風力・地熱発電の開発・保有拡大を全国で積極的に推進してまいります。同時に,小規模分散が主体となる太陽光発電については,グループ会社による設備の保守・施工などに加えて,お客さまのお役立ちにつながる付加価値サービスを提供してまいります。

また,他エリアとの電力融通の拡大に向けた設備増強に努めるなど,再生可能エネルギーの拡大に貢献してまいります。

 

 

(新しいコミュニティの形の創造に向けた取り組み)

中部電力グループは,さまざまな領域で「つながることで広がる価値」を創出し,生活の質を向上させるサービスを充足させることで,地域社会やお客さまが求める新たな価値の提供を目指してまいります。

不動産事業につきましては,日本エスコン,中電不動産を中心にまちづくりに一層貢献するとともに,資源循環・上下水道・地域交通などといった地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して脱炭素・循環型社会の構築を進めてまいります。また,医療・健康といった生活関連事業の拡大により,地域の健康寿命の延伸などに寄与してまいります。

今後も,地域のみなさまやパートナーとの連携を大切にしながら,「新しいコミュニティの形」の創造に挑戦してまいります。

 

当社及び中部電力ミライズは,2023年3月30日,中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給に関し,公正取引委員会から独占禁止法にもとづく課徴金納付命令等を受けました。本命令の内容については,当社と公正取引委員会との間で,事実認定及び法解釈に見解の相違があるため,取消訴訟を提起し,司法の判断を求めてまいります。

また,託送業務で知り得たお客さま情報などの不適切な取り扱いにつきましては,公正な競争を阻害するおそれのあるものであり,大変重く受け止めております。本事案を受け,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズにおいて,それぞれ原因の分析や再発防止策を策定するとともに,当社も加えた3社で,再発防止策の妥当性や実施状況を確認しております。

中部電力グループは,従前より,企業の社会的責任を果たすため,CSR宣言にもとづき事業活動を進めており,そのことがESGの観点を踏まえた事業経営の深化や,SDGsの課題解決に貢献するものと考えております。今後とも,お客さまや社会からの信頼が事業運営の基盤であることを肝に銘じて,コンプライアンスを徹底することで,CSRを完遂してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社はお客さま,そして社会とともに成長し続ける企業グループとして,エネルギーを基軸とした事業の総合力を発揮し,持続可能な社会の発展への貢献を目指している。このような事業活動のなかで,安全・安価で安定的なエネルギーをお届けするという変わらぬ使命を果たすとともに,気候変動をはじめとした地球環境への対応,自然災害等の危機管理,人的資本への投資などの戦略を実施している。加えて,これらを両立するガバナンス・リスク管理を実現していく。

なお,文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において判断したものである。

 

(1) サステナビリティ全般に関する考え方及び取り組み

①ガバナンス

サステナビリティに関するガバナンスの体制は,「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②コーポレート・ガバナンス体制の状況」に記載している。

なお,サステナビリティに関する方針,方向性等の審議,グループ全体の取り組みの定期的な報告のために,社長,副社長,カンパニー社長,本部長,統括等で構成するCSR推進会議を設置し,その結果は,必要に応じて,取締役会へ付議している。

加えて,気候変動については,社長直属の機関であるゼロエミッション推進会議において,中部電力・事業会社及びJERAをはじめとしたグループ会社における超長期及び中長期的な気候変動に関する目標設定を行い,その目標達成に向けた行動計画を策定・評価している。

また,人財戦略については,経営執行会議において取り組み方針や目標の設定を行い,今後モニタリングを行っていく。

 

②リスク管理

サステナビリティに関するリスク管理の体制は,「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況 イ リスク管理に関する体制」に記載している。その体制の中で把握した当社の経営に重大な影響を与える主要なリスク及びその対策については,「第2 事業等の状況 3 事業等のリスク」に記載している。

 

③戦略・指標及び目標

当社グループは,持続可能な社会の発展に貢献するため,当社グループの行動規範であるCSR宣言に基づき事業活動を展開し,企業理念に定めた社会的使命を果たすことで,社会とともに成長していく。

そのため,経営課題に対し,ステークホルダー及び当社グループ経営の視点から重要性評価・分類を行い,重要課題として整理し,重要課題をCSR推進会議,取締役会を経てマテリアリティ(重要課題)として特定のうえ,対応する指標・目標を定め,課題解決に優先的に取り組んでいる。


※1  再生可能エネルギーの促進,脱炭素技術をはじめとした新技術の開発・社会実装,環境経営の実践含む。

※2  新しいコミュニティづくり,循環型社会の実現含む。

※3  多様な人財の確保・育成,安全・健康含む。

※4  腐敗防止,人権の尊重含む。

※5  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」における「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」を示す。

※6  CO2排出量のみ2021年度値を記載。2022年度実績は,2023年9月発行予定の中部電力グループレポート2023にて公表を予定。

 

(2) 脱炭素社会実現に向けた取り組み

気候変動に伴う様々な変化を「機会」と捉え,企業価値向上に向けて積極的に取り組んでいる。こうした取り組みをステークホルダーの皆さまにお知らせするために,2019年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同を表明し,TCFD提言に沿った開示を進めている。

なお,気候変動対応におけるガバナンス,リスク管理については,「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般に関する考え方及び取り組み」に記載している。

 

 

①戦略

当社グループでは,カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを「ゼロエミチャレンジ2050」としてとりまとめた。社会やお客さまとともに,エネルギーインフラの革新を通じて「脱炭素」と「安全・安定・効率性」の同時達成を目指していく。カーボンニュートラル実現に向けて,以下の取り組みを推進していく。

・再生可能エネルギー拡大目標 (保有・施工・保守含む) 2030年頃320万kW以上に向けた再エネ開発・保有

・安全性の向上と地域の皆さまの信頼を最優先にした浜岡原子力発電所の早期再稼働

・水素・アンモニアサプライチェーンの構築,アンモニア混焼技術の確立

・非効率石炭火力発電のフェードアウト,火力発電のさらなる高効率化

・再生可能エネルギー接続可能量の拡大に向けた電力系統設備・運用の高度化,需給運用の広域化

・「ミライズGreenでんき」をはじめとするCO2フリーメニューの多様化

・イノベーションによる革新的技術実用化・採用

また,国際エネルギー機関(IEA)などの公表データを参照し,「脱炭素社会への移行に関するリスク・機会」の評価にあたっては「1.5℃シナリオ」などを,異常気象など「物理的変化に関するリスク」の評価にあたっては「4℃シナリオ」を選定している。さらに,気候変動リスク・機会を事業戦略上の重要な要素と認識し,主要な項目について影響評価をし,取締役会等に報告したうえで事業戦略に反映している。

選定シナリオ

1.5℃シナリオ

4℃シナリオ

参照

国際エネルギー機関(IEA):Net Zero by 2050(NZEシナリオ),WEO2022(APSシナリオ),第6次エネルギー基本計画 等

気候変動に関する政府間パネル(IPCC):IPCC第5次評価報告書(RCP8.5シナリオ)

 

 


※1  短期 (1年) 中期 (5年) 長期 (6年~)

※2  「大」年間500億円以上 「中」年間100億円~500億円 「小」年間100億円未満

※3  炭素価格は複数の選定シナリオを考慮しつつ,短中期は非FIT非化石証書上限価格 (1.3円/kWh) ,中長期はIEAシナリオ (APS,NZEシナリオ 2030年$135~140/t-CO2など) を参考に試算すると,CO21,000万tにつき1,600億円程度の収支影響がある。

※4  火力発電資産のシナリオ分析の詳細については,JERAコーポレートコミュニケーションブックを参照。

 

 

②指標及び目標

当社グループは,「2050年までに事業全体のCO2排出量ネット・ゼロに挑戦」し,脱炭素社会の実現に貢献していく。具体的には,「2030年までに,お客さまへ販売する電気由来のCO2排出量を2013年度比で50%以上削減」していく。また,当社※1が保有する「社有車を100%電動化※2・3」していく。※4

なお,2021年度時点で,お客さまへ販売する電気由来のCO2排出量を2013年度比で約35%削減している。


※1  中部電力,中部電力パワーグリッド,中部電力ミライズ

※2  電気自動車 (EV) ,プラグインハイブリッド車 (PHV) ,燃料電池車 (FCV) 等

※3  電動化に適さない緊急・工事用の特殊車両等を除く。2022年度末時点で,導入可能台数である3,200台のうち,280台の電動車導入が完了。

※4  当社はGXリーグの方針に賛同し,参画を通じてさらなる削減目標の設定・達成を実施していく。

(注) 1  2023年6月末時点の目標であり,今後の制度設計などが変更された場合,目標値等を変更する場合がある。

2  カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの詳細については,「ゼロエミチャレンジ2050」を参照。

 


(注) 1  温室効果ガスとは,CO2,N2O,SF6をCO2換算して表したもの。

2  2019年度は中部電力個社の値,2020年度,2021年度は中部電力・中部電力パワーグリッド・中部電力ミライズ3社合計の値を記載。(中部電力は,2020年に,送配電事業を中部電力パワーグリッドに,販売事業を中部電力ミライズに分社。)

3  2023年3月期のGHG排出量関連データについては,2023年9月発行予定の中部電力グループレポート2023にて公表を予定。

 

 

(3) 人的資本・多様性に関する取り組み

①戦略

当社グループは現在,お客さま・社会とともに歩んできた中部電力グループ70年の歴史の中でも,社会・暮らしそしてエネルギー業界を取り巻く環境は「激変」ともいえる大きな転換期に直面している。

この変化の中で,私たちは,エネルギーのお届けという変わらぬ使命の完遂と,事業環境の変化に対応した新たな価値の創出の同時達成を目指すこと,また,その実現に向けた,「人財一人ひとりの成長・活躍が企業価値そのもの」との基本的な考え方を経営ビジョン2.0に掲げた。

これを踏まえて当社が策定した人財戦略においては,多種多様な力を持つ人財を確保・育成し,そして人財一人ひとりが,その能力を思う存分発揮するための取り組みを2本の柱として具体化し,社員に約束している。

1本目の柱は,「多様な人財が活躍できる環境づくり」。「安全」や「健康」への取り組みは,企業経営の最優先事項であるにとどまらず,「DE&I」や「働き方」も含め,さらなる企業成長や社員の就労意欲向上のための投資そのものであるとの考えのもと,各種活動に取り組んでいる。

2本目の柱は,「自己変革に挑戦する社員への機会と支援の提供」。多様な社員が自らのキャリアを考え,自律的にチャレンジし,先輩の軌跡を超えた成長・活躍を実現できる環境を整えるため,「Chance(チャンスを創出する)」「Challenge(果敢に挑戦する)」「Change(変革を実現する)」の3つのキーワードを軸に,「自己変革に挑戦する社員に機会と支援を提供」することを,社員に対する当社のコミットメントとして具体的な施策に取り組んでいる。

上記の人財戦略を推進することにより,人財一人ひとりが,そのライフイベントやキャリアステージに応じて能力を思う存分発揮することで,私たち中部電力グループは地域・社会の持続的な発展に貢献していく。

なお,人的資本に関するガバナンス・リスク管理については,「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般に関する考え方及び取り組み」に記載している。


 

 

②指標及び目標


※1  目標及び実績は中部電力・中部電力パワーグリッド・中部電力ミライズ3社合計の値を記載。ただし,死亡災害発生件数には,執行役員,直接雇用の従業員及び派遣社員に加え,請負・委託による災害件数を含む。

※2  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」における「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」を示す。

※3  1日のフレックス精算時間をマイナスとする働き方。これにより捻出した時間を趣味等に活用。

※4  ㈱リンクアンドモチベーションが提供するエンゲージメントサーベイを導入。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する変動要因のうち,投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には,主に以下のようなものがある。

なお,文中における将来に関する事項は,有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において判断したものであり,今後のエネルギー政策や電気事業制度の見直しなどの影響を受ける可能性がある。

 

(1)事業環境の変化

当社グループを取り巻く事業環境は,世界経済の回復によるエネルギー需要増加や欧州における紛争などにより燃料価格が高騰したが,2022年度後半にかけては,記録的な暖冬により欧州の天然ガスの在庫蓄積が進んだことなどによりLNGの需給が緩和し,ピーク時に比べ低位に推移した。また,電力卸売価格も低位に推移した。これらにより,2022年度においては,期ずれを除いた連結経常利益は,最終的に1,560億円程度の利益を確保することができた。しかしながら,ロシアから欧州へのガス供給不安などから,今後も国際的なエネルギーの争奪が継続し,為替変動リスクも含め燃料価格のボラティリティが高く,当社グループの事業においても,先行きが不透明な厳しい経営環境が継続している。

また,太陽光発電をはじめとした自然変動電源が大量導入され,需要の増加と太陽光発電量などの低下が重なる冬季に需給ひっ迫が生じやすくなっている中,設備のトラブルが発生した場合や資源国において不測の事態が生じた場合などには,日本国内における需給状況が悪化することが懸念される。

このような事業環境の変化に対して当社グループは,再生可能エネルギー発電出力の予測精度向上,他の一般送配電事業者との連携も含めた日々の系統運用・需給調整や水力発電所の安定的な運用,JERAによる休止火力発電所の再稼働やJERAの燃料トレーディング子会社であるJERA Global Marketsを通じた機動的な調達による安定的な燃料確保,お客さまに電気を効率的にご利用いただくデマンドレスポンスの活用などにより,グループ一丸となってエネルギーの安定供給を継続する。

収支安定化に向けては,国内エネルギー事業において電源調達ポートフォリオの最適化や市場リスク管理の高度化などに引き続き取り組んでいく。加えて,新成長領域やグローバル事業のさらなる拡大などを通じて,持続的な成長を実現し,中期経営目標の達成を目指していく。

さらに,近年のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や再生可能エネルギーをはじめとする分散型電源の導入拡大,さらには脱炭素化への取り組みの進展などにより,エネルギー事業を取り巻く環境は今後も大きく変化していくと想定される。

当社グループは,「ゼロエミチャレンジ2050」及び「JERAゼロエミッション2050」に基づき,安全確保を大前提とした原子力の活用,再生可能エネルギーの拡大や,水素・アンモニアサプライチェーンの構築を含むゼロエミッション電源の追求などに取り組むとともに,社会・お客さまと一体となって進めるエネルギー利用の電化・脱炭素化を通じて,脱炭素社会の実現を目指している。また,国の「GXリーグ基本構想」に賛同し,CO排出量削減に向けた取り組みを着実に進めていく。

2050年の社会像を見据えて果敢にチャレンジするため,「中部電力グループ経営ビジョン2.0」に基づき,人財一人ひとりの成長・活躍を通じたお客さま・社会への多様な価値の提供による,地域・社会の持続的な発展に貢献していく。

ただし,欧州における紛争に起因する影響の拡大,各種市場における想定と異なる制度見直しの実施など,当社グループを取り巻く事業環境が変化した場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

①燃料・電力価格の変動等

当社グループの電源調達費用は,LNG,石炭,原油,卸電力などの市場価格及び為替相場の変動により影響を受ける可能性がある。これに対して中部電力ミライズでは,お客さまに安定して電気をお届けするため,ご家庭などの低圧のお客さまを対象とした一部料金メニューの燃料費調整額の算定に用いる平均燃料価格の上限を廃止した。また,2023年4月から,特別高圧・高圧のお客さま向けの標準料金メニューの見直しにより,電力量料金単価を変更するとともに燃料価格に加え卸電力取引市場価格の変動も反映させる燃料費調整の仕組みを導入した(2022年10月公表)。燃料費調整に関する仕組みの変更などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は緩和される。

 

なお,その後の燃料価格が低位に推移していることや,当社グループ全体で取り組んでいる経営努力を踏まえ,2023年6月から,標準料金メニューの見直し対象である特別高圧・高圧のお客さまに対してご負担を軽減する施策などを実施している。

JERAなどによる燃料調達や中部電力ミライズなどによる市場などを通じた電力調達において,調達先の分散化,契約の長期化・柔軟性の確保など,燃料・電力等の市場変動に影響されにくい事業構造への移行を行っている。加えて,市場変動性の高まりを踏まえリスク管理の高度化や市場価格変動に柔軟に対応した販売施策に取り組んでいく。

ただし,欧州における紛争に起因する影響の拡大,長期化などの政治・経済・社会情勢の悪化や天候の変動,調達先の設備・操業トラブルなどにより,需給状況や市場価格が大きく変動することがある。これらのリスクの顕在化に伴う,調達費用の増減,調達価格と販売価格の差異,電力の市場価格・卸価格の変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

②競争への対応等

電気をはじめエネルギー事業においては,JEPX(日本卸電力取引所)の価格高騰による電源調達コストの増加などを背景に新電力の撤退が相次いでいる中,価格面の競争だけでなく,お客さまが望まれる料金メニューやサービスによる差別化が求められるなど,ご家庭のお客さまを中心に厳しい競争環境は継続しており,今後調達環境が改善した際にはさらに競争は激化すると想定される。

この競争を勝ち抜くべく,中部電力ミライズでは,これまでの電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとの「つながり」をもとに,脱炭素などのビジネス上の課題解決を実現するサービスや,お客さまのくらしを豊かにするサービスの提供を進めている。

具体的には,COフリーメニュー電気のお届けを通じた再生可能エネルギーの普及・拡大や地産地消に貢献するサービスの提供,家族の絆やつながりを育む「くらしサービス」など様々なサービスを提供していく。

JERAは,休止火力発電所の運転再開などを通じた追加供給力の確保などによる安定供給確保に取り組むとともに,燃料上流・調達から発電,電力・ガス販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めていく。

ただし,欧州における紛争のさらなる高まりによる調達環境の悪化,競争激化や景気動向・気温変動などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

③新成長分野の事業化

当社グループは,さまざまな領域で「つながることで広がる価値」を創出し,生活の質を向上させるサービスを充足させることで,地域社会やお客さまが求める新たな価値の提供を目指していく。不動産事業においては,日本エスコン,中電不動産を中心にまちづくりに一層貢献するとともに,資源循環・上下水道・地域交通などといった地域インフラ事業については,さまざまなパートナーのみなさまと連携して脱炭素・循環型社会の構築を進めていく。また,医療・健康といった生活関連事業の拡大により,地域の健康寿命の延伸などに寄与していく。今後も,地域のみなさまやパートナーとの連携を大切にしながら,「新しいコミュニティの形」の創造に挑戦していく。

グローバル事業においては,再生可能エネルギーなどの「グリーン領域」,水素・アンモニアなどの「ブルー領域」,マイクログリッド・アジア配電事業などの「小売・送配電・新サービス領域」及び地熱発電などの「フロンティア領域」の4領域を組み合わせて最適なポートフォリオを形成し,各国・地域の社会課題解決への貢献と,収益の拡大を目指している。

なお,当社は,2016年7月1日付で会社分割により海外発電・エネルギーインフラ事業をJERAへ承継した取引について,2022年12月17日に,メキシコ税務当局から約759億円(2022年12月時点の為替レートに基づく)の納付を命じる更正決定通知を受領した。本通知の内容は,日墨租税条約及びメキシコ税法に反する不合理なものであることから,2023年2月10日に,当局に対し行政不服審査を申し立てた。加えて,日墨租税条約に基づく両国税務当局間の相互協議も実施中である。

グローバル事業をはじめとする新成長分野における事業の展開にあたっては,カントリーリスクも含め適切なリスク評価を行うとともに,定期的にモニタリングを実施していく。

 

 

ただし,これらの事業が,他事業者との競合の進展やカントリーリスクの顕在化などにより,当社グループの期待するような結果をもたらさない場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

④地球環境保全

国の2050年カーボンニュートラル宣言のもと,脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)が成立するなど,地球環境保全に向けた取り組みは喫緊の課題となっている。

当社グループでは,「中部電力グループ環境基本方針」に基づき,カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを「ゼロエミチャレンジ2050」としてとりまとめた。社会やお客さまとともに,エネルギーインフラの革新を通じて「脱炭素」と「安全・安定・効率性」の同時達成を目指していく。

具体的には,2030年頃に向けた再生可能エネルギーの拡大目標(保有・施工・保守含む)に関し,320万kW以上を目指すとともに,安全性の向上と地域の皆さまの信頼を最優先にした浜岡原子力発電所の活用,水素・アンモニアサプライチェーンの構築,アンモニア混焼技術の確立,非効率石炭火力発電のフェードアウト,火力発電のさらなる高効率化,再生可能エネルギー接続可能量の拡大に向けた電力系統設備・運用の高度化,需給運用の広域化,「ミライズGreenでんき」をはじめとするCOフリーメニューの多様化などのあらゆる施策を総動員し,「2030年までに,お客さまへ販売する電気由来のCO排出量を2013年度比で50%以上削減」を達成する。さらに,イノベーションによる革新的技術実用化・採用を通じ,「2050年までに,事業全体のCO排出量ネット・ゼロに挑戦」していく。

また,気候変動に伴う重要なリスクについては,社長が議長を務めるリスクマネジメント会議で審議,経営基本計画に反映し,取締役会で決議したうえで,適切に施策を実施している。

ただし,化石燃料賦課金や排出量取引制度などのカーボンプライシング制度をはじめとした今後の規制措置への対応に加え,非化石価値の動向や技術革新などを踏まえたビジネスモデルの変革を当社グループが的確に実施できない場合,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

⑤金利の変動等

当社グループの有利子負債残高は,2023年3月末時点で2兆9,257億円と,総資産の45.3%に相当し,市場金利の変動により支払利息が増減するが,有利子負債残高のうち89.8%は,社債,長期借入金の長期資金であり,その大部分を固定金利で調達しているため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローへの影響は限定的である。

ただし,今後調達する社債・借入金にかかる支払利息や当社グループが保有する企業年金資産などの一部は,金利などの変動によって増減するため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

(2)原子力発電設備の非稼働

原子力政策については,2023年2月には「GX実現に向けた基本方針」の閣議決定がなされ,同年5月には「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律(GX脱炭素電源法)」が成立した。

当社では,浜岡原子力発電所全号機の運転停止が10年以上を経過しており,現在,新規制基準を踏まえた対策を着実に実施するとともに,3・4号機について,原子力規制委員会による新規制基準への適合性確認審査を受けている。同基準への適合性を早期に確認いただけるよう,社内体制を強化し確実な審査対応に努めていく。

福島第一原子力発電所の事故以降に計画した地震・津波対策や重大事故対策などの4号機の主な工事は概ね完了している。今後も,審査対応などにより必要となった追加の設備対策については,可能な限り早期に実施していく。3号機については,4号機に引き続き,新規制基準を踏まえた対策に努めていく。5号機については,海水流入事象に対する具体的な復旧方法の検討と並行して,新規制基準を踏まえた対策を検討し,審査の申請に向けた準備を進める。

また,現場対応力の強化に向けた教育・訓練の充実や防災体制の整備を図るなど,発電所内を中心としたオンサイト対応を継続するとともに,住民避難を含む緊急時対応の実効性向上に向けて,国・自治体との連携強化を通じ,発電所周辺地域における原子力災害に備えたオフサイト対応の充実に努めていく。

当社グループは,浜岡原子力発電所全号機の運転停止状況下において,火力電源での代替を行っており,これによる電源調達費用の大幅な増加などにより,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける見込みである。

 

また,新規制基準への対応などに伴う浜岡原子力発電所の運転停止状況の継続や当社グループが受電している他社の原子力発電設備の運転停止状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

(3)原子力バックエンド費用等

原子力のバックエンド事業は,使用済燃料の再処理,放射性廃棄物の処分,原子力発電施設等の解体など,超長期の事業で不確実性を有する。この不確実性は国による制度措置などに基づき,必要な費用を引当て・拠出していることにより低減されているが,原子力バックエンド費用及び原子燃料サイクルに関する費用は,制度の見直し,制度内外の将来費用の見積り額の増減,再処理施設の稼働状況などにより増減するため,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

(4)大規模自然災害等

当社グループの事業活動においては,南海トラフ地震・巨大台風・異常気象などの大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などのリスクが存在する。

当社グループでは,これらの事象が発生した場合に備えて,BCP(事業継続計画)などを策定のうえ,設備の形成,維持,運用などの事前対策に取り組むとともに,発生後における体制の整備や訓練などを実施している。

また,台風災害で得られた教訓などを踏まえ,アクションプランに基づき,各種復旧支援システムの整備による設備復旧体制の強化,ホームページやスマートフォンアプリによるお客さまへの情報発信の強化,自治体・他電力会社などとの連携強化に取り組んでいる。さらに,レジリエンス(強靭化・回復力)の強化に向けて,自治体などと連携しながら,予防保全のための樹木の事前伐採や無電柱化の一層の加速,水力発電用ダムの洪水発生が予想される場合における治水協力などに取り組んでいく。

ただし,大規模自然災害,武力攻撃,テロ行為,疫病の流行,事故などにより,供給支障や設備の損壊などが発生した場合には,その被害状況などによっては,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

(5)新型コロナウイルス等感染症

当社グループでは,新型コロナウイルス感染症などの流行拡大に対し,従業員・家族・パートナー・お客さまの安全と健康を最優先に,安定供給とサービスレベルを維持していくという考えのもと,在宅勤務や時差通勤などの積極活用,一人ひとりの基本的な感染予防策の徹底などを通じて,感染予防や有事の際のバックアップ要員確保に取り組んでいる。

また,新型コロナウイルスなどの感染拡大に伴う暮らしや働き方などの新しい生活様式の浸透など,大きく変容する社会構造や個人の価値観・行動様式を見据えつつ,社会課題の解決に向けて,コミュニティサポートインフラなどによる新たなサービスの開発・提供を一層加速していく。

ただし,新たな感染症が発生しその影響が拡大・長期化した場合や,当社グループが社会構造の変容を十分に先取りできなかった場合などには,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

(6)セキュリティ(経済安全保障・情報管理等)

当社グループでは,重要インフラであるエネルギーの安定供給を確保するため,サイバー攻撃などによる電力の供給支障や機微情報漏えいのリスクに対応すべく,ガバナンス体制の強化,電力ISACなどを通じた他事業者・関係機関などとの情報共有・分析,各種セキュリティ対策や訓練などを継続的に実施している。

今後も,国際情勢などの変化を常に注視し,サイバー攻撃に対する最新の対策を実施していく。

また,個人情報(特定個人情報を含む)をはじめとした各種情報の管理の徹底に向け,個人情報保護法など,関係法令に基づき,専任部署の設置,規程類を整備することに加え,教育や意識啓発活動の実施などの取り組みをこれまで以上に強化していく。

加えて,リスクアセスメントの実施・分析を通じて,より高度なガバナンス体制の構築やITシステムの脆弱性の発見・解消,運用ルールの強化などに努め,さらなるセキュリティ確保に万全を期す。

ただし,サイバー攻撃やITシステムの不備,情報の漏えいなどにより,対応に要する直接的な費用のほか,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

 

(7)コンプライアンス

当社グループでは,法令及び社会規範の遵守に関する基本方針及び行動原則を示した「中部電力グループコンプライアンス基本方針」のもと,設備の保安を含む業務運営全般におけるコンプライアンスの徹底,企業倫理の向上に努めている。

具体的には,2019年には「中部電力グループ贈収賄・腐敗防止方針」及び「金品授受に関するガイドライン」を制定するなど,取り組みを強化している。

このような中,当社及び中部電力ミライズは2021年4月13日に中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給並びに中部地区における低圧電力及び都市ガス供給等に関して,及び同年10月5日に中部地区における特別高圧電力,高圧電力,大口需要家向け都市ガス等に係る供給に関して,それぞれ独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いがあるとして,公正取引委員会の立入検査を受け,同委員会の調査に対し,全面的に協力してきた。

2023年3月30日,上記のうち中部地区等における特別高圧電力及び高圧電力の供給について,当社は,独占禁止法に基づく課徴金納付命令を,中部電力ミライズは,独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を,同委員会からそれぞれ受領した。各命令について,当社及び中部電力ミライズは,同委員会との間で,事実認定と法解釈について見解の相違があることから,取消訴訟を提起して司法の公正な判断を求めることとしている。課徴金については,当連結会計年度において独占禁止法関連損失を特別損失に計上した。これらの命令を受けて,当社及び中部電力ミライズは,経済産業省などから補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等の措置を受けている。また,2023年6月19日,電力・ガス取引監視等委員会は経済産業大臣に対して,中部電力ミライズへ業務改善命令を行うよう勧告を行った。今後命令がなされた場合には,適切に対応していく。

この他の案件に対しては,引き続き調査に全面的に協力していく。

当社及び中部電力ミライズは,二度と独占禁止法に関する疑いを持たれることがないよう,2023年4月7日に公表したコンプライアンス徹底策を着実に実施していく。

また,中部電力パワーグリッドにおいて,託送業務システムで管理しているお客さま情報を中部電力ミライズ及びその委託先へ漏えいした事案が判明し,中部電力ミライズにおいて,同社従業員が顧客管理システムを通じて中部電力ミライズ以外の小売電気事業者と契約しているお客さま情報を閲覧していた事案が判明した。この件に関し,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年4月17日,電力・ガス取引監視等委員会より業務改善勧告を受け,同年5月12日,当該業務改善勧告に対応する報告を行った。

加えて,中部電力パワーグリッドにおいて,経済産業省の再生可能エネルギー業務管理システムを閲覧するために付与されたID及びパスワードを適切に管理しておらず,同システム上で中部電力ミライズの従業員においてもFIT認定情報が閲覧可能な状態となっていた事案が判明した。この件に関し,中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年4月17日,資源エネルギー庁より指導を受け,同年5月12日,当該指導に対応する報告を行った。

中部電力パワーグリッド及び中部電力ミライズは,2023年5月12日に公表した再発防止策を着実に実施していく。

その他,当社グループにおいて,不動産投資事業に対し関係行政から処分を受けた事象なども発生しており,これらについても適切に対応していく。

当社グループは,今後も,常にコンプライアンスに関する取り組み状況を確認し,その結果に基づいて説明責任を果たすとともに,コンプライアンス徹底に向けた不断の取り組みを進めていく。

ただし,コンプライアンスに反する事象により,社会的信用の低下などが発生した場合には,財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローは影響を受ける可能性がある。

 

 

4 【経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

 

(1) 業績等の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は,新型コロナウイルスの影響が残る中,景気の緩やかな持ち直しの動きが継続した。一方で,世界的な金融引締めなどにより,景気の下振れが懸念されている。

燃料価格については,ウクライナ情勢や急激な円安進行などを背景として大幅に高騰した。足元ではピーク時から比較すると一時的に下落したものの,ボラティリティ(変動性)が高い状態が継続している。

 

このような中,当連結会計年度の収支状況について,売上高は,3兆9,866億円となり,前連結会計年度と比べ1兆2,815億円の増収となった。
 経常損益は,651億円の利益となり,前連結会計年度と比べ1,244億円改善した。

 

(2) 生産,受注及び販売の状況

当社グループは,電力・ガスの販売と各種サービスの提供を行う「ミライズ」,電力ネットワークサービスの提供を行う「パワーグリッド」,燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売を行う「JERA」等が,バリューチェーンを通じて,電気事業を運営している。
 当社グループにおける生産,受注及び販売の状況については,その大半を占める電気事業のうち主要な実績を記載している。

 

 ①  発電実績

種別

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

対前年増減率(%)

発電電力量

(百万kWh)

水力

8,337

0.4

原子力

新エネルギー

385

1.8

合計

8,722

0.5

出水率(%)

94.8

 

(注) 1 発電電力量及び出水率は,中部電力㈱の実績を記載している。

2 出水率は,1991年度から2020年度までの30カ年平均に対する比である。

3 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。

 

 

 ②  販売実績

ア 販売電力量及び料金収入

種別

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

 至  2023年3月31日)

対前年増減率(%)

販売電力量
(百万kWh)

低圧

30,583

△6.1

高圧・特別高圧

71,846

△5.9

合計

102,429

△6.0

料金収入(百万円)

2,457,376

45.9

 

(注) 1 販売電力量及び料金収入は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。

2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。

3 料金収入には「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づいて受領した電気・ガス価格激変緩和対策補助金収入56,343百万円を含む。

 

 〔参考1〕

グループ合計の販売電力量(百万kWh)

113,003

△4.1

 

(注)  中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。

 

 〔参考2〕

他社販売電力量(百万kWh)

11,345

0.2

 

(注) 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。

 

イ 中部エリアの需要電力量及び料金収入

種別

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

 至  2023年3月31日)

対前年増減率(%)

中部エリアの需要電力量(百万kWh)

124,349

△2.4

料金収入(百万円)

585,923

△3.1

 

(注) 1 中部エリアの需要電力量及び料金収入は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。

2 料金収入は,接続供給託送収益(インバランスの供給に係る収益を除く)を記載している。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

当社グループに関する財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析については,連結財務諸表に基づいて分析した内容である。

 

(1) 財政状態の分析

 ①  資産

固定資産については,減価償却の進行はあったものの,設備投資などにより固定資産が増加したことなどから,前連結会計年度末と比べ537億円増加し,5兆2,884億円となった。

流動資産については,現金及び預金が増加したことなどから,前連結会計年度末と比べ2,266億円増加し,1兆1,666億円となった。

 

 ②  負債

有利子負債が増加したことなどから,負債合計は,前連結会計年度末と比べ2,414億円増加し,4兆2,928億円となった。

 

 ③  純資産

配当金の支払いはあったが,親会社株主に帰属する当期純利益の計上やその他の包括利益累計額の増加などから,純資産合計は,前連結会計年度末と比べ389億円増加し,2兆1,622億円となった。

この結果,自己資本比率は,31.9%となった。

 

 〔資産・負債・純資産比較表(要旨)〕

項   目

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

増   減

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

増減率(%)


 

固定資産

52,347

52,884

537

1.0

 電気事業固定資産

23,586

23,742

156

0.7

 その他の固定資産

4,183

4,363

179

4.3

 固定資産仮勘定

4,225

4,386

161

3.8

 投資その他の資産

18,404

18,459

55

0.3

流動資産

9,400

11,666

2,266

24.1

 現金及び預金

2,032

3,613

1,581

77.8

 受取手形,売掛金及び契約資産

3,442

3,655

213

6.2

 棚卸資産

1,907

1,964

56

3.0

    合 計

61,747

64,551

2,803

4.5


 

 

 

 

 

固定負債

28,093

30,326

2,232

7.9

 社債

7,927

8,629

701

8.9

 長期借入金

13,973

15,481

1,508

10.8

流動負債

12,400

12,585

184

1.5

 1年以内に期限到来の固定負債

2,620

2,349

△271

△10.3

 短期借入金

2,690

2,802

112

4.2

 コマーシャル・ペーパー

790

△790

 支払手形及び買掛金

2,792

3,274

482

17.3

   負債合計

40,514

42,928

2,414

6.0

株主資本

18,914

18,917

2

0.0

 利益剰余金

13,927

13,931

3

0.0

その他の包括利益累計額

1,256

1,690

434

34.6

非支配株主持分

1,061

1,013

△47

△4.5

   純資産合計

21,232

21,622

389

1.8

    合 計

61,747

64,551

2,803

4.5

 

 

 

前連結会計年度末

(2022年3月31日

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

増 減

増減率(%)

自己資本比率(%)

32.7

31.9

△0.8

有利子負債残高(億円)

28,002

29,257

1,254

4.5

 

 

(注) 億円未満切り捨て

 

 

(2) 経営成績の分析

中部電力ミライズ㈱の販売電力量は,他事業者への切り替え影響や,産業用電力の需要減などから,前連結会計年度と比べ65億kWh減少し1,024億kWhとなった。
 なお,中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の合計の販売電力量は,前連結会計年度と比べ48億kWh減少し1,130億kWhとなった。

 

 〔販売電力量〕

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

増 減

増減率(%)

低圧(億kWh)

326

306

△20

△6.1

高圧・特別高圧(億kWh)

763

718

△45

△5.9

合  計

1,089

1,024

△65

△6.0

 

(注) 1 販売電力量は,中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。

2 四捨五入の関係で,合計が一致しない場合がある。

 

  〔参考1〕

グループ合計の販売電力量

(億kWh)

1,178

1,130

△48

△4.1

 

(注) 中部電力ミライズ㈱及びその子会社,関連会社の実績を記載している。なお,グループ内の販売電力量は除いている。

 

  〔参考2〕

他社販売電力量(億kWh)

113

113

0

0.2

 

(注) 中部電力ミライズ㈱の実績を記載している。なお,中部電力ミライズ㈱の子会社及び関連会社への販売電力量は除いている。

 

中部エリアの需要電力量は,夏季の気温影響による冷房設備の稼動増はあったものの,産業用電力の需要減や冬季の気温影響による暖房設備の稼動減などから,前連結会計年度と比べ31億kWh減少し1,243億kWhとなった。

 

 〔中部エリアの需要電力量〕

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

増 減

増減率(%)

中部エリアの需要電力量(億kWh)

1,275

1,243

△31

△2.4

 

(注) 中部エリアの需要電力量は,中部電力パワーグリッド㈱の実績を記載している。

 

 

収支の状況については,売上高(営業収益)は,燃料費調整額(燃調収入)の増加などから,前連結会計年度と比べ1兆2,815億円増加し3兆9,866億円となった。

経常損益は,燃料価格の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差損が縮小したことや,中部電力ミライズにおける電源調達ポートフォリオの見直しなどによる市場価格高騰影響の抑制,調達コストを踏まえた販売活動の展開などから,前連結会計年度と比べ1,244億円改善し651億円の利益となった。

なお,期ずれを除いた連結経常利益は,1,560億円程度と,前連結会計年度と比べ890億円程度の増益となった。

また,独占禁止法関連損失275億円や子会社などにおける固定資産の減損損失142億円を特別損失に計上した一方,政策保有株式の一部を売却したことなどにより有価証券売却益453億円を特別利益に計上した。

この結果,親会社株主に帰属する当期純損益は前連結会計年度と比べ812億円改善し,382億円の利益となった。

 

当連結会計年度におけるセグメント別の業績(内部取引消去前)及び取り組みは以下のとおりである。
 なお,㈱JERAは持分法適用関連会社のため,売上高は計上されない。

 

   [ミライズ]

〔業績〕

電力・ガスの販売と各種サービスの提供に伴う売上高については,燃調収入の増加などから,前連結会計年度と比べ1兆626億円増加し3兆908億円となった。

経常損益は,卸電力取引市場価格の高騰はあったものの,電源調達ポートフォリオの見直しなどによる市場高騰影響の抑制や調達コストを踏まえた販売活動の展開などから,前連結会計年度と比べ1,483億円改善し648億円の利益となった。

〔当連結会計年度の取り組み〕

電気・ガスなどのお届けを通じて築いてきたお客さまとのつながりをもとに,お客さまのくらしを豊かにするサービスや,ビジネス上の課題解決を実現するサービスの提供を進めている。

脱炭素社会の実現に向けては,「ミライズGreenでんき」によるCOフリー電気のお届けやお客さまに初期費用やメンテナンス費用をお支払いいただくことなく,太陽光発電をご利用いただけるサービスの提供を通じて,再生可能エネルギーの普及・拡大と地産地消に貢献している。さらに,デマンドレスポンスサービス「NACHARGE」の提供を開始するなど,電気を効率的にご利用いただくための取り組みを拡充している。今後もお客さまと一体となって,脱炭素などの社会課題の解決に取り組んでいく。

また,燃料価格のボラティリティが高い中においても,お客さまに安定して電気をお届けするため,低圧の一部料金メニューの燃料費調整制度の変更や,特別高圧・高圧の標準料金メニューの見直しをさせていただいた。一方で,足元の燃料価格が標準料金メニューの見直し検討時に比べて低位で推移していることや,中部電力グループ全体で取り組んでいる経営努力を踏まえ,低圧のお客さまに対しては,省エネや脱炭素化,電気料金の負担軽減につながるキャンペーンなどを,特別高圧・高圧のお客さまに対しては,電気料金の負担軽減策を実施していく。

 

  [パワーグリッド]

〔業績〕

電力ネットワークサービスの提供に伴う売上高については,再生可能エネルギー特別措置法に基づく購入電力の卸電力取引市場への販売単価の上昇や,需給調整取引に係る収益の増加などから,前連結会計年度と比べ2,166億円増加し1兆1,161億円となった。

経常損益は,減価償却方法の変更による費用の減少に加え,効率化による費用削減や,需給バランス調整等を適切に実施するための調整力確保費用の低減に取り組んだことなどから,前連結会計年度と比べ218億円改善し70億円の利益となった。

〔当連結会計年度の取り組み〕

再生可能エネルギーの接続可能量の拡大に向けて,電力系統設備・運用の高度化に取り組むとともに,中部エリアの安定供給に必要な予備力・調整力の確保や,他エリアとの電力融通の拡大に向けた設備増強などを着実に進め,需給安定に努めている。また,「地域別電力需要予測」などを用いた分散型電源の最大限の活用や,送配電設備の合理化に取り組んでいる。

ネットワークの次世代化については,当初の予定通りスマートメーターの設置は完了し,今後は次の定期取替に向け次世代スマートメーターの導入検討を進めるとともに,引き続き新型電圧調整器の設置などを進めていく。

また,2023年4月より託送料金を改定したが,必要な投資を効率的かつ計画的に実施しながら,引き続きさらなる効率化に取り組むことで,託送料金の抑制に努めていく。

そして,2050年における目指す姿を掲げた中部電力パワーグリッドビジョンの実現に向け,脱炭素化に向けた取り組みの推進及び地域のニーズに寄り添ったサービスの展開により,地域の未来像実現に貢献できるよう努めていく。

 

    [JERA]

〔業績〕

燃料上流・調達から発電,電力・ガスの販売に伴う経常損益は,燃料価格の変動が電力販売価格に反映されるまでの期ずれについて差損の縮小はあったものの,LNGスポット価格の高騰による収支の悪化などから,前連結会計年度と比べ239億円悪化し242億円の損失となった。なお,期ずれを除いたJERAによる連結経常利益への影響は670億円程度となった。

〔当連結会計年度の取り組み〕

燃料上流・調達から発電,電力・ガス販売にいたるバリューチェーンの最適運用,効率的運営に努めつつ,安定的な燃料調達などエネルギーの安定供給確保における重要な役割も担っている。

燃料制約や需給ひっ迫の回避に向けては,休止火力発電所の再稼働などを通じ,追加供給力の確保などに取り組むとともに,需給変化を迅速に捉え,㈱JERAの子会社であるJERA Global Marketsを通じた機動的な調達により,安定的な燃料確保に努めてきた。

また,エネルギーの安定供給を確保しながら,2050年時点で国内外の事業から排出されるCOを実質ゼロとするJERAゼロエミッション2050に向けた取り組みを進めている。

まずは発電時にCOを排出しない燃料であるアンモニアの混焼技術の確立を目指し,碧南火力発電所4号機において,アンモニア20%混焼の実証実験に着手する。さらに,燃料アンモニアの製造や調達に向けた協業の検討を進めるなどサプライチェーン構築にも取り組んでいる。

(注) JERAゼロエミッション2050は,脱炭素技術の着実な進展と経済合理性,政策との整合性を前提としている。JERAは,引き続き,自ら脱炭素技術の開発を進め,経済合理性の確保に向けて主体的に取り組んでいく。

 

(目標とする経営指標の達成状況等)

当社は,2022年4月に中期経営目標として,「2025年度に連結経常利益1,800億円以上,ROIC3.0%以上」を設定しており,当連結会計年度における期ずれ影響を除いた連結経常利益は1,560億円程度,ROIC(期ずれ除き)は2.9%となった。

 

 

〔連結収支比較表〕

項   目

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

増   減

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

増減率(%)




営業収益(売上高)

27,051

39,866

12,815

47.4

営業外収益

225

107

△118

△52.5

合   計

27,277

39,974

12,696

46.5




営業費用

27,589

38,795

11,205

40.6

営業外費用

280

526

245

87.5

合   計

27,870

39,322

11,451

41.1

(営業損益)

(△538)

(1,070)

(1,609)

(―)

経常損益

△593

651

1,244

渇水準備金

△203

△3

200

△98.4

特別利益

453

453

特別損失

55

417

362

658.4

法人税等

△43

311

354

非支配株主に帰属する当期純損益

28

△3

△32

親会社株主に帰属する当期純損益

△430

382

812

 

(注) 1  特別利益:当連結会計年度 有価証券売却益

2 特別損失:当連結会計年度 減損損失,独占禁止法関連損失

前連結会計年度 インバランス収支還元損失

3 内部取引相殺消去後(億円未満切り捨て)

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

営業活動によるキャッシュ・フローは,税金等調整前当期純損益が改善したことや,当連結会計年度に法人税等の還付があったことなどから,前連結会計年度に比べ2,741億円増加し2,957億円の収入となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは,固定資産の取得による支出の増加はあったものの,政策保有株式の一部売却による収入があったことなどから,前連結会計年度に比べ650億円支出が減少し1,969億円の支出となった。

この結果,フリー・キャッシュ・フローは,前連結会計年度に比べ3,392億円改善し988億円の収入となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは,資金調達による収入が減少したことなどから,前連結会計年度に比べ1,931億円減少し732億円の収入となった。

これらにより,当連結会計年度末の現金及び現金同等物は,前連結会計年度末と比べ1,723億円増加した。

 

資本の財源及び資金の流動性について,当社グループは,主に電気事業の運営上必要な設備資金を,社債発行や銀行借入等により調達し,短期的な運転資金は,主に短期社債により調達することを基本としている。

 

〔連結キャッシュ・フロー比較表(要旨)〕

項   目

前連結会計年度

(自 2021年4月1日
 至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

増   減

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

増減率(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー ①

216

2,957

2,741

投資活動によるキャッシュ・フロー ②

△2,620

△1,969

650

△24.8

財務活動によるキャッシュ・フロー

2,664

732

△1,931

△72.5

 

 

フリー・キャッシュ・フロー  ①+②

△2,403

988

3,392

 

 

項   目

前連結会計年度末

(2022年3月31日)

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

増   減

金額(億円)

金額(億円)

金額(億円)

増減率(%)

現金及び現金同等物の期末残高

2,011

3,734

1,723

85.7

 

(注) 億円未満切り捨て

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は,わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については,「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりである。

当社グループは,固定資産の評価,繰延税金資産,貸倒引当金,退職給付に係る負債及び資産,企業結合などに関して,過去の実績や当該取引の状況に照らして,合理的と考えられる見積り及び判断を行い,その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成しているが,実際の結果は見積り特有の不確実性があるため,これらの見積りと異なる場合がある。

また,連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち,重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。

 

5 【経営上の重要な契約等】

  該当事項なし

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は,当社を中心に行っている。

当社は,安定供給につながる技術研究開発とともに,経営環境の変化に対応した柔軟かつ戦略的な技術研究開発を推進するため,長期的かつ総合的な視点から,次の各分野の技術研究開発に精力的に取り組んでいる。

その成果を業務全般に活用するとともに,さまざまな機会を通じて広く社会に発信してきた。

また,研究開発活動とともに,当社グループの事業活動により得られる成果は重要な知的財産であり,持続的な成長を図っていくため積極的に知的財産の出願を行っている。

(1) お客さまや社会とともに進める「脱炭素化」を実現する技術研究開発

・再生可能エネルギーの導入拡大に向けた,洋上風力発電導入等に関する技術研究開発

・アンモニア・水素利用など,脱炭素に資する技術研究開発

・原子力発電所の一層の安全性向上等に資する技術研究開発

・次世代ネットワーク構築など,分散型電源の大量導入下での電力品質維持に資する技術研究開発

・電気の脱炭素化や省エネ・電化の推進に資する技術研究開発

・ソリューションによりお客さまのエネルギー利用の効率化に資する技術研究開発

(2) 「新しいコミュニティの形」の提供に向けた技術研究開発

・コミュニティサポートインフラの創造に向けた最新デジタル技術を活用したエネルギーマネジメントサービス等の技術開発

・生産プロセスにおける新たなソリューションを提供する技術研究開発

・社会課題解決のための新サービス創出に資する技術研究開発

・地域資源循環型社会の実現に資する技術研究開発

 

なお,当連結会計年度における当社グループ全体としての研究開発費の総額は,8,771百万円(ミライズ811百万円,パワーグリッド5,818百万円,その他2,141百万円)である。

 (注)上記金額には,内部取引を考慮していない。