(1) 会社の基本方針
当社グループは、「地球上に限りある資源の有効活用を図り、あらゆる素材の表面改質を通じて、資源の新しい価値を創造し、地球環境の保全と豊かな社会作りに貢献する」を企業理念に、表面改質技術を通じて従前より持続可能な社会の実現に向けさまざまな取り組みを推進しております。こうした取り組みをより具体的に記述した「サステナビリティ基本方針」を制定することにより、持続可能な社会の実現に向けた行動を一段と推進しております。
また、上記企業理念・基本方針を踏まえ当社グループでは、2030年のあるべき企業像と成長の道筋を示した長期ビジョン「Vision2030」を策定し、表面改質のスペシャリストとして「表面改質技術を通じて、新たな価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献する」を目標に、あらゆる素材の表面に、多様な機能を付加する技術の研究開発に取り組んでおります。
<サステナビリティ経営のフレームワーク〉
企業理念に基づき、サステナビリティ基本方針を始めとする各種方針、ガイドライン等を制定しています。「Vision2030」のもと、重要課題(以下、「マテリアリティ」という)に取り組むことで持続可能な社会の実現を目指しております。これらの考え方を踏まえ、中期経営計画では事業活動と融合させたサステナビリティ経営の推進を図っております。

(2) 中長期的な会社の経営戦略
第4次グループ中期経営計画では、当社グループが優先的に取り組むべき6つのマテリアリティに対する具体的な取り組みを推進し、成長戦略、社会課題解決、企業変革の3つを柱として、「Vision2030」の実現に向けた経営基盤作りに取り組んでおります。
当社は1928年の創業以来、表面改質技術を通じて、産業や社会の発展に貢献してまいりましたが、近年、EV化の進展など、事業環境は目まぐるしく変化しております。このような先行きが不透明で、将来の予測が困難な、所謂VUCAの時代を生き抜いていくために、これまで以上の大きなチャレンジに果敢に取り組み、社会と共に持続的な成長・発展を目指してまいります。
(3) 目標とする経営指標
(第4次グループ中期経営計画:2025年3月期の目標)
・売 上 高 1,300億円
・営 業 利 益 169億円
・経 常 利 益 195億円
・売上高営業利益率 13%以上
・売上高経常利益率 15%以上
・自己資本利益率(ROE) 8~10%以上
(4)会社が対処すべき課題
2024年3月期における日本及び世界経済は、資源・エネルギー高やインフレ圧力の継続、世界的な金融引き締めによる景気下振れ懸念、ウクライナ情勢の動向等のリスク要因も多く、先行きは不透明な状況が続くと予想されます。また、依然として、原材料価格の高止まりやエネルギー価格の上昇等が当社グループの業績に影響を及ぼすと予想され、販売価格への転嫁、原価低減、生産性の向上などにより、適正なマージンを確保できるように取り組んでまいります。
また、中長期的には、主要な販売先である自動車業界においては、グローバル競争の激化による価格低下及び国内市場の成熟等による需要減少リスクに加え、脱炭素社会に向けた自動車の電動化への取り組みがグローバルで加速しております。そのような市場環境のなか、当社グループの持続的な企業価値の向上には、既存事業の収益力強化と将来を見据えた技術開発が不可欠と考えており、「Vision2030」の実現に向けて、以下の取り組みを推進してまいります。
① 新規分野の開拓
自動車及び鉄鋼などの伝統的な市場だけでなく、医療機器、電子部品、航空宇宙、ヘルスケア、家庭用品など、新規市場及び新規分野への参入拡大を推進してまいります。
② 既存分野の深耕
次世代自動車に対応した技術開発、環境対応型製品及び高機能製品の開発など、社会のニーズに合わせた製品開発や技術開発により、既存分野の深耕を図ってまいります。
③ グローバル展開の加速
事業活動の更なるグローバル化を推進し、グループ総合力を活かして、社会課題の解決に貢献するソリューションをグローバルに提供する体制を強化してまいります。
④ グループ・ガバナンスの強化
中長期的な企業価値の向上に向けて、グローバルな事業活動を支えるためのグループ・ガバナンスの強化に取り組みます。
⑤ 多様な人材の活躍推進
イノベーションの創出と海外事業の拡大による持続的な成長を実現するため、ダイバーシティ経営をグローバルに推進し、多様な人材の活躍促進とグローバル人材の育成・確保に積極的に取り組みます。
(5)コーポレート・ガバナンス強化による企業価値及び株主共同の利益向上に向けた取組み
当社では、プライム市場上場会社として社会的な使命と責任を果たし、継続的な成長・発展を目指すためには、コーポレート・ガバナンスの充実が重要な経営課題であると考えております。
この考えに基づき、(ⅰ)取締役会による重要な意思決定と職務の監督、(ⅱ)グループ全般を視野においた経営管理体制による意思決定の迅速化、(ⅲ)監査等委員会による取締役の職務執行の監査、(ⅳ)社長直轄の内部監査室による内部監査の実施、(ⅴ)化学メーカーとしての責任である製品・サービスに関する安全性確保、品質保証、環境対応及び法令遵守を全社統合的に推進する組織の編成、(ⅵ)コンプライアンス委員会・リスク管理委員会の設置、リスク管理規程・子会社管理規程の整備、(ⅶ)任意の指名・報酬委員会の設置等の施策を実行しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、「地球上に限りある資源の有効活用を図り、あらゆる素材の表面改質を通じて、資源の新しい価値を創造し、地球環境の保全と豊かな社会作りに貢献します」との企業理念のもと、サステナビリティ基本方針を策定し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に向けた取り組みを推進しております。
なお、気候変動が事業に与えるリスクやインパクト、当社グループの具体的な取り組みについては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき2023年9月発行の統合報告書において情報開示を行う予定です。
(1) ガバナンス
当社では、2022年4月より経営企画本部内にサステナビリティ経営推進組織を設置し、気候関連問題を含むESG領域に関する戦略、方針、課題とそれら課題に対する目標と進捗状況を執行役員会及び取締役会に報告しております。取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、付議・報告された内容について、審議・監督を行っております。
また、サステナビリティの取り組みをより一層強化していくため、サステナビリティに関する活動を全社的な視点から統括し、推進するための組織として代表取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置することを既に取締役会にて決議しており、2023年7月より具体的な活動を開始いたします。
本委員会は、定期的に開催され、社会・環境問題などサステナビリティに関する対応方針や諸施策の立案、各種施策の推進・進捗管理、マテリアリティ及びそのKPI等の策定・見直し、気候変動に関する事項などについて審議し、その審議事項について、逐次執行役員会及び取締役会に付議・報告することとされています。取締役会は、本委員会にて審議し取締役会に付議・報告された内容について、審議・監督を行っております。
(2) 戦略
当社グループは、事業活動におけるリスク及び機会を分析し、2022年5月に6つの優先的に取り組むべき重要課題をマテリアリティとして特定しました。さらに定量的・定性的なKPIを設定し、当社グループの経済価値の向上と社会課題の解決に貢献すべく、各マテリアリティの取り組みを推進しております。
<当社グループのマテリアリティ>
① 表面改質技術による豊かな社会の創出
・環境に配慮した新製品・新技術の開発
・表面改質技術を活かした新規分野の開拓
・オープンイノベーションの積極的な推進
② 高付加価値の製品・サービスを世界のお客さまに
③ 現場で働く人たちの安心・安全衛生確保
④ 多様な価値観を尊重し“力”に変えられる企業文化の醸成
・多様な人材の活躍推進
・人権の尊重
⑤ 持続可能な社会の実現に向けた責任ある対応
・持続可能なサプライチェーンの構築
・環境負荷低減への貢献
⑥ 誠実な企業であり続けるための継続的な取り組み
・誠実で正直な企業運営
・リスクマネジメントの向上
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
<人材育成方針>
持続的成長とイノベーションの創出には多様な人材の活躍が不可欠と考え、多様な人材の採用と育成によりグループ人材力の最大化を図っていきます。当社グループは、世界13の国と地域でグローバルに事業を展開しており、「多様な価値観を尊重し、“力”に変えられる企業文化の醸成」をマテリアリティに掲げ、グローバルな人材育成、ダイバーシティの推進、人権の尊重などに取り組んでおります。具体的には、グローバルな企業運営と地域に根差した事業展開を目指し、国内外の人材交流の活性化によるグローバル人材の育成、海外拠点におけるローカル人材の育成強化を図ります。また、女性・障がい者・外国人・中途・シニアなど多様な価値観、バックグラウンド、スキルを持った人材の採用と定着を促進し、キャリアステージに合わせた研修などを通じキャリア形成をサポートしております。
<社内環境整備方針>
多様な人材が能力を発揮して活躍できる環境と柔軟な働き方を可能とする制度を整えることで、仕事のやりがいと個人の成長を実現し、社会価値と企業価値との両立を図っていきます。また、IT基盤の整備及び営業活動・生産・品質管理等におけるIoTの活用により、生産性の向上を図るなど、デジタル・トランスフォーメンションを推進します。さらに、「現場で働く人たちの安心・安全衛生確保」をマテリアリティに掲げ、安心・安全で快適な職場環境の形成を目指すとともに、心と身体の健康増進に取り組んでおります。
(3) リスク管理
当社グループは、事業目的の達成を阻害する恐れのあるさまざまなリスクを効果的、効率的に管理するため、リスク管理委員会を設置しております。本委員会は、経営リスク(オペレーショナルリスク)を中心とするリスクマネジメント活動を統括し、当該リスクに対するアセスメントを実施し、その評価・管理・対応策の検討を行い、内部統制委員会へ付議・報告しております。
なお、気候変動に関するリスクについては、上記のとおり、サステナビリティ委員会が主体となってマネジメントすることとなり、両組織は全社的なリスクマネジメント活動において相互に緊密に連携・協力して対応してまいります。
(4) 指標及び目標
こうした取り組みのなか、特に重要と考える気候変動への対応として、中長期の温室効果ガス(以下、「GHG」という。)排出量削減目標を策定するとともに、目標達成に向け、①設備・機器効率の改善、運転方法・プロセスの合理化、②再生可能エネルギー由来電力の利用拡大、③カーボン・オフセット手法の利用などの施策に取り組んでおります。
<当社のGHG排出量削減目標>
2030年目標 Scope1・2 売上高原単位CO2排出量30%削減(2020年度比)
2050年目標 Scope1・2 カーボンニュートラル達成
<当社のGHG排出量(Scope1、2)>
(注) 2022年度のGHG排出量は算定中のため、前事業年度までの情報を記載しております。
また、当社グループでは上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、従業員一人ひとりが高い専門性とスキルを習得・発揮し、多様な人材がそれぞれのキャリアを自律的に構築しながら、高い付加価値を創出できる仕組みを整備することを目標とし、フレックスタイム制度やテレワーク体制の整備などワークライフバランス支援の強化を図るとともに、人事制度の見直しを進めております。
なお、多様性の推進については、管理職に占める女性の割合(2023年3月期実績2.4%)を中長期的に引き上げることを目標としております。
当社グループの財政状態、経営成績及び株価等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、自動車、鉄鋼、金属・非鉄金属、建築・建材、電子部品等の様々な業界へ表面処理に関する製品及びサービスを提供しており、特定の取引先数社に集中することはありませんが、日本、アジア、欧米と様々な地域で事業活動を展開しており、各国・地域における景気低迷等及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
薬品事業においては、主として日本及びアジアにおいて、様々な業界に金属表面処理薬剤を提供しておりますが、主に自動車・鉄鋼業界等の需要状況に影響を受けます。
装置事業においては、主として日本及びアジアにおいて、自動車生産及び一般産業向けに、前処理・塗装装置プラントの設計・販売等を行っておりますが、装置事業の売上は、顧客の設備投資需要に影響を受け、年度により、業績が大きく変動する可能性があります。
加工事業においては、日本及びアジア並びに北米において、防錆加工と熱処理加工を中心に行っておりますが、主に自動車、金属、機械業界等の需要状況に影響を受けます。
また、当連結会計年度における世界経済は、各国で行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進展したことにより緩やかな回復基調で推移しましたが、資源・エネルギー価格の高騰や根強いインフレ圧力が継続しているなど、依然として先行きは不透明な状況となっております。当社グループでは、急激な需要変動にも対応できるように、柔軟な生産体制の整備に努めておりますが、国内外の経済情勢の変化により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループの事業は、競合他社との差別化が重要なファクターであり、クロムフリー薬剤等の環境対応型薬剤の開発、様々な用途開発、顧客との共同研究等を推進し、差別化技術の開発及び将来を見据えた研究開発に取り組んでおります。
表面改質のスペシャリストとして、時代を先取りした迅速で柔軟な研究開発により、他社技術と差別化できる技術の開発、新規市場の開拓等を進めておりますが、新技術のトレンドや顧客ニーズの予測及び対応を誤り、競合他社が当社を上回る高品質で安価な製品又はサービスを実現した場合、収益性やシェアが低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、表面処理薬剤メーカーとして、りん酸をはじめとする多くの原材料を国内及び海外から調達しております。原材料を複数のサプライヤーから購入することにより安定調達を図り、生産に必要な原材料が十分に確保されるよう努めておりますが、特定の地域からの輸入に頼る原料をはじめ、高度な技術により合成された化合物等、供給元が限定されている原料もあります。
サプライチェーンにおけるBCP対応の推進に取り組んでおりますが、サプライヤーの被災、事故、倒産等による原材料の供給中断、需要の急増による供給不足等、予期せぬ事象が発生した場合、製品の安定的な製造・販売体制に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、ISO9001、IATF16949等認証取得を積極的に進める等、各拠点において、厳格な管理基準に従って製品製造及び受託加工等を行っております。
お客様に高品質な製品・サービスをタイムリーに提供できるように、要求された品質レベルを確保すべく、工程管理、監査、教育の強化等、未然防止活動の徹底を行っておりますが、全ての製品等について不良又は不具合等が発生しないという保証はありません。製造・輸送・保管等の過程における予期せぬトラブルによって、不良又は不具合等が発生した場合、顧客企業への補償や対策費用等の発生に加え、市場における信用の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、製品の製造及びサービスを提供するに際して、その全てのプロセスに万全の安全衛生管理体制を構築することを目標としています。具体的には、労働安全衛生法をはじめとした関連法規制の遵守徹底とともに、企業としての安全配慮義務の履行と、それらに基づく安全衛生活動を実施しております。その活動事例としては、各事業場における巡視や関連法規制の遵守状況の監査、計画的な安全衛生教育等があります。
しかしながら、万が一、重大な労働災害や設備事故等が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(6) 環境保全
当社グループは、表面処理薬剤の製造及び加工処理等サービス提供のプロセスにおいて、大気、水質、土壌等の汚染防止や有害物質、廃棄物の管理等、環境保全に関連する法規制は全てこれを遵守しております。また環境保全に関連するものとしてはISO14001(環境ISO)の認証維持及びその要求事項に沿った活動も推進しております。
ただし、不測の事態により事業活動に起因する環境汚染等が発生した場合には、そのことによる経済的な損失や社会的信用の失墜により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(7) 公的規制等
当社グループ及び当社グループの顧客企業が事業を行うにあたり、化学物質等の取り扱いにおける国内法規、製品や原料の輸出入に関わる国内外の法規、更にREACH規則、TSCA、RoHS規制等の化学物質に係る様々な海外の法規を遵守する必要があります。
事業の継続及び機会の確保のため、こうした法規に関する情報収集と対策を積極的に進めておりますが、これらの法令等の改正や強化がされた場合には、事業活動が制限される、あるいは事業機会を逸し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、長年にわたって蓄積した技術を活用し、他社技術と差別化できる技術の開発と他社の知的財産権侵害の回避を行っておりますが、当社グループが独自に開発した技術の一部は、知的財産権による保護が不可能な場合又は限定的にしか保護されない場合があります。
当社グループは、保有する知的財産権の適切な保護及びノウハウ等の管理に努めていますが、当社グループの技術の模倣等によって第三者が類似した製品を製造することやコスト競争力のある製品を開発することを効果的に防止できない可能性があり、これらによって当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、日本、アジア、欧米と様々な国と地域で事業活動を行っており、将来の成長には、新製品の開発力を高めるための研究、技術及びノウハウの伝承、事業のグローバル展開が不可欠であり、これらに携わる人材の確保が重要な経営課題のひとつです。
「多様な価値観を尊重し、“力”に変えられる企業文化の醸成」をマテリアリティに掲げ、多様な国籍の人材採用や経験者の通年採用を実施しております。また、将来の経営幹部等の確保と育成にも力を入れております。しかしながら、人材獲得や育成が計画通りに進まなかった場合、当社グループの将来の成長に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、りん酸他の金属塩類、無機物、有機物、その他用途別の様々な原材料を仕入れており、これらの原材料の仕入価格は、国際的情勢による需給バランス、為替レート、ロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)の相場等の影響を受けて変動します。
原材料価格の上昇局面においては、原価低減策によるコスト引き下げと製品価格への転嫁等を図ることにより、適正な利益の確保に努めております。原材料の種類は非常に多く、商社等を経由した輸入も多いため、原材料価格の変動が業績に与える影響を画一的に予想することはできませんが、急激な原材料価格の高騰は、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
(11) 事業投資等
当社グループは、「表面改質のスペシャリストとして真のグローバルカンパニーを目指す!」を経営ビジョンとして、持続的成長のために、グローバルに積極的な設備投資やM&Aを進めております。
重要な投資案件については、取締役会において、事業性を評価の上、決定するとともに、定期的に事業の進捗状況を確認し、必要に応じて、今後の方向性や業績改善の為の対策を検討していますが、想定外の市場環境の悪化等により、利益計画を大幅に下回った場合、設備投資により計上した有形固定資産やM&Aにより計上したのれん等の減損処理により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、日本、アジア、欧米と様々な国と地域で事業活動を行っており、海外に多数の在外子会社を有しております。在外子会社は、原則として、その会社が属する国又は地域の通貨によって財務諸表を作成しており、連結財務諸表の作成過程において、資産及び負債は連結決算日の直物為替相場により円換算し、収益及び費用は期中平均相場により円換算されております。
在外子会社は、米ドル圏だけでなく、アジア各国等様々な通貨圏で事業活動を行っており、為替換算レートの変動による影響を画一的に予測することはできませんが、一般的には、円高の場合は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安の場合は好影響を及ぼします。
当社グループは、海外市場での事業拡大を成長戦略の一つとしていますが、海外では、政治不安、貿易・外貨規制、法令・税制の変更、治安悪化、紛争テロ、戦争、宗教や文化の相違等、様々な政治的、経済的又は法的な制約を伴う可能性があります。
リスク管理の強化やカントリーリスクの情報収集等に努めておりますが、予期せぬ事象の発生等により、事業活動が制限を受けたり、法令等に適合するための費用が増加したりする等、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当社グループは、地震や台風等大規模な自然災害、火災等の事故、感染症によるパンデミックの発生時の安全確保と生産活動の中断による損害を最小限に抑えるため、定期的な製造設備の防災点検や防災訓練の他、事業継続計画(BCP)を策定して、早期に事業復旧できるように準備を行っております。
しかしながら、予期せぬ大規模な自然災害等が発生した場合には、人的、物的損害による事業活動の停止等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、各国で行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進展したことにより緩やかな回復基調で推移しましたが、資源・エネルギー価格の高騰や根強いインフレ圧力が継続していることに加え、欧米の金融引き締め政策等による景気後退リスクもあり、依然として先行きは不透明な状況となっております。わが国経済におきましても、社会経済活動の正常化が進み、設備投資や個人消費を中心に緩やかな持ち直しの動きが見られましたが、原材料価格の上昇や部品供給制約の影響により回復力は鈍く、企業収益や生産においては一部で弱さがみられるなど、先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループの主要な供給先であります自動車業界では、依然として半導体供給不足による減産の影響は続いているものの、アジア諸国を中心に生産台数の回復傾向が見られ、国内においても期後半にかけて緩やかな回復基調で推移しました。もう一つの柱であります鉄鋼業界においては、インドで経済成長を背景に粗鋼生産量が前年を上回る水準で推移したものの、自動車減産の長期化や中国の不動産市況悪化等の影響により、日本、中国、米国においては前年をやや下回る水準となりました。
このような状況のなか、当社グループでは、今年度より第4次中期経営計画をスタートさせました。2028年の創業100周年に向けて、新たな成長を実現するための重要な期間と位置づけ、全事業セグメントにおいて、既存事業の深耕、新規分野の開拓、グローバル事業の拡大に加えて、環境問題などの社会課題解決に積極的に取り組むなど、長期的な視点で企業価値の向上に取り組んでおります。また、お客様から信頼をいただける製品・サービスを提供するために、グループ全体の品質管理と品質保証の強化にも努めております。
この結果、当連結会計年度の連結業績は次のとおりとなりました。
売上高は1,191億77百万円(前年同期比1.2%増)となりました。事業の種類別セグメント毎の売上高は、前年同期に比べ薬品事業が13.5%の増収、装置事業が29.8%の減収、加工事業が4.3%、その他が14.5%の増収となりました。また、地域別セグメントは、国内が1.3%の減収、アジアが1.4%、欧米が19.9%の増収となりました。
営業利益は126億68百万円(前年同期比5.3%減)、経常利益は166億25百万円(前年同期比2.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は99億73百万円(前年同期比10.2%増)となりました。
海外業績の換算による損益計算書に与える影響額は、売上高で64億55百万円程度の増収、営業利益で5億円程度の増益となっております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
売上高は529億11百万円(前年同期比13.5%増)となり、営業利益は76億72百万円(前年同期比0.2%増)となりました。当事業部門は、あらゆる産業分野における素材の洗浄、防錆、塗装下地、潤滑、意匠などを目的として表面処理剤の製造・販売と、これにともなう最新のノウハウ、技術サポートを提供しております。国内では主要顧客の減産等の影響により、期前半では金属表面処理剤の販売は伸び悩みましたが、期後半にかけては緩やかな回復基調で推移しました。また、国内外での販売価格上昇やインド、インドネシアなどアジア地域での販売回復も寄与し、薬品事業全体では売上高は増収となりました。一方で、原材料価格高騰の影響が期を通じて継続したこと等から収益性は低下し、営業利益は小幅な増益にとどまりました。
装置事業
売上高は167億90百万円(前年同期比29.8%減)となり、営業損失は8百万円(前年同期は1億51百万円の営業利益)となりました。当事業部門は、輸送機器業界を中心に前処理設備、塗装設備及び粉体塗装設備などを製造・販売しております。前年同期は国内外で大型設備案件の施工が進捗し業績に寄与しましたが、今期はその効果が減少したことに加え、中国ロックダウンに伴う工期の後ろ倒しや鋼材価格の高騰などの要因もあり、収益面では大幅な減収となり、利益面では営業利益から営業損失へと転換しました。
売上高は467億43百万円(前年同期比4.3%増)となり、営業利益は60億86百万円(前年同期比10.3%減)となりました。当事業部門は、潤滑性・高密着性などの機能性を付与する「防錆加工」、金属の強度や耐久性を高める「熱処理加工」、素材表面に薄膜金属を被膜することで高耐食性、耐摩耗性などを付与できる「めっき処理」などの表面処理の加工サービスを提供しております。ベトナム・インドなど一部のアジア地域では比較的堅調に推移したことや、為替レートが円安に進んだこと等から、加工事業全体では売上高は増収となりました。一方で、国内および北米、中国、タイでは主要取引先である自動車部品メーカーの生産低調に伴い販売が伸び悩んだことに加えて、原材料費・光熱費の上昇により収益性が低下し、営業利益は減益となりました。
売上高は27億32百万円(前年同期比14.5%増)となり、営業利益は1億13百万円(前年同期比280.1%増)となりました。当事業部門は、ビルメンテナンス事業、太陽光発電事業などを営んでおります。主にビルメンテナンス事業の販売が順調に推移したため増収増益となりました。また、ライフサイエンス事業として、血液や生体組織の付着を低減した電気メス部品「CHIDORI」などの製造販売を通じて、医療機器分野への参入も進めております。
第4次グループ中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の初年度である2023年3月期における世界経済は、各国で行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進展したことにより、緩やかな回復基調で推移しましたが、原材料価格や光熱費の上昇などの影響により、利益率は目標を大きく下回っております。今後、目標の達成に向けて、販売価格への転嫁、原価低減、生産性向上などを推進し、適正なマージンを確保できるように取り組んでまいります。
また、「Vision2030」の実現に向けた経営基盤作りとして、新規分野開拓のための研究開発体制の強化、海外事業の拡大のためのグローバル人材の採用と育成などを推進してまいります。ROEにつきましても、目標達成に向けて、利益率の向上への取り組みを推進するほか、機動的な自己株式の取得など適切なバランスシート管理を実施することで、自己資本の拡充とROE向上の両立を目指してまいります。
(単位:百万円)
当社グループは主として販売計画に基づいた見込生産及び短納期での受注生産によっております。そのため、生産実績及び受注実績は販売実績と重要な相違がないため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 財政状態
(資産の部)
資産合計は、前連結会計年度末と比較し75億51百万円増加し2,365億34百万円となりました。流動資産は23億18百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が9億27百万円、棚卸資産が15億2百万円それぞれ増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が1億8百万円減少いたしました。固定資産は52億32百万円増加いたしました。主な要因は、有形固定資産が46億48百万円、投資その他の資産が7億67百万円それぞれ増加いたしました。
(負債の部)
負債合計は、前連結会計年度末と比較し11億67百万円減少し401億41百万円となりました。流動負債は9億6百万円、固定負債は2億61百万円それぞれ減少いたしました。主な要因は、未払法人税等が8億53百万円減少いたしました。
(純資産の部)
純資産合計は、前連結会計年度末と比較し87億18百万円増加し1,963億92百万円となりました。主な要因は、為替換算調整勘定が42億28百万円、非支配株主持分が27億41百万円、利益剰余金が44億85百万円、自己株式が18億22百万円それぞれ増加した一方で、その他有価証券評価差額金が3億76百万円減少いたしました。
以上の結果、自己資本比率は70.3%と前連結会計年度末と比較し0.3ポイント増加するとともに、1株当たり純資産は1,441円98銭と75円51銭増加いたしました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し56億76百万円増加し676億68百万円となりました。流動資産は50億78百万円増加し525億71百万円となりました。有形固定資産は5億20百万円増加し143億7百万円となりました。無形固定資産は50百万円減少し5億2百万円となりました。投資その他の資産は1億27百万円増加し2億86百万円となりました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し7億8百万円増加し193億7百万円となりました。流動資産は6億14百万円増加し170億89百万円となりました。有形固定資産は79百万円増加し10億46百万円となりました。無形固定資産は6百万円減少し51百万円となりました。投資その他の資産は20百万円増加し11億19百万円となりました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し28億56百万円増加し805億45百万円となりました。流動資産は5億10百万円増加し424億46百万円となりました。有形固定資産は23億78百万円増加し325億90百万円となりました。無形固定資産は1億71百万円減少し15億21百万円となりました。投資その他の資産は1億39百万円増加し39億86百万円となりました。
総資産合計は前連結会計年度末と比較し1百万円増加し17億59百万円となりました。流動資産は66百万円増加し11億32百万円となりました。有形固定資産は68百万円減少し5億34百万円となりました。無形固定資産は0百万円減少し1百万円となりました。投資その他の資産は3百万円増加し91百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物は、当連結会計年度の期首と比較し39億85百万円減少し、580億98百万円となりました。なお、当連結会計年度は、現金及び現金同等物に係る換算差額により8億64百万円増加しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と増減の要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ23億27百万円収入が増加し166億8百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益166億28百万円、減価償却費59億27百万円、法人税等の支払額51億3百万円、売上債権及び契約資産の減少10億64百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ56億44百万円支出が増加し123億円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出96億7百万円、定期預金の預入による支出83億25百万円、定期預金の払戻による収入45億49百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に比べ50億53百万円支出が増加し91億58百万円の支出となりました。これは主に、配当金の支払額56億13百万円、自己株式の取得による支出18億45百万円、非支配株主への配当金の支払額11億73百万円によるものです。
(キャッシュ・フロー関連指標)
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
主な資金需要は、製品製造のための材料・部品等の購入費、製造費用、加工処理費用、商品の仕入、販売費及び一般管理費、法人税等の支払、非支配株主への支払いを含めた配当金の支払、運転資金及び設備投資資金等であります。
当連結会計年度は、有形固定資産の取得96億7百万円、配当金の支払56億13百万円、法人税等の支払51億3百万円等の資金需要がありました。また、現金及び預金同等物の期末残高は、期首に比べ39億85百万円減少いたしました。有利子負債は当連結会計年度は3億72百万円減少しております。
基本的に運転資金と設備投資資金については、原則として自己資金を利用しておりますが、一部では借入金によるものがあります。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その適用においては、過去の実績等を勘案して将来の見積りを計上することが必要とされる場合があります。特に連結財務諸表に重要な影響を与える見積りを必要とする項目は以下のとおりであります。
①工事請負契約に係る収益認識
工事請負契約について、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。進捗度は、当連結会計年度末までに発生した工事原価を工事原価総額の見積りと比較することにより測定しております。工事原価総額は、必要となる資材や技術員、完成するまでの期間等に基づいて算定いたします。工事契約の着手後に判明する事実の存在、現場の状況の変化、市場環境の変化によって作業内容等が変更される結果、進捗度の測定の前提となる工事原価総額の見積りに影響を与え、工事損益に影響を及ぼす可能性があります。
②貸倒引当金
売掛金、貸付金その他これらに準ずる債権を適正に評価するため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、債権の相手先の財政状態が悪化して支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
③有形固定資産
償却資産に関しては、一般に公正妥当と認められる減価償却方法に基づき実施しております。また、固定資産の減損に係る会計基準に従い、減損損失の認識と測定を実施しておりますが、資産の市場価格の見積りや将来キャッシュ・フローの見積りは、合理的な仮定や予測に基づいて算出するため、当社グループによる見積りより悪化した場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
④投資有価証券
当社グループは金融機関及び販売、仕入に係る取引先等の株式を保有しております。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて投資有価証券の減損損失を計上しております。なお、将来の市況悪化や投資先の業績不振等、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収が不能となる状況が発生した場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
⑤退職給付に係る負債
従業員の退職給付費用及び退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、期待収益率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率等が含まれます。当社及び一部の連結子会社が加入する年金制度においては、割引率は安全性の高い長期債券をもとに算出しています。期待収益率は、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を勘案し計算されます。実際の結果が前提条件と異なる場合には、将来の費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
(1) 技術導入契約
(2) 代理店契約
(3) 資本・業務提携
当社グループは技術立社として、「金属表面処理技術の経験を活かして自動車・鉄鋼業等を中心に産業に貢献すべく、あらゆる素材の表面改質の分野で市場における技術的な優位性を維持し、世界のリーダーたる」ことを基本方針に掲げ、国内外関係会社の技術開発部門が連携し、表面改質技術を通じて、新たな価値を創造し、持続可能な社会の実現に向けた表面処理技術の開発を進め、その地位を確固たるものにするために日々努力しております。また、脱炭素社会の実現に向けた技術開発にも積極的に取り組んでおります。
当社グループの事業領域は、表面処理薬剤の製造販売を中心とする薬品事業領域、防錆加工及び熱処理加工を行う加工事業領域、表面処理及び塗装に関連する設備機器の製造販売を行う装置事業領域の3つに大別されます。これら事業領域を網羅した基礎的な研究開発については総合技術研究所を中心として推進されており、同所が技術開発の発信拠点となっております。一方、東日本・西日本の各地域の技術センター、加工技術センター、油性製品技術センターや海外技術センターは、顧客により近い立場での応用開発を行っております。市場ニーズの急激な変化へ対応するために、シーズ開発から製品開発までを一貫して行うと共に、グローバルな製品展開を視野に入れ、迅速で柔軟な研究開発体制を構築しております。また、自社の持つコア技術を軸とした新技術創生活動にも力を入れております。更に製品の製造に関しては、多様化する製品群に対し安定した品質を保証できる製造技術の開発を製造技術センターにおいて推進しております。
主な研究開発の概要及び成果は、以下のとおりです。
薬品事業領域では、従来から対象としてきた鉄鋼材料・自動車車体・塑性加工パーツ・非鉄材料といった主な分野で、環境課題にも積極的に取り組んでおり、性能とコストを両立させ、環境に配慮した新しい表面処理技術・材料の開発を進めております。自動車車体の塗装下地分野では、りん酸亜鉛処理に替わる環境負荷の少ない新規化成処理のグローバル展開を進めており、次世代に向けた応用開発も同時並行で行っております。同じくりん酸亜鉛処理に頼っていた塑性加工用潤滑処理についても、環境対応型の一液型潤滑処理の市場が海外展開を含めて進んでおります。非鉄材料分野では、エアコン用熱交換器に対して新たな機能を付与した皮膜処理剤の開発を進め、家電用エアコンへの市場化を目指しております。また、コア技術を応用して絶縁、断熱、撥水、抗菌といった新たな機能を発現する皮膜処理技術の開発や新たなコア技術を創生することによって、電子部品、日用品、医療機器といった新規市場分野に対する用途開発を積極的に進めております。今後、更なる市場拡大が期待できます。
装置事業領域では、新たに千葉県船橋市に技術開発センターを2023年11月に竣工致します。お客様が実際に塗装確認を行えるデモプラントを設置し、溶剤塗装・粉体塗装ともに当社グループが誇る最新の塗装機と塗装システム、ならびに粉体塗装については清掃性が飛躍的に向上した塗装ブースや膜厚を自動調節するSDGsに即した新塗装システムを紹介してまいります。加えて、IoT設備管理システム“LEAPS”を導入し、当センターのエネルギー監視や各種実験装置からの収集データ及び監視映像にて性能評価の実証・見える化を行います。また、IoT化を進めることで収集される膨大なデータの、AIによる因果関係傾向解析の取組みを始めました。
加工事業領域では、防錆加工分野では耐食性、接着性、意匠性等の様々な要求に対応する化成処理や、絶縁性等の機能性皮膜技術の開発を行っております。熱処理分野においては金属の強度や耐久性を高める技術開発及び生産技術的研究を行い事業化につなげました。また、軟窒化処理と高周波焼入れの複合熱処理等の検討も行っており、その応用技術の実用化を推進しております。
当連結会計年度では、総研究開発費として