第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社の主たる事業は、最先端のサイエンスをいち早く治療現場へ届けるため、世界中の製薬企業にIP(知的財産)を提供し、世界の人々の健康に貢献することです。

新たな治療技術として注目されるmRNAに特化し、効率的に複数のmRNA医薬の創薬及び知財獲得を進め、後期臨床開発ステージに入る時点までに、臨床開発を実施可能な製薬企業にライセンスアウトいたします。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、非臨床試験を実施して得られた研究シーズを製薬会社等に導出し、市場に高品質のmRNA新薬を効率的にもたらすmRNA創薬ビジネスを2023年1月から開始しておりますが、現時点では継続的な事業利益を計上する段階には至っておりません。

当社は、mRNA創薬を目指すアカデミアやバイオベンチャー、企業との共同研究を推進し、当社のmRNA創薬にかかるノウハウを活かしIPを創出、非臨床試験まで実施し、mRMA医薬候補のアセットとして、大規模な臨床開発が実施可能な大手製薬企業等に導出(ライセンスアウト)します。アセットの導出時に、マイルストーンを受領し、また開発に成功し販売に至った場合には、ロイヤリティを受領します。

開発候補品の選定については、世界の大手製薬企業のニーズ情報を取得し、共同開発などを含めて導出確率を高めたIP取得の積み上げを図り、複数のアセットを継続的に導出し、早期に継続的な黒字化を実現することを中長期的な目標としております。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

当社は2023年1月に治療モダリティをmRNA医薬に絞り、非臨床段階で製薬企業へライセンスアウトし収益を得るIP創出型のビジネスモデルに転換しました。大きな資金及びリソースの投入が必要な後期臨床開発を行わずにリターンを得る「IP Generator」型企業として成長を目指します。第28期(2024年3月期)におきましては、当社の成長戦略として、「mRNA医薬のIP Generatorへのパラダイムシフト」を掲げ、以下の3項目を重点目標としています。

 

①mRNAシーズの探索と取り込み

mRNA医薬のパイプラインを拡充し、医療の現場から求められるライセンス候補の創製を推進いたします。その為に、mRNA医薬のシーズ或いは技術基盤を保有する世界中のアカデミア、バイオベンチャー等とのオープンイノベーションを進め、速やかにIPを獲得し、ライセンス契約を成立させることを目標としてまいります。

 

②アクセリードグループとの連携強化

創薬の初期段階から非臨床試験及びmRNA製造の専門家集団であるアクセリードグループとの協業により、迅速にmRNA医薬候補の創製を進めることが可能となりました。また同グループの情報網を利用し、製薬会社の創薬ニーズを正確に把握し、新規mRNA医薬のライセンスアウトの成功確率を高めてまいります。このように、外部リソースの最大限活用により、研究開発に係る固定費を削減し、IP導出までのサイクルを効率的に回し、持続的にマイルストーン収入を得て、さらなる成長を目指します。

 

③医師主導治験の実施

臨床試験の実施については、競争的資金の獲得或いはパートナーからの開発資金提供を条件として、資金投入の効果を見極めながら当社による実施の可否を判断いたします。この方針に従い、既にAMED資金を獲得した以下の2つのパイプラインについて第28期中の医師主導治験開始を目指してまいります。

・RUNX1 mRNAは、アクセリードと共同で設立したPrimRNAが主体となり、変形性関節症(OA)に対する機能維持治療法の開発を目指した研究開発プロジェクトです。

・TUG1 ASOは、脳腫瘍の中で最も悪性度の高い膠芽腫に対する治療薬として名古屋大学との共同研究開発プロジェクトです。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループが持続可能な社会の実現と永続的な企業価値の向上を目指すために当社グループが取組むべき課題は、「①mRNA医薬品のIP創出サイクルを通じた社会貢献への取り組み」、「②医薬品のIP創出を通じた人材育成への取り組み」、「③医薬品のIP創出を通じた環境保全への取り組み」であると考えており、mRNA医薬品のIP創出を通じた社会への貢献を目指してまいります。さらに、コーポレート・ガバナンスの強化と経営全般の効率化を図りながら、経営資源を最大限に活用し、サステナビリティ企業への成長に取り組んでまいる所存です。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視及び管理するための特別の組織は設置しておりませんが、内部統制の一環として、サステナビリティ関連も含めたリスクを抽出し、リスク統制表を作成し、対応状況について内部監査において四半期毎にチェックしております。この結果は社長を含む社内取締役に報告され、重要事項に関しては必要に応じ取締役会に報告・共有を行う方針です。

 

(2)戦略

①mRNA医薬品のIP創出サイクルを通じた社会貢献への取り組み

 当社はmRNA医薬品のシーズを獲得し、IP化しライセンスアウトする事業モデルであり、事業推進により新規医薬品を創出するサイクルを確立することで、日本の創薬基盤に貢献することができ、人々の健康と幸福の実現に寄与することができると考えております。

 

②mRNA医薬品のIP創出を通じた人材育成への取り組み

 当社はジェンダーレスで多様性ある人材こそが企業成長のドライバーであるとの考えのもと、従業員エンゲージメントの向上、従業員それぞれが能力を発揮し活躍できる環境の整備、健康経営の実施等、人的資本への投資についても積極的に行い、企業と従業員が共に成長できる体制の構築を目指します。

 

③mRNA医薬品のIP創出を通じた環境保全への取り組み

 治験薬や化粧品原料等の安全性・品質管理を徹底しており、またオフィスでは環境に配慮したエコ活動を推進するとともに、研究施設からの排気や廃棄物等の排出は環境への配慮を徹底します。

 

(3)リスク管理

 サステナビリティ関連のリスク管理については、内部統制の一環であるリスク統制表において管理され、内部監査において社内各部門から関連情報を収集し、四半期毎にチェックしております。また、取締役会及び監査役会の監督、指導のもと、対応策の計画と実施を管理する方針です。

 

(4)指標及び目標

当社グループではサステナビリティ関連の重要課題として「①mRNA医薬品のIP創出サイクルを通じた社会貢献への取り組み」、「②医薬品のIP創出を通じた人材育成への取り組み」、「③医薬品のIP創出を通じた環境保全への取り組み」を挙げております。

また、当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、②mRNA医薬品のIP創出を通じた人材育成への取り組みに関する方針については、管理職に占める女性労働者の割合を指標としており、当連結会計年度末実績として50%を超えているため、これを維持することを目標としております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)パイプラインに関するリスク(特に重要なリスク)

①新規パイプラインの創製に関するリスク

当社は、創薬シードを効率的に新たなRNA医薬パイプラインとして創製するとともに知財権を取得、非臨床研究終了後から早期臨床試験終了時までに導出し、ライセンス収入を得る事業を展開します。具体的には、創薬シードは、自社及び共同研究の実施などを通じたオープンイノベーションによりアカデミア、製薬また非製薬企業から確保いたします。開発候補を創製する過程において、RNAなどの核酸の配列及び最適なデリバリー方法などを検討し知財権を確立します。その後、非臨床開発、早期臨床試験と併行してライセンスアウトいたします。しかしながら、すべての創薬シードが順調に新規パイプラインへ移行しない可能性があります。

このため、創薬シードは、オープンイノベーションを最大限に活用し幅広いソースから質の高いシードを定常的に確保することでリスク低減に努めております。また、シードから新規パイプライン創製に至る確率を向上させるため、共同研究や他社及びアカデミアからの技術導入及び提携やM&A等による技術導入を柔軟に行います。なお、各プロジェクトについては、定期的に優先順位付けを行い経営資源を効率的に投入しております。

 

②非臨床ステージ以降に進捗したパイプラインに関するリスク

当社のすべてのパイプラインは研究開発途中であり、順調に推移しない可能性が常に存在します。また、当社が意図しない提携解消の可能性、研究開発が一定の段階まで進捗した際にライセンスアウトできない可能性、ライセンスアウトできたとしても当社の望む契約条件とならない可能性もあります。

これらが顕在化した場合、研究開発の遅延、研究開発コストの増加、将来のライセンス収入の減少等により、投下資金の回収が困難又は遅延することとなり、株価の低迷や他のパイプラインへの悪影響等も想定され、研究開発計画及び経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。

当社は医療ニーズや開発トレンドに応じた開発方針の変更、提携先の探索等により本リスクの低減に努めております。

 

③ENT103(商品名:コムレクス®耳科用液1.5%)に関するリスク

当社がセオリアファーマと共同開発を実施してきた耳鼻咽喉科領域における開発品ENT103は、2022年4月にセオリアファーマにより外耳炎及び中耳炎を対象に製造販売承認申請を行い、2023年3月に製造販売承認を取得し、2023年6月に販売開始しておりますが、想定した売上を達成できない可能性があり、これらが顕在化した場合、中長期的な事業計画の達成が困難になるおそれがあります。

このため、当社はセオリアファーマと販売計画や販売プロモーション計画の協議等により、売上目標の精度を高め、目標達成に向けて体制整備を行っております。

 

(2)研究開発資金の確保に関するリスク(特に重要なリスク)

新薬の研究開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要しますが、当社は大規模となる後期ステージの開発を自社で実施せず早期ライセンスを目指す戦略とし、大規模な資金投入を伴わない開発段階までのパイプライン創製を行うビジネスモデルに転換しました。当社において研究開発資金の確保は重要課題の1つでありますが、これまでに実施したファイナンスによる調達資金及び公的な競争的資金等の活用などにより研究開発資金を確保しております。しかしながら、mRNA創薬においては研究初期ではmRNAの最適化のため少量多種のRNA合成を迅速に行う必要があり、また非臨床ステージでは安全性試験やそれに供するmRNAの合成が必要です。これらをスムーズに行える体制を構築し、費用の低減も実現するためCRDMO(医薬品開発・製造受託機関)と包括協業提携を行うことといたしました。さらに、新規パイプライン創製を開始後ライセンスアウトまでには複数年の研究開発投資が必要ですが計画通りに進捗する保証はなく、定常的ライセンスアウトが実現する状態に到達するまで営業キャッシュ・フローがマイナスの状態が継続いたします。このため、研究開発プロジェクトの優先順位付けにより質の高いプロジェクトに集中し、進捗管理を厳密に行うことで進捗速度の最大化とコスト削減を両立させております。また、資金調達が必要となった場合に備え、効率的な資金調達手段を検討しております。

 

(3)小規模組織であることに関するリスク

①人材の確保及び特定の人材への依存に関するリスク

当連結会計年度末現在、当社は従業員数17名の小規模組織であります。限られた人的資源に依存しているため、従業員に業務遂行上の支障が生じた場合や大量に退職した場合には、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。また、事業モデルにあわせた採用計画を立案、実施しておりますが、想定したタイミングで適切な人材を採用できなかった場合も、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。

このため、教育訓練の実施、業務手順の文書化等、内部統制のフレームワークを活用した属人化の解消策等により、人材のバックアップ体制を拡充しております。また株式報酬制度の導入等による従業員へのインセンティブの付与や成果主義に基づく人事制度の導入等により従業員のモチベーション向上にも努めております。

 

②第三者への依存に関するリスク

現在当社は、事業の遂行に必要な機能のすべては有していないため、それらの業務は外部へ委託しており、主には、非臨床試験、臨床試験を研究開発業務受託機関に、治験薬の製造を医薬品製造受託機関等にそれぞれ委託しております。これら受託機関等の倒産、契約の解消、当社が望む条件で契約締結又は更新できない等の可能性があり、当社は第三者への依存度が高い状況にあるため、これらリスクが顕在化した場合、代替機関の選定や移管のためのコスト増、臨床試験の遅延等が生じ、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。

委託先とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。また、定期的な連絡会議や担当者レベルでの日常的なコミュニケーション等により、関係の強化や認識の共有等にも努めております。万が一の事態に備え、代替候補先の探索検討を行うことでも、本リスクの低減を図っております。

 

③導入、M&A等に関するリスク

当社は、新規パイプラインを基本的にはmRNA創薬に限定し、同薬剤開発に必要なIPを取得し、製薬企業に導出する企業へと変革しました。その上で、既に当社内で保有しているパイプラインに加え、質の高い創薬シード及びmRNA医薬品開発効率を向上させるための様々な新規技術を世界中のアカデミア、バイオベンチャーの情報を収集し、評価を進め、それらを獲得すべくライセンス契約又はM&Aを行ってまいります。かかる導入、投資又は買収等が成功する保証はなく、想定した時期に提携やM&A等が成立する保証もなく、また、成立しても想定した成果が得られない可能性もあり、中長期的な事業目標が達成できないおそれがあります。

このため、導入やM&A等の検討にあたっては、対象となる企業に関する詳細なデューデリジェンスを行うなど、意思決定に必要十分な情報を収集し、企業価値、事業価値等について慎重な評価検討を行うこととしております。

 

(4)その他のリスク

①競合に関するリスク

当社は現時点では主にmRNA医薬品開発を実施しております。新規医薬品の市場は国内外を問わないことから、常に日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあります。当社としては、いち早く競争力のある新薬パイプラインを創製すべく研究開発に邁進しておりますが、他社がより優位性のある製品を開発した場合、当社のパイプラインの導出に関する成功確率が低下する可能性があり、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。

このため、選択する創薬シードの質を高める、定期的に競合優位性を確認し、優先順位を柔軟に変更するなどにより、当社の研究開発ポートフォリオ価値を保っております。

 

②知的財産に関するリスク

当社は、創薬シードから開発候補を創製する過程で得られた成績を基に、候補ごとに特許を出願し、権利化いたします。しかしながら、出願した特許が全て成立するとは限りません。また、ある候補についての特許を実施するためにはライセンスを受ける必要のある第三者特許が生じ、そのライセンス受けることができなかった場合や、多額の実施料の支払いが必要になった場合には、当該候補の他社への導出が困難となり事業計画や経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。さらに、他者が当社と同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後も当社が他者の特許に抵触するような問題が発生しないという保証はありません。このような問題を未然に防止するため、当社は、自社及び特許事務所等を通じた特許調査を実施しております。しかし、このような知的財産権の侵害に関する問題の発生を完全に回避することは困難であり、第三者との間で特許権に関する紛争が生じた場合には、事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。

 

③化粧品事業に関するリスク

当社は株式会社アルビオンとの化粧品の自社技術を用いた共同開発により、化粧品事業を展開しております。当社は主に、同社に対し化粧品の材料供給を行っており、結果として同事業は株式会社アルビオンに対する依存度が高く、契約の解消や当社の望む条件で契約更新できなかった場合等、化粧品事業の継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。同社とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。

また、化粧品事業は、常に激しい企業間競争にさらされており、他社がより優位性のある製品を発売した場合や、顧客のニーズの移り変わりなど、市場から受け入れられなくなるリスクは常に存在し、これらのリスクが顕在化した場合、化粧品材料供給収入の減少等、経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。このため、消費者ニーズのタイムリーな把握による製品の改良、新製品の開発等により本リスクの低減に努めております。

さらに、当社の供給する原材料等の品質管理には検査の徹底等により万全を期しておりますが、品質や安全性について疑義が生じた場合は、化粧品材料供給収入の減少等により経営成績等に影響を及ぼすおそれがあり、また結果的に当社の製品及び原材料に品質欠陥や安全性に関する問題が生じなかった場合においても、風評被害等により、同様の影響を受けるおそれがあります。このため、製造受託機関による品質適合検査の実施及び当社による検査結果の確認等により、品質管理とその維持に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1)業績

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による制限緩和により、社会・経済活動の正常化が進んでおり、景気は緩やかな回復基調を維持しております。他方で資源価格の高騰や欧米を中心とした金融引き締め等による景気後退の懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような経済環境のもと、当社は、2023年1月26日開催の取締役会において、ビジネスモデルの転換を決定しいたしました。これは、2022年、シスプラチンミセル(NC-6004)の第Ⅱb相臨床試験及び、Vasucular Biogenics Ltd.(NASDAQ: VBLT)から国内開発・販売権を取得したVB-111の国際共同第Ⅲ相臨床試験が相次いで開発中止となったことを受け、ビジネスモデルを全面的に見直した結果です。具体的には、mRNA医薬の創薬及び知財獲得を進め、当社がスポンサーとなる臨床開発の開始前に、製薬企業にライセンスアウトを行うことを事業の柱といたします。mRNA医薬の研究開発に6年以上に亘り取り組んできた経験と実績及びこの間に築いた豊富なネットワークに、アクセリード株式会社及び傘下企業との協業をブースーターとして加え、複数のパイプラインを同時進行でインキュベートし効率的にmRNA医薬のIPを創出するIP Generatorへと変貌してまいります。

なお、当社は、2021年4月、アクセリード株式会社と共同で株式会社PrimRNAを設立し、核酸医薬の研究開発を実施してまいりましたが、研究開発の進捗により当社の医薬品事業における同社の重要性が高まったことに伴い、当連結会計年度より連結の範囲に含めております。これにより、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の前年同期比較の記載は行っておりません。なお、新型コロナウイルス感染症の当連結会計年度における業績への影響につきましては、当社は医薬品等の研究開発段階にあるため、軽微であったと判断しております。

 

(mRNA医薬パイプライン)

COVID-19ワクチンにより急激に大きな市場を獲得したmRNA医薬ですが、既にその他の感染症の予防ワクチン、感染症以外の疾患に対する治療ワクチン、及び組織再生などの疾患治療薬の開発競争が開始されております。当社は、国内企業がmRNA創薬に着手する前から、mRNAを用いた変形性膝関節症に対する再生医薬の開発を推進しており、日本医療研究開発機構(AMED)資金を活用し非臨床開発段階まで進めております。今後、新たに製薬企業や非製薬企業、アカデミア等との共同研究を推進し、新規パイプラインの拡充を推進してまいります。

 

RUNX1 mRNA:

アクセリード株式会社と共同で株式会社PrimRNAを設立し、医師主導第Ⅰ相臨床試験開始に向けた研究開発を行っております。変形性膝関節症モデルにおいて良好な再現性試験結果が得られましたので、非臨床安全性試験及び原薬の製造などを現在進めております。

RUNX1 mRNAは、軟骨の増殖・分化に関わる転写因子RUNX1のmRNAを医薬品とするものです。軟骨組織の修復を促進することにより、変形性膝関節症の進行を抑制するとともに疼痛の軽減も実現する革新的な疾患修飾型治療薬を目指し、局所組織再生薬として開発を推進しています。本プロジェクトは、AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業に採択されております。

 

(mRNA医薬以外のパイプライン)

これまで実施してまいりましたパイプラインの開発も継続して行っております。

コムレクス®

耳科用液1.5%

(開発コードENT103):

セオリアファーマと共同で行った国内第Ⅲ相臨床試験において主要評価項目を達成し、セオリアファーマが2022年4月に外耳炎及び中耳炎を対象に製造販売承認申請を行い、2023年3月、同社は国内製造販売承認を取得しました。今後、薬価収載を経て、2023年度前半の販売開始を見込んでおります。

コムレクス®耳科用液1.5%(開発コードENT103)は、新規耳科用抗菌薬です。

NC-6100:

公益財団法人がん研究会有明病院において、再発・進行HER2陰性乳がんを対象に医師主導第Ⅰ相臨床試験が実施されております。

NC-6100は、慶應義塾大学等との共同開発プロジェクトであり、転写因子PRDM14に対するsiRNAのDDS製剤です。

TUG1:

脳腫瘍の中で最も悪性度が高い膠芽腫を対象とした医師主導第Ⅰ相臨床試験実施に向け、非臨床安全性試験において良好な成績を得て、現在治験薬の準備などを進めております。

TUG1は、長鎖非翻訳RNA TUG1に対するASO(アンチセンスオリゴ)のDDS製剤であります。本プロジェクトは、名古屋大学との共同研究であり、AMEDの革新的がん医療実用化研究事業に採択されております。

 

 

(開発完了及び開発中止したパイプライン)

NC-6300:

2021年6月にファスト・トラック指定を受け、米国における血管肉腫対象の例数追加試験において12例中5例でPR(奏功)を確認、2022年4月に全患者への投与が完了いたしました。ライセンス活動を実施しておりましたが、mRNA医薬のIP創出モデルへの転換に伴い、活動は中止いたしました。

NC-6300は、エピルビシンのミセル化ナノ粒子製剤です。

※ファスト・トラック指定

米国における画期的な新薬について優先的に審査する、優先審査制度です。完治が難しい疾患に対して高い治療効果が期待される新薬を優先的に審査して早期実用化を促すことを目的とした制度です。

NC-6004:

2022年4月、第Ⅱb相臨床試験の暫定的な解析において、主要評価項目達成の可能性が低いと判断し、開発を中止いたしました。

NC-6004は、シスプラチンのミセル化ナノ粒子製剤です。

VB-111:

2022年7月に受領した国際共同第Ⅲ相臨床試験(OVAL試験)トップラインデータでは、無増悪生存期間(PFS)の解析において、コントロール群に対して統計的に有意な改善が認められず、開発を中止いたしました。

VB-111はアデノウイルスベクターによる遺伝子治療用製品です。

 

(販売事業の状況)

株式会社アルビオンが販売する美容液エクラフチュール及び薬用美白美容液エクシア ブライトニング イマキュレート セラム用の当社技術を応用した原材料を供給しております。なお、同社との共同開発製品であるスカルプトータルケア製品「Depth」事業は、2022年12月末をもって全品の販売を終了しました。

また、株式会社エイオンインターナショナルとの契約に基づき、治療法がない領域に新たな医療を届ける一環として、PRP療法を用いた不妊治療をサポートしております。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、化粧品材料供給収入、開発マイルストーン収入及びPRP事業に係る売上等により202,189千円、営業損失は1,246,000千円、経常損失は1,104,580千円、親会社株主に帰属する当期純損失は1,310,976千円となりました。

なお、当連結会計年度におきまして、以下の営業外収益、特別利益及び特別損失を計上しております。

・研究開発等に係る補助金収入70,038千円を営業外収益に計上しております。

・外国為替相場の変動による為替差益60,464千円を営業外収益に計上しております。これは主に、当社の保有する外貨建預金の評価替えにより発生したものであります。

・第20回新株予約権及び第6回転換社債型新株予約権付社債の発行に伴い、第5回転換社債型新株予約権付社債の払込みによる償還を行ったことにより、社債償還益39,030千円を特別利益に計上しております。

・第15回新株予約権の権利行使期間満了のため、新株予約権戻入益27,493千円を特別利益に計上しております。

・投資有価証券のうち、取得価額に比べ時価が著しく下落し、その回復可能性があると認められないものについて減損処理を行ったことによって、投資有価証券評価損268,000千円を特別損失に計上しております。

また、当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前年同期との比較分析は行っておりません。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、1,309,592千円となりました。キャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,087,051千円の支出となりました。研究開発の推進に伴う研究開発費の支出等による税金等調整前当期純損失1,308,486千円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、1,207,913千円の収入となりました。定期預金の預入による支出1,502,032千円、定期預金の払戻による収入2,447,956千円、有価証券の取得による支出6,240,350千円、有価証券の償還による収入7,000,000千円等によるものです。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1)生産実績

当社グループは研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。

 

(2)受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。

当連結会計年度

(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

202,189

(注)1.当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前年同期との比較分析は行っておりません。

2.主要な輸出先並びに輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。

なお、( )内は総販売実績に対する輸出販売高の割合であります。

輸出先

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

アジア

48,786

100.0

合計

48,786

(24.1%)

100.0

 

3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社アルビオン

126,350

62.5

Orient Europharma Co., Ltd.

48,786

24.1

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態

①資産の部

当連結会計年度末における流動資産は4,668,826千円であり、主な内訳は、現金及び預金2,811,624千円、有価証券1,632,079千円であります。

当連結会計年度末における固定資産は1,115,564千円であり、主な内訳は、投資有価証券886,168千円であります。

②負債の部

当連結会計年度末における流動負債及び固定負債は合計で1,530,947千円であり、主な内訳は転換社債型新株予約権付社債1,108,916千円であります。

③純資産の部

当連結会計年度末における純資産は4,253,443千円であり、主な内訳は、資本金119,150千円、資本剰余金5,499,591千円、利益剰余金△1,371,505千円であります。

これらの結果、自己資本比率は73.5%となりました。

なお、当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前年同期との比較分析は行っておりません。

(2)経営成績

当連結会計年度における経営成績については、「(業績等の概要) (1)業績」をご参照ください。

 

(3)キャッシュ・フロー

当社グループは現在、主たる定例的な営業収益がありませんので、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出を、主に株式の発行による収入で賄っております。当連結会計年度末日現在の資金残高は1,309,592千円ですが、一時的な余剰資金については預金又は元本維持を原則とした安全かつ流動性の高い金融商品等に限定して運用しており、それら預金や金融商品まで合わせますと4,443,704千円となります。

一方支出側としましては、当連結会計年度の経常損失は1,104,580千円、第28期の予想経常損失が995百万円~1,335百万円でありますので、当面のmRNA創薬ビジネスに係る研究開発資金の確保やM&A等の支出にも対応できる資金の確保までできていると判断しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)共同開発契約書

契約会社名

(契約締結日)

契約期間

主な契約内容

株式会社アルビオン

(2016年3月24日)

2015年7月30日から、2024年3月31日まで。

①当社と株式会社アルビオン(以下、「アルビオン」)は、当社が所有する最新の医薬品技術を応用した新しい化粧品素材の共同開発を行い、その素材を使用した化粧品をアルビオンが製品化する。

②当社は、化粧品素材として使用される原料の供給を行い、アルビオンは、本素材を用いた新しい化粧品の製造・販売に向け、開発を推進する。

③アルビオンは当社に対し、当社技術利用の対価として一定額を支払う。また、当社から供給された原料の対価を支払う。

 

(2)共同開発及び共同商業化に関する契約書並びに付随する覚書

契約会社名

(契約締結日)

契約期間

主な契約内容

セオリアファーマ株式会社

(2018年6月14日)

2018年6月14日から、両社が解約に合意するまで。

①当社とセオリアファーマ株式会社(以下、「セオリア」)は、セオリアが所有する医療用医薬品候補物の商業化に向けた共同開発を行い、製造販売承認の取得及び販売を早期に開始するため、相互に協力し推進する。

②本製剤の国内販売から得られる利益は両者が均等に分配するものとする。

 

(3)包括提携契約書

契約会社名

(契約締結日)

契約期間

主な契約内容

アクセリード株式会社

(2023年1月26日)

2023年1月26日から、2028年1月25日まで。

①mRNA医薬品の薬効評価、非臨床試験及び製造に関する一連の業務をアクセリードの子会社である創薬ソリューションプロバイダーであるAxcelead Drug Discovery Partners株式会社及びmRNA CDMOの株式会社ARCALISに委託する。対価については、プロジェクトごとに決定する。

②上記業務の範囲はmRNAの配列設計、製造、評価、製剤化、前臨床試験、INDコンサルティングを含むが、これらに限定されない。

 

(4)包括提携契約書

契約会社名

(契約締結日)

契約期間

主な契約内容

株式会社IPガイア

(2023年3月14日)

2023年3月14日から、2028年3月13日まで。

①当社から提示されたリスト記載のmRNA医薬品・ワクチン(以下「mRNA医薬品等」)に関する研究プロジェクトについて、株式会社IPガイア(以下、「IPガイア」)は、IPGメンバーシップ会員に対し将来的な導出可能性を確認し、導出を支援する。

②IPガイアが提携関係にあるアカデミアから得られたmRNA医薬品等の研究シーズに関する情報を提供する。

③当社はIPガイアの支援により、導出先候補から得られた収益をIPガイアに分配する。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発は、研究開発部門を中心に実施しております。当連結会計年度末現在で、研究開発スタッフは12名にのぼり、これは総従業員の70.6%に当たります。

当社グループは当連結会計年度において、以下のような研究開発活動を実施しており、研究開発費の総額は1,120,898千円となりました。

(1)当社グループの研究開発活動の概要

「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載のとおり、当社グループの主たる事業目的は、新たな治療技術として注目されるmRNAに特化し、効率的に複数のmRNA医薬の創薬及び知財獲得を進め、後期臨床開発ステージに入る時点までに、製薬企業にライセンスアウトを行うことであり、最先端のサイエンスで新たな治療法を生み出し、患者さんにお届けすることを目指しております。前述のとおり当社グループの研究開発活動は、研究開発部門及び提携先との共同研究や委託を中心に実施しております。

 

(2)当社グループの開発品目ごとの研究開発状況について

開発品目

当社が臨床開発を進めるパイプラインは3品目であり、これに続くパイプライン拡充を進めています。

(mRNAパイプライン)

mRNAパイプラインの概要及び進捗状況は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)当社の事業展開 ①当社の収益モデル (mRNA医薬パイプライン)に記載のとおりであります。

 

(mRNA以外のパイプライン)

mRNA以外のパイプラインの概要及び進捗状況は、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)当社の事業展開 ①当社の収益モデル (mRNA医薬以外のパイプライン)に記載のとおりであります。