当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「動力機構の高度化を原点として、無限の可能性に挑戦し、優れた技術と価値ある商品の世界への提供を通じて、クリーンでクオリティの高い地球社会の実現に貢献する」ことを企業グループの理念としております。また、ファルテックグループは、「時代をリードする価値ある商品・サービスを提供し、美しく豊かなクルマ社会の実現に貢献する」ことをグループの理念としております。両グループ企業の総力を結集して永続的に発展するべく、努力してまいります。
(2)会社の経営戦略
当社グループは2020年4月から4ヶ年計画として23中期経営計画(以下「23中計」)を推進しており、基本コンセプトは以下のとおりであります。
基本コンセプト
目指す姿・スローガン・戦略
「23中計」の目指す姿は「技術力(Technology)・情熱(Passion)・信頼(Reliance)を基盤として、4本の柱(1の柱 パワトレ商品のダントツNo.1を追求、2の柱 新規事業の積極展開をスピードアップ、3の柱 安全・環境・防災の徹底、4の柱 働き甲斐のある職場づくり)を確立するTPRグループの実現」であります。
財務目標
財務目標としては、最終年度の2024年3月期に売上高1,800億円、経常利益210億円、ROE10%以上、自己資本比率45%以上、株主還元率30%を掲げております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2023年度の世界経済は、ゆるやかな成長が見込まれておりますが、ウクライナ紛争の長期化などに伴う原材料・エネルギー価格の高止まりや物価の上昇に加え、各国の金融引き締めによる金利上昇や景気後退のリスクもあり、先行きの不透明感が継続しております。
当社グループが主として関連する自動車業界においては、半導体をはじめとするサプライチェーン問題の緩やかな解消が見込まれる一方、「100年に一度の大変革」はさらに加速しており、電動車の増加、カーボンニュートラル燃料の活用、CASE/Maasの進展などの変革への対応が求められております。
このような環境変化に対応して、当社グループは、カーボンニュートラルなど社会課題への取組みを一層強化するとともに、創立100周年を超える2040年に向けて、パワートレイン事業と多角化・新事業の「両輪経営」をさらに加速させてまいります。23中計のスローガンである「Inclusive/受容性のある、Ecological/環境にやさしい、Game-Changing/画期的で、Sustainable/持続可能な」を掲げ、持続的な成長を目指して企業基盤の一層の充実と社会への価値提供に努め、企業理念である「クリーンで、クオリティの高い地球社会の実現」に向けて邁進してまいります。
❶ パワートレイン商品の圧倒的な競争力(性能・品質・コスト)の実現
これまで培った技術力・開発力・生産力を活かして、内燃機関の熱効率向上への徹底的な追求や、多燃料化への対応等カーボンニュートラルの実現に向けたお客様の課題解決に貢献する商品の開発を加速させております。良いものをより安く、スピーディーにグローバルに提供することで、SDGs目標の8番(働き甲斐も経済成長も)、9番(産業と技術革新の基盤をつくろう)、13番(気候変動に具体的な対策を)などに貢献してまいります。
23中計の最終年度にあたり、地域特性に応じた最適な技術開発の追求と同時に、国内マザー拠点に有する技能及び技術のグローバルな展開を推進し、さらなる最適生産・調達・物流の実現に向けて取り組んでまいります。
❷ 新事業の積極展開加速による新たな成長領域の拡大
多角化・新事業の拡大に向けては、中長期目標を掲げて、EV関連製品、ゴム・樹脂製品、ナノ素材(カーボンナノチューブ、ナノポーラス)、未来予測にもとづいたベンチャー事業を重点領域として積極展開を進めております。特に、EV関連製品については、パワトレ事業で培った技術とリソースに加え、EV分野で先行する中国市場で新設した技術センターの強みを活かして、技術開発と製品の事業化を加速してまいります。また、シナジー創出が見込める会社への出資やM&Aなど、固定概念にとらわれず、幅広くグループ内外にネットワークを作り、協業・協創をベースとした成長領域の拡大も継続してまいります。SDGs目標の7番(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、9番(産業と技術革新の基盤をつくろう)、13番(気候変動に具体的な対策を)に貢献できる積極的な開発投資、事業投資を実施してまいります。
❸ グループ経営への本格的シフト(安全・環境・経営管理)、サステナビリティ推進及びSDGsへの貢献
当社グループは、営業・技術・生産・品質・海外事業・管理等、全ての機能部門において、企業グループ経営の効率化、高度化を図ります。社員が健康・安全であることは、会社が果たすべき責任であり心身ともに健全で楽しく仕事ができるよう安全・衛生、環境方針の目標達成に努めてまいります。
事業継続計画(BCP)については、防災・減災に向けた準備を整えるのみならず、感染症拡大等のリスクにも即時対応ができるよう、更なる深掘り・訓練を実施してまいります。情報セキュリティについては、従業員向けのセキュリティ教育を行うとともに、システムの脆弱性診断・対策をさらに強化して進めております。また、経営の根幹であるコーポレート・ガバナンス、コンプライアンスについても継続的に強化してまいります。
❹ 上記を支えるグローバル人材の確保・育成と働き甲斐のある職場づくり
世界6極に事業展開する当社グループは、性別・国籍・宗教などにかかわらず多様性を重視し、“個人を尊重し、認め合い、良いところを活かす”ダイバーシティ&インクルージョンの取組みに努めます。働き方改革としても、ハラスメント撲滅等を徹底するとともに、人材育成と人材投資を進めてエンゲージメントの向上を図り、風通しの良い職場、全社員が成長と働き甲斐を実感できる職場づくりを推進いたします。また、RPA化による業務改善などデジタル・トランスフォーメーション(DX)も加速させてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)基本的な考え方とマテリアリティ
当社グループは、「優れた技術と価値ある商品の世界への提供を通じて、クリーンでクオリティの高い地球社会の実現に貢献する」ことを企業理念とし、社会課題の解決に取り組んでおります。2021年10月には、創立100周年を越える2040年に向けて、解決・改善に取り組む6つのマテリアリティ(重要課題)を設定いたしました。これらの活動を体系的に推進することで、ESG/SDGs経営による持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業としての持続的な成長に取り組んでおります。
(2)サステナビリティの推進体制及び取組み
① ガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関する様々な課題に取り組んでいるなか、その活動をより体系的に推進することを目的として「サステナビリティ推進委員会」を運営しております。重要課題や各種方針の設定、活動の方向付けを行い、活動状況のフォロー及び取締役会への報告などを通じて、サステナビリティへの取組みを強化しております。
また、カーボンニュートラル推進会議やESG各種会議体を通じて、気候変動への対応、安全、環境、品質並びにコンプライアンスなど、直面する問題から中長期的課題まで、検討・改善に取り組んでおります。
② 戦略
ⅰ)気候変動への対応
当社グループは、2022年5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明し、賛同企業や金融機関が議論する場である、TCFDコンソーシアムにも参画しております。気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識し、2045年度までにCO2排出量を100%削減(2013年度比)という目標に向けて、全社で取り組んでおります。その実現のため、国連気候変動に関する政府間パネルIPCCが公表した「4℃シナリオ」、「2℃シナリオ」などを考慮し、事業活動に与える気候変動のリスク(移行リスクと物理リスク)と機会を抽出し、対処しております。
ⅱ)人的資本経営
当社グループは、人権尊重、多様な人材の確保、並びにモチベーションを高く持ち大きな課題にいきいきとチャレンジする人の育成が重要と捉え、マテリアリティに掲げている「ひとをつくり、ひとに学び、多様性のある豊かな職場の実現と地域コミュニティへの貢献」を方針として人的資本経営に取り組んでおります。
CASE及びEV化の進展という新たなステージを迎え、全社一丸となって持続的成長の実現に注力していく中で、「人」への投資を積極的に行い、重点施策として「人材の育成」、「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」、「働きやすい環境づくり」を推進しております。
③ リスク管理
当社グループは、「リスク管理委員会」を通じて業務遂行に係るリスクを的確に評価・認識し、当社及びグループ各社におけるリスク管理について審議するとともに、重要なリスク案件についてモニタリングしております。取締役会は、ESGリスクやサステナビリティに関する取組みについて、その重要事項に関する報告を受け、議論することを通じて、監督しております。
気候変動については、全社の環境方針は経営会議で決議され、環境問題全般を管理する全社環境保全会議で課題認識、対応状況の進捗をフォローし、環境方針の周知を行っております。気候関連のリスク並びに機会の特定・対処については、TCFDから提言されたフレームワークに従い、シナリオ分析を踏まえて行っております。
④ 指標と目標
ⅰ)気候変動緩和のための長期的な指標
Scope1-2における2013年度対比でのCO2排出量を2030年度までに50%、2045年度までにカーボンニュートラルの達成を目標としております。この目標に対し、環境に配慮した生産工程や設備の更新、並びに再生可能エネルギー利用など、社内横断的にCO2低減活動を進めております。2022年度は、2013年度対比20%削減の目標に対して、実績は24%であり、目標を上回っております。
ⅱ)人的資本経営に関する指標と目標
人的資本経営においては、主に以下の指標と目標を設定して取組みを進めております。
・教育制度の充実
新たなチャレンジへのモチベーションを醸成するとともに、社員一人ひとりのパフォーマンスを最大限に引き出すため、中堅社員、幹部社員といった階層ごとの研修、また全社員へのコンプライアンスや安全・環境に関する教育などを計画的に実施しております。事業の成長・拡大に伴い、社員一人ひとりの能力やスキル、専門性を向上させることを目的とした「人」への投資をより充実させ、年間教育投資額においては前年度対比+50%を目指しております。
・女性管理職比率
ダイバーシティの推進として、女性がよりいきいきと働ける職場を目指し、出産・育児など様々なライフステージを経ながらも長期的なキャリア形成に向けて社内環境の整備を進めるとともに、女性管理職の比率を2030年度において20%の達成を目指しております。
・男性育児休業取得率
男女がともに仕事と育児を両立しワークライフバランスを実現するため、男性の育児休業取得を促進しております。当社では既に女性の育児休業取得率は100%を達成しており、2023年度は男性の50%取得を目標としております。
・年次有給休暇取得状況
ワークライフバランスを充実させるため、年次有給休暇の積極的取得を推進しております。2022年度は年間取得目標を10日に定め、99%の社員が取得目標を達成しております。2023年度は年間取得目標を12日と定め、100%の社員が取得できるよう目指しております。
・エンゲージメントスコア
人的投資の取組みを包括的にとらえるために、2020年度より「エンゲージメントサーベイ」を定期的に行い、そのスコアを指標としております。課題分析、施策実行、サーベイ、次の施策へと改善のサイクルを回し、「働きやすい環境づくり」の実現に向けた重点領域の特定とアクションにつなげております。2023年度の目標として2022年度下期のエンゲージメントスコアに対し、5%の向上を目標としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が判断する連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であり、これらのリスク管理体制等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。
(1)市場に関するリスク
① 他社との競合について
当社グループが主に事業展開するピストンリング、シリンダライナ、焼結製品、ゴム、樹脂製品等の業界では、世界の自動車メーカー等の開発競争の激化から、品質、技術並びに価格に対する顧客の要請はより厳しいものになっております。開発段階から品質、技術、価格の面で顧客ニーズに沿い優位性を保つため、世界市場において、知財戦略や性能優位な製品開発力で、シェアの維持、拡大を図り市場機会を失うことがないように努めておりますが、安定的に保証されているわけではありません。市場機会を失った場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
② 自動車市場の経済・需要動向
当社グループが主に事業展開するピストンリング、シリンダライナ、焼結製品、ゴム、樹脂製品等は、世界の各自動車メーカー等の拠点に納入されております。当連結会計年度における世界経済は、大幅な円安進行とウクライナ情勢を端緒とした原材料・エネルギー価格の高騰が続き、インフレの加速、各国での金利上昇、中国でのゼロコロナ政策による消費行動の低迷など、景気減速の懸念が強まる展開となりました。自動車業界においても、資源価格の高騰が業界全体の収益を圧迫し、半導体不足などによるサプラインチェーンの混乱も続いて、自動車メーカーの生産計画に大きな影響を与えました。足元では、半導体をはじめとするサプライチェーン問題のゆるやかな解消が見込まれる一方、ウクライナ紛争の長期化などに伴う原材料・エネルギー価格の高止まりや物価の上昇に加え、各国の金融引き締めによる金利上昇や景気後退のリスクもあり、先行き不透明感が継続しております。今後どのように推移するかによって当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
(2)事業に関するリスク
① 技術革新及び顧客ニーズへの対応について
当社グループが主に事業展開するピストンリング、シリンダライナ、焼結製品については、自動車用、その他内燃機関への供給が主であり、電動化、シェアリング等の進展により内燃機関搭載車等の自動車販売台数が減少した場合には、連結業績に大きな影響を与える可能性があります。自動車業界は、『100年一度の大変革』はさらに加速しており、EV車の増加、燃料の多様化、CASE/Maasの進展などの変革への対応が求められております。このような動きに対応するため、当社23中計で掲げた新規事業の積極展開に向けて、開発リソースをCASE対応製品、既存技術応用、新素材事業化、未来予測にもとづいたベンチャービジネスなど新製品・新規事業の展開にシフトし、将来の経営基盤の多角化を図っております。しかし、当社が有する技術、知的財産、原材料や部品調達などを含む製造能力の状況により、価格競争力のある新商品を適時・適切に開発・製造できないリスクがあります。その場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
② 関係会社への投資について
当社グループは、既存事業の拡大や新規事業への参入等を目的として、関係会社への投資活動や企業買収を行っております。関係会社への投資につきましては、投資に見合う将来の収益性を検討した上で意思決定をしておりますが、内部・外部の不確定要因により、想定した収益を獲得できない場合があります。また企業買収に伴い発生したのれんについては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、期待する成果が得られない場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
③ 他社との業務提携
当社グループは、海外事業(ピストンリング、シリンダライナ、焼結製品、ゴム、樹脂製品等の製造・販売)に関して国内外の他企業と戦略的業務提携を結んでおります。多くの海外拠点については、事業リスクの分散を図るため、主に他企業との提携による合弁会社の形で進出しております。提携先とは、定期ミーティング等を開催し、方針・戦略の意思統一を図っておりますが、提携先が戦略上の目標を変更した場合や提携関係を望まなくなった場合等、海外事業戦略に支障が出る可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
④ 原材料や部品の調達
当社グループは、製品の製造に必要な原材料、部品を複数のサプライヤーから調達する方針を取っていますが、調達部品によって、特定のサプライヤーに依存しているものがあります。その特定のサプライヤーからの調達ができない場合、生産面への影響を受ける可能性があります。サプライヤーとは基本取引契約を締結し、安定的な調達を前提としておりますが、需要の急激な変化、サプライヤーの災害の被災等による供給能力の低下、自然災害での物流の寸断等により、必要調達量を確保できない場合は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
⑤ 製品の品質不具合
当社グループは「最高品質を追求し、世界一良いものを、世界一多く、早く、安く作る事により、TPRグループの信頼とお客様満足度を継続的に向上します」を品質方針に据え、お客様クレームゼロの実現に向けて日々取り組んでいます。その結果、多くのお客様から品質表彰を毎年受賞しています。今後も将来にわたってすべての製品について品質不具合がなく、お客様への流出もないように努めてまいりますが、重大な品質不具合が発生し、お客様に損害を与えるような場合は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を及ぼすことが考えられ、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
(3)金融・経済・市況のリスク
① 為替相場の変動
当社グループは、グローバルで自動車関連部品をはじめとした事業を展開しているため、多通貨の外貨取引があり、連結子会社及び持分法適用会社の連結財務諸表の作成には円換算をしておりますので為替変動の影響を受けております。現地生産を促進し先物為替予約取引等の利用も実施しておりますが、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローが影響を受ける可能性があります。
② 投資有価証券について
当社グループは、市場性のある投資有価証券を保有しており、株式の市場価格の変動により、保有する株式の評価損を計上しております。定期的に時価や発行元企業の経営状態を把握しておりますが、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローが影響を受ける可能性があります。
③ 退職給付債務
当社グループにおける退職給付費用及び債務は、割引率、期待収益率等の条件に基づいて算出されておりますが、市場の変化等により運用収益の低下など条件の変更が生じた場合や退職給付信託に拠出した株式の市場価格の変動により、退職給付債務の積立不足の増加等、費用処理される債務金額が増加する可能性があります。年金資産については、当社では資産管理を委託する資産運用機関での運用目標の達成状況及び必要に応じた資産構成の見直しについて、経営企画室・人事総務部・経理部で構成するメンバーによる定期的な監視を行い、退職給付信託株式については、定期的に株価や発行元企業の経営状態を把握しておりますが、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
④ 原材料価格変動の影響について
当社グループの主力製品であるピストンリング、シリンダライナ、焼結、ゴム、樹脂製品等の原材料であるステンレス鋼、銑鉄、希少金属、ナフサ等の価格は、需給バランス、為替の変動等に起因して市況価格が変動します。市況価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や、販売価格への転嫁等により影響を吸収できない場合は、当社グループの将来の収益性に悪影響を与える可能性があります。
⑤ 物流価格変動の影響について
当社グループは、グローバルで事業を展開しているため、原油価格高騰による軽油等燃料価格の上昇等に起因する輸送費用、海上運賃の高騰が物流コストの増加につながります。生産性向上など製造原価の低減に努めておりますが、これらのコスト上昇分を吸収しきれない場合、また販売価格への転嫁ができない場合は、当社グループの利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
(4)政治・規制・法的手続・災害等に関するリスク
① 法的規制等について
当社グループは、事業を展開する各国において、規制の変更、法令の適用及び行政上の運用の変更など様々なリスクにさらされています。当社グループは、グループ・ガバナンス統轄室及び海外事業部を中心に各拠点と連携を図り、法的規制に対して、グループ全体を統轄管理しておりますが、これらを遵守できなかった場合、事業の活動が制限され、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
② 地震、火災等について
当社グループが事業を展開する各国において、地震等の自然災害リスク、労災・火災等の安全リスク等に対し事業継続計画(BCP)を策定しております。地震等の自然災害リスク発生時に備え、安全在庫の確保、安否確認システムの導入、初動対応・早期復旧マニュアルを策定し訓練を実施しております。火災等の安全リスクに対しては、発生源対策、初期消火訓練等を実施しております。これらのリスク等発生時には、当社グループの事業活動の停滞に加えて、サプライチェーン寸断により取引先の生産において遅延・停止する事態が発生する等、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
③ 感染症の蔓延について
当社グループが事業を展開する各国において、世界的な感染症の流行が発生した場合については、対策本部を設置して国内外の情報を集約し、定期的に従業員への注意喚起、ワクチン接種の奨励等感染防止対策を行っています。感染症等の衛生リスクに対しては、各国政府・自治体の行政指針に基づき、勤務体制の構築の実施、感染防止策の奨励により感染リスクの低減を図っております。また事業継続計画(BCP)を策定し、事業活動への影響を最小限とする対応を実施しておりますが、これらのリスク等発生時には、当社グループの事業活動の停滞に加えて、サプライチェーン寸断により取引先の生産において遅延・停止する事態が発生する等、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
④ 環境規制について
当社グループは、安全・環境部において、各国の環境規制情報等を入手し、環境負荷物質等の管理・撤廃、環境汚染の防止へ万全を期しておりますが、生産の過程において環境に影響を及ぼす物質等の使用があり、不測の事態により排出量が規制の基準値を超える可能性があります。また環境規制強化により主要部材が利用できないリスク等もあります。これらに対する環境規制及び基準に対する義務の遵守による負担は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
⑤ 情報セキュリティについて
当社グループは、事業活動において、顧客情報・個人情報等、また営業上・技術上の機密情報を保有しており、これらの各種情報の取り扱い、機密保持には細心の注意を払っております。サイバー攻撃、改ざん、破壊、漏洩、消失等を防止するために情報システム部署を中心に機密性・安全性を確保し、各種規程に則り、適切な管理体制と安全措置を講じております。
特に近年、企業に対するサイバーテロなどの犯罪は日々巧妙さ、苛烈さを増しているため、当社グループはウイルス対策、従業員への教育訓練を強化しております。万が一、情報漏洩等の事故が発生した場合には、生産活動の停止、社会的信用の低下及び訴訟等のリスクがあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
⑥ 知的財産権について
当社グループの知的財産権については知的財産管理担当部署を中心に、秘密情報の厳重管理、海外を含めた体制強化、特許情報の精査等の対応を図っておりますが、第三者からの侵害や、過失による当社の不正使用等により、当社グループに対する訴訟等のリスクがあります。特に海外においては、類似製品の製造を完全に防止できない場合、当社が損害を被る可能性があります。これらの権利侵害による費用負担となる場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
⑴ 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、大幅な円安の進行とウクライナ情勢を端緒とした原材料・エネルギー価格の高騰が続き、インフレの加速、各国での金利上昇、中国でのゼロコロナ政策による消費行動の低迷など、景気減速の懸念が強まる展開となりました。
当社グループが主として関連する自動車業界においても、資源価格の高騰が業界全体の収益を圧迫し、半導体不足などによるサプライチェーンの混乱も続いて、自動車メーカーの生産計画に大きな影響を与えました。しかしながら、現在では部品供給問題は緩和されつつある状況です。
こうした厳しい経営環境の中で、当社グループの当連結会計年度の売上高は円安の影響などにより前年同期比で増収となりました。一方で、利益面については、原価低減活動やグローバルでの売価反映の取組みを進めたものの、原材料費、エネルギー費、輸送費、労務費などの諸経費の高騰と中国市場の低迷から前年同期比で減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度で不動産売却益を計上したことから、前年同期比で大幅な減益となりました。
総資産につきましては、前連結会計年度末と比較して92億99百万円増加し、2,647億2百万円となりました。これは主に現金及び預金が45億55百万円、出資金が22億7百万円、商品及び製品が15億96百万円、原材料及び貯蔵品が11億96百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して31億47百万円増加し、987億98百万円となりました。これは主に短期借入金が23億69百万円、電子記録債務が7億44百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して61億51百万円増加し、1,659億3百万円となりました。これは主に為替換算調整勘定が50億56百万円、非支配株主持分が11億89百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度の業績数値につきましては、次のとおりであります。
売上高 1,786億19百万円 (前年同期比 9.2%増)
営業利益 68億56百万円 ( 〃 35.9%減)
経常利益 102億15百万円 ( 〃 30.2%減)
親会社株主に帰属する当期純利益 38億43百万円 ( 〃 52.5%減)
セグメントの業績概況は、次のとおりであります。
セグメント状況
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日本 |
アジア |
北米 |
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その他地域 |
ファルテックグループ |
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<TPRグループ(除くファルテックグループ)>
a.日本
日本は、国内市場の回復と円安の影響などにより増収となりましたが、原材料・エネルギー価格の高騰が利益面を圧迫し、減益となりました。売上高は494億64百万円で、前年同期比34億円の増収となり、セグメント利益は15億69百万円で、前年同期比3億26百万円の減益となりました。
b.アジア
アジア地域は、アセアンやインドなど中国を除く地域での市況回復と円安の影響などにより増収となりましたが、中国での上海ロックダウン及びディーゼル市場の低迷が響き、減益となりました。売上高は398億43百万円で、前年同期比32億53百万円の増収となり、セグメント利益は59億76百万円で、前年同期比10億8百万円の減益となりました。
c.北米
北米地域は、円安の影響などにより、増収となりましたが、原材料・エネルギー価格の高騰に加え、輸送費及び労務費の高騰などにより、減益となりました。売上高は135億14百万円で前年同期比32億85百万円の増収となり、セグメント損失は9億21百万円で、前年同期比9億74百万円の減益となりました。
d.その他地域
その他地域は、円安の影響などにより、増収となりましたが、半導体不足による一部顧客の減産により、減益となりました。売上高は22億90百万円で、前年同期比5億60百万円の増収となり、セグメント利益は2億29百万円で、前年同期比29百万円の減益となりました。
<ファルテックグループ>
売上高は735億6百万円で、円安による為替影響もあり、前年同期比45億81百万円の増収となりました。セグメント損失は2億14百万円で、お客様の生産変動に伴うロス、原材料やエネルギー価格の高騰等により、前年同期比16億69百万円の減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末と比較して43億12百万円増加し、445億57百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、210億88百万円(前年同期比6.2%増)となりました。主な資金の増加は、減価償却費124億10百万円、税金等調整前当期純利益83億34百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、145億68百万円(前年同期比8.4%増)となりました。主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出94億54百万円、定期預金の預入による支出60億81百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、39億19百万円(前年同期比62.1%減)となりました。主な内訳は、配当金の支払額20億33百万円、リース債務返済による支出19億7百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
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TPRグループ(除くファルテックグループ) |
日本(百万円) |
49,546 |
101.6 |
|
アジア(百万円) |
30,250 |
112.8 |
|
|
北米(百万円) |
13,291 |
124.2 |
|
|
その他地域(百万円) |
1,215 |
162.1 |
|
|
計 |
94,304 |
108.4 |
|
|
ファルテックグループ(百万円) |
65,104 |
109.8 |
|
|
合計(百万円) |
159,408 |
109.0 |
|
(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
確定受注は主に納期直前であり、販売実績と重要な相違は無いため記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
TPRグループ(除くファルテックグループ) |
日本(百万円) |
49,464 |
107.4 |
|
アジア(百万円) |
39,843 |
108.9 |
|
|
北米(百万円) |
13,514 |
132.1 |
|
|
その他地域(百万円) |
2,290 |
132.4 |
|
|
計 |
105,112 |
111.1 |
|
|
ファルテックグループ(百万円) |
73,506 |
106.6 |
|
|
合計(百万円) |
178,619 |
109.2 |
|
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
⑵ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態)
|
|
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減 |
増減率 |
|
資産合計(百万円) |
255,403 |
264,702 |
9,299 |
3.6% |
|
負債合計(百万円) |
95,651 |
98,798 |
3,147 |
3.3% |
|
純資産合計(百万円) |
159,752 |
165,903 |
6,151 |
3.9% |
|
1株当たり純資産(円) |
3,734.28 |
3,969.29 |
235.01 |
- |
|
自己資本比率 |
50.4% |
50.5% |
0.1 ポイント |
- |
a.流動資産
流動資産は、前期末に比べ38億96百万円増加(3.1%)の1,279億8百万円となりました。
これは主に、現金及び預金が45億55百万円、商品及び製品が15億96百万円それぞれ増加した一方で、アジア市場の一部での売上減少により受取手形が29億13百万円減少したこと等によるものであります。
b.固定資産
固定資産は、前期末に比べ54億2百万円増加(4.1%)の1,367億93百万円となりました。
これは主に、余剰資金増加のためその他に含まれる長期性預金が40億79百万円、持分法会社の投資利益や為替レートの変動により出資金が22億7百万円それぞれ増加した一方で、年金資産の期末時価の下落等により退職給付に係る資産が10億62百万円減少したこと等によるものであります。
c.流動負債
流動負債は、前期末に比べ43億62百万円増加(6.6%)の704億40百万円となりました。
これは主に、運転資金の確保等により短期借入金が23億69百万円、仕入増加により電子記録債務が7億44百万円、支払手形及び買掛金が5億81百万円、リース債務が5億29百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
d.固定負債
固定負債は、前期末に比べ12億15百万円減少(△4.1%)の283億58百万円となりました。
これは主に、退職給付に係る負債が2億82百万円増加した一方で、約定弁済により長期借入金が17億54百万円減少したこと等によるものであります。
e.純資産
純資産は、前期末に比べ61億51百万円増加(3.9%)の1,659億3百万円となりました。
これは主に、米ドル及び人民元など為替レートの変動により為替換算調整勘定が50億56百万円増加した一方で、消却により自己株式が16億83百万円、退職給付に係る調整累計額が10億71百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
(経営成績)
前連結会計年度は、第2四半期までは中国の大型ディーゼル車の規制前の駆け込み需要の取り込み、アセアン市場の回復等により、売上高、利益とも増加しましたが、第3・第4四半期については、半導体やハーネス不足による自動車メーカーの減産に加えて、原材料価格や輸送費が右肩上がりで高騰したことから、前第3・第4四半期に対し減収減益でありました。
当連結会計年度は、第1四半期までは新型コロナウイルス感染症によるロックダウンや半導体不足の影響で前第1四半期に対し、売上高は減少しましたが、第2四半期以降は円安進行や日本市場、アジア市場での回復等を受け、前年同期に対し売上高は増加しました。利益は自動車メーカーの減産に加えて、原材料・エネルギー価格の高騰を受け、第3四半期まで前年同期に対し減益になりましたが、第4四半期は本邦を中心に回復し、前年同期比で増益になりました。
2022年3月期から当期末までの経常利益増減については、原価低減に加えて、高騰する原材料・エネルギー価格の価格反映による増益の一方、生産高減少に伴う操業度の低下、ファルテックグループの減益により経常利益は減少しました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
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|
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減 |
増減率 |
|
営業活動による キャッシュ・フロー(百万円) |
19,859 |
21,088 |
1,228 |
6.2% |
|
投資活動による キャッシュ・フロー(百万円) |
△13,439 |
△14,568 |
△1,129 |
8.4% |
|
財務活動による キャッシュ・フロー(百万円) |
△10,350 |
△3,919 |
6,431 |
△62.1% |
|
現金及び現金同等物の 期末残高(百万円) |
40,244 |
44,557 |
4,312 |
10.7% |
|
キャッシュ・フロー 対有利子負債比率 |
2.0年 |
1.9年 |
△0.1年 |
- |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
87.2倍 |
88.1倍 |
0.9倍 |
- |
a.営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による資金収入は、前期に比べ12億28百万円増加(6.2%)の210億88百万円となりました。
これは主に、利息及び配当金の受取額が31億3百万円増加し、棚卸資産の増減額が28億93百万円、固定資産売却損益が22億19百万円それぞれ減少して収入が増加した一方で、税金等調整前当期純利益が66億98百万円減少したこと等によるものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による資金支出は、前期に比べ11億29百万円増加(8.4%)の145億68百万円となりました。
これは主に、定期預金の預入による支出が53億73百万円、定期預金の払戻による収入が11億65百万円それぞれ増加した一方で、現有設備の有効活用や投資の時期と内容精査といった低減により有形及び無形固定資産の取得による支出が18億25百万円、生産体制再構築に伴う有形及び無形固定資産の売却による収入が25億6百万円、M&A等に伴う投資有価証券の取得による支出が38億53百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による資金支出は、前期に比べ64億31百万円減少(△62.1%)の39億19百万円となりました。
これは主に、短期借入金の純増減額が67億59百万円、自己株式の取得による支出が7億13百万円、セール・アンド・リースバックによる収入が6億96百万円、リース債務返済による支出が4億97百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
上記の結果、現金及び現金同等物の期末残高は前期末に比べ43億12百万円増加(10.7%)の445億57百万円となりました。
運転資金需要及び設備投資・出資資金などの長期資金需要に対しては、手元資金を充当することとし、必要に応じて金融機関からの借入れによって調達しております。また、グループ内ファイナンスの活用による効率的な資金運用を行っております。
現金及び預金の残高は、事業規模に応じた適正額を維持することとしております。また、事業及び金融リスクに対応するため、金融機関と特別当座貸越契約を締結し、手元流動性を確保しております。
また、予期せぬ資金調達リスクに備えるため、当社は取引金融機関との間で総額95億円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、本契約による借入れは実行しておりません。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は401億36百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は445億57百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における資産、負債、収益及び費用の報告金額について見積り及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成のための重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、23中計の財務目標としては、最終年度の2024年3月期に売上高1,800億円、経常利益210億円、ROE10%以上、自己資本比率45%以上、株主還元率30%を掲げております。それぞれの指標の直近の推移状況は以下のとおりです。
|
指標 |
2021年3月期 (中計1年目実績) |
2022年3月期 (中計2年目実績) |
2023年3月期 (中計3年目実績) |
2024年3月期 (中期計画最終年度) |
|
売上高 |
1,520億円 |
1,635億円 |
1,786億円 |
1,800億円 |
|
経常利益 |
141億円 |
146億円 |
102億円 |
210億円 |
|
ROE |
4.8% |
6.6% |
2.9% |
10% |
|
自己資本比率 |
47.6% |
50.4% |
50.5% |
45% |
|
株主還元率 |
28.5% |
24.7% |
51.4% |
30% |
合弁事業契約
|
相手先名 |
国名 |
合弁会社名 |
契約年月日 |
契約の内容 |
|
FEDERAL-MOGUL (T&N) HONG KONG LIMITED |
中国 |
安慶帝伯格茨活塞環有限公司 |
1996年4月1日 |
ピストンリングの製造及び販売 |
|
安徽環新集団股份有限公司 |
||||
|
FEDERAL-MOGUL UK INVESTMENTS LIMITED |
インド |
FEDERAL-MOGUL TPR(INDIA)LIMITED (フェデラル・モーグルTPR(インディア)社) |
1997年5月28日 |
ピストンリングの製造及び販売 |
|
FEDERAL-MOGUL GOETZE(INDIA)LIMITED |
||||
|
FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN, LLC. |
米国 |
FEDERAL-MOGUL TP LINERS INC (フェデラル・モーグル テーピ ライナーズ社) |
1999年6月10日 |
シリンダライナの製造及び販売 |
|
安徽環新集団股份有限公司 輝門(中国)有限公司
|
中国 |
安慶帝伯粉末冶金有限公司 |
1999年12月27日 |
焼結製バルブシート、バルブガイド及びSAP等の製造及び販売 |
|
FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN, LLC. |
米国 |
UNITED PISTON RING INC (ユナイテッド ピストンリング社) |
2001年9月28日 |
ピストンリングの製造及び販売 |
|
南京航海航標装備総廠有限公司 |
中国 |
南京帝伯熱学有限公司 |
2002年7月10日 |
温度調節弁等の製造及び販売 |
|
柳成企業社 |
韓国 |
Y&T POWER TECH .,INC (Y&Tパワーテック社) |
2002年10月1日 |
シリンダライナと焼結製バルブシート及びバルブガイドの製造及び販売 |
|
FEDERAL-MOGUL BURSCHEID GmbH |
ドイツ |
FEDERAL-MOGUL TP EUROPE GmbH & Co KG. (フェデラル・モーグル テーピ ヨーロッパ社) |
2002年10月29日 |
ピストンリングの製造及び販売 |
|
FEDERAL-MOGUL INVESTMENT LTD. |
トルコ |
FEDERAL-MOGUL TP LINER EUROPE OTOMOTIV LTD.STI. (フェデラル・モーグル テーピ ライナ ヨーロッパ社) |
2003年10月9日 |
シリンダライナの製造及び販売 |
|
安慶帝伯格茨活塞環有限公司 安徽環新集団股份有限公司 |
中国 |
安慶帝伯格茨缸套有限公司 |
2004年7月13日 |
シリンダライナの製造及び販売 |
|
安徽環新集団股份有限公司 |
中国 |
安慶安帝技益精機有限公司 |
2004年12月22日 |
機械設備、工具・治具の製造及び販売 |
|
相手先名 |
国名 |
合弁会社名 |
契約年月日 |
契約の内容 |
|
柳成企業社 |
中国 |
柳伯安麗活塞環有限公司 |
2005年2月4日 |
ピストンリングの製造及び販売 |
|
安徽環新集団股份有限公司 |
||||
|
Manoyontchai Co.,Ltd. MHCB Consulting (Thailand)Co.,Ltd. Sathinee Co., Ltd. |
タイ |
TPR ASIAN SALES(THAILAND)LTD. (TPRアシアンセールス(タイランド)社) |
2005年2月22日 |
ピストンリング、シリンダライナ等の販売 |
|
FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN, LLC. |
米国 |
TPR FEDERL-MOGUL TENNESSEE, INC. (TPR フェデラル・モーグルテネシー社) |
2012年5月1日 |
シリンダライナの製造及び販売 |
|
安徽環新集団股份有限公司 |
中国 |
安慶帝伯功能塑料有限公司 |
2013年11月1日 |
エンジニアリング・プラスチック等の樹脂製品の製造及び販売 |
|
輝門(中国)有限公司 安徽環新集団股份有限公司 |
中国 |
輝門環新(安慶)粉末冶金有限公司 |
2014年12月8日 |
金属粉末冶金エンジン部品の製造及び販売 |
|
安徽環新集団股份有限公司 |
中国 |
TPR ARN (Anhui) New Energy R&D Co., Ltd. |
2022年2月17日 |
新技術及び新製品の研究開発 |
当社グループでは、「環境対応技術を極め、世界市場で勝ち抜くオンリーワン商品の創出」を主テーマとして研究開発活動を進めております。
当連結会計年度に発生した研究開発費は、TPRグループ(除くファルテックグループ)において
パワートレイン部品では、業界トップを目指し、さらなる低燃費技術、低価格化と信頼性の両立という厳しい要求に応えるべく、以下を重点に活動を進めております。
・機能面では内燃機関の熱効率向上を見据えた低摩擦化、熱制御、軽量化への取組みに加え、地球に優しい排気ガスクリーン化、水素、カーボンニュートラル燃料へ対応した新製品の開発。
・製造面では製品の高精度化に対応したインラインでの計測自動化、革新的コストダウン、生産エネルギーの極小化へ対応した新工法の開発。
また海外拠点への新技術の移転構築、海外提携会社との協業による世界同一品質の実現と海外顧客への新製品及び新技術PRも積極的に取り組んでおります。
一方急速なEV化に対応し、非パワートレイン部品(多角化商品)への取組みも強化し、軽量化を狙いとした樹脂・ゴムなどの複合製品やシール製品への新技術導入を積極的に行い、先行他社と製品機能、価格で競争できる開発体制作りと、新事業分野の探索を推進しております。また、新素材開発としては、ナノポーラス材料、長尺少層CNT(Carbon Nanotube)製造を開始し、素材だけではなく、お客様のニーズに合わせた複合製品の開発を実施中です。
これらの研究開発活動を支える基盤整備として、解析評価設備や試験設備の整備拡充、設計開発業務の効率化、技術者教育体制の強化と、WEB会議を積極的に活用した外部研究機関等との連携の強化を実施しております。
開発の主な成果は次のとおりであります。
(1)開発推進体制
「両輪経営」に基づき、オールTPRでの技術ロードマップをもとに、開発方針を策定し、各事業毎での枠にとらわれず、これまでのコア商品技術(パワートレイン商品)と多角化商品技術(焼結・樹脂・ゴム)を融合し、モビリティ、カーボンニュートラル、既存技術の応用、人と地域の役に立つ技術という横串での開発活動を継続しております。
これにより、急速に変化するEV化や、カーボンニュートラル、SDGs対応などの市場変化に対し、素早いテーマアップと事業化判断を進めております。
なお、ファルテックグループにおいても、新商品開発のスピードアップとオンリーワン商品の創出をテーマとして、研究開発活動に取り組んでおります。新商品の開発に当たっては、6つのコア技術(成形・加飾・組立・金属加工・電装・通信)を3つの開発方針(カーボンニュートラル・加飾・CASE)に沿って強化・発展させています。
自動車外装部品事業と純正用品事業では、お客様のニーズや市場調査から、『魅力のある商品』/『新機能商品』を継続的に創出し提案することを目指し、開発に取り組んでおります。
自動車関連機器事業では、市場競争力強化及び顧客からの要望に応じ、高効率化・省力化・原価低減を念頭に置き、開発に取り組んでおります。
(2)パワートレイン部品
Ⅰ ピストンリング
・超低摩擦&低オイル消費リングの製品化 (低燃費、低排出ガス対応)
・ブローバイ低減リングの製品化 (信頼性・熱効率向上)
・さらなる高耐摩耗DLC(Diamond- Like Carbon)被膜の製品化 (信頼性向上)
・ピストンリング革新的コストダウン製造ラインの構築 (低価格・カーボンニュートラル対応)
Ⅱ シリンダライナ
・小型エンジン用薄肉、高熱伝導ライナの製品化 (低燃費対応、信頼性向上)
・熱制御ライナの製品化 (低燃費対応)
・低摩擦内周面性状の確立 (低燃費対応)
Ⅲ 焼結商品(バルブシート・バルブガイド)
・高耐摩耗、高強度、カーボンニュートラル燃料対応バルブシート材料の製品化
・高耐摩耗バルブガイドの製品化
(3)多角化商品
・パワートレイン部品の機能評価技術、ノウハウを活用した、樹脂・ゴム製品の機能評価試験
・金属製品に代わる軽量化や耐摩耗性を持ち合わせた樹脂製品の開発
・バキュームポンプ用樹脂ベーンの製品化
・ゴム製品革新工法ラインの構築(開発継続)
(4)新素材
・長尺少層カーボンナノチューブ
顧客と協業し、製品化へ向けて取組み中。新アプリケーション化技術の仕込み
・ナノポーラス材料
顧客と協業し、仕様決めの開発を実行中。試作ラインの導入実施
(5)研究開発の基盤整備
① EV車をはじめとしたモーター評価ベンチの整備
② カーボンニュートラル燃料を使用した内燃機関評価技術(iLaboとの技術交流)
③ 排気ガス中の硫黄の分析とPN(粒子状物質の数)測定機によるオイル消費とPNの同時計測
④ モデルベース開発対応シミュレーションモデルの構築と活用
⑤ RPA構築による業務効率化の推進
⑥ 単体機能試験の高精度化 (摩擦摩耗、信頼性評価、シール性評価)