第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(経営方針)

 当社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げており、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。現在、スマートフォンやIoTの普及により、日々生み出されるデータは加速度的に増加して、働き方改革等による業務の効率化のニーズも高まっております。当社グループは、この様々なデータ(ビッグデータ)を「新しい資源」として捉えており、この資源を活用して企業や社会に様々な価値をもたらすソフトウェア及びサービスの提供を行っております。

 

(当社グループの強みと経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

・独自のテクノロジー

 当社グループは、創業以来、企業の情報活用に特化した独自の技術開発に取り組んできました。超高速集計、データの仮想統合、IoTデータのリアルタイム処理は代表的な特長的技術であり、当社グループの競争力の源泉となっています。それぞれ技術は高度で難解なものですが、「誰でも簡単」に利用することができ、素早く効果をあげられるようにシンプルで直観的に使用できるユーザーインターフェイス(UI)を備えたソフトウェア及びサービスとして提供しております。なお、研究開発活動及びソフトウェア開発のコア部分は、すべて自社グループ内で行っております。

 

・強力なビジネスチャネル

 当社グループの販売モデルは、パートナーを介した間接販売が主となっております。大都市圏で大企業や官公庁の大型案件を得意とするSIerや地方を拠点とするSIer、特定領域に特化したコンサルティングファームやクラウドシステムの構築を専業とするクラウドSIer等多くのパートナー企業と契約しており、日本全国のシステム開発案件をカバーするソリューション/サービス提供体制を構築しております。これにより、継続的な案件創出と営業コストの抑制が可能となり、効率的な販売活動が可能となっております。なお、2021年2月期に、当社グループのソフトウェア及びサービスの販売だけではなく、パートナーとともに新たな市場を開拓していくという考えのもとパートナー制度を改定しました。今後もパートナーとより良い関係を築き、双方のビジネスの発展に努めてまいります。

-契約パートナー数推移(注)                                 (社)

決算年月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

契約パートナー数(累計)

479

507

486

535

547

(注)当社パートナー向けプログラム「WingArc1st Relationship Platform(WARP)」において、各契約カテゴリーでの期末時点における解約パートナーを除いた契約パートナー数の合計。

 

・厚いリカーリングレベニュー

 当社グループが提供するソフトウェア及びサービスについては、ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引と、ソフトウェアの保守サポート契約、サブスクリプション契約やクラウドサービスの利用契約のような継続的な契約を前提とした取引により構成されています。継続的な契約を前提とした取引は、導入企業が増加するにつれて年々売上収益が積みあがるリカーリングビジネスと呼ばれる収益モデルであり、これらのビジネスから得られる収益(リカーリングレベニュー)は、当社グループの収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。

-リカーリングレベニュー                               (単位:百万円)

決算年月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

ライセンス/サービス(注)1

7,652

8,224

6,966

7,657

8,884

リカーリング(注)2

9,634

10,453

11,318

12,175

13,464

売上収益合計

17,287

18,677

18,285

19,833

22,349

リカーリング比率

55.7%

56.0%

61.9%

61.4%

60.2%

(注)1.ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引に係る売上の合計。

2.保守、サブスクリプション(ソフトウェアの購入ではなく、利用期間に応じて料金を収受する契約形態)、クラウド等、継続契約を前提とした取引に係る売上の合計。

 また、当社グループは契約継続率をリカーリングビジネスの最も重要なKPIの一つとしております。高い契約継続率を維持することによって、既存の契約は最大限維持しつつ、新規契約を積み上げ、持続的な成長を実現してまいります。

-契約継続率(注)1

決算年月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

契約継続率

94.4%

93.0%

93.8%

93.2%

95.6%

(注)1.「SVF」「invoiceAgent」「Dr.Sum」「MotionBoard」の保守契約において、当該期間の更新対象契約の総数に対して実際に契約が更新された金額ベースでの割合。

 

 上記の他、調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益を重要な指標としており、2023年2月期の目標数値及び実績は以下となります。

(単位:百万円)

 

目標数値

実績

増減

増減率

調整後EBITDA

6,900

7,163

263

3.8%

調整後親会社の所有者に帰属する当期利益

4,200

4,401

201

4.8%

(参考)売上収益

22,000

22,349

349

1.6%

 

 当社グループは、日本国外に拠点を置く多くの外資系ソフトウェアベンダーと異なり、自社内に営業、開発、サポートすべての機能を有しております。これにより、営業部門やサポート部門が収集した様々な顧客ニーズを開発部門が素早く製品化するといったことが可能となり、当社グループの強みの一つとなっております。

 

(経営環境)

 当社グループの主要な市場である国内ソフトウェア市場は、企業業務のデジタル化を推進し、DXを実現するための投資が拡大しており、加えてデジタル庁の発足や改正電子帳簿保存法等行政の後押しもあり、2021年度から年平均7.8%と堅調に増加し、2026年度(予測)には2兆4,607億円となることが見込まれております(注1)。また、企業においても所有から利用の動きが進んでおり、ソフトウェアを一括で購入するのではなく、ソフトウェアの機能をサービスとして利用し、その対価を月々支払うサブスクリプション型のビジネスが大きく拡大しております。特にサブスクリプションビジネスの代表例であるクラウドサービスにつきましては、2021年度から年平均12.5%成長し、2026年度(予測)には1兆6,681億円に達することが見込まれております(注2)。

(注)1.株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2022年版(ソフトウェア市場規模推移)」

2.株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2022年版(提供形態別動向)」

 

 

(成長戦略)

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、企業は働き方改革や新しい環境での競争力強化のため、DXに積極的に取り組んでおります。また、2022年1月にリモートワークやペーパーレスを後押しする改正電子帳簿保存法が施行され、企業間取引に関する文書の電子化が急激に進展しております。当社は、このような市場の大きな変化をチャンスと捉え、2022年1月に5か年の「中期経営方針」を発表しました。「企業のDXを推し進めるデータプラットフォームの実現」を柱に据え、主にクラウドビジネスでの大きな成長を計画しております。このプラットフォームをベースに、BDSは企業間取引の変革を実現する「企業間DX」、DEはデータの価値を最大限に高め、生産性の向上や新しいビジネスの創出に資する「企業内DX」に取り組んでまいります。当該期間中に当社が達成を目指す目標は以下となります。

 

<中期経営目標>

・クラウド成長率 40%(2022年2月期~2027年2月期平均)

・リカーリング比率 75%(2027年2月期)

 クラウド比率 40%(2027年2月期)

・調整後EBITDA 120億円(2027年2月期)

(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

(1)クラウドビジネスの拡大

 現在の当社グループの売上収益の大半は、ソフトウェアから生み出されておりますが、企業のDXへの取組みが広がる中、迅速な導入が可能で初期コストが低く、他のシステムとの連携が容易なクラウドサービスの市場は拡大しております。このような環境の中、当社は2022年1月に発表した「中期経営方針」でクラウドをベースとした「企業のDXを推し進めるデータプラットフォームの実現」を掲げ、2022年2月期から2027年2月期のクラウド売上の年平均成長率40%及び2027年2月期の全社売上に占めるクラウド売上比率40%を目標としております。

 

・開発体制の強化

 当社グループでは、クラウドサービスに関する継続的な新機能の開発や性能向上のため、開発体制の強化を進めておりますが、優秀なエンジニアの獲得はますます難しい状況になっております。最先端技術への積極的な取組みや働き方改革を進め、エンジニアにとって魅力的な環境を提供するとともに、外部リソースも活用し、柔軟な開発体制を構築してまいります。

 

・アライアンスの推進

 当社グループが提供するクラウドサービスは、当社グループのみがサービスを提供するのではなく、様々な特徴を持つ企業と密に連携することで、スピーディに包括的なサービスを提供することを目指しております。今後もサービスレベル向上のため、様々な企業との連携を行ってまいります。

 

(2)リカーリングビジネスの拡大

 当社グループは、製品、サービスの一度限りの提供ではなく、継続的に顧客にサービス提供を行い、その対価をサービスの提供期間に応じて受け取る「リカーリングビジネス」を推進しております。「リカーリングビジネス」の利点は、業績の安定化、業績の予見性の向上、顧客とのリレーションシップの維持等ですが、一方で、顧客の維持管理コストの増加等のデメリットもあります。そのため、当社は「リカーリングビジネス」に特化した部署を組織し、上述したシステムによる効率的な顧客管理と専任チームによる離脱防止対策を行うとともに、顧客への追加商材の提案による売上の向上を目指しております。また、2023年2月期における「リカーリングビジネス」に係る売上である「リカーリングレベニュー」の売上全体に占める比率(リカーリング比率)は60.2%であり、売上の拡大と共に当該比率の向上に努めてまいります。なお、2022年1月に発表した「中期経営方針」では、2027年2月期にリカーリング比率75%を目標としております。

 

・契約継続率の維持向上

 「リカーリングビジネス」は一度契約して頂いた顧客に如何に継続的にご利用いただくかが最も重要となるため、当社グループでは、「契約継続率」をKPIとしております。専門部署にて顧客の利用状況や課題をヒアリングし、きめ細かな対応を行うことにより、当該数値の維持向上に努めております。2023年2月期における「契約継続率」は95.6%となります。

 

(3)グループ経営基盤の強化

 当社グループは2013年9月の非上場化以来、経営基盤の強化に取り組み、グループの再編(子会社の統合、非コア事業の売却)、社内基幹システムの再構築、経営管理システムの高度化、各種顧客管理業務のシステム化等を推し進めてまいりました。今後、中期経営方針の目標達成のため、様々なクラウドサービスの立ち上げや強化を行っていく計画となっており、精緻な業績管理が求められます。また、業容拡大を目的としてM&Aで獲得した海外を含む子会社についても、当社グループの経営方針のもと、一体となった管理体制が求められます。これに対応すべく、社内のDXを推し進め、グループ各社と密に連携し、タイムリーに経営状況を把握でき、適切な対策を早期に打てる体制の強化に取り組んでまいります。

 

(4)サステナビリティへの取り組み

 当社グループは「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future. 情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というコーポレートビジョンのもと、加速度的に増加する知識・情報といったデータの共有・活用によって、地域や年齢、性別、人種などによる制約を受けず、一人ひとりのパフォーマンスを最大化させることが社会課題の解決につながると考えています。

 

・サステナビリティビジョン

「私たちは、ヒトと共に"データの力"でより良い社会を創生します。」

 当社グループのサステナビリティとは、当社グループサービスの提供により、ヒトや組織がエンパワーされ、データ駆動型社会を形成し、より良い社会を生み出していく再生的なシステムを創ることです。

 そのため当社グループの事業の存続と活動にとって欠かせないステークホルダー及び持続的成長のために必要な取り組むべき重要課題(マテリアリティ)の特定を行い、当社グループビジョンを実現させるべく、それら重要課題に沿ったサステナビリティへの取り組みを推進してまいります。

 

・推進体制

 2018年4月に設置したサステナビリティ推進委員会を中心に、経営者及び全社員の認識の共通化を図りながら、サステナビリティ活動効果の最大化を目指しております。

 同委員会はサステナビリティ担当役員を委員長とし、代表取締役社長、財務担当役員、技術担当役員、マーケティング担当役員で構成されております。毎月1回程度開催し、サステナビリティに関する動向の共有、ステークホルダーへの期待に対応するための重要課題への取り組み状況などに関する議論を行っております。

 

・マテリアリティ

 当社グループのビジョンを目指すため、主に組織の社会的責任に関する国際ガイドラインであるISO26000に沿ってサステナビリティの活動を推進しております。「当社ステークホルダーにおける重要度」および「当社ビジネスにおける重要度」の2つの観点から優先順位付けを行った項目をプロットし、当社としてこれからの取り組みを一層強化する必要性がある課題として、「社会課題を解決するサービスの提供」および「ウイングアーク1stサービスを生み出す基盤づくり」を優先的に取り組むべき課題として特定しております。

 「社会課題を解決するサービスの提供」は主に働き方イノベーション、DX、BIG DATA活用を促進し、それらを支えるための「ウイングアーク1stサービスを生み出す基盤づくり」として、人権・D&I、環境マネジメント、コミュニティ支援への取り組みを行っております。

 なお、2023年3月には経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄2023」に初めて選定されました。また、3年連続「健康経営優良法人2023(大規模法人部門:ホワイト500)」にも認定されました。当社は社員のパフォーマンス最大化のためには、心と体の健康は最も優先すべきものと考え、より一層の健康経営を進めるとともに、働きやすい職場環境づくりやワークライフバランスの充実を図ることで、社員の働く幸せとワークエンゲージメントの向上に繋げ、社会に貢献してまいります。

 

・TCFD開示

 当社は国際的な枠組みである気候変動問題に関するパリ協定目標の実現に貢献するため、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った開示を行い、気候変動に対応する自社の目標を定め、事業を通して積極的に温室効果ガスを削減するための取り組みを進めております。

 

(ガバナンス)

 当社では気候変動に関する目標を実現するための方針や取り組みの評価・モニタリングを行うための機関として、サステナビリティ推進委員会を設置しています。CEOを始めとする経営陣が気候変動の戦略策定に関与しその取り組み内容を取締役会に報告しています。

 

(戦略)

 当社が気候変動に関連して直面するリスクと機会は、顕在化時期および事業への影響度を関係部署及びサステナビリティ推進委員会で評価したうえで、特に重要なリスクと機会を特定しました。

 気候変動に関する重要な移行リスク・物理的リスク、機会を認識し、それぞれの顕在化時期や事業への影響度を分析し、対応方針を定めております。

 

(リスク管理)

 当社の気候変動におけるリスクおよび機会については、サステナビリティ推進室がリスクを所管する関連部門と協議の上、全社的なリスクの洗い出しを年次で行います。選定された重要リスクに対する対応方針を、サステナビリティ推進室およびリスクを所管する関連部門との協議の上年次で見直し、経営陣が参画するサステナビリティ推進委員会において議論の上特定します。その後リスクアセスメントの結果は、サステナビリティ推進室から全社的なリスクを統括しているリスク管理部門、リスク・コンプライアンス委員会に報告されます。

 

(指標と目標)

 当社は気候変動の評価指標として、温室効果ガス(GHG)排出量を選定し、GHGプロトコルのScope1~3についての実績を測定しホームページ等で開示しています。また、気候変動に対するリスクを低減し、新たな機会を創出するために、当社事業に伴う排出量については、使用電力の100%再生エネルギー化や、当社製品・サービスの提供を通じた環境負荷低減への寄与などにより、2030年までに排出量をネットゼロにする目標を設定しております。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資家の皆様に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。また、以下の記載は当社株式の投資に関連するリスクのすべてを網羅するものではありません。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)情報通信業における技術革新等への対応について

 当社グループの属する情報通信業は、技術革新が絶え間なく起こり、これにより新しいソフトウェアやサービスが次々に生み出される、変化の激しい業界となっております。近年においても、AI、IoTなどの新しい技術が注目されておりますが、それらの新技術に対応したソフトウェアやサービスの提供ができるよう、当社グループとしても研究開発を続けております。しかしながら、これら新技術が普及せず、また、今後新しい技術への対応が遅れた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの帳票・文書管理ソリューションの主力製品である「SVF」は、企業の基幹業務に必須である請求書や納品書等の帳票類の設計・運用を行うソフトウェア及びサービスであり、企業における帳票類の使用頻度が減少した場合には、これらの製品の需要が減少する可能性があります。

 

(2)競合について

 各種調査レポートによると、帳票市場及び電子帳票市場に位置づけられる「SVF」「invoiceAgent」及びビジネスインテリジェンス市場に位置づけられる「Dr.Sum」「MotionBoard」は、類似製品と競合する状態にあります。当社グループは、機能の強化や品質の向上を目的としてバージョンアップ製品の市場投入を継続的に行っていくことを予定しておりますが、当社グループの開発方針の策定に当たり市場動向を的確に捉えることができなかった場合には、競合製品に対し当社グループ製品の優位性が相対的に低下する、あるいは競合各社の価格戦略によりシェアが縮小する等、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)製品の不具合(バグ等)の発生可能性について

 当社グループは、新製品開発及び既存製品の性能向上、機能追加等の研究開発に当たり、品質管理の向上を念頭に置いて活動しており、品質管理部門の設置等により品質管理の徹底を図り、不具合等の発生防止に努めております。一般的にソフトウェアは高度化、複雑化すると不具合を完全に解消することは不可能と言われており、当社グループのソフトウェアにおいても、各種不具合が発生する可能性は否定できません。また、当社グループにて提供するクラウドサービスにおいても、同様に各種不具合が発生する可能性は否定できません。現時点まで当社グループの責任による不具合の発生により、業績に多大な影響を与えたことはありませんが、当社グループの製品やサービスに致命的な不具合が発生することにより、コストが発生するとともに、その不具合を適切に解決できない場合、当社グループの信用力が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品開発について

 当社グループにおいては、技術部門を中心に開発計画を立案し、当該計画に基づき製品開発を進めております。しかしながら、「(3)製品の不具合(バグ等)の発生可能性について」に記載のとおり、ソフトウェア及びクラウドサービスには何らかの不具合が発生する可能性があり、顧客に販売するのに十分な品質が確保されていないと判断した場合、追加の開発・検証作業等を要することとなり、ソフトウェア及びクラウドサービスの販売開始時期が遅延し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。上記以外にも、市場のニーズに合致していない等の理由により当社グループの新製品が市場で受け入れられない場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、開発期間は長期間に及ぶこともあるため、その間の顧客の需要動向又は当社グループの販売戦略の変化、若しくは当初想定していた機能の実装が技術的に困難であることが明らかとなった場合等、当該製品の販売開始前に開発を中止することもあります。その場合には、開発に要したコストを回収することができなくなるため、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)販売方法等について

 「SVF」、「invoiceAgent」、「Dr.Sum」、及び「MotionBoard」といったソフトウェアの販売先はSIerが中心となっており、システム開発の過程において当社グループのソフトウェアを組み込む、若しくは当社グループのソフトウェアを利用してシステムを構築する形で使用されております。売上の大半を占めるSIerの法令違反や情報漏洩等により正常に事業活動を行うことが難しい場合や緊急事態宣言等経済活動の停止を伴う措置が講じられる場合等、SIerが十分に活動することが難しい場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、機能強化や品質向上を目的として当該製品のバージョンアップを継続的に行っていくことを予定しておりますが、このためにはSIerだけではなくエンドユーザーのニーズも適時・適切に把握することが必要になります。しかしながら、当社グループの販売先はSIerが中心となっていることから、直接エンドユーザーに販売する場合と比較してエンドユーザーのニーズを適時・適切に把握できない可能性があり、その場合には、市場動向を適切に把握できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような状況に対処すべく当社グループでは、営業、開発及びサポートのすべての部署でエンドユーザーと直接対話する機会を増やし、エンドユーザーとのニーズギャップ解消に努めております。

 また、当社グループの製品を販売するSIerと当社グループとの間では、原則として販売に係るパートナー契約を締結することとしております。パートナーにとっても販売メリットの高い製品、サービスを提供できるよう努めるとともに、パートナーとの相互協力により販売推進することを前提としてパートナーとの関係強化に努めておりますが、当社グループにとって重要なパートナーとの契約が解除された場合や、販売条件の大幅な変更を余儀なくされた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)クラウドサービスの提供について

 当社グループは、インターネット環境への接続が可能なユーザーを対象としたクラウドサービスの開発、運営を行っております。このため、クラウドサービスの前提となる利用契約が継続されない等により想定したリカーリングレベニューが得られない場合やサポートコスト等クラウドビジネスの運営に関する費用が事前の想定を上回って増加した場合、自然災害、戦争、テロ、事故等による通信インフラの破壊や故障、Amazon Web Services Inc.や株式会社セールスフォース・ドットコムといったクラウドサービスの運営に欠くことのできないアライアンスパートナー及び当社グループにおけるシステムダウンや障害、コンピュータウイルスやハッカーからの攻撃等により、当社グループが運営するクラウドサービスが正常に稼働しない状態となった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)経済情勢に関するリスクについて

 当社グループの収益の大部分は、現時点では、日本国内のエンドユーザーへの販売に依存していることから、当社グループのビジネスは、日本の経済状況により影響を受ける可能性があります。地政学的要因による国際的なサプライチェーンの混乱や資源価格の上昇、また米国を始めとした海外経済のリセッションの影響による日本経済の停滞、日本企業によるIT投資の大幅な減少、又はその他の市場環境の悪化は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人材の確保及び育成について

 当社グループの事業運営は、経験豊富な経営陣や営業、開発等の専門人材に依存しており、人材の確保と育成が重要な課題であると考えております。また、業種や業務に特化したクラウドサービスの提供を進めるため、各業界に精通した人材の確保や顧客により直接的にアプローチするチームの組成、サービスごとのサポート体制の構築等有能な人材へのニーズは、さらに増加しております。

 当社グループは、今後も継続的に人材の確保・育成に努めていく方針でありますが、人材市場の需給逼迫等の事情により当社グループの必要とする人材をタイムリーに確保できない場合は、当社グループの事業及び将来戦略に制約を受けることとなり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)知的財産権及びその他第三者の権利侵害について

 当社グループのビジネス上、当社グループの開発した独自の方法や技術及び当社グループが開発し又はライセンスを受けている特許その他知的財産権は重要であり、当社グループの知的財産権が十分に保護されない場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループでは、自社製品の企画、開発、販売及び他社製品の利用など、事業活動によって第三者の知的財産権、その他の権利を侵害しないようにあらかじめ調査を行い、必要に応じて実施許諾を受ける等の措置を講じております。しかしながら、第三者から知的財産権、その他権利を侵害したとして訴訟を提起される等、第三者との間に紛争が生ずることがないという保証はなく、第三者の権利を侵害したとして、多額の損害賠償金や和解金の支払又は代替的な技術の開発を余儀なくされた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)個人情報等の取扱いについて

 当社グループでは、事業において知り得た個人情報につき、個人情報保護規程を制定し、適切な管理・保護の徹底を図っております。この他、当社では、2007年5月に情報セキュリティマネジメントシステムの公的認証であるISO27001を取得し、ICカードによる執務室の入退室管理、社外に持ち出す可能性のあるノートパソコンのハードディスク暗号化等の対応策を実施する等、情報資産全般について、適切な管理・保護を行うように努めております。また、現在当社では全社員在宅勤務を原則としており、新たなセキュリティリスクとなっていることから、社内システムを強化するとともに、リモートワークに関するガイドラインを定め、社員に周知徹底し、情報の流出を防ぐ体制を整えております。

 しかしながら、万一個人情報が漏洩した場合、顧客から損害賠償を請求される、又は個人情報保護法に基づく罰金等が科される可能性があるほか、顧客からの信用や社会的信用が低下することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)M&A、資本業務提携について

 「(1)情報通信業における技術革新等への対応について」に記載のとおり情報通信分野の変化は激しく、同業他社に対するM&Aや資本業務提携を実施することにより当社グループの事業領域を補完・強化していくことも、事業規模拡大のための有効な手段の一つであると位置づけております。M&A等の実行に際しては、対象企業に対して財務・税務・法務・ビジネス等に関する詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスク低減に努める方針であります。但し、これらの調査で確認・想定されなかった事象が実行後に判明あるいは発生した場合や、買収後の事業環境の急変や想定外の事態の発生等により、当初期待していた投資効果が得られない場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。また、M&A等の結果、事業領域が変化することによって、当社グループの収益構造が変化する可能性があります。

 

(12)海外展開について

 当社グループはグローバルな事業展開を進めておりますが、海外市場への事業進出には、各国政府の法律又は規制への対応、保護貿易諸規則の発動、為替制限や為替変動、輸送・電力・通信等のインフラ障害、各種法律又は税制の不利な変更、移転価格税制による課税、社会・政治及び経済情勢の変化や我が国との関係の悪化、異なる商慣習による取引先の信用リスク、労働環境の変化や現地での人材を確保できないリスク等、海外事業展開に共通で不可避のリスクがあります。この他、投資の回収が当初の事業計画案どおりに進まないリスクや、撤退等のリスクがあります。これらリスクが発現し、当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(13)財務報告に係る内部統制に関するリスクについて

 当社グループは、財務報告の信頼性に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題の一つとして位置づけ、グループを挙げて管理体制等の点検・改善等に継続的に取り組んでおりますが、内部統制報告制度のもとで当社グループの財務報告に係る内部統制に重要な不備が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制を整備及び運用できる保証はありません。さらに、内部統制には本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制が有効に機能しなかった場合や財務報告に係る内部統制に重要な不備が発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。

 

(14)のれん及びその他の無形資産の減損について

 2016年4月14日に旧ウイングアーク1st株式会社の全株式を取得した際に発生したのれん及びその他の無形資産は、その後の企業買収により発生したものを含め、当連結会計年度末現在それぞれ27,309百万円及び16,231百万円であり、合わせて当社グループの資産の69.6%を占めております。当該のれん及び一部の耐用年数を確定できない無形資産(商標権)については、償却を行わず、毎期又は減損の兆候が存在する場合には、その都度減損テストを実施し、当社グループの事業の収益性が低下したと認められる場合には減損損失を計上する必要が生じ、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、IFRSでは、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準と異なり、のれん及び耐用年数の確定できない無形資産の償却を行いません。そのため、当該のれん及びその他の無形資産について減損損失を計上した場合は、日本基準に比べて当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループにて実施しているのれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記13.のれん及びその他の無形資産(4)のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト」をご参照下さい。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の回収可能価額は、使用価値により算定しており、過去の経験と外部からの情報を基に、新規顧客獲得数に関する経営者の主要な仮定を反映させて作成され、経営陣により承認された翌連結会計年度の予算及びその後4年の業績予測を基礎とするディスカウントキャッシュフロー法(以下「DCF法」とする)に基づき算定しております。業績予測期間終了以降の継続価値は、予測期間終了後も永続的に発生することが期待される利益を割引計算する手法(永続法)を用いており、日本の長期的なインフレ率予想を勘案し成長率を1%に設定しております。

 当連結会計年度末における回収可能価額は、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産が含まれる資金生成単位の資産の帳簿価額を48,296百万円上回っておりますが、割引率が9.8%上昇した場合、又は将来キャッシュ・フローの見積りが52.2%減少した場合、回収可能価額と帳簿価額が等しくなる可能性があります。

 また、当社グループでは、のれんの減損に係るリスクを低減するため、事業の収益力強化に努めており、主に以下の取組みを実施しております。

・リカーリングビジネスの拡大

ソフトウェアライセンスの保守、サブスクリプションやクラウドサービスの利用料等のリカーリングレベニューは、契約が継続される限りは毎年継続的に売上が計上され、契約数が増加すればその分売上も増加します。当社グループは、事業の安定と収益力の強化のため、このリカーリングビジネスの拡大を図っております。

・業種・業務に特化したソリューションの推進

当社グループは、単なるソフトウェアやクラウドサービスの提供ではなく、業種ごとのノウハウを組み合わせた顧客の業務に即したソリューションを提供しております。特にデータエンパワーメントソリューションは、製造業向けのIoT可視化ソリューションや金融業向けの営業生産性向上ソリューション等の提供により成長してまいりました。新ソリューションによるさらなる売上拡大のため、継続的な技術開発と業種ノウハウの蓄積に努めております。

 

(15)有利子負債への依存と資金調達について

 当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結しており、有利子負債への依存度が比較的高い水準にあります。そのため、金融市場の急激な変化等により、当社グループの資金調達能力、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当該借入金につきましては、2016年4月に実施した当初借入額31,500百万円から返済が進んでおり、当連結会計年度末における連結有利子負債(一年内返済長期借入金及び長期借入金の合計)の残高は12,212百万円、資産合計に対する有利子負債残高の比率は19.5%となっております。

 また、当該借入金については複数の金融機関とシンジケートローン契約を締結しております。当該契約には財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、貸付人の請求があれば同契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の返済をするための資金の確保が必要となり、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、上記の金融機関からの借入に関係した、金利上昇に係るリスクと財務制限条項への抵触による一括返済リスクに対応するため、主に以下の取組みを実施しております。

・収益性を重視した経営管理

当社グループは、事業の持続的成長のためリカーリングビジネスを推進するとともに、調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益を重要な経営指標としており、利益率の維持向上を図っております。

・財務バランスを意識した資金計画

当社グループの資金計画は、リカーリングビジネスにより安定している営業キャッシュ・フローをベースにしており、借入金の返済及び配当金の支払いを見込んだ上で、投資の計画を策定しております。投資及び財務キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローの範囲内となるよう管理し、手元資金の増加に努めます。

・金利条件及び財務制限条項に係る金融機関との交渉

 金融機関と随時交渉を行っており、経済環境や当社グループの事業の進捗状況を共有した上で、金利条件及び財務制限条項の削除及び縮小につき、協議しております。なお、2017年2月期におきまして、ネット・レバレッジ・レシオが契約書に定める基準値を下回ったため、2017年6月に金利条件を改善した契約を締結しており、さらに2019年9月にはリファイナンスを実行し、金利条件を改善しております。

 

(16)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、当社グループ役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし新株予約権を付与しております。2023年2月期末現在、新株予約権による潜在株式総数は665,700株であり、発行済株式総数34,571,170株の1.9%に相当します。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

(17)伊藤忠商事株式会社及び東芝デジタルソリューションズ株式会社との関係について

 伊藤忠商事株式会社が親会社であるIW.DXパートナーズ株式会社は、2023年2月期末現在、当社の議決権の22.26%を保有しているため、伊藤忠商事株式会社は当社のその他の関係会社に該当いたします。同社とは2019年11月5日付で資本・業務提携契約を締結しており、同社から社外取締役、執行役員及び出向社員(それぞれ1名)を受け入れております。当社は同社に対して当社ソフトウェア等の販売を行っておりますが、他の企業の取引条件との比較等により取引条件の適正性等は確保しております。

 また、東芝デジタルソリューションズ株式会社は、2023年2月期末現在、当社の議決権の13.41%を保有しているため、当社のその他の関係会社に該当いたします。同社とは2020年11月17日付で資本・業務提携契約を締結しており、同社から社外取締役1名を受け入れております。同社は当社の販売パートナーとして、当社ソフトウェア等の販売を行っておりますが、他のパートナー企業の取引条件との比較等により取引条件の適正性等は確保しております。

 なお、当社グループと伊藤忠商事株式会社及び東芝デジタルソリューションズ株式会社との事業領域は相違しており、当社の意思決定において両社による事前承認を必要とする事項等もないことから、当社の独立性及び自律性は保たれていると認識しております。

 しかしながら、将来において、何らかの要因により両社が経営方針や事業戦略(当社株式の保有方針も含む。)を変更した場合、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 当社グループは、「Empower Data, Innovate the Business, Shape the Future.情報に価値を、企業に変革を、社会に未来を。」というビジョンを掲げており、社会に存在する様々なデータを活用することで、多くの企業にイノベーションをもたらし、その結果として、より良い社会を実現することを目指しております。

 

 当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。

 

(1)経営成績の状況

 当連結会計年度(2022年3月1日~2023年2月28日)における我が国の経済環境は、ウィズコロナのもと経済の正常化が進み、新型コロナウイルス感染症による影響を最も大きく受けていたサービス業が回復、個人消費も堅調な推移を見せており、全体として緩やかな持ち直しを継続しています。一方、不透明なウクライナ情勢に伴うエネルギー・原材料の高騰や世界的な金利引き上げによる景気後退のリスクは大きく、海外経済が回復を続ける国内経済に影響を及ぼす可能性が高まっております。

 

 当社グループが属する企業向けIT市場は、コロナ禍の影響による非接触型の活動やサービスの拡大及び企業の生産性の向上や競争力強化のためのデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資の強化により、クラウドサービスを中心に拡大しております。2022年1月に改正電子帳簿保存法の施行、2023年10月にはインボイス制度の導入等企業活動のデジタル化に関して政策的な後押しがあり、さらにこれらに加えて企業向けIT市場自体が企業システムのクラウド化やサブスクリプションモデルの浸透といった外部環境の影響を受けにくい産業構造へ変化しており、2023年は前年比5.6%増と堅調に成長することが見込まれております(注1)。特にクラウド市場は、パブリッククラウドの拡大に加え、DXやクラウドマイグレーションといった企業自身のクラウドシステムへの投資がより一層進展する影響により、2023年は前年比24.7%増と大幅に成長することが見込まれております(注2)。

 一方、パブリッククラウドやプライベートクラウドの利用に加えて、主に移行の困難さや移行コスト、セキュリティ面から従来型のオンプレミスも引き続き運用されており、システムをすべてクラウドへ移行するのではなく、オンプレミスを含む様々なシステムを統合的に管理するハイブリッドクラウドが大企業を中心に主流となりつつあります。今後、市場はクラウドを中心に拡大していくものと思われますが、オンプレミスの需要も一定程度継続するものと想定しております。

(注)1 インターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社「国内IT市場 産業分野別/従業員規模別/年商規模別予測アップデート、2022年~2026年(JPJ49207722)」TABLE2 国内IT市場 産業分野別 支出額予測、2020年~2026年、企業分野小計

2 インターナショナルデーターコーポレイションジャパン株式会社「国内クラウド市場予測、2022年~2026年(JPJ47872322)」TABLE 1 国内クラウド市場配備モデル別売上額予測、2021年~2026年

 

 このような事業環境のもと、当社グループは、帳票・文書管理ソリューション(BDS)、データエンパワーメントソリューション(DE)それぞれにおいて、積極的に投資を進めてまいりました。

 

◇帳票・文書管理ソリューション(BDS)

 上述したように2022年1月に各種要件が緩和された改正電子帳簿保存法の施行、2023年10月にはインボイス制度の導入が予定されており、企業は帳票の電子化をはじめ、電子的に受領した帳票の確認や保管等関連システムの整備が求められております。当社はこれらの法的要件を満たすサービスである、企業間でやり取りされる帳票をクラウド上でセキュアに流通・保管できるプラットフォーム「invoiceAgent」の機能拡充を進めてまいりました。「invoiceAgent」は、契約書や請求書だけでなく、発注書や納品書等企業間取引に関するあらゆる文書を取引単位で管理することが可能で、当社のソフトウェアである「SVF」で培った帳票の作成・運用に関する技術力がこれらを支えています。今後、「SVF」の顧客基盤を活用し、大企業を中心に「invoiceAgent」のユーザーの獲得を目指してまいります。

 

 

2022年6月

文書活用ソリューション「SPA」「SPA Cloud」を電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」にブランド統合。企業間での帳票データ流通の利便性を高める機能「文書管理」「電子取引」「電子契約」「AI OCR」を実装し、ワンプラットフォームとして提供。

2022年6月

受発注や請求書の送受信から管理まで一括運用する「invoiceAgent 電子取引」を提供開始。自社に最適な帳票フォーマットはそのままに、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を実現。

2022年9月

クラウド帳票サービス「SVF Cloud for SmartHR」の提供を開始。社内で使用している既存のPDFファイルや紙の帳票の固定文字や罫線を一括で取り込み、使い慣れた帳票レイアウトのままクラウド上に移行することができ、帳票運用に関わる業務効率化を実現。

2022年9月

「invoiceAgent 文書管理」とコンテンツクラウド「Box」の連携を強化した「invoiceAgent Adapter for Box」の提供を開始。メタデータの自動反映による文書の検索性向上やinvoiceAgentの文書をBoxに自動出力等Box上の文書活用を推進。

2022年10月

電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」と業務プロセスのデジタル化・フルオートメーション化を実現するシステム共通基盤「intra-mart」が連携し、「invoiceAgent Adapter for intra-mart」の提供を開始。

2022年10月

Peppolサービスプロバイダーとしてデジタル庁より認定。当社サービス単独でPeppol対応が可能となり、顧客が利用中の業務システムがPeppol非対応の場合においても、Peppolフォーマットへの変換、送受信が可能。

2023年2月

テラスカイと協業し、「mitoco電子帳簿保存法対応オプション」をリリース。本サービスを利用することにより、ユーザは経費精算時に領収書をはじめとする証憑書類を電子帳簿保存法の保存要件を満たした形でデータ化し、管理・運用することが可能。

 

◇データエンパワーメントソリューション(DE)

 クラウドサービスの浸透や社会のペーパーレス化が進むにつれ、企業規模に関わらず多くの企業がデータを保有するようになっています。一方、専任者の不在やシステム運用に関する問題から、蓄積されたデータを競争向上のために活用できている企業は多くはありません。

 当社グループは、企業のデータ活用を促進させるため、当社グループのソフトウェア・クラウドサービスに、各業種の業務に精通しているスペシャリストのノウハウを組み合わせ、業種特有の業務を効率化する「業種・業務ソリューション」の提供を行っております。また、昨年から取り組んでいる大企業向けのデータ分析基盤ソリューション「Dataring」は計画通り大手顧客への導入を進めており、単なるソリューションの提供ではなく、データ活用のスペシャリストとして、データに関わる業務全体を担う大掛かりなサービスとなっております。今後も顧客の課題により直接的に解決できるソリューションの提供を行ってまいります。

2022年5月

カメラ連携機能を実装した「MotionBoard Ver.6.3」の提供を開始。製造業や建設業などの現場におけるデータ収集・連携による実態把握の精緻化や数値化が難しかった人の動作分析を実現。

2022年5月

「Dr.Sum」が「Microsoft Power BI」と連携。Dr.Sumユーザーは、利用用途に応じてインターフェイスを使い分けできるようになり、Power BIユーザーは、「Dr.Sum」を選択し、ノンプログラミングで手軽にデータマートを構築することが可能。

2022年5月

「MotionBoard Cloud」 と 電子帳票ツール「i-Reporter Cloud」が連携 。「i-Reporter」のデータを「MotionBoard Cloud」で可視化することで、データに基づいた傾向把握ができ、建設や製造現場におけるデータの有効活用によって、作業工数の削減や生産性の向上を実現。

2022年7月

データ活用基盤「Dr.Sum」及び「Dr.Sum Cloud」が公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会が認証する「電子取引ソフト法的要件認証」を取得。

2022年10月

データ分析基盤「Dr.Sum」電子帳簿保存法対応モデルの提供を開始。電子帳簿保存法対応を目的とした帳簿・書類・電子取引の電子データの保存に用途を限定したモデルでデータ保存のためのデータベースエンジンとデータ検索・閲覧のためのWebユーザーインターフェイスを利用可能。

2022年10月

BIダッシュボード「MotionBoard」と「Google Cloud」のManufacturing Data Engineを連携した製造業向けソリューションの提供を開始。様々なデータをGoogle Cloudの分析基盤に集約、生産現場のデータと工場経営のKPIの関連付けを行い、MotionBoardによって視覚化することで、データをもとに迅速な現場アクションと経営判断を支援。

2022年10月

データ分析基盤「Dr.Sum Cloud」とセルフサービスBI「ThoughtSpot」が連携。本連携により、外部システム連携やデータセット作成・抽出といったデータベース専用のスキルが不要となり、技術者の開発工数を削減。また、ThoughtSpotによりDr.Sum Cloudで高速処理された大量のライブデータを分析し、加えてAI機能により関連するインサイトを自動で提供可能。

2023年1月

データ分析基盤「Dr.Sum Cloud」と「Fujitsu 流通EDIサービス TradeFront/6G」が連携。保存したデータの検索・参照・ダウンロードの機能を提供する電子帳簿保存法に対応した「Fujitsu EDIデータ保存・検索サービス」を提供開始。

 

 また、2023年2月に「株式会社スマートバリュー」及び「オングリットホールディングス株式会社」と当社が出資する形で資本業務提携を行いました。

 株式会社スマートバリューは、主に地方自治体向けのクラウドサービスを展開しており、当社の創業以来培ってきたデータ活用に関する専門的な知識や経験と同社が持つ地方自治体に対するチャネルや営業ノウハウを融合させ、行政デジタル化を推進する新たなサービスの構築を目的としております。

 オングリットホールディングス株式会社は、構造物の点検業務に関連するロボット開発や人工知能システムを開発し、国土交通省の「有望な技術」30選(注)での選出など高い評価を得ています。当社のBIダッシュボード「MotionBoard」やデータ活用基盤「Dr.Sum」と同社のロボットを使った構造物点検のデータを連携させ、蓄積されたデータを活かした現状把握やメンテナンスに役立てる業種特化型のサービスの提供を予定しています。

(注)国土交通省:新たな道路照明に関する技術公募結果の公表について

https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000812.html

 

 この結果、当連結会計年度の売上収益は22,349百万円(前期比12.7%増)、営業費用(その他の営業収益を控除後)は、人員の採用による人件費や採用費、DX関連ソリューション開発に伴う外注費、販売促進費の増加などで16,403百万円(前期比18.5%増)、営業利益は5,945百万円(前期比0.7%減)、税引前利益は5,860百万円(前期比0.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は4,401百万円(前期比1.1%増)となりました。

 

 また、当社グループは、通常の営業活動の結果を示していると考えられない非経常的な費用項目の影響を除外することで、投資家が当社グループの業績評価を行い、当社グループの企業価値についての純粋な成長を把握する上で有用な情報を提供することを目的として、上記のIFRSにより規定された財務指標以外に、以下のEBITDA、調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益を重要な経営指標と位置付けております。

 

[調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益の調整表]

(単位:百万円)

決算期

2022年2月期

2023年2月期

増減

増減率

営業利益

5,986

5,945

△40

△0.7%

減価償却費及び償却費

(注1)

1,274

1,217

△56

△4.4%

EBITDA(注2)

7,260

7,163

△96

△1.3%

(調整額)

 

 

 

 

上場関連費用

20

△20

△100.0%

一過性の特別退職金

33

△33

△100.0%

調整後EBITDA(注3)

7,314

7,163

△150

△2.1%

 

(単位:百万円)

決算期

2022年2月期

2023年2月期

増減

増減率

親会社の所有者に帰属する当期利益

4,352

4,401

48

1.1%

(調整額)

 

 

 

 

上場関連費用

20

△20

△100.0%

一過性の特別退職金

33

△33

△100.0%

調整項目の税効果調整

(注4)

△14

14

△100.0%

調整後親会社の所有者に帰属する当期利益(注5)

4,392

4,401

8

0.2%

(注)1.2020年2月期より、IFRS第16号の適用により、オフィスの賃借契約に係る使用権を使用権資産として認識しており、当該資産に係る減価償却費も併せて計上しておりますが、EBITDA算出におきましては、「減価償却費及び償却費」からは当該使用権資産に係る減価償却費を除いております。

2.EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費

3.調整後EBITDA=EBITDA+一過性の費用

4.調整項目の税効果調整は実効税率を用いて算出しております。

5.調整後親会社の所有者に帰属する当期利益=親会社の所有者に帰属する当期利益+一過性の費用-調整項目の税効果調整

 

 EBITDAは、主に営業利益の減少により7,163百万円(前期比1.3%減)と減少しました。調整後EBITDAは、EBITDAの減少に加え、調整を要する費用の発生がなかったことから、7,163百万円(前期比2.1%減)と減少しました。調整後親会社の所有者に帰属する当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益の増加により、4,401百万円(前期比0.2%増)と増加しました。

 当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますが、提供しているソフトウェア及びサービスの性質により、企業の基幹業務を支える「帳票・文書管理ソリューション」と、様々なデータを活用し、今までにない新たな価値を生み出す「データエンパワーメントソリューション」の2つに売上収益を区分しております。

 

≪ソリューション別売上収益≫                             (単位:百万円)

ソリューション区分

2022年2月期

2023年2月期

増減

増減率

帳票・文書管理

ソリューション

SVF

11,244

13,086

1,841

16.4%

invoiceAgent(注)

940

1,122

182

19.4%

その他

153

145

△7

△5.0%

小計

12,337

14,354

2,016

16.3%

データエンパワーメント
ソリューション

Dr.Sum

2,694

2,929

234

8.7%

MotionBoard

2,874

2,982

107

3.8%

その他

1,925

2,082

156

8.1%

小計

7,495

7,994

499

6.7%

合計

19,833

22,349

2,515

12.7%

(注)2022年6月1日より、「SPA」の名称が「invoiceAgent」へ変更になったことに伴い、各種表記を変更しております。

 

(帳票・文書管理ソリューション)

 当ソリューションは、企業の基幹業務に必須である請求書や納品書等の帳票類を設計・運用を行うソフトウェア及びサービスである「SVF」及び企業間取引の電子化を実現する「invoiceAgent」が主な構成要素となっております。

 「SVF」は、コロナ後を見据えたDXに関する投資が大企業を中心に活発化し、年間を通して基幹システムへの投資が増加したことから、基幹システムとともに導入されることが多いソフトウェアライセンス版「SVF」の引き合いも前年から増加し、ライセンス/サービスの売上収益は5,434百万円(前期比30.8%増)と過去最高となりました。あわせて保守も新規契約の獲得が増加したことに加え、既存契約の更新も順調に進んだことから、前期比5.0%増と堅調に推移しました。クラウドサービスについては、クラウド市場の拡大に伴い顧客の獲得が好調に推移したことから、前期比32.4%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は13,086百万円(前期比16.4%増)となりました。

 「invoiceAgent」は、企業のペーパーレス化や電子帳簿保存法、2023年10月に導入されるインボイス制度等複数の追い風を受け、大きく成長しました。企業の業務システムのクラウド化が大きく進展していることにより、「invoiceAgent」においても、クラウドサービスを選択する割合が増加しており、クラウドサービスは前期比88.7%増と前年を大きく上回りました。一方、ライセンス/サービスは、顧客のクラウド志向が強まっている影響で前期比30.6%減と前年を下回りました。保守は新規顧客を確実に取り込んだ結果、前期比36.3%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は1,122百万円(前期比19.4%増)となりました。

 この結果、当ソリューションの売上収益は14,354百万円(前期比16.3%増)となりました。

 

(データエンパワーメントソリューション)

 当ソリューションは、企業が保有するデータを統合・処理・分析・可視化することにより、業務の効率化や生産性の向上を実現するソフトウェア及びサービスである「Dr.Sum」「MotionBoard」が主な構成要素となっております。

 「Dr.Sum」は、安定した需要を背景にライセンス/サービスが前期比1.2%増、保守も前期比4.7%増と堅調に推移しました。クラウドサービスは、順調に契約企業数を積み上げたことに加え、大企業を中心とした大型の案件を獲得したことにより、前期比193.8%増と前年を大きく上回りました。この結果、売上収益は2,929百万円(前期比8.7%増)となりました。

 「MotionBoard」は、企業のクラウドファーストが浸透している影響で、ライセンス/サービスは前年を下回ったものの、保守はカスタマーサクセス強化の効果で継続率が高い状態を維持しており、前期比14.5%増と前年を大きく上回りました。クラウドサービスについては、契約社数が順調に増加したことに加え、大型案件の受注もあり、前期比5.2%増と前年を上回りました。この結果、売上収益は2,982百万円(前期比3.8%増)となりました。

 この結果、当ソリューションの売上収益は7,994百万円(前期比6.7%増)となりました。

 

 また、当社グループが提供するソフトウェア及びサービスについては、ソフトウェアライセンスや導入時のサービス提供等継続的な契約を前提としない取引と、ソフトウェアの保守サポート契約、サブスクリプション契約やクラウドサービスの利用契約のような継続的な契約を前提とした取引により構成されています。継続的な契約を前提とした取引は、導入企業が増加するにつれて年々売上収益が積みあがるリカーリングビジネスと呼ばれる収益モデルであり、これらのビジネスから得られる収益(リカーリングレベニュー)は、当社グループの収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。

 

≪契約区分別売上収益≫                                (単位:百万円)

契約区分

2022年2月期

2023年2月期

増減

増減率

ライセンス/サービス

7,657

8,884

1,226

16.0%

リカーリング

保守

9,000

9,583

582

6.5%

クラウド

2,611

3,140

529

20.3%

サブスクリプション

564

741

176

31.3%

小計

12,175

13,464

1,289

10.6%

合計

19,833

22,349

2,515

12.7%

(注)より詳細な情報につきましては、当社IRサイト(https://ir.wingarc.com/)財務情報ページ内の最新の「FACT BOOK」をご参照下さい。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、62,550百万円(前期末比3,630百万円増)となりました。流動資産は13,238百万円(前期末比2,297百万円増)、非流動資産は49,311百万円(前期末比1,333百万円増)となりました。流動資産の増加の主な要因は、現金及び現金同等物2,159百万円の増加によるものです。非流動資産の減少の主な要因は、顧客関係・技術関連資産の償却に伴うその他の無形資産405百万円の減少があったものの、投資有価証券などその他の金融資産の増加1,550百万円があったことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、27,975百万円(前期末比323百万円減)となりました。流動負債は12,752百万円(前期末比1,349百万円増)、非流動負債は15,223百万円(前期末比1,673百万円減)となりました。流動負債の増加の主な要因は、営業債務及びその他の債務424百万円の増加、契約負債611百万円の増加、賞与引当金などその他の流動負債232百万円の増加があったことによるものです。非流動負債の減少の主な要因は、本社オフィス契約更新に伴うリース負債の増加によるその他の金融負債203百万円の増加があったものの、借入金返済に伴う長期借入金1,976百万円の減少があったことによるものであります。

 

(資本)

 当連結会計年度末における資本は、34,574百万円(前期末比3,954百万円増)となりました。資本の増加の主な要因は、配当金の支払に伴う利益剰余金の減少1,479百万円があったものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上に伴う利益剰余金4,401百万円の増加、その他の資本の構成要素875百万円の増加によるものであります。

 

(3)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、11,175百万円(前期末比2,159百万円増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、6,870百万円(前年同期は6,439百万円の獲得)となりました。これは主に、法人所得税の支払額1,790百万円の計上があったものの、税引前利益5,860百万円の計上、減価償却費及び償却費1,490百万円の計上、契約負債の増減額611百万円の計上があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、1,020百万円(前年同期は532百万円の使用)となりました。これは主に、業務用パソコンや社内インフラ整備用サーバー機器の取得に伴う有形固定資産の取得による支出93百万円、社内インフラサービスID基盤構築や次期基幹システム設計などに伴う無形資産の取得による支出468百万円、投資有価証券の取得による支出414百万円を計上したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、3,730百万円(前年同期は2,084百万円の使用)となりました。これは主に、借入金の返済による支出2,000百万円、配当金の支払額1,478百万円を計上したことによるものであります。

 

 

2.生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当社グループは、ソフトウェアの販売及びサービスの提供が主体であり、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 当社グループは、ソフトウェアの販売及びサービスの提供が主体であり、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

ソリューションの名称

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

金額(百万円)

前期比(%)

帳票・文書管理ソリューション

14,354

16.3

データエンパワーメントソリューション

7,994

6.7

合計

22,349

12.7

(注)1.当社グループの事業セグメントは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしているため、ソリューション別の販売実績を記載しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日本電気株式会社

1,747

8.81

2,132

9.54

 

 

3.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表はIFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 

(2)財政状態の分析

 当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (2)財政状態の状況」を参照ください。

 

(3)経営成績の分析

 当連結会計年度における経営成績の分析につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)経営成績の状況」を参照下さい。

 

(4)キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループにおける主な資金使途は人件費、研究開発費、外注・業務委託料等の営業費用、主に社内インフラ用のソフトウェア・サーバ等の設備投資、M&Aや出資に係る投資、借入金の返済、配当の支払となっております。これらの資金需要につきましては、営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金で賄っております。

 上述のとおり、運転資金及び設備投資資金につきましては、全て自己資金で賄っておりますが、柔軟かつ安定的な流動性の確保を目的として、総額25億円のコミットメントラインを設定しております。

 

(6)目標とする指標の分析

・調整後EBITDA及び調整後親会社の所有者に帰属する当期利益

(単位:百万円)

 

2022年2月期

2023年2月期

増減

増減率

調整後EBITDA

7,314

7,163

△150

△2.1%

調整後親会社の所有者に帰属する当期利益

4,392

4,401

8

0.2%

(参考)売上収益

19,833

22,349

2,515

12.7%

 調整後EBITDAは、戦略投資に伴う費用が増加したことにより7,163百万円(前期比2.1%減)と前年を下回りました。調整後親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用の負担税率が前年から減少した影響により、4,401百万円(前期比0.2%増)と増加しております。

 

・契約継続率

 

2022年2月期

2023年2月期

増減

契約継続率

93.2%

95.6%

2.4ポイント

 契約継続率は、専任組織の強化や契約更新活動を積極的に行った結果、昨年を大きく超える水準となりました。

 

4【経営上の重要な契約等】

(株式会社三菱UFJ銀行等と締結しているタームローン契約)

 当社は2019年9月25日付で株式会社三菱UFJ銀行をエージェントとする変更後金銭消費貸借契約(2017年6月30日付金銭消費貸借契約の変更契約)(以下「タームローン契約)という。)を締結しております。当該タームローン契約の主な契約内容は、以下のとおりであります。

 

① 契約の相手先

株式会社三菱UFJ銀行、その他6社

② 借入金額

タームローンD 当初借入金額 14,000百万円

タームローンE 当初借入金額 5,250百万円

③ 返済期限

タームローンD:2026年8月末日を最終返済日とする分割返済

タームローンE:2024年8月末日に一括返済

④ 利率

TIBOR(東京銀行間取引金利)+スプレッド

スプレッドは、タームローン契約において予め定められた料率

⑤ 主な借入人の義務

イ.借入人グループ会社の決算書類を提出する義務

ロ.当該契約上の権利及び義務並びに地位は、他の当事者の書面による事前の同意なく、第三者に対して譲渡その他の移転、担保権設定その他の処分を行わないこと

ハ.財務制限条項を遵守すること

 

 当社の借入金について財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合、当社は期限の利益を喪失し、借入先の要求に基づいて借入金を一括返済する可能性があります。

 当社の借入金に付されている財務制限条項は、以下のとおりであります。

・2019年2月期以降(2019年2月期含む。)の各決算期末(いずれも直近12ヶ月)において当社グループの連結ベースで営業損益を二期連続で赤字としないこと。

・2019年2月期以降(2019年2月期含む。)の各決算期末の当社グループの連結ベース及び単体ベースでの貸借対照表上の純資産の部(但し、新株予約権、非支配株主持分及び繰延ヘッジ損益を控除する。以下、同じ。)の合計金額を、直前の各決算期末における当社グループの連結ベース及び単体ベースでの純資産の部の合計金額の75%以上に維持すること。

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、「データエンパワーメント事業」を単一の報告セグメントとしておりますので、セグメント別の記載はしておりません。

 

 当社グループは、主に企業向けソフトウェア及びサービスの開発に係る研究開発を行っており、市場の拡大や技術の進歩により多様化、高度化し、広汎な範囲にわたる顧客ニーズに応える製品を研究、開発し、提供することを基本方針としております。当連結会計年度における研究開発費は2,636百万円であります。

 

(1)研究の目的

 クラウド、ビッグデータ、IoT、AI、働き方改革といった市場の変化に対応した、当社グループ独自のソフトウェア及びサービスの開発を目的としております。

 

(2)主要な研究課題

 集計速度の向上やストリーミングデータのリアルタイム処理、紙文書の電子化、他のソフトウェア及びサービスとの連携等当社グループの事業方針を実現する上で必要となる技術開発に取り組んでおります。

 

(3)研究体制

 本社、札幌、新潟の各拠点の開発部門において、研究開発活動を行っております。

 

(4)研究成果

 研究開発活動の成果として、新機能や性能を向上させたソフトウェア及びサービスのリリースを随時行っております。