第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

わが国経済は、アフターコロナ期へ移行する過程における一部の景気押し上げ効果もあり、緩やかに回復に向かうと見込んでおります。もっとも、世界的なインフレに対する欧米での金融引き締めや長期化するウクライナ情勢、海外経済の減速による輸出の弱含み、資源価格高騰に伴う物価高の影響等によっては停滞感が強まることも考えられ、依然として先行きは不透明な状況が続くと考えております。

当社グループの事業活動においては、電力料を中心とする製造コストや物流費等が前年以上に上昇する見込みです。

このような環境の中、当社グループは3ヵ年中期経営計画「Challenge Now for Change New 2024 変革への挑戦」を経営方針とし、すべての生活空間に快適さを提供するリーディングカンパニーを目指してまいります。2023年度はこの3ヵ年中期経営計画の2年目となりますが、掲げている4つの戦略、『グローバル経営の深化とシナジー』『顧客の期待の先を行く』『新規事業/新製品への挑戦』『環境/社会課題解決への貢献』のもと、グループ全社一体となって課題解決に向けて各種施策に取り組んでまいります。

 

「グローバル経営の深化とシナジー」においては、ASEAN を重点地域とし、経営資源の重点投入により圧倒的なシェア獲得とトップシェア分野の拡大を目指します。また、各本部によるグローバル横串運営の更なる強化を行ってまいります。

「顧客の期待の先を行く」においては、お客様の要望に対して迅速にソリューションを提供する当社の強み/ビジネスモデルを、さらに強化・発展させてまいります。潜在的なお客様のニーズを先回りして予測し具現化していくための体制構築とともに、分析力・提案力を強化してまいります。また、ソリューション提供のスピードアップを実現するために研究開発設備の増強及びMI(マテリアルズインフォマティクス)の活用を行ってまいります。

「新規事業/新製品への挑戦」においては、チャレンジメーカーとしての基本理念に立ち返り、将来の収益の柱となりうる事業の構築に挑戦いたします。既存のコンパウンド技術とフイルム技術の融合を進めるとともに、昨年立ち上げた新規事業開発準備室において産学連携も含めて新規事業/新製品につながるテーマの探求を進めてまいります。

「環境/社会課題解決への貢献」においては、引き続き環境対応製品の開発・普及を通じて、サステナブルな社会の実現に貢献いたします。当社グループは、サステナビリティをめぐる課題への対応が経営の重要課題の一つであると認識し、それらを経営に取り込むことにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業価値の向上を目指してまいります。環境・化学物質に関する諸法規・諸規制を遵守するとともに、環境負荷軽減につながる製品開発と製造方法の改善に全力を挙げて取り組みます。また、サーキュラーエコノミーを目指し、グループ内で様々な施策を進めてまいります。

 

セグメント別には、「トランスポーテーション」では、ワイヤーハーネス及び自動車用成形部材分野への取り組みを強化し、拡販活動を進めてまいります。

「デイリーライフ&ヘルスケア」では、医療用、ゴム代替及び環境素材分野においてグローバル視点で販売戦略を実行してまいります。

「エレクトロニクス」では、電力・産業用電線、情報通信及び光学フィルム分野への取り組みを強化し、拡販活動を進めてまいります。

「ビルディング&コンストラクション」では、住宅・非住宅市場向けインテリアフィルム及び住宅・建築資材分野への取り組みを強化するとともに、海外での拡販を進めてまいります。

コーポレート・ガバナンスにつきましては、経営理念「リケンテクノスウェイ」を実践するとともに、グループガバナンスをさらに強化し、グループ経営の透明性、公正性を確保してまいります。

また、株主・投資家の皆様との建設的な対話を進め、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

今後、ますますグローバルに競争が激化することが予想されますが、各本部及び国内外の連結子会社が連携して各課題に取り組み、3ヵ年中期経営計画の完遂に向け全社員が一丸となって邁進してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

リケンテクノスグループ(以下、当社グループ)は、サステナビリティをめぐる課題への対応が経営の重要課題のひとつであると認識し、「環境/社会課題解決への貢献」を中期経営計画の重点戦略として掲げ、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、企業価値の向上を目指しています。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、企業を取り巻く環境が大きく変化する状況であることを踏まえ、より一層ステークホルダーの皆様からの期待を企業活動に取り入れるべく、現場と経営層をつなぐ機能として、サステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会は社長執行役員を委員長とし、経営会議のメンバーである全執行役員によって構成され、社外取締役もオブザーバーとして参加しています。経営層が主導することにより、スピードを重視した経営の意思決定と施策の実施が可能となる組織体制を構築しています。

サステナビリティ委員会はサステナビリティに係わる様々な重要課題について審議し、その審議内容を経営会議に答申・報告します。また、経営会議における審議事項は、取締役会に定期的に報告されます。

2022年度はサステナビリティ委員会を7回開催し、取締役会において2回審議を行っています。

また、サステナビリティを含むグループにおけるリスクを一元的に管理する機能としてリスク・コンプライアンス委員会を設置しています。リスク・コンプライアンス委員会は社長執行役員を委員長とし、経営会議のメンバーである全執行役員によって構成され、社外取締役もオブザーバーとして参加しています。

サステナビリティ委員会及びその下部組織である環境委員会は気候変動への対応を審議し、その審議内容を経営会議に答申・報告します。また、経営会議における気候関連の審議事項は、取締役会に定期的に報告されます。

2022年度は、サステナビリティ委員会において、主に①TCFD提言に基づいた開示と②重要課題(マテリアリティ)について審議を行いました。

①TCFD提言に基づいた開示にあたっては、以下の内容について審議し、取締役会の決議を経て2022年6月に開示を行いました。

・気候関連のシナリオ分析

・短期・中期・長期の気候関連のリスク及び機会の特定と重要度評価

・特定された重要な気候関連のリスク及び機会に対する戦略的な取り組み方針

・気候関連のリスク及び機会への具体的な対応策の検討

②長期ビジョンの実現に向けて、マテリアリティについて審議を行い、2023年3月の取締役会で決定をいたしました。

 


 

 

(2)戦略

当社グループでは、2023年3月取締役会において、下記項目をマテリアリティとして定め、そのうち特に当社グループが重要と捉える9項目についてKPIを設定し取り組みを推進します。

 


サステナビリティ委員会において、上記マテリアリティの進捗を管理しています。

 

[気候変動への対応(「持続可能な地球環境への貢献」)]

当社グループでは2100年における世界の気温上昇が2℃あるいは4℃という2つの世界観で、気候変動に伴う2030年及び2050年のシナリオ分析を実施しました。分析にあたっては、下表に示す政府機関及び研究機関で開示されているシナリオを参照しています。

世界観

分析に用いたシナリオ

2℃

Sustainable Development Scenario (SDS), IEA, 2020
Representative Concentration Pathways (RCP2.6), IPCC, 2014

4℃

Stated Policy Scenario (STEPS), IEA, 2020
Representative Concentration Pathways (RCP6.0, 8.5), IPCC, 2014

 

 

気候関連の問題及び問題への社会的な対応が、当社グループ及びそのサプライチェーン全体にどのような影響を及ぼしうるかについて、サステナビリティ委員会で審議し、気候関連のリスク及び機会を特定しています。

 

 

<リスク>

■シナリオ分析の結果、炭素税の導入など気候変動対策を進める政策手段の導入や環境に配慮した製品への開発遅れや対応の遅れにより、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

リスクの種類

リスクの概要

財務影響

対応策

2℃

4℃

移行
リスク

政策及び規制

炭素税の増加により、主要原材料やエネルギーの調達コストが上昇する

・中計戦略「環境/社会課題解決への貢献」の遂行

・再生可能エネルギー由来の電力採用

・重油から天然ガスへ転換

・原材料のGHG排出原単位監視、低炭素型原材料への転換

・生産設備のエネルギー効率の改善

移行
リスク

政策及び規制

炭素税によって従来型原材料から低炭素型原材料への代替が発生し、原材料代替のための開発コストや調達コストが発生あるいは上昇する

・中計戦略「新規事業/新製品への挑戦」「環境/社会課題解決への貢献」の遂行

・原材料の統廃合(調達リスクが高い原材料の代替)

・使用原材料の低炭素型原材料への転換

・複数購買化等

移行
リスク

技術

環境に配慮した製品の開発が遅れ、競合他社の低炭素型製品へ置き換わることで、当社製品・サービスへの需要が減少し、売上が減少する

・中計戦略「新規事業/新製品への挑戦」「環境/社会課題解決への貢献」の遂行

・環境配慮型製品※1開発への経営資源の配分増加

移行
リスク

市場

石油化学由来原材料の価格が高騰し、原材料の調達コストが上昇する

・中計戦略「新規事業/新製品への挑戦」「環境/社会課題解決への貢献」の遂行

・RIKEBIO®シリーズの開発・販売

・バイオマス原料の積極採用、利用促進、転換拡大

移行
リスク

市場

当社顧客の石油由来原材料の使用量削減、脱石油由来原材料等への転換対応に遅れをとった場合、対応が遅れた製品・サービスの需要が減少し、売上が減少する

・中計戦略「顧客の期待の先を行く」の遂行

・顧客製品の高機能化(減容/小型化)に対応した製品開発

・RIKEBIO®シリーズの開発・販売

移行
リスク

評判

環境対応の遅れにより投資家からの評価が低下し、株価が下落する

・中計戦略「環境/社会課題解決への貢献」の遂行

・環境対応の遅れや当社の評価が低下しないよう各委員会でのモニタリング実施

・ステークホルダーへの環境配慮型製品※1や環境対応状況の積極的な開示

物理的
リスク

急性

当社及びサプライチェーンが被災し、復旧までの間、事業活動の停止や縮小により売上が減少する、また復旧及び対策コストが増加する

・中計戦略「グローバル経営の深化とシナジー」の遂行

・グローバルな製造・発注管理

・グローバル拠点含めたBCP体制の強化と代替生産、供給体制の充実

物理的
リスク

慢性

降雨パターン・気象パターンの極端な変動による河川の氾濫、海面の上昇による高潮の発生増加により、海や河川の近隣にある当社建屋への対策コストが増加する

・中計戦略「環境/社会課題解決への貢献」の遂行

・被災リスクの正当な評価と事前対策の実施

 

※1RIKEBIO®を含むサーキュラーエコノミー対応製品など。 RIKEBIO®=バイオマス原料を使用している製品

 

 

<機会>

■シナリオ分析の結果、省エネ貢献商品の開発、低炭素型製品や機能付与した素材の提供などが、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

機会の種類

機会の概要

財務影響

対応策

2℃

4℃

エネルギー源

市場における省エネ貢献商品の開発、再生可能エネルギーの発電技術や機器の普及により、関連する当社製品の売上が増加する

・中計戦略「顧客の期待の先を行く」「環境/社会課題解決への貢献」の遂行

・顧客のニーズに合わせた気候変動に対応した製品※2の拡販

製品及び
サービス

低炭素型製品の需要増加に伴い、機能付与した素材、石油由来成分の少ない製品(低炭素型製品)の開発・販売により、当社製品の需要及び売上が増加する

・中計戦略「顧客の期待の先を行く」「環境/社会課題解決への貢献」の遂行

・当社製品のリサイクル推進

・環境配慮型製品※1の開発

・RIKEBIO®シリーズの開発・販売

評判

気候変動対応への積極的な取り組みにより、ステークホルダーの信頼を獲得し、企業価値の向上につながる

・中計戦略「環境/社会課題解決への貢献」の遂行

・当社環境対応に関する開示内容の充実

レジリエンス

当社拠点のグローバル展開により、自然災害が増加する環境下においても顧客へ製品を安定的に供給するレジリエンスが向上し、売上の減少を防ぐと共に顧客の信頼を獲得することで売上の増加につながる

・中計戦略「グローバル経営の深化とシナジー」の遂行

・当社グローバル拠点を活用した原材料調達力、BCP体制の更なる強化

 

※1RIKEBIO®を含むサーキュラーエコノミー対応製品など  RIKEBIO®=バイオマス原料を使用している製品

※2材料の機能が省エネルギーに繋がる製品

 

 

[人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略(チャレンジメーカーに相応しい人材の育成)]

当社グループの3ヵ年中期経営計画の4つの戦略のうち、3つの戦略の実行に必要な人材を確保・育成することが最重要と考え、各種施策に取組んでいます。

中期経営計画の戦略

戦略実行に必要な人材

グローバル経営の深化とシナジー

グローバル事業戦略を遂行できる人材

顧客の期待の先を行く

分析能力・戦略視点を持った人材

新規事業/新製品への挑戦

多様な視点を持った人材

 

 

・人材育成方針

社員と会社はともに成長する関係にあり、「人の成長こそ企業の成長」です。

①社員一人ひとりが「リケンテクノス ウェイ」を実践しながら会社の求める人材像に適った人材へと成長し、②個の能力を組織の力として束ねて発揮させることにより、同時に会社も成長していくことを人材育成の方針とします。

 

会社は、社員一人ひとりが会社の「求める力」を発揮できる最適な仕事、環境の「場」を提供すると共に、グローバル競争に打ち克つ人材育成(投資)を積極的に行い、社員の「成長」と「活躍」を応援します。高められた個の能力を対話によって結集しチームで総合力を発揮することで、更なる会社の発展につなげていきます。

 

社内に不足する知識、見識、能力、キャリアがあって育成だけでは補うことができない場合は、中途採用も交えてそれらを補完し、社内の活性化や当社の成長につなげていきます。

社員一人ひとりが経営理念である「リケンテクノス ウェイ」を自発的に実践していくことが全てにおいての基本であると考え、会社はそのための環境の整備に責任を負います。 

 

・社内環境整備方針

グローバル企業を目指す当社として、多様な個性を持つ社員が活き活きと働くことができる体制の整備・雰囲気の醸成を行うことを環境整備上の方針とします。

 

多様な人材がその個性を生かしながらのびのびとエネルギッシュに、持てる力を仕事に全力で投入できる仕組みや雰囲気をつくり、多様な働き方の実現をしていきます。

 

 

(3)リスク管理

リスク管理にあたっては、 リケンテクノスウェイの実践、 企業行動規範の遵守、経営の健全性確保、安定的な事業継続、人命優先、コンプライアンス精神の浸透並びにステークホルダーの利益阻害要素の除去・軽減を図る観点で行うことを基本方針としています。

 

2022年4月に設置したリスク・コンプライアンス委員会においてグループ全体のリスクの洗い出し/評価を行ない、重点対策リスクとして特定した課題を中心にリスク対応策への取り組みを実施しています。

各部門に関する個別のリスク管理は各部門が行ない、リスク・コンプライアンス委員会は連結子会社を含むグループを取り巻くリスクを一元的・統括的に管理しています。

 

[気候変動への対応(「持続可能な地球環境への貢献」)]

気候変動関連リスクについては、サステナビリティ委員会及びリスク・コンプライアンス委員会を中心にリスクの回避、軽減、コントロールに関する方針の策定や対応策の立案などを実施し、取締役会での決議を経て、グループ全体を通じたリスクマネジメントを行っています。また、対応策の実施状況及びその効果についてモニタリングを実施しています。

 

 

(4)指標及び目標

マテリアリティ及びKPI

マテリアリティ名称

評価の基準(KPI)

中長期目標

2024年度

2030年度

持続可能な地球環境への貢献

・2030年排出量削減目標値の達成(単体)

35,446t

24,139t

(2019年度比46.2%減)

・2050年カーボンニュートラル(グループ)

・総廃棄物量の総生産量比(単体)

3.3%以下

3.0%以下

健康経営・労働安全衛生の
推進

・休業労災発生件数(国内)

0件

0件

・特定検診実施率(国内)

90%

90%

・特定保健指導実施率(国内)

55%

60%

チャレンジメーカーに相応しい人材の育成

・一人当たりの育成費用(単体)

117千円

140千円

品質向上と製品安全の確保

・市場回収を伴う重大品質事故(単体)

0件

0件

・化学物質の使用に関する法令遵守・
重大法令違反(単体)

0件

0件

新規事業・新製品の創出

・特許出願件数(単体)

(累計) 45件

(2022~2024年度)

(累計) 210件

(2022~2030年度)

・外部機関との協業件数(単体)

(累計) 10件

(2022~2024年度)

(累計) 35件

(2022~2024年度)

生産技術・生産効率の向上

・生産キャパシティ(単体)

(2021年度比)+10%

(2021年度比)+33%

DXによる事業変革

・MI人材の育成(単体)

9人

20人

・全従業員へのDX教育の実施(単体)

受講率100%

受講率100%

人権の尊重

・全従業員への人権・コンプライアンス研修の実施(国内)

受講率100%

受講率100%

・仕入先への「ESGに関するアンケート」の実施(単体)

1回/年

1回/年

ステークホルダーとの対話

・投資家、既存株主との面談実施(単体)

140社以上/年

200社以上/年

・顧客、取引先への顧客満足度調査の実施(単体)

1回/年

1回/年

 

 

[気候変動への対応(「持続可能な地球環境への貢献」)]

温室効果ガスの排出は、グループ全体の財務におけるリスク要因となるか、あるいは、脱炭素社会に受け入れられる製品を開発することにより、ビジネスチャンスにもつながります。当社ではグループ全体におけるCO2排出量の削減に向けた中長期の排出量削減目標を設定するとともに、削減に向けた具体的な取り組みを計画し、指標も設定して取り組みの進捗を管理しています。

 

2022年度におけるリケンテクノスグループのScope1,2,3排出量

Scope1,2排出量 :当社単体 41,139 t、当社グループ 86,220 t(当社単体+関係会社)

Scope3 カテゴリ1(購入原材料※)に該当する排出量:当社グループ 701,748 t

※調達量の8割弱に相当する主要原材料から算出

 


 

リケンテクノスグループの中長期CO2排出量の削減目標

当社単体での2030年の目標値(Scope1 ,2) 24,139 t (2019年度比46.2%減)

 ※(2019年度 基準値44,868 t )

当社グループ全体で「2050年カーボンニュートラル」を目指してまいります。

 


 

 

3 【事業等のリスク】

(1) 当社のリスクマネジメント体制

当社グループでは、リスクマネジメントの実効性を高めるとともにコンプライアンスの更なる向上を図るため、リスク・コンプライアンス委員会においてグループを取り巻くリスクを一元的に管理しています。リスク・コンプライアンス委員会では、グループ全体のリスクの洗い出しと分析・評価に加え、重要リスクの把握および重点対策リスクの特定、ならびにその対応策の策定を行っています。また、半期ごとにリスク対応策の進捗状況の確認と見直しを行い、必要に応じて関係各部門に対して改善指示を行うなど、グループ全体の総合的なリスク管理を行っています。

 

リスクマネジメント体制


 

(2) 当社のリスクマネジメントの運用状況

  重要リスクの特定プロセス

当社では、期初に各本部・連結子会社において個別にリスク一覧を策定し、各リスクの発生可能性、影響度、対応状況を評価し、現存リスクの評価をおこなっています。リスク・コンプライアンス委員会がそれらを統合・評価した上で、グループ全体の重要リスクの把握と重点対策リスクの特定を実施し、その内容および選定プロセスについて取締役会で決議しています。

また、グループ・ガバナンス(内部統制)強化のため、網羅的・横断的にグループ全体のリスクの把握とその対応策実施状況および進捗の確認、リスク対応策の見直し・改善のPDCAサイクルを回し、グループ全体で一貫したリスクマネジメントを実施しています。

 

 

(3) 事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

 ① 当社グループにおける重点対策リスクおよび対策

重点対策リスク

リスクの概要

対策の概要

1

自然災害・
感染症の流行

・大規模な自然災害や感染症のまん延等により、事業活動に支障が生じるとともに、本邦・世界経済の大幅な減速により、財務状況に悪影響が生じるリスク

・自然災害・感染症のまん延等のリスク発生時の具体的な対応体制の確立

・リスク発生に備えた計画策定

2

システムダウン・情報漏洩

・サイバー攻撃等によるシステムダウンや情報漏洩により社会的信用が失墜するリスク

・ITセキュリティ強化、ITリテラシー教育の推進

・事故発生時の対応体制確立

3

環境事故

 

・民家に隣接する工場における環境事故等への対応の遅れにより、工場の操業継続が困難になるリスク

・環境問題(臭気、騒音、振動)への対応

4

設備の老朽化

・設備故障による生産停止のリスク

・設備部品が調達できず修理が困難になるリスク

・中長期設備更新計画および設備故障対策の立案

 

5

環境問題への対応遅れ

・環境関連の法規制対応に不備が生じるリスク

・環境問題への対応の遅れによる競争優位性低下のリスク

・化学物質管理システムの改善

・CO2削減計画の再評価

6

物流コスト上昇・物流遅延

・物流2024年問題等のドライバー不足による配送コスト上昇のリスク

・配送回数の削減により納期対応が困難になるリスク

・配送拠点、配送方法の見直し

 

 

 ② 重点対策リスク以外に当社が認識している主要なリスク

a. 技術革新および顧客ニーズへの対応について

当社グループが事業を展開する合成樹脂加工等の市場は、急速な技術変化と技術革新および顧客ニーズの変化に対応する新商品・サービスの提供の必要性を特徴としています。新技術の開発とその製品化および新製品・サービスの提供により、既存の製品・サービスは陳腐化または市場性を失う傾向があります。

当社グループは、常に技術と顧客ニーズの急速な変化を的確に把握し、それに対応した製品・サービスのマーケティングを行っていますが、かかる製品・サービスを常に提供することができるという保証はありません。当社グループがこれら新技術のトレンドの把握、顧客ニーズの予測や対応を誤った場合、当社グループの事業、業績および業務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

b. 資材等の調達について

当社グループの生産活動には、原材料、原反、製造装置等の設備、貯蔵品、その他の供給品のタイムリーな納入が必要です。当社グループの購入する原材料等には特殊なものがあるため、その中には、仕入先や供給品の切り替えが困難なものや、特定の仕入先からしか入手できないものもあります。当社グループは、当社グループが使用する原材料、原反、設備、その他の供給品が現在十分に確保されているものと認識しておりますが、供給の遅延・中断や業界内の需要増加、調達先の統合、倒産、廃業等があった場合、必要不可欠な原材料等の供給不足が生じる場合があります。これらの原因等により、当社グループが供給品を機動的に調達できない場合や、供給品の調達のために極めて多額の資金の支払が必要となる場合には、当社グループの業績が悪化する可能性があります。また、欠陥のある原材料、原反、設備、その他の供給品は、当社グループの製品の信頼性および評判に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

c. 海外市場での事業拡大に伴うリスクについて

当社グループは海外市場での事業拡大を戦略の一つとしています。当社グループの海外における生産および販売活動の大部分は、米国や東南アジアおよび中国市場です。これらの海外における事業活動においては、政治経済情勢の悪化、輸出入および外貨の規制、予期しない法令の変更、テロ・戦争、その他の要因による社会的混乱、疫病の発生、人材および技術の流出など、当社グループの事業活動を阻害するリスクがあり、当社グループの業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

d. 製品の欠陥について

当社グループは、世界的に認められている品質基準に従って製品を製造しています。しかし、全ての製品について全く欠陥がなく、製造物責任を負うこともなく、リコールが発生しないという保証はありません。また、保険によってこれらに起因する費用の全てを賄える保証もありません。大規模なリコールや多額の製造物責任賠償を負担することにより、当社グループの業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

e. 原材料価格の大幅な変動による採算性悪化について

当社グループは、原油から精製されるナフサ由来のエチレン、プロピレン等の石化基礎製品から作られる誘導品を主原材料としているため、その原材料価格は原油価格の変動の影響を大きく受けることになります。原油価格は、全世界的な需給バランスのほか戦争、テロ、投機的な動き等予期せざる様々な原因により、乱高下を繰り返しており、今後もこの傾向は続くことが予想されます。また、植物由来の一部原材料では、地球温暖化等気候変動の影響を受けることが予想されます。原材料価格の変動を適時に製品価格に反映できない場合やコスト削減等により吸収できない場合等には、当社グループの業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

f. 外国為替相場の変動について

当社グループの事業には、海外における製品の生産・販売が含まれています。海外現地法人において、現地通貨で取引されている収支の各項目は、連結財務諸表を作成する際に円に換算されるため、結果として換算する時点での外国為替の変動に影響される可能性があります。また、為替相場の変動は、当社グループが現地で販売する製品の価格や、当社グループの現地生産品の製造・調達コストに影響を及ぼす可能性があり、現地市場の競争力や国内における販売価格にも影響をもたらす可能性があります。

 

g. 方針の不徹底、人材確保について

当社グループの企業理念や会社方針が十分に浸透せず、また、当社グループの事業戦略を遂行できる人材が流出したり確保できない場合、当社グループの競争力・収益力が想定されたように成長せず、当社グループの業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ各社および関連部門において従業員同士のコミュニケーションに不足が発生した場合、業務遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

h. 労働災害・事故に関するリスクについて

当社グループでは、労働環境の維持・向上が経営戦略に重要な影響を及ぼすと認識し、働きやすい職場環境や職場の安全の維持・向上に努めています。しかしながら、当社グループにおいて重篤な労働災害、火災事故などの不測の事態が発生し、生産活動が停止した場合は、当社グループの業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

i. 法令違反・訴訟に関するリスクについて

当社グループの取締役、執行役員、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、将来において予期せぬトラブルや訴訟等が発生する可能性があります。かかる訴訟が発生した場合には、その内容や金額によって、当社グループの業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業の生産活動の一部に弱さがみられたものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい行動制限が徐々に緩和されたことにより、個人消費が緩やかに回復し、総じて持ち直しの動きとなりました。

海外では、新型コロナウイルス感染症の再拡大により一部地域での足踏みがみられたものの、経済活動が徐々に回復し、全体としては緩やかな持ち直しの動きが続きました。

産業別では、自動車市場は自動車生産台数がグローバルで回復し、国内の建材市場は住宅着工件数が弱含みで推移し、国内の家電市場は堅調に推移しました。

このような環境の中、当社グループは中期経営計画「Challenge Now for Change New 2024 変革への挑戦」の初年度として、「グローバル経営の深化とシナジー」「顧客の期待の先を行く」「新規事業/新製品への挑戦」「環境/社会課題解決への貢献」の4つの戦略の具体的な取り組みを行ってまいりました。

その結果、連結売上高は123,497百万円、前連結会計年度比(以下「前年同期比」)12.3%増加連結営業利益は7,506百万円(前年同期比19.3%増加)、連結経常利益は7,964百万円(前年同期比15.6%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,557百万円(前年同期比15.6%増加)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

 <トランスポーテーション>

自動車生産が国内・海外で回復し、原材料価格高騰に伴う製品価格への転嫁もあり、増収となりました。

セグメント利益につきましては、国内・海外での販売が増加したことにより、増益となりました。

その結果、売上高は38,090百万円(前年同期比17.4%増)、セグメント利益は3,858百万円(前年同期比40.9%増)となりました。

 

 <デイリーライフ&ヘルスケア>

国内では、新型コロナウイルス感染症の影響から回復傾向にあり、医療・生活資材市場向けコンパウンドの拡販により、増収となりました。

海外では、新型コロナウイルス感染症の影響から回復し、ASEANでの医療市場向けコンパウンドの販売が増加し、増収となりました。

セグメント利益につきましては、食品包材における原材料価格高騰分の価格転嫁が遅れ、減益となりました。

その結果、売上高は33,492百万円(前年同期比9.1%増)、セグメント利益は1,477百万円(前年同期比20.4%減)となりました。

 

 

 <エレクトロニクス>

国内では、電力・産業電線・情報通信向け塩ビコンパウンドの販売が増加し、増収となりました。

海外では、米国、ASEANでの塩ビコンパウンドの販売が増加し、増収となりました。

セグメント利益につきましては、国内および海外での販売が増加したことにより、増益となりました。

その結果、売上高は24,626百万円(前年同期比14.6%増)、セグメント利益は996百万円(前年同期比127.0%増)となりました。

 

 <ビルディング&コンストラクション>

国内では、住宅着工件数は横ばいでありましたが、政府の「住宅省エネ2023キャンペーン」により樹脂サッシ用塩ビコンパウンドの販売が増加し、増収となりました。

海外では、北米での塩ビコンパウンドの販売が進み、増収となりました。

セグメント利益につきましては、国内のフィルム販売減少と原材料価格高騰分の価格転嫁の遅れにより、減益となりました。

その結果、売上高は27,186百万円(前年同期比8.1%増)、セグメント利益は1,050百万円(前年同期比7.1%減)となりました。

 

当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金、売掛金等の売上債権の流動資産が6,549百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ9,361百万円増加し、112,002百万円となりました。

負債は、支払手形及び買掛金、短期借入金等の流動負債が2,466百万円増加、繰延税金負債等の固定負債が177百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ2,644百万円増加し、39,837百万円となりました。

純資産は、利益剰余金等の株主資本が3,322百万円増加し、為替換算調整勘定等のその他の包括利益累計額が2,111百万円増加し、非支配株主持分が1,282百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ6,716百万円増加し、72,165百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2,777百万円増加し、23,454百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度に比べ3,951百万円増加し、8,524百万円でした。その主な内容は、税金等調整前当期純利益7,962百万円、減価償却費3,597百万円、仕入債務の増加94百万円等による資金の増加、売上債権の増加1,117百万円、棚卸資産の増加128百万円、法人税等の支払1,697百万円等による資金の減少であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ1,516百万円増加し、3,955百万円でした。その主な内容は、有形固定資産の取得による支出3,675百万円、無形固定資産の取得による支出311百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ610百万円減少し、2,335百万円でした。その主な内容は、短期借入金の純増額557百万円、長期借入金の返済による支出617百万円、配当金の支払額(非支配株主への配当を含む)2,256百万円等による資金の支払であります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

トランスポーテーション(千円)

36,970,753

117.3

デイリーライフ&ヘルスケア(千円)

34,436,918

120.0

エレクトロニクス(千円)

23,001,835

114.9

ビルディング&コンストラクション(千円)

24,320,137

114.3

 報告セグメント計(千円)

118,729,644

117.0

その他(千円)

4,387

57.7

合計(千円)

118,734,032

117.0

 

(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b. 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

トランスポーテーション

38,134,766

116.2

2,644,019

109.2

デイリーライフ&ヘルスケア

34,015,818

111.1

1,917,625

148.0

エレクトロニクス

24,878,960

113.4

3,211,022

110.3

ビルディング&コンストラクション

27,888,200

110.7

2,763,765

135.7

 報告セグメント計

124,917,745

113.0

10,536,432

121.6

その他

108,174

84.3

7,633

407.9

合計

125,025,920

112.9

10,544,065

121.6

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

トランスポーテーション(千円)

38,090,253

117.4

デイリーライフ&ヘルスケア(千円)

33,492,275

109.1

エレクトロニクス(千円)

24,626,546

114.6

ビルディング&コンストラクション(千円)

27,186,503

108.1

 報告セグメント計(千円)

123,395,578

112.4

その他(千円)

102,412

78.8

合計(千円)

123,497,991

112.3

 

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

売上高

当連結会計年度の売上高は、123,497百万円、前連結会計年度比13,574百万円(12.3%)の増加となりました。国内での住宅・建築資材用塩ビコンパウンド、ASEANでの自動車及び医療用コンパウンド、国内外での電力・産業用電線用塩ビコンパウンドの販売がそれぞれ増加したこと及び、原材料価格上昇分の製品価格への転嫁が進み、また、円安の影響もあり増収となりました。

 

売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比12,137百万円(13.3%)増加し103,146百万円となりました。主な要因は、原材料価格高騰によるものです。また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比222百万円(1.8%)増加し12,845百万円となりました。主な増加要因は、研究開発費、減価償却費等の増加によるものです。

その結果、営業利益は、前連結会計年度比1,214百万円(19.3%)増加し7,506百万円となりました。

 

営業外損益

当連結会計年度における営業外収益は、為替差益等により、前連結会計年度比103百万円(13.1%)減少686百万円となり、営業外費用は、支払利息等により前連結会計年度比34百万円(18.0%)増加227百万円となりました。

 

経常利益

当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度比1,075百万円(15.6%)増加7,964百万円となりました。

 

特別損益

当連結会計年度における特別利益は、投資有価証券売却益等の減少により、前連結会計年度比96百万円減少の10百万円となりました。

また、当連結会計年度における特別損失は、減損損失等の減少により、前連結会計年度比507百万円減少の13百万円となりました。

 

税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比1,486百万円(23.0%)増加7,962百万円となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比616百万円(15.6%)増加4,557百万円となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加、棚卸資産の増加額減少により、前連結会計年度比で増加しております。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に製造設備への投資となりますが、事業計画に基づいており、その投資額につきましては適切であると認識しております。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加等により、前連結会計年度比で支出が減少しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析につきましては、次のとおりであります。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資やその他の投資資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 当社グループは、中長期的に安定した成長のため製造設備への投資が必要となりますが、投資額については適切に管理されており、資金の流動性に問題はないと認識しております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は10,577百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は23,454百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

4月から中期経営計画の2年目が始まりました。当社の基盤技術は「処方設計技術」「コンパウンド生産技術」「フィルム製膜技術」「フィルム加工技術」の4つの技術と考えます。中期経営計画では、もう一度基本に立ち返りものづくりに徹していくことが重要と考え、技術本部方針としてこの「基盤技術を強化しイノベーションを創出する」「カスタマーディライト商品のスピード開発」「DXを活用した、開発スタイルに転換」を掲げるとともに、それに対応した組織体制を見直しました。

今期は、中期経営計画で策定している研究拠点である研究開発センターの環境整備などハード面の充実を図ってきました。コンパウンド、フィルム技術の更なる深化のため、研究開発センター東京1号館、2号館、3号館の本格運用を目指して3号館のリフォームを実施。3号館にフィルム試作機を導入し、コンパウンドで開発した材料をフィルム、シートにしてサンプルワークが出来る体制を目指します。また、埼玉にフィルム加工用コーター試作機を改造し導入し、コーティング、粘着加工生産技術の向上とサンプルワークの迅速化を図りたいと考えています。また、今期には2号館にゴム代替TPVコンパウンド開発のための混練機を含めた新しいTPV 生産のためのパイロットラインを完成させてあらゆるゴムをTPV化していきます。また、開発したゴム代替コンパウンドをゴムシート代替として上市していきたいと考えています。このパイロットラインでしっかり生産技術を磨き将来実機導入ラインの研究に努めたいと考えています。これは、当社の基盤技術研究部を中心に進めています。

コンパウンド、フィルム処方設計技術統合を目的に組織改造:カレンダー、食品包材配合・製膜技術担当するグループを東京に新設し処方設計技術に長けたコンパウンド開発部隊に統合しました。それにより、フィルム配合自体、孤立した環境で処方設計の視野が狭くなり、コンパウンドの進んだ処方設計技術との互換性を失い孤立して取り残される危険性を危惧したこともあり当社の基盤技術である処方設計技術を統合していく目的で進めました。

知財戦略強化、オープンイノベーションの実行については、サステナビリティやESG(環境、社会、ガバナンス)の推進など、昨今の社会変化に対応していくためには、多面的な視点から経営戦略を策定することが不可欠です。そこには、知財情報活用であるIPランドスケープが有効であり、今年6月に改訂された、コーポレートガバナンス・コードに初めて「知的財産」についての項目が追加されたこともあり、自社の経営課題に対して知財がどう貢献しているのかを適切に開示する必要が出てきます。当社も取締役会において知財部所属の弁理士によるフィルム事業において当社の保有する知的財産、他社保有の知的財産から勘案した事業方針についての提言を行いました。

オープンイノベーションについては、3つの大学と1つの研究機関と開発を進めています。今年に新しく進めたものは、TLO(技術移転機関)を使い共同研究機関(大学)の選定とテーマ化まで進めました。

今期は、整ってきたハード面を使いこなすために、ソフト面の充実を図っていきたいと考えています。その一つは、MI(マテリアルズインフォマティックス)の導入です。

製品のライフサイクルはどんどん短くなり、かつ顧客の要求はますます多様化して、複雑なものになっています。多様化が進み「実験至上主義」的な方法では材料開発のスピードが追いつきません。データ駆動型の研究開発を行って効率化・高速化を図らないとダメだと考えマテリアルズインフォマティックス(MI)の導入を実施しました。現在、基礎研究テーマで進めていますがその効果と有効性は将来の研究開発の進め方の主軸になると確信しています。

MIの利点は大きく2つあります。1つは、実験回数を減らし、データ駆動で埋められるので、より早く最適解にたどり着けることです。要は、開発時間の短縮です。

もう1つは、未知の領域に飛び込めるチャンスを与えてくれることです。多くの人がそうであるように、研究者も過去の実験や知見などから構築した思考領域を持っており、基本的にその範囲内でしか考えが及びません。自分が持つ思考領域から外れた所にあるアイデアは、なかなか思い浮かばないものです。これに対し、MIを使うと、狭い思考領域から解き放たれて未知の新しい領域を切り開ける可能性があるのです。つまり、研究者の想像を超えた最適解にたどり着くことができ、従来にない画期的な材料を生み出せるチャンスがあるというのが、MIのもう1つの利点であります。

 

顧客が望むのは常に新しいもの、すなわちデータベースの外側にある要求です。その要求が、データベースからちょっとだけ外れたものであれば、内側のデータを使ってMIで立てた予測式でも解を出せます。しかし、ずば抜けて違う要求にはやはり解を出せません。最終的には研究者がその解を決めることに変わりありません。

次は、カーボンニュートラル、サーキュラエコノミー等に対応した製品の創出です。脱炭素社会へ移行するために市場が大きく変化することが想定されます。当社は、プラスチック加工メーカーとしてこのような気候変動による社会的・経済的影響について、重要な経営課題と認識し、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を2022年6月に表明しました。TCFDの提言に従い、積極的な情報開示に努めていきたいと考えています。このようにプラスチックを取り巻く環境は大きな変革を求められている中、2019年バイオマスプラスチックであるRIKEBIO、今年、天然素材(茶殻、もみ殻、貝殻など)を練り込んだNatural RIKEBIOを開発しており、お客様と共同で用途開発などを進めており実績も出てきています。また、合成ゴムに比べ省エネルギー素材、CO2排出量が圧倒的に削減できる熱可塑性エラストマーを合成ゴム代替として普及させることがRIKEBIOの拡販と共にこれからの大きな課題となります。また、この環境問題は当社にとって単なる『制約条件』だけでなく、攻めに転じることができる『挑戦機会』にもなります。ただし、いくら素材が環境に良くても、選ばれなければ環境負荷を抑えることはできません。多くのひとに選ばれるためには、お客様にとって有用で手が届くものを意識して開発を進めています。

 

当連結会計年度の成果として、

 

コンパウンド関係

 1.「リケガード」(抗菌・抗ウイルス・防虫)に新シリーズ消臭、抗アレルゲンコンパウンドの開発

 2.完全架橋エラストマーである「アクティマーG」の自動車部品への販売拡大

 3.高耐熱・柔軟EV車用充電ケーブルの販売拡大

 4.バイオマス材料である「RIKEBIO」、「Natural RIKEBIO」上市

 5.自動車用グラスランチャンネル部材の全日系車への採用拡大

 6.人肌に馴染む柔軟素材「LEOSTOMER FT」の上市

 7.非Pb非Sn系射出用硬質PVC材料の上市

 8.ACSの脱Sn材料の上市

 9.医療用TPE材の採用拡大

等で開発が進み、一部流動することができました。研究開発費は、1,025百万円であります。

 

フィルム関係

 1.「リケガード」(抗菌・抗ウイルス・防虫)フィルムの採用拡大

 2.各種塗装代替フィルムの開発

 3.建装材用意匠性フィルムの流動

 4.医薬品包装用フィルムの流動

 5.高耐湿・高耐熱性FFC用フィルムの流動

 6.ガラス代替フィルム「REPTY DC100」の製品化展開

 7.遮熱ウィンドウ用フィルム「ICE-μ」の展開拡大

 8.バイオマスフィルムである「RIKEBIO」フィルムの開発

等で開発が進み、一部の製品を流動できました。研究開発費は、518百万円であります。

 

 

食品包材関係

 1.自動包装機メーカー向け純正ノンストレッチPVCラップフィルムの販売拡大

 2.食品包材の海外拡販検討

 3.食品スーパーマーケット・バックヤード向け小型包装機用PVCラップフィルムの開発と採用

 4.業界団体とのコラボレーションによるPVCラップフィルムの広報活動

 5.製膜加工機における混練技術の基礎研究

 6.バイオマスラップ ボタニカルラップ上市

 7.鮮度保持フィルムの開発

等の活動に要した研究開発費は、87百万円であります。