第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、2021年度に長期経営構想の見直しと中期経営計画「Accelerate Growth 2023」の策定を行うにあたり、YOKOGAWAのIdentityを以下のとおり整理しました。創業の精神と、それを受け継いだ企業理念は、社会におけるYOKOGAWAの在り方を示すものです。Vision statementは、10年先を見据えてYOKOGAWAが何をしていくかを示し、共有する価値観は行動をするうえでの指針を示しています。Yokogawa’s Purposeは、それら全てを踏まえ、YOKOGAWAが存在する意義を、意思を込めたコミットメント(公約)として示しています。

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[創業の精神]

創業にあたり、横河民輔は、日本の計測業界の先駆者として歩み始めた横河一郎(後の初代社長)と青木晋(後の初代技師長)に、「君たちは、この仕事でもうけようなどと考える必要はない。それよりもまず、技術を覚え、技術をみがくことだ。横河電機の製品はさすがに良い、といわれるようにしてもらいたい」と語りました。この言葉は創業の精神として今日まで受け継がれています。

[企業理念]

創業の精神を受け継ぎ1988年に制定された企業理念は、社会に向けてのYOKOGAWAの使命とYOKOGAWA人の価値基準や行動指針を表した、YOKOGAWAの決意表明です。Yokogawa’s Purposeの制定を機に、「より豊かな人間社会」にとどまらず、広く地球環境へのYOKOGAWAの貢献を示すために、「持続可能な社会」に変更されました。

[Yokogawa’s Purpose]

お客様、市場、社会からの要望や期待に応えるYOKOGAWAのコミットメントであり、社会に存在することの意義を表したものです。同時に組織としての求心力を高め、グループ全社員の変革への志を喚起します。

[共有する価値観]

企業文化や風土を醸成し継承していくうえで、YOKOGAWA社員一人ひとりが「大切にすべき」行動の指針と意志をより具体的に示したものです。共有する価値観に根差した行動は新たな価値の創造を実現し、他社との差別化力、競争力をもって社会に貢献し続けるための原動力となります。

[Vision statement]

長期経営構想で描くYOKOGAWAの10年後のありたい姿、企業としての理想を端的に示したものです。2015年に発表した中期経営計画「Transformation 2017」策定時に定めたVision statementを置き換えるものとして新たに制定されました。

 

(2) 中長期的な経営戦略

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長期経営構想と中期経営計画の全体像

 

[長期経営構想]

当社は2015年度の中期経営計画「Transformation 2017」策定時に、10年先のありたい姿とその実現に向けた考え方を長期経営構想として定め、「Transformation 2017」の次の中期経営計画「Transformation 2020」策定時に、一部内容を見直しました。今回の中期経営計画「Accelerate Growth 2023」の策定にあたっては、改めて10年後に考えられる大きな環境変化を鑑み、社会共通価値の提供を通じた持続的な成長を目指すために抜本的な見直しを行いました。

<Vision statement>

 10年後のYOKOGAWAのありたい姿を端的に表現したVision statementを以下に変更しました。

 YOKOGAWAは、自律と共生によって持続的な価値を創造し、

 社会課題の解決をリードしていきます。

<お客様への提供価値>

 世界は今、あらゆるものが複雑につながり合う時代となっています。運用や管理に独立性のあるシステムが連携し、単独では実現できない目的をシステム全体として実現する「System of Systems(SoS)」が進む世界において、当社は、効果的な「つながり」を進め、統合化・自律化・デジタル化による「全体最適」の価値を生み出していきます。当社は「IA2IA※1」と「Smart Manufacturing※2」によるアプローチでこれを実現し、社会全体が「SoS」となる世界をリードするインテグレーターになることを目指します。

(※1) IA2IA(Industrial Automation to Industrial Autonomy)

 ロボティックスやブロックチェーンなどのDX(デジタルトランスフォーメーション)トレンドを取り込み、Industrial Automation(自動)からIndustrial Autonomy(自律)へと進化させる活動です。

(※2) Smart Manufacturing

 DX(デジタルトランスフォーメーション)やIA2IAによって生産現場、エンタープライズ、及びサプライチェーンにおける自律を実現し、革新的な生産性向上を達成することです。

<事業セグメント>

 事業環境の変化を踏まえ、YOKOGAWAが磨き上げてきた技術・ノウハウや強みを生かせる事業領域を成長させていくために、従来の製品・機能別組織から業種軸の組織に再編し、ビジネス拡大とソリューションビジネスへの転換のスピードアップを図っています。

● エネルギー&サステナビリティ

 多様化するエネルギーの生産・供給・利用・廃棄・リサイクルのバリューチェーン全体にわたり安全かつ最適な運用を支えていきます。

● マテリアル

 素材産業のお客様との強固な関係を生かして変革に貢献するとともに、環境対策、エネルギーマネジメント、開発・生産へのデジタル技術活用などの強みを生かし、快適さとサステナビリティを両立させる社会を支えていきます。また、自らがマテリアルを生産し市場を開拓する事業にも展開していきます。

● ライフ

 人々の命と健康を守る医薬、誰もが安心して口にできる安全な水と食料の供給に貢献します。前中期経営計画で医薬品・食品産業のバリューチェーン全体の生産性向上に寄与するために立ち上げた、ライフイノベーション事業の取り組みを強化していきます。

 

 測定器事業、新事業他(横河バイオフロンティア株式会社、アムニモ株式会社など)は、製品や商流の特性などから、独立した事業運営を維持する必要があるためセグメントを分けていますが、10年後の提供価値についての方向性は共有していきます。

 

※ あるべき姿として描いた業種別の事業セグメントは上記のとおりですが、2021年度より制御事業のサブセグメントとしての位置づけで「エネルギー&サステナビリティ事業」「マテリアル事業」「ライフ事業」に関する情報開示を充実させてきています。

 

[中期経営計画 「Accelerate Growth 2023」]

長期経営構想で定めた10年後のありたい姿を実現するために、2023年までの3年間で取り組むべきこととして、4つの基本戦略とその重点施策を策定しました。それぞれの基本戦略の概要は以下のとおりです。

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「Accelerate Growth 2023」の4つの基本戦略

 

● IA2IA/Smart Manufacturingの実行と存在価値の変革

 IA2IAの構想を実行フェーズに移行します。また、Smart Manufacturingの鍵となる上位系基幹システムビジネスのグローバル展開を図っていきます。

 

● 業種対応力の強化と非業種依存のビジネス拡大

 変わりゆくエネルギー産業のお客様に新しい価値を提供しつつ、多種多様なお客様に価値を提供していきます。

 

● 収益性の確保と健全な成長

 販管費率の改善など健全な収益構造に向けて、一層の改善を図っていきます。

 

● 社内オペレーションの最適化とマインドセットの変革

 グループ構造や機能の最適化と変革に向けた社員一人ひとりの能力向上を図っていきます。

 

 

中期経営計画「Accelerate Growth(アクセラレート グロウス)2023」についての詳細は、当社ウェブサイト

https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/company-overview/corporate-strategy/ をご参照ください。

 

 

 

(3) 経営環境

当社グループは、1915年の創立以来、計測、制御、情報の技術を軸に、最先端の製品やソリューションを産業界に提供し、社会の発展に貢献し続けています。また、社会課題・お客様のニーズを捉え、その主要製品・サービスの内容を変化させてきており、2022年度のセグメント別売上高比率は制御事業約94%、計測事業約5%、新事業他約1%となっています。

主力事業の制御事業では、石油、ガス、化学、電力、鉄鋼、紙パルプ、医薬品、食品などの多様な業種展開により日本国内で高いシェアを有しています。さらに、日本での多様な業種展開により得られた知見やノウハウのもと、アップストリーム、ダウンストリームを中心に、中東、ロシア、中国、アセアンなどの資源国や新興国で高いシェアを有しています。なお、2022年度の海外売上高比率は約73%となっています。現地に根付いたグローバルな事業展開を始めてからの約60年で、競合他社に比べ偏りがない地域構成を実現してきており、世界中で4万件以上のプロジェクトを手掛けてきた豊富な納入実績があることも特徴です。豊富な納入実績を活用することで、お客様の既設のプラント設備の生産性向上につながる運用や、保守の効率化に向けたソリューションの比重を高め、あらゆる外部環境の変化にも耐えられるレジリエンス(変化に柔軟に対応できる適応力・回復力)を高めてきています。

今後10年間における事業環境のメガトレンドは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の観点で、大きく変化していくと想定しています。Politicsでは、自国主義や法規制の強まり、Economyでは、資源の枯渇や、食料・水の不足、Societyでは、高齢化、都市化や気候変動、Technologyでは、AI、IoT、5G、バイオテクノロジーの進歩など、さまざまな変化が予想されます。2019年度第4四半期から全世界に拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済活動への影響は、2022年度にようやく終息に向かう様子となりましたが、ロシア・ウクライナ情勢の深刻化によるエネルギー需給のひっ迫、資源・原材料価格高騰などの影響は継続しており、先行きの不透明感が増しています。政治、経済、社会活動の課題が浮き彫りになる中、さらにパラダイムシフトが加速すると考えています。このような中で、当社グループのお客様は、プロセスの変革、持続可能な未来を意識したビジネスモデルへのシフトを進めており、かつ、安全安心、セキュリティなどの観点から人の介在を減らすことの重要性も認識されています。主力事業の制御事業におけるProcess Automation 業界では、既存製品の市場が成熟し、ハードウエアのコモディティ化が進んでいると同時に、MES(Manufacturing execution system)やセキュリティ関連のソフトウエア、センサの市場は成長し、サブスクリプションなど新しいビジネスモデルの普及が進んでいます。また、当社グループの成長の糧であるオイル&ガスなどのハイドロカーボン系エネルギーの需要はその社会的役割・位置づけからも急激に失われないと考えられますが、エネルギー活用の多様化、環境規制対応などへの世界的な再生可能エネルギー活用、デジタルトランスフォーメーション(DX)への世界的な要求も高まってきています。

劇的に変化する事業環境において、当社グループは、未来世代のために目指す持続可能な低炭素・循環型社会の姿として定めたサステナビリティ目標「Three goals」の「脱炭素社会(Net zero emission)」「循環社会(Circular Economy)」「人の命と健康に対する要求の高まり(Well-Being)」が事業機会になると捉えています。長期経営構想でもお示しした通り、「System of Systems(SoS)」が進む世界の中で、統合化・自律化・デジタル化により複雑につながり合う社会システム全体を効果的に結びつけ、当社グループが先駆者として「全体最適」の価値を生み出すことで、3つの事業機会をしっかりと捉え、私たち自身が変革しながら、社会共通の課題の解決と持続的な成長を実現していきます。グローバルの競合のみならずIT企業との競合が激化するなど、事業環境は厳しさが増している中で、これまで蓄積・獲得してきたシステムインテグレーション(SI)とエンジニアリングの能力を、さらにSoSのためのSIやエンジニアリング能力に昇華させ、世界をリードするインテグレーターになることを目指します。

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(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

[中期経営計画「Accelerate Growth 2023」で目指す経営目標]

中長期的視点での企業価値及び株主価値の最大化を基本方針とし、1株当たり当期純利益(EPS)成長、営業キャッシュフローの創出、自己資本利益率(ROE)の向上を目指すべき指標とします。

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(*)EPS:1株当たり当期純利益、ROS:売上高営業利益率、ROE:自己資本利益率

想定為替レート(1米ドル):105円

[資本政策・財務戦略]

「Accelerate Growth 2023」では、持続的な企業価値及びTotal Shareholders Return(TSR:株主総利回り)の向上を実現するために、成長を支える財務基盤の維持、成長投資、株主還元への最適なキャッシュフロー配分を行いながら、将来的かつ累積的なキャッシュフロー創出力を強化していきます。

● 資本性成長投資(戦略投資)枠を3年間累計で700億円とします。リスク総量、自己資本増減、及びリスク投資実行に伴うリスク量の増加想定を織り込んだ上で最適資本構成を維持します。

● 株主還元方針(利益処分に関する基本方針)は、中長期的な企業価値向上の最大化に向けた投資に優先的に配分していくものの、一定の財務基盤の確保を前提に、積極的な配当による株主還元の向上を図るものです。配当性向による期間利益の一定比率を還元する考え方に加え、株主資本配当率を踏まえた安定的な配当の維持の考え方を維持します。

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[株主価値の考え方]

株主資本コストを上回るTSR(株主総利回り)を実現し、中長期視点での株主価値の最大化を図っていきます。

成長投資により、「成長性」「収益性」を高め、さらにキャッシュ・フローを増大し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指す中で、一定の財務基盤の確保を前提に積極的に配当還元の向上も図ります。

さらに、IR活動を通じて資本市場をはじめとするステークホルダーの皆様との対話を積極的に行うなかで、共通理解を深めるとともに、信頼の醸成に努めます。

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[非財務目標]

当社が社会に価値を提供し続けるためには、ESG(環境・社会・ガバナンス)の3つの視点で経営を行うことが大前提であり、長期経営構想ではこの点を重視しています。

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「Environment」と「Social」の2つについては、当社のサステナビリティ目標「Three goals」の達成に向けて、「サステナビリティ中期目標」を設定し、「Accelerate Growth 2023」の取り組みと連携させて進めています。

 

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サステナビリティに関連する事項は、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 にも記載しています。

 

「Governance」については、既存の仕組み/体制の活用・改善、取締役会のさらなる多様化や情報開示の充実など、コーポレートガバナンスのさらなる強化を目指しています。

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当社グループは、グループ全体に適用される企業理念とYOKOGAWAグループ行動規範を定め、すべてのステークホルダーとの適切な関係を持ち、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めています。また、「企業は社会の公器である」との考えのもと、健全で持続的な成長により、株主、お客様、取引先、社会、社員等すべてのステークホルダーからの信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置づけています。

当社グループは、企業価値の最大化を実現するためには、コンプライアンスの徹底、リスクの適切な管理、株主をはじめとするステークホルダーとの建設的な対話のための情報開示等が重要と考えます。

当社グループは、こうした考え方からコーポレートガバナンスの継続的な充実に取り組む基本方針として「YOKOGAWAコーポレートガバナンス・ガイドライン」を制定しています。

 

当社グループのコーポレートガバナンスについての詳細は、当社ウェブサイト

https://www.yokogawa.co.jp/about/ir/governance-ja/ をご参照ください。

 

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

[中期経営計画「Accelerate Growth 2023」で目指す経営目標]

「Accelerate Growth 2023」の2年目となる2022年度の受注高は、前期後半から引き続きCOVID-19からの本格的な経済活動の回復を背景としたお客様の投資意欲が堅調であったことや為替の変動影響があったことから、前期比で23.3%増(為替の変動影響を除くと12.6%増)となりました。売上高は、前期比で17.1%増(為替の変動影響を除くと6.7%増)となりました。営業利益は、粗利率悪化、販管費増加の影響を受けながらも主に売上高の増加及び為替の変動影響により、前期比で44.7%増(為替の変動影響を除くと0.8%減)となり、売上高営業利益率(ROS)は9.7%となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益が増益となったことから1株当たり当期純利益(EPS)成長率が83.0%/年、自己資本利益率(ROE)は10.9%となりました。なお、営業キャッシュフローは約404億円となりました。

「Accelerate Growth 2023」策定時の想定に対し、ロシア・ウクライナ情勢の影響や部材調達難の長期化など、事業環境の厳しさが増しています。経営のレジリエンスを高めながら、引き続き「Accelerate Growth 2023」の取り組みを加速し、2023年度の目標達成に向けて注力していきます。

[資本政策・財務戦略]

「Accelerate Growth 2023」では、利益成長及び資本効率向上により、営業キャッシュフロー1,400億円以上(3年間累計)の創出を目指しています。2年間で創出した営業キャッシュフローは約920億円で、中長期的な企業価値の最大化に向けたM&Aやアライアンスを含む資本性成長投資(戦略投資)として約121億円(2年間累計約243億円)、継続的・安定的な配当を行い株主還元として約91億円(配当性向:2022年度:23.3%)を配分しました。2022年度の戦略投資の主な実績としては、廃棄物・バイオマス発電プラントの効率改善および利益率向上のためのソリューション提供の実現を目指しDublix Technology ApSを、ライフ事業拡大のためポリマーおよびバイオ医薬品業界での自律操業とデジタルトランスフォーメーションを目指しFluence Analytics, Inc.をそれぞれ買収しました。また、今後成長が見込まれる核酸、ペプチド等の中分子医薬分野において、受託開発から受託製造までを一貫して請け負うCDMO※1に研究機能を加えたCRDMO※2事業を推進する合弁会社「シンクレスト株式会社」(横河電機49%出資)を設立するなど、主にライフ事業や再生可能エネルギー分野を中心に厳選して投資を行っており、概ね順調な進捗であると認識しています。引き続き、中長期視点での株主価値の最大化のため、成長を支える財務基盤の維持、成長投資、株主還元への最適なキャッシュフロー配分を行っていきます。

※1 CDMO:Contract Development and Manufacturing Organization、医薬品受託開発製造

※2 CRDMO:Contract Research, Development and Manufacturing Organization、医薬品受託研究開発製造

[財務・非財務目標達成に向けた現状認識と課題]

当社グループは、2021年度からYokogawa’s Purposeとサステナビリティ目標「Three goals」を事業として実現するため、これまでの製品や機能を中心とした組織から、お客様の事業活動の業種を基軸にビジネス展開を行うサブセグメント体制に制御事業を移行させました。また、3つのサブセグメントを共通して支える機能として、CoE(Center of Excellence)機能、開発機能、デリバリー機能、サービス機能を設けています。これらの機能と3つのサブセグメントが組織横断的な連携を行う中、新たな価値の創造に向け、中期経営計画「Accelerate Growth 2023」の4つの基本戦略をこれまでとは異なる次元のスピードで実行していきます。

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主力の制御事業は、2021年度から業種軸でグローバルの連携強化を進め、それぞれの事業セグメントの注力すべき分野で一定の成果を得ています。エネルギー&サステナビリティ事業では、再生可能エネルギー分野でのM&Aの実行なども含め、成長の足掛かりをつかんでいます。マテリアル事業は、グローバルでナレッジ共有の体制を強化しながら、化学、半導体・EV向けなど市場環境も好調の中、着実に成長しています。ライフ事業は、食品生産・医薬品生産・水といった従来国内で強みのあった分野で海外のお客様への提案が増え、その結果受注も獲得しています。バイオ関連のM&Aなど新たな取り組みも継続しています。

「Accelerate Growth 2023」の2年目となる2022年度も、4つの基本戦略を着実に実行しており、その戦略ごとの現状と課題は以下のとおりです。

1.「IA2IA/Smart manufacturingの実行と存在価値の変革」においては、価値提供の拡張に確かな手応えがあり、実績と成果を積み上げ、社外・お客様からの評価と期待が高まっていることを感じています。IA2IA/Smart manufacturingを実現するソリューションの中から、早期にスケールアップが可能なものを見極めてパッケージ化を進め、2022年度も新たに50件のソリューションをリリースしました。リリースされたソリューションにより、今後、グローバルにおけるさまざまな業種で効率的なプロモーション展開が可能になります。

また、IA2IA/Smart manufacturing事業の受注件数は160件となり、2021年度に続き一定の案件数を維持していると同時に、1件ごとの受注金額も増加傾向となっています。国内で成功してきた課題解決型ビジネスの手法を活用しながら、より大きなマーケットである海外でのスケールアップに重点的に取り組んでいきます。前述の新規ソリューションの活用・展開することでも加速させていきます。

2022年3月に、世界で初めてAIによる自律制御で化学プラントを35日間連続運転することに成功したENEOSマテリアル社(旧JSRエラストマー事業部門)との共同実証実験を受け、国内外の多くの化学メーカーからの反響をいただいていますが、この化学プラントの蒸留塔のマニュアル操業工程をその後1年にわたり安定操業させたことで、AIソリューションのビジネス化へ大きく前進しました。提供価値の変革・拡張に向けた先進的な取り組みにも着実に成果が見えてきている状況です。

リカーリング/サブスクリプションなどの新しいビジネスモデルの確立とビジネスのスケールアップには課題もあるものの、様々なプラクティスの積み重ねや人財の育成、各地域拠点やお客様のグローバル全体最適を支援する製造業DX支援を目的に設立した横河デジタル㈱での取り組みを通じて実現を加速していきます。引き続き、IA2IAの構想の実行フェーズへの移行、Smart manufacturingによるソリューションの提供範囲の拡大に向けた活動を加速させ、産業の自律化をリードしながら、お客様のESG・サステナビリティ経営の取り組みに貢献するビジネスの成長を目指します。

2.「業種対応力の強化と非業種依存のビジネス拡大」においては、3つのサブセグメントでの組織体制が始動した中、グローバルでの連携による業種拡大を着実に実行しています。

エネルギー&サステナビリティ事業では再生可能エネルギー業種に注力しており、2022年度の受注は71億円、前期比で58%増となりました。また、廃棄物・バイオマス発電所向けの効率改善技術を持つDublix社を買収するなど、今後の同業種ビジネスの拡大に向けた取り組みを継続しています。

マテリアル事業では高機能化学業種に注力しており、日本国内で培ったソリューションの強みを生かして、海外での受注拡大を目指しています。2022年度の海外での受注は136億円、前期比で51%増となっており、継続的な成長を実現しています。

ライフ事業は、事業全体が注力領域となっていますが、医薬・食品業種は、2022年度の受注は前期並みとなりました。また、水ビジネスの海外展開にも注力しており、海水淡水化あるいは再生水など、水ビジネスの高度ソリューションの案件が増加してきています。

ライフ事業においては、特に海外のビジネス成長で、ライフ事業領域のM&Aやアライアンス、人財確保の難しさなど、「Accelerate Growth 2023」で目指すビジネス成長には若干遅れがありますが、事業基盤強化の取り組みを進め、着実に成長しています。引き続き、ライフ事業の成長加速に取り組むとともに、総合エネルギー企業にシフトするお客様への新たな価値の提供、他業種、非業種依存のビジネスの拡大に向けた活動を加速させます。

3.「収益性の確保と健全な成長」においては、生産部品・プロジェクト調達品の調達難と価格高騰などを始めとしたコスト上昇要因による事業環境の厳しさは続いており、収益性向上にむけた道のりには厳しさがあるものの、グループ全体であらゆる対応を進めています。また、中長期の収益性向上の鍵となるグローバルでのオペレーション効率化に向けて、グループ全体での効率化・コストダウンにつながる基盤整備を進めています。成長に向けた収益性確保の観点からは、さらに各施策の実行力を高め、加速していく必要があります。

4.「社内オペレーション最適化とマインドセットの変革」においては、グループ全体で人財のスキル転換、マインドセット変革の重要性が共有され、各取り組みが前進しています。持続的成長に向け、中長期を見据えたオペレーションの最適化や情報インフラの整備を粘り強く行ってきた成果が出ています。すべての施策に対して異なる次元のスピードと実行力を得るべくマインドセットの変革が必要であり、引き続き、戦略立案機能の強化、挑戦を奨励する企業文化や組織風土の醸成、Internal DXとビジネスモデル変革、人財のスキル転換とエンゲージメント向上のための活動を加速させます。

2022年度は、期初から上海ロックダウンなどのCOVID-19感染再拡大の影響が引き続き残り、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、部材の調達難、エネルギー価格の高騰やインフレなど、厳しい事業環境が続きましたが、中期経営計画「Accelerate Growth 2023」の基本戦略に沿ってこれらの困難に対処しながら事業機会をしっかりと捉えることで増収増益を達成することができました。しかしながら、世界的なインフレの進行やロシア・ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー需給のひっ迫、資源・原材料価格高騰、地政学的な緊張感の高まりなどが継続している中、今後の国際情勢及び世界経済は不透明感を増しています。

このような状況の下、中期経営計画「Accelerate Growth 2023」の最終年度となる2023年度は、当社グループの目標達成に向け、個々の活動計画の完遂と効果の刈り取りが極めて重要な1年となります。引き続きグループ一丸となって、取り組みを加速していきます。

当社グループは、お客様の業種軸を主体とした「エネルギー&サステナビリティ」「マテリアル」「ライフ」の制御事業の3つのサブセグメントを中心に、SDGsに直結するビジネスで世界全体をつなぎ、地球の未来に責任を果たしていくことができる存在です。当社グループの強みを生かし、IA2IAとSmart Manufacturingの活動を加速させ、統合化・自律化・デジタル化による全体最適を通じて価値を生み出していくことを通じて、社会全体がSystem of Systems(SoS)となる世界で、社会共通課題の解決をリードしていく企業へと変革していきます。

「Accelerate Growth 2023」の目標達成に向けて中長期的に当社グループが持続的成長をするための変革を加速し、「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす。」というYokogawa’s Purposeの実現に向け邁進していきます。

※あらゆるものが複雑につながり、構成要素のそれぞれがシステムとして扱われ、運用の独立性とマネジメント

 の独立性を保ちながら連携し、単独では実現できない目的をシステム全体として、創発的に実現する世界

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

1.サステナビリティ全般

当社グループがもつ測る力とつなぐ力を社会課題の解決に生かしたい、という意思を込めて「Yokogawa’s Purpose」を「測る力とつなぐ力で、地球の未来に責任を果たす」と定めています。

気候変動、プラスチックや廃棄物、COVID-19など、今世界で顕在化している深刻な課題は、単独の組織やシステムで解決できるものではないことから、状況を測り、さまざまな情報を共有し、組織やシステムを有機的につなぎながら解決への道を探っていく必要があると捉えています。私たちの活動の大前提として、すべての人の人権を尊重し、差別のない世界をつくっていくことも重要です。当社グループは世界中のステークホルダーとともに変革を続け、より豊かで持続可能な社会の実現に挑戦しています。

また、当社グループは、下記のとおり「サステナビリティ貢献宣言」を制定しており、長期的な視点で社会課題の解決への取り組みを実行していきます。

・YOKOGAWAは、未来世代のより豊かな人間社会のために、2050年に向けて、Net-zero emissions、Well-being、Circular economyの実現を目指します

・目標実現に向け、変化に柔軟に対応できる適応力・回復力を強化し、循環型社会に適した価値を創造し、ステークホルダーとのCo-innovation を推進することにより、自らを変革します

 

[ガバナンス]

当社グループはサステナビリティを重要な経営課題の一つと捉え、ガバナンスの充実に継続的に取り組んでいます。中期経営計画やリスク管理、内部統制システムなどの全社マネジメントサイクルの一環として、サステナビリティマネジメントを行っています。社会・環境への貢献と企業価値向上の観点からサステナビリティの重点課題を特定し、それらに対応するための サステナビリティ指標を設定して下図に示すマネジメントサイクルを定義し、取締役会が監視・監督を行っています。取締役会に対しては、重要案件や各マネジメントの実施報告の際に非財務項目も含めて報告しているほか、定期的にサステナビリティ活動の状況も報告しています。取締役会は、社会情勢の変化、サステナビリティ指標の進捗状況、ESG評価機関などステークホルダーからのフィードバック、ESGリスク評価結果などに基づき、社外からの独立した視点も交えながら、サステナビリティの取り組みの監視・監督を行っています。

・2022年度の取締役会でのサステナビリティに関する主な議題

-サステナビリティ中長期目標の進捗

-サステナビリティ委員会報告

-サステナビリティマネジメントの社内規程制定

-YOKOGAWAグループ重点管理リスク

-人的資本経営についての取り組み

・サステナビリティマネジメントサイクル

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・サステナビリティ委員会

企業価値および社会価値の両面から重点課題を特定し、経営の中長期的な方向性およびサステナビリティ課題の解決に向けた戦略を策定することを目的として、2022年度からサステナビリティ委員会を設置しています。サステナビリティ委員会は、経営会議の諮問機関であり、社長が委員長、執行役員を委員として、経営視点からサステナビリティに関するテーマについて集中的に議論する場と位置付けています。2022年度のサステナビリティ委員会(2回開催)では、マテリアリティ分析を実施し、重要性が高く、かつ自社が解決すべき課題(重点課題)とそれにより貢献する6つの分野はAG2023策定時から変更が無いことを確認しました。また、サステナビリティ委員会の傘下には、テーマ別の分科会(事業分科会、製品分科会、マネジメント分科会、開示分科会)を設置しており、事業における「貢献と成長のストーリー」、インターナル・カーボン・プライシング、人的資本経営、コミュニケーション、非財務情報開示など、さまざまなテーマについて活発な議論を行いました。サステナビリティ委員会で議論した内容は経営会議で意思決定し、取締役会に報告しています。

なお、当社グループのコーポレートガバナンスの詳細については、第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 に記載の通りです。

 

[戦略]

2050年に向けて目指す社会の姿をサステナビリティ目標「Three goals」として定めています。また、「Three goals」の達成と事業の成長のための重点課題を明確にするためマテリアリティ分析を行い、分析結果に基づき2030年に向けて6つの貢献分野を設定し、それぞれに意欲的な目標を設定しています。

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・マテリアリティ分析に基づく貢献分野の設定

当社グループは、エネルギー&サステナビリティ、マテリアル、ライフなどの事業分野において、お客様の課題を解決することで、社会・環境へ大きくプラスのインパクトを与えています。社会・環境への貢献を拡大することは、YOKOGAWAの企業価値向上と密接に関連しており、「社会・環境への影響」および「自社の価値創造や事業モデルへの影響」の両面における重要性をマテリアリティと定義しています。2021年に策定したAG2023においては、各事業の関係者に対するサーベイに基づき、重要性が高くかつ自社が解決すべき課題(重点課題)と貢献のテーマ(貢献分野)を選定しています。さらに、2022年7月に、サステナビリティ委員会でマテリアリティ分析を実施し、重点課題と貢献分野はAG2023策定時から変更が無いことを確認しました。また、6つの貢献分野に紐づく事業の注力領域について、向き合う社会課題、課題解決のアプローチ、および創出される価値を「貢献と成長のストーリー」としてまとめています。

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[リスク管理]

当社グループは、各組織において企業価値に影響を与える不確実性をコントロールするためのリスク管理体制、業務の適正を確保するための内部統制システム、および経営に重大な影響を及ぼす事象が発生した場合、速やかに対応するための危機管理体制を整えています。

サステナビリティ全般に関するリスク管理のうち、特に重要な「気候変動への取り組み」、「TCFDへの賛同」、「人権尊重」については、第2 事業の状況 3 事業等のリスク に記載していますのでそちらをご参照ください。

・リスク管理体制

当社グループにおける効果的なリスク管理を実現するため、リスク管理の統括責任をもつ代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置しています。リスク管理委員会は、リスク評価に基づき、グループとして重点的に管理すべきである重点管理リスクを選定しています。また、重点管理リスクに対する対策内容や対策の進捗、リスクの状況については四半期ごとにリスク管理委員会で確認し、経営会議・取締役会に報告しています。

なお、当社グループのリスク管理体制等の詳細については、第2 事業の状況 3 事業等のリスク に記載の通りです。

 

[指標と目標]

当社グループは、6つの貢献分野に対して、社会への貢献の度合いを測る長期的な指標(社会インパクト指標)と、AG2023において社会へ貢献する事業の成長を測る中期的な指標(事業活動指標)を定めています。

これらの指標のPDCAを通じて貢献と成長を加速させていきます。

 

・社会インパクト指標

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※前年度の実績を記載しています。当年度(2022年度)の実績は、2023年9月発行予定の「YOKOGAWAレポート2023」を参照ください。https://www.yokogawa.co.jp/about/ir/

 

2.気候変動

当社グループは、2050年に向けて目指す社会の姿としてNet-zero emissionsを掲げ、AG2023で設定した6つの貢献分野の一つに「カーボンニュートラルの達成」をあげています。GHG排出の抑制と、安価で信頼できる持続可能なエネルギーへの転換を重点課題と認識し、自社の操業により排出するGHGを削減するだけでなく、事業を通じて、再生可能エネルギーの普及やエネルギー利用の効率化に貢献しています。

なお、当社グループは、2019年2月に気候変動の課題に積極的に向き合い将来に備えていくという意思のもと、金融安定理事会(FSB)が気候変動に関する財務情報の開示を推進するために設立した「気候関連財務情報開示タスクフォースTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」による提言の支持を表明し、YOKOGAWAレポート、YOKOGAWAサステナビリティレポートで開示しています。

 

[ガバナンス]

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンスに組み込まれています。詳細については「1.サステナビリティ全般」に記載の通りです。

 

[戦略]

当社グループは、エネルギーや化学など、温室効果ガス(GHG)の排出量に大きな影響を与える製造業をお客様として事業を行っています。気候変動に伴う将来の環境変化を見据え、お客様は、再生可能エネルギーを含む低炭素事業やバイオ等の低環境負荷素材を生み出す事業への転換を進めています。当社グループは、AG2023において、再生可能エネルギー関連市場の成長や気候変動の課題を踏まえたお客様の事業戦略の転換により生まれるビジネスを機会と捉え、事業の拡大に向け取り組んでいます。

・気候変動シナリオおよび気候変動シナリオに対する戦略のレジリエンス

不確実性の高い気候変動については、地球全体に深刻で、広範、不可逆的な影響が生じる4℃シナリオ、2℃シナリオより厳しく温室効果ガスの排出削減などが必要となる1.5℃シナリオへの対応を含めて、2030年の社会を考察しています。

長期経営構想およびAG2023の策定に際しては、1.5℃シナリオと4℃シナリオにおいて、リスクと機会の評価や対応策の立案を行いました。1.5℃シナリオにおいては、各国の脱炭素政策の強化等によるエネルギートランジションの加速に伴い、化石燃料ビジネスの縮小を見込むものの、再生可能エネルギーや省エネルギービジネス等のニーズの高まりを想定しています。また、4℃シナリオにおいては、洪水などの自然災害増加に伴う事業所およびサプライチェーンへの被害、異常気象に伴う農作物の収穫量低下や疾病の増加といった物理リスクの増大に起因する、防災ソリューションや医薬品・食品生産関連ビジネスの拡大を想定しています。これらの気候変動に関するリスク・機会を、事業セグメントとリスクの種類ごとに深掘りし、対応の方向性を策定・事業戦略に組み込んでいます。

-気候変動に関する主な機会

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-気候変動に関する主なリスク

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・インターナル・カーボン・プライシング(ICP)

経済的合理性の高いGHG削減施策を推進するため、2022年度よりICPの運用を開始しました。設備投資の検討時やクリーンエネルギー採用計画時に想定されるGHG排出量の増減を金額換算し、財務的な判断に加味することで、GHG排出量の影響を踏まえた意思決定をしていきます。グループ全体を対象に、初年度はScope2の削減に大きく寄与する再生可能エネルギー電力の調達や生産機械設備への投資をターゲットに炭素価格を設定しました。ICPの方針や炭素価格はサステナビリティ委員会で審議し、経営会議で決定します。今後は、Scope1やScope3、また、事業計画の立案などにも順次ICPを適用し、炭素価格を設定していきます。

 

[リスク管理]

気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般のリスク管理に組み込まれています。詳細については「1.サステナビリティ全般」に記載の通りです。

 

[指標と目標]

AG2023では、2030年度に向けたYOKOGAWAの貢献分野として、GHG排出の抑制と、安価で信頼できる持続可能なエネルギーへの転換による「カーボンニュートラルの達成」を設定しました。

お客様とともに取り組んでいくビジネスの目標として、お客様事業のCO2排出抑制量10億トン(2018年度〜2030年度)を設定しています。お客様の再生可能エネルギー発電や低炭素発電の量を、平均的な化石燃料の使用によるCO2排出量と比較し、その差分を実績として計上しています。さらに、再生可能エネルギー技術開発の支援や、蓄電池の製造に使用されるシステムの提供について指標と目標(2023年度)を設定して取り組んでいます。

また、事業所における指標として、GHGプロトコルの方法論に基づいてScope1、Scope2、Scope3の排出量を算出し、目標を設定しています。Scope1,2では、2030年度に2019年度比50%削減、2040年に事業所のカーボンニュートラルを目指します。Scope3(カテゴリー1,11)については、2030年度に2019年度比30%削減を目指します。これらの目標は、パリ協定が目指す気温上昇を産業革命前より1.5℃に抑えるGHG排出水準を踏まえたものであり、当社は2022年度に、SBT(Science Based Targets)の認定を取得しました。

2021年度のお客様事業のCO2排出抑制量は主に風力発電への貢献が大きく伸長し、2018年度からの累計で3.3億トンとなりました。GHG排出量(Scope1,2)は、COVID-19の影響による抑制に加え、エネルギー使用削減施策の実施やGHG排出量の少ない設備への更新などの取り組み、再生可能エネルギー由来電力への転換を促進することにより、2019年度比で10.5%削減しました。サプライチェーン温室効果ガス排出量(Scope3)も、主としてCOVID-19の影響に伴うハード製品の物量減により、Scope3の6割を占める「販売した製品の使用による排出(カテゴリー11)」の排出量が抑制され、Scope3全体で2019年度比14%の削減となりました。目標達成に向けて、既存製品の低消費電力化、GHG排出量の少ない製品やソリューションの開発を加速していきます。

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※1 前年度の実績を記載しています。当年度(2022年度)の実績は、2023年9月発行予定の「YOKOGAWAレポート2023」を参照ください。https://www.yokogawa.co.jp/about/ir/

※2 購入した商品とサービス(カテゴリー1)、および販売した製品の使用(カテゴリー11)を対象にしてい

   ます。

 

3.人的資本および多様性

当社グループは、最上位に位置するGMS(Group Management Standards)における人財マネジメント規程において、多様性の確保についての考え方、人財の育成方針、社内環境整備方針を掲げています。
 

<人財マネジメントシステムの基本方針>

以下の3項目からなる理念を通じ、多様な人財資源を育成・活用しながら、新たな価値創造を促し、豊かな企業風土および組織文化の醸成を行い、YOKOGAWAグループ全体の企業競争力を強化する。

 

(1)ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン

YOKOGAWA グループは多様性を重視した、インクルーシブで公平性のある企業文化を創出する。

個々の人財が持つさまざまな違いをお互いに認め合い、それを「個性」として受け入れ、誰もが安心して安全に自分らしく働ける環境のもと、その能力を最大限に発揮し、ビジネスに貢献できるサステナブルな組織の構築を目指す。多様な経験、知識、感性、視点、文化、背景、価値観などを持つ人財を積極的に採用、育成、登用していく。グループに関わるすべての人々に対し、人種、皮膚の色、年齢、性別、性自認および表現、性的指向、宗教、信条、政治的見解、国籍、民族、出身地、障がいの有無、家族関係、その他の状況に基づくあらゆる差別を禁止する。

相互尊重に基づくコミュニケーションと建設的なコラボレーションが、お客様、パートナー、サプライヤーとのイノベーションと新たな価値の共創を促進し、未来世代の豊かな人間社会の実現に貢献していく。

(2)チャレンジ

従業員が持つ挑戦を志すマインドを最大限引き出すとともに、挑戦を後押しし、前向きな失敗を許容し、次に生かす風土を大切にする。

(3)エンゲージメント

従業員が自らの意思で成長し、働きがいを高めることで、組織の成長を促し、組織の成長が従業員の成長と働きがいを更に高めるという好循環を作ることで、エンゲージメントの高い組織を築く。

 

[ガバナンス]

取締役会は人的資本に対する課題へ適切な対応がなされていることを監視・監督しています。また、事業戦略や計画を議論する際に人的資本に関する戦略や計画についても考慮しています。
 なお、当社グループのコーポレートガバナンスの詳細については、第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 に記載の通りです。

 

[人財戦略]

当社グループは、「Yokogawa’s Purpose」を実現し、社会共通価値提供による成長(2030年度売上高1兆円規模のグループ企業像)を目指しています。その原動力は社員一人ひとりの成長であり、想定を超える事業環境の変化に果敢に立ち向かい、変化に合わせてマインドチェンジをし、自らの能力やスキルを自発的に向上できる環境を実現していきます。
 AG2023においては、社内オペレーションの最適化とマインドセットの変革(挑戦を奨励する企業文化や組織風土を醸成)をする人財戦略をグローバルに徹底しています。新事業、新分野に進出するためには、そこで必要とされるケイパビリティをもつ人財を、グローバルレベルで確保することが鍵となります。人財の質と量を見える化し、採用、教育、適正配置を行っていきます。採用やM&Aにより即戦力となる人財を確保するとともに、社員のマインドチェンジを促し、リスキルするための教育環境を充実していきます。

同時に「グローバルHRトランスフォーメーションプロジェクト」により、人事制度・プロセス・HRデータベースの統合を行い、適正配置の基盤をつくります。そして、人的資本である社員のケイパビリティ(人財力)とエンゲージメントを高める環境の実現により、グローバルチームの効率を最高に引きあげ、One Yokogawaで持続的に社会共通価値を提供していくことを目指し、人的資本経営を実践していきます。

・グローバルHRトランスフォーメーションプロジェクト

 本プロジェクトでは、クロスボーダーでの協働・最適化が可能となる組織と、一人ひとりがこれから求められるあり方を理解し成長できる仕組みを通じて、当社グループの目指す姿を実現していきます。

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・ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進

 当社グループでは、2015年4月にDE&Iを推進する専任組織を設置し、積極的に取り組みを行っています。主な取り組みとしては、DE&Iのマインドセットの研修を実施し、当社グループでのDE&I促進の重要性や無意識の偏見がどのように行動に影響するかなどについて理解を促進しています。また、DE&Iを基本方針の一つに掲げている人財マネジメントシステムの監査をグローバルに実施しています。そして、グループ社員の主体的なキャリア形成を支援し、世界のどこの国からでもグループ内の公募案件に挑戦できるグローバル公募制度を導入しました。さらに、柔軟にビジネスニーズに対応することを目的に、国際的なリモートワークを促進する「インターナショナルリモートワークガイドライン」を制定し、組織のDE&Iを推進し、社員の挑戦を支援しています。

 また、当社グループが持続的な価値を提供し社会課題の解決をリードしていくためには、健康を経営的視点で捉え、戦略的に実践する「健康経営」の推進が必要不可欠です。社員の自律的な健康づくりを支援し、心身の健康増進、やりがい、幸福感を向上させることで、グループ全体でのエンゲージメントや生産性の向上につなげることを目的としています。2016年9月に、社員の健康に関する各種の取り組みを健康経営の観点からさらに加速していくため、健康経営の基本方針として、以下の「健康宣言」を制定しました。

健康宣言

「YOKOGAWAは、心身の健康の維持・増進に自ら努める社員を支援し、いきいきと活力のある職場を作り、より豊かな人間社会の実現に貢献できる会社を目指します。」

健康経営推進体制

代表取締役社長が最高責任者となり、総括安全衛生管理者である労働安全衛生担当役員を中心とした経営陣の牽引の下、安全衛生委員会を核に人財総務本部の診療センター、国内人財統括部、総務部が担当部署として産業医や横河電機健康保険組合、労働組合と連携する中で健康経営を推進しています。

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健康施策

これまでに、社員の健康維持・増進に関する施策として、場所や時間にとらわれない働き方や働きやすいオフィス環境の整備、労働時間管理、健康増進プログラムなどに取り組んできています。健康増進プログラムでは、運動・食事・睡眠・物事のとらえ方・コミュニケーションなどについての良い生活習慣が心身の疾病予防・改善のみならず、ストレスの軽減や仕事のパフォーマンス向上に最も重要との考え方から、「生活習慣の改善」をポイントに置き、全社員を対象に実施しています。この中では個人の健康行動だけでなく、職場の行動を促進していく仕組みを意図しており、会社や職場の健康上の課題や、生産性への影響などを示す社員の健康関連データを公開して職場が健康へ取組む意義を説明し行動を促しています。

これらの取り組みにより横河電機は2017年度から経済産業省の「健康経営優良法人」を継続して取得しており、また2017~2019、2021年度、2023年度には「健康経営優良法人(ホワイト500)」にも認定されています。

※「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。

 

[リスク管理]

当社グループがグローバルに展開する事業活動において、多様な人財が集い、一人ひとりが持てる能力と個性を最大限発揮できるようすることが非常に重要です。人財の流動性が高まる中、採用競争力が低下することで新卒採用や中間採用における人財獲得が計画・目標どおりに進まなくなること、従業員の離職により組織の総合力が低下することが最大のリスクです。従業員に成長の機会を提供し、活躍しやすい環境を整備することでリスク低減に努めています。なお、これらのリスク管理体制についてはグループ全体のリスク管理体制に組み込まれています。詳細については、第2 事業の状況 3 事業等のリスク に記載の通りです。

 

[指標と目標]

 当社グループは、6つの貢献分野に対して、社会への貢献の度合いを測る長期的な指標(社会インパクト指標)と、AG2023において社会へ貢献する事業の成長を測る中期的な指標(事業活動指標)を定めています。その中で、人的資本及び多様性に関連する自社の注力領域を「労働安全衛生、人権尊重」「社員のWell-beingとエンゲージメント」「変革に向けた人財育成と能力開発」「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進」とし、指標と目標は以下のとおり設定して取り組んでいます。

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※1 前年度の実績を記載しています。当年度(2022年度)の実績は、2023年9月発行予定の「YOKOGAWAレポート2023」を参照ください。https://www.yokogawa.co.jp/about/ir/

3【事業等のリスク】

<リスク管理体制>

 当社ではグループにおける効果的なリスク管理を実現するため、リスク管理の統括責任をもつ代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置しています。気候変動を含めた外部環境、戦略、品質、環境、安全衛生、危機管理、企業倫理などのグループの企業価値に影響をあたえる不確実性をリスクと定義し、「外部環境」「戦略」「オペレーション」の観点で分類・管理しています。毎年、グループ各社においてそれぞれのリスクや対策等を洗い出すとともに、経営戦略や経営課題、外部のリスク環境なども踏まえ、リスク管理委員会が重点的に管理すべきリスク(重点管理リスク)を選定しています。その選定にあたっては、リスクの重大度を、影響度及び発生可能性の面から評価しています。影響度の評価では、財務的・人的側面のほか、社会・環境面での影響も(外部機関を通じて得られた外部環境分析結果を含め)考慮しています。重点管理リスクは経営会議で決定し、取締役会に報告しています。

また、内部監査担当部署は、グループのリスク管理プロセスの有効性を評価し、重要な事項は取締役会及び監査役に年に2回報告しています。

 なお、リスクが顕在化し、グループの経営に重大な影響を及ぼすおそれがある危機が発生した際には、代表取締役社長を委員長とする危機管理委員会にて対応にあたります。

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 重点管理リスクについては、対策内容や対策の進捗について四半期ごとに確認し、リスク管理委員会でリスクの状況を評価するとともに、経営会議・取締役会に報告しています。また、対策の見直しや改善点の洗い出しを実施し、翌年の重点管理リスクの選定に反映させています。

 また、個社においては、洗い出したリスクに対して自律的にPDCAサイクルを回し、リスク管理を行っています。

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<事業等のリスク>

 当社グループ事業の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下に記載しています。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の有価証券に関する投資判断は本項以外の記載内容とあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。

 なお、以下の事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在時点において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1) 外部環境に関するリスク

(社会情勢等に係るもの)

 当社グループの活動範囲は日本国内のみならず世界各地に及んでおり、各々の地域における経済状況等の外部環境変化は、当社グループの事業活動全般に影響を及ぼす可能性があるとともに、業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。

 

  ・各国の政治的または経済的要因

  ・租税や通商制限の影響

  ・各国の商慣習の違い

  ・自然災害(地震、火災、洪水・津波等)、戦争、暴動、テロ、感染症、ストライキ、その他の要因による 社会的混乱

  ・当社製品・サービス及び社内インフラへのサイバー攻撃

  ・環境保護を含め、各国規制・制裁・特許などの把握不全ならびに新たな法・規制改正

 

 これらリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部機関との契約等を通じ、その予防・回避・影響の低減に努めています。

 

 COVID-19の世界的な流行に対しては、局所的なロックダウンなどによるサプライチェーン混乱など経済活動への影響を把握するとともに、オフィスワークとテレワークを組み合わせた柔軟な働き方への移行など、「ウィズコロナ」への対応を進めています。

 また、ロシア・ウクライナ情勢に対しては、エネルギー需給のひっ迫、資源・原材料価格高騰などが継続しており、危機管理委員会において引き続き情報共有を行うとともに方針や諸施策について検討し、対応しています。

 当社グループの次期(2024年3月期)の業績は、世界経済が全体として低成長となることが見込まれていることや、COVID-19後に再開された大口受注案件に一巡感がでていること、また、素材産業における投資が減速する見込みであることなどにより、受注高については減少が予想されます。売上高及び営業利益は、半導体等を含む生産部品及びプロジェクト調達品の調達難が継続していることから、限定的な伸長と予想されます。これに伴い、経常利益は微増と予想されるものの、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益等により増益となる予想です。

 世界は脱炭素社会の実現に向けたエネルギー・トランジション等、社会課題解決に向けたニーズの高まりや、デジタル技術の革新などにより劇的に変化しており、当社グループはこのような事業環境の変化を機会ととらえ、成長に向けた社会共通課題解決を軸とした事業構造を確立し、社会や環境への貢献を拡大しながら成長を目指します。

(為替・金利・株価変動に係るもの)

 当社グループは、グローバルに事業を展開しており、事業上の取引や事業活動におけるコストとして多数の通貨を使用しています。為替レートの変動に対応するため、為替予約契約の締結等を行っていますが、急激または大幅に変動するリスクがあり、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループが保有する資産及び負債にかかる金利の変動は利息の増減や資産等の価値に影響を与えるリスクがあり、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループが保有している株式等は価格が変動するリスクがあり、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 戦略に関するリスク

(市場・競合環境に係るもの)

 ① コスト競争力

 積極的な事業展開を進める中で、新設や近代化などプロジェクト案件での競争は激化しており、コスト低減要求が益々強まると同時に、資源国・新興国において自国優先的な姿勢が強まり、製品生産や雇用および役務を含む調達の現地化要求が高まっています。コスト競争力強化に取り組んでいますが、これら市場の要求する製品やサービス及び販管費を含めたコスト低減要求に効果的に対応できない場合は、ビジネス機会損失につながるリスクがあります。このような場合は、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ② デジタル技術の利活用による競争力優位性の確立

 デジタル技術を活用したバリューチェーンおよびライフサイクル全般にわたるビジネスプロセスでの飛躍的な生産性向上の実現に対する要求が高まっており、これにビジネスとして応え、競争力優位性を確立していく必要があります。当社グループはこれを事業成長の機会と捉え、自社はもちろんのことお客様を中心に幅広い領域でのデジタルトランスフォーメーションによる新たな価値創造の実現に取り組んでいます。新技術に追随できない場合や、これら市場の要求に十分に対応できない場合は、ビジネス機会損失につながるリスクがあります。このような場合、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③ 市場ニーズに合わせたビジネスモデル変革の実現

 社会の変化、技術革新などにより、新たなビジネスモデルが数多く創造されている中で、当社グループのお客様においても、サブスクリプション型ビジネスなど、初期導入コストの低減や導入後の運用・保守の柔軟性に対する要求が大きくなっています。当社グループとしても成果報酬型ビジネスやサービス提供型のリカーリングビジネスの実現に取組むなどビジネスモデル変革を進めています。今後も多様な変化を見せる新たな市場ニーズに十分に応えられない場合や、当社グループの取組みに遅れが出た場合は、ビジネス機会損失につながるリスクがあります。このような場合は、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 ④ 気候変動への取り組みによる市場環境の変化

 気候変動への取組みに対する社会の要求が増大しており、当社グループのお客様の戦略にも影響を与える可能性があります。主要なお客様であるエネルギー関連における長期的視点でのエネルギーシフト等、お客様は環境変化に対する取り組みの検討を進めていると認識しています。当社グループは、このような変化を事業機会と捉え、市場環境の変化への対応を進めていますが、そのようなお客様の変化に対応できない場合や、当社グループの取組みに遅れが出た場合は、ビジネス機会損失や企業価値低下につながるリスクがあります。このような場合は、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。 (※後述する気候変動及びTCFDに関する取り組みについてもご参照ください)

(戦略投資に係るもの)

 当社グループは、主に新事業・新分野への進出に対する戦略的成長投資を重点的に強化し、必要に応じてM&Aやアライアンスの可能性を検討しながら、技術、販路、製品・サービス、お客様、人財・ノウハウなどを獲得するための投資を行っています。案件の発掘から投資に至るプロセスの確実な実行と評価・検証精度の向上、投資後の迅速なビジネス立上げに万全の体制で臨んでいます。また、それを支える人財の育成・活用にも取り組んでいます。しかしながら、予期せぬ環境変化等によって想定した成果があがらないリスクがあります。また、取得した資産や機会を十分に活用できない場合も含め投資後のビジネスが迅速に立ち上がらず、想定した成果をあげられないリスクがあります。このような場合は、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(研究開発に係るもの)

 当社グループは、計測・制御・情報の基礎研究、先端技術及びIIoTやAI等のデジタル技術開発をもっとも重要な経営課題として位置づけ、将来を見据えた新技術開発を継続的に推進しています。また国際規格や国際標準の変化に適応し、SDGsに代表される持続可能な社会の実現に向けた取組みを強化しています。しかし、研究・開発投資が将来市場のニーズや目標に予定通り適合しないリスクがあります。このような場合は、ビジネス機会損失により当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 また、競争力を維持するための製品技術やサービス革新の研究開発投資も継続的に行っていますが、成長可能性を持った製品やサービス分野の市場動向の把握ができなかった場合、研究開発投資が成功しないリスクがあります。加えて、市場に合致しても研究開発投資が革新的な技術を生み出さない、または想定した成果をあげられないリスク、及び競合他社に技術開発を先行されてしまうリスクがあります。このような場合は、ビジネス機会損失により当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(人財の確保・育成に係るもの)

 当社グループの成長の源泉は、最先端の技術を支える人財や、高い品質を支える技能者等の有能な人財によって支えられています。特に、ソリューション提案能力を持つ人財、プロジェクトマネジメント能力とエンジニアリング能力を持つ人財、また、AI、デジタル技術、当社が進めている新規事業に関する技術と知見を有する人財の重要性が高まっています。当社グループではグローバルに人財採用、採用した人財の教育と訓練による育成を継続していますが、将来において必要人財の確保や育成が計画通り達成できないリスクがあります。このような場合は、当社グループの効果的な事業運営に影響を及ぼすとともに業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(人権に係るもの)

 当社グループは、人権尊重についてその方針を定めるとともに国連グローバル・コンパクトへの支持を表明しており、ここで謳われている人権の方針と国際的な人権規範を尊重しながらその取組みを進めています。サプライチェーンにおける人権への取組みについても、強制労働・非人道的な扱い・児童労働・差別の禁止、適切な賃金、労働時間の法令順守や従業員の団結権についての指針を示し、国際的に求められている人権を支持して人権尊重に取り組んでいますが、予期せぬ事態により当社グループで人権問題が発生した場合、賠償責任を課されるリスクや企業価値を低下させるリスク等があり、事業活動全般に影響を及ぼすとともに業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(保有資産の価値低下に係るもの)

 当社グループが保有している事業資産について、時価下落及び収益性低下等に伴い資産価値が低下するリスクがあります。このような場合は、減損損失が発生するなど、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) オペレーションに関するリスク

(製品の品質・供給に係るもの)

 当社グループは、長年にわたる技術及びノウハウの蓄積と厳格な品質管理体制の展開により、お客様に対して高い信頼性を備えた製品及びサービスを提供していますが、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が内在する、また、その欠陥に起因して損害が発生するリスクがあります。このような場合には、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があるとともに、当社グループの事業活動全般に影響を及ぼす可能性があります。

 また、主要な電子部品等の市況動向については日頃から情報収集して安定調達に努めるとともに、調達先の品質・納期等の管理を徹底し、特定の調達先への過度の集中・依存をさけるべく調達先の分散化等を進めるなど、リスクの低減に取り組んでいますが、外部環境変化に起因するサプライチェーンの混乱により電子部品等の調達や重要製品の製造が困難な状況となった場合、製品の供給に遅延や停止が発生するリスクがあります。このような場合、当社グループの生産活動をはじめとする事業活動全般に影響を及ぼすとともに業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(プロジェクトマネジメントに係るもの)

 当社グループの事業において、特に製品・エンジニアリング・ソリューション・サービス・他社製品を一括してお客様に提供する形態であるプロジェクト型のビジネスでは、プロジェクトマネジメントの確実な実行が求められます。受注に至る過程での採算見積りや納期までの採算管理の精度の向上、生産・品質管理の徹底など、不採算案件の発生を防止する取組みを行っていますが、想定した見積りからの乖離や、採算・生産・品質等の管理において問題が発生した場合、サプライチェーンの混乱により製品の調達や供給が困難となった場合、予期せぬ原価の発生や納期遅延等に伴う賠償責任を課されるリスクがあります。このような場合は、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(知的財産権に係るもの)

 当社グループは、自社製品及びサービスの開発の中で知的財産権の保護と他社の権利の侵害防止に万全な管理体制を展開していますが、当社グループの知的財産権が第三者から侵害を受け、期待した収益が得られない場合及び見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされた場合は、重要な技術が使用できない不利益に加え、賠償責任を課されるリスクや企業価値を低下させるリスク等があり、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

(情報セキュリティに係るもの)

 当社グループは、事業活動を通して、お客様や取引先の個人情報及び機密情報を入手することがあります。当社グループでは、これらの情報管理に関する管理体制と教育を展開していますが、予期せぬ事態により情報が流出した場合、また、それを悪用された場合には、賠償責任を課されるリスクや企業価値を低下させるリスク等があり、当社グループの業績、財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 上記、事業等のリスクやサステナビリティ全般に関するリスク管理に関連するもののうち、特に重要な「気候変動への取り組み」、「TCFDへの賛同」、「人権尊重」についての考え方や取り組みは以下のとおりです。

 

[気候変動への取り組み]

 当社グループは、世界の温室効果ガス(GHG)排出量に大きな影響を与える、エネルギー、化学をはじめとする製造業をお客様として事業をしており、気候変動はリスク・機会の両面から事業活動に大きな影響を与えます。当社グループの売上の多くを占めているエネルギー関連企業のお客様は、再生可能エネルギー企業へのシフトをさらに加速しており、低炭素向け投資も拡大しています。こういった市場の変化を踏まえ、2021年度に長期経営構想を見直し、中期経営計画「Accelerate Growth 2023(以下、AG2023)」を策定しました。

 長期経営構想においては、10年後におけるお客様への提供価値のため、System of Systems(SoS)に着目し、IA2IAとSmart Manufacturingの取り組みを進めています。IA2IAでは、プラントのオペレーションを自動化から自律化へと進化させ、Smart Manufacturingでは、生産現場からサプライチェーンへとスコープを広げ、バリューチェーンを通じたシステムのつながりを広げていくことで、革新的に生産性を向上させていきます。

 制御事業の3つの業種別サブセグメントごとの状況については、「エネルギー&サステナビリティ」では、再生可能エネルギー業種に注力しています。蓄電池を含む複雑なエネルギーサプライチェーンにおけるエネルギー最適管理ソリューションビジネスを確立していきます。「マテリアル」では高機能化学市場におけるソリューションを拡大しています。カーボンニュートラルと循環型経済の動きが加速する中、モビリティ市場におけるCO2削減を背景にEV向け2次電池など新素材のニーズに応えていきます。カーボンマネジメントソリューションにより、温室効果ガス排出量を経営課題とするお客様と一緒に、脱炭素化に取り組みます。「ライフ」では、気候変動の適応に貢献する医薬・食品業種の生産性向上に関するビジネス拡大、水ビジネスでは広域排水管理や海水淡水化の海外展開、さらに再生水の飲用利用に向けた実証実験など新たな価値創出に取り組んでいきます。

 AG2023では、3つの業種別セグメントにおける事業の注力分野でSDGsへの貢献を拡大するためのサステナビリティ目標を設定しています。気候変動の課題に関しても複数の目標を設定しており、重点的に取り組んでいきます。

 

[TCFDへの賛同]

 気候変動の課題に積極的に向き合い将来に備えていくという意思のもと、金融安定理事会(FSB)が気候変動に関する財務情報の開示を推進するために設立した「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」(以下、TCFD)による提言の支持を表明しました(2019年2月)。

 

[人権尊重]

当社グループのすべての事業活動は人権の尊重を前提に成り立っており、私たちは、事業を展開する世界各国・地域でのさまざまな人権課題について理解を深め、その解決に積極的に関与することで、人々の尊厳が守られ、敬意が払われるように力を尽くさなくてはなりません。その責務を果たすための指針として、「YOKOGAWAグループ人権方針」を策定し、次の内容について定めています。

1. 人権に関連した法令の遵守と国際行動規範の尊重

2. 人権デューディリジェンスの実施

3. YOKOGAWAグループの人権の重点課題

4. コミュニケーションとエンゲージメント

・人権尊重のための体制

「YOKOGAWAグループ人権方針」は、取締役会の承認により定められています。代表取締役社長を当社グループの人権に関わる最高責任者とした社内体制を整備し、継続的な取り組みを実施しています。人権に関係する部門から担当者を選出した人権実務者会議が具体的な人権に関する取り組みを進めています。

・人権デューディリジェンス

当社グループは、事業活動、サプライチェーンおよびその他のビジネス上、人権に負の影響を与える可能性を特定、防止、軽減し、どのように対処するかについて責任を果たすための人権デューディリジェンスを進めています。

労働安全衛生、労務管理、購買・販売管理についてはそれぞれグループ全体を対象とする内部統制システムを構築しており、リスクの低減や発見された問題の是正を行っています。

-人権に関する通報・相談窓口と救済措置

 当社グループが直接的に引き起こしている人権侵害、および間接的に関与している可能性のある人権侵害を早期発見し是正するため、YOKOGAWAグループで働く人すべてを対象とする、相談・通報窓口を社内に設置するとともに、サプライヤー向けのヘルプラインを設けています。また、お客様やお取引先様、地域社会など、外部のステークホルダーからの人権侵害に関わる通報・相談については、ホームページのお問い合わせで受け付けています。匿名での通報・相談も可能としており、通報者のプライバシーの保護、通報者への報復行為や不利益な取り扱いの禁止を定めています。 各ステークホルダーから寄せられた人権侵害事象については、企業倫理・人事・調達・法務部門等が連携して調査し、助言・啓発など適切な救済措置を講じ、再発防止に取り組みます。

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-人権リスク評価

人権リスク評価は、企業の方針、事業活動の内容、内部統制システムの運用状況の確認に加え、関係者へのヒアリングにより、取り組みの優先度の高い人権課題を特定するものです。優先度は、事業活動や取引関係を通じて悪影響を及ぼすリスクの重要度と、リスクへの影響力の2つの観点から評価します。

リスク評価の結果、環境・社会への影響、強制労働・奴隷労働(従業員)、労働安全衛生(従業員)、公平なビジネス慣行、製品・サービスに関する品質と安全性、労働環境(従業員)の6項目が取り組みの優先度の高い人権リスクと評価されました。優先度の高い人権リスクについては、国や地域の特性も踏まえてさらなるリスクの低減に取り組み、問題の可能性が発見された場合には適切な対応を図っていきます。

 当社グループは2022年度、自社のグローバルエンジニアリング拠点33か所に対して、「強制労働・奴隷労働」「労働安全衛生」「労働環境」などに関するSAQ(Self-assessment questionnaire)を実施しました。対策を講じるべきリスクの高い拠点はなかったものの、人権侵害のリスク低減に向けてコミュニケーションを継続していきます。またサプライチェーンにおける人権侵害リスクを低減するため、お取引先様の事業所へ環境保全や人権に関するSAQを送付し、その回答を評価しました。高リスク(SAQスコアが50%未満)の事業所16か所へは、改善に向けたコミュニケーションを行います。

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当社グループのTCFDへの対応のガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標については、サステナビリティレポート及びYOKOGAWAレポートにその詳細を掲載しています。

サステナビリティレポート: https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/sustainability/report/

YOKOGAWAレポート    : https://www.yokogawa.co.jp/about/ir/shiryo/annual-ja/

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

[1]業績等の概要

(1) 業績

 世界的なインフレの進行やロシア・ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー需給のひっ迫、資源・原材料価格高騰、地政学的な緊張感の高まりなどが継続している中、今後の国際情勢及び世界経済は不透明感を増しています。

 このような事業環境の中で、当社グループは、中期経営計画「Accelerate Growth 2023」に基づき、「IA2IA/Smart manufacturing の実行と存在価値の変革」、「業種対応力の強化と非業種依存のビジネス拡大」、「収益性の確保と健全な成長」、「社内オペレーション最適化とマインドセットの変革」の4つの基本戦略を中心に、成長に向けて社会共通課題解決を軸とした事業構造の確立に向け取り組んでいます。

 この結果、当連結会計年度における当社グループの業績及びセグメント別の業績は以下のとおりとなりました。

 なお、業績に関する分析については、『[3] 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 (1) 当連結会計年度の財務状況及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容』に記載のとおりです。

 

<連結>

売上高                        4,564億79百万円  (前期比    17.1%   665億78百万円増)

営業利益                        444億9百万円  (前期比    44.8%   137億41百万円増)

経常利益                        486億8百万円  (前期比    36.0%   128億69百万円増)

親会社株主に帰属する当期純利益  389億20百万円  (前期比    83.0%   176億53百万円増)

 

 

<制御事業>

売上高                        4,275億69百万円  (前期比    18.0%   651億60百万円増)

営業利益                        410億81百万円  (前期比    38.1%   113億27百万円増)

 

<測定器事業>

売上高                          250億65百万円  (前期比    18.1%    38億46百万円増)

営業利益                         46億32百万円  (前期比    35.5%    12億13百万円増)

 

<新事業他>

売上高                           38億44百万円  (前期比  △38.7%    24億29百万円減)

営業利益                       △13億4百万円  (前期比     -       11億99百万円損失減)

 

(2) キャッシュ・フロー

 現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ8億36百万円増加し、1,163億78百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費の計上等により、404億22百万円の収入(前期比112億21百万円の収入減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産、無形固定資産、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得等により、329億39百万円の支出(前期比46億11百万円の支出増)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、109億32百万円の支出(前期比52億32百万円の支出減)となりました。

[2]生産、受注及び販売の状況

(1) 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額

 (百万円)

前期比(%)

制御事業

427,569

118.0

 

測定器事業

25,065

118.1

 

新事業他

3,152

56.4

 

合計

455,787

117.1

 

 (注)金額は販売価格によっています。

 

(2) 受注状況

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高

(百万円)

前期比(%)

制御事業

485,440

124.1

 

353,845

126.1

 

測定器事業

28,603

119.3

 

9,227

172.1

 

新事業他

4,344

79.5

 

932

16.2

 

合計

518,389

123.3

 

364,005

124.8

 

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額

  (百万円)

前期比(%)

制御事業

427,569

118.0

 

測定器事業

25,065

118.1

 

新事業他

3,844

61.3

 

合計

456,479

117.1

 

 (注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。

 

[3]経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、本項の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度の財務状況及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 ①当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 なお、当項目内において「FY20」「FY21」「FY22」は、それぞれ「2020年度(2021年3月期)」「2021年度(2022年3月期)」「2022年度(2023年3月期)」の略称です。

<連結>

 当連結会計年度における当社グループの業績は、受注高、売上高、営業利益ともに前期比で増加しました。

 売上のベースとなる受注高については、前期後半から引き続きCOVID-19からの本格的な経済活動の回復を背景としたお客様の投資意欲が堅調であったことや為替の変動影響があったことなどから、前期比で978億93百万円増(+23.3%)の5,183億89百万円となり、為替の変動影響を除くと前期比で約529億円増(+12.6%)となりました。売上高は、前期比で665億78百万円増(+17.1%)の4,564億79百万円となり、為替の変動影響を除くと前期比で約263億円増(+6.7%)となりました。営業利益は、粗利率悪化、販管費増加の影響を受けながらも主に売上高の増加及び為替の変動影響により、前期比で137億41百万円増(+44.8%)の444億9百万円となり、為替の変動影響を除くと前期比で約2億円減(△0.8%)となりました。また、経常利益は前期比で128億69百万円増(+36.0%)の486億8百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比で176億53百万円増(+83.0%)の389億20百万円となりました。

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 また、セグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、次のとおりです。

2022年4月の航空機用計器事業の譲渡に伴い、当連結会計年度より、従来「航機その他事業」としていた報告セグメントを「新事業他」に変更しています。この変更によるセグメントの区分に変更はありません。

<制御事業>

 制御事業の受注高は、前期後半から引き続きCOVID-19からの本格的な経済活動の回復を背景としたお客様の投資意欲が堅調であったことや為替の変動影響があったことなどから、前期比で943億77百万円増の4,854億40百万円(為替の変動影響を除いて約523億円増)となり、売上高は、主に為替の変動影響により前期比で651億60百万円増の4,275億69百万円(為替の変動影響を除いて約273億円増)となりました。営業利益は、前期比で113億27百万円増の410億81百万円(為替の変動影響を除いて約6億円減)となりました。

 制御事業の地域別の受注高は、大半の地域が前期比で増加しました。特に、中東・アフリカ、中南米、インド、北米が好調に推移し、日本、中国も引き続き堅調に推移しました。

 

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 制御事業の業種別の受注高・売上高は、エネルギー&サステナビリティ、マテリアル、ライフのサブセグメントで示しています。

 エネルギー&サステナビリティ事業については、受注高は前期比で453億円増(+25.3%)、為替の変動影響を除いて12.8%増となりました。主にUpstream、Downstream、再生可能エネルギーが伸長しました。売上高は、前期比で285億円増(+17.2%)、為替の変動影響を除いて5.3%増となりました。

 マテリアル事業については、受注高は前期比で445億円増(+28.3%)、為替の変動影響を除いて18.9%増となりました。主にChemicalが大きく伸長したほか、鋼材、電池業種向けなども堅調に推移しました。売上高は前期比で337億円増(+23.4%)、為替の変動影響を除いて13.5%増となりました。

 ライフ事業については、受注高は前期比で45億円増(+8.3%)、為替の変動影響を除いて3.6%増となりました。売上高は前期比で30億円増(+5.7%)、為替の変動影響を除いて0.6%増となりました。

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<測定器事業>

 測定器事業は、主に為替の変動影響により、売上高は前期比で38億46百万円増加の250億65百万円となり、営業利益は前期比で12億13百万円増加の46億32百万円となりました。

<新事業他>

 新事業他は、航空機用計器事業の譲渡に伴い、売上高は前期比で24億29百万円減の38億44百万円となり、営業損失は前期比で11億99百万円損失が減少し13億4百万円の損失となりました。

 

 セグメント別(制御事業・測定器事業・新事業他)の受注高・売上高・営業利益(前期比)は以下のとおりです。

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 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 <当社グループの資本の財源及び資金の流動性>

 a. 資金調達、流動性管理

  当社グループは、成長性戦略投資の実行と安定的な事業運営を行うため、資本効率を高めつつ、事業運営に必要な流動性と多様な調達手段を確保することとしています。事業を行う上で必要となる運転資金や成長のための戦略投資資金を、営業キャッシュ・フローを主とした内部資金だけでなく金融機関からの借入などの外部資金を有効に活用しています。資金調達にあたっては、安全性、資金効率化及び調達コストの抑制を図ることを基本方針としながら複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、十分な流動性を確保していると考えています。

 b. 資産、負債、純資産

  当連結会計年度末の総資産は、売掛金及び契約資産や投資有価証券が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ626億69百万円増加し6,186億37百万円となりました。また、負債合計は、コマーシャル・ペーパーや契約負債が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ161億83百万円増加し2,318億11百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ464億85百万円増加し3,868億25百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.4ポイント増加し、61.4%となりました。

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※本資料では企業連結に係る暫定的な会計処理の確定に伴う過年度遡及修正を反映していません。

 

<キャッシュ・フロー>

  現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ8億36百万円増加し、1,163億78百万円となりました。

  当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費の計上等により、404億22百万円の収入(前期比112億21百万円の収入減)となりました。

  当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産、無形固定資産、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得等により、329億39百万円の支出(前期比46億11百万円の支出増)となりました。

  当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、109億32百万円の支出(前期比52億32百万円の支出減)となりました。

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 ③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は会計方針の選択・適用、また、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、『第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)』に、会計上の見積りを行う上でのロシア・ウクライナ情勢の影響に関する一定の仮定については、『第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)』に記載のとおりです。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)株式取得による会社等の買収

 当社は、2022年12月6日開催の取締役会において、Fluence Analytics Inc.の全株式を取得して完全子会社化することを決議し、2023年1月21日付で株式譲渡契約を締結しました。なお、2023年1月30日付で当該株式の取得を完了しています。

 内容の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

(1) 研究開発の目的

 当社グループは、「YOKOGAWAは計測と制御と情報により持続可能な社会の実現に貢献する YOKOGAWA人は良き市民であり勇気を持った開拓者であれ」という企業理念に基づき、絶え間なく研究開発活動を行い、最先端技術を創出してまいります。

 

(2) 研究開発の体制

 当社グループの研究開発には、お客様のニーズや予測可能な近未来に向けた製品開発・先行開発活動と、不確実で予測不可能な未来における新たな事業機会を探索・創出するイノベーション活動があり、前者を主に事業部が、後者を主にイノベーションセンターが担当しています。

  イノベーションセンターは以下の2つのミッションに基づき活動しています。

 1. お客様が抱える課題に対して、事業部が保有していない技術を補完する研究開発を行い事業範囲を拡大します。

 2. お客様と共に課題解決手段を考え、お客様自身も気付いていない課題を共に発掘し顕在化することで、不確実で予測不可能な未来における新たな事業を創出します。

 

 当連結会計年度における研究開発費の総額(基礎研究である先端技術開発向け研究開発費を含んでいます)は304億92百万円となっています。なお、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発の状況及び研究開発費の金額は次のとおりです。

 

セグメントの名称

 当連結会計年度

(百万円)

制御事業

27,319

測定器事業

2,376

新事業他

796

合計

30,492

 

(3) 制御事業

 プラント、工場などの生産設備の制御・運転監視を行う分散形生産制御システム、生産現場に配置される流量計、差圧・圧力伝送器、プロセス分析計などのフィールド機器、共焦点スキャナ、創薬支援装置、各種ソフトウエアなど、総合的なソリューションに関する研究開発を行っています。

 制御事業における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりです。

・OpreX Data Acquisitionのラインアップとして、ペーパレスレコーダ・データロガー「SMARTDAC+ (スマートダックプラス)」向けに設備・品質予兆検知システムを構築するための、AIを搭載したソフトウェア「設備・品質予兆検知ツール」を発売

・OpreX Analyzersのラインナップであるプローブ形レーザガス分析計「TDLS8200」の防爆仕様品を開発・発売

・OpreX Field Instrumentsのラインアップとして日本防爆と機能安全SIL2に対応した渦流量計の新シリーズ「渦流量計VYシリーズ」を国内で発売

・OpreXTM Field Instrumentsのラインアップとして、ADMAG CAシリーズの後継機種となる電磁流量計の新製品「電磁流量計CAシリーズ」を開発・発売

・コンプレッサー駆動用蒸気タービン制御と複数コンプレッサートレインの統合制御を可能にする、統合生産制御システム「CENTUM VP (センタム・ブイピー)R6.10」を発売

・OpreX Analyzersのラインアップであるプロセスガスクロマトグラフ「GC8000」向けにメンテナンス効率の改善に貢献するソフトウエア「ガスクロマトグラフAIメンテナンスサポート」を開発・発売

 

(4) 測定器事業

 波形測定器、光通信関連測定器、信号発生器、電力・温度・圧力測定器等、先端産業に不可欠なマザーツール

として、お客様の新製品の開発・生産をサポートする電子計測器を研究開発しています。

 測定器事業における当連結会計年度の主な成果は以下のとおりです。

・横河計測㈱が近赤外から中赤外の光スペクトルを高精度に測定でき、かつ従来製品より操作性を飛躍的に向上させた光スペクトラムアナライザ「AQ6375E」、「AQ6376E」を開発・発売

・横河計測㈱が高性能光ファイバ試験器「AQ7280 OTDR」シリーズのラインアップを拡充