本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。
京急グループは、「都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことなどをグループ理念として掲げております。また、グループ理念の持続的な実現が、社会と京急グループの持続可能性を高めることにつながるという考えのもと、グループ理念と不可分一体の方針として、サステナビリティ基本方針を策定しております。今後も、ESG経営の考え方を事業の中心に据え、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。
Ⅰ.概要
現在、2021年度から2023年度までを中期経営計画期間とした総合経営計画を推進しております。2035年度に目指すべき将来像である長期ビジョンの実現に向け、品川・羽田・横浜の「成長トライアングルゾーン」のポテンシャルを推進力とした沿線活性化を図るとともに、人口減少や生活様式の多様化をはじめとした事業環境の変化に対応するための事業ポートフォリオ変革等を推進しております。特に、中期経営計画期間においては、ローコストオペレーションをはじめとする事業構造変革や、不動産事業の強化に注力するとともに、品川駅周辺開発事業等を着実に推進し、グループの持続的な発展を目指しております。
(京急グループ総合経営計画体系図)

(注)京急グループ総合経営計画の詳細は、当社ウェブサイトに掲載しております。
https://www.keikyu.co.jp/ir/policy/vision/
Ⅱ.事業戦略の核となる考え方
「移動プラットフォーム」と「まち創造プラットフォーム」の相互価値提供・価値向上
京急グループの持続的な発展を実現するため、鉄道・バス・タクシー・その他の移動手段の連携、MaaSを活用した快適でスムーズな移動など、高付加価値化した移動サービスを提供する「移動プラットフォーム」と、地域の特性に合わせたエリアマネジメントを通じて、拠点となる駅や周辺地域の魅力を高めることで人の流れを創造する「まち創造プラットフォーム」が相互に価値を提供し合い、双方の価値向上につながる正のスパイラルを拡大させることで、持続的な沿線価値の創造に取り組んでおります。
「移動プラットフォーム」においては、需要に即したダイヤ編成による輸送の効率化、鉄道とバスとの接続の改善、シェアサイクル等との連携などが進んでおります。また、「まち創造プラットフォーム」においては、エリアマネジメント構想「COCOONプロジェクト」を推進しており、観光型MaaSを展開する「三浦COCOON」に加え、「おおたCOCOON」、「横浜COCOON」を開設するなど、まちづくりに向けた地域連携の拠点として沿線地域に順次拡大しております。さらに、京急グループが運営していた三浦半島エリアにおけるレジャー施設について、ブランドやノウハウを持つ外部事業者への賃貸や共同事業への転換を進めております。
このほか、2つのプラットフォームが相互に価値を提供し合い、双方の価値向上につなげるため、各本部およびグループ会社がさらに緊密に連携する体制を構築する必要があると判断し、2023年4月に「新しい価値共創室」を新設しました。「新しい価値共創室」が、京急グループ全体の事業および事業エリアを俯瞰し、グループ横断的な事業戦略の立案・推進をすることで、新しい価値創造の全体最適を図ってまいります。
(相互価値提供・価値向上の概念図)

Ⅲ.中期経営計画の進捗状況
ⅰ.事業環境
新型コロナウイルス感染症の拡大当初と比較し、日本入国時の水際対策の緩和や国内旅行需要の回復等が進んでいるものの、ライフスタイル・ワークスタイルの変化の定着に加え、動力費の高騰等による厳しい事業環境が継続しております。中期経営計画における2022年度の進捗状況ならびに2023年度の取り組み方針および業績予想は、以下のとおりであります。
ⅱ.2022年度の進捗状況(金額は、対2019年度)
事業構造変革による経営基盤の強靭化について、鉄道、バス、ホテル事業におけるローコストオペレーションは概ね計画どおり進捗しております。鉄道事業では、需要に合わせたダイヤ変更やスマートサポートシステム導入等による人件費、委託業務の内製化やデジタル化(業務効率化)による経費および宣伝計画の見直し等による一般管理費をはじめとしたコスト削減を実施した結果、約31億円の費用削減を実現しました。また、バス事業では、路線・営業所の再編等を実施した結果、約36億円の費用削減を実現しました。さらに、ホテル事業では、従業員のマルチタスク化や自動チェックイン機の導入等を実施した結果、損益分岐点売上を約6.5億円引き下げました。
不動産ファンド投資の強化推進については、保有物件を売却して得た資金で私募ファンドへの出資および実物不動産を取得し、利益の拡大を図りました。
また、品川駅周辺開発事業の西口地区・高輪3丁目開発については、2022年11月に建物計画を定める地区計画の都市計画変更を決定しており、2026年度の竣工を目指し、着実に計画を推進しております。
ⅲ.2023年度(中期経営計画の最終年度)の取り組み方針および業績予想
2023年度は中期経営計画の最終年度でありますが、総合経営計画に掲げる指標のうち、営業利益は目標達成とする一方、純有利子負債/EBITDA倍率は目標未達の予想としております。厳しい事業環境においても中長期的な成長を着実に進めるため、中期経営計画における各種取り組みをいっそう推進してまいります。
事業構造変革による経営基盤の強靭化について、鉄道事業では、引き続き委託業務の内製化や保守・点検業務の見直し等を継続して行うことで、コストの削減を目指しております。また、ライフスタイル・ワークスタイルの変化は定着しつつあり、コロナ禍前の輸送水準への回復は困難と認識しております。そのため、コスト削減と営業努力を前提として、2023年10月に運賃改定を実施することで、既存設備の適切な維持更新や安全対策等を進め、鉄道事業運営の健全性を確保してまいります。バス事業では、引き続きダイヤの効率化等によるコストの削減に加え、2023年3月に実施済みの川崎市内線の運賃改定のほか、東京都内や三浦半島での運賃改定の検討・実施によって、営業利益の改善を想定しております。ホテル事業では、引き続き運営効率の向上に努めるとともに、回復傾向にある国内レジャー需要やインバウンド需要の取り込みおよび2024年度以降に開業予定の新館計画を着実に実行してまいります。
不動産事業の強化推進については、引き続き成長トライアングルゾーンを中心とする駅周辺開発、保有物件の流動化によって得た資金の再投資による資産回転型モデルを通じた利益拡大、分譲マンションの安定供給等を推進してまいります。
品川駅周辺開発事業については、西口地区・高輪3丁目開発を中心に、「これからの日本の成長を牽引する国際交流拠点・品川」を目指し、中長期的な成長に向け、各種取り組みを進めてまいります。
なお、2023年度内に高輪3丁目開発の共同事業者であるトヨタ自動車㈱ に対して土地譲渡を予定しているものの、協議中かつ土地区画整理事業のスケジュール変動の可能性があることから、業績予想には織り込んでおりません。引き続き、事業構造の変革および保有資産の有効活用等を推進し、京急グループの持続的な成長に向け、財務健全性の維持に注力してまいります。
(2023年度の業績予想と経営計画における目標水準)
(1)サステナビリティに関する取り組みの全体像
グループ理念・サステナビリティ基本方針に基づき、京急グループが持つ「強み」を最大限に活かし、事業活動を通じて、沿線地域の経済的・社会的価値を持続的に創造してまいります。
サステナビリティへの取り組みを経営戦略と一体的に推進するため、代表取締役社長直轄で執行役員がメンバーとなる「サステナビリティ委員会」において経営戦略およびサステナビリティに関する諸課題を議論し、リスク管理委員会との連携を図ったうえで、「取締役会」に提言・報告することで、「取締役会」が適切に管理・監督を行っております。
京急グループは、公共交通を事業の中心とする企業グループとして、社会生活のインフラを支える存在であり、地域社会に密着し、人々の暮らしに寄り添う活動そのものがESG経営の考え方に則っていると認識しております。このことから、本業を通じて社会課題の解決を図りつつ、気候変動や人的資本をはじめとする社会課題の解決に着実に取り組むことで、地域社会および京急グループの持続的な発展を実現することを、サステナビリティに関する基本的な戦略としております。
以上を踏まえ、京急グループ総合経営計画における「コーポレートサステナブル戦略」において、地域社会および京急グループの持続的発展に寄与する非財務KPIの策定・進捗管理を行っております。(後述の「ホ.指標および目標」を参照)
ハ.人材の育成および社内環境整備に関する方針、戦略
人材の育成および社内環境整備に関する方針、戦略、指標および目標(後述の(3)人的資本・多様性に関する取り組みを参照)
京急グループの持続可能性は、沿線地域の持続可能性と極めて関連が深く、人口減少等による沿線地域の活力低下は重大なリスクと認識しております。また、気候変動に関する移行・物理的リスクおよび人的資本に関するリスクについても、持続可能な企業活動に大きな影響を及ぼすリスクと認識しております。
これらのリスクについては、サステナビリティ委員会をはじめとするガバナンス体制(前述の「イ.ガバナンス体制」を参照)のもと、適切な対応に努めてまいります。
京急グループ共通で取り組むKPI
(2)気候変動への取り組み
京急グループは、世界全体における気候変動による経済をはじめとしたさまざまな分野における影響の大きさに鑑み、気候変動への対応を当社グループのサステナビリティの重要課題として認識しております。
当社グループが運営する公共交通機関は、他の交通手段に比べ、環境にやさしい交通手段であることから、これまでも公共交通の利用促進・モーダルシフトを推進するため、「ノルエコ(乗るだけでエコ)」として取り組みを続けてまいりました。
さらに持続可能な経営を目指すため、昨今の脱炭素による気候変動への対応を世界的な流れとして認識し、2021年度に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同する旨を表明し、2022年度に長期環境目標として「京急グループ 2050年カーボンニュートラル」を策定、TCFD提言に基づく情報開示をいたしました。
今後も引き続き、シナリオ分析による気候関連のリスクおよび機会の影響度を定期的に再確認するとともに、財務インパクトの定量化の拡大を順次進めるなど、開示内容の拡充を図ってまいります。また、温室効果ガス削減に向けた施設・整備の導入等、「省エネ」「創エネ」「再エネ」に資する取り組みを積極的に検討、実施し、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
イ.ガバナンス
(イ)ガバナンス体制
「(1)サステナビリティに関する取り組みの全体像」の「イ.ガバナンス体制」を参照
(ロ)気候変動対策に関するガバナンスの状況(2021年度~)
(ハ)役員報酬制度について
2023年4月から、サステナビリティの取り組みを一層推進することを目的に、執行役員賞与の評価項目の一部に、非財務指標であるESG指標を新たに導入しました。環境については、CDP(注1)による評価結果を指標としております。また、ESG指標で評価される報酬の割合は、執行役員賞与のうち連結業績評価分(注2)の10%となります。
(注)1.企業等の環境関連の戦略や取り組みなどを評価する外部団体
2.賞与標準額を基準として、連結決算を評価する部分(職責や業務分担を考慮し、設定)
ロ.戦略(シナリオ分析)
(イ)分析対象事業
京急グループすべての事業
(交通事業、不動産事業、レジャー・サービス事業、流通事業、その他の事業)
(ロ)シナリオの設定
IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表しているシナリオを参照のうえ、移行リスクと物理的リスクのインパクトの全体的な幅を捉えるため、設定シナリオを脱炭素社会実現シナリオ(世界的な平均気温の上昇を産業革命以前と比べて+1.5℃程度に抑える努力:ネットゼロ排出シナリオ)と地球温暖化が進展するシナリオ(4℃シナリオ)に分け、リスク・機会の抽出と財務影響度評価、またリスクへの対処および機会を捉えた取り組みや今後の方向性を定めました。
(ハ)気候変動によるリスク・機会の抽出ならびに時間軸特定・財務影響度評価
a.脱炭素社会実現シナリオにおける主な移行リスク・機会
(注)1.交:交通事業、不:不動産事業、レ:レジャー・サービス事業、流:流通事業、他:その他の事業
2.時間軸について:短期0~1年、中期~2030年、長期~2050年
3.政策法規制の強化による財務影響度の試算(炭素税等)
(2021年度の排出量と同等の排出が続いた場合)2030年:25億円~39億円/2050年:31億円~70億円
(当社目標の排出量削減を達成した場合) 2030年:21億円~34億円/2050年:0円
b.地球温暖化進展シナリオにおける主な物理的リスク
(注)1.交:交通事業、不:不動産事業、レ:レジャー・サービス事業、流:流通事業、他:その他の事業
2.時間軸について:短期0~1年、中期~2030年、長期~2050年
(ニ)リスクへの対処および機会を捉えた主な取り組み
(注)交:交通事業、不:不動産事業、レ:レジャー・サービス事業、流:流通事業、他:その他の事業
(ホ)シナリオ分析による考察と今後の方向性
脱炭素社会が実現する世界においては、炭素税の導入や排出規制の強化による排出コスト・エネルギーコストの増加ならびに顧客の環境意識の高まりやサプライヤーの環境コストの増加による費用の増大が見込まれます。また、地球温暖化が進展する世界においては、自然災害の激甚化・頻発化により、浸水害の発生リスクが高いエリアの顧客が流出し、交通事業では運休の増加による長期的なサービスの低下や、不動産事業では資産保有機会の低下による売り上げの低迷、レジャー・サービス事業では観光や宿泊等のサービスの提供機会の減少が想定されます。さらに、平均気温の上昇により、空調コストの増加というリスクも高まってくることがシナリオ分析により明らかとなりました。一方で、脱炭素社会が実現する世界においては、環境優位性の維持・向上による公共交通機関利用者の増加や環境性能の高い不動産物件による競争力上昇と売上増加の機会を得ることも想定できました。
これらを踏まえ、京急グループでは、脱炭素社会が実現する世界に向けて、引き続きリスク・機会に対する分析を行うとともに、これらのリスクへの対処と機会を捉えた取り組みを推進することで、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
ハ.リスク管理
「(1)サステナビリティに関する取り組みの全体像」の「ニ.リスク管理」を参照
ニ.指標および目標
(イ)2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みの推進
当社グループの事業活動においては、多くのエネルギーを使用し、それにともない多くの温室効果ガスを排出しております。当社グループでは、長期環境目標として「京急グループ 2050年カーボンニュートラル」を掲げ、京急グループ全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを目指します。この目標を達成するために、①これまでも継続的に取り組んできた「省エネ」に資する施策のさらなる検討・推進、②太陽光発電等をはじめとした「創エネ」の検討、③「再エネ」(再生可能エネルギー)の活用拡大の検討等を積極的に実施することで、世界規模で拡大する地球温暖化への対策に資する取り組みに貢献するとともに、当社グループのサステナビリティに関わる取り組みを推進してまいります。
(ロ)中間目標の設定と温室効果ガス削減進捗状況
2050年カーボンニュートラルの達成に向けて、2030年度において、京急グループにおける温室効果ガスの排出量を2019年度実績と比較して30%削減する中間目標を掲げております。
京急グループ温室効果ガス排出量実績値および目標値
(注)1.数値はscope1・scope2の合算であります。
2.scope3への対応については、今後検討を進めてまいります。
2021年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大による営業活動の停止といった影響も一部ありますが、省エネ施策の推進、再エネの活用といった取り組みの推進により、2019年度比19.2%削減と順調に取り組みが進んでおります。
気候変動への取り組みの詳細は、当社ウェブサイト(
(3)人的資本・多様性に関する取り組み
イ.戦略
京急グループは、重要課題として掲げる「魅力的で働きやすい職場環境」「ダイバーシティ&インクルージョン・人財開発」への取り組みを進め、幅広い事業を支えるプロフェッショナルな人財の活躍を推進しております。
(イ)人事ビジョン
京急グループが培ってきた強みを正しく認識しつつ、さらなる発展に向けて、すべての従業員が理解し、共有すべき価値観であり、挑み続ける目標として人事ビジョン「京急ism」を掲げております。
特に中期経営計画期間においては、「急激な事業環境の変化」に早急に対応するため、「挑戦」を重点キーワードとして、徹底したお客さま志向のもと、グループ全体が一丸となり新たな可能性に挑み、新しい価値を創造する人財集団を目指します。
また、京急ismの実現に向け、「5つのチカラ」をグループ共通の人財育成方針としております。

(ロ)人財育成方針
中長期的な事業ポートフォリオ変革といった経営戦略の実現に向け、求められる人財像を明らかとしたうえで、個々の能力が最大限に発揮できるよう適材適所への配置やローテーション運用等を行うことで、計画的・戦略的なキャリア形成・育成を行い、企業の持続的な成長を図ってまいります。
a.一般職に対する教育基本方針
一般職は、鉄道コース・事務コース・総合コースの3つのコースに分かれており、各コースに期待される人財像と優先的に求められる人事ビジョンのチカラを教育制度によって強化することを目指しております。
b.経営職(課長~部長相当職)の教育基本方針
一般職の間に培った5つのチカラをベースに、さらに中長期的視点からの戦略的経営を担い将来の後継者育成に必要な能力として、「思考性」「価値創造」「業務遂行」「組織管理・人財育成」「コンプライアンス・自己管理」を定義し、これらの能力を強化することを重視しております。
(ハ)社内環境整備に関する方針
京急グループでは、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無などの多様性はもちろん、育児や介護、疾病などに対して多様な働き方ができる環境構築を目指し、ダイバーシティとワークライフバランスに関するさまざまな取り組みを推進しております。
a.組織や人に関するサーベイ等による従業員のエンゲージメント向上
経営計画の浸透度やマネジメントの状況、社員の働きがいに焦点をあてたサーベイを2021年度から実施し、人事制度や運用に反映させその効果を検証することで従業員のエンゲージメント向上を目指します。また、円滑なコミュニケーションの促進による業務遂行や若手社員のキャリア形成支援を目的とした1on1面談を2022年度に試験導入いたしました。
b.社内表彰制度
お客さまからの「感謝・賞賛」のお声をもとに表彰される「お褒めの言葉表彰」や、意欲的に業務・サービスなどに従事した従業員に対し積極的に相互で褒め合う「MC―UP」表彰を実施しております。ほかの従業員の模範となることに加え、「感謝・承認・賞賛」のポジティブコミュニケーションを積み重ねることで仕事に対するモチベーションの向上を図るとともに、社内に褒める文化を広めることで従業員同士の信頼関係を深め、働きやすい職場環境づくりを目指しております。
c.女性をはじめとした多様な人財の活躍を促進
あらゆる職場において、性別やキャリア背景を問わず、個性や強みを発揮し、すべての社員が働きやすいと思える職場環境の整備等により、ワークライフバランスの向上を図っております。また、当社グループ報にて「ダイバーシティ通信」を発信する等、社内制度の周知と浸透に努めております。
d.仕事と育児・介護の両立
勤務体系や場所にしばられず、従業員の多様な働き方を推進するため、時差勤務や時間休暇の制度を導入しているほか、シェアオフィスでの勤務を可能としております。また、多様な働き方を互いにサポートし合える風土を創出していくため、育児や介護の両立を目指した各種制度の運用と支援を実施しているほか、セミナーや研修等を開催し、制度の周知や周囲の多様な働き方への理解促進に努めております。
e.健康経営の推進
当社の従業員およびその家族、ならびに沿線および地域社会で暮らすすべての人々に対する心身の健康の保持・増進を基本とした経営を行うことにより、会社と社会の持続的な発展を目指し、全社員協力のもと健康経営を推進することを宣言しております。
<宣 言>
・当社は、従業員およびその家族、ならびに沿線および地域社会で暮らすすべての人々が安心して健康的な生活を営みつづけられる環境を提供していきます。
・当社全社員は、フィジカル・メンタルのケアをはじめ、健康でいきいきと働くために魅力ある職場づくりを進め、常に働き方を改革する姿勢を持ち実行していきます。
f.人権に対する取り組み
京急グループは、人権の尊重に努めており、すべての従業員が守るべき行動指針である従業員行動基準においても人権尊重に関する内容を明文化し、これらに則って事業活動を推進しております。また、人権啓発に関する取り組みとして、研修や講演会の開催などの取り組みを行っております。
ロ.指標および目標
人財戦略に基づき、さまざまな取り組みを行うことで、当社単体の目標を掲げ、2025年度までに下記数値の達成を目指します。
なお、実績については「5.従業員の状況」に記載しております。
(人的資本における指標および目標)
(注)グループ会社の数値については、連結に及ぼす影響が軽微であることから、単体ベースの数値を記載しております。
当社グループの財政状況および業績に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項については、以下のようなものがあります。当社グループは、これらの事業等のリスクを認識したうえで、事態発生の回避および発生時の対応に努めます。
当該リスクの顕在化する可能性の程度や時期については、現時点において、明確に想定できませんが、事業の遂行にあたっては、取締役会において、想定されるリスクとその対応を含めて、意思決定を行っております。
また、グループ重要リスク調査を実施し、想定しうるリスクの洗い出し、リスクを最小化するための取組計画の策定および取組状況を集約し、取締役会でリスクの確認と対応の方向性について報告した後、グループ会社社長が出席するグループ社長会で共有しております。さらに、リスク管理委員会では当社グループのリスク情報を集約し、一元的に管理することでリスク管理体制の強化に努めております。
また、本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。
(1)社会的・経済的な影響
イ.少子高齢化の進行による影響
少子高齢化の進行などの要因により地域人口が減少した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.リスクが沿線全域に与える影響
当社グループの事業は、都心から品川、羽田空港、川崎、横浜を経て三浦半島に至る当社線沿線を中心とした地域に集中して展開しているため、沿線地域の発展と当社グループの業績は密接な関係にあります。このため、社会的・自然的要因等により沿線地域の発展が阻害された場合、あるいは沿線地域が壊滅的な被害を受けた場合、当社グループは大きな経済的影響を受ける可能性があります。
ハ.生活様式の変化による影響
在宅勤務の増加による移動減をはじめとした生活様式の変化によっては、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ニ.品川駅周辺開発による影響
国土交通省による品川駅西口基盤整備事業の推進に伴い、当社所有地の段階的な譲渡や施設の一部閉鎖など、一時的に当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新しい生活様式や社会的価値観の変化などにより、不動産の賃貸需要が著しく減少した場合、開発計画が変更となる可能性があります。
ホ.羽田空港への新たなアクセス路線による影響
羽田空港への新たなアクセス路線が検討されているため、この推移によっては、将来的に競争の激化により、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ヘ.訪日外国人の減少による影響
世界的な恐慌とりわけアジア諸国における景気の急速な減退、東ヨーロッパおよびロシア地域における政治的・軍事的緊張の高まりによる安全保障情勢の変化、感染症等による国際的な渡航制限等により訪日外国人が大幅に減少した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制・規制緩和等による影響
イ.法的規制による影響
当社グループの基幹事業である交通事業は、鉄道、バスなど公共輸送機関としての性格上、厳格な法規制の下に事業を行っているため、鉄道事業法、道路運送法および労働諸法制の定めにより、事業の拡大・縮小、通常の業務運営、運賃および料金の設定・変更や乗務員の労働条件などにおいて規制を受けており、規制の強化や社会情勢等の変化によっては、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.規制緩和による影響
バス事業等においては、規制緩和による他業種などからの新規参入が容易であることから、引き続き厳しい競争にさらされる可能性があり、これらの推移によっては、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ハ.環境規制による影響
交通事業は、公共交通機関として環境負荷が小さいという長所があるものの、今後、環境に対する規制が強化された場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)財政的な影響
イ.金利変動・格付引下げによる影響
当社グループは、鉄道事業をはじめ各事業において多額の設備投資を行っており、金融機関からの借入金や社債等の有利子負債残高が高水準で推移しております。このため、今後、市場金利の大幅な変動や格付機関による当社発行債券の格付の引下げがあった場合、利息負担の増加や調達金利の変動などにより、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.金融市場の混乱等による影響
金融市場の混乱等により、資金調達に制約を受けた場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ハ.地価・株価の変動や税制の改正による影響
当社グループは、事業の性格上必要な土地(事業用および販売用)や株式などの投資有価証券等を多く保有しておりますが、市況の動向等による地価や株価の大幅な下落や保有に対する課税強化などの税制の改正等があった場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ニ.人件費負担増による影響
当社グループは、主として労働集約型の事業を展開しているため、退職者の増加、採用難による人手不足の影響により、賃金水準が急激に高騰した場合、人件費負担増などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。
ホ.物価・燃料費の高騰による影響
当社グループは、修繕工事等の継続的な実施や事業に必要な電力、軽油等を多大に消費しているため、物価や燃料価格が高騰した場合、あるいはその供給不足が発生した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)事故等による影響
イ.安全を阻害する事態による影響
当社グループは、鉄道、バス、ホテル、百貨店、ストアなどの営業施設を多くのお客さまにご利用いただいており、安全の確保、無事故の継続を最も重要な課題として取り組んでおります。このうえで、不慮の火災や事故・障害の発生など、安全に対する信頼を損なうような事態が発生した場合、当社グループ全体の根幹を揺るがすような重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、食品等を取り扱う各事業において、衛生管理には十分注意しておりますが、当社グループ固有の管理および社会全般にわたる一般的な品質問題等が発生した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.個人情報流出等の問題による影響
当社グループは、鉄道やカード事業をはじめ、各事業において個人情報を保有しており、適正な管理に努めておりますが、万一、個人情報が流出するなどの問題が発生した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)災害・テロ、疾病等による影響
イ.自然災害または不法行為による影響
地震、台風等の自然災害あるいはテロ等の不法行為等により、当社グループの営業施設やコンピューターシステム等の設備の損壊を受けた場合、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
ロ.疾病の発生・流行による影響
新型ウイルスなどによる疾病の発生・流行等による恐慌等により、お客さまや従業員等が罹患し被害を受けた場合、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
とりわけ、新型コロナウイルス感染症の発生は、事業継続基本計画に準じて対応しておりますが、お客さまや従業員に感染する可能性があります。また、訪日外国人の大幅な減少をはじめ、想定を超える悪影響を受ける可能性があり、今後の感染拡大や収束の時期等の状況によっては、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6)不正・不法行為、不祥事等による影響
当社グループは、「コンプライアンス規程」、「京急グループ・コンプライアンス指針」および「京急グループ・役員および従業員行動基準」に基づいてコンプライアンス順守に関する教育を定期的に実施するなどの啓発活動に努めておりますが、役職員等による重大な不正・不法行為、不祥事等が発生した場合、当社グループへの信頼の低下などにより、財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記の記載事項は、当社グループの事業その他について予測される主なリスクを可能な限り具体的に例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものとは限りません。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
また、本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響や物価の上昇などが続いたものの、景気は緩やかに持ち直しました。また、当社グループの事業は、交通事業およびレジャー・サービス事業を中心に、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が残ったものの、回復傾向が続きました。
このような事業環境のなか、当社グループは、2023年度を最終年度とする「京急グループ中期経営計画」に基づき、新型コロナウイルス感染症による急激な事業環境の変化への対応を最優先の課題として、各事業におけるローコストオペレーションおよび不動産事業の強化を推進しました。
以上の結果、営業収益は2,530億5百万円(前期比4.6%減)、営業利益は108億1千9百万円(前期比208.2%増)、経常利益は122億3千3百万円(前期比141.5%増)となりました。これに、特別利益としてバスの営業所等の売却に伴う固定資産売却益を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は158億1千7百万円(前期比26.2%増)となりました。
次に、セグメント別の業績についてご報告いたします。
(イ)交通事業
鉄道事業では、リモートワークの定着などにより、定期券の利用がコロナ禍以前に比べ減少した状態が続いたものの、緊急事態宣言等による社会活動の制限がなかったことなどにより、輸送人員は前期比で12.3%増(定期6.1%増、定期外20.0%増)となりました。また、全国旅行支援および入国者数上限撤廃に伴う航空旅客数の回復により、羽田空港駅の輸送人員は、前期比で54.2%増(第1・第2ターミナル駅48.6%増、第3ターミナル駅94.9%増)となりました。さらに、当社は、羽田空港アクセスの強化を図るため、国土交通省と共同で整備する羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線の工事に着手しました。このほか、投資計画の精査およびスマートサポートシステムの導入による駅業務の省力化等を実施し、コストの削減を図りました。また、引き続き安全対策を最重要課題とし、京急東神奈川駅、日ノ出町駅および汐入駅にホームドアを設置しました。
なお、引き続き安全・安心で快適・便利な輸送サービスを提供し続けていくため、本年10月に鉄道旅客運賃の改定を実施することとしました。
バス事業では、京浜急行バス㈱および川崎鶴見臨港バス㈱は、需要の変化に応じた路線の再編や運行便数の見直しなどを実施し、輸送の効率化およびコストの削減を図りました。また、京浜急行バス㈱は、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして、横浜市において小型電気バスの運行を開始しました。さらに、川崎鶴見臨港バス㈱は、多摩川スカイブリッジの開通を機に、大師橋駅および浮島バスターミナルと天空橋駅を結ぶ新規路線の運行を開始し、利便性の向上を図りました。このほか、川崎市で初となるハイブリッド連節バスを使用したBRT(バス高速輸送システム)の運行を開始し、車内や駅前広場の混雑解消などを図りました。
また、鉄道事業およびバス事業において、お客さまのご利用状況や新たな需要を反映したダイヤ改正を実施し、利便性の向上を図るとともに、沿線のまちづくりと鉄道・バスをはじめとする移動基盤との連携を進めました。
以上の結果、交通事業の営業収益は988億円(前期比14.5%増)、営業損失は7億7百万円(前期は営業損失99億5千4百万円)となりました。
(業種別営業成績)
(提出会社の鉄道事業運輸成績)
(注)乗車効率の算出方法
(ロ)不動産事業
不動産販売業では、当社は、分譲マンション「プライム金沢文庫」および「プレミスト王子神谷」等を、当社および京急不動産㈱は、「プライム川崎小島新田」を完売しました。また、当社は、「ブランズタワー芝浦」の販売および引き渡しを行いました。さらに、当社および京急不動産㈱は、新たにマンション建替事業に参入し、「プライム虎ノ門」の販売を開始しました。
不動産賃貸業では、投資した不動産ファンドからの配当収入が増加しました。また、賃貸オフィスビルや商業施設などで、高稼働率の維持に努めました。
このほか、品川駅西口地区において、11月に都市計画変更がなされるなど、品川駅周辺開発事業が順調に進捗しました。また、当社は、横浜市旧市庁舎街区において、他社と共同で、複合施設の建設に着手しました。
しかしながら、前期に、保有資産を回転させる方針に基づき一部物件を売却した反動などにより、不動産事業の営業収益は505億6千4百万円(前期比36.3%減)、営業利益は65億6千7百万円(前期比40.0%減)となりました。
(業種別営業成績)
(ハ)レジャー・サービス事業
ビジネスホテル業では、京急EXホテル・京急EXインは、新型コロナウイルス感染症の影響が継続したものの、全国旅行支援などにより、回復基調で推移しました。また、ビジネス出張需要の縮小を踏まえ、「京急 EXイン 浅草橋駅前」など4館を閉館し、一時的なダウンサイジングを実施した一方で、インバウンドおよび国内レジャー需要の取り込みを強化するため、「京急 EXホテル 札幌」および「京急 EXイン 京急蒲田駅前」を開業し、順調に推移しました。さらに、創立15周年を記念した宿泊プランを販売するなど、顧客の獲得に努めました。このほか、自動チェックイン機の導入等により業務効率化を図るなど、損益分岐点の改善を進めました。
レジャー関連施設業では、京急開発㈱は、「ボートレース平和島」や「BIG FUN平和島」などにおいて、来場者の獲得に努めました。また、当社は、「都市近郊リゾートみうらの創生」の実現に向けて、長年ご愛顧いただいた「観音崎京急ホテル」の営業を終了し、㈱共立メンテナンスが運営する新ホテルへのリニューアル工事を進めました。
以上の結果、レジャー・サービス事業の営業収益は273億8千8百万円(前期比14.1%増)、営業利益は21億1千7百万円(前期比915.6%増)となりました。
(業種別営業成績)
(ニ)流通事業
㈱京急ストアは、「京急ストア糀谷店」を「業務スーパー」に、「京急ストアグロッサリーマーケット伊勢佐木町店」を「もとまちユニオン」に業態転換するなど、地域特性に対応した店舗展開を図りました。また、緊急事態宣言等による社会活動の制限がなかったことなどにより、㈱セブン-イレブン・ジャパンと業務提携した駅構内や駅前の店舗の売上が増加しました。
㈱京急百貨店は、施設の活性化および経営の効率化を図るため、大型専門店「GU」を誘致するなど専門店化を進めました。また、「ウィング久里浜」をリニューアルし、顧客の獲得に努めました。
以上の結果、流通事業の営業収益は704億4千9百万円(前期比0.9%増)、営業利益は10億5千万円(前期比37.7%増)となりました。
(業種別営業成績)
(ホ)その他
京急建設㈱および京急電機㈱は、ホームドアをはじめとした鉄道の安全対策工事等を行いました。
以上の結果 、その他の事業の営業収益は436億3千6百万円(前期比4.9%増)、営業利益は20億7百万円(前期比19.6%増)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、分譲土地建物の増加などにより、前連結会計年度末と比べ230億3千5百万円増加しました。
セグメントごとの資産の状況は、次のとおりであります。
負債は、長期前受工事負担金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ64億6千7百万円増加しました。
また、純資産は、剰余金の配当などによる減少はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末と比べ165億6千7百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上などにより、247億8千6百万円の資金収入(前期は582億3千万円の資金収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入はあったものの、有形固定資産の取得による支出などにより、240億9千4百万円の資金支出(前期は260億4千5百万円の資金支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の減少などにより、49億6千9百万円の資金支出(前期は284億2千2百万円の資金支出)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ42億6千4百万円減少し、569億6千9百万円となりました。
当社グループの事業内容は広範囲かつ多種多様であり、そのほとんどが生産、受注および販売の形態をとっていないため、「生産、受注および販売の状況」については、「(1)経営成績等の状況の概要」の「イ.経営成績の状況」において業種別営業成績等として記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。また、本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産・負債および報告期間における収益・費用の金額ならびに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況および今後の見通しに応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、異なる場合があります。重要な会計上の見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において判断したものであります。
(イ)棚卸資産の評価
当社グループは、分譲土地建物については、原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しており、これらの価値は、個別物件の販売計画によって見積りを行っております。なお、当該見積りには、営業収益に影響する市況や周辺相場の変動の見込みなどの仮定を用いております。そのため、市況の変化による販売計画の見直し等により、当該見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、損失が発生する可能性があります。
(ロ)固定資産の減損
当社グループは、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象がある場合には、減損損失を認識するか否かの判定を行っております。この判定は、資産または資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって行い、資産または資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。なお、回収可能価額は使用価値及び正味売却価額により測定しており、いずれか高い方の金額としております。
減損損失を認識するか否かの判定や使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローの見積りは、各事業の外部環境に関する情報を総合的に勘案して策定している「京急グループ総合経営計画」に基づいており、当該見積りには、各事業に影響を及ぼす市況の見込みなどの仮定を用いております。
そのため、市況の悪化や各事業の収益力の低下等により、当該見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降において、減損損失が計上され、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、将来キャッシュ・フローの見積り算出における主要な仮定は、ビジネスホテル事業での稼働率、宿泊単価及び正味売却価額等であります。
(ハ)繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の収益力に基づく課税所得の発生時期及びその金額に基づき回収可能性を判断したうえで計上しております。
課税所得の見積りは、各事業の外部環境に関する情報を総合的に勘案して策定している「京急グループ総合経営計画」に基づいており、当該見積りには、各事業に影響を及ぼす市況の見込みなどの仮定を用いております。
そのため、市況の悪化や各事業の収益力の低下等により、当該見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降において、繰延税金資産の追加計上または取り崩しが必要となるなど、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、将来の課税所得の見積り算出における主要な仮定は、鉄道事業での輸送人員、ビジネスホテル事業における稼働率や宿泊単価、不動産売却に関するタックスプランニングであります。
(ニ)退職給付債務および費用の計算
当社グループは、退職給付債務および費用について、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率および長期期待運用収益率等の仮定が含まれます。そのため、将来の不確実な経済条件の変動等により、実際の結果が前提条件と異なることとなった場合、または前提条件に変更が生じた場合、退職給付に係る負債および退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
当連結会計年度の決算については、新型コロナウイルス感染症の影響や物価の上昇などが続いたものの、回復傾向が続いたことに加え、各事業においてローコストオペレーションの取り組みが進んだことなどにより、営業収益は2,530億5百万円(前期比4.6%減)、営業利益は108億1千9百万円(前期比208.2%増)となりました。
交通事業は、鉄道事業では定期外の利用者数が増加したこと、バス事業では空港および中距離路線の収入が増加したことなどにより、125億3千9百万円の増収となりました。また、原油価格高騰の影響により、鉄道の動力費、バス・タクシーの燃料費は、対前年で合計約20億円増加しましたが、鉄道事業において、投資計画の精査および駅業務の省力化に取り組んだこと、バス事業では、需要の変化に応じた路線の再編や運行便数の見直しなどによる輸送の効率化およびコストの削減を実施したことなどにより、交通事業全体で92億4千7百万円の損失縮小となりました。
不動産事業は、不動産賃貸業において、投資した不動産ファンドからの配当収入が増加したものの、不動産販売業において、前期に大型物件を売却したことの反動、および分譲マンションの売上の減少などにより、288億4千9百万円の減収、43億7千万円の減益となりました。
レジャー・サービス事業は、ビジネスホテル業において、全国旅行支援などにより回復基調で推移したこと、自動チェックイン機の導入による業務効率化等、ローコストオペレーションの取り組みによる費用削減を図ったことに加え、レジャー関連施設業において、来場者の獲得に努めたことなどにより、33億9千1百万円の増収、19億9百万円の増益となりました。
流通事業は、ストア業において、前年の内食特需の反動や商品値上げに伴う買い上げ点数の減少などにより減収減益となりましたが、百貨店業、ショッピングセンター業では、新型コロナウイルス感染症の影響縮小により増収増益となり、流通事業全体では、6億2千6百万円の増収、2億8千7百万円の増益となりました。
その他の事業は、工事請負関係において、完成工事が増加したことなどにより、20億4千6百万円の増収、3億2千8百万円の増益となりました。
当連結会計年度の営業外収益は、投資有価証券売却益の増加はありましたが、新型コロナウイルス感染症関連の助成金収入の減少などにより、前連結会計年度の58億7千7百万円から1億6千6百万円減少し、57億1千万円となりました。
営業外費用は、支払利息の減少などにより、前連結会計年度の43億2千2百万円から2千6百万円減少し、42億9千6百万円となりました。
この結果、経常利益は122億3千3百万円(前期比141.5%増)となりました。
当連結会計年度の特別利益は、固定資産売却益の減少などにより前連結会計年度の193億3千1百万円から42億6千6百万円減少し、150億6千4百万円となりました。
特別損失は、固定資産除却損の増加などにより前連結会計年度の40億3千9百万円から9億5百万円増加し、49億4千5百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は223億5千2百万円となり、ここから法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、158億1千7百万円(前期比26.2%増)となりました。
(ニ)指標水準
当社グループでは、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」の「②総合経営計画」に記載のとおり、2021年度から2023年度までを中期経営計画期間と定め、同期間においては、早期に営業利益を回復させ、財務の健全性を維持することを最優先とする方針としており、最終年度である2023年度の指標水準を以下のとおり設定しております。
(2023年度指標水準)
・営業利益 :約230億円
・純有利子負債/EBITDA倍率:8倍以下
(ヘ)資本の財源および資金の流動性についての分析
a.財務戦略
当社グループでは、「持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、格付を意識した財務の健全性の確保に努めるとともに、成長のための投資と株主還元を両立させる」ことを財務戦略の基本方針としております。
なお、2021年度から2023年度までの中期経営計画期間においては、早期に営業利益を回復させ、財務の健全性を維持することを最優先とする方針とし、品川駅周辺開発事業などの大規模投資を着実に推進するため、キャッシュ・フローの強化および改善を図ってまいります。
b.資金調達
当社グループでは、鉄道事業をはじめ各事業において多額の設備投資を継続して行っており、事業の特性に鑑み、その資金は金融機関からの借入や社債の発行など長期の負債を中心に、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら調達しております。
c.資金の流動性
当社グループでは、鉄道事業を中心に日々の収入金があり、また、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、グループ内余剰資金の有効活用に努めているほか、災害等緊急時においても機動的な資金確保ができるよう震災対応型コミットメントラインを設定していることから、緊急時の一時的な対応も含め、必要な流動性資金は十分に確保しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響への対策として、借入金の調達等により、十分な手許資金を確保しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。