第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、別段の表記がない限り、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

私たちは、「INFRASTRUCTURE+LIFE+INNOVATION」を企業理念に掲げ、アルゴリズムとテクノロジーでこれまでのインフラを再定義し、未来の社会を支えるインフラを創造していくことをミッションにして活動しております。テクノロジーはいつの時代も、暮らしを豊かに、そして社会を大きく変えてきました。しかし世界は今、持続可能な社会の実現という課題に直面しております。

「未来につづく社会を実現するためには社会の基盤であるインフラにイノベーションを起こすからこそ、新たな未来が拓ける」

私たちのテクノロジーでインフラを進化させ、そしてその先もつづく持続可能な社会をつくることを目指しております。

 

(2) 経営環境

当社が事業展開している産業分野ごとの経営環境を次のとおり認識しております。

① 国内AI関連市場

国内AI関連市場では、先進技術やデジタル化を実現するソリューションの一要素としてAI技術の活用が進展しており、労働力不足の解消、人的コストの削減、新たなビジネスの創出を目的にAI技術を様々な業務に適用する動きが活発化しております。デジタル上でのデータ管理、業務活動のオンライン化等、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた機運の高まりに伴い、市場全体が好調に拡大してまいりました。

引き続きDXに向けた投資拡大の一環としてAI開発及び活用の内製化への取り組みが進展しており、PoC(Proof of Concept:概念実証)の段階から実稼働、運用・サポートの領域までPDCAサイクルを実現する企業が増加しております。COVID-19感染拡大対応に向けた各種システムの見直しも落ち着き、AI活用に向けた投資が一層拡大しております。

今後においても、アプリケーション機能の高度化や特定業務に特化したシステム活用を目的に投資が拡大するとともに、内製化に向けた潮流も一層強まっていくことが予測されます。特にAI基盤(プラットフォーム市場)が大きく伸長していくものとみられており、当社が関連するAIビジネスの市場規模(製造業、流通業、情報通信業、社会インフラ業の合計)は、2027年までに1.1兆円を超えると予測されております。

 

当社が関連する国内AIビジネスの市場規模

 


 

参照文献:富士キメラ総研:「2022人工知能ビジネス総調査」より当社作成

※国内AIビジネス市場の業種別市場動向において、製造業、流通業、情報通信業、社会インフラ業の数値を単純合算

 

 

② 国内脱炭素関連市場

国内脱炭素関連市場では、日本政府が2050年カーボンニュートラルの実現に向けて「グリーン成長戦略」を策定しており、中でも成長が期待される産業として14分野が挙げられております。具体的には、ⅰ)エネルギー関連:①洋上風力、②燃料アンモニア、③水素、④原子力、ⅱ)輸送・製造関連:⑤自動車・蓄電池、⑥半導体・情報通信、⑦船舶、⑧物流・人流・土木インフラ、⑨食料・農林水産、⑩航空機、⑪カーボンリサイクル、ⅲ)家庭・オフィス関連:⑫住宅・建築物/次世代型太陽光、⑬資源循環、⑭ライフスタイルであります。政府はこれらの施策による経済効果を2030年に年約140兆円、2050年には年約290兆円と見込んでおり、目標年度(2050年度)に向けて企業のグリーン投資が長期的に活発化していくとみられております。民間企業においても大企業を中心にこれらの政策に歩調を合わせて研究開発等が進められております。(出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」)

ただし、これらの技術革新や社会インフラにおいては、急激な変化に伴う社会混乱を避けるためにも、既存の技術や設備等との併用並びに緩やかな移行が行われるものと推測されます。当社の持つ最適化技術は、各企業の判断をサポートする有効なツールになるものと考えております。

③ 電力・エネルギー関連市場

電力・エネルギー関連市場では、環境問題への意識の高まりと需給バランスの変化に伴い、価格競争やエネルギー貯蔵技術の急速な変化が起こっております。近年では、AIによってその効率化の監視やコントロールが行われるようになってきております。ただし、これには多額の投資が必要とされており、この分野における技術の成長を妨げる最大の課題の1つとなっております。また、日本政府によるグリーン成長戦略でも示されているとおり、水素や原子力といったエネルギー開発が注視されており、今後もその重要性は高まるものと推測されます。これらを踏まえ、電力及びエネルギー市場においては、発電量、備蓄量、原材料等の輸送に係る各種計画の最適化が重要となり、これを実現するための最適化システムの需要は高まり続けるものと考えられます。(参考:iCrowdNewswire「エネルギー・公益事業市場のAIは、2026年までに45億ドルに達すると予測」)

④ サプライチェーン関連市場

サプライチェーン関連市場では、調達、製造、在庫管理、輸送とロジスティクス、カスタマーサポートサービス等、分野ごとの問題や課題に対応しつつ、サプライチェーン全体での最適化への取り組みが始まっております。AIベースのシステムによるサプライチェーンの意思決定、プロセスの自動化、さらに分野ごとのAI適用とサプライチェーン全体でのAI適用が相互に関連することにより、サプライチェーン関連市場全体でのAI技術採用の加速化が進んでおります。(参考:株式会社グローバルインフォメーション市場調査レポート:「サプライチェーン向けAI(人工知能)の世界市場の予測 - アプリケーション別、タイプ別、機能別、エンドユーザー別、地域別:2021年~2028年」、「サプライチェーンマネジメントにおける資産追跡とAI市場(2021年~2026年)」、「世界のサプライチェーン管理(SCM)における人工知能の成長機会」)

⑤ スマートシティ関連市場

スマートシティ関連市場では、ICT等の情報通信技術やAI等の情報処理技術の進展に伴い、交通や人流等の都市に関する様々なデータを活用し、都市の課題を解決していくスマートシティへの注目が高まっております。また、都市におけるデータの収集・分析は加速し、急速にスマートシティが整備されていくと考えられ、既に様々な取り組みが始まっております。都市内でサービスを提供するための共通機能(認証技術や画像解析技術等)やインフラ管理体制(クラウド環境、カメラやセンサー等の機器を含む)の整備等に関する市場は、2018年から2025年の間に5,000億円拡大すると予測されております。(出典:国土交通白書2020)

 

(3) 中期的な経営戦略

当社は社会インフラ領域で人々の生活に変革をもたらすことを目指し、主にAIアルゴリズムの技術を用いた「計画最適化」の研究開発と社会実装を通じて様々な社会問題を解決し、より良い未来の実現に貢献するべく事業を展開しております。社会インフラ領域において、当社は電力・エネルギー分野、物流・サプライチェーン分野、都市交通・スマートシティ分野の3分野に注力しております。電力・エネルギー分野1社当たりの売上高は3.0兆円(国内電力事業会社上位10社(注1)平均売上。出典:2022年度決算短信)、物流・サプライチェーン分野1社当たりの売上高は1.5兆円(国内物流事業会社上位10社(注2)平均売上。出典:2022年度決算短信)であり、上位各社の事業規模が大きい市場であります。また、国内製造業企業数は34万社(出典:令和3年経済センサス)であり、母数が大きい市場であります。なお、都市交通・スマートシティ分野については、まだ市場が形成されていない状況であるにもかかわらず、2025年度には約1.2兆円の市場規模が想定されており、当社が関与可能な5G関連以外のスマートシティにおけるシステム関連市場だけでも9,240億円となっております(出典:国土交通白書2020)。

現在当社がサービスを提供している各分野における計画最適化のソリューションは、顧客のコア業務である計画業務に関わっており、企業活動の中心的な業務をサポートするという性質上、今後そこから派生する様々な計画業務に拡張・展開していくことが可能となります。また、計画最適化は高度な技術を要求されるため、一般的なITベンダーの参入障壁が高い分野であります。当社はそのような市場環境と、顧客ニーズに対してアルゴリズムの技術を用いた計画最適化ソリューションを展開することにより事業成長を目指してまいります。加えて、各分野における不特定多数の企業に対して、計画最適化システムをSaaSにて提供するインダストリークラウドやAIによる開発の半自動化の研究開発、最適化技術を用いた材料開発等、関連領域の研究開発を進め、事業成長の加速に繋げてまいります。

 

(注) 1.国内電力事業会社上位10社は、東京電力ホールディングス株式会社、株式会社JERA、関西電力株式会社、中部電力株式会社、東北電力株式会社、九州電力株式会社、中国電力株式会社、電源開発株式会社、北海道電力株式会社、四国電力株式会社となっております。

2.国内物流事業会社上位10社は、日本郵政株式会社(郵便事業)、日本郵船株式会社、ヤマトホールディングス株式会社、日本通運株式会社、SGホールディングス株式会社、株式会社商船三井、川崎汽船株式会社、ロジスティード株式会社、近鉄グループホールディングス(国際物流事業)、センコーグループホールディングス株式会社となっております。

 

(4) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、フリー・キャッシュ・フローの拡大が企業価値向上に寄与するものと考えており、中長期かつ持続的な成長を実現するため、取引企業数の拡大とCLTVの向上を重視しております。CLTVの向上は、取引先にAIエンジン開発、業務システム実装、運用・サポートまでを総合的に提供し、中長期的な関係を構築することを意味しており、取引企業数の向上と相まって、ストック型売上の拡大につながっていくことから、中期的かつ持続的な成長の実現に寄与するものと考えております。

また、営業利益の持続的成長を実現するため、売上高成長率及び営業利益率を企業経営の基本的な指標としつつ、それらに加えて、最先端のテクノロジー企業で在り続けるために、エンジニアの有償稼働率を一定の水準に抑え、研究開発、能力開発に時間を充てることができるようにしております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等

当社の対処すべき主要な課題は次のとおりであります。

① 開発体制の強化

安定的かつ着実な事業拡大を図る上では、既存顧客の契約を継続することや、案件数等が増加した場合においても、収益率を高水準に維持し、かつ顧客サービスのパフォーマンスを維持・向上することが重要であると考えております。そのために、優秀な人材の積極的採用、開発プロセスの継続的見直し、社内におけるノウハウ共有や教育訓練等の実施のみならず、エンジニアが能力を十分に発揮できる環境づくりも含めて、より強固な開発体制の構築に取り組んでおります。

② 顧客基盤の拡大

当社は、サービスをユーザへ直接提供しておりますが、今後も顧客基盤の拡大が課題であると認識しております。ウェビナー開催、展示会出展及びインサイドセールス等による新規顧客獲得を通じて、顧客基盤の拡大を図っております。引き続き、既存顧客の成功例も活用し知名度向上を図るとともにマーケティング活動を強化することで顧客基盤を拡大してまいります。

③ 既存顧客へのアップセル・クロスセル(注3)

当社の顧客は、電力会社や海運会社等の売上規模が大きい企業が多く、多種多様な計画を有しております。日次・週次・月次・年次といった様々な期間の計画や、電力会社で例えると電力需給、燃料調達、メンテナンス、期間・ロバスト最適、火力・連接水系最適、入札といった様々な種類の計画があり、期間と種類を掛け合わせた数だけ計画があります。1つの計画にとどまらず、その他の計画に対しても最適化の範囲を拡張し、戦略的にCLTVを最大化していくことにより当社の売上を拡大することが、当社の成長にとって重要な課題と考えております。

④ ストック型売上比率の増加

当社は、AIエンジンの開発(AI開発)、AIエンジンを搭載した業務システムの顧客への導入(プラットフォーム開発)、運用・サポートの順でプロジェクトを進めるビジネスモデルを展開しております。当該ビジネルモデルにおいて、AI開発及びプラットフォーム開発は、都度、開発フェーズごとに顧客と合意する対価及び期間にて売上を計上するビジネスモデルであり、「フロー型売上」と位置付けております。他方で、運用・サポートは、当社が提供するシステムのスイッチングコストの高さから複数年の契約が見込めるビジネスモデルであり、年間を通じて一定の売上を計上する「ストック型売上」と位置付けております。当社は、新規顧客獲得や既存顧客へのアップセル・クロスセルを展開してAI開発及びプラットフォーム開発というフロー型売上を拡大させることで、その後の運用・サポートというストック型売上の拡大を図り、安定した成長と収益を確保することが必要であると考えております。特にインダストリークラウドによる新規顧客開拓を通じてストック型売上の拡大を図ってまいります。

⑤ 資本構成の最適化

当社は、これまで主力事業であったエネルギーソリューション事業からAI開発事業への事業転換を進めるため、財務上の安全性を重要な経営課題の1つとしてまいりました。現在は、AI開発事業の単一セグメントになり、計画最適化のシステムに対する運用・サポートというストック型売上が堅調に推移しております。このことから財務リスクは低下基調にあり、今後においては借入金等の有利子負債の有効活用を通じて資本コストを低下させ、資本構成の最適化という観点も踏まえ、企業価値向上を目指してまいります。

⑥ 新技術への対応

当社が強みとするAI関連の技術は、将来的な利用可能性の高さから世界的に研究開発が活発に行われております。このような事業環境の下で当社が事業を継続的に拡大していくには、新技術動向の把握と新技術への適時対応が必要であると考えております。このような考えに基づき当社は2017年より量子コンピュータ上で動作する量子アルゴリズムの研究開発を行っており、複数の特許を出願しております。今後さらに増大していく計算量への対応策として先行して開発成果を実用化させることにとどまらず、様々な分野の新技術動向を注視し当社の成長に繋げてまいります。

⑦ 内部管理体制の強化

当社は、事業内容の進化により、事業・組織両面での成長を続けている段階にあって、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。このため、経営体制の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するため、より強固な内部管理体制の構築に取り組んでおります。

⑧ 情報セキュリティの強化

当社は、AI開発、プラットフォーム開発、運用・サポートの遂行過程において、秘密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、情報セキュリティ管理規程等に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備等を継続して行ってまいります。

⑨ 脱炭素社会実現への貢献

当社が注力分野としている電力・エネルギー分野、物流・サプライチェーン分野、都市交通・スマートシティ分野はいずれも計画最適化により化石燃料の消費を削減することが可能であり、顧客のコスト削減と併せて環境保護に貢献できる分野となります。当社のAI技術をもってより多くの顧客の計画最適化を実現し、脱炭素社会実現への貢献を目指します。

 

(注) 3.アップセル・クロスセルとは、1つの計画にとどまらず、その他の計画に対しても最適化の範囲を拡張することを指します。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社においては、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と同様となります。当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 

(2) 戦略

当社は、「INFRASTRUCTURE+LIFE+INNOVATION」を企業理念と定め、社会インフラにイノベーションを起こし、インフラ全体の最適化を目指し、社会に貢献することをミッションに活動しております。具体的には、電力・エネルギー、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティという3分野において、電力需給計画、プラント制御、配船計画、生産計画、空調熱源制御等の最適化を実現するシステムを提供し、エネルギー消費量の削減に貢献しております。したがいまして、当社の事業の拡大自体が、環境負荷を低減し、持続可能な社会を実現するための重要な手段になり、サステナビリティに関する最重要課題になると認識しております。

当社は、この課題解決のために最も重要な経営資源を人材と考えており、多様性に富んだ優秀な人材を積極的に採用し、その能力を最大限発揮できる環境の整備を継続して進めてまいります。

 

(3) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社は、優秀な人材の採用及び定着を目的として、コアタイムなしのフレックス制度やリモートワークを取り入れた勤務制度を採用し、場所及び時間に対する裁量を拡大し、従業員個人のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を可能としております。また、多様性に富んだ組織として最大限力を発揮するため、積極的に外国籍の従業員を採用し、国籍問わず適材適所の登用を行っております。

入社後の育成については、プロジェクトマネジメントや開発のスキルアップを目的としたエンジニア研修、会計・人事・経営をテーマにしたマネジメント研修を行っております。加えて、量子コンピュータや最適化について、大学教授等の専門家とアドバイザリー契約を締結することで従業員が専門家に直接相談をできる体制を構築し、従業員一人一人が意欲をもって成長できる環境を整備しております。

 

(4) リスク管理

当社は、コンプライアンス・リスク委員会を設置し、リスク防止に関する方針及び対策等を審議し、コンプライアンスの徹底を図っております。当委員会は、取締役4名、常勤監査役1名、その他従業員(内部監査室長、事業部長等)が参加し、幅広い視点からディスカッションを行います。リスクを網羅的に把握した上で、その発生確率や重要性を加味して審議し、当社の持続的な成長に向けたリスク管理を徹底しております。

 

(5) 指標及び目標

当社では、上記「人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」に記載した方針に基づき、人材の育成・強化に取り組み、成長戦略の実現及び企業価値向上に繋げてまいりますが、具体的な指標及び目標については、現在策定中であり記載を省略しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社は、事業展開上のリスクになる可能性があると考えられる主な要因として、以下の記載事項を認識しております。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 事業環境に関するリスク

① 景気動向及び業界動向の変化について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

企業を取り巻く環境や労働人口減少に伴う企業経営の効率化等の動きにより当社が事業を展開するAI技術を用いた計画最適化市場は今後も拡大すると予想されるものの、景気による影響や各種新技術の発展による影響を受ける可能性があります。当社が事業を展開する市場においては、経済情勢や世界的に研究開発が進んでいるAI関連技術の技術革新等により事業環境が急速に変化する可能性があり、そのような経済情勢及び技術革新等への対応が遅れた場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社はこうした技術革新等による事業環境の変化に対応できるよう研究開発活動を推進することに加え、社外取締役を含むAIや産業分野を専門とする大学の研究者と連携し、最新の研究技術を取り込む体制を構築することで事業環境の変化に対応できるよう対策を講じております。

② 競合について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の事業に関する競合企業はあるものの、製品・サービスの特性、その導入実績、最適化技術等、様々な点から他社と比較して優位性を確保できていると認識しております。特に、当社は社会インフラ分野に特化して計画最適化システムの開発を行っており、当該開発を通じて蓄積されたノウハウ面で先行優位性があるほか、既に複数の大手企業にシステムを実装・提供し、運用・サポートサービスを開始しているため、競合企業にとっても参入障壁が高いものと認識しております。他方で、将来の成長が期待される市場であり、国内外の事業者がこの分野に参入してくる可能性があります。このため先行して事業を推進していくことで、さらに実績を積み上げて市場内での地位を早期に確立してまいります。しかしながら、今後において十分な差別化等が図られなかった場合や、新規参入により競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 業績変動に関するリスクについて

① 四半期ごとの業績変動等について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社のAI開発事業における売上高は、顧客との契約形態に従った適切な収益認識基準に基づいて計上されております。各プロジェクトにおいては、見積り時に想定しなかった事実の発覚、不測の事態の発生等により、プロジェクトの開始時期や納期に変動があった場合、四半期ごとの業績に影響が生じ、結果として通期業績に影響が生じる可能性があります。このような事態を回避するため、顧客との業務範囲・要件の明確化を図るほか、プロジェクトの積み重ねによる工数見積り精度の向上を図ってまいります。

② プロジェクト収支の悪化による業績変動の可能性について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、プロジェクトごとに収支管理を行っておりますが、プロジェクトの状況によっては当社の業績に影響が生じる可能性があります。また、各プロジェクトについては、想定工数を基に見積りの作成をしており、乖離の生じないように工数管理を行っておりますが、見積り時に想定しなかった事実の発覚、不測の事態の発生等により工数が増加した場合、プロジェクト収支の悪化を招き、当社の業績に影響が生じる可能性があります。このような事態を回避するため、顧客との業務範囲・要件の明確化を図るほか、プロジェクトの積み重ねによる工数見積り精度の向上を図ってまいります。

③ AI開発事業の業容拡大期における業績変動について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、2016年6月期よりAI開発事業を始め、着実に実績を積み上げてまいりましたが、運用・サポートの開始は2022年6月期であり、開発の実績及び経験について今後も積上げが必要な段階にあると考えております。そのため、新規受注の進捗の遅れや開発期間の延長により売上が下振れる場合があり、当社の業績に影響が生じる可能性があります。また、AI開発及びプラットフォーム開発における新規受注の進捗の遅れは、運用・サポートというストック型売上の伸び悩みにも繋がり、同様に業績に影響が生じる可能性があります。このような事態を回避するため、受注進捗に合わせた営業活動の適切なマネジメントや開発の標準化及びモジュール化を推進してまいります。

④ 繰延税金資産の回収可能性の評価における影響について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることに加え、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提となる条件や仮説に変更が生じた場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 技術革新の影響によるリスク(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の事業に関連するAI技術は、世界的に研究開発が進んでおり、技術革新のスピードが極めて速い分野であります。当社はこうした技術革新に対応できる研究開発活動を推進することに加え、社外取締役を含むAIや産業分野を専門とする大学の研究者と連携し、最新の研究技術を取り込む体制を構築することで、AIを活用した事業により事業基盤の拡大を図ってまいります。しかしながら、技術革新への対応が遅れる可能性もあり、その場合には当社の競争力が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) コンプライアンス・法的規制に関するリスクについて

① 法的規制等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、当社の事業を制限する直接的かつ特有の法的規制は本書提出日時点において存在しないと考えております。しかしながら、今後、当社の事業を直接的に制限する法的規制がなされた場合には、当社の事業展開は制約を受ける可能性があります。当社としては引き続き法令を遵守した事業運営を行っていくべく、今後も法令遵守体制の強化や社内教育等を行っていく方針でありますが、今後当社の事業が新たな法的規制の対象となった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 知的財産権について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、事業運営の際に第三者の知的財産権侵害等が起こらないような管理体制を構築しておりますが、第三者の知的財産権に抵触しているか否かを完全に調査することは極めて困難であります。このため、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償又は当該知的財産権の使用に対する対価の支払い等が発生する可能性があり、その際には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。このような可能性を最小化するため、特許の侵害調査については、新規の製品・サービスの提供開始に先立つ個別調査と、継続的な年次調査を行うこととしております。

③ 情報管理について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社では、その業務の性格上、顧客側で保有している秘密情報(経営戦略上重要な情報等)に触れる場合があります。情報の取扱いについては、情報セキュリティ管理規程等を整備し、適切な運用を義務づけております。このような対策にもかかわらず当社の人的オペレーションのミス、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入等による情報流出、重要データの破壊、改竄等により何らかの問題が生じた場合には、当社が損害賠償責任等を負う可能性や顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、その場合は当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 訴訟等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社では、本書提出日現在において業績に影響を及ぼす訴訟等は生じておりません。しかしながら、今後何らかの事情によって当社に関連する訴訟等が発生する可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過又は結果によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。訴訟等への発展を未然に防止するため、コンプライアンス・リスク委員会においてリスク管理に必要な情報の共有化を図り、コンプライアンスに関する取り組みを推進するほか、コンプライアンス違反の事例が生じた場合に迅速な対応、事実関係の調査、再発防止策の立案等を行うこととしております。

 

(5) 事業運営体制に関するリスクについて

① 小規模組織であることについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は2023年6月30日現在、従業員85名と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものとなっております。当社は今後の事業拡大に応じて従業員の育成、人員の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 人材の確保と育成について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は今後更なる成長を成し遂げていくため、優秀な人材の確保と育成を重要課題の1つであると位置付けております。当社は優秀な人材の採用を進めるべく採用手段の拡充等の採用施策を講じておりますが、これらの要員を十分に採用できない場合や、採用後の育成が十分に進まなかった場合、あるいは在職中の従業員が退職する等した場合には、受注するプロジェクトの開発に制約が発生することや、受注したプロジェクトの品質・利益率の低下を招き、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 特定人物への依存と筆頭株主との関係性等について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の代表取締役社長である曽我部完は、当社の創業者であり、設立以来当社の経営方針や事業戦略の立案やその遂行において重要な役割を担っております。当社は特定の人物に依存しない体制を構築するべく、他の役員や従業員への情報共有や権限の委譲によって同氏に過度に依存しない組織体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の当社における業務遂行が困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、同氏の資産管理会社である株式会社Weは当社の筆頭株主であるほか、同氏が過去に代表取締役(2021年9月退任)であった株式会社清長の全株式を保有しております。同社は物流アウトソーシング事業及び物流コンサルティング事業を営んでおりますが、当社の事業との関連性はありません。そのため、これらの会社と当社との間で関連当事者取引の発生は想定しておりませんが、取引が発生する場合には、関連当事者取引管理規程に従って管理することにより、統制を図ってまいります。当社は関連当事者取引管理規程において、原則として関連当事者取引を行わないことを方針として明記しつつ、例外的に関連当事者取引を開始する場合には取締役会(本書提出日現在において独立社外取締役2名を含む。)の承認を得た上で実施し、実施について取締役会に報告することとしております。

④ 内部管理体制について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、今後の事業運営及び業容拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しており、今後、事業規模の拡大に合わせて、システムの導入及び人員の拡充により内部管理体制も充実・強化させていく方針であります。しかしながら、事業規模に応じた内部管理体制の整備に遅れが生じた場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) その他のリスクについて

① システムトラブルについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の事業には、PCやコンピュータシステム並びにこれらを結ぶ通信ネットワークを利用するサービスが存在しております。そのため、これらにトラブルが発生した場合には、業務遂行に障害が生じます。当社では、システムトラブルを回避するために、サーバ負荷の分散、サーバリソース監視、定期バックアップの実施等の手段を講じることでトラブルの防止及び回避に努めております。しかしながら、自然災害や事故等により予期せぬトラブルが発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が利用しているクラウドサーバの稼働にトラブルが生じた場合、当社が提供するサービスの安定稼働に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 海外展開について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社はこれまで国内を中心に事業展開をしてまいりましたが、社会インフラの業務オペレーションの多くは世界共通であり、インダストリークラウドを強みとして今後は海外における事業展開も検討してまいります。海外展開におきましては、為替変動、進出国の経済動向、政情不安、法規制の変更等多岐にわたるリスクが存在し、リスクが顕在化した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社はこれらのリスクを最小限にすべく、現地専門家の起用等を含め、十分な対策を講じた上で事業展開を進めていく方針であります。

 

③ 配当政策について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元政策を決定していく方針であります。しかしながら、当社は、成長過程にあり、現時点では事業の効率化と事業拡大のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案し、利益還元を行うことを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

④ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、企業価値向上に対する役員及び従業員等の意欲向上を目的として時価発行新株予約権信託を導入しており、会社法の規定に基づく新株予約権を当社の役員及び従業員等に付与することが可能となっております。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は597,000株であり、当社発行済株式総数の4,684,200株に対する潜在株式比率は12.7%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の株式価値が希薄化する可能性があります。

⑤ M&Aによる影響について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、事業拡大を加速する有効な手段の1つとして当社に関連する事業のM&A戦略を検討していく方針であります。M&A実施に関しては、対象企業の財務・法務・事業等について事前にデューデリジェンスを行い、十分にリスクを吟味した上で決定いたしますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、また事業の展開等が計画どおりに進まない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

⑥ 資金使途について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社株式上場時の公募増資による調達資金の使途については、主に持続的な成長の実現に向けたプロダクト開発等の研究開発費、事業拡大に向けた優秀な人材の採用費及び人件費、販路拡大に向けた広告宣伝費等に充当する予定であります。しかしながら、急速に変化する経営環境へ柔軟に対応していくため、投資による期待どおりの効果があげられなくなる可能性や、場合によっては資金使途の変更が生ずる可能性があります。この場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 関連会社が保有するメガソーラーに関する災害リスクについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影度:小)

関連会社(H&Gソーラー合同会社)が福岡県にメガソーラー施設を1か所保有しております。同施設が災害等の不測の事態により被害を受け又は周辺住民に被害を与えた場合、関連会社の業績に影響が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このような不測の事態に備え、火災保険・賠償責任保険に加入しております。

⑧ 大規模な自然災害等について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社又は当社の取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 財政状態の状況
(資産)

当事業年度末における総資産は1,576,114千円となり、前事業年度末と比較して273,177千円増加いたしました。流動資産は1,277,296千円となり、258,862千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が53,346千円、売掛金及び契約資産が197,881千円増加したことによるものであります。固定資産は298,818千円となり、14,315千円増加いたしました。これは主にソフトウエア及びソフトウエア仮勘定が11,987千円減少した一方で、繰延税金資産が28,722千円増加したことによるものであります。

(負債)

当事業年度末における負債は409,737千円となり、前事業年度末と比較して44,645千円増加いたしました。これは主に長期借入金が60,100千円減少した一方で、契約負債が64,685千円、未払費用が27,213千円、その他に含まれる未払消費税等が16,874千円増加したことによるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産は1,166,377千円となり、前事業年度末と比較して228,532千円増加いたしました。これは当期純利益の計上により利益剰余金が228,532千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス対策の緩和と終了による社会経済活動の再開に伴い、コロナ前の水準へと回復が見られました。しかしながら、ロシア・ウクライナ危機の長期化や世界的な金融引き締めによる経済への悪影響が懸念されるなど、先行きの不透明な状況が続いております。その影響はエネルギー価格の変動にも波及し、地政学リスクを踏まえた上での安定的かつ経済的なエネルギーの需給体制が求められ、エネルギー消費の効率化が社会全体の重要な課題の一つとして考えられております。

一方で、エネルギー関連の課題も含め様々な課題解決に向けて、デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、AI技術の実装による変革は多くの企業にとって重要な戦略として位置付けられ、その投資は底堅い成長を続けております。IT専門調査会社IDC Japan株式会社によると、2022年の国内AIシステムの市場規模は3,883億円となり、2022年から2027年までの年間平均成長率は23.2%で推移し、2027年には1兆1,034億円になる予測となっております(出典:2023年4月27日 IDC Japan 2023年国内AIシステム市場予測)。

このような状況下、当社は電力・エネルギー、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティの3分野に注力し、電力需給計画、プラント制御、配船計画、生産計画、都市計画、空調熱源制御等に対して計画最適化を行うAIエンジン及びプラットフォームの開発、運用・サポートを一貫して提供しております。これまでの計画業務は、オペレーションを熟知した熟練人材による多大な労力により成立しておりましたが、AI技術や数理最適手法を用いた当社の計画最適化サービスは、複雑かつ不確実性の高いビジネス環境下でも短時間で最適な計画を提供し、属人性を排することを可能としております。加えて、電力や物流等の事業会社を中心にエネルギー消費量の削減を可能とし、投資効果を明示できるサービスでもあることから、当社の事業に対する期待は一層高まっております。

当事業年度は、引き続き電力・エネルギー、物流・サプライチェーン、都市交通・スマートシティの3分野に注力いたしましたが、電力・エネルギー及び物流・サプライチェーンを中心に既存顧客の本番導入に向けた開発が加速いたしました。加えて、大型の運用・サポート案件が開始されたこともあり、顧客平均売上が増加するとともに、ストック型売上比率も大幅に上昇いたしました。一方で取引先数については全体として減少したものの、これは前事業年度においてAI開発、プラットフォーム開発、運用・サポートの3区分に属さない販売単価の小さいその他の売上が複数計上された影響であり、当該3区分においては増加いたしました。

当社は、AIエンジン及びプラットフォーム開発をフロー型売上、運用・サポートをストック型売上として定義しておりますが、2023年6月期の電力・エネルギー分野の合計売上高は398百万円(前期比80.7%増)、うちフロー型売上は285百万円(前期比31.5%増)でストック型売上は112百万円(前期比3,241.8%増)、物流・サプライチェーン分野の合計売上高は625百万円(前期比90.9%増)、うちフロー型売上は503百万円(54.4%増)でストック型売上は121百万円(8,026.1%増)、都市交通・スマートシティ分野の合計売上高は286百万円(前期比8.8%減)、うちフロー型売上は273百万円(前期比13.0%減)でストック型売上は13百万円(前期は計上なし)、社会インフラ3分野に分類されないその他の合計売上高は43百万円(前期比9.8%減)となりました。

また、当社は開発体制の強化に向けて優秀なエンジニアの積極採用を行うことで今後の事業拡大に向けた取り組みを進めており、当事業年度末におけるエンジニアは60名(前期比25.0%増)となりました。加えて、管理体制の強化も進めており、営業・管理部門は25名(前期比13.6%増)となりました。このことから、製造費用におけるエンジニアの人件費は489百万円(前期比33.7%増)、販管費における営業・管理部門の人件費は327百万円(前期比8.2%増)となりました。

以上より、2023年6月期について、売上高は1,353百万円(前期比48.7%増)となり、営業利益208百万円(前期比193.4%増)、経常利益204百万円(前期比201.7%増)、当期純利益228百万円(前期比148.5%増)となりました。また、ストック型売上比率は18.3%(前期比17.8ポイント増)、顧客平均売上は46.7百万円(前期比64.1%増)、取引先数は29社(前期比9.4%減)、うちAI開発、プラットフォーム開発、運用・サポートの3区分では27社(前期比12.5%増)となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は671,809千円となり、前事業年度末と比較して53,346千円増加いたしました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は150,321千円(前年同期は55,735千円の資金の使用)となりました。主な収入要因は、税引前当期純利益202,099千円、契約負債の増加64,685千円、減価償却費37,179千円、未払費用の増加27,213千円、主な支出要因は、売掛金及び契約資産の増加197,881千円によるものであります。

(投資活動に関するキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は36,874千円(前年同期は103,371千円の資金の使用)となりました。主な支出要因は、無形固定資産の取得32,814千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は60,100千円(前年同期は5,400千円の資金の使用)となりました。これは長期借入金の返済によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

b 受注実績

当事業年度の受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

AI開発事業

1,355,279

△1.8

972,260

0.1

 

c 販売実績

当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(千円)

前期比(%)

AI開発事業

1,353,869

48.7

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2021年7月1日

 至 2022年6月30日)

当事業年度

(自 2022年7月1日

  至 2023年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

北海道電力株式会社

39,500

4.3

202,811

15.0

ソフトバンク株式会社

139,745

15.3

19,213

1.4

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。当社はAI開発事業の単一セグメントであるため、セグメントの記載を省略しております。 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)

当事業年度における売上高は1,353,869千円(前年同期比48.7%増)となり、前事業年度と比較して443,469千円の増収となりました。これは主に本番システム導入に向けた既存顧客からの継続的な受注によるものであり、既存顧客への売上は1,240,885千円と全体の91.7%を占めることとなりました。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価は397,287千円(前年同期比59.1%増)となりました。主な内訳は、エンジニアの人件費及びソフトウエア関連費用であります。この結果、売上総利益は956,581千円(前年同期比44.8%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費は747,942千円(前年同期比26.9%増)となりました。主な内訳は、人件費、研究開発費、技術販管費であります。この結果、営業利益は208,639千円(前年同期比193.4%増)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当事業年度において、営業外収益は1,691千円、営業外費用は6,195千円発生しました。これは主に受取利息499千円、受取保険料844千円、物品売却益258千円、上場関連費用6,016千円が発生したことによるものであります。この結果、経常利益は204,135千円(前年同期比201.7%増)となりました。

(特別損益、当期純利益)

当事業年度において、特別損失は固定資産除却損2,035千円が発生しました。税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を△26,432千円を計上した結果、当期純利益は228,532千円(前年同期比148.5%増)となりました。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当、プロジェクトに必要なソフトウエア関連費用、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であり、営業活動によるキャッシュ・フローでまかなうことを基本としております。また、事業運営上必要な資金を安定的に確保するとともに、事業を拡大していく中で最適な資本構成を構築するため、自己資金だけではなく金融機関からの借入も積極的に行っていくことを考えております。当社は3行の金融機関との間で合計500,000千円の当座貸越契約を締結(当事業年度末現在で借入実行残高はありません)しており、手許資金の流動性が不足すると想定される場合には、当座貸越契約を活用し金融機関からの短期借入金を通じて、必要な資金残高を確保することを考えております。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズに合った製品やサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応してまいります。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、様々な課題に対処していく必要があると認識しております。

それらの課題に対応するために、経営者は常に外部環境の変化に関する情報を入手・分析し、現在及び将来における事業環境を認識した上で、当社の経営資源を最適に配分し、有効な解決策を実施していく方針であります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析

当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、売上高成長率及び営業利益率を基本的な経営指標としております。過年度における当社の各指標等の進捗は次のとおりであります。

 

 

2019年6月

2020年6月

2021年6月

2022年6月

2023年6月

売上高

成長率

(全社)

△21.8%

△48.5%

2.0%

28.8%

48.7%

(事業別)

AI開発事業

61.1%

△11.4%

99.4%

33.8%

48.7%

(事業別)

エネルギーソリューション事業

△34.7%

△63.5%

△92.6%

△100.0%

営業利益率

△6.8%

△93.1%

△31.5%

7.8%

15.4%

エンジニア数

28名

44名

43名

48名

60名

 

 

当社は2016年6月期よりAI開発事業を開始し、エネルギーソリューション事業からAI開発事業への事業転換に向け、2019年6月期よりエンジニア及び営業人員の人的資源をAI開発事業へ拡大集中させ、2021年6月期にエネルギーソリューション事業から撤退いたしました。結果、エネルギーソリューション事業の縮小に伴い全体の売上高は減少し、一方でエンジニア等の人件費は増加し、2020年6月期には直近5年間で最大となる営業損失644百万円を計上するとともに営業利益率は△93.1%まで低下いたしました。

そのような状況下、2021年6月期以降のAI開発事業の売上高は堅調に推移しており、2023年6月期は1,353百万円へと売上が拡大し、営業利益率は15.4%、売上高成長率は48.7%となりました。また、2019年6月期から2023年6月期にかけての売上高年平均成長率(CAGR)も41.4%となっており、AIの実装が今後も進んでいくと見込まれる中、売上高の成長を目指してまいります。

また、当社はAIエンジンや業務システムの開発について、顧客間で横展開するとともに標準化やモジュール化を進めており、継続して開発のリードタイムを短縮していることから、今後も生産効率の向上とともに売上高の成長を目指しております。このことから売上高の成長が営業利益率の成長に直接的に寄与するものと考えております。

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、当社が行っております会計上の見積りのうち特に重要なものは次のとおりであります。

(進捗度に基づく収益認識)

財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しており、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる場合には、進捗度に基づき収益を認識しております。

進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工数が、総工数の見積りに占める割合に基づいて行っております。

進捗度に基づく収益計上の基礎となる総工数の見積りはプロジェクトごとに行っております。各プロジェクトは顧客の重要な業務システムの構築を請け負うことになり、特に顧客のニーズの多様化に応えるため、総工数の見積りの基礎となる作業内容に不確実性を伴っております。

総工数の見積りはプロジェクトの進行に応じて適宜見直しが行われ、総工数の見積り時点では予見できなかった仕様変更や納期変更等により、総工数の変更が発生し、その結果進捗度が変動する可能性があり、翌事業年度の財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

(繰延税金資産の計上)

当社は繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることに加え、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提となる条件や仮説に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額が変動し、当期純利益に影響を与える可能性があり、重要と考えております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社は、プロダクト開発部を中心に、アルゴリズムやその実用化に向けた研究を続けております。複雑な顧客の業務を再現するデジタルツインテクノロジーとAIアルゴリズムを融合した最適化手法をAIエンジンとしてシステムに搭載し、ReNom APPSとして集約する研究に取り組んでおります。

また将来を見越して量子コンピュータを用いた量子アルゴリズム開発についても、大学の研究者と連携しながら研究に取り組んでおります。さらには、スマートシティをテーマに産学連携によるシミュレータ、エネルギーマネジメントや材料開発に関する研究にも取り組んでおります。

当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は100,391千円であります。なお、当社の事業はAI開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。