第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 基本方針

当社の「経営理念」、「社是」及び「社訓」は以下のとおりであります。

<経営理念>

創造と革新の物流ITサービス

<社是>

知恵と知識を共有する世界に開かれた情報システムを作ろう。

先進の物流システムと安心サービスで安全な物流環境を作ろう。

次世代のソフトウエア開発に創造と革新の精神で取り組もう。

<社訓>
① 出荷絶対

お客様の出荷は絶対である。お客様、ましてや荷物を待つ人に迷惑をかけることがあってはならない。

② 不断至上

お客様に待つという作業をさせてはならない。お客様の作業が進むようあらゆる手を尽くせ。

③ 連鎖連結

自己完結主義は棄てよ。お客様、お取引先、製品の全てを大量に連鎖連結するよう知恵をしぼれ。日日より大きく繋げようとする努力こそが己と社業を大きくする。

④ 服務光速

技術、営業、間接とも社業の全てが顧客サービス。己の仕事は1日でも早く完了せよ。後行程への余裕の確保が真のサービスを実現すると心得よ。

⑤ 表明大義

それがよさそうなら上下なく表明せよ。自ら機会を作り出し協力を求め、素早く実現への道を開け。

⑥ 本質求道

顧客の要求の本質を追求し製品とサービスに反映せよ。それは先に繋がるのか、差別化できるのか問いつづけよ。本質的仮説は手間と費用をかけても世に証明するのが我が社の責務と心得よ。

 

(2) 経営戦略

当社の今後の経営戦略は、以下のとおりであります。

① 製品戦略

製品を利用いただく倉庫・3PL事業者においては、人手不足は引き続き喫緊の課題となっております。当社では、物流ロボット連携やRFID(※1)技術などの対応を進めており、また荷主の業務アプリを提供する事業者とのデータ連携を拡充することで、当社の製品・サービスの魅力を高めつつ、顧客の省力化・自動化ニーズに応えて参りました。引き続き多様な他社製品との連携を進め、顧客の都合に寄り添った選択肢の拡大を図りながら今後の物流現場に有用な新技術への研究開発を進めます。

また、コロナ禍を経て生じた実店舗を所有する小売業のオンライン販売強化の流れに応えるため、OMO(※2)在庫管理支援サービスの提供と浸透を図ってまいります。

 

※1:RFIDとは、「Radio Frequency Identifier」の略称で、電波を用いて内蔵したメモリのタグのデータを非接触で読み書きするシステムです。バーコードでの運用では、レーザーなどでタグを1枚1枚スキャンするのに対し、RFIDの運用では、電波で複数のタグを同時にスキャンすることができます。電波が届く範囲であれば、タグが遠くにあっても読み取りが可能です。

※2:OMOとは、「Online Merges with Offline」の略称で、オンラインとオフラインを区別することなく、オンライン上に統合された状態を構築することで、これまでにない新しい購買体験を提供する概念、取り組みのことです。

 

 

② 販売戦略

 新規顧客獲得のための効果的な企業・サービスの営業活動は、引き続きWEB中心での施策を継続しますが、アフタ―コロナの環境変化における対面商談需要の増加を踏まえ、これまで当社の得意であったオフラインでのセミナー開催や展示会への出展、またユーザー向けイベントなどを再び活性化いたします。サービスを利用中のお客様と一層のリレーションシップ強化を図るだけでなく、利用を検討中のお客様にも、これまでに開発したオプションサービスや連携サービスなどの利便性をダイレクトに伝える機会を増加させることで、更なるアカウントの増加やアップセルを実現してまいります。

 そしてこれらを効果的に機能させるため、パートナー支援機能とマーケティング機能を統合。一貫性のある施策を展開できる組織を編成し対処してまいります。

 

③ 海外戦略

 当社は、アジア・東南アジアを対象地域とし現地代理店を経由してサービスを提供しております。代理店への直接支援は当社のスタッフが営業支援と継続教育を行っております。昨今は、オンラインツールを活用して各国のスタッフ混合でのプロジェクトチームを組成し、提案と納品活動が可能な体制を構築してまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、クラウドサービスの継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営目標としております。当該目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益率であります。

 2024年6月期の個別業績目標指数は、売上高2,024,459千円、営業利益331,190千円、営業利益率16.4%であります。

 

(4) 経営環境

 アフターコロナの環境となった流通業界は、外出型消費が増加したことに加えてインバウンド消費の復調もあり堅調に推移しており、物流量も復調しております。今後はコロナ禍の教訓を踏まえ、ECのみならず店舗販売にも積極的なスマート化が進展していくと推測しております。

 その一方、物流業界は慢性的な人手不足が解消せず、特にトラックドライバーの不足は深刻であり、2024年には働き方改革関連法の時間外労働の上限規制が適用されることもあいまって、ついにはモノが運べなくなり経済活動全般に悪影響が及ぶと全ての産業から社会課題と認識され憂慮されており、適切なソリューションが求められております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業及び財務上の課題

①「物流のサステナビリティ」への貢献

以下に掲げる課題は、いずれもIT技術によって相当部分の解決が可能と考えております。当社は、これらに応えるサービスの提供を行うと同時に、成長とリスクに対応できる組織体制を構築してまいります。

 イ.物流作業や製品操作の省力化・自動化の実現

労働人口の減少を背景に、これまで人手に頼っていた在庫品のハンドリング(※3)を機器に代替させる省力化・自動化への取り組みが増加しております。

当社は、読み取り機器で複数の商品情報処理の一括化を可能とするRFIDや画像認識等の新しい認識技術を製品に導入するほか、マテハン等物流機器や、上位基幹システム・周辺システムとの標準データ連携を積極的に推進して、省力化・自動化を目指す企業から選ばれるサービスの提供を目指します。

ロ.適用可能業種の拡大

これまでの主要顧客である流通業・Eコマース顧客向けの機能強化を進めつつ、企業間取引の物流分野への機能提供を進めてまいります。これまで企業間取引の物流分野は業界慣習等に縛られた硬直的な運用でありましたが、コロナ禍を経てオンライン活用をベースにしたDX化の動きが活発化しており、クラウドサービス活用のニーズが増大しております。当社は積極的なサービスの開発と提供で対応を図ってまいります。

ハ.出荷データの活用による輸配送の効率化

物流業界における「2024年問題(※4)」や「ラストワンマイル(※5)問題」は、慢性的な人手不足により、深刻な労働負荷をもたらしております。また、トラックの貨物積載率を向上させ、ドライバー単位あたりの輸送量を増加させるといった課題については、大手企業が「共同配送」の取り組みを始めたものの根本解決にはいたっておりません。これらの課題を解決するためには、複数企業の仕向け先単位(※6)の貨物情報を元に、効率良い混載(※7)を可能とすることがポイントとなります。そして、在庫管理システムはその仕向け先単位の貨物情報の最初の起点と位置づけられます。当社は、IoT(※8)などの新技術の活用を視野に入れつつ、効率的な配送計画を実現したい企業に向けて、配送システムへ連携活用できるデータの提供を行ってまいります。

二.在庫データの活用によるOMOの実現

Eコマースの発展に伴い、「必要数がいつ、どこで手に入るのか」といった付加価値を伴った在庫情報が、商品の購入決定に際して重要となると考え、当社は、在庫管理システムで培った場所別在庫管理のノウハウと、クラウドサービスならではのリアルタイムに在庫更新ができる特徴を活かし、倉庫に加え店舗等の在庫引当と出荷機能の提供のほか、効果的な在庫配置のための提案機能を含んだ在庫情報を新しい活用分野としてサービスの提供を目指します。

② 働く環境の整備

イ.人材の積極採用と成長への投資

当社サービスの顧客価値は、物流に知見の高い社員の関与によって最大化されます。この人材の質と量を確保することは事業成長に直結すると同時に、当社の理念である「安心・安全な物流環境」を実現するために最も重要な課題と認識しております。当社は積極的な人材採用ならびに成長への機会提供を重要な先行投資と位置づけ、将来の業界を牽引できる質の高い人材育成に向けて投資を継続してまいります。

 ロ.働く環境の整備への投資

当社は、社員が働く環境の整備が持続的な企業成長の源泉と考えております。当社は既にリモートワークの制度導入を行っておりますが、これに留まらず、長く働ける環境の整備を継続的に進めてまいります。特に、個人の価値観を尊重しつつも、DEI(Diversity,Equity&Inclusion)を意識した環境を整備する他、社員のライフイベントを積極的にサポート出来る制度を構築してまいります。

  ③ 事業リスクの軽減 

  イ.サイバーセキュリティーへの対応

昨今、サイバー攻撃や情報漏えい事故が増加しており、サイバーセキュリティー確保の重要性がますます高まっております。当社はインターネットをベースとするクラウドサービス企業であり、サイバーセキュリティーを担保することは企業継続に必須であります。今後、過激化するサイバー攻撃等に対し技術的な投資をすることはもちろんのこと、内部の情報取り扱いなどの運用も常に見直すことで、安全なサイバーセキュリティー管理体制の維持を継続してまいります。

ロ.機器・デバイスの流通の滞りによる機会損失リスクの回避

地政学的リスクの高まりによりサプライチェーン(※9)の見直しが各産業で行われております。当社で提供する機器、デバイスにおいて、製造者からの供給に影響が生じ、売上に影響が生じる可能性があります。引き続き製造者と綿密に連携し供給状況の動向に注視し、確実に確保できる対応を図ってまいります。

 

ハ.内部管理体制の強化について

当社は、事業の継続的な発展を実現させるために、コーポレート・ガバナンス機能の強化は必須であり、財務報告の信頼性を確保するため、内部統制システムの適切な運用が重要であると認識しております。

コーポレート・ガバナンスに関しては、内部監査による定期的なモニタリングの実施と監査等委員(会)や会計監査人との連携を図ることにより、ベンチャー企業としての俊敏さも兼ね備えた、効率化された組織体制の構築に向けて、さらに内部管理体制の充実に取り組んでまいります。

 

※3:ハンドリングとは、物をつかんで移動させる行為のことです。

※4:2024年問題とは、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示(※)が適用され、これまでより労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されている社会問題のことです。

※5:ラストワンマイルとは、商品が最寄りの配送センターから顧客への配達地点まで移動する道のりのこと、つまり荷物受け渡しまでの最後の区間を指します。

※6:仕向け先単位とは、貨物を配達する方面や場所などの単位のことです。例えば、東京から大阪へ貨物を配達する場合は、大阪を仕向け先と表現し、輸送は貨物を仕向ける行為とその物量によって車両が手配されます。

※7:混載とは、特定の同じ地域や、同じ方面へ複数の荷主のもつ多くの貨物をひとつの輸送車両等に積み合わせて輸送することです。

※8:IoTとは、「Internet of Things」の略称で、センサーによって取得したモノの情報を、インターネットを通じてクラウドサーバーに蓄積し、蓄積された情報の分析結果を、人やモノへフィードバックすることで相互に制御を実現する仕組みのことです。

※9:サプライチェーンとは、商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことです。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

当社は、先進の物流システムと安心・安全なサービスに創造と革新の精神を持って取り組むことにより、一層の発展と持続可能でより良い社会の実現に貢献できると考えております。

それを具現化するため、サステナビリティという観点で、人的資本投資も含めて下記の施策を展開してまいります。

 

(1)ガバナンス

サステナビリティに関する考え方や取組については取締役会及び経営会議において協議し、決定いたします。

取締役会は、当社のサステナビリティ課題への対応方針及び実行計画等についての審議・監督を行います。また、決定内容は全社員へ周知徹底を図ります。

 

(2)戦略

短期、中期及び長期にわたり会社の経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組のうち、次の項目を重要課題(マテリアリティ)として定めております。

① 「物流のサステナビリティ」への貢献

IT技術によって課題の相当部分の解決が可能と考えております。当社は、これらに応えるサービスの提供を行うと同時に、成長とリスクに対応できる組織体制を構築してまいります。

② 働く環境の整備

DEI(Diversity,Equity&Inclusion)の考え方をベースとした、優秀な人材の確保は当社の経営においても最重要課題と認識しており、女性管理職の登用、外国人労働者の採用、男性育児休業取得等に取組んでおります。しかしながら、人材の奪い合いとなっている昨今の状況を鑑みると、人材確保が難しい状況であります。

今後は、人的資本投資の重要性の認識を一層高め、サステナビリティの観点でエンゲージメント・人材育成等の人材投資を増強してまいります。

 

(3)リスク管理

サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程につきましては、企業が持続可能な発展を遂げることに対するリスクとして、当社は市場の変化や競争の激化などの「経済的なリスク」だけでなく、「環境に対するリスク」、「社会的なリスク」、「人的資本に関するリスク」などを認識しております。これらに対して適切な対策を講じ、リスクを減らすべく、経営会議及び取締役会で審議・決定致します。

 

(4)指標及び目標

当社として、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する実績を長期的に評価、管理及び監視するために用いられるKPIは、現在検討中であります。また、当社が事業を展開する業界における環境の変化や年次で行っているリスク項目の見直しにおいて必要と認められた場合には、適時に必要な指標を定めるものとしております。

当社では、上記「(2)戦略」において記載した「「物流のサステナビリティ」への貢献」につきましては、物流作業や製品操作の省力化・自動化の実現や出荷データの活用による輸配送の効率化などの対応を図ってまいります。

「②働く環境の整備」につきましては、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内整備に関する方針のうち、女性活躍推進を目的として女性管理職の増加を目標としております。現時点では具体的な目標値は設定していないものの、新任管理職及び管理職候補者への研修といった階層別教育の実施など、従業員の意欲を引き出す人材育成制度を構築し、指標及び目標の設定と適切な運用に努める予定であります。

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載しております。

当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 事業内容及び経営成績の変動に関するリスクについて

① 技術革新について

当社はインターネット関連技術クラウドサービスを提供しておりますが、新技術の開発やそれらを利用した新サービスの導入が相次いで行われており、AIを始めとするIT技術やインターネット関連技術クラウドサービスの環境の変化が激しくなっております。このような状況の中、当社では新技術及び新サービスの開発を継続的に行うとともに、優秀な人材の育成・確保に取り組んでおりますが、環境変化への対応が遅れた場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 競合他社による影響について

当社は、在庫管理システムと物流サービスを顧客ニーズに合ったクラウドサービスで提供することで顧客満足度を高めることに努めておりますが、当社の事業への新規参入の技術的な障壁は必ずしも高いものとは言えず、資金力、ブランド力を有する大手企業をはじめとする競合他社の参入による価格競争の激化、および、顧客訴求力のより高いサービス提供が行われた場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 受注開発等の成否について

当社は、ソフトウエアのカスタマイズ、機能追加等を顧客から受注しております。また、適正な見積りやプロジェクト管理の徹底を図り、効率的なシステム構築及び開発を目指しております。しかしながら、納入後の不具合の発生、顧客からの開発案件の仕様変更・追加要求の発生等、工数の追加、開発途上の不測事態の発生等により採算が悪化した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ クラウドサービスの販売管理について

当社のクラウドサービスについては、取引量が多く、かつ、契約内容が頻繁に変更されることが多くありますが、当該変更内容の販売管理システムへの登録及び削除は手作業によって行われております。内部統制の整備及び運用は行っておりますが、売上高の基礎データの入力を誤った場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 機器等の調達について

当社は、機器等の調達を行っております。半導体等の原材料の供給不足により機器の入手が困難となること、機器納期が長期化すること又は機器の仕入価格が高騰すること等の想定外の要因により、調達予測が不透明となり、機器を調達することが困難になるリスクがあります。リスクが顕在化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ システム障害について

当社は、インターネットを利用してクラウドサービスを提供しておりますが、一時的なアクセス集中によるサーバー負荷の増加、ハードウエア及びソフトウエアの不具合、人為的ミス、コンピュータウィルス、自然災害、事故、サイバー攻撃等により、システム障害が生じる可能性があります。当社はこうした障害の発生に備え24時間監視体制、並びにシステムの安定稼動を確保するための対策を実施しております。しかしながら、システム障害が発生し、サービス提供に支障が生じた場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ ソフトウエアの瑕疵について

当社は、クラウドサービスを提供する際に、高品質を確保するため、開発部門において検査体制を構築し、十分な品質検査を行っております。また、ソフトウエアの瑕疵や不具合などが発生した場合には、当社の顧客に告知し、直ちに修正したものを提供できる体制を採っております。しかしながら、当社が販売するソフトウエアに重大な瑕疵や不具合が発生した場合には、修正に時間を要し、その間当社の製品サービス等の提供ができなくなり、また、損害賠償の請求が発生するなど、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 人材の獲得・育成について

当社の事業拡大におきましては、物流分野の業務知識を有したIT技術者の育成・確保が不可欠であります。また、事業拡大を支えるため、システムエンジニアや営業人材も充実させる必要があります。当社は、今後とも、社内での人材育成に努めつつ、積極的に優秀な人材の育成・採用等を進め、社員のエンゲージメントの向上と組織の活性化及び優秀な人材の定着化を図る方針であります。しかしながら、人材の採用又は社内の人材教育が計画通りに進まない場合や、当社の業務について重要な役割を担う人材が社外に流出した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 関連法規について

① 知的財産権について

当社は、当社製品による第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しております。しかしながら、当社が事業の展開を進めている各国において成立している特許権や著作権などの知的財産権を全て検証し、正確に把握することは困難です。このため、当社製品に現在利用している技術が第三者が取得している特許権、著作権などの知的財産権を侵害する可能性を完全に否定することができません。このような事態が発生した場合には、当社の信用の低下、損害賠償請求、当社製品の全部あるいは一部の販売差止等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 法的規制について

当社の在庫管理システム事業において、事業の継続に直接的に著しい重要な影響を及ぼす法規制はないものと認識しておりますが、今後インターネットの利用者及び事業者を規制する法令等に抵触するような事態が発生した場合には、当社の信用が低下し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、インターネット及び電子商取引を直接対象とした法規制は限定的であり、主に他の一般法規が準用されておりますが、今後、インターネットや電子商取引を対象とした法規制の整備が進むものと予想されます。将来的に、インターネット及び電子商取引並びにこれらに関連する事業者を対象とする法規制が制定された場合は、当社事業の一部が制約を受ける可能性があります。

③ 個人情報の保護について

当社は、インターネット関連技術クラウドサービスを提供するにあたり、取引先及び荷主等の個人情報を取扱っております。そのため、当社は「個人情報の保護に関する法律」(以下「個人情報保護法」という。)が定める個人情報取扱事業者として、個人情報保護法上の義務を遵守しております。また、プライバシーマークを取得しており、当社の「個人情報保護方針」に沿って、個人情報保護マネジメントシステムを整備し、従業員に対する個人情報保護に関する意識の向上を図り、個人情報の漏洩に対し防止策を講じております。

しかしながら、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等による個人情報の漏洩、消失、不正利用が発生した場合、信用の失墜を招き、更には損害賠償の対象となることも考えられます。そのような場合は、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) その他

① 新規事業について

当社は、今後も顧客のより広い事業ニーズへの対応と収益源の多様化を実現するために、積極的に新規サービスに取り組んでいく方針であります。市場性や採算性などを検討した上でサービスの事業運営を行っていく予定でありますが、その立ち上げには先行投資として人的資本投資や研究開発又は設備投資等が発生する可能性があります。また、市場環境の変化や不測の事態により計画が実現できない場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 感染症の拡大に関するリスク

 当社は、感染症等が流行した場合に備え、在宅勤務やリモートワーク等を可能とする勤務体制や環境等の整備を継続しています。しかしながら、感染症の拡大により、営業活動や納品活動等に支障が生じた場合には、当社の業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。

③ インフレに起因するコスト上昇のリスク

 記録的なインフレおよび円安等により、原材料・燃料等のコスト上昇が顕著となっておりますが、一層のコスト上昇が生じた場合は、サービス提供に係るコストも影響を受け、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 世界的なデカップリングの影響

 世界各地で、国家間の対立・分断が発生しております。一部でデリスキングの動きも見られますが、デカップリングが更に深刻化した場合は、サプライチェーンへの影響ならびにサービス提供地域の見直しなどにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①  財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、5月の経済産業省の商業動態統計速報で報告されている通り、小売業の販売額は増加基調が継続しており、消費に活発さが見られます。新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行によって、外出型消費の増加やインバウンド消費の本格化など、コロナ以前を取り戻す動きが継続していると推測しております。現下、消費者物価は強い上昇基調にはありますが、暫くは反動消費の勢いが上回る環境が続くと推察しております。

一方で世界情勢は、引き続き緊張状態が継続しており、資源や食料品などの供給混乱の継続と、急速に進んだインフレ対策などで生じる経済減速による外需の停滞など、我が国経済の先行きの背景に未だ不透明な影響を与えております。

このような中、当社サービスの主たる顧客にあたる流通業界においては、活性化する消費活動への対応に加え、Withコロナに望まれる購買スタイルへの対応を進めております。同時にこれに対応する物流業界は、社会インフラとしての役割を維持するため、2024年問題に対する対応を進めております。

当社といたしましては、流通業や物流業の変化に対応し、サービスの強化などへの取り組みに適切に対応致しました。また、特に深刻化する人手不足など喫緊の課題に変化はないと考え、体制強化のための先行投資として積極的な人材採用を行い、活発に新規サービスの提案を実施致しました。

この結果、当事業年度の業績は、売上高1,853,807千円(前年同期比4.6%増)、営業利益260,799千円(前年同期比29.0%減)、経常利益260,681千円(前年同期比29.0%減)、当期純利益184,715千円(前年同期比22.0%減)となりました。

なお、当社は、在庫管理システムを単一セグメントとしているため、セグメント別の記載を行っておりません。サービス別の業績については、以下のとおりでありますが、連結子会社であった龍騎士供応鏈科技(上海)有限公司の清算が結了し、連結子会社が存在しなくなったため、当事業年度より連結財務諸表を作成していないことから、前事業年度の比較分析は行っておりません。

(クラウドサービス)

当サービスにおいては、新規取引先の増加などにより順調に推移し、当事業年度における売上高は1,462,032千円及び売上総利益866,120千円となりました。

(開発・導入サービス)

当サービスにおいては、ロジザード PLUSからロジザード ZEROへの移行やクラウドサービスの導入作業支援などを行い、当事業年度における売上高は317,083千円及び売上総利益55,511千円となりました。

(機器販売サービス)

当サービスにおいて、専用プリンター及び帳票などのサプライ品販売を行い、当事業年度における売上高は74,690千円及び売上総利益33,054千円となりました。

 

②  キャッシュ・フローの状況

 連結子会社であった龍騎士供応鏈科技(上海)有限公司の清算が結了し、連結子会社が存在しなくなったため、当事業年度より連結財務諸表を作成していないことから、前事業年度の比較分析は行っておりません。

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前事業年度に比べ209,240千円増加し、1,453,700千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、313,836千円となりました。これは主に税引前当期純利益240,194千円及び減価償却費72,418千円があった一方、法人税等の支払額145,324千円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、58,824千円となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出61,822千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、45,771千円となりました。これは主に、配当金の支払による支出47,331千円があったことによるものであります。

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

当社は、連結子会社であった龍騎士供応鏈科技(上海)有限公司の清算が結了し、連結子会社が存在しなくなったため、当事業年度より連結財務諸表を作成していないことから、前事業年度の比較分析は行っておりません。

 イ.  生産実績

当社は、生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載は行っておりません。

 

 ロ. 商品仕入実績

当事業年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。なお、当社は在庫管理システム事業を単一セグメントとしているため、サービス別に記載をしております。

サービス区分

仕入高(千円)

前年同期比(%)

機器販売サービス

40,344

合計

40,344

 

(注) 1.金額は、商品仕入高によっております。

2.主な商品仕入は、ハンディターミナル及びラベルプリンターなどであります。

 

 ハ. 受注実績

当事業年度の受注状況は、次のとおりであります。なお、当社は在庫管理システム事業を単一セグメントとしているため、サービス別に記載をしております。

サービス区分

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

開発・導入サービス

196,370

99,121

合計

196,370

99,121

 

 

ニ. 販売実績

当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は在庫管理システム事業を単一セグメントとしているため、サービス別に記載をしております。

サービス区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

クラウドサービス

1,462,032

開発・導入サービス

317,083

機器販売サービス

74,690

合計

1,853,807

 

(注) 1.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する販売実績の割合が100分の10以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。

 

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ. 経営成績等

a.財政状態

(資産の部)

当事業年度末における総資産の残高は、前事業年度末に比べて135,936千円増加し、1,965,296千円となりました。

当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末に比べて162,115千円増加し、1,720,366千円となりました。この主な要因は、売上増加による資金を回収したことにより現金及び預金が増加したことによるものであります。

当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末に比べて26,179千円減少し、244,930千円となりました。この主な要因は、減価償却費及び固定資産除却損を計上したことにより、ソフトウエアが減少したことによるものであります。

(負債の部)

当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べて11,510千円減少し、271,299千円となりました。この主な要因は、法人税の特別控除があったため未払法人税等が減少したことによるものであります。

(純資産の部)

当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べて147,447千円増加し、1,693,997千円となりました。この主な要因は、当期純利益の計上により利益剰余金の増加があった一方、配当金の支払いがあったことによるものであります。

 

b.経営成績

(売上高)

当事業年度における売上高は、前事業年度より82,295千円増加(前年同期比4.6%増)し、1,853,807千円となりました。主な要因は、クラウドサービスの取引先の新規獲得によるものであります。

(営業利益)

当事業年度における売上原価は、開発人材の増員により人件費が増加しました。この結果、前事業年度より67,961千円増加(前年同期比8.2%増)し、899,120千円となりました。

当事業年度における販売費及び一般管理費は、営業・管理体制の増強により人件費が増加しました。この結果、前事業年度より121,039千円増加(前年同期比21.1%増)し、693,887千円となりました。

当事業年度における営業利益は、社員の増員による人件費が増加したことにより、前事業年度より106,705千円減少(前年同期比29.0%減)し、260,799千円となりました。

(経常利益)

当事業年度における営業外収益は、普通預金による受取利息11千円などとなり、営業外費用は、外貨建取引による為替差損133千円となりました。この結果、経常利益は、営業利益の減少も含め、前事業年度より106,647千円減少(前年同期比29.0%減)し、260,681千円となりました。

(当期純利益)

法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額は55,478千円となり、当期純利益は、前事業年度より51,976千円減少(前年同期比22.0%減)し、184,715千円となりました。

c.キャッシュ・フローの状況の分析

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度末のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、「ロジザード ZERO」等のクラウドサービスに係るソフトウエア開発の強化などのための資金及びサーバー等の設備投資であります。

資本の財源及び流動性については、事業活動に必要な資金を安定的に確保することを基本としております。

短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金を基本としているものの、金融機関からの長期借入等についても柔軟に対応することとしております。

なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、1,453,700千円となっております。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(重要な会計方針)」に記載されているとおりであります。財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

(受注損失引当金)

当事業年度末において、損失の発生が見込まれる受注契約について将来の損失に備えるため、その損失見込額を計上しております。しかしながら、システム開発作業の不具合や遅延により、当初の予定費用を著しく超過した場合、受注損失又は追加の引当金計上が必要となる可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当事業年度における研究開発費の総額は、52,791千円であります。これは主に新コンセプトのWMSの研究開発に要した費用です。