文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げ、「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム」をコンセプトとしたサービスを提供しております。
(2) 当社グループの強み
① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション
国内企業の99.7%を占める中小企業(注1)は、大企業と比べて生産性が低く、テクノロジー活用には大きな成長ポテンシャルが存在しております。当社グループでは顧客ターゲットであるスモールビジネスを従業員規模別に区分した個人事業主、Small及びMidの3領域に対して、それぞれのニーズに即したソリューションを提供しております。(注2)
当社グループは、ビジネス向けの会計ソフトと人事労務ソフトのTAM(注3)について、合計で約1.2兆円と推計(注4)しております。一方、会計ソフトを利用している従業員1,000人未満の中小企業及び個人事業主のうちクラウド会計ソフトの普及率は34.3%、クラウド人事労務ソフトの普及率は59.1%と(注5)、クラウドERP市場における普及率の上昇余地は大きく残されていると認識しております。また、現状の我が国における会計ソフト及び人事労務ソフトにおけるクラウド普及率は、下表のとおり、海外主要国と比較して低い水準にあり、我が国における普及余地が多分に存在するものと考えております。
会計ソフト及び人事労務ソフトにおけるクラウド普及率の比較(注5)
前記「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)統合型クラウド会計ソフト・人事労務ソフトを提供する「freee」が選ばれる理由」にて記載のとおり、当社グループの提供するサービスは、単に従来型の会計ソフト・人事労務ソフトをクラウド化したものとは異なる統合型のクラウド会計ソフト・人事労務ソフトであり、経費精算や請求書発行といった記帳業務の上流工程まで含めた一体的な設計により、経理業務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化、及び経営者の意思決定のナビゲーションにも寄与するものです。
こうしたユニークなサービス設計・顧客価値により、成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場において、当社グループのユーザー規模は創業以来順調に拡大しており、「freee会計」は我が国における市場シェア1位を獲得(注6)するなど、マーケットリーダーとしてクラウド会計・クラウド人事労務業界を牽引しており、とりわけ「freee会計」については新設法人、並びに「freee会計」及び「freee人事労務」の両者についてはIPO準備企業群にて多く使われております。
(注) 1.中小企業庁「中小企業白書(2023年版)」
2.個人事業主、Small及びMidにおける潜在企業数と出所は下表のとおり
3.TAM:Total Addressable Marketの略称。当社グループが想定する最大の市場規模を意味する用語であり、当社グループが本書提出日現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではありません。スモールビジネス向けの会計ソフトと人事労務ソフトのTAMは、一定の前提の下、外部の統計資料や公表資料を基礎として、下記4.に記載の計算方法により、当社グループが推計したものであり、その正確性にはかかる統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模はかかる推計値と異なる可能性があります。
4.国内における当社グループの全潜在ユーザー企業において「freee会計」及び「freee人事労務」が導入された場合の全潜在ユーザー企業による年間支出総金額。全潜在ユーザー企業は、個人事業主と従業員が1,000名未満の法人の合計。(「freee会計」及び「freee人事労務」の全潜在ユーザー企業数の従業員規模別法人数(国税庁2019年調査、総務省2016年6月経済センサス活動調査) × 従業員規模別の「freee会計」及び「freee人事労務」の年間課金額)+(従業員規模別の想定平均従業員数(総務省 2017年労働力調査)× 1ID当たりの年間課金額 )
5.International Data Corporation(IDC)「Worldwide Public Cloud Services Spending Guide Software Add On: V2 2023」からクラウド化率の比較的高い国を抜粋。当該国には、ニュージーランドの同業プレーヤーであるXeroが進出しております。
6.クラウド会計サービス主要3社におけるユニークユーザー数No.1(56.3%):リードプラス株式会社「キーワードから紐解く業界分析シリーズ:クラウド会計ソフト編」(2022年8月)。ユニークユーザー(UU)数とは、ログイン後トップページにアクセスしたユーザー数をいう。UU数比較は、クラウド会計サービス各社におけるログイン後トップページのページビュー(PV)数とログイン後トップページのUU数の比率が一致するとの仮定に基づき、かつ各社のログイン後トップページのPV数を基礎とした推定(調査期間は2021年7月-2022年6月)
② スモールビジネス向けクラウドERP市場における更なるTAMの拡大
当社グループは、上記のとおり、従来の会計・人事労務ソフトの枠を超えて、バックオフィス全体の効率化に資するERP(統合型業務ソフト)を志向してサービスを提供しております。今後はさらに提供するサービスモジュールを広げ、スモールビジネス向けERPとして実現・提供可能なサービスの範囲拡大を目指してまいります。これは、上流工程から下流工程までを一貫してソフトウェア化するユニークな設計思想によって可能になるものです。
そのため、従来の会計・人事労務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化に資するERP(統合型業務ソフト)のTAMとして捉えた場合には、当社グループが狙うTAMは、上記①のスモールビジネス向けの会計ソフトと人事労務ソフトのTAM(合計で約1.2兆円)よりも、更に拡大したものとなりうると当社グループは考えております。
③ スモールビジネスの情報が蓄積されたビジネスプラットフォーム
「freee会計」は、統合型会計ソフトであるため、経理財務情報のみならず、上流工程である個々の取引情報までを広くカバーしており、各ユーザー企業のトランザクションデータを保有しております。ECサイトや決済サービス等も同様にトランザクションデータを保有しておりますが、一つのユーザーが複数のECサイトや決済サービスを利用するのに対し、「freee会計」は他のソフトと併用する必要はなく、すべてのトランザクションデータが集約される点が強みです。
また、「freee人事労務」には、人事労務の定型業務に係る情報が一元的に蓄積されており、従業員向けの付加サービスを提供する上での有力なプラットフォームになると考えております。
④ 高い安定性を誇る財務モデル
当社グループは、サービスの多くをサブスクリプション(継続課金)方式で提供しており、売上高合計に占めるサブスクリプション売上高の比率は90%超(注1)と、安定的かつ継続的な収益構造にあります。
顧客生涯価値(LTV)(注2)の長期的な最大化を企図し、機能改善の開発やカスタマーサクセス等に投資しております。その結果、2023年6月期における月次平均解約率(注3)は約1.2%となっており、大企業と比して廃業率が高く他のソフトウェアへの乗り換えが多い傾向にあるスモールビジネスを対象としたサービスとしては、低い解約率を実現しております。
(注) 1.サブスクリプション売上高(顧客から解約意思を示されない限り継続する自動更新契約から毎月得られる収益)を全売上高で除した比率(2023年6月期)
2.LTV:Life Time Valueの略称。顧客から契約期間(Life Time)を通じてもたらされる価値であり、契約期間×MRR×売上総利益率によって算出
3.(当該月に有料課金ユーザーでなくなったユーザーに関連するARR÷前月末ARR)の過去12ヶ月平均。当社の全顧客領域を集計対象
⑤ 企業文化
「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションの実現に向け、当社グループは「マジ価値を届けきる集団」であると自己定義し、「本質的な価値(マジ価値)をユーザーに届けきること」を世の中へのコミットメントとして位置づけております。「マジ価値」とは、「ユーザーにとって本質的な価値があると自信をもって言えることをする」という意味であり、当社グループが創業以来、大切にしている考え方です。同時に、これは届いてこそ意味があるという考えから、マジ価値を届ける共通基盤である全役員及び全従業員が持つべきマインドとして「マジ価値2原則」を、マジ価値をチームとして届けるために大切にしたい行動として「マジ価値指針」を全役員及び全従業員で議論し浸透させております。
当社グループは、ミッションやコミットメントに共感する社員が集まり、個々人が高い自律性を持ちながらも強い一体感・カルチャーを持つ組織を実現しています。
マジ価値2原則
・「社会の進化を担う責任感」:社会をよい方向へ進化させる責任を有するという自負をもって、あきらめずに挑戦する姿勢。また、世の中を変えうるよい事例は率先してつくるという姿勢
・「ムーブメント型チーム」:目指すべき世の中の方向性に共感し、自律的にアクションを起こす姿勢
マジ価値指針
・「理想ドリブン」:理想から考える。現在のリソースやスキルにとらわれず挑戦しつづける
・「アウトプット⇒思考」:まず、アウトプットする。そして考え、改善する
・「Hack Everything★」:取り組んでいることや持っているリソースの性質を深く理解する。その上で枠を超えて発想する
・「ジブンゴーストバスター」:新しいことに挑戦し続けるために、自分が今向き合いたいジブンゴースト(過去の経験から形成された思い込み・行動の癖)を言語化し、それに対するフィードバックを貪欲に求め、立ち向かっていく
・「あえて共有」:人とチームを知る。知られるよう共有する。オープンにフィードバックをしあうことで一緒に成長する
(3) 経営環境
我が国は、少子高齢化を背景に人口減少フェーズに入り、生産年齢人口の減少が見込まれております。また、2017年3月に政府が「働き方改革実行計画」を発表、労働環境の規制が強化されています。加えて、最低賃金も上昇するなど、労働生産性の向上が益々要求される局面を迎えております。生産年齢人口が減少する一方で、新設法人数や副業者数は増加傾向にあります。こうした独立を志向した生き方に対するニーズが時代に合わせて大きくなることで、スモールビジネスの裾野は広がりを見せております。
当社グループでは、このような環境下において、スモールビジネスは労働力への依存から脱却し、テクノロジーに代替可能な作業を積極的に置き換える必要があるほか、だれもが自由に経営できる社会をつくり、新しい生き方のニーズに対応することが重要であると認識しており、スモールビジネスが強くスマートになることに貢献するサービスの開発、提供を目指してまいります。
また、(2) 当社グループの強み ① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジションに記載がある通り、現状の我が国における会計ソフト及び人事労務ソフトの普及余地は多分に存在するものと考えております。加えて、2022年1月より電子帳簿保存法の改正、2023年10月よりインボイス制度が開始されるなど規制変更にも対応してまいります。
(4) 中長期的な経営戦略
上記の経営環境を前提とし、中長期で継続的な成長を実現することを目的として、2023年6月期を初年度とする中長期経営戦略を策定致しました。特に2025年6月期までに関しては、クラウド会計トップシェア(注1)である当社グループが日本のスモールビジネスにおけるクラウド化をより促進し顧客基盤を拡大することに注力するとともに、拡大した顧客基盤をもとにより多様なプロダクト・機能をご利用頂くためのプロダクト投資を行うことでより中長期的に成長が継続するための基盤構築に注力してまいります。
① ユーザー基盤の更なる拡大
当社グループの2023年6月末における有料課金ユーザー企業数は451,088件であり、創業以来順調に拡大し続けております。創業当初はWebマーケティングやSNS(注2)を通じて流入したユーザー企業による自発的なユーザー登録が中心でしたが、インサイドセールス(注3)チームやフィールドセールス(注4)チームを立ち上げたほか、会計事務所向けセールス組織を強化するなど、スモールビジネスへのタッチポイントを拡充してきました。
ユーザー基盤が拡大し、多様化する中で、既存ユーザー企業からの紹介も増えてまいりました。
加えて、「freee経理」「freee勤怠管理Plus」等の新しいプロダクトをリリースすることで、ユーザー企業に統合型ERPの一部プロダクトを導入することができるようになったため、より多くのユーザー企業に当社グループのサービスをご利用いただけるようになりました。また、2022年11月には「freee販売」をリリースし、請負型ビジネスにおける商談の開始からサービスの受注・発注後の納品の管理までが可能なプロダクトを提供開始いたしました。
今後もスモールビジネスへのタッチポイントの深化、多様化を進めることで、ユーザー基盤の更なる拡大を進めてまいります。
有料課金ユーザー企業数推移(件)
(注)1.クラウド会計サービス主要3社におけるユニークユーザー数No.1(56.3%):リードプラス株式会社「キーワードから紐解く業界分析シリーズ:クラウド会計ソフト編」(2022年8月)。ユニークユーザー(UU)数とは、ログイン後トップページにアクセスしたユーザー数をいう。UU数比較は、クラウド会計サービス各社におけるログイン後トップページのページビュー(PV)数とログイン後トップページのUU数の比率が一致するとの仮定に基づき、かつ各社のログイン後トップページのPV数を基礎とした推定(調査期間は2021年7月-2022年6月)
2.SNS:Social Networking Serviceの略称。登録された利用者同士が交流できるWebサイトの会員制サービス
3.インサイドセールス:メールや電話等を活用し、非対面で実施する営業活動
4. フィールドセールス:見込み顧客を直接訪問し、対面で実施する営業活動
② 顧客価値の最大化
当社グループは継続的に新規サービスをリリースしてきたほか、既存サービスの機能改善などにより、顧客価値の向上に努めてまいりました。また、中堅規模の企業向けプランであるエンタープライズプランをリリース(注)したことや、複数サービスを利用するユーザー企業が増加した結果としてユーザー企業のARPUの上昇を実現してまいりました。
今後は、従来注力してきたバックオフィス業務周辺のサービスに加えて、関連モジュールを強化し、スモールビジネスの業務の効率化と可視化をより多くの範囲で実現し、統合体験を強化できる経営課題を解決するプラットフォームを構築する予定です。
真にスモールビジネスに必要とされる既存サービスの改善や新規サービスのリリース等を通じて、顧客価値の最大化を目指してまいります。
(注)「freee会計」は2017年3月に、「freee人事労務」は2019年10月にエンタープライズプランをリリース
③ 金融サービスの拡大
当社グループは、金融サービスを展開する子会社として、2018年10月にフリーファイナンスラボ株式会社を設立しました。2022年1月には、Mid領域(注1)を中心とした顧客の成長資金ニーズに対応すべく、「freeeカード Unlimited」をリリースし、2023年2月にはSmall領域(注2)にも提供範囲を拡大いたしました。
今後もスモールビジネスにとって大きな課題である資金繰りに対して、これらの改善を進めるとともに、データとテクノロジーの力を活用することで、最終的に、あらゆる経営課題に対処する人工知能CFO(注3)のようなサービス開発及び提供を目指してまいります。
(注)1.従業員が20名以上1,000名未満の法人を指す
2.従業員が19名以下の法人を指す
3.人工知能が個々のスモールビジネスのデータを分析することで、自動で経営アドバイスを行い、CFOとしての役割を果たすようなコンセプト
④ オープンプラットフォームの充実
当社グループは、2013年10月に日本国内の会計ソフト業界では初めてパブリックAPIを公開して以来、クラウドとAPIを活用したオープン・エコシステムの構築を進めております。パブリックAPIの公開により、「誰でも、自由に」当社グループのサービスとデータ連携を行うためのソフトウェア開発を行うことができます。
また、2019年1月には「freeeアプリストア」をリリースしました。freeeユーザーは、必要な業務カテゴリーごとにfreeeと連携可能なソフトウェアを検索することができ、数回のクリックで簡単にfreeeと連携させ、利用開始できます。
今後も公開するfreeeAPIを拡張し、アプリストアに掲載されるソフトウェアのラインナップの充実化を図ることで、多様なニーズを有するスモールビジネスの業務効率化及び経営の可視化に貢献してまいります。
⑤ ユーザーネットワークの進展
「freee請求書」は、個人事業主及び法人向けに提供している請求書等の帳票作成サービスであり、簡単にインボイス制度や電子帳簿保存法に準拠した帳票類を作成、発行し、クラウド上で保存することが可能です。
今後は、請求書等の作成、発行に加え、freeeのユーザー企業間で利用されることで、請求書等の作成、発行等に係る工数や時間の効率化に寄与するだけではなく、本サービスを相互に活用するユーザー間のネットワークが拡大し、ユーザー間の業務最適化が加速する好循環を生み出すサービスの実現を目指します。
(5) 対処すべき課題
① スモールビジネス向けクラウドERP市場の拡大
当社グループは、スモールビジネス向けの会計ソフトと人事労務ソフトのTAMについて、合計で約1.2兆円と推定(注)しております。一方、会計ソフトを利用している従業員1,000人未満の中小企業のうちクラウド会計ソフトの普及率は34.3%に留まるなど(注)、クラウドERP市場における普及率の上昇余地は大きく残されていると認識しております。
当社グループは、スモールビジネス向けクラウドERP市場におけるリーディングカンパニーとして、市場を引き続き牽引することが重要であると認識しております。
(注)前記「(2)当社グループの強み ① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション」を参照
② 持続可能な社会の実現と、そのための組織体制の整備
「freee会計」、「freee人事労務」をはじめとする各サービスの提供により、だれもが自由に自然体で経営できる環境をつくることで、ユーザーの皆様を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することが重要と考えております。また、当社グループが持続可能な組織であるために、多様なバックグラウンドをもった優秀な人材を採用し、強い組織体制を整備することが重要であると認識しております。
上記をはじめとするサステナビリティ推進活動の詳細に関しては、当社グループWebサイト内の「サステナビリティ」コーナー、及び「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
③ 情報管理体制の強化
当社グループは、提供するサービスに関連して多数のユーザー企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため、専任の情報セキュリティチームを設置しております。また情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しております。今後も社内教育・研修の実施のほか、システムの強化・整備を実施してまいります。
④ 新規事業の展開
現在、当社グループの収益の大半が「freee会計」や「freee人事労務」等のSaaSサービスから成り立っております。今後も継続的な事業成長の実現に向けて、既存サービスの伸長に加えて、金融サービスや取引プラットフォームにおける新規事業の展開を積極的に検討してまいります。
⑤ 利益及びキャッシュ・フローの創出
当社グループは、事業拡大を目指し、開発投資や顧客獲得活動等に積極的に投資を進めており、創業以来営業損失を計上しております。
当社グループの収益の中心であるSaaSビジネスは、サブスクリプション方式でユーザーに提供しており、継続して利用されることで収益が積み上がるストック型の収益モデルになります。SaaSビジネスにおいては、開発費用やユーザーの獲得費用が先行して計上される特徴があり、短期的には赤字が先行することが一般的です。当社グループにおいても、現在開発費用やユーザーの獲得費用等に先行投資を行う事業フェーズであるため、営業損失を計上しております。
一方で、SaaSビジネスにおいては、投資効率を計る指標として顧客生涯価値(LTV)と顧客獲得コスト(CAC)(注)のバランス(LTV/CAC)が重要な指標となるため、当社グループではこれを最重要の指標として顧客獲得活動における投資判断をしてまいりました。当該指標を満たす場合に積極的に投資していくことが、中長期的に利益及びキャッシュ・フローの最大化に寄与するものと考えております。
今後も、投資効率指標であるLTV/CAC等に配慮しながら、サービス強化のための開発活動や、認知度向上のためのマーケティング活動への投資を通じて、中長期的な利益及びキャッシュ・フローの最大化に努めてまいります。
(注)CAC:Customer Acquisition Costの略称。顧客の獲得に要するコストであり、セールス活動及びマーケティング活動に係る費用が該当
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、スモールビジネスは個性的かつ創造的であり、多様な価値観や働き方を促進し、持続可能な社会
の実現に必要となる新たなムーブメントを起こすことができると信じております。スモールビジネスが活躍するため
にはテクノロジーの活用が不可欠であると考え、「freee会計」「freee人事労務」をはじめとする各サービスの提供
により、だれもが自由に自然体で経営できる環境をつくることで、ユーザーの皆様の持続可能な事業運営に貢献でき
ると考えております。
また、当社グループ自身が持続可能な組織であるために、一人ひとりのメンバーが自らの能力を最大限に発揮でき
るような組織づくりを促進してまいりました。今後もミッションである「スモールビジネスを、世界の主役に。」を
合言葉に、持続可能な社会の実現に向けて、各種取り組みを推進してまいります。
当社グループでは、サステナビリティに関する基本方針及びリスク・機会認識に基づく対応方針・施策等について当社の取締役会にて監督しております。サステナビリティへの対応方針・施策等は、各担当部門が主体となって推進し、これらの進捗状況等を定期的に取締役会に報告します。
(1)気候変動
気候変動は、持続可能な社会を実現する上で最も差し迫った課題の1つであり、気候パターンの変化や異常気象により我々の社会に大きな影響を及ぼすリスクがあります。当社グループは気候変動対策として、エネルギー使用量と温室効果ガス排出量の測定・開示・削減に取り組むとともに、「freee会計」、「freee人事労務」をはじめとする各種オンラインサービスの提供により、ユーザーの皆様のペーパーレス推進や不要な移動の削減の一翼を担うことで、社会全体の環境負荷低減に貢献していきたいと考えております。
(2)人的資本
当社グループでは、ミッションである「スモールビジネスを、世界の主役に。」を組織の存在目的として最重要視しております。ミッションを達成するために、ミッションに共感する優秀な人材を集め、成長させ、一人ひとりがその個性や才能を発揮し、ワクワクしながら自律的に行動を起こしてもらうと同時に、当社グループに所属する全てのメンバーが一致団結して同じ方向に向かって進み、組織として高いパフォーマンスを継続的に発揮し続けていくことが不可欠であると考え、様々な施策や制度策定をしております。
①従業員エンゲージメント向上
a. 社内コミュニケーション
当社グループでは、全従業員が同じ方向に向かって進んでいくために、経営陣と従業員がオフィスの同じ場に集まり、対面でのコミュニケーションを実施する場を頻繁に設定しております。経営陣から全社に向けた情報発信の場である「freeers総会」を毎月行い、従業員から経営陣も含む全社に向けた集会「Aekyo Hour」を毎週行うことで、経営陣と従業員の意思疎通を図っております。
b. 出社を促進するオフィス環境作り
当社グループでは、一致団結して事業推進の質・スピードを高めるために、原則オフィスに出社することを推奨し、その上で最低出社日を設けております。非エンジニア職は曜日固定で週3日、エンジニア職ではチームによって非エンジニア職が出社する曜日の中から、週1日を最低出社日として設定しております。更に「出社したくなるオフィス」をテーマに、理想のオフィスにあってほしい機能・スペースを従業員から募集し、実際に叶えることで、それらの空間を通して部署を超えたコミュニティの形成を促し、会社として指定している出社曜日以外にも、自発的に出社したくなるオフィス設計にしております。これらの取り組みを通じて、リモートワークのみでは実現出来ない、質の高い、スピード感のある事業運営を実現しております。
c. 従業員同士のつながり作り
当社グループでは、継続的に働きたいと思える環境づくりのため、所属部署を超えた従業員同士のつながりも重視し、「業務や業務外の悩み事に関して気軽に相談が出来る関係性」の構築や、「自分の好きな趣味でつながる関係性」の構築に積極的に取り組んでおり、「仲間がいるからオフィスに行く感覚」の醸成を進めております。具体的には、所属するチーム外の従業員とのランチ費用を補助する「Shall We Lunch?」制度や、趣味などの課外活動をサポートする「オフカツ」制度により、業務外でのつながりを増やしております。これらの制度もオフィスに出社しての対面コミュニケーションを前提としており、「一緒に出社する」ことを促しております。
d. 成長支援
当社グループでは、従業員が個々の強みを活かしながら成長することが、当社グループの長期的な成長に繋がると考えております。基幹人事制度「freee style 人事制度」では、「マジ価値を届けきる成長を加速すること」をコンセプトに、四半期ごとに従業員一人ひとりの成果・成長について直属マネージャーだけでなく、部署を跨いでマネージャー同士が多面的に議論し、今後の具体的な成長に向けたフィードバックの内容を作り込むことで効果的な成長促進を実現しております。また「グロースビジョン・シェアリング」制度では、年に1回一人ひとりが当社グループ内での成長にとらわれないキャリアビジョンを策定し、その内容をマネージャー同士で共有し、業務のアサインに活かすことで従業員の自己実現と当社グループのミッション実現の両立を追求しております。さらにこれらの制度の運用に加えて、従業員同士が日常的に1on1を実施し、相互にフィードバックし合う風土を従業員全員で育んでおります。
e. ワークライフバランス
当社グループでは、従業員一人ひとりが健康かつ生産性高く働き、成長と働く幸せを実感できる状態を体現できるよう各種制度を整えております。ライフスタイルが変わっても自信を持って働き、成長し続けられる環境の構築を目的として産休育休明け職場復帰サポート制度を設け、認可保育園と認可外保育園との差額補填や家事育児代行サービス利用補助等により、復職をサポートしております。また、個人の事情に応じた柔軟な勤務形態を尊重する風土が社内に根付いており、制度面でも家事育児介護の場合に限らず時短勤務を選択することが可能な「働き方freee」制度を導入するなど、多様な働き方の実現とワークライフバランスの支援に力を入れております。
②DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)
a. ダイバーシティ
当社グループでは創業以来、ミッション実現のために多様な人材が自律的に活躍できるフラットな組織であることを大切にしており、誰にとっても働きやすい職場の実現を目指しております。2018年にダイバーシティ推進室を設置し、性的マイノリティ、外国籍、障がいを持つ従業員など、多様な人材が持続的に活躍できる環境を作るために、入社時及び管理職登用時にダイバーシティに関する研修(「アンコンシャス・バイアス」研修など)やアクセシビリティー研修を行い、全社に対する意識醸成を行っております。また、具体的な施策として、アジア最大級のLGBTQ関連イベントの東京レインボープライドへの協賛や、視覚障害者の従業員に向けた社内各所への点示案内の設置、外国語話者に向け重要な社内の案内を日英併記にするなど国籍や言語による情報格差を生まない工夫等を行っております。
b. ジェンダーギャップの解消
当社グループでは、社内で意思決定に関わる従業員の多様性向上を目指し、その中でも特にジェンダーに関わるギャップの解消を重要と位置づけております。2022年10月から、チーフ・カルチャー・オフィサー(注1)を当課題解決の責任者として任じ、代表取締役から全社に向けた「ジェンダーによらず活躍しやすい環境作り」の宣言を行い、日常のコミュニケーションを通して職場環境から整えていく意思を示しました。その他、ジェンダーを含む多様性を意識するための定期的な研修実施のほか、男女を問わず育児に関わるメンバーが情報交換・交流できるコミュニティとして「つばめっ子クラブ」も積極的に活動を行っております。
(注) 1.カルチャーの強化推進を担う役職として2020年より設置しております。
当社グループでは、サステナビリティに関する事業への影響を把握・評価し、認識したリスクと機会については以下のとおりに対策を進めております。リスク管理の観点で重要な事項についてはリスク管理委員会にて協議し、必要に応じ当社の取締役会にて報告・協議しております。
また、当社グループのサービスは社会のインフラであるという認識のもと、ユーザーの皆様にいつでも安心してご利用頂くためにサービスの安定稼働に努めております。ユーザーの皆様の重要な情報資産を適切に管理、保護するとともに、情報セキュリティ基本方針を定め、メンバーに対して継続的な研修活動や障害訓練を実施しております。加えて、当社グループのサービスは全て拡張性・信頼性が確保されたクラウドサービス上に構築しており、さらには複数のデータセンターで構成されるサービスを利用する等、物理リスクが直接的に影響して業務継続に影響を及ぼす可能性を極めて低い状態に保っております。
<4>指標及び目標
(1)電力使用量および温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gas)排出量
当社グループの2023年6月期の電力使用量および温室効果ガス排出量実績は以下の通りです。(注1) 前年度か らの排出量の増加は、東京本社移転に伴う利用フロア面積の増加及び出社再開によるものです。(注2) また、当 社グループでは再生可能エネルギーを使用したクラウドサービスを活用し、サービスを提供しております。当社グループが気候変動に与える影響の多くは電力消費によるものであり、環境負荷を抑制していくためにも、さらなる電力消費の削減や再生可能エネルギーの利用を進めてまいります。
(注)1.対象はフリー株式会社の東京本社及び関西オフィス
2.東京本社は2022年8月にアートヴィレッジ大崎セントラルタワー(東京都認定「優良特定地球温暖化対策事業所」)に移転
(2)ジェンダーギャップの解消
当社グループでは、社内で意思決定に関わる従業員の多様性向上のために、管理職に占める女性労働者の割合を
増やすことが重要であると考えております。労働者に占める女性の割合を高めると共に、管理職に占める女性労働
者の割合について、労働者に占める女性の割合と同水準にすることを目標とし取り組んでまいります。
以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社グループのプラットフォーム事業は、売上高の大部分をクラウドサービスのサブスクリプション売上高が占めています。国内のBtoB向けのクラウド関連市場は従来型の会計ソフト・人事労務ソフトと比べて発展途上段階にあり、当社グループは当該市場が今後も拡大していくことが事業展開の前提であると考えております。当社グループでは、今後もクラウド関連市場の順調な成長を見込んでおりますが、クラウドサービスに関連して、今後新たな法的規制の導入、技術革新の停滞などの要因により、クラウドサービスの導入が想定通りに進捗せず、クラウド関連市場の成長が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのプラットフォーム事業においては、顧客であるスモールビジネスのニーズに対応したサービスの拡充・開発を適時かつ継続的に行うことが重要です。
とりわけ、クラウドサービスを取り巻く技術革新のスピードは大変速く、先端的なニーズに合致するクラウドサービスを提供し続けるためには、常に先進的な技術ノウハウを獲得し、当社グループの開発プロセス・組織に取り入れていく必要があります。このため、当社グループは、エンジニアの採用・育成や創造的な職場環境・開発環境の整備を進めるとともに、技術的な知見・ノウハウの取得に注力しております。しかしながら、かかる知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合又は競合他社がより優れたサービスを展開した場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。更に、新技術への対応のために追加的なシステム投資、人件費などの支出が拡大する可能性があります。このように、当社グループが技術革新に対して、適時かつ適切に対応することができなかった場合には、当社グループの技術力低下、それに伴うサービスの質の低下、そして競争力や業界での地位の低下を招き、また、対応のための支出の増大により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、会計、税務、人事労務その他の規制に関する変更により、当社グループのサービスについて重大な修正を要し、又は販売が延期若しくは中止となる場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的規制について
当社は、電子決済等代行業者として関東財務局に登録(登録番号:関東財務局長(電代)第1号)(以下、「本登録」という。)し、銀行法に基づく役務の提供を行っております。本登録に関して、有効期限は存在しないものの、銀行法又は銀行法に基づく関東財務局長の処分に違反したとき、その他電子決済等代行業の業務に関し著しく不適当な行為をするなどして本登録が取り消された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。但し、本書提出日現在において、本登録の継続に支障を来す要因は発生しておりません。
上記許認可及び登録の状況の概要は以下のとおりであります。
(当社)
当社グループは、社内の管理体制の構築等により、当該法令を遵守する体制を整備しておりますが、当社グループが当該法令に抵触すること等により何らかの行政処分を受けた場合や、社会情勢の変化等により当社グループの事業展開を阻害する規制の強化等が行われた場合には、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
とりわけ、フィンテック領域におけるサービスの普及に伴い、「銀行法」の改正が行われるなど、フィンテック領域におけるサービスに関する法令整備が進んでおり、今後新たに関連業者を対象とした法的整備が制定された場合、当社グループが現在提供する又は新規に取り組む金融サービスその他の業務が一部制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報管理体制について
当社グループは、提供するサービスに関連して多数の顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。
これらの情報資産を保護するため、情報セキュリティに係る専任チームを設置し、情報資産を適切に管理、保護しております。具体的には、「freee会計」については、国際的な保証報告書であるSOC1 Type1報告書及びSOC1 Type2報告書を取得しているほか、提携先の金融機関によるセキュリティチェックや、電子決済等代行業者の登録に際して金融庁によるセキュリティチェックをパスしております。また、個人情報の取扱いに関して、プライバシーポリシーを定めると共に、個人情報保護に係る国際認証であるTRUSTe認証を取得し、関連法規類に準拠した情報保護を実施しています。さらに、情報セキュリティ基本方針を定め、従業員に対して継続的な研修活動を実施しております。
しかしながら、このような対策にもかかわらず、重要な情報資産の外部漏洩等により、当社グループが行政指導や行政処分等を受け、当社グループの社会的信用が失墜したり、若しくは損害賠償請求が発生したりする可能性があります。また、情報資産の取扱いに関する法規制若しくはその運用の厳格化等により、当社グループのサービスの停止、情報の利活用に対する制約の増加等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 競争状況について
当社グループは、主としてクラウド会計サービス業者、クラウド人事労務サービス業者と競合するほか、クラウドサービスと従来型の会計ソフト・人事労務ソフトの双方を提供している会計・人事労務サービス業者とも競合していることに加え、当社グループが属するクラウド関連市場は、近年急速に拡大している分野であるため、さらに多数の競合企業が参入する可能性があります。
当社グループは、これまで培った独自の開発ノウハウを活用したサービスを提供し、また、新規顧客獲得のための戦略的な施策を展開することで、継続的な事業成長に努めておりますが、既存の競合企業の競争力の向上や競合企業の参入を含む競争環境の変化にともなって、当社グループや当社グループのサービス等に対する評価や信頼性を維持することができず、又はその優位性が失われる場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 既存ユーザー企業の継続率及び単価向上について
当社グループのSaaSサービスのビジネスモデルは、サブスクリプション型のリカーリングモデルであることから、当社グループの継続的な成長には、新規顧客の獲得のみならず、既存顧客の維持及び単価向上が重要と考えております。
既存顧客の維持については、その継続率が非常に重要な要素であり、機能の追加開発やサポートの充実により、継続率の維持・向上を図っております。予算及び経営計画には、実績を基に一定の解約率を踏まえた継続率を見込んでおりますが、当社グループのサービスの魅力の低下、競合他社に対する競争力の低下、追加機能やサポートに対する満足度の低下等により、当社グループの想定を大幅に下回る継続率となる可能性があります。
単価向上については、当社グループは、ユーザー企業当たりのユーザーID数の増加によるARPUの増加、既存顧客へのアップセルやクロスセルを促進する戦略をとっております。しかしながら、既存顧客の事業が成長しない、中堅規模の企業の顧客獲得が奏功しない、又は当社グループのサービスが顧客のニーズに合致しないこと等により、想定した顧客単価の向上が実現しない可能性があります。
これらの結果、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑦ 事業の拡大に伴うリスクについて
現在、当社グループの収益は、主力サービスである「freee会計」及び「freee人事労務」等のSaaSサービスによる売上が大部分を占めている状況であるため、当社グループは、多角的観点から新たな収益源を常に模索し、スモールビジネス向けERPとして実現・提供可能なサービスの範囲の拡大を目指すとともに、金融サービスの拡大や取引プラットフォームの進展に取り組んでまいりますが、これらの戦略はまだ初期段階にあります。例えば、当社グループは、今後、フィンテック領域における新規金融サービス等、現在の事業領域と異なる分野にも進出する可能性があります。しかしながら、現在の事業領域と異なる分野に進出したものの当該分野において収益化が進まない場合や当該分野に関係する法規制に新たに服することになる場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、事業の拡大及び新規事業展開に際しては、資本提携やM&Aも有効な手段であるものと認識しております。資本提携やM&Aに際しては、既存サービスとのシナジーやリスク等について十分な検討を行うことによりリスク低減を図る方針ですが、当初想定した事業のシナジー効果等が得られない、デュー・ディリジェンスの限界等から法的若しくは事業上の新たなリスク要因が発生する、または期待した投資のリターンが得られない等の可能性があり、これらに起因して当社グループの事業又は業績に影響を及ぼす可能性があります。また、期待した収益を得られず、保有する投資有価証券やのれん等の減損損失等が発生する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 先行投資から得られる効果が期待通りに実現しないリスクについて
当社グループが運営する事業は、先行的に研究開発費及び広告宣伝費を投下し、サービス開発とユーザー獲得を進めることが必要なものであり、当社グループは、創業以来赤字を継続しております。当社グループは、今後も、収益性の向上に努めながらも、先行的な投資を継続する方針です。
当社グループは、海外の同業他社等を参考に、売上に対して適切な比率の額を研究開発費として先行投資し、将来的なサービスの競争力を維持・向上させることに努めておりますが、研究開発活動をより確実に成果に結びつけるため、新規のサービスを小規模に開始し、市場の反応を確認しながら改善していく方法を採っております。また、顧客獲得活動についても先述のとおりLTV/CACを投資判断の重要指標としながら可能な限り成果を数値として計測・把握し、日々活動の効率を向上させております。
しかしながら、経営環境の急激な変化、その他「事業等のリスク」に記載のリスクの顕在化等により、こうした確実性を担保する努力にも関わらず、これらの先行投資が想定どおりの成果に繋がらなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、目標とする経営指標の見込みや財務方針等を掲げることがありますが、かかる経営指標の見込みや財務方針等は、新型コロナウイルス感染症の影響を含む経済状況の変化、経営環境、ユーザー企業のニーズの変化、他社との競合、技術革新の動向、法規制の変更及び為替変動等に係る多くの前提に基づいて作成されています。
⑨ 為替の変動について
当社グループは、外部クラウドサーバーのAmazon Web Services社が提供するサービス(以下、「AWS」という。)をはじめとする海外事業者が提供するサービス利用料等の支払いの一部を外貨建てで行っております。当社グループは、為替相場の変動リスクを軽減するために、一部の外貨建て支払いにおいて為替予約を利用しておりますが、想定以上に為替相場が円安傾向となった場合は、当社グループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 金融機関、他社ソフトウェアや会計事務所との連携について
第三者との連携は、当社グループの事業の維持・成長における重要な取り組みです。例えば、当社グループが提供するサービスの重要な機能として、金融機関及び他社ソフトウェアとデータ連携することによる入力等業務の自動化が挙げられます。
金融機関との口座同期(いわゆるアカウントアグリゲーション)について、当社は電子決済等代行業の第一号として関東財務局へ登録しております。何らかの事情により、当該許認可の取り消しや金融機関との契約が維持できない場合は、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
一方、他社ソフトウェアとのデータ連携は、主に当社グループが提供するパブリックAPIを通じて実施するものとなります。当社グループは顧客基盤の拡大及びサービスの機能の向上を通じて、連携先企業からみた当社グループが提供するプラットフォームの魅力を増大させております。また連携先企業を増やすことで、特定の連携先に対して依存しない体制の構築に向けて取り組んでおります。しかしながら、何らかの事象による連携先企業と当社グループの関係悪化等によって、連携が解消された場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
さらに、当社グループは、会計事務所及び金融機関等との間で密接な関係を築くことでスモールビジネスとのタッチポイントを拡充しています。しかしながら、会計事務所及び連携先には当社グループとの関係を継続する義務はありません。競合他社がインセンティブを提供することなどにより、当社グループの連携先の数が減少した場合には、当社グループの顧客獲得力が減退し、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑪ 固定資産の減損リスクについて
当社グループは、今後減損の兆候が認められ、減損損失の認識をすべきであると判定されたソフトウェア等の固定資産について減損損失を計上する場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑫ 業績の季節変動について
当社グループの個人事業主向けのプランの新規契約の多くが確定申告時期(1月から3月、当社グループにおける第3四半期)に集中する傾向があります。確定申告時期においては、他の四半期の時期と比して、広告宣伝費を増額することが多く、第3四半期における損益が悪化する傾向にあります。
また、2020年6月期及び2021年6月期においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、確定申告期限が当初3月中旬であったところ4月以降に延長され、同連結会計年度の損益に一定の影響が生じました。このように、確定申告期限の変更により、上記季節変動に変更が生じる可能性があります。
⑬ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響について
新型コロナウイルス感染症の拡大は、当社グループ及び当社グループの顧客の事業運営に影響を及ぼしてきました。今後、新型コロナウイルス感染症が再流行し、再び日本経済に大きな影響が生じた場合には、当社グループの新規顧客の獲得や既存顧客へのアップセル・クロスセルの状況が悪化するとともに、既存課金ユーザー企業の解約が増加するなど、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2) システム等に関するリスクについて
当社グループが運営する事業は、PC、スマートフォン、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績は影響を受けます。また、当社グループのサービスは、AWSにて提供しており、AWSの安定的な稼働が当社グループの事業運営上、重要な事項となっております。当社ではAWSが継続的に稼働しているかを常時監視しており、障害の発生又はその予兆を検知した場合には、当社の役職員に連絡が入り、早急に復旧するための体制を整えております。AWSは、個々のアベイラビリティゾーン(注1)で運用されており、FISC安全対策基準(注2)を満たす安全性を備えております。
しかしながら、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等や当社の想定していない事象の発生によりAWSが停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入その他の不具合等によりシステム障害が生じた場合、又はAmazon Web Services社との契約が解除される等によりAWSの利用が継続できなくなった場合には、顧客への損害の発生、当社グループの追加費用負担、又は当社グループのブランドの毀損などにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(注)1.リージョンの中の個々の独立したデータセンターの名称のことをいいます。
2.金融庁が金融機関のシステム管理体制を検査する際に使用する基準のことをいいます。
(3) 経営管理体制に関するリスクについて
当社グループは、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、更に法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、今後急速な成長が見込まれる事業の展開や企業規模の拡大に伴い、継続的に幅広く優秀な人材を採用し続けることが必須であると認識しております。質の高いサービスの安定稼働や競争力の向上に当たっては、開発部門を中心に極めて高度な技術力・企画力を有する人材が要求されていることから、一定以上の水準を満たす優秀な人材を継続的に採用すると共に、成長ポテンシャルの高い人材の採用及び既存の人材の更なる育成・維持に積極的に努めていく必要性を強く認識しております。しかしながら、特にエンジニア等の一定の人材の確保に関する競争は激しく、当社グループの採用基準を満たす優秀な人材の確保や人材育成が計画どおりに進まなかった場合又は人材確保のためにより高額の報酬を支払うこととなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の代表取締役である佐々木大輔は、創業者であると同時に創業以来当社の事業推進において重要な役割を担ってまいりました。同氏は、クラウド会計ソフトの企画から開発、運用に至るまで豊富な経験と知識を有しております。当社の設立以降は、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会やその他会議体において役員及び従業員への情報共有や権限委譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の経営執行を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図っていると共に、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの取組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、運営するコンテンツ及びサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権の侵害を防ぐ体制として、当社グループの経営基盤本部及び顧問弁理士への委託等による事前調査を行っております。しかしながら、万が一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があり、これらに対する対価の支払いやこれらに伴うサービス内容の変更の必要等が発生する可能性があります。また、当社グループが保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があるほか、当社グループが保有する権利の権利化ができない場合もあります。こうした場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、自然災害、事故等に備え、サービスの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループの所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、当社グループが保有する設備の損壊や電力供給やインターネットアクセスの制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 株式の追加発行等による株式価値の希薄化について
当社は、当社の役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権及び譲渡制限付株式を付与しております。また、今後においても新株予約権又は譲渡制限付株式等を活用したインセンティブプランを活用していく方針であります。これらの新株予約権が権利行使された場合や譲渡制限付株式の発行に伴い、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日の前月末現在(2023年8月末)でこれらの新株予約権による潜在株式数は913,243株であり、発行済株式総数57,983,169株の1.58%に相当しております。
③ 訴訟等について
当社グループは、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、事業を展開するなかで、当社グループが提供するサービスの不備、情報漏洩等により、何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因して偶発的に発生する訴訟等やそれに至らない請求等を受ける可能性があります。その場合、当該訴訟等に対する防御の為に費用と時間を要する可能性があるほか、当社グループの社会的信用が毀損され、また、損害賠償の金額、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 税務上の繰越欠損金について
2023年6月期末において、当社グループに税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、キャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループは、スモールビジネス(注1)向けのクラウド会計ソフトとクラウド人事労務ソフトのTAM(注2)について、合計で約1.2兆円(注3)と推計しております。一方、会計ソフトを利用している従業員1,000人未満の中小企業及び個人事業主のうちクラウド会計ソフトの普及率は34.3%に留まるなど(注4)(注5)、クラウドERP市場における普及率の上昇余地は大きく残されていると認識しております。当社グループは「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム」の実現を目指してサービスの開発及び提供をしております。
当連結会計年度においては、当社グループは、ミッションの実現に向けて、主要サービスである「freee会計」及び「freee人事労務」の機能改善に向けた開発投資を実施しました。また、販売管理業務を一元管理できる「freee販売」を新たにリリースしました。2023年10月から開始するインボイス制度に向けた施策として、インボイス制度に対応した請求書を無料で作成できる「freee請求書」をリリースしたほか、インボイス制度に対応したサービスの拡充を図るため、請求書の受取・仕訳・保管を自動化するサービス等を展開するsweeep株式会社を完全子会社化しました。さらに、企業の情報システム部門向けのSaaSアカウント管理ツール「Bundle」を提供するWhy株式会社を完全子会社化いたしました。
このような取り組みの結果、当連結会計年度末におけるプラットフォーム事業(注6)のARR(注7)は前連結会計年度末比36.7%増の20,579百万円、有料課金ユーザー企業数(注8)は同18.9%増の451,088件、ARPU(注9)は同15.0%増の45,622円、当連結会計年度における同事業の売上高は前連結会計年度末比37.4%増の19,219百万円、調整後営業損失(注10)は7,195百万円(前連結会計年度は2,343百万円)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は前連結会計年度比33.7%増の19,219百万円、調整後営業損失は7,195百万円(前連結会計年度は2,250百万円)、営業損失は7,919百万円(同3,042百万円)、経常損失は7,982百万円(同3,085百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は12,338百万円(同11,609百万円)となりました。
プラットフォーム事業のARR、有料課金ユーザー企業数及びARPU推移
(注) 1.「スモールビジネス」とは、個人事業主と従業員が1,000名以下の法人を指す
2.TAM:Total Addressable Marketの略称。当社グループが想定する最大の市場規模を意味する用語であり、当社グループが本書提出日現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではありません。スモールビジネス向けの会計ソフトと人事労務ソフトのTAMは、一定の前提の下、外部の統計資料や公表資料を基礎として、下記3.に記載の計算方法により、当社グループが推計したものであり、その正確性にはかかる統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模はかかる推計値と異なる可能性があります
3.国内における当社グループの全潜在ユーザー企業において「freee会計」及び「freee人事労務」が導入された場合の全潜在ユーザー企業による年間支出総金額。全潜在ユーザー企業は、個人事業主と従業員が1,000名未満の法人の合計。(「freee会計」及び「freee人事労務」の全潜在ユーザー企業数の従業員規模別法人数(国税庁2019年調査、総務省2016年6月経済センサス活動調査) × 従業員規模別の「freee会計」及び「freee人事労務」の年間課金額)+(従業員規模別の想定平均従業員数(総務省 2017年労働力調査)×1ID当たりの年間課金額 )
4.International Data Corporation(IDC)「Worldwide Public Cloud Services Spending Guide Software Add On: V2 2023」
5. 前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)当社グループの強み ① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション」を参照
6.スモールビジネス向けに展開するクラウドERPの提供や金融サービス等から構成される事業。2022年6月期においては、当社グループの事業全体から、連結子会社である株式会社サイトビジット(現フリーサイン株式会社)が提供していた「資格スクエア」事業(2021年12月に売却)を除いたもの
7.ARR:Annual Recurring Revenueの略称。各期末月のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍して算出。MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。対象月の月末時点における継続課金ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)
8.当社グループのサービスを利用する個人事業主と法人の双方を指す
9.ARPU: Average Revenue Per Userの略称。1有料課金ユーザー企業当たりの平均単価。各四半期末時点における合計ARRを有料課金ユーザー企業数で除して算出
10.調整後営業利益=営業利益+株式報酬費用+M&Aにより生じた無形資産の償却費用+その他一時費用。なお、調整後営業利益については有限責任 あずさ監査法人による監査又はレビューを受けておりません
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比4,626百万円減少の42,786百万円となりました。これは主に、現金及び預金が6,141百万円減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比4,743百万円増加の15,727百万円となりました。これは主に、前受収益が2,643百万円、資産除去債務が1,529百万円、未払費用が1,142百万円それぞれ増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末比9,369百万円減少の27,059百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が12,338百万円減少したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、35,905百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は4,753百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失12,328百万円、減損損失4,217百万円及び前受収益の増加額2,564百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は1,935百万円となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,171百万円及び有形固定資産の取得による支出685百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は543百万円になりました。これは主に、連結子会社増資に伴う非支配株主からの払込みによる収入1,000百万円及び短期借入金の減少額550百万円によるものです。
当社グループが営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループが営む事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績は前連結会計年度比33.7%増の19,219百万円となりました。なお、当社グループは当社と連結子会社9社の合計10社で構成されておりますが、プラットフォーム事業を主な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメントごとの記載はしておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(売上高)
売上高は19,219百万円となりました。これは「freee会計」及び「freee人事労務」の有料課金ユーザー企業数の増加、ARPUの上昇によるARRの拡大を主因とした売上高の増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は3,153百万円となりました。これは主に、サービスの利用ユーザー数の増加に伴い、サーバーに係る
費用やカスタマーサポートに係る費用の増加によるものであります。この結果、売上総利益は同39.2%増の16,066百万円となりました。
(調整後販売費及び一般管理費、調整後営業損失(注1))
調整後販売費及び一般管理費は23,261百万円となりました。これは主に、中長期成長戦略に伴う先行投資による人件費、マーケティング費用を増加させたことによるものです。この結果、調整後営業損失は7,195百万円(前連結会計年度は2,250百万円の損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
営業外収益は29百万円となりました。営業外費用は92百万円となり、主な内容は譲渡制限付株式報酬償却損であります。この結果、経常損失は7,982百万円(前連結会計年度は3,085百万円の損失)となりました。
(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純損失)
特別損失は4,436百万円となり、主な内容は減損損失であります。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は12,338百万円(前連結会計年度は11,609百万円の損失)となりました。
(単位:百万円)
(注)1.調整後営業利益=営業利益+株式報酬費用+M&Aにより生じた無形資産の償却費用+その他一時費用。なお、調整後営業利益については有限責任 あずさ監査法人による監査又はレビューを受けておりません
2.スモールビジネス向けに展開するクラウドERPの提供や金融サービス等から構成される事業。2022年6月期においては、当社グループの事業全体から、連結子会社である株式会社サイトビジット(現フリーサイン株式会社)が提供していた「資格スクエア」事業(2021年12月に売却)を除いたもの
3.連結子会社である株式会社サイトビジット(現・フリーサイン株式会社)が提供していた「資格スクエア」事業(2021年12月に売却)
4.Research and Developmentの略称。研究開発に係るエンジニアの人件費や関連する経費及び共通費等の
合計
5.Sales and Marketingの略称。販売促進に係る広告宣伝費やセールス人員の人件費や関連する経費及び共通費等の合計
6.General and Administrativeの略称。コーポレート部門の人件費や関連する経費及び共通費等の合計
7.調整後R&D、調整後S&M、調整後G&A及び調整後営業利益の各数値については、 有限責任 あずさ監査法人による監査又はレビューを受けておりません
当連結会計年度の財政状態の分析については、前記「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、前記「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおける主な資金需要は、当社グループの業容拡大を企図した、M&Aや戦略的投融資のほか、研究開発活動や営業活動にかかる人件費や広告宣伝費です。これらの資金需要に対しては、主に自己資金を充当することを基本としております。
当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社は2023年1月20日開催の取締役会において、sweeep株式会社を完全子会社化することを決議し、2023年1月31日付で実施いたしました。また、当社は2023年4月19日開催の取締役会において、Why株式会社を株式交付子会社とする株式交付を行うことを決議し、2023年6月1日付で実施いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載の通りです。
当社グループは、顧客価値向上のために、既存サービスである会計及び人事労務領域の機能拡充に取り組むほか、スモールビジネス向けクラウドERPとしての価値を高めるべく、新サービスの開発にも取り組んだ結果、当連結会計年度の研究開発費は
なお、主な研究開発活動成果の例として、以下のものが挙げられます。
(1) 既存サービスの強化
2023年6月期にリリースした「freee販売」と「freee会計」、「freee人事労務」との機能連携を強化しました。「freee会計」と「freee販売」との機能連携では、共通の取引先マスタを利用することで、また、「freee人事労務」と「freee販売」との機能連携では共通の従業員マスタを利用することで、「freee販売」において新たにマスタの初期設定作業を行うことなく利用開始することが可能になりました。
(2) 新サービスのリリース
2023年6月期に「freee販売」をリリースし、個人事業主及び法人向けに統合型クラウド販売管理ソフトの提供が可能になりました。さらに、インボイス制度に対応したプロダクトとして「freee会計」から特定の機能を切り出した「freee経理」と「freee請求書」をリリースしました。