第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1) 経営方針

当社の経営理念は、「人とコンピューティングの力で世界平和に貢献する」であります。

世界の人が安心、安全で平和に暮らすためには、共存共栄を基本にそれぞれの国の特徴を活かせる科学技術の発展と、そこに産業があり、やりがいを持てる仕事があることだと確信しております。当社は会社設立以来、「人の創造力とコンピューティングを融合させ未来をつくる企業になる」というビジョンを持ち、人類の難題に挑戦している研究者や開発者に寄り添い、知恵、努力、コミュニケーションとコンピューティングを通じてそれぞれが抱えている課題やニーズを共に考え、「研究者には研究する力、開発者には製品を開発する力を提供すること」をミッションとし、それが当社の果たすべき役割であると位置づけております。

その当社の果たすべき役割を実行していくために、研究者や開発者に徹底的に寄り添い、研究者や開発者が本当に抱える課題を探り出し、その課題に対して、製品やサービスを組み合わせるだけのソリューション提供ではなく、当社の持つ付加価値を追加し、最適化したソリューションを提供してまいります。

 

(2) 経営戦略等

当社は、HPC事業とCTO事業の二つの事業に取り組んでおり、これらの事業を拡大させることが、当社の更なる成長と発展のために必要であると認識しております。そのために顧客志向を徹底し、顧客が実現したいことや課題を解決するために、当社が用意した3つの強力なソリューション・ツールが互いに掛け合わされて3乗の効果で発揮する「 as a Service」(Sキューブソリューション as a Service)という独自のソリューションサービス戦略を展開してまいります。当社は、「 as a Service」を提供することで、研究者や開発者に徹底的に寄り添ってまいります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、現時点で終息時期を予測することが困難であり、顧客における経済活動自粛に伴う設備投資の延期や、商談期間の長期化等による当社業績への影響を注視していく必要があると考えております。

 

 S as a Service (Sキューブソリューション as a Service)

① System as a Service

HPC SIサービス、AI/ディープラーニング SIサービス、CTOサービス、アプライアンス顧客のニーズに沿って最適化されたシステム(ハードウェア及びソフトウェアプログラム)を提供する(HPC分野及び産業用コンピュータ分野)
※アプライアンス:特定の機能や用途に特化した専用機器
※SI:システムインテグレーション

② Science as a Service

 計算科学/計算化学ソリューション
 計算科学分野では、主に自社開発の計算技術ノウハウを提供する
(セミナー、計算支援、研究支援、技術支援、プログラム高速化サービス等)

③ Science as a Cloud

サイエンスクラウドサービス
高スペックのコンピュータをベアメタル(OSなどソフトウェアプログラムがインストールされていないサーバ)で提供する一般的なクラウドサービスとは異なり、アプリケーションごとに最適化された計算環境とストレージ環境と世界でオンリーワンのソフトウェアプログラム群(デファクトスタンダードな計算科学又は計算化学用ソフトウェアプログラム及び当社のオリジナルソフトウェアプログラム)で構成された、顧客ユーザにとって使い勝手のよい計算環境のクラウドサービスを提供する

 

 

(3) 目標とする経営指標

 当社は、事業拡大、企業価値向上を目指し、売上高成長率、営業利益成長率を重要な経営指標と位置付けており、これらを中長期的に成長させていくことを基本的な考え方としております。

 

(4) 対処すべき課題

 ① 成長分野への対応

最新のICT(情報通信技術)分野では、AIや機械学習の本格導入が始まり、関連市場が成長期に移行しつつあると考えております。当社がHPC事業にて推進している計算科学分野でも、AI技術を活用した研究開発活動がさまざまな課題解決に向けて広がりを見せるとともに活発化しています。又、5Gサービスの開始により多くの産業分野や社会基盤に関わるところで本格的なIoTの実現と成長が見込まれており、エッジコンピューティングと親和性の高いCTO事業の拡大が見込まれています。
 このように当社は、最先端のコンピューティング技術を活用したサービス展開を追求しています。そのために、AI、エッジコンピューティングといった最先端のコンピューティングにまつわる技術を関連技術とともに常に捕捉し、新しい技術を研究・獲得し、社内共有することで新たなサービスの開発へと結び付けていく必要があります。

最近ではCTO事業の顧客企業の製造現場においても、AI、特にディープラーニングといった従来であればHPC事業に属するニーズも出てきております。つまり、AI、ディープラーニングやエッジコンピューティングといった最先端のコンピューティング技術においては、当社の両事業の垣根を越えた体制が必要となる可能性が考えられますので、当社では、まず両事業の技術部門のコミュニケーションの強化を図る方針であります。既にCTO事業の産業用コンピュータの開発段階において、HPC事業のAI等に関する先端技術情報を共有し、産業用コンピュータの開発段階に組込むことでCTO事業の顧客企業の製造現場のニーズに応えております。このように先端技術情報の共有を図り、成長分野における新しい商機への対応を図ってまいります。

 

 ② 優秀な人財の確保

 継続的な成長の原資である人財は、当社にとって、最も重要な経営資源と認識しております。当社の技術開発力やサービス企画力及び販売力を維持し、継続的に発展、強化していくために、優秀な社員を継続的に雇用し、その成長の機会を提供し、かつ事業規模を拡大させていくための人財を獲得する方針であります。

 

   ③ 従業員の意欲、能力の向上

当社は、従業員に対し目標管理制度を導入しております。目標の設定など査定方法を明確化し、従業員の評価の適正化を図るとともに、急速なIT技術の進歩にあわせて、この変革のスピードに対応できるような人財を育成していく体制を整えることも急務であると考えております。今後はそれらを見据え、従業員一人一人への適正な評価、研修の実施や各種資格取得の推奨・補助を行うことを通じて、能力の向上を図っていく方針であります。

 

   ④ 内部管理体制、コーポレート・ガバナンスの充実

 当社では継続的な成長を実現していくために、事業規模に応じた内部管理体制の充実が不可欠であると認識しております。金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価へ対応すべく、業務の適正性や効率性、財務報告の信頼性の確保に努める必要があります。

今後も事業規模の拡大に合わせ管理部門の一層の強化による内部管理体制の整備を図るとともに、会議体及び職務権限の見直しや各種委員会の設置等、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組む方針であります。

 

 ⑤ 認知度の向上

当社は、これまで自社WEBサイトの運営、学会、展示会への出展等を通じて顧客を獲得してまいりました。提供するサービスを顧客企業へ拡販し、当社の成長を実現するためには、当社及び提供するサービスの認知度の向上も必要であると考えております。今後も、費用対効果を見極めながら従前のインターネット、展示会に加えてマスメディア等を活用し、さらなる認知度の向上に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、2021年4月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明いたしました。TCFD提言に則り、気候変動に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の各項目を公式ホームページのサステナビリティページにて開示しております。

又、人的資本に関する当社の基本的な考え方として「人財グランドデザイン」を策定し、公式ホームページのサステナビリティページにて開示しております。

 

(1)ガバナンス

環境問題、社会問題等サステナビリティに関わる諸課題をマネジメントし、企業価値の向上へつなげる為、2021年3月にESG委員会を設置いたしました。ESG委員会は、代表取締役を委員長とし、ESG推進室を推進組織として、全社にわたる事業のリスク・機会分析、マテリアリティ分析を行い、目標とプランを策定し、実施状況の管理と推進を行います。サステナビリティに関わる意思決定体制として、ESG委員会は取締役会への報告を年2回以上実施するものとします。


(2)戦略

当社における、人的資本に関する人材育成方針及び社内環境整備方針は、以下のとおりであります。

当社では、人材に関する意識を高める目的で「人財」という言葉を用います。人財育成方針及び社内環境整備方針は、3つのカテゴリに分類し、それぞれ「価値向上の視点」と「リスク管理の視点」から項目を抽出しております。

カテゴリ

価値向上の視点

リスク管理の視点

人財育成プロセス・研修

・遂行業務の意義と価値明確化

・ビジネススキルの底上げ

・コンプライアンス教育

・ストレス管理

働きやすい職場づくり

・リモート勤務実施による働き方の自由度向上

・社員エンゲージメント醸成のためのビジョン・ミッション・戦略・事例の共有

・離職率の把握と分析

研究者の確保と定着

・働きながらの博士号取得支援

・大学、研究機関等からの研究者採用

 

 

 

(3)リスク管理

サステナビリティ関連のリスクを識別・評価・管理するためのプロセスとして、リスク及び機会となり得る項目を列挙し、事業へのインパクトを評価しました。そこから決定した当社のマテリアリティは、以下のとおりであります。

下図の右上が重要度の高い項目となっており、それ以外にも当社の特性から重要度が高いと思われる項目については、枠で囲っております。これらのマテリアリティに対し、シナリオ分析を行い、戦略に紐づいた対応方針を策定し、事業活動をおこなっております。


 

(4)指標及び目標

ここでは、上記(2)で示した人材育成方針・社内環境整備方針の各項目に対する測定可能な指標と目標値・実績値を記載しております。

カテゴリ

価値向上の視点

リスク管理の視点

項目

指標

目標/実績

項目

指標

目標/実績

人財育成プロセス・研修

遂行業務の意義と価値明確化

上司面談実施率(半期1回)

100%/100%

コンプライアンス教育

eラーニング研修受講率

100%/96%

(注1)

ビジネススキルの底上げ

ビジネススキルテスト(第三者機関が実施する客観テスト)受験率

100%/96%

ストレス管理

ストレスチェック受験率

100%/95%

働きやすい職場づくり

リモート勤務実施による働き方の自由度向上(注2)

本社部門オフィス出勤率

50%(注3)
/66%

離職率の把握と分析

離職率(注4)

13.9%以下
/9.8%

従業員エンゲージメント醸成のためのビジョン・ミッション・戦略・事例の共有

社内報の発行

年12回/年12回

 

 

 

研究者の確保と定着

働きながらの博士号取得支援(注5)

数値目標は設けないが、当社の業務形態上豊富な大学との関係を活用し、常に学べる環境を用意して当人の意欲に応えます

実績1名(注6)

大学・研究機関等からの研究者採用(注5)

採用戦略によるため数値目標は設けないが、機会を逃さず人財確保を目指します

実績1名

 

(注) 1.コンプライアンス教育は取りこぼしの無いよう未受講者に対するフォローを続けています。新入社員については、入社時研修を義務付けております。又、毎年のくり返し研修は、現在準備中となっております。

2.人財グランドデザイン『働き方の自由度づくり』に関連しております。https://www.hpc.co.jp/company/sustainability/hr-granddesign/

3.通勤量抑制によるCO2排出量削減Scope3-⑦に関連した目標値となります。https://www.hpc.co.jp/pdf/04_Scope1-3_r8.pdf

4.当社の離職率は、毎年7/1~翌6/31間の退職・出向者数を7/1時点の在籍者数で割った値(年度の途中で入社した人数は除く)として算出しています。2021年日本の離職率13.9%(厚労省_雇用動向調査より)以下を目標値として設定しています。

5.中期経営計画Vision2024のⅡ.持続的成長を支える人財育成・人財採用に関連しております。https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS98099/64ea0603/99b5/4e7e/87c4/5beb7aa4f809/20210812150201860s.pdf

6.本項目に関する事例については、下記にて公開しております。

  https://www.hpc.co.jp/company/sustainability/hr-granddesign/#jirei

 

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。又、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。

 

(1) 景気動向及び産業動向の変動による影響

企業を取り巻く環境の動きにより、企業の景気による影響を受ける可能性があります。当社のHPC事業は大学官公庁や企業等に科学技術計算用コンピュータを販売しておりますが、顧客の研究開発投資需要等に影響を受けます。又、CTO事業が販売する産業用コンピュータは顧客の設備投資需要等に影響を受けます。そのため、経済情勢の変化に伴い事業環境が悪化し、顧客企業の業績へ悪影響を及ぼした場合、当社の過去の実績にもございましたが、顧客の研究開発に関する投資計画や、設備投資に関する投資計画が縮小し、両事業の売上が減少するなど当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 内部管理体制

当社は、企業価値の持続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令順守の徹底が必要と認識しております。当社では内部管理体制の充実に努めておりますが、今後の事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 技術革新への対応

当社の事業領域であるコンピューティング関連市場は全世界で研究開発が進んでおり、技術革新の速度が極めて速いという特徴があります。当社はそうした技術革新に対応できる体制づくりに努めておりますが、今後において技術革新のスピードに適時に対応できない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 特定の人物への依存

当社代表取締役である小野鉄平は、当社の事業推進に極めて重要な役割を果たしております。当社では小野鉄平に過度に依存しない事業体制の構築を目指し人財の育成及び強化に注力しておりますが、何らかの理由により小野鉄平が業務執行できない事態となった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 特定仕入先への依存

当社のHPC事業の主要仕入先は、米国のSuper Micro Computer,Inc.であります。同社とは代理店契約を締結し、当該契約に基づき安定供給を受けているものの、同社の技術水準の相対的低下に伴う商品力低下等、取引関係が継続困難になった場合には、受注に対する仕入に関し、代替先を探すことになります。代替候補は存在するものの、必要な数量の確保、納期調整、仕入コストの増加等への対応にかかる時間コストが発生する可能性があり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 部品の調達

当社のビジネスにおいて、十分な品質の部品等をタイムリー且つ必要数量入手する事は不可欠であります。急激な部品価格の高騰(例えばメモリー等)や供給不足等が発生した場合、原価上昇リスクや部品確保が困難となり製品出荷の遅延リスクが生じることがあり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 製品の欠陥等、製造物責任

当社は、製品の品質安定に細心の注意を払っておりますが、予測不能な製品及び使用している部品等の欠陥又は不具合により、納入先顧客から損害賠償を請求される可能性があります。一定額の損害保険に加入し、リスク回避策を講じておりますが、補償額を超える損害が発生した場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 業績の偏重

当社の販売動向には次の理由により季節変動があります。科学技術計算用コンピュータの主要顧客は、大学公官庁又は大企業であり、受注が急増する年度末の1月~3月に売上高及び営業利益が集中する傾向にあります。従いまして、四半期会計期間毎の業績について、第3四半期会計期間の比重が高くなる傾向にあります。

なお、2023年6月期の当社の売上高及び営業利益又は営業損失の四半期会計期間毎の推移は、以下のとおりとなります。

 

2023年6月

第1四半期

2023年6月

第2四半期

2023年6月

第3四半期

2023年6月

第4四半期

売上高(千円)

944,763

1,152,627

5,172,637

1,584,148

営業利益又は営業損失(△)(千円)

△54,096

△60,278

310,738

62,307

 

(注)上記の売上高及び営業利益又は営業損失は、太陽有限責任監査法人の四半期レビューを受けております。

 

(9) 法的規制

当社が事業活動を行うに際して、会社法・金融商品取引法・税法・外為法を含む貿易関連諸法、下請法等の各種法的規制の適用を受けております。当社の事業に関連する法的規制等が新設や改正された場合、当社の現在又は将来の事業活動が大きく制約される可能性や、コストの増加を招く可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 減損損失の可能性

当社は、国内に工場や新製品のベンチマーク取得の為のサーバ設備など事業用資産の他、投資有価証券を保有しております。事業用資産については、事業環境の変化等の事由により、これら資産の経済価値が低下し減損処理を行った場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。又、投資有価証券については、市場価格のあるものは相場価格の変動により、市場価格のない非上場株式等は当該会社の純資産、将来の事業計画等を総合的に勘案することにより、減損処理を行った場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 自然災害、事故等

当社では、自然災害、事故等に備え、サーバデータの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、大地震等の自然災害が発生した場合、当社設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(12) 小規模組織であること

当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制となっております。当社では、今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強及び内部管理体制や業務執行体制の一層の充実を図っていく方針ではありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

(13) 配当政策

当社は、株主に対し成長に応じた利益還元を重要な経営課題として認識しております。中長期の経営視点から、獲得した資金は内部留保の充実化と将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当しつつ、財務の健全性、及び株価水準等を総合的に判断した上で自己株式の取得を機動的に実施することを基本方針としております。配当につきましては、成長投資を優先し、企業価値の最大化を目指す中で、経営全般を総合的に勘案した上で実施を判断しておりますので、配当が実施されない可能性があります。

 

(14) 訴訟等

当社では、これまでに訴訟は発生しておりません。しかしながら、将来において当社の取締役、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、予期せぬトラブルや訴訟等が発生する可能性は否定できません。係る訴訟が発生した場合には、その内容や賠償金額によって、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 

(15) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化

当社は取締役、監査役及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権が希薄化する可能性があります。

 

(16) カントリーリスク/為替変動

当社は製品の大部分を海外から購入しており、主な仕入先は台湾であります。そのため、当該地域に関係する市場リスク、信用リスク及び地政学的リスクや為替レートの大幅な変動等が当社の仕入れに影響を与え、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(17) 情報セキュリティ

当社のコンピュータ及びネットワークシステムは、適切なセキュリティ対策を講じて外部からの不正アクセス等を回避するよう努めております。

しかしながら、各サービスへの急激なアクセス増加に伴う負荷や自然災害等に起因するデータセンターへの電力供給の停止等、予測不可能な要因によってシステムが停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやハッカーの侵入によりシステム障害が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

 (資産)

当事業年度末における流動資産は7,487,246千円となり、前事業年度末と比べ3,272,290千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が135,040千円減少したものの、売掛金が3,124,283千円、棚卸資産が117,047千円、前渡金が90,877千円、電子記録債権が70,100千円増加したことによるものであります。固定資産は390,889千円となり、前事業年度末と比べ36,683千円増加いたしました。これは主に長期前払費用が31,115千円減少したものの、機械及び装置が52,239千円、繰延税金資産17,903千円増加したことによるものであります。

以上の結果、総資産は7,878,135千円となり、前事業年度末に比べ3,308,973千円増加いたしました。

 (負債)

当事業年度末における流動負債は4,946,201千円となり、前事業年度末と比べ2,882,690千円増加いたしました。これは主に短期借入金が2,425,000千円、前受金が290,023千円、1年内返済予定の長期借入金が86,305千円、未払法人税等が35,752千円、賞与引当金が28,531千円増加したことによるものであります。固定負債は626,660千円となり、前事業年度末と比べ339,990千円増加いたしました。これは長期借入金が339,990千円増加したことによるものであります。

以上の結果、負債合計は5,572,861千円となり、前事業年度末に比べ3,222,680千円増加いたしました。

 (純資産)

当事業年度末における純資産合計は2,305,274千円となり、前事業年度末と比べ86,292千円増加いたしました。これは主に繰越利益剰余金が77,840千円、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ4,456千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和や外国人観光客の受け入れ再開など、景気は緩やかに持ち直しの動きがみられたものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、円安に伴う原材料価格の高騰、物価上昇による個人消費への影響が懸念されるなど、今後の景気の見通しは極めて不透明な状況が続いております。

当社が属するコンピューティング業界においては、計算科学シミュレーション、クラウド、人工知能(AI)、ディープラーニング、ビッグデータ処理等の技術革新に対する需要が引き続き堅調である一方、ウクライナ情勢など地政学リスクの増大による資源価格の上昇、円安進行による輸入コストの上昇など製造コストが上昇傾向にあります。コスト上昇分については販売価格への転嫁を進めているものの、販売価格への転嫁には顧客との交渉もあり一定のタイムラグが生じております。その他、原材料価格の上昇を受け一部の顧客からコストダウン要請があるなど当社をとりまく事業環境は大きく変化しております。

このような環境において当社は、過去最大規模の案件を受注し、様々な課題に直面したものの当社技術陣が一体となり対応したことで、過去最高売上を達成することができました。これまでの技術的蓄積と先端技術の知見を有する人財を集結して課題解決力を高め、顧客の技術的課題を解決することで売上拡大を目指しております。又、売上拡大を見据えて生産体制の見直しを進めていくとともに、海外認証を取得するなど海外展開を促進するよう施策を進めております。一方、原材料価格の高騰や歴史的な円安による輸入コストの上昇等の他、先行投資としての人員増強等で販売管理費が増加した影響は大きく、利益面の大きな逆風となりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は8,854,176千円(前期比47.0%増)、営業利益258,670千円(前期比60.4%減)、経常利益275,308千円(前期比56.3%減)、当期純利益183,746千円(前期比57.6%減)となりました。

 

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

 (HPC事業)

大学等公的研究機関向けが小規模案件を中心に低調であったものの、民間企業向け過去最大規模の案件の売上を計上したほか、全般的に民間企業向けが好調であったことにより、過去最高売上を達成することができました。一方、原材料価格の高騰や急速な円安進行による輸入コストの増加等により利益率が低下しました。中期経営計画の達成に向けた体制強化の為の積極的な人財採用に伴う販売管理費の増加等もあり、セグメント利益は減少となりました。

以上の結果、HPC事業の売上高は6,755,015千円(前期比70.7%増)、セグメント利益は157,450千円(前期比63.4%減)となりました。

 (CTO事業)

新規顧客向けは全体的に低調であった一方、継続顧客向けが分野毎の好不調はあるものの全体としては堅調に推移したことで売上高は増加しました。しかし、原材料価格の高騰や円安進行による輸入コストの増加、一部顧客のコストダウン要請による採算悪化等により利益率が低下しました。人員増加や出張費用など販売管理費増加等もあり、セグメント利益は減少しました。

以上の結果、CTO事業の売上高は2,099,161千円(前期比1.6%増)、セグメント利益は101,219千円(前期比54.7%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、売上債権の増加に伴う運転資金が増加したこと等により、前事業年度末に比べ259,787千円減少し、1,017,511千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前受金の増加による収入290,023千円、税引前当期純利益282,109千円計上したものの、売上債権の増加による支出3,192,602千円、棚卸資産の増加による支出117,047千円等により2,792,848千円の支出となり、前事業年度に比べ1,630,569千円減少しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出115,932千円、定期預金の増加による支出115,254千円等により235,762千円の支出となり、前事業年度に比べ109,573千円減少しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金及び長期借入金の返済による支出1,548,705千円等がありましたが、短期借入れ及び長期借入れによる収入4,400,000千円等により2,754,371千円の収入となり、前事業年度に比べ1,924,834千円増加しました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(台)

前年同期比(%)

CTO事業

8,242

△25.5

合計

8,242

△25.5

 

(注) HPC事業については生産を行っておりませんので、該当事項はございません。

 

 

b.受注実績

  当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

HPC事業

4,235,531

△34.3

CTO事業

2,327,173

4.2

合計

6,562,705

△24.4

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.受注残高については、システムによる集計が困難のため、記載を省略しております。

 

C.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

HPC事業

6,755,015

70.7

CTO事業

2,099,161

1.6

合計

8,854,176

47.0

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本電気株式会社

1,200,744

19.9

3,298,218

37.3

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者により会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(棚卸資産(原材料)の評価)

当社の貸借対照表において、「原材料及び貯蔵品」645,040千円計上しており、そのうち原材料は643,039千円で総資産の8.2%を占めております。これは製品の製造に必要な部品について、勘定科目上「原材料」として計上しております。(重要な会計方針)3.棚卸資産の評価基準及び評価方法に記載のとおり、原材料の貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法により算定しております。

製品の受注見込みに基づいて一定数量の原材料(部品)調達を行うことを原則としておりますが、急激な部品価格の高騰や供給不足等に備えて先行して調達を行うこともあります。当該部品等については、技術革新により陳腐化する可能性や原材料(部品)の滞留により収益性が低下する可能性があります。これらの不確実性に対し貸借対照表価額を正味売却価額まで切り下げる方法に代えて、原材料(部品)の更新サイクルに係る仮定による社内ルールに基づき一定の保有期間を超える場合、規則的に帳簿価額を切り下げる方法により、収益性の低下の事実を適切に貸借対照表に反映しております。

 

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の経営成績等については、民間企業向け過去最大規模の大口案件の売上を計上したことで、前年に続き過去最高の売上高を達成することができました。

HPC事業においては、大学等公的研究機関向けが小規模案件を中心に低調であったものの、過去最大規模の大口案件の売上を計上するなど民間企業向けが好調であったことで大幅増収となりました。CTO事業においては、新規顧客向けが低調であったものの、継続顧客向けが分野毎の好不調はあるものの全体としては堅調に推移したことで増収となりました。HPC事業が大幅増収となったことで、売上高は、前事業年度と比べ2,832,291千円増加の8,854,176千円となり過去最高売上を達成することが出来ました。一方、部材価格の高騰、急速な円安進行による輸入コスト上昇で原価が上昇した他、一部顧客のコストダウン要請による採算悪化もあり、利益率が低下したことで、増収にも関わらず売上総利益は前事業年度と比べ196,160千円減少し、1,666,732千円となりました。

営業利益は、人員増による人件費増加、出張増加で旅費交通費等の営業費用が増加したことで、販売費及び一般管理費が198,485千円増加し、258,670千円となりました。
経常利益は、銀行借入に伴う支払利息(16,549千円)、コミットメントライン設定による支払手数料(21,372千円)を計上したものの、円安進行に伴い外貨建資産の評価益を計上したことで為替差益(52,508千円)を計上し、営業外損益がプラスとなり、275,308千円となりました。
当期純利益は、法人税等の計上(98,362千円)により183,746千円となり、前事業年度と比べ減少しました。

 

当社は売上高成長率と営業利益成長率を重要な経営指標としておりますが、当事業年度の売上高成長率につきましては、これまで積み上げてきました強固な顧客基盤に支えられた他、重要客先として注力していた民間企業向けで大口案件を獲得することができたことにより、前事業年度に対し47.0%のプラス成長を達成することができました。営業利益成長率につきましては、部材価格の高騰と歴史的な円安進行による輸入コストの上昇により利益率が低下した他、積極的な人財採用に伴う販売管理費が増加したことにより営業利益は減少し、前事業年度に対し60.4%のマイナス成長となりました。

 
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
 
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、内部留保の積み上げによる自己資金の他、金融機関からの借入れによる資金調達を基本としております。成長に伴う運転資金の増加や株式配当及び自社株購入等の資本政策に対する資金需要に対しては、自己資金に加えて中長期の借入れにより資金調達を実施し、季節的な変動に伴う短期的な資金需要に対しては機動的に当座貸越を実行して資金調達を行うことを基本としております。なお、想定以上の大口案件に対する資金需要については、個別にコミットメントライン契約することで資金手当てを行っております。

当事業年度末における借入金の残高は、4,514,446千円となっております。財務基盤の強化のため長期借入を700,000千円実行した他、大口案件用運転資金確保の為、株式会社みずほ銀行との間で総額3,000,000千円のコミットメントライン契約を締結しております。当事業年度末におけるコミットメントライン実施残高は3,000,000千円となっております。

季節的な変動に伴う資金需要に機動的に対応する為、取引先金融機関5行と当座貸越契約を締結しております。当座貸越枠の合計は1,250,000千円であり、当事業年度末において、本契約に基づく当座貸越残高は400,000千円となっております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

  代理店契約書(仕入取引に関する契約)

会社名

国名

契約内容

契約期間

Super Micro Computer,Inc.

米国

主にHPC事業のワンストップサービスの1つであるハードウェア(科学技術計算用コンピュータ)販売におけるハードウェア製品(主にサーバ)の仕入に関する契約であります。

自 2023年5月22日

至 2024年5月21日

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社の研究開発活動は、顧客が求める製品及びサービスを提供するため、従来どおり顧客に信頼される「製品」を開発することに加え、新しい技術を取得し、製品及びサービスに展開する事を目的とし、日々研究を積み重ねております。又、今後もHPC事業及びCTO事業が属する市場における設備投資の増加が期待できることから、引き続きそれぞれの事業において研究開発活動を行ってまいります。

 当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は、17,409千円であります。

  セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。

 

(1) HPC事業

HPC事業が属する科学技術計算用コンピュータ(HPC計算機)分野は、最先端の技術を求められる分野であります。又、HPC計算機の基盤技術をもとに、AIやビッグデータ処理等の技術を応用して、自動運転や生命科学・創薬開発、新素材研究、ロボット、モノ作りの高度化など続々と新たな事業創造活動が急速に広がっています。

このような環境の下、スーパーコンピュータ「富岳」とのクラウド有償サービスの実証開発、量子コンピュータ向け化学計算プログラムの他社との共同実証開発、及びHPCシステムインテグレーション標準化のためのHPC-AIプラットフォームver2の開発を継続し、利便性を各段に向上させた他、オンプレとクラウドとの連携を視野にいれた拡張機能の開発着手、定期的に更新される化学計算用ソフトウェアの最新バージョンについて、HPC計算機上で正常に動作可能かどうかの検証作業を行っております。又、大学研究室との共同研究を通して最先端の研究開発動向の把握に努め、顧客の最先端のニーズや課題に最適なソリューションを提供しております。

大学研究室との共同研究費やHPC-AIプラットフォームver2の継続開発に伴う費用等により、当事業年度における研究開発費の金額は、8,812千円となりました。

 

(2) CTO事業

CTO事業では、顧客のご要望に応じてカスタマイズされた産業用コンピュータを開発しております。顧客のご要望に応じたコンピュータを設計するだけではなく、そのご要望を上回る品質等の提供のため、構成する部品毎の単品検証を行うとともに、当該部品の組合せ時においても動作検証を実施しております。これらコンピュータの設計及び検証を、設計チームと検証チームが相互に綿密なコミュニケーションを取りながら、試作機を開発し、顧客へ提案しております。

継続して実施した試作機の設計及び検証、並びにローカル5G通信対応エッジコンピュータの製品化等を行った結果、当事業年度における研究開発費の金額は、8,596千円となりました。