第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
 
 当社グループが事業を営む情報通信、エレクトロニクス関連市場は「5G」の商用化やAI、IoTの活用によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展等に伴う成長が見込まれております。また、自動車関連市場はCASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)と呼ばれる大きな転換期を迎え、成熟しながらも進化が続く見通しであります。しかし、これらの市場は総じて変化のスピードが速く、世界の競合企業との競争環境は年々厳しさが増しております。さらに、製品に不可欠な半導体部品や樹脂材料の供給が安定せず、部材の確保と仕入れ価格の高騰が懸念されております。
 また、2020年年初から世界にまん延している新型コロナウイルス感染症は、ワクチンの供給が始まったものの、2021年に入るとウイルスの変異種が急激に拡大しており、予断を許さない状況が続いております。年度末現在、世界経済は回復基調にありますが、再び経済活動を停止せざるを得ない状況に陥れば、当社グループの業績にもブレーキがかかるリスクがあります。
 そうした中で当社グループは、いかなる事業環境下においても継続的に企業価値を向上させることのできる強固な企業体質を確立するべく、中期経営計画『マスタープラン2016』の遂行に取り組んでおります。『マスタープラン2016』は2016年度から開始し、当社グループが第50期を迎える2021年度を最終年度とする経営計画で、当連結会計年度で5年間が終了しました。計画の中では、当社グループが目指す企業ビジョンを次のとおり定めております。

 

■ 企業ビジョン
   私たちは「世界の顧客のベストパートナーとなる」ために挑戦し続けます。
   ・精密技術で、顧客から最も頼りにされる存在となります。
   ・柔軟な発想で、新事業・新製品・新技術を創造します。
 

 

中期経営計画『マスタープラン2016』では、当社グループが目指す企業ビジョンを実現するために対処すべき課題として次の3点を認識しております。

 

(1) 既存事業の収益力強化

当社グループは、精密加工や精密成形、光学技術を技術資源とし、世界に向けて事業展開を行っています。その事業領域は、自動車や通信インフラ、ノートパソコンやモバイル端末等のエレクトロニクス機器をはじめ、放送用、測定用機器等、多岐に渡っています。それぞれの市場環境は異なるものの、総じて環境変化は加速度的に早くなり、競合企業との競争は国家や業界の垣根を越えて激化する傾向にあります。ワクチンの接種が進めば、新型コロナウイルスの感染拡大は収束に向かうと想定しておりますが、いかなる環境下でもシェアを伸ばし、中長期的な売上と利益の成長を実現するためには販売力と価格競争力の強化が欠かせません。
 販売力を高める上ではまず、的確なマーケティングを通して成長市場を見極め、その市場に求められるニーズと当社グループが有する技術や製品との接点を把握することが重要です。また、新しいお客様と出会う機会を数多く作り出すためにも、展示会への出展や新聞、雑誌等へのプレスリリース、ホームページ等のメディアを通して当社グループの技術や製品を積極的に広報し、市場での認知度を高めてまいります。並行して新製品、新技術の開発からリリースまでの時間を短縮し、技術、品質、性能の各面でお客様の期待を超えるサービスを提供してまいります。
 価格競争力の強化に向けては、「生産」「購買」「物流」の各方面の最適化を図ることにより、製造原価のさらなる低減を目指します。生産面では各工場において、自動化を含む生産工程の改善や製品設計の改良等を通してリードタイムの短縮に取り組むほか、小集団活動等を通して不良率の低減を推進しています。購買面では、世界中の取引先との良好なパートナーシップを維持しながら、最良の部材を最も適切な価格で調達できる体制の構築を目指すほか、物流面では受注から納品までの無駄を排除し、コストと時間を最小化するサプライチェーンの構築に取り組んでまいります。

 

(2) 事業ポートフォリオの最適化

当社グループが将来に向けて安定的に企業価値を向上し続けることのできる企業グループとなるためには、成熟した市場の中で安定的にキャッシュを生み出す「収益基盤事業」、成長する市場の中で需要の増加に比例してキャッシュの増加が見込める「成長牽引事業」を確保する一方、未来の「収益基盤事業」「成長牽引事業」の創出に向けて、「成長期待事業」の早期収益化や「次世代事業」の開拓が不可欠であります。

 

当社グループは現在、自動車向けや電子機器向けの精密成形品、光コネクタ製造機器や検査装置、光伝送装置といった「収益基盤事業」「成長牽引事業」を確保しています。「成長期待事業」に位置付けていた光通信用部品は、「5G」の本格的な稼働に向けたインフラ投資の拡大やデータセンター建設の増加を機に事業収益を改善し、「成長牽引事業」へと移行させることができました。また2018年7月には、連結子会社である杭州精工技研有限公司が中国国内の投資会社と共同出資し、新会社「浙江精工光電科技有限公司」を設立しました。同社は中国の大手IT企業に向けてデータセンター用部品の販売を行い、光通信用部品を「収益基盤事業」へとさらに進化させるための営業活動を展開しております。自動車や電子機器以外の用途に向けた精密成形品とレンズは「成長期待事業」に位置付けておりますが、現在、展示会やホームページ等を介して様々な業界のお客様から引き合いをいただいており、量産に向けて試作成形を繰り返しています。「成長期待事業」の収益力を向上させ、より競争力のある「成長牽引事業」へと早期に移行させるべく取り組む一方、採算の確保が困難な事業は合理化を実施していきます。
 また、「収益基盤事業」と「成長牽引事業」で創出したキャッシュを利用して、自動車や医療機器、バイオ等、今後の成長が見込める産業分野に新しい「次世代事業」を見出し、育てていくことも欠かせません。当社グループは、創出したキャッシュを滞留させることなく次代を担う事業群の創出へと活用することにより、永続的な企業成長を可能とする最適な事業ポートフォリオを構築してまいります。

 

(3) 経営基盤の強化

 永続的な企業価値の成長を実現していくためには、環境(Environmental)、社会(Social)、企業統治(Governance)の各側面の改善を通して経営基盤を強化することが重要と考えています。
 環境面においては、「高品質な商品を安定して製造すること」が最も地球に優しい事業活動である(無駄な資源・エネルギーを消費しない、無駄な廃棄物を排出しない)と考え、品質管理体制の維持と改善に取り組んでいます。また、製造工程における環境負荷物質の排除など、開発・設計・製造・販売のあらゆる企業活動において継続的な環境改善の実施に努めています。
 社会面においては、働き方改革「メリハリワーク」を導入して個々の社員の能力向上と業務効率の改善に取り組み、当社単体の時間外労働は前期比約3%削減することができました。当連結会計年度においては、時間単位の有給休暇制度の導入や喫煙場所の屋外への移転、社屋の耐火性向上のための改修工事等を行い、社員の安全確保とより働きやすい職場環境づくりに取り組みました。
 企業統治面においては、2016年6月に監査等委員会設置会社へと移行しました。当連結会計年度末現在、9名の取締役のうち4名の独立社外役員を選任しており、取締役会の監視機能の強化を図っております。また2016年6月には、当社の中長期的な業績や株式価値と、取締役報酬との連動性を明確にする目的で、取締役に対して業績連動型株式報酬制度を導入しました。2018年3月には執行役員制度を導入して権限を委譲し、意思決定スピードの迅速化を図っております。
 当社グループは、中期経営計画『マスタープラン2016』で明確化した方針と施策を引き続き遂行することにより、成長の土台となる経営基盤を一層強化し、より幅広い産業領域において永続的に社会の発展に貢献する企業グループとなるべく、努力してまいりたいと考えております。 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済状態の変化

当社グループの商品やサービスに対する需要は、商品やサービスを提供している国又は地域の経済状況の影響を受けます。このため、日本をはじめ、当社グループの主要な市場であるアジアや欧米の国や地域の経済環境に著しい変動があれば、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替レートの変動

当社グループは海外に連結子会社を有し、海外各国に対して輸出を行っています。一般的に他の通貨に対する円高は当社グループの業績に悪い影響を及ぼし、円安は良い影響をもたらします。また、当社グループは、中国に生産拠点としての連結子会社を有しており、中国の通貨である元の通貨価値が上昇した場合は生産コストを押し上げることとなり、当社グループの競争力の低下をもたらす可能性があります。

 

 

(3) 新製品開発

当社グループは、自動車や電子機器、光通信、医療・バイオ等、関連市場の将来的なニーズを先取りし、革新的な製品・技術を継続的に開発していくことが、企業グループとしての成長・存続を可能にする要件であると認識しております。しかしながら、市場の変化は早く、新製品の開発と市場投入プロセスは、その性質から複雑かつ不確実性の高いものであります。当社グループが市場ニーズの変化を十分に予想できず、魅力ある新製品を開発できない場合又は当社製品が陳腐化するような技術革新が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 価格競争

当社グループが提供している商品やサービスは、自動車用部品や電子部品、機械装置、成形品等のメーカーや光通信関連業界に属する企業等を対象としております。これらの業界においては、競合メーカーの参入によって価格競争が大変厳しくなっており、当社グループに対しても価格の引き下げ圧力が存在します。当社グループは、常にコストダウンの努力を続けておりますが、商品やサービスに対する価格下落がより著しくなり、当社が価格優位性を保てなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 国際的活動

当社グループは、日本をはじめ米国、ドイツ、フランス、中国及び台湾に拠点を有し、グローバルな生産、営業活動を展開しております。これらの国や地域において、以下に掲げるようなリスクが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

・不利な政治又は経済要因(輸出入規制等)

・予期しない制度、法律又は規制の変更

・移転価格税制等の国際税務リスク

・インフラの未整備による停電や水害等により生産活動等に障害が発生する又はこのために当社グループの製品やサービスに対する顧客の支持を低下させるリスク

・ストライキ等の労働争議

・人材採用と確保の難しさ

・テロ、戦争、感染症、その他の要因による社会的混乱

 

(6) 特定の取引先への依存

当社グループは、車載用のインサート成形品を製造し、その多くを株式会社デンソーに販売しております。当連結会計年度の連結売上高に占める同社向けの売上高比率は35.4%となっております。同社に対する売上依存度が高いことから、同社の経営状況の変化や事業方針の変更、当社グループとの関係性に変化が生じた場合などには、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 人材の確保・育成

当社グループは、継続的に企業価値を向上させていくために、技術力やマネジメント能力等に優れた人材の確保、育成が不可欠であります。一方、優秀な人材を獲得するための競争は非常に厳しく、当社グループが必要とする人材を、必ずしも継続的に確保できるとは限りません。また、人材の育成には十分な投資を行い、社員教育に注力しておりますが、雇用環境の変化に伴って人材の流動化が顕著になっており、鍵となる人材が社外に流出してしまうことも考えられます。長期的な視点から、優秀な人材の確保や育成が計画どおりに進まなかった場合には、当社グループの業績及び財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(8) 知的財産保護の限界

当社グループは、事業戦略的に重要な技術に関して、特許や意匠登録などの知的財産権を積極的に取得し、権利の保護を図っております。これら知的財産権の保護には最善の努力をしておりますが、世界の特定の地域においては、このような法的保護が困難な場合や限定的にしか保護されない場合があります。この結果、当社グループの技術を模倣した製品が第三者によって製造されることを防止できない可能性があります。

 

(9) 製品の欠陥

当社グループは、製品の品質維持に最大限の努力を傾けておりますが、販売した製品に欠陥が発生した場合には、顧客に対する賠償やクレーム対応による費用等により、当社グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(10) 他社との提携の成否

継続的に企業価値を向上していくためには、当社グループが創業以来培ったコア技術を更に研鑽することに加え、新たな技術を獲得していくことが必要であります。このため、当社グループは、常に次世代を見据えた製品の開発に注力する一方、M&A案件の模索や、当社グループにない技術を保有する企業との技術提携等、他社とのアライアンスに積極的に取り組んでおります。しかし、魅力的な技術を保有する他社との間にシナジーを生み出す提携を実現するためには、多額の投資が必要になる場合があるほか、知的財産権や人的な問題等が発生し、計画どおりに進捗しない場合があります。効果的な他社との提携が長期にわたって計画どおりに成立しなかった場合には当社グループの技術革新の停滞を招き、企業競争力を低下させる可能性があります。

 

(11) 減損会計

市況や事業環境が著しく悪化した場合には、保有している資産の市場価格の下落や、資産から生み出される事業収益力が低下することが考えられます。これにより、保有している固定資産の減損を認識せざるを得なくなり、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 自然災害

当社グループの本社工場は千葉県松戸市内にあり、大規模な地震にも対応できるよう免震構造の設備となっております。子会社の不二電子工業株式会社は、静岡県静岡市及び静岡県藤枝市、北海道千歳市に生産拠点を保有しております。設備の耐震化や生産地の分散化を図っておりますが、局地的に多大な被害をもたらす大規模地震が発生した場合、震災の影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。
 また、当社グループは、米国、ドイツ、フランス、中国、台湾等の世界各国において事業活動を展開しております。これらの地域を含め、地震、台風等の自然災害により長期にわたって事業活動の中断をするような場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大

2020年年初から新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界各国で外出や移動の規制、事業活動の停止等の措置が採られました。当社グループにおいても中国の連結子会社において生産活動が一時的に止まることとなり、出荷が滞る事態が生じました。また、一部の顧客が操業を停止し、当社グループの業績に影響が生じることとなりました。当社グループの各拠点は、感染予防の観点から、一部社員の在宅勤務や出張の禁止、来客の自粛要請、WEB会議や電話会議の積極活用、自家用車通勤や時差出勤の奨励、出勤時の検温、マスクの着用義務や手洗いの徹底といった感染対策を講じておりますが、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、又は変異型ウイルスが再拡大する等、当社グループ各社や顧客の事業活動が停滞する事態が続く場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績
  当連結会計年度における世界経済は、年度前半は世界に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響で大幅に落ち込んだものの、年度後半は総じて回復基調で推移しました。米国では新型コロナウイルスの感染者数が世界で最多となる中、2021年1月に発足したバイデン新政権が打ち出した追加経済対策とワクチンの普及により経済活動が再開し、企業の受注や生産、個人消費や雇用も上向いています。中国は新型コロナウイルス感染症の影響をいち早く解消し、国家の積極的な政策もあいまって、2020年春以降、企業の輸出や設備投資が急速に回復しました。欧州各国では活動制限が長期化する中、外需の改善を背景に輸出が上向き、製造業を中心に緩やかながら回復基調に転じています。我が国においても、度重なる緊急事態宣言の発令やインバウンド需要の消滅により個人サービス関連の業種は厳しい経営環境が続いていますが、リモートワークの増加や外需の高まりを受けて情報通信や電子部品、自動車等の製造業は年度後半に向けて景況感が改善することとなりました。
 当社グループが関わる情報通信関連やエレクトロニクス関連市場においては、5Gの本格稼働を控え、世界各国で基地局や光通信網の整備が進められました。我が国においても5Gに対応するスマートフォンの新機種が複数のメーカーからリリースされています。また、新型コロナウイルスの感染対策としてリモートワークが拡大し、ノートパソコンやタブレット端末の需要が増加しました。さらに、IT技術やデジタルデータの活用により生産性の向上や省人化を図り、企業のビジネスモデルや価値提供の方法を抜本的に変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)も進展することとなりました。一方、自動車関連市場は、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)と呼ばれる大きな転換期を迎えています。当連結会計年度においては、複数の国や都市においてカーボンニュートラルの達成に向けた「脱ガソリン車」の実現目標が示されることとなりました。自動車の需要は中国や米国を中心に拡大傾向にあるものの、市場に流通する半導体や樹脂材料に逼迫感が生じており、先行きに不透明感が生じています。
 こうした中で当社グループは、2016年度から取り組んでいる6ヶ年の中期経営計画『マスタープラン2016』に基づき、引き続き「既存事業の収益力強化」、「事業ポートフォリオの最適化」、「経営基盤の強化」の各施策の遂行に努めました。
 「既存事業の収益力強化」に向けては、各種の成形品や金型、精密金属加工部品等を主力製品とする精機事業、光通信用部品とその関連機器、レンズ、光伝送装置や光電界センサー等を主力製品とする光製品事業の両セグメントにおいて、販売力と価格競争力を強化すると共に、当社グループの技術資源である精密加工・精密成形・光学技術を応用し、市場や顧客のニーズに応える新製品、新技術の開発に取り組みました。
 「事業ポートフォリオの最適化」に向けては、「成長期待事業」に位置付けている精密樹脂成形品やレンズを「成長牽引事業」へと進化させるべく、顧客やパートナー企業との連携強化に努めました。併せて、当社グループの持続的な成長を促す「次世代事業」を創出するため、「成長牽引事業」や「収益基盤事業」で獲得した資金を投資するM&Aや事業提携先の模索も行いました。
 

 

「経営基盤の強化」に向けては、WEB会議を積極的に活用して当社グループ会社間のコミュニケ―ションを図り、価値観の共有や事業課題の解決に向けて議論を行いました。本社においては、小集団活動を通してボトムアップによる改善活動を継続的に実施したほか、働き方改革「メリハリワーク」を推進し、より短い時間でより多くの収益を上げる強固な組織体質の確立に努めました。

こうした施策と並行して、当社グループの各拠点において、一部社員の在宅勤務や出張の制限、来客の自粛要請、自家用車通勤や時差出勤の奨励、非接触体温計による出勤時の検温、昼食時間の二部制による食堂の過密の回避、マスクの着用義務や手洗いの徹底といった新型コロナウイルスの感染予防対策を講じました。しかしながら2020年12月、国内の子会社、不二電子工業株式会社において数名の陽性者が発生しました。保健所の指導に基づき、当該職場や共用設備の消毒等を速やかに行い、生産への影響はありませんでした。
 こうした諸施策を実施した結果、当連結会計年度の売上高は14,818,029千円(前連結会計年度比5.8%減)、営業利益は1,324,727千円(前連結会計年度比17.9%減)、経常利益は1,431,741千円(前連結会計年度比15.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は983,885千円(前連結会計年度比14.7%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

〔精機関連〕

 精機関連では、金属材料のプレス成形や、樹脂と金属を一体で成形するインサート成形等の技術を活用した精密成形品や、成形品を効率的に量産するための高品質な金型、高い寸法精度が要求される金属部品等を顧客に提供しております。当連結会計年度は、自動車の燃料噴射圧やブレーキ圧、太陽光等を感知するセンサー用基幹部品や、燃料供給を電子制御するエンジンコントロールユニット用ケース等の車載用インサート成形品の売上が増加しました。2016年に北海道千歳市に開設した工場も順調に生産数量を増やしています。一方、スマートフォンやモバイル端末のキーボード等に使用される金属プレス成形品は、新型コロナウイルス感染症の影響により、スマートフォンの消費地であるインドや欧州の需要が縮小したことや、一部の顧客が工場の稼働を停止したこと等により売上が減少することとなりました。開発面では、創業以来培ってきた精密金型技術や薄肉成形技術、樹脂成形品にミクロン単位の凹凸を施す微細転写技術を応用し、自動車や医療、バイオ等の産業領域において、顧客と共に新たな製品の量産化に向けた技術課題の解消に取り組みました。
 これらの結果、当連結会計年度の精機関連の売上高は8,675,946千円(前連結会計年度比1.5%減)となりました。 

〔光製品関連〕

 光製品関連では、光通信インフラに使用される光コネクタ等の接続部品や、これら光通信用部品の製造機器、検査・測定装置、電界の強度分布を正確に測定する光電界センサー、テレビや携帯電話等の電波を安定的に伝送する光伝送装置、スマートフォン等に搭載する超小型の樹脂レンズ等の製品を顧客に提供しております。現在、5Gの本格的な商用化に向けて、基地局やデータセンターを繋ぐ光通信用部品の需要が世界規模で増加傾向にあります。これを受けて中国の子会社は、新型コロナウイルスの中国国内の感染拡大が収束した2020年春以降、光通信用部品の売上が急速に回復しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響が長引いている北南米や欧州の一部の顧客の稼働率が停滞したほか、先行きの不透明感から設備投資に慎重になる顧客もあり、光コネクタ研磨機や測定装置については売上が減少することとなりました。開発面では、5Gの基地局に設置するアンテナが発する高周波電波の強度を測定する光電界センサーの商品化に向けた試作に取り組みました。
 これらの結果、当連結会計年度の光製品関連の売上高は6,142,083千円(前連結会計年度比11.3%減)となりました。 

 

当連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、精機関連、光製品関連の両セグメントにおいて売上高が減少することとなりました。2022年3月期も海外出張や対面営業が制限されること、感染拡大が著しい国の消費や生産の停滞が続く見通しであること等を受けて、通年を通して若干のマイナス影響が残ると見込んでいます。

そうした中、当社グループは引き続き、既存事業の収益力の強化に努める一方、将来に向けて永続的に企業価値を向上することができる強固な経営基盤を確立してまいりたいと考えております。

 

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

精機関連(千円)

8,887,498

98.1

光製品関連(千円)

6,192,367

89.5

合計(千円)

15,079,865

94.4

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は販売価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

精機関連

8,610,892

96.6

1,065,234

94.2

光製品関連

6,373,244

96.1

957,521

131.8

合計

14,984,137

96.4

2,022,755

108.9

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

精機関連(千円)

8,675,946

98.5

光製品関連(千円)

6,142,083

88.7

合計(千円)

14,818,029

94.2

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社デンソー

5,418,576

34.4

5,249,393

35.4

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における総資産の残高は28,966,138千円となり、前連結会計年度末から1,221,383千円増加いたしました。当連結会計年度末における資産、負債の状況とそれらの要因は次のとおりであります。

〔流動資産〕

当連結会計年度末における流動資産の残高は19,026,406千円となり、前連結会計年度末から1,687,175千円増加しました。その主な要因は、現金及び預金や受取手形及び売掛金が増加したこと等に因ります。

〔固定資産〕

当連結会計年度末における固定資産は9,939,731千円となり、前連結会計年度末から465,792千円減少いたしました。有形固定資産は7,895,334千円となり、前連結会計年度末から100,617千円減少しました。その主な要因は、建物や機械装置等の減価償却が進んだこと等に因ります。また、無形固定資産は971,323千円となり、前連結会計年度末から382,240千円減少しました。その主な要因は、のれんの減価償却が進んだこと等に因ります。

〔流動負債〕

当連結会計年度末における流動負債の残高は3,375,826千円となり、前連結会計年度末から425,009千円増加しました。その主な要因は、材料等の買掛金や未払消費税等が増加したこと等に因ります。

〔固定負債〕

当連結会計年度末における固定負債の残高は1,376,919千円となり、前連結会計年度末から111,065千円増加しました。その主な要因は、子会社がオフィス賃借契約を更新したことにより長期リース債務が増加したこと等に因ります。

〔純資産合計〕

当連結会計年度末における純資産の残高は24,213,391千円となり、前連結会計年度末から685,308千円増加しました。その主な要因は、利益剰余金が増加したこと等に因ります。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は4,877,382千円となり、前連結会計年度末から1,327,006千円増加いたしました。当該残高は、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みても、現在の事業活動を推進するうえで十分な水準を確保しているものと認識しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループの成長投資、手許資金、株主還元等の資金の配分のあり方が変わるものではありません。

当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

営業活動の結果増加した資金は、2,374,046千円(前連結会計年度は2,225,752千円の増加)となりました。営業活動による資金増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益1,434,718千円、減価償却費1,235,570千円、のれん償却額306,581千円、仕入債務の増加額267,184千円等であります。資金減少の主な要因は、法人税等の支払額530,530千円、売上債権の増加額407,778千円、棚卸資産の増加額117,488千円等であります。

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

投資活動の結果減少した資金は、626,188千円(前連結会計年度は1,752,988千円の減少)となりました。投資活動による資金減少の主な要因は、機械装置や工具器具等、有形固定資産の取得による支出831,600千円等であります。

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

財務活動の結果減少した資金は、411,245千円(前連結会計年度は685,909千円の減少)となりました。財務活動による資金減少の主な要因は、配当金の支払額368,622千円等であります。

 

 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。


 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの主要な資金需要は、製品製造に使用する原材料や部品の調達等の製造原価と、販売費及び一般管理費の他、既存製品の増産や新規製品の開発に向けた新しい機械装置の購入や既存の機械装置の改修等に使用しております。また、今後に向けては、当社グループの企業価値向上につなげるためのM&Aにも資金を積極的に投入していく考えです。

現時点におきましては、これらの資金については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金を充当していく予定であります。

 

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

   該当事項はありません。

 

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動の内容は、新しい事業領域に向けた新技術や新製品の開発と、既存事業領域における製品改良や生産技術の改善に大別されます。

新しい事業領域に向けた新技術や新製品の開発は、本社に属する研究開発部署をはじめ、精機関連・光製品関連の両セグメントにおいて実施しており、当連結会計年度において発生した研究開発費は107,387千円となりました。一方、既存事業領域における製品改良や生産技術の改善は、精機関連・光製品関連の両セグメントの技術担当部署が担当しており、当連結会計年度にこれらの活動に要した費用は296,129千円となっております。これにより、当連結会計年度における研究開発活動費用の総額は403,517千円となりました。

 

(1) 精機関連

精機関連では、セグメント内の技術担当部署において、金型設計や薄肉成形、微細転写等の技術をベースに、極めて薄い成形品の量産や微細な凹凸の正確な転写を実現する精密金型の開発、これらの金型を利用した射出成形技術の開発等を行っております。

当連結会計年度の精機関連セグメントにおける研究開発活動費用の合計額は3,477千円であります。

 

(2) 光製品関連

光製品関連では、セグメント内の技術担当部署において、より高速化、大容量化する光通信網に適した製品の開発を行っております。当連結会計年度においては、高速大容量伝送を実現する光通信デバイスや、狭小な空間において大量の配線を可能とする多心コネクタ等の開発に注力いたしました。また、光学結晶や光ファイバを取り扱う技術等を水平展開し、5G基地局のアンテナを計測する光電界センサーや、無給電光伝送装置等、光通信以外の用途に向けた製品の研究開発にも取り組みました。

当連結会計年度の光製品関連セグメントにおける研究開発活動費用の合計額は311,339千円であります。

 

両セグメントに属さない、本社の研究開発部署においては、極少レンズの新たな製造方法に関する研究開発を行い、当連結会計年度に費やした当該研究開発活動費用の合計額は88,699千円となっております。