文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、2016年4月より中期経営計画『マスタープラン2016』をスタートし、「既存事業の収益力の強化」「事業ポートフォリオの最適化」「経営基盤の強化」を基本方針に、それぞれの課題解決に取り組んでまいりました。『マスタープラン2016』では、最終年度となる2021年度の連結売上高を250億円、連結営業利益を25億円以上と設定し、その達成に向けて取り組みましたが、遂行期間中に生じた米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大といった外部環境の変化のほか、新規顧客開拓、新製品の市場投入の遅れ等もあり、連結売上高は161億円、連結営業利益は15億円にとどまり、次年度以降へ課題を残すこととなりました。
そこで当社グループは、『マスタープラン2016』で達成できなかった課題の解決と、さらなる50年先にも持続的に成長を続ける強固な経営基盤を確立するため、新たな中期経営計画『マスタープラン2022』を策定し、2022年度からスタートさせることとしました。『マスタープラン2022』では、長期的に当社グループが目指す企業像を次のとおり定め、社会課題解決への貢献を通して存在感のある企業グループとなるべく努めてまいります。
■ 目指す企業像
「社会に必要とされる企業」 ~社会の維持継続/進歩発展に貢献する~
中期経営計画『マスタープラン2022』では、当社グループが目指す企業像を実現するために対処すべき課題として次の4点を認識しております。
当社グループが事業を営む情報通信、エレクトロニクス関連市場は5Gの商用化やAI、IoTの活用によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展等に伴う成長が見込まれております。また、自動車関連市場はCASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)と呼ばれる大きな転換期を迎え、成熟しながらも進化が続く見通しであります。こうした市場の変化は当社グループにとって成長の機会である一方、変化のスピードに遅れを取れば、世界の競合企業にシェアを奪われることとなります。
市場環境の変化を迅速に読み取り、他社に先駆けて的確な対応策を実行していくためには、顧客との濃密で質の高いコミュニケーションを通して、市場に求められるニーズと当社グループが有する技術や製品との接点を把握することが重要です。顧客との接点を担う営業員には、社内の営業会議や社員研修等により最新の情報とスキルをインプットし、個の能力と顧客に提供するサービスの質を高めてまいります。
当社グループの連結売上高のうち、取引金額の上位10社で約60%を占めています(2022年3月期実績)。こうした重要顧客との取引シェアをさらに拡大していくためには、顧客の経営課題や技術課題を共有し、その解決に向けて共に取り組んでいくことが必要です。当社グループがビジョンに掲げる「ベストパートナー」となるべく、既存顧客との関係性を深めてまいります。
また、新しい顧客と出会う機会を数多く作り出すため、展示会への出展や新聞、雑誌等へのプレスリリース、ホームページ等のメディアを通して当社グループの技術や製品を積極的に広報し、市場での認知度を高めてまいります。並行して新製品、新技術の開発からリリースまでの時間を短縮し、技術、品質、性能の各面で顧客の期待を超えるサービスを提供してまいります。
当社グループは、創業以来培ってきた精密加工・精密成形・光学技術のコアテクノロジーを活用して、情報通信、自動車、医療・バイオ等の成長市場に向けて商品やサービスを提供しています。当社グループは、提供する商品やサービスは、顧客の成長を支援し、社会の維持継続や進歩発展に貢献するものでなければならないと考えています。過去には光ディスク成形用金型や光コネクタ研磨機といった、まだ世の中に存在していない新しい技術や製品を開発し、CDやDVD等の光ディスクの普及や、光通信によるインターネット環境の構築に貢献してまいりました。新製品・新技術開発を担う技術員は、市場のニーズに合った製品開発を行うために、また、より幅広い領域での貢献を可能とするよう常に技術力を研鑽するとともに、顧客とのコミュニケーションを通して市場の情報を捉え、その製品開発が社会に役立つ姿を検証しています。中期経営計画『マスタープラン2022』では、2026年度末の連結売上高に占める新製品比率を30%以上とする計画です。
市場にリリースする商品やサービスが社会に大きく貢献するためには、タイミングが極めて重要です。ニーズが成熟し、市場に他社の類似製品が出た後でリリースすることになれば、社会への貢献は限定的な範囲に留まることとなってしまいます。当社は、新製品や新技術の開発状況を社内で共有することで、開発期間のマネジメントを強化することとしました。併せて各開発案件の目的やターゲット市場、想定される業績インパクト等も共有して開発担当者の意識向上を促し、新製品・新技術開発を加速させてまいります。
また当社は、2021年度末時点で国内外に151件の特許を保有しています。他社との差別化を図り、技術的な優位性を担保する上で特許は重要なツールです。一方、技術内容によっては特許として公開せず、社内にノウハウとして留めておく方が効果的な場合もあります。当社は、2026年度末時点の特許登録件数を2021年度末から30%以上増加させることを目指し、ノウハウとして秘匿する技術情報を戦略的に判断しながら、他社との技術的な優位性を確立していく考えです。
当社グループは、金型や成形品は主に日本で、光コネクタは主に中国で生産し、市場に提供しています。日本の労働環境は少子高齢化により生産人口の減少が続いています。一方中国は毎年5%程度の経済成長率で推移しており、労働者への賃金もこれに比例する形で年々上昇しています。こうした状況に対処するため、当社グループは、成形品や光コネクタ等、量産品の自動製造装置を自社開発しています。当社は、国内子会社の不二電子工業株式会社と共同プロジェクトを2018年に立ち上げ、車載用成形品のバリ取り工程や検査工程の自動機を当社が開発し、不二電子工業に供給してまいりました。また、2021年には新型光コネクタ「Intelli-Cross Pro」の組立から検査、梱包までを一貫して行う自動組立装置を開発しています。今後、AIやIoT等も応用しながら、さらなる生産効率の向上を図ってまいります。
一方、足元では半導体や樹脂材料の供給不足により、仕入れ価格の高騰や納期の遅延等の懸念材料が払拭できません。また、発生から2年を経過しても未だに終息しない新型コロナウイルス感染症や、2022年に入ってから緊迫化しているウクライナ情勢等が資源価格の高騰や円安に拍車をかけ、国家間の物流も近年にないほど混乱した状況となっています。そうした中でも、最良の部材を最も適切な価格で安定的に調達できるよう、世界中の取引先との良好なパートナーシップを維持してまいります。また、物流面では受注から納品までの無駄を排除し、コストと時間を最小化するサプライチェーンの構築に取り組んでまいります。
また、当社グループは、「高品質な商品を安定して製造すること」が最も地球に優しい事業活動である(無駄な資源・エネルギーを消費しない、無駄な廃棄物を排出しない)と考え、品質管理体制の維持と改善に取り組んでいます。2019年度からは、日本と中国の生産拠点がグループとして一貫性のある、整合の取れた品質意識を持ち、共同で品質課題の解消に取り組むため、グローバル品質会議を開催しております。仕様を満足する製品を安定的に供給する品質管理体制を維持し、顧客から信頼される「ベストパートナー」となるべく、引き続き努めてまいります。
(4) 経営基盤の強化
永続的な企業価値の成長を実現し、真に社会に必要とされる企業となるためには、環境(Environmental)、社会(Social)、企業統治(Governance)の各側面のサステナビリティな活動を通して経営基盤を強化することが重要と考えています。中期経営計画『マスタープラン2022』では、当社グループ全体のサステナビリティ活動を統括する組織として、社長直轄の「サステナビリティ推進室」を設置しました。
環境面においては、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、温室効果ガスの排出削減に取り組みます。『マスタープラン2022』の最終年度となる2026年度には、自社排出量を2020年度比17%削減することを目指し、再生可能エネルギーの活用も含めて施策を検討、実行してまいります。また、製造する金型の構造を工夫し、使用する樹脂材料を減らす「ホットランナー金型」や、リサイクル樹脂の使用による廃棄の削減、製造工程における環境負荷物質の排除など、開発・設計・製造・販売のあらゆる企業活動において継続的な環境改善の実施に努めてまいります。
社会面においては、多様な人材が健康に活き活きと働ける環境を整備するほか、ペーパーレス化やクラウドの活用等により、有事の際にも事業活動を継続できる体制の構築を進めます。当社単体では、2018年度より働き方改革「メリハリワーク」を導入して個々の社員の能力向上と業務効率の改善に取り組んでいます。その結果、当事業年度の当社社員全体の時間外労働は、導入前の2017年度と比べて約24%削減することができました。2020年度には有給休暇を1時間単位で取得できる制度を導入しました。今後は、現在無給となっている子供を看護するための休暇について一部有給化する等、引き続き社員にとって働きやすい職場環境づくりに取り組んでまいります。
企業統治面においては、2016年度に監査等委員会設置会社へと移行しました。当連結会計年度末現在、9名の取締役のうち4名の独立社外役員を選任しており、取締役会の監視機能の強化を図っております。また、当社グループの中長期的な業績や株式価値と、取締役報酬との連動性を明確にする目的で、2016年度に、取締役に対して業績連動型株式報酬制度を導入しました。2018年度には執行役員制度を導入して権限を委譲し、意思決定スピードの迅速化を図っております。
当社グループは、中期経営計画『マスタープラン2022』で明確化した方針と施策を遂行することにより、成長の土台となる経営基盤を一層強化し、より幅広い産業領域において永続的に社会の発展に貢献する企業グループとなるべく、努力してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの商品やサービスに対する需要は、商品やサービスを提供している国又は地域の経済状況の影響を受けます。このため、日本をはじめ、当社グループの主要な市場であるアジアや欧米の国や地域の経済環境に著しい変動があれば、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替レートの変動
当社グループは海外に連結子会社を有し、海外各国に対して輸出を行っています。一般的に他の通貨に対する円高は当社グループの業績に悪い影響を及ぼし、円安は良い影響をもたらします。また、当社グループは、中国に生産拠点としての連結子会社を有しており、中国の通貨である元の通貨価値が上昇した場合は生産コストを押し上げることとなり、当社グループの競争力の低下をもたらす可能性があります。
当社グループは、自動車や電子機器、光通信、医療・バイオ等、関連市場の将来的なニーズを先取りし、革新的な製品・技術を継続的に開発していくことが、企業グループとしての成長・存続を可能にする要件であると認識しております。しかしながら、市場の変化は早く、新製品の開発と市場投入プロセスは、その性質から複雑かつ不確実性の高いものであります。当社グループが市場ニーズの変化を十分に予想できず、魅力ある新製品を開発できない場合又は当社製品が陳腐化するような技術革新が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが提供している商品やサービスは、自動車用部品や電子部品、機械装置、成形品等のメーカーや光通信関連業界に属する企業等を対象としております。これらの業界においては、競合メーカーの参入によって価格競争が大変厳しくなっており、当社グループに対しても価格の引き下げ圧力が存在します。当社グループは、常にコストダウンの努力を続けておりますが、商品やサービスに対する価格下落がより著しくなり、当社が価格優位性を保てなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 調達活動
当社グループは、原材料を複数のサプライヤーから調達することにより、生産に必要な原材料を安定的に確保するよう努めておりますが、一部の限られたサプライヤーに依存する原材料も存在しております。そうしたサプライヤーが、自然災害や感染症の拡大、事故、倒産等により原材料の供給を中断する事態が生じたり、需要の急増により供給が滞る事態が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本をはじめ米国、ドイツ、フランス、中国及び台湾に拠点を有し、グローバルな生産、営業活動を展開しております。これらの国や地域において、以下に掲げるようなリスクが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
・不利な政治又は経済要因(輸出入規制等)
・予期しない制度、法律又は規制の変更
・移転価格税制等の国際税務リスク
・インフラの未整備による停電や水害等により生産活動等に障害が発生する又はこのために当社グループの製品やサービスに対する顧客の支持を低下させるリスク
・ストライキ等の労働争議
・人材採用と確保の難しさ
・テロ、戦争、感染症、その他の要因による社会的混乱
当社グループは、車載用のインサート成形品を製造し、その多くを株式会社デンソーに販売しております。当連結会計年度の連結売上高に占める同社向けの売上高比率は33.9%となっております。同社に対する売上依存度が高いことから、同社の経営状況の変化や事業方針の変更、当社グループとの関係性に変化が生じた場合などには、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、継続的に企業価値を向上させていくために、技術力やマネジメント能力等に優れた人材の確保、育成が不可欠であります。一方、優秀な人材を獲得するための競争は非常に厳しく、当社グループが必要とする人材を、必ずしも継続的に確保できるとは限りません。また、人材の育成には十分な投資を行い、社員教育に注力しておりますが、雇用環境の変化に伴って人材の流動化が顕著になっており、鍵となる人材が社外に流出してしまうことも考えられます。長期的な視点から、優秀な人材の確保や育成が計画どおりに進まなかった場合には、当社グループの業績及び財政状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業戦略的に重要な技術に関して、特許や意匠登録などの知的財産権を積極的に取得し、権利の保護を図っております。これら知的財産権の保護には最善の努力をしておりますが、世界の特定の地域においては、このような法的保護が困難な場合や限定的にしか保護されない場合があります。この結果、当社グループの技術を模倣した製品が第三者によって製造されることを防止できない可能性があります。
当社グループは、製品の品質維持に最大限の努力を傾けておりますが、販売した製品に欠陥が発生した場合には、顧客に対する賠償やクレーム対応による費用等により、当社グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
継続的に企業価値を向上していくためには、当社グループが創業以来培ったコア技術を更に研鑽することに加え、新たな技術を獲得していくことが必要であります。このため、当社グループは、常に次世代を見据えた製品の開発に注力する一方、M&A案件の模索や、当社グループにない技術を保有する企業との技術提携等、他社とのアライアンスに積極的に取り組んでおります。しかし、魅力的な技術を保有する他社との間にシナジーを生み出す提携を実現するためには、多額の投資が必要になる場合があるほか、知的財産権や人的な問題等が発生し、計画どおりに進捗しない場合があります。効果的な他社との提携が長期にわたって計画どおりに成立しなかった場合には当社グループの技術革新の停滞を招き、企業競争力を低下させる可能性があります。
市況や事業環境が著しく悪化した場合には、保有している資産の市場価格の下落や、資産から生み出される事業収益力が低下することが考えられます。これにより、保有している固定資産の減損を認識せざるを得なくなり、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの本社工場は千葉県松戸市内にあり、大規模な地震にも対応できるよう免震構造の設備となっております。子会社の不二電子工業株式会社は、静岡県静岡市及び静岡県藤枝市、北海道千歳市に生産拠点を保有しております。設備の耐震化や生産地の分散化を図っておりますが、局地的に多大な被害をもたらす大規模地震が発生した場合、震災の影響を完全に防止又は軽減できる保証はありません。
また、当社グループは、米国、ドイツ、フランス、中国、台湾等の世界各国において事業活動を展開しております。これらの地域を含め、地震、台風等の自然災害により長期にわたって事業活動の中断をするような場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
2020年年初から新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界各国で外出や移動の規制、事業活動の停止等の措置が採られました。当社グループの各拠点は、感染予防の観点から、一部社員の在宅勤務や出張の禁止、来客の自粛要請、WEB会議や電話会議の積極活用、自家用車通勤や時差出勤の奨励、出勤時の検温、マスクの着用義務や手洗いの徹底といった感染対策を講じておりますが、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化し、又は変異型ウイルスが再拡大する等、当社グループ各社や顧客の事業活動が停滞する事態が続く場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループが関わる情報通信関連やエレクトロニクス関連市場においては、デジタルデータ量の増加を背景に5G通信が普及し始めています。5Gの超高速・大容量・低遅延な通信環境を活用した様々なアプリケーションが実用化され、並行して、5Gを超える通信環境を可能とするビヨンド5Gの開発も進むこととなりました。また、ネットワーク上に構築された、現実世界とは異なる3次元の商業的な仮想空間「メタバース」の活用が始まり、市場の注目を集めました。自動車関連市場においては、半導体の供給不足により生産台数が計画比で下振れする中、自動車メーカー各社においては電気自動車の生産拡大に向けた経営資源のシフトや、自動運転レベルの高度化に向けた技術開発が進むこととなりました。
こうした中で当社グループは、2016年度から取り組んでいる6ヶ年の中期経営計画『マスタープラン2016』の最終年度として、引き続き「既存事業の収益力強化」、「事業ポートフォリオの最適化」、「経営基盤の強化」の各施策の遂行に努めました。
「既存事業の収益力強化」に向けては、各種の成形品や金型、精密金属加工部品等を主力製品とする精機事業、光通信用部品とその関連機器、レンズ、光伝送装置や光電界センサー等を主力製品とする光製品事業の両セグメントにおいて、販売力と価格競争力を強化すると共に、当社の技術資源である精密加工・精密成形・光学技術を応用し、市場や顧客のニーズに応える新製品、新技術の開発に取り組みました。
「事業ポートフォリオの最適化」に向けては、「成長期待事業」に位置付けている精密樹脂成形品やレンズを「成長牽引事業」へと進化させるべく、ターゲット市場のマーケティングやパートナー企業との連携強化に努めました。併せて、当社グループの持続的な成長を促す「次世代事業」を創出するため、「成長牽引事業」や「収益基盤事業」で獲得した資金を投資するM&Aや事業提携先の模索も行いました。
「経営基盤の強化」に向けては、WEB会議を積極的に活用して当社グループ会社間のコミュニケ―ションを図り、価値観の共有や事業課題の解決に向けて議論を行いました。本社においては、小集団活動を通してボトムアップによる改善活動を継続的に実施したほか、働き方改革「メリハリワーク」を推進し、より短い時間でより多くの収益を上げる強固な組織体質の確立に努めました。
これらの施策と並行して、当社グループの各拠点において、それぞれの地域における新型コロナウイルスの感染状況に応じて出張の自粛や来客の自粛要請、自家用車通勤や時差出勤の奨励、昼食時間の二部制による食堂の過密の回避、出勤時の検温、マスクの着用義務や手洗いの徹底といった感染予防対策を講じました。
こうした諸施策を実施した結果、当連結会計年度の売上高は16,188,796千円となり、創業以来最高となりました。営業利益は1,524,792千円、経常利益は1,641,303千円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,150,022千円となりました。2016年度から取り組み始めた6ヶ年の中期経営計画『マスタープラン2016』で掲げた、連結売上高250億円、連結営業利益25億円以上という中期経営目標に対しては、遂行期間中に生じた米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大といった外部環境の変化のほか、新規顧客開拓、新製品の市場投入の遅れ等もあり、大変不本意ながら未達となり、2022年度から開始する新しい中期経営計画に課題を引き継ぐこととなりました。
なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しており、前連結会計年度との比較はしておりませんが、当連結会計年度の実績値と前連結会計年度の実績値との増減を単純に比較すると、売上高は1,370,766千円の増加(前連結会計年度比9.3%増)となりました。営業利益は200,064千円の増加(前連結会計年度比15.1%増)、経常利益は209,562千円の増加(前連結会計年度比14.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は166,137千円の増加(前連結会計年度比16.9%増)となり、前連結会計年度から売上、利益共に増加しました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
精機関連では、樹脂と金属を一体で成形するインサート成形や金属材料のプレス成形等の技術を活用した精密成形品や、成形品を効率的に量産するための高品質な金型、高い寸法精度が要求される金属部品等を顧客に提供しております。当連結会計年度は、新型コロナウイルスや半導体の供給不足の影響で自動車メーカーが生産台数を抑制する中、各種の圧力センサー用のインサート成形品や、エアコンに組み込まれる電動コンプレッサー用部品等、車載用成形品の売上が増加しました。一方、スマートフォンやモバイル端末のキーボード等に使用される金属プレス成形品は、新型コロナウイルス感染症の影響により、スマートフォンの消費地であるインドや欧州の需要が縮小し、売上が減少することとなりました。開発面では、創業以来培ってきた精密金型技術や射出圧縮成形技術、樹脂成形品にミクロン単位の凹凸を施す微細転写技術等を応用し、自動車や医療、バイオ等の産業領域において、顧客と共に新たな製品の量産化に向けた技術課題の解消に取り組みました。
これらの結果、当連結会計年度の精機関連の売上高は8,478,455千円となりました。
光製品関連では、光通信インフラやデータセンター等に使用される光コネクタ等の接続部品や、これら光通信用部品の製造機器、検査・測定装置、電界の強度分布を正確に測定する光電界センサー、テレビや携帯電話等の電波を安定的に伝送する光伝送装置、センサーや医療用内視鏡等に応用可能な超小型の樹脂レンズ等の製品を顧客に提供しております。現在、5Gの商用化やリモート需要の拡大を背景に、基地局やデータセンターを繋ぐ光通信用部品の需要が世界規模で増加しており、世界各国の光通信用部品メーカーが生産体制を増強しています。これを受けて当連結会計年度は、光通信用部品やその製造機器、検査・測定装置の売上が大きく増加することとなりました。中国大連の子会社は、光コネクタの基幹部品であるフェルールの生産能力を拡大するため、総床面積が現在の1.6倍となる新工場を2021年6月に取得し、立ち上げ準備を行っています。また中国杭州の子会社は、中国国内のケーブルテレビ関連顧客に向けて光接続部品を販売する新会社を2021年10月に設立し、販売力の強化を図りました。
これらの結果、当連結会計年度の光製品関連の売上高は7,710,341千円となりました。
当連結会計年度も前連結会計年度に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、需要の停滞や原材料の納期に遅延が生じる等の事態が生じました。ワクチン接種が進み、行動規制が緩和される国が増えつつありますが、国をまたぐ人の移動は当面の間、制限が続く見通しであります。新型コロナウイルスの影響は縮小しているものの、2023年3月期も完全に払拭するには至らず、若干のマイナス影響が残ると見込んでいます。
そうした中、当社グループは引き続き、既存事業の収益力の強化に努める一方、将来に向けて永続的に企業価値を向上することができる強固な経営基盤を確立してまいりたいと考えております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しているため、前年同期比は記載しておりません。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当連結会計年度末における総資産の残高は30,339,101千円となり、前連結会計年度末から1,372,963千円増加いたしました。当連結会計年度末における資産、負債の状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度末における流動資産の残高は20,635,636千円となり、前連結会計年度末から1,609,230千円増加しました。その主な要因は、売上高の増加に伴い受取手形、売掛金及び電子記録債権が増加したことや、材料の調達リスクを鑑み一部の部材を先行手配したことに伴い、原材料及び貯蔵品が増加したこと等に因ります。
当連結会計年度末における固定資産は9,703,464千円となり、前連結会計年度末から236,266千円減少いたしました。その主な要因は、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」を適用したことや、建物や機械装置、のれん等の減価償却が進んだこと等に因ります。
当連結会計年度末における流動負債の残高は3,367,228千円となり、前連結会計年度末から8,598千円減少しました。その主な要因は、材料等の買掛金や未払法人税等が減少したこと等に因ります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は1,477,512千円となり、前連結会計年度末から100,593千円増加しました。その主な要因は、退職給付に係る負債が増加したこと等に因ります。
当連結会計年度末における純資産の残高は25,494,360千円となり、前連結会計年度末から1,280,968千円増加しました。その主な要因は、利益剰余金や為替換算調整勘定が増加したこと等に因ります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は4,198,415千円となり、前連結会計年度末から678,967千円減少いたしました。当該残高は、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みても、現在の事業活動を推進するうえで十分な水準を確保しているものと認識しております。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループの成長投資、手許資金、株主還元等の資金の配分のあり方が変わるものではありません。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果増加した資金は、1,868,816千円(前連結会計年度は2,374,046千円の増加)となりました。営業活動による資金増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益1,624,409千円、減価償却費958,457千円、のれん償却額308,096千円、仕入債務の増加額110,737千円等であります。資金減少の主な要因は、法人税等の支払額599,655千円、棚卸資産の増加額438,852千円等であります。
投資活動の結果減少した資金は、2,328,118千円(前連結会計年度は626,188千円の減少)となりました。投資活動による資金減少の主な要因は、機械装置や工具器具等、有形固定資産の取得による支出1,618,391千円等であります。
財務活動の結果減少した資金は、429,011千円(前連結会計年度は411,245千円の減少)となりました。財務活動による資金減少の主な要因は、配当金の支払額368,598千円等であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの主要な資金需要は、製品製造に使用する原材料や部品の調達等の製造原価と、販売費及び一般管理費の他、既存製品の増産や新規製品の開発に向けた新しい機械装置の購入や既存の機械装置の改修等に使用しております。また、今後に向けては、当社グループの企業価値向上につなげるためのM&Aにも資金を積極的に投入していく考えです。
現時点におきましては、これらの資金については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金を充当していく予定であります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動の内容は、新しい事業領域に向けた新技術や新製品の開発と、既存事業領域における製品改良や生産技術の改善に大別されます。
新しい事業領域に向けた新技術や新製品の開発は、本社に属する研究開発部署をはじめ、精機関連・光製品関連の両セグメントにおいて実施しており、当連結会計年度において発生した研究開発費は147,423千円となりました。一方、既存事業領域における製品改良や生産技術の改善は、精機関連・光製品関連の両セグメントの技術担当部署が担当しており、当連結会計年度にこれらの活動に要した費用は290,073千円となっております。これにより、当連結会計年度における研究開発活動費用の総額は
精機関連では、セグメント内の技術担当部署において、樹脂と金属を一体で成形するインサート成形技術や精密な金属プレス技術を応用し、電気自動車等に搭載する新しい車載成形品や極めて小さい金属プレス成形品の開発等を行っております。
当連結会計年度の精機関連セグメントにおける研究開発活動費用の合計額は
光製品関連では、セグメント内の技術担当部署において、より高速化、大容量化する光通信網に適した製品の開発を行っております。当連結会計年度においては、高速大容量伝送を実現する光通信デバイスや、狭小な空間において大量の配線を可能とする多心コネクタ等の開発に注力いたしました。また、光ファイバや光学結晶を取り扱う技術、光学設計技術等を水平展開し、5G基地局のアンテナを計測する光電界センサーや無給電光伝送装置、超小型の樹脂レンズ等、光通信以外の用途に向けた製品の研究開発にも取り組みました。
当連結会計年度の光製品関連セグメントにおける研究開発活動費用の合計額は
その他、本社においては、精機関連、光製品関連の両セグメントで取り扱う製品の量産に不可欠な精密金型や、より薄肉、微細な成形品の量産を可能とする射出成形技術の研究開発を行い、当連結会計年度に費やした当該研究開発活動費用の合計額は92,910千円となっております。