第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針等

(i)経営方針

当社は、「「場の発明」を通じて欲しい未来をつくる。」をミッションに掲げ、「やがて文化になる事業をつくり続けるリーディングカンパニー」として、デザイン×ビジネス×テクノロジーの融合を強みとし、主に生活領域の社会課題を解決することで、これまで生み出せなかった新たな価値をつくり社会に届けていくことを目指しています。

(ⅱ)事業アプローチ

当社は、主に生活領域の社会変化の兆しに着目しデザイン×ビジネス×テクノロジーの融合により、これまで生み出せなかった価値を社会に届けていくことを目指しています。そのため、事業づくりにおいても、従来の競争型のアプローチではなく、異なる領域を“和える”編集型のアプローチにより産業を再定義していく独自の手法で事業創造を行っていきたいと考えています。

 

競争型のアプローチ

編集型のアプローチ

基本的な戦略

競争優位の確立による

シェア拡大・維持

産業の再編集による

市場創出

競争優位の源泉

機能やコスト面での優位性

一貫した世界観の確立による

高いエンゲージメント

重視する顧客価値

経済価値・スペック

感情価値・体験

オペレーションのつくり方

競争優位につながる

特定機能に特化し秀でる

デザイン、テクノロジーを活用し

高度なオペレーションの統合を実現

組織のつくり方

特定機能の効率的な実践が

可能な統制された組織

多様な職能が共存し

共創を行う組織

 

 

(ⅲ)共創型ワークスタイルの実践

事業プロデュース、広告クリエイティブ、不動産流通、建築・空間設計、メディア運営、編集、コミュニティマネジメント、イベントプランニング、そしてITエンジニアリングに至るまで、多様な職能のメンバーがツクルバに集っています。それぞれが自分の「色」を持ちながら、所属を超えて混ざり合い、「新たな色」を生み出す共創型ワークスタイルを実践することで、デザイン×ビジネス×テクノロジーの融合を実現しています。

 

(2) 経営戦略等

当社は、主力事業であるcowcamo(カウカモ)事業のサービス改善および組織体制の強化により事業規模を拡大させてまいります。具体的な経営戦略につきましては、以下のとおりであります。

 

(i)統合型の住宅流通プラットフォーム「cowcamo」の確立・拡大

① cowcamoが目指す流通構造の改革

(a)中古住宅流通のバリューチェーンをテクノロジーで統合

中古住宅に関する既存の流通構造では、再販事業者が売主から物件を買取り、リノベーションを施して再販する「買取/企画開発」のプロセス、不動産ポータルサイトの運営事業者が物件情報を掲載する「情報流通」のプロセス、不動産売買仲介事業者を通じて買主が中古住宅を購入する「不動産流通」のプロセスが、いずれも別個の事業者に分散して行われています。当社のcowcamoでは、中古・リノベーション住宅の企画開発、情報流通、不動産流通の一連のプロセスをデザインとテクノロジーで統合することにより、一貫した顧客体験と業務の生産性向上の両立を図っております。

 

(b)徹底的なユーザー視点で住宅購入の体験を革新

当事業では、デザインとテクノロジーを用いたメディアサービス及びエージェントサービスの統合により、ソーシャルメディア等のチャネルに特化した物件との出会いの体験、独自に撮影した画像や取材記事を中心としたコンテンツ型メディアを通じた物件選びの体験、エージェントとのコミュニケーションをオンラインチャットやオンラインミーティング等で行うことによる物件購入の体験等、住まい探しの初期段階から購入までの一連の顧客体験すべてをデザインする事で、住宅購入に関する顧客体験の刷新を図っております。

 

② 独自のポジショニング

当社は、cowcamo(カウカモ)事業において、情報解析等のテクノロジーによって、従来は独立に存在していた不動産ポータル、仲介業ならびに不動産事業者支援サービスを統合した新しいプラットフォームを確立・拡大したいと考えております。

 


 

日本の住宅流通領域におけるサービスは、Web業界を出自とする不動産ポータル事業者、不動産業界を出自とする仲介事業者、またシステム・ソフトウエア業界を出自とする不動産事業者向けシステムの提供など、事業体の出自により、それぞれが独立に事業・サービスを提供し、分散されてきました。しかしながら、当社が市場機会として着目する中古・リノベーション住宅の流通におきましては、物件の固有性と多様化する顧客ニーズを適切にマッチングさせた上で、顧客の求める一点ものの商品を企画することが重要となるため、各事業体が提供するサービスを統合した事業モデルが有効であると考えております。

また、このような統合型の住宅流通プラットフォームを確立するうえでは、Webサービスの開発力、仲介業務の理解ならびに仲介業務を効率化する業務システムの開発力、物件情報を供給する不動産事業者とのネットワーク及び同事業者に対する業務支援サービス・システムの開発力など、テクノロジーと業務オペレーション、組織力の高度な統合が必要となり、これが同業他社による類似サービスの展開に対する障壁として有効に機能するものと考えております。

 

③ 一連のプロセスをデザインとテクノロジーによって統合・最適化

当社は、データ(物件データ、顧客データ、デザインデータ)を中心として、一連の業務プロセスを自社開発のシステムによって効率的にデザインして統合・最適化し、エージェントの生産性を継続的に改善する方針です。業務プロセスの具体例は以下の通りです。

(a) マーケティング:マーケティング支援ツールを用いた会員データ解析、マーケティングオートメーション

 (※3)

(b) 物件企画・開発:企画支援ツールを用いた査定業務の自動化、物件・デザインデータの解析

(c) コンテンツ制作:制作支援ツールを用いたコンテンツ管理、物件選定の自動化

(d) エージェント・業務支援:エージェントCRMツール(※4)を用いた顧客データ管理、顧客と物件のマッチングによる提案支援、顧客応答の自動化、エージェントアサイン(※5)の自動化

 

 

④ ユーザーを起点とした自律的成長サイクルの実現

当社は、中古マンション購入における一連の顧客体験の統合・刷新等により、ユーザーのエンゲージメント(※6)を高めることで会員数の拡大を図る方針です。主な会員数の拡大のサイクルは以下の通りです。

(i)  オンライン・オフラインを統合してデザインされた洗練されたユーザー体験によりユーザーが蓄積

(ii) 蓄積されたユーザーの購買行動により、顧客嗜好、取引、空間・企画のデータが蓄積

(iii)蓄積されたデータを活用して売主側の仕入、リノベーション企画・開発、売却を提案

(iv) データを基にユーザーニーズに基づく物件が供給される

(v)  ストーリー調の魅力的な記事により、蓄積された豊富なユーザーに訴求

(vi) ユーザーがさらに集まり、反響(※7)も集まり、早く適正な価格で売れる

(vii)それによってさらに売主が集まる

 

上記のように、洗練されたユーザー体験により既に蓄積されているユーザー基盤を起点とし、そのユーザー基盤に対して売主が集まり、さらにデータ活用によりユーザーが望む魅力的な物件が増え、さらにそれによってユーザーが増える、というユーザー基盤を起点とした自律的成長サイクルを実現しています。

 

⑤ 顧客、データ、ノウハウの蓄積により持続的な競争優位を確立

当社は、これまでの事業運営において、独自の顧客基盤、データ、オペレーションノウハウを蓄積して参りました。今後も独自の顧客基盤、データ、オペレーションノウハウの蓄積により、持続的な競争優位の構築を図る方針です。

(a) 顧客基盤の蓄積:cowcamoは首都圏における中古・リノベーション住宅流通プラットフォームとして多数の利用事業者数・ユーザー数を擁しております。

(b) データの蓄積:当社は、首都圏の中古・リノベーション住宅流通に関する独自のデータを蓄積しております。これらのデータは、自社での取材や実際の取引に基づく統合的なデータ(物件の定性的な評価情報や内装写真等の物件固有のデータ、売出から成約にいたるまでの価格推移等の取引情報データ、cowcamo上でのユーザーの物件への反響行動に関するデータ等)であり、これまでも部分的には存在していましたが、これらのデータを統合的に蓄積している点で、希少性の高い情報資産であると考えております。

(c) オペレーションノウハウの蓄積:当社は、オペレーション(物件情報取得、企画・デザイン、取材・記事制作、マーケティング、顧客管理、マッチング、接客支援等)をテクノロジーを活用して統合しております。一連のバリューチェーンを統合したノウハウが、同業他社による類似サービスの展開に対する障壁として有効に機能するものと考えております。

 

⑥ 一貫した世界観を実現するための組織

当社の組織的な能力であるテクノロジー、オペレーション、デザインが、構想力、プロダクト力、マーケティング力を発現する事で、中古住宅流通のバリューチェーンの統合による一貫した世界観が実現されると考えております。

(a) テクノロジー:エンジニア、データサイエンティスト(※8)を中心としたメンバーにより実現

(b) オペレーション:営業、マーケティング、コンテンツ制作を中心としたメンバーにより実現

(c) デザイン:Web/UXデザインに加え、建築デザインを専門とするメンバーにより実現

 

 

⑦ 「cowcamo」による市場創出

当社は、cowcamoを通じて、中古・リノベーション住宅の適切な価格形成と生涯買い替え頻度の向上により、中古物件流通市場の活性化をリードしたいと考えております。cowcamoは中古住宅の流通市場を対象としておりますが、(a)価格形成×(b)買い替え頻度向上により対象市場の拡大を図る方針です。なお、国土交通省「住生活基本計画(令和3年3月19日)」では、2018年に全国12兆円であった中古住宅・リフォーム市場が長期的に20兆円となることが目標として掲げられております。

 

(a) 価格形成の観点

これまで

・再販時の物件価格は、リノベーション物件購入時の物件価格を大きく下回る傾向

・リノベーション物件の履歴事項や物件の固有性が評価されず、経年での価格下落が大きい

cowcamoが果たす役割

・リノベーション物件の流通データの蓄積によるリノベーション物件の公正な評価

・一点ものの魅力を伝えるプレゼンテーション

これから

・再販時の物件価格が、リノベーション物件購入時の物件価格に近づく

・リノベーション物件の履歴事項や物件固有性を評価・伝達し、経年での価格下落を緩やかにする

 

(b) 買い替え頻度向上の観点

これまで

・20代は賃貸、30代で持ち家を購入し、同じ住宅に住み続ける「持ち家は一生もの」という価値観

cowcamoが果たす役割

・ライフスタイルに応じた住み替えの促進

・流通中間コストの削減による買い替えの経済性向上

これから

・従来の価値観に囚われず、ライフスタイルに応じて住宅を買い替える価値観

 

 

⑧ 事業アセットを活用した更なる成長ポテンシャル

当社では、cowcamo(カウカモ)事業の事業アセットであるデータ、デザインノウハウ、オペレーションモデル、ブランドを活用することで、収益機会の拡大と収益性の向上を図る方針です。

(a) データ、デザインノウハウの横展開による収益機会の拡大:売主・事業者向けサービス

・蓄積したデータを活用し売主・再販事業者へ企画・開発を支援(供給物件の質・量の向上、収益源の拡大)

(b) デザインノウハウ、ブランドの横展開による収益機会の拡大:自社企画物件

・デザインノウハウ、ブランドを活用し、自社企画物件を提供(流通額に対する収益性:テイクレート(※9)向上)

(c) オペレーションモデル、ブランドの横展開による収益機会の拡大:パートナーモデル

・自社エージェントにて確立されたオペレーションモデルを横展開(事業の拡張可能性の向上、収益源の拡大)

 

⑨ リノベーション時代の住宅流通プラットフォームとしてのポジションを確立

当社はリノベーション時代の競争原理の変化の特徴として、自分らしい生活を志向する購入者層の増加、ビジュアルコミュニケーションの重要度の高まりがあると考えております。当社はcowcamoを通じて、リノベーション時代の住宅流通プラットフォームとしてのポジション確立を図ってまいります。

 

従来の住宅流通産業

cowcamoが実現するプラットフォーム

バリューチェーン上の力点

川上(住宅の供給者)

川下(住宅の購入者)

顧客の物件選択の軸

スペック

(住宅の広さ、間取り、部屋数等)

ストーリー・デザイン

(ユーザーの視点に立ち、住みたい街や理想の暮らしを想像できる記事)

情報流通に求められる機能

検索・絞り込み

マッチング・提案

キーコンテンツ

定量情報

定性情報・ビジュアルイメージ

オペレーション

分散的

統合的

 

 

 

⑩ 企業価値向上に関する当社の考え

当社は、ユーザー基盤の蓄積と成約率改善による売上総利益の継続的な成長及びオペレーション最適化による営業利益率の改善並びに創出された利益の再投資による売上総利益の更なる拡大により、企業価値の向上を図る方針です。具体的には(a)取引件数の増加及び(b)取引あたり収益の増加による売上総利益の成長と、(c)広告効率及び(d)オペレーション効率等の向上による営業利益率の改善を通じた企業価値の向上を目指して参ります。

(a) 取引件数の増加要因:会員数の蓄積、成約率の向上、生涯取引機会の拡大等

(b) 取引あたり収益の増加要因:流通価格の適正化、テイクレートの向上、周辺領域での収益化

(c) 広告効率の改善要因:広告運用パフォーマンスの継続的改善(広告運用の内製化・最適化、顧客別のナーチャリング(※10))、プロダクトの継続的改善

(d) オペレーション効率の改善要因:エージェントオペレーションの型化・高度化(営業プロセスの型化と独自CRM開発、独自ツール開発、営業支援システム導入などによる業務プロセスの省人化)、その他オペレーションの型化・高度化

なお、(c)広告効率の改善及び(d)オペレーション効率の改善により「cowcamo(カウカモ)事業」のセグメント利益率は継続的に改善しております。

 

当社が経営管理上重要視しているKPI(Key Performance Indicator の略称で主要な業績評価指標のこと)は以下の通りです。

 

「cowcamo」のKPIの推移

期間

GMV(期間合計)
単位:百万円

テイクレート(期中平均)

単位:%

2019年7月期

15,360

6.3%

2020年7月期

22,694

4.7%

2021年7月期

27,983

4.1%

2022年7月期

36,887

4.6%

2023年7月期

52,673

4.6%

 

(注)1. 「GMV(Gross Merchandise Value:流通総額)」は、特定の期間においてcowcamoを通じて消費者が購入した商品の合計値です。取引された住宅の総額やリノベーション工事などの総額が含まれます。表中の数字は住宅の購入に関して取引決済日を基準として集計した数値です。金額は百万円未満を四捨五入しております。

 2.「テイクレート(付加価値獲得率)」は、特定の期間におけるcowcamo事業の売上総利益をGMVで除することで算出される流通における付加価値獲得率です。比率は小数第二位を四捨五入しております。

 

「cowcamo」の参考指標の推移

期間

会員関連指標

取引関連指標

会員数(期末)

単位:人

会員MAU(期中平均)

単位:人

取引件数(期間合計)

単位:件

2019年7月期

102,740

39,071

381

2020年7月期

190,450

42,866

432

2021年7月期

288,593

59,059

573

2022年7月期

369,532

55,862

798

2023年7月期

440,480

55,827

986

 

 

(注)1. 「会員数」は、「cowcamo」に会員登録したユーザーの特定の期間の末日における会員数です。一度も取引を行ったことのない会員も含まれております。

 2.「会員MAU」は、特定の期間における登録会員のMAU(特定月にサービスを利用したアクティブユーザー)の平均値です。なお、ここではユニーク化(cowcamoのアプリケーションにおける会員MAUとウェブサイトにおける会員MAUについて、同一人物は一人としてカウントする)した数値を記載しております。

 3.「取引件数」は、特定の期間において販売された住宅の件数の合計値です。表中の数字は住宅の購入に関する売買契約書の締結日を基準として集計した数値です。

 

業績の推移(単位:百万円)

期間

売上高

売上総利益

営業利益又は営業損失(△)

 

全社

cowcamo

(カウカモ)

事業

全社

cowcamo

(カウカモ)

事業

全社

cowcamo

(カウカモ)

事業

2019年7月期

1,515

1,268

1,059

960

19

344

2020年7月期

1,718

1,339

1,194

1,077

△150

283

2021年7月期

1,624

1,240

1,264

1,152

△358

32

2022年7月期

2,766

2,363

1,844

1,710

△773

△16

2023年7月期

4,152

3,797

2,522

2,414

△132

628

 

(注) 1.「営業利益又は営業損失」は、「全社」については全社の営業利益又は営業損失です。また、「cowcamo(カウカモ)事業」については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げる「セグメント利益又は損失」です。なお、当事業年度より、報告セグメントごとの業績をより適切に反映させるために、全社費用の配賦方法を見直し、報告セグメントの利益又は損失の測定方法の変更を行っております。2022年7月期及び2023年7月期のcowcamo(カウカモ)事業におけるセグメント利益は、変更後の測定方法に基づき作成したものを開示しております。

2. cowcamo(カウカモ)事業の主な収益源は、中古・リノベーション住宅の売買に関して売手及び買手から受領する売買仲介手数料等でありますが(純額により売上計上)、顧客ニーズに応じて一時的に物件の仕入・販売取引(再販取引)を行うケースがあります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、上記「企業価値向上に関する当社の考え」に記載の通り、売上高、売上総利益及び営業利益並びにGMV、テイクレートを重要な経営指標とし、高収益事業を展開していくことにより利益率の向上を図ってまいります。

 

 

(4) 経営環境

当社は、cowcamo(カウカモ)事業、不動産企画デザイン事業それぞれに係る事業環境を以下のように認識しています。

① cowcamo(カウカモ)事業

(①-1)市場規模

cowcamoがターゲットする首都圏の中古マンション流通市場は、2022年時点で6.3兆円と推計されます(注1)。

今後、中古マンションストックにおいては、築年数25年以上の物件の割合が31.5%(2015年)から49.5%(2025年)に達するとみられており(注2)、築年数の古い物件においては、リノベーションが実施される割合が高いことから、当社がターゲットとしている中古・リノベーション住宅セグメントの流通量は中長期的に拡大するものと考えております。

当社では、首都圏での住宅購入においてリノベーションが普及するなかで、市場の拡大・一般化に伴ういくつかの変化を予想しております。

(a) リノベーション住宅市場の形成

・リノベーションを前提とした流通価格の形成

・「安いから」中古リノベーションから「こだわるなら」中古リノベーションへ

(b) 中古住宅の流通方法の多様化

・リノベーション済住宅の購入

・中古住宅の購入後にリノベーションを実施

・リノベーション済住宅の購入後に追加でリノベーションを実施

(c) 中古住宅流通事業者の変化

・再販事業者の拡大

・リノベーション住宅専門サイトの成長

 

当期におきましては、新型コロナウイルス感染症が2023年5月8日付で季節性インフルエンザなどと同じ「5類感染症」に移行しました。首都圏における中古マンションの在庫件数についても、2021年6月(33,641件)以降復調傾向にあり、2023年7月は46,235件となり、新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に戻ったと言えます。

 

(①-2)ユーザー基盤の拡大

当社は、ユーザー基盤の拡大を軸に、収益機会の最大化と市場創出に取り組む方針です。cowcamoの更なる認知拡大やプロダクトの機能向上を通じて、より多くのユーザーにご利用頂けるサービスを目指して参ります。また、現在の営業エリアである東京・横浜エリア(ターゲット層人口は約200万人、うち推計中古住宅購入検討者数約180万人)から首都圏(ターゲット層人口は約450万人、うち推計中古住宅購入検討者数約410万人)への展開を通じて、一層のユーザー基盤の拡大を図って参ります(注3)。

 

 

② 不動産企画デザイン事業

東京23区のオフィスビルの空室率は2023年7月時点で5.15%とリモートワークの普及もあり高止まりしています(注4)。しかしながら、当事業の主要な顧客セグメントの一つである、国内のフリーランス(※11)人口は、937万人(2015年)から1,577万人(2021年)に拡大しております(注5)。また、政府は、働き方改革の一環として、テレワークの導入推進等の柔軟な働き方の実現を目指しており(注6、7)、また今後さらに働き方の多様性が高まるものと考えております。これらの結果、シェアードワークプレイスの需要は拡大するものと考えております。

(注) 1.公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ 2022年度」、公益財団法人不動産流通推進センター「2023不動産業統計集(3月期改訂)3不動産流通」、リフォーム産業新聞社「中古住宅リノベ市場データブック 2022-2023」から首都圏における40㎡超のマンションの市場規模をツクルバが推計

2.みずほ信託銀行「不動産マーケットレポート2016.5」

3. 東京・横浜エリアおよび首都圏のターゲット層人口(i)、推計中古住宅購入検討者数(ii)は以下の様に推計しております。
 
(i)東京・横浜エリアおよび首都圏のターゲット層人口:東京都及び横浜市(A1)、首都圏(A2)それぞれにおける25歳以上50歳未満の人口×推計持ち家許容割合(B)×推計中古住宅許容割合(C)により算出

    A1:「住民基本台帳による東京都の世帯と人口(令和5年1月)」東京都総務局統計部

    「令和5(2023)年 年齢別人口(住民基本台帳による)」横浜市政策局総務部

    A2:「人口推計 2022年10月1日現在人口推計」総務局統計部

     B:「平成30年度 住宅経済関連データ 3.住宅に対する国民の意識」国土交通省 において「現在借家」の世帯のうち、今後の居住形態及び住み替え方法を「借家などへの住み替え」と答えた世帯を除く世帯の割合(57.0%)

     C:「平成30年度 住宅経済関連データ 3.住宅に対する国民の意識」国土交通省 において「現在借家」の世帯のうち、今後の居住形態及び住み替え方法を「中古住宅」「こだわらない」と答えた世帯の割合(56.0%)


(ii)都区部および首都圏の推計中古住宅購入検討者数:都区部および首都圏それぞれのターゲット層人口(i)×5年以内に住み替えを希望する割合(D)により算出

     D: 「今後の住み替え・改善意向(14区分)/家計主の年齢(8区分) 」総務省統計局 において、世帯主の年齢が50歳未満の世帯のうち、5年以内に「できれば住み替えたい」と答えた世帯の割合(91.0%)
 
 

4.三幸エステート株式会社 「オフィスマーケット調査月報」

5.ランサーズ株式会社 「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」

6.総務省 「テレワーク推進に向けた政府の取り組みについて」

7.首相官邸 働き方改革実現会議 「働き方改革実行計画」

 

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当社の対処すべき課題としましては、既存事業の拡大、収益性の向上ならびに中長期的な成長に資する体制整備が重要であると認識しており、特に下記を重要課題として取り組んでおります。

① サービスの知名度向上

当社は、テレビや新聞、雑誌、ラジオ等のマスメディア向けの広告は実施しておらず、これまで培ってきたWebマーケティングのノウハウを活用することにより、ユーザー、会員を獲得してまいりました。

一方で、当面の対象市場としている首都圏の中古マンション流通市場の規模は6.3兆円(上記(4)参照) と推計され、中でもリノベーション市場は今後も拡大していくものと予測されます。このため、今後のユーザー、会員獲得においては、マスマーケットにおける認知の獲得が重要であると認識しており、今後はこれまで構築してきたWebマーケティングと並行し、費用対効果を慎重に検討したうえで、テレビや新聞、雑誌、ラジオ等のマスメディアを活用した広告宣伝活動を検討してまいります。

② エージェントサービスのオペレーションの高度化・効率化

当社は、これまでに開発してきた業務管理システム、蓄積してきたノウハウにより、エージェントサービスの生産性向上とサービス品質の両立を図っております。

しかしながら、今後の事業成長のためにはさらなるユーザー数の増加が必要であり、恒常的な収益性の向上を実現するためには、引き続きオペレーションの高度化・効率化が重要であると考えております。そのため、蓄積された顧客データ・業務データのさらなる活用、業務の自動化等の施策を実施してまいります。

③ 事業開発の強化

当社は、早期の事業拡大のために適切な外部の事業者との連携が重要であると考えております。そのため、取引先事業者との関係を強化し、事業開発の推進を図ってまいります。具体的には、cowcamo(カウカモ)事業においては、外部パートナーエージェントの拡充によりビジネスリスクをコントロールしながらフレキシブルな成長が可能な体制を構築するとともに、他の事業者との連携を通じた物件供給及び事業者向けサービスの強化を図って参ります。

④ 技術開発体制の強化

cowcamo(カウカモ)事業においては、技術革新のスピードは非常に早く、類似のサービスや競合の参入が予測されるため、新規サービスの展開スピードを速めるべく、エンジニアの採用・チーム体制の整備を通じて開発体制を早期に強化してまいります。

⑤ 組織体制の強化

当社は、事業規模の拡大及び成長のためには、専門性を有する人材の採用及び社員の育成及び社員への企業理念、経営方針の伝達が重要な課題と考えております。当社は社内研修の強化、福利厚生の充実を図っていくとともに、志望者を惹きつけるような事業を展開していくことで、優秀な人材の採用強化に取り組んでまいります。また、社員に対して経営ビジョン・ミッションを踏まえた当社の経験とノウハウに基づく研修を計画的に実施していくことで、社員の育成及び企業理念・経営方針の伝達を行ってまいります。

⑥ 情報管理体制の強化

当社は、情報システム部門を中心に情報管理の徹底を図っておりますが、個人情報等の機密情報につきましては、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、情報セキュリティマネジメントシステムの整備等により、今後も引き続き、情報管理体制の強化を図ってまいります。

⑦ 内部統制の強化

当社事業が継続的に成長し、顧客に安定したサービスを提供し続けていくためには、継続的な内部統制の整備、強化に取り組んでいくことが重要であると考えております。当社は、組織が健全かつ有効的に運営されるように、内部統制の実効性を高めるための環境を整備し、コーポレート・ガバナンスを充実していくことにより、内部統制の整備、強化を行っていく方針であります。

 

 

〔用語説明〕

(※1)

CRM

 

CRMとは、顧客関係管理(Customer Relationship Management)の略称であり、顧客満足度等の向上を通じて、売上高の拡大及び利益率の向上を目指す経営戦略手法またはシステムのこと。

 

 

(※2)

リスティングサイト

 

リスティングサイトとは、売主または売主に依頼された不動産売買仲介が売出中の物件を掲載するウェブサイトのこと。

 

 

(※3)

マーケティングオートメーション

 

マーケティングオートメーションとは、顧客開拓におけるマーケティング活動を可視化・自動化するツールのことです。

 

 

(※4)

エージェントCRMツール 

 

エージェントCRMツール(Agent CRM)とは、エージェント向けの顧客関係管理による顧客満足度等の向上を通じて、売上高の拡大及び利益率の向上を目指す業務支援システムです。

 

 

(※5)

エージェントアサイン 

 

エージェントアサインとは、自社エージェントと問い合わせがあった顧客とのアポイントメント管理のことです。

 

 

(※6)

エンゲージメント

 

エンゲージメントとは、特定の企業(企業自体、企業が提供する商品、ブランド等)に対して、顧客が高い好感度や忠誠心を抱き、強い絆で結びついている状態のこと。

 

 

(※7)

反響

 

反響とは、顧客から電話またはメール等で受ける物件に対する問い合わせのこと。

 

 

(※8)

データサイエンティスト 

 

データサイエンティストとは、主に、ITやビジネスに精通するデータ分析やマーケティングを行う専門家です。

 

 

(※9)

テイクレート

 

テイクレートとは、Eコマース等の業態において、プラットフォーム上で取引されるGMV(Gross Merchandise Value:流通総額)に対して課される手数料率(Eコマース等の運営事業者の売上高となる)のこと。

 

 

(※10)

ナーチャリング

 

ナーチャリングとは「養育」「育成」等を意味し、マーケティング戦略の分野においては「見込み客を顧客にする」という意味で用いられる。

 

 

(※11)

フリーランス

 

フリーランスとは、特定の企業や団体、組織に専従しておらず、自らの技能を提供することにより社会的に独立した個人事業主です。

 

 

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

 当社は、「拡大する中古・リノベーション市場において、一人でも多くの人に安心・手軽に住まいを楽しめるサービスを提供し、住まいの流通に必要不可欠な存在となる」ことを目指しております。

 株式会社丸井グループとの共創事業として操業するワークラウンジ付きコミュニティ型リノベーション賃貸マンション「co-coono(コクーノ上北沢)」においては、既存建物の新築建替と比較し、リノベーションによる脱炭素効果が極めて高いと評価されました。(注1)

 中古住宅流通市場において当社がサービスを提供することは、ユーザーの方々への安心・手軽な住まいの提供に加え、持続可能な社会の形成にも寄与すると考え、今後も持続的な事業拡大と企業価値の向上に注力してまいります。

(注) 1.2022年12月12日公表の「ツクルバ・丸井グループの共創事業「co-coono(コクーノ)上北沢」のリノベーションによる脱炭素効果を見える化 CO₂排出量を84%、廃棄物排出量を96%削減」に記載の第三者調査機関による調査結果に基づきます。

 

(2)サステナビリティに関する取組

 国内外のサステナビリティ開示で広く利用されている「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の4つの構成要素(ガバナンス、リスク管理、戦略、指標および目標)に基づき、取組を開示いたします。

 

(ⅰ)ガバナンス

当社は、経営の効率性及び健全性を高め、透明性の高い経営体制を構築することが必要であるとの観点から、コーポレート・ガバナンスの強化を企業経営の最重要課題と位置付けております。

具体的な取組としては、2023年10月27日開催予定の第12回定期株主総会において承認されることを条件として、監査役設置会社から監査等委員会設置会社に移行することを予定しております。これにより、取締役会の監督機能を強化し、さらなるガバナンスの強化、意思決定の質およびスピードの向上を行ってまいります。

 

(ⅱ)リスク管理

当社は、リスクの防止および会社損失の最小化を図ることを目的として、「リスク管理規程」にてリスク管理に関する必要な事項を定めております。

具体的な取組としては、責任者を管理本部長、主管部署を法務部とする「リスク管理委員会」を毎月開催し、各部門および部室のリスク管理担当者と連携しつつ、リスクの洗い出し・識別・評価を行い、適時適切な対応や再発防止策の検討を実施しております。

 

(ⅲ)戦略

<人的資本の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針>

当社は、人的資本の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針として、様々なバックグラウンドやスキル、キャリア志向を持った人材が活躍できる環境整備を目指しております。

営業プロセスの型化や、ナレッジマネジメント、社員向け研修やキャリアパスの拡充といった人材育成の環境整備を行っています。当事業年度においては、営業成績上位20名のうち女性が11名(55%)、業界未経験者が12名(60%)を占めており、性別やバックグラウンドの差に関わらず、多様な人材が早期に活躍できる環境を実現しております。

具体的な取組としては、営業を対象に社内独自の基準で「ライフスタイリスト」と認定する制度を導入し、専門職としての専門性を磨き続けるコースと、マネジメント職を目指すコースと、2種類のキャリアコースを選択できるようにすることで、持続的にやりがいを持ってキャリアアップができる環境整備を行っております。

<社内環境整備に関する方針>

当社は、社内環境整備に関する方針として、従業員の人格・個性を尊重しつつ、心身の安全と健康を確保できる環境整備に注力しております。

社内コミュニケーションの活発化に向けた施策、オフィス環境整備、ライフステージの変化に応じた最適な選択ができる環境整備などを推進しております。

具体的な取組としては、次世代育成支援対策推進法に基づいた行動計画を策定し、当社従業員が働きやすく、仕事と育児の両立を実現できる環境を整備しております。

 

(ⅳ)指標及び目標

当社は、前述した戦略に基づき、人材育成及び社内環境整備に関する方針について、育成期間、業界未経験者比率や定職率、有給取得率といった指標にも注視しておりますが、重要視する指標として、「従業員の状況」に記載の管理職に占める女性従業員の割合及び育児休業取得率を掲げております。

・管理職に占める女性従業員の割合:40.7%(2023年7月末日時点)。具体的な数値目標は設定しておりませんが、継続的な改善を目指します。

・育児休業取得率:育児休業及び育児目的休暇につき、2023年8月1日より2025年7月31日の期間で、男性の取得率40%以上、女性の取得率90%以上を継続することを目標としております。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。

また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、これらのリスクに対し発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。

なお、本項記載の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に関わるリスク

① 市場環境について

当社の各事業は、中古住宅流通市場及びオフィス市場を中心とした不動産市況の動向に影響を受ける可能性があります。

各事業ともに、一般消費者の実需向けの事業である上に、潜在顧客を会員として蓄積することで、多少の市場変動には影響を受けない事業モデルとなっておりますが、当社の想定を上回る景気悪化等により長期的に不動産市況が低迷した場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は、インターネットを介したサービス提供を行っておりますが、インターネットの普及に伴う弊害の発生、利用に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因により、インターネット利用の順調な発展が阻害された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社の仲介サービスの売上計上は、売買契約を締結した時点ではなく、サービスの提供を行った時点で計上しております。そのため、サービスの提供時期により、当社の四半期毎の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 技術革新について

当社は、インターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、当該領域は技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が極めて速く、それらに基づく新機能や新サービスの導入が相次いで行われる変化の激しい市場です。このような環境の中で、当社は、データ解析や人工知能の導入、スマートフォンやタブレット端末等の多様なデバイスへの対応など、最新技術の開発を率先して行うと共に、優秀な人材の確保に取り組んでおります。

しかしながら、今後何らかの革新的な技術が開発され、当社の対応が遅れた場合や、そのような革新的な技術に対応するために多額のシステム開発費用が追加的に発生する場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 感染症等の影響について

新型コロナウイルス感染症等の感染力が高く治療方法が確立されていない感染症の流行等を原因とする、政府による外出自粛要請に基づく不動産取引の停滞、消費マインドの冷え込みによる長期的な景気悪化等が生じる場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) cowcamo(カウカモ)事業に関わるリスク

① 競争優位性について

当社は、cowcamo(カウカモ)事業において、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載の特徴を有するサービスを提供することによって、従来の不動産ポータル事業者、仲介事業者に対する競争優位性の構築を推進してまいりました。

しかしながら、将来、テクノロジーに長けた企業による当社の事業領域への新規参入、類似した事業モデルを有する海外企業の日本市場への進出などにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、これらの脅威を想定し、潜在顧客である会員との関係の強化や新規技術・サービスの開発を通じた競争力の強化を進めてまいりますが、競合企業の動向が当社の想定を超える場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② ユーザーの継続的なサービス利用について

当事業においては、住宅情報流通サービス、エージェントサービスを通じた一連のサービスプロセスにおいて、顧客を「cowcamo」のユーザーとして認識し、会員化施策等により、継続的なサービス利用を促すことで、顧客基盤の構築と業績の安定化を図っております。しかしながら、何らかの施策の見誤りやトラブルなどでユーザーのサービス利用の継続が損なわれた場合、当事業の業績が悪化し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ エージェント人員の採用・育成について

当事業においては、サービスの需要拡大を見据えた計画的なエージェント人員の採用・育成を計画しております。また、独自の業務ツールの開発等を含むエージェント業務の型化・効率化を行うことで、属人的な経験や能力に依存しない体制を確立しております。

しかしながら、当社の想定を超える人材市場の逼迫や何らかの組織的な要因により、計画的な採用・育成が想定の通りに行われない場合には、当事業の業績が悪化し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ システムの開発・運用体制について

当事業においては、一連のサービス、オペレーションを自社開発のシステムによって提供・運営していることから、将来の事業拡大を見据え、システムの開発・運用体制の継続的な拡充を計画しております。

しかしながら、システム開発・運用に要する人員の獲得の遅れや、システム開発・運用上の何らかのトラブルの発生などにより、システムの開発・運用が計画通りに進展しない場合には、当事業の業績が悪化し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 広告宣伝について

当事業においては、ユーザーの計画的な獲得にあたり、インターネット広告を中心とした広告運用を自社にて内製し、広告出稿先や競合の広告出稿元の動向を注視しながら計画的な広告宣伝を行っております。

しかしながら、広告出稿先の配信ロジックの変更や、競合する広告出稿元の動向が、当社の想定を大きく超える場合には、計画された広告効果が実現されず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 協力会社及び取引先との関係について

当事業においては、仲介業務における協力会社や物件の売主である再販事業者が事業運営に重要な役割を果たしております。当社は、継続的に良質な協力会社、取引先の開拓、関係の維持・強化に努めておりますが、何らかの要因により協力会社や取引先との取引の継続が損なわれた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 自然災害等について

当事業においては、首都圏を中心に事業展開を行っておりますが、これらの地域で地震・火災・水害等の大規模な自然災害等が発生した場合には、掲載物件の仲介停止や、仲介スケジュールの変更、不動産価格下落による収益性の低下等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 消費税の増税について

当社が仲介する中古・リノベーション住宅は、一般家庭で購入する最も高額な耐久消費財と言われていることから、消費税率の動向により需要が大きく左右される特性があります。消費税率が引き上げられた場合、家計の実質所得の目減りとなることから個人消費を抑制する要因として、顧客の住宅購入意欲の減退につながり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 不動産にかかる税制について

当社が仲介する中古・リノベーション住宅を購入するにあたっては、大多数の顧客が住宅ローンを利用しております。住宅ローンの金利が大幅に上昇した場合には、月々の住宅ローン支払い負担の増加や金利変動への不安感から、顧客の住宅購入意欲の減退につながる可能性や、金融機関からの住宅ローンの貸し付け条件が厳しくなる可能性があります。また、当該購入・保有にあたって不動産取得税、固定資産税等の各種の租税公課が発生します。現在、不動産取得税の税率軽減措置や固定資産税の負担調整措置等の税負担の軽減措置が講じられておりますが、上記の税負担の軽減措置が行われなくなった場合、住宅の購入・保有にかかる負担が増加することから、顧客の住宅購入意欲の減退につながる可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 再販取引を実施するにあたり発生するリスク

当事業において、不動産物件の仲介を主としているため契約不適合責任や在庫リスクは発生しませんが、顧客ニーズに応じた事業・サービス開発の一環で一部仕入取引を行っており、販売先に対する契約不適合責任を負う可能性があります。したがって、該当物件に多額の補修費用等を要する重大な瑕疵が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、物件の仕入れ時から何らかの理由により販売状況が不振となり、その間に不動産の市場価格が下落した場合には、棚卸資産に評価減が発生すること等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 不動産企画デザイン事業に関わるリスク

① 競争優位性について

当事業においては、クリエイターをはじめとするフリーランサーや成長企業のニーズに特化し、ワークスペースの提供に加え、当該顧客ターゲットの嗜好に適したコミュニティ形成や支援サービスを統合して提供することで、類似する事業者に対する競争優位性の構築を図ってまいりました。

しかしながら、将来、資本力のある企業が当社と同様のポジショニングによる事業展開を行う場合など、当社の競争優位が凌駕された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 健全なコミュニティ運営について

当事業においては、顧客に対し会員制のサービス提供を行っていること、会員同士のコミュニティ形成がサービスの重要な提供価値の一つであることから、当社と会員間、会員同士の良好な関係の構築・維持(コミュニティ運営)を事業運営上の重要な要素の一つとして認識し、入会時の顧客審査、利用規約の整備、コミュニティ運営に関わる方法論の確立、従業員の教育・研修などにより、健全なコミュニティ運営に取り組んでおります。

このような取り組みにもかかわらず、不適切な会員の入会や会員間でのトラブルなどによりコミュニティの健全性が損なわれる場合には、当サービスに対する信頼が損なわれることにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 提携事業者によるワークスペースの運営について

当事業においては、当社直営拠点の他、提携事業者を通じたワークスペース(以下、提携拠点)の運営を行っております。提携拠点の開設・運営に対しては、提携開始時の審査およびパートナーシップ契約による権利と義務の規定、運営中の運営指導やマニュアル・ガイドラインの提示など、健全な提携拠点の運営がなされる体制を構築しております。また、提携拠点の運営において生じる経営上・技術上の問題、また当該拠点における会員とのトラブル等については、提携事業者自らの責任と負担のもとに解決する契約となっております。

しかしながら、提携拠点において何らかのトラブルが発生した場合には、当事業のブランド価値が間接的に棄損され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ ワークスペースの開設・運営に係る賃貸物件の確保について

当事業においては、ワークスペースの開設・運営にあたり適切な立地での賃貸物件の確保が必要となります。計画的な事業拡大を行うために、物件の開拓を行う人員体制を構築し、安定的な物件確保を図っております。

しかしながら、不動産市況の変化等により、新規物件開拓が著しく困難になる場合、また既存物件の契約条件が当社に極端に不利な条件に変更された場合や、契約更新が拒絶された場合には、計画に基づくワークスペースの開設・運営が困難となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 空き家賃について

当事業においては、ワークスペースの運営にあたり、物件所有者との間の賃貸借契約に基づき毎月の賃料支払いを行っております。ワークスペースの利用者の入替に関しては、一定の解約予告期間を設けるなど、入替に伴う空き家賃が発生しないような措置を講じております。

しかしながら、市況の変化等により、既存利用者からの次期利用者への入替がスムーズに行われなかった場合には、空き家賃が発生し、計画に基づくワークスペースの運営が困難となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 事業運営体制に関わるリスク

① 特定経営者への依存について

代表取締役CEOである村上浩輝は、創業以来代表取締役CEOを務めており、当社の経営方針や事業戦略構築、ブランド力の向上等において重要な役割を果たしております。当社は、事業拡大に伴い特定経営者へ依存しない経営体制の構築を進めておりますが、不測の事態が生じた場合、又は退任するような事態が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 人材の確保及び育成について

当社は、継続的な事業拡大や新規事業の推進のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が重要であると認識しております。

しかしながら、当社が求める優秀な人材が必要な時期に十分確保・育成できなかった場合や、何らかの理由により人材流出が進んだ場合には、恒常的な事業拡大や新規事業の推進に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 内部管理体制について

当社は、コンプライアンス及びコーポレート・ガバナンスの徹底を図るための様々な施策を実施しております。また、業務の適正化及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、内部管理体制の構築が追い付かないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) システム等に関わるリスク

① 開発について

当社は、システム開発に関わる投資を継続的に行っております。システムの開発においては、関連する事業のロードマップに基づき必要な社内外の人的リソースを計画的に確保する体制をとっております。しかしながら、ソフトウエアエンジニアの人材市場の逼迫等により、開発工数の確保が困難になる、工数当たりの単価が増大するなどの場合には、開発スケジュールの遅延やコストの増大により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 運用(障害)について

当社のサービスはインターネットを介して提供されております。当社では、安定的なサービスの運営を行うため、システムの冗長化、脆弱性検査、不正アクセス防御等の対策を講じております。しかしながら、自然災害、事故、不正アクセス、その他何らかの要因によりシステム障害等が発生した場合には、当社に直接的な損害が生じるほか、当社サービスに対する信頼性の低下を招きかねず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 情報の管理について

当社は、取引先の企業情報や物件情報及び個人情報を取り扱っております。当社では、情報セキュリティの管理の徹底について重要な課題と認識しており、総合的な情報セキュリティを確保するため、情報セキュリティマネジメントシステムの構築・運用を行っております。加えて、全社で個人情報の取扱及びインサイダー取引の未然防止に関わる社内規程の整備、定期的な従業員教育、システムのセキュリティ強化、個人情報取扱状況の内部監査等を実施し、情報管理の強化に努めております。

しかしながら、外部からの不正なアクセスや当社関係者の故意又は過失により情報流出等の問題が発生した場合には、当社への損害賠償請求や信用の低下等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法的規制に関するリスク

① 一般的な法的規制について

当社の事業に関連する主な法規制として、「宅地建物取引業法」、「借地借家法」、「建築基準法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」等があります。

当社はこれらの法規制を遵守した事業運営を実施しており、今後も法令順守体制の強化や社内教育の実施等を行ってまいりますが、新たな法規制の制定や改正が行われ、当社が運営する事業が新たな法規制の対象となる場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、現時点において、当該免許・許可等の取消し等、重大な行政処分の対象となる事由は発生しておりませんが、将来何らかの理由によって当該免許の取消しを含む行政処分がなされ、またはこれらの更新が認められない場合には、当社の事業活動に支障を来すとともに、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、法的規制について、その有効期間が法令等により定められているものは下表のとおりであります。

(許認可等の状況)

 

事業名

免許・許可等

有効期間

関係法令

取消条項

cowcamo(カウカモ)事業

宅地建物取引業者免許

東京都知事(2)第97398号

自 2020年1月24日

至 2025年1月23日

(5年間)

以後5年ごとに更新

宅地建物

取引業法

同法第5条

及び第66条

不動産企画デザイン事業

一級建築士事務所の登録

東京都知事第60704号

自 2021年3月25日

至 2026年3月24日

(5年間)

以後5年ごとに更新

建築士法

同法第26条

 

 

② 訴訟等について

当社は、法令及び契約等の遵守のため「コンプライアンス規程」を定めて社内教育やコンプライアンス体制の充実に努めております。しかしながら、当社が事業活動を行うなかで、顧客、取引先又はその他第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。かかる訴訟の内容及び結果によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や当社の社会的信用の毀損によって、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 知的財産権について

当社が使用する商標、ソフトウエア、システム等について、現時点において第三者の知的財産権を侵害するものはないと認識しております。今後も、侵害を回避するための著作権等の監視、管理等を顧問弁護士と協力して行っていく方針でありますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合は、当該第三者より、損害賠償請求、使用差止請求等が発生する可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 不動産の表示に関する公正競争規約について

不動産業界は公正取引委員会の認定を受け、「不動産の表示に関する公正競争規約」及び「不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」を設定しております。当社はこれらの規約を遵守し業務を遂行するように努めておりますが、万一、不測の事態によって規約に違反する行為が行われた場合、お客様からの信頼性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) その他のリスク

① 新株予約権等の行使による株式価値の希薄化について

当社は、役職員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストック・オプション(新株予約権)を発行しております。ストック・オプションが権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。また、A種種類株式における普通株式対価取得請求権の行使により、株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性もあります。なお、本書提出日現在、新株予約権等による潜在株式数(自己新株予約権を除く)は、1,060,133株であり、普通株式の発行済株式総数に潜在株式数を加えた合計(自己株式を除く)の12,388,024株の8.6%に相当しております。

② 普通株式における配当政策について

当社は、将来の事業展開に即応できる財務体質の強化を重要課題の一つとして位置付けております。そのため、現時点においては内部留保の充実を図り、事業の効率化及び拡大のための投資を積極的に行い、企業価値の向上を図ることが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、各事業年度における経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点で普通株式における配当実施の可能性及び実施時期は未定であります。

③ 減損会計の適用について

当社が所有する固定資産において、急激な経済情勢の変化や金融情勢の悪化等により事業の恒常的なキャッシュ・フローの将来にわたる収益性の著しい低下や保有資産の時価の著しい下落が認識された場合、減損会計を適用し経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が保有する投資有価証券について、発行体の信用力が悪化し実質的価値が低下あるいは時価が低下した場合、投資有価証券評価損あるいは貸倒引当金繰入の計上により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 有利子負債について

当社は、運転資金を金融機関からの借入金により調達しております。当社の資金調達に関して当社の業績や財政状態の悪化、風説、風評の流布等が発生した場合、あるいは金融不安等が発生した場合には、必要な資金を合理的な条件で確保できず資金繰りが困難になる可能性があります。また、今後の金利動向に著しい変化が生じた場合には支払利息の増加等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

⑤ 税務上の繰越欠損金について

第12期事業年度末には、当社に税務上の繰越欠損金が存在しております。これは法人税負担の軽減効果があり、今後、繰越欠損金の繰越期間の範囲内において納税額が減少することにより、当社のキャッシュ・フロー等の改善に貢献することになりますが、当社の業績が事業計画に比して順調に推移した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 新たな事業領域における新規事業について

当社は、本書提出日現在、cowcamo(カウカモ)事業を中心に事業展開を行なっております。本書提出日現在において、新たな事業領域への拡大の具体的な計画はありませんが、将来において、広範囲なシナジーと将来の成長を目的として、他の事業領域への事業ポートフォリオ拡大を進める可能性があります。

しかしながら、拡大先の事業領域において、必要な情報、経営資源、顧客関係、事業の専門知識、ブランド認知度が常に適時に確保できるとは限りません。拡大先の事業領域における事業発展には、従前とは異なった経験や知見を有する人材やリソースの確保が必要であり、事業展開に想定以上の時間を要したり、初期投資の負担が収益性を毀損したりする可能性があります。その他、これらの事業領域では、個々の案件を推進した当社が第三者に生じた損害に対して賠償責任が生じ得る等の独自のリスクもあり、かかるリスクは可能な限り保険または契約等により回避を図るものの、リスク回避の手法、法的規制に対する十分な理解や内部管理体制の構築、そのための人材の充実が求められます。また万一、監督当局から行政処分を受けるなどした場合には、顧客やマーケットの信頼を失うこと等により、当社の経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 継続的な投資と赤字計上及び営業キャッシュ・フローのマイナスについて

当社が運営する「cowcamo」は、会員数の蓄積によりGMV(Gross Merchandise Value:流通総額)及び取引件数が累積的に拡大することで売上総利益が拡大し、一方で広告効率及びオペレーション効率等の向上により営業利益率が向上するビジネスモデルです。これまで「cowcamo」の認知度の向上及び会員数の拡大を図るため、広告宣伝費投資等(以下「マーケティング投資等」という)を積極的に進めて来たことにより、2019年7月期第1四半期累計期間まで及び2020年7月期第3四半期から2023年7月期第3四半期までの経営成績は営業赤字となっており、また営業キャッシュ・フローもマイナスになっております。今後も引き続きマーケティング投資等を実施していく予定でおりますが、一方でマーケティング投資等の水準を超える利益、キャッシュ・フロー規模を定常的に創出できる体制を構築する方針です。しかしながら、想定通りにマーケティング投資等の効果が得られない場合には、当社の経営成績及びキャッシュ・フローの状況並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。なお、経営上の客観的な指標等にかかる分析につきましては、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略等をご参照ください。

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症が2023年5月8日付で季節性インフルエンザなどと同じ「5類感染症」に移行し、経済社会活動の正常化が進行しました。景気の先行きとしては、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が期待されます。他方、世界的な金融引き締めや中国経済の先行き懸念など海外経済の下振れが景気を下押しするリスクもあり、物価上昇や金融資本市場の変動などと併せて注視していく必要があります。

当社がターゲットとする中古マンション市場においては、在宅時間の増加や「すまい意識」の高まりによるコロナ需要が一巡し、2022年8月から2023年1月の上半期は毎月の成約件数が前年同月比で減少しました。足元においては、景気の緩やかな回復も後押しし、成約件数が上昇に転じており、2023年7月度の首都圏中古マンションの成約件数は3,236件(前年同月比4.3%増)でした。同月の成約㎡単価は71.92万円(同5.0%増)と39カ月連続、成約価格は4,563万円(同4.9%増)と38カ月連続でそれぞれ前年同月を上回って推移しました。また、首都圏中古マンションの在庫件数は2021年6月(33,641件)以降復調傾向にあり、2023年7月は46,235件となり、新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に戻ったと言えます。

このような経済環境のもと、当社は、主力事業であるcowcamo(カウカモ)事業において、新サービスの提供も含めたサービス改善及び組織体制の強化による事業規模拡大を中心に取り組んでまいりました。この結果、当事業年度の売上高は4,152,638千円(前事業年度比50.1%増)、営業損失は132,468千円(前事業年度は営業損失773,960千円)、経常損失は150,798千円(前事業年度は経常損失795,020千円)、当期純損失は165,523千円(前事業年度は当期純損失822,420千円)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりです。

なお、当事業年度より、報告セグメントごとの業績をより適切に反映させるために、全社費用の配賦方法を見直し、報告セグメントの利益又は損失の測定方法の変更を行っております。前年比較については、前事業年度の数値を変更後の算定方法に基づき組み替えて比較しております。

 

a.cowcamo(カウカモ)事業

当セグメントにおいては、主に中古・リノベーション住宅のオンライン流通プラットフォームcowcamoの運営を通じて、中古・リノベーション住宅の仲介を行っております。当事業に係る外部環境は、新築マンション価格の高止まりを受けた中古マンション流通の拡大及びリノベーションに対する顧客認知の高まりにより、継続的な拡大基調にあります。

このような環境のもと、事業のさらなる成長に向け、プロダクトの機能改善やデジタルマーケティングを中心とした広告活動、物件案内を行う営業人員の採用・教育、業務システムの開発などに取り組んでまいりました。

この結果、当事業年度の売上高は3,797,255千円(前事業年度比60.7%増)、セグメント利益は628,589千円(前事業年度はセグメント損失16,049千円)となりました。

 

b.不動産企画デザイン事業

当セグメントにおいては、主にオフィス設計を中心とした設計・空間プロデュースの受託事業及びコワーキングスペース・ワークプレイスレンタルサービスの運営事業から構成されております。当事業に係る外部環境は、働き方の多様化に伴い、都心部におけるオフィス移転、分散、縮小の動きが見られました。

この結果、当事業年度の売上高は355,383千円(前事業年度比11.9%減)、セグメント利益は38,064千円(前事業年度比36.6%減)となりました。

なお、重要な後発事象に記載されているとおり、当社は、2023年9月14日開催の取締役会において、当社の「不動産企画デザイン」事業を会社分割(簡易新設分割)により新設会社に承継させたうえで、新設会社の株式の全てを当社の取締役・共同創業者である中村真広氏に譲渡することを決議しております。

 

当事業年度末の総資産は、3,064,344千円となり、前事業年度末と比較して185,502千円の増加となりました。

財政状態の状況につきましては、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 財政状態の分析」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、販売用不動産の売却などにより、前事業年度末に比べ118,280千円増加し、当事業年度末には1,725,902千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は85,476千円(前事業年度は1,025,358千円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純損失158,603千円、棚卸資産の増加48,756千円などによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は59,257千円(前事業年度は108,781千円の支出)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出47,504千円などによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は263,015千円(前事業年度は544,457千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入450,000千円などによります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績及び受注実績

当社は主に、インターネット上において、中古・リノベーション住宅の売主と買主のマッチングを実現するプラットフォーム「cowcamo」の運営(cowcamo(カウカモ)事業)、スタートアップ企業等の「チャレンジする人・組織」を主要顧客として働く場を提供する「co-ba (コーバ)」の運営、主にオフィス移転を検討するクライアント企業に対して、仲介、設計等のコンサルティングをワンストップで提供するオフィスソリューションサービス(不動産企画デザイン事業)を行っております。提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

 

b.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年8月1日

至 2023年7月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

cowcamo(カウカモ)事業

3,797,255

+60.7

不動産企画デザイン事業

355,383

△11.9

合計

4,152,638

+50.1

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主要な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。

なお、新型コロナウィルス感染症の影響については、今後の動向について予測は難しいものの、国内におけるワクチンの普及による感染者数の減少や、人々の生活に抑制度合の低下もあり、新型コロナウィルス感染症により当社の翌事業年度以後の業績に重要な影響を与えるものではないと仮定し、当事業年度の会計上の見積りを行っております。

 

② 財政状態の分析

(資産の部)

当事業年度末における流動資産は2,728,933千円となり、前事業年度末に比べ167,544千円の増加となりました。これは主に、販売用不動産の売却などにより現金及び預金が118,281千円増加したことによります。

当事業年度末における固定資産は335,410千円となり、前事業年度末に比べ17,957千円の増加となりました。これは主に減価償却により有形固定資産が減少した一方、敷金及び保証金が29,431千円増加したことなどによります。

 

(負債の部)

当事業年度末における流動負債は803,094千円となり、前事業年度末に比べ264,819千円の増加となりました。これは主に短期借入金や1年内償還予定の社債・長期借入金が総額216,415千円増加したことによります。

当事業年度末における固定負債は748,671千円となり、前事業年度末に比べ682,287千円の減少となりました。これは主に転換社債型新株予約権付社債が700,000千円減少したことによります。

 

(純資産の部)

当事業年度末における純資産合計は1,512,577千円となり、前事業年度末に比べ602,970千円の増加となりました。これは主に、新株式の発行、欠損填補及び当期純損失の計上などにより資本剰余金が105,099千円減少する一方、利益剰余金が656,896千円増加したことなどによります。

 

③ 経営成績の分析

(売上高)

当事業年度の売上高は、4,152,638千円(前事業年度比50.1%増)となりました。主力事業であるcowcamo(カウカモ)事業のサービス改善及び組織体制の強化による事業規模拡大、システム開発への投資などの施策を中心に取り組んできたことによるもので、セグメント別では、cowcamo(カウカモ)事業は3,797,255千円(前事業年度比60.7%増)、不動産企画デザイン事業は355,383千円(前事業年度比11.9%減)となりました。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度の売上原価は、1,630,305千円(前事業年度比76.8%増)となりました。これは主に、cowcamo(カウカモ)事業における仕入取引の増加によるものであります。この結果、売上総利益は2,522,333千円(前事業年度比36.8%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業損益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は、2,654,801千円(前事業年度比1.4%増)となりました。これは主に、事業拡大に伴う営業人員の人件費が増加する一方、支出統制の強化により各種経費の上昇を抑制したことによります。この結果、営業損失は132,468千円(前事業年度は営業損失773,960千円)となりました。

(経常損益)

当事業年度において営業外収益が3,916千円、営業外費用が22,246千円発生しております。この結果、経常損失は150,798千円(前事業年度は経常損失795,020千円)となりました。

(当期純損益)

当事業年度において固定資産の減損損失等により、特別損失を11,586千円計上しております。また、法人税等合計を6,920千円計上しております。この結果、当期純損失は165,523千円(前事業年度は当期純損失822,420千円)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金需要のうち主なものには、cowcamo(カウカモ)事業及び不動産企画デザイン事業における人件費、外注費、広告宣伝費等があります。必要資金の確保及び流動性リスクの未然防止または低減の観点から、市場環境や長短のバランスを勘案して、内部資金の活用及び借入により調達のほか、社債の発行等の調達手段を行い、資金調達手段の多様化を図っております。

なお、足元では新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に備え、手元流動性と資金の確保に努めてまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。