第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第2四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、下記の記載事項を除き、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクから重要な変更はありません。

 

知的財産権に関するリスク

 当社は、過去に実施したSeagen Inc.とのADCの共同研究に関して、当社ADC技術に関する特定の知的財産権の帰属について同社から異議の通知を受けたことから、2019年11月にデラウェア州連邦地方裁判所に同社を被告として確認訴訟を提起いたしました。一方でSeagen Inc.は、2019年11月に当該異議に関して仲裁を申立て、その後、仲裁の手続きが進行しておりました。2022年8月に仲裁廷がSeagen Inc.の主張を全面的に否定する判断を下したことにより、今後本件に関して経済的便益の流出の可能性はなくなりました。

2020年10月、Seagen Inc.は、エンハーツを含む当社ADCがSeagen Inc.の保有する米国特許を侵害するとして特許侵害訴訟をテキサス州東部地区連邦地方裁判所に提起しました。2022年7月、同裁判所はエンハーツが当該特許を侵害していること、Seagen Inc.に42百万米ドルの損害が発生したこと、及び当該特許の故意侵害を認定しましたが、損害賠償額は増額しないとする判決を下しました。2023年10月、同裁判所は、当該判決に加え、2022年4月1日から Seagen 社の米国特許が満了する2024年11月4日までのエンハーツの米国売上に対する8%のロイヤルティの支払を命じる判決を下しました。当社は、引き続き当社の権利を守るべく、米国連邦巡回区控訴裁判所への控訴を含めてあらゆる法的手段を検討しております。なお、仮にSeagen Inc.に当該米国特許の侵害に係る賠償金を支払うこととなった場合には、アストラゼネカ社と締結したエンハーツの共同開発及び販売提携に関する契約に基づき、これをアストラゼネカ社と折半して負担いたします。

一方で、2020年12月、当社らは、Seagen Inc.の当該米国特許が無効であるとして、米国特許商標庁に当該米国特許の有効性を審査する特許付与後レビュー(Post Grant Review、以下「PGR」という。)の請求を行いました。2023年2月、米国特許商標庁はPGR手続の開始を決定し、現在、当該特許が無効か否かを判断する審理が進んでおります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績の状況

当社グループの当第2四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)の連結業績は、次のとおりであります。

 

<連結業績(コアベース)>

 (単位:億円)

 

前第2四半期

連結累計期間

当第2四半期

連結累計期間

対前年同期増減

売上収益

6,078

7,263

1,185

19.5%

売上原価

(注)

1,594

1,884

290

18.2%

販売費及び一般管理費

(注)

2,098

2,766

669

31.9%

研究開発費

(注)

1,539

1,660

122

7.9%

コア営業利益

(注)

848

953

105

12.4%

一過性の収益

(注)

108

7

△101

△93.6%

一過性の費用

(注)

0

10

9

営業利益

956

951

△5

△0.5%

税引前四半期利益

913

1,021

108

11.9%

親会社の所有者に帰属する

四半期利益

583

970

387

66.4%

四半期包括利益合計額

1,417

1,761

344

24.2%

(注)当社グループは、経常的な収益性を示す指標として、営業利益から一過性の収益・費用を除外したコア営業利益を開示しております。一過性の収益・費用には、固定資産売却損益、事業再編に伴う損益(開発品や上市製品の売却損益を除く)、有形固定資産及び無形資産並びにのれんに係る減損損失、損害賠償や和解等に伴う損益の他、非経常的かつ多額の損益が含まれます。

本表では、売上原価、販売費及び一般管理費、研究開発費について、一過性の収益・費用を除く実績を示しております。

 

<主要通貨の日本円への換算レート(期中平均レート)>

 

前第2四半期

連結累計期間

当第2四半期

連結累計期間

米ドル/円

133.98

141.00

ユーロ/円

138.72

153.38

 

売上収益

売上収益は、前年同期比1,185億円(19.5%)増収の7,263億円となりました。グローバル主力品エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン T-DXd/DS-8201)、リクシアナ(一般名:エドキサバン)等の伸長及び円安の進行による為替の増収影響等により、増収となりました。売上収益に係る為替の増収影響は255億円でありました。

 

コア営業利益

コア営業利益は、前年同期比105億円(12.4%)増益の953億円となりました。売上原価は、売上収益の増加に伴い、290億円(18.2%)増加の1,884億円となりました。販売費及び一般管理費は、エンハーツに係るアストラゼネカ社とのプロフィット・シェアの増加による費用増等により、669億円(31.9%)増加の2,766億円となりました。研究開発費は、5DXd-ADCs(トラスツズマブ デルクステカン、ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd/DS-1062、パトリツマブ デルクステカン:HER3-DXd/U3-1402、DS-7300、DS-6000)への研究開発投資の増加等により、前年同期比122億円(7.9%)増加の1,660億円となりました。コア営業利益に係る為替の増益影響は28億円でありました。

 

営業利益

営業利益は、前年同期並みの951億円となりました。前年同期は第一三共製薬(北京)有限公司の譲渡益等が一過性の収益に含まれていたため、営業利益は前年同期並みとなりました。

 

税引前四半期利益

税引前四半期利益は、前年同期比108億円(11.9%)増益の1,021億円となりました。受取利息の増加等により、金融収支が113億円改善したため、増益となりました。

 

親会社の所有者に帰属する四半期利益

親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期比387億円(66.4%)増益の970億円となりました。第一三共エスファ㈱の譲渡決定に伴う税効果会計の影響等により、法人税等が前年同期に比べて減少したことから、税引前四半期利益に比べて増益額が拡大いたしました。

 

四半期包括利益合計額

四半期包括利益合計額は、前年同期比344億円(24.2%)増益の1,761億円となりました。

 

 

<連結業績(IFRSベース)>

 (単位:億円)

 

前第2四半期

連結累計期間

当第2四半期

連結累計期間

対前年同期増減

売上収益

6,078

7,263

1,185

19.5%

売上原価

1,596

1,884

288

18.1%

販売費及び一般管理費

2,099

2,776

678

32.3%

研究開発費

1,507

1,661

154

10.2%

その他の収益

79

8

△70

△89.3%

その他の費用

0

0

営業利益

956

951

△5

△0.5%

税引前四半期利益

913

1,021

108

11.9%

親会社の所有者に帰属する

四半期利益

583

970

387

66.4%

四半期包括利益合計額

1,417

1,761

344

24.2%

 

当社グループのユニット別売上収益状況は次のとおりであります。

 

① ジャパンビジネスユニット

ジャパンビジネスユニットの売上収益には、イノベーティブ医薬品事業、ワクチン事業及び第一三共エスファ㈱が取り扱うジェネリック事業の製品売上収益が含まれております。

当ユニットの売上収益は、リクシアナ、エンハーツ、タリージェ等の伸長により、前年同期比218億円(9.7%)増収の2,468億円となりました。

 

当第2四半期連結累計期間における主な進捗は次のとおりであります。

・2023年5月、抗悪性腫瘍剤ヴァンフリタの急性骨髄性白血病(AML)1次治療の承認取得及びプロモーションを開始いたしました。

・2023年5月、疼痛治療剤タリージェOD錠を新発売いたしました。

・2023年8月、エンハーツのHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんの2次治療の承認取得及びプロモーションを開始いたしました。

 

<ジャパンビジネスユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前第2四半期

連結累計期間

当第2四半期

連結累計期間

対前年同期増減

リクシアナ

抗凝固剤

507

571

64

12.6%

プラリア

骨粗鬆症治療剤・関節リウマチに伴う骨びらんの進行抑制剤

193

211

17

9.0%

タリージェ

疼痛治療剤

183

227

44

24.0%

ビムパット

抗てんかん剤

106

127

21

19.7%

ランマーク

がん骨転移による骨病変治療剤

101

103

2

1.9%

テネリア

2型糖尿病治療剤

110

105

△5

△5.0%

エンハーツ

抗悪性腫瘍剤

(抗 HER2 抗体薬物複合体)

52

104

52

99.0%

エフィエント

抗血小板剤

99

124

25

25.4%

カナリア

2型糖尿病治療剤

81

81

0

0.5%

ロキソニン

消炎鎮痛剤

94

80

△14

△15.2%

エムガルティ

片頭痛発作の発症抑制薬

30

36

5

17.3%

 

② 第一三共ヘルスケアユニット

第一三共ヘルスケアユニットの売上収益は、ロキソニン、ミノン等の伸長により、前年同期比38億円(11.2%)増収の374億円となりました。

 

③ オンコロジービジネスユニット

オンコロジービジネスユニットの売上収益には、第一三共Inc.(米国)及び第一三共ヨーロッパGmbHのがん製品売上収益が含まれております。

当ユニットの売上収益は、欧米におけるエンハーツの伸長により、前年同期比781億円(110.5%)増収の1,488億円、現地通貨ベースでは、528百万米ドル(100.0%)増収の1,055百万米ドルとなりました。

 

当第2四半期連結累計期間における主な進捗は次のとおりであります。

・2023年8月、米国においてヴァンフリタを新発売いたしました(適応:AML1次治療)。

 

<オンコロジービジネスユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前第2四半期

連結累計期間

当第2四半期

連結累計期間

対前年同期増減

エンハーツ

抗悪性腫瘍剤

(抗 HER2 抗体薬物複合体)

690

1,451

761

110.3%

 

エンハーツ(米)

553

1,059

505

91.3%

エンハーツ(欧)

137

392

256

187.3%

TURALIO

抗腫瘍剤

17

26

9

50.8%

 

④ アメリカンリージェントユニット

アメリカンリージェントユニットの売上収益は、インジェクタファー等の減収影響があったものの、ヴェノファー等の増収や為替の増収影響により、前年同期比46億円(4.9%)増収の987億円、現地通貨ベースでは、3百万米ドル(0.4%)減収の700百万米ドルとなりました。

 

<アメリカンリージェントユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前第2四半期

連結累計期間

当第2四半期

連結累計期間

対前年同期増減

インジェクタファー

鉄欠乏性貧血治療剤

274

257

△17

△6.3%

ヴェノファー

鉄欠乏性貧血治療剤

250

291

41

16.3%

GE注射剤

364

373

9

2.6%

 

⑤ EUスペシャルティビジネスユニット

EUスペシャルティビジネスユニットの売上収益には、がん製品を除く第一三共ヨーロッパGmbHの売上収益が含まれております。

当ユニットの売上収益は、リクシアナ、Nilemdo/Nustendiの伸長により、前年同期比146億円(20.3%)増収の864億円、現地通貨ベースでは46百万ユーロ(8.8%)増収の563百万ユーロとなりました。

 

<EUスペシャルティビジネスユニット主力品売上収益>

(単位:億円)

製品名

前第2四半期

連結累計期間

当第2四半期

連結累計期間

対前年同期増減

リクシアナ

抗凝固剤

558

679

121

21.6%

Nilemdo / Nustendi

高コレステロール血症治療剤

28

68

40

143.3%

オルメサルタン

高血圧症治療剤

98

92

△6

△6.1%

 

⑥ ASCAビジネスユニット

ASCA(注)ビジネスユニットの売上収益には、海外ライセンシーへの売上収益等が含まれております。

当ユニットの売上収益は、ブラジルにおけるエンハーツの伸長等により、前年同期比132億円(18.9%)増収の830億円となりました。

(注)Asia, South & Central Americaの略。

 

当第2四半期連結累計期間における主な進捗は次のとおりであります。

・2023年6月、中国においてエンハーツを新発売いたしました(適応:HER2陽性乳がんの2次治療)。

・2023年7月、エンハーツのHER2低発現乳がん(化学療法既治療)の中国における承認取得及びプロモーションを開始いたしました。

 

(2) 財政状態

当第2四半期連結会計期間末における資産合計は2兆6,491億円となりました。その他の金融資産(流動)が減少した一方で、現金及び現金同等物、並びに棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末より1,402億円の増加となりました。

負債合計は1兆551億円となりました。営業債務及びその他の債務が増加した一方で、社債及び借入金(流動)、並びにその他の非流動負債の減少等により、前連結会計年度末より79億円の減少となりました。

資本合計は1兆5,940億円となりました。配当金の支払による減少があった一方で、四半期利益の計上及びその他の資本の構成要素の増加等により、前連結会計年度末より1,481億円の増加となりました。

親会社所有者帰属持分比率は60.2%となり、前連結会計年度末より2.6%増加しております。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、期首に比べ1,488億円増加し、5,908億円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益1,021億円による資金の増加があった一方で、棚卸資産の増加等により、644億円の支出(前年同期は461億円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資による支出があった一方で、定期預金の払戻による収入等により、2,650億円の収入(前年同期は2,050億円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払の他、社債の償還及び借入金の返済等により、773億円の支出(前年同期は533億円の支出)となりました。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費(IFRSベース)は1,661億円(前年同期比10.2%増)となり、売上収益に対する研究開発費の比率は22.9%となりました。

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因

当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当第2四半期連結会計期間における、経営上の重要な契約等の締結等はありません。