当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、処方箋に基づき調剤を行う調剤薬局事業と医薬品・化粧品を中心とした商品を販売するコスメ&ドラッグストア事業を主として展開しており、いずれも人々の健康に関与していることから、社会的に重大な責務を負っております。
医薬分業の進捗に伴う積極的な出店による企業収益及び株主価値の増大を図ることに加えて、人々の生命に携わる企業として、その業務の安全性及び専門性の継続的向上に努めることが、当社に課せられた使命であると考えております。
したがって、当社は「市場環境に応じた積極的な事業拡大を重視する一方で、調剤過誤等の事業リスクの徹底的な排除に取り組み、お客様に安心して足を運んでいただける薬局を作ることにより、その社会的使命を果たす。」ことを経営の基本方針としております。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、様々な要因により実際の結果と異なる可能性があります。
(2)目標とする経営指標
当社は、積極的な出店による企業規模の拡大を推し進めると同時に、財務体質を強化し、企業価値を高めることを重要視しており、当社グループではROA4.5%、ROE15.0%を目標としております。
なお、当連結会計年度においてはROA4.2%、ROE7.5%となっております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、積極的な営業開発及びM&Aによる調剤薬局の全国展開及びコスメ&ドラッグストアの展開を事業の柱と位置づけ、事業規模の拡大並びに企業価値の向上を目指しております。
ファーマシー事業は、グループ各社がそれぞれにおいて、地域住民の「かかりつけ薬剤師・薬局」となる付加価値の高い調剤薬局の営業開発を継続するとともに、M&Aに対しても、慎重に調査検討のうえ積極的に推進する方針であります。
ジェネリック医薬品についても、グループとして引き続き使用促進を図る方針であり、同医薬品の卸である子会社株式会社ホールセールスターズの販売体制及びグループ全薬局における患者さまへの啓発活動を強化することにより、グループとして積極的にジェネリック医薬品の普及を推進いたします。
また、教育研修の充実をはじめ、ICT技術を応用した調剤技術の開発導入により、患者さまに対する安全性の確保、サービス・業務効率の向上に努めるとともに、DX推進を通じ患者さまに多様なサービスを提供することで付加価値の向上と事業基盤の強化を進めてまいります。
リテール事業は、コスメ&ドラッグストア「アインズ&トルペ」を展開し、コスメを中心とした独自性のある商品構成とすることで、他のドラッグストアとの明確な差別化を図るとともに、更なる拡大を目指してまいります。
以上のことから、中長期的な経営戦略は、次の方針を基本としております。
①調剤薬局は、「患者のための薬局ビジョン」の実現に向け、教育研修の充実により、かかりつけ薬剤師となれる人材の育成に努めるとともに、在宅医療及び24時間対応への積極的な参画、ジェネリック医薬品の使用促進等かかりつけ薬局としての機能の充実に加え、地域住民のための健康サポート機能を備えることを目指す。
②営業開発は、M&Aを視野に入れた営業開発を含め、積極的な出店により事業規模の拡大を図る。
③ICT技術を応用した調剤技術の開発及び最新の調剤機器のグループ導入を積極的に推進し、個々の機器・システムの複合的活用により、患者さまに対する安全性、サービス向上を図る。またDX推進を通じ患者さまへ多様なサービスを提供することで付加価値の向上、事業基盤の強化を進める。
④ジェネリック医薬品の使用促進、薬剤師の採用、出店エリアに応じた営業開発体制等、グループ会社間における共通業務の相互補完体制を充実するとともに、組織再編成、人事交流等による合理化を推進し、グループとしての機動性及び業務効率の向上により、グループ収益力を強化する。
⑤リテール事業は、コスメ&ドラッグストア「アインズ&トルペ」を集客が確実に見込める好立地へ出店するとともに、店舗特性に応じたMDを強化し、同業他社との差別化を図る。
⑥「アインズ&トルペ公式アプリ」による顧客拡大、WEB媒体、SNS、紙面広告等を複合的に活用した効果的な販売促進活動により、店舗収益力を向上させる。
⑦優秀な人材の確保及び女性の活躍推進等のため、働きやすい職場環境の整備に取り組む。
⑧企業の持続的な成長と、社会・環境・経済価値を創出し、サステナビリティ経営の実現に取り組む。
(4)経営環境及び優先的に対処すべき課題
・各事業について
ファーマシー事業においては、2021年8月より特定の機能を有する薬局として都道府県知事が認定する認定薬局制度、2022年4月より導入されたリフィル処方箋やオンライン服薬指導の要件の緩和、2023年1月より開始された電子処方箋への対応等、調剤薬局を取り巻く環境は変化しております。これらにより、患者ニーズが多様化していく中で、より質の高い患者サービスの提供や「かかりつけ薬剤師・薬局」としての地域医療貢献が求められており、調剤薬局の役割と責任は更に大きいものとなっています。
当社グループは、薬剤師の専門性を一層強化するとともに、2022年2月に運用を開始したアイン薬局公式アプリ「いつでもアイン薬局」を通じ、患者様が住み慣れた地域で安心して薬物治療を継続していただける環境を提供してまいります。
また、新規出店・M&A等による事業規模の拡大を推し進め、スケールメリットを最大限に活用した事業戦略を継続いたします。
リテール事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大を経て、顧客の行動エリア、購買動向が変化いたしました。
引き続き、集客が確実に見込める好立地への新規出店と顧客ニーズに合った商品の強化等による「アインズ&トルペ」のブランド力向上のための投資を推進するとともに、コスト適正化を進めてまいります。
なお、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に際しては、感染の拡大防止策の徹底を最優先事項としたうえで、当社グループが果たすべき調剤業務の継続等の社会的責任をまっとうすべく、事業継続計画書(BCP:Business Continuity Plan)に沿って対応を行っており、今後も緊急事態が発生した際には、BCPに基づいた迅速かつ適切な対応を行ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
国連サミットでの持続可能な開発目標SDGs(Sustainable Development Goals)の採択等、国際社会が変化する中、企業の長期的な成長のためには、ESGの取り組みがさらに強く求められております。
SDGs・ESGを巡る課題への対応は、グループ・ステートメント(企業理念)に掲げる「すべてはお客さまの元気と笑顔のために」に通じ、これまでも当社グループでは、かかりつけ薬剤師・薬局や健康サポートを通じた地域医療への貢献や、美しさと健やかさの提供等に取り組んでまいりました。
当社グループは、社会の持続可能な発展に貢献することで、企業の持続可能な発展を実現するサステナビリティ経営を推進しております。
①ガバナンス
CSR・ESGへの対応を深化させ、当社グループ全社で横断的に推進するため、取締役会承認のもと、「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会では、委員長を代表取締役社長(大谷喜一)、副委員長を代表取締役専務(水島利英)、基幹グループ会社社長、各部門統括役員等を委員として構成し、当社グループのサステナビリティ推進の方針や施策の策定、推進体制の構築と整備、重要指標のモニタリング等を行い、経営トップのコミットメントのもと、CSR・ESG活動のさらなる強化を図っております。
②リスク管理
サステナビリティ関連のリスク及び機会の管理については、サステナビリティ委員会において、重要指標のモニタリング等を実施し、検討・議論しております。さらにサステナビリティ委員会において検討・議論された内容については、取締役会に報告し、取締役会が取り組み状況の監督を行っております。
③戦略
<アイングループのCSR・サステナビリティ経営方針>
「すべては、お客さまの元気と笑顔のために」
アイングループは、人々の健康や美に貢献する事業を通じ、グループ・ステートメントでもある「お客さまの元気と笑顔」を実現し続けるため、良識と倫理観を持った企業活動を行ってきました。これからも、お客さまをはじめ多様なステークホルダーの皆さまのことを考え、自ら変化し行動することで、企業の持続的な成長と、社会・環境・経済価値を創出し、サステナビリティ経営を実現します。
<6つの重要課題(マテリアリティ)>
ISO26000や国連グローバル・コンパクト、国連SDGs等のグローバルな議論の動向を踏まえ、また、日本や業界特有の社会的課題を把握したうえで、「挑戦すべき機会」と「対応すべきリスク」の2つの観点から課題群を整理し、「ステークホルダーへの影響度」及び「自社における重要度」による判定から、サステナビリティ委員会にて協議・検討を進め、取締役会での議論を経て、6つのマテリアリティを特定しております。
|
マテリアリティ |
中期アクション |
主な取り組み |
|
1.地域医療への貢献 CSV課題(S)※ |
高齢化及び医療の高度化により薬物治療が複雑化する中、地域住民の平等かつ持続的な、健康で豊かな生活の実現に貢献する |
・医薬品の適正使用を実現するため薬局に要請・期待されている役割を確実に実行し、社会が求める新しい仕組みづくりにも率先して挑戦する |
|
・効率的な医薬品使用及び医療サービスで医療費抑制を図り、社会保障制度の持続可能性へ貢献する |
||
|
・災害やパンデミック等、いかなる状況下においても、社員の生命・健康を守り、医薬品及び医療サービスの提供を遂行する |
||
|
2.美しさと健やかさの提供 CSV課題(S)※ |
常に、新鮮なコスメ&ビューティアイテムと楽しく選べる場を提供し、自分らしく飾らないライフスタイルの実現に貢献する |
・トレンドやニーズ、立地に対応した品揃えの店舗展開で、美しくありたい人々のエンパワーメントを図る |
|
・自分らしいライフスタイルを実現する、革新的なオリジナル商品を開発する |
||
|
3.安全・安心と信頼 事業プロセス課題(S)※ |
個人情報保護を含めた安全と安心を最優先に商品・サービスを提供し、お客さま・患者さまとの信頼関係をさらに強化する |
・品質・安全性・管理マネジメントシステムの継続的な改善により、品質・安全性をより強固にする |
|
4.環境保護・負荷低減 事業プロセス課題(E)※ |
事業活動にかかわる地球環境の持続可能性を追求し、環境保護に努めるとともに、環境負荷の最小化に取り組む |
・温室効果ガス排出量の把握と削減を遂行する |
|
・廃棄物削減による環境配慮に取り組む |
||
|
5.健全な経営基盤 経営基盤課題(G)※ |
誠実、公正な企業文化の継承と、共有価値による結束を強化する |
・人権に関する取り組みを推進する |
|
社員一人ひとりが能力を最大限発揮できるよう職場環境の整備を推進する |
・多様な人材の採用と効果的な人材配置により、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する |
|
|
・社員の健康増進を強化する |
||
|
会社情報の管理体制の整備強化と確実な運用を遂行する |
・会社情報資産の保護体制及びシステムセキュリティ対策を強化するとともに、各種規程・基準等の設定や管理体制の整備を行い、確実な運用を遂行する |
|
|
グループ全体のコーポレート・ガバナンスを強化し、透明性が高く健全な経営を行う |
・多様なステークホルダーとのエンゲージメントを深め、取締役会の監督機能を継続的に強化する |
|
|
6.地域社会・取引先との連携 地域社会・お取引先との連携課題 (S・E)※ |
地域とのコミュニケーションとサプライチェーンの協働により、さらなる価値向上を推進する |
・地域社会との調和と共生を目指し、健康活動等を通じた社会貢献を推進する |
|
・CSR調達の導入により、サプライチェーン全体でサステナビリティ活動を推進する |
||
|
・医薬品卸と協働による環境負荷軽減への体制を構築する |
※( )内のESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)を指しております。
④指標及び目標
<マテリアリティにおける重要指標(KPI)と2025年度目標>
当社グループは、目標(あるべき姿)の達成を目指すことで、企業の持続的な成長と、社会・環境・経済価値を創出し、サステナビリティ経営を実現してまいります。
|
マテリアリティ |
重要指標(KPI) |
あるべき姿 2025年度目標 |
|
1.地域医療への貢献 |
・認定薬局*1数 (専門医療機関連携薬局・地域連携薬局) ・健康サポート薬局*2数 ・在宅応需件数 |
・全薬局でいずれかを認定 ・薬局50%以上で認定 ・全薬局で在宅24件/年を実施 |
|
・かかりつけ薬剤師数 ・ジェネリック(GE)医薬品の使用率 |
・全薬局にかかりつけ薬剤師配置 ・全薬局でGE医薬品使用率85%以上を維持 |
|
|
・BCPの継続改善、実践力の強化 ・災害拠点病院主応需薬局への備蓄整備率 |
・安否確認訓練*3報告率100% ・災害拠点病院主応需全薬局で配備 |
|
|
2.美しさと健やかさの提供 |
・アプリを活用した、ユーザーへの情報提供と購入機会の提供 |
・公式アプリ アクティブユーザー数100万人/月 ページビュー数150万人/月 |
|
・プライベートブランドにおけるクリーンビューティ*4商品の製造数 |
・製造数比率50% |
|
|
3.安全・安心と信頼 |
・内部監査指摘状況 |
・全薬局該当項目指摘0件*5 ・全店舗優良店舗*5 |
|
4.環境保護・負荷低減 |
・グループ全体の温室効果ガス排出量の把握と削減 |
・<2030年度目標> CO2(GHG)排出量 Scope1・2*6削減率30% (基準年:2021年度) |
|
・医薬品の廃棄率 |
・廃棄率0.02%以下 |
|
|
5.健全な経営基盤 |
・人権方針の制定 ・理解度チェックテスト*7受験率及び正答率 |
・人権方針の開示 ・受験率100% 正答率100% |
|
・くるみん・プラチナくるみん*8、えるぼし・プラチナえるぼし*9等の認定 ・女性管理職率*10 ・LGBTに関する宣言の制定 |
・プラチナくるみん、プラチナえるぼし等の認定継続 ・女性管理職比率40% ・LGBTに関する宣言の制定 |
|
|
・健康経営優良法人認定*11に関する各項目 |
・健康経営優良法人(ホワイト500*11)の認定 |
|
|
・セキュリティインシデント件数 |
・セキュリティに関する重大インシデント0件 |
|
|
・取締役会評価点数 ・社外取締役数 ・女性取締役数 |
・全項目4点/5点以上 ・社外取締役数2/5以上 ・女性取締役数1/3以上 |
|
|
6.地域社会・取引先との連携 |
・地域でのイベント開催数 |
・全薬局にて4回以上/年で実施 |
|
・CSR調達方針及びガイドラインの制定と サプライチェーンへの周知、運用 |
・CSR調達方針及びガイドラインの開示 ・サプライチェーンへの説明会及び監査の実施 |
|
|
・実施店舗数 ・実施店舗における医薬品配送回数 |
・500店舗で実施 ・配送回数削減による 配送時CO2排出量75%削減 検品納品時間75%削減 |
*1 認定薬局(専門医療機関連携薬局・地域連携薬局):薬機法改正により2021年8月から開始された、機能別の薬局認定制度
*2 健康サポート薬局:厚生労働大臣が定める一定の基準を満たしている薬局。かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を備えた薬局のうち、さらに地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する薬局のこと
*3 安否確認訓練:社員や家族、店舗状況等の安全を最優先に確認した上で、支援体制を整え、医療サービスの継続提供を行う前提となる訓練
*4 クリーンビューティ:体や肌に優しい成分を使った安全な商品(低刺激)、自然や天然の原料使用(ナチュラル、オーガニック)・環境配慮(エコ、クルエルティーフリー/動物実験なし)がされた美容アイテムのこと
*5 全薬局:ファーマシー事業の調剤薬局店舗 全店舗:リテール事業の店舗 優良店舗:内部監査で指摘項目3つ以下の店舗
*6 Scope1・2:Scope1とは、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。Scope2とは、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出のこと
*7 理解度チェックテスト:当社グループ全役員及び全社員を対象に年1回行われるサステナビリティ研修におけるテストのこと。ビジネス教養やコンプライアンス(企業倫理)、人権、社員の健康(健康経営)、情報セキュリティ、環境等のテーマで実施
*8 くるみん認定・プラチナくるみん認定:厚生労働省が、次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業を「子育てサポート企業」として認定する制度。また、くるみん認定企業のうち、より高い水準の取り組みを行った企業は、厚生労働大臣の特例認定としてプラチナくるみん認定を受けることができる
*9 えるぼし認定・プラチナえるぼし認定:厚生労働省が、女性活躍推進法に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況等が優良な企業を認定する制度。えるぼし認定よりも高い水準として、プラチナえるぼしの特例認定を受けることができる
*10 管理職は本部係長、薬局長、店長以上
*11 健康経営優良法人:経済産業省と日本健康会議が共同で実施する、健康経営に取り組む優れた法人を顕彰する制度。ホワイト500は認定された大規模法人上位500に付加される
※詳細は、下記アイングループ公式ウェブサイト「CSR・ESG」ページよりご確認ください。
https://www.ainj.co.jp/csr/
(2)気候変動への対応(TCFD*1提言への取り組み)
当社グループは、環境保護・負荷低減を重要課題(マテリアリティ)のひとつと認識しております。中でも気候変動課題は年々深刻化しており、持続可能な社会実現のためにも重要な項目のひとつであると考え、2022年4月には、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の最終報告書(TCFD提言)に賛同し、あわせて、TCFDコンソーシアム*2にも参加しております。また、TCFD提言が推奨する4つの開示項目について、次のとおり整理し、設定しております。
*1 TCFD:「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略。G20 財務大臣及び中央銀行総裁の意向を受け、金融安定理事会(FSB)が設置。2017年6月に最終報告書「TCFD提言」を公表
*2 TCFDコンソーシアム:TCFD提言へ賛同する企業や金融機関等が一体となって取り組みを推進し、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげるための取り組みについて議論する場として、2019年5月27日に設立
①ガバナンス
気候変動課題、また気候変動課題に対するリスク管理や戦略、目標の設定等については、サステナビリティ委員会のもとに気候変動対応チームを設けて、データ集計や原案策定等にあたらせ、これを同委員会において議論し確定しております。サステナビリティ委員会は、グループ全社で横断的にサステナビリティ経営を推進するため、取締役会承認のもと設置された組織です。委員長である代表取締役社長をはじめとする経営陣や基幹グループ会社社長、各部門統括役員等で構成され、議論された内容については、取締役会に報告(年1回以上)し、取締役会が重要事項の決定と、同委員会の取り組みの監督を行っております。
②リスク管理
サステナビリティ委員会のもとに設けている気候変動対応チームが、関連各部と協議の上、全社的なリスクの洗い出し(リスク評価)を行っております(年1回以上)。取り組み、KPI、進捗等についても、気候変動対応チームが関連各部と連携して適正な管理(リスク管理)を行うことで、目標の達成を目指しております。
また、気候変動対応チームが主導するリスク評価・管理の内容は、グループ全社の横断的課題を統括するサステナビリティ委員会に報告してグループ全体の共通認識とし、さらなる議論と検討を進めております。
③戦略
<当社グループにおける重要なリスク・機会の特定>
気候変動にともなうリスク及び機会には、低炭素社会への移行によって引き起こされるもの(移行リスク・機会※3)と、極端な気象現象の過酷さと頻度の増加や海面上昇その他の長期的な気象パターンの変化によって引き起こされるもの(物理リスク・機会※4)が考えられます。当社グループにかかわるすべてのリスクと機会項目の洗い出しを行った後、その中でも重要な影響を与えるリスクと機会を、次のとおり整理いたしました。
|
|
|
当社グループにおける重要なリスク・機会 |
|
移行リスク ・機会 |
政策・規制・法 |
1.温室効果ガスに関する規制強化 |
|
2.その他エネルギー・資源に関する規制強化 |
||
|
市場と技術の転換 |
3.省エネルギー対策・再生エネルギープログラムの推進 |
|
|
評判 |
4.ステークホルダー(責任ある行動に対する期待と懸念) |
|
|
5.お客さま・患者さま意識・行動の変化 |
||
|
物理リスク ・機会 |
急性 |
6.異常気象の激甚化(台風、ゲリラ豪雨等風水害) |
|
7.気候変動に起因する感染症の流行 |
||
|
慢性 |
8.降水・気象パターンの変化(平均気温上昇、海面上昇) |
※3 移行リスク・機会:低炭素社会への移行によって引き起こされるリスクと機会
※4 物理リスク・機会:気候変動をともなう、極端な気象現象、またその過酷さや頻度の上昇、海面上昇等の長期的な気象パターンの変化等によって引き起こされるリスクと機会
<シナリオ分析>
当社グループは、調剤薬局及びコスメ&ドラッグストアの経営、ジェネリック医薬品の卸売販売、化粧品の販売、売店の経営等の各事業を展開しております。中でもグループ全体の売上高の9割を占めるファーマシー事業の調剤薬局国内全店舗と、リテール事業のアインズ&トルペ国内全店舗を対象として、IPCC※5(気候変動に関する政府間パネル)等が想定する複数のシナリオに基づき、考えられる気候変動に関連する物理リスク・機会、移行リスク・機会を幅広に検討しました。特に重要なリスクと機会における影響の分析に着手しております。
|
シナリオ |
2℃シナリオ |
4℃シナリオ |
|
SSP1 RCP2.6 |
SSP5 RCP8.5 |
|
|
対象事業 |
ファーマシー事業の調剤薬局国内全店舗、 リテール事業のアインズ&トルペ国内全店舗 |
|
|
対象期間 |
2030年、2050年 |
|
※5 IPCC:「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)」の略。WHO(世界気象機関)とUNEP(国連環境計画)のもとに設立された組織。195の国・地域が参加。各国政府の気候変動に関する政策に科学的な基礎を与えることを目的とし、気候変動に関する最新の科学的知見(出版された文献)についてとりまとめた報告書を作成
<事業インパクトの評価>
2030年+2℃の世界では、低炭素・脱炭素が推進されることにより、特に温室効果ガスに関する規制強化(主に炭素税の課税や排出量取引制度等)の移行リスクが高まる可能性が考えられます。
当社グループのCO2(GHG)排出量(Scope1・2)の多くは、電力に由来するものです。よって、電気使用量や調達時の価格・CO2排出係数等により、追加のコストが発生する可能性があります。ただし、省エネルギー・再生エネルギーの取り組みによって、炭素税による影響を最小限にするとともに、電気使用量を削減することで、財務、事業戦略等に重大な影響を及ぼさないことを確認しております。
そして2030年+4℃の世界では、異常気象の激甚化・気象パターンの変化(店舗・事業所の被災やパンデミック発生等)による物理リスクが高まる可能性が考えられます。
当社グループでは、いかなる状況下においても、社員の生命及び健康を守り、医薬品及び医療サービスの提供を遂行することが、社会のインフラのひとつとして、期待・要請されている役割であると認識しております。この役割を果たすためにも、災害対応については、BCPの強化・継続改善をはじめ、全社員・またその家族の安否報告訓練や避難訓練、物流強化等、気候変動に適応するための取り組みを推進しております。今後は、さらにリスクの高い地域・店舗の分析を進め、さらなる防災対策を検討します。
また、気候変動を起因とする感染症等が流行した場合、特にファーマシー事業においては、処方箋応需枚数等に影響を受ける可能性があります。自然災害における対応と同様、医療サービス提供のための体制づくりを強化していきます。
このように、増大するリスクを見通した対策を進めることにより、財務・事業戦略等へ重大な影響を及ぼさないよう、備えることが可能であると考えています。同時に、さらにレジリエンスの強化・向上を図ることが、お客さまや患者さま、地域住民の方等が必要とする医療の継続提供につながり、事業の発展に大きく貢献すると考えております。
④指標及び目標
当社グループは、2050年カーボンニュートラル(自社の事業活動にともなう、CO2(GHG)排出量(Scope1・2)の実質ゼロ)の実現に向けて積極的に取り組むこととし、気候変動の評価指標として、CO2(GHG)排出量と再生エネルギー由来電力への転換率等を選定しました。さらに2030年目標として「CO2(GHG)排出量(Scope1・2)2021年度比 30%削減」、「再生エネルギー由来電力への転換率 30%」を設定しております。またScope3の排出量の削減に向けては、卸会社と協業した取り組み「医療用医薬品の配送回数の削減のトライアル」等を実施します。
今後も、TCFD提言に基づく情報開示の充実を図るとともに、気候変動に関わる政策や法規制の制定等の変化にも対応した、事業戦略・気候変動の緩和策及び適応策の実施を進めていきます。気候変動課題に適切に対応することで、ステークホルダーの皆さまの期待や要請にお応えし、企業の持続的な成長と、社会・環境・経済価値を創出するサステナビリティ経営を実現します。
|
指標 |
あるべき姿 2030年度目標 |
|
グループ全体のCO2(GHG)排出量を把握し、適切に管理・監督ができる業務体制を構築する (1)Scope1・2におけるCO2(GHG)排出量 (2)Scope3におけるCO2(GHG)排出量 |
Scope1・2における CO2(GHG)排出量 削減率 30%※6 |
|
カーボンニュートラル実現に向けて、適切な目標 設定と取り組みを実施する ・再生エネルギー由来電力への転換率 |
30%※7 |
※6 基準年(2021年度)排出量に対する削減率 ※7 基準年(2021年度)使用電力全体に対する再生エネルギー転換率
※詳細は、下記アイングループ公式ウェブサイト「CSR・ESG 環境保護・負荷低減」ページよりご確認ください。
https://www.ainj.co.jp/csr/protection2.html
(3)人的資本
当社グループは、人材戦略を経営基盤における重要課題として掲げ、取り組みを強化しております。多様性を尊重し、社員一人ひとりの能力を最大限発揮できるよう、支援体制を構築するとともに、多様なキャリア形成のための評価制度等を拡充することで、お客さま・患者さまへ確かなサービスを提供できる人材への成長を促し、「お客さまの元気と笑顔」の実現と、グループ全体のイノベーションの創出を目指しております。
①戦略
社員一人ひとりが多様なステークホルダーの視点に立ち、常に相手の想いに寄り添う「ホスピタリティ」を育むことが、 社会課題の解決を実現する「挑戦力」へとつながっていくと考えています。性別、年齢、国籍、人種、信条、宗教、社会的身分、出身、障がい、性的指向、性自認等にかかわらず互いを認め合い、多様な働き方やキャリア形成を活かすことで、イノベーションを生み出し、多様な社員の活躍や成長を推進していきます。
<アイングループの人材育成方針>
〇基本的な考え方
アイングループは、社員を大切にする会社であること、働きがいのある会社であること、この要件が満たされてこそ、初めてお客さまのために全力を尽くせると考えています。「社員の幸せ」が「お客さまの幸せ」につながり、その評価としての「お客さまの笑顔」が社員の新たなエネルギーとなります。この相互の奏功を繰り返していくためには、社員一人ひとりが自ら挑戦し続け成長していくことが必要です。アイングループを活躍の場として、お客さま、地域そして広く社会へ、確かなサービスを提供できる優れた人材へ成長できるよう、人材育成に取り組んでいます。
また、社員一人ひとりが多様なステークホルダーの視点に立ち、常に相手の想いに寄り添う「ホスピタリティ」を育むことが、社会課題の解決を実現する「挑戦力」へとつながっていくと考えています。性別、年齢、国籍、人種、信条、宗教、社会的身分、出身、障がい、性的指向、性自認等にかかわらず互いを認め合い、多様な働き方やキャリア形成を活かすことで、イノベーションを生み出し、多様な社員の活躍や成長を推進していきます。
〇求める人物像
アイングループは、常に相手の想いに寄り添う「ホスピタリティ」をベースに、自ら考え、自ら実践し、日々の経験から学び、そして提案と挑戦の積み重ねで、自ら進化し続ける人材を求め、育成します。
人材採用においては、企業理念である「新・アイン宣言」で示すAIN's Ambition(アインスタッフの志)に則った行動を実践する力と、求められるスキル・経験があるかを考慮し、性別、年齢、国籍、人種、信条、宗教、社会的身分、出身、障がい、性的指向、性自認等を理由とする差別を行いません。
多様性を尊重し、社員一人ひとりの「自分力」「挑戦力」を最大限に発揮できるよう、積極的に支援し、処遇し、成長の機会を提供することでイノベーションを生み出し、「お客さまの元気と笑顔」の実現を目指します。
<アイングループの社内環境整備方針>
アイングループは、社員を大切にする会社であること、働きがいのある会社であること、この要件が満たされてこそ、初めてお客さまのために全力を尽くせると考えています。そのために、グループ・ステートメントの冒頭にある「まず、社員が幸せを感じられる会社でありたい」の実現に向けて、多様なキャリア形成のための体制や評価制度を拡充する等、さまざまな取り組みや制度の整備を積極的に行っています。また、ダイバーシティ&インクルージョンをサステナビリティ経営における重要課題(マテリアリティ)の一つとして捉え、各種施策を推進するとともに、人権課題や人権リスク、両立支援、育児や介護、LGBT等、多様な社員が活躍できる仕組みづくりを構築しております。
②指標及び目標
当社グループは、人材戦略・人的資本の中でも女性管理職者を増やし企業文化の変革を加速させることが重要な項目のひとつであると考え、2025年度までに女性取締役比率を1/3以上、女性管理職比率を40%へ引き上げることを目標としております。
|
指標 |
あるべき姿 2025年度目標 |
|
多様なステークホルダーとのエンゲージメントを深め、取締役会の監督機能を継続的に強化する ・女性取締役比率 |
33% |
|
多様な人材の採用と効果的な人材配置により、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する ・女性管理職比率 |
40% |
※詳細は、下記アイングループ公式ウェブサイト「CSR・ESG 健全な経営基盤」ページよりご確認ください。
https://www.ainj.co.jp/csr/sound_management.html
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法的規制について
①「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」等による規制について
ファーマシー事業は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、医薬品医療機器等法)、健康保険法、薬剤師法をはじめとした各種許認可、免許、登録、届出等により、厚生労働省及び都道府県保健福祉部の監督の下、保険薬局及び調剤薬局(以下、3 事業等のリスクにおいて「保険調剤薬局」という。)を営業しております。
また、リテール事業のコスメ&ドラッグストア事業においても、同様に医薬品医療機器等法に基づく医薬品の販売を行っております。
その主要な内容は次のとおりであります。
|
許可、登録、指定、免許、届出の別 |
有効期間 |
関連法令 |
登録等の交付者 |
|
薬局開設許可 |
6年 |
医薬品医療機器等法 |
各都道府県知事 |
|
保険薬局指定 |
6年 |
健康保険法 |
厚生労働省地方厚生局長 |
|
麻薬小売業者免許 |
3年 |
麻薬及び向精神薬取締法 |
各都道府県知事 |
|
高度管理医療機器販売業 |
6年 |
医薬品医療機器等法 |
各都道府県知事 |
|
医薬品販売業許可(注) |
6年 |
医薬品医療機器等法 |
各都道府県知事等 |
(注)医薬品販売業許可は、医薬品医療機器等法第25条において、店舗販売業、配置販売業、卸売販売業の3つの許可に区分されております。当社グループのリテール事業は、店舗販売業の許可を受けております。
万一、当社グループの保険調剤薬局及びコスメ&ドラッグストア事業において、医薬品医療機器等法第75条第1項、健康保険法第80条各号及び麻薬及び向精神薬取締法第51条第1項等に規定される法令違反等に該当する行為があり、監督官庁から業務停止命令及び取消し等を受けた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②医薬品の販売規制緩和について
一般用医薬品の販売については、医薬品医療機器等法によってリスク区分に応じて要指導医薬品及び第1類医薬品は薬剤師のみが、第2類医薬品及び第3類医薬品は薬剤師または登録販売者が販売しなければならないと規制されております。
今後においても、医薬品販売に係る規制緩和の動向により、異業種の同事業への参入等、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)ファーマシー事業について
当社グループのファーマシー事業では、保険調剤薬局のチェーン展開を行っております。
当連結会計年度における売上高において、ファーマシー事業が占める割合は89.6%であり、今後も保険調剤薬局店舗を主軸とした多店舗展開を継続する方針であります。したがって、M&Aを含む保険調剤薬局の出店政策の成否や同業他社の出店動向により、当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。
保険調剤薬局店舗の売上は、処方箋を発行する医療機関に依存する割合が高く、主たる応需先となる医療機関の予測困難な院外処方箋の発行動向並びに休廃業により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、インフルエンザや花粉症(アレルギー性鼻炎)等季節性疾患の流行により処方箋応需枚数には季節変動の影響を受ける可能性があります。
(3)業界動向について
ファーマシー事業の収入は、処方箋に基づき医療用医薬品を調合投与する調剤行為であり、その薬剤の価格(薬価)及び報酬額は、厚生労働省により定められております。また、国民医療費の抑制策として、診療報酬及び薬価の改定が段階的に実施される傾向にあります。今後においても、診療報酬制度等の改定による収益構造の変化に伴い、当社グループの経営成績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)資格者の確保について
保険調剤薬局及びドラッグストア(第1類医薬品取扱店舗)は、医薬品医療機器等法の規定により薬剤師の配置が義務付けられており、また、薬剤師法では、調剤業務は薬剤師が行わなければならないと規定されております。
当社グループは、積極的な出店による拡大政策を継続しておりますが、薬剤師確保が困難な状況になった場合は、出店計画及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)企業の信用を失墜させるリスクについて
①調剤業務について
ファーマシー事業では、人体に影響を及ぼす医療用医薬品を薬剤師が扱っており、調剤過誤による医療事故を引き起こす可能性を内包しております。
当社グループは、医療事故が会社の社会的信用を著しく失墜させる可能性があるものと認識し、あらゆる側面から、当該リスクの回避に向けた取り組みを最重要課題と位置づけております。
その主要な内容は次のとおりであります。
・新卒薬剤師及び中途採用薬剤師を対象とした入社時研修制度
・勤務薬剤師のスキルアップを目的とした継続的な研修制度
・管理者育成のため、全薬局長が出席する薬局長会議の実施
・調剤機器メーカーとの共同開発による調剤過誤防止システムの配備、調剤業務のオートメーション化等IT技術を応用した調剤機器の開発及び導入
・調剤業務に関する自社マニュアルの利用及び内部監査室によるルール遵守体制
・調剤過誤防止対策を専門に扱う安全対策室の設置
②個人情報保護について
ファーマシー事業では、薬歴、処方箋に代表される患者情報を保持し、リテール事業においては、アインズ&トルペ公式アプリの運用に伴う顧客情報を保持しております。
当社グループは個人情報保護体制並びに取扱いに対するルールを徹底することにより万全を期し、主要事業会社である株式会社アインファーマシーズは「保健医療福祉分野のプライバシーマーク」を取得しております。
しかしながら、事故ならびに犯罪行為による個人情報の漏洩があった場合、経営成績のみならず社会的信用を失墜させる可能性があると考えております。
(6)事業戦略上のリスクについて
当社グループは、保険調剤薬局の積極的な新規出店及びM&Aにより、事業規模の拡大を推進しております。
M&A戦略においては、対象会社を慎重に検討し、発生するのれんの償却額を超過する収益力を安定的に確保することが可能な買収額により行うことを基本方針としておりますが、買収後、計画どおりに進まない場合には、子会社株式評価損、のれんに係る減損損失等の損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)金利変動リスクについて
当社グループは、積極的な新規出店とともに、M&Aを活用した事業拡大を推進しており、通常の出店費用においては、営業キャッシュ・フローの範囲で自己資金により充当しておりますが、大型のM&Aに関しては、一部を金融機関からの借入れにより調達することがあります。
当社グループでは、これらの資金需要に機動的に対応するため、一定水準の手元流動性を確保しており、当連結会計年度末における現金及び預金の残高467億9千6百万円に対し、当社グループの短期及び長期借入金の残高は86億9千1百万円となっております。
M&Aの実施にあたっては投資回収可能性を重視し、効率的投資により有利子負債の圧縮に努めておりますが、M&Aに対する投資回収が十分に確保できない場合及び金融市場の動向等に伴う金利変動により、当社グループの財務状況及び支払利息等経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)消費税等の影響について
ファーマシー事業の社会保険診療に関する調剤売上は、消費税法上非課税となりますが、一方で、医薬品等の仕入には消費税が課税されております。
この結果、当社グループが負担することとなる消費税は、調剤売上原価に計上しております。
過去の消費税の導入時及び調剤報酬改定時には、消費税率の上昇分が薬価の改定において考慮されておりましたが、今後、消費税率が改定され、その影響が薬価に反映されない場合は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)感染症の拡大に伴うリスクについて
国内外で重大な感染症が拡大した場合、感染の拡大防止策の徹底を最優先事項としたうえで、当社グループがはたすべき調剤業務の継続等の社会的責任をまっとうすべく、事業継続計画書(BCP:Business Continuity Plan)に沿って感染拡大防止策も含めて対応してまいります。
感染拡大防止のための外出自粛が求められるような感染症が拡大した場合、ファーマシー事業においては、外来受診抑制等による処方日数の長期化を要因として、処方箋単価は増加する一方で、処方箋枚数は減少することが考えられ、リテール事業においては、外出自粛、店舗の臨時休業及び営業時間短縮の実施、インバウンド需要の減少等による来店客数減少の影響が考えられ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)自然災害等に伴うリスクについて
当社グループは、保険調剤薬局店舗を主軸とした多店舗展開を行っており、全国各地の営業拠点及び営業店舗で事業を展開しております。各地域において、大規模な地震や風水害、気候変動を起因とする台風・豪雨等の自然災害等が発生した場合、社員や店舗・事業所への被害等により、当社グループの財務状況及び業績が影響を受ける可能性があります。
いかなる状況下においても、社員の生命及び健康を守り、医薬品及び医療サービスの提供を遂行することが、社会のインフラのひとつとして、期待・要請されている役割であると認識し、BCPの強化・継続改善をはじめ、全社員・またその家族の安否報告訓練や避難訓練、物流強化、気候変動課題への取り組み、TCFD提言に基づく情報開示を推進しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末より192億8千8百万円増の2,317億5千万円となりました。主な要因は、のれん及び商品等がM&Aを含む新規出店により増加したことによるものであります。
負債の残高は、117億5千3百万円増の1,052億4百万円となりました。
短期及び長期借入金の残高は、2億3千3百万円増となる86億9千1百万円となりました。
純資産の残高は、75億3千5百万円増の1,265億4千6百万円となり、自己資本比率は1.4ポイント減となる54.6%となりました。
(2)経営成績の状況
当連結会計年度(2022年5月1日~2023年4月30日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いたものの、行動制限の緩和等により、緩やかな持ち直しの傾向がみられます。一方で、物価上昇や金融資本市場の変動等により未だ不透明な状況が続いております。
このような経済情勢の中、新型コロナウイルス感染症への感染防止対策を徹底し、医療・小売サービスの提供に努めてまいりました。事業による様々な社会課題の解決への貢献を通じて、ステークホルダーの皆様に「この街にアインがあって良かった」と感じていただける企業にしていきたいと考えております。
当社はマテリアリティ(重要課題)として、「地域医療への貢献」、「美しさと健やかさの提供」、「安全・安心と信頼」、「環境保護・負荷低減」、「健全な経営基盤」、「地域社会・取引先との連携」の6つを特定し、各取り組みにおけるKPI及び2025年度目標を公表しております。
2022年7月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の最終報告書(TCFD提言)が推奨する4つの開示項目について整理・設定し、コーポレートサイトにおいて開示、同年9月には、ステークホルダーの皆様とのコミュニケーション強化を目的とし、マテリアリティに対する具体的な取り組みや人材戦略、DX戦略等、中長期的な価値向上のための取り組みを掲載した統合報告書を新たに作成いたしました。また、同年11月には、「地域社会・取引先との連携」の実現に向け「CSR調達方針・ガイドライン」を制定、さらに国連グローバル・コンパクトへの署名及びグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンへ加入いたしました。
本年3月には、日本健康会議による「健康経営優良法人認定制度」において、特に優良な健康経営を実践している企業を顕彰する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に、昨年に引き続き認定されました。人的資本経営の観点から、また、「経営基盤の強化」においても、社員の健康増進を強化することを掲げており、一人ひとりのパフォーマンス発揮による生産性の向上や離職率の低下等を図ってまいります。
今後も様々な取り組みを通じ、持続的な成長と、社会・環境・経済価値を創出し、サステナビリティ経営の実現に向けて取り組んでまいります。
当連結会計年度の業績は、次のとおりであります。
|
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減額 (百万円) |
増減率 (%) |
|
売上高 |
316,247 |
358,742 |
42,494 |
13.4 |
|
営業利益 |
15,139 |
16,004 |
864 |
5.7 |
|
経常利益 |
16,041 |
17,064 |
1,022 |
6.4 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
7,092 |
9,234 |
2,142 |
30.2 |
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
|
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減額 (百万円) |
増減率 (%) |
|
|
ファーマシー 事業 |
売上高 |
283,111 |
321,577 |
38,465 |
13.6 |
|
セグメント利益 |
25,082 |
24,135 |
△946 |
△3.8 |
|
|
リテール事業 |
売上高 |
20,558 |
25,685 |
5,127 |
24.9 |
|
セグメント利益 |
△1,764 |
1,214 |
2,978 |
- |
|
|
その他事業 |
売上高 |
12,677 |
11,540 |
△1,136 |
△9.0 |
|
セグメント利益 |
△146 |
135 |
282 |
- |
|
(注)セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高を含んでおります。
(ファーマシー事業)
当社グループでは、医療機関等との連携、お薬手帳等を活用した服薬情報の一元的・継続的な把握、在宅医療対応等により、患者様が住み慣れた地域で安心して医療を受けることができるよう、「かかりつけ薬剤師・薬局」の機能発揮に取り組んでおります。
本年1月の厚生労働省による電子処方箋管理サービス運用の開始に先立ち、当社グループでは、運用プロセスの確立や先進的取り組み、優良事例の収集、ガイドラインの策定等を目的とし、2022年10月末に開始された厚生労働省による「電子処方箋のモデル事業」に参画いたしました。現在は、当社グループの全国の薬局において電子処方箋に対応するため、順次環境の整備を進めております。今後も、環境変化に対応し、患者様がいつでも安心して薬物治療を継続していただけるよう取り組んでまいります。
営業開発においては、2022年5月に株式会社ファーマシィホールディングスの約100店舗をグループに迎える等、新規出店及び前期出店の伸長が当連結会計年度の業績に寄与いたしました。引き続き、大型薬局の積極的な出店と投資回収を重視したM&Aを出店戦略とし、さらなる事業規模の拡大を行うとともに、店舗運営の効率化を推進してまいります。
同期間の出店状況は、M&Aを含め、グループ全体で合計141店舗を出店し、24店舗の閉店、7店舗の事業譲渡により、当社グループにおける薬局総数は1,209店舗となりました。
(リテール事業)
コスメ&ドラッグストア事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が続いているものの、オリジナルブランドの見直し及びコスト適正化を推進しており、当連結会計年度においては、行動制限の緩和等により客数が堅調に推移したことならびにコスト適正化が奏功し、黒字となりました。
同期間の出店状況は、8店舗を出店し、8店舗を閉店したことで、コスメ&ドラッグストア総数は78店舗となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ132億5千2百万円減の462億1千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、202億6千7百万円(前年同期は261億5千6百万円の収入)となりました。
主な収入要因として、税金等調整前当期純利益が158億8千2百万円、新規出店及びM&Aによる規模拡大に伴い、減価償却費55億2千9百万円、のれん償却額43億1千万円が反映されております。
また、法人税等の支払額78億9千7百万円及び棚卸資産の増減額49億4千8百万が主要な支出要因として反映されております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、222億9千2百万円(前年同期は139億4千3百万円の支出)となりました。
M&A9社の株式取得に係る、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が146億1千4百万円、コスメ&ドラッグストア及び調剤薬局の新規出店等に伴い、有形固定資産の取得による支出95億4千9百万円が反映されております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、112億3千7百万円(前年同期は77億5千3百万円の支出)となりました。
短期及び長期の借入と返済の差額が90億3千8百万円の支出及び配当金の支払額19億3千2百万円が反映されております。
(4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業の維持拡大のため、新規出店及び改装等の設備投資を継続して行っており、主に営業活動で得た資金を充当するとともに、金融機関からの借入金を充当しております。
当連結会計年度末における現金及び預金の残高は467億9千6百万円、短期及び長期借入金の残高は86億9千1百万円となっております。
なお、当社は株式会社日本格付研究所より格付けを取得しており、「長期発行体格付:A(見通し:安定的)」となっております。
(5)生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社)の当連結会計年度の販売の実績は以下のとおりであります。
|
セグメント別 |
売上高(百万円) |
対前期増減率(%) |
|
ファーマシー事業 |
321,577 |
13.6 |
|
リテール事業 |
25,685 |
24.9 |
|
その他の事業 |
11,540 |
△9.0 |
|
計 |
358,803 |
13.4 |
|
調整額(セグメント間消去) |
△61 |
- |
|
合計 |
358,742 |
13.4 |
(注)セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高を含んでおります。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況」に記載されているとおりであります。
この連結財務諸表の作成においては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。