第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営理念

当社グループは、以下の経営理念のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現し、社会的使命と責任を果たし、「信頼される企業」であることを目指します。

<経営理念>

ITを通じて、三方笑顔(お客様の笑顔/社員の笑顔/世間の笑顔)を創造し、人類・社会の進歩発展に貢献します。

1.自己の良心をもって、信頼と安心を築き、三方笑顔を創造します。

2.早さを追求し、スピードあふれる行動をもって、三方笑顔を創造します。

3.新しいIT技術、斬新なサービスをもって、三方笑顔を創造します。

<アスタリスク人の宣言>

1.プロとしての熱意

2.徹底の徹底

3.土俵の真ん中で相撲をとる

4.時間軸を第一に

5.目的、ねらい、コンセプトの明確化

6.夢のある提案をし続け、固定客化

7.何事も「数値」をもって行動

8.常に明るく前向きで、楽しむことを工夫する

 

(2) 経営環境及び経営方針

インターネットによるビジネス革命、スマートデバイスの普及によるモバイル情報革命など、IT技術の変革、IoT(Internet of Thingsの略。モノに通信機能を搭載してインターネットに接続し、情報伝達をする仕組み)による業務改革が世界的に広がりを見せているなかで、当社はモバイルによるソリューションを徹底的に追求し、ハードウエアと、長年培ったソフトウエア技術の融合による新たなサービスを創造してまいります。
 その中でも、当社グループの主力製品はAsReaderシリーズになります。AsReaderシリーズは、iPhoneやAndroidといったスマートフォンに取り付ける、当社開発のバーコードやRFID読取装置・赤外線通信装置であります。
 当社グループは、伊藤忠紙パルプ株式会社との資本業務提携による営業体制の強化や、企業向けのスマートフォン販売促進を行っている国内携帯通信キャリア、スマートフォンメーカーとの協業を進め、当社グループの主力製品であるAsReaderシリーズの売上高拡大を目指し、さらなる成長を目指します。

 

  (3) 経営戦略

  当社グループは、次の経営戦略を軸としております。

  ① 既存主力事業の拡大

 当社グループの既存主力事業であるAsReader事業は、次に掲げるような経営環境の中、事業の拡大を見込んでおります。

   イ あらゆる業界でのニーズ

 AsReaderシリーズは、製造業界、物流業界、小売業界、自動販売機業界、医療業界、アパレル業界など、幅広い業界で導入いただいており、各業界への営業活動を行うことで今後も引き続き、幅広い業界での導入を見込んでおります。

   ロ 各種専用業務用端末から汎用性の高いスマートフォンへの転換

 専用コンピューターがパソコンに置き換わったように、ハンディターミナルのような既存の各種専用業務用端末(ハンディーターミナル、デジタルカメラ、トランシーバー、PDAなどの各種リーダー)が汎用性の高いスマートフォンに置き換わり、スマートフォン1台で様々な業務を行うことが可能となり、「スマートフォンで業務を行う」ことが主流になることで、スマートフォンに取り付けて使用する当社グループの製品の導入機会が増加すると見込んでおります。

 

    ハ スマートフォン法人利用台数の増加

 次のような理由から、法人利用の携帯通信端末がフィーチャーフォンからスマートフォンへ切り替わっていき、スマートフォン法人利用台数が増加することを見込んでおります。当該増加により、スマートフォンに取り付けて使用するAsReaderシリーズの導入機会が増加すると見込んでおります。

①国内携帯通信キャリアの動向

 当社は国内携帯通信キャリアと協業した営業を行っております。その中で、当社製品のような業務効率化ソリューションの提案とともに、法人へのスマートフォン販売に力を入れている傾向にあり、今後も国内携帯通信キャリアによる法人販売強化は続くものと見込んでおります。

②通信料金の低下傾向

  大手国内携帯通信キャリアのサブブランドなどの登場により、スマートフォンの通信料金を抑えることが可能な環境になりました。

ニ 経済産業省による宣言

 経済産業省が、2017年4月にコンビニ各社と「コンビニ電子タグ1,000億枚宣言」を発表し、2018年3月に一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会と「ドラッグストアスマート化宣言」を発表しており、RFID等を活用したサプライチェーンの効率化を推進する動きがあります。
 またRFタグの単価が高価であることがRFIDソリューションの導入時の障壁となっておりましたが、RFタグの普及に伴い単価が低下してきており、当社グループのRFID関連商品の販売を行いやすくなることを見込んでおります。

 

  ② 新製品の拡販

 当社グループが新たに開発・販売した、次の新製品の拡販を行ってまいります。

   イ セミセルフレジ

 「人検出・動体追跡」技術により、購買客が有人レジでの購買品登録後、複数設置された自動精算機のどれを選択しても、正しく精算することが可能になります。当該製品を導入することで、レジ係員の現金等の受け渡しといった負担が軽減され、動体追跡と精算データを紐付けることで、精算自動化の懸念点である不正精算(不払い)の抑止も可能にするソリューションです。

 2023年6月15日に設立した完全子会社「株式会社自動レジ研究所」において、実際に店舗運営をしながらセミセルフレジシステムを開発できる環境を構築し、製品品質向上と拡販を行ってまいります。

 

   ロ 顔認証システム「AsReaderOne」

 予め登録した「顔」を用いた認証システムになります。このシステムを用いることで、「顔」を使用して玄関の扉を開いたり、ポイントカード情報の確認や更新ができたり、クレジットカード等の各種決済ができるようになるため、キーレス・カードレスといったスマートIоTの推進を目指します。

 

  ③ 営業力の強化

 当社グループは次の施策により、営業力の強化を見込んでおります。

   イ 伊藤忠紙パルプ株式会社との資本業務提携

 伊藤忠紙パルプ株式会社と資本業務提携を通じ、両社の持つ固有のノウハウを共有し、リソースを融合することで、顧客企業へのより広範なビジネスソリューションの創出・提供を行い、相互の事業発展とビジネスにおいてのIoT、自動認識の新しい価値づくりを進めております。

   ロ 国内携帯通信キャリアやスマートフォンメーカーとの協業

 企業向けのスマートフォン販売促進を行っている国内携帯通信キャリアやスマートフォンメーカーとの協業を進め、当社グループの主力製品であるAsReaderシリーズの販売拡大を進めております。

 

  ④ 海外展開

 海外におけるバーコードリーダー、RFIDリーダーの市場は国内よりも大きく、AsReaderシリーズの販売機会があると見込み、海外でのAsReaderシリーズ販売を目的とした連結子会社を米国(2015年1月)に設立し、現地法人による販売活動を行っております。

 米国については、病院、警察署、消防署、国際宇宙ステーション、牧場など、多くの場所でAsReaderシリーズの導入を行っております。米国では大型案件を獲得した後に他の業界でも話題となり、他の業界での案件獲得が進みやすくなる傾向にあります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

  当社グループでは受注高を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。

 当社グループ製品に対する将来需要を表す尺度であり、将来業績の先行指標として機能し、今後の経営成績と強い関連性があります。将来業績にとって重要な指標であり、事業活動におきましても常に受注高を意識して行動し、当社グループの業績評価の指標としております。

 受注高=受注件数×受注単価であることを常に念頭に置き、「受注件数」をいかに増やし、「受注単価」をいかに上げるかを、営業活動の行動規範としております。また、これら構成要素を分析して、現状認識、課題確認、戦略立案に活用しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 製造に関する課題

当社の主力製品であるAsReaderシリーズは、すべて海外の生産委託協力会社にEMS生産により製造委託をしております。このため、急な生産変更が困難であり、適宜適切な需要把握に基づく計画的な生産が必要になっております。また、世界経済情勢の変化に伴う為替変動のリスクが常に介在し、原価構造が悪化する可能性があります。

 

② 営業手法の転換

ハードとソフトを融合した事業展開を目指すことが、当社にとって総合力を発揮し、他社との優位性を活かす大きな武器と考えており、この融合による業務改革のソリューション提案、具体的には課題に即したシステムの構築や統合、ニーズに対応するアプリやハードの提供につなげることが事業基盤の強化につながります。統合したソリューションとして提案する課題解決ベンダーとして、既存のシステム開発会社やシステムコンサルタント、或いは自動認識機器メーカーといった従来のビジネス領域に対して、当社は全てを提供できるワンストップ課題解決ベンダーとしての展開を行っております。
 また当社はB to Bの領域で、高い専門性を活かして業務上の課題解決策を提供するため、エンドユーザーへの直接営業を主にしておりましたが、全国展開、グローバル展開を遂行する上での課題であった、営業網の脆弱さを強化する目的で、伊藤忠紙パルプ株式会社との資本業務提携や、名古屋営業所の開設、その他代理店網を構築し、広範囲な営業網を通じて、独自の自動認識ソリューションを全国の企業へとアプローチしてまいります。
 

③ グローバル市場の開拓と海外管理体制の強化

 当社の主力製品であるAsReaderシリーズの市場は、米国、欧州を中心に海外に大きく広がっていくと予想しております。事業拡大のためにはこの市場の攻略が不可欠であります。米国については、米国子会社でありますAsReader,Inc.が販売拠点となり、病院などの医療機関向けやイベント会社向け、米国海軍向け、警察署向け、牧場での家畜管理向け、飲料メーカー向けなどに販路を形成しております。欧州については、オランダにあります子会社AsReaderEurope B.V.が代理店開拓を行い販売網の構築を目指す他、当社からの人員派遣等も含めた総合的な対応を検討しております。アジア地域は、中国の大連市にある子会社の大連明日星科技有限公司を安定した販売拠点として確立する予定であり、引き続き、中国、台湾を中心にさらなる市場開拓を進めてまいります。
 今後、海外での安定した販売網を構築し、業務用自動認識機器需要のボリュームゾーンを狙うにあたり、エリア・マーケティングも必要になってまいります。そのポイントとしては①ターゲット市場の明確化②最適販路の設定③現地適合商品の開発が重要になります。特に、現地適合商品の開発は、欧米の巨大市場を攻略する際には重要であり、そのための開発体制の強化が必要不可欠であります。国ごとの品質基準の違いに対応した品質保証の体制構築や、それぞれの国の市場特性に合った、現地商品に対抗できる商品開発のための社内体制構築が課題であると考えております。課題の解決に向けて、海外における主要展示会に参加し、多方面のユーザーからの様々な要求や商品への要望及び機能的な訴求点を確認し、開発の指針としております。また、グローバル管理体制の構築が重要課題であり、現在、基幹システムや会計システム等の海外との連携による管理強化に取り組んでおります。

 

④ 新技術(自動認識技術)の深耕と新商品の上市

当社は常に顧客であるエンドユーザーのニーズを調査し、ニーズを満たす製品販売に向けた技術開発、商品開発を推進しており、その展開を拡大することにより収益を確保し、持続的な成長につなげてまいります。自動認識技術の深耕が将来のコアコンピタンス(企業の中核となる強み)になると考え、特許などの取得にも注力し、当該技術を用いた新商品の販売により、社会に新しい価値を提供してまいります。また、画像認識技術としては、人物認識やシンボル分析(バーコードやQRコード、その他記号の分析)などを中心に研究し、ロジカルなアルゴリズムに加え、AI(人工知能)での機械学習やディープラーニング(深層学習。人間が自然に行うタスクをコンピューターに学習させる機械学習の手法のひとつ)などの活用により、画像認識の精度を上げてきました。バーコードやRFIDで蓄積してきた画像認識技術とセンサー技術を融合することにより、自動認識を用いたDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル技術による変容)が可能となります。新しい試みとしては、療養型病棟を想定した画像認識による人追跡(人検出・動体追跡)技術で入院患者の動線を捕捉し、徘徊を防止するシステムの構築など、セキュリティ面での当社技術の活用が期待されております。
 具体的な商品としては、顔認証技術を用いた製品「AsReader GoMA」につきましては、2023年8月期に当社事務所において稼働を開始しており、2024年8月期に拡販してまいります。またセミセルフレジの実証実験を行うための店舗運営を行うことを目的として設立した子会社「株式会社自動レジ研究所」において、2024年8月期にセミセルフレジの実証実験を行うと共に、当該システムの販売開始を目標に、開発を進めてまいります。

 

⑤ RFID市場での知名度の向上

当社がRFIDリーダー/ライターを発表した2014年7月から約9年が経過しましたが、市場における当社知名度はまだ高いとはいえない状況にあります。今後、既存製品について他社製品との差別化をさらに進め、またRFIDリーダーの使用により製商品の個品管理を可能にするアプリケーションAs Force(アズフォース)等をソリューション・ツールとして市場に投入、各種展示会出展やAsReader Conference(当社単独で開催しており、AsReaderの導入先活用事例や自動認識技術についての説明、最新のRFタグ情報の提供など、AsReader新製品情報や海外事例の説明等を行う発表会)の開催などを通じて、当社の強みのアピール、RFID市場における知名度の向上を図ってまいります。

 

⑥ 地域密着型営業活動の推進

当社は、地域に密着した個別営業による素早い顧客サービスが重要であると考えており、それらを徹底することとしています。その一環として、2020年11月に名古屋営業所を開設しておりますが、今後も、顧客満足度の向上と事業発展のため、順次、営業所を開設し、全国のお客様に満足していただける体制の構築を図ってまいります。

 

⑦ ストックビジネスの拡大

当社では、これまで都度提供されていたメンテナンスに関する年間保守契約について見直しを行い、顧客の細かなニーズに応えるべくAsReader Care Selectとしてサービスを開始し、新規契約を推進する他、既存システムにも連携して在庫管理やPOSレジを可能にするアプリケーションAsReader Apps(アズリーダーアップス)の拡大、及び顔認証技術であるAsReader One(アズリーダーワン)を用いたスマートロックアプリケーションAsReader GoMA(アズリーダーゴマッ)の月額課金によるサービスの開始など、ストックビジネスの構築、推進を図ってまいります。

 

 

⑧ 特許戦略の構築

 当社では、特許や技術ノウハウなどの知的財産は、重要な経営資源であるという認識のもと、知的財産戦略を定め、新規市場と新規顧客開拓のための知的財産マネジメントの充実を推進してまいります。
 権利化については、営業・開発・生産・管理が一体となった知的財産戦略活動により、知的財産権の出願、権利化などを推進し、知的財産権の積極的活用により、市場における優位性の確保を図ってまいります。また、第三者特許の侵害を防ぐための施策を定め、リスク回避に向けた取り組み、体制を構築しております。さらに、知的財産活動のレベル向上のため、顧問弁理士による特許勉強会なども実施しております。
 
(特許係争に関する注意事項)
 株式会社ファーストリテイリング(株式会社ユニクロと株式会社ジーユーを含む。)と係争中の特許(特許第
6469758号等)につきましては、一連の特許全てを株式会社NIPに譲渡しております。このため損害賠償やライセンスなどの判断についても、特許権者である株式会社NIPの交渉事項となります。
(当該係争の当社グループに与える影響)
 当該裁判の判決結果及び損害賠償やライセンス料における交渉等の進展があった場合でも、株式会社NIPと当社の特許譲渡契約において、当社に責任が及ぶものや当社が受領する対価はなく、今後の当社グループの経営成績への影響はございません。
 なお、当該特許は譲渡しましたが、当社は本件特許の実施許諾を株式会社NIPより受けており、商品やサービスの提供を継続することが可能ですが、株式会社NIPに対して特許使用料の支払いが必要となります。

 

⑨ 人材の確保

当社は少人数で効率的な組織運営を行ってまいりましたが、今後の事業規模の拡大を考えた場合、優秀な人材の確保を経営の重要課題としております。人材採用においては、当社の経営理念への共感、意欲、業務推進能力を兼ね備えた即戦力の中途採用や新卒者の定期採用を行ってまいります。

 

⑩ 内部管理体制の強化

当社は、現状、小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。今後、企業価値の継続的な増大を図るにあたっては、業務執行体制の充実を図り、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するような仕組みを強化・維持していくことが不可欠であると認識しております。そのため、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底してまいります。

 

⑪ リスクマネジメントへの取り組み

近年、想定しない規模で自然災害や感染症等が発生しており、かかる環境下において事業継続計画(BCP)の重要性が増しております。大規模な自然災害が発生した場合でも、被害を最小限にとどめ、復旧までの時間を最小限におさえて業務を継続できるよう、業務インフラ、緊急時連絡体制、本社屋をはじめとする各設備の見直しを行ってまいります。また、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックの発生に際しては社会全体での取り組みが必要となりますが、当社としても、感染症の発生初期→感染拡大期→蔓延期→回復期を想定し、役員、従業員に向けて適切な対策を検討・実施してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

 

(1)ガバナンス

当社では、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めておらず、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続等の体制をその他のコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。

なお、当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針につきましては、次のとおりであります。

当社は、若手人員を主な対象として採用活動を行ってきましたが、多様な価値観を受け入れ、新たな価値を生み出す風土を醸成するため、他業種からの中途採用も含めた幅広い人材を対象とした採用活動に取り組んでまいります。

 

(3)リスク管理

当社では、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めていないことから、サステナビリティ関連のリスク管理における詳述な記載はいたしません。

なお、当社が認識する事業等のリスクに関する詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

当社グループの人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標は定めておりません。今後更なる人材育成及び社内環境の整備に努めてまいります。

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。なお、以下のうち、将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済環境、社会的及び政治的動向に関するリスクについて

 当社グループの主要な市場である国及び地域の経済環境、社会的及び政治的動向により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。日本、米国及び当社グループが事業活動を行うその他の主要な市場において、景気後退による個人消費や民間設備投資の減少によって、当社グループが提供する製品・サービスの需要が減少する可能性があります。今のところ、当該リスクが短期的に顕在化する可能性は低いと予想しております。対策として、優位な品質とコストを実現するための革新的な新技術の確立を目指しており、特許出願も進めていますが、これらが計画どおり進まない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 海外生産について
 当社グループの主力製品のAsReaderシリーズのハードウエアについては、海外企業に製造委託するEMS生産となっております。このうち、Apple社製品用のリーダー機器はApple社のMFi認証の認定工場を保有する韓国のSPS Inc.のみ生産が可能です。当社グループの当連結会計年度の売上高1,759,851千円の中で、当該企業の生産に依存している売上高は約56.3%であります。MFi認証はケーブルやイヤフォン、ホームオートメーション(家電制御)など様々な製品のジャンルが存在しますが、AsReaderのようなLightningコネクタ(Apple社の携帯機器などで用いられる、通信・充電のためのケーブル及び端子の規格)で接続できるリーダー機器を製造できるのは、MFi認証の認定工場のみになります。また、当該生産拠点においては、予期しない法律や規制の変更、経済的変動及び政治的混乱等のリスク、地震など大きな災害発生のリスク、委託企業の経営悪化による生産への影響リスクが存在いたします。今後においても、製造委託による安定的な生産は可能と考えており、短期的に当該リスクが顕在化する可能性は低いと予測しております。対策として、当該企業との良好な関係の構築、維持に努めること、生産拠点の分散、生産技術の蓄積、自社生産のノウハウ獲得などの対策を講じておりますが、リスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 品質に関するリスクについて
 当社グループは、世界が様々なITソリューションを模索する中で、従来にない仕様、機能を搭載した製品を開発、展開することを目指しており、新製品も断続的に販売していくこととしています。このような状況下で、従来の知見にない品質上の課題が発現し、当該トラブル解決のための費用発生や品質に起因する販売の遅れが生じた場合、従業員の人為的ミス又は不測の事態の発生等による保守・製品保証に関する費用の発生などが生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが短期的に顕在化する可能性は低いと予想しております。

 

(4) 為替リスクについて
 当社グループの主力製品のAsReaderシリーズは、海外企業に製造を委託するEMS生産によっております。また海外市場での販売が増加することを見込んでおり、この外貨獲得が海外調達の為替変動リスクと相殺されることも想定しているため、事業構造の変化によるリスクの変動も考慮の上、リスクヘッジを検討してまいります。現状アメリカドルによる決済を行っておりますが、為替の変動による調達コストの変動が、同製品の競争力に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、海外における子会社の売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目を、連結財務諸表の作成のために円換算しております。これらの項目の現地通貨における価値が変わらなかったとしても、急激な為替変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 研究開発投資について
 当社グループは先端技術の研究開発を行うための投資を行っており、今後も積極的な研究開発投資を実行していく予定ですが、当該研究開発活動が計画どおりに進む保証はなく、十分な成果が適時に上がる保証もありません。
 また、当社グループが選定した研究開発テーマに基づき開発した新規技術やそれを応用した製品が普及しない場合や、技術革新によって当社の研究開発技術が陳腐化した場合、事業環境の変化等によりさらなる研究開発費の負担が生じた場合などには、先行投資した研究開発費の回収が困難になるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現在、積極的な販促活動、マーケティング活動により市場の動向やニーズは的確に把握できていると考えており、短期的に当該リスクが顕在化する可能性は低く、長期的なリスクと認識しております。

 

(6) 知的財産権について
 当社グループは知的財産権(特許権等)の保護について、社内の管理体制を強化し、細心の注意を払っておりますが、将来当社グループが認識していない第三者の所有する知的財産権を侵害した場合、又は当社グループが知的財産権を有する技術に対し第三者から当該権利を侵害された場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現在、徹底した関連特許の調査を実施していますが、すべての特許を網羅的に把握することは困難であり、当該リスクは常に存在すると認識しています。当社グループとしては、徹底的な調査とともに、積極的に特許取得を進め、複数の企業で所有する特許権等を相互に許諾し合うクロスライセンスによるリスク回避なども念頭に入れた特許戦略を構築してまいります。

 

(7) 代表者への依存について
 当社代表取締役執行役員社長である鈴木規之は、当社グループの創業者であるため、創業以来の最高経営責任者であり、当社グループの事業運営における事業戦略の策定や業界における人脈の活用等に関して、重要な役割を果たしております。当社グループは、当人への過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化、経営幹部職員の育成、採用を図っておりますが、現時点において当人に対する依存度は高い状況にあると考えております。今後において、何らかの理由により当人の当社グループにおける業務遂行の継続が困難となった場合、当社グループの事業運営等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 製造物責任について
 当社グループは、ハードウエアのメーカーとして、製造物責任を負っております。予期しない理由で発生した事故等により、当社グループの社会的信用の低下や多額の賠償義務が生じる場合があります。具体的には、安全設計や安全構造及び表示による残留リスクの低減などの基本対応のほか、通常有すべき安全性の確保について万全の対策、生産委託先の保証体制の充実、米国についてはPL保険への加入を通じて、当該リスクの低減策を講じておりますが、当該リスクの発生によって、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 装着するスマートデバイス仕様変更の可能性について
 当社グループの製品のうち、iPhoneなどのスマートデバイスに装着して使用することを前提とした製品について、スマートデバイス側でサイズの変更等があった場合は、必要なモデルチェンジがタイムリーにできるよう常に情報収集に努め、開発を進めておりますが、対応コストの負担や対応期間中の販売ロスにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ただし、当社グループの製品は、このような仕様変更にも対応可能な商品特性を有していることから、当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。

 

(10) 業績の変動について
 環境の変化等により予定した大型案件の獲得が実現しなかった場合や、納入先の運用テスト遅延などの理由により製品納入のタイミングが決算期末を越えて遅延した場合の他、大型案件の納入が特定の期や四半期に集中した場合には、当社グループの通期や四半期の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 欠品による販売機会損失、滞留在庫の評価損について
 当社グループが販売する製品の大部分は自社企画製品であり、需要予測のもと製造発注を行いますが、実際の受注は市場ニーズの変化等の様々な要因に左右されます。そのため、追加製造が受注量に対応できず販売機会の損失が発生する可能性があります。また、受注量が需要予測に達しない場合は、当社グループに過剰在庫が発生し、キャッシュ・フローへの影響や棚卸資産評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 固定資産の減損について
 当社グループが保有する固定資産に減損の兆候が発生した場合は、将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失を計上する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 投資有価証券に関わるリスク

 当社グループは、投資有価証券について、発行会社の財務状況や今後の見通しなどに鑑み、時価が著しく下落し、その回復が見込めない場合には、減損処理により評価損を計上する可能性があります。このような状況になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

(14) 繰越欠損金の課税所得繰入れについて
 当社グループは、第17期連結会計年度末時点において税務上の繰越欠損金87,895千円があるため、課税所得が減殺され、納税負担額が軽減されております。今後、業績の推移又は税制の改正内容によっては、税務上の繰越欠損金の全額を使用し、納税負担額を軽減できる可能性や繰越欠損金の繰越期間(第17期連結会計年度末時点における繰越期間は5年超)の満了により欠損金が消滅し、納税負担額を軽減できない可能性があります。繰越欠損金が解消された場合、通常の税率に基づく法人税等が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 法的規制等について
 当社グループの主力製品であるAsReaderシリーズの一部について、当該製品を使用するために各国の電波法の認証を受ける必要がある製品があります。当該認証手続きを行わず製品を使用した場合、販売先が法令違反になる可能性があります。対策としては各生産工場、認証代行会社との定期的な情報交換や、JAISA(一般社団法人日本自動認識システム協会)やRAIN RFIDアライアンスなどの業界団体の情報を適時確認して、販売先が法令違反になることがないよう指導しておりますが、認証条件の変更を当社グループが把握できておらず、販売先が法令違反となってしまった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 人材育成・確保について
 当社グループが成長を続けていくために不可欠な要素の一つが、優秀な人材の確保であります。当社グループは今後の事業規模拡大を見据えて、人材の採用及び人材育成を重要な経営課題の一つと位置付けており、統括的なプロジェクトマネジメント能力を有する人材を重点的に確保しつつ、将来当社グループを担う人材の育成に注力しております。
 しかしながら、人材育成が円滑に進まない場合、又は各部門において中心的役割を担う特定の従業員が万一社外に流出した場合には、当社グループの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 大株主について
 当社創業者かつ代表取締役執行役員社長である鈴木規之の本書提出日の前月末(2023年10月31日)現在での議決権所有割合は、直接所有分として2.3%であります。また、鈴木規之の資産管理会社であるトリプルウィン株式会社の議決権を合算した所有割合は45.0%となっております。鈴木規之及び当該資産管理会社は引続き当社の株式を保有する見通しでありますが、議決権の行使に当たっては、株主共同利益を追求するとともに少数株主の利益にも配慮する方針であります。しかしながら、何らかの事情によって、鈴木規之又は当該資産管理会社が当社株式をやむを得ず売却することとなった場合、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 配当政策について
 当社は、現在成長過程にあり、内部留保の充実を図ることが必要な段階にあることから、現在は内部留保の確保が重要であると考え、会社設立以来配当を行っておりません。株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しておりますが、現在は内部留保の充実に注力することを基本的な方針としております。また、内部留保資金の使途につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応できる経営体制強化及び事業拡大のための投資等に充当していく予定であります。今後の株主への配当につきましては、業績や配当性向、将来的な成長戦略などを総合的に勘案し、配当政策を決定する方針でありますが、本書提出日の前月末(2023年10月31日)現在、配当実施の可能性及びその実施時期については未定であります。

 

(19) ストックオプションの行使による株式価値の希薄化について
 当社グループは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、ストックオプション制度を採用しています。本書提出日の前月末(2023年10月31日)現在付与しているストックオプションに加え、今後付与されるストックオプションについて行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。本書提出日の前月末(2023年10月31日)現在、これらのストックオプションによる潜在株式は227,400株であり、本書提出日の前月末(2023年10月31日)現在の発行済株式総数7,109,400株の3.2%に相当しています。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行され、収束に向かい社会経済活動の正常化が進んでおります。一方で、資源価格の高騰や円安による物価上昇が続いており、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。当社グループにおきましても、円安の影響による仕入原価の上昇など厳しい事業環境が続いております。

こうした経済環境のもと、当社グループは「モノ認識」と「モバイル」を軸とした事業展開を行っております。バーコードリーダー、RFIDリーダー/ライター、赤外線通信リーダーなどの「AsReader」の販売と、当該製品を活用するためのアプリケーションやシステムの提供により、お客様のDXを推進、省力化・効率化を進めてまいりました。また、次期主力製品のための画像認識技術の研究・開発を進めております。顔認証技術を用いた製品「AsReader GoMA」につきましては、2023年8月期に当社事務所において稼働を開始しており、2024年8月期に拡販してまいります。またセミセルフレジの実証実験を行うための店舗運営を行うことを目的として設立した子会社「株式会社自動レジ研究所」において、2024年8月期にセミセルフレジの実証実験を行うと共に、当該システムの販売開始を目標に、開発を進めてまいります。

さらに、中長期的な成長を維持する観点から、営業・研究開発・広報・管理面での人材強化や、大きなシナジーを生む可能性のある企業との資本業務提携、新たなDX提案に向けた研究開発の促進をはかってまいりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高1,759,851千円(前連結会計年度比26.9%減)、営業損失192,078千円(前連結会計年度は400,204千円の営業利益)、経常損失179,540千円(前連結会計年度は473,724千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失170,071千円(前連結会計年度は322,542千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(AsReader事業)

AsReader事業の連結売上高は1,344,608千円(前連結会計年度比32.5%減)、セグメント損失は33,514千円(前連結会計年度は576,753千円のセグメント利益)となりました。当社主力商品である「AsReader」の販売では、国内向けでは、製造業界、自動販売機業界、医療業界、食品業界、卸売業界への販売が堅調に推移したほか、小売業界、卸売業界への新規納入がありました。海外向けでは、飲料メーカーへの追加納入がありました。

一方で、新製品の販売が当初の計画よりずれ込んだことよる開発費用の追加発生及び、滞留在庫に対する商品評価損の計上などの影響により、セグメント損失が発生する結果となりました。

 

(システムインテグレーション事業)

システムインテグレーション事業の連結売上高は409,716千円(前連結会計年度比1.3%減)、セグメント利益は40,657千円(前連結会計年度比39.5%増)となりました。ソフトウエアの受託開発につきましては、ハードウエアとの融合による新しいビジネスモデルへの転換を図り、利益体質の構築を目指してまいりました。

物流業界向け、小売業界向けなどのシステム開発の受注があり、一部で進捗が遅れている案件もありますが、概ね堅調に推移しました。また、前連結会計年度は一部不採算案件に対して受注損失引当金を計上しておりましたが、当連結会計年度末において状況が改善したことにより、当期のセグメント利益が前年同期と比べ、大幅に改善する結果となり、セグメント利益については40,657千円を計上することができました。

 

(賃貸事業)

 2023年8月期第2四半期連結会計期間に竣工したAsTech Osaka Buildingの建設地が大阪市の定める特別用途地区(中高層階住居専用地区)に該当することから、7階~9階の3フロアを住居として賃貸することとなりました。当該賃貸開始に伴い賃貸事業セグメントを追加しております。

 2023年1月から入居者の募集を開始し、2023年8月期末において入居率100%となった結果、賃貸事業の連結売上高は5,526千円セグメント損失は1,382千円となりました。

 

 ② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、2,719,298千円となり、前連結会計年度末に比べ199,745千円増加いたしました。

主な要因は、商品及び製品の増加369,928千円、有形固定資産の増加306,312千円、資本業務提携による投資有価証券の増加101,250千円、未収還付法人税等の増加67,441千円、その他流動資産の前渡金の増加45,222千円、無形固定資産の増加19,055千円、その他流動資産の未収還付消費税の増加18,667千円、繰延税金資産の増加18,329千円、原材料及び貯蔵品の減少10,747千円、売掛金及び契約資産の減少61,134千円、現金及び預金の減少684,370千円、によるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、784,393千円となり、前連結会計年度末に比べ337,060千円増加いたしました。

主な要因は、短期借入金の増加460,000千円、契約負債の減少21,145千円、買掛金の減少33,797千円、未払法人税等の減少95,472千円によるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は1,934,904千円となり、前連結会計年度末に比べ137,315千円減少いたしました。

主な要因は、資本金の増加15,525千円及び資本剰余金の増加15,525千円、利益剰余金の減少170,071千円によるものであります。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ、684,370千円減少し、251,715千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は687,498千円(前連結会計年度は、300,046千円の獲得)となりました。

これは主に、売上債権の減少63,566千円、その他流動負債の未払金の増加28,245千円、その他流動資産の未収還付消費税の還付13,317千円が資金増加の要因、その他流動負債の契約負債の減少21,145千円、仕入債務の減少44,088千円、その他流動資産の前渡金の増加45,222千円、法人税等の支払160,898千円、税金等調整前当期純損失177,545千円、棚卸資産の増加357,834千円が資金減少の要因であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は491,043千円(前連結会計年度は、518,668千円の使用)となりました。

これは主に、貸付金の回収による収入12,095千円が資金増加の要因、無形固定資産の取得による支出23,429千円、投資有価証券の取得による支出101,250千円及び有形固定資産の取得による支出351,789千円が資金減少の要因であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は491,050千円(前連結会計年度は、780,593千円の獲得)となりました。

これは主に、株式の発行による収入31,050千円、短期借入金の純増加額460,000千円が資金増加の要因であります。

 

  ④ 生産、受注及び販売の実績
 a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

AsReader事業

システムインテグレーション事業

409,716

98.7

賃貸事業

合計

409,716

98.7

 

(注) 1.金額は販売価格によっております。

     2.AsReader事業につきましては生産を外部に委託しておりますので、該当事項はありません。

     3.賃貸事業につきましては生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

 b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

AsReader事業

1,259,798

86.8

62,416

42.4

システムインテグレーション事業

403,400

76.1

74,506

92.2

賃貸事業

5,526

合計

1,668,726

84.2

136,922

60.0

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

   2.賃貸事業は当連結会計年度よりセグメント区分に追加したため、前年同期比の記載を行っておりません。

 

 c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

AsReader事業

1,344,608

67.5

システムインテグレーション事業

409,716

98.7

賃貸事業

5,526

合計

1,759,851

73.1

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

   2.賃貸事業は当連結会計年度よりセグメント区分に追加したため、前年同期比の記載を行っておりません。

   3.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

当連結会計年度

(自 2022年9月1日

至 2023年8月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Unitech America,Inc.

586,140

24.3

163,759

9.3

ソフトバンク株式会社

245,035

10.2

264,594

15.0

株式会社NIP

245,000

10.2

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

 ① 重要な会計上の見積もり及び当該見積もりに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果が見積りと異なる場合があります。

なお、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

 (繰延税金資産の回収可能性)
 当社グループは、繰延税金資産を回収可能と考えられる金額まで減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を検討するにあたっては、将来の課税所得見込み及び税務計画を検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、繰延税金資産を取崩し、費用として計上いたします。

 

(受注制作のソフトウエアに係る売上高及び売上原価)
 当社グループは、ソフトウエア受託開発に係る収益につき、連結会計年度末までの進捗部分について工事進行基準(プロジェクトの進捗率の見積りは原価比例法)を適用しております。収益総額、見積総原価及び決算日における進捗率について、当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(棚卸資産の評価減)
 当社グループは、棚卸資産の評価基準について原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)を採用しており、正味売却価額が簿価を下回る場合は簿価の切下げを行うほか、期末数量に対して一定以上の販売実績や払出実績がない場合に、棚卸資産の評価減を実施しております。

 

 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高) 

 当連結会計年度の売上高は、1,759,851千円(前年同期比26.9%減)となりました。セグメント別の売上高については次のとおりとなっております。

 

 AsReader事業:国内ではディスカウントストア、スーパーマーケット、スポーツ用品店、中古書籍店向けの新規納入、ホームセンター、飲料メーカー、医療品業界向けの販売、海外向けでは飲料メーカー向けのバーコードリーダーの納入があったものの、前連結会計年度には海外飲料メーカー向けの非常に大口の納入があったこと、当連結会計年度において販売を見込んでいたものについて、失注や翌期以降へ販売がずれ込んだ案件がありました。その結果、当連結会計年度におけるセグメント売上高は、1,344,608千円(前年同期比32.5%減)となっております。 

 システムインテグレーション事業:飲食店向けのシステム開発、家電量販店向けシステム開発、アパレル向けシステム開発、物流向けシステム開発、スーパーマーケット向けシステム開発、業務用工具メーカー向けシステム開発、コンサルタント会社向けシステム開発、電子機器メーカー向けシステム開発受注があり、一部案件は計画より進捗が遅れているものの、概ね前期並みの販売となり、当連結会計年度におけるセグメント売上高は、409,716千円(前年同期比1.3%減)となりました。

 賃貸事業:(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況の(賃貸事業)に記載のとおり、当連結会計年度より賃貸事業セグメントを追加しております。当連結会計年度におけるセグメント売上高は、5,526千円となりました。

 

 

(営業費用及び営業損失)
 当連結会計年度の売上原価及び販売費及び一般管理費を合算した営業費用は、1,951,930千円(前年同期比2.8%減)となりました。これは売上高減少に伴う売上原価の減少及び、販売費及び一般管理費における、給与水準の引き上げ及び福利厚生制度導入に伴う労務費の増加、営業活動の活発化に伴う活動費用及び展示会費用の増加によるものです。この結果、営業損失は、192,078千円(前年同期は400,204千円の営業利益)となりました。

 

(営業外損益及び経常損失)
 当連結会計年度において、受取利息及び配当金222千円、為替差益11,775千円等により営業外収益が14,573千円、支払利息897千円、貸倒引当金繰入額1,137千円により営業外費用が2,034千円発生しております。この結果、経常損失は、179,540千円(前年同期は473,724千円の経常利益)となりました。

 

(特別損益、法人税等及び親会社株主に帰属する当期純損失)
 当連結会計年度において、補助金収入により、特別利益が2,061千円発生、特別損失は固定資産除却損により66千円発生しております。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した法人税等は7,473千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、170,071千円(前年同期は322,542千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

   ③ キャッシュ・フローの分析

 各キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

 当連結会計年度の受注高は、1,668百万円、受注件数は3,556件、受注単価は469千円となりました。前年同期と比較して受注高は312百万円減少し、件数は785件増加しましたが、受注単価は245千円減少しております。小売業界、製造業界、自動販売機業界、医療業界向けを中心に受注獲得ができております。

 

   ⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

   ⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループにおける資金需要は、主として短期の運転資金であります。運転資金のうち主なものは売上原価である生産委託先からの製品仕入高やシステムインテグレーション事業における開発委託先への外注費、画像認識技術・センサー技術・RFID技術等の研究による研究開発費の先行支出であります。これらにつきまして、自己資金、金融機関からの短期借入金により資金を調達することとしております。また、長期の運転資金や設備投資につきましては、自己資金、金融機関からの長期借入金、新株発行による調達資金により充当することを基本方針としております。
 なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は251,715千円、有利子負債の残高は460,000千円となっております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約締結日

契約内容

契約期間

株式会社

アスタリスク

(当社)

SPS Inc.

韓国

AsReader

2016年9月1日

売買基本契約

AsReaderの製造に関する契約

1年

(1年ごとの自動更新)

株式会社

アスタリスク

(当社)

Apple Inc.

米国

AsReader

2012年11月26日

開発・製造・販売ライセンス

〔主な内容〕

・認証製品の開発許可及び認証製品が製造可能な指定工場への製造委託の許可

・Apple社製品のための商品であることの表示許可

1年

(1年ごとの自動更新)

株式会社

アスタリスク

(当社)

伊藤忠紙パルプ

株式会社

日本

2019年5月31日

資本業務提携

〔資本業務提携の理由〕

 伊藤忠紙パルプ株式会社と資本業務提携を通じ、両社の持つ固有のノウハウを共有し、リソースを融合することで、顧客企業へのより広範なビジネスソリューションの創出・提供を行い、相互の事業発展とビジネスにおいてのIoT、自動認識の新しい価値づくりをしていくことで、今後当社グループの業績拡大と発展に大きく繋がるものと考え、本資本業務提携契約を締結することといたしました。

 

〔業務提携の内容〕

a.伊藤忠紙パルプ株式会社の商社機能と、当社の商品力を活用した双方の業務拡大の推進

b.顧客開拓のための営業活動の相互支援

c.新製品開発提案

d.製品開発、生産業務

 

〔資本提携の内容〕

当社代表取締役執行役員社長(鈴木規之)は、2019年6月4日に、伊藤忠紙パルプ株式会社との間で市場外の相対取引により当社普通株式128,000株を譲渡する契約を締結しました。これにより伊藤忠紙パルプ株式会社の総株主等の議決権に対する保有割合は10.0%(本書提出日現在での保有割合は3.9%)となり、当社の主要株主となりました。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、すべてAsReader事業に属しております。
 当社グループの研究開発の大部分を当社が行っており、一部ハードウエア及びソフトウエアの開発を中国の子会社(大連明日星科技有限公司)が担っております。顧客企業がIoT活用やDXなどを推進することができるようなAsReader製品の開発を進めております。

また第17期(2023年8月期)には、自動レジの実証実験を行うための店舗運営を行う国内子会社(株式会社自動レジ研究所)を設立し、AsReader製品の実証実験を行う準備を進めております。

 

当社の主力製品であるバーコードリーダーやRFIDリーダーにおいて、iPod touchの生産終了や昨今の円安の影響での価格上昇により企業でのスマートデバイスの導入はiOS製品よりAndroid製品がより増加しております。この市場のニーズに伴い当社でもAndroid製品に対応したリーダー製品の開発を進めており既に市場に投入できる性能の製品を展開しておりますが、さらに多くのお客様の要望に応えることのできる高性能で且つ価格を抑えた戦略モデルの開発を進めております。
 また昨今の半導体不足の影響により既存製品も部材の見直し等の再開発が必要となり、殆どの主要製品について刷新を行ってまいりました。
 研究開発のカテゴリとしては、自動認識の分野で目に見えるものを識別する画像認識技術と、目に見えないものを識別するRFID技術を2つの柱とし、それぞれの新製品に繋がる基礎技術の研究を行っております。主な研究開発の成果は以下のとおりであり、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は12,951千円となりました。

 

(1)画像認識技術(モノ認識、人追跡)の研究の成果

前期から引き続き人検出・動体追跡、画像合成、画像追跡などの技術開発を実施してまいりました。画像認識技術を使った人追跡レジAsRegi+ の実験的展開を実施。人検出、動体追跡技術を改良し、精度を高める研究を続けてまいりました。この結果、当社子会社である株式会社自動レジ研究所が経営するうどん店「こがね製麺 草津栗東店」のレジシステムに本技術を応用し、注文から支払いまでを自動化したうどん店としては世界初の自動レジシステムとして構築いたしました。このような動体追跡技術を利用した、自動レジの仕組みの活用範囲は広く、様々な業界で利用が見込まれるため、エッジ処理やさらなる精度向上の研究を進めております。

 
(2)生体認証技術(顔、虹彩、声紋)の研究の成果

 画像認識技術の一貫で顔や虹彩の認証、また声紋の認証など複数の生体情報を組み合わせた認証技術の研究を進めています。この研究開発の応用利用として、顔認証セキュリティシステムAsReader GoMaを開発しました。AsReader GoMaは、当社の顔認証クラウドサービス「AsReader One(アズリーダーワン)とCANDY HOUSE JAPAN株式会社のスマートロック「SESAME(セサミ)」シリーズを連携した製品であり、既存の鍵に装着するだけで、玄関ドアなどの鍵を顔認証で解錠することができるようになります。生体認証技術は、当社の「モノ認識」と「モバイル」のコンセプトのもと、既存の自動認識製品とは異なる事業となりますが、顔認証により数万人の登録者から瞬時に個人の特定ができるため、店舗での会員管理やビルの入手管理など多くのシーンで利用が想定されます。

 

(3)バーコードリーダー、RFIDリーダーの研究の成果

 バーコードリーダーは、スマートデバイスの処理性能やカメラ性能の向上により、スマートデバイスのカメラでバーコードを読むニーズが増加しております。当社でもスマートデバイスのカメラを利用したバーコードリーダーのソフトウエアを提供をしてきましたが、読み取りの高速化や、バーコードを350°様々な角度で読み取る性能や、一度に多くのバーコードを読み取る性能など、読み取り精度を改良した製品開発を実施いたしました。RFIDでは、スマートデバイスと組み合わせて利用する従来のDockタイプのリーダーと異なり、高所や狭所での棚卸しなどにおいて、運用上使いやすい形状である、ラケット型のRFIDリーダー「PADDLE-Type」の量産開発を実施いたしました。また、卓上での利用や付属の固定治具で壁面に取り付けて利用することができる小型で定置型のリーダーの開発を実施いたしました。