文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社は、「The Support Tech Company」として「テクノロジーでサポートを新しく。」というミッションのもと、大手コンタクトセンター向けチャットサポートシステムを中心としたコミュニケーションプラットフォームの開発を行っております。
当社SaaSプロダクトは、下記に記載の強みから、金融、メーカー、運輸、情報通信、自治体など様々な業種、業態の大企業・先進プレーヤーで導入されております。
当社のSaaSプロダクトの開発プロセスにおいて、リリース前の段階から、当社製品のユーザーの大企業が機能性や仕様の検討に参画しております。メーカー、金融機関、BPO企業、システムインテグレータなど様々な業種の先進的な大企業から、コンタクトセンターのオペレーション視点での意見を取り入れることにより、大規模コンタクトセンターに最適な仕様を開発することが可能となります。具体的には、モニタリング・統計・レポーティング機能、管理者・スーパーバイザー支援機能、在宅オペレーション機能などがあります。
また、当社におきましては、コンタクトセンターのオペレーションを効率化するオペレーション支援AI「ムーア(MooA)」を独自開発しております。オペレーション支援AI「ムーア(MooA)」は、ユーザー企業の対話ログや操作ログを学習し、オペレータや管理者向けの様々な支援機能を担う、自社開発の独自アルゴリズムと、既存の外部オープンソースや外部AIを組み合わせたサポートテクノロジーのコアとなるAI技術です。問い合わせ内容を分析して、チャットのやり取りに意図せず入り込んだ個人情報を自動で摘出する「自動個人情報抽出機能」、チャット利用者の感情スコアを算出して管理者・オペレータに向けて表示する「感情分析機能」などが搭載されております。
当社では、SaaSプロダクトの提供にとどまらず、初期導入サポート(初期診断支援・目標値設定・プロジェクト設計等)、カスタマイズ開発、オペレータ及び管理者向けトレーニング、コンサルティング、KPI分析サポート、AI教師データ作成、PDCA支援などのサービスを提供しております。コンタクトセンターの運営ノウハウを熟知したメンバーによって、企業ニーズをKPIにより可視化し、ROIの実現に向けた施策等をアドバイスしております。また、顧客企業からのリクエストに応じ、当社SaaSプロダクトと他システムとの連携機能の開発や複雑な自動応答の開発などをカスタマイズして提供しております。企業のニーズを理解し、様々なシステムとの連携に対応する事が可能です。顧客ニーズを機敏に実現できるチームを有していることは当社の差別化要素の一つであると考えております。このように、検討段階から運用後のすべての期間において幅広いサービスを提供することにより、顧客の成功を支援してまいります。
当社は当社SaaSプロダクト及びサービスを顧客企業に提供しておりますが、直販営業に加えて、当社からパートナーにサービスを卸し、ユーザー企業に再販する販売代理店との協業を行っております。具体的には、株式会社ベルシステム24、アルティウスリンク株式会社、株式会社NTTマーケティングアクトProCX、株式会社TMJ、ビーウィズ株式会社などのコンタクトセンターのオペレーションを担うBPO企業、NECネッツエスアイ株式会社、株式会社日立システムズ、岩崎通信機株式会社などのコンタクトセンターのシステム構築を担うシステムインテグレータ企業、そして株式会社PKSHA Communication、株式会社エーアイスクエア、株式会社サイシードなどのAI・ツール提供企業と、40社を超える企業と販売代理店契約を締結しております。
また、エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社、富士通株式会社、トランス・コスモス株式会社へは当社商品をOEM供給しており、当該企業(又は関連会社)のブランドにてエンドユーザーへサービスを提供しております。この3つの商流を構築することにより、当社だけではアクセスが容易ではない、金融、メーカー、官公庁・自治体などの様々な業界、また様々な地域のお客様にサービスが提供できるようになります。また、大規模コンタクトセンターと関係性を構築しているBPO企業、システムインテグレータ企業、AI・ツール企業それぞれの業界トップ企業とのセールスパートナー網を構築することにより、顧客企業の各意思決定部門へ的確にアプローチすることが可能となります。特に、BPO企業においてはシェアトップ上位10社(注1)中、9社が当社セールスパートナーとなっております。
(注1)BPO企業のシェアトップ上位10社は、「矢野経済研究所 コールセンター市場総覧2023」の「広義のテレマーケティング市場 主要企業売上高推移・予測」におけるシェア上位10社。
当社は、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するために、当社のSaaSサービスから生み出されるサブスクリプション型のリカーリングレベニュー(経常的に得られる当社製品の利用料)を重視した経営を行っております。契約ドメイン数、顧客当たりのリカーリングレベニュー及び解約率を重要な指標とし、中長期の売上高及び利益の成長を実現し、継続的な企業価値の向上を目指します。
当社のSaaSソリューション事業はCRMソリューション市場に属しています。2022年度のCRMソリューション市場は8,967億円となっており、今後もゆるやかに拡大基調が続くものと考えられており、2026年度までの年平均成長率は8.5%と予測されています(デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社マーテック市場の現状と展望2022年度版 クラウド型CRM市場編(URL:https://mic-r.co.jp/mr/02490/))。
一方で、国内におけるオペレータ対応のチャットサポートを利用したことがある消費者の比率は6%であり、アメリカ合衆国47%、イギリス55%など欧米諸国と比較して低位となっています(出所:Microsoft 「 2017 STATE OF GLOBAL CUSTOMER SERVICEREPORT 」 WHICH OF THE FOLLOWING CUSTOMER SERVICECHANNELS HAVE YOU USED?)。こうした状況からも、チャットサポートの拡大余地の大きさが見て取れ、当社の成長余地も大きいものと考えております。
また、広義には当社のビジネスはコンタクトセンター向けBPOサービス市場を対象としておりますが、当該コンタクトセンター向けのBPOサービス市場においては、オペレータの採用難、局地的な風水害への対応、電話やメール離れによる旧来の問い合わせチャネル利用率の低下などの課題があります。また、2023年5月に新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が解除されて以降、全国的な経済活動の再開に伴い、コンタクトセンターを含めた幅広い業種で人手不足が深刻化する状態となりました。2023年度のコンタクトセンター向けのBPOサービス市場の市場規模は1兆1,405億円ほどに成長する見込みであり(矢野経済研究所 コールセンター市場総覧2023)、チャットボット及びチャットサポートの導入によるコンタクトセンターのDX化により、オペレーションの効率化が図られ、今後、同市場の一部がコンタクトセンター向けCRMソリューション市場に取り込まれていくものと考えております。
さらに、2022年11月にOpenAI社がChatGPTをリリースしたことをきっかけに注目を集めた生成AIについて、ビジネスの中での活用に向けた取り組みが急速に広まっています。生成AIは、人手不足が続くコンタクトセンター業界において、これまで以上の業務自動化を実現できる可能性をもった技術として高い関心を集めており、技術革新とともにオペレータの支援や消費者からの問い合わせへの自動回答などの領域での活用が進んでいくものと考えております。
当社は、安定的な収益の確保及び持続的な成長を目指すために、SaaSサービスから経常的に生み出されるサブスクリプション型のリカーリングレベニューを継続的に成長させていくことを基本方針としております。その達成状況を判断する上で、ARR(注1)、サブスクリプション売上高(注2)、サブスクリプション売上高比率、契約数、契約あたりの平均MRR(注5)、解約率(注6)を重要な指標としております。当該収益を継続的に成長させていくために、既存の契約あたりの平均MRRの向上及び契約数の拡大を図っていきます。具体的な方策としては、金融機関や各業界を代表する大企業をターゲットに、コンタクトセンターが抱える課題に対するコンサルティングおよび最適なソリューションの提供を通じて、顧客の問い合わせ対応でのノンボイス(チャットをはじめとしたテキストベースのコミュニケーション)対応比率の上昇をサポートし、各業界においてベストプラクティスとなる大型のシンボリック案件の創出を図ります。大型案件の獲得による平均MRRの向上に加えて、シンボリック案件に追随する同業他社、他業界に対する横展開により契約数の拡大を目指します。その実現に向けて、インサイドセールス及びフィールドセールスの人員増強による当社の営業体制の拡充、既存代理店の販売力向上サポート及び新規代理店の開拓による代理店商流の強化、カスタマーサクセス活動の強化によるチャーン抑止など、営業およびサービス提供体制の強化を図ります。
ARR(注1)の推移
(注1)ARR: Annual Recurring Revenueの略語であり、毎年経常的に得られる当社製品の月額利用料の合計額。四半期末月のMRR(毎月経常的に得られる当社製品の月額利用料の合計額)を12倍することにより算出。
サブスクリプション売上高(注2)の推移
(注2)経常的に得られる当社製品の利用料の12ヵ月間の合計額。
サブスクリプション型のリカーリングレベニューに関わる契約数(注3)及び契約あたりの平均MRR(注4、注5)の推移
(注3)OEMを除く。
(注4)MRR: Monthly Recurring Revenueの略語であり、毎月経常的に得られる当社製品の月額利用料の合計額。
(注5)OEMを除く。四半期末月のMRRを契約数で除することにより算出。
直近12ヵ月平均解約率(注6)の推移
(注6)OEMを除く。「当月の解約による減少したMRR÷前月末のMRR」の12ヵ月平均。
企業のお客さま窓口やコンタクトセンターにおいて、本人確認を伴う問い合わせ業務が多くを占めおります。特に、生命保険会社・侵害保険会社の問い合わせにおいては、9割以上が本人確認を必要とする問い合わせになっております。(コールセンタージャパン編集部「コールセンター白書2020」のデータを元に算出)一方で、企業のセキュリティポリシーにより個人情報の取扱いが、電話、対面、書面のみに限られるケースがあり、チャットサポートのシステム導入の障害となっております。当社では、コールセンターの運営会社が個人情報を安心・安全に取り扱えるよう、セキュリティ課題を解決するサポート支援ツール群「セキュリティ スイート(Security Suite)」を開発・提供していく方針です。第一弾として、2021年10月にセキュリティ・コミュニケーション機能「セキュア パス(Secure Path)」を開発し、提供を開始いたしました。Secure Pathを利用することにより、WebやLINEでのチャットサポートにおいて、オペレータが顧客の個人情報を安全に受け取り、本人確認や個人情報に基づいた個別対応を行うことができます。Secure Pathを利用した個人情報の取得・管理においては、クレジットカード情報の取扱いに際して求められる厳密なセキュリティ基準であるPCI DSSを遵守した基準のもとで安全に取り扱われます。今後は、「自動本人確認」や「eKYC連携」などの新たなセキュア機能の開発を計画しております。
③ 生成AI関連開発事業、カスタマーエクスペリエンス領域での新規事業への拡大
当社は、自社が提供する製品の開発の他、コンタクトセンター関連を中心に顧客企業ごとのシステム開発にも従事しています。生成AIを活用したコンタクトセンターの業務効率化・自動化に対するニーズが急速に強まる中、当社は先進的な顧客企業との協働のもと、そのニーズに合わせて高い効果の見込まれる領域で生成AIを組み込んだ機能モジュールの開発を行っています。その中で開発された高精度の音声認識や音声の要約、FAQ生成、VOC抽出などの機能モジュールの導入を含めたコンタクトセンター向けシステムの開発を、幅広い顧客企業へサービスとして提供してまいります。当社が開発する機能モジュールの数は順次拡充していく予定であり、それらをソリューションとした生成AI関連開発事業の拡大を計画しています。またこれまでの事業を通じて培った顧客接点の知見を元に、セールス&マーケティングを含むカスタマーエクスペリエンス領域での新規事業の立ち上げを検討いたします。
当社は、最先端のAIテクノロジーに対応した新しいサービスを開発することが、事業展開上重要な要素であると認識しており、新しいテクノロジーに対応できる開発体制を構築することが経営の重要な課題であると認識しております。そのため、最新テクノロジーの把握、エンジニアスタッフの教育、R&D(研究開発)専門の組織の強化など、技術習得活動、開発活動を強化してまいります。
当社のSaaSサービスについては、導入企業から一定の評価を受けておりますが、認知度の向上及びブランド力の強化は重要な経営課題であると認識しております。顧客ニーズへの対応、サービスの強化に努める一方、営業活動、広告宣伝活動を積極的に展開し、認知度向上に取り組んでまいります。
当社の主力サービスである「モビエージェント(MOBI AGENT)」は、コンタクトセンター等の運営をサポートするチャットサポートシステムですが、AIの強み、人の強みを活かすことでコンタクトセンターの応対効率の改善、オペレータのストレス軽減を行い、効率的な運営を実現することが可能です。
当社サービス導入後も継続的に利用していただくためには、当社サービスを利用することによって顧客自身に成功体験、付加価値を提供できることが重要であると考えております。そのため、組織内にカスタマーサクセス実現を目的とした担当者を設置し、全社的に実現体制の構築、取り組み方の共有を行うなどを行ってまいりましたが、引き続き体制強化に取り組んでまいります。
当社が継続的な成長を維持するためには、事業拡大だけではなく、コーポレート・ガバナンス体制の強化と内部管理体制、コンプライアンス体制を強化することが重要であると認識しております。そのため経営の公平性、透明性、健全性を確保すべく、社外取締役、監査役監査体制、内部監査、会計監査及び内部統制システムの整備等によりその強化を図ってまいります。
当社の展開しているSaaS商品は、自社開発しており、優秀な人材による開発体制が構築できておりますが、今後事業規模を更に拡大していくためには、優秀な人材の獲得と育成が必要であります。特に技術力のあるエンジニアについては、採用が困難であります。そのため、人事専任者複数名によるチームを設置して採用を強化するとともに、評価制度、社内キャリアパス制度、定期的な上長との1on1ミーティングの制度を整備することや教育研修を充実していくことで人材の育成に努め、更なる経営体制の強化に努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、顧客サポートの領域における事業を通して社会課題の解決に寄与し、また当社の持続的な企業価値の向上により、雇用機会の創出やダイバーシティを推進することで、持続可能な社会の実現を目指しております。
当社では、持続可能性の観点から企業価値を向上させるためサステナビリティの推進体制を強化しております。
サステナビリティに関連するリスク及び事業機会に関しては、経営会議やリスクコンプライアンス委員会等で協議され、対応方針及び実行計画等に基づいて審議・監督を行っており、最終的には取締役会が全般の責任と権限を有しております。
上記のガバナンスの下、現在当社が取り組んでいるサステナビリティの課題は主に人的資本についてとなっております。当社における人材の多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備に関する方針は、以下の通りです。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社では、研修プログラムに加えて、定期的にキャリアアンケートを実施し、習得したいスキル、伸ばしたい能力、活用したい経験、そしてキャリアの志向性を把握する機会を設けており、その結果も含め、管理職研修やコーチング研修等を受けた上長との1on1ミーティングを定期実施しながら、従業員の多様性を活かした成長を支援する仕組みを構築しております。また、キャリア採用により幅広い年代を積極的に雇用したり、技術者を中心に日本国籍に拘らず多国籍の採用を積極的に行ったりすることでダイバーシティを推進しております。そして、テレワークとオフィスワークのハイブリットワークやフレックス勤務により、働きやすい環境づくりを行っております。
当社において、全社的なリスク管理はリスクコンプライアンス委員会において行っております。リスクコンプライアンス委員会では具体的なリスクを想定、分類し、有事に備えて迅速かつ適切な情報伝達をはじめとする緊急体制を整備しております。
当社において、人材の多様性の確保を含む人材の育成のための指標と実績は下表の通りとなります。なお、本報告書提出日現在においては、当該指標についての目標は設定しておりません。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた実績
2023年8月31日現在
当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。
また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項であっても、投資者の判断によって有用であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。
なお、本項の記載内容は当社株式への投資に関する全てのリスクを網羅しているものではございません。
当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避並びに発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えられます。
本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
当社が提供するサービスの主要顧客はコンタクトセンターであります。チャット形式の問い合わせや業務の自動化ニーズが高まっており、業界全体として継続的に投資ニーズは存在し、また、今後はコンタクトセンター以外の業界への顧客開拓も期待できるものと考えております。上述の想定のもと、当社としてもセミナーを積極的に行うことや営業体制の強化を行うこと等によって顧客拡大に努めております。しかしながら、国内外の景気動向の悪化等により、当該顧客のソフトウエア投資が大幅に抑制された場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
サポートテックを含むコンタクトセンター向けBPO市場では、新技術の開発及びそれに基づく新しいサービスの導入が頻繁に行われており、顧客ニーズも常に変化している変動が激しい業界となっております。そのため、当社としても常に新しい技術、新しい発想でのサービス開発が求められ、情報収集、顧客ニーズ等の分析、新技術、新サービスへの対応を行うことで技術革新に対応できる体制をとっております。しかしながら、技術革新等により当社が予期せぬ業界の急激な変化が発生し、顧客ニーズの変化等が行われ、対応が遅れた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の属するサポートテックを含むコンタクトセンター向けBPO市場におけるサービス開発のスピードは速く、当社としては、顧客ニーズ等を把握しつつ、ニーズに合った開発を進めておりますが、今後、競合他社が新規サービスを開発した場合、価格競争等がさらに激化した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
火災、水災、地震、噴火等の自然災害や、新型インフルエンザ等の伝染病の発生等、その他不測の事故等が発生した場合に対応するため、当社は事業継続のための検討を常に行っております。しかしながら、これら自然災害等が発生した場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が世界経済に及ぼす影響に対する懸念があり、景気の先行きは不透明な状況で推移すると予想されております。
このような状況の中、当社ではリモートワークの推進やクラウドサービスの活用を行っており、当社の事業の推進に与える影響は限定的であると考えておりますが、企業の導入に際する意思決定に時間を要したり、システム投資予算が低減することで、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社では、業務に関連して顧客企業が取り交わしたメッセージデータや会話内容に含まれる個人情報を取り扱っております。当社といたしましては、プライバシーポリシー及び個人情報保護方針を制定し、またプライバシーマーク及びISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証を取得し、社内で運用する他、役員及び従業員に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施する等、委託先を含めた情報管理体制の強化に努めております。しかしながら万が一にも、当社より情報の漏洩が発生した場合は、顧客からの損害賠償請求や当社の信用失墜等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業は、通信ネットワークやサーバ、コンピュータシステム等に依存しているため、システム等のトラブルが発生する可能性があります。当社としては、事業の安定的な運用のために災害対策、システム強化、セキュリティ対策等を講じ、トラブル等が発生しないように厳格な運用に努めております。しかしながら、地震や火災等の発生、人的ミス、外部からの不正アクセス、通信事業者に起因するサービスの長期にわたる中断や停止等のシステムトラブルが発生した場合、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が提供する「モビエージェント(MOBI AGENT)」を中心とするSaaSサービスは、開発段階から納品に至るまで厳しい品質チェックを行っております。しかしながら、顧客への納品後に重要な不具合が生じた際などに、補修等の追加コストが発生した場合や損害賠償請求がなされた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社のSaaS商品に係るライセンスの売上は、サブスクリプション型のリカーリングモデルであり、既存顧客から経常的に得られる収益に、新規顧客からのライセンス売上や既存顧客のアップセル・クロスセルによる売上等が追加されることにより、売上・利益は期首から期末にかけて増加していく傾向があります。
また、プロフェッショナルサービス及びイノベーションラボサービスにおける受注状況及び売上計上時期により、各四半期の売上、利益が変動することがあります。当社としては、日次及び週次での部門内で実施するミーティングを通じて納期管理を徹底することでこれらの対策を行っておりますが、顧客の都合等により検収時期が遅延し、計画通りに売上計上ができない場合があります。特に期末月の8月に予定されていた検収が翌期以降に遅れる場合には、当該会計期間の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社のSaaS商品に係るライセンスの売上は、サブスクリプション型のリカーリングモデルであり、当社サービスの継続利用することで生じる売上となります。そのため、当社の継続的な成長を実現するためには、新規顧客の獲得と既存顧客の継続率が非常に重要な要素であると認識しております。当社としては、営業活動の強化による新規顧客の拡大及び機能の追加開発やサポートの充実による既存顧客の継続率の維持・向上を図っております。予算及び経営計画には、実績を基に新規獲得数及び一定の解約率を踏まえた継続率を見込んでおりますが、当社サービスの市場競争力の低下等によって新規顧客の獲得が想定より進まない場合や、解約が増加し、経常的に得られる収益が減少した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社はSaaS商品及びサービスを顧客企業に提供しておりますが、当社の営業部門による直販営業に加えて、当社からセールスパートナーにサービスを卸し、ユーザー企業に再販する販売代理店との協業を行っております。また、一部のセールスパートナーには当社商品をOEM供給しており、当該セールスパートナーのブランドにてエンドユーザーへサービスを提供しております。当社は、当該セールスパートナー向けの営業チームを整備し、日々の営業活動を通じて顧客企業に対する共同提案及び共同のカスタマーサクセス活動、またセールスパートナーからのニーズを反映した新機能開発などを行っておりますが、当該セールスパートナーの営業活動については当社のコントロールが及ばないことから、新規顧客の獲得が想定より進まない場合、解約が増加してリカーリングによる売上が減少した場合、又は当該セールスパートナーと当社の関係が悪化した場合には、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が提供するサービスを規制する主な法規則として、「電気通信事業法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」及び「個人情報保護法」等があります。
当社では、これらの法的規制の遵守を徹底したサービス運営を行うため、顧問弁護士等とも連携のうえ、最新の法規則に関する情報の取得や社内のコンプライアンス研修等を通じて、法令遵守体制の強化に努めております。しかしながら、当社事業は比較的新しい領域であるため、今後新たな法令等が成立することで追加の規制を受ける可能性があります。現在特段認識しているものはありませんが、今後の法律改正又は規制の動向によっては、当社の事業活動に支障をきたすとともに、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は本書提出日現在において、重大な訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら当社が事業活動を行うなかで、サービスの不備、個人情報の漏洩等により訴訟を受けた場合、当社の社会的信用が毀損され、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社では、コンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図ることを目的に、コンプライアンス規程を整備し研修等を行うことで従業員への周知を徹底し、法令違反などの発生リスクの低減に努めております。
当社が継続して事業を発展していくためには、継続して優秀な人材の獲得及び育成が重要であると認識しております。少子高齢化や労働人口の減少が急速に進んでおり、特にエンジニア人材のニーズの高まりにより人材マーケットが枯渇していることなどから、外部への人材の流動化が進み、優秀な人材の確保だけではなく、既存の人材の育成と維持のための環境は厳しい状況にあります。そのため、当社としては外部の人材紹介会社や採用媒体等の活用や内部の社員紹介等の採用チャネルの多角化、採用基準に当社の行動指針「Mobilus Value」を取り入れることによる当社の企業文化にマッチした人材採用、入社後のフォローアップのオンボーディング研修や先輩社員が専任でサポートを行うサポーター制度、成長支援を目的とした定期的な上長との1on1ミーティング、管理職及び将来の幹部候補社員のマネジメントスキル向上を目的とした管理職研修やコーチング研修等の教育研修、そしてスキル習得及び資格補助を目的としたキャリアアップの支援制度等により、人材の確保や育成、そして流出防止に努めております。しかしながら、人材の確保及び育成が当社の計画通りに進まなかった場合は、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の内部管理体制は、現時点で問題はないと考えておりますが、当社は未だ成長途上にあるため、今後事業運営及び事業拡大に対応した内部管理体制を構築する必要があると認識しております。しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、今後の事業運営又は事業拡大に支障をきたし、当社の経営成績及び事業展開に影響を与える可能性があります。
1.ストック・オプションの権利行使による株式価値の希薄化について
当社は、取締役、従業員等に対して新株予約権を付与しております。当事業年度末現在の新株予約権に関する潜在株式の合計は、530,212株であり、これは本事業年度末日現在の発行済株式総数の8.9%に相当します。これらの新株予約権が行使された場合は、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。
当社は、財務基盤の強化のため内部留保の充実をはかり、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら当社は、成長過程にあり、内部留保の充実を優先することが、株主に対する利益還元につながると考えており、現時点において配当実施の可能性及び時期については未定であります。
本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進み、景気回復の兆しが見られました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源価格の高騰や世界的なインフレと金融引き締めによる海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなり、景気の先行きについては引き続き注視を要する状況にあります。
当社の経営環境としては、国内企業の人手不足感の高まりやコスト削減への圧力から、コンタクトセンターの効率化及び自動化へのニーズは引き続き高く、またChatGPTなどの生成AIの技術的進化に伴い今まで効率化が困難であった領域における自動化への期待が高まることに伴い、コールセンターへの投資マインドが一段と醸成されつつあります。
当事業年度の売上高については、当社の主要事業であるSaaSサービスは、コアプロダクトであるMOBI AGENT(モビエージェント)が順調にユーザー企業数を伸ばしており、金融、メーカー、サービスと業界を問わずにリーディング企業に採用を頂きました。特に、セキュリティ向上のニーズが高い企業には、PCI DSSを取得した環境で安全に応対可能なセキュア・コミュニケーション機能「Secure Path(セキュアパス)」の導入が進みました。また、AI電話自動応答システムMOBI VOICE(モビボイス)は、顧客対応業務やバックオフィス業務の効率化の一環などの背景から、ユーザー企業が拡大してきております。2023年8月末時点で、当社SaaSプロダクトの契約数は308件(前年同期比113%)となりました。プロフェッショナルサービスは、有償カスタマーサクセス案件の獲得が進んだ一方、カスタマイズ案件では大型の継続案件の開発規模が縮小したことにより、前年同期に対して低い水準となりました。イノベーションラボサービスは、継続案件の減少に伴い、前年同期に対して低い水準で推移いたしました。また、費用面においては、SaaSサービスのうちMOBI VOICE(モビボイス)を利用した従量課金売上増加に伴う費用の増加、前事業年度後半からの組織強化を目的とする積極的な採用にともなう人件費の増加、広告宣伝活動の強化及び本社移転にともなう一過性のコスト増から、売上原価および販管費が増加いたしました。
以上の結果、当事業年度における売上高は1,594百万円(前年同期比1.6%増)、営業損失は156百万円(前年同期は営業利益181百万円)、経常損失は152百万円(前年同期は経常利益173百万円)、当期純損失は182百万円(前年同期は当期純利益126百万円)となりました。
(資産)
当事業年度における流動資産は1,540百万円となり、前事業年度末に比べ490百万円減少いたしました。これは主に納税等による現金及び預金の減少367百万円、売掛金の減少125百万円があったことによるものであります。固定資産は659百万円となり、前事業年度末に比べ46百万円増加いたしました。これは主に、増加要因として本社移転に伴う有形固定資産の増加7百万円及びソフトウエアの増加44百万円があったこと、減少要因として繰延税金資産の減少7百万円があったことによるものであります。
この結果、資産合計は2,202百万円となり、前事業年度末に比べ446百万円減少いたしました。
(負債)
当事業年度における流動負債は247百万円となり、前事業年度末に比べ211百万円減少いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金の減少100百万円、未払法人税等の減少65百万円、未払消費税等の減少19百万円、未払金の減少19百万円及び資産除去債務の減少6百万円があったことによるものであります。固定負債は14百万円となり、前事業年度末に比べ14百万円増加いたしました。これは繰延税金負債の増加9百万円及び長期契約負債の増加5百万円があったことによるものであります。
この結果、負債合計は262百万円となり、前事業年度末に比べ197百万円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度における純資産合計は1,940百万円となり、前事業年度末に比べ249百万円減少いたしました。これは主に、減少要因として自己株式の取得が99百万円及び当期純損失の計上182百万円があったこと、増加要因として新株予約権(ストック・オプション)の行使による増加4百万円、譲渡制限付株式の発行による増加15百万円、自己株式の処分9百万円があったことによるものであります。
この結果、資本金438百万円、資本剰余金1,407百万円、利益剰余金182百万円となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ367百万円減少し、1,265百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果獲得した資金は29百万円となりました。これは主に、税引前当期純損失163百万円を計上し、減価償却費211百万円の計上、売上債権の減少124百万円、法人税等の支払73百万円、仕掛品評価損56百万円の計上、未払消費税等の減少35百万円、棚卸資産の増加29百万円及び未払金の減少19百万円があったこと等によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は200百万円となりました。これは主にソフトウエア開発の無形固定資産の取得による支出241百万円、工具器具備品の購入による有形固定資産の取得による支出30百万円及びオフィス移転のための資産除去債務の履行による支出5百万円があったこと等によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は195百万円となりました。これは主に長期借入金の返済による支出100百万円、自己株式の取得による支出99百万円及び株式の発行による収入4百万円があったことによるものであります。
当社が提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、省略しております。
当社が提供するサービスの性質上、受注実績の記載に馴染まないため、省略しております。
当社はSaaSソリューション事業の単一セグメントのため、販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注)当事業年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行い、提出日現在において判断したものであり、将来に関しては不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当事業年度における財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌事業年度以降の財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
当事業年度における売上高は、1,594百万円(前年同期比1.6%増)となりました。これは主に、SaaSサービスの導入社数の増加に伴うライセンスの売上高が堅調に推移した一方で、プロフェッショナルサービスにおいて有償カスタマーサクセス案件の獲得が進んだ一方、カスタマイズ案件で大型の継続案件の開発規模が縮小したこと、イノベーションラボサービスにおいては継続案件が減少したことに伴い、前年同期に対して低い水準で推移したことによります。
当事業年度における売上原価は、812百万円(前年同期比20.5%増)となりました。これは主に、SaaSサービスのうちMOBI VOICE(モビボイス)を利用した従量課金売上増加に伴う費用の増加によります。この結果、売上総利益は781百万円(前年同期比12.7%減)となりました。
当事業年度における販売費及び一般管理費は、938百万円(前年同期比31.5%増)となりました。これは主に、積極的な採用に伴い人件費が増加したことによります。この結果、営業損失は156百万円(前年同期は営業利益181百万円)となりました。
当事業年度における経常損失は、152百万円(前年同期は経常利益173百万円)となりました。これは主に、支払利息等の営業外費用8百万円等が発生したことによります。
当事業年度における当期純損失は、182百万円(前年同期は当期純利益126百万円)となりました。これは主に、投資有価証券売却益62百万円、仕掛品評価損56百万円、貸倒引当金繰入9百万円、法人税等(法人税等調整額を含む)19百万円が発生したことによります。
当事業年度における財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の資金需要として主なものは、当社製品であるソフトウエアへの開発投資、事業の拡大に伴う人件費及び採用費等であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて最適な方法を選択しております。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については「3 事業等のリスク」をご参照ください。
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
該当事項はありません。
該当事項はありません。