第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げ、テクノロジーの産業界への社会実装を支援することにより、産業横断的なイノベーションを創出し、社会に貢献し続けることを目指しております。どのような素晴らしいテクノロジーであっても、それが社会に実装されていない場合は価値を見出すことはできない、という背景に基づいております。

 そのため、当社は「テクノプレナーシップ」(進化するテクノロジーを用いて(Technology)、どのような社会を実現していくかを問い続ける姿勢(Liberal Arts)、そしてこの円環を推進する力(Entrepreneurship)の造語)を行動精神とし、「テクノロジーの力で産業構造を変革する」というミッション、「イノベーションで世界を変える」というビジョンのもと、事業活動に取組んでおり、これらの活動が企業価値の最大化につながると考えております。

 また、当社は、「テクノプレナーシップ」の行動精神に基づき、SDGs(持続可能な開発目標)に取組む企業の目標達成を支援しており、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点においても重要なカルチャーを醸成していると考えております。具体的には、当社では、AIに関する課題について外部の有識者が倫理、法務的観点から協議する委員会「Ethical Approach to AI(EAA)」を2019年7月に設立し、委員からの意見や知見を、経営や事業へ反映できるよう努めております。

 

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図1:テクノプレナーシップ概念図

 

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は中長期的な企業価値の向上を図るため、デジタルプラットフォーム事業における「トランスフォーメーション領域」、「オペレーション領域」のビジネスを成長させるとともに、2領域で得た知見を事業基盤であるABEJA Platformに蓄積し、継続的に強化・発展するサイクルを形成することが重要と考えております。このため、当社は、顧客支援の総量である売上高、当社事業の基盤となるABEJA Platformの活用を示すABEJA Platform関連売上比率、安定的な収益獲得を示す継続顧客からの売上比率、当社の収益力を示す営業利益を重要な指標としております。

 

(3)経営環境

 当社が創業した2012年は、AI(人工知能)、機械学習の研究分野において、ディープラーニングが登場し大きなブレークスルーが起きた年であり、それまでと比べ、AIを活用できる事業領域が大幅に拡大したといわれております。

 産業界においては、「第4次産業革命」と呼ばれるAI、IoT、ビッグデータ、ロボットの活用が成長戦略の中核として捉えられるようになり、労働力が減少する市場において、生産性の向上や技術の継承、ビジネスモデル自体の変革を目的として、デジタルトランスフォーメーションの推進が重要なテーマとして掲げられております。

 当社がTAM(Total Addressable Market)と捉えております国内エンタープライズIT市場の市場規模は、2021年は11兆6,405億円、2026年は15兆4,979億円(年間平均成長率5.9%、CAGR:2021年-2026年)と予想されております(出所:IDC Japan 株式会社「国内クラウド市場予測、2022年~2026年」、2022年5月)。

 また、当社の事業が属するデジタルトランスフォーメーションの国内市場は、2021年度の2兆3,174億円から、2025年度には4兆1,000億円(年間平均成長率15.3%、CAGR:2021年度-2025年度)、2030年度には6兆5,194億円(年間平均成長率12.2%、CAGR:2021年度-2030年度)にまで成長すると予想されており、こちらを当社はSAM(Serviceable Available Market)と捉えております(出所:株式会社富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)。

 国内AIシステム市場に限定しますと、別の調査では、2022年の3,883億6,700億円から2023年には4,930億7,100万円、2027年には1兆1,034億7,700万円(年間平均成長率23.2%、CAGR:2022年-2027年)になると予想されております(出所:IDC Japan 株式会社「2023年 国内AIシステム市場予測を発表」、2023年4月)。

 上記市場成長率を鑑みると、相対的に旧来のITシステムに比較して、デジタルトランスフォーメーション市場やAI市場の成長率が高いことが予想されており、当社の事業機会は大きくなると想定されます。

 なお、当社は、「ABEJA Platform」を中心とした「トランスフォーメーション領域」、「オペレーション領域」において、様々な段階・ニーズの企業に対してサービス提供を行っており、一気通貫型で顧客を長期的に支援したいと考えております。個々のサービスを単独で比較した場合、コンサルティングファームやシステムインテグレータなどの競合は存在しますが、当社は一気通貫型のプラットフォーム「ABEJA Platform」とそれに紐づく実装ノウハウを有しており、上流から下流まで一元的にサービス提供できる強みがあり、当該観点から参入障壁は高いと考えております。

 

(4)経営戦略

 当社は、今後も拡大を続けるデジタルトランスフォーメーション市場の中で、さらなる事業成長を目指すため、以下の強みを背景に経営戦略を立案しております。

 

当社の強み

① 2012年より継続して培ったABEJA Platformと技術パートナー

 当社は、2012年から継続的に、デジタルトランスフォーメーションの実行に必要な、データ生成からデータ収集、データの加工、データ分析、AIモデリングまでのプロセスを提供し、継続的・安定的な運用を行うソフトウェアであるABEJA Platformの研究開発を行っており、当該プラットフォームが当社の大きな強み、競合優位性であると考えております。

 セキュリティ/テクノロジー水準の向上についても継続的に取組んでおり、2018年にはAmazon Web Service(AWS)より「AWS Machine Learning Competency Partner」に国内初の認定を受けたほか、2019年にはGoogle Cloudより「GCP Technology Partner」の認定を受けております。また、NVIDIA CorporationともGPUによる大規模計算の研究開発を行うなど、当社の技術がパートナーから高い評価を受けていることの表れであると考えております。

また、足元では、当社独自の大規模言語モデル(ABEJA LLM Series)のABEJA Platformへの搭載等を進めております。

 

② デジタルトランスフォーメーション推進の実績、実行力

 当社は、SOMPOホールディングス株式会社(介護事業・保険事業のDX推進、デジタル人材の育成支援等の取組み)やヒューリック株式会社(オフィスビル事業のDX推進等の取組み)、ダイキン工業株式会社など、業界横断的に300社以上の顧客企業との取引実績を有しており、顧客企業の競争優位の源泉となるビジネスプロセスにABEJA Platformを導入しております。

 これらの実績、経験は、デジタルトランスフォーメーションを推進するためのビジョン策定やグランドデザイン策定に活かされ、また実務経験に基づいたプランニング力、プランを具現化する実行力につながっております。加えて、戦略策定からプラン実行、運用までの一連のプロセスを、顧客に並走する伴走型で支援できることが強みとなっています。

さらなる実績、実行力の増強を企図し、2022年7月に三菱商事株式会社及び同社子会社の株式会社インダストリー・ワンとの間で地域のDX推進に関する業務提携を、2023年10月に中部電力株式会社との間で中部エリアを中心とした自治体・地域のDX支援に関する業務提携を行いました。強固なパートナーシップのもと、当社の経営資源を活用して地域のDX推進の早期実現に寄与し、また「ゆたかな世界を、実装する」という当社の企業理念の実現も見据えて協業を進めてまいります。

 なお、元三菱商事株式会社常務執行役員ビジネスサービス部門CEOの占部利充氏、元船井電機株式会社代表取締役会長兼社長の板東浩二氏を顧問として招聘し、大手企業へ当社サービスを提供する上で、継続的なアドバイスをいただいております。

③ テクノプレナーシップに基づく優秀な人材の採用と定着

 当社は、創業者を含めて多くのエンジニア、データサイエンティストが、ビジネス開発に携わっております。行動精神である「テクノプレナーシップ」のカルチャーを大切にし、優秀なエンジニアやテクノロジーに精通する社員を採用、育成しております。

 社内には専属で研究開発を行う「ラボ」を設置し、AIを中心としたテクノロジーの事業活用に関する研究開発や、社内での勉強会、ナレッジの共有に取組み、組織としてテクノロジースキルの向上を図っております。このようなエンジニア文化とそれを支える各種取組みによって、テクノロジー企業としての競争力を維持しております。

 また、東京大学松原仁教授・松尾豊教授、名古屋大学安田孝美教授に代表される世界的な研究者を技術顧問として招聘し、研究最新動向に関連した助言など、継続的なアドバイスをいただいております。

 

当社の経営戦略

① 顧客基盤の拡大と深耕

 当社は2012年の創業より、300社以上のデジタルトランスフォーメーション推進を支援し、成長してまいりました。今後も国内デジタルトランスフォーメーション市場の拡大は見込まれており、当社の一層の成長・拡大の機会が存在しております。当社は、これまでの実績から得た知見やABEJA Platformを推進力として、新規顧客の獲得(顧客基盤の拡大)、既存顧客との取引関係の多様化(深耕)を図り、収益基盤の拡大を目指してまいります。

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図2:顧客基盤の拡大と深耕に向けた取組みのイメージ図

 

 

② ABEJA Platformの拡充

 国内においても、デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、企業の抱える課題やニーズは多様化・複雑化してくることが見込まれます。当社は、基盤となるABEJA Platformの機能追加と、UI/UX等をはじめとする既存機能の改善を継続的に行い、多様化する顧客ニーズに対応し、提供価値の向上を図ってまいります。

 また、ABEJA Platformの汎用的なソフトウェア群を用いた業界横断・業界特化の汎用ソリューションとして展開し、幅広い顧客ニーズへの対応を図るとともに、プリセールス人材の拡充等により、顧客の多様化するニーズや潜在的なニーズを的確に把握し、提案品質、提供価値の向上につなげてまいります。

 

③ 人材の採用、育成とカルチャーの醸成

 今後の市場拡大と当社の業容拡大に向けて、継続的に優秀な人材を採用、育成し、組織力の強化を図ることが重要と認識しております。当社の魅力である「最先端技術を活用した案件が多数あること」、「実運用を目指す思想とノウハウを有していること」、「技術に対する意識が高く、職種の垣根なく幅広い経験を積めるCDO輩出集団であること」を発信、アピールすることにより、人材の獲得につなげてまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の主な課題は以下のとおりであります。

 

① 国内デジタルトランスフォーメーション・リテラシー向上

 国内デジタルトランスフォーメーション市場の拡大が見込まれる一方、企業内ではデジタルトランスフォーメーションやデータ利活用を推進する「IT人材」の不足が課題となっております。また、2030年には、継続したIT需要の拡大、労働人口の減少等により、国内の「IT人材」は約45万人不足するといわれております(出所:経済産業省「IT人材需給に関する調査」2019年3月)。

 当社は、一般社団法人日本ディープラーニング協会を通じた活動や自社カンファレンス、大学での講演等を通じて、AIやデジタルトランスフォーメーションに関するリテラシーの向上、「IT人材」の育成に努めてまいります。

 

② 人材の採用・育成

 当社は、デジタルトランスフォーメーション市場の拡大、顧客ニーズの多様化に迅速に対応していくため、多様な経歴、専門性を持った「テクノプレナー人材」の確保、育成が必要と考えております。当社のミッションや事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくため、積極的な採用活動を進めるとともに、働きやすく自己研鑽できる環境づくり・仕組みの構築に取組んでまいります。

 

③ 認知度の向上

 当社は、これまで自社カンファレンスの開催や広報活動、マーケティング活動等を通じて、認知度の向上を図ってまいりました。今後も引き続き、より一層の当社及び当社サービスの認知度向上のため、広報活動やマーケティング活動を推進し、人材の採用や新規顧客獲得につなげてまいります。

 

④ システムの安定性強化

 当社はインターネットを介したサービス提供を行っているため、当該システムを安定的に稼働させることが重要と考えております。そのために、サーバー設備の強化や、システム安定稼働のための人員確保等に努めてまいります。

 

⑤ 情報管理体制の強化

 当社は、システム運用やサービス提供の遂行過程において、機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、情報セキュリティに関する社内規程に基づき管理を徹底しております。また、当社は個人情報保護規程に基づき個人情報管理に努めており、2018年にプライバシーマークを取得しておりますが、今後も社内教育やシステムの整備などを継続し行ってまいります。

 

⑥ 内部管理体制の強化

 当社は成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。このため、コーポレート機能を充実させ、経営の公平性・透明性を確保するため、強固な内部管理体制の構築及びコーポレート・ガバナンスの充実に取組んでまいります。

 

⑦ 財務の充実と非連続な成長を支える資金の確保

 当社は今後の事業拡大に伴う人材採用などに加え、非連続的な成長を目的とした戦略的なM&Aを実行するため、財務の充実と安定化を進めていくことが重要と考えております。今後も多様な資金調達手法を検討しながら、長期的な当社の成長を実現することに努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は、「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げ、SDGs(持続可能な開発目標)に取組む企業を支援してまいりました。新たな付加価値を創出するビジネスに継続的に取組むとともに、自身を変革し続けることで、当社の持続的な成長と企業価値向上を図ってまいります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス及びリスク管理

 現在、当社ではサステナビリティに関する組織は設定しておりませんが、全社的なコンプライアンス及びリスク管理については、代表取締役CEOを議長とするコンプライアンス・リスク管理委員会で行っております。

 また、当社では、AIに関する課題について外部の有識者が倫理、法務的観点から協議する委員会「Ethical Approach to AI(EAA)」を運営し、委員からの意見や知見を、経営や事業へ反映できるよう努めております。

 

(2)戦略

 当社は、持続的成長と企業価値向上にあたり、人材を重要な経営資源と考えております。当社における人材や環境整備に関する考え方については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。

 

(3)指標及び目標

 現在、当社では性別、国籍、年齢等の区分で管理職の構成割合や人数の目標等は定めておりませんが、その具体的な目標設定や状況の開示については、今後の課題として検討してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。また、リスクの発生可能性、発生時期及び影響度についても、当社が判断したものであり不確実性を内包しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)事業環境に関するリスク

① デジタルトランスフォーメーション関連市場の動向(発生可能性:低~中、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)

 今後、多様な産業においてデジタルトランスフォーメーションへの取組みが一層進展し、当社事業が属する市場は拡大を続けるものと見込んでおります。当社では、市場の動向を調査しその兆候を経営に反映させるとともに、顧客基盤の拡充を図っておりますが、企業の景気動向による影響やその他の各種新技術に対する投資を受け、市場の成長ペースが大きく鈍化した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、市場が成熟していないため、新規参入の増加等による価格競争の激化等が起こった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合環境(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)

当社が提供している関連サービスについては、他業種大手企業から高度に専門化した新興企業に至るまで、様々な企業による新規参入が多く見受けられ、類似のサービスを提供している会社も複数存在しております。これらの会社が当社と同様のサービスへ参入し競争が激化した場合は、当社の期待どおりに顧客を獲得・維持できないことも考えられます。当社は、早い段階から「ABEJA Platform」への戦略的な投資を実行し、デジタルトランスフォーメーション実績について他社に先駆けて積み上げることによって、他社との差別化・競争優位性の確立に努めておりますが、他社との競合環境の変化によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 技術・ビジネスモデルへの対応(発生可能性:低~中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

当社が事業を展開しているデジタルトランスフォーメーション関連産業は、市場が未成熟であり、グローバル市場において技術革新のスピードやビジネスモデルの移り変わりが早いため、当社では新技術及び新サービスの開発を継続的に行うとともに、優秀な人材の確保に取組んでおります。しかしながら、今後何らかの事由によって当社が市場の動向に適した技術やビジネスモデルを創出できない場合、当社のサービスが市場での競争力を失い、顧客の維持・獲得が困難になる可能性があります。その結果、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 当社のビジネスモデルについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

顧客企業に対してABEJA Platformの導入やインテグレーション(システム連携や実際の現場への施工)を行う場合、顧客企業の現行システムの状況などによってプロジェクト進捗が遅延する可能性がございます。当社では、ABEJA Platformの導入やインテグレーションを簡易化する追加機能開発、コンサルティングフレームワークの充実により、負荷を軽減させる取組みを行っておりますが、当社の想定を上回る顧客企業数において進捗遅延や想定を超える期間を要した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 事業の拡大について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社では、今後の成長機会の創出に向けて、既存の顧客企業及び見込み顧客企業のニーズを前提とした新ソリューションや新機能の開発を実施しております。また、収益源の多角化の観点から、現在の事業領域と異なる分野にも進出する可能性があります。当社では、収益見通しを吟味した上でこれらの取組みについて進めておりますが、開発遅延や、現在の事業領域と異なる分野に進出した場合において、当該分野における収益化が進まない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また当社は、非連続的な成長を含む自社の成長のため、M&Aや資本業務提携は有効な手段の一つと考えております。M&Aや資本業務提携の実施にあたっては、対象企業の財務内容や契約関係等について事前調査を行い、リスクを検討した上で進めてまいりますが、対象企業における偶発債務の発生や未認識債務の判明など事前の調査によって把握できなかった問題が生じた場合や、事業計画が予定どおり進捗しない場合には、株式やのれんの減損処理を行う等、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ システム障害等(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)

当社の事業は、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しているため、自然災害や事故等により通信ネットワークが遮断された場合や、システムへの一時的な過負荷によって当社のサーバーが停止した場合には、サービスを提供することが不可能となる若しくはサービスの提供に支障を与える可能性があります。また、「ABEJA Platform」はGCP(Google Cloud Platform)やAWS(Amazon Web Service)等のクラウド上で運営されているため、何らかの事情で当該クラウドサービスに障害等が発生した場合には、サービスを提供することが不可能となる可能性があります。当社としましては、データのバックアップ、データセンターへの分散配置などによってトラブルへの備えをしておりますが、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等やその他当社の想定していない事象の発生によりクラウドサービスの稼働が停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカー等の侵入、その他の不具合によりシステム障害が生じた場合、一時的なサービス提供の停止及びそのことに伴う当社のサービスに対するレピュテーションの悪化や顧客からの損害賠償請求などが想定され、結果として当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 先行投資から得られる効果が期待どおりに実現しないリスクについて(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社において、先行的に研究開発費、広告宣伝費、人件費を投下し、研究開発と顧客企業獲得を進めることが必要であります。今後も、収益性の向上に努めながらも、事業成長のための投資を継続する方針です。

しかしながら、予期せぬ経営環境の変化、追加開発の必要性やその他の理由により、これらの先行投資が想定どおりの成果につながらなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす場合があります。

 

⑧ 大規模な自然災害等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)

当社は、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社又は当社の取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、収束の兆しがみられる新型コロナウイルス感染症について、当社ビジネスへの影響は軽微ではあると認識しておりますが、例えば、「オペレーション領域」の小売業向けサービスの提供先である小売店舗が閉鎖される場合や長期的な営業自粛等が行われる場合は、当社の事業活動に影響を及ぼし、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業体制に関するリスク

① 優秀な人材の確保及び育成(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社が今後更なる事業の拡大に対応するためには、機械学習・ディープラーニング領域等における優秀なエンジニアやデータサイエンティストを継続的に確保することが重要であり、現在もこうした人材の獲得・定着・育成に積極的に取組んでおります。しかしながら、高度な技術を持つ人材の獲得競争は激化しており、事業規模の拡大に応じた当社内における人材育成、外部からの優秀な人材の採用等が計画どおりに進まず必要な人材を確保することができない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 内部管理体制(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、企業価値の持続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに法令遵守の徹底が必要と認識しております。そのため、当社では内部管理体制の強化に努めております。しかしながら、今後の事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 特定の人物への依存(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の代表取締役CEOであります岡田陽介は、創業者であると同時に最高経営責任者として経営戦略、事業戦略等、当社の業務に関しての専門的な知識を有し、重要な役割を果たしております。当社では、他役員や社員への情報共有や権限委譲を進めるなど、代表取締役CEOに過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により代表取締役CEOが当社の経営執行を継続することが困難になった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 機密情報や個人情報に関わる情報管理及びプライバシー権の保護(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)

当社は、その業務の性格上、顧客側で保有している機密情報や個人情報に触れる場合があります。具体的には顧客の販売データ等の機密情報、顔認証に用いる画像データ等の個人情報を扱っております。情報の取扱いについては、情報セキュリティに関する規程、個人情報保護規程等を整備するとともに、プライバシーマークを取得することによって、適切な運用に努めております。しかしながら、このような対策にも関わらず当社の人的オペレーションのミス等、その他予期せぬ要因等により情報漏洩が発生した場合には、当社が損害賠償責任等を負う可能性や顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ コンプライアンス体制(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのためコンプライアンスに関する社内規程を策定するとともに適宜研修を実施し、周知徹底を図っております。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社の事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 小規模組織であること(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制になっております。当社では、今後の業務拡大に対応するため、人員の増強や内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、何らかの事由でこれらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 業績変動について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の事業の中には、案件ベースで受注をし、成果物の提出と検収をもって収益認識をしているものがあるため、案件によっては数か月分の稼働に対する売上高が1か月にまとまって計上されることがあります。また、顧客企業の予算執行のタイミングから3月に売上が増加する傾向にあります(2023年8月期における3月の売上高に占める割合は1割強)。当社では、各月の売上が平準化するよう努めていますが、個別案件によっては売上高が非連続となる場合や、案件の進行が遅れることで売上高の計上タイミングが想定より遅くなる場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、これにより四半期・月次ごとに業績が変動し、期間分析が困難となる可能性があります。

 

⑧ プロジェクト管理について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、品質・コスト・進捗などに対するプロジェクト管理体制を整備・強化しておりますが、当初想定した以上の開発工数の増加及び機能改善などにより、当初見積ったコストを上回り採算が悪化することがあります。また、納入及び売上の確定後における瑕疵補修などによって追加費用が発生することもあり、これらのことにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ SOMPOホールディングス株式会社及びSOMPO Light Vortex株式会社との関係について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

a.資本的関係

 当事業年度末現在、SOMPO Light Vortex株式会社(以下「SOMPO Light Vortex」といいます。)は当社の議決権の19.71%を保有しており、当社のその他の関係会社になります。また、SOMPO Light Vortexの100%親会社は、SOMPOホールディングス株式会社(以下「SOMPOホールディングス」といいます。)となります。

b.役員派遣

 当社社外取締役1名は、SOMPOホールディングス及びSOMPO Light Vortexからの派遣役員となります。

c.承認等

 当社には、SOMPOホールディングス及びSOMPO Light Vortexの事前承認又は事前報告を必要とする取引や業務は存在しません。

d.取引関係

 当社とSOMPOホールディングスは、2021年4月にデジタルトランスフォーメーション推進等を目的とし、業務提携基本契約を締結しました。当社の売上高のうち、SOMPOホールディングスに対する売上高は2023年8月期においては28.9%を占めております。なお、SOMPOホールディングスとの取引にあたっては、当社の関連当事者取引管理規程に則り、適切に実施しております。

 当社は、SOMPOホールディングス及びSOMPO Light Vortexと良好な関係を維持しておりますが、今後も新規顧客の開拓を実施し、特定の取引先への依存度を低下させる方針です。しかしながら、当面は特定の取引先への依存が高い水準で推移することが考えられ、この間に同社の事業戦略方針の転換等により、同社との関係に変化が生じ受注が減少した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制に関するリスク

① 法的規制・制度動向による影響(発生可能性:低~中、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)

現在、日本国内においてインターネットに関連する主要な法規制は電気通信事業法となっておりますが、インターネット上の情報流通のあり方についても様々な議論がなされている段階であります。当社では、事業に関連する法規制の制定や改定について、事前に事業に及ぼす影響や対応策等を検討しております。しかしながら、今後、インターネットの利用者や関連するサービス及び事業者を規制対象とする法令等が制定された場合や、取得データの利活用に関するガイドラインの変更や、業界内で何らかの自主規制規則等が制定された場合には、当社の事業が制約され、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 知的財産権(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)

当社における第三者の知的財産権侵害の可能性については、調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社の事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握はその性質上困難であります。このため、当社が認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性があります。その結果、損害賠償請求や知的財産権の使用に係る対価の支払い等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 訴訟等(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中~大)

当社では、当事業年度末現在において業績に影響を及ぼす訴訟や係争は発生しておりません。また、当社は法令違反となるような行為を防止するための内部管理体制を整備しております。しかしながら、当社及び当社の役員、従業員による法令違反の有無にかかわらず、予期せぬ訴訟等が発生する可能性があります。係る訴訟等が発生した場合は、その内容によって、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① ストック・オプションの行使による株式価値の希薄化(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:低)

当社は役職員等に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブ等を目的として、ストック・オプション(新株予約権)を発行しております。ストック・オプションが権利行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式数は1,897,100株であり、発行済株式総数である8,598,900株の22.06%に相当しております。

 

② 配当政策(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:低)

当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を経営の重要課題として認識しております。しかしながら、当社は、成長過程にあると考えており、内部留保の充実及び事業拡大のための投資等に充当することが、株主に対する利益還元につながると考えております。将来的には、事業環境及び財政状態を勘案しながら、株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。

 

③ 税務上の繰越欠損金、繰延税金資産について(発生可能性:低、発生時期:中期、影響度:中)

当社は、当事業年度末現在、税務上の繰越欠損金が4,107,606千円存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課せられておりません。今後、繰越欠損金の使用、又は期限切れによる繰越欠損金の解消により、課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税の負担が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また当社は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討し、繰延税金資産を計上しています。しかしながら、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、また、税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の取崩しが必要となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から社会活動は正常化に進んでおり、国内景気には穏やかな回復の動きがみられます。一方でエネルギー価格や物価の上昇、金融資本市場の変動、国際情勢の不透明さ等の影響により先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 当社の事業が属するデジタルトランスフォーメーション市場におきましては、ビジネスプロセスのデジタル化や既存のビジネスモデルを変える新たな試みなど、デジタルトランスフォーメーションの取組みは広がりをみせ、企業のIT投資への意欲は引き続き強いものとなっております。今後はアフターコロナにおける新しい社会の実現や、少子高齢化に伴う労働生産人口の減少、働き方改革を背景に、多くの企業においてデジタルトランスフォーメーションを推進する動きが一層活発化するものと捉えております。

 このような環境の中、当社はABEJA Platformを基盤として、企業のデジタルトランスフォーメーション推進を支援することにより、安定して事業を拡大することができました。

 この結果、当事業年度の経営成績は、売上高2,775,469千円(前事業年度比40.3%増)、営業利益402,788千円(前事業年度は163,502千円の損失)、経常利益379,757千円(前事業年度は181,757千円の損失)、当期純利益421,598千円(前事業年度は196,366千円の損失)となりました。

 なお、当社はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末の資産合計は4,109,491千円となり、前事業年度末に比べ1,949,692千円増加いたしました。これは主に当社株式上場に伴う株式の発行等の影響で現金及び預金が1,695,998千円増加したこと、売上高増加に伴い売掛金及び契約資産が206,270千円増加したこと、税効果会計適用により繰延税金資産を130,495千円計上したこと、また仕掛品が64,617千円減少したこと等によるものです。

(負債)

 当事業年度末の負債合計は、628,607千円となり、前事業年度末に比べ262,518千円増加いたしました。これは主に第3四半期会計期間より賞与制度を導入し、賞与引当金が124,139千円増加したことに加え、業績・事業規模拡大に伴い未払法人税等が120,654千円増加したこと等によるものです。

(純資産)

 当事業年度末の純資産の残高は、3,480,883千円となり、前事業年度末に比べ1,687,173千円増加いたしました。これは主に当期純利益を421,598千円計上したことにより利益剰余金が増加したことに加え、当社株式上場に伴う株式の発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ632,787千円増加したことによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ1,695,998千円増加し、当事業年度末には3,540,535千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は、460,532千円となりました(前事業年度は253,494千円の支出)。これは主に税引前当期純利益379,757千円の計上や賞与引当金の増加額124,139千円、棚卸資産の減少額64,617千円及び売上債権の増加額206,270千円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、5,638千円となりました(前事業年度は14,061千円の支出)。これは主に従業員に対する貸付けによる支出4,998千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により得られた資金は、1,241,104千円となりました(前事業年度は3,958千円の収入)。これは株式の発行による収入1,241,104千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

b.受注実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

c.販売実績

 販売実績を領域別に示すと以下のとおりであります。なお、当社はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。

領域の名称

前事業年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

当事業年度

(自 2022年9月1日

 至 2023年8月31日)

金額

(千円)

前年同期比

(%)

割合

(%)

金額

(千円)

前年同期比

(%)

割合

(%)

トランスフォーメーション領域

1,662,994

169.5

84.1

2,268,613

136.4

81.7

オペレーション領域

315,236

113.2

15.9

506,855

160.8

18.3

合計

1,978,230

157.1

100.0

2,775,469

140.3

100.0

 

 (注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

当事業年度

(自 2022年9月1日

 至 2023年8月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

SOMPOホールディングス株式会社

752,250

38.0

801,500

28.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。なお、当社における重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 売上高は、2,775,469千円(前事業年度比40.3%増)となりました。これは主に、前事業年度に続いて多くの企業でデジタルトランスフォーメーションへの取組みが進んだことによるものです。売上原価については、売上高の増加に伴い、1,049,024千円(前事業年度比31.7%増)となりました。

 その結果、売上総利益は1,726,444千円(前事業年度比46.1%増)となりました。

 販売費及び一般管理費については、主に人員増による人件費の増加及びシステム利用料の減少等により、1,323,655千円(前事業年度比1.6%減)となりました。

 その結果、営業利益は402,788千円(前事業年度は163,502千円の損失)となりました。

 営業外収益は22,344千円(前事業年度比2.0%増)となりました。主な内容は受託研究収入19,800千円であります。また、営業外費用は45,376千円(前事業年度比13.0%増)となりました。主な内容は株式交付費24,470千円及び受託研究費用16,500千円であります。

 その結果、経常利益は379,757千円(前事業年度は181,757千円の損失)となりました。

 特別利益及び特別損失は発生しておりません。

 また、当事業年度及び今後の業績動向等を勘案し、繰延税金資産130,495千円を計上いたしました。これにより、法人税等調整額(益)130,495千円を計上しております。

 この結果、当期純利益は421,598千円(前事業年度は196,366千円の損失)となりました。

 

③ 財政状態の分析

 財政状態の分析につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。

 

④ キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析につきましては、前記「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロー

の状況」をご参照ください。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性

 当社における主な資金需要は、継続的なサービス提供のための開発・研究に関する費用や人件費、人員獲得のための採用費、当社の認知度向上及び潜在顧客獲得のための広告宣伝費であります。これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社は、前記「3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業体制、法的規制、その他の様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑧ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容

 当社は、収益の最大化が企業価値向上につながると考えております。当社では経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、顧客支援の総量である売上高、当社事業の基盤となるABEJA Platformの活用を示すABEJA Platform関連売上比率、安定的な収益獲得を示す継続顧客からの売上比率、当社の収益力を示す営業利益を重要な指標としております。

 当事業年度における売上高は2,775,469千円、ABEJA Platform関連売上比率は84.9%、継続顧客からの売上比率は91.8%、営業利益は402,788千円となります。当社の基盤であるABEJA Platform関連売上比率が売上高全体の84.9%を占めていること、また、継続顧客からの売上比率が91.8%であることから、安定的に継続性のある収益が積み上がっており、足元の成長に繋がっていると評価しております。今後もABEJA Platform関連売上比率や継続顧客からの売上比率を重視することで、売上や営業利益の拡大に努めてまいります。今後の各指標の向上の施策については前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は以下のとおり業務提携に関する契約を締結しております。

相手方の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

SOMPOホールディングス株式会社

業務提携基本契約

当社のAIプラットフォームを活用し、SOMPOグループの掲げる「安心・安全・健康のリアルデータプラットフォーム」(注)の推進、デジタルトランスフォーメーションの推進等を図る。

自2021年5月

至2024年5月

(自動更新あり)

(注)「安心・安全・健康のリアルデータプラットフォーム」とは、SOMPOホールディングスがPalantir Technologies Inc.(本社:米国コロラド州)と進める介護現場、製造、自動車走行、物流、輸送などSOMPOグループ各社及びパートナー企業のさまざまなオペレーションのなかで得られる膨大なリアルデータを統合・分析し、社会課題を解決する新たなソリューションを提供するビジネスモデルを指します。

 

 

6【研究開発活動】

 当社は、「ゆたかな世界を、実装する」を企業理念に掲げ、2012年の創業時より、コンピュータサイエンスを専門とする多数の大学教授陣と共同で研究開発を行っており、自社開発のABEJA Platformを基盤に、デジタルトランスフォーメーションを推進しております。当事業年度は、主に大規模言語モデル、ディープラーニングや機械学習に関する研究開発を行い、研究開発費の総額は10,424千円となりました。

 なお、当社はデジタルプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。