当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、真空技術をキーテクノロジーとして電子部品用薄膜形成装置を開発・製造し、電子部品・光学部品メーカに販売しております。
当社グループを取り巻く環境を見ると、主要取引先電子部品メーカの在庫調整は進展しているものの、スマートフォンをはじめとする最終製品需要の回復が緩やかであることから設備稼働率の回復が遅れており、増産に向けた設備投資の本格的な回復時期は見通しづらい状況となっています。一方で、高度情報化社会の進展に伴い、実証実験から商用へのフェーズ移行が見込まれるローカル5Gを含めた5Gの本格普及、AIやAR・VR・MR機器市場の拡大、自動車の自動運転技術向上やコネクティッド化などにより、今後も高精度な電子部品需要の増加が見込まれます。これらを背景に、電子部品メーカによる次世代製品開発の動きは継続し、このような新しい技術や価値を創造する流れは、当社グループのキーテクノロジーである真空技術の応用範囲拡大につながるものであります。
こうした中、顧客の次世代製品開発に際し、依頼実験やサンプル成膜依頼への対応などにより初期段階から参画し、製品化された際の生産設備の受注獲得を図るなど、経営方針である「成長するニッチ市場にフォーカス」、「技術力による差別化と独自性の発揮」を実現し、水晶及び光学デバイス分野での競争力を高めるとともに、継続的に一定規模の売上が確保できる新たな分野の確立を目指してまいります。
さらに、当社グループは、資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、ROE10%以上を目標とし、収益基盤強化による業績向上、安定的な株主還元の継続を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<サステナビリティ基本方針>
当社グループは、社会と共に持続可能な発展を遂げるため、経営理念の一つである、「我々の存在が世の中を豊かにするためにお役に立つこと」を実践し、キーテクノロジーである「真空技術」を通じて社会に貢献し、社会から必要とされ続ける企業であることを目指してまいります。
<当社グループが重要課題(マテリアリティ)として掲げる取組>
(1) ガバナンス
当社は、執行役員及び社長が指名する役職員で構成される経営会議において、気候関連を含めた当社グループのリスクと機会を特定し、当該特定結果などを基に策定した事業戦略について、取締役会の承認を得て実施しております。
当該事業戦略の進捗状況は、経営会議メンバー及び部署長で構成される部長会において定期的に報告され、経営に関わる重要事項は、経営会議(原則月2回開催)及び取締役会(原則月1回開催)で審議し、経営判断を行っております。
(2) 戦略
① 気候変動
「技術力による社会貢献」をサステナビリティの重要課題の一つとし、「独自技術に基づく製品・サービスの創造」を取組テーマとして、環境・社会の課題解決及び豊かな未来の実現に必要不可欠な電子部品を製造するための真空装置とサービスを提供しております。
環境負荷低減に寄与する製品へのニーズの高まりを新たなビジネスの機会と捉え、当社グループにおいては、生産性の高い装置や低消費電力の装置開発を強化しております。
なお、気候変動に関するリスクと機会及び当社の対応方針は以下のとおりです。
② 人材の多様性の確保を含む人材の育成方針及び社内環境整備に関する方針
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。
a.人材育成方針
当社グループは、真空技術をキーテクノロジーとした電子部品用薄膜装置メーカであり、成長するニッチ市場へフォーカスし、技術力による差別化と独自性を発揮することを経営方針としており、OJTによる技術力及びノウハウの伝承を重視してまいります。また、真空技術に関する基礎知識を修得や真空技術者資格認定のための外部研修受講や役職などに応じて階層別研修を設けるなどOFF-JTも合わせて、社員の自律的なキャリア形成、スキルアップ等のための成長の機会を提供してまいります。
b.社内環境整備方針
多様性を認め、従業員各々の人権と個性を尊重するとともに、従業員一人ひとりが仕事に本気で取り組み、自発的にチャレンジし、人間的成長を実感できるような働きやすい職場環境の創出や、多様な働き方を支援する制度創設などを通じて、多様な人材による魅力ある職場の実現を推進し、自由闊達な組織の維持向上に努めてまいります。
(3) リスク管理
当社グループでは、気候関連を含めた内外に存在するリスクを、経営リスク、財務・信用リスク、情報・システムリスク、コンプライアンス・リスク、オペレーション・リスク、災害リスクに大別して定義し、代表取締役執行役員社長を委員長、各本部内各部署長をメンバーとして、年2回(その他必要に応じて随時)開催される、リスク・コンプライアンス委員会リスク対策部会において、企業集団として管理すべきリスクの識別・評価、回避・軽減策の具体化、リスクの変化に対応した全社レベルのリスク管理体制の検討と提言などを行っております。
また、リスクの識別・評価結果を踏まえた事業戦略を実施することで、リスク発生の防止或いは軽減に努めるとともに、発生後の損失の最小化を図っております。
<リスク管理プロセス>

(4) 指標と目標
① 気候変動
当社グループでは、温室効果ガス(以下、「GHG」)排出量削減目標の設定であるSBT(Science Based Targets)の削減レベルを考慮し、Scope1、2について「2030年に2020年比40%削減」、「2050年に実質ゼロ」の目標を設定いたしました。
当社グループ全体のGHG排出量の80%以上を本社相模原工場が占めており、本社相模原工場のGHG排出量の99%はScope2であるため、本社相模原工場で使用する電力を再生可能エネルギーに切替えるなどの取組を行ってまいります。

② 人材の多様性の確保を含む人材の育成方針及び社内環境整備
当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、以下のとおりであります。
なお、当社においては、以下の指標について、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、目標及び実績は提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。ただし、以下に記載された項目以外のリスクが生じた場合においても、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、これらのリスク発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努めることで、発生後の損失を最小化することを基本方針としております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) デバイスメーカの設備投資動向等によるリスク
当社グループが製造販売する真空技術応用装置は、水晶デバイス、光学デバイス及び電子部品等を加工するための生産設備であるため、当社グループの業績はこれらデバイスメーカの設備投資動向に影響を受ける傾向にあります。また、デバイスメーカの設備投資は、スマートフォンなどの情報通信機器、デジタル家電等の需要に影響を受ける形となります。当社の想定よりも急激な変動が起きた場合、急激な需要増に対応できず受注機会を逸したり、急激な需要減により受注が困難になったり、受注キャンセルが生じる可能性があり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、電子部品市場の動向を注視し、デバイスメーカとの良好な関係から得られた情報等に基づき、人員の手配や稼働日数等の調整により需要の変動に合わせた生産能力となるよう機動的な対策を講じております。
(2) 顧客ニーズの高度化、製品の開発に関わるリスク
当社グループの主要な取引先であるデバイスメーカでは、革新的な新製品の開発を適切なタイミングで実施することが重要となっており、技術革新のスピードが加速し、製品のライフサイクルが短期化しています。そのため、デバイスメーカの当社グループ開発装置に対するニーズが高機能化・高精度化・多様化しており、受注案件によっては技術的に相当程度困難を伴う場合があります。市場・製品動向の変化や当社グループの技術を代替し得る技術革新が想定を超えて発生した場合、予期せぬ新技術への対応や開発期間の長期化、開発費用の増大を招き、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、継続して新製品を開発するために、必要な研究開発投資を継続して行っております。顧客の開発活動を強力に支援するため、2019年度には相模原工場内に新たに研究開発棟を建設しました。受注に際しては、技術的な対応可能性及び収益性を勘案し、開発テーマについては、将来の市場、製品及び技術動向や顧客からの要望などに基づき選定し、その実効性と効率性の向上に努めております。
(3) 販売価格の低下によるリスク
電子部品の価格は、厳しい値下げ要請や同業者間の熾烈な競争により、恒常的に低下する傾向にあります。最近ではアジア地域の電子部品メーカの台頭により価格競争はさらに激しさを増しております。そのため、電子部品の開発や生産設備である当社グループの装置に対しても、取引先であるデバイスメーカから装置販売価格の引下げ要求が恒常化しているうえ、競合する他社メーカとの販売競争が激しさを増しています。価格競争の一層の激化により、販売価格の下落を補うコストダウンや売上の拡大が必ずしも実現できず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、継続的かつ積極的なコストダウンを推進し、売上の拡大や収益性の向上に努めております。
(4) 資材の調達に関わるリスク
当社グループは、生産財を全て社外から調達しているため、原材料の価格上昇に伴う仕入価格の上昇や需給逼迫、自然災害等に起因する生産財の調達難による生産への影響があります。また、装置の品質への影響としては、加工業者の加工能力が挙げられます。想定を超える急激な原材料価格の高騰や生産財の供給悪化が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、仕入先との情報共有、重要資材について政策的な在庫確保、仕入先の分散化などを実施することで安定的な供給確保に努めております。また、品質の維持向上のために必要と判断した場合には、仕入先に対する指導を実施しております。
(5) 個別受注・個別仕様によるリスク
不安定な世界情勢が続く中、スマートフォンをはじめとする情報通信機器やデジタル家電等のセットメーカは、最終消費財の需要見通しを慎重に見極め、在庫を圧縮する傾向にあります。そのため、当社グループの主要取引先であるデバイスメーカは、セットメーカからの納入リードタイムの短縮要請が強まっており、当社グループに対しても、以前より厳しい納期での引合いとなる傾向が強まってきております。したがって当社グループは、受注金額、製品仕様等の調整・折衝を行っている段階で、受注確度が高いと判断した場合には、材料等の先行手配や見込生産をすることもありますが、最終的には受注に至らない場合もあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、見込生産の判断については、経営会議で慎重な審議をするとともに可能な限りデバイスメーカの意思表示を確認するよう努めております。また、相対的に他の装置へ転用可能性が高い部材から先行手配をするなどリスク軽減に努めております。
(6) 海外事業展開によるリスク
海外での事業展開においては、当該国・地域の政情、為替、税制等の法制度、金融・輸出入に関する諸規制、社会資本の整備状況、その他地域的特殊性及びこれら諸要因の急激な変化の影響を受ける傾向にあります。当社グループは、中国(上海)に子会社が2社あり、主に中国・台湾を中心としたアジアで事業を展開するデバイスメーカに対して装置納入及びアフターサービスを展開しております。近年の中国を中心とした新興国市場が拡大しており、新興国における政治・経済・紛争など急激な変化が起きた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、毎月の経営会議で海外子会社の経営状況を把握するとともに、コンサルティング会社からの継続的な情報収集等により、中国の法規制等の動向を注視し必要な対策を講じております。現時点で新たな海外展開の具体的な計画はありませんが、海外展開にあたり、拠点はインフラの整備状況やサプライチェーンをはじめ生産コストや採算性等を総合的に判断して配置することとしております。特に新興国への進出ではそのリスクを慎重に検討した上で判断することとしております。
(7) 知的財産権によるリスク
当社グループは、真空技術を応用した薄膜形成装置の製造に関する特許を保有し、積極的に新規権利獲得に努めています。特に技術革新の著しい電子部品業界向けの生産設備であるため知的財産権は重要な経営資源の一つであり、知的財産権の保護、知的財産権にからむ紛争の回避は重要な経営課題であります。しかし、当社グループの知的財産権が第三者により無効とされる可能性、特定の地域で十分な保護が得られない可能性や知的財産権の対象が模倣される可能性もあります。このような場合、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、結果として第三者の特許を侵害するに至った場合やその他知的財産権に係る紛争が発生した場合には、当社グループの製品の生産・販売が制約を受けたり、損害賠償等の支払が発生することで当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、製品等の開発、製造、販売その他事業活動によって、第三者の知的財産権を侵害しないよう予め調査を行うとともに、継続的に他社特許出願・許諾状況をモニタリングし、リスクの回避に努めております。
(8) 外国為替変動によるリスク
当社グループの海外売上比率は約45%であり、海外にも子会社を有していることから、生産・販売活動が為替変動の影響を受けます。為替変動は、当社グループの外貨建取引から発生する収益・費用及び資産・負債の円換算額を変動させ、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、為替変動リスクを軽減させるため、原則として円建取引をしております。例外的に外貨建取引を行う場合には、為替変動を販売価格に反映させるよう努めております。
(9)災害・感染症等によるリスク
当社グループは、事業所所在地における災害の発生や感染症の流行等により、操業を停止する可能性があります。製造業の基本である安全と工場災害防止に注力していますが、想定を超える事態が発生した場合には、建物や設備の倒壊・破損による損害や感染症等による生産の中断等が発生した場合、顧客への納品が遅延すること等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、災害対策規程を整備して事態発生に備えるとともに、従業員の安全確保を第一にしつつ、災害や感染症の未然防止、早期復旧、取引先との良好な関係の構築に努め、リスク分散に取り組んでおります。
なお、2020年年初より顕在化した新型コロナウイルスの感染拡大における当社グループへの具体的な影響としては、海外渡航制限や日本を含む各国の入国制限などが実施されたことで、物流の停滞による資材調達の遅延発生や顧客の海外工場へ出張ができないことで装置の立ち上げ作業ができないことなどにより、生産計画の遅れという形で表れましたが、衛生管理の徹底や、時差出勤・在宅勤務等の実施による感染防止、中国子会社社員による日本からのリモート支援による装置立ち上げなどの取り組みにより、影響軽減に努めております。
(10)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業活動を通じて、生産技術、研究開発、調達、販売等に関する個人情報を含む機密情報を入手・保有しており、これらを情報システム上で管理しております。災害やサイバー攻撃等外的要因や人為的要因等により、障害等が生じると、重要な業務やサービスの停止、機密情報・データや個人情報の盗取や漏洩等のインシデントを引き起こし、事業活動の継続に支障をきたす等、当社グループ業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、情報システムのハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策を講じるとともに、社員の情報リテラシー向上のための教育・啓発を継続的に行っております。
(11)環境規制・気候変動に関するリスク
地球環境保全や気候変動対策は世界的な社会課題の一つであり、環境関連法令・規則や規制が将来さらに厳しくなる可能性や適用の範囲が拡大される可能性があります。これに対応するため当社グループに追加的な義務やコストが発生する可能性があります。また、対応不足や遅れにより、想定外の急速な脱炭素社会への移行に対応できないことで企業ブランドの低下を招くなど、当社グループ業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループは、ISO14001の国際規格に基づいた環境マネジメントシステムの運用等を通じて法令・規則や規制等を遵守するとともに、環境負荷の少ない製品開発、製造工程における省エネルギー・省資源に取り組んでおります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比べ11億33百万円減少し、143億34百万円となりました。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ10億19百万円減少し、105億57百万円になりました。これは主に現金及び預金が5億50百万円増加したものの、仕掛品が11億66百万円、売掛金が1億78百万円、受取手形が1億44百万円減少したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ1億13百万円減少し、37億77百万円になりました。これは主に減価償却により機械装置及び運搬具が1億32百万円減少したことによるものです。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ10億49百万円減少し、18億84百万円になりました。これは主に支払手形及び買掛金が4億62百万円、電子記録債務が5億63百万円減少したことによるものです。
固定負債は前連結会計年度末に比べ37百万円増加し、10億52百万円になりました。これは主に退職給付に係る
負債が30百万円増加したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ1億21百万円減少し、113億97百万円になりました。これは主に利益剰余金が2億71百万円減少したことによるものです。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、中東情勢の緊迫度合いが高まる中、資源や原材料価格の高止まり、各国のインフレ抑制に向けた金融引き締めに伴う景気後退懸念、不動産市場の悪化や消費低迷などによる中国経済の減速などの影響を受け、減速感が強まりました。
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類移行により、経済活動の正常化が進み、各種政策の効果や回復が続くインバウンド需要にも支えられ、緩やかな回復が継続しました。一方で、世界情勢の緊迫化や中国経済の先行き懸念、継続的な物価上昇による消費減速懸念、世界的な金融引き締めなどを背景とした海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクなど、先行きは不透明な状況で推移しました。
当社グループを取り巻く経営環境を見ると、高度情報化社会の進展に向けた電子部品業界の次世代製品開発の動きはあるものの、スマートフォンをはじめとする最終製品の需要回復が鈍く、主要取引先電子部品メーカの生産回復のペースは緩やかとなり、設備投資に対する姿勢は低調な状態が継続しました。
こうした環境の中、当社グループは、生産性やメンテナンス性を大幅に向上させた新型光学用装置や今年度市場投入した従来当社が対応していなかった工程向けに開発した水晶デバイス装置の販売促進、主要取引先電子部品メーカの次世代製品開発や省人化・自動化などによる生産性向上ニーズへの対応、新規先電子部品メーカへの積極的な営業活動に取り組みました。また、顧客からの依頼実験やサンプル成膜依頼に迅速、かつ積極的に取り組み、引合い案件の増加に努めました。このような取り組みを行った結果、第4四半期に一部の取引先から増産のための大口受注を獲得しました。
生産面では、受注予定案件を見据えた生産体制を整えるなど効率的な生産に努めましたが、一部の資機材供給制約の影響などによる当社製品納期の長期化、顧客事情による納品スケジュールの後倒しや大幅仕様変更による受注額減額の発生が売上高に影響しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、受注高は67億51百万円(前年同期比16.3%減)、売上高は74億63百万円(同26.3%減)となりました。
損益につきましては、経常利益2億43百万円(前年同期比77.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1億64百万円(同78.9%減)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
①真空技術応用装置事業
真空技術応用装置事業の受注高は41億86百万円(前年同期比26.5%減)、売上高は50億36百万円(同35.8%減)、セグメント利益は5億33百万円(同63.9%減)となりました。
業界別の状況は以下のとおりです。
(水晶デバイス装置)
水晶デバイス業界では、スマートフォンや基地局など通信分野向けの需要回復の遅れを受け、デバイスメーカの設備稼働率は低水準となり、設備投資姿勢は低調に推移しておりましたが、第4四半期に一部の海外デバイスメーカから増産に係る受注を獲得しました。売上に関しては、顧客の設備導入計画変更による納品スケジュールの後倒しや大幅仕様変更による受注額減額案件の発生が影響を及ぼしました。
水晶デバイス装置の受注高は7億93百万円(前年同期比46.0%減)、売上高は18億50百万円(同27.1%減)となりました。受注高については、第1四半期に受注済装置の顧客要請に基づく大幅仕様変更による3億63百万円の受注額減額がありました。
(光学装置)
光学業界では、スマートフォンを含む最終製品需要の回復が緩やかであることを受け、デバイスメーカの設備投資姿勢は低調に推移しておりましたが、第4四半期に一部の海外デバイスメーカから増産に係る大口受注を獲得しました。売上高に関しては、顧客工場の装置設置準備遅延などによる納品スケジュールの後倒しや大幅仕様変更による受注額減額案件の発生が影響を及ぼしました。
光学装置の受注高は19億66百万円(前年同期比20.1%減)、売上高は14億59百万円(同58.9%減)となりました。受注高については、第2四半期に受注済装置の顧客要請に基づく大幅仕様変更による89百万円の受注額減額がありました。
(電子部品装置・その他装置)
電子部品業界では、継続的な新規市場開拓を行うとともに、顧客との共同開発やサンプル成膜依頼に積極的に取り組むことを通じて受注獲得に努めましたが、第3四半期以降、引合い案件の受注時期の後倒し傾向が強まりました。売上高に関しては、顧客工場の装置設置準備遅延などによる納品スケジュールの後倒し案件の発生が影響を及ぼしました。
電子部品装置・その他装置の受注高は14億26百万円(前年同期比19.3%減)、売上高は17億26百万円(同1.9%減)となりました。
②サービス事業
サービス事業につきましては、ユーザーに対する定期的な稼働状況確認による潜在ニーズの掘り起こしや顧客への生産性向上提案を積極的に推進するなど、装置の改造工事受注、保守・メンテナンス受託や消耗品販売に努めた結果、第4四半期に海外光学デバイスメーカより生産性向上に係る大口改造工事の受注を獲得しました。一方で、総じてデバイスメーカの設備稼働率が低下していたため、年度を通じて消耗品販売は低調に推移しました。
サービス事業の受注高は25億64百万円(前年同期比8.1%増)、売上高は24億27百万円(同6.5%増)、セグメント利益は6億78百万円(同9.6%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ5億46百万円増加し、52億94百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金獲得は10億80百万円(前年同期比411.9%増)となりました。これは主に仕入債務の減少額10億23百万円などによる使用があったものの、棚卸資産の減少額11億58百万円、売上債権の減少額3億30百万円、減価償却費2億92百万円、税金等調整前当期純利益2億43百万円などによる獲得があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金支出は1億4百万円(前年同期比38.3%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出80百万円などがあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金支出は4億93百万円(前年同期比29.0%増)となりました。これは主に配当金の支払額4億34百万円などの支出があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
サービス事業内の改造工事については、前連結会計年度まで「修理・その他」に含めており、また、受注計上から売上計上までの期間が短期のものが中心であったため、売上高と同額を受注高として表示しておりましたが、複数台の大口改造工事受注など受注計上から売上計上までの期間が長期化する案件が前連結会計年度より発生しており、当初は前連結会計年度のみの事象と認識していたものの、当連結会計年度において今後も継続して発生することが見込まれることになったため、当連結会計年度より独立掲記するとともに、受注計上した金額を受注高として表示する方法に変更しております。これに伴い、前連結会計年度の金額を組み替えた上で、前年同期比率を算定しております。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額は販売価格によっております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社グループが連結財務諸表作成に際して採用している重要な会計方針及び重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
a.経営成績等
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」をご参照ください。
b.キャッシュ・フローの状況の分析
「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
c.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要は、運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要は、原材料等の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用等があります。設備投資資金需要は、機械装置等の取得等であります。これらの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金、金融機関からの借入及び社債発行により調達を行っております。
(1) 当社が技術援助等を与えている契約
(注) 対価として一定料率のロイヤリティーを受け取っております。
(2) その他
(注) 1.契約期間:1999年4月1日から2004年3月31日まで以後5年毎に自動継続
2.契約期間:1999年4月1日から2004年3月31日まで以後5年毎に自動継続
3.当社は商標使用料として売上総額(株式会社アルバック及びそのグループからの仕入高相当額を除く)の一定率を支払っております。
当社グループは、真空技術をベースにメカトロニクス・薄膜形成技術等の先端技術により、特に情報通信分野に適合した新製品の開発に注力するとともに、真空技術を要するマーケット動向を踏まえた要素技術、プロセス及び装置の開発を強化しております。
また、大学等研究開発機関や企業の研究部門などと連携し、新技術や製品量産化技術などを対象とした開発活動も行っております。
お客様の依頼に基づく受託実験に関しては、様々なタイプの実験装置を用意し、迅速かつニーズに応じた実験結果を提供することで、当社装置の販売につなげております。
当連結会計年度における研究開発活動は次のとおりであります。
水晶デバイス装置
5G、IoT、DXにAIが加わり、デジタル化の需要は依然として高度化しております。
水晶デバイス分野では、小型化・高周波対応・オールクォーツパッケージなどを目的とした生産工程のウエハプロセス化が注目されています。それに伴い、新たな加工プロセスや装置のウエハ対応化に取り組んでおり、2024年度中にウエハ平坦化のための新型トリミング装置販売開始を計画しております。
光学装置
AR/VR/MR機器には、DOE(回折光学素子)をはじめ多くの光学部品が搭載されます。当社は早くからこれら光学部品への成膜技術開発に取り組み、この成膜プロセスを実現する装置の開発に取り組んでおります。
また、反射防止効果や親水などの特徴を持つガラスの表面加工を実現する装置の開発も行っており、2024年度中に量産型加工装置の販売開始を計画しております。
電子部品・その他装置
モバイル通信機器に用いられるSAW・BAWフィルタ生産ラインの効率化を目指した電極形成用蒸着装置、アッシング装置、トリミング装置の開発を継続しております。特にこの分野は、受託実験の需要が高く、これら実験を通してカスタム性の高い装置の開発販売につなげております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、