文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 事業環境
当社を取り巻く事業環境は、引き続き不安定な国際情勢や物価上昇による世界経済への影響、急激な為替変動など、依然として先行き不透明な状況で推移するものと予想されます。しかし、半導体市場におきましては、各国の半導体産業の国家戦略化や、通信・データセンターなどの社会インフラへの中長期的な需要拡大を背景として大手半導体製造会社による設備投資が進行しており、半導体製造用の各種素材についても今後緩やかな回復が見込まれております。当社は、引き続き半導体の微細化や高集積化に対応する新規材料の研究開発、製造技術開発、品質管理の高度化、生産性の向上に取り組むとともに、拡大する需要に対応する生産能力増強を着実に進め、高品質製品の安定供給に努めてまいります。
② 中期経営計画の概要
当社は、当社の企業価値および株主共同の利益の向上のため、5ヵ年の中期経営計画「Beyond500」を策定し、2023年3月期からスタートさせています。
当計画では、「今後、さらなる需要拡大が見込まれる電子材料分野において、当社の長年培ってきた高純度合成、精製技術にさらに磨きをかけ、顧客品質を満たす安定供給体制を強化し、人・組織・事業の成長を果たし、世界No.1ダントツ企業として持続可能な脱炭素社会の実現に貢献する」コンセプトのもと、「顧客課題、技術課題一つ一つを真摯に捉え、独創的な視点で解決し、世界No.1ダントツの超高品質と生産性向上の両立により、未来を創る」というビジョンを掲げ、最終年度の数値目標である売上高500億円以上、営業利益80億円以上、営業利益率16%以上の実現に向けて取り組んでまいります。なお、上記の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来の業績を保証するものではありません。
本中期経営計画の全社戦略、セグメント別戦略は次の通りです。
■全社戦略
人材育成
・長期の継続的な事業拡大に向け、充実した仕事環境と人材育成環境への投資と実現
・タイムリーかつ自律的に意思決定できる組織機能の整備
・グローバルに事業を牽引する次世代リーダーの育成
技術戦略の強化
・顧客品質と生産性の両立を狙った、研究開発と製造技術の強化と連携
・世界随一の高純度製造技術や工程管理のDXによるリアルタイム見える化と、その活用による生産性の向上
・次世代技術の探求/要素技術開発/新規事業推進体制の充実
経営基盤の強化
・高機能性材料のサプライチェーンを支える安全技術力の向上
・機動的な設備投資を実現する財務体質の強化
・環境配慮型エネルギーマネジメントの実現とCO2原単位の削減
・地域貢献と多様性を尊重するマネジメントの実現
■セグメント戦略
感光材セグメントの戦略的な事業拡大
・拡大する需要を満たす充分な生産能力増強投資
・先端半導体を支える超高純度合成と生産性向上の両立
・顧客品質の実現に向け研究開発力を強化し、電子材料の技術革新に貢献する
化成品セグメントの事業強化
・先端半導体向け超高純度溶剤の品質・開発・安定供給体制の強化
・化学専業タンクターミナルの自動化促進と更なる顧客満足度向上
事業連携の強化
・不安定化するサプライチェーンに対し、タンクターミナル事業・超高純度精製能力・高純度合成力の連携を強化し、機能化学品の安定供給とサプライチェーン高付加価値化を実現
③ 分野別課題
■既存事業の競争力強化
長期に亘る継続的な事業拡大と競争力強化のためには人材の成長が欠かせない事から、仕事環境と人材育成環境の充実のための投資を行い、組織機能の整備と次世代リーダーの育成を図ってまいります。また、研究開発と製造技術開発の強化と連携を進め、品質管理の高度化、高純度製造技術や工程管理のDX活用による生産性の向上に取り組んでまいります。
■感光性材料事業、化成品事業(高純度溶剤)
今後、半導体市場は緩やかな回復が見込まれており、当社では需要拡大・事業成長に向けた設備投資・人員増強等の生産能力増強を戦略的に進めてまいります。また、引き続き半導体の微細化や高集積化に対応する新規材料の研究開発、製造技術開発、品質管理の高度化、生産性の向上に取り組み、高品質製品の安定供給に努めてまいります。
■化成品事業(香料材料)
香料材料市場においては、引き続きトイレタリー製品用途を中心に世界的な消費回復に伴う緩やかな需要拡大が続くと予測されており、当社では積極的な拡販と生産性向上に取り組んでまいります。
■化成品事業(ロジスティック)
国内の化学品物流市場は、石油化学関連企業の物流基地の統廃合が進んでおり引き続き厳しい事業環境が予想されますが、液体化学品を大都市消費地へ輸送する物流形態は今後も引き続き必要不可欠であります。当社は、お客様のニーズに柔軟な対応が可能な液体化学品総合物流基地として、安全操業と先端化学品の生産活動で蓄積した高度な品質管理技術を最大限に活かし、今後もお客様の信頼を獲得してまいります。
当社では、このような施策の実行により、企業価値の持続的な向上を実現してまいります。
当社は持続可能な社会の実現を重要課題として捉え、化学メーカーとしての責任(安全・環境)、素材産業としての責任(品質、安定供給)、人々の未来を支える責任(研究開発・人材育成・サステナビリティ)という3つの観点での活動を推進しております。
特に、気候変動関連につきましては、地球環境や社会の持続性の観点から、脱炭素社会への移行に貢献するとともに、当社の持続的成長を可能にするためにも、事業活動に伴う温室効果ガス排出の削減に努めてまいります。また人的資本関連につきましては、日々の企業活動を支える「人材」が何よりも大切であると考えており、多様性の確保や人材育成、働きやすい環境づくりを通じて、社員一人ひとりがイキイキと仕事にやりがいを持って働き、持てる力を最大限に発揮して、社会とともに成長できる組織づくりを目指してまいります。
なお、上記の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、保証するものではありません。
(1)気候変動関連
① ガバナンス
気候変動に関する問題を、サステナビリティ、リスクマネジメントの重要課題として認識しております。代表取締役社長を委員長とする環境安全委員会にて1年の総括および今年度の目標を設定し、リスク管理委員会にて取り組み状況の進捗報告・審議を行い、その内容は毎年一回、取締役会に報告され、取締役会の指示・監督のもと活動に取り組んでおります。
② 戦略
当社は、持続可能な社会の実現に向けて、CO₂排出の削減は重要課題と認識しております。施策の実効性を高めるには、定量的把握が不可欠なため、生産などの消費エネルギー(電気・蒸気・燃料)の可視化を図り、そのエネルギー原単位の推移を確認し、製造工程や設備を見直し、その改善状況を月次、四半期、半期、年次で確認することにより、エネルギー消費の最適化を図っております。2023年には、Scope3の算定準備を進め、Scope1+2削減のための目標(後述)を設定しました。当社製品に関わるGHG排出量を的確に把握することが必要なため、製品のカーボンフットプリント(原料採掘から製品生産までのGHG排出量)算定に関する取り組みも推進し、算定のシステム化も進めております。また、当社事業の「リスクと機会」については以下の通りです。当社では、事業における気候関連リスク・機会を特定・抽出し、それらの性質を評価しております。今後は特定したリスク・機会について分析を進めてまいります。
<リスク>
<機会>
温室効果ガス排出量削減に資する、再生可能エネルギーの活用、スマートグリッド、EVなどの最新技術を支える先端半導体向け当社製品の需要増加、精製技術を活用した溶剤リサイクルによる温室効果ガス排出削減などを事業拡大機会として捉えております。また当社は、再生可能エネルギー電力やエネルギー効率の良い装置の導入などを運営コスト削減の機会と考えております。
③リスク管理
気候変動の事業運営への影響を把握し、評価するため、気候変動リスク・機会を特定しております。特定したリスク・機会は戦略策定、事業運営に反映するよう努めており、リスク管理委員会などの会議体において対応を協議のうえ、その進捗は取締役会へ定期的に報告されております。また、エネルギー原単価を月次で確認し、コスト上昇影響の把握や対策、エネルギー使用量の低減に向けた設備の検討、損害保険会社によるリスク評価を参考に大規模災害リスク対策などを進めております。
今後も企業戦略に影響する気候変動を含めた世の中の動向や法制度・規制変更等の動向把握に努め、今後のリスク・機会等や施策進捗を踏まえ、戦略・施策等の検討を継続してまいります。
④指標及び目標
当社は気候変動に対応するため、環境負荷軽減のための目標を下記の通り設定いたしました。
これらの目標に向かって、電力量に注目し(CO₂排出量の約40%程度)グリーン電力化の計画を立案し、2023年には淡路工場で使用比率を30%から50%まで引き上げました。そのほか、月次でエネルギー消費確認と施策評価を行い、将来の革新的技術の導入も検討し、エネルギー消費削減や生産プロセス改善、非化石電力導入、省エネ設備の導入、再生エネルギー活用などを推進しております。目標達成のため、こうした取り組みを強化し、社会全体のカーボンニュートラルへ貢献していきます。
(2)人的資本関連
①ガバナンス
企業の持続的成長のためには、コーポレートガバナンスの強化が重要であり、各会議体の実効性を高めていく必要があります。今期は取締役会の実効性評価を踏まえた取締役会の運営と指名・報酬諮問委員会の運営に加え、経営会議、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会等の会議体と連携することで透明性の確保と適正化を図っております。また、重要な経営課題である安全文化のさらなる醸成に向けて、事業所ごとにチームビルディングと課題解決ワークショップを展開し、経営陣と従業員との対話の機会をつくっています。この対話を通じて現場の意見を経営が吸い上げ問題を解決していくことが、人材の価値を高めるとともにガバナンス強化につながると考えております。
②戦略
〈人事基本方針〉
当社は持続的成長に向け、「人材」が何よりも大切であると考え、チャレンジ精神、積極的な人材育成、オープン&フェア、安心して働ける職場環境の4つを人事基本方針として定めております。化学メーカーの責任として、安全操業は最重要課題であり、社員ひとり一人が安全を実感できる職場環境をつくるとともに、エンゲージメント向上につながる働きやすい環境づくりの推進と、個人の状況に合わせた育成を行っております。
〈ダイバーシティ&インクルージョン〉
当社は「人材」が何よりも大切な資本であると考え、ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、お互いの価値観や経験の違いを尊重し活かすことで、一人ひとりが持てる能力を最大限に発揮しイキイキ働くことができる企業文化の醸成を目指しています。人権方針に基づき、国籍、年齢、性別、中途採用者等による制限を設けず、公正な選考や評価に基づき多様性のある管理職や中核人材の登用に努めております。また、多様性への理解と相互連携を生み出す研修や子育て経験シェア会の開催、ワークライフバランスの観点での人事制度の見直しなど、性別に関係なく育児や介護などのライフスタイルに応じた柔軟な働き方が実現できるよう、社員の意見を聞く機会を設け、環境整備を進めております。
〈人材育成〉
人事基本方針のもと、社員が安心して働ける職場環境・制度を整え、事業成長と人材育成を両立できる体制づくりを目指しています。成長のベースとなるキャリア開発を考える機会を定期的につくり、自分の個性と強みを活かす自己成長を支援しています。能力開発については新入社員から上級管理職に至るまでの長期的な視点から、それぞれの段階で必要となるスキルを定め、学習・経験する機会を提供し成長を支援しています。階層別研修・マネジメント研修・リーダー育成・キャリア形成支援・チームビルディング等の施策を通して、持続可能な成長を実現するための個人と組織の成長につなげて参ります。

〈健康・安全〉
当社は、経営理念・行動指針で「安全を最優先」を掲げ、安全衛生方針のもと、従業員ひいてはその家族の幸せのため、心身ともに健康で安心して働くことのできる職場づくりを推進しております。従業員のメンタルヘルス不調の一次予防と職場環境改善にもつなげるため、エンゲージメントサーベイ(組織感情診断Ⓡ)、毎年のストレスチェックや心の健康管理教育の実施、各事業所の産業医による面談など、疾病の予防・未然防止に取り組んでおります。また全社員1人1個、「自分自身の健康を増進する・維持する施策」を立て実行し、健康意識の底上げにつながる施策を行っております。各種健康支援の推進にあたっては、経営会議において社員の健康課題の解決・改善に向けた様々な取り組みの方向性について議論し、健康増進施策を積極的に取り組んでおります。こうした健康経営体制の整備を進め、経済産業省が推進する「健康経営優良法人認定制度」に基づく健康経営優良法人(2024)の認定を受けました。
③リスク管理
人口動態や社会環境変化による人材確保や人材育成のリスク・機会の特定を行っております。特定したリスク・機会は、リスク管理委員会・人材育成会議にて報告・検討を行い、採用戦略や人材育成施策へ反映し対策を実施しております。コンプライアンス違反リスクに関しては、社内通報制度を設置するとともに、コンプライアンス委員会にて報告・検討を行うなど、啓蒙活動を含めたリスク低減活動を実施しております。なお、人的資本に関するこれらの活動は、取締役会へ定期的に報告されています。
また、年に1回実施しているエンゲージメントサーベイ(組織感情診断Ⓡ)と定期的に実施する管理職を対象とした360度フィードバックを通じて、「働きがい」と「働きやすさ」の現状把握と各組織の課題抽出を行っております。エンゲージメントサーベイ(組織感情診断Ⓡ)の回答率は全社員の97%と非常に高く、仕事のやりがいや主体性と成長実感などの効力感が年々改善しております。診断結果は期初の方針説明会で全社員に公開するとともに、各部門長を通じてメンバーへのフィードバックと必要な対策を実施しています。働きがいを向上させる取り組みの一つとして、年2回上司とメンバーによる目標管理育成面談と併せて 「キャリア自己申告制度」により従業員のキャリア希望を聞く機会を設けています。さらに社内の人材流動性と流出リスクの低減のため、オープンポジションに応募できる「社内公募制度」を導入し、従業員の自律的なキャリア構築に向けた支援を行っています。
人権尊重に関する取り組みについては、経営理念、経営方針および行動指針に基づく人権に関する最上位の方針として、「国際人権章典」および国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」に基づき、2024年2月「東洋合成工業株式会社 人権方針」を制定いたしました。人が生まれながらにして持つ人間らしく生きる権利を尊重することは、社会的責任の中核をなすものであり、人を大切し、人権尊重を全ての事業活動における基盤としています。
今後も企業戦略に影響する世の中の動向や法制度・規制変更等の動向把握に努め、施策の進捗状況、今後のリスク・機会等や施策進捗を踏まえ、戦略・施策等の検討を継続してまいります。
④指標及び目標
〈人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する方針の指標及び目標〉
(注)管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率についての実績は、「第1企業の状況 5従業員の状況 (3) 管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異」に記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
<感光性材料事業>
感光性材料事業の主力製品である感光性材料は、フォトレジストの原料として使用され、半導体、FPD(フラットパネルディスプレイ)の製造工程で使用されます。当事業製品は、グローバルに供給されており、世界的な経済事情とともに、半導体、FPD需要はエレクトロニクス製品の世界需要によるところが大きく、新たな通信技術、電子制御、および電子データを使用するマーケットの創出により、市場の需要が変化し、業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、ファインケミカルメーカー、半導体・FPD業界の再編等により、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
<化成品事業>
電子材料向け溶剤は、電子材料分野の需要動向、お客様の製造工程変更等による品種や仕様の変更があった場合、業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。
香料製品向けに使用する原料については天然系原料、石油系原料ともに天候や市況によりその価格に大きな変動を及ぼす可能性があります。
ロジスティック部門は、顧客サプライチェーンの多様化により為替変動の影響は軽微でありますが、景気変動により荷役量が減少した場合、当事業の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社で使用する主要な原材料並びに重油等の燃料は、市況により価格が変動します。これら原材料および燃料の価格が高騰した場合には製造原価の上昇につながり、この上昇をコストダウンで吸収しきれない場合、また市場の状況によって販売価格への反映が困難な場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度の海外直接売上高割合は34.4%でありますが、経済のグローバル化が一層進展する中で、感光性材料事業・化成品事業(主に香料材料分野)ともに、海外市場での営業展開は、事業の更なる発展にとって必要不可欠な課題と位置づけております。当社は、為替レート変動への対処策として、為替予約等によるリスクヘッジや海外から輸入する原材料の外貨建て決済化など、為替変動の直接的な影響の回避を図っておりますが、為替相場の急激な変動により、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業継続計画(BCP)に基づき一定の水準で製品在庫を保有しており、他業種に比較して、当社の在庫水準は高くなる傾向にあります。急激な販売増加により運転資金が増加する可能性や末端市場での急激な需要落ち込み等により余剰在庫が滞留することによる運転資金の増加の可能性があります。
当社は設備投資資金、および運転資金を銀行からの借入によって賄ってきたため、有利子負債の比率が高い水準となっております。当社は借入金比率の低減を図り、財務体質の強化に努める方針でありますが、急激な金利変動が生じた場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社は、企業活動と自然環境の保護・保全の調和を常に意識しながら、環境保全活動に積極的に取り組んでおります。しかしながら、米国のTRI(Toxic Release Inventory)が1986年に発足してから、環境に関する取り組みは規制型から監視型へ転換し、各企業の自主性を求め、それを公表するように促しております。データを公表することにより、近隣住民、NGO団体等からの厳しいチェックを受け、日常の企業活動に予期せぬ制約を受ける可能性があります。また、現行法上、特に規制を受けていない既存物質においても、新たに規制対象物質に組み込まれた場合、生産を始めとした企業活動に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社は、製造設備の停止による事業活動への影響を最小限に抑えるため、定期的な設備の点検および保守を行なっております。また、労働災害を予防するため、リスクアセスメントの結果に基づき対策を講じ、実施状況について監査を行うとともに、BCPを構築し、防災訓練などの緊急時対応訓練も定期的に行なっております。2012年9月には事業継続の認証であるBS-25999を取得(翌2013年9月、国際規格ISO022301へ移行)しており、高いレベルでのリスクマネジメントにも取り組んでおります。しかしながら、天変地異や不測の事故等により重大な損害を被った場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の様な未知の感染症の拡大により、当社の生産体制、物流体制、営業活動等の事業活動の継続に支障が生じた場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社の製品は、納入先との契約に従った品質検査だけではなく、当社においてより厳格な品質管理基準を設けるなど、厳格な品質管理を実施しております。また、感光性材料事業の製品、化成品事業の電子材料用途の製品、ならびに香料材料製品につきましては、上記の当社における品質検査のほか、お客様における受入品質検査を受けております。しかしながら、当社製品を原因とする問題が生じた場合、損害賠償等により、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社が現在展開している製造事業は、長年にわたって当社が蓄積してきた他社の製品や製造方法との差別化技術とノウハウとに基づき運営しております。当社は、それら技術又は製品若しくは事業の特性に応じて、特許権等産業財産権の取得又はノウハウとして秘匿するかを決定しております。しかしながら、当社保有の産業財産権の権利範囲外であっても、当社の製品と類似の機能を有するものが第三者から販売される可能性が有り、さらに当社の製造方法等の権利侵害の立証の困難な技術に関する産業財産権については、第三者による当社産業財産権の侵害を効果的に防止できない可能性もあります。そのような事態が発生した場合、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社が現在、開発・製造販売を展開している製品及び今後、開発・製造する新製品についても、企画開発段階から新製品に係る第三者の産業財産権の系統的な調査を行い、第三者の権利侵害を未然に防ぐよう努めております。しかしながら、当社における調査でも把握できなかった第三者の産業財産権を侵害した場合又はその疑いが生じた場合には、その権利保有者から当社の権利侵害を主張され、当社が損害賠償若しくは侵害被疑製品の製造販売の差し止めを請求され、又はロイヤルティ等の支払いを要求される可能性があります。そのような事態が発生した場合、当社の事業戦略や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点において経営に重大な影響を与える当社が侵害被疑者となっている産業財産権関連の訴訟はありません。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における世界経済は、インフレ抑制を目的とした金融引き締めが続く中、プラス成長で推移しました。サービス需要が好調な一方、製造業はインフレの長期化による消費の落ち込み、中国での景気減退や、利上げによる設備投資の減少等により1年を通して低迷が継続しました。
わが国経済は、円安を背景としたインバウンドや個人消費などのサービス需要が拡大し、緩やかな景気回復の動きが見られましたが、ウクライナ戦争の長期化、中東での紛争等による資源価格の高騰や急激な為替変動など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社事業の主要市場である電子材料業界は、世界的なインフレによる民生品向け需要の低迷が継続していましたが、下期以降はサプライチェーン上の在庫調整が進み、緩やかな回復が継続しました。
このような状況のなか、当社は、2023年3月期からスタートした、5ヵ年の中期経営計画「Beyond500」に基づき、需要回復が期待される半導体市場への供給力強化を推進しております。しかしながら当事業年度は、期初からの半導体需要の低迷と在庫調整などの影響を受け、売上高は31,956百万円(前期比△2,200百万円、△6.4%)と減少しました。利益面につきましては、売上減少の中、継続的な生産性改善やコスト抑制、在庫の削減などに取り組み、営業利益は3,512百万円(前期比△1,456百万円、△29.3%)、経常利益は3,393百万円(前期比△1,728百万円、△33.7%)、当期純利益は2,396百万円(前期比△1,430百万円、△37.4%)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(感光性材料事業)
半導体向け材料は、市場全体の低迷に伴い、上期にサプライチェーン上での在庫調整の影響を大きく受けました。下期以降は先端分野を中心に回復基調がみられたものの、全体としては緩やかな回復途上となっています。ディスプレイ向け材料は中国を中心とした大型パネル生産が軟調な中、一定レベルの需要が維持されましたが、半導体向け材料の売上減少をすべて補うまでには至りませんでした。
この結果、同事業の売上高は19,390百万円(前期比△1,463百万円、△7.0%)、営業利益は2,156百万円(前期比△1,149百万円、△34.8%)となりました。
(化成品事業)
電子材料関連製品は、期初からの景気減速や世界的なインフレによるスマートフォンやPCなどの民生品向け需要低迷の影響を受け、下期以降は在庫調整からの回復が続きましたが、前期比で売上は減少しました。
香料材料関連製品は、トイレタリー向け香料の需要が回復し、海外販売が好調に推移したことから、前期比では売上が増加しました。
ロジスティック関連は、基礎化学品の在庫調整や需要の弱さから荷動きの低迷が継続しているものの、旺盛なタンク需要によりタンク契約率は高水準で推移しました。
この結果、同事業の売上高は12,565百万円(前期比△736百万円、△5.5%)、営業利益は1,355百万円(前期比△306百万円、△18.4%)となりました。
当事業年度における総資産は59,517百万円となり、前事業年度末比8,412百万円の増加となりました。
流動資産は22,682百万円で、前事業年度末比997百万円の増加となりました。これは売掛金1,315百万円の増加などによるものであります。
固定資産は36,834百万円で、前事業年度末比7,414百万円の増加となりました。これは主に取得による増加10,160百万円、減価償却による減少2,898百万円などによるものであります。
流動負債は20,516百万円で、前事業年度末比965百万円の増加となりました。これは設備関係未払金2,048百万円の増加などによるものであります。
固定負債は17,174百万円で、前事業年度末比5,262百万円の増加となりました。これは主に、長期借入金5,099百万円の増加によるものであります。
純資産合計は21,825百万円で、前事業年度末比2,183百万円の増加となりました。これは主に当期純利益2,396百万円によるものであります。
当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ393百万円増加し、3,645百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益3,270百万円、減価償却費2,898百万円などにより4,572百万円の収入(前事業年度は3,659百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出7,307百万円などにより7,593百万円の支出(前事業年度は3,274百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入10,700百万円などにより3,596百万円の収入(前事業年度は406百万円の支出)となりました。
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
当社は、原則として見込み生産を行っております。
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りにあたり過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
また、当社が採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表」の「重要な会計方針」に記載しておりますが、特に次にかかげる重要な会計方針が、財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産の回収可能性の評価)
当社は繰延税金資産を認識するにあたり、将来減算一時差異に対して、予定される繰延税金負債の取崩、予測される将来の課税所得及びタックス・プランニングを考慮しております。将来の課税所得は事業計画を基礎としており、その進捗を加味して合理的に見積り、回収可能性を十分に検討した上で、回収見込額を計上しております。そこでの重要な仮定は、主に市場の需要予測及び生産計画であります。
繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積りによるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場の需要動向や当社の生産活動の状況及びその他の要因により変化します。
将来の課税所得見込額は、その時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。
・経営成績の分析
当事業年度の売上高は31,956百万円(前期比△2,200百万円、△6.4%)、営業利益は3,512百万円(前期比△1,456百万円、△29.3%)、経常利益は3,393百万円(前期比△1,728百万円、△33.7%)、当期純利益は2,396百万円(前期比△1,430百万円、△37.4%)となりました。
売上高および営業利益については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、売上高・利益ともに前期比減少となりました。
営業外収益から営業外費用を差引いた純額は、118百万円の費用計上となりました。内訳としては、補助金収入72百万円等があったものの、支払補償費178百万円等があったことによるものであります。この結果、当期の経常利益は3,393百万円(前期比△1,728百万円、△33.7%)となりました。
特別損失は123百万円の計上となりました。内訳としては、固定資産除却損123百万円の計上によるものであります。
以上の結果、税引前当期純利益は3,270百万円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を差引いた当期純利益は2,396百万円(前期比△1,430百万円、△37.4%)となりました。
・財政状態の分析
当事業年度の財政状態の分析につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
・キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しているとおりですが、市場環境の変動等、様々なリスク要因が当社の成長や経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は、常に新技術の動向や市場動向に留意しつつ、お客様ニーズに合致した製品を開発し提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因の低減を図ってまいります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入等の製造費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、生産設備の購入等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金、長期運転資金および設備投資は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は22,625百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は3,645百万円となっております。
該当事項はありません。
感光性材料事業においては、研究開発部門にて半導体及びFPDに用いられる感光性材およびその工業化プロセスの研究開発を工場に隣接した環境で研究開発から製品化までを一貫して短い期間で行う機能も備え、タイムリーな工業製品の供給を行っております。
化成品事業においては、感光材研究所と協働して、高純度溶剤、香料材料の新製品の開発、及び新技術、コストダウンのための研究開発を行っております。
新規事業分野においては、感光材研究所にてナノテクノロジー材料、ライフサイエンス関連材料、新規機能性材料などの研究開発を行っております。
各営業グループ、各工場、各事業部、および感光材研究所が一体となり、お客様ニーズに合致した製品を開発するため、お客様との共同研究、共同開発を精力的に推進しております。また、新規技術の獲得や評価等のために大学及び公的研究機関等との共同研究、共同開発も積極的に推進しております。
2024年3月期の研究開発費の総額は
感光性材料部門においては、高集積半導体デバイス加工、FPD等に使用されるフォトレジストの原材料となる感光材の開発ならびに工業化を推進しております。近年、先端LSIの領域では、厳しい品質管理が求められ、不純物メタルを低減することのみならず、製造工程の細部にわたる製造管理が求められており、このための材料開発、製造プロセスについても継続的な開発を続けております。
当社のコアテクノロジーである化学増幅型レジスト用材料の分野では、半導体製造プロセスで本格的量産が開始されたEUV用レジスト用材料などの先進材料の研究開発を行っております。上記のレジスト用材料の開発で培った高品質な精密合成技術を半導体、FPDの周辺材料分野にも展開し、新たな半導体、FPDを高機能化する材料の開発を推進しております。
電子材料関係に使用される高純度溶剤は、製造方法・リサイクル方法を中心に研究開発を行っております。また、集積回路の微細化に資するため、今後の更なる厳しい品質を見据えた製品開発を顧客企業とともに進めております。
香料材料関係では、高品質かつ安定した品質の合成香料の製造方法を中心に研究開発を行っております。競争力のある製品作りを主眼に既存製品の工程や原料の見直しを積極的に進めており、世界の大手香料会社から高い評価を得ています。
ナノテクノロジー分野は、光学部材などをはじめ、これから多くの市場を創造し、その成長性が期待されている分野です。当社は、光ナノインプリント樹脂の研究開発の成果を通して、お客様のこれらの製品の性能・機能の向上に貢献しております。
ライフサイエンス分野は21世紀の成長市場と期待されていますが、当社では、当社が保有する生体適合性ポリマーの光加工技術を駆使して、培養容器向け材料や化学物質の毒性検査、薬理スクリーニングや再生医療技術に有効な均質なスフェロイドの効率的な形成が可能な細胞培養プレートの開発のほか、当社保有技術を活用した当該分野への展開も鋭意進めております。
以上のように、当社は、化学による「ものづくり」の技術革新を通して、21世紀前半に花開くと期待されている様々な製品分野の開発に貢献しており、今後もお客様と共に、最先端で最高の機能・性能を追求してまいります。