当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
Ⅰ.当社グループのMission, Vision、中期経営計画
当社グループは、「ヘルスケアにおける新しい価値の創造を通じて、人々の健康と医療の未来に貢献する」というMissionのもと、医療領域にとどまることなく広くヘルスケア領域へと事業を展開しております。そのような中、当社グループを取り巻く事業環境は目まぐるしく変化しており、この変化に対応し、持続的な成長を遂げていくため、10年後のありたい姿として「グループが共有する経営資源を最大限活用し、共創・挑戦・イノベーションを通じて世界の社会課題を解決する」という新たなVisionを策定しました。さらに、このVisionおよびMissionの実現に向け、2026年3月期~2030年3月期の5か年の成長戦略として中期経営計画「H.U.2030」(以下、「本中計」)を策定いたしました。本中計は、経営計画・事業計画とサステナビリティ重要課題が一体化したものであり、当社グループは、本中計を通じて一層の成長と企業価値向上を目指してまいります。
Ⅱ.本中計の概要
①前中期経営計画(2021年3月期~2025年3月期)の振り返り
前中期経営計画(以下、「前中計」)において、4つの重要施策を掲げておりました。1つ目のH.U. Bioness Complexの安定稼働については、想定よりも時間を要したものの、2025年4月以降完全稼働しております。本中計において、H.U. Bioness Complexの完全稼働は、検査・関連サービス事業(以下、「LTS」)の生産性向上および、収益性改善に資するものと考えております。2つ目の固定費削減および収益性改善については、着手したものの未達に終わり、今後の課題と捉えております。今後の固定費削減についての詳細は、「イ 高収益体質への変革」にて後述いたしますが、本中計においても引き続き推進してまいります。3つ目のグループ一体化戦略の推進については、グループの営業機能の統合等、順調に進捗しております。今後は営業機能にとどまらず、グループ技術を活用した独自試薬の開発等も含め一体化経営を深化させ、さらなるグループシナジーを創出してまいります。最後に臨床検査薬事業(以下、「IVD」)のCDMO事業の拡大については、グローバルパートナーとの連携や項目の開発・拡充が順調に進んでおり、さらなる成長への準備が整いました。本中計においては、より一層収益の拡大を目指します。
②当社グループを取り巻く事業環境
高齢化は世界的な課題となっております。特に日本では、医療費が年々増加し、政府が医療費の抑制策を推し進めている影響で検体検査実施料も抑制され、国内の臨床検査市場は厳しい状況が続いております。一方、病院・病床の再編に伴い在宅医療・予防医療へのニーズが高まっており、さらに個別化医療や再生医療などの先進的な医療技術が発展し続けております。また政府による医療DXの推進やヘルスケアデータの利活用など、新たな事業機会も生まれてきております。
③本中計の内容
当社グループは、LTSとIVDを傘下に有する数少ない企業グループであり、そこにヘルスケア関連サービス事業(以下、「HS」)を加え、独自の強みを生かして一体化経営をさらに深化させることで、上述した事業環境の変化に柔軟かつ迅速に対応するとともに事業を成長させ企業価値の最大化を実現してまいります。
各事業においては、これまでの投資によって確立した基盤を活用して高収益体質へと変革していくほか、事業環境の変化に対応する中で、特にLTSにおいては未病・ヘルスケア領域の事業確立を目指します。各事業における高収益体質への変革に向けた取り組みの詳細については、後述する重点施策にて説明いたします。
また、本中計はこれまでの投資の刈り取りフェーズと位置付けており、キャッシュアロケーションについては、累進配当および機動的な自己株式の取得による株主還元を強化するとともに、資本効率の向上を目指してまいります。
④本中計におけるグループの重要施策
ア 一体化経営のさらなる深化
a 新規項目(NEURO等)のLTS/IVD同時導入による市場形成
新規検査項目を導入する際は、グループシナジーを最大化することで、顧客への提供価値の最大化を図ってまいります。具体的には、IVDにおいて、新規検査項目の早期開発から開発評価、承認取得を行うプロセスを進める傍ら、LTSでも開発の初期段階から当該検査項目の検証を開始し、IVDでの上市と同時に受託開始することで、いち早く市場ニーズに応えられる体制を構築します。このような仕組みにより、新規検査項目をデファクトスタンダード(事実上の標準)として確立させることで、市場そのものの形成を主導してまいります。なお、昨今の事例としては、新型コロナウイルス感染症への対応として開発したSARS-CoV-2抗原検査試薬や、特定のルミパルス試薬項目等において、迅速な連携による早期実用化を実証しており、今後はこのようなモデルを神経疾患関連領域(以下、「NEURO」)等の他の分野にも展開することで、検査項目をさらに拡充し、新たな市場を創出してまいります。
b グループ技術を活用した独自試薬の開発・導入と外販
国内において検査試薬を最も消費し、かつ検査のノウハウが蓄積されている株式会社エスアールエル(LTSにおいて受託臨床検査を行う当社連結子会社、以下、「SRL」)および数々の高品質な検査試薬を世に送り出してきたトラックレコードを持つIVDとの双方の強みを最大限に活かした試薬の開発・導入を進めます。具体的には、試薬ユーザーとしてのSRLのニーズを的確に把握したうえで、開発リスクを抑えた形でIVDが試薬を開発し、同時にSRLは試薬の評価を開始します。そうすることで、SRLの試薬コストの低減および早期の市場への導入が可能となります。さらに、開発した試薬を外販することでグループ全体としての市場シェア拡大を目指します。
開発する試薬に活用する技術は、狭義と広義の開発技術に分けられます。狭義の試薬開発技術、つまりルミパルス試薬における抗体抽出/精製に関わる技術を活用する場合、上市されたルミパルス試薬を業界トップシェアであるSRLが採用しているという信頼性を背景に、試薬の採用拡大につなげることが可能となります。一方、広義の試薬開発技術、つまりルミパルスに限定されない汎用的な技術(磁性粒子、洗浄等)については、遺伝子など特殊検査領域にも活用が可能で、このような検査領域についてSRLは圧倒的シェアを有しており、当社グループで開発した独自試薬をSRLが採用することによって、市場で実施される検査の大部分は当該試薬を使用した検査方法へと置き換わっていきます。結果として、デファクトスタンダードとなり、他社も追随して当社グループが開発・導入した試薬を採用し、結果的にさらに市場シェアを高めることにつながります。
前者の事例として、レニンやアルドステロン(いずれもルミパルス試薬項目)において、旧来のRIA(放射免疫測定:Radioimmunoassay)法からルミパルス試薬への置き換え、後者の事例として、一部の遺伝子関連検査における核酸抽出試薬(MagreNA®)の採用などで、そのプロセスの有効性が実証されております。今後、NEURO等においても同様のプロセスを推進し、当社グループ独自の一体化戦略による独自試薬の開発と導入を実現してまいります。さらに外販についても積極的に検討していきます。
なお、新型コロナパンデミック時に広く使用していたPCR試薬は外資系企業に依存していたため、一時的に供給が滞り検査継続が困難となった経験も背景に、独自試薬の開発を進めることはサプライチェーンの安定化にもつながると考えております。
c グループの顧客基盤の活用
2020年9月に株式会社エスアールエル、富士レビオ株式会社、日本ステリ株式会社の国内の営業・マーケティング機能を統合し、H.U.フロンティア株式会社(以下、「HUF」)を設立しました。
HUFは、グループの顧客基盤を活用し、臨床検査サービス、臨床検査薬の製造・販売、医療器材の滅菌サービスなどの多様な顧客ニーズに応じた総合ソリューションを提供しております。たとえば、LTSのみで取引のあった既存顧客に対するIVDやHSのサービス提案やクロスセルによる取引拡大が可能となっております。また、新規顧客に対しても、グループ全体のソリューションをワンストップで提供できる体制が整っており、競合に対する価格競争力の発揮などを通して、病院を中心とした顧客の拡大を目指します。
このように、グループ一体化による効果を最大限に活用した当社グループにしかできない事業展開を加速させ、顧客基盤を拡大するとともに、顧客への提供価値を向上させてまいります。
イ 高収益体質への変革
a LTSセグメントについて
完全稼働したH.U. Bioness Complexを中心としたラボ戦略および独自の商品戦略を実行し、高収益体質へと変革いたします。
ラボ戦略(開業医戦略)の一環として、SRL傘下の株式会社日本医学臨床検査研究所、株式会社北信臨床、株式会社エスアールエル北関東検査センターの統合をはじめ、地域ラボの再編を完了いたします。
H.U. Bioness Complexにおいては、稼働時間の延長(最大24時間)および現場DX・業務プロセスのAI化等を推進することにより生産性の向上を目指すとともに、事業フィールドを明確化し、一般検査よりも収益性の高い汎用特殊検査(免疫検査、自動機をメインとした項目等)は自動化による省力化を促進します。さらに、特殊検査は、高シェアを維持・拡大することにより収益を拡大させるほか、遺伝子検査関連は、独自項目での差別化と品質向上を進め、H.U. Bioness Complexの機能を最大限に活用いたします。
また、独自の商品戦略においては、事業環境の変化に対応した契約内容の最適化を行うとともに、一体化経営の一例として記載した自社グループで開発した試薬を導入し、試薬コストの削減を行ってまいります。さらに、診断・治療に直結する高付加価値項目を導入およびデファクトスタンダード化し、市場そのものを形成してまいります。
このような一体化経営の深化により、高収益体質への変革を実現いたします。
b IVDセグメントについて
前中計から引き続き、本中計においてもIVDの強みを活かすとともに、生産体制の拡充と社内リソースの再配置等によりCDMO事業の強化・拡大に取り組んでまいります。
グローバル戦略の一環として、継続的な研究開発活動を通じ、他社が保有しないユニークな検査項目の開発・製品化を進めてまいります。次に、ルミパルスのSRLや国内外での採用・評価を進め、臨床データの取得を通じ、新規製品の臨床的価値を実証し、価値が実証された項目・製品についてはCDMO事業を通じて世界に広げてまいります。
国内ルミパルス事業については、SRL顧客への拡販を強化してまいります。またマニュアル製品の選択と集中による固定費の最適化により、国内事業の成長と収益性の改善を図ってまいります。
海外ルミパルス事業については、地域と項目の選択と集中を行うとともに、すでにその独自性から世界で高い評価をいただいているアルツハイマー病関連項目に引き続き注力してまいります。特にアルツハイマー病をはじめとするNEUROで注目を集めてきたADx NeuroSciences N.V.が有する幅広い原料のポートフォリオを活用することで、NEURO項目のラインアップをさらに拡充し、同領域でのグローバルリーダーを目指してまいります。
さらにルミパルスの性能と機能を補完・進化させるべく、開発中の超高感度検出技術を用いた次期プラットフォームの開発を引き続き加速させてまいります。
c HSセグメントについて
滅菌・手術関連事業においては、医療機関の経営環境が厳しさを増し、医療従事者を含めた人員不足が大きな課題となっていく中、医療現場のニーズに応えるとともに、手術関連を中心とした医療現場の効率化やコスト削減に資するサービスを積極的に提案してまいります。
重点施策としては、一次洗浄規制緩和を契機とした滅菌事業モデルの変革と手術関連サービスの強化となります。具体的には、役務サービスについては、手術関連の高付加価値/高難易度業務へフォーカスし、病棟外来滅菌は標準化の推進および院外化へシフトすることで、総工数を管理・厳選し、手術関連サービス強化による顧客の収益性改善への寄与とサステナブルなサービス提供の両輪での成長を目指してまいります。
ウ 未病・ヘルスケア領域の事業確立
前中計では、健診代行サービスなどを通じて築き上げた健康保険組合との基盤を活用し、被保険者および被扶養者(サービス利用者)を対象とした未病や予防に焦点を当てたPHR「ウィズウェルネス®」の提供を開始しております。本PHRは、健康診断結果および検査結果を確認できるだけでなく、健康管理もできるアプリとなっており、2025年3月時点で25万人以上が利用しております。また、当社グループは、血液、尿、唾液等の検体を自身で採取して自宅から郵送し、検査結果を受け取ることができる郵送検査サービスも提供しており、未病・予防へとサービスを拡大しております。
一方、開業医を中心とした診療業務の一連の流れを集約し、医療現場における効率化をサポートするサービス「医‘sアシスト®」も展開しております。
本中計では、上述したこれらのサービスを連携させるとともに、他社とのアライアンスを活用することでウィズウェルネス®のサービス利用者をより一層増やし、未病・ヘルスケア領域の事業確立および収益化を目指してまいります。将来的には、蓄積されたデータを外部へ提供することにより収益化も検討してまいります。
エ キャピタルアロケーション最適化と資本効率向上
前中計では、LTSにおける効率的なオペレーション確立を目的としたH.U. Bioness Complex、IVDにおけるさらなる成長を実現するためのCDMO事業等、事業基盤の確立・強化に向けた積極的な設備投資を実施してまいりましたが、本中計では、株主の皆様への還元を強化してまいります。
そのため、本中計におけるキャピタルアロケーションについては、事業にて創出した営業キャッシュ・フローに加えて資産売却などで得られたキャッシュを、各事業におけるメンテナンス投資、累進配当、自己株式取得も含めた戦略投資(M&A/成長投資)および一定の有利子負債(リース債務含む)の返済に充当してまいります。
なお、株主還元についてはDOE(株主資本配当率)6%を目指し、累進配当を実施してまいります。また、機動的な自己株式取得の方針のもと、自己株式の取得を実施し、株主還元を強化いたします。一方、M&Aを含む成長分野への投資については、投資リターンを十分に精査したうえで実行してまいります。
また事業ポートフォリオ戦略およびROICに基づいたキャピタルアロケーションの最適化を実践するとともに、資本効率の向上を目指してまいります。なお、ROEおよび連結ROICに加え、事業セグメント別ROICをKPIとしてモニタリングしてまいります。また、投資案件については、事業リスクやカントリーリスクを考慮したハードルレート(8-24%)を設定し、投資管理を強化していくことで、ROEおよびROICの向上を目指してまいります。
⑤2030年3月期の経営数値目標
本中計においては、売上高の着実な成長と利益率の向上のみならず、資本効率の向上を目指し、下記の通り経営数値目標を掲げます。
|
指標 |
2025年3月期 |
2026年3月期 |
2030年3月期 |
|
ROE |
2.0% |
4.1% |
13%以上 |
|
営業キャッシュ・フロー |
220億円 |
220億円 |
※1,500億円以上 |
|
連結EBITDA (マージン) |
234億円 (9.6%) |
305億円 (12.1%) |
16%以上 |
|
LTS |
77億円 (5.0%) |
145億円 (9.1%) |
13%以上 |
|
IVD |
167億円 (27.6%) |
170億円 (28.3%) |
30%以上 |
|
HS |
35億円 (12.0%) |
35億円 (10.9%) |
10%以上 |
|
連結営業利益 (利益率) |
26億円 (1.1%) |
80億円 (3.2%) |
11%以上 |
|
LTS |
▲46億円 (▲3.0%) |
5億円 (0.3%) |
10%以上 |
|
IVD |
113億円 (18.8%) |
115億円 (19.2%) |
25%以上 |
|
HS |
18億円 (6.0%) |
18億円 (5.6%) |
8%以上 |
|
ROIC |
0.8% |
2.5% |
10%以上 |
|
LTS |
▲5.0% |
0.6% |
17%以上 |
|
IVD |
9.6% |
10.6% |
17%以上 |
|
HS |
14.3% |
14.2% |
25%以上 |
※5年累計の経営目標値
⑥持分法適用関連会社
(Baylor Genetics Holdings, Inc.およびBaylor Miraca Genetics Laboratories, LLC)
2025年3月末にBaylor Miraca Genetics Laboratories, LLCの全持分を保有する会社としてBaylor Genetics Holdings, Inc.が設立され、同時に外部からの優先株式による50百万米ドルの資金調達を実施しております。
また、2025年3月期につきましては、既存のパートナーシップからの売上拡大および新たなパートナーシップの獲得等により、がんや先天性疾患に関わる遺伝学的検査の受託数が増加し、増収となりました。2026年3月期につきましては、営業強化等による売上拡大を含めた市場シェア拡大を図るとともに、株式公開に向けて事業を推進してまいります。
(株式会社札幌ミライラボラトリーおよび株式会社札幌メディ・キャリー)
2021年6月10日付で、札幌臨床検査センター株式会社との間で、北海道札幌地域において共同で検体検査ラボ事業を行うための合弁会社および同地域において共同で臨床検査関連の集荷・物流事業を行うための合弁会社を設立し、2022年3月期より事業を開始しております。
(株式会社メディスケット)
2022年4月1日付で、株式会社メディパルホールディングスとの間で、医療・ヘルスケア領域における物流プラットフォームの構築に取り組むための物流合弁会社を設立し、自社の集荷・物流効率の向上のみならず、他社への集荷サービス提供の拡張を目指しています。具体的には、集荷コスト、両社のルート共通化により温室効果ガス、保有車両等の削減を目標としております。
⑦財務戦略と財務規律
前中計においては、安定的なキャッシュ・フローの創出と健全な財務規律の維持を重要なテーマとして掲げ、下記のとおり財務戦略を実行してまいりました。
1)キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善等による営業キャッシュ・フローの改善
2)ファイナンスリースおよび不動産ファイナンスの活用
3)不動産売却の推進
(財務規律)
|
|
2021年3月期(実績) |
2022年3月期(実績) |
2023年3月期(実績) |
2024年3月期(実績) |
2025年3月期(実績) |
2025年3月期 (目標) |
|
(リース債務を除く) 純有利子負債 |
0.6倍 |
0.17倍 |
0.45倍 |
1.79倍 |
1.26倍 |
1.3倍以下 (中計期間中2.5倍以下を維持する) |
|
自己資本比率(%) |
45.6% |
48.9% |
50.3% |
49.0% |
49.0% |
40%以上 |
本中計においても継続し、安定的なキャッシュ・フローの創出と健全な財務規律の維持を重要なテーマとして掲げ、下記のとおり財務戦略を実行してまいります。
1)キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善等による営業キャッシュ・フローの最大化
2)ファイナンスリースの機動的な活用
3)資産売却の実践
(財務規律)
|
|
2030年3月期 (目標) |
|
(リース債務を除く) 純有利子負債 |
1.3倍以下 |
|
自己資本比率(%) |
40%以上 |
Ⅲ.2026年3月期の計画
2026年3月期につきましては、新型コロナウイルス感染症関連検査の減少を見込むものの、ベース事業の成長および検査・関連サービス事業における収益性の改善、CDMO事業の伸長等により、下記のとおりとなる見込みです。
|
単位:億円(四捨五入) |
2025年3月期実績 |
2026年3月期予想 |
|
売上高 |
2,430 |
2,520 |
|
EBITDA※1 |
234 |
305 |
|
営業利益 |
26 |
80 |
|
経常利益 |
47 |
60 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
28 |
55 |
|
ROE |
2.0% |
4.1% |
|
ROIC※2 |
0.8% |
2.5% |
※1 EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費
※2 ROIC=NOPAT(営業利益-みなし法人税)/ 投下資本 [(純資産+有利子負債(リース債務含む)
+ その他の固定負債)の期首・期末残高の平均]
なお、業績の見通しにつきましては、本資料の発表日現在において入手可能な情報および将来の業績に影響を与える不確実な要因に係る本資料発表日現在における仮定を前提としております。実際の業績等は、今後様々な要因によってこれと大きく異なる結果となる可能性があります。
Ⅳ.株主還元と成長への投資
各事業から生み出される利益および資金につきましては、主たる配当のKPIとして連結自己資本配当率(DOE)6%を目指し、その上でキャッシュ・フロー、中長期的に健全な財務基盤の維持などを総合的に勘案した累進配当を実施してまいります。
また、自己株式の取得を「自社への戦略投資」と位置づけ、積極的かつ機動的に実施してまいります。
当社グループにおけるサステナビリティに関する考え方および取り組みの状況は、次のとおりであります。
(1)ガバナンスおよびリスク管理
①ガバナンス
1)サステナビリティ推進体制
当社グループは、当社の代表執行役社長が委員長を務める「H.U.グループ サステナビリティ委員会」(以下「同委員会」あるいは「サステナビリティ委員会」)において、サステナビリティに係る基本方針と活動計画を協議します。同委員会は、計画の実行にあたってグループ各社の活動状況をモニタリングするほか、サステナビリティに関わる社外の最新動向を収集・共有する役割も担います。同委員会のもと、関係各部門の本部長を責任者とする、活動テーマごとの5つの部会を設置し、サステナビリティ活動を推進しています。
当社グループは、指名委員会等設置会社として、監督と執行の明確な分離と事業を迅速に運用できる執行体制を確立しており、サステナビリティに関しても、同コーポレート・ガバナンス体制のもと活動を行っています。サステナビリティ委員会での議論・決議の内容は、当社の取締役会に報告されています。
2)サステナビリティにおける中長期的な重要課題および目標
当社グループでは、サステナビリティにおける重要課題(マテリアリティ)の解決に向け、サステナビリティ活動に関わるKPI(重要業績評価指標)および目標を、これまで「サステナビリティ・ロードマップ」として公表し、その達成に向けて取り組みを進めてきました。2024年3月期からの2か年のロードマップでは、CO2総排出量削減および男性の育児休業・休暇取得率が未達成だったものの、それ以外の9項目は達成しました。
当社グループのマテリアリティ(2025年3月期まで)
当社グループのサステナビリティ・ロードマップ
当社グループは、ダイナミック・マテリアリティの考えのもと、外部環境の変化や当社事業の状況、各課題への取り組みの進捗を踏まえながら、サステナビリティ委員会でマテリアリティをレビューし、更新の是非を判断しています。
従来のマテリアリティは2020年に特定され、必要に応じて更新されてきたものの、5年の間に大きな環境変化が生じたことから、2025年4月から始まる本中計の策定に同期し、経営計画・事業計画とサステナビリティ重要課題を一体化するのを機にマテリアリティの大幅な見直しを行いました。マテリアリティの特定にあたっては、当社グループの理念体系や本中計における議論など様々な視点から検討し、株主/機関投資家との対話による示唆などを踏まえ、経営レベルでの議論を重ね、サステナビリティ委員会と取締役会の承認を得て6つのマテリアリティを特定しました。
さらに、同様のプロセスを経て、MissionおよびVisionの実現に向けた非財務指標としてマテリアリティ毎にKPIを設定しました。当社グループは、企業価値向上に向け、当該非財務目標を2030年3月期末までに達成すべく取り組んでまいります。
当社グループの新たなマテリアリティと非財務目標(2026年3月期~2030年3月期)
②リスク管理
当社グループは、サステナビリティ関連のリスクを含めた当社およびグループ全体のリスク管理を統合的に推進し、グループをリスクから防衛することを目的にリスク管理委員会を設置しています。また、「自然災害および気候変動等に起因する事業活動の停止、制約等による影響」を重要なリスク項目として特定しています。詳細は、「
(2)重要な戦略ならびに指標および目標
①戦略
気候変動がもたらす自然災害の激甚化による建物や設備の損壊リスクおよび物流寸断等のサプライチェーンリスク、政策や法規制の厳格化、投資家をはじめとするステークホルダーからの情報開示要請等、当社グループ事業に関わるさまざまな変化が想定されることから、当社グループでは、マテリアリティ「環境負荷の低減」の構成要素の一つに「気候変動」を特定しています。
気候変動への取り組みについては、当社の総務本部長を責任者とする「環境・エネルギー部会」が計画を策定し実行しています。また、目標設定などの重要事項は、サステナビリティ委員会で協議され、適宜、取締役会に報告されています。
環境・エネルギー領域の体制
気候変動に関連したリスク・機会に関する情報開示の高まりを受け、当社グループは、2021年11月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言への賛同を表明しました。TCFDの提言に基づく情報開示として、不確実性の高い気候変動の影響を捉えるため、シナリオ分析を行いリスクと機会を定性的に評価しています。検討に際しては、移行リスクが大きくなる世界(1.5℃、2℃)、物理的リスクが大きくなる世界(4℃)を想定し、発生し得る事象を整理しました。各事象への備えとして、「短期:1年」「中期:5年」「長期:10年」の時間軸を設定し、事業への潜在的影響および対応事項を整理するとともに、事業リスクおよび機会について分析しました。
TCFD提言に基づく気候変動シナリオ分析
②指標および目標
当社グループは、パリ協定および大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを踏まえ、気候変動や循環型社会に対する中長期目標を策定し、取り組みを進めています。
特に深刻さが増す気候変動に関し、世界的な危機認識の高まりを受け、当社グループでは、2050年にCO2(Scope1・2)の排出量をネットゼロとする目標を掲げ、当該目標達成に向けて取り組みを加速させています。
当社グループのCO2排出量削減の中長期目標
(3)人的資本に関する戦略ならびに指標および目標
①戦略
H.U.グループがMission,Visionを実現するためには、変革に挑戦することが求められます。そして、変革のドライバーとなるのは「人(従業員)」であり、従業員の意識と行動を変えていくことでヘルスケアにおける新しい価値が創造できると考えています。このため、人的資本に関するマテリアリティ(新たな価値を創出する人財の育成)を特定し、「人を想い、人が高める」をキーワードに、多様かつ健康で活性化された組織風土づくりに取り組んでいます。
また、組織への定着を図るため、これらの考え方を「人権方針」「ダイバーシティ方針」「労働安全衛生方針」「人財育成方針」として定め、統一した認識のもと、組織的・体系的に推進しています。
これらの方針の詳細については、当社ホームページをご参照ください。
https://www.hugp.com/sustainable/humanrights.html
[社内環境整備に関する取り組み事例]
当社グループでは、多様な人財一人ひとりが健康でいきいきと活躍できる環境の整備に努めています。
<人事制度の改定・浸透>
2024年4月から人事制度を抜本的に見直し、複線型のキャリアの設置やジョブディスクリプション・職種別の期待行動の明示等を通して、社員への期待を明確化しました。加えて、管理職による部下の評価・フィードバック状況を把握する仕組みの導入や賞与の変動割合の拡大を実施したことについて社員への理解浸透を図っています。
上記の施策により、2024年4月から今まで以上に個々人の貢献に報い、本人の成長・納得感が得られるような透明性の高い制度運用を進めております。
<ダイバーシティ>
当社グループのダイバーシティ方針では、多様な人財一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮し、革新を生み出すことで、新たな価値を創造することを表明しています。
ダイバーシティ推進の一環として、「課長以上の女性管理職比率」および「男性の育児休業・休暇取得率」をKPIに設定し、社長直轄のダイバーシティ専任組織を中心に、グループ各社の関係者が一丸となって取り組んでいます。
2025年3月期は、アンコンシャスバイアス、LGBTQ、育児・介護に関する教育を強化するとともに、著名人によるダイバーシティ講演会の開催など、様々な取り組みを実施することを通じて、一人ひとりがより活躍できる職場づくりを推進し、グループ全体の風土醸成を図っています。
その成果の一つとして、日本最大のD&Iアワードである「D&I Award 2024」において、最高評価の「ベストワークプレイス」に認定されました。
詳細については、当社プレスリリースをご参照ください。
https://www.hugp.com/news/202412/20241219_news.pdf
<健康経営>
当社グループでは、社名の由来である“Healthcare for You”「一人ひとりと向き合い、全ての人に最適なヘルスケアを届ける」を社内でも実現すべく、従業員やその家族についても、メンタルおよびフィジカルの両面から様々な施策を推進しています。
2019年に「健康宣言」を明文化、2020年には健康経営推進室(現 健康経営推進部)を設置、2021年には健康管理センター設置と女性分科会の発足、2023年には健康経営白書を発行するなど、年々取り組みを強化してまいりました。
その結果として、健康経営優良法人大規模法人部門を6年連続で認定を受けたことに加え、2024年に引き続き2年連続で健康経営銘柄に選定されました。
現在グループ会社全体で、健康経営優良法人大規模法人部門では7社(うち、当社を含むグループ4社が4年連続、1社が今年初めてホワイト500に認定)、中小規模法人部門では3社(うち1社が今年初めてブライト500を取得)、グループ計10社が健康経営優良法人として認定されています。
詳細については、当社プレスリリースをご参照ください。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4544/tdnet/2579141/00.pdf
②指標および目標
人的資本については、2024年3月期と2025年3月期の2か年分の目標を設定し、さらなる取り組みを進めてきました。男性育児休養・休暇取得率が、前年と同様に高い水準であるものの目標未達となっています。一方、他の各指標については2025年3月期の目標値を達成しました。
人的資本に関する当社グループのサステナビリティ・ロードマップ(主要部分)
(2024年3月期~2025年3月期)
2026年3月期以降は、本中計とともに改定されたマテリアリティに基づき、男性育児休業・休暇取得率およびエンゲージメントサーベイにおける2項目(企業理念への共感・成長の機会)を全社目標として5か年目標を設定し、H.U.グループ一体となって達成を目指します。
人的資本に関する当社グループの非財務目標(主要部分)
(2026年3月期~2030年3月期)
リスクマネジメントの基本的な考え方と管理体制
H.U.グループは、当社およびグループ各社におけるリスクマネジメント体制を「リスク管理規程」に定め、グループとして統一した方針のもと、リスク管理を推進しています。
当社は、当社およびグループ全体のリスク管理を統合的に推進し、グループをリスクから防衛することを目的にリスク管理委員会を設置しています。CFOを委員長、代表執行役を除く執行役を委員として構成し、年1回以上の頻度で開催してその結果を取締役会に報告しています。具体的な活動は以下のとおりです。
(1)グループ各社のリスク管理状況の統括管理
(2)グループ全体に関するリスクおよび経営者による不正リスクの識別とコントロールの実行管理
(3)開示すべきリスクの識別とコントロールの実行管理
(4)当社のリスク管理に関する事項
また、当社およびグループ各社は、リスク管理委員会または経営会議等においてリスク管理を行っています。そのプロセスについては、リスクの識別、全社的か業務プロセス単位かといったリスクの分類、顕在化する可能性および影響の大きさに基づくリスクの分析・評価、リスク対応のステップに分けており、具体的にはRCM(リスクコントロールマトリックス)を用いて管理し、当社のリスク管理委員会に年1回以上報告しています。
当社のリスク管理委員会において、グループ各社のリスク管理状況を勘案した上で、グループ全体に関する「特に重要なリスク」と「重要なリスク」を特定しております。
グループリスク管理の枠組み
個別のリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
特に重要なリスク
(1) 情報の取扱および情報システムに関するリスク
当社グループは大量の患者個人情報やその検査データを保有しているため、そのセキュリティの確保と個人情報保護法の遵守体制構築は経営の重要課題の一つであります。その一環として、株式会社エスアールエル、H.U.フロンティア株式会社ならびに日本ステリ株式会社、および当社グループ会社6社では、プライバシーマーク認証を取得しております。また、情報システムのセキュリティ対策として臨床検査事業システムに関する運用業務においてISMSおよびISO/IEC27001の認証を取得しております。また、当社グループは、事業遂行に関連して複数の情報システムを利用しており、これら情報システムについて安定的な運用に努め、老朽化システムの改修・更新対応も含め、情報漏洩防止に資する情報システムの構築と運用ルールの周知徹底を推進しております。
しかしながら、ソフトウェア・ハードウェアの不具合、人為的ミス、災害、犯罪行為、サイバー攻撃、コンピューターウィルス侵入、テロ等により情報システムが正常に作動せず、その結果、個人情報の流出、サービスの大規模な停止、誤請求、検査報告の遅延やデータの消失等が生じた場合、当社グループおよび、その製品・サービスに対する信頼性が失墜し、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは業務遂行に関連して情報システムの開発を行っております。システム開発に当たっては必要に応じて第三者による外部評価を行う等、プロジェクトマネジメントの強化に注力しております。ただし、人財の確保が予定通り進まなかった場合、開発計画の進捗が滞った場合、開発コストが増大した場合、あるいは計画された機能を実現できない等の場合には、当社グループの業務遂行に支障をきたす可能性や、開発にかかったコストを回収できない可能性があります。
(2) 精度管理および品質保証に関するリスク
検査・関連サービス事業における精度管理は、検査結果の正確性を維持するために最も重要な事項であります。当社グループの主要な検査・関連サービス事業会社は、日本医師会、日本臨床検査技師会、日本衛生検査所協会等の各種公的機関等の外部精度管理に参加し、精度管理の徹底に努めております。また、一般財団法人医療関連サービス振興会主催のサービスマーク、米国臨床病理医協会(CAP)、米国臨床検査室改善法(CLIA)およびISO15189の認定を取得するなど社内体制の構築にも注力しております。検査・関連サービス事業における過誤に関しては、発生事案を早期に把握し原因究明および対応策を検討出来る体制を整備するとともに、手順の改善や自動化、社員教育の徹底等、再発防止に努めております。
臨床検査薬事業に関しても、社内の品質保証体制を整備し、製品の品質向上に努めております。当社グループの主要な臨床検査薬事業会社は、国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO13485の認証を取得しております。
ヘルスケア関連サービス事業における滅菌関連事業においても、提供するサービスの品質向上に努めており、主要な滅菌センターにおいて、国際的な品質マネジメントシステム規格であるISO9001の認証を取得しております。
しかしながら、人為的ミスや不測の事態により製品/サービスの品質が担保できない場合には、当社グループの信頼性が損なわれることにより、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 研究開発および技術革新に関するリスク
当社グループは効率的かつ迅速な新製品および新技術の開発のため研究開発投資を継続的に行っております。このため、H.U.グループ中央研究所を設立し、基礎研究活動の効率化とスピードアップおよび情報の一元化を進めるとともに、国内外への学会参加のほか、必要に応じ第三者の意見を取り入れること等により、市場動向や技術動向の情報収集を積極的に行っております。また、社内での研究開発の進捗について定期的にレビューを行うなど管理体制の強化を行っております。
しかしながら、人財確保ができなかった等の理由により、研究開発において想定した成果が十分かつ迅速にもたらされない、あるいは競合他社に技術開発を先行されてしまう可能性があります。また研究開発の途上において有効性・安全性等の薬事承認に必要とされる基準に満たない等の事由によって研究開発を断念せざるを得ない場合があり、それまでにかかったコストを回収できない可能性や、研究開発方針の見直しを余儀なくされる可能性があります。さらに、技術革新が急速に進展し、その対応が遅れた場合、当社グループの製品/サービスまたはビジネスモデルの競争力が著しく低下することにより、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 人的資本に関するリスク
当社グループは『会社の力とは、個人の力の総和である』を人事理念に掲げ、事業活動における最も重要な経営資源は人財であることを謳っております。この理念に基づき、優秀な人財確保のための人事制度の整備や、人財育成のためのキャリア形成施策の実施、そして従業員が最大限に能力を発揮できる働きやすい職場環境づくりを進めております。
しかしながら、これらの取り組みが十分に機能しない場合や、国内の少子高齢化の影響、国内外の労働市場の変化などにより、優秀な人財の確保が困難となる、あるいは人財の流出が生じる可能性があります。また、人財育成が計画どおりに進まないこと等により事業活動に支障をきたし、当社グループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(5) 人為災害および感染症等に起因する事業活動の停止、制約等による影響
当社グループの各事業所において、火災、労働争議、設備事故等、人為的な災害が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、感染力が強くかつ深刻な健康被害をもたらす感染症の蔓延(パンデミック)等により、操業に支障が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(6) 自然災害および気候変動等に起因する事業活動の停止、制約等による影響
当社グループの各事業所あるいは顧客である医療機関等が大規模な台風、地震等の自然災害に見舞われた場合に備え、事業継続計画(BCP)を整備し、非常用設備や備品の配置等を行っております。
また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、気候変動が当社グループに与える事業リスクと事業機会について評価、分析を進め、事業戦略への反映と情報開示を推進していくとともに、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献する取り組みを進めております。
しかしながら、気候変動に伴う自然災害等の物理的被害が甚大化した場合、あるいは温室効果ガスの排出規制等が想定以上に強化された場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 製品/サービスの供給に関するリスク
当社グループは、製品/サービスの安定した供給体制の維持に努めております。また、当社グループの事業活動に必要となる原材料や資材等の調達についても、仕入先の分散化等、安定的な調達体制の構築を進めております。
しかしながら、製品/サービスの供給における業務プロセスに遅延や不具合が生じることや、急激な需要の増加や不測の事態等により当社グループや仕入先の供給体制が停止あるいは供給能力が不足することにより、当社グループが安定的な製品/サービスの提供を継続することが出来なくなった場合、あるいは、急激な人件費や原材料等の高騰の影響を価格転嫁できなかった場合には、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 減損会計適用に関するリスク
当社グループは、のれんをはじめとする有形・無形の固定資産および投資有価証券等を所有しております。これらのうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目は、エスアールエル社の臨床検査資産グループにおける有形および無形固定資産51,838百万円(連結総資産の18.5%)ならびにBaylor Genetics Holdings, Inc.に対する投資有価証券947百万円(連結総資産の0.3%)およびBaylor Miraca Genetics Laboratories, LLCに対する貸付金4,859百万円(連結総資産の1.7%)であります。
これらの資産の評価においては、会計上の見積りを必要としており、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
重要なリスク
(9) 企業買収等(M&A)に関するリスク
当社グループは、成長戦略のひとつとして、既存事業の関連分野におけるM&Aを国内外において検討・実施しており、これにより企業価値の向上を目指しております。
M&Aの実施に当たっては、事前に収益性や投資回収可能性に関する調査および検討を各事業会社および、当社専門部署にて行っており、必要に応じて弁護士、会計士等の社外の専門家の助言を受けております。
しかしながら、買収後における事業環境の急変や想定外の事態の発生等により、買収事業が所期の目標どおりに推移せず、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 知的財産権に関するリスク
当社グループの製品は、物質・製法など複数の特許によって、一定期間保護されています。当社グループでは、特許権を含む知的財産権を適正に管理し、他者からの侵害に対しても常に注意を払っており、グループ内の知的財産管理機能を当社に集約し専門性を高める等、管理体制の強化を図っております。
しかしながら、保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。また、当社グループの製品が他者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償を請求される可能性があります。
(11) 法的規制等に関するリスク
当社グループの事業活動は、国内では医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律ならびに関連する法律等の、また、海外ではFDA等による法的規制に服しています。当社グループはこれらの法規制等の改正動向につき、常時積極的な情報収集に努めるとともに、適時対応策の検討を行っておりますが、将来において、法律の改正や規制強化等が行われる場合には、当社グループの事業活動への制限や事業運営に係るコスト増加につながる可能性があります。
(12) 市場環境の変化による影響
医療制度の大きな改革が継続的に進められるなか、当社グループの事業環境は、市場における他社との競合なども加わり、一段と厳しさを増しております。当社グループでは市場および競合動向の情報収集および分析評価を継続的に行い、既存ビジネスの競争力強化のための施策や、新規ビジネス展開等に活用しておりますが、市場環境の変化、各国の医療費抑制の政策や、開発、製造および流通に関わる諸規制の厳格化等は市場価格に影響を及ぼしており、今後もその傾向は続くものと予想され、それにより当社グループの業績および財政状態に悪影響を受ける可能性があります。
(13) 海外事業展開に関するリスク
当社グループは、日本国内のほか、北米・欧州・アジアおよびその他の地域における事業活動を積極的に展開しており、海外事業の戦略的重要度が高まっております。かかる海外地域における市場の変化、景気の後退、政情の変化、経済制裁の発動、労務問題、文化や商慣習の相違、その他の政治的および社会的要因、産業基盤の脆弱性、公衆衛生上の問題、法規制等の変更、税制の変更、テロ・紛争等の発生、感染性疾病の流行や災害の発生等について、現地事業拠点と当社担当部署が連携し常時情報収集を行い、即時の対応が出来るよう努めておりますが、これらの事案が発生した場合には、当社の業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14) 繰延税金資産の回収可能性に係るリスク
繰延税金資産の評価に用いる将来の一時差異等加減算前課税所得の見積りは、当社の包括的な承認を得た翌連結会計年度予算および中期経営計画の数値を、過去の達成状況を踏まえて修正し、当連結会計年度の臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得・税務上の欠損金の発生状況を考慮して算定しております。
繰延税金資産の評価には、翌連結会計年度予算および中期経営計画の達成状況が影響します。翌連結会計年度の業績が予算を大きく下回る場合には、繰延税金資産を減額する可能性があり、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15) 経営戦略の実行に伴うリスク
中期計画における各年度の目標数値は、当社の経営目標を表す将来予想であり、これらの取組みを実施し、目標を達成する能力は、上記(1)から(14)までに記載のリスクおよび不確実性、特に、想定を上回る競争の激化やそれに伴う市場価格の下落、研究開発投資の不奏功、顧客ニーズの変化、アライアンスの不調、国内外の医療制度の想定を上回る変更、海外事業展開および為替変動に関するリスクの顕在化の影響を受ける可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善等により、経済活動は緩やかな回復基調となりました。しかしながら、世界情勢の変動を背景とした原材料価格やエネルギー価格の高騰や為替相場における円の乱高下、中国経済の先行き懸念等、先行き不透明な状況が続きました。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、医療機関の経営状況の悪化や医療費の削減要請に伴う検体検査実施料の抑制等、厳しい事業環境が継続しております。
このような環境の中、当社グループといたしましては、ベース事業の成長およびH.U. Bioness Complexを中心とした収益性改善によってアフターコロナに最適なコスト構造の構築に注力し、安定的に事業を継続するための経営基盤の強化に取り組んできました。
これらの結果といたしまして、当連結会計年度の売上高は243,025百万円(前期比2.6%増)となりました。主な増収要因は検査・サービス事業の伸長です。
利益では、増収による増益に加えて、検査・関連サービス事業における収益性改善施策の効果が徐々に発現したこと等により増益となりました。その結果、営業利益は2,640百万円(前期は営業損失4,043百万円)となりました。営業利益の増益に加えて、出資金運用益の計上および持分法による投資損失の改善等により、経常利益は4,742百万円(前期は経常損失7,241百万円)となりました。また、経常利益の増益に加えて、特別利益として補償損失引当金戻入額、特別損失として関係会社整理損を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は2,761百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失7,553百万円)となりました。
① 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等
当社グループでは、将来の飛躍的かつ持続的な成長と収益力向上の観点から、連結売上高、連結営業利益およびEBITDAを、株主資本の効率的な運用の観点からROE(株主資本利益率)を、投下資本に対する収益性向上の観点からROIC(投下資本利益率)を、それぞれ重要な経営指標と位置付けています。
当連結会計年度の実績は、連結売上高が243,025百万円、連結営業利益が2,640百万円、EBITDAが23,387百万円、ROEが2.0%、ROICが0.8%となっております。
なお、個別プロジェクトの投資判断については、CEOの諮問機関である投資委員会が各案件の妥当性確認や論点整理をするなど、決裁前の事前審査機能の強化を図るとともに、投資後のモニタリングを実施しています。投資案件の評価においては、資本コストに一定の事業リスクを反映したハードルレートを用いた評価を実施し、各事業部門に資本コストを意識した投資を促すとともに、これを上回るリターンの創出による中長期的な企業価値向上への寄与を重視しております。
② セグメントごとの経営成績
イ.検査・関連サービス事業(LTS)
売上では、新型コロナウイルス関連検査売上高が減少したものの、がんゲノムを始めとした遺伝子関連検査を含むベース事業が伸長したことにより増収となりました。これらの結果、売上高は153,014百万円(前期比4.3%増)となりました。利益では、ベース事業の増収による増益に加えて収益性改善施策の効果が徐々に発現したことにより、営業損失は4,638百万円(前期は営業損失12,512百万円)となりました。
ロ.臨床検査薬事業(IVD)
売上では、海外におけるNeuro試薬の伸長および円安による為替の影響があったものの、主に新型コロナウイルス関連製品の売上高が減少したことにより減収となりました。これらの結果、売上高は60,492百万円(前期比2.3%減)となりました。利益では、主に新型コロナウイルス関連売上高の減収による減益により、営業利益は11,345百万円(前期比12.2%減)となりました。
ハ.ヘルスケア関連サービス事業(HS)
売上では、滅菌関連事業が伸長した結果、売上高は29,518百万円(前期比4.3%増)となりました。利益では、増収による増益および滅菌関連事業における収益性改善等により、営業利益は1,777百万円(前期比33.0%増)となりました。
③ 生産、受注および販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
検査・関連サービス事業(百万円) |
150,529 |
103.8 |
|
臨床検査薬事業(百万円) |
84,984 |
94.9 |
|
ヘルスケア関連サービス事業(百万円) |
27,432 |
103.5 |
|
合計(百万円) |
262,946 |
100.7 |
(注)金額は、販売価格換算によっております。
ロ.受注実績
当社グループは、役務又は商品等の受注から完了又は納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため記載を省略しております。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
検査・関連サービス事業(百万円) |
153,014 |
104.3 |
|
臨床検査薬事業(百万円) |
60,492 |
97.7 |
|
ヘルスケア関連サービス事業(百万円) |
29,518 |
104.3 |
|
合計(百万円) |
243,025 |
102.6 |
(注)主要な販売先については、総販売実績に対する割合が10%以上に該当する販売先がありませんので、記載を省略しております。
(2)財政状態の分析
|
|
前連結会計年度 (2024年3月31日) |
当連結会計年度 (2025年3月31日) |
増減 |
|
資産合計(百万円) |
290,849 |
279,582 |
△11,267 |
|
負債合計(百万円) |
148,344 |
142,287 |
△6,057 |
|
純資産合計(百万円) |
142,505 |
137,295 |
△5,209 |
|
自己資本比率(%) |
49.0 |
49.0 |
0.0 |
(資産)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ11,267百万円減少し、279,582百万円となりました。その主な要因は、リース資産(純額)の増加4,905百万円、長期貸付金の増加4,808百万円および繰延税金資産の増加3,431百万円があった一方、機械装置及び運搬具(純額)の減少6,236百万円、投資有価証券の減少4,636百万円、工具、器具及び備品(純額)の減少2,870百万円、流動資産その他の減少2,856百万円、建物及び構築物(純額)の減少2,195百万円、投資その他の資産その他の減少1,543百万円、原材料及び貯蔵品の減少1,255百万円および建設仮勘定の減少1,026百万円があったためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ6,057百万円減少し、142,287百万円となりました。その主な要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加10,045百万円、短期借入金の増加10,000百万円およびリース債務(固定)の増加3,859百万円があった一方、1年内償還予定の社債の減少10,000百万円、長期借入金の減少9,817百万円、未払金の減少6,150百万円および固定負債その他の減少4,362百万円があったためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ5,209百万円減少し、137,295百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益2,761百万円があった一方、配当金の支払7,151百万円およびその他有価証券差額金の減少1,507百万円があったためであります。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.0%増加し、49.0%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
(連結キャッシュ・フローの状況)
|
|
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減 (百万円) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
16,551 |
21,964 |
5,413 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
△16,050 |
△15,958 |
92 |
|
フリー・キャッシュ・フロー(百万円) |
500 |
6,006 |
5,505 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円) |
△5,782 |
△5,298 |
484 |
|
現金及び現金同等物(百万円) |
39,946 |
40,884 |
937 |
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ937百万円増加し、40,884百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、21,964百万円(前期比32.7%増)となりました。その主な要因は、減価償却費20,264百万円、税金等調整前当期純利益3,215百万円および未払消費税等の増加額2,408百万円があった一方、出資金運用益3,070百万円および法人税等の支払額2,592百万円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、15,958百万円(前期比0.6%減)となりました。その主な要因は、出資金の分配による収入3,000百万円があった一方、無形固定資産の取得による支出6,231百万円、債務保証の履行による支出5,174百万円、有形固定資産の取得による支出4,083百万円および子会社株式の条件付取得対価の支払額3,005百万円があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、5,298百万円(前期比8.4%減)となりました。その主な要因は、短期借入金の純増減額10,000百万円およびセール・アンド・リースバックによる収入6,396百万円があった一方、社債の償還による支出10,000百万円、配当金の支払額7,142百万円およびファイナンス・リース債務の返済による支出4,534百万円があったためであります。
(4)資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金、設備投資、研究開発、借入金の返済ならびにこれらに係る利息の支払い、配当の支払い、自己株式の取得、法人税の支払いおよびM&Aであります。当社グループは、引き続き財務の健全性を保ちつつ、営業活動により相応のキャッシュ・フローを生み出すことにより、当社グループの成長に必要な資金調達が可能であると考えております。
短期運転資金は自己資本および金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関からの長期借入、社債又はその組み合わせによる調達を基本としております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債は86,654百万円であります。主なものは、社債31,100百万円、長期借入金19,182百万円、長期リース債務11,855百万円、1年内返済予定の長期借入金10,045百万円、短期借入金10,000百万円および短期リース債務4,470百万円であります。
また、当社は、緊急時の手元流動性を確保すること等を目的として、主要取引金融機関と総額200億円のコミットメントライン契約を締結しております。当該契約に基づく当連結会計年度末における借入実行残高はありません。
当社グループは、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)より格付A(ネガティブ)を取得しており、引き続き格付けの維持・向上に努めてまいります。
(5)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを必要としており、経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績、将来計画やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた重要な会計上の見積りおよび見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
会計上の見積りおよび見積りに用いた仮定のうち、重要なものおよびその補足事項については以下のとおりであります。
a.固定資産の評価
有形固定資産・無形固定資産については、資産又は資産グループに減損の兆候がある場合には、減損損失を認識するかどうかの判定を行います。当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識すべきと判定し、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。回収可能価額は、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額とし、正味売却価額は資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除しています。使用価値は資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引いて算定します。
翌連結会計年度の業績が予算を大きく下回る場合や、将来キャッシュ・フローに重要な影響を与える事象が発生した場合には、減損損失を計上する可能性があります。
b.投資有価証券の評価
市場価格のない株式等の評価は、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が50%程度以上低下し、かつ実質価額の回復可能性がないと判断したときは、実質価額までの減損を行います。
また、当社グループで保有する関連会社に対する投資については、個別の投資の価値が下落し、その下落が一時的でないと判断される場合には、公正価値まで減損します。公正価値の算定は、主に外部専門家を利用しております。
翌連結会計年度において、投資先の財政状態の悪化により、投資有価証券の実質価額が著しく低下した場合には、評価損を計上する可能性があります。
当社グループが締結している重要な契約は、次のとおりであります。
主要な技術導入契約
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相手先 |
契約内容 |
契約期間 |
対価の支払 |
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ウィスター研究所(米国) |
癌関連モノクローナル抗体技術の導入 |
1998年11月17日 ~終期の定め無し |
一定料率のロイヤルティ |
(注)契約当事者は、Fujirebio Diagnostics,Inc.(米国)であります。
検査・関連サービス事業(LTS)研究開発においては、主に感染症領域、先端医療領域、グループ連携強化の活動を継続しております。感染症領域では、新型コロナウイルス対応での経験と学びを活かし、今後の新興・再興感染症およびパンデミックに対して迅速に対応できる技術基盤強化と国産化を進めてまいりました。また、国際的な医療課題となりつつある薬剤耐性菌に対する検査技術およびAI開発も推進しております。先端医療領域では、高度化・情報化する検査技術のパラダイムシフトに対応するべく、難病・希少疾患領域、およびがん領域でのゲノム解析をはじめとするオミックス解析プラットフォームについて、高品質な検査サービス提供を可能とする統合的システムの開発・実装を継続しております。グループ連携として、臨床検査薬事業にて新規に開発・上市される検査試薬の早期導入を推進しており、とくに神経疾患領域の試薬導入を強化しております。新規臨床検査項目の開発と導入に加え、核酸抽出内製化試薬の実装、新規技術の検査現場実装、特殊検査技術のAI・DX化、ものづくり・機械化による効率化を進め、郵送検体やパートナー企業に対して検査サービスが提供できるTaaS(Testing as a Service)の社内運用プラットフォームの運営・展開が進んでおります。このような取り組みを通じてH.U. Bioness Complexに集約した検査現場およびグループ研究開発組織とのシナジーによる価値創造に注力してまいります。当事業にかかる研究開発費は
臨床検査薬事業(IVD)研究開発においては、ルミパルス®システムを用いた神経疾患領域の体外診断用医薬品や研究用試薬の開発、およびグローバル地域の拡大を推進しました。既に2023年度から欧州、米国で販売しております、血漿中リン酸化タウタンパク質217の研究用試薬を国内においても上市しました。加えて、血漿中のグリア線維性酸性タンパク質の研究用試薬を、国内、米国および欧州向けに開発し上市しました。カナダにおいては、脳脊髄液を用いた体外診断用医薬品(β-アミロイド1-40、β-アミロイド1-42、リン酸化タウタンパク質181、総タウタンパク質)を上市し、ブラジルでは、脳脊髄液を用いた研究用試薬(β-アミロイド1-40、β-アミロイド1-42、リン酸化タウタンパク質181、総タウタンパク質、グリア線維性酸性タンパク質)を上市しております。神経疾患領域以外では、肝線維化マーカーであるⅣ型コラーゲン・7S体外診断用医薬品を、ルミパルスG1200, 600IIシステムに開発、市場拡大を推進しました。さらに、肝癌の新規マーカーであるグリピカン-3測定試薬と、既存試薬よりも高感度で抗体の影響を受けないHBs抗原測定試薬を体外診断用医薬品として薬事申請し、肝炎スクリーニングから線維化評価、癌の診断まで、肝臓領域において幅広くカバーできる試薬ラインナップ拡充に努めております。海外においては、中国でルミパルスシステム製品として、PIVKA-Ⅱ測定試薬およびHBs抗原測定試薬が承認され、上市しました。ベトナムでは、腫瘍マーカー、心筋マーカー、肝炎等の測定試薬が新規制下においても続々と承認されております。今後も国内外の市場に向けて、神経疾患領域、腫瘍マーカー、感染症等の各種疾患領域で、独自性が高く臨床有用性を有する試薬の開発を継続してまいります。また、次世代の超高感度プラットフォーム開発を進めており、神経疾患領域等の研究用試薬のラインアップ開発と共に、超高感度化による臨床的有用性を示すための臨床研究を進めてまいります。当事業にかかる研究開発費は
全社研究開発では、H.U.グループの基礎研究機能を集約した合同会社H.U.グループ中央研究所において医療・ヘルスケアの最適化、社会課題の解決を目指した中長期視点での基盤技術の研究開発と実装にむけた検証を継続しております。AI開発、ものづくり、ロボティクスから医療情報利活用、先端分析技術開発まで多岐にわたる研究開発を推進しており、特に医療・ヘルスケアの高度化および多様化に伴い今後の実用化が期待される先端モダリティ(細胞外小胞、Microbiome、細胞・再生医療等)に関する研究開発を加速させております。EViSTEP®など独自技術を利用したグループ内外の企業・機関との積極的な協業・オープンイノベーションを積極的に推進しており、大手製薬企業との戦略的アライアンスや創薬バイオマーカー探索研究など事業化が着実に進展しております。ヘルスケア領域における活動も強化しており、本領域におけるオープンイノベーションの一例として、唾液・生活習慣と免疫状態の関係に基づいた免疫検査サービスを開発・上市し、パートナー企業より広く一般市場向けに事業展開されております。また、昨今の医療現場の大きな課題として、人手不足に伴う生産性向上の必要性が明確になりつつあります。これまでの医療機関・検査現場との協業を通じて研究所に蓄積した多様な基盤技術・ノウハウを活用し、グループ内外に対してDX化、AI開発、機械化/ものづくりの活用による「スマートラボ・DXラボ」の実現を支援する活動を推進しております。当事業にかかる研究開発費は1,554百万円です。
以上により、当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は
今後もH.U.グループ研究開発機能の一体化を推進し、No.1、Only-oneの技術基盤開発および人財育成を通じて、医療・ヘルスケアに必須のサービスや製品を継続的に提供・提案することを目指してまいります。