第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 ヤマトグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、より便利で快適な生活関連サービスの創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献することを経営理念に掲げ、生活利便性の向上に役立つ商品・サービスを開発してまいりました。

 今後も、社会の一員として社会の課題に正面から向き合い、お客様、社会のニーズに応える「新たな物流のエコシステム」を創出することで、豊かな社会の創造に持続的に貢献してまいります。また、テクノロジーを起点に次世代の営業・幹線輸送・ラストマイルオペレーションを構築し、収益力の強化に努めることで、安定した経営を目指してまいります。

 

(2)経営環境、経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定めました。そして、イノベーションを起点に未来が問いかける課題に正面から向き合い、多種多様なパートナーと共に新たな物流、新たな価値を創造していく事を目的として、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を策定しました。

 「宅急便ネットワークの強靭化と事業ポートフォリオを変革する3年間」と位置づけ、当連結会計年度は、環境変化によるコスト上昇に対するプライシング適正化や貨物専用機(フレイター)の運航開始、投函商品の業務委託、拠点戦略に係る投資効果の刈り取りを推進しました。

 法人ビジネス領域では、コントラクト・ロジスティクス事業の成長とエクスプレス事業とのシナジー創出を目指した「ナカノ商会」の連結子会社化など、成長戦略を加速させる事業提携とM&Aを推進しました。引き続き、事業提携やM&Aのシナジーを最大限発揮するとともに、当社の強みを生かし、顧客のビジネスに対する付加価値の創出と提供に取り組みます。さらに、大口法人顧客に対しては多様な輸送ニーズに応えるとともに、収益・顧客構成の変革と付加価値に応じた適正なプライシング収受に注力していきます。

 また、環境・社会課題を解決するビジネスモデルの創出を通じて経済価値を生み出すことを目指し、商用車ユーザーの脱炭素化を支援する「EVライフサイクルサービス」を開始するとともに、物流の脱炭素化に向けて再生エネルギー電力などを提供する「ヤマトエナジーマネジメント株式会社」、持続可能なサプライチェーンの構築に向けた共同輸送のオープンプラットフォームを提供する「Sustainable Shared Transport株式会社」、自動車運送事業者における健康管理や健康に起因する事故防止に向けたオンライン医療サービスを提供する「株式会社MY MEDICA」を新たに設立しました。今後も多様なステークホルダーに対し、当社の物流ネットワークをはじめとした経営資源を活かした環境・社会課題解決型のサービス・事業を展開し、社会と物流業界全体の持続性を高めるとともに、新たな収益基盤として成長を加速させていきます。

 一方で、宅配便市場は、ECの成長とともに拡大傾向にあるものの、基盤領域である個人および小口法人の市場は、人口減少や個人消費の低迷に伴う影響を受けています。また、EC化の進展と人口動態の変化に伴い、ラストマイル領域における集荷と配達の業務量や輸送領域における都市部・地方部間の荷物の流動量が変化しており、宅急便ネットワークの収益性は低下傾向にあります。

 このような状況を踏まえ、基盤領域である宅急便ビジネスを安定的に利益を確保できる事業構造に転換させるため、収益構成の変革に取り組み、付加価値に応じたプライシング適正化を進めていきます。加えて、ふるさと納税による地域創生に向けた取組み強化を目的に「レッドホースコーポレーション株式会社」との提携を開始し、ふるさと納税市場におけるシェア拡大を図るとともに、地域産品の流通や観光振興などに、引き続き取り組んでいきます。輸送領域においては、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に合わせたターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方の見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいきます。

 

[目指す姿]

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「SX2030 ~1st Stage~」主要施策

①基盤領域:宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大

 付加価値に応じたプライシング適正化、セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービスの提供に専念できる環境を整備する「営業所改革」、お客様のニーズを捉えた商品・サービスの開発、地域の市場性に基づく集配拠点の再配置と荷物の発送・受取に留まらないサービスを提供する地域密着型店舗「ネコサポ」の展開などを迅速に進めていきます。輸送領域においては、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいきます。

 

②成長領域:法人ビジネス領域の拡大

 国内外の倉庫や貨物専用機(フレイター)を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウなどのグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューションを法人のお客様に提供することで、利益成長を加速させていきます。

 

③新規領域:新たなビジネスモデルの事業化

 既存の経営資源を活用しつつ、多様なパートナーとともに、環境・社会課題を解決するビジネスモデルの創出を通じて経済価値を生み出し、社会と物流業界全体の持続性を高めるとともに、新たな収益基盤として成長を加速させていきます。

 

④グループ経営基盤の強化

 持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、環境・社会戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化などに取り組みます。

 

⑤資本効率をより重視した経営の浸透

 資本効率をより重視した経営の浸透を図り、資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、営業利益率およびROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営指標として設定しています。事業の収益性向上および利益成長の加速に加えて、バランスシート・マネジメントの強化とキャッシュ・フローの最適化に取り組むことで、資本効率の改善を図り、EPS(1株当たり当期純利益)および株主価値向上の基盤を構築していきます。

 

 当該中期経営計画の最終年度となる2027年3月期において、連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上の達成を目標として設定しています。なお、当計画および数値目標については、初年度である2025年3月期の業績および当計画の進捗状況、事業環境の変化等を踏まえ、精査しています。数値目標を修正する場合には、決定次第、情報開示を行い、株主・投資家の皆様との建設的な対話に努めていきます。

 

[成長イメージ]

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(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 ヤマトグループを取り巻く事業環境は、不安定な国際情勢や金融市場の変動などにより、依然として先行き不透明な状況が続いています。また、物価上昇の影響や自動車運転業務における時間外労働の上限規制の適用(2024年問題)など、外部環境の変化に伴うコスト上昇が継続すると見込まれます。さらに、中長期的には、EC化のさらなる進展や地政学リスクの増大、少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動の深刻化などを想定しています。このような中、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定めました。そして、2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」を「宅急便ネットワークの強靭化と事業ポートフォリオを変革する3年間」と位置づけ、以下①~⑤の取組みを推進していきます。

 

① 宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大

 宅配便市場は、ECの成長とともに拡大傾向にあるものの、基盤領域である個人および小口法人の市場は、人口減少や個人消費の低迷に伴う影響を受けています。また、EC化の進展と人口動態の変化に伴い、ラストマイル領域における集荷と配達の業務量や輸送領域における都市部・地方部間の荷物の流動量が変化しており、宅急便ネットワークの収益性は低下傾向にあります。

 これらの状況を踏まえ、基盤領域である宅急便ビジネスを安定的に利益を確保できる事業構造に転換させるため、収益構成の変革に取り組み、付加価値に応じたプライシング適正化を進めていきます。また、セールスドライバーがお客様に向き合い、より良いサービスの提供に専念できる環境を整備する「営業所改革」を柱に、お客様のニーズを捉えた商品・サービスの開発、地域の市場性に基づく集配拠点の再配置と荷物の発送・受取に留まらないサービスを提供する地域密着型店舗「ネコサポ」の展開などを迅速に進めていきます。加えて、地域創生に向けた取組み強化を目的として資本・業務提携を実施した、ふるさと納税代行事業者とともに、地方自治体に向けた一貫したソリューションの提供を通じて、ふるさと納税市場におけるシェア拡大を図るとともに、地域産品の流通や観光振興などに、引き続き取り組んでいきます。

 

 輸送領域においては、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化し、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいきます。

 

② 法人ビジネス領域の拡大

 世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大し、企業が対応を求められる中、ヤマトグループは変化を機会と捉え、サプライチェーン全体に拡がるお客様の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置付けています。国内外の倉庫や貨物専用機(フレイター)を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウなどのグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューションを法人のお客様に提供することで、利益成長を加速させていきます。

 エクスプレス事業の法人部門においては、大口法人のお客様の多様な輸送ニーズに応えるとともに、収益・顧客構成の変革と付加価値に応じた適正なプライシング収受に注力していきます。また、コントラクト・ロジスティクス事業を中心として、連結子会社化した株式会社ナカノ商会とのシナジー創出に取り組んでいきます。

 グローバル事業においては、不安定な国際情勢により生じるサプライチェーンの変化を好機と捉え、国際フォワーディング、国際エクスプレス、海外コントラクト・ロジスティクスを柱に、オートモーティブやハイテク、食品産業など、ヤマトグループが強みを発揮している領域のさらなる拡大に努めるとともに、日本、米国・メキシコ、中国、インド、東南アジアを中心に営業力を強化します。注力市場を絞り込むことでフォワーディングの混載効率を向上させることや、越境ECへの提案強化、注力する地域における消費財などの内需拡大に伴う物流需要の取込みなど、M&Aも活用しながら推進するとともに、国内の法人部門やコントラクト・ロジスティクス事業との連携によるお客様のビジネス成長の支援に取り組んでいきます。

 

③ 新たなビジネスモデルの事業化

 持続可能な未来の実現に向けて、既存の経営資源を活用しつつ、多様なパートナーとともに、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化を推進します。

 モビリティ事業においては、車両整備サービスを基盤に、ヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用したサービスを提供することで、物流の脱炭素化を推進し、企業と社会の発展に取り組みます。具体的には、温室効果ガス(GHG)削減計画の立案からEV・充電器の導入・運用支援、メンテナンス、エネルギーマネジメント、再生可能エネルギー由来電力の供給までワンストップで提供する「EVライフサイクルサービス」の拡販や、ヤマトエナジーマネジメント株式会社が中心となり、ヤマトグループのみならず車両を使用する事業者様に対し、ヤマトグループの拠点や各地域の発電事業者が発電した再生可能エネルギー由来電力の提供などを推進していきます。

 また、宅急便で培った法人顧客や物流事業者とのパートナーシップ、輸配送ネットワーク・オペレーション構築のノウハウを活かし、安定した輸送力の確保と環境に配慮した持続可能なサプライチェーンを構築するため、Sustainable Shared Transport株式会社が中心となり、荷主企業や物流事業者など多様なステークホルダーが参画できる共同輸配送のオープンプラットフォームを活用したサービスの拡販を推進していきます。

 なお、2025年2月に提供を開始したオンライン医療サービス「MY MEDICA(マイメディカ)」を通じて、従業員の健康リスクが高い傾向にある自動車運送事業者様における、健康管理や健康に起因する事故防止に向けた取組みを支援していきます。

 

④ グループ経営基盤の強化

 持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略、環境・社会戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化などに取り組みます。

 人事戦略については、事業構造改革と連動した人材の最適配置を優先課題として、組織・要員の適正化と評価・報酬制度の見直しに取り組みます。また、付加価値を創出する人材の育成に向けて、自主・自律的なキャリア形成を促進する職務を起点とした人材マネジメント体系の整備・運用を推進します。そして、多様な社員の働きやすさと働きがいの向上に向けて、多様化する社員のライフプランに適合する福利厚生制度の構築や社員の健康管理・健康増進施策を推進するとともに、ダイバーシティの推進や人権デューデリジェンスの実施、女性活躍の推進に継続的に取り組みます。これらの取組みを通じて、社員一人ひとりの活躍と貢献を最大化し、より高い付加価値の創出を目指していきます。

 デジタル戦略については、宅急便で蓄積したビッグデータを活用した商品開発、プライシング最適化、将来予測のモデル化・精緻化によるコスト抑制などを主軸としたデータドリブン経営を推進していきます。また、DX推進体制を強化し、「オペレーション」や「働き方」の変革、バックオフィスの業務プロセス改革を加速し、新たなビジネス創出も視野に入れた事業と一体となったDXを推進していきます。

 環境・社会戦略については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、引き続き「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーン(Scope3)排出量の把握方法の策定などに取り組みます。また、社会の諸課題に向き合い、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施や課題の早期発見と解消のための体制・プロセス・仕組みの整備など、適切な関係構築を通じたサステナブル・サプライチェーンの構築を推進していきます。

 コーポレート・ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持・強化などに取り組むとともに、経営管理の高度化を推進し、株主・投資家との建設的な対話や情報開示の充実を通じて、持続的な企業価値向上に努めていきます。

 

⑤ 資本効率をより重視した経営の浸透

 上記の①~④を推進することに加え、資本効率をより重視した経営の浸透を図り、資本コストを上回る資本収益性の実現に取り組むため、営業利益率よびROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営指標として設定しています。事業の収益性向上および利益成長の加速に加えて、バランスシート・マネジメントの強化とキャッシュ・フローの最適化に取り組むことで、資本効率の改善を図り、EPS(1株当たり当期純利益)および株主価値向上の基盤を構築していきます。

 本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やDX推進などへの成長投資を実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。

 上記計画を財務面から支えるため、バランスシート・マネジメントの強化に取り組み、固定資産の流動化等を適宜検討するとともに、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から自己資本比率は45~50%程度、D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.3~0.5倍程度を目安とします。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上、総還元性向50%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 ヤマトグループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。

 

(1)サステナブル経営の推進

 気候変動や労働力人口の減少、人権・格差など、社会全体で取り組まなければならない喫緊の課題に直面している中、各企業もこのような社会的な課題に応えていく必要性が高まっています。ヤマトグループは、このような状況を踏まえ、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指し、サステナブル経営を推進しています。

 

①ガバナンス

 当社は、サステナビリティに関する重要事項について、経営会議および取締役会で審議・決議を実施しています。また、サステナブル経営を推進するため、代表取締役社長を委員長、ヤマト運輸株式会社の執行役員等および主要グループ会社社長を構成員とする、ヤマトグループ環境委員会および、ヤマトグループ社会領域推進委員会を年1回開催し、サステナビリティに関する課題についての審議や決議を実施しています。そして、環境の分野では3つの部会(エネルギー・気候・大気、資源・廃棄物、マネジメント・協働)、社会の分野では3つの部会(人権・ダイバーシティ、サプライチェーンマネジメント、地域コミュニティ)をそれぞれ年3回開催し、施策の検討や進捗確認を実施しています。

 

(サステナビリティ推進体制)

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(ヤマトグループ環境委員会および社会領域推進委員会の役割)

ヤマトグループ

環境委員会

① ヤマトグループの環境に関わる取組みの意思決定機関として、環境マネジメントシステムの運用を確認するとともに、取組みの方向性を明確にし、検討、審議、決議を行う

② 会議メンバーより報告を受け、トップマネジメントである環境統括責任者(ヤマトホールディングス代表取締役社長)が活動実績の評価および見直し(トップマネジメントレビュー)を行い、今後の施策などについて決定する

ヤマトグループ

社会領域推進委員会

① ヤマトグループの社会に関わる取組みの意思決定機関として、社会領域の重要課題に対する取組みの方向性を明確にし、推進施策の検討、審議、決議を行う

② ヤマトグループ社会部会およびヤマトグループ各社の報告を受け、トップマネジメントであるヤマトホールディングス代表取締役社長が活動実績の評価および見直しを行い、今後の施策などについて決定する

 

 

②戦略

 当社は、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、中長期の経営のグランドデザイン「YAMATO NEXT100」において、環境・社会に関するビジョンを掲げるとともに、重要かつ優先的に取り組むマテリアリティを特定しました。そして、「ヤマトグループ環境方針」「ヤマトグループ人権方針」「ダイバーシティ基本方針」「ヤマトグループ責任ある調達方針」の下、マテリアリティへの取組みを推進しています。

 2025年3月期より当社は、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定め、2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」において、持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、サステナブル経営の強化に取り組んでいます。

 環境の領域については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーン(Scope3)における実質排出量の把握や削減目標の設定などに取り組んでいます。

 社会の領域については、人命の尊重を最優先とし、社員やパートナーの安全・健康に対する取組みを強化するとともに、多様な社員が活躍できる職場環境に向けた整備を進めています。そして、社会の諸課題に向き合い、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施や、課題の早期発見と解消のための体制・プロセス・仕組みの整備など、適切な関係に基づくサステナブル・サプライチェーンの構築を推進しています。

 

(環境・社会ビジョン)

環境ビジョン

「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」

「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」へヤマトグループはさらに進化します。人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させ、環境や生活、経済によりよい物流を実現します。温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ*1に挑戦し、持続可能な資源の利用・消費モデルを創造し、強く、スマートな社会を支えます。

*1 国内連結会社および株式会社スワンの自社排出(Scope1とScope2)

社会ビジョン

「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない*2”社会の実現への貢献」

ヤマトグループは社会的インフラを担う企業として、フェアで効率的な事業プロセスを通じて、あらゆる人々にものや価値を届けることで、社会における様々な格差や障害を解消・低減し、社員やお客様など様々な人々の生活の質(QOL)向上に貢献します。

リアルの強みとデジタルイノベーションの推進、そして多様なパートナーとの共創により、社会課題の解決を目指し、“誰一人取り残さない”社会の実現にリーディングカンパニーとして貢献していきます。

*2 誰一人取り残さない:SDGsが掲げる基本理念

 

 

(マテリアリティ)

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③リスク管理

 当社は、サステナブル経営を推進していく上での課題やリスクについて、ヤマトグループ環境委員会およびヤマトグループ社会領域推進委員会で審議・決議を実施しています。また、重要事項については、適宜、経営会議や取締役会で審議・決議を実施しています。

 気候変動に関するリスク管理については、「(3)気候変動への対応」に記載しています。

 

④指標及び目標

 当社は、2027年3月期を最終年度として策定した中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」において、マテリアリティへの到達目標を定めています。2027年3月期の具体的な目標および2024年3月期の実績については、「統合レポート2024」に記載しています。

(統合レポート2024_サステナブル経営)

https://www.yamato-hd.co.jp/investors/library/annualreport/pdf/j_ir2024_06_04.pdf

 

 なお、2025年3月期の実績は、2026年3月期に公表する「統合レポート2025」に記載予定です。

 

(2)経営戦略を支える人事戦略の推進

 ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値向上を実現する基盤として、「ヤマトグループ 人材マネジメント方針」に基づき、経営戦略と連動した人事戦略を推進しています。

 

(ヤマトグループ 人材マネジメント方針)

ヤマトグループは、

未来への価値創出に挑戦し、豊かな社会の実現に貢献する企業であり続けるために成長します

公正な評価とフィードバックを通じて社員の貢献や成長を称え、社員一人ひとりが働きがいを実感できる職場風土を目指します

顧客起点の思考と当事者意識を持って誠実に行動し、たゆまぬ挑戦や努力を続ける社員に対して、仕事を通じた成長の機会を提供します

 

①戦略

 ヤマトグループは、事業構造改革と連動した人材の最適配置を優先課題として、組織・要員の適正化と評価・報酬制度の見直しに取り組みます。また、付加価値を創出する人材の育成に向けて、自主・自律的なキャリア形成を促進する人材マネジメント体系の整備・運用を推進します。そして、多様な社員の働きやすさと働きがいの向上に向けて、多様化する社員のライフプランに適合する福利厚生制度の構築や社員の健康管理・健康増進施策を推進するとともに、ダイバーシティの推進や人権デューデリジェンスの実施、女性活躍の推進に継続的に取り組みます。これらを通じて、社員一人ひとりの活躍と貢献を最大化し、より高い付加価値の創出を目指していきます。

 

ⅰ.付加価値創出に向けた最適な人材ポートフォリオの構築

 中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」で取り組む「宅急便ネットワークの強靭化と事業ポートフォリオの変革」と連動し、適正な組織編成と適所適材な人材配置を推進しています。

 2025年3月期は、適正配置人数の設定および職務評価に基づくポジションの可視化を進め、中核事業会社であるヤマト運輸本社組織の管理者のミッションに対する必要ポジション数を整理しました。また、社内公募の実施を通じて、オープンポジションとその充足状況を可視化しました。

 2026年3月期は、職務に基づく要員管理の対象をヤマト運輸本社組織から主管支店に拡大し、職務やオープンポジションに基づく管理体制を幅広く整備します。また、管理者(業務役職者)および専門職層の人事制度を改定し、「事業」を軸とした経営体制の強化に対応し、事業構造改革を進める人材が、より活躍できる制度を構築します。

 デジタル領域においては、人材の能力発揮を促すためのスキルの棚卸を定期的に行い、習得レベルに応じた実効性の高いスキル強化研修・教育を推進していきます。

 経営戦略と連動する最適な人材ポートフォリオの構築に向けては、適所適材の考え方に基づく人的資本への投資が必要であり、「人的生産性」を主要な指標として設定するなど、投資と効果の実現を中長期でモニタリングするための体制を整備し、取組みを推進していきます。

 

ⅱ.多様な社員の働きやすさと働きがいの向上

 持続的な成長を実現する基盤を構築するため、人権と多様性を尊重する企業風土の醸成と、社員が生き生きと活躍できる労働環境を整備する施策を推進しています。そして、仕事を通じた社員自身の成長実感ならびに、会社の成長・発展への貢献実感を高める施策を通じて、社員の働きやすさや働きがいの向上、さらにはエンゲージメントの向上につなげていきます。

 ヤマトグループは、「外国人労働者が職場において取り残されない環境整備」、「多様な人材が活躍できる環境整備と女性活躍の支援」を優先課題に位置付け、人権リスクを把握・確認して対応策を中長期の計画に組み入れ取組みを推進しています。2026年3月期は人権デューデリジェンスの取組みとして、「差別・ハラスメントを発生させない社員教育」や「多言語化の拡大による言葉や文化の違いに起因する障壁の払拭」を推進します。

 また、女性管理職の登用に向けた施策として、管理職を目指す女性社員への支援プログラムを推進し、プログラム参加者の育成プランの作成や、育成プランに基づいた経験付与の機会提供に取り組んでいます。また、参加者に加えその上司に対しても「無意識の思い込みや偏見(アンコンシャス・バイアス)の払拭」をテーマとした研修を実施し、意欲ある女性社員の活躍を後押ししています。さらに、早期の経験付与の観点より、定期採用社員を対象とした中期育成施策を展開しキャリア形成を支援しつつ、意欲ある女性社員については、適性が高い管理職ポジションへのステップアップも含めた自律的なキャリア形成を支援しています。

 障がい者雇用においては、雇用推進担当者を全国に配置し、担当者会議を毎月開催することで、雇用推進に向けた課題や好事例の共有を行い、採用活動・定着支援を推進しています。また、当社が出資している株式会社ミライロと共同開発した「ユニバーサルマナー検定」による教育を順次展開しており、「自分とは違う誰か」の視点に立ち行動する人材を育てることで、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。

 働きがいの向上に向けては、経営者と社員が意見を交わすことで職場改善につなげる取組みを推進しています。ヤマト運輸株式会社において、職場における課題について意見を交わし、相互理解を深めるため、全国の各拠点で「職場ディスカッション」を開催しており、2025年3月期は経営者が営業所長、ロジセンター長など業務役職者や乗務・事務・作業担当の社員とそれぞれ対話する取組みを実施しています。また、職場でのハラスメントを防止するため、全社員を対象とした教育を実施し、働きやすい職場環境作りを推進しています。

 

②指標及び目標

(2027年3月期に向けた指標及び目標)

[マテリアリティ 労働]

指標:人的生産性*1

目標:労働生産性の向上

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*1 (連結営業収益-連結下払経費)÷連結人件費

 

指標:社員意識調査*2

目標:エンゲージメントの向上

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*2 対象範囲:国内連結会社および株式会社スワン

 

[マテリアリティ 人権・ダイバーシティ]

指標及び2027年3月期目標

2025年3月期実績

女性管理職比率 10%*1

6.6

障がい者雇用率 3.1%*2*3

3.3

全社員対象の
人権ハラスメント教育受講率
100%*1

90

*1 対象範囲:国内連結会社および株式会社スワン

*2 対象範囲:国内連結会社および株式会社スワン(障害者雇用状況報告対象外の会社については除く。)

*3 「障害者の雇用の促進等に関する法律」(1960年法律第123号)改正に伴う、2025年4月の除外率引き下げ後(道路貨物運送業は20%から10%、貨物運送取扱業は15%から5%)の目標値

 

(3)気候変動への対応

 ヤマトグループは、気候変動問題が社会と企業に与えるリスクと機会を洗い出し、影響を評価し、対応策を立案していくことが、事業の持続可能性に不可欠であると認識し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に基づいて、ヤマト運輸株式会社を対象としてシナリオ分析を行い、物理的リスクの財務影響評価を追加的に行うなど、見直しを継続しています。気候変動問題の事業インパクトを明確化し、影響の大きな事項を中心に対応策に取り組むことで、事業の持続性を向上させるとともに、ステークホルダーとの対話を重ねることにより、企業価値向上につなげていきます。

 

①ガバナンス

 ヤマトグループは、気候変動を含む環境課題に対し、ヤマトグループ環境委員会を意思決定機関とした環境マネジメント体制に基づき、審議・決議を実施しており、取締役会は執行状況を監督しています。

 具体的には、代表取締役社長が環境委員会の委員長を務め、環境マネジメントの統括責任を担っています。そして、環境委員会で審議された気候変動を含む環境課題に関する基本方針などの重要事項については、上位にある経営会議や取締役会で審議・決議を実施します。

 また、環境分野を担当する執行役員やヤマト運輸株式会社の執行役員等、グループ会社の社長は環境責任者として、必要な経営資源を整えるなど、環境マネジメントの確実な実施と維持、管理に責任を持ちます。

 さらに、原則としてすべての部長や現場組織の責任者は「環境管理者」として、気候変動を含む環境に関するリスクと機会の管理に責任を持ちます。

 

②戦略

STEP1

リスク重要度の評価

[重要度の評価基準]

 1年間に発生する収益・費用における財務影響の評価基準を基に重要度を3段階(大・中・小)で設定しています。

大=100億円以上、中=10億円以上~100億円未満、小=10億円未満

[発現時期]

短期(~2026年)、中期(2027年~2030年)、長期(2031年~)

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0102010_008.png

 

STEP2

シナリオ群の定義

 2024年3月期に実施したシナリオ分析では、ヤマト運輸株式会社を対象とし、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)の情報*1などをもとに下記2つのシナリオを想定しました。

ⅰ.1.5℃シナリオ*2

:規制強化や燃料・電力の価格上昇に加えて炭素排出低減に対応するコストが必要になる一方で、サステナブルが製品の競争力につながる社会

ⅱ.4℃シナリオ

:従来型の経営が継続されるが、各所での自然災害等に対応するためのコストが必要となる社会

 

*1

IPCC…RCP8.5

 

IEA …Net Zero Emissions by 2050 Scenario、Sustainable Development Scenario、Stated Policies Scenarioなど

*2

1.5℃でシナリオがない項目は2℃シナリオを参照

 

STEP3

事業インパクト評価

 抽出したリスクの中でも炭素税導入や異常気象・災害が収益・費用について大きな影響を与える可能性があることを認識し、以下の分析・事業インパクト評価を実施しました。

●評価を実施した項目

ⅰ.炭素税導入による財務影響

ⅱ.異常気象・災害による収益の減少や施設・設備の修理費用増加の財務影響

ⅲ.洪水による収益の減少や施設・設備の被害による財務影響

 

●詳細

ⅰ.炭素税導入による財務影響評価

 炭素税が本格導入された際の精算に関わる2030年、2050年の事業インパクトを算出しました。2030年は炭素税価格を140ドル/t、2050年は250ドル/tと想定し費用増加影響を試算した結果、2030年には157億円、2050年には281億円と算出しました。

 

ⅱ.異常気象・災害による収益の減少や施設・設備の修理費用増加の財務影響評価

 台風の激甚化や線状降水帯による豪雨など異常気象による収益の減少や施設・設備の修理費用*3について事業インパクトを試算した結果、2030年には19億円、2050年には38億円と算出しました。

*3

過去に発生した災害を参考に試算

 

ⅲ.洪水による収益の減少や施設・設備の被害の財務影響評価

 ハザードマップやAQUEDUCT*4などを使用した洪水の浸水深予測に基づき、国土交通省「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」にて示されている浸水深別被害率を使用して営業停止による損失額ならびに施設・設備の資産損害額について事業インパクトを試算しました。

 その結果、4℃シナリオ(RCP8.5)における100年に1度の確率で発生する洪水(浸水深)による営業停止損失額と資産損害額の年間影響は、2030年には4億円、2050年には4.3億円と算出しました。

[分析に用いた要件]

 ・5つの気候モデル*5の平均値を採用

 ・空間解像度1kmで当該拠点を含む周辺も含めた3km四方の平均値を採用

 ・ハザードマップ上で浸水の可能性がある拠点を含む49拠点を調査

*4

世界資源研究所(WRI)が開発したリスク評価ツールAQUEDUCT(アキダクト)

*5

GFDL-ESM2M(米国海洋大気庁)、HadGEM2-ES(英国気候研究機関)、

IPSL-CM5A-LR(仏国気候研究機関)、MIROC-ESM-CHEM(東京大学など)、

NorESM1-M(ノルウェー気候研究機関)

 

 

STEP4

対応策の方向性

ⅰ.炭素税導入

 ヤマトグループは、温室効果ガス(GHG)排出量削減に向け2050年自社排出実質ゼロの高い目標を掲げて取り組んでいます。

イ.2030年の目標値を2021年3月期比48%削減と掲げ、実現に向けて主な施策として2030年までに低炭素車両(主にEV)23,500台の導入や太陽光発電設備810基の設置などを計画しています。これにより、取り組まなかった場合と比較して、2030年には74億円の削減効果があると試算しています。

ロ.2050年に向けて、カートリッジ式EVを含む低炭素車両の導入や、ヤマトグループの拠点に設置した太陽光発電設備および地域の発電事業者の再生可能エネルギー由来電力の使用率を高めるなど、他の施策も強化することで自社排出実質ゼロを達成した場合、炭素税の財務影響は解消すると想定しています。

ハ.低炭素化に向けた設備投資が積極的に行われることを目指し、インターナルカーボンプライシングの導入を検討しています。

 

ⅱ.異常気象・災害による収益の減少や施設・設備の修理費用の増加

 ヤマトグループでは、ハザードマップを活用した出店やBCPマニュアルの定期的な更新に加え、社内やパートナーへの気候変動に適応する情報の発信を検討しています。今後、レジリエンスを高める再生可能エネルギーやカートリッジ式EVの利用モデルの実証を行っていきます。

 さらに発生場所や発生規模の想定を高めるなど、前提条件を加えながら事業インパクトを再評価することで、対応策の検討を継続します。

 

ⅲ.消費者・顧客の環境意識の高まりを機会に捉えた取組み

 ヤマトグループは、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」に向けて、EVの導入やヤマトグループの拠点や地域の発電事業者の再生可能エネルギー由来電力の調達など、温室効果ガス(GHG)排出量削減を推進するとともに、お客様が保有する在庫や生産活動の最適化に向けて、より環境負荷の少ないサプライチェーンを構築するため、国際規格ISO 14083:2023に準拠したGHG排出量可視化ツールの開発など、法人顧客への新たな提供価値の創出に取り組んでいます。2025年3月期には、「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」(宅配便3商品)を対象とした「カーボンニュートラリティ宣言」を実施しました。本宣言は、2023年3月期に続き、2024年3月期(2023年4月~2024年3月)において、国際規格ISO 14068-1:2023に準拠したカーボンニュートラリティを達成したことを示すとともに、今後も事業活動に伴う温室効果ガス(GHG)自社排出量の削減に向けて継続的に取り組むことにより、2050年までの宅配便3商品のカーボンニュートラリティ実現をコミットメントしたものです。なお、本宣言は第三者機関であるBSIグループジャパン株式会社の検証を受けています。ヤマトグループは、このような気候変動に配慮した輸送サービスの提供を通じて、個人および法人顧客のさらなる利用促進につなげていきます。

 また、環境課題を解決するビジネスモデルの創出を通じて、経済価値を生み出す取組みを推進します。2025年3月期は、ラストマイル領域で培った商用EV導入・活用の知見を活かした「EVライフサイクルサービス」の提供開始、また、お客様の脱炭素化に向けて再生可能エネルギー由来電力などを提供するヤマトエナジーマネジメント株式会社の設立、物流効率化に向けた共同輸配送のオープンプラットフォームを提供するSustainable Shared Transport株式会社の事業開始など、新たな事業を立ち上げました。これらの取組みを通じて、ヤマトグループの利益成長と社会・物流業界全体のサステナビリティへの貢献に取り組んでいきます。

 

③リスク管理

 ヤマトグループ全体の気候変動に関わる対応の推進統括のための専任部署を当社に設けています。また、各グループ会社にも環境責任者(代表取締役社長)や環境推進代表(推進担当者)を配置し、グループを挙げて気候変動への対応を推進しています。

 代表取締役社長を委員長、ヤマト運輸株式会社の執行役員等および主要グループ会社社長を構成員とする、ヤマトグループ環境委員会を毎年1回開催し、気候変動を含む環境に関する課題やリスクについての審議・決議を実施しています。また、重要事項については適宜、経営会議や取締役会で審議・決議を実施しています。

 

④指標及び目標

ⅰ.戦略・リスク管理プロセスに則して気候関連リスク・機会評価に用いる指標

 ヤマトグループでは気候変動への対応を管理する指標として、移行リスクに関しては、[IEA]World Energy Outlookにて公表される「炭素税価格」などのエネルギー関連指標を参照しています。また、物理的リスクに関しては、国土交通省や文部科学省、気象庁が公表している気候変動を踏まえた資料などから、洪水の発生頻度などを参考とし傾向の変化を把握しています。

 

ⅱ.温室効果ガス(GHG)排出量

(単位:tCO2e)

 

 

2021年3月期

2024年3月期

2025年3月期

Scope1

668,554

656,732

649,522

Scope2

252,307

166,350

129,513

Scope1 & 2合計(自社排出)

920,861

823,082

779,034

Scope3

1,750,716

2,218,292

2,417,091

Scope1 & 2 & 3合計

2,671,577

3,041,374

3,196,126

・Scope1とScope2の範囲:国内連結会社および株式会社スワン

・Scope3の範囲:カテゴリー1,2,3,4,5,6,7,11,12

 

ⅲ.気候関連リスク・機会の管理に用いる目標及び実績

[GHG排出削減量目標*1

短期:2026年までに2021年3月期比25%削減

中期:2030年までに2021年3月期比48%削減

長期:2050年までに排出実質ゼロ

 

[GHG排出量実績*1

2025年3月期 779,034tCO2e(2021年3月期比15%削減)

*1 国内連結会社および株式会社スワンの自社排出(Scope1とScope2)

 

[再生可能エネルギー由来電力使用率目標]

短期:2026年までに全体の70%使用

 

[再生可能エネルギー由来電力使用率実績]

2025年3月期 58%使用

 

 なお、④指標及び目標で記載した、GHG排出量および再生可能エネルギー由来電力使用率の2025年3月期実績は、有価証券報告書提出日現在における暫定値です。確定値は、2026年3月期に公表する「統合レポート2025」に記載予定です。

 

 上記目標の達成に向けた施策を実施することと並行して、SBT1.5℃認証の取得に向けた具体的な準備を進めています。

 

 

 なお、「2[サステナビリティに関する考え方及び取組]」について、当社および連結子会社の状況と非連結子会社等を含むヤマトグループの状況に大きな差異はないものと判断し、開示しています。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、ヤマトグループの経営成績等に重要な影響を与えると認識している主要なリスクについて、経営への影響と顕在化する可能性の観点から重要なものを、事業環境およびそれに対応した戦略に係るリスクと、事業運営に係るリスクに分類して、以下のように取り纏めております。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。

 

(1)事業環境およびそれに対応した戦略に係るリスク

①市場・競争環境の変化によるリスク

 EC化の進展、世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化、気候変動の深刻化や労働力人口の減少など、ヤマトグループを取り巻く市場環境は変化しています。また、EC化の進展に伴い、物流事業者との競争の激化のみならず、自社物流化を進めるEC事業者などとの戦略的な関係性がより重要となることに加え、デジタルで商慣習を変える可能性があるスタートアップ企業を意識する必要があるなど、競争環境も変化しています。このような状況下、変化、多様化する生活者のニーズや、既存の流通構造を再構築する法人顧客の物流ニーズに対応できない場合、営業収益の減少や成長機会の逸失によりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、ヤマトグループにとってのサステナビリティ関連の重要課題に適切に対応できない場合、お客様の支持が低下することや地域社会との関係が悪化すること、優秀な人材確保が困難になること、資金調達コストが上昇することなどにより、中長期的に、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を2030年の目指す姿として定め、企業価値の向上に向けた取組みを推進しています。

 宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大においては、基盤領域である宅急便ビジネスを安定的に利益を確保できる事業構造に転換させるため、収益構成の変革に取り組んでいます。また、法人ビジネス領域の拡大においては、世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大する中、変化を機会と捉え、国内外の倉庫や貨物専用機(フレイター)を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウなどのグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューションを法人のお客様に提供することにより、利益成長に努めています。さらに、多様なパートナーとともに、環境・社会課題を解決するビジネスモデルの創出を通じて、経済価値を生み出す取組みを推進しています。

 そして、これらの取組みを支えるためのグループ経営基盤として、人事戦略、デジタル戦略、環境・社会戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化などに努めています。

 

②労働力人口の減少によるリスク

 ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。国内の労働力人口の減少により労働需給がさらに逼迫し、輸配送パートナーを含め人材を十分に確保できない場合や、人材獲得競争の激化によりコストが大幅に増加した場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、パートナーを含む人的投資を適切に実行するとともに、人材マネジメント方針に基づき、人材の獲得・定着に資する魅力ある人事・評価制度により、社員が働きがいを持ちイキイキと活躍する環境の構築を推進しています。また、人権や多様性が尊重され、より安心して働くことができる職場環境の整備や、安全面や品質面も含めた輸配送パートナーとの連携強化に取り組んでいます。さらに、輸送領域において、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化し、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいます。

③テクノロジーの進化に係るリスク

 ヤマトグループが事業を展開する物流業界において、AI・IoT・ビッグデータ等の活用によるリソースの最適化や、ロボティクスの活用による倉庫業務の自動化、ドローン・自動運転の活用による幹線輸送やラストワンマイルの変革等、テクノロジーの進化に伴う様々な変化が生じています。短中期的に見込まれる新たなビジネスモデルの出現に対してヤマトグループが適切に対応できない場合や、技術トレンドの誤った理解および先端テクノロジーの導入手法に不備が発生した場合、期待通りの投資効果を得られず、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、デジタル戦略を持続的な企業価値向上を実現するためのグループ経営基盤の一つと位置づけ、宅急便ビジネスで蓄積したビッグデータを活用した商品開発、将来予測のモデル化・精緻化によるプライシング最適化やコスト抑制などを主軸としたデータドリブン経営を推進しています。また、DX推進体制を強化し、「オペレーション」や「働き方」の変革、バックオフィスの業務プロセス改革を加速し、新たなビジネス創出も視野に入れた事業と一体となったDX推進に取り組んでいます。さらに、CVCファンドやVCファンドとの連携を通じて、ヤマトグループの脅威となりうるテクノロジーや事業モデルの早期察知、およびオープンイノベーションによる新たな成長モデルの創出に取り組んでいます。

 

④情報セキュリティに係るリスク

 ヤマトグループは、営業上の機密情報に加え、物流業務や情報処理の受託等を通じて多くの個人情報・顧客情報を保有しています。サイバー攻撃や管理の不徹底等により情報が外部に漏えいした場合やデータ喪失が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償請求の発生、さらには推進しているデジタル戦略に疑念が生じることなどにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、サイバー攻撃等によりシステムがダウンし、全国で宅急便の荷受けを停止した場合、収益機会の逸失等によりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を想定した上で、国内外で組織的・人的な対策と多層防御等による技術的な対策に取り組んでいます。その他のセキュリティ対策としては、ネットワークへの不正アクセスや施設への不正侵入に対する監視を24時間365日実施しています。また、広域災害によるシステム停止への対策として、重要なシステムのデータセンターを分散し、相互にバックアップする運用を行っています。加えて、システム故障への対策として、ハードウェアの経年劣化や製品の潜在的なバグに対応するため、メーカーとの保守契約を結び、常に不具合情報の連携を図っています。

 

⑤地域の過疎化によるリスク

 ヤマトグループの主な市場である日本国内は、総人口が減少するとともに、地域生活、地域経済において様々な課題が発生しています。過疎化や高齢化が進む地域では、配送効率の低下や集配を担う人材不足が顕在化しており、今後、地域経済が縮小することにより地域社会インフラの衰退などの問題が深刻化する場合や、そのような地域における収益性が低下することで、中長期的な観点で全国をきめ細かくカバーする物流ネットワークの維持が困難になる場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靱化するため、輸送領域において、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいます。また、地域社会の多様なニーズに応えるため、地域の市場性やオペレーションの効率化を踏まえた集配拠点の再配置と荷物の発送・受取サービスに留まらない新たなサービス提供を目指す地域密着型店舗「ネコサポ」の展開や、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」の拡販などを推進するとともに、パートナーと連携して地域産品の流通や観光振興などに取り組んでいます。

 

⑥気候変動に係るリスク

 ヤマトグループは、事業を行うにあたり多数の車両を使用しています。気候変動をはじめとした地球規模の環境問題がさらに深刻化し、温室効果ガス(GHG)の排出規制や削減義務の強化、炭素税の引き上げ等がされる場合、低炭素車両の導入や設備改修などの費用が増加し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、生活者の環境に配慮した消費意識や、顧客企業のサプライチェーン全体での温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けた要請が高まる中、期待される低炭素輸送に対応できない場合、お客様の支持が低下することなどにより営業収益が減少し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。加えて、低炭素社会への移行が進まない場合、長期的な影響として、自然災害の激甚化や頻度上昇による社員や施設の被災、道路寸断、電力・燃料供給停止などにより頻繁に事業活動が停止し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、長期目標である「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」の実現に向け、中期目標として「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」を設定し、「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーン(Scope3)実質排出量の把握を行い、削減目標の設定に向けて取り組んでいます。「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」(宅配便3商品)を対象とした「カーボンニュートラリティ宣言」を実施しました。本宣言は、2023年3月期に続き、2024年3月期(2023年4月~2024年3月)のサービスについて、国際規格ISO 14068-1:2023に準拠したカーボンニュートラリティを達成したことを示すとともに、今後も事業活動に伴うGHG自社排出量の削減に向けて継続的に取り組むことで、2050年までの宅配便3商品のカーボンニュートラリティ実現をコミットメントしたものです。ヤマトグループは、このような気候変動に配慮した輸送サービスの提供を通じて、個人および法人顧客のさらなる利用促進につなげていきます。

 また、自然災害による様々な緊急事態を想定し危機管理体制の強化を図るなど、グループ全体でレジリエンスの向上に取り組んでいます。具体的には、BCPに基づく訓練や施設の水害リスク評価、拠点の再配置、発災後の対応や予期せぬ災害に備えた集配停止・保全作業等に係るマニュアルの継続的な見直しなどを進めています。

 

⑦M&Aおよび戦略的業務提携に係るリスク

 ヤマトグループは、世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大し、企業が対応を求められる中、変化を機会と捉え、サプライチェーン全体に拡がるお客様の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置付けています。そして、その拡大を加速させるため、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携を推進しています。しかしながら、事業環境や競争状況の変化により期待する成果が得られない場合や、予期せぬ事業上の問題が発生する場合、経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、コントラクト・ロジスティクス事業やグローバル事業の成長戦略との適合性を重視するとともに、投資効果を測る定量基準の設定など規律を持って推進していくとともに、実行後は、事業性判定ルールに照らし合わせ、定期的なモニタリングを継続実施しています。

 

(2)事業運営に係るリスク

①コンプライアンスに係るリスク

 ヤマトグループは、コンプライアンスを最優先とした経営を推進しています。しかしながら、商品・サービスや労働・安全、サプライチェーン全体におけるコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、各種法令に抵触する事態が発生した場合、ヤマトグループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した事象に対する追加的な費用の発生等により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。特に、運行管理や輸送においての法令違反が発生した場合、行政処分や刑事処分を受ける可能性があるだけでなく、人命にも影響があり、主要事業の継続に影響を与える可能性があります。また、物流の停滞が懸念される「2024年問題」を踏まえ、2024年5月に改正された「貨物自動車運送事業法」および「物流業務総合効率化法(後に流通業務総合効率化法に名称変更)」などに適切な対応ができない場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、グループ企業理念に基づき、法と社会的規範に則った事業活動を展開するとともに、コンプライアンス経営を推進しています。グループ経営の健全性を高める基盤として、商品管理規程に基づく商品管理プロセスの適切な運用や、システムを活用した運行管理、社員への理念教育の実施、不適切事案の早期発見と適切な対応を行うための社内通報制度および取引先向けの相談窓口の設置、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施と適切な体制・プロセス・仕組みの整備などに取り組むとともに、内部監査部門がリスクアプローチによる監査を計画的に実施しています。なお、物流業界における昨今の法改正に対して、改正から施行までの期間に十分な準備を行い、改正法で定められた内容に現行の業務オペレーションや社内規程を対応させるなど、グループ各社にて法改正対応を実施しています。

 

②大規模自然災害等に係るリスク

 ヤマトグループは、車両による荷物の輸送が主要な業務であり、社員の安全と健康、車両や施設の保全、燃料や電気の安定供給等を前提に事業を運営しております。予期せぬ大規模自然災害や停電等が発生した場合、社員の被災等による人材の不足、車両・情報機器・施設等の損壊や水没、停電・断水、燃料や備品の供給不足等による事業停止、および車両や施設等の修理・買替費用等の発生、ならびに顧客の被災による出荷量の減少が発災直後から中長期にわたり生じることなどにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社会的インフラを担う企業グループとして、不測の事態においても安定したサービス提供が継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定しています。様々な緊急事態を想定し、グループ全体で危機管理体制の強化を図っており、BCP訓練や施設のリスク評価・再配置等を行うとともに、発災後の対応や予期せぬ災害に備えた集配停止・保全作業等に係るマニュアルの継続的な見直しなどに取り組んでいます。緊急事態の発生時には、「人命を最優先する」「グループ各社の事業の早期復旧を目指す」「社会的インフラとして地域社会からの期待に応える」を柱とするヤマトグループBCP基本方針のもと、基準にもとづき当社内に対策本部を立ち上げ、グループ各社と連携して対応するとともに、被災した地域や顧客の課題に対する価値提供に取り組んでいきます。

 

③重大交通事故・労働災害に係るリスク

 ヤマトグループは、主に公道を使用した車両による事業を行っており、重大交通事故を発生させてしまった場合は、社会的信用が低下するとともに、行政処分による車両の使用停止や、「違反点数制度」による事業所の営業停止、事業許可の取り消し等が行われ、事業の中断や中止の可能性があります。また、社員等の安全・衛生を損なう重大な労働災害を発生させてしまった場合も、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、人命の尊重を最優先に、運輸安全マネジメントおよび労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)に沿った取組みの推進や、安全確保のためのルールの策定・遵守と設備・システムの整備、社員への安全教育および安全意識の浸透、監査部などによる運行・整備管理の法令遵守状況の定期的な確認、労働安全衛生法に基づく安全・安心な職場環境の確保などに取り組んでいます。また、労働災害を防止する観点より暑熱対策の重要性が高まっており、社員の熱中症の罹患や重症化を防ぐために、暑さ指数(WBGT)に応じた行動基準の策定やファン付きベスト、冷却機材の導入など、職種や拠点に応じた対策を講じています。

 

④労務関連法制に係るリスク

 ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。労働や社会保険等に係る法令や制度等が改正された場合、対応するための費用の大幅な増加などにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、自動車運転業務における時間外労働の上限規制適用等に伴い、運送業界における長距離輸送のキャパシティが減少し、輸送パートナーへの委託コストが上昇することなどにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、法制度に適切に対応した労働環境や人事制度の整備を推進するとともに、輸送領域において、顧客ニーズに対応しつつ、輸送・積載効率を高め、固定費の抑制および業務量に応じた変動費のコントロールを実現するため、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などに取り組んでいます。また、長距離輸送の効率化に資するスーパーフルトレーラSF25をはじめとしたトレーラの活用拡大やモーダルシフトを推進するとともに、持続的な物流ネットワークの構築に向けた長距離輸送手段として、トラック、鉄道、フェリー、旅客機床下貨物スペースに加え、貨物専用機(フレイター)を運航し活用しています。

 

⑤国際情勢等の影響によるリスク

 ヤマトグループが営業活動を行っている地域や、主要な取引先が営業活動を行っている地域がテロ・戦争等の国際紛争や貿易摩擦の影響を被った場合、国際貿易の縮小やサプライチェーンの混乱による物流の停滞等により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、ヤマトグループは、車両による荷物の輸送を主要な事業としており、軽油等燃料が常時安定的かつ適正に供給されることは事業を行う上で不可欠であります。国際情勢等の影響により供給に制約が発生した場合や、燃料価格等が高騰した場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、グローバルに拡がる顧客のサプライチェーンに対して、陸海空の多様な輸送手段を組み合わせて顧客ニーズに応えるとともに、変化を好機と捉え、国内外の倉庫や貨物専用機(フレイター)を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウといったグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューション提供に取り組んでいます。また、荷物の流動量の変化に即したターミナル間およびターミナル・集配拠点間の運び方見直し、仕分け作業を担う働き手の適正配置などによる輸配送の効率化、モーダルシフト、より燃費効率の良い車両の導入、エネルギーマネジメントシステムの導入等、エネルギー効率を向上する施策を推進するとともに、燃料価格等の高騰を踏まえた、顧客へのプライシングの適正化に取り組んでいます。

 

⑥金融市場の影響によるリスク

 ヤマトグループは、事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、必要資金についてはグループ資金を有効活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行等を組み合わせ対応しています。今後の国内外の経済情勢により、金融市場が機能不全となった場合や、金融機関の貸出先選別により、資金調達が困難になる可能性や、金利上昇により支払利息が増大する可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しつつ、バランスシート・マネジメントの強化に取り組み、固定資産の流動化等による資金創出も適宜検討していきます。また、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施する場合には、資金調達先および時期の適切な分散を図っていきます。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるヤマトグループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

ⅰ.財政状態

 総資産は1兆2,674億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ856億46百万円増加しました。

 負債は6,670億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ772億76百万円増加しました。

 純資産は6,003億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ83億69百万円増加しました。

 

ⅱ.経営成績

 当連結会計年度における経済環境は、世界的なインフレ傾向に落ち着きが見られる中、国内においては、物価上昇に対する価格転嫁の動きが続くなど足元の景況感は改善傾向にあり、実質賃金の減少に歯止めがかかりつつあるものの、個人消費の低迷、人手不足の深刻化など、依然として本格的な景気回復が見通しづらい状況にあります。

 このような状況下、ヤマトグループは、経営理念に掲げる「豊かな社会の実現への貢献」を通じた持続的な企業価値の向上を実現するため、中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき、宅急便ネットワークの強靭化による基盤領域の利益成長、ビジネスソリューションの提供を通じた法人ビジネス領域の拡大、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化およびグループ経営基盤の強化など「経済価値」を生み出すとともに、社会の持続可能性に向けた「環境価値」「社会価値」を創造する取組みを推進しています。

 

 当連結会計年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。

 

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

伸率(%)

営業収益

(百万円)

1,758,626

1,762,696

4,069

0.2

営業利益

(百万円)

40,059

14,206

△25,853

△64.5

経常利益

(百万円)

40,458

19,587

△20,871

△51.6

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

37,626

37,937

311

0.8

 

 当連結会計年度の営業収益は1兆7,626億96百万円となり、前連結会計年度に比べ40億69百万円の増収となりました。これは、収益構成の変革に向けた取組みにより、投函サービスの収入は減少したものの、宅配便の収入が増加したことおよびM&Aの実施を含め法人ビジネスが拡大したことなどによるものです。

 営業費用は1兆7,484億90百万円となり、前連結会計年度に比べ299億23百万円増加しました。これは、外部環境の変化による時給単価の上昇やパートナー企業に対する委託単価の上昇が継続した中で、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどによるものです。

 この結果、当連結会計年度の営業利益は142億6百万円となり、前連結会計年度に比べ258億53百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、バランスシート・マネジメントの強化に取り組む中で、投資有価証券売却益や固定資産売却益を計上したことなどにより379億37百万円となり、前連結会計年度に比べ3億11百万円の増益となりました。

 

<ヤマトグループ全体としての取組み>

イ.宅急便ネットワークの強靭化と提供価値の拡大

社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化するため、引き続き、ネットワーク・オペレーションの構造改革を推進しています。業務量変動への柔軟な対応や拠点間輸送の効率化、荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した作業指示の自動化や業務量に応じた経営資源の最適配置、バックオフィスの業務プロセス改革などに取り組んでいます。

また、輸送サービスのラインアップ拡充や個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」を通じた顧客体験価値の向上、宅配便3商品の「カーボンニュートラル配送」などにより、お客様への提供価値を拡大するとともに、外部環境の変化を踏まえた届出運賃の年次での見直しおよび法人顧客との契約の見直しなど、適正な運賃・料金収受に向けた取組みを推進しています。

当連結会計年度においては、引き続き「クロネコメンバーズ」会員のお客様からの指定に基づき、宅急便および宅急便コンパクトの「置き配」サービスを提供するなど、より多くのお客様に快適な受け取り体験を提供するとともに、再配達の削減、物流の効率化や温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向けた取組みを推進しました。また、小さな荷物の配送ニーズに応えるため、専用資材の事前購入により全国一律420円で荷物が送れる「こねこ便420」の東京都での拡販を推進しました。

 

ロ.法人ビジネス領域の拡大

世界の政治・経済とサプライチェーンのブロック化や環境問題などのリスク要因が増大し、企業は対応を求められる中、ヤマトグループは変化を機会と捉え、サプライチェーン全体に拡がる法人顧客の経営課題の解決を目指すソリューションビジネスを成長領域と位置づけています。国内外の倉庫や貨物専用機(フレイター)を含めた輸配送ネットワーク、ロジスティクスや通関、不動産関連のノウハウといったグループ経営資源を活かした付加価値の高いソリューションを提供することで、利益成長を目指しています。

コントラクト・ロジスティクス事業については、エクスプレス事業とのシナジーを重視し、宅配便を利用する法人顧客の課題解決や事業成長を支援するソリューションの提供を通じて、宅配便のさらなる利用拡大や提供価値に応じたプライシングの適正収受、新たなロジスティクス収入の獲得などの取組みを強化しています。

グローバル事業については、サプライチェーンの変化を好機と捉え、これまで宅急便で培った国内の膨大な顧客基盤を活かしつつ、オートモーティブやハイテク、食品産業など、ヤマトグループが強みを発揮している領域のさらなる拡大に努めるとともに、日本、米国・メキシコ、中国、インド、東南アジアを中心に営業力の強化を進めています。また、フォワーディングの混載効率向上や越境ECへの提案強化、注力地域の内需拡大に伴う物流需要の取込みなどに取り組んでいます。

なお、コントラクト・ロジスティクス事業とグローバル事業の拡大を加速させるため、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携の検討も推進しています。当連結会計年度においては、株式会社ナカノ商会の発行済株式の87.74%を取得して連結子会社とし、コントラクト・ロジスティクス事業の拡大、エクスプレス事業とのシナジー創出、両社リソースの共同利用等のコストシナジー創出に向けたPMI(経営統合プロセス)を推進しています。

 

ハ.新たなビジネスモデルの事業化

持続可能な未来の実現に向けて、既存の経営資源を活用しつつ、パートナーとともに、多様化する顧客や社会のニーズに応える新たなビジネスモデルの事業化を推進しています。

モビリティ事業については、車両整備サービスを基盤に、ヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用し、車両を使用する事業者様の脱炭素化に向けた取組みを推進しています。当連結会計年度においては、温室効果ガス(GHG)削減計画の立案からEV・充電器の導入・運用支援、メンテナンス、エネルギーマネジメント、再生可能エネルギー由来電力の供給までワンストップで提供する「EVライフサイクルサービス」を開始しました。加えて、宅急便で培った法人顧客や物流事業者とのパートナーシップ、輸配送ネットワーク・オペレーション構築のノウハウを活かし、安定した輸送力の確保と環境に配慮した持続可能なサプライチェーンを構築するため、Sustainable Shared Transport株式会社が中心となり、荷主企業や物流事業者など多様なステークホルダーが参画できる共同輸配送のオープンプラットフォームを活用したサービスの提供を2025年2月より開始しました。

また、安定的なスピード輸送の提供による新たな需要の獲得と流通拡大による地域経済の活性化、輸送サービス品質の維持・向上を図るため、成田、羽田、新千歳、北九州、那覇の各空港をつなぐ貨物専用機(フレイター)を運航しています。引き続き、生鮮品や機械類、アパレルなどスピード輸送を求めるお客様への拡販を推進するとともに、お客様のさらなるニーズに対応していきます。

さらに、地域社会の多様なニーズに応えるため、荷物の発送・受取サービスに留まらない新たなサービス提供を目指す地域密着型店舗「ネコサポ」の展開や、IoT電球「HelloLight」を活用した「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」の拡販などに取り組むとともに、地域創生に向けた取組み強化を目的として資本・業務提携を実施した、ふるさと納税代行事業者とともに、地方自治体に向けた地域情報の発信や魅力的な返礼品の開発、寄附サイトの運営代行、管理システムの提供、返礼品の流通加工やラストマイル配送に至る一貫したソリューションの提供を通じて、ふるさと納税市場におけるシェア拡大を図るとともに、地域産品の流通や観光振興などに取り組んでいます。

なお、従業員の健康リスクが高い傾向にある自動車運送事業者様における、健康管理や健康に起因する事故防止に向けた取組みを支援するため、医薬品卸売事業者と連携して「株式会社MY MEDICA(マイメディカ)」を設立し、2025年2月よりオンライン医療サービス「MY MEDICA」の提供を開始しました。

 

ニ.グループ経営基盤の強化

ヤマトグループは、持続的な企業価値向上を実現するための基盤として、引き続き、人事戦略、デジタル戦略を推進し、サステナブル経営およびコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。

人事戦略については、事業構造改革と連動した人材の最適配置を優先課題として、組織・要員の適正化と評価・報酬制度の見直しに取り組んでいます。また、付加価値を創出する人材の育成に向けて、自主・自律的なキャリア形成を促進する人材マネジメント体系の整備・運用を推進しています。そして、多様な社員の働きやすさと働きがいを向上させるため、多様化する社員のライフプランに適合する福利厚生制度の構築や社員の健康管理・健康増進施策を推進するとともに、ダイバーシティの推進や人権デューデリジェンスの実施、女性活躍の推進に継続的に取り組んでいます。

デジタル戦略については、DX推進体制を強化し、デジタル基盤を活用したお客様への提供価値の拡大や「仕分け作業」や「運び方」、「働き方」の変革、バックオフィスの業務プロセス改革など、事業と一体となったDX推進に取り組んでいます。

サステナブル経営の強化については、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けた2つのビジョン「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」に基づき、特定した重要課題(マテリアリティ)に対する取組みを強化しています。

環境の領域については、「2050年温室効果ガス(GHG)排出実質ゼロ(自社排出)」および「2030年温室効果ガス(GHG)排出量48%削減(2021年3月期比)」の実現に向け、引き続き「EV23,500台の導入」「太陽光発電設備810基の導入」「再生可能エネルギー由来電力の使用率向上」などの施策を推進するとともに、サプライチェーン(Scope3)における実質排出量の把握や削減目標の設定などに取り組んでいます。当連結会計年度においては、川崎市の脱炭素先行地域において、官民連携により再生可能エネルギー由来電力を地産地消で100%使用する営業所の稼働を開始しました。本営業所は、物流拠点に最適化したヤマト運輸独自のエネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入しており、営業所内の電力使用量、太陽光発電設備での発電量、蓄電池の充放電量をリアルタイムで可視化・自動で調整し、効率的なエネルギーマネジメントを行うとともに、最大使用電力を制御することで、電力コストの低減を図っています。なお、2025年1月にヤマトエナジーマネジメント株式会社を設立しました。今後は同社が中心となり、ヤマトグループのみならず車両を使用する事業者様に対し、ヤマトグループの拠点や各地域の発電事業者が発電した再生可能エネルギー由来電力などを提供することで、物流の脱炭素化を推進し、企業と社会の発展に取り組んでいきます。

社会の領域については、引き続き、人命の尊重を最優先とし、社員やパートナーの安全・健康に対する取組みを強化するとともに、多様な社員が活躍できる職場環境に向けた整備を進めています。そして、社会の諸課題に向き合い、ビジネスパートナーとの定期的な協議の実施や、課題の早期発見と解消のための体制・プロセス・仕組みの整備など、適切な関係に基づくサステナブル・サプライチェーンの構築を推進しています。

コーポレート・ガバナンスの強化については、引き続き、経営の監督と執行の分離、経営の透明性の維持・強化などに取り組むとともに、株主・投資家との建設的な対話や情報開示の充実を通じて、持続的な企業価値向上に努めています。

 

<セグメント別の概況>

当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えて分析しています。

 

○エクスプレス事業

イ.エクスプレス事業は、個人および法人のお客様に対し、宅急便を中心とした国内輸配送サービスを提供しており、サービスラインアップの拡充や個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」を通じた顧客体験価値の向上、宅配便3商品の「カーボンニュートラル配送」などにより、お客様への提供価値を拡大するとともに、外部環境の変化を踏まえた届出運賃の年次での見直しおよび法人顧客との契約の見直しなど、適正な運賃・料金収受を推進しています。また、EC化の進展や少子高齢化・過疎化の進展、労働力不足や気候変動のさらなる深刻化を踏まえ、社会的インフラとしての宅急便ネットワークをより効率的かつ持続的な形に強靭化するため、ネットワーク・オペレーションの構造改革を推進しています。

ロ.当連結会計年度においては、引き続き、外部環境の変化によるコスト上昇を踏まえ、届出運賃・料金を改定した上で、基盤である宅急便部門における小口法人・個人のお客様に対する営業強化および法人部門における大口法人のお客様の課題解決や事業成長を支援するソリューション提供を見据えた新規取引の拡大、既存のお客様に対する提供価値に応じた適正な運賃・料金収受の取組みを推進しました。また、「クロネコメンバーズ」会員のお客様からの指定に基づく、宅急便および宅急便コンパクトの「置き配」サービスの提供など、より多くのお客様に快適な受け取り体験を提供するとともに、再配達の削減、物流の効率化や温室効果ガス(GHG)排出量の削減に向けた取組みを推進しました。加えて、小さな荷物の配送ニーズに応えるため、専用資材の事前購入により全国一律420円で荷物が送れる「こねこ便420」の東京都での拡販を推進しました。

ネットワーク・オペレーションの構造改革については、業務量変動への柔軟な対応や拠点間輸送の効率化、荷待ち時間の短縮などを実現するため、小規模・多店舗展開してきたラストマイル集配拠点の集約・大型化やターミナル機能の再定義、デジタルテクノロジーを活用した作業指示の自動化や業務量に応じた経営資源の最適配置、バックオフィスの業務プロセス改革などの取組みを推進しました。

ハ.外部顧客への営業収益は、収益構成の変革に向けた取組みにより宅配便の収入が増加したものの、投函サービスの収入減少などにより1兆5,347億10百万円となり、前連結会計年度に比べ0.9%減少しました。営業費用は、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどにより前連結会計年度に比べ86億93百万円増加した結果、営業損失は128億99百万円となりました。

 

○コントラクト・ロジスティクス事業

イ.コントラクト・ロジスティクス事業は、宅配便を利用する法人顧客の課題解決や事業成長を支援するソリューションを提供しています。エクスプレス事業とのシナジーを重視し、宅配便のさらなる利用拡大や提供価値に応じた適正な運賃・料金収受、新たなロジスティクス収入の獲得などに取り組んでいます。

ロ.当連結会計年度においては、引き続き、セールスドライバーがお客様との接点から得る気づきなどの情報を活用し、各地域に配置した法人営業担当者が最適な提案を行えるよう営業体制の強化を図るとともに、より付加価値の高いサプライチェーンソリューションの提案やオペレーションの品質・生産性改善を加速させるため、地域特性を踏まえた組織・人材の適正化などに取り組みました。また、株式会社ナカノ商会の発行済株式の87.74%を取得して連結子会社とし、コントラクト・ロジスティクス事業の拡大、エクスプレス事業とのシナジー創出、両社リソースの共同利用等のコストシナジー創出などに向けたPMI(経営統合プロセス)を推進しています。

ハ.外部顧客への営業収益は、前連結会計年度の新型コロナウイルスワクチンや大型リコール案件に関するロジスティクスの反動減が影響したものの、株式会社ナカノ商会の連結子会社化などにより970億74百万円となり、前連結会計年度に比べ9.0%増加しました。営業利益は、オペレーションの効率化を進めたものの営業収益の減少を補うには至らず55億82百万円となり、前連結会計年度に比べ41億20百万円減少しました。

 

○グローバル事業

イ.グローバル事業は、日本国内および海外事業会社が連携し、国際フォワーディングや国際エクスプレス、海外現地におけるコントラクト・ロジスティクス等を組み合わせ、法人顧客のグローバルサプライチェーン全体を最適化するソリューションを提供しています。サプライチェーンの変化を好機と捉え、これまで宅急便で培った国内の膨大な顧客基盤を活かしつつ、オートモーティブやハイテク、食品産業などヤマトグループが強みを発揮している領域のさらなる拡大に努めるとともに、日本、米国・メキシコ、中国、インド、東南アジアを中心に営業力の強化を進めています。

ロ.当連結会計年度においては、引き続き、フォワーディングの混載効率向上や、拡大する越境ECへの提案強化、注力地域の内需拡大に伴う物流需要の取込みなどを推進しました。また、地政学的リスクおよび機会を踏まえ、東南アジア-欧州間におけるトラックと鉄道による国際複合一貫輸送サービスや、米国とメキシコとの国境における通関手続きを必要としない「空港間保税転送」を活用した、迅速で定時性の高い越境トラック輸送サービスを提供するなど、グローバルサプライチェーンの強靭化に取り組みました。

ハ.外部顧客への営業収益は、越境ECの取扱数量の増加などにより859億50百万円となり、前連結会計年度に比べ16.1%増加しました。営業利益は、越境ECの取扱数量増加による営業収益の拡大に加え、国際フォワーディングの混載効率向上などにより90億27百万円となり、前連結会計年度に比べ23億64百万円増加しました。

(参考)

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

伸率(%)

宅急便・宅急便コンパクト・EAZY

(百万個)

1,886

1,961

75

4.0

ネコポス・クロネコゆうパケット

(百万個)

409

391

△18

△4.5

クロネコゆうメール

(百万冊)

626

110

△516

△82.4

クロネコゆうメールの前連結会計年度の実績は、クロネコDM便の実績を含みます。

 

○モビリティ事業

イ.モビリティ事業は、運送事業者様の安全運行と車両稼働時間の拡大に資する、稼働を止めない車両整備サービスを提供しています。また、これまでヤマトグループ内での環境投資や実証実験を通じて蓄積したEV、太陽光発電設備、エネルギーマネジメントなどのノウハウを活用し、車両を使用する事業者様の脱炭素化に向けて、温室効果ガス(GHG)削減計画の立案からEV・充電器の導入・運用支援、メンテナンス、エネルギーマネジメント、再生可能エネルギー由来電力の供給を、事業者様がワンストップで利用できる「EVライフサイクルサービス」の拡販を推進しています。

ロ.当連結会計年度においては、作業効率と社員の働きやすさを追求した車両整備工場の稼動など、需要の多い地域においてさらなるネットワーク強化を図るとともに、車両整備サービスの拡販と適正単価の収受に取り組みました。また「EVライフサイクルサービス」のファーストユーザーとして、医薬品卸売業の事業者様への提供を開始しました。

ハ.外部顧客への営業収益は、契約車両台数の増加に加え、適正単価の収受などにより205億5百万円となり、前連結会計年度に比べ1.7%増加しました。営業利益は、車両の整備や回送における委託費の増加などにより37億81百万円となり、前連結会計年度に比べ3億51百万円減少しました。

 

○その他

イ.ヤマトグループが保有するITやコールセンター、金融サービスなどの機能は、お客様のサプライチェーン全体に対する提供価値拡大に向けた取組みを支えています。当連結会計年度においては、引き続き、お客様の業務効率化とエンドユーザーの利便性向上に資するITサービスの提供などを推進しました。

ロ.外部顧客への営業収益は244億55百万円となり、前連結会計年度に比べ22億79百万円減少しました。また、営業利益は82億円となり、前連結会計年度に比べ77百万円増加しました。

 

<その他の取組み>

イ.ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しており、輸送を主な事業とするグループ各社を中心に、安全管理規程の策定および管理体制の構築、年度計画の策定など、運輸安全マネジメントに取り組んでいます。当連結会計年度においては、引き続き「こども交通安全教室」を幼稚園・小学校などで開催するとともに、グループ全体での「交通事故ゼロ運動」や全国のドライバーが安全運転の技能や知識を競い合う「全国安全大会」を開催するなど、安全意識の向上を図る取組みを推進しました。

ロ.ヤマトグループは、豊かな地域づくりがヤマトグループの成長と発展の基盤であると考え、地域社会の健全で持続的な発展とそこに暮らす人々の質の高い生活の確保を目指し、企業市民活動に取り組んでいます。環境の領域では、全国にネットワークを有する企業グループとして、地域の豊かな自然を将来に繋げていくため、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を、2005年から全国で3,000回以上開催しており、累計参加人数は約26万人となりました。また、地域コミュニティの領域では、お客様や地域の皆様に対する感謝の気持ちを込めて、年齢や地域の枠を超えたすべての皆様へ本物の音楽をお届けすることを目的とした音楽宅急便「クロネコ ファミリーコンサート」を、1986年から全国で361回開催しており、累計参加人数は約59万人となりました。

ハ.ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、公益財団法人ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パン製造・販売を営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、就労に必要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っています。

 

② キャッシュ・フローの状況

○営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは477億32百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収入が166億1百万円減少しました。これは主に、未払費用の増減額が124億75百万円、未払消費税等の増減額が87億50百万円減少したこと、および売上債権の増減額が73億21百万円増加した一方で、法人税等の支払額が174億38百万円減少したことによるものです。

○投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動によるキャッシュ・フローは443億56百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出が219億21百万円増加しました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が353億7百万円あった一方で、投資有価証券の売却による収入が125億26百万円増加したことによるものです。

○財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動によるキャッシュ・フローは94億21百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ収支が401億99百万円増加しました。これは主に、借入れによる収入が418億63百万円増加したことおよび自己株式の取得による支出が189億28百万円減少した一方で、社債の発行による収入が199億28百万円減少したことによるものです。

 

 以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,080億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ133億54百万円増加しました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 セグメントごとの営業収益は次のとおりであります。

 なお、ヤマトグループは、貨物運送事業を中心とするサービスを主要な商品としているため、生産および受注の実績は記載を省略しております。

 また、当連結会計年度から経営体制を変更したことに伴い、変更後の報告セグメントの区分に基づくセグメント別営業収益の内容を開示しております。

 セグメントの名称

 前連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

 比 較

 増減率

 (%)

 

収入

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

エクスプレス事業

運送収入

1,527,583

86.9

1,514,931

85.9

△0.8

物流支援収入

49,191

2.8

47,606

2.7

△3.2

その他

42,522

2.4

41,009

2.3

△3.6

内部売上消去

△70,697

△4.0

△68,837

△3.9

△2.6

1,548,598

88.1

1,534,710

87.1

△0.9

コントラクト・

ロジスティクス事業

運送収入

10,123

0.6

18,825

1.1

86.0

物流支援収入

88,113

5.0

81,916

4.6

△7.0

その他

1,955

0.1

5,121

0.3

161.8

内部売上消去

△11,118

△0.6

△8,789

△0.5

△21.0

89,073

5.1

97,074

5.5

9.0

グローバル事業

運送収入

6,157

0.4

6,510

0.4

5.7

物流支援収入

96,084

5.5

116,480

6.6

21.2

その他

3,533

0.2

3,745

0.2

6.0

内部売上消去

△31,719

△1.8

△40,786

△2.3

28.6

74,055

4.2

85,950

4.9

16.1

モビリティ事業

その他

57,115

3.2

57,630

3.3

0.9

内部売上消去

△36,952

△2.1

△37,125

△2.1

0.5

20,163

1.1

20,505

1.2

1.7

その他

その他

96,785

5.5

71,872

4.1

△25.7

内部売上消去

△70,050

△4.0

△47,417

△2.7

△32.3

26,734

1.5

24,455

1.4

△8.5

合  計

1,758,626

100.0

1,762,696

100.0

0.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点によるヤマトグループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

ⅰ.財政状態

 総資産は1兆2,674億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ856億46百万円増加しました。これは主に、株式会社ナカノ商会の株式を取得したことにより顧客関連資産が258億27百万円、のれんが158億27百万円および有形固定資産が129億39百万円増加したことによるものです。

 負債は6,670億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ772億76百万円増加しました。これは主に、借入金が695億83百万円増加したことによるものです。

 純資産は6,003億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ83億69百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が379億37百万円となったことおよび退職給付会計における割引率の見直しなどにより退職給付に係る調整額が172億79百万円増加した一方で、剰余金の配当を157億97百万円実施したことに加え、自己株式を310億86百万円取得したことによるものです。

 以上により、自己資本比率は前連結会計年度末の49.6%から46.5%となりました。

 

ⅱ.経営成績

 当連結会計年度の営業収益は1兆7,626億96百万円となり、前連結会計年度に比べ40億69百万円の増収となりました。これは、収益構成の変革に向けた取組みにより、投函サービスの収入は減少したものの、宅配便の収入が増加したことおよびM&Aの実施を含め法人ビジネスが拡大したことなどによるものです。

 営業費用は1兆7,484億90百万円となり、前連結会計年度に比べ299億23百万円増加しました。これは、外部環境の変化による時給単価の上昇やパートナー企業に対する委託単価の上昇が継続した中で、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどによるものです。

 この結果、当連結会計年度の営業利益は142億6百万円となり、前連結会計年度に比べ258億53百万円の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、バランスシート・マネジメントの強化に取り組む中で、投資有価証券売却益や固定資産売却益を計上したことなどにより379億37百万円となり、前連結会計年度に比べ3億11百万円の増益となりました。

 1株当たり当期純利益は111.87円となり、前連結会計年度に比べ4.64円増加しました。

 

○エクスプレス事業

 外部顧客への営業収益は、収益構成の変革に向けた取組みにより宅配便の収入が増加したものの、投函サービスの収入減少などにより1兆5,347億10百万円となり、前連結会計年度に比べ0.9%減少しました。営業費用は、ラストマイル領域は経営資源の適正配置や「置き配」ニーズへの対応などにより生産性が向上したものの、輸送領域のオペレーション見直しおよび新たなビジネスモデルの事業化に向けた費用が先行して増加したことなどにより前連結会計年度に比べ86億93百万円増加した結果、営業損失は128億99百万円となりました。

 

○コントラクト・ロジスティクス事業

 外部顧客への営業収益は、前連結会計年度の新型コロナウイルスワクチンや大型リコール案件に関するロジスティクスの反動減が影響したものの、株式会社ナカノ商会の連結子会社化などにより970億74百万円となり、前連結会計年度に比べ9.0%増加しました。営業利益は、オペレーションの効率化を進めたものの営業収益の減少を補うには至らず55億82百万円となり、前連結会計年度に比べ41億20百万円減少しました。

 

○グローバル事業

 外部顧客への営業収益は、越境ECの取扱数量の増加などにより859億50百万円となり、前連結会計年度に比べ16.1%増加しました。営業利益は、越境ECの取扱数量増加による営業収益の拡大に加え、国際フォワーディングの混載効率向上などにより90億27百万円となり、前連結会計年度に比べ23億64百万円増加しました。

 

○モビリティ事業

 外部顧客への営業収益は、契約車両台数の増加に加え、適正単価の収受などにより205億5百万円となり、前連結会計年度に比べ1.7%増加しました。営業利益は、車両の整備や回送における委託費の増加などにより37億81百万円となり、前連結会計年度に比べ3億51百万円減少しました。

 

○その他

 外部顧客への営業収益は244億55百万円となり、前連結会計年度に比べ22億79百万円減少しました。また、営業利益は82億円となり、前連結会計年度に比べ77百万円増加しました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

ⅰ.キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

ⅱ.資本の財源及び資金の流動性

 ヤマトグループは、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」に基づき「持続可能な未来の実現に貢献する価値創造企業」を目指し、経済価値のみならず環境価値、社会価値を同時に創出していくことで、中長期的な企業価値向上を実現していく取組みを推進しています。本中期経営計画期間においては、オペレーションの効率化に資する拠点戦略やDX推進などへの成長投資を実施するとともに、お客様に対する環境負荷の少ない物流サービスの提供とオペレーションのエネルギー効率向上の両立を通じた低炭素社会の実現に向けて、EVや太陽光発電設備等への環境投資も実施します。なお、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業では、自律的な成長施策に加え、M&Aや戦略的業務提携も活用していきます。

 上記計画を財務面から支えるため、バランスシート・マネジメントの強化に取り組み、固定資産の流動化等を適宜検討するとともに、キャッシュの創出状況、保有現預金や自己資本比率等の状況、グループ資金の有効活用など、財務の健全性と効率性を意識しながら、必要に応じて金融機関からの借入および社債の発行を通じた資金調達を実施していきます。財務の健全性の観点から自己資本比率は45~50%程度、D/Eレシオ(負債資本倍率)は0.3~0.5倍程度を目安とします。株主還元については、親会社株主に帰属する当期純利益を基準とする配当性向40%以上、総還元性向50%以上を目標とし、自己株式の取得については、成長投資の進捗状況、キャッシュ・フローの動向、株価等の観点を踏まえ、柔軟に検討していきます。

 

③ 目標とする指標の達成状況等

 中期経営計画の最終年度となる2027年3月期において、連結営業収益2兆~2兆4,000億円、連結営業利益1,200~1,600億円(連結営業利益率6%以上)、ROE12%以上、ROIC8%以上の達成を目標として設定しています。なお、当計画および数値目標については、初年度である2025年3月期の業績および当計画の進捗状況、事業環境の変化等を踏まえ、精査しています。数値目標を修正する場合には、決定次第、情報開示を行い、株主・投資家の皆様との建設的な対話に努めていきます。

 

④ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定

 ヤマトグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

当社は、2024年11月5日開催の取締役会において、株式会社ナカノ商会の株式を取得することを決議し、同日株式譲渡契約書を締結いたしました。これにより当社は同社の発行済株式の87.74%を保有し、同社は当社の連結子会社となりました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 ヤマトグループでは、物流サービスの高度化を実現するデジタルテクノロジーに関する研究開発などに取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発活動の総額は2,832百万円であり、その内訳は、連結子会社のヤマト運輸株式会社(エクスプレス事業、コントラクト・ロジスティクス事業およびグローバル事業)が2,687百万円および当社(全社)が144百万円となっております。