第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

以下の文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。なお、当該将来に関する事項については、取締役会で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループの経営理念に「全員経営」「商品開発の考え方」「販売のための考え方」があります。

・「全員経営」では、社員のオープンでフラットな体制でプライドと人権を尊重します。

・「商品開発の考え方」は、商品の良し悪しを決定できるのはお客様のみであるという考え方です。

・「販売のための考え方」は、商品をお客様にお使いいただくようになるまでが販売であるとの考え方を示しております。

さらに、経営理念のこの3つの考え方には、社員の立場、お客様の立場、お取引先様の立場と、いずれも「相手の立場に立ちきる」という共通する考え方があります。

当社グループは、この考え方の下、人類の叡知により築き上げられた科学的成果を全社員の探求心と努力により発展、継承するとともに、次代の夢をコンピュータのソフトウエアという商品として実現させ、社会に提供することにより、社会の進歩と発展に寄与することを会社の目的としております。

 

(2) 経営戦略等

当社グループでは2024年11月に2025年度から2027年度を対象とする中期経営計画をリリースいたしました。

中期経営計画では当社グループ並びに当社グループのステークホルダーが抱える課題や建設業界全体の中長期的な外部環境の変化を見据え、当社グループが提供する価値が社会的なインパクトを創出し、ステークホルダーとともに成長していくことを基本方針とし中期経営計画を策定いたしました。

中期経営計画の基本方針に則し、当社グループではコアビジネスであるCADシステムの漸進的成長を企図し、データプラットフォーム機能の提供、アプリケーションの拡充に取り組んでまいります。

また、新たなビジネスモデルの展開として、サービスプラットフォームをローンチし、当社ユーザーに対し、当社グループ以外のソリューションも提供することで、ユーザーの生産性向上に資する幅広いサービスを提供してまいります。

さらには共通データ環境の構築によりデータを一元管理することで、総合的な省力化・省人化の支援を進めてまいります。

コアビジネスの拡大、新たなビジネスモデルの展開そして共通データ環境の構築などのイノベーションを加速させるため、データドリブン経営の推進、営業機能の効率化によるユーザーへの機能提供の向上にも取り組んでまいります。

最後に、中期経営計画の実現のために、人的資本やその他成長投資、R&D、設備投資にも積極的に取り組むことで、着実かつスピード感を持って計画を進めてまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2025年度から2027年度を対象とする中期経営計画において、ROEを目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として新たに定めました。

リソースの最適な配分により、更なる売上の増加、また収益の向上を目指し、各事業においてバリューチェーンを見直すことで、ROEの目標達成に努めてまいります。

 

(4) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境は、建築業界では少子高齢化や世帯数の減少により市場の縮小が見込まれております。測量土木業界では、公共投資は短期的には一定の需要が見込まれますが、中長期的には人口減少や財政上の制約などを背景に市場の縮小が見込まれております。

一方で、建設業界で急速に広まったテレワークや遠隔臨場への対応は、今後の当社グループがソリューションの提供により支援できる課題として捉えております。

このように、建築・測量・土木分野に携わる企業は、厳しい経営環境の下、生き残りをかけた経営が求められております。当社グループは、こうした企業の遅れているとされるICTの活用を積極的かつ総合的に支援していくことが社会的使命であると認識しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの市場である建設業界は、少子高齢化、財政の逼迫に伴って中長期的に市場規模の縮小が懸念されます。また、2024年4月からの働き方改革関連法の適用開始による労働時間短縮への取り組み、気候変動をはじめとした世界的な環境配慮への対応が求められるとともに、2025年4月からは改正建築基準法や建築物省エネ法の適用開始など、建築基準及び設計業務の高度化が進められる中、当社グループでは、新たな製品・サービスの開発を含めた当社ソリューションによる建設業界全体のDX推進を重要な課題として捉えております。市場の活性化を促し、当社グループの製品・サービスの需要を増加させる好循環のビジネスモデルを構築するため、以下の課題に取り組み、サステナビリティ経営の強化に努めてまいります。

 

① 新製品・新サービスの創出及び新規事業開発

当社グループでは、中期経営計画にサービス領域とステークホルダーへの影響範囲の拡大を掲げており、新たな製品・サービスの創出及び提供方法の見直しが課題であると考えております。この課題に対処するため、2024年12月より、建設業界に特化したサービスプラットフォーム「FC Apps Direct」を新たに展開しております。自社の製品・サービスのみならず、建設テック企業の革新的なサービスの紹介・提供を通じて、建設業界の多様なニーズに応えていくとともに、当社グループの営業基盤のより一層の拡大を目指してまいります。

また、投資事業(CVC:コーポレートベンチャーキャピタル)を通じ、当社グループの事業領域と関連性の高い優れたサービスやビジネスモデルを持つスタートアップやベンチャー企業との技術・ノウハウの共有、ビジネスパートナーシップの構築などを図り、新規事業開発に取り組んでまいります。

② 建設業のDX推進

当社グループは、調査・設計分野の建築・測量システムにおいて大きなシェアを有しておりますが、建設業界のDX推進にあたり、さらに施工・維持管理・情報共有分野における製品・サービスの開発強化を課題として捉えております。引き続き、ユーザーニーズに合致したシステムの開発及びサポート体制を充実させることにより、既存ユーザーの満足度向上を図るとともに、国策や法改正等を踏まえた市場のニーズを見極め、建設業界のDX推進を支援してまいります。

③ コーポレートガバナンスの強化

当社グループでは、独立社外取締役の選任やリスク管理、コンプライアンス活動、任意の諮問委員会の導入等を通じて、コーポレートガバナンスを強化してまいりました。また、毎年第三者機関を通じて取締役会の実効性評価を実施しており、その都度会社の意思決定機関として改善すべき課題を抽出のうえ、社外を含む全取締役で議論し実効性の確保及びそのブラッシュアップに努めております。

加えて、昨今の課題であるサステナビリティ経営をより一層推進するため、当社グループ各社の経営トップを委員とし、社外取締役をオブザーバーとするサステナビリティ推進委員会を設けております。また、リスク・コンプライアンス委員会と連携し、当社グループを中心とした取引先やユーザーを取り巻く外部環境の変化及びそのリスクと機会を見極め、グループ全体でのサステナビリティ経営をより一層進めてまいります。

引き続き、着実な事業の推進を支え、持続的な企業価値向上を後押しする経営基盤の強化の観点から、ガバナンス機能の強化及び法令遵守・内部統制の組織的整備に取り組んでまいります。

④ 人的資本への投資と職場環境等への配慮

中期経営計画における重点施策を迅速かつ確実に遂行するためには、経営及び管理を主としディレクションを行うマネジメント人材、事業等の企画・実現を主とするイノベーティブ人材、 実務を推進する人材が必要と考え、それらの人材の確保並びに社員教育が欠かせないと考えております。また、社員一人一人が求める人物像として成長、活躍するための職場環境整備や企業風土の醸成にも取り組んでまいります。

⑤ 気候変動対策・環境配慮の取り組み

当社グループでは、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を行い、気候変動がもたらす直接的な影響は軽微であると判断しておりますが、当社グループの市場である建設業界における影響は大きくなると予想され、市場の変化を見越した機会とリスクの見極めが課題となります。そのため、自社の再生エネルギー活用等の取り組みを進めるだけでなく、建設業界に対して最先端のICTソリューションを提供することで、建設業界のDX推進を通じてGHG排出量低減に取り組んでまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、当該将来に関する事項については、取締役会で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

サステナビリティ基本方針

当社グループは、建設業界における強みを活かして、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点で、中長期的に取り組むべき「マテリアリティ(重要課題)」を定めております。このマテリアリティに取り組むことで、ステークホルダーと共に、当社と社会の持続的な成長の実現に繋がると考えております。

また、環境や地域社会に関わるマテリアリティに取り組む上では、各領域におけるペインやニーズを的確に捉えたソリューションを提供していくことが重要と考えております。当社グループでは「建設業の思いを創る。INNOVATION for ALL.」をスローガンに掲げ、中期経営計画において重点施策を策定し、実現に向け取り組んでまいります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、気候変動対策・人的資本戦略等のサステナビリティに関わる取組の管理・監督機関として、代表取締役を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しております。サステナビリティ推進委員会ではサステナビリティにかかわる基本方針や戦略案、課題への対応策、目標などの検討・協議を行うとともに、各事業会社及び部門における取組の進捗管理及び評価を行っております。また、サステナビリティ推進委員会で協議された事項は定期的に取締役会へ報告・提言される体制を整えております。特に、経営資源の配分や事業ポートフォリオ等の戦略にも関連する重要事項については、グループ各社の取締役及び執行役員が参加するグループ経営会議での情報共有を経て、グループ各社の取締役会にて決議するものとしており、最高意思決定機関である取締役会にて適切に監督される体制を築いています。

 

(2)戦略

 ① 気候変動

当社グループでは、サステナビリティ推進委員会にて気候変動におけるリスク及び機会の特定・評価に必要なデータやパラメータの収集を行い、これを基に事業への影響度の評価を進めております。ここでは、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の温度帯シナリオを参考に、脱炭素化が推進され2050年に社会全体でカーボンニュートラルが達成されるとした1.5℃シナリオ、地球温暖化が拡大し洪水をはじめとした風水害などの物理的被害が拡大するとした4℃シナリオの2つの仮定のもと、2030年時点における当社グループへの影響を分析しています。主な考察結果としては、脱炭素化を目指す国の方針としてカーボンプライシング制度の導入や再生可能エネルギーの普及促進など様々な脱炭素化への移行政策が拡大することを見込む中、当社グループへの直接的な財務的影響は軽微と考えているものの、こうした影響がお客様の財務圧迫につながり、システム投資意欲の低減から売上減少につながる間接的なリスクを想定しております。一方で、環境データの管理や異常気象及び平均気温上昇といった影響を踏まえ、施工現場における省エネ化や省人化ニーズが想定されることから、そうしたニーズへの対応及び新製品・サービスの開発が機会となる可能性も認識しております。当社グループでは、これらの分析を踏まえ、2022年より進めている事業所における再生エネルギーの活用などの取り組みを一層促進していくとともに、当社グループの市場となる建設業界におけるGHG排出量の削減に寄与するため、これまで培ってきた技術力を活かし、さらなる対応策を検討してまいります。なお、より詳細な分析内容については、弊社ウェブサイト(URL https://hd.fukuicompu.co.jp/sustainability/index.html)をご参照ください。

 

② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループは、建設業界向けのソフトウエアの開発、販売、アフターフォローを主たる事業としており、既存の事業の更なる発展及び新たなソリューションの提供による、当社グループの目指す将来像を実現するためには、それぞれの業務を担っている社員一人一人の生産性向上が非常に重要なファクターと捉えております。

そのため、当社グループは人的資本への投資が、当社の成長にはなくてはならない投資と考えており、社員一人一人が最大限にパフォーマンスを発揮できるよう、「職場環境・組織風土」の整備に注力し、その上で「人材採用」「能力開発」「人事評価/処遇」の各人事施策の高度化に取り組むことで、人的資本投資の効果の最大化を図っております。 

「職場環境・組織風土」の観点においては、社員のワークライフバランスの実現だけでなく、円滑でハラスメントを排し役職員がお互いを尊重できる職場環境の実現に向け取り組んでおります。また、当社グループの持続的な成長には、性別、年齢、国籍等の属性に関わらない、優秀な人材の採用及び社員育成が欠かせないと考えております。そのため、期待する役割に対し優れた能力と実績が認められる社員については、性別、国籍、中途採用等の属性に関わらず管理職を含めた要職への登用を行う方針としております。 

採用・能力開発・人事評価等の各人事施策においては、経営戦略に照らし、当社が求める人物像を明確にした上で、公正性・納得性・透明性の高い人事制度を構築しております。 

当社が目指す成長のためには、各職種別に業務を着実に遂行する人材だけでなく、経営及び管理を主としディレクションを行うマネジメント人材、事業等の企画・実現を主とするイノベーティブ人材の育成も必要と考えており、それぞれの人材別に育成計画の策定や能力開発に取り組んでおります。

これらの取り組みを通じ、個の成長が組織の成長を促す好循環型のスパイラルを生み出すことで、従業員エンゲージメントの向上を図りつつ、新たな製品・サービスの開発及びそれらによるソリューションを提供していくことで、当社のステークホルダーに新たな価値を提供しながら、当社グループも成長していきたいと考えております。 

 

(3)リスク管理

当社グループにおけるリスク全般は、当社グループの定めるリスク管理規程に則って管理されております。また、リスク管理規程に基づいたリスクの洗い出しや評価、予防策の検討等をグループ全体で行うことを目的に、リスク・コンプライアンス委員会を設置しており、同委員会にてサステナビリティ関連リスクについても定期的に審議・検討を行っております。

各社各部門の従業員は、リスクの発生及び予測されるリスクに重要な変化があった場合、リスク・コンプライアンス委員会に通知することと定めております。また、外部環境の影響を受けやすいサステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ推進委員会と連携し、シナリオ分析等を通じてリスク評価を行うとともに、対応策についての検討・協議を行っております。また、リスク・コンプライアンス委員会にて重要と評価されたリスクやその対応策は、グループ経営会議を経て各社取締役会にて報告・決議されることとしております。また、決議された対応策は、取締役会の指示により各事業部門にて実行に移され、その進捗は内部監査やリスク・コンプライアンス委員会にて管理することとしており、これらの活動及び報告を通じ、取締役会にて実効的に監督しております。

 

(4)指標及び目標

① 気候変動

当社グループでは、国内経済界などの動向と足並みをそろえながらSBT基準に準拠したGHG排出量削減目標を設定し、2050年カーボンニュートラルの達成を目指しています。GHG排出量削減目標については、サステナビリティ推進委員会を主体として会社全体で進捗の確認を行っております。今後、中長期的なGHG排出量の削減目標も検討の上、環境経営の指標の1つとしてその進捗を追ってまいります。なお、Scope1,2,3排出実績及び目標進捗は、コーポレートサイト上にて定期的にその進捗状況を公開しています。

詳細につきましては、弊社ウェブサイト(https://hd.fukuicompu.co.jp/sustainability/index.html)をご参照ください。

② 人材の育成及び社内環境整備に関する方針における指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

当社グループの人材育成及び社内環境整備に関する方針としまして、まずは、ワークライフバランスやエンゲージメントを高めることで一人一人の仕事の生産性を高め、さらには、全社的な成長につなげられるよう、職場環境の改善に取り組んで参ります。また、並行してマネジメントやイノベーティブ人材を拡充させて経営戦略とリンクさせていくことで、当社の目指す成長のイメージの実現にむけ取り組んで参ります。

現在、定量的な指標及びその目標値については目下検討中ではありますが、現状における実績については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」において記載しております。

今後は現状と理想とのギャップ及び動的な人材ポートフォリオの定量化に取り組みながら、適切な指標を定め、経営戦略に応じた目標値を設定し、その実績を定期的に開示してまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。また、当該将来に関する事項については、取締役会で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

当社グループの業績は今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。リスクが顕在化する可能性の程度や時期、またリスクが顕在化した際の当グループの経営成績等の状況に与える影響は外部環境に依拠することとなりますが、当グループでは下記、事業等のリスクに対し課題の顕在化を行った上で中期経営計画を策定し重点施策の取り組みによりリスクの低減に取り組んでおります。またリスク・コンプライアンス委員会の活動を通じてリスクの低減に取り組んでいます。

 

(1) 建築・測量・土木の各種CADソフトウエアへの依存について

当社グループは建築・測量・土木の各種CADソフトウエアの開発及び販売を主たる業務とし、またこれらのソフトウエアに関連する情報機器の販売も行っております。CADソフトウエア関連の販売実績の合計は、当連結会計年度における総販売実績の95.6%を占めております。また、当社グループが販売するソフトウエアの用途は、建築・測量・土木の専門分野に特化しており、当社グループの経営成績は、建設業界の動向に影響を受ける可能性があります。

また、当社グループは全国規模の営業網を効率的に運用することを目的として、主として販売代理店を活用し、事業展開を行っております。従って、何らかの事由により、当社グループとこれらの販売代理店との関係が悪化した場合等には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。この事業等のリスクに対し、課題の顕在化を行った上で中期経営計画を策定し、重点施策の取り組みによりリスクの低減に取り組んでおります。

 

(2) 急速な情報技術革新への対応について

当社グループの製品は、マイクロソフト社のOSであるWindowsで動作するソフトウエアが中心であります。昨今、アップル社のiOS、Google社のAndroid等のWindows以外のOSのタブレットやスマートフォンが急速に普及しており、建築・測量・土木の企業においても導入が進んでおります。また、さまざまなウェアラブル端末の登場や、インターネットを利用したクラウドサービスの展開が進んでいます。そのため当社グループは、iOSやAndroid等のWindows以外のOS対応、ウェアラブル端末やクラウドを利用したソフトウエアの開発及びサービスの展開、さらにマルチブラウザへの対応が急務であり、これらの対応時期の遅れや対応内容によっては、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

さらに、BIMやCIM等の普及に伴い、建設業界の業務体系にも大きな変化が起きる可能性があります。当社グループは、このような変化に対応する開発体制を整えることが必要であると認識し、また、先端技術に対する当社グループの製品の対応が可能であると考えております。しかしながら、技術革新に対する開発等のコスト負担が一時的に大きくなる可能性があり、また、対応の完了が遅れた場合等には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。

 

(3) 知的財産について

ソフトウエア業界においては、多くの特許出願がなされており、当社グループにおいても新技術に対して積極的に特許出願を行っております。今後も数多くの特許出願が予測され、あわせて特許権侵害等の問題が生じることが考えられます。

現在、当社グループでは、必要に応じて顧問弁理士に調査を依頼するなど、製品開発において特許権の侵害等がないかチェックを行っております。また、リスク・コンプライアンス委員会の活動を通して課題と対応策の検討を行っております。しかしながら、見解の相違も含め、他社の特許権を侵害する可能性も含まれております。同様に、当社グループが保有する特許権について侵害される可能性もあります。

当社グループとしましては、第三者と知的財産権に関する問題が発生した場合、顧問弁護士及び弁理士と対応を協議していく方針ですが、案件によっては解決に時間と費用を要し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 個人情報保護について

当社グループでは、SaaSでのアプリケーション提供を行い、他企業の所有する個人データをクラウドで保有しております。

こうした個人情報の取扱いについて、当社グループは「個人情報の保護に関する法律」に従い、個人情報保護方針を策定し、社内及び当社ホームページにて公開しております。また、2008年6月に情報セキュリティ対策のための従業者の基本的行動指針を策定、ISMSに準拠した情報セキュリティシステムを構築し、個人情報の管理に努めております。

しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重要な情報が漏洩した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 投資事業について

当社グループは、相互の成長・社会的な課題解決に貢献するシステムの構築を目的とし、当社グループの事業領域と関連性の高い優れたサービスやビジネスモデルを持つスタートアップやベンチャー企業を対象に投資を実施しております。しかし投資先の事業の状況によっては、保有有価証券の評価損が発生し、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、投資対象の株式等について取得原価を上回る価額で売却できる保証はなく、期待されたキャピタルゲインが実現しない可能性や投資資金を回収できない可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善や個人消費の増加、インバウンド需要の拡大等を背景に緩やかな回復基調がみられました。しかしながら、諸外国の施策による影響や資源・エネルギー価格の高騰、物価高の影響が続いており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

建設業界では、人手不足や長時間労働の課題に加え、人件費や資材価格の高騰、働き方改革による残業時間上限規制への対応が求められており、積極的なDXやデジタル化への投資が行われています。

このような環境の下、当社グループ(当社及び連結子会社)における当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高14,717百万円(前年同期比6.5%増)、営業利益6,085百万円(前年同期比8.9%増)、経常利益6,211百万円(前年同期比9.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,189百万円(前年同期比9.8%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(建築システム事業)

建築システム事業の売上高は6,905百万円(前年同期比7.0%増)、営業利益2,519百万円(前年同期比18.8%増)となりました。当連結会計年度は、2025年4月に施行される建築基準法改正を見据えた市場ニーズの高まりを的確に捉え、住宅事業及び建材事業において、法改正対応プログラム関連製品の販売が大幅に伸長しました。またBIM事業では、国産BIMシステムとしての信頼性が評価され、既存顧客を中心としたストック型サービスが安定的に推移しました。さらに、価格改定による単価の改善も奏功し、前年同期比で増収増益となりました。

(測量土木システム事業)

測量土木システム事業の売上高は7,168百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は3,438百万円(前年同期比4.1%増)となりました。 当連結会計年度は、国土交通省が推進するi-Constructionの影響により点群データ活用の需要が拡大し、関連製品の売上が順調に推移しました。また、BIM/CIMにおいても2023年度より原則適用となり、業務の実施率が増加し、需要増から売上増加に結びついております。一時点での製品売上が減少するもストックビジネスの堅調な伸び、価格改定に伴う売上増加も寄与し前年同期比で増収増益となりました。

(ITソリューション事業)

ITソリューション事業の売上高は643百万円(前年同期比82.7%増)、営業利益は483百万円(前年同期比233.0%増)となりました。2024年10月に行われた衆議院選挙の出口調査システムにかかわる売上を計上しており、前年同期比で増収増益となりました。

(投資事業)

投資事業では完全子会社であるIFAC合同会社を設立し、当該子会社を通じてIFAC投資事業有限責任組合を設立し投資活動を実施しております。主な投資対象は、当社グループの事業領域と関連性の高い優れたサービスやビジネスモデルを持つスタートアップやベンチャー企業としております。技術やノウハウの共有、ビジネスパートナーシップの構築などを図ることにより、相互に成長を促進し、社会的な課題解決に貢献するシステムの構築にも積極的に取り組んでおります。なお、当連結会計年度の営業損失は運営経費による4百万円となっております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)期末残高は、前連結会計年度末より1,338百万円増加し21,172百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因につきましては以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、5,652百万円(前連結会計年度は4,858百万円の獲得)となっております。主な要因としましては、税金等調整前当期純利益6,181百万円、減価償却費233百万円、前受金の増加289百万円、法人税等の支払額1,220百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、2,968百万円(前連結会計年度は1,837百万円の使用)となっております。主な要因としましては、定期預金の預入による支出1,000百万円、投資有価証券の取得による支出2,559百万円、投資有価証券の償還による収入1,500百万円、有形固定資産の取得による支出754百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、1,345百万円(前連結会計年度は1,240百万円の使用)となっております。主な要因としましては、配当金の支払いによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

建築システム事業(百万円)

6,681

107.0

測量土木システム事業(百万円)

6,854

102.3

ITソリューション事業(百万円)

643

182.7

投資事業(百万円)

合計(百万円)

14,180

106.6

 

(注) 金額は販売価格で表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

建築システム事業(百万円)

149

97.4

測量土木システム事業(百万円)

272

107.7

ITソリューション事業(百万円)

投資事業(百万円)

合計(百万円)

422

103.8

 

 

c.受注実績

当社グループは、主にパッケージソフトウエアの開発及び販売を行っており、個別受注に基づく製品の生産の割合が少ないため記載を省略しております。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

建築システム事業(百万円)

6,905

107.0

測量土木システム事業(百万円)

7,168

102.2

ITソリューション事業(百万円)

643

182.7

投資事業(百万円)

合計(百万円)

14,717

106.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、当該将来に関する事項については、取締役会で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。

a.経営成績等

1) 財政状態

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、33,044百万円となり、前連結会計年度末より3,280百万円増加しました。主な要因は、現金預金、有形固定資産及び投資有価証券の増加によるものであります。

(負債)

負債合計は5,942百万円となり、前連結会計年度末より585百万円増加しました。主な要因は、未払金及び前受金の増加によるものであります。

(純資産)

純資産は27,102百万円となり、前連結会計年度末より2,695百万円増加しました。これに伴い、自己資本比率は82.0%となっております。

 

2) 経営成績

(売上高)

連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善や個人消費の増加、インバウンド需要の拡大等を背景に緩やかな回復基調がみられました。しかしながら、諸外国の施策による影響や資源・エネルギー価格の高騰、物価高の影響が続いており、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

建設業界では、人手不足や長時間労働の課題に加え、人件費や資材価格の高騰、働き方改革による残業時間上限規制への対応が求められており、積極的なDXやデジタル化への投資が行われています。

このような環境の下、当社グループ(当社及び連結子会社)における当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高14,717百万円(前年同期比6.5%増)となりました。

連結会計年度においては、建築基準法改正への対応、国土交通省が推進するi-ConstructionやBIM/CIM原則適用といった国策への対応に加え、製品の価格改定を進めたことにより、過去最高の売上高となりました。ストックビジネスである保守サービスの売上高につきましても堅調に契約数を伸ばしております。

選挙関連の売上高につきましても、昨年度は2023年4月に行われた統一地方選挙の出口調査システムにかかわる売上を計上しておりますが、今年度は2024年10月に行われた衆議院選挙の売上を計上しており、増収増益となっております。

なお、セグメント別売上高につきましては、後述しております。

 

(営業費用)

当連結会計年度の営業費用は、前年同期比396百万円増加の8,632百万円となっております。これは主に、研究開発費の増加、投資先企業との協業にかかる費用の増加等によるものであります。

また、当社の特徴としましては費用に占める人件費の割合が高く、営業費用の64.9% (前年同期は68.6%)を占めております。

 

(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の営業利益は、前年同期比499百万円増加の6,085百万円となっております。

営業外損益では、令和6年能登半島地震に伴う保険金の受取等があり、営業外収益が208百万円、営業外費用は82百万円となりました。経常利益は前年同期比535百万円増加の6,211百万円となっております。
 特別損失では、保有しております投資有価証券に係る評価損29百万円を計上しております。法人税等1,991百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比372百万円増加の4,189百万円となっております。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に挙げておりますとおり、当社グループの今後の成長と発展のためには、人材への投資が重要であると認識しております。そのために、採用、育成及び教育に注力してまいります。

 

b.セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高の分析)

全体の売上高としまして、前年度13,821百万円、当年度14,717百万円となっており、当年度は前年同期比6.5

%増加しております。建築システム事業の売上高が450百万円、測量土木システム事業の売上高が154百万円、ITソリューション事業の売上高が291百万円増加したことによります。

(建築システム事業)

当連結会計年度における建築システム事業の売上高は、前年同期比450百万円増加の6,905百万円となっております。2025年4月に施行される建築基準法改正を見据えた市場ニーズの高まりを的確に捉え、法改正対応プログラム関連製品の販売が大幅に伸長しました。

 営業費用は、前年同期比52百万円増加の4,385百万円となっております。その結果、営業利益は、前年同期比398百万円増加の2,519百万円となっております。

(測量土木システム事業)

当連結会計年度における測量土木システム事業の売上高は、前年同期比154百万円増加の7,168百万円となっております。

国土交通省が推進するi-Constructionの影響により点群データ活用の需要が拡大し、関連製品の売上が順調に推移しました。

営業費用は、前年同期比19百万円増加の3,730百万円となっております。その結果、営業利益は前年同期比135百万円増加の3,438百万円となっております。

(ITソリューション事業)

当連結会計年度におけるITソリューション事業の売上高は、前年同期比291百万円増加の643百万円となっております。これは、先述の選挙における実施規模の差による影響であります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1) キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2事業の状況 4(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2) 資金需要

当社グループにおける資金使途としましては、主たる事業が建築・測量・土木ソフトウエアの開発及び販売であることから、開発部門及び営業部門の人件費が中心となる営業費用、配当金や税金の支払いなどとなっております。

また2025年度から2027年度を対象とする中期経営計画において、市場深堀やイノベーションの新規市場開拓を目標にさらなる成長に向け努めており、目標達成のためのCVC投資、また事業拡大を先導するためのR&D投資も行ってまいります。

3) 将来投資

将来を見据え、次のような投資を検討の上、行ってまいります。

・建築、測量、土木が揃う「当社グループの強み」が活きるビジネスへの投資

・BIM(ビルディング インフォメーション モデリング)、CIM(コンストラクション インフォメーション モデリング/マネジメント)の推進につながる投資

・「メーカー」としての更なる成長のため、開発力の向上、新研究開発への投資

4) 財政政策

当社グループでは、現在、運転資金及び設備投資資金、CVC投資資金、R&D投資資金につきましては、内部資金で賄うこととしております。

自己株式取得につきましては、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を可能にするため、必要と判断した場合、市場環境、当社の財政状態を鑑みながら行ってまいります。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2025年度から2027年度を対象とする中期経営計画において、ROEを目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として新たに定めました。

リソースの最適な配分により、更なる売上の増加、また収益の向上を目指し、各事業においてバリューチェーンを見直すことで、投入するリソースと利益水準を改善してまいります。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動としましては、新技術の基礎研究と新製品の開発及び既存製品の改良・改善を主として行っております。当連結会計年度の研究開発費の総額は802百万円となっております。

当連結会計年度における各セグメント別の主な研究目的、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

 

(1) 建築システム事業

建築設計事務所や工務店向けに提供している3次元建築CADシステム「ARCHITREND」シリーズでは、2025年4月施行の建築基準法改正に伴う確認申請図書要件の大幅な変更に対応するため、各種申請図書の作成機能を強化するとともに、新オプション「省エネ仕様基準」をリリースしました。この新オプションでは、住宅の断熱性能や設備仕様を効率的に図示する専用機能を搭載しており、設計図書の作成時間の大幅な短縮を実現しています。また、住宅建築業界におけるIT化の流れに対応すべく、新たなクラウドサービス「ARCHITREND ONE」をリリースしました。「ARCHITREND ONE」は、CADデータのクラウド管理、URLによる情報共有、図面・3Dパース・申請書類・写真などの一元管理を可能とすることで、商談開始から維持管理まで、住宅建築業務全体に対応する共通のクラウド共有環境を実現しました。

BIM建築設計・施工支援システム「GLOOBE」シリーズについては、国土交通省が推進するBIMによる生産性向上及び働き方改革の実現に向け、設計・施工現場向けの各種機能を強化しました。

2026年春に開始予定のBIM図面確認申請に備え、入出力基準や設計者チェックリストとの整合性を確保するためのデータ出力機能の改良に取り組みました。

さらに、施工BIM支援システム「GLOOBE Construction」では、内外装工事や建具工事に対応した「施工詳細」機能、及び天井割付・天井インサートに特化した「天井割付図」機能を開発し、より幅広い施工業務に対応できるよう業務効率化を図りました。

「GLOOBE Architect」では、「国立研究開発法人 建築研究所」の「非住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」との連携を強化し、省エネ適判に対応した機能を強化しました。

以上の結果、建築システム事業に係る研究開発費は、505百万円となっております。

 

(2) 測量土木システム事業

国土交通省は建設現場の生産性向上を目的に、2024年4月に「i-Construction 2.0」を策定し、2040年度までに生産性を1.5倍向上させる目標を掲げました。本計画は、「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」という三つの柱を軸に、少人数でも安全かつ快適に作業できる建設現場の実現を目指すものです。当社は、この方針に基づき、建設業のあらゆるプロセスにおける省人化と生産性向上に貢献する商品・サービスの開発を継続的に進めています。

測量分野においては、近年、ドローンやレーザースキャナーを活用した3D計測技術の進展により、測量業務の効率化が進んでいます。しかし、従来手法による観測や計算作業は依然として多く、その効率化を実現するツールへの需要が高まっています。このような背景のもと、当社は測量・土地家屋調査士業向けスマートフォンアプリ「FIELD-POCKET」を2024年7月にリリースしました。本アプリはAndroid搭載スマートフォンで動作し、低コストで導入可能なうえ、測量CAD「TREND-ONE/Mercury-ONE」、地籍調査・14条地図作成システム「Mercury-LAVIS」などの内業ソフトウェアと連携し、測量業務の効率化に大きく貢献しています。 

さらに、2025年4月には全国の電子基準点、三角点、水準点等の標高成果が最新の「測地成果2024」へ改定されるため、当社も速やかに対応を進め、お客様へ安心・安全な環境を提供してまいります。

設計分野においては、昨年度リリースした、BIM/CIM道路設計3DCADシステム「TREND ROAD Designer」にて、新たに「交差点設計」「排水計画・排水溝物の設計」に対応し2024年7月にリリースしました。設計業務では依然として2Dが主体となっていますが、測量・設計・施工を含めたプロジェクト全体の3Dソリューションの供給体制を強化し、インフラ分野のDX推進を支援するとともに、業界が抱える課題の解決に取り組んでまいります。

土木分野においては、建設生産プロセス全体のデジタル化や3次元化、BIM/CIMの推進に伴い、施工現場における3Dモデル活用の重要性が増しています。この課題に対応すべく、当社は「4D施工ステップ表示」「3Dモデルの分割」「3Dモデルからの数量算出」に対応した「TREND-CORE Ver10」を2025年2月にリリースしました。

また、3D点群処理システム「TREND-POINT」では、国土交通省港湾局が2024年度より「施工履歴データを用いた出来形管理要領」などの新基準を導入したことを受け、新規オプションの「出来形管理支援(港湾海上地盤改良工編)」「出来形管理支援(港湾基礎工編)」を含むVer11.2を2025年3月にリリースしました。

維持管理分野においては、2021年4月に東北大学大学院工学研究科と共同で「インフラ情報マネジメントプログラム共同研究部門」を開設しており「インフラ情報マネジメントシステム」を構築しております。このシステムは2024年度に5つの自治体で運用されており、インフラ老朽化が進む日本において維持管理の重要性がますます高まるなか、適宜アップデートを継続しております。今後も新たなインフラメンテナンスサイクルシステムの実現に向けた取り組みを継続し、社会課題の解決に貢献してまいります。

新規事業開発においては、建設業における新規事業の創出に向けた取り組みとなっております。3D計測技術を用いたPoC(概念実証)を行い、点群解析技術を用いた新たな分野での活用に向けて取り組んでまいります。

以上の結果、測量土木システム事業に係る研究開発費は、228百万円となっております。

 

(3) ITソリューション事業

ITソリューション事業では、ワン・クリック・カウンターのサーバー入替のため、新しいOSやデータベースの調査・動作確認などを行いました。

この結果、研究開発費は1百万円となっております。

 

(4) その他

各セグメントに配分できない基礎研究費用は、66百万円となりました。

今年度は、効率化推進のための研究開発活動、AI及びXR(クロスリアリティ)技術を中核に据えた先端領域の研究開発活動に注力いたしました。AI分野においては、言語AIを活用したシステムプロトタイピングと、画像認識AIに関する公開技術を基盤とした実装ノウハウの蓄積を進め、XR分野においては、Unity社との業務提携に基づき、モバイル環境での利用を想定した要素技術の研究開発を共同で進めております。さらに、ゲームエンジン基盤を高度に活用できるエンジニアの育成を目的とした技術研修も実施しております。