文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
(1)経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、メディア・コンテンツ事業においては、地上波テレビ放送で長年培ってきたコンテンツ制作力と媒体力をコアコンピタンスとし、事業を拡大し成長させてまいりました。しかし、インターネットメディアの普及等に伴うコンテンツ視聴環境の変化や、それに伴う広告手法の進化によって、インターネット広告へのシフト、動画配信市場の拡大等が進み、テレビが持つメディアとしてのパワーの維持が大きな課題となっています。また、オリンピック等の大型スポーツイベントを中心に放送権料が高騰しているほか、AIの活用などの新技術対応のためのコストも必要となり、収益の確保が難しくなってきていると認識しています。一方で、インターネットを通じた動画配信事業は、社会のデジタルシフトを受け、市場全体が右肩上がりに成長していくことが見込まれているものの、豊富な資金力を有する外資系企業が日本に進出しているほか、国内配信事業の統合もあり、会員獲得に多額の投資が必要なビジネスモデルとなっていることから、厳しい競争環境に晒されています。
生活・健康関連事業においては、総合型スポーツクラブから特化型スポーツクラブへの利用者ニーズの移行に伴い、小規模事業者の新規参入が容易な状況となっており、24時間営業のトレーニングジム、ホットヨガ、ストレッチ専門店等に加え、アプリ等を利用した自主トレーニングなど多様化が進んでおります。また、コロナ禍において減少した会員数の回復に時間を要しているなど、厳しい状況が継続しています。
また、人権尊重のために企業が果たすべき社会的責任として、人権方針の策定、人権デューデリジェンスなどを進めてきました。しかし、メディア業界全体についてハラスメントなど重大な人権課題を指摘されており、今後はより一層、実効的な人権救済システムの整備、取引先を含めた意識の啓発、ガバナンス全体の体制強化などが求められております。
これらに加えて、急激な社会のデジタル化へのシフト、不安定な世界情勢、甚大な被害を伴う自然災害といった外的要因による大きな経営環境の変化が生じております。当社グループはこのような経営環境の変化に適切に対処し、進化していくことが重要な課題であると認識しております。
当社グループはこの度、経営理念を改定し、経営ビジョンを新しく定めるとともに、2025年度から2027年度を計画期間とする中期経営計画を策定いたしました。前中期経営計画2022-2024においては「コンテンツ中心主義」の下、良質なコンテンツ提供により地上波広告収入を確保するとともに、グローバル動画配信プラットフォームに向けたコンテンツ供給を推進しました。また、スタジオジブリの子会社化など将来の成長に向けた投資にも積極的に取り組んできました。
中期経営計画2025-2027は、10年後にありたい姿としての経営ビジョン「コンテンツの力で、“世界”を変える。」実現に向け、強靱な地上波テレビネットワークを基盤とし、「日テレ、開国! Gear up, go global」をスローガンに、コンテンツ製作領域に注力することでグローバルコンテンツ企業への変革を推進する取り組みと目標を示すものです。
当社グループは、今後3つの中期経営計画を経て、2033年度に連結売上高7,000億円(うち海外売上高1,000億円)、連結営業利益700億円を目指します。
地上波広告ビジネスとコンテンツビジネスの両輪で売上を創出し、2033年度にはコンテンツビジネスをグループの中核事業にしていきます。
中期経営計画2025-2027 重点目標
グローバルコンテンツ企業への変革
IP(知的財産)創出にこだわったコンテンツビジネスの展開
企画開発におけるAIの活用、テクノロジーの積極的導入
生活者に貢献するウェルネス事業の拡大
1,000億円の投資枠設定による成長支援の加速
報道の信頼性向上と社会課題解決への貢献
「売上高5,400億円」、「営業利益580億円」へ
①中期経営計画2025-2027定量目標
最終年度(2027年度)に、連結売上高は過去最高の5,400億円、連結営業利益は580億円を目指します。
*2026年3月期第1四半期より、従来「メディア・コンテンツ事業」としていた報告セグメントの名称を「コンテンツ・メディア事業」に、「生活・健康関連事業」としていた報告セグメントの名称を「ウェルネス事業」に変更いたします。これらの変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。
②中期経営計画2025-2027の取り組み
A グローバルコンテンツ企業への変革
放送や国内市場を主なターゲットとしてきた企画・制作体制を、海外市場を強く意識した体制に再構築し、海外市場での売上拡大を実現していきます。
コンテンツのグローバル化
ドラマの世界配信や国際共同製作のほか、海外でのバラエティフォーマット販売を拡充します。また、細田守監督の最新作「果てしなきスカーレット」の全米公開など、コンテンツのグローバル展開を進めていきます。2027年度の海外売上高300億円を実現します。
コンテンツのグローバル展開体制を構築
海外向け制作スタジオ「GYOKURO STUDIO」を新設するとともに、米国ロサンゼルスに新たなビジネス拠点を開設します。また、海外の有力スタジオとのパートナーシップ契約の締結を進めていきます。
「見たい」コンテンツを多様なチャネルで展開
TVer、Huluでのリーチ拡大を軸に、グローバル配信プラットフォームとの連携を通じてコンテンツの世界展開を進めます。地上波放送でも、リアルタイムで視聴されるコンテンツの開発を強化していきます。
スタジオジブリ作品の海外展開
スタジオジブリ作品は、劇場公開や配信を通じて、海外でも多くの方にご覧いただいています。関連商品や出版物の展開や、展示や舞台なども継続的に開催予定です。
B IP(知的財産)創出にこだわったコンテンツビジネスの展開
オリジナルコンテンツの開発や他社とのアライアンスを強化し、ドラマ、映画、音楽、キャラクタービジネスでIPを生み出す基盤を作り、多面的な収益を獲得します。
多様なオリジナルIP創出とIP協業の推進
アーティスト、キャラクター、アニメなどを中心に、パートナー企業との連携や協業を進めてオリジナルIPの創出を実現します。国内のみならずグローバル市場でのIPビジネス拡大を進めます。
組織強化とコンテンツプロダクション連携による製作体制の増強
社内組織の強化に加え、本年4月に資本業務提携したKANAMEL社をはじめとした多くのコンテンツプロダクションとの連携を強め、IP創出を実現する確固たる製作体制を築きます。
C 企画開発におけるAIの活用、テクノロジーの積極的導入
AIの活用によるコンテンツ開発・制作モデルを確立し、よりクリエイティブな環境の下、ヒットコンテンツの量産につなげます。また、テクノロジーによるテレビ広告ビジネスの変革を主導します。
コンテンツ企画制作へのAIエージェントの実装
AIによる支援を通じ、限られたリソースを最適化することでクリエイティブ力を強化する「コンテンツテクノロジー戦略」を推進し、コンテンツ制作数の拡大や質向上につなげます。
アドテクを活用した地上波広告ビジネスの変革
本年4月にスタートした運用型地上波広告「スグリー」を拡大していきます。2027年度には取引先数を2倍とすることを目指します。
D 生活者に貢献するウェルネス事業の拡大
成長ポテンシャルが高いウェルネス市場の中で、まずは当社グループのウェルネス事業の中核であるティップネスを中心とした“運動”分野から、人々の生活を豊かにする活動を推進します。併せて、日本テレビグループの基盤である信頼性をもとに、エビデンスに基づいた最先端のウェルネス情報を発信していきます。
E 1,000億円の投資枠設定による成長支援の加速
戦略的な投資と予算の投下により、各事業の成長支援を加速することに加え、新規事業開発や不動産事業の推進により、収益基盤の強化を目指します。
戦略的投資と戦略費投下による成長投資の加速
合計で1,000億円の成長投資枠を設定します。コンテンツ・グローバル領域、ウェルネス領域、新規事業領域に戦略的投資を行うほか、社内事業の育成や業務を変革するための戦略的な費用投下を進めます。
人材と資金の積極投入による新規事業開発の推進
収益基盤の多様化に向け、事業のフェーズに応じて、戦略的予算の投下や分社化、M&Aなどの施策を迅速に実施していきます。売上高50億円以上の事業を継続的に創出、育成していきます。
既存アセットの有効活用とコンテンツビジネスを支える不動産事業の推進
保有する資産の有効活用を通じ、コンテンツビジネスを持続可能なものにする不動産事業を推進します。また、スポーツ・エンタメの興行会場をはじめとした多様なアセット投資を行っていきます。
F 報道の信頼性向上と社会課題解決への貢献
報道機関として信頼性を追求し、ネットワークの強靱化を図るとともに、サステナビリティ活動を通じて社会課題の解決に貢献していきます。
報道機関としての信頼性追求
国民から信頼される正確・迅速かつ公平・公正なニュースを提供し、日本テレビのニュースブランドを世界に確立します。また、調査報道の強化で日本の社会課題解決のきっかけを生み出していきます。
日本テレビネットワークの強靭化
新たに設立された読売中京FSホールディングス株式会社(FYCSHD)及び、ネットワーク各社とさらに緊密な連携を進め、地域社会の発展や活性化に貢献していきます。
サステナブルな社会に向けた取り組み
「サステナビリティポリシー」で定めた6つの重要課題へ積極的に取り組みます。企業や自治体のメディアパートナーとして、社会課題解決に向けた共創事業を推進し、社会的価値の創出と拡大に努めます。
すべての人の人権が尊重される社会に向けた取り組み
人権がより尊重されるビジネス実現のための人権デューデリジェンスを推進していきます。また、多様性をテーマにした番組キャンペーンや啓発イベント等を積極的に発信していきます。
G 資本政策・株主還元方針
2025年度から2027年度の間に生み出したキャッシュフローで成長投資を賄い、収益基盤の拡大を目指します。政策保有株を縮減し、継続的で安定的な株主還元を基本方針としつつ、総還元性向35%以上を新たな目標とします。果敢な投資を通じて成長戦略を推進し、企業価値の向上に邁進していきます。
文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
日本テレビホールディングス㈱は、SDGs(持続可能な開発目標)の精神に共感し、グループを挙げて持続可能な未来に向けて積極果敢に取り組むための方針「サステナビリティポリシー」を策定し、6つの重要課題として「地球環境への貢献」「未来を豊かにする情報発信」「健康でクリエイティブな職場作り」「多様な人材の活躍と共生」「快適な暮らしのサポート」「法令遵守とガバナンスの徹底」を掲げました。「24時間テレビ」「Good For the Planet」「カラフルDAYS」をはじめとしたサステナビリティに関する取り組みを通じて、当社グループの価値観を多くの人々と共有しながら、社会的責任を果たします。
サステナビリティへの対応は、「サステナビリティ委員会」(以下、「サステナ委」)が司令塔の役割を担います。福田博之代表取締役社長執行役員が委員長を務め、日本テレビホールディングス㈱の執行役員が委員に就いています。サステナ委のもとには、実務組織としてのサステナビリティ事務局及び、グループ各社の事業部門の責任者らによる3つのワーキング(「気候変動対策」、「人権」、「人的資本」)が設置されていて、サステナビリティに関する課題への対応策を検討し、サステナ委に提言を行います。サステナ委は年に2回開催され、ワーキングからの提言を受けて、グループ全体の方針や目標、ロードマップを決定します。取締役会はサステナ委から重要事項や活動状況について報告を受け、対応方針や実行計画を監督します。

《サステナビリティ関連の各組織体の役割》
代表取締役社長執行役員を委員長とするサステナ委では、サステナビリティ事務局及び各ワーキングからの報告をもとに、サステナビリティに関する当社グループに係るリスクと機会を時間軸・財務的インパクトを考慮して識別し、経営への影響を適切に評価します。また、重大なリスクと評価した事項については取締役会に速やかに報告し、さらに必要な場合は、危機管理委員会とも情報共有・連携を行い、リスクの最小化に向けて対応策を決定します。
関連部門及びグループ各社は、識別されたリスクと機会を認識し、年度ごとに更新されるサステナビリティポリシーアクションプラン等に適宜反映・見直すこと等を通じて、当該リスクと機会を管理します。
気候変動や温暖化対策などの政策動向による事業環境の変化を想定し、TCFD提言が推奨する複数の気候シナリオでの分析として、下記のグループ16社において、1.5℃シナリオと4℃シナリオで想定されるリスクと機会を検討しました。
《メディア・コンテンツ事業》14社
日本テレビ放送網株式会社、株式会社BS日本、株式会社CS日本
株式会社日テレ・テクニカル・リソーシズ(以下、「NiTRo」という。)、株式会社日テレ アックスオン
株式会社日テレイベンツ、株式会社日本テレビアート、株式会社ムラヤマ、株式会社日本テレビサービス
株式会社日テレWands、HJホールディングス株式会社、株式会社PLAY
株式会社ライツ・イン、株式会社ClaN Entertainment
《生活・健康関連事業及び不動産関連事業》2社
株式会社ティップネス
株式会社日本テレビワーク24(2025年4月1日付で、株式会社日テレリアルエステートに商号変更)
○使用シナリオ
・1.5℃シナリオ(低炭素社会が急速に進展)
GHG排出量の削減に向けた厳しい規制措置が取られ、今世紀末の時点で、世界の平均気温の上昇が産業革命前と比べて1.5℃以内に収まる想定。低炭素社会が急速に進展し、法規制や社会的要請への対応を迫られるシナリオ。
※IPCC(気候変動に関する政府間パネル)のSSP1-1.9シナリオ、IEA(国際エネルギー機関)の NZE2050シナリオを参照
・4℃シナリオ(地球温暖化が深刻に)
温暖化対策が徹底されず、今世紀末の時点で、世界の平均気温が産業革命前と比べて4℃程度上昇する想定。異常気象の増加や自然災害の激甚化など気候変動の物理的影響が顕著となるシナリオ。
※IPCCのSSP5-8.5シナリオ、IEAのSTEPSシナリオを参照
○主要なリスクと機会及び影響度
気候変動シナリオをもとにしたリスクと機会に関して、グループ16社において以下の項目を抽出しました。気候変動リスクの時間軸を、1.5℃シナリオにおいては2030年と2050年、4℃シナリオについては2050年を目途とし、リスク及び機会の影響度としては、財務的影響度・人的被害・レピュテーションリスク等を加味して総合的に判断しました。今後もグループ各社と連携を強化してシナリオ分析を進めていきます。
《メディア・コンテンツ事業》重要度 ◎:事業への影響が大きい ○:事業への影響がやや大きい △:事業への影響は軽微
《生活・健康関連事業及び不動産関連事業》
重要度 ◎:事業への影響が大きい ○:事業への影響がやや大きい △:事業への影響は軽微
③ 指標及び目標
1.日本テレビホールディングスは、GHG排出量(Scope1+Scope2)を開示するグループ会社を
現在の16社から更に拡大します。
日本テレビ放送網と日本テレビサービスでは、Scope3の算出をしていきます。
2.日本テレビ放送網は、2030年度までに電力の再生可能エネルギー比率を100%とします。
さらに、GHG排出量(Scope1+Scope2)を2019年度比で50%削減します。
3.日本テレビホールディングスは、2050年度までにカーボンニュートラルを実現します。
※Scope1(事業による直接排出)
Scope2(電力・熱・蒸気の購入による間接排出)
Scope3(Scope2以外の間接排出(自社事業の活動に関連する他社の排出))
○指標
■日本テレビホールディングス 2024年度グループ16社のGHG排出量(Scope1+Scope2)
合計値:40,341.42 tCO2e
《内訳グラフ》


■日本テレビ放送網 2024年度 GHG排出原単位(Scope1・2・3)
算定結果① 放送事業関連に係るGHG排出係数 0.20 tCO2e/百万円※1, 3
※1. 百万円相当の売上に伴い発生するCO₂相当量
算定結果② 放送事業関連に係るGHG排出係数 21.89 kgCO2e/15秒※2, 3
※2. 放送15秒に伴い発生するCO₂相当量
※3. 広告収入を基とし、環境省が公表している「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」を参照し算定
(2)人権尊重の取り組みに関する戦略並びに指標及び目標
①戦略
「ビジネスと人権」に関する企業の対応要請は年々高まっている状況にありますが、特にメディア業界全体については、ハラスメントなど重大な人権課題を指摘されており、今後はより一層、実効的な人権救済システムの整備、取引先を含めた意識の啓発、ガバナンス全体の体制強化などが求められております。当社は、以下のように、人権デューデリジェンスに関する取組みを進めています。取引先や視聴者を含めたステークホルダーの皆さまとの対話を通じ、重要課題の改善策を実行し、メディア業界としての課題解決にも取り組んでいきます。さらに、多様性への取組みも推進し、番組キャンペーンや啓発イベント等を積極的に発信していきます。
a)人権に関する各種研修等の実施
日本テレビ放送網では、毎年行っている各種ハラスメント研修(職務階級別)や、これまでの外国人差別研修、アイヌ民族に関する研修に加えて、今年度は表現やコンテンツ制作等で注意すべき点について研修を行いました。これら研修は社員必修とし、グループ会社やスタッフも広く受講可能となっています。
また、グループ会社のうち特にカスタマーと直接対応する社、部門の担当者を集め、カスタマーハラスメントに関する勉強会を実施しました。
b)多様性に関する番組キャンペーンや啓発イベントの実施
日本テレビ放送網では、多様性をテーマにした放送キャンペーン「カラフルDAYS」を実施しました。性的マイノリティ当事者や障がいのあるメンバーなど、多様な社員により企画・提案された当キャンペーンは「Colorful Weekend」と題して2023年度初めて実施。2回目となる2024年度はスケールアップして展開し、特別番組、映画、13のレギュラー番組のほか、HuluとBS日テレでも連動した企画が行われました。
日本テレビ報道局の主催にて「NNN全国ジェンダー会議」が開催されました。この会議は、放送におけるジェンダー表現の検討や、ジェンダーに関する正しい情報の普及等を目的に初めて開催されたもので、NNN全30局から報道記者やアナウンサーなどが参加。性的マイノリティ当事者の社員も含め、各局での事例や知見を共有しました。
2025年3月8日の「国際女性デー」に合わせ、女性の権利や健康などをテーマにした企画について「#これが私だから」の言葉を掲げ、集中的に発信するキャンペーンを展開しました。放送のほか、NHKと民放テレビ局6局の女性アナウンサーら7人によるイベント「カラダとココロ、幸せですか?」を開催し、睡眠・生理・更年期といった悩みや「自分らしく働くこと」などについてトークを行いました。
c)2024年4月から、人権を尊重する旨の条項を追加した契約書ひな型(一部)の運用開始
日本テレビ放送網が締結する契約書ひな型の一部について、人権保護のための条項を加えました。メディア業界において特に問題視されがちであるハラスメント、労働問題への対応として、出演契約及び制作会社への委託契約等を中心に運用しております。これにより、ビジネスパートナーとともに人権を尊重したビジネスを実現します。
d)人権に関するアンケートの実施
2025年3月、ビジネス上の人権課題、実態をより詳細に把握するため、まずは日本テレビ放送網において、全従業員及び常勤役員を対象とした人権に関するアンケートを実施しました。グループ人権方針にも掲げている①ハラスメント、②不合理な差別、③コンテンツ制作過程の関係者やマイノリティに対する人権侵害に関して主な項目として聞き、より詳細な課題として把握しています。結果を受けて、今後、重点的な研修や勉強会を開催するなど、実効的な対応を検討しています。
e)救済窓口の整備
ハラスメント相談窓口、ホットラインなど社内相談窓口のほか、社外にも人権相談窓口を新設し、当社の役員・従業員だけでなく、当社のビジネスに関わる方はどなたでも利用することができるよう整備、周知しています。
人権ワーキングは、日本テレビホールディングスの各部署から横断的に人材を集め、定期的に開催して人権リスクの課題を検討するとともに、経営陣に迅速に提言、情報共有できる体制を取り、適時適切な対応をしていきます。
日本テレビ放送網において実施した社内人権アンケートに続き、グループ各社の従業員、さらには制作会社など取引先に対するアンケートも実施することを計画中であり、それら結果を踏まえてより具体的な人権に関する目標、対策を立てていきます。
「日本テレビホールディングス人権方針」の具体的な内容及び当社の人権尊重のための取組みの詳細等は、
(3) 人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標
「感動×信頼のNo.1企業」を目指す当社グループでは、人的資本は、最も重要な価値創造の源泉であると考えております。多様なバックグラウンドを持つ人材が、心身ともに健康かつクリエイティブに活動できる職場環境を整備することは、当社グループの持続的な成長に必要不可欠です。
当社の「サステナビリティポリシー」において、6つの重要課題のうち、「多様な人材の活躍と共生」と「健康でクリエイティブな職場作り」の2つが人的資本に関連するものです。例えば、グループを挙げての取り組みとして、同性間のパートナー婚に異性間の結婚と同様の祝金や特別休暇を認める「同性パートナー制度」の導入を、グループ全体で推進するなど、社員一人ひとりが自分らしく働くことのできる制度作りを進めております。また、グループの健康経営推進施策として、グループ会社㈱ティップネスの24時間トレーニングジム「FASTGYM24」とオンラインフィットネス「トルチャ」を利用し社員の運動を習慣化する取り組みや、グループ社員とその家族等が参加する運動会「スポーツフェスティバル」を実施しております。
当社グループでは、各社がそれぞれの事業環境や人材要件等にあわせて多彩な取り組みを行っており、「② 指標及び目標」を含めて、連結グループ全体としての記載が困難であるため、主要な事業会社である日本テレビ放送網㈱単体の取り組み等を中心に記載しております。
日本テレビ放送網㈱では、「感動体験を創造する人財の獲得・育成」、「健康経営の推進」、「多様な人材の活躍・共生」を人的資本に関する戦略の三本柱として掲げております。人材の多様性の確保を含む人材の採用・育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりです。
■多様性の確保を含む人材の採用・育成方針
IP創出やコンテンツ開発に必要なクリエイター人材をはじめ、DX推進に寄与するITエンジニア、経営戦略・事業戦略の推進を担う管理人材等、多種多様な人材の採用を、新卒採用・キャリア(経験者)採用を問わず、積極的かつ継続的に行っております。また、今後のコンテンツビジネスを牽引するビジネスプロデューサーの採用・育成も進めております。個人の成長が組織と事業の成長の原動力となるよう、社員のキャリアパスを支援し、定着と成長を促す育成・研修制度を実施しております。
<採用>
新卒を対象とした定期採用では、毎年30名前後を採用しています。クリエイター、ジャーナリスト、アナウンサーなど、従来の番組制作の核となる人材に加えて、次世代のメディアビジネスを担う人材やエンジニアを志す「理系人材」の採用にも注力しております。
年間を通して行っているキャリア(経験者)採用では、ITエンジニアやデータサイエンティストをはじめとする「デジタル系人材」やコーポレート機能強化に必要な「コーポレート人材」など、今後の当社グループの事業成長に必要な専門性の高い人材を中心に、積極的に採用しております。2024年度に採用した社員に占めるキャリア採用の比率は23%となっております。高度な知見と多様な経験・価値観の融合がイノベーションの創出につながるよう、トップクリエイターとキャリア採用社員が交流する機会を設けるなど、オンボーディング施策も随時実施しております。
<育成・研修>
加速する環境変化に対応しながら組織として成長し続けるため、社員個々の自律的な成長、公正な評価・処遇の実施、組織強化・課題対応をテーマとして人材育成に取り組んでおります。マネジメント能力やリーダーシップ開発及び新たなスキル・知識の習得を促進するため、従前のOJT(On-the-Job Training)を軸とした育成に加え、Off-JT(Off-the-Job Training)の機会を増やし強化しております。

a)組織強化及びマネジメント力の向上
職位・役職ごとに求められる能力や知識の習得及びリーダーシップの開発を目的として、任用・登用、昇進などの節目で階層別研修を実施しております。また、人事評価における公正性と適切なコミュニケーション・フィードバックは、人材育成の観点で極めて重要であることから、評価者のスキルアップを図る研修を年数回にわたって行っております。
b)スキルアップ・キャリア支援
社員個人の継続的な学びと成長を支援する制度も整備しております。
重要性が増しているビジネス全般及びデジタルのスキル・知識の底上げを図るため、希望者を対象に、eラーニングの受講費用を補助する「自己啓発支援制度」を導入しております。また、現在の業務に関連する学びのために学校に通う社員の学費等を補助する「修学サポート制度」では、国内のみならず海外での学びも支援しております。
さらに、資格取得や留学、配偶者・パートナーの転勤への同行などに伴う休職を可能とする「キャリアサポート休職制度」と、起業・転職などによるキャリアアップや育児・家族の介護のために退職した社員が復職しやすくする「カムバック採用制度」を整備しています。優秀な社員が会社との関係性を継続しながら多様な経験を積み、再び日本テレビで活躍してもらうことが狙いです。
加えて、若手社員が短期間他部署で働くことができる「社内留学」制度は、留学先での実務を通じて新たなスキル・知識を習得し、その後の業務やキャリアアップにつなげることを目的としています。
c)シニア対象のキャリア研修の充実と副業の推進
「人生100年時代」と言われる中、シニア世代のキャリア自律も重要な課題の一つととらえております。40代・50代の各年代でキャリアやライフプランに関する研修を実施し、リスキル・学び直しやキャリア自律を推進しております。また、55歳以上の社員を対象に副業制度も導入しており、セカンドキャリアを見据えながらこれまで培った経験・スキルを社外で活かしております。
d)女性社員の活躍推進
女性が活躍できる環境の整備と積極的な登用を進めることで、2020年度に15%台であった女性管理職比率は、2024年度には17.8%となりました。グループ内や出資先企業との人事交流で、出向先企業の役員や管理職として活躍の場を広げている女性社員も増えております。また、新卒社員の女性比率は2020年度から50%前後で推移しており、全社員における女性比率は年々上昇しております。当面の目標である女性管理職比率20%(2025年度末)達成に向け、成長機会の創出などに積極的に取り組んでまいります。
<新・人事労務制度>
2024年6月、日本テレビ放送網㈱は新しい人事労務制度を導入しました。新・人事労務制度のコンセプトは⑴社員の自律的なキャリア形成の実現、⑵社員一人ひとりの専門性を高め、スキルを発揮する仕組みづくり、⑶役割・成果に基づく公正な評価・処遇、⑷成長しようとする人が活躍できる会社づくり、の4つです。
管理職に対しては、担う役割の難易度や責任の重さなどに応じて等級を定める「役割等級制度」を導入するとともに、ライン管理職となる「マネジメント職」と専門性・スキルで貢献する「スペシャリスト職」に複線化いたしました。また、一般社員については、職務遂行能力に応じて等級を定める「職能等級制度」を継続しつつ、評価上位者に対して飛び級の仕組みを新たに導入いたしました。
これまで以上に社員が自律的にキャリアを描き、専門性を高め、高いモチベーションを持って事業に貢献できる環境を整え、会社の継続的な成長につなげてまいります。
■社内環境整備方針
<健康経営の推進>
社員の健康を最重要と考え、社員の健康増進・健康意識の向上に努めております。経営トップを健康経営最高責任者として、健康経営推進委員会を中心に、健康保険組合とも連携しながら、全社的に健康経営の推進に取り組んでおり、具体的には以下の環境を整備しております。

a)HRM(Human Resource Manager)の設置
社員一人ひとりと向き合いサポートする「HRM」を各局・室に配置しております。健康保持・増進や職場環境の改善に向けて、直属の上司とは違う立場で面談を行うことで、早期の把握と対応につなげる役割を担っております。2024年度は、対象となる社員の約9割が自局・室のHRMとの面談を1回以上行っております。
b)健康経営に関するイベント・研修の実施
2024年度は、健康に影響を及ぼす食事・飲酒・睡眠・運動・喫煙などの生活習慣の改善を重点に、㈱ティップネスによる「体組成測定会」や「出張レッスン」、㈱アールビーズのシステムを使った「社内ウオーキングフェス」のほか、健康保険組合との連携による「健康年齢通知」や、社員食堂で毎月1週テーマに応じたスペシャルメニューを提供する「健康食事週間」などを行いました。また、定期健診結果の見方の資料配布や、メンタルヘルスなど様々なテーマに関するオンライン研修を実施し、社員一人ひとりの健康に対する意識の向上に努めております。
2025年度は、2024年度と同様に健康に影響を及ぼす生活習慣の改善を重点に、心と体の健康のための取り組みをより一層推進してまいります。
c)年次有給休暇取得キャンペーンの実施
ワーク・ライフ・バランス向上のため、連続休暇取得を奨励する「ホリデー24」キャンペーンや休暇取得奨励日「リフレッシュデー」の設定などを実施し、年次有給休暇の取得を促進しております。こうした取り組みを通じて休日を取りやすい環境を整備するとともに、コミュニケーションツールの適切な活用方法を周知するなど、ワーク・ライフ・バランスと業務の円滑化を図っております。
d)エンゲージメント・サーベイの実施
組織と社員の状態を可視化し分析するため、毎月、全社員に対して「エンゲージメント・サーベイ」を実施しております。働きがいのある職場づくりと組織力の強化のため、管理職向けの説明会などを通して、サーベイ結果から算出されるエンゲージメントスコアのマネジメントへの活用を促進しております。
<誰もが働きやすい環境の整備>
現在も日本企業の平均より長い勤続年数と低い離職率ではありますが、高い意欲と能力を持つ多様な人材が、その力を最大限発揮しながら、より安心して働き続けられる環境の整備に努めております。具体的には以下の取り組みを行っております。
a)育児/介護と仕事の両立支援の強化
法定を上回る休業制度・勤務時間短縮制度及び育児・介護目的で取得できる有給休暇など、男女を問わず、社員がそれぞれの価値観やライフスタイルを尊重されつつ能力を発揮できる職場環境を整備しています。
2025年6月には、育児/介護休業を取得した社員の業務をフォローする社員・スタッフに対し支給する「育児・介護休業職場支援金」を創設し、休業を取得しやすい企業風土のさらなる醸成を図ります。
また、これらの制度や慶弔見舞金・慶弔特別休暇は、自身または配偶者(パートナー)が出産した社員はもちろん、特別養子縁組等で養子を迎えた社員も利用することができ、ライフスタイルや家族の在り方の多様化に対応できるよう取り組んでおります。
b)従業員持株会制度によるモチベーション向上
従業員持株会制度は、日本テレビホールディングス㈱及び多くの連結子会社の従業員を対象とした制度で、会員となった従業員が日本テレビホールディングス㈱の株式を毎月定額で購入する際、従業員の拠出金に対して会社からの奨励金が補助として上乗せされます。奨励金率は国内上場会社でも上位です。
また、2023年度に従業員持株会会員を対象に実施した譲渡制限付株式70株の配布や信託型従業員持株プラン(E-ship)の導入もあり、株価への意識を高めることで業績拡大へのモチベーション向上につなげ、従業員の資産形成に寄与することを目指しています。
c)ハラスメント防止研修やDE&I研修の実施
多様な人材がお互いに尊重しながら働きやすい環境を作るため、ハラスメント防止研修やDE&I研修などを継続的に行っております。また、メディア企業として、多様性のある社会の実現に寄与する情報発信にも取り組んでおります。
d)テレワークの活用など柔軟で多様な働き方の推進
ワーク・ライフ・バランスの推進、特に、意欲ある社員の育児・介護と仕事との両立を支援するため、テレワークなど働き方の多様化を実現する制度を整備しております。今後も生産性向上に向け、ICTの活用やDXによる業務効率化、オフィス環境の改善をさらに進めてまいります。
② 指標及び目標
日本テレビ放送網㈱においては、「① 戦略」にて記載した、人材の多様性の確保を含む人材の採用・育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。
■女性管理職比率
女性の活躍推進のための重要な指標と考え、2025年度末までに女性管理職比率を20%とすることを目標としております。さらに、女性社員比率が現在29%であることなども踏まえ、2030年度末までには25%に到達することを目指しております。
■産休・育休復帰率
女性活躍推進及び多様性の確保において、産休・育休復帰率は重要な指標といえます。過去5年間のうち4回復職率100%を達成しており、今後も復職率100%の達成及び維持を目標としております。
■有給休暇取得率
健康でクリエイティブな職場環境の実現に向け、重要な指標の一つととらえ、各局・室のHRMや労働組合とも連携しながら、上昇に努めております。
■定期健診受診率
定期健診は病気の早期発見・予防や生活習慣の見直しの基礎となります。健康経営の各施策により、従業員の健康に対する意識は高まり、定期健診受診率は100%を維持しております。今後も100%を継続することを目標としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。当社グループは、これらのリスクの存在を認識した上で、その回避及び顕在化した場合の対応に努める方針です。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクを網羅するものではありませんのでご留意下さい。
(地上波テレビ放送の媒体価値と収益性)
当社グループの主たる事業であるメディア・コンテンツ事業は、地上波テレビ広告枠の販売による地上波テレビ広告収入に依存しており、当連結会計年度における地上波テレビ広告収入は総売上高の48.1%を占めています。一般に、広告市況は経済のマクロ動向と連動する傾向があり、日本国内においては、少子高齢化と人口減少により大きな市場の伸びが期待できない状況です。これらに加え、メディアの多様化やデジタル広告市場拡大等の外部環境の変化により、地上波テレビ放送事業は厳しい状況に晒されており、広告価値において地上波テレビ放送が有してきた全国ネットワークによるマスへのリーチといった絶対的優位性の維持・確保が課題であると認識しております。
当社グループとしましては、視聴者から支持される番組を作り続けることにより、視聴率・視聴質の維持・向上に努め、全国ネットワーク体制を維持・強靱化し、今後厳しさが増すと予想される市場環境の中でも、地上波テレビ広告市場におけるシェアを拡大することで地上波テレビ広告収入の確保に努めております。これに加え、地上波広告でインターネット広告と同様のリアルタイムなプログラマティック取引を実現するアドプラットフォーム「Ad Reach MAXプラットフォーム」(以下、「アドリーチマックス」)の運用開始などで、地上波テレビ広告の高度化と価値の維持、広告体験の向上に努めております。広告の効果分析に対するニーズに対しては、非特定データ基盤を構築し、獲得したデータの有効な処理や活用のためのデータサイエンティストの確保などを推進しております。また、視聴データの整備を進めると同時に、さらに広告価値を高める方法についても引き続き研究を行っております。
しかしながら、今後の日本経済のマクロ動向や広告市場の動向により、地上波テレビ広告収入が大幅に縮小し、かつ、地上波テレビ広告収入の落ち込みを補う非放送広告収入を創出できなかった場合は、当社グループの存続に関わる、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(メディアの多様化)
通信環境の進化とともにスマートフォンやタブレット端末、コネクテッドTVが広く普及して視聴スタイルが多様化し、テレビのみならず様々なメディア間でユーザーの可処分時間の奪い合いが激しさを増しております。当社グループは、地上波・BS・CSの3波協業を皮切りに、2014年4月にアメリカの動画配信会社 Hulu,LLC の日本市場向け事業(定額制動画配信サービス「Hulu」の運営)を承継し、SVOD(Subscription Video On Demand:定額動画配信)事業に参入し、現在ではTVOD(Transactional Video On Demand:都度課金型動画配信)事業も開始しております。また、「日テレ無料!(TADA)by日テレオンデマンド」において、2014年度より放送事業者として初めて、一部放送コンテンツで広告付き無料見逃し配信(キャッチアップ)のサービスを開始し、インターネット環境下での放送コンテンツ視聴のBtoB事業化に着手、2015年には民放公式テレビポータル「TVer」をスタートし、AVOD(Advertising Video On Demand:広告付き無料動画配信)事業も順調に成長しております。
当社グループといたしましては、今後も地上波テレビ放送にとどまらず多様化するメディアに積極的に参入するとともに、積極的に競争力のあるコンテンツを創出あるいは獲得し、供給することで事業の拡大を図り、収益源の多様化を進めてまいります。
しかしながら、これらの事業は成長分野であるとともに、豊富な資金力を有する外資系企業が参入するほか、国内配信事業の統合など競争環境は年々厳しくなっております。事業が想定通りに伸長しない場合や、ネットワークインフラと端末の高機能化等により、市場を取り巻く環境が大きく変容する可能性もあります。このような場合には、投下資本の回収が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(地上波テレビ放送の視聴動向)
テレビ広告収入に大きな影響を及ぼすのが視聴率動向です。当社グループは、国民の皆さまの視聴ニーズを的確に捉え、最も視聴され共感されるコンテンツの制作を目指しております。地上波での2024年の年間平均視聴率は、情報発信や経済活動が活発なコア(13歳~49歳男女)層において、全日帯、ゴールデン帯、プライム帯の3部門全てでトップとなり、12年連続で三冠を維持しました。
コンテンツ制作においては、新たなデジタルテクノロジーの導入を進めるなどして制作体制を強化するとともに効率化を進めております。当社グループが有するコンテンツ制作力を結集し、引き続き、視聴者の皆さまから支持される良質なコンテンツを開発してまいります。
しかしながら、日本国内の人口減少やコンテンツの視聴環境の多種多様化により、地上波のタイムテーブル全般で視聴率の大幅な低下があった場合には、地上波テレビ広告収入の大幅な減少等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(放送権・配信許諾等ライセンスの高騰)
メディア・コンテンツ事業を主たる事業とする当社グループは、オリンピックやFIFAワールドカップ等、全国民が注目するスポーツイベントの放送をテレビ放送事業者の使命として行ってまいりました。しかしながら、近年これらのスポーツイベントの放映権料が高騰する一方で、高額なテレビ放映権料に見合う広告収入の確保は年々困難になっており、その採算性は悪化する傾向にあります。当社グループといたしましては、今後も、国民の皆さまに娯楽を提供するという放送事業者としての使命を全うすべく、スポーツイベントのテレビ放送に携わっていく所存ですが、テレビ放映権料のさらなる高騰は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
動画配信事業においては豊富なコンテンツを安価で提供することが、サービスが顧客から選ばれる要因となっていることから、近年、コンテンツホルダーの交渉力が高まっており、配信許諾等ライセンスが高騰する傾向にあります。当社グループといたしましては、コンテンツの選別を精緻に行い、慎重に収支のシミュレーションを行った上で、ライセンスを購入しております。また、購入したライセンスは効果的に利用すべく、コンテンツ中心主義の下、当社グループが有する地上波テレビ放送をはじめとする各メディアとの連携を図り、収益の最大化を進めております。しかしながら、配信許諾ライセンスのさらなる高騰により、投下資本の回収が困難なケースが増えた場合は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(コンテンツ制作の取り組み)
当社グループでは、今後、多様化するメディアの中で、制作したコンテンツのテレビ放送での利用は、ゲーム・商品化・映画・舞台等様々な利用方法と並列と捉えてマネタイズを組み立てる必要があり、IP(知的財産)の構築及び確保が重要であると考えております。当初より様々な利用を前提とし、権利処理関係においてより上流に位置することになるIPの構築には、これまでのテレビ放送を前提としたコンテンツ制作とは異なるケースも多々発生し、構築までに時間と費用がかかる場合があります。今後、当社グループの収入源の多様化を図るためにもIPを構築し確保することは重要でありますが、想定した通りのIPの構築が進まない場合、あるいはIPの構築に想定以上のコストが必要となった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
番組制作においては、働き方改革の促進に伴い、クラウド上での編集システムの検討など効率化に取り組んでおります。しかしながら、現状の番組クオリティを維持するためには、スタッフの人員増や編集システムへの投資など、費用が増加する傾向にあります。
また近年、SNS等のインターネットメディアの拡大に伴い、テレビ番組以外の制作物も増加しております。その対応のための人材確保や外部リソースの活用などを推進しておりますが、業種を問わずニーズが高い分野のため、優秀な人材を確保できない場合や確保できたとしても高コストになってしまうことも想定されます。計画的な設備投資、人材の採用を行い、コスト抑制に努めてまいりますが、想定を超える技術革新、人件費の高騰が進んだ場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
映画・イベント等への展開に関しては、慎重にシミュレーションを行った上で、投資判断を行っております。しかしながら、実際の映画の興行収入や劇場公開後の二次利用収入・イベントチケット販売収入や関連グッズなどの物品販売収入等がシミュレーション通りの収益を確保する保証はなく、当初計画した収益を確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(著作権等の知的所有権)
当社グループの制作するテレビ番組は、原作者、脚本家、音楽の作詞・作曲者、レコード製作者、実演家等多くの人々(以下、「著作者等」という。)の知的・文化的な創作活動の成果としての著作権や著作隣接権(以下、「著作権等」という。)が密接に組み合わされた創作物です。著作権法は、その第1条においてこれらの創作活動を行う著作者等の権利を定め、その公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、文化の発展に寄与することを目的としています。
当社グループは制作したテレビ番組を、地上波テレビ放送や動画配信、BS・CS等の衛星放送、ケーブルテレビへの配信、DVD / Blu-ray Disc等によるパッケージメディア化、海外への番組販売等によるグローバル展開、番組キャラクター等のマーチャンダイジングや出版化等によりマルチユース利用することで収益を獲得しております。この際、様々な著作者等が保有する著作権等に十分配慮しつつ展開することが求められます。
しかしながら、当社グループの制作するテレビ番組は、原則として日本国内における地上波放送や衛星放送を前提として著作者等から著作権等の利用を許諾されており、これら以外への利用を目的とした権利取得が十分に行われていないテレビ番組が存在します。このため、テレビ番組をインターネット等の新たなメディアでマルチユース利用する場合や、海外展開をしていく上で、予め著作者等の許諾を得るか、放送と並行して、あるいは放送後に著作者等の許諾を再度取得することが必要不可欠となります。これらの権利処理には多くの時間と費用が必要となる可能性があります。当社グループでは、新たに番組を制作する際には予めマルチユース利用を前提とした著作権等の許諾を得て制作を進めていくほか、これまでに制作した番組については、必要に応じて適切に著作者等から著作権等の許諾を取得する作業を行い、コンテンツのマルチユースがスムーズに進められるよう心掛けております。
万が一、当社グループが著作者等に対し、不適切な対応を行った場合には、放送等の差し止め要請や損害賠償請求を受ける可能性があります。このような場合には、収益の大幅な減少・訴訟等に伴う費用の大幅な増加等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、2014年12月に総合スポーツクラブ事業を営む㈱ティップネスを連結子会社化し、生活・健康関連事業を展開しています。生活・健康関連の市場規模は拡大傾向にあるものの、新規事業者の参入などにより事業の競争環境は厳しさを増しております。㈱ティップネスは従来の総合型スポーツクラブ「ティップネス」や24時間営業のトレーニングジム「FASTGYM24」を展開し、顧客層の獲得へ取り組んでおります。また、2020年3月には水泳スクールを営む㈱ジェイエスエスを関連会社とし、㈱ティップネスとのシナジーも含め、本セグメントにおけるスクール事業の強化に努めております。
しかしながら、スポーツ施設の運営において、同業他社や他のスポーツ関連サービス等との競合により会員を計画通りに確保できない場合や、価格競争により平均単価が低下した場合、あるいは賃貸契約を更新できずに店舗を閉鎖せざるを得ない場合には、安定的な収益が得られない可能性があります。また、新規出店やリニューアルなどには、規模に応じた投資を要するため、会員の確保が計画通り進まない場合には投下資本の回収が困難になる可能性があります。特に昨今では、コロナ禍において減少した会員数の回復に時間を要しております。当社グループといたしましては、不採算店舗の閉鎖も実施しつつ、コスト構造の見直しを通じて収益性の回復を図るほか、デジタル化を通じた新規事業の創出やデータの活用を通じ、健康ニーズに迅速・的確に応えるコンテンツ・サービスの開発に取り組んでまいります。しかし、引き続き会員数の回復が見込めない場合や想定外の多額の費用投下が必要になった場合などには、収益の大幅な減少やさらなる不採算店舗の閉鎖コストの発生、固定資産のさらなる減損リスクが発生するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、汐留及び番町地区等において不動産賃貸事業を計画、実施しており、保有地の活用検討を進めております。
当社グループといたしましては、建設費の高騰等を想定し、できる限りコストコントロールに努めた上で事業を進めてまいりますが、予期せぬ事情により今後の計画に何らかの影響が及んだ場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、これまで複数の太陽光発電所を稼働させてきました。クリーンエネルギーの創生は、環境に配慮した発電事業として社会的に意義のあるものと考えており、電力会社と固定価格買取保証の契約を締結することなどにより、長期安定的に収益を計上できるよう取り組んでおります。
しかしながら、合理的な理由を前提とした電力会社から事業者への出力抑制の要請等で、計画通りに買い取りが行われないような状況が発生した場合や、設備トラブルや天候不順・天変地異等により発電量が大幅に低下した場合、営農型発電所において営農の継続性に疑義が生じた場合、稼働済みの発電所から撤退する場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、2025年度から2027年度を計画期間とする中期経営計画2025-2027において戦略的投資と戦略費投下を合わせた成長投資枠を1,000億円とし、コンテンツ・グローバル領域、ウェルネス領域、新規事業領域を対象にM&A等の戦略的投資を行ってまいります。しかしながら、M&Aについては、適切な候補先が見つからない場合や、条件に合致しないなどの理由により、当社グループの想定通りに取引が進まない可能性があります。
M&Aを行うにあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行い、十分にリスクを回避するように努めていますが、対象企業に偶発債務の発生や未認識債務の判明など事前の調査で把握できない問題が生じる可能性も否定できません。
また、M&Aにおいては、対象企業とのシナジー効果を含んだ金額での合併・買収価額となることが通常であるため、事前段階から綿密な統合計画を作成し、合併・買収後において、速やかに統合計画を実行することにより、早期のシナジー発現を目指しております。しかしながら、合併・買収後に重要な役員・従業員の退職や取引先との関係悪化といった躓きが生じた場合や、事業環境の変化その他の理由により統合後の事業展開が計画通りに進まず、シナジー効果が発現できない場合には、のれん等の減損リスクが発生するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループが事業活動を行う上で、人材の確保は重要な課題と捉えています。様々なプラットフォーム・デバイスや海外に向けたコンテンツ制作等、現在の事業をさらに拡大するために、また、新たなビジネス・サービスを創出するためには、それぞれに必要なスキルを有した人材が不可欠です。しかしながら、昨今、労働需要がひっ迫し、労働力及び人材の確保が難しくなってきております。また、今後、DXやAIがますます重要になることから、デジタル技術を用いて新規サービス、業務改善につながるシステム等を開発するエンジニアや、獲得した大量のデータを適切に分析・活用できるデータサイエンティストに対するニーズが一段と高まってきております。当社グループにおきましても、このような「デジタル系人材」を獲得することが非常に重要と考えておりますが、様々な業界・企業が求める人材であるため、採用は容易ではありません。
当社グループでは、テレワークやコミュニケーションツールの活用をはじめとした働き方改革に全社を挙げて取り組み、社員や協力スタッフにとって働きやすい環境の整備に努めることで、人材の確保に注力しております。さらに、キャリア採用の強化等で多彩な人材を迎え入れ、当社グループの一番の強みであるコンテンツ制作力を強化するとともに、新規事業にも積極的に取り組んでおります。このほか、経理等の重要な管理部門においても、専門スキルを有する「コーポレート人材」を継続して採用するなどし、ガバナンス機能の強化に努めております。
これらに加え、優秀な人材の永続的な確保という観点では、社員の流出を防ぐことも重要であると考え、より働きやすい環境を目指して絶えず制度を改善しております。また、女性が働きやすい職場作りに注力しており、出産を経た女性が復職しキャリアを積み上げていくことが可能な環境を整えております。
人材の確保のみならず、人材の育成も事業の成長において重要な要素であると考えております。当社グループでは、業務に必要なスキル・知識、マネジメント能力等の習得に向けて、OJT(On-the-Job Training)を軸とした育成に加え、Off-JT(Off-the-Job Training)の機会を増やしております。また、部署の横断プロジェクトの立上げや社内あるいはグループ内外の人事交流を深めること等を通じて、優秀な人材の育成に努めております。評価制度を充実させるとともに、報酬については成果・業績に基づく賃金体系を導入しており、社員のモチベーション及びパフォーマンス向上に取組んでおります。
しかしながら、労働力・人材を十分に確保できなかった場合、また労働関係の法令や制度の改正等により人材に関わる費用が増加する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、人的資本を活かす上で、適切な組織の構築と適材適所の人材の配置が重要であると考えております。組織においては、当社グループが創り出すコンテンツの価値最大化とDXを実現するための組織改編や、生活・健康関連事業を強力に推進・統括する部署の創設、社内ベンチャーとして誕生した事業の分社化等、既存事業の強化と新規事業の創出等に向けて、適切な組織の構築に努めております。また、会計システムにおける伝票の申請・承認・保管及び受取請求書の電子化、クラウドサービスの導入等ITテクノロジーの活用、社内横断プロジェクトを通じた業務のボトルネックの改善等、業務の効率化を図り、余裕が生じた労働力を新規事業に充当することにより、事業の拡大に努めております。
しかしながら、人的資本が有機的に機能しない事態に陥った場合、企業活動が停滞し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、2[サステナビリティに関する考え方及び取組]において「(3) 人的資本(人材の多様性を含む。)に関する戦略並びに指標及び目標」に関する記載がありますので併せてご覧ください。
当社グループは、事業の用に供する様々な不動産を保有しております。このうち、汐留地区にある本社ビル「日本テレビタワー」及び番町地区に保有する不動産は、メディア・コンテンツ事業及び不動産関連事業に供している資産で、当連結会計年度末における汐留地区の「日本テレビタワー」及び番町地区の保有不動産の帳簿価額は合わせて、2,093億1千2百万円(建物及び構築物と土地の合計額)であり、当社グループの総資産の17.0%を占めております。
当連結会計年度末現在、汐留地区の「日本テレビタワー」及び番町地区の保有不動産に関して減損の兆候は認識しておらず、将来における回収可能性はあるものと認識しており、当面、減損の兆候を認識するような事態にはならないと考えております。しかしながら、将来において、経営環境の著しい悪化等により当社グループの収益性や営業キャッシュ・フローの大幅な悪化が見込まれた場合や、地価が著しく下落した場合、保有する不動産に対して減損損失を計上する必要があるため、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
当社グループは、放送事業における基幹システムの更新・改修に加え、動画配信事業におけるシステムの開発、さらにはクラウドを利用する番組制作システムや低軌道衛星などの新技術の有効活用の検討を行うなど、次世代技術を含めた開発・新規投資を行っております。加えて、新規に事業を開始する際には新たに対応するシステムの構築が必要となる場合もあります。事業の効率性を高め、競争力のあるサービスを提供するためには、これら様々なシステムの重要性はますます高まっています。
必要と認められるシステムは、初期費用、ランニング費用、その後の必要な改修費用等を慎重にシミュレーションし、外部ベンダーへの依頼やグループでの内製及びクラウドサービス等の利用により、システム開発及び改修の必要性を精査することでコストコントロールに努めて構築しております。加えて、アジャイル開発も導入し、変化に耐えうる開発を推進しています。
しかしながら、近年の技術革新のスピードや消費者ニーズの変化はとても速く、当初の予想を超えて開発・投資した技術やシステムが陳腐化する等、当初計画値以上の再投資が必要になる場合、さらに投資額に見合った収入の確保あるいは業務の効率化が見込めない場合には、固定資産の減損及び減価償却費の増加等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、近年ではサイバー攻撃の手口が高度化・巧妙化していることから、各種システムのセキュリティリスクは年々高まっています。当社グループとしても様々な高度なセキュリティ対策を講じていますが、これらを超える新たなセキュリティ上の脅威が発覚し、その対策として多額の投資が発生した場合、あるいは個人情報や営業上の機密の漏洩をはじめとするリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業上の結びつきまたは資金運用を目的とし、複数の会社・組合等に投資を行っています。一方で、当社グループは、保有有価証券等の評価に当たり、会計基準に則した社内ルールを設定し、減損処理等の必要な措置を適宜施し、投資先企業の業績や市場での取引価額が当社グループの業績に適切に反映されるよう厳格に運用しています。
新規の投資案件に関しては、リスク及びリターンを充分に考慮し、投資判断を行っています。また、保有している有価証券等につきましても、投資先との関係、取引状況、協業機会、シナジー効果及び市場の動向や投資先企業の業績を定期的にチェックし、最大限の収益獲得に努めています。しかしながら、これらの投資先企業の業績や市場動向を確実に予想することは困難であり、将来的に当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
認定放送持株会社は、放送法による認定を受けることで、複数の地上波放送局とBS放送局及びCS放送局を子会社として保有することが認められています。当社は日本テレビ放送網㈱、㈱BS日本、㈱CS日本を子会社とする認定放送持株会社として認定を受けています。今後、認定放送持株会社の資産に関する基準等、放送法で定める基準を満たさなくなった場合には、認定の取り消し(放送法第166条)を受ける可能性があります。仮に認定の取り消しを受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、放送法で定める外国人等が直接及び間接に占める議決権の割合が、当社の議決権の20%以上となる場合には、認定放送持株会社としての認定が取り消されることになります。このため、このような事態に至る場合は、放送法に基づき、外国人等が取得した当社株式につき、株主名簿への記載または記録を拒むことができ、その議決権は制限されることとなります。
当社グループの主たる事業であるメディア・コンテンツ事業におけるテレビ放送は、「放送法」及び「電波法」等の法令による規制を受けています。
このうち、放送法は放送の健全な発展を図ることを目的とし、番組編集の自由や放送番組審議機関の設置、BS・CS放送等の衛星基幹放送の業務の認定に関する基準等を定めています。また、電波法は電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的としています。電波法第4条は電波を送信する「無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。」、電波法第13条では「免許の有効期間は、免許の日から起算して五年を超えない範囲内において総務省令で定める。」など、地上基幹放送の免許を定めています。当社グループのテレビ放送事業については、当社が1952年7月31日に我が国初のテレビ放送免許を取得し、それ以来、放送局の再免許を受けてきました。2012年10月1日には認定放送持株会社化した当社に代わって、子会社の日本テレビ放送網㈱が同日免許を承継し、現在に至っております。また、㈱BS日本、㈱CS日本につきましてはそれぞれ衛星基幹放送の業務の認定を受けており、放送法等の法令による規制を受けています。
所定の事態が生じた場合における総務大臣の権限として、衛星基幹放送に関しては放送法の「業務の停止」(第174条)や「認定の取り消し等」(第103条、第104条)、地上基幹放送に関しては電波法の「電波の発射の停止」(第72条)や「無線局の免許の取り消し等」(第75条、第76条)を定めております。当社グループは、こうした事態が生じることのないよう常に公平・公正さを保ち、信頼される番組作りを心掛け、放送の社会的使命を果たしていく所存です。具体的には視聴者センターを設け、視聴者の皆様の声を伺い番組作りに役立てるほか、考査部や番組審議会を組織し、定期的に放送番組をチェックすることで放送倫理を保つことを心掛けます。しかしながら、仮に放送法や電波法に反するような状態が生じ、放送事業の免許や認定の取り消し等を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、動画配信サービスや通信販売事業、スポーツクラブ事業等のサービスを展開するにあたり、顧客の氏名、住所、電話番号などの基本情報に加え、口座情報などを扱うほか、放送事業においては番組の観覧者や出演者などの個人情報を取り扱っております。これらの個人情報は、当社グループの事業運営に際し必要不可欠な資産であると認識しておりますので、当社グループとしては、全ての方々に安心して個人情報を預けていただける体制を整備することが重要と考えます。このため、個人情報の安全な管理のための社内体制を構築するとともに、従業員等に対する研修を行い、個人情報保護についての周知啓発を徹底するほか、情報セキュリティの強化にも注力しております。
その一方で、デジタル社会の進展に伴い、個人情報が様々な形で利活用される昨今、個人情報を取り扱う事業者に課せられる責任は増しています。情報管理の脅威となるサイバー攻撃の手口も一層高度化・巧妙化し、個人情報のさらなる適正管理が求められることから、個人情報の保護に関する法律及びこれ関連するガイドライン、その他業界の自主ルール等による規律を的確に把握した上で、これらに適切に対応する必要があります。万一、不正アクセスまたは不正利用などのインシデントにより当社グループが保有する個人情報が漏洩した場合、または関連法規等の遵守状況が十分でない場合、当社グループの情報管理に対する信頼性が低下し、各事業の円滑な遂行に影響を及ぼすおそれがあるとともに、損害賠償責任等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
我が国は元来、地殻変動や火山活動が発生しやすい地理特性にあり、地震・津波や噴火及びそれに伴う事故といった大きな被害が度々発生しております。これに加え、近年、地球温暖化に伴う異常気象の影響もあり、大型台風や局所的な集中豪雨といった風水害の危険性も高まってきております。
日本テレビ放送網㈱等は放送法により「暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、又はその被害を軽減するために役立つ放送をするようにしなければならない」と災害時の放送を義務付けられております。当社グループは、報道機関としてこのような有事の際に、携わる社員・スタッフの安全を確保しつつ、国民の皆さまにいち早く正確な情報を伝達する使命を有しております。大規模災害が発生し、報道特別番組等を放送する場合には、事前に予定されていたCM放送を休止することがあるほか、被害状況によっては、当社グループの放送設備が被災し、テレビ放送自体に支障が生じる可能性があります。
当社グループではこのような大規模災害時でもテレビ放送を続けられるよう、番町地区に耐震性が高くBCPに対応したスタジオ棟を建設する等の対策を講じております。また、首都圏が甚大な被害に見舞われ、東京地区からのテレビ放送が困難な事態に陥った場合には関西地区からの放送が実施できる仕組みを整えることで放送の継続を可能とする体制を築いております。
このほか、テレビ放送以外の事業におきましても、保有または利用する設備等が被災した場合、あるいは携わる社員・スタッフが何らかの被害にあった場合でも事業への影響を最小限に抑えられるよう、様々なケースを想定してシミュレーションを行ない、対策を講じております。
しかしながら、想定以上の事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
なお、気候変動に関しましては、2[サステナビリティに関する考え方及び取組]「○ガバナンス及びリスク管理 ②リスク管理」及び「(1) 気候変動問題に関する重要な戦略並びに指標及び目標」に記載しております。
新型コロナウイルス感染症を含む感染症の拡大等により、テレビ広告収入への影響や公開映画・イベント等の延期・中止、スポーツクラブの時短営業やテーマパークの入場制限などの影響が広範囲に及ぶことが想定されます。これらにより、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要、及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、予想される将来のキャッシュ・フローや経営者の定めた会計方針に従って財務諸表に報告されている数値に影響を与える項目について、経営者が見積りを行うことが要求されます。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」にて記載しておりますが、経営者による見積りを要する主な会計方針及びそれらに内在する見積り要素は下記のとおりです。
なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5「経理の状況」の連結財務諸表の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
売上債権等の貸倒損失に備えるため回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。将来、債務者の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
棚卸資産、番組勘定は、評価基準として原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。市場の需給動向や回収可能額を超える番組制作費の発生等により、棚卸資産、番組勘定の収益性が低下した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
繰延税金資産の回収可能性を評価するに際しては将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
退職給付に係る負債及び退職給付費用は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算定されております。これらの前提条件には、長期的な金利水準、将来の給付水準、退職率等が含まれますが、実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。
固定資産については、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失として計上しております。回収可能価額は、正味売却価額と使用価値のいずれか大きい方としていることから、不動産取引相場や賃料相場が変動した場合や固定資産の収益性が低下した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
所有する有価証券、投資有価証券及び出資金の投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、合理的な基準に基づいて減損処理を行っております。将来の市況悪化や投資先の業績不振など、現在の投資簿価に反映されていない損失が発生するなどにより投資簿価の回収が困難となった場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
(2) 経営成績の概要・分析
当連結会計年度における我が国の経済を概観すると、景気は一部に足踏みが残るものの緩やかに回復しており、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあって、回復の継続が期待されています。しかしながら、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策などアメリカの政策動向による影響などが、我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、金融資本市場の変動等の影響にも十分注意する必要があります(政府「月例経済報告」2025年3月)。
こうした経済環境の中、2024年の日本の総広告費(暦年、㈱電通調べ)は、過去最高の7兆6,730億円(前年比+4.9%)と3年連続で過去最高を更新しました。このうち地上波テレビ広告費は1兆6,351億円(+1.6%)となりました。インターネット広告費は3兆6,517億円(+9.6%)と引き続き好調に推移し、このうちテレビ番組の見逃し配信やリアルタイム配信サービスなどテレビメディア放送事業者が主体となったインターネット動画配信の広告費である「テレビメディア関連動画広告費」が653億円(+47.4%)と引き続き大きく伸長しました。
テレビメディア広告費(関連動画広告費含む)とインターネット広告費(暦年)
(単位:億円)
(㈱電通調べ「2023年/2024年 日本の広告費」)
このような状況の下、当社グループは、在京キー局間の2024年の年間・年度の平均個人視聴率では、ゴールデン帯(19時~22時)でトップを獲得しました。また、平均コア視聴率(男女13歳~49歳) では、全日帯(6時~24時)・プライム帯(19時~23時)・ゴールデン帯(19時~22時)のすべてでトップとなり、年間は12年連続・年度は13年連続で「コア視聴率三冠王」を獲得しました。
日本テレビの年度平均個人視聴率と在京キー局間の順位(関東地区個人視聴率)
(㈱ビデオリサーチ調べ)
日本テレビの年度平均コア視聴率と在京キー局間の順位(関東地区コア視聴率)
(㈱ビデオリサーチ調べ)
当連結会計年度における当社グループの売上高は、主たる事業であるメディア・コンテンツ事業において、スポット収入やデジタル広告収入、大阪・関西万博の受注などのコンテンツ制作収入、番組キャラクターグッズ等の物品販売収入が好調であったほか、前第1四半期連結会計期間以降に3社を連結子会社化した影響などにより、前連結会計年度に比べ383億9千1百万円(+9.1%)増収の4,619億1千5百万円となりました。
売上原価と販売費及び一般管理費を合わせた営業費用は、事業費や諸経費が増加したほか、前第1四半期連結会計期間以降に3社を連結子会社化した影響などにより、前連結会計年度に比べ253億5千1百万円(+6.6%)増加の4,069億9千8百万円となりました。
この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ130億4千万円(+31.1%)増益の549億1千7百万円、経常利益は162億2千1百万円(+32.8%)増益の657億2千4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は113億4千万円(+32.7%)増益の460億円となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
(メディア・コンテンツ事業)
地上波テレビ広告収入のうちタイム収入は、「パリ2024オリンピック」や「MLB開幕シリーズ2025」などのスポーツ中継番組のセールスが堅調だったものの、レギュラー番組セールスの減速が続き、前連結会計年度に比べ1億1千3百万円(△0.1%)減収の1,050億3千9百万円となりました。スポット収入は、地区投下量が前連結会計年度を上回る中、在京キー局の中で高いシェアを維持したことにより、30億5千1百万円(+2.7%)増収の1,169億2千5百万円となりました。この結果、地上波テレビ広告収入は前連結会計年度に比べ29億3千7百万円(+1.3%)増収の2,219億6千4百万円となりました。
BS・CS広告収入は、㈱BS日本におけるスポット収入が好調だったことにより、前連結会計年度に比べ7億9千5百万円(+5.3%)増収の157億7千1百万円となりました。
デジタル広告収入は、民放公式テレビ配信サービス「TVer」における動画広告セールスが堅調に推移し、前連結会計年度に比べ36億6千2百万円(+53.4%)増収の105億2千2百万円となりました。
コンテンツ販売収入は、前第3四半期連結会計期間において㈱スタジオジブリを連結子会社化した影響や、ドラマのグローバル配信事業者向けセールスが好調だったことにより、前連結会計年度に比べ134億6千6百万円(+16.9%)増収の932億3千7百万円となりました。
コンテンツ制作収入は、㈱ムラヤマにおける大阪・関西万博などの受注に加えて、ドラマやスポーツの制作受託が堅調だったことにより、前連結会計年度に比べ48億2千7百万円(+19.9%)増収の290億6千2百万円となりました。
物品販売収入は、前第1四半期連結会計期間においてla belle vie㈱を、第1四半期連結会計期間より㈱ライツ・インを連結子会社化した影響や、番組キャラクターグッズ等の販売好調により、前連結会計年度に比べ101億8百万円(+43.4%)増収の334億1千2百万円となりました。
興行収入は、映画事業において「キングダム 大将軍の帰還」などの当年度公開作品が好調であったことや、「アンパンマンこどもミュージアム」の入場者数が堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ11億4千5百万円(+7.9%)増収の156億8千5百万円となりました。
その他の収入は、前連結会計年度に比べ12億5千9百万円(+13.5%)増収の106億4百万円となりました。
この結果、メディア・コンテンツ事業の売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ375億5千2百万円(+9.5%)増収の4,311億2千万円、営業利益は前連結会計年度に比べ136億5千1百万円(+35.4%)増益の521億9千万円となりました。
メディア・コンテンツ事業の外部顧客への売上高の内訳は次ページの表のとおりです。当社グループにおける地上波テレビ広告収入は、2024年度はやや持ち直したものの漸減傾向となっています。このため、地上波テレビ広告収入の在京キー局間トップを継続しながら、媒体力を明確に示す為のデータ活用や、クライアントのニーズに即したセールス改革を通じて、テレビ広告の価値向上に努めております。また、インターネット広告へのシフトが進む中、広告付き無料動画配信を営む民放公式テレビポータル「TVer」によるデジタル広告収入の伸長を継続しております。加えて、㈱スタジオジブリやla belle vie㈱の連結子会社化、グローバル配信事業者に向けたドラマセールスの展開など、収益基盤の多角化に努めております。
今後は、「日テレ、開国! Gear up, go global」をスローガンに、海外市場を強く意識した企画・制作体制を推進し、海外市場での売上拡大を実現してまいります。
外部顧客への売上高(メディア・コンテンツ事業)
(単位:百万円)
(生活・健康関連事業)
スポーツクラブ運営による施設利用料収入を主とする生活・健康関連事業の売上高は、キッズ会費収入の増加などにより、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ2億9千9百万円(+1.1%)増収の267億5千5百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ3億5千1百万円(△65.2%)減益の1億8千7百万円となりました。
当社グループは、健康ニーズに迅速・的確に応えるコンテンツ・サービスの開発に取り組み、減少した会員数の回復を図ると共に、生活者に有益なウェルネス事業開発を推進しております。
(不動産関連事業)
汐留及び番町地区を主とする不動産関連事業の売上高は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含め、前連結会計年度に比べ3億2千3百万円(+2.9%)増収の115億3千万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ1億4千4百万円(+3.3%)増益の44億4千5百万円となりました。
当社グループは、不動産賃貸事業を行っており、保有地の活用検討を進めております。
(資産)
流動資産は、現金及び預金が減少した一方、購入に伴う有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べ356億1千4百万円増加し、3,518億1千3百万円となりました。
固定資産は、購入や時価上昇に伴う投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に比べ132億4百万円増加し、8,803億4百万円となりました。
この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ488億1千8百万円増加し、1兆2,321億1千7百万円となりました。
(負債)
流動負債は、未払金が減少した一方、未払費用の増加などにより、前連結会計年度末に比べ3億1千6百万円増加し、1,185億9千9百万円となりました。
固定負債は、リース債務が減少した一方、投資有価証券の時価上昇に伴う繰延税金負債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ48億5百万円増加し、1,225億2千6百万円となりました。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ51億2千2百万円増加し、2,411億2千5百万円となりました。
(純資産)
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加や、投資有価証券の時価上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ436億9千6百万円増加し、9,909億9千2百万円となりました。
なお、主要な自己資本比率の推移は下記のとおりです。
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は下記の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、478億9千8百万円となりました(前連結会計年度は446億6千9百万円の資金の増加)。これは主に、税金等調整前当期純利益690億9千1百万円や減価償却費の計上134億1千9百万円による増加があった一方で、投資有価証券売却損益98億8千6百万円の計上や法人税等の支払い202億9千6百万円による減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、263億7千5百万円となりました(前連結会計年度は74億9千3百万円の資金の増加)。これは主に、投資有価証券の取得による支出620億3千1百万円や有価証券の取得による支出350億円による減少があった一方で、有価証券の償還等による収入577億6千8百万円や投資有価証券の償還等による収入101億8千3百万円による増加があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、配当金の支払い103億4千7百万円や自己株式の取得による支出35億1千7百万円等により160億6千5百万円となりました(前連結会計年度は149億6千万円の資金の減少)。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より57億6千7百万円増加し、1,182億3千9百万円となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性に係る情報は下記の通りです。
(基本的な考え方)
当社グループはこの度、経営理念を改定し、経営ビジョンを新しく定めるとともに、2025年度から2027年度を計画期間とする中期経営計画を策定いたしました。これは10年後にありたい姿としての経営ビジョン「コンテンツの力で、“世界”を変える。」実現に向け、強靭な地上波テレビネットワークを基盤とし、「日テレ、開国! Gear up, go global」をスローガンに、コンテンツ製作領域に注力することでグローバルコンテンツ企業への変革を推進する以下の取り組みと目標を示すものです。
(ア) グローバルコンテンツ企業への変革
(イ) IP(知的財産)創出にこだわったコンテンツビジネスの展開
(ウ) 企画開発におけるAIの活用、テクノロジーの積極的導入
(エ) 生活者に貢献するウェルネス事業の拡大
(オ) 1,000億円の投資枠設定による成長支援の加速
(カ) 報道の信頼性向上と社会課題解決への貢献
(キ) 資本政策・株主還元方針
中期経営計画2025-2027の詳細につきましては、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]をご覧ください。
また、株主還元の詳細につきましては、「第4[提出会社の状況]2[自己株式の取得等の状況]及び3[配当政策]」をご参照ください。
(経営資源の配分に関する考え方)
当社グループは、上記経営計画に従い、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めてまいります。また、安定的な経営及び事業展開に伴う資金需要等に対して機動的に対応するため、十分な現金及び現金同等物を保有しております。特に報道機関としての使命を果たすべく、いかなる有事でも放送を維持するための緊急時資金として2,000億円を手許資金として継続保有することといたします。これらの事業活動等にかかわる資金以外につきましては金融情勢等を勘案しつつ、適切な金融商品にて運用してまいります。
(資金需要の主な内容と資金調達)
当社グループにおける資金需要の主な内容は、当社及び子会社が事業活動を行っていく上で必要な運転資金、投資枠設定による成長支援の加速に沿った投資資金、現有設備の更新を中心とした設備投資や当社グループの人的資本にかかわる投資資金、株主還元方針に沿った株主還元にかかわる資金及び有利子負債の返済資金等であります。
これらの資金需要につきましては、主に事業活動によって獲得する自己資金によって賄う予定ですが、加えて、一部の政策保有株式の縮減によって得た資金を充当する予定です。これらを超える資金需要が発生する場合には、当社グループを取り巻く環境や金融情勢等を勘案しつつ、当該時点で最適と考えられる方法により資金調達を行います。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の概要は以下の通りです。
このほか、オペレーティング・リース取引を行っており、解約不能のものに係る未経過リース料は137億4千1百万円(1年以内:41億3千3百万円、1年超:96億8百万円)です。
当社グループの主たる事業であるメディア・コンテンツ事業の大きな柱は地上波テレビ放送事業であり、下記に記載のプライム帯(19~23時)などの番組を中心にタイムテーブルを編成し、広告枠の販売を行いました。
当連結会計年度における日本テレビ放送網㈱の番組制作費は、レギュラー番組を中心にコストコントロールを行ったことに加え、前連結会計年度に計上した「パリ2024オリンピック」の放送権料に係る評価損の反動等により、前連結会計年度に比べ16億1千5百万円(△1.8%)減少の877億1千5百万円となりました。
(主な地上波レギュラー番組)
[プライム帯(19~23時)]
(注) 当連結会計年度内に改編を行っております。
(主な地上波単発番組)
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 当初に予想される契約期間が1年以内の契約については受注実績に含めておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.当社グループは、主要な顧客である広告主に対し、広告代理店を通じてテレビ広告枠の販売などを行っております。最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合を広告代理店別に示すと次のとおりです。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」に記載のとおりです。
当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2[事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等] (4) 中期経営計画 2025-2027 ①中期経営計画2025-2027定量目標」に記載のとおりです。
該当事項はありません。
当社グループは、公共の資源である電波を預かる放送事業者として、多様化する視聴者ニーズと放送局を取り巻く技術面での課題に応えるため、AI(人工知能)を使用した番組制作の効率化や、将来の番組制作設備に関する技術検証などに取り組んでおります。
メディア・コンテンツ事業における研究開発項目は、以下を主要テーマとしております。
(1) コンテンツ制作や放送・配信運行へのAI活用
映像・音声のAI解析結果をCG 表示する基本プログラム「エイディ」を使用した、スポーツ中継や様々な番組の業務支援に寄与するアプリケーションの開発
(2) 効率的かつ効果的に社内設備導入するための技術検証
放送設備のIP化や映像・音声番組素材のファイル化、放送設備機能のソフトウェア化など新たな技術の調査研究や検証など
当連結会計年度におけるメディア・コンテンツ事業の研究開発費は
① 「エイディ」を使用した「ビデオペンシステム」を開発し、ラグビー中継での選手とゴールの位置関係表示やサッカー中継におけるディフェンスライン表示を簡単操作で制作者が実現できる仕組みを作り上げました。
「ビデオペンシステム」は、「映像情報メディア学会 第51回技術振興賞 コンテンツ技術賞」及び「日本映画テレビ技術協会 第77回技術開発賞」、「2024年 日本民間放送連盟賞 技術部門 優秀」を受賞するなど社外から高い評価を得ております。
② 複数の実写映像を基に3次元のコンピュータグラフィクスデータ(以下、3Dデータ)をスピーディに生成し、様々なコンテンツに応用する仕組みの研究開発を進めています。能登半島地震後に、石川県輪島市の朝市通り周辺の遺構を3Dデータ化し、ウェブページ上で様々な角度から閲覧できるコンテンツに応用しました。2024パリオリンピックの際には、自転車BMXフリースタイルの起伏のあるコースやスポーツクライミングの壁を撮影した映像から効率よく3Dデータを生成しスポーツニュース番組に応用しました。また、東京マラソン2025の折り返し地点の中継映像に日本記録ラインを立体的にCG表示するために本手法によりコースを3Dデータ化し活用しました。
また、多様化する放送サービスへの対応と、配信による新たなサービスの提供、さらには新規事業開拓に向けて、より幅広い分野における最新技術の調査と開発項目として、以下テーマに取り組んでおります。
「アドリーチマックス」放送・配信分野におけるビジネスモデルを支える開発
アドリーチマックスは、当社が展開する放送CMにアドテクノロジーを適用した新たな広告サービスです。従来の放送CM枠販売における課題であった発注リードタイムの長さ、素材制作・配信における柔軟性の低さ、効果測定の難しさといった点を克服するため、デジタル広告の利点を融合したサービス構築を目指し、積極的な研究開発を行っています。本サービスの開発においては、アジャイル開発手法を採用することで、市場ニーズへの迅速な対応と、サービスの継続的な進化を実現しています。短期間での開発サイクルを繰り返し、迅速に作成・検証することで、ユーザーフィードバックを開発プロセスに直接反映させ、より効果的で使いやすいサービスを提供することを目指しています。内製開発体制を構築することで、開発スピードの向上とコスト効率の最適化を図っています。開発チームは、広告テクノロジー、データサイエンス、放送技術の専門家から構成され、それぞれの専門性を活かした連携体制を構築しています。
今後の研究開発においては、以下の3つの領域に注力していきます。
① 地上波とTVerの統合購入とレポート:地上波放送とTVerでの広告配信を統合的に管理・運用できるプラットフォームの開発を進めます。広告主は、一つのインターフェースを通じて両プラットフォームへの広告出稿が可能となり、効率的なキャンペーン実施を実現できます。さらに、両プラットフォームの視聴データを統合的に分析することで、より精緻な効果測定レポートを提供します。
② モーメントターゲティング:リアルタイムの視聴状況や、社会情勢などの様々なデータに基づいて、最適なタイミングで広告を配信するモーメントターゲティング技術の開発・実装を進めます。これにより、広告のインパクトを最大化し、高いエンゲージメントを実現します。
③ リーチを最大化する枠取りの追求:視聴予測と数理最適を活用した最適な広告枠の選定技術の開発に取り組んでいます。データ分析に基づき、広告主の目標とするターゲット層へのリーチをより最大化できる枠を自動的に提案・選定するシステムの構築を目指します。
これらの研究開発活動を通じて、アドリーチマックスは、放送広告市場におけるデジタル化を推進し、広告主にとってより効果的で効率的な広告ソリューションを提供していきます。継続的なイノベーションによって、収益拡大に貢献していくと考えています。
当連結会計年度は、8件の特許を出願しました。また、出願済み特許のうち4件が特許登録されました。
なお、生活・健康関連事業及び不動産関連事業に係る研究開発活動は行っておりません。