(1) 会社の経営の基本方針
(企業理念)
“夢を持って、美を求め、形にする”
当社グループは「夢・美・形」の追求によって、はじめて輝く明日がやって来ると信じています。「実現できると信じる心」が、企業の継続と社員の幸せ、そして社会への貢献を実現する原動力となります。
また、当社グループは「手のひらロマンで世界を刻む」をコーポレートスローガンとして掲げております。
世界市場のニーズである高付加価値製品の低コスト化に答えるため、ベトナムへの製造拠点の移設以来、埼玉県川口市に本社を構え、日本において当社経営の根幹である経験豊富な人間力で企画開発、販売・管理などのすべての業務を一元管理しています。「お客様のニーズを的確に捉える営業力を開発へ生かす」、「どこよりも迅速に、お客さまの満足度に高く応える製品を形にする」、「確かな技術に裏打ちされた製品を提供する」、それが当社グループの使命であり、社会への貢献の恒久的責任であると考えます。
(行動指針)
発展 … 常に発展する企業であること
安定 … 永く安定した企業であること
幸福 … 全社員が幸福感を持てること
安全 … 安全でクリーンなもの作りを実現すること
(経営戦略)
当社グループは、日本のものづくりの技術を背景に創業以来、時計バンド及び関連製品の製造を中心に、メガネフレームや日用品などの精密部品加工企業として事業を拡大してまいりました。
今、世界のものづくりには大きな変化の波が押し寄せています。気候変動をはじめとした様々なリスクに対応する必要から生じた「CHINA プラスONE」の動きはより鮮明となり、「NEXT CHINA」へと進んでおります。当社グループは、ASEANに生産拠点があり、そこでは金型設計・製造・プレス・研磨・表面処理迄を一貫生産しており、「提案力・開発力・コスト力・技術力・品質力・管理力」の6つのチカラで、「手のひらサイズのロマン」にふさわしい製品をお届けすることにより、世界のものづくりに貢献してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループでは、中長期の経営計画数値は公表しておりませんが、親会社株主に帰属する当期純利益の継続的拡大を実現するために、翌年度の経営計画目標である売上高及び営業利益、並びに売上高営業利益率を重視しております。このため、令和7年5月15日付けで開示しております令和8年3月期の連結業績予想である、売上高7,000,000千円、営業利益180,000千円(売上高営業利益率2.6%)を当面の目標数値に設定しております。セグメント別の売上高は、時計関連5,135,000千円、メガネフレーム900,000千円、釣具・応用品965,000千円です。
(令和6年度の経営計画目標の達成状況)
令和6年度の経営計画目標の達成状況は次のとおりです。なお、詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況」に記載しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、中長期の経営計画数値は公表しておりません。今後も単年度の経営計画目標を公表し、それを着実に達成していくという基本方針に基づき、毎期の経営計画目標を着実に達成し続けることが重要な課題と認識し、ひいてはそれが中長期的な企業価値の向上に繋がると考えております。
(令和5年度の経営計画目標の達成状況)
令和5年度の経営計画目標の達成状況は次のとおりです。
なお、中期経営計画につきましては開示しておりませんが、令和7年度におきましては、米国の通商政策の動向が懸念されるものの、中国に代わるサプライチェーン「NEXT CHINA」戦略が拡大しているなか、金属加工部品や樹脂加工部品を中国以外から調達したいという取引先からの要望に対応するため、ASEANの生産拠点を「新たな成長エンジン」として最大限に活かし、また当面の経営計画目標を着実に達成することにより、更なる発展に繋げてまいります。
令和7年度以降につきましても、サステナビリティ経営を推進するとともに、強靭な経営基盤を確立し、将来の成長戦略の足掛かりを構築するため、また、グローバルに信頼される企業集団として、その地位を着実に築いていくため、以下の項目を優先的に取り組んでまいります。
(既存事業の維持拡大と事業領域の拡大、営業の強化)
主力製品である時計関連につきましては、既存の取引先との強固な関係の維持拡大に加え、取引を再開した会社との関係構築を実施してまいります。それらに加え、時計バンドや時計外装部品の新規受注に向け、開発と営業部門だけでなく、製造部門も一体となり提案営業を強化することなどにより、収益の拡大を図ります。メガネフレームは、㈱村井の主要ブランドであるagnès b.(アニエスベー)、JILL STUART(ジルスチュアート)及びYohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)に並ぶブランドの育成・開発や海外営業のテコ入れなどにより、売上高10億円の回復及び利益の拡大を図ります。釣具・応用品は、釣具用部品の受注は堅調に推移していますが、受注の確保はもちろんのこと、既存の取引先のシェア拡大など更なる収益の拡大を図ります。
また、既存の事業領域にとどまらず、新規取引先の開拓や新規製品の受注など、当社グループの有する精密加工技術を生かすことにより、将来性のある販路拡大を目指してまいります。
(ASEAN生産拠点の体制強化)
脱中国化の流れが進むなか、ASEANエリアにおける、NISSEY VIETNAM CO.,LTD.(以下、「ベトナム工場」という。)及びNISSEY CAMBODIA CO.,LTD.(以下、「カンボジア工場」という。)は、段階的な設備投資、更なる効率化や合理化などによる生産性の向上及び製造原価の低減が重要と考えます。そのためには、ベトナム工場は高付加価値製品に特化し、相対的にコストが安価なカンボジア工場への生産ラインの移管や、生産ラインの半自動化または自動化などによる合理化を段階的に推進いたします。また、ベトナム工場からカンボジア工場への技術や管理手法の移転などにより、カンボジア工場の生産体制の整備向上を目指します。同時に、ベトナム工場のDX化の推進による固定費の削減や業務の効率化、また海外ローカル人材の育成などを実施することなどにより、当社グループのサプライチェーンの強化を図ってまいります。
(財務基盤の拡充の継続)
上記の施策を着実に実行することにより、売上総利益率20%(売上高営業利益率は2.6%)以上の確保及び自己資本の充実を図りつつ、財務基盤の拡充を継続し、経営の安定化に取り組んでまいります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社グループは、気候変動及び環境問題への対応を重要な経営課題と位置付けております。パリ協定や日本政府の目標に沿い、令和32年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指しております。持続可能な社会の実現に向けて、企業が果たすべき役割を認識し、ビジネスを通じて課題解決を図ることが当社グループの持続的成長に繋がると考えております。
企業理念「夢、美、形」とその実践のための4つの行動指針を通じて、社会貢献と企業価値向上を目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において、当社グループが判断したものです。
当社グループでは、取締役会やリスク管理委員会、コンプライアンス委員会などの諮問機関を月1回開催し、サステナビリティを含む経営の基本方針や重要事項を検討・審議・決議しております。リスク管理委員会は年度計画の立案と進捗管理を行い、取締役会に報告いたします。取締役会はこれを評価、モニタリングし、重要事項を審議・決議することで監視・監督機能を強化し、実効性を確保しております。
当社グループは、事業全般の脱炭素化を進めるために、シナリオ分析を行い、今後の事態を想定し、戦略の妥当性や課題を把握いたします。
特定されるリスクに対する対応策
当社グループは、リスク管理委員会を中心にリスク管理体制を構築し、取締役会が定期的にモニタリングを行い適切に管理いたします。また、リスク管理委員会は、気候変動や法制度・規制変更などの外部要因を共有し、サステナビリティ基本方針、戦略及び施策を年に1回見直しいたします。
なお、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、
当社グループは、事業活動全体でCO2排出削減に取り組み、在外子会社での電力使用量削減や再生可能エネルギーの利用を推進してまいります。なお、具体的な数値目標は現在定めておりませんが、持続的成長に向けた取り組みを継続してまいります。
当社グループのこれまでの取り組みと今後の計画
(6) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社グループは、昭和53年の創業以来、時計バンド及び関連部品の製造を中心に事業を拡大してまいりました。当社グループにとりましては、技術開発力が市場競争力の核であり、専門技術者の確保と製造拠点の環境改善が重要課題と考えられます。そのため、現地社員への教育機会提供や環境改善に積極的に投資するとともに、多様な人材の採用・育成と職場環境の整備を進め、高いモチベーションを持つ社員の多様なキャリアパスや働き方の実現を目指してまいります。なお、現時点では具体的な数値目標は定めておりません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、その基本方針及び管理体制に基づき、上席執行役員を委員長とするリスク管理委員会において、リスクの発生防止、発生した場合の適切な対応に努めております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 有利子負債について
当社グループは、設備及び運転資金について、主に金融機関からの借入金に依存しております。財務体質の改善を図るため、キャッシュ・マネジメントシステムの導入などにより、資金効率の向上と手元流動性の確保に努めておりますが、総資産額に占める有利子負債の割合は当連結会計年度末において52.6%(前連結会計年度末は53.9%)となっており、今後の金融環境の変化や金利動向などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、リファイナンスによる金融取引の正常化及び返済負担の軽減を図るため、令和7年2月25日付で、株式会社三菱UFJ銀行をアレンジャーとする金融機関8行からなるシンジケート団とシンジケートローン契約を締結いたしましたが、本契約には財務制限条項が付されており、将来において業績の悪化等により財務制限条項に抵触した場合も含めて、当該借入金の期限の利益を喪失する可能性が生じるとともに、新たな資金調達に障害が生じた場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、シンジケートローン契約及び財務制限条項の詳細につきましては、「5 重要な契約等」に記載のとおりです。
当社グループの財政状態は、財務制限条項に照らして問題のない水準にありますが、随時モニタリングを行い、財務制限条項に抵触する可能性がある場合には、財務状況の改善を図るとともに、当該借入金について金融機関と即座に協議を行うことができるよう、良好な関係を維持しております。
有利子負債等の推移
有利子負債依存度:有利子負債/総資産
(2) 外国為替変動のリスク
当社グループは、ベトナム、カンボジア、中国(委託生産)に生産拠点が、中国(香港)に営業拠点が存在しております。営業債務の一部につきましては、恒常的に同じ外貨建ての売掛金の範囲内にあります。一部の外貨建て取引については、為替予約などによりリスクの軽減に努めております。なお、在外子会社向けの外貨建債権につきましては、NISSEY CAMBODIA CO.,LTD.に対するデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)などの準備を進めておりますが、また、外貨建ての金融負債につきましては、主に外貨により返済しておりますが、外国為替レートの変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 大口取引先の戦略変更等のリスク
当社グループの売上高のうち時計関連は、当連結会計年度末において73.3%(前連結会計年度末は73.2%)となっており、大きな割合を占めております。定期的にバランスのチェックを行い、新規取引先の拡大や他社のシェア拡大など営業力の強化に努めており、また大口取引先との定期的な会議の開催など絶えず情報交換も行っておりますが、大口取引先の戦略変更、製品仕様の変更もしくは、大口注文の解約やスケジュール変更などは、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 取引先の変化
当社グループは、与信管理規定に従い取引先の管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を定期的に把握する体制を整えておりますが、取引先の業績不振や倒産などにより、不良債権の発生や商品の調達に支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、取引先とは定期的に価格交渉は行っておりますが、人手不足等による人件費の高騰や原材料価格の高騰などにより外注加工費が増加した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 人件費の高騰・人員不足のリスク
当社グループは、ベトナム及びカンボジアに生産拠点が存在しております。生産性の向上、賃金のベースアップ、賞与の支給などにより、安定雇用に努めておりますが、人件費の高騰や人員不足などにより稼働率が低下した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 人的資本
当社グループの市場競争力の核は、技術開発力にあるため、国内だけでなく海外においても専門性の高い技術者の確保が不可欠であります。また、当社グループは、働き方改革やダイバーシティの実現に向けて、優秀な人材の採用、社内人材の育成と確保、外国人の雇用及び待遇の改善や勤務体制の多様化などに努めておりますが、計画通りに進まない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 減損会計に関するリスク
当社グループの保有資産につきましては、減損リスクを意識することにより、資産収益性を高める取り組みを行っておりますが、実質的価値の低下等による減損処理が必要となった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 繰延税金資産に関するリスク
当社グループは、将来減算一時差異等に対して、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を慎重に検討して計上しておりますが、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合には、繰延税金資産の取崩が必要となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) システムトラブル発生のリスク
当社グループは、通信ネットワークやコンピューターシステムにより、開発、生産、販売及び管理などの多岐にわたる業務を管理しております。システムのクラウド化や定期的なバックアップなどにより、コンピューターウィルスの感染やサイバー攻撃などに備えておりますが、何らかの障害によりシステムトラブルなどが発生し、業務に支障を来した場合は、当社グループの業績や事業の運営などに影響を及ぼす可能性があります。
(10) 災害等予測困難な事象によるリスク
当社グループは、日本(委託生産)、中国(委託生産)、ベトナム及びカンボジアに生産拠点が、日本及び中国(香港)に営業拠点が存在しております。定期的なリスク管理委員会や各拠点とのテレビ会議の開催など、様々な情報の収集に努めておりますが、当該国における政情の悪化、自然災害、戦争やテロ、経済状況の変動、法律や税制の変更、労働力不足やストライキの発生、感染症の拡大などの予期せぬ事象により、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 環境・気候変動によるリスク
当社グループは、ベトナム及びカンボジアの生産拠点において、工場排水の保全や金属等の産業廃棄物のリサイクルによる廃棄物の削減などに取り組んでおりますが、環境汚染による損害や廃棄物の増加による処理費用の増加などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、サステナビリティ経営を推進しておりますが、気候変動や脱炭素社会への移行にともなう新たな費用の発生などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 継続企業の前提に関する重要事象等
連結損益等の推移 (単位:千円)
当社グループは、平成29年3月期から令和3年3月期まで、継続的な売上高の減少傾向にあり、業績だけでなく資金繰りの状況も悪化しておりました。また、設備及び運転資金につきましては、主に金融機関からの借入金に依存しておりますが、令和1年8月より借入金元本の一定期間の返済猶予を受けており、総資産額に占める有利子負債の割合も、前連結会計年度末において53.9%(前々連結会計年度末は59.9%)と高い水準が続いておりました。
これらの状況から、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象が継続して存在しておりました。
こうしたなか、当社グループは、事業構造改革等を実施することで、収益体質の改善を継続してまいりました。
令和2年度においては、ASEAN地域における製造部門であるNISSEY VIETNAM CO.,LTD.及びNISSEY CAMBODIA CO.,LTD.(以下、「製造部門」という。)におきまして、主要な設備投資の凍結及びそれにともなう減価償却費の削減、人員の適正化及び残業の抑制などによる労務費単価の圧縮、消耗品や電気料などの経費削減、当社及び当社の香港支店、㈱村井の販売管理部門におきましては、役員報酬の減額、人員の適正化や再配置などによる労務費の削減、予算統制の厳格化による諸経費の削減などを、一部の施策につきましては平成31年度より継続して推進してまいりました。令和3年度においては、一部を除き労務費経費の削減の施策はほぼ一巡しましたが、製造部門を中心に、グループ各社が相互協力のもと、連携を密にしながら製造活動を行い、在庫管理の徹底、生産性の向上及び製造原価の改善を図り、受注増加への対応を進めるとともに、サプライチェーンの基盤強化を行いました。令和4年度においても、製造部門を中心に、サプライチェーンの基盤強化を引き続き推進するとともに、採算性の向上を目指してまいりました。令和5年度においては、引き続き製造部門の採算性の向上を目指しながら、工場の生産ラインの半自動化または自動化の段階的な推進による生産性の向上及び製造原価の低減を進めるとともに、既存の事業領域にとどまらず、当社が有する精密加工技術を生かし、将来性のある販路拡大を目指してまいりました。また、これらの施策とは異なりますが、一次的な受注減少に対応するため、製造部門の2交代制勤務の廃止(現在も継続中です。)などの諸施策を実施いたしました。当年度は、「既存事業の維持拡大と事業領域の拡大」、「ASEAN生産拠点の効率化」及び「盤石な財務基盤の確立」の3項目を優先的に取り組み、これまでの施策を継続実施してまいりました。
その結果、令和5年3月期及び令和6年3月期と2期連続して黒字計上することができました。当連結会計年度におきましても、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況及び(3)財政状態及びキャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、業績は順調に回復しております。
財務面におきましては、当社は令和2年6月において、第三者割当増資200,003千円を実施しております。また、当社グループは、取引金融機関より借入金元本の一定期間の返済猶予を受けておりましたが、令和4年12月から令和6年7月にかけて、返済猶予の対象となっていた借入金のうち287,068千円の返済を実行いたしました。
そしてこの度、取引金融機関との協議を続けてまいりました結果、当社は、令和7年2月25日には主力行の㈱三菱UFJ銀行及び他の参加行の合意を得てシンジケートローン契約を締結いたしました。本契約に基づき、令和7年2月28日付けで2,000,000千円を新規に実行、同日、借入金元本の返済猶予を受けていた対象の借入金を全額返済し、リファイナンスによる金融取引の正常化及び返済負担の軽減(令和7年度の借換を除く全ての借入金の年間返済予定額は84,904千円)を図ることができました。詳細につきましては、「5 重要な契約等」に記載のとおりです。
このように業績の回復や財務面での安定化が順調に進捗している状況から、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況は解消したものと判断し、これまで記載しておりました「3 事業等のリスク (12)継続企業の前提に関する重要事象等」は消滅しております。
今後におきましても、中長期的な企業価値向上を目的とし、親会社株主に帰属する当期純利益の継続的拡大を実現するために、売上高及び営業利益、並びに売上高営業利益率を重視しつつ、収益体質の改善を継続してまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度における世界経済は、一部の地域において足踏みがみられたものの、また、アメリカの通商政策の動向による影響の広がり等による下振れリスクや金融資本市場の変動の影響などが懸念されたものの、景気は持ち直してきました。国内においても、一部に足踏みが残り、物価上昇の継続やアメリカの通商政策の動向による影響が景気の下押しリスクとなったものの、雇用・所得環境が改善する下で、設備投資などに持ち直しの動きがみられ、また企業収益は改善しており、景気は緩やかに回復してきました。
このような状況下、当社グループは業績拡大のため、またグローバルに信頼される企業集団としてその地位を着実に築いていくため、サステナビリティ経営を推進するとともに、強靭な経営基盤を確立し、将来の成長戦略の足掛かりを構築するため、「既存事業の維持拡大と事業領域の拡大」、「ASEAN生産拠点の効率化」及び「盤石な財務基盤の確立」をテーマに、引き続き目標の達成に向けて取り組んでまいりました。
また、中期経営計画につきましては開示しておりませんが、中国などへの過度な依存からの脱却という「NEXT CHINA」の動きが加速しているなか、令和6年度は「世界のモノづくりの変革の年」と捉え、ASEANの生産拠点の利点を最大限に活かし、更なる発展に向けて取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は7,158,415千円(前連結会計年度は6,728,391千円)となり、前年同期比では430,023千円(6.4%)増加しました。これは、期中の円安進行に加え、時計関連の取引先の在庫調整による一時的な受注減少の影響が解消したことなどによるものです。
損益につきましては、売上総利益は、売上高の増加だけでなく製造子会社であるNISSEY VIETNAM CO.,LTD.及びNISSEY CAMBODIA CO.,LTD.において前期から実施しておりました固定費削減による効果の継続もあり1,501,895千円(前連結会計年度は1,428,940千円)となりました。売上総利益率は21.0%(前連結会計年度は21.2%)です。本業の儲けを示す営業利益は、売上総利益の増加などにより275,644千円(前連結会計年度は252,392千円)となりました。また、重要な指標の一つである営業利益率は3.9%(前連結会計年度は3.8%)です。経常利益は、為替相場の変動にともなう在外子会社向け外貨建債権の為替換算などによる為替差損の計上及び既存の借入金のリファイナンスにともなう手数料などを含む支払手数料の増加などにより2,725千円(前連結会計年度は448,540千円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額の計上などにより20,016千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益390,827千円)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
当社グループのセグメントごとの連結業績 (単位:千円)
① 時計関連
時計関連の売上高は5,250,078千円となり、前年同期比で322,834千円(6.6%)増加しました。このうち、時計バンドの売上高は、国内の取引先は、取引先の在庫調整の影響による受注減少は解消しましたが、取引先の不正アクセスによるシステム障害の影響などにより約1%の微増にとどまりました。また、海外の取引先は、新規受注の獲得に厳しい状況が続いており約11%の減少となりました。一方、時計外装部品の売上高は、期中の円安進行や国内の取引先からの受注増加などにより約11%の増加となりました。
これにより、セグメント利益は138,815千円(前連結会計年度は140,356千円)となりました。なお、今後につきましては、原材料価格の高騰による外注加工費の上昇、米国の通商政策の変化や為替相場の急激な変動などが懸念されるものの、提案営業の強化に加え、ASEAN生産拠点の効率化や合理化などによる生産性の向上及び製造原価の低減も併せて継続実施することなどにより、セグメント損益の更なる拡大を目指してまいります。
② メガネフレーム
メガネフレームの売上高は896,689千円となり、前年同期比で61,664千円(6.4%)減少しました。メガネフレームの販売子会社である㈱村井は、主要ブランドであるagnès b.(アニエスベー)とJILL STUART(ジルスチュアート)は、一部商品の不具合の発生や新規モデル投入の遅れに加え、海外向け売上が計画を大幅に下回ったことなどにより、80,966千円(16.3%)の減少となりました。一方、主要ブランドではありませんが、前期から販促を強化しておりますYohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)は、22,444千円(12.1%)の増加となりました。
これにより、セグメント利益は㈱村井の本社ビルの修繕費などの計上も重なり4,787千円(前連結会計年度は58,768千円)となりました。なお、今後につきましては、物価の高騰による受注減少、米国の通商政策の変化や為替相場の急激な変動などが懸念されるものの、損益を重視した営業の強化継続、売上高が減少傾向にある主要ブランドの販促強化や主要ブランド以外の既存ブランドの底上げの継続、新規ブランドの開発、海外営業のテコ入れなどにより、セグメント収益の回復を図ってまいります。
③ 釣具・応用品
釣具・応用品の売上高は1,011,647千円となり、前年同期比で168,853千円(20.0%)増加しました。このうち釣具用部品は、先行き不透明な状況は続いておりますが、期中の円安進行や堅調な受注に支えられたことなどにより、売上高は170,406千円(20.9%)の増加となりました。なお、応用品の売上高は、1,552千円(5.7%)の減少となりました。
これにより、セグメント利益は127,239千円(前連結会計年度は61,975千円)となりました。なお、今後につきましては、物価高騰などによる釣具用部品の受注減少、米国の通商政策の変化や為替相場の急激な変動などが懸念されるものの、受注の確保はもちろんのこと、釣具用部品以外の新規製品の受注獲得、時計関連と同様にASEAN生産拠点の効率化や合理化などによる生産性の向上及び製造原価の低減の継続実施などにより、セグメント損益の更なる拡大を目指してまいります。
(2) 資本の財源及び資金の流動性に係わる情報
当社グループは、主に長期及び短期借入により資金を調達しております。また、財務体質の改善を進めるため、キャッシュ・マネジメントシステムの導入や、当社が令和7年2月に締結した既存借入金のリファイナンスを目的としたシンジケートローン契約にともなう金融取引の正常化及び返済負担の軽減などにより、グループ全体としての資金効率の向上と手元流動性の確保に努めております。
当社グループの資金の状況につきましては、「(3)財政状態及びキャッシュ・フローの状況 b.キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度における、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりです。
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における総資産は5,639,689千円となり、前連結会計年度末と比べ155,171千円減少しました。このうち、流動資産は3,208,865千円となり、49,468千円減少しました。これは主に借入金の返済などにともなう現金及び預金の減少などによるものです。固定資産は2,430,823千円となり、105,703千円減少しました。これは主に、有形及び無形固定資産の減価償却による減少などによるものです。
負債合計は4,169,671千円となり、154,590千円減少しました。このうち、流動負債は3,244,175千円となり、584,998千円減少しました。これは主に、リファイナンスにともなう短期借入金の減少などによるものです。固定負債は925,495千円となり、430,407千円増加しました。これは主にリファイナンスにともなう長期借入金の増加などによるものです。
純資産は1,470,018千円となり、581千円減少しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少及び為替換算調整勘定の増加などによるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度と比較して、88,898千円減少し865,858千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は253,044千円(前連結会計年度は475,568千円)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益5,399千円及び減価償却費205,690千円の計上、支払利息68,547千円及び為替相場の変動による為替差損62,850千円の計上などです。一方、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加76,283千円、利息の支払額68,899千円及び法人税等の支払額67,165千円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は113,597千円(前連結会計年度は62,788千円)となりました。支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出113,888千円などです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は207,550千円(前連結会計年度は86,511千円)となりました。収入の主な内訳は、リファイナンスにともなう長期借入れによる収入508,909千円などです。支出の主な内訳は、リファイナンスにともなう短期借入金の純減額672,558千円などです。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1) 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2) キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注3) 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としており
ます。
(注4) 利払いは、キャッシュ・フロー計算書に計上されている「利息の支払額」を使用しております。
(注5) 令和3年3月及び令和4年3月は営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子
負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、連結決算日における資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(5) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注) セグメント間取引はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) セグメント間取引はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1. セグメント間取引はありません。
2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(シンジケートローン契約の締結)
当社は、リファイナンスによる金融取引の正常化及び返済負担の軽減を図るため、令和7年2月25日付で、株式会社三菱UFJ銀行をアレンジャーとする金融機関8行からなるシンジケート団とシンジケートローン契約を締結しております。当期末の借入残高合計は、2,000,000千円です。なお、今回調達する2,000,000千円(契約金額は2,050,000千円)は、既存借入金の返済に充当するため、これによる当連結会計年度の連結財務諸表に与える影響はありません。
(1) シンジケートローン契約の概要
(2) 財務制限条項
上記のシンジケートローン契約につきましては、下記の財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合、契約上の全ての債務について期限の利益を喪失する可能性があります。
① 決算期末日の連結貸借対照表の純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期末日又は令和6年3月に終了
する決算期末日の当該金額のいずれか大きい方の75%の金額以上に維持する。
② 2期連続して決算期に係る連結損益計算書上の営業損失を計上しない。
当連結会計年度におけるセグメントごとの研究開発の主要テーマは次のとおりです。
(時計関連)
① イオンプレーティング(IP)の新色の開発
② ノンアレルギー対応硬質チタン合金製バンドと中留の開発
③ 高級無垢二つ折れ中留の開発
④ ロック機能付きプッシュバックルの開発
⑤ 耐摩耗に強いIP加工の取組みによる付加価値展開
⑥ アジャスト機能付き中留の開発
⑦ オールセラミック製二つ折れの開発
⑧ 高付加価値二色IP加工ベゼルの開発
⑨ DLC(ダイヤモンドライクカーボン)処理による高耐摩耗性追求による付加価値展開
⑩ 母材の深層硬化処理の開発
⑪ 超高硬度IP処理被膜の開発
⑫ スパッタリングによる表面処理の確立
⑬ チタンとステンレス材のエッチング加工の確立
⑭ 着色レーザー加工による表面処理の確立
⑮ 深堀レーザー加工の確立と応用
⑯ プッシュレスロック機能付き中留の開発
⑰ サーボプレスによる自動化ラインの確立
⑱ バルジ加工でパイプ材を成形する研究開発
(釣具・応用品)
① 衝撃に強い金具インサートウレタン駒の金型・成型加工技術の確立
② 装飾用被せ式メタル部品の浅絞りプレス加工及び鍛造加工技術の確立
なお、当連結会計年度における研究開発費については、特記すべきものはありません。