第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、2022年3月に経営方針「WakuWaku Explosion 2030」(以下、『経営方針』といいます)を策定し、2022年7月にはマテリアリティの特定を行いました。また、経営方針とマテリアリティに沿って、2023年度を起点とする3ヵ年計画として「新中期経営計画2025」(以下、『新中計2025』といいます)を策定し、成長の道筋と具体策を明らかにしました。新中計2025では、経営方針で掲げた「実現したい社会」と「ありたい姿」への到達という目標を堅持し、そのために実行すべきミッションである「カーボンニュートラルへの貢献」と「QOLの向上」につながる製品群の開発・製造・販売に経営資源を重点的に投入することを表明しました。そして『基盤事業の見直し』、『基盤事業からの展開』、『新たな成長軌道』の3つの取り組みで「ありたい姿に向けた変革」を加速させ、収益力を向上させることとしました。

 新中計2025の2年目にあたる2024年度は、中国経済の低迷の長期化や中国における基礎化学品の増産による競争激化など、想定以上の外部環境の変化が重なり、当社業績にも影響を及ぼしました。特に、当社の基盤事業の一つであるウレタン事業は、中国から極めて安価なポリウレタンフォーム原料の流入による価格競争の激化と商権喪失があり、世界自動車生産台数も伸び悩んだことから、大変な苦戦を強いられました。このような状況を鑑みて、2025年度の業績予測を精査した結果、営業利益の見通しは100億円とし、新中計2025の最終年度に掲げていた営業利益150億円の達成時期についても見直しを行うことといたしました。

 昨今の中国での基礎化学品の増産による日本の化学業界への影響は不可逆的であると考えており、当社としては急速に変化する事業環境に対して、新中計2025で掲げた諸施策を通じて、製品の品質差別化が難しく価格競争に晒されている汎用品から当社独自の価値が提供できる高付加価値製品への事業ポートフォリオの転換を図っている途上にあります。

 その中において、新中計2025で掲げていた『基盤事業の見直し』における「構造改革」と「サプライチェーン全体での効率化」については、大きな進展がありました。また、『基盤事業からの展開』における「高付加価値製品群の拡販」と「グローバル展開」については、想定よりも若干の遅れがあるものの事業構造の転換に向けた着実な取り組みを継続しており、『新たな成長軌道』としての「新規事業の開発」についても将来の収益の柱にすべく研究リソースを集中投入して注力しております。現地点での進捗状況は以下のとおりとなります。

 

(1) 基盤事業の見直し

①構造改革

 新興国での相次ぐ新規参入で供給過剰に陥り、さらには新規参入メーカーと品質による差別化が困難な汎用製品となっていた高吸水性樹脂事業からの撤退を断行しました。本事業撤退により売上高は約20%減少しますが、一方で営業利益は約10億円の改善、運転資本の圧縮効果は約100億円となります。

 また、新中計2025にはウレタン事業の構造改革を掲げており、三井化学㈱と共に設立したジャパンポリオール有限責任事業組合(LLP)による原料調達等におけるコスト低減と製品の差別化を進めております。想定外の中国からの安価なウレタン原料流入による競争激化で利益が大幅に悪化しており、構造改革効果の発現には時間がかかる見込みですが、当社の基盤事業として着実に利益を上げられる体質に転換してまいります。

 

②サプライチェーン全体での効率化

 「ものづくり大改革」として取り組んでいる「サプライチェーン全体にわたるコスト削減及び運転資本の圧縮」については、目標(中期経営計画3ヵ年における増分営業利益30億円、運転資本圧縮50億円)を上回るペースで進捗しており、基盤事業のコスト競争力の強化に継続して取り組んでまいります。

 

(2) 基盤事業からの展開

 カーボンニュートラル及びQOL(生活の質)の向上に貢献する注力5製品群を「高付加価値製品群」として位置付け、本製品群への研究開発及び設備拡充に向けた投資を進めています。製品群によって進捗に差があり、若干想定を下回っているものの、新たな注力製品を特定するなどの取り組みを加速させて、高付加価値製品を中心としたポートフォリオへの転換を進めてまいります。

 

(3) 新たな成長軌道

 新規創傷治癒材「シルクエラスチン®創傷用シート」の独占的販売権を科研製薬㈱に供与したほか、カーボンニュートラルやQOL(生活の質)の向上を軸とした食と医療などの分野で、複数の新規ビジネスの事業化に向けた取り組みに注力しており、収益化に向けて概ね想定どおりに進捗しております。

 

 これらの結果、2024年度の売上高営業利益率は前年度3.1%から5.9%に、ROICは前年度2.4%から4.8%にそれぞれ改善いたしました。

…………………………………………………………………………………………………………………………………

 

 新中計2025の最終年度にあたり、こうした取り組みを収益力強化につなげるとともに、外部環境の変化に対応できるよう、「事業ポートフォリオの高度化」を加速させることが重要な課題です。次の収益の柱となる成長領域へのリソース投入を含め、以下の重点事項に取り組んでまいります。

 

(1) 「ありたい姿に向けた変革」加速のシナリオ

①基盤事業の見直し

● 市場ニーズに対応した差別化製品の開発による利益の拡大

● サプライチェーン全体の効率化を目的とする「ものづくり大改革」(ソフト面)の継続的推進と生産設備の統廃合・集約化に取り組む「生産設備改革」(ハード面)の新たな推進の両輪で、グループ全体での最適な生産体制を構築

● 基盤事業の収益性・競争力強化に向けた他社とのアライアンスの検討と推進

②基盤事業からの展開

● 高付加価値製品群の拡充に向けた注力テーマへのリソースの集中投入

● 半導体分野の製品開発と拡販に向けたマーケティングの推進

● 小規模高付加価値テーマ推進に向けた小型反応槽の導入

③新たな成長軌道

● 人工タンパク質「シルクエラスチン」の米国事業化とマーケティングの推進

● カーボンニュートラルやQOL(生活の質)の向上を軸とした食と医療などの分野での新規ビジネスの事業化加速(匂いセンサー、農業資材用ペプチド、陸上養殖、電池部材など)

④その他の取り組み

● 研究開発力の強化に向けた新研究棟建設プランの具体化

● アメリカ・インド市場を中心としたグローバルマーケティングの推進

● 物流会社とのパートナー連携による効率的かつ持続可能な物流体制の構築

 

(2) 変革を支える活動

 マテリアリティを中心に、持続可能な事業基盤を支えるための以下の取り組みを強化します。

● 2050年度のカーボンニュートラルに向けたCO2排出削減のロードマップ策定とこれに向けた削減策として、コージェネレーションシステムや再生可能エネルギーの導入、生産工程の見直しの遂行

● DEIの推進によるイノベーション創出、人財育成の強化、働きがいの向上

● イノベーションの創出を支えるDXの積極推進とデジタルプラットフォームの活用による業務効率化

● 重要リスクの管理の徹底と透明性のある経営の実践

(重要リスクの管理の徹底)

・全社リスクを包括的に管理するリスクマネジメント委員会の設置によるリスクマップの整備及び重要リスクの特定と対応

・安全最優先の経営の推進、人権方針に沿った取り組みの推進、品質ガバナンスの強化、ハラスメント防止の徹底

(透明性のある経営)

・財務/非財務情報の積極的な開示

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ

 当社グループは、創業以来、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」を拠り所として企業活動を行ってきました。企業の社会的責任が高まる中、社是に謳った精神と価値創造との結び付きを明確化するため、2022年度にサステナビリティ基本方針を策定いたしました。

 

サステナビリティ基本方針

三洋化成グループは、創業以来大切にしてきた社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」に

基づいて、ステークホルダーと連携しながら、経済的価値と社会的価値を共に向上させて、将来に

わたって持続的な成長を目指します。

 

 当社グループはこれまで培った化学技術を元に、社会や人々の生活をもっと快適に、もっと便利にする幅広い製品を開発し、「よりよい社会の建設」に寄与してきたという自負を持っております。

 しかし、当社グループが将来に亘って持続的に価値提供を行っていくためには、様々なステークホルダーと連携しながら持続可能なサプライチェーンを構築する必要があることも強く認識しております。2024年度には委員会体制の見直しも行い、サステナビリティに関する議論体制も再構築することとしました。今後も経済的価値と社会的価値を共に向上させるサステナブル経営に注力していきます。

 

 

①ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティ課題に対し様々な観点から分析、対処するために、独立社外取締役によるガバナンス機能を重視しております。多彩な経験・キャリアを持つ人材(地方自治体首長/公益財団法人所長/事業会社経営など)を独立社外取締役として招聘しており、その女性比率も66.7%となります。また、2024年6月より取締役会議長も独立社外取締役から選任し、より透明性の高い取締役会の運営がなされる体制となっており、枠に捉われることなく、あらゆるステークホルダーへの価値提供に繋がる議論が可能となっています。

 サステナビリティ活動を全社一丸となって推進するため、サステナビリティ担当役員を指名しております。同担当役員は、常にグループ全体のサステナビリティ活動の実効性や実態をモニターし、不十分な場合は軌道修正を求めたり、進捗状況についても適宜、対外開示を行ったりなど、社内外に対し機動的に働きかける役割を担っております。

 また、マテリアリティやサステナビリティ課題についての審議等を行うサステナブル経営委員会を設置し、原則年に2回開催しており、審議の内容は適宜、取締役会へ提案・報告しています。

 2024年度の同委員会での主な議題は、以下の通りです。

●資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

●環境/QOL貢献製品の情報開示について

●環境活動方針について

●人事関連施策について

 なお、サステナビリティ対応を審議する会議体組織として、取締役会に紐づく形でサステナブル経営委員会を、経営会議に紐づく形でCSR推進管理委員会をそれぞれ設置しておりましたが、2025年度からは経営会議に紐づく会議としてサステナブル経営委員会を設置し、当該委員会にCSR推進管理委員会を統合することとしました。新たなサステナブル経営委員会では、サステナビリティ担当役員を委員長とし、当社のサステナビリティに関する各種施策をマテリアリティ起点で整理の上、注力領域を特定し取り組みを強化していきます。この体制変更によって、経営施策と非財務を中心としたサステナビリティ施策の連動性を高め、サステナブル経営の実効性をより一層高めていきます。なお、サステナブル経営委員会の活動状況は、年1回以上取締役会に報告するとともに、重要な議題は取締役会で決議もしくは報告することとしており、取締役会がサステナビリティに関する各種施策について適切に監督できる仕組みとなっています。

 

<整理前(2024年度まで)のサステナビリティ推進体制図>

 

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<整理後(2025年度以降)のサステナビリティ推進体制図>

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●サステナブル経営委員会

開催:年4回(原則)

役割:・経済的価値と社会的価値を共に向上させるために、環境・社会・ガバナンスに関して優先して対応すべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、その解決に向けた方針や全社施策を審議し、関連部署の施策に展開する。

・上記施策に関する計画、進捗、成果をレビューし、必要があれば、改善、是正等を審議・決定する。

・その他、環境・社会・ガバナンスの観点から、当社の持続的な成長や持続的な社会の実現に向けて必要な取り組みについて、審議・決定する。

・ステークホルダーに対し、適切に当社のサステナブル経営に関する情報発信を行うために、サステナビリティに関する記載を含む重要な対外発行物の記載内容について審議、決定する。

 

 

②戦略

 当社グループは、社是で示す通り「企業を通じてよりよい社会を建設する」ことをミッションとしています。2030年のありたい姿に向けた経営方針として策定した「WakuWaku Explosion 2030」では、社是の実践として「環境と調和した循環型社会」「健康・安心にくらせる社会」「一人ひとりがかがやく社会」を掲げています。

 サステナブル経営はそのような社会の実現を目指しており、グループ全体での価値創造を通じた「カーボンニュートラルへの貢献」と「QOLの向上」を戦略の中心に据えています。

 

③リスク管理

 サステナビリティに関わるリスクについては、サステナブル経営委員会の主要課題として取り上げ、当社グループへの経済的・社会的インパクトや対応策について議論しています。2025年度からは委員会体制を見直し、新たに経営会議に紐づく会議体として設置したリスクマネジメント委員会で、全社のリスクの網羅的な把握と重要リスクの特定について議論する体制としています。同委員会では、経時的にリスクを管理・監督し、適宜、関連部署からの報告を受けたり、指示を与えるなども行います。

 

④指標及び目標

 当社グループでは、マテリアリティを「三洋化成グループの中長期での価値創造に大きな影響を及ぼす重要課題」と定義しています。すべてのステークホルダーの価値創造のため、中長期テーマを特定して優先的に取り組むことが価値創造への最短距離と考え、以下a~dのプロセスをたどってマテリアリティを特定しました。

 

<マテリアリティ特定のステップ>

 (a)課題の特定

 各種ガイドライン(SASBの化学産業の評価基準、GRIガイドライン、持続可能な開発目標(SDGs)、世界経済フォーラム中核指標(WEF))、ステークホルダーとのコミュニケーション、全従業員・役員向け社是アンケートなどを参考に課題を選定しています。

(b)優先順位付けとマテリアリティ・マトリックスの作成

 特定した課題の優先順位を考え、企業理念や財務への影響、イノベーション創出の機会、三洋化成グループらしさなどを大株主や従業員等との対話から優先順位付けをし、横軸に経営及び事業目線、縦軸に社会環境課題解決への期待・貢献でマトリックスを作成しています。

 (c)マテリアリティの特定

E(環境)、L(生命/生活)分野を事業に関するマテリアリティとし、S(社会)、G(ガバナンス)分野を基盤強化に関するマテリアリティとして、計6つを特定しています。(QOLの向上に関する期待・貢献の象徴として従来のESGからLの分野を切り出し分類)

 (d)妥当性の確認及び取締役会での承認

 サステナブル経営委員会で妥当性の確認などの審議を経て、取締役会で承認を受けています。また、今後起こりうる事業環境の変化に応じて、見直していきます。

 

 上記ステップに基づいて、特定したのが以下の6つのマテリアリティです。「すべてのステークホルダーのワクワク」「環境・社会的価値と経済価値をステークホルダーと共創」「社員一人ひとりが価値の創出に貢献」を実現しながら、 これらの課題に取り組みます。

 

 <事業に関するマテリアリティ>

 E(環境)…環境と調和した循環型社会を目指して、環境を支える

  Carbon Neutral(カーボンニュートラル):Interface Innovatorとしてカーボンニュートラルの達成

 

 L(生命/生活)…健康・安心に暮らせる社会を目指して、人とくらしを支える

  Quality of Life(生活の質):「はたらき」を化学してQOLを向上

 

 <基盤強化に関するマテリアリティ>

 S(社会)…一人ひとりが輝く社会を目指して、多様性を支える

  Innovation(イノベーション):産業/文化/教育の価値創造を下支えしてイノベーションを創出

  Human Capital(人的資本):多様な価値観を認め合って人財育成と職場環境を向上

 

 G(ガバナンス)…社会から信頼される透明性のある経営を目指して

  Risk Management(リスク管理):ガーディアン機能を強化してリスク管理を徹底

  Transparent Management(透明性のある経営):挑戦を恐れない透明性のある経営

 

(2)TCFD提言への対応

 2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同を表明しています。TCFD提言の4つの開示推奨項目であるガバナンス、戦略(移行計画、シナリオ)、リスク管理、指標と目標に沿い適切な情報開示に取り組んでいます。また気候変動のリスクと機会が関連する財務指標に与える影響度を時間軸に基づき評価し、経営戦略に反映させていきます。

 これまで当社グループは政府の方針に基づき、2017年度以降CO2排出量を着実に減少させてきました。サステナビリティ行動計画である「2030年CO2排出量削減50%(2013年度比)、2050年カーボンニュートラル」を目標とし、グループ全体で積極的に取り組んでいます。また、当社グループのCO2排出量削減だけでなく、サプライチェーン全体でCO2排出量削減に貢献する製品開発を化学メーカーの責務として果たすことで、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値の向上につなげていきます。

 

①ガバナンス

 気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティのガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ①ガバナンス」を参照ください。2024年度はサステナブル経営委員会を3回実施し、気候変動への取り組みの報告を2回行いました。

 

②戦略

 当社グループは気候変動に関する戦略の策定にあたり、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を実施しています。シナリオは脱炭素社会への移行が実現する1.5℃シナリオに加え、世界的に経済成長を優先する4℃シナリオを選定しています。

 

●シナリオの考え方

1.5℃シナリオ

世界の平均気温が1.5℃上昇で気候変動を抑制する脱炭素移行シナリオ

(国際エネルギー機関における長期的な見通し「Net Zero Emissions by 2050」)を参考としました。

 

4℃シナリオ

世界の平均気温が4℃上昇で気候変動が進行する経済成長シナリオ
(気候変動に関する政府間パネル 第6次統合報告書(IPCC AR6)「SSP5-8.5」)を参考としました。

 

 

<想定される世界>

1.5℃シナリオで想定される世界

●脱炭素社会の実現が最優先、野心的な気候変動政策を実施

・炭素税率の大幅アップ

・内燃機関エンジン(ICE)販売の禁止、電気自動車(EV)化

・エネルギー、原料の脱炭素化

・再生可能エネルギーの主流化

・リサイクル、バイオマス、CO原料からの化学品製造

・自然災害は徐々に甚大化

4℃シナリオで想定される世界

●化石燃料依存による経済成長が最優先、追加的な気候変動対策を実施しない

・化石エネルギー、原料の需要拡大

・自由貿易や国際投資が活発

・異常気象による自然災害が激甚化

 

 

③リスク管理

 シナリオを踏まえたリスクと機会に関する気候変動の影響に対して、当社グループの対応策をさまざまな観点から検討しています。2022年度シナリオ分析を実施してから継続的なブラッシュアップをしており、2024年度はリスクと機会の選定および時間軸を考慮した影響度評価を定量的な分析として行いました。各事業共通のリスクと機会および、各事業固有のリスクと機会を一覧にしました。時間軸は影響するリスクと機会に対する時期を長期、中期、短期と分類しています。影響度評価は影響する金額を、大、中、小と分類しています。

 

 

●想定される気候変動要因(各事業共通)

主として脱炭素化に向けたカーボンプライシング等の政策による規制が強まるとともに、脱炭素に適した素材への需要シフトを想定しており、バイオマス資源や持続可能な資源の活用による新市場創出の機会を模索しています。さらに、循環型社会や脱炭素社会に向けた革新技術の登場も想定しており、従来の生産技術に依存するリスクを含め、バイオマス原料・リサイクル原料の活用技術開発や低炭素技術・高エネルギー効率のプロセス開発が競争優位性の向上につながると考えています。

また、国内外の環境貢献を評価する支援策や補助金の活用が事業転換を後押しする可能性があり、適切な環境関連情報開示や社外評価への対応を重要と捉えています。

 気候変動に伴う異常気象や自然災害は、原料調達や物流に関するサプライチェーンの分断および自社の生産体制に影響を及ぼすリスク要因ですが、事業継続計画の定期的な整備や物流ネットワークの再構築を図ることで企業の信頼性向上に努めるとともに、防災・衛生・復興関連製品の拡充により社会へ貢献していきます。

 

 

 

<気候変動に関する各事業共通の「リスク」と「機会」に対する対応策>

分類

シナリオ

気候変動区分

気候変動による影響

時間軸

影響度
評価

対応策

リスク

1.5℃

政策規制

炭素税引上げ

エネルギー調達コストの増加

中長期

コージェネレーション導入、太陽光発電導入

省エネ・低炭素規制

リサイクル原料の使用義務

中長期

リサイクル原料を使用した製品開発

政策

輸出地域の規制変更による

シェア喪失

中期

社外団体と連携した早期規制対応

国の政策変更による

生産拠点の移転・撤退

短期

生産拠点の見直し

技術

環境貢献

リサイクル対応製品の

需要増加

中長期

リサイクル材料活用に関する製品開発

市場

市場の変化

各国の政策乖離によるエネルギー・原料の分断化

中長期

市場動向のリスクアセスメント、事業の関連多角化

消費行動の変化

低炭素製品需要の動向変化

長期

顧客との積極的なコミュニケーション

評判

業界批判

環境対応軽視による

資本撤退・取引消失

短中

長期

環境対応を重視した経営方針の策定

訴訟

化石燃料による環境悪化

長期

バイオマス原料、クリーンエネルギーの活用

4℃

急性

自然災害
(台風・豪雨など)

サプライチェーンの分断、

自社拠点の被災

短中

長期

BCP体制の構築
 (雨水対策、建物および設備の防災対策、

  原料調達の複数化)

慢性

自然災害
(渇水・気温上昇など)

渇水等による取水制限

長期

BCP体制の構築
 (水利用の効率化)

機会

1.5℃

政策規制

省エネ・低炭素規制

省エネ設備の投資コスト増加

長期

生産プロセス改善と生産設備の集約

技術

環境貢献

節約志向によるエシカル消費の拡大

中期

アップサイクル材料活用に関する製品開発

市場

市場の変化

ニッチな市場の潜在的発生

長期

ユーザー協働の製品開発

評判

業界批判

BtoC市場における環境意識の高まり

短期

SDGs取り組みアピールによるイメージ向上
RSPO認証原料使用によるイメージ向上

訴訟

透明性のある環境情報の

開示要求

中長期

適切な環境情報の開示と社外評価機関の活用による信用獲得

4℃

急性

自然災害
(台風・豪雨など)

自然災害・悪天候における

製品需要拡大

短中

長期

防災・衛生環境・災害復興関連製品の拡充

慢性

自然災害
(渇水・気温上昇など)

平均気温上昇における

生活様式の変化

短中

長期

包括的な生活環境関連製品の拡充

 

 

●想定される気候変動要因(各事業固有)

社会全体の環境意識の高まりに伴い、環境負荷の大きい製品への批判が懸念される反面、環境貢献の大きな製品を積極的に開発することが企業価値の向上につながると考えています。製品ライフサイクルの観点から市販品よりも環境性能(高性能化・長寿命化・軽量化など)が優れた環境貢献製品の開発や普及活動などを意識することがカーボンニュートラル社会の実現に不可欠です。

当社がこれまで培ってきた強みと新たに獲得する強みに、外部の知見を組み合わせ、「持続可能な地球環境の実現」と「利便性・快適性の向上」との両立可能な、社会に役立つ製品開発を目指します。

 

<気候変動に関する各事業固有の「リスク」と「機会」に対する対応策>

分類

シナリオ

気候変動区分

気候変動による影響

時間軸

影響度
評価

対応策

リスク

1.5℃

政策規制

省エネ・低炭素規制

バイオマス原料の使用義務化

長期

循環経済型ビジネスモデルの構築

技術

環境貢献

可食品由来原料の需給不安

中期

ウレタンのケミカルリサイクル技術確立

市場

市場の変化

認証要求の高まり

中期

国内外市場の動向把握

消費行動の変化

ガソリン車・ハイブリッド車の

販売減少

中長期

バッテリー式電気自動車用

潤滑油材料の開発

消費者の嗜好変化

モノからコトへの価値観の変化

長期

地球環境体験価値一体型の製品開発

評判

業界批判

グローバル調達型企業との取引縮小

中長期

協業先も含めた現地調達、現地生産の実現

訴訟

市街地にある化学品生産拠点に

対する訴訟

中長期

委託生産を含む生産拠点の移転

4℃

急性

自然災害
(台風・豪雨など)

停電の温調不備による品質劣化

短中

長期

BCP体制の構築(バックアップ電源、異常検知システム、再起動訓練等)

慢性

自然災害
(渇水・気温上昇など)

天然資源の供給不良

中期

ケミカル由来製品の併用販売

機会

1.5℃

政策規制

炭素税の導入・

引き上げ

CCUSの普及
CO2削減に寄与する製品の需要増加

長期

CCU関連製品の開発
省エネルギー化に貢献する

先端半導体関連製品の開発

省エネ・低炭素規制

CO2排出量削減貢献製品の市場拡大

中長期

風力発電用炭素繊維集束剤の販売拡大

政策

煙道ガスの排出規制

長期

煙道ガスからのCO2分離技術の開発

技術

環境貢献

ガソリン車から電気自動車への移行

中期

ハイブリッドコンデンサーの開発促進

市場

市場の変化

バイオマス原料使用製品の市場拡大

中期

バイオエタノール用工程薬剤の事業拡大

未病ビジネス拡大、在宅医療

ニーズ増大

中期

未病デジタル診断関連の製品、在宅医療関連の製品サービス開発

消費行動の変化

電気自動車の需要増加(車載電池の軽量化促進)

中長期

軽量化に貢献する有機正極二次電池用有機正極の開発
自動車の電装化に伴う電解液の販売増加

消費者の嗜好変化

日用品市場の環境志向の高まり

中長期

バイオマス原料使用界面活性剤の開発

評判

業界批判

環境関連情報の透明性がある

開示要求

長期

先進的な取り組み、情報開示による

評判の向上

訴訟

石油化学事業への批判

長期

非石油化学事業への関連多角化

4℃

急性

自然災害
(台風・豪雨など)

断熱塗料の需要拡大

長期

断熱塗料用バインダーの開発

慢性

自然災害
(渇水・気温上昇など)

環境変化に強い農作物市場拡大

中期

農産物の生産性向上に寄与する
バイオスティミュラント機能を有する製品開発

水質悪化による水質改良需要の

高まり

短期

水質改良剤の開発

 

※影響度については金額を大、中、小と分類

 大:利益への影響が、10億円以上

 中:利益への影響が、10億円未満 ~ 1億円以上

 小:利益への影響が、1億円未満

※時間軸は、当社の事業特性をふまえたリスクおよび機会が顕在するまでの時間として長期、中期、短期と分類

 長期:3年以上

 中期:3年未満1年以上

 短期:1年未満

 

④指標及び目標

 環境課題を解決するための取り組みとしては、「新中期経営計画2025」の中で、種々の指標や目標を設定しています。1つは温室効果ガス排出量(Scope1,2)を削減する指標です。コージェネレーションや太陽光発電の導入に加え、CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization:CO2回収・利用)やグリーン水素導入の取り組みを推進していきます。もう1つはカーボンニュートラルに貢献する製品を拡大するための指標を設定していきます。

 当社グループの2030年のありたい姿に向けた経営方針:WakuWaku Explosion 2030で示しているとおり事業ポートフォリオの抜本的な見直しを含め、サステナブル経営を力強く推し進めることでCO2排出量削減に貢献していきます。

 

 

●Scope1, Scope2:事業所からのCO2排出量

 当社グループは京都議定書が発効された2005年に「京都議定書に関する活動方針」を定めるとともに、国内各事業所の温室効果ガス削減活動としてエネルギー使用の効率化、生産プロセス改善や燃料転換などに取り組んできました。

 近年では、当社グループは2018年度から高付加価値製品の販売に重点を置く経営方針により、低付加価値製品の販売をやめたことで生産量が減少しました。プロダクトミックスが変化した結果、国内の生産量あたりのCO2排出原単位は減少に転じました。また、2023年度に高吸水性樹脂事業からの撤退を決断し、事業ポートフォリオが大きく変わった結果、2024年度以降の自社事業所からのCO2排出量を大幅に削減できる見通しとなり、「2030年CO2排出量削減50%(2013年度比)」を前倒しで達成できる見込みです。当社グループは引き続き、「2050年カーボンニュートラル」実現に向けて取り組みを推進していきます。

今後、当社グループでCO2排出量が多い名古屋工場と鹿島工場に注力していきます。CO2排出量削減対策としてCCUの活用や水素等のエネルギー転換および、製品単位の抜本的な製造プロセスの見直しを検討していきます。

 

<Scope別CO2排出量(Scope1, Scope2):実績と目標>

 

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●カーボンニュートラルに向けたロードマップ

 CO2排出量削減策としてエネルギー転換・効率化(エネルギーマネジメント導入、太陽光発電・グリーン水素、コージェネレーション)、製造プロセスの見直しを進めています。さらにCCU導入により「2050年カーボンニュートラル」実現を目指します。

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●Scope3:サプライチェーンを通じた排出

 燃料使用等による直接排出(Scope1)、他者から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出(Scope2)に加え、サプライチェーンを通じた排出(Scope3)を算定しています。

 2023年度は、当社事業所からの排出量(Scope1,Scope2)23.1万トンに対し、サプライチェーンを通じた排出(Scope3Category1~7,12)では191.1万トン。購入原材料にかかるCO2排出量および当社製品を使用した最終製品の廃棄にかかるCO2排出量が、それぞれScope3全体の53%、39%を占めます。

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 出典:環境省ホームページ (https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html)

 ※Scope3全体:当社製品の販売先での使用・加工・輸送にかかるCO2は、データ収集が困難で算定していません。

 

 また、2022年度より、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが策定した標準アンケートツール(共通SAQ)を活用し、サプライチェーンを通じたCO2排出削減に取り組んでいます。

 

⑤今後に向けて

 当社グループは適切な環境関連情報開示を行い、ステークホルダーの皆さまに説明責任を果たしていきます。

 複数の気候変動シナリオによるリスクと機会が事業活動に与える影響を認識し対応策を準備することで事業のレジリエンス向上を図り、社是に基づいた事業活動を継続していきます。また自社の2050年カーボンニュートラル達成にとどまらずサプライチェーン全体でのCO2排出量削減に貢献し、持続可能な社会の実現に努めます。

 

(3)人的資本

①戦略

 社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、ありたい姿(Vision)に向けた変革を推進していくために、人事理念を「多様性の尊重と協働」としました。この人事理念のもと、「従業員が最も活躍できる環境を作り出すこと」を人事ポリシーとして従業員の働きがいや誇りへ繋げていきたいと考えています。具体的には能力をより活かせる等級制度、能力・役割に応じた報酬制度、公正で透明な評価制度を策定するとともに、マネジメント力強化や専門性の深化、リスキリングなど個々が求める学びを意識した人財育成を実施してまいります。

 

人事理念

多様性の尊重と協働

人事ポリシー

従業員が最も活躍できる環境を作り出す

 

<人事理念、人的資本と経営方針のつながりイメージ>

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 当社グループでは「あらゆる立場の多様な従業員一人ひとりが主役」という考えのもと、全員にスポットライトを当て、従業員一人ひとりが輝き、また達成感を味わえるような会社を目指していきます。その思想を表明するスローガンとして『全部署がプロフィットセンター』を策定しました。従業員一人ひとりがワクワクできる会社を実現していくことが、ありたい姿に向けた変革を支える重要な活動と考えています。

 当社グループは常に新たな目標に向かい、グローバルスタッフを含めた従業員一人ひとりの働きがいを大切にしながら、すべてのステークホルダーとともに“ワクワクする未来”に向かって挑戦していきます。

 

②具体的な取り組み、指標及び目標

<人財育成>

 当社グループでは従来から「“人”中心の経営」を掲げ、従業員一人ひとりが会社とともに成長し、働きがいや幸せを実現できる会社を目指し、誰もが自主的にチャレンジができる制度を整えてきました。今後は「“人”中心の経営」をさらに深化させ、全員にスポットライトをあて、ワクワクしながら変革を推進している状態を目指し、a.「全員が活躍する」b.「リーダーが自然に育つ環境を整える」、を人財育成方針として取り組みます。

 

全員が活躍する仕組みづくり

 

施策

目標

達成目標年度

全員が活躍

全社員がコースの区別なく活躍できる環境を提供するため、等級制度を現在の総合職、専任職からアソシエイト職に一本化します。

コース一本化

2023年度達成

主体的に挑戦、主体的に学ぶ

●興味のある業務にチャレンジできる「社内複業制度」や主体的にチャレンジすることを奨励する「本部長等奨励賞」、「社長賞」「JET」「合宿OJT」等の制度を積極的に利用できるよう、現場の意見も取り入れながら、より使い易い制度にブラッシュアップします。

●キャリア開発研修を継続実施し、自分の強みや弱みを理解し、自分の価値を高める努力をし、成長し続けるキャリアを描けるよう支援します。また、描いたキャリアを実現できるよう社内の制度を整えていきます。

●本部(機能)間・内を問わず、積極的にローテーションを実施することで、多様で幅広い知見や経験を習得する機会を提供します。また、全従業員の適性検査を実施し、一人ひとりの特性に基づいたローテーション(適材適所)ができるように人事データを揃えていきます。

●グローバルに活躍できる人財を育成するため、「海外留学制度」「海外実務者研修」や「語学研修」を継続して実施します。

チャレンジ精神を持ち成長意欲の高い人財であふれている状態

2027年度

組織評価

組織のパフォーマンスを最大化することを目的に、「部」以上の組織を評価する仕組みを導入し、2024年度から運用を開始しました。各組織がありたい姿(ワクワクする姿)に向けた組織目標を立て、その組織目標に組織の全員がアクションしている状態をつくりあげていきます。

組織目標の達成率80%以上

2025年度

 

 

リーダーが自然に育つ環境を整える

 経営を担う、あるいは主要な事業、機能のキーポジションの候補が自然に育っている理想的な環境をつくることを目指して、まず計画的にリーダーを育てる施策を行い、次に、リーダーに成長していくキャリアをみて、リーダーを目指したいと自ら思い、実践する従業員が増える環境をつくっていきます。

施策

目標

達成目標年度

計画的なリーダー育成

●人材育成開発会議を定期的に開催し、次期リーダー候補の選定と育成
 計画を議論することで不足している人財要件の可視化を行います。

●リーダー候補者に対して選抜研修を実施し、経営者視点で会社を見ることができ、かつ戦略を立案するスキルの習得を図ります。研修受講者には、本人の意思も確認しながらローテーション等を実施するなど、個別に育成計画を立て、実行していきます。

●不足している人材要件を埋めるため、ローテーションを実施します。

●キャリア開発研修を継続的に実施し、若いうちにキャリアプランを描き、リーダーになるために挑戦したい人を発掘します。

各ポジションのリーダー候補が充足している状態

2027年度

 

<社内環境整備>

 当社グループでは、すべての従業員が自分らしさを大切にしながら、健康で、安心して働きやすい企業を目指して、働き方改革や、人財の多様化と、すべての人権や多様な価値観を尊重して受け入れ活躍できる職場環境の実現に向けた取り組みを進めます。

健康経営

 2018年に「健康経営宣言」を制定、2020年度より、社長を筆頭に経営幹部が参画する「健康経営会議」が方針や取り組み内容の審議・決定を行い、各地区の従業員をメンバーとした「健康推進チーム」が地区ごとに従業員への健康経営の周知・浸透ならびに具体的施策を推進する体制とし、会社・労働組合・健康保険組合の三位一体で、全社一丸となり健康への取り組みを推進しています。その結果、「健康経営優良法人」に7年連続で認定されました。

施策

目標(※)

現状

達成目標年度

●5つの健康増進の取り組み(運動、睡眠、食事、飲酒、喫煙)に対する健康投資策とその効果検証の評価指標を定め、目標値を設定し各地区で計画・実行します。

●健康診断結果で精密検査を要すると産業医が判定した従業員に対しての受診勧奨や、特定健診及び人間ドックの結果、「積極的支援」または「動機付け支援」対象となった対象者全員へ特定保健指導を継続して行っています。

●ストレスチェックの実施および集団分析結果(ワークエンゲージメン
 ト)から必要時には組織へ個別介入し、職場環境改善指導を実施しま
 す。

私傷病休業者率

1%以下

1.6%

2025年度

労働生産性損失率

30%以下

36%

2025年度

※対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者です。

 

DEI(Diversity, Equity&Inclusion)

 当社グループは、多様な人財の活躍支援をより一層加速させるため、DEI推進専任の担当を置き、社内体制を強化しています。

施策

目標(※1)

現状

達成目標年度

女性活躍

●当社グループは、2014年度より女性の活躍推進を会社施策の一つに掲げ、継続就業から活躍推進へと支援の軸足を移しました。2016年に施行された女性活躍推進法に基づく行動計画を策定し、さまざまな取り組みを実施しています。

また、内閣府が支援する「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」に参加や、イクボス宣言・イクボス企業同盟への加盟なども行っています。

●男女共に働きやすく働きがいのある職場づくりのための各種施策を実施しているほか、女性のモチベーションアップや能力向上のための各種セミナーや研修の機会を設けています。

●男性の育休取得を推進し、男女共に性別役割分担意識をなくすことで、仕事と家庭生活の両立を実現し、女性の就業意欲の促進にもつなげます。(男女問わず育休開始後28日間給与支給)

女性管理職比率

15以上

5.0%

2030年度

男性育休取得率

100%(※2)

92.5%

2025年度

プラチナくるみん

認定(※3)

認定

2024年度

えるぼし3つ星

認定

認定

2024年度

LGBTQ

●社内外にLGBT相談窓口を設置しています。誰でも安心して相談できるよう相談者のプライバシー保護と相談による不利益取り扱い禁止を定めています。

●配偶者は同性・異性を問わない制度を適用しています。

また、就職時のエントリーシートから性別記入欄を無くし、ユニフォームにおいても男女統一(性別に関係なく同じ作業服や白衣の選択が可能)としています。

●LGBTQについての正しい理解を促進するため、各種研修やイベントを実施しています。2020年8月からは、LGBTQ当事者でLGBTQに関する啓発活動を行っているYouTuberのかずえちゃんを従業員に迎え、活動しています。

●LGBTQなどの性的少数者を含むすべての方が生きやすい、多様性・包摂性のある社会を目指して、国内事業所のある地域を中心としたレインボープライドイベント(東京、名古屋、京都、大阪)への参加や、高校や大学での出張授業、企業などに向けた講演を実施しています。

PRIDE指標のGOLD

認定(※4)

認定

2024年度

障がいのある従業員

●役員および人事・各事業所総務担当者を対象に社外講師による「障がい者雇用理解推進研修」を実施するとともに、全従業員を対象に動画配信を行いました。

また、障がいのあるメンバーと共に働くことへの理解を促進するため、障がいの基本知識や合理的配慮について学ぶオンライン講座(動画)を作成し、全従業員に受講を呼びかけています。

●障がいのあるメンバーや共に働くメンバーが安心して活躍の場を広げていけるような支援体制を構築し、入社時のサポートや入社後のフォロー、定期面談を実施しています。

また、働くうえでの障がいによる不安や、現場の悩みに対する社外相談窓口「ワークサポート相談室」を開設しています。

障がい者雇用率

2.7以上

2.5%

2026年度

外国籍従業員

当社グループは、グローバルな事業展開を目指しており、さまざまな文化をもった多様な人財が不可欠であると考えています。そのため、第一言語を日本語としない従業員が活躍できる環境づくり(社内制度・方針・人事制度説明、社内文書の英訳化、ビザ手続き支援など)を進めています。

外国籍従業員採用数

毎年2人以上採用

3人

(2024年度)

2024年度

※1.対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者です。

※2.女性活躍推進法の定義にかかわらず、子供が生まれた従業員全員が育児休業を取得することを目指します。

※3.対象は当社のみです。

※4.対象は当社および国内関係会社です。

 

従業員エンゲージメントの向上

 従業員がやりがいや誇りを持ち、会社に対して高い貢献意欲を持ちながら、自らの力を自発的に発揮している状態を創り出すため、役員をはじめ組織のさまざまな立場の人としっかりと対話することが大切だと考えており、対話の機会を多く設けております。2024年度からは、従業員の経営方針の一層の理解・浸透や目標達成に向けた前向きなアクションを引き出すことを目的に、自由闊達な意見交換を行う場である「くるま座」を開始しました。

施策

目標(※)

現状

達成目標年度

役員との対話

●「道場」とは役員が道場主として、門下生(従業員)を募り、毎月1回、6カ月~1年間の期間で対話する制度です。1つの道場の参加者(門下生)は6~8人で、対話するテーマ(従業員に伝えたいこと)は道場主に一任されています。2024年度は12名の道場主のもと開催しており、今後も継続します。

●毎月1回、全従業員向けに役員が講話する「全員朝会」を継続して実施します。

エンプロイエンゲージメント(ストレスチェック)

51以上

44.8

2025年度

合宿OJT

事業部や部単位で、1~2日かけて組織の夢や課題などを話し合う制度です。

サロン

部長職以上がサロンのリーダーとなり、数名の従業員と対話する制度

くるま座

上下関係無く自由に意見を交換ができる場。世代間での「関係の質」を高める=心理的な距離感を縮めることも目的。

※対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者です。

 

働き方改革

 柔軟な働き方、業務改革、IT化・AI化の3つの切り口で働き方改革を推進しています。多様な働き方を提供することで、従業員一人ひとりが誇りややりがいを感じながら成果を創出できる職場環境を目指します。

施策

目標(※)

現状

達成目標年度

柔軟な働き方

時間単位有給休暇制度、スーパーフレックスタイム制度、在宅勤務制度、フレキシブル休職制度、介護支援制度、服装の自由化

ワークエンゲージメント(ストレスチェック)

51以上

49.7

2025年度

業務革新

社外からイントラネットが利用できる仮想デスクトップサービス、決まった作業を自動化・効率化できるRPA(Robotic Process Automation)、社内情報を効率的に活用できるBI(Business Intelligence)システム、生成AIを利用した当社独自のデジタルプラットフォーム

※対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者です。

 

 

(4)人権問題への取り組み

 三洋化成グループは、一人ひとりの人権を理解し、個性や価値観を認める土台があってこそ、多様な人財の活躍につながると考えています。また、世界のさまざまな地域で事業活動を進めていくためには、事業活動にかかわるステークホルダーやサプライチェーン全体における労働に関する権利も含めた人権課題への取り組みが求められています。こうした考えのもと、2023年3月に当社グループ「人権方針」を策定しました。今後は、社内外における人権リスク低減のために積極的に情報開示し、人権デュー・ディリジェンスや救済の仕組み構築などの取り組みを進めます。

三洋化成グループの人権方針のリンク

https://www.sanyo-chemical.co.jp/sustainability/social/human-rights/

 

サプライチェーン上で想定される人権問題

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<サプライチェーンにおける人権配慮>

 サプライヤーを対象として、2022年1月に改定した「サステナブル調達ガイドライン」にサプライチェーンにおける人権配慮を明記し、周知を図りました。事業活動を通じて直接的、間接的にかかわらず人権侵害への加担や助長につながることに関わらないように活動していきます。原料調達においては、国連が定める「ビジネスと人権に関する指導原則」に詳述されている手順に従うよう努めます。当社は2022年から国連グローバル・コンパクト「CSR調達セルフ・アセスメント・ツール」に基づくサプライヤーアンケートを実施し、重大な人権問題の把握に取り組んでいます。

 

2024年度は主要原料および鉱物由来原料のお取引先様を対象にアンケートを実施しました(2022年度からの回答を含めて全お取引先様の81%:購入金額)。

2024年度に実施した本ガイドラインに基づくアンケートとフィードバックを通じてサプライチェーン全体での人権尊重への理解を促しました。

 今後も継続的な評価・フィードバックを実施し、リスク低減を図ります。​2026年度末でほぼ全てのお取引先様へのアンケートが完了する予定です。

 

<予防策と軽減策>

 三洋化成グループは、思想、信条、年齢、社会的身分、国籍、出身、民族、宗教、移民、性別、性的指向、性自認、妊娠、貧困、疫病及び障害の有無等の理由による差別や個人の尊厳を傷つける行為は行いません。また、それらの理由による差別や個人の尊厳を傷つける行為に苦しむ社会的弱者が抱える課題の把握に努め、行政や自治体、社会福祉団体等の多様なステークホルダーと連携し、その支援に協力することを宣言しています。

 

<是正・救済処置>

 人権侵害が経営上のリスクとなることを十分に認識し、人権侵害を予防し、万一人権侵害があった場合は、これに公正・適切に対応し、児童労働や強制労働には反対するだけでなく、それらによって製造されたと思われる原材料等は使用しません。また、匿名で通報可能な社内従事者用の通報窓口を設置し、通報者や通報内容の秘密を適切に取り扱い、必要な処置を講じます。通報者に対する不利益な取り扱いや報復を禁止し、通報者の保護を徹底します。

●内部通報窓口

 社内の通報窓口は、通報者が特定されることのないよう、通報者の保護に十分配慮しなければならないことを規定に定め、運用しています。内部通報窓口の運用状況は、コンプライアンス委員会に報告しています。

●セクハラ・マタハラ・LGBTQ相談窓口

 従業員からのあらゆる相談を受け付けるため、社内外にハラスメントやLGBTQに関する相談窓口を設置しています。

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<人権教育・啓発>

 当社グループは「人権方針」に関する正しい理解が社内外に浸透し、効果的に実行されるよう、適切な教育を継続的に行うことを、本方針の中で明示しています。

 

DEIに関わる2024年度の教育

項目

教育・研修名

対象者

講師

参加人数

(人)

研修時間

(時間)

人権/コンプライアンス

ハラスメント防止研修

新入社員

社外有識者

25

50

企業倫理勉強会(オンライン研修講座・グループディスカッション)

役員・従業員

社外有識者・コンプライアンス事務局

1,450

2,900

DEI推進

4社協同企画講演会

役員・従業員

社外有識者

165

218

DEI理解研修

新入社員

社内担当者

25

25

性別

社外公募制研修「女性のためのエンパワーメント21世紀塾」

従業員(女性・主にリーダー職)

社外有識者

2

78

女性社外取締役サロン

従業員

当社社外取締役

117

234

育休復職者向け「仕事と育児」両立支援セミナー

子が誕生した従業員と上司、社内外パートナー(任意)

社外有識者

40

40

阪大スタイル産学共創教育事業 育成プログラム

従業員(女性・プログラム内容に適する者)

社外有識者

7

136.5

LGBTQ

LGBTQ当事者によるサロン

従業員

ダイバーシティ推進部

7

10.5

性の多様性に関するトークセッション

役員・従業員

社外有識者

49

73.5

オンラインイベント「マンガ『弟の夫』から考えるLGBTQ」

役員・従業員

社内担当者

56

56

障がい

障がい者雇用理解推進研修(受け入れ部署向け)

従業員

社外有識者

23

11.5

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在に当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 リスク対応に関しては、経営会議に紐づくリスクマネジメント委員会の指示・監督のもと、当該リスクの主管部署が適切に対応するとともに、監査室が第三者的な観点から監査を行う体制としております。詳細については、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ④企業統治に関するその他の事項 c.損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。

 

(1) 経済状況

 当社グループ製品の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。

 従って、日本、北米、欧州、アジアを含む当社グループの主要市場における景気後退等に伴い需要が縮小する場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替レート

 当社グループの海外における事業展開において、為替レートの変動が、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 原料価格の変動

 当社グループが使用する原料の主要部分は原油に由来しておりますが、原油価格については中東情勢・需給バランス・為替等の様々な要因により変動します。原油価格の上昇に伴う原料価格の上昇は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼします。

 

(4) 地震等の自然災害

 当社の主力工場である名古屋工場が位置する愛知県東海市及び衣浦工場が位置する愛知県半田市は、東海地震の地震防災対策強化地域となっております。

 当社グループでは、地震対策として設備等の耐震構造の強化並びに生産拠点の複数化等の対策を実施しております。

 しかし、大地震が発生した場合には、様々な要因により生産・販売活動が停止するなど、当社グループの業績及び財務状況に大きな悪影響をもたらす恐れがあります。

 

(5) カントリーリスク

 当社グループは、米国・タイ・韓国に生産・販売拠点を、中国・台湾に販売拠点を設置しており、進出国における①予期しない法律または規制の変更、②政治要因による社会的混乱等を通して、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、物価高による消費マインドの低下はあるものの雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな持ち直しが見られました。為替相場は円安進行後、米欧の利下げや日銀の利上げなどから円が急反発する場面もありましたが、金利差の縮小が限定的であったこと等もあり、年間を通して乱高下しながら小幅な円高となりました。また、原油価格は中東地域を巡る地政学リスク等により高止まりが続きました。世界経済は、米国景気は底堅く推移し、欧州景気は回復傾向である一方、中国は政策効果による一時的な持ち直しは見られたものの、不動産市況悪化の影響等により自律的な景気回復が遅れております。加えて、昨今の米国の関税政策の動向やロシア・ウクライナ情勢の長期化ならびに中東地域の不安定な状況が継続するなど、先行きは極めて不透明な状況にあります。

化学業界におきましては、中国の内需不振と供給過剰により中国製品が日本およびアジアマーケットに流入してきていることで価格競争が激化するなど、事業環境は不可逆的な変化に晒されております。

このような環境の下、当社は前連結会計年度において、『新中期経営計画2025』で掲げた構造改革に沿って、高吸水性樹脂事業及び中国における生産事業からの撤退を決定しました。当連結会計年度では、その決定に従って、三大雅精細化学品(南通)有限公司の持分譲渡を完了し、高吸水性樹脂事業から完全撤退するなど高付加価値事業への転換を図る事業ポートフォリオ改革は着実に進捗しております。また、『ものづくり大改革』として取組んでいる「サプライチェーン全体にわたるコスト削減および運転資本の圧縮」についても、目標を上回るペースで進捗しており、基盤事業の収益回復に寄与してきております。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は、高吸水性樹脂事業からの撤退などにより1,422億5千8百万円(前期比10.8%減)となりました。利益面では、先端半導体分野の好調に加え高付加価値製品の拡販や構造改革による収益性改善などにより営業利益は84億3千9百万円(前期比72.7%増)、経常利益は96億7千万円(前期比18.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は出資金評価損や事業構造改革費用を計上したことにより41億5千1百万円(前期は事業構造改革費用の計上などにより85億1百万円の損失)となりました。

 なお、上記事業構造改革に関する損失は、前連結会計年度から複数年度にわたり総額200億円を見込んでおりましたが、前連結会計年度に約120億円、当連結会計年度は三大雅精細化学品(南通)有限公司の減損損失を含め約12億円を計上しております。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

<生活・健康産業関連分野>

生活産業関連分野は、ポリエチレングリコールの市況が国内外ともに回復するなど、売上高は好調に推移しました。

健康産業関連分野は、高吸水性樹脂事業からの撤退に伴い、売上高は大幅に減少しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は306億8千万円(前期比33.2%減)、営業利益は1億7千6百万円(前期は14億2千1百万円の営業損失)となりました。

 

<石油・輸送機産業関連分野>

石油産業関連分野は、潤滑油添加剤の需要回復により売上高は順調に推移しました。

輸送機産業関連分野は、自動車生産台数が横ばいの中、自動車シートなどに使用される国内向けのポリウレタンフォーム用原料が海外安価品の流入により低調になったことに加え、海外向け自動車内装表皮材用ウレタンビーズも減少したため、売上高は低調となりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は492億3千2百万円(前期比2.5%減)、営業利益は39億7千9百万円(前期比41.2%増)となりました。

 

<プラスチック・繊維産業関連分野>

プラスチック産業関連分野は、永久帯電防止剤の需要回復により売り上げを伸ばし、塗料コーティング用薬剤・添加剤も堅調に推移したため、売上高は好調に推移しました。

繊維産業関連分野は、タイヤコード糸等の製造時に使用される油剤が中国の需要回復に伴い大幅に増加したことに加え、風力発電用風車向けの炭素繊維用薬剤も復調したものの、合成皮革用薬剤が低調に推移し、売上高は横ばいとなりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は268億3千9百万円(前期比6.4%増)、営業利益は28億6千7百万円(前期比21.1%増)となりました。

 

<情報・電気電子産業関連分野>

情報産業関連分野は、トナーバインダーの需要が回復傾向にある一方で、重合トナー用材料が中国での生産事業からの撤退等により低調となり、売上高は大きく減少しました。

電気電子産業関連分野は、アルミ電解コンデンサ用電解液がEV市場の回復遅れにより低調に推移しましたが、先端半導体市場が堅調に推移したことにより関連材料が売り上げを伸ばし、売上高は増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は209億1千1百万円(前期比8.6%減)、営業利益は25億3千2百万円(前期比38.3%増)となりました。

 

<環境・住設産業関連分野他>

環境産業関連分野は、高分子凝集剤用のカチオンモノマーが国内市況の低迷により低調に推移しました。

住設産業関連分野は、セメント用薬剤が需要低迷により低調でしたが、家具・断熱剤などに用いられるポリウレタンフォーム用原料の販売が回復したため、売上高は横ばいとなりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は145億9千4百万円(前期比2.9%減)、営業利益は4百万円(前期比99.2%減)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

19,814

13,925

△5,889

投資活動によるキャッシュ・フロー

△6,264

△5,079

1,184

財務活動によるキャッシュ・フロー

△4,006

△11,895

△7,889

現金及び現金同等物に係る換算差額

601

△128

△730

現金及び現金同等物の増減額

10,145

△3,177

△13,323

現金及び現金同等物の期末残高

27,188

24,010

△3,177

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高と比較し31億7千7百万円減少し、240億1千万円となりました。

 

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は、139億2千5百万円(前期は198億1千4百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益64億6千1百万円、減価償却費96億3千3百万円、売上債権の減少78億8千3百万円、棚卸資産の減少32億5千4百万円などによる資金の増加が、仕入債務の減少65億8千6百万円、事業構造改革に伴う支払額45億4千9百万円、法人税等の支払額25億1百万円などによる資金の減少を上回ったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は、50億7千9百万円(前期は62億6千4百万円の減少)となりました。これは、固定資産の取得に67億7千1百万円を支出したことなどによるものです。

 

営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた「フリーキャッシュ・フロー」は、88億4千6百万円の増加(前期は135億5千万円の増加)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、118億9千5百万円(前期は40億6百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額37億6千万円、短期借入金の純減少額83億7千1百万円による資金の減少などによるものです。

 

 ③生産、受注及び販売の実績

 

(a)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前期比

(%)

金額(百万円)

生活・健康産業関連分野

30,880

△39.0

石油・輸送機産業関連分野

44,864

△6.2

プラスチック・繊維産業関連分野

28,012

9.8

情報・電気電子産業関連分野

22,061

△3.5

環境・住設産業関連分野他

14,576

△3.3

合計

140,394

△13.3

(注)1.生産金額は、平均販売価格により計算しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.生産実績には委託生産品(商品仕入高)を含んでおりません。

 

(b)受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は、受注生産方式ではなく、主として見込生産を行っております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

前期比

(%)

金額(百万円)

生活・健康産業関連分野

30,680

△33.2

石油・輸送機産業関連分野

49,232

△2.5

プラスチック・繊維産業関連分野

26,839

6.4

情報・電気電子産業関連分野

20,911

△8.6

環境・住設産業関連分野他

14,594

△2.9

合計

142,258

△10.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上である販売先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 ①経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、販売量の減少などにより、1,422億5千8百万円(前期比10.8%減)となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、前期比200億2千6百万円減少し、売上原価率は前連結会計年度の81.6%から77.5%へ4.1ポイント減少しました。

 販売費及び一般管理費は、前期比7億7千8百万円減少し、対売上高比率は前連結会計年度の15.3%から16.6%へ1.3ポイント増加しました。

 研究開発費は、前期比6千3百万円減少し、対売上高比率は前連結会計年度の3.3%から3.6%へ0.3ポイント増加しました。

 

(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純損益)

 営業利益は、84億3千9百万円(前期比72.7%増)となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度の3.1%から5.9%へ2.8ポイント増加しました。

 経常利益は、96億7千万円(前期比18.1%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、41億5千1百万円(前期は85億1百万円の損失)となりました。

 

 ②財政状態の分析

(流動資産)

 流動資産は、受取手形及び売掛金が99億8百万円、商品及び製品が68億7千6百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて209億8千6百万円減少し、849億4千2百万円となりました。

 

(固定資産)

 固定資産は、有形固定資産が53億3千5百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて84億6千5百万円減少し、914億2千3百万円となりました。

 

(流動負債)

 流動負債は、短期借入金が82億4千1百万円、買掛金が69億6千8百万円、未払金が39億1千万円減少したこ

となどにより、前連結会計年度末に比べて231億8千7百万円減少し、303億3千2百万円となりました。

 

(固定負債)

 固定負債は、事業構造改革引当金が30億4千2百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて29億8千9百万円減少し、77億3千1百万円となりました。

 

 流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は546億1千万円、流動比率は280.0%となりました。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ32億7千5百万円減少し、1,383億2百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末の67.6%から9.2ポイント増加し76.8%となりました。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末の6,295.31円から6,119.90円と175.41円減少しました。

 

 

 ③資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、付加価値の高いパフォーマンス・ケミカルス(=機能化学品)の製造・販売を通じて、毎期安定した営業キャッシュ・フローを計上しています。近年、パフォーマンス・ケミカルスは新興国の生活水準向上などにより海外需要が増加しており、当社グループでは「グローバル化」を重要施策と位置付け、国内外で製造拠点の新設や設備増強を進めています。

 グループ会社の資金は当社が一元的に管理し、必要に応じて資金を融通しています。また、投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローや金融機関からの借入による調達を基本としており、今後も同様の方針で取り組んでまいります。

 当社は、グループ内の資金効率化を図るとともに、投資計画の妥当性を考慮した資金活用を判断することで、財務体質の改善や企業価値向上に繋げていく所存です。

 

 ④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは2024年当初の目標として連結売上高1,450億円、連結営業利益80億円、連結経常利益95億円、親会社株主に帰属する当期純利益25億円を掲げておりました。

 当連結会計年度の売上高は高吸水性樹脂事業からの撤退などにより1,422億5千8百万円(前期比10.8%減)、営業利益は先端半導体分野の好調に加え高付加価値製品の拡販や構造改革による収益性改善などにより84億3千9百万円(前期比72.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は出資金評価損や事業構造改革費用を計上したことにより41億5千1百万円(前期は事業構造改革費用120億5千9百万円の計上などにより85億1百万円の損失)となり、ROEは3.0%(前期比9.0ポイント増)になりました。

 今後の見通しにつきましては、わが国経済は内需主導で緩やかな回復基調が継続すると見込まれます。一方、世界的には米国の関税政策の動向やロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東地域を巡る地政学リスク等による先行き不透明な状況が続くと予想されます。また、事業環境としても上記状況の他、中国における汎用石油化学品の過剰生産による競争激化に加え、原料価格動向や為替動向など予断を許さない状況が続くと想定されます。

 このような環境の中、翌連結会計年度の連結業績見通しにつきましては、事業構造改革に伴う増益ならびに高付加価値製品の拡販等により売上高1,300億円(前期比8.6%減)、営業利益100億円(前期比18.5%増)、経常利益110億円(前期比13.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益80億円(前期比92.7%増)を予想しております。

 

 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。当社が採用しております会計方針の内、重要となる事項につきましては、「第5  経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますのでご参照ください。

5【重要な契約等】

技術供与

契約会社名

契約先

契約品目

契約内容

契約期間

三洋化成工業

株式会社

(当社)

GC Polyols Co., Ltd.(タイ)

ウレタンフォーム・

接着剤等用ポリオール

1.技術情報の提供

2.製造権及び販売権の許諾

2017年9月8日

から別途解約

されるまで

 

契約会社名

契約先

契約品目

契約内容

契約締結日

当社

科研製薬株式会社

シルクエラスチンを用いた創傷治癒材

シルクエラスチンを用いた創傷治癒材(本医療機器)の日本国内における事業化に関して、本医療機器を製造販売するために必要な特許、ノウハウ及び商標のライセンス等の取り決め

2024年9月26日

 

 

合弁事業契約

契約会社名

契約先

内容

合弁会社名

契約締結日

当社

PTT Global Chemical Public Company Ltd.(タイ)

豊田通商株式会社

タイにおけるポリオール事業の合弁に関する契約

GC Polyols Co.,Ltd.

2017年8月25日

当社

孫 勁鎬(韓国)

アクルーブ生産拠点新設に伴う合弁事業契約

韓国三洋化成製造

株式会社

2018年6月13日

 

 

持分譲渡

契約会社名

持分譲渡の相手先

譲渡する子会社

持分譲渡実行日

契約締結日

SDPグローバル

株式会社

南通江天化学股份

有限公司

三大雅精細化学品(南通)有限公司

2024年12月16日

2024年9月27日

 

 

吸収合併

 当社は、2024年11月6日に開催の取締役会において、当社の100%子会社であるSDPグローバル株式会社を2025年4月1日付で吸収合併することを決議し、同日付で両社は合併契約を締結しました。

 詳細は、「第5  経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、パフォーマンス・ケミカルス(機能化学品)を通じて社会に貢献することを基本方針として、基盤となる技術の深耕、新製品開発ならびに顧客への対応力の強化等、積極的な研究開発活動を行っております。

当社グループの研究開発は、潤滑油添加剤事業本部の研究部、画像材料事業本部の研究部、バイオ・メディカル事業本部の研究部、Siela Project、界面活性剤事業本部の研究部、Beauty & Personal Care統括部の企画開発グループ、高機能マテリアル事業本部の研究部と先端材料・プロセス開発部、ウレタン材料事業本部の研究部、インダストリアル事業本部の研究部、フラボトーン事業推進部の研究開発グループ、アグリ・ニュートリション事業推進部の研究開発グループ、事業企画部の新事業開発グループ、テクノリサーチ部、業務革新部の業務グループ、及び連結子会社のSDPグローバル㈱の研究部、サンノプコ㈱の研究本部、サンアプロ㈱の研究所で推進しております。研究開発人員数はグループ全体で353名であり、これは当社グループ全人員の約五分の一に当たります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、全社費用として報告セグメントに配分していない新規事業に係る研究開発費1,112百万円を含め5,158百万円であります。

当連結会計年度における新規事業の研究開発の成果としましては、次のとおりであります。アグリ事業としては、第二弾のペプチド肥料登録が完了し、「ペプチド肥料」2品について宮崎県での有償提供を開始しました。翌連結会計年度は、国内外の複数地域及び植物を原料として取り扱うメーカー複数社での圃場試験まで幅を広げて事業化検証に取り組んで参ります。匂いセンサー「FlavoTone®」につきましては、食品メーカーであるフジッコ株式会社への販売を皮切りに、有償受託分析や顧客との共同開発による価値創造を開始しております。また株式会社アロマビットからQCM(水晶振動子マイクロバランス)型匂いセンサー技術の技術承継を受けたことで、当社が主体となって製品・市場開発を促進しており、匂いセンシング分野での実績拡大とトップランナーの地位を確立します。

一方、既存事業分野における各セグメントの主な研究開発成果は、次の(1)~(5)のとおりであります。

 

(1) 生活・健康産業関連分野

本分野では、生活に密着した日用品向けの多様なニーズにきめ細かく対応するシャンプー基材や洗剤用の界面活性剤応用製品、臨床検査試薬キットならびに医療用機材などの製品を開発しております。主な成果としては、高機能性アップサイクルコメ素材「コメファイン」や人にも環境にも優しいピッカリング乳化剤「ソリエマー」の開発を推進したこと、従来の抗菌剤で度々課題となっている金属腐食性を大幅に改善した新規抗菌剤「カチオンDME」を開発したこと、機能性タンパク質「シルクエラスチン」を用いた「皮膚欠損創に対するシルクエラスチンスポンジ創傷用シート」の独占的販売権の契約を科研製薬株式会社と締結したこと、2025年度に薬事承認・保険償還取得後に販売開始予定であること、「半月板縫合術に対するシルクエラスチン(P47K-WAS-MR)がAMED(日本医療研究開発機構)の医工連携イノベーション推進事業に採択され、2025年度に企業治験開始予定であること、簡便な操作で高収率かつ高い精製度の細胞外小胞の回収を可能にする精製キット「EXORPTION」を2024年度から国内販売を開始し、2025年度からは北米へ拡販予定であること、更に口腔フローラの改善から歯周病や慢性疾患予防を目的とし、選択的に口腔内の悪玉菌を増殖抑制できる口腔ケア基材を開発し、サンプルワークを開始したことなどが挙げられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は843百万円であります。

 

(2) 石油・輸送機産業関連分野

本分野では、自動車シートクッション用ポリウレタンフォーム原料、潤滑油・燃料油の添加剤などの化学品ならびに切削油といった金属加工用薬剤のベース基材などの製品を開発しております。主な成果としては、電気自動車(EV)用潤滑油向けに、摩耗を防止する添加剤を新たに開発し、潤滑油メーカーに採用内定、2025年度販売開始が決定したことなどが挙げられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,158百万円であります。

 

(3) プラスチック・繊維産業関連分野

本分野では、電子部品搬送トレーなどに使用される永久帯電防止剤、樹脂用の顔料分散剤、モデル用合成木材といったプラスチック関連製品ならびに化学繊維やガラス繊維、炭素繊維などの各種繊維用の薬剤などを開発しております。主な成果としては、レインウェア等に用いられる透湿防水素材用ウレタン樹脂において、溶剤を一切含まない水系化品を開発したこと、オーガニックテキスタイル世界基準(GOTS)のほか、食品接触関連法規にも幅広く対応し、発泡液の泡切れに優れる安心・安全、グローバル対応のユニバーサル消泡剤「ノプタムU-834」の販売を開始したこと、木粉配合の高機能テキスタイル「MOC-TEX」が、JALグループのサステナブル・チャレンジ企画「‘OLU‘OLU! Honolulu!」の機内シートのヘッドレストカバーに採用されたことが挙げられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は802百万円であります。

 

(4) 情報・電気電子産業関連分野

本分野では、複写機やプリンター用のトナーバインダー、電子部品製造用の工程薬剤、コンデンサ用電解液など情報・電気電子産業に使用される製品を開発しております。主な成果としては、省エネ性、高画質性に優れるトナーバインダーの採用が決まり工業化を開始したこと、高屈折率でナノインプリント性・耐候性に優れる『ハイルシス』を開発したこと、近年の電子機器の処理速度増大に伴う電子部品からの発生熱量の効率的な放熱を促すための電子部品と冷却器とを密着させるウレタン系放熱ギャップフィラー『サーマップ』を開発し、そのフィラー分散技術を応用してワイヤレス給電や電磁部品向けに磁性粒子分散ウレタン樹脂の開発を推進したことなどが挙げられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は759百万円であります。

 

(5) 環境・住設産業関連分野他

本分野では、環境浄化用の水処理薬剤、住宅用断熱材に用いられるポリウレタンフォーム原料、建築シーラント原料などの製品を開発しております。主な成果としては、土木工事用薬剤について、トンネル掘削時の掘削土の粘度調整薬剤「ビスカーエイト」を開発したこと、樹脂練り込み型消臭剤「ケシュナール」の自動車部品用途での評価が進んでいること、住宅用断熱材用原料について、地震発生時の火災への対応意識の高まり及び2030年新築住宅へのZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)スタンダード化の流れに沿い、不燃吹付断熱材用原料の開発を推進したことなどが挙げられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は482百万円であります。