第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、建設事業を主要な事業内容としており、東急グループの一員として同事業の分野を担っており、東急グループ各社と連携し、安心で快適な生活環境を提供する東急ブランドをより強固にしつつ、その価値を競争力の一つとしております。

2021年3月に、創業の精神を受け継いだ企業理念に基づき、社会課題の解決を強く意識した2030年の企業ビジョン「VISION2030」、同年5月には、その達成に向けた10か年の長期戦略「長期経営計画 “To zero, from zero.”」を策定しております。これらを実行することにより持続的な企業価値向上を実現してまいります。

①長期経営計画の概要

項  目

長期経営計画“To zero, from zero.”

計画期間

2021年度より2030年度の10か年

基本方針

国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、「知の深化」と「知の探索」を実践し、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした5つの重点戦略を実行することにより、財務・非財務両面での持続的な企業価値の向上を目指します。

 

 

②長期経営計画のKPI

経営指標

2025年度目標

2030年度目標

(1)連結営業利益(率)

(2)連結ROIC ※1,※2

(3)連結ROE

(4)D/Eレシオ

(5)自己資本比率

(6)従業員エンゲージメント ※3

(7)GHG排出量Scope1・2 ※4

(8)GHG排出量Scope3 ※4

95億円(2.8%)

7.1%

0.5倍以下

40%程度

26.2%削減

17.5%削減

220億円以上(5.0%以上)

7.0%以上

10.0%以上

0.5倍以下

45%程度

AAA

47.9%削減

30.0%削減

 

※1 当社はKPIとしてROICを採用し、収益性と資本効率の状況を定量的に把握してまいります。

※2 ROICについては、現状では収益力の回復に取組み、中長期的な目標水準として2030年度7.0%以上を目指すことを掲げております。

※3 ㈱リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティングであります。対象は子会社を含めたグループ全体の従業員としており、2030年度目標指標の「AAA」は、全11段階中最上位のレーティングとなっております。

※4 2018年度を基準としております。GHG排出削減目標はSBT認証における1.5℃基準(参照:SBTi Corporate Near-Term criteria ver5.2)に基づき設定しております。

 

なお、各年度の目標指標は2025年5月13日に公表いたしました「「長期経営計画“To zero,from zero.”」のローリングに関するお知らせ」の数値を記載しております。

 

 

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

「(1) 経営方針」に記載の経営方針及び「長期経営計画 “To zero, from zero.”」を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

今後の国内建設市場につきましては、建設投資は引き続き堅調に推移することが見込まれます。しかしながら、技能労働者の減少、時間外労働に関する上限規制の適用による影響や原材料価格の高止まり等が懸念されるとともに、新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や、デジタルによる技術革新など構造変革が迫られております。

このような情勢下におきまして当社グループでは、協力会社との関係強化や物価高騰への対応を図りつつ、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、既存事業の深掘りと新規分野の模索など「知の深化」と「知の探索」を実践してまいります。また、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として、3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とし、この3つの提供価値と人材・デジタル技術の競争優位構築による「東急建設ブランドの訴求・確立」をはじめとする5つの重点戦略を実行することで当社グループの持続的な企業価値向上を目指してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループは、持続的な企業価値向上を目指すため、企業ビジョン及び経営計画に則り、「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を軸に、ステークホルダー(お客様、協力会社、社員・家族、株主、そして社会)へ新たな豊かさを提供するサステナビリティ経営を実践しております。自社のサステナビリティを巡る課題をマテリアリティ(当社グループが優先的に取り組むべき経営の重要課題)として定め、その取り組みを推進しています。

マテリアリティは、経営会議等の会議体においてリスクと機会を認識し、ステークホルダーにおける重要度と企業価値向上への影響度を踏まえ取締役会で特定しています。これら取り組みの進捗について取締役会に報告するとともに、環境変化に柔軟に対応するため、毎年リスクを網羅的に洗い出し、見直しを行う仕組みとしております。

業務執行状況は、事業部門長会議や経営トップによる四半期ごとの事業モニタリングにおいて把握し、工事受注、不動産取引、ベンチャー投資やその他事業投資等の個別案件は、組織横断の「本社リスク管理協議会」、「受注協議会」、「海外受注協議会」、「不動産取引審査会」、「事業投資審査会」、「ベンチャー投資委員会」を設け、リスクの事前検証を実施しております。サステナビリティ課題を報告・協議する「サステナビリティ委員会」では、当連結会計年度において気候変動、GHG排出量削減目標の引き上げ、人権デュー・ディリジェンスの結果、情報開示について議論・報告を行いました。なお、生物多様性や自然資本については、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の最終提言に賛同しました。

サステナビリティの取り組みに関する詳細な情報につきましては下記弊社ウェブサイトをご参照ください。

(URL:https://www.tokyu-cnst.co.jp/sustainability/foundation/)

 

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

 

① 気候変動

(ⅰ)戦略

気候変動がもたらす影響を幅広く検討し、特に重要であると考えられるリスクと機会を特定しております。それぞれのリスクと機会が当社グループに与える財務影響を、気候変動への対応や規制が進むことが想定される2℃未満シナリオと、災害の甚大化がより深刻となる4℃シナリオに分けてシナリオ分析を実施しました。また、2023年度に2℃未満シナリオの設定を1.5℃シナリオへ見直し、2024年度に1.5℃シナリオに沿って、目標更新しました。

気候変動が東急建設グループの事業に及ぼす影響を鑑み、気候変動リスクの低減及びこれらの機会を生かすことを経営の最重要課題と認識しています。

東急建設グループは、経営の軸として3つの提供価値「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を定め、気候変動リスクの低減に向けた施策推進に取り組んでいます。

検討に必要な情報の取得にあたってはIEA(International Energy Agency)WEO 2022 Net Zero by 2050 やIEA WEO2021等を参照しました。

各シナリオ下における事業環境の認識と、それらが及ぼす事業影響の概要は以下のとおりです。

 



リスクと機会及びその対応策(事業影響が大:10億円以上のもの)

リスクと機会

影響要因

主な影響

想定時期

施策

移行リスク

(技術リスク)

低炭素建築物の需要拡大

ZEB等の低炭素建築物への規制や要求に対応できないことによる受注機会の逸失

短~中期

・ZEB・ZEH-Mと木質建築関連部署への投入資源の拡大

・自社木造・木質建築ブランドを支える技術開発

・ZEB・ZEH-M設計提案ツールの開発による営業力の強化

移行リスク

(市場リスク)

原材料(燃料価格含む)価格の高騰

顧客意識の変化により、木材などのCO2排出量の低い原材料(燃料含む)を採用する必要性に迫られ、コストの増加分を価格転嫁できない場合、収支を圧迫

中期

・使用建設資材の低炭素化、利用率の拡大

・積み上げ式による建築資材のCO2排出量算定ツールの提供及び精度向上

機会

(リソースの効率)

低炭素建築物の

需要拡大

ZEB等の低炭素建築物案件の受注拡大

短~中期

・ZEB・ZEH-Mと木質建築関連部署への投入資源の拡大

・自社木造・木質建築ブランドを支える技術開発

・ZEB・ZEH-M設計提案ツールの開発による営業力の強化

 

※想定時期の定義 短期:0~2年 中期:3~9年 長期:10~30年

 

 

(ⅱ)指標及び目標

以下の指標を用いており、目標及び実績は次のとおりです。

項目

対象

2024年度実績※

2030年目標

2050年目標

GHG排出量※

Scope1・2

27.5%削減

47.9%削減

100%削減

Scope3

46.9%削減

30.0%削減

再生可能エネルギー

再エネ電力利用率

83.7%

100%

廃棄物

最終廃棄処分率

5.4%

3%以下

0

 

※2018年度を基準としております。GHG排出削減目標はSBT認証における1.5℃基準(参照:SBTi Corporate Near-Term criteria ver5.2)に基づき設定しております。なお、2024年度の実績値は、第三者保証取得前の数値であるため変更の可能性があります。

気候変動、TCFD提言に基づく詳細な情報については下記弊社ウェブサイトをご参照ください。

 (URL:https://www.tokyu-cnst.co.jp/sustainability/environment/tcfd/)

 

② 人的資本

(ⅰ)戦略

人材育成方針

建設産業の構造変化が著しい状況において、「技術力の継承と現場力の強化」と「多様な人材の活躍による変化対応」は、企業価値向上の鍵となるものです。

当社グループは、「人材」を競争優位の源泉と位置付け、従業員一人ひとりが能力を高め、個々の力を十分に発揮できるよう人材育成の強化に取り組んでおります。

コア事業である建設事業でこれまで培ってきた現場力をさらに深め、強みである都市機能を止めない技術やノウハウ、土木・建築・その他事業の枠を超えたチームワークを次世代へ確実に引き継ぐため、必修型「ビジネス基礎教育」、職種別に特化した必修型「専門教育」、キャリア自立に向けた自発的な行動を支援する「選択・選抜型教育」の3つの要素を軸に人材育成マスタープランとして教育体系を整備し、若手の早期育成を進めております。また、若手の成長を促進するため、年次に関わらない抜擢登用、能力絶対評価による優秀社員のスピード昇格が可能となる人事制度を整備し、ジョブローテーションによる成長機会の創出と合わせて現場力強化を進めております。

一方、戦略事業である国際事業・不動産事業においてはより高い専門性を持つ人材が不可欠であり、専門性を活かしたキャリア形成を実現する専門職制度を活用し、スペシャリストの育成を推進しています。新たな事業領域拡大・イノベーション推進に向けて、高い専門能力とプロ意識、誇り・情熱・向上心とやり抜く力を併せ持ち変革をリードできる「自律型人材」の育成・獲得を進めております。

また、当社グループは「デジタル技術」を「人材」と並ぶ競争優位の源泉と位置づけており、「デジタル技術」をより強固に推進するためのデジタル人材の獲得と育成を進めております。デジタル人材育成計画を策定し、全社員がそれぞれに求められるスキルの獲得を目指しております。

以前にも増して変化の激しい市場環境で「知の深化」と「知の探索」の実践を牽引し、複雑化する経営を担う人材の不足は大きなリスクとなります。これを回避すべく、次世代経営者・幹部候補者を対象とした次世代経営アカデミーを運営し、次世代人材プールを構築することで計画的な経営人材の輩出と主要ポストの後継者計画の実現に取り組んでおります。

 

社内環境整備方針

当社グループは、顧客ニーズの多様化への適合と、新たな事業領域拡大・イノベーション推進に向けて個性の違いが生み出すさまざまな視点や価値観を効果的に活用することができる企業風土の醸成を目指し、多様な人材が最大限の力を発揮できる職場づくりを推進しています。

多様性の確保として女性活躍推進、エリア総合職の採用・通年採用、外国籍社員への支援、LGBTQへの対応などを進めており、特に女性活躍推進では、経営幹部候補の育成におけるジェンダーバランスの考慮、女性を対象としたリーダーシップ研修など女性リーダーの拡充に向けた様々な取組みを実施しています。女性に対する直接的な働きかけに限らず、新入社員研修におけるアンコンシャスバイアスに関する研修や心理的安全性を高める管理職向けの研修などを実施しています。その活躍の土台となる多様な働き方については、フレックス勤務制度・テレワーク勤務制度などを整備しております。更にデジタル化・IT活用での業務効率化、作業所における4週8閉所への取り組みなどの職場環境整備により長時間労働を要因とする健康被害を防止するとともに、健康経営を推進して従業員の健康づくりに積極的に取り組むことで、当社の持続的な成長とサステナブルな社会の実現を目指しております。

また、年2回実施するエンゲージメントサーベイにより組織の状況を把握して改善活動につなげるとともに、サーベイ結果のフィードバックを通じたチーム対話の推進等により組織内の心理的安全性の確保を進め、改善活動や新たなアイディアが生まれやすい環境づくりを目指しております。さらに、事業戦略への納得感を高めるため経営者と従業員とが直接意見を交わし合うビジョン対話や、感謝を伝えるサンクスカードの運用、新事業のアイディアコンテストの開催により、互いを認め合い、尊重し合い、挑戦を歓迎する組織風土の醸成に取り組んでおります。

 

(ⅱ)指標及び目標

当社グループでは、上記以下の指標を用いており、目標及び実績は次のとおりです。

指標

2024年度実績

目標

女性採用比率※1

19.1

2025年度30

女性管理職比率※1(2022年度対比)

2.3

2025年度3.0

男性の育児休業取得率※1,※2

78.2

2025年度100

従業員エンゲージメント※3

BB

2030年度にAAA

 

※1 当社単体での指標となります。

※2 男性の育児休業若しくは育児を目的とした休暇の取得率

※3 株式会社リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティングであります。対象は子会社を含めたグループ全体の従業員としており、全11段階に分かれており、2024年度実績の「BB」は、「AAA」「AA」「A」「BBB」に次ぐ上位から5段階目のレーティングとなっております。

 

人的資本に関する詳細な情報については2025年10月に下記弊社ウェブサイトにおいて公表予定の統合報告書2025年度版をご参照ください。

(URL:https://www.tokyu-cnst.co.jp/ir/library/annual/)

 

なお、当該将来に関する事項については、経営会議等及び取締役会の会議体で合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 気候変動や自然災害

温室効果ガスの大量排出による気候変動に伴い、建設事業や建物ライフサイクルへの政府の規制強化や、サステナブルな調達に対する要請の高まり等への対応が遅れた場合、売上高の減少、工事採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 当該リスクには、再生可能エネルギー電力の使用やZEB(Net Zero Energy Building)の推進をはじめ3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした長期経営計画を推進することとしております。また、気候変動に伴い激甚化する風水害や、地震、津波等により当社グループの従業員や保有資産が被災するリスクに対して、BCP(事業継続計画)に基づいた訓練計画を行う等、BCM(事業継続マネジメント)にも取り組んでおります。
 

(2) 金利上昇による資金調達コスト上昇

事業活動推進に必要となる金融機関からの資金調達において、金利上昇による資金調達コストの上昇が要因となり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクには、資金調達方法を多様化させ、短期社債の発行やグリーンローン借入など、低コストでの資金調達を実施することにより対応しております。

 

(3) 建設市場の動向

景気変動による国内建設市場の縮小、資材・労務価格等の急激な変動が発生した場合、売上高の減少、工事採算の悪化等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 当該リスクには、市場の縮小に対してはイノベーションによる新たな事業領域の拡大、資材・労務価格等の急激な変動に対しては先行調達や代替工法の提案等により対応しております。

 

(4) 建設産業の構造変化に関するリスク

技能労働者不足による供給力の低下等に伴う、建設産業の構造変化への対応が遅れた場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 当該リスクには、協力会社との連携を強化しつつ、建設現場におけるICTの活用等DXによる建設生産システムの変革、生産性の向上により対応しております。
 

(5) 従業員の確保に関するリスク

労働人口の減少や働き方の多様化、産業間の人材獲得競争が進む中、従業員への処遇改善や、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンへの対応が遅れることにより、従業員の確保が困難となり人員不足に陥ることが想定されます。また、それに伴う売上高の減少等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクには、人材育成の強化により従業員一人ひとりの能力をさらに高め、従業員エンゲージメントの向上によりその能力を最大限発揮するとともに、人事制度改革や働き方改革、さらにはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進することで、当社の魅力を高めることにより対応しております。

 

 

(6) 施工瑕疵や品質不良

設計、施工における不具合等によりその補修等に多大な費用を要するような重大な瑕疵、品質不良が発生した場合、補修費用の発生による工事採算の悪化や顧客からの信頼喪失による受注機会の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクには、土木・建築各事業本部との組織連携や、品質管理の活動強化を図り、PDCAサイクルを実践する等、当社が定める品質方針に基づき対応しております。

なお、品質問題の発生及び重大化を防ぐため、経営者まで速やかに情報共有される体制の整備や内部通報制度の拡大、施工部門における品質管理の再構築、技量向上を目的とした作業所技術員への人材投資の強化、組織風土の改革といった事項にも取り組んでおります。

 

(7) 重大な事故・災害

第三者や多数の死傷者を伴う重大な事故・災害の発生及び社会的に影響の大きい工事等における事故が発生した場合、社会からの信頼を喪失し受注機会の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクには、経営トップの関与をより高めた安全管理体制等、当社が定める安全方針に基づき対応しております。

 

(8) サイバーリスク

サイバー攻撃などによる機密情報の流出や社内システムの機能障害が発生した場合、顧客や社会からの信頼喪失、事業活動の停滞等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクには、情報セキュリティ基本方針に基づき、情報漏洩等の問題に対する物理的・人的・ITなどの各側面からの情報セキュリティ対策、e-ラーニングを用いた従業員教育の推進等により対応しております。

 

(9) 国際事業の展開に伴うリスク

国際事業を展開する上で、海外諸国の政治・経済情勢、為替や法的規制等、事業環境に著しい変化が生じた場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクには、本社機能を含むガバナンスを充実させリスクマネジメントを強化することにより対応しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、物価上昇による個人消費への影響が一部に残るものの、雇用・所得環境に改善の動きが見られ、景気は緩やかに回復しました。しかしながら、米国の政策動向や金融資本市場の不安定化などにより、先行きに対する不透明感が高まりました。

建設業界におきましては、政府建設投資は底堅く推移し、民間建設投資は企業の旺盛な設備投資意欲の継続により前年度を上回ったことから、建設投資は総じて堅調に推移しました。

このような情勢下におきまして当社グループは、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とした5つの重点戦略(「東急建設ブランドの訴求・確立」「コア事業の深化」「戦略事業の成長」「人材・組織戦略」「財務・資本戦略」)に取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は293,139百万円(前期比2.6%増)となりました。損益面では、営業利益は8,839百万円(前期比8.4%増)、経常利益は9,701百万円(前期比0.4%減)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6,631百万円(前期比8.7%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(建設事業(建築))

完成工事高については、海外工事が減少したものの、国内民間工事及び国内官公庁工事の増加により、219,684百万円(前期比1.9%増)となりました。一方、セグメント利益については、11,818百万円(前期比20.8%増)となりました。

 

(建設事業(土木))

完成工事高については、海外工事が減少したものの、国内官公庁工事及び国内民間工事の増加により、68,486百万円(前期比2.4%増)となりました。一方、セグメント利益については、4,538百万円(前期比24.8%増)となりました。

 

(不動産事業等)

不動産事業等売上高については、販売用不動産の売却等により、4,968百万円(前期比55.6%増)となりました。セグメント利益については、1,488百万円(前期比32.5%減)となりました。

 

 

当連結会計年度末の資産の部につきましては、受取手形・完成工事未収入金等が5,914百万円減少した一方、現金預金が7,543百万円、その他(流動資産)が4,405百万円それぞれ増加したことなどにより、資産合計は前連結会計年度末と比較して9,790百万円増加(3.7%増)し、274,315百万円となりました。
  負債の部につきましては、短期借入金が27,626百万円減少した一方、未成工事受入金が12,623百万円、支払手形・工事未払金等が12,374百万円それぞれ増加したことなどにより、負債合計は前連結会計年度末と比較して7,912百万円増加(4.8%増)し、171,648百万円となりました。
  純資産の部につきましては、配当を4,039百万円実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を6,631百万円計上したことなどにより、利益剰余金が増加した結果、株主資本は2,878百万円増加しました。また、株式相場の影響等によりその他有価証券評価差額金が1,918百万円減少したことなどから、その他の包括利益累計額は1,210百万円減少しました。この結果、純資産合計は前連結会計年度末と比較して1,877百万円増加(1.9%増)し、102,667百万円となりました。

なお、自己資本は101,634百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して0.7ポイント減少し、37.1%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、未収入金の増加や未成工事支出金の増加等の資金減少があったものの、税金等調整前当期純利益9,840百万円の計上や仕入債務の増加等の資金増加により、41,203百万円の資金増加(前連結会計年度は54,023百万円の資金減少)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、有形及び無形固定資産の取得による支出や投資有価証券の取得による支出等により、1,595百万円の資金減少(前連結会計年度は1,399百万円の資金減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、長期借入れによる収入の増加等による資金増加があったものの、短期借入金の返済による支出等により、31,878百万円の資金減少(前連結会計年度は28,523百万円の資金増加)となりました。

この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から7,723百万円増加し、39,666百万円(前連結会計年度末は31,942百万円)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

 a.受注実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

増減

増減率(%)

建設事業(建築) (百万円)

241,036

308,544

67,507

28.0

建設事業(土木) (百万円)

60,037

97,335

37,297

62.1

   合計    (百万円)

301,074

405,879

104,804

34.8

 

(注) 当社グループでは「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」以外では受注生産を行っておりません。

 

 

 b.売上実績

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

増減

増減率(%)

建設事業(建築) (百万円)

215,591

219,684

4,092

1.9

建設事業(土木) (百万円)

66,897

68,486

1,589

2.4

不動産事業等   (百万円)

3,192

4,968

1,775

55.6

   合計    (百万円)

285,681

293,139

7,457

2.6

 

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。

3 前連結会計年度及び当連結会計年度ともに売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。

建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績

 a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越
工事高
(百万円)

当期受注
工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成
工事高
(百万円)

次期繰越
工事高
(百万円)

前事業年度
(自 2023年4月1日
  至 2024年3月31日)

建築工事

263,926

218,765

482,691

192,909

289,782

土木工事

114,321

59,575

173,896

66,299

107,597

378,247

278,341

656,588

259,208

397,379

当事業年度
(自 2024年4月1日
  至 2025年3月31日)

建築工事

289,782

283,892

573,675

191,764

381,911

土木工事

107,597

97,206

204,803

68,116

136,686

397,379

381,098

778,478

259,880

518,597

 

(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。また、前事業年度以前に外貨建で受注したもので、当事業年度中の為替相場の変動により請負金額の増減がある場合についても同様の処理をしております。

2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

 

 b.受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。 

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

建築工事

27.9

72.1

100

土木工事

1.3

98.7

100

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

建築工事

28.0

72.0

100

土木工事

5.8

94.2

100

 

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

 

 c.完成工事高 

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

建築工事

9,186

183,723

192,909

土木工事

43,440

22,858

66,299

52,626

206,582

259,208

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

建築工事

11,413

180,350

191,764

土木工事

44,098

24,017

68,116

55,512

204,368

259,880

 

(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

前事業年度

三井不動産レジデンシャル㈱
エヌ・ティ・ティ都市開発㈱
日鉄興和不動産㈱
住友商事㈱
住友不動産㈱
大和ハウス工業㈱
東急不動産㈱
東京建物㈱
野村不動産㈱
三菱地所レジデンス㈱

(仮称)晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業 5-3街区建築物工事

 

 

新綱島駅前地区市街地再開発組合

新綱島駅前地区第一種市街地再開発事業に伴う施設建築物建設工事

 

 

東急㈱

(仮称)南町田グランベリーパーク駅前マンション計画新築工事および準備工事

 

 

コスモス特定目的会社

(仮称)ESR加須ディストリビューションセンター2新築工事

 

 

㈱竹内製作所

(仮称)株式会社竹内製作所 青木工場新築工事

 

 

当事業年度

ミャンマー連邦共和国運輸・通信省

ヤンゴン・マンダレー鉄道改善工事 第1期事業 CP103工区

 

 

日本GLP㈱

GLP八千代Ⅴ新築工事

 

 

瑞穂プロパティー特定目的会社

(仮称)多摩地区物流センター新築工事

 

 

三菱地所レジデンス㈱

三菱倉庫㈱

千代田区三番町26計画新築工事

 

 

国土交通省

R2国道246号渋谷駅周辺地下道工事

 

 

2 前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

 d.次期繰越工事高(2025年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

建築工事

57,811

324,100

381,911

土木工事

90,277

46,409

136,686

148,088

370,509

518,597

 

(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。

囲町東地区市街地再開発組合

囲町東地区第一種市街地再開発事業 施設建築物本体工事

2026年6月完成予定

 

 

 

バングラデシュ人民共和国道路交通橋梁省

マタバリ港アクセス道路建設工事(中央工区)CW-3bおよび(東工区)CW-3c

2029年1月完成予定

 

 

 

積水ハウス㈱

(仮称)グランドメゾン千鳥ヶ淵計画新築工事

2028年12月完成予定

 

 

 

中日本高速道路㈱

新東名高速道路 湯触トンネル他1トンネル工事

2025年12月完成予定

 

 

 

三郷デベロップメント特定目的会社

九州旅客鉄道㈱

㈱住友倉庫

ロジクロス三郷計画新築工事

2026年8月完成予定

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

当社グループの当連結会計年度の経営成績等について、売上高は293,139百万円(前期比2.6%増)となりました。損益面では、営業利益は8,839百万円(前期比8.4%増)、経常利益は9,701百万円(前期比0.4%減)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6,631百万円(前期比8.7%減)となりました。
 財政状態については、現金預金やその他(流動資産)が増加したことなどにより、資産合計は274,315百万円(前連結会計年度末比3.7%増)となりました。また、未成工事受入金や支払手形・工事未払金等が増加したことなどにより、負債合計は171,648百万円(前連結会計年度末比4.8%増)、利益剰余金の積上げなどにより純資産は102,667百万円(前連結会計年度末比1.9%増)となりました。自己資本比率は37.1%(前連結会計年度から0.7ポイント減少)となりました。

 

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

今後の国内建設市場につきましては、建設投資は引き続き堅調に推移することが見込まれます。しかしながら、技能労働者の減少、時間外労働に関する上限規制の適用による影響や原材料価格の高止まり等が懸念されるとともに、新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や、デジタルによる技術革新など構造変革が迫られております。

このような情勢下におきまして当社グループでは、協力会社との関係強化や物価高騰への対応を図りつつ、「長期経営計画 “To zero, from zero.”」に基づき、国内土木・建築・建築リニューアル事業を「コア事業」、国際・不動産・新規事業を「戦略事業」と位置づけ、既存事業の深掘りと新規分野の模索など「知の深化」と「知の探索」を実践してまいります。また、人材とデジタル技術を競争優位の源泉として、3つの提供価値(「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」)を軸とし、この3つの提供価値と人材・デジタル技術の競争優位構築による「東急建設ブランドの訴求・確立」をはじめとする5つの重点戦略を実行することで当社グループの持続的な企業価値向上を目指してまいります。
 

c.目標とする経営指標の達成状況

当社グループが「長期経営計画“To zero, from zero.”」で掲げた目標及び、当連結会計年度の実績は以下のとおりです。

経営指標

2024年度目標

2024年度実績

2030年度目標

連結営業利益(率)

50億円(1.6%)

88億円(3.0%)

220億円以上

(5.0%以上)

連結ROIC

5.4%

7.0%以上

連結ROE

4.5%

6.6%

10.0%以上

D/Eレシオ

0.5倍以下

0.26倍

0.5倍以下

自己資本比率

40%程度

37.1%

45%程度

従業員エンゲージメント ※1

BB

AAA

GHG排出量

Scope1・2 ※2

16.2%削減

27.5%削減

47.9%削減

GHG排出量

Scope3 ※2

16.2%削減

46.9%削減

30.0%削減

 

※1  ㈱リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティングであります。対象は子会社を含めたグループ全体の従業員としており、全11段階に分かれており、2024年度実績の「BB」は、「AAA」「AA」「A」「BBB」に次ぐ上位から5段階目のレーティングとなっております。

※2 2018年度を基準としております。GHG排出削減目標はSBT認証における1.5℃基準(参照:SBTi Corporate Near-Term criteria ver5.2)に基づき設定しております。

   なお、2024年度の実績値は、第三者保証取得前の数値であるため変更の可能性があります。

 

また、施工中工事の不具合や、過年度引渡し物件に係る施工瑕疵に対し、当社では、安全・品質・工程管理等のコア業務に関する技術員教育の強化、本社による作業所支援体制の強化、特定工事に対する専門委員会の設置等、品質管理体制の強化による再発防止策を徹底し、施工品質の向上に引き続き努めてまいります。

 

 

d.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費の支払や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、当社グループは提出日現在、事業運転資金の安定的且つ機動的な調達を目的として、取引金融機関5行及び20行との間でそれぞれ締結しております、シンジケーション方式によるコミットメントライン契約等からの借入により資金調達を行っております。

 

e.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

(建設事業(建築))

当連結会計年度における受注高は308,544百万円(前連結会計年度は241,036百万円)、完成工事高は219,684百万円(前連結会計年度は215,591百万円)、セグメント利益は11,818百万円(前連結会計年度は9,785百万円)となりました。

 

(ⅰ) 完成工事高(個別)

当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比1,145百万円(0.6%)減少の191,764百万円となりました。

工事分類別では、前事業年度に比べ「倉庫流通施設」、「医療福祉施設」が増加し、「住宅」、「教育研究文化施設」が減少しました。また、発注者別では、官公庁工事が増加、民間工事が減少となりました。

(単位:百万円)

 

前事業年度

当事業年度

増減率

 

完成工事高

192,909

191,764

△0.6%

 

完成工事総利益

13,795

15,532

12.6%

 

 

(ⅱ) 完成工事総利益率(個別)

利益率は前事業年度比0.9ポイント増加し、8.1%となりました。

 

(ⅲ) 受注高(個別)

   受注高は283,892百万円で、前事業年度比65,126百万円(29.8%)の増加となりました。

 

(発注者別)

中央官庁からの受注は前事業年度比317.5%増加、地方自治体からの受注は同64.2%減少し、官公庁工事の受注額合計では同30.3%増加しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比32.0%増加、東急グループからの受注は同21.9%増加となり、民間の受注額合計では同31.0%増加となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度7.6%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事12.7%、民間工事87.3%の構成比となりました。

 

(工事分類別)

「倉庫・流通施設」は前事業年度比13.4%増加し、構成比は20.9%となりました。「住宅」は前事業年度比16.5%増加し、構成比は20.4%となり、「店舗」は前事業年度比410.5%増加し、構成比は13.8%となりました。

 

(エリア別)

国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比15.3ポイント増加し、国内全体に占める割合は82.4%となりました。

 

 

(建設事業(土木))

当連結会計年度における受注高は97,335百万円(前連結会計年度は60,037百万円)、完成工事高は68,486百万円(前連結会計年度は66,897百万円)、セグメント利益は4,538百万円(前連結会計年度は3,635百万円)となりました。

 

(ⅰ) 完成工事高(個別)

当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比1,817百万円(2.7%)増加の68,166百万円となりました。

工事分類別では、前事業年度に比べ「上・下水道」、「道路」が増加しました。また、発注者別では、官公庁工事、民間工事ともに増加となりました。

 (単位:百万円)

 

前事業年度

当事業年度

増減率

完成工事高

66,299

68,116

2.7%

完成工事総利益

6,238

7,757

24.4%

 

 

(ⅱ) 完成工事総利益率(個別)

利益率は前事業年度比2.0ポイント増加し、11.4%となりました。

 

(ⅲ) 受注高(個別)

受注高は97,206百万円で、前事業年度比37,630百万円(63.2%)の増加となりました。

 

(発注者別)

中央官庁からの受注は前事業年度比121.3%増加、地方自治体からの受注は同53.2%増加し、官公庁工事の受注額合計では同101.4%増加しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比17.1%減少、東急グループからの受注は同61.9%増加となり、民間の受注額合計では同6.7%と増加となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度12.1%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事73.6%、民間工事26.4%の構成比となりました。

 

(工事分類別)

「道路」は前事業年度比222.8%増加し、構成比は49.5%となりました。「鉄道」は前事業年度比2.6%減少し、構成比は23.0%となり、「上・下水道」は前事業年度比73.5%増加し、構成比は15.5%となりました。

 

(エリア別)

国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比3.5ポイント増加し、国内全体に占める割合は76.1%となりました。

 

(不動産事業等(連結))

不動産事業等売上高は4,968百万円(前連結会計年度は3,192百万円)となりました。この主な内容は、販売用不動産の売却等に係るものであります。また、損益面では、1,488百万円のセグメント利益(前連結会計年度は2,204百万円)となりました。

 

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループが取り組んでいる研究開発の対象となる技術分野は「建設事業(建築)」、「建設事業(土木)」及び「不動産事業等」のいずれにも適用可能である基礎的な技術開発を含むため、研究開発活動の状況は、建築・土木・不動産事業等のセグメントを分けずに記載しております。

 

研究開発活動は、全社的な技術戦略方針に基づき、以下に示す7つの技術分野を対象としております。「①脱炭素、②廃棄物ゼロ、③防災・減災」はVISION2030の達成に向け策定した長期経営計画にて示した、3つの提供価値に関連する技術、「④まちづくり、⑤品質向上、⑥生産性向上、⑦安全性向上」は当社の基盤となる技術の革新につながる研究・技術の開発分野となります。

 

    脱炭素:コンクリート材料、木造建築、IoTセンサ活用の空調制御、建築資材のCO2排出量算定

    廃棄物ゼロ:先送り材料、廃棄物選別ロボット、BIMを活した部材製作

    防災・減災:構造ヘルスモニタリング、耐震、グリーンインフラ、インフラ点検、維持管理

    まちづくり:Building OS、生物多様性評価

    品質向上:検査支援システム、騒音対策、コンクリート材料、室内快適性

    生産性向上:混合構造、トンネル施工省力化、PCa化、杭/基礎

    安全性向上:トンネル安全管理、VOC汚染対策

 

研究活動の手段の一つとして、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携も積極的に進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めております。また、産学連携に関する包括契約を複数の大学と締結しております。

当連結会計年度における研究開発費は、1,236百万円であります。

 

 主な研究開発成果は次のとおりであります。

 

(1)「人協調型ロボティクスの社会実装技術開発」を開始

当社と東京都市大学は、建築物に適用する「人協調型ロボティクスの社会実装技術開発」の共同研究を開始しました。本共同研究開発では、ロボットが動作しやすいロボットフレンドリー環境となる建築構造物を設計・実装する社会実装技術を開発します。

近年、建設現場の労働力不足を補う手段として、また、完成した建物で働く人の生産性向上やウェルネスの向上を目的にロボット導入への関心が高まっています。しかし、いずれの場合も、ロボットが動作しやすい環境ではないため、ロボット導入が思うように進んでいません。

そこで当社と東京都市大学は、2023年度より内閣府が主導して取り組んでいる「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」の技術開発プロジェクトに「住宅・ビル等の人協調型ロボティクスの社会実装技術開発」を共同提案し、この度、委託先として採択されました。

当社は、本プロジェクトで培ったロボットフレンドリー環境の設計・実装技術を活用し、建物の新しい価値を提供してまいります。

 

 

     (2) 環境配慮型コンクリート(CELBIC-RA)の国土交通大臣認定取得

当社と㈱東京テクノ、武蔵野土木工業㈱は、環境配慮型コンクリート(CELBIC-RA)の国土交通大臣認定(MCON-4762)を取得いたしました。

CELBIC-RA(Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete -Recycled Aggregate)は、普通ポルトランドセメントの70%を高炉スラグ微粉末に置き換えて使用するとともに、製造~保管の過程でCO2を吸収・固定したリサイクル材の再生骨材を使用するため、「低炭素性」と「資源循環性」を兼ね備えた環境配慮型コンクリートとなっています。普通ポルトランドセメントを使用した同一強度のコンクリートと比較して、CO2排出量を70%以上削減することが可能です。

CELBIC-RAは、場所打ち杭や基礎及び居室に接しない地下躯体、CFT造の鋼管充填コンクリート等に適用することが可能で、東京都及び神奈川県の一部を除くエリアに供給することができます。

 

 (3)省力化・設計合理化した杭頭接合工法「JUPITA」※1が(一財)ベターリビング一般評定を取得

当社は、場所打ちコンクリート杭工法の杭頭処理の省力化・設計の合理化を目的とする杭頭接合工法「JUPITA」を開発し、このたび(一財)ベターリビングの一般評定を取得しました。

「JUPITA」は、杭頭から突出する鉄筋を著しく減少させることで杭頭処理の作業を短縮化できます。また杭径を減少させることができるため、掘削土量とコンクリート使用量を削減できます。さらに余盛部分を削孔や打撃で除去する際に発生する騒音振動が軽減され、環境負荷の低減を図ることができます。

今後、「JUPITA」を集合住宅・事務所ビルなどに適用し、建築工事でのさらなる環境負荷低減に取り組んでまいります。

※1 「JUPITA」は東急建設㈱の登録商標です。(商標登録第6718961号)

 

 (4)場所打ちコンクリート杭への高強度鉄筋の適用設計手法に関して(一財)ベターリビング一般評定を取得

当社と共同開発会社※2は、主筋に高強度鉄筋を使用した場所打ちコンクリート杭の設計手法に関して、このたび(一財)ベターリビングの一般評定を取得しました。

本設計手法は、場所打ちコンクリート杭の主筋に高強度鉄筋を使用することで杭耐力が向上するだけでなく、杭径を最小限に抑えることで掘削土量とコンクリート使用量が削減され、コストと環境負荷の低減に寄与します。また、鉄筋本数の削減に伴いコンクリート充填性が確保され、施工品質が向上するなど多くのメリットが期待できます。

今後、当社と共同開発会社は、本技術の実物件への適用を推進し、幅広い活用を目指してまいります。

※2 ㈱安藤・間、㈱奥村組、佐藤工業㈱、鉄建建設㈱、戸田建設㈱、西松建設㈱、㈱長谷工コーポレーション、三井住友建設㈱の8社

 

     (5)PPCaボックスカルバートが「土木学会技術開発賞」受賞

当社は、(公社)土木学会が主催する「令和5年度土木学会賞」において、「部分プレキャスト部材を用いたボックスカルバートの構築工法(PPCaボックスカルバート)の開発」※3が評価され、土木学会技術開発賞を受賞しました。

PPCa(パーシャルプレキャスト)ボックスカルバートは、側壁及び頂版を部分的にプレキャスト部材に置き換えた大型ボックスカルバートの構築工法です。

本工法はR2国道246号渋谷駅周辺地下道工事にて初適用となり、「4Dシミュレーション※4を用いたPPCa(パーシャルプレキャスト)ボックスカルバートの施工」の取り組みが評価され、国土交通省主催の「令和5年度 インフラDX大賞」にて、i-Construction・インフラDX推進コンソーシアム会員の取組部門の優秀賞も受賞しています。

当社はこれからも、DX推進施策との親和性の高い本工法を用いてコンクリート工事に関わる技能労働者や建設技術者の生産性を向上し、建設業界全体の課題解決に取り組んでまいります。

※3 「PPCaボックスカルバート」は東急建設㈱の登録商標です。(登録商標第6453626号)

※4 「4Dシミュレーション」は、BIM/CIMのほかに、ゲームエンジンを用いたVRと3D

   モデルに時間軸を加えた、4Dモデルの試験施工や重機の動きのシミュレーションです。

 

 

     (6)省CO2・省力化コンクリートを使用した根固めブロックの現場実証試験を開始

当社と東京理科大学は、共同で研究開発した省CO2・省力化コンクリート(以下、開発コンクリート)で「根固めブロック」※5を製作し(製作協力:日本コーケン㈱)、災害への備えとして根固めブロックを備蓄する屋外の環境において、CO2固定能力を検証する現場実証試験を2024年12月から開始しました。

今回の現場実証試験では、外気温や雨、湿度の影響を受ける実際の河川備蓄環境下(荒川下流河川事務所の管理地内)で、開発コンクリートにより製作した根固めブロックのCO2固定能力を長期にわたり把握します。

これまでは室内での促進実験や屋外での短期間の検証を行い、施工コストやCO2排出量・吸収量の試算を行ってまいりました。その結果、根固めブロックの硬化品質は従来のコンクリートと同等以上でありながら、製作時のCO2排出量は51%削減され、製作時間は52%短縮しました。また、屋外での短期間の検証では、大気中のCO2を吸着固定する速度が従来の9倍に増加する結果となりました。製作後もCO2が固定化されるため、災害に備えながらCO2削減による環境貢献が可能となります。

当社は環境負荷軽減材料の開発と社会実装・実用化に取り組み、開発コンクリートの一般土木構造物への適用と普及促進を図ってまいります。

なお本実証試験は、国土交通省関東地方整備局が実施する「大学等研究機関とのマッチング」※6の一環として取り組んだものです。

※5 「根固めブロック」は、河川や海岸を流水や波から護るため設置するコンクリートブロックです。

※6 「大学等研究機関とのマッチング」は、国土交通省関東地方整備局による、建設現場の生産性向上のための「i-Construction」を推進する「技術(シーズ)マッチング」助成制度です。

 

     (7)生コン打設管理技術「バイブトレーサー」を開発

当社と㈱計測リサーチコンサルタントは、生コンの打設作業時にバイブレーターの平面位置と深さをリアルタイムで計測する装置、「バイブトレーサー」※7を共同開発し、擁壁コンクリート工事で初適用しました。

コンクリート打設工事では、作業時にバイブレーターが正しい位置と深さで使用されていない場合、締固め不足による品質不良が生じる恐れがあります。この作業はこれまで作業員の感覚によって行われていたため、バイブレーターの締固め位置をリアルタイムに計測‧記録し、その位置をタブレット等で正確に把握することで、品質と生産性の向上を目指しました。

本技術は、バイブレーターのホース部分に取り付けた「バイブトレーサー」の球形マーカ―を、周囲に設置した複数台のモーションキャプチャカメラで感知することで位置情報を特定するとともに、レーザー距離計を用いてバイブレーターの締固め位置を取得し、その位置情報と締固め時間をリアルタイムで3次元的に確認する技術です。これにより、擁壁コンクリート工事をはじめとする様々なコンクリート打設工事において、さらなる品質確保及び生産性向上に貢献します。

※7 「バイブトレーサー」は、東急建設㈱の登録商標です。(登録商標第6893831号)

 

     (8)里地里山遊閑地の湿地化による雨水貯留機能と生物多様性に関する評価を検証

近年、地球温暖化の緩和、防災・減災、生物多様性の保全や、SDGsに沿った環境と経済の好循環等に資するまちづくりにおいてグリーンインフラの重要性が増していることを踏まえ、当社は2024年2月27日に生物多様性指針を策定・公開しています。

この指針に即した実証事業である「里地里山遊閑地の湿地化による雨水貯留機能と生物多様性に関する評価」は、国土交通省「グリーンインフラ創出促進事業」に採択され、グリーンインフラの生物多様性への影響について検証する手法(環境DNA分析等を用いた生物調査等)の提案や、生物多様性の保全・回復と生物資源の持続可能な利用の推進・効果検証に加え、温暖化による気象現象の極端化に伴って注目されている、雨水流出抑制機能の検証を実施しました。

当社は2030年度を最終年度とする長期経営計画において、3つの提供価値「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を戦略の軸としています。グリーンインフラはいずれの提供価値にも寄与する技術であり、今後も生物多様性保全技術を導入・促進し、気候変動とその影響に立ち向かうため、今後も様々な社会課題の解決に取り組んでまいります。

 

 

     (9)省エネルギー・脱炭素に貢献するフリークーリングによる新冷却システムの提供開始

当社とMDI㈱は、共同で研究開発した「(仮称)データセンター向け空冷サーバー及び液冷サーバーハイブリット冷却システム」において、従来のフリークーリング(中間期・冬期など外気温度が低い場合に、冷凍機を使用せず冷却塔を冷却装置として利用するシステム)に比べて約30%のエネルギー削減とデータセンターのエネルギー指標PUE※8値1.21を達成しました。

AI技術などの飛躍的発展により、データセンターにてコンピューターサーバーが設置される空間の熱密度が著しく増大しています。また、異常気象の影響等により、冷却に必要なエネルギーが増大しています。こうした状況下において両社は、熱交換効率を高めた熱交換器と、冷却性能を高めた冷却塔とを組み合わせたフリークーリングを主とするシステムを開発し、フリークーリング期間を長くすることにより冷却装置の稼働を抑える実施検証をおこない、大幅なエネルギー削減効果を確認しました。

今後当社は、次世代データセンターの省エネルギー・脱炭素に貢献する新しいフリークーリングシステムの提供を開始いたします。

また、データセンター向けの冷却システムに加え、年間空調が求められる製造工場向けや、製造エリア毎の暑熱対策へも新しいフリークーリングシステムを提案することにより、省エネルギー・脱炭素に貢献してまいります。

※8 データセンターやサーバールームのエネルギー効率を示す指標の一つであります。米国環境保護庁(EPA)、データセンターの省電力化を推進する業界団体「The Green Grid」なども奨励する指標であります。一般に電力効率が悪いデータセンターはPUEが2.0以上であると言われています。一般的なデータセンターで1.5~2.0程度であります。効率が良いとされるのは1.5よりも小さな数値の場合であります。「データセンター業におけるベンチマーク制度」においては、PUEl.4以下が目標水準と言われています。

 

     (10)打ち分け不要な耐震スリット材を開発

当社、㈱JSP、㈱クギンは、既存の「J-スリット」※9と補強材に「トラストデッキ」※10を組合せ、コンクリート打設時に打ち分け不要な耐震スリット材(以下、本スリット)を開発、特許を取得し、自社開発の建物である(仮称)宇田川町42計画新築工事に初適用し、有効性を確認しました。

鉄筋コンクリート造建築物に広く用いられている耐震スリットは、地震発生時に柱や壁などの損傷を防ぎ、建物の安全性を確保する役割を担っています。

従来の耐震スリットは、打設するコンクリートの耐力を踏まえ、1.0m~1.5m程度の高さでの打ち分けが必要でした。今回、従来の垂直スリット材に加え、補強材(トラストデッキ)と中間支持材により打設時の側圧を支持することにより、打設時における垂直スリット材の変形を抑制可能な、高耐力・高剛性なスリットの開発を行いました。本スリットにより、一般的な階高の柱と雑壁がそれぞれ一度に打ち上げ可能となり、打設管理の効率化やコンクリートの品質向上(打ち重ねによる不良低減、表面の色むら抑制等)効果があります。

当社は、本スリットの適用を積極的に進め、建物の品質向上及び施工生産性向上に引き続き努めてまいります。

※9 ㈱JSPが製造販売を行うスリット材。本スリットには垂直スリットMTタイプを使用しています。

※10 ㈱クギンが製造販売を行う鉄筋トラス付きデッキ。垂直スリットの幅に応じて切断加工したものを本スリットの補強材として使用しています。トラストデッキは㈱クギンの登録商標です。

 

 

     (11)廃棄物ゼロを目指した「リユース屋上緑化システム」を共同開発

当社と東急リニューアル㈱は、「リユース屋上緑化システム」を共同開発しました。この「リユース屋上緑化システム」は、東急リニューアル㈱が既に販売している屋上緑化システム「クラピア屋上緑化」の飛散養生材にリユース材を活用することで、廃棄物削減を実現する緑化システムです。リユース材には、不要になった麻袋を活用しており、㈱土と野菜と連携し、MOAIプロジェクト(環境・循環をテーマに人と人が繋がりそのコミュニティを活用して、新たなテクノロジーを掛け合わせ地域課題を解決する)にて取り組み中の「麻袋循環プロジェクト」の一環として実施しています。

近年、ヒートアイランド現象の緩和や省エネルギー効果を目的に、建物の屋上を緑化することが増えてきています。高層建築の屋上緑化ではポット植えをする場合、通常、植物が土の表面を十分に被覆するまでの間はネット等による飛散対策が行われます。植物が全面を覆うと飛散養生は不要になるため、ネットの撤去が必要となりますが、本システムでは天然繊維でできていて時間が経つと土に還る麻袋を活用するため、撤去の必要がありません。また、麻袋はコーヒー豆の運搬などに用いられますが、一度の使用で殆どが廃棄処分されています。本システムを採用することで、従前では廃棄されていた麻袋をそのままリユースすることが可能となり、業界の垣根を越えた取り組みとして廃棄物削減だけでなく、循環型社会の実現に貢献します。

本システムは、「脱炭素」「廃棄物ゼロ」に向けたソリューションのひとつとなります。今後さらに、東急建設グループの連携を強化させ、気候変動やそれらを含むSDGsなどの社会課題解決に向け、技術開発を加速してまいります。今後、両社では、従来の「クラピア屋上緑化」に加えて、環境に配慮したシステムの販売を積極的に進めてまいります。

 

(12)中高層木造建築構法「P&UA構法」※11による11階建て事務所のモデルプランで(一財)日本建築センターの構造評定を取得

当社が参画する「P&UA構法共同技術開発グループ」※12は、本構法を用いた二方向ラーメン架構に、耐力壁を併用した11階建て事務所のモデルプランで、(一財)日本建築センターの構造評定を2024年10月11日に取得しました。

評定を取得したモデルプランは、半剛接仕様のラーメン架構の仕口に用いる「GIUA」、「シアリング・コッター耐力壁」、「ローリング・コッター耐力壁」、梁に設けるスリーブ付き継手やラーメン架構の梁端仕口に用いる「炭素繊維によるせん断補強」などP&UA構法の4つの要素技術を採用することで、高耐力・高剛性・高靭性の構造性能を実現しました。これにより壁が少なく広い空間を有する中高層木造建物を建設することが可能となります。なお、本構法は耐力壁を用いない二方向純ラーメン架構にも適用できます。

※11 Panel&Unbonded Anchorの略称

※12 技術開発者:㈱市浦ハウジング&プランニング、㈱織本構造設計、東急建設㈱、東レ建設㈱、

   戸田建設㈱、西松建設㈱、㈱長谷工コーポレーション、三井住友建設㈱

   共同研究者・協力者:京都大学 五十田教授、近畿大学 松本教授、広島県立総合技術研究所林業技術センター他13社。

 

 

(13)使用済み紙おむつを活用したオーガニック培養土の生産の事業化に向けた共同研究及び実証実験の開始

当社、㈱ムスカ(以下、ムスカ)及びトータルケア・システム㈱(以下、トータルケア・システム)は、使用済み紙おむつ由来の素材を活用したオーガニック培養土等の生産(以下、本事業案)について、事業化に向けた共同研究を行っております。

本事業案は、使用済み紙おむつを原材料としてオーガニック培養土や緑化基盤材の生産について研究を行い、事業化を目標としております。これまで当社内で検討を進めていましたが、このたび昆虫を活用した有機廃棄物処理技術を有するムスカ、及び使用済み紙おむつのリサイクル技術を有するトータルケア・システムと、両社の知見を活用した共同研究を開始いたしました。事業化に向け、使用済み紙おむつを水溶化処理し発生する汚泥を、イエバエによる処理技術の活用により有機肥料に再資源化する技術の研究を共同で行います。一般的にオーガニック培養土や緑化基盤材の原料となる有機肥料の生成には6ヶ月程度の期間が必要ですが、本事業案は人工養殖したイエバエを活用することで生成期間を約7日まで大幅に短縮する効果が見込まれております。

本事業案で生産したオーガニック培養土による植物育成の実証実験も開始しており、育成状況が通常の培養土と同等程度であることを確認しております。

今後については、本事業案を2026年度に事業化することを目標としております。実証実験の結果を活かし、商業施設など建築物の屋上緑化や河川・鉄道法面緑化への適用を視野に入れ、引き続き事業化に向けて検討を進めてまいります。