第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。

(1)会社の経営の基本方針

当社の目指すところは、他の追随できない素材技術によって社会と産業のために価値を生み出し、株主の皆さまのご期待にお応えしていくことです。そのために、顧客や産業の課題解決に資する製品を数多く開発しています。同時に、世界最高水準の技術や品質を追求し、生産性の向上に絶え間なく努めながら、世界中の顧客に安定的に製品供給を行っています。その持続のため、顧客の動向や市況の変化に迅速かつ的確に対応することに努めています。

生活環境基盤材料において規模の経済と多層的な事業展開を追求します。飛躍的に成長する半導体市場に必要不可欠な素材と技術を提供し、総合電子材料メーカーとしての機能を拡充していきます。珪素化学を駆使した課題解決(Shin-Etsu Silicones Solution-Engineering)を推進します。

人間社会の持続的な発展とその質の向上を、環境負荷を抑えつつ実現する必要性の高まる今日、効率を極めることが必須です。そのために当社が担い、果たせる役割は大きいと信じています。当社の多くの製品がこうした目的に資するように、そして当社製品が用いられれば用いられるほど産業と人々の暮らしに貢献できるというように取り組み、世界の産業と人々の生活を支えるエッセンシャルサプライヤーとしての役割を果たしていきます。

(2)目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略

目標とする経営指標は、年次ごとの増収、増益です。当社の主要製品の中には、市況をはじめとした事業環境の変化の影響を受ける製品があります。それだけに、外部環境の変化に機敏に対応していくことに加え、各事業の耐性をさらに高めます。来期もさらなる事業の成長に取組みます。そのためにも、当社製品がより広くより多く社会と産業に用いられるよう、注力していきます。

(3)経営環境及び対処すべき課題

顧客の需要に確実に応えていくために供給態勢を常時点検し、拡充の手立てを前広に施します。経済事情の揺れ幅が従前の領域を超えてきていることに加え、中国からの過剰輸出が複数の市場で続くと目され、それに対する対応策を多角的に打っていきます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが合理的な一定の前提に基づいて判断したものであり、その実現を約束する趣旨のものではありません。実際の結果は不確実性により変更される可能性があります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

①ガバナンス

 当社グループは、1990年より持続的な成長により企業価値を高めることに取り組んでいます。安全を常に最優先すること、環境への配慮と適切な施策、社会への貢献、そして企業統治を適切に行うことを当社の経営と事業活動の根幹としています。これらをグループ内で共有し実行していくために、サステナビリティの基本方針と各種社内規程を定めています。

 具体的には、当社の社長を委員長とし、取締役、執行役員、部門長、グループ会社のサステナビリティ担当者により構成される約60名からなるサステナビリティ委員会が、部門を横断する活動に取り組んでいます。サステナビリティ委員会は、当社グループのコーポレートガバナンスにおける「重要な経営課題ごとの委員会」の一つです。なお、コーポレートガバナンスの状況については本報告書の第一部「第4.提出会社の状況 4.コーポレートガバナンスの状況等」に記載の通りです。

 

図:サステナビリティの取り組みの体制図

 

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②リスク管理

 リスクマネジメント委員会が気候変動によるリスクも含め事業を取り巻くさまざまなリスクに備え、リスクを排除、低減することや発生しうる損害を最小化することに取り組んでいます。 同委員会は常務執行役員が委員長を務め、信越化学の取締役や執行役員、部門長など、約20名で構成されています。当社グループは事業活動に伴い想定されるリスクを洗い出し、それらに適切に対処するためのリスク管理規程を定めています。同規程では、具体的なリスク、リスク管理の体制、発生したリスクへの対応等を明記しています。リスク管理で重要な事項については、リスクマネジメント委員会が取締役会、常務委員会、監査役会、関係者に適時報告し、適切に対処をすべく取り組んでいます。近年重要性の高まってきた気候変動に関するリスクについては、同委員会とサステナビリティ委員会内に設置した気候変動関連分科会が連携し、シナリオ分析を通じてリスクの把握を行っています。また、当社グループは、同委員会の人権デューデリジェンス分科会と、人権啓発推進委員会が中心となり、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて、人権デューデリジェンス全般を進めています。同分科会では人権方針の策定や当社グループの人権リスク調査の実施、人権リスクの優先課題の特定、人権に関する相談や通報への対応の仕組みの構築、整備などを関係部署と協力して行っています。

 一方、サステナビリティに係る機会については、サステナビリティ委員会が当社各部門、主要グループ会社と連携し、認識、評価、管理を行います。そして、重要な事項については取締役会や常務委員会に報告し、適切なモニタリングを受けます。例えば、気候変動に関する機会については、上記の気候変動関連分科会が、シナリオ分析を通じて機会を把握し、グループ内の事業部門と連携し、評価、管理を行いました。

 

(2)投資者の投資判断上重要なサステナビリティ項目

(1)に記載の、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける、投資者の投資判断上重要なサステナビリティ項目は以下の通りです。

 

①気候変動への取り組み

イ.戦略

 当社グループは2050年カーボンニュートラルに向け、温室効果ガス排出量(スコープ1、スコープ2)を実質ゼロとするための計画を策定しました。2050年カーボンニュートラル実現に向けた計画の推進を、重要な経営課題と位置づけています。2019年5月にTCFDの提言への支持を表明し情報開示を進めると同時に、気候変動に関するシナリオ分析を行い、この分析を通じ事業に影響をおよぼす重要なリスクと機会を特定し、経営に反映させています。

<シナリオ分析>

気候変動による事業機会:1.5℃シナリオ

用途

詳細

収益への

影響度

樹脂窓

塩化ビニル樹脂は断熱性に優れているため樹脂窓に使用されている。省エネ住宅の普及とともに樹脂窓の需要増加が見込まれる。

電気自動車、

ハイブリッド車、

燃料電池車

半導体シリコンは、モーターの回転数を制御するインバーターなどのパワー半導体デバイス、自動運転、AI向けロジック半導体デバイス等に使用される。

高性能で小型のレア・アースマグネットは、車両全体の重量を軽くし、燃費性能を上げられることから、電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車の駆動モーターや車両のさまざまなモーターへの利用が広がる。シリコーンの放熱材料は、リチウムイオン電池や各種電子制御装置などの熱対策に使用されている。熱による動作不良や故障の防止に役立ち、需要の拡大が見込まれる。

風力発電機

レア・アースマグネットは、洋上風力発電機の高効率化および発電機のメンテナンスコストの削減に寄与するため、需要の拡大が見込まれる。

送電網の整備、拡充により、電線被覆に使用される塩ビの需要拡大も見込まれる。

エアコン

半導体シリコンはコンプレッサーモーターのインバーター制御デバイスに使用され、モーターを適切な回転数に調節することで省電力に貢献することから、需要が拡大している。

レア・アースマグネットは、エアコンのコンプレッサーモーターのエネルギー効率を高め消費電力量を削減するため、需要の拡大が見込まれる。

航空機

レア・アースマグネットは小型航空機の電動化やハイブリッド化、大型航空機の油圧駆動部の電動化に不可欠である。小型で強力なレア・アースマグネットは機体の重量を軽減し、燃費の向上に寄与するため、需要の拡大が見込まれる。

産業用モーター

レア・アースマグネットは、産業用モーターの効率を上げ、消費電力量を削減するため、需要の拡大が見込まれる。

サービスロボット

半導体シリコンは、製造、物流、農業用などの省エネ対応ロボット制御モーター用半導体への使用や、医療用、災害対策用ロボットへの採用が広がっている。

植物由来の代替肉の結着剤

植物性食品を中心にした食生活は、CO2排出量を年間1.6ギガトンも削減することができる可能性がある。(※)セルロース誘導体の製品のひとつである「メトローズMCE-100TS」は、植物由来の代替肉の結着剤として使用されている。代替肉の世界市場は年率2ケタの成長が見込まれており、今後もさらなる市場の拡大が期待される。

※ポール・ホーケン編著「DRAWDOWN–The Most Comprehensive Plan Ever Proposed to Reverse Global Warming」より

 

 

気候変動による事業リスクと対応策:1.5℃シナリオ(移行リスク)

事象

当社へのリスク

収益への

影響度

対応策

世界各国での炭素税の導入、炭素排出枠の設定

・炭素税の支払い

・炭素排出枠の達成のための排出権の購入費用の発生

・温室効果ガスの排出削減のための対策費用の増加

・スコープ1排出量の削減

 ・生産工程の効率化や高効率な機器の導入などの

 さらなる推進

 ・水素やアンモニアなどの二酸化炭素を排出しない

 エネルギーの使用

 ・CCUSの活用

 ・カーボンニュートラル天然ガス(排出権付き天然

 ガス)の熱源としての利用

・温室効果ガスの絶対量での削減目標の達成

・各国の炭素税等の環境規制に関する情報を収集し、対策を施す

温室効果ガス排出の規制強化による再生可能エネルギー由来の電力の普及と電力価格の上昇

・電力コストの増大

・スコープ2排出量の削減

 ・電力の使用量が少ない生産工程や高効率な機器の

 導入などのさらなる推進

 ・カーボンニュートラル天然ガス(排出権付き天然

 ガス)を使用したコージェネレーションシステムの

 導入

 

 

気候変動による事業リスクと対応策:4℃シナリオ(物理的リスク)

事象

当社へのリスク

収益への

影響度

対応策

異常気象の発生頻度の上昇

・生産拠点の浸水

・サプライチェーンの寸断

・生産拠点の嵩上げや重要な設備の周辺への防水壁の設置、冠水リスクが低い場所への計器室の設置、港湾に近い生産拠点での防潮堤の設置

・生産拠点の複数化

・原材料の調達先の多様化

・製品在庫の確保

・損害保険への加入

降水パターンの変化などによる洪水の発生頻度の上昇

一部の国での炭素税の導入や炭素排出枠の設定

・当該国の生産拠点から排出される温室効果ガスに課税される炭素税の支払い

・当該国の炭素排出目標を達成できない場合、排出権の購入費用や課徴金の支払いの発生

・スコープ1排出量の削減

 ・生産工程の効率化や高効率な機器の導入などの

 さらなる推進

 ・水素やアンモニアなどの二酸化炭素を排出しな

 いエネルギーの使用

 ・CCUSの活用

 ・カーボンニュートラル天然ガス(排出権付き天

 然ガス)の熱源としての利用

・温室効果ガスの絶対量での削減目標の達成

・各国の炭素税等の環境規制に関する情報を収集し、対策を施す

電力価格

・IEAのシナリオ分析(現行施策シナリオ)によると、電力価格は上昇しない。このため、当社へのリスクはない

 

ロ. 指標と目標

 当社グループは、2050年に温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の実質ゼロを目指します。

 さらに、引き続き、生産量原単位での温室効果ガス排出量の削減も推進します。2016年度に掲げた新たな中期目標「2025年度に1990年度比で温室効果ガス排出の生産量原単位を45%にする」の達成に向けて、取り組んでいきます。

 

<2050年カーボンニュートラル達成策>

 当社グループはこれまで生産量原単位での温室効果ガス排出量の削減を進めてきました。これまで取り組んできた生産量原単位での削減に加えて、絶対量での温室効果ガス排出量の削減により、カーボンニュートラルを達成するための計画を策定しました。

 

1) 現在取り組んでいる削減策

 当社グループは資源、エネルギーの利用の効率を極めることに加え、現在、以下の削減策に取り組んでいます。また、新たな削減策の検討にも注力していきます。

 

削減策

詳細

①電力における排出量の低減

・CO2排出係数の低減

・再生可能エネルギーの購入

・太陽光発電設備の設置

②製法、製造の改善と革新など

・熱回収能力の向上

・エネルギー効率の高い設備の導入

・ボイラーからヒートポンプへの切換え

・木炭還元剤の増産のための増設

③カーボンニュートラル天然ガス、水素などの活用

・コージェネレーションシステムでの混焼

④リサイクルの推進

・すでに実施している塩ビ製品やレアアース・マグネットのリサイクルをさらに推進

 

2) 2050年に向けた取組

 現時点で想定している削減策は以下の通りです。

 

削減策

詳細

①電力における排出量の削減

・電力のカーボンニュートラル化

②グリーン水素とブルー水素の活用

・コージェネレーションシステムでの専焼

・ボイラー燃料としての使用

③製法、製造の改善などの継続

・徹底した合理化、効率化を継続

④CO2の分離回収および活用

・分離回収設備の導入とCO2の資源化

⑤バイオマス燃料の活用

・バイオマスコージェネレーションシステムの導入による電力やスチームの供給など

⑥リサイクルの推進

・すでにリサイクルを実施している塩ビとマグネット以外の製品のリサイクルシステムの構築

⑦カーボンオフセット

・植林によるものも含め幅広く検討

 

 

<カーボンニュートラル社会の実現に貢献するためのその他の取組>

1)温室効果ガス排出量の削減に貢献する製品の製造販売の拡大

 当社グループの製品は住宅やインフラストラクチャー、電気自動車、DX、GXをはじめとした幅広い分野に利用され、生活や産業の基盤を支えています。これらの製品の多くは、温室効果ガスの削減にも寄与しています。日本政府が、2050年カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な14の分野を定めました。当社グループの2024年度の連結売上高に占める当該14分野への売上比率(※1)は約7割です。今後とも、こうした製品の開発、製造、販売の拡大に注力することで、社会全体のカーボンニュートラルに貢献していきます。

 

目標

実績

 

単位

2022年度

2023年度

2024年度

2050年にカーボンニュートラルを達成

(スコープ1、2)

スコープ1

排出量 ※1※2

千CO2-t

2,246

2,242

2,326

スコープ2

排出量 ※1※5

千CO2-t

4,367

4,303

4,443

2025年度に1990年度比で温室効果ガス排出の生産量原単位を45%にする

1990年度比生産量

原単位指数 ※3

%

54.2

57.0

56.9

スコープ3

排出量 ※4

千CO2-t

11,139

10,866

12,096

 

※1.当社および連結子会社を対象としています。

2.2024年4月1日から施行された「地球温暖化対策の推進に関する法律施行令」(以下、温対法施行令といい

  ます)の改正に伴い、同改正が適用される2023年度以降の実績に関しては、当該改正により追加された

  排出項目に関する排出量を加算しています。

3.1990年度比生産量原単位指数については対象範囲に非連結会社を含めています。この指数の算定にあたり、電力のCO2排出係数は電力の削減努力が明確になるよう、2000年から2009年迄の平均値を使用しています。また、エネルギー削減や合理化などの努力が明確になるよう、温対法施行令の上記改正に伴い追加された排出項目は加算していません。

4.スコープ3排出量の算定方法については当社ホームページの「サステナビリティ」サイト(https://www.shinetsu.co.jp/jp/sustainability/)をご参照ください。2024年度の情報は2025年夏頃に同サイトに掲載予定です。

5.当社グループでは温室効果ガス排出量の算定の精緻化を進めており、2023年度のスコープ2排出量について、2024年3月期(第147期)有価証券報告書に記載の数値(4,266千CO2-t)から修正しています。

 

②人的資本、多様性への取り組み

イ. 戦略

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 当社は業界の中で最も高い生産性を達成し、さらに向上することを目指しています。そのため「従業員1人当たり営業利益」を重要な指標とし、高い生産性を実現する「T字型人材」の育成に注力しています。「T字型人材」とは、ある業務や領域の専門家であるとともに、その他の分野でも活躍できる幅広い仕事力を有する人材です。近年の営業利益の平均増加率は従業員の平均増加率を上回り、従業員1人当たりの生産性の向上につながっています。

 

人材の育成

 当社ではT字型人材を育成するためにOJT(On the Job Training)を基軸としています。従業員の適正と職業人として目指す姿を尊重した人材の配置を行い、一人一人が担当する仕事で真の専門家になることを支援しています。そのため、当社では画一的な人事異動、いわゆる定期的な配置転換は実施していません。担当している業務を深耕することで、高い水準の仕事力を有する従業員の育成に注力しています。

 当社グループの取引先は世界に広がり、現在の連結売上の約8割は海外売上です。そのため、世界で活躍する人材の育成に予てから取り組んでいます。若い社員に海外勤務を経験させるとともに、日本に勤務する従業員も海外の取引先との実務を通じて、国際性を身に付けています。当社では、OJTに加えて成長の段階に応じたさまざまな研修プログラムを提供し、従業員が専門分野に加えて、知識と技能の幅を拡げることを支援しています。研修プログラムは、英語をはじめとした国際化研修、マネジメント研修、AI人材の育成研修など多岐にわたります。

 当社の成果主義による人事制度では、従業員は期のはじめに意欲的な業務目標と改善目標を定め、その目標に挑戦することで成長を促しています。部下が目標を達成するために、上司は助言と指導を行っています。期末には目標に対する達成度を評価するとともに、能力、成長の可能性、仕事に取り組む姿勢も考慮し、従業員の意欲を高め成長につながる取り組みをしています。このように、OJTを基軸に、実績と能力を重視する人材配置、研修、登用、評価といった人事制度により「T字型人材」の育成を進めていきます。

 海外のグループ会社でもここで述べた人材育成の考え方を基軸として、各国の制度、慣習、人材と文化の多様性を尊重した取り組みが行われています。

 

人材の多様性の確保

 人種、性別、宗教、障害などにとらわれず、個々の多様な価値観を尊重することを基本理念としています。採用時の多様性の確保に努めるとともに、入社後においては、結婚、出産、育児、病気の治療、介護など人生の中で起きるさまざまな事柄に柔軟に対処できる制度を用意しています。これらの会社の取り組みは、従業員による会社への帰属意識を高め、従業員が自発的に会社の成長に貢献したいという意欲の向上につながっています。とりわけ、日本国内では、現状分析を踏まえ、女性の活躍推進に向けた目標を定め、女性管理職の育成を促進していきます。

 

健康・安全

 製造業である当社にとって安全は事業経営の大前提です。労働安全衛生と保安防災の水準を向上させ、当社グループで働く人の安全と健康、安定操業を確かなものにするために、環境保安管理規程を策定、遵守しています。当社グループは、①「規則や手順」を確実に守ること、②「職場に潜むリスク」を見つけ出し、速やかに排除すること、③「危険に対する感性」を高めること、という安全に関する三つの行動指針に従い、安全管理活動に取り組んでいます。レスポンシブル・ケアコード(※1)に従って「信越化学グループ環境保安管理計画」を毎年策定し、その中で労働安全と保安防災に関する具体的な数値目標を設定しています。この管理計画に基づいて、グループ全体で爆発や火災などの重大災害の防止や労働災害の防止などに取り組んでいます。

※1 レスポンシブル・ケアコード

レスポンシブル・ケアを実施する際の基本的な実施事項を定めたもの。環境保全、保安防災、労働安全衛生、物流安全、化学品・製品安全、社会との対話といった活動分野ごとの6つのコードと、これらをシステムとして共通に運用していくためのマネジメントシステムコードの計7つで構成されている。

 

労働慣行

 当社グループは世界人権宣言を支持するとともに、国際労働機関(ILO)による中核的労働基準にのっとり、基本的人権を尊重しています。全世界の事業所で人権を常に尊重することを礎として事業に取り組み、その方針を2019年5月に「人権方針」としてとりまとめ、当社グループ内で徹底するとともに、社外に発信しました。さらに2024年5月に、人権を取り巻く社会環境の変化を踏まえて、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を参考に人権方針を再考し、全取締役、監査役および執行役員が出席する常務委員会の承認を経て改訂しました。改訂した人権方針をグループ内に周知し、当社ホームページの「サステナビリティ」サイト(https://www.shinetsu.co.jp/jp/sustainability/)でも公開しています。

 

エンゲージメント

 当社グループの成長には、働く個々人の成長が不可欠です。より働きがいを持てる人事制度と職場づくりに注力し、個々人と会社の持続的な成長の実現に取り組みます。こうした考えのもと、当社では、労働組合との協議においては、いわゆる「働き方改革」に資する諸施策をテーマにしながら常に人事諸施策の拡充と充実に取り組んできています。加えて、2022年に当社で働く社員と出向者を対象に、社員意識調査を実施し、コンプライアンス、お客様志向、経営理念の浸透、会社の将来性、人事制度、キャリア展望、業務負荷、職場環境、上司との関係などの項目について質問しました。今後も必要に応じて現状を把握、分析をしつつ、良いところをさらに伸ばし、改善すべき点は改善していきながら、より多くの社員が働きがいを持てるよう、取り組みを続けていきます。

 

ロ. 指標と目標

 当社グループは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の目標を用いています。当該指標に関する目標および実績は次の通りです。

指標の内容

目標

実績

(当連結会計年度)

対象範囲

採用時の男女比率

性別にかかわらない採用

女性32.1%、男性67.9%

当社及び連結子会社

課長級以上の管理職に占める女性比率

30

12.7%

当社及び連結子会社

障がい者雇用率

2.30%

2.25%

当社及び国内連結子会社

重大事故件数

0

0

当社及び国内連結子会社

休業災害人数

0

3

当社及び国内連結子会社

不休以上の災害度数率

0.5以下

0.26

当社及び国内連結子会社

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)においては、これらのリスクの発生を防止、分散、あるいはヘッジすることによりリスクの軽減を図っています。しかし、予想を超える事態が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 なお、記載した事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものですが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

① 経済動向および製品市況による影響

 当社グループ製品の主要な市場がある国および地域の経済環境の動向は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、主要製品の中には、世界的な需給環境により大きな価格変動が起きるものもあります。当社グループは事業の多角化・グローバル化等によってそのリスクをヘッジしていますが、製品の需要が減少あるいは価格競争が激化した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

② 為替相場の変動による影響

 2025年3月期の当社グループ連結売上高の海外売上高比率は80%となっており、今後も高い水準で推移するものと思われます。在外連結子会社等の財務諸表項目の円換算額は、為替相場に左右され、大幅な変動が生じた場合、当社グループ全体の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、外国通貨建て取引についても、為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、同様な可能性があります。

③ 自然災害・事故災害、感染症等の影響

 当社グループは、生産活動の中断により生じる損害を最小限に抑えるため、製造設備に対し定期的な防災点検及び設備保守、また、安全のための設備投資等を行うとともに、生産拠点の複数化に努めています。しかしながら、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故等の影響で、製造設備等が損害を被ったり、サプライチェーンの分断が発生した場合は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの事業拠点では安全衛生対策を徹底しています。しかしながら、今後発生しうる感染症等の蔓延や、それを受けた各国における経済活動抑制の方針が当社製品に対する需要の大幅な減少や当社事業拠点を含むサプライチェーンに損害を生じさせた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

④ 公的規制

 当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。これらの法令の改変は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 資材等の調達

 当社グループの生産活動には、種々の原材料を使用しており、原材料ソースの多様化により安定的な調達に努めていますが、これらについて供給の逼迫や遅延、供給国の通商政策の変更、また、それらに伴う価格上昇等が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 急速な技術革新

 当社グループの主要販売先の一つであるエレクトロニクス業界は、技術的な進歩が急速で、当社では常に技術革新に対応できる最先端の材料開発に努めています。しかしながら、当社グループが業界と市場の変化に的確に対応できなかった場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、上記以外の業界向け製品についても、競争力の高い代替製品の出現により、同様の影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 環境問題について

 各種の化学物質を取り扱う当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、効率を極めることにより、地球温暖化防止に向けた省エネルギーや環境影響物質の排出抑制に積極的に取り組んでいます。しかしながら、環境に関する規制が予測を超えて厳しくなり、技術的に対応が難しくなったり、大きな新たな設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 製造物責任

 当社グループでは、製品の特性に応じた最適な品質の確保に全力を挙げて取り組んでいますが、予期せぬ事情により品質問題が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

   当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績、財政状態及びキャッ

  シュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

  ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の業績は、売上高は、前期に比べ6.1%(1,463億1千2百万円)増加し、2兆5,612億4千9百万円となりました。営業利益は、前期に比べ5.9%(410億6千7百万円)増加し、7,421億5百万円となり、経常利益も、前期に比べ4.2%(333億1千5百万円)増加し、8,205億4千3百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ2.7%(138億8千1百万円)増加し、5,340億2千1百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績の概要及びその分析等は、次のとおりです。

 

生活環境基盤材料事業

塩化ビニルに関しては、昨年4~6月において主要地域で価格が上昇し、7~9月でさらに水準の改善ないし維持することができましたが、10~12月では地域によって様相が異なりました。今年1~3月でも値上げできた地域とそうでない地域に分かれました。か性ソーダについては、昨年4~6月で値上げを実施し、その後しばらく一進一退の情勢が続きましたが、今年1~3月で改善が見られました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ3.1%(312億9千6百万円)増加し、1兆415億7千1百万円となり、営業利益は、前期に比べ9.5%(304億9千5百万円)減少し、2,914億6千6百万円となりました。

 

電子材料事業

半導体市場は、調整局面からの回復は用途・分野によりまだら模様でした。そのような事情のなか、伸びの強い市場にシリコンウエハー、フォトレジスト、マスクブランクス等の半導体材料を出荷することに注力しました。希土類磁石は、堅調なハードディスクドライブ用の需要に応える一方、車載市場への拡販に努力しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ9.9%(838億7千万円)増加し、9,343億1千2百万円となり、営業利益は、前期に比べ19.3%(525億9千5百万円)増加し、3,247億6千万円となりました。

 

機能材料事業

汎用製品群で中国経済の不振に起因する在庫調整や市況軟化が続きましたが、引き続き機能性の高い製品群の販売を増やすことで収益を補うことに努めました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ5.5%(233億9千2百万円)増加し、4,486億4千2百万円となり、営業利益は、前期に比べ17.7%(150億1千8百万円)増加し、1,000億2千2百万円となりました。

 

加工・商事・技術サービス事業

半導体ウエハー関連容器は工程内用を中心に需要が堅調に推移しました。自動車関連製品ではEVバッテリー用延焼防止クッションの生産を開始しました。

その結果、当セグメントの売上高は、前期に比べ6.0%(77億5千3百万円)増加し、1,367億2千2百万円となり、営業利益は、前期に比べ19.2%(46億3千5百万円)増加し、287億9千1百万円となりました。

 

 

 

 また、財政状態ですが、当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べ、4,886億2千7百万円増加し、5兆6,366億1百万円となりました。主に、円安に伴う在外連結子会社資産の円換算額の増加、及び高水準な投資が続いたことによる有形固定資産の増加によります。

 当期末負債合計は、前期末に比べ751億1千5百万円増加し、7,990億1千6百万円となりました。

 当期末純資産合計は、前期末に比べ4,135億1千2百万円増加し、4兆8,375億8千5百万円となりました。主な増減内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益5,340億2千1百万円、円安に伴う為替換算調整勘定の増加2,677億6千3百万円、減少として配当金の支払2,047億2千4百万円、自己株式の取得1,939億8千8百万円です。

 この結果、自己資本比率は82.7%から0.1ポイント低下し、82.6%となり、1株当たり純資産額は、前期に比べ242円31銭増加し、2,375円48銭となりました。

 投下資本利益率(ROIC)は19.4%から1.2ポイント低下し、18.2%となり、自己資本利益率(ROE)は、12.8%から0.8ポイント低下し、12.0%となりました。年間配当金は、前期に比べ6円増の1株当たり106円の予定です。これにより、純資産配当率(DOE)は4.9%から0.2ポイント低下し4.7%となり、配当性向は38.5%から0.8ポイント増加し39.3%となる予定です。

 

 

  ②キャッシュ・フローの状況

 当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に対して49.6%(2,926億1百万円)増加し、8,827億3千6百万円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の営業活動の結果得られた資金は8,819億3千4百万円(前期比1,267億5千1百万円増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益8,262億2千9百万円、減価償却費2,383億5千7百万円などにより資金が増加した一方、法人税等の支払額が1,870億2千万円などで資金が減少したものです。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は1,425億5千3百万円(前期比9,566億5千5百万円減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出4,394億7千3百万円、定期預金の純減額3,288億3千7百万円などによります。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度の財務活動の結果使用した資金は4,549億5百万円(前期比854億3千9百万円増加)となりました。その内容は、配当金の支払額2,047億2千4百万円、自己株式の取得による支出1,939億8千8百万円などです。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、市場の変化に柔軟に対応して生産活動を行っており、生産実績は販売実績と傾向が類似しているため、記載を省略しています。また、当社グループは主として見込み生産を行っているため、受注実績を記載していません。

 販売実績については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文

中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度において、米国で連邦準備理事会が政策金利の引き下げを開始し、米国景気が総じて堅調さを維持したものの、新政権の打ち出す関税ほかの政策が個人消費や企業投資を下振れさせる傾向が見られ始めました。欧州では金融緩和がなされるとともにドイツが財政出動することを決め、経済情勢の改善が期待されるようになりました。中国がようやく景気対策を講じ始めましたが、供給過剰が政策の一環としてなされているかのようで輸出は収まりませんでした。貿易摩擦が地政学的リスクを高めており、注意は怠れません。そのような情況の中にあって当社は、顧客との意思疎通を密に保ち、求められる品質の製品を安定供給し、機敏な販売を遂行しました。その結果、営業利益は前期に対し6%の増益となり、経常利益も4%の増益となりました。海外子会社からの配当を今期から実施したことに基づく税金費用の一時的な増加にもかかわらず、純利益でも3%の増益となりました。事業の成長と業績の伸長に一段と力を注いでいきます。そのためにも、顧客にとって価値ある製品の開発を急ぎ、かつ顧客と市場からの要望・需要に適時に応えられるよう、中長期の展望を持って投資を積極的に実施していきます。

 

 セグメントごとの経営成績及び財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 当社の連結会計年度末の現・預金及び譲渡性預金を含む有価証券(流動資産)の合計額は1兆8,116億7千9百万円(期間が3カ月を超える分を含む)と流動性を十分に確保しています。また、「1.主要な経営指標等の推移(1)連結経営指標等」に記載のとおり、安定的に「営業活動によるキャッシュ・フロー」を獲得していることから、当面の間は運転資金や設備投資への対応も問題ないと考えています。

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5.経理の状況 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

 

5【重要な契約等】

技術提携契約

契約会社名

契約相手先

契約発効日

契約の内容

信越化学工業株式会社(当社)

株式会社プロテリアル(日本)

2022年7月9日

希土類磁石の製造・使用・販売に関する特許の実施権を相互に許諾している。

 

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループ(当社及び連結子会社)は、現有事業分野の研究では国際競争力を強化し、技術・品質・コストでトップを目指すこと、新規事業分野では独自技術を追求し、早期事業化を目指すことを研究開発の基本方針として、計画的、効率的かつ迅速な研究開発を行っています。特に新規分野では、エネルギー関連、半導体関連材料、光・通信関連、ヘルスケアー関連、SDGs及びCNに貢献する素材・材料の研究開発を推進しています。

 当社グループの主な研究拠点は、当社の6研究所即ち塩ビ・高分子材料研究所(茨城県)、シリコーン電子材料技術研究所(群馬県)、精密機能材料研究所(群馬県)、合成技術研究所(新潟県)、新機能材料技術研究所(新潟県)および磁性材料研究所(福井県)、ならびに信越ポリマー(株)の研究開発センター(埼玉県)、信越半導体(株)の半導体磯部研究所(群馬県)と半導体白河研究所(福島県)、ドイツのSEタイローズ社などです。

 

(1)生活環境基盤材料事業

 塩化ビニルに関する研究は塩ビ・高分子材料研究所で行っています。同研究所は、米国、欧州にも展開する塩化ビニル事業での世界の研究センターとしての役割を担っています。

 

(2)電子材料事業

  半導体シリコンに関する研究は信越半導体(株)の2つの研究所で実施され、シリコンウエハーの生産技術の向上、更なる品質の向上、デバイスの微細化進展に対応する最先端の技術開発に取り組んでいます。また、デバイスの更なる低消費電力、高速化に対応する薄膜SOIウエハー及びFZウエハーなど将来有望視される次世代向け技術開発にも取り組んでいます。化合物半導体では、超高輝度4元系(AlInGaP)の赤色LED用エピタキシャルウエハー及びチップの製品化において高い評価を得ており、更なる高輝度化、高信頼性、多色化等の高機能を目指した新製品の開発を進めています。また、一般用LED照明の色調改善へも注力していきます。

 電子産業用有機材料、5G関連材料はシリコーン電子材料技術研究所で、電子産業用希土類磁石は磁性材料研究所で研究が行われています。また、半導体製造プロセスで使用されるKrF、ArFエキシマ用およびEUV用フォトレジストは新機能材料技術研究所で開発されました。フォトレジストは、デバイスの微細化に対応するため、EUVレジストや多層材料の性能改善が継続されており、2nm世代は既に量産へ移行しています。現在は、1.4nm以細のEUV用プロセス材料を中心に開発を強化しています。同じく半導体製造プロセスで使用されるマスクブランクスも新機能材料技術研究所で開発しており、EUV用ブランクスも量産に入りました。合成石英製品のうち、光ファイバー用プリフォームは精密機能材料研究所、半導体用マスク基板や液晶用大型マスク基板は合成技術研究所が担当しています。光ファイバー用プリフォームでは、世界トップレベルの品質を維持向上すべく、光通信分野での積極的な研究開発を進めています。レア・アース、一般用希土類磁石は磁性材料研究所で研究を実施しています。希土類磁石は、環境に優しいハイブリッドカーや風力発電のモーター用として採用され、需要の伸びが期待されます。また、液状フッ素ゴムの開発はシリコーン電子材料技術研究所で行われており、自動車や電子部品、事務機での需要が伸びています。

 

(3)機能材料事業

 シリコーンに関する研究は、シリコーン電子材料技術研究所が海外も含めた総合的な機能を担い、一部合成技術研究所でも研究を実施しています。セルロース誘導体に関する研究は合成技術研究所及びドイツのSEタイローズ社で行っています。

 

(4)加工・商事・技術サービス事業

 信越ポリマー(株)では、塩化ビニル、シリコーンなどの加工技術の開発を行っています。


  当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は73,129百万円です。このなかには、複数事業部門に関する研究および現有事業に関連を持たない研究も多数含まれていることから、セグメント別の研究開発費は記載していません。