第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

   なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、「あるべき未来をクラウドでカタチにする」というコーポレートビジョンのもと、クラウド先端テクノロジーとデザインで企業のDXを支援する、マルチクラウド・インテグレーターです。あらゆるヒト、モノがデジタルでつながる社会において、企業やその先にいるユーザーのあるべき姿を当社自身で考え、そのモノ作りまで行い、デジタルに最適化された新しい顧客体験をカタチにすることで、顧客中心型のビジネス変革を支援していきます。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、売上総利益率、四半期契約顧客数(注1)及び顧客当たりの四半期平均売上高(ARPA)(注2)を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでまいります。売上総利益率については、サービス付加価値の源泉として重視しており、当該指標を向上させてまいります。また、クラウドインテグレーションサービスの売上高については、四半期契約顧客数及び顧客当たりの四半期平均売上高に分解することができますが、顧客数が増加しているか、また、顧客当たりの売上高が増加しているか測る指標として四半期契約顧客数及び顧客当たりの四半期平均売上高(ARPA)を重視しております。

(注)

1.四半期契約顧客数:再販案件及び四半期売上高が1百万円以下の顧客を除いた四半期会計期間における契約顧客数。再販案件とは当社が仕入れたライセンスを顧客に再販売するリセールにあたり、当社においては金額が僅少なため、当該顧客は除く

2.顧客当たりの四半期平均売上高(ARPA):Average Revenue per Accountの略(顧客当たりの平均売上高)で、再販案件及び四半期売上高が1百万円以下の顧客を除いた顧客当たりの四半期平均売上高。再販案件及び四半期売上高が1百万円以下の顧客からの売上高を除いた四半期売上高÷四半期契約顧客数により算出

 

(3)経営環境

 当社のクラウドインテグレーションサービスが属する国内DX市場の規模は、2022年度の3兆4,838億円から2030年度には8兆350億円に拡大すると予測されております(出典:株式会社富士キメラ総研「2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)。これはデジタル技術の進展により社会が急激に変化する中、各企業は優位性・競争力の維持・強化のため、DXによるビジネス変革が求められていることが背景にあります。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響により、各企業においてはリモートコミュニケーションを含めた業務のオンラインへのサービス転換や柔軟な労働環境への急速なシフト等の取り組みが加速し、DXは喫緊の経営課題となっております。また、DX実現を支える国内パブリッククラウドサービス市場は2023年~2028年にかけて15.7%の年平均成長率で推移し、2028年の市場規模は2023年比2.1倍の6兆5,146億円になることが予測されております(出典: IDCJapan株式会社「国内パブリッククラウドサービス市場予測、2024年~2028年」)。

 

   (国内DX市場)

   (国内パブリッククラウドサービス市場)

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(4)当社の強みと特徴

① 高成長が期待されるDX/クラウド市場におけるユニークなポジショニング

 当社は創業以来、一般消費者向け(B2C)の顧客接点(フロントエンド)となるWebモバイルアプリケーションを20年以上にわたり開発、また株式会社セールスフォース・ドットコムパートナー(現 株式会社セールスフォース・ジャパン)、Heroku,inc.パートナー、Amazon Web Services,Inc.パートナーとなり、Salesforceを中心にAmazon Web ServicesやHerokuなど複数のクラウドプラットフォームを活用したマルチクラウドインテグレーションで16年以上にわたり開発してきた豊富な実績を持っています。

 また当社は2019年11月にsalesforce.com,inc.(現 Salesforce,Inc.)よりSalesforce Einstein(AI)(注1)導入事例において、日本企業として初めて「Salesforce Partner Innovation Awards 2019」の表彰を受けました。評価された点として①Salesforceテクノロジーを使用して、革新的で最先端のソリューションの開発を行った点。②お客様が抱えるビジネス上の課題を克服できるように、設計から構築まで支援し、技術的に貢献した点。③お客様にとって魅力的なデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援したことが挙げられます。更に2020年5月にはSalesforceを活用したマルチクラウド開発導入事例を評価され、「Innovation Partner of the Year 2020」の表彰を受けました。また、2022年から2025年かけて4年連続で、MuleSoftビジネスにおける実績が評価され、MuleSoftに関する表彰を受けております。なお、セールスフォース・ジャパン及びMuleSoft Japanから国内最上位パートナーの認定を受けた実績があり、国内でもグローバルでも評価されております。

 「攻めのDX」のステップのうち「顧客接点の変革」から「サービス商品の変革」までを実現するには、「クリエイティビティ」と「マルチクラウド・エンジニアリング」の全てをカバーする必要があります。「クリエイティビティ」はサービスの企画からUI(画面)やUX(顧客体験)のデザイン、「マルチクラウド・エンジニアリング」は顧客アプリケーション、業務アプリケーション、IoTやAIといった先端テクノロジー、そしてプラットフォーム、インフラまでの開発が必要となり、当社はこれらをワンストップで提供しております。一般的にはサービスデザイン(企画設計)、UI/UXデザイン、システムなどの各段階を異なる企業に分散して依頼することになりますが、当社はこれらをワンストップで提供が可能なため、クラウド開発とその後のサービス運用までを高いアジリティ(俊敏性)をもって継続的に支援することができます。

 更に、「攻めのDX」の最後のステップである「ビジネスモデルの変革」を実現するには、1つのデジタルサービスをつくって終わりではなく、複数のデジタルサービスを束ね、企業の基幹システムも含む様々なシステムをシームレスに連携させることが必要となり、そのためにもマルチクラウドの高い技術力が求められます。顧客接点の変革、サービス商品の変革にとどまらず、ビジネスモデルの変革までを含めた「攻めのDX」支援に必要な組織的能力(ケイパビリティ)を有することが、当社の競争優位性に繋がっているものと認識しております。

 デジタルサービスにおいては、技術や競合の急速な進化に対して、高いアジリティ(俊敏性)をもってサービスを継続的に発展させていく必要があります。当社ではプロジェクト期間は平均約3ヶ月、短期間でのデリバリを実現しています。また、初期サービス構築で終わらず、繰り返しデリバリ・サイクルを回すことでデジタルサービスの継続的発展を支援しております。具体的にはデザインから、マルチクラウドでの開発、そして運用を通してサービスを育てるエンハンス対応(システム改善・改良)までをアジャイルで進めています。初期サービス構築以降も、フェーズ2やフェーズ3といった単位での機能追加や性能向上、サービス適用範囲の拡大などエンハンス開発を継続的に受注し、提供していきます。また、複数のサービスを並行で開発することでのクロスセルによる受注規模の拡大も実現します。

(注)

1. Salesforce Einstein(アインシュタイン):Salesforce,Inc.が提供するAI(人工知能)サービスの名称

 

② 優良な顧客基盤を有する収益性の高いクラウドインテグレーションサービス

クラウドインテグレーションサービスの顧客基盤は積極的にDXを推進する大手企業(注1)が中心となり、2025年3月期における大手企業の売上高構成比は92%となっております。大手企業の高い要求難度に応えるサービス品質を提供し、継続的な契約獲得を実現しております。

2025年3月期においては、旺盛なDX支援の引き合いを背景に売上高は過去最高となりました。売上総利益率に関しては、マルチクラウドや先端技術を活用した高付加価値のサービス提供により高い水準で推移しております。クラウドインテグレーションサービスの売上総利益率の推移は下記の通りとなっております。

 

クラウドインテグレーションサービス売上総利益率

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

売上総利益率

43.0%

44.9%

38.8%

43.6%

44.5%

 

2025年3月期第4四半期における大手企業の四半期契約顧客数は55社となり、前年同期比で12社増加しました。大手企業の顧客当たりの四半期平均売上高(ARPA)は33.3百万円となり、前年同期比で7.2百万円減少しました。これは、新規顧客は少額取引から開始する傾向があるため、新規顧客が増加した場合、ARPAが低下する傾向があることに加え、獲得した顧客の取引拡大が想定よりも緩やかとなったことが背景となります。四半期契約顧客数及び顧客当たりの四半期平均売上高(ARPA)の推移は下記の通りとなっております。

 

四半期契約顧客数(単位:社数)

 

2021年3月期

第4四半期

2022年3月期

第4四半期

2023年3月期

第4四半期

2024年3月期

第4四半期

2025年3月期

第4四半期

大手企業

28

32

32

43

55

中小企業

5

6

5

7

10

合計

33

38

37

50

65

   ※四半期契約顧客数:再販案件及び四半期売上高が1百万円以下の顧客を除いた四半期会計期間における契約顧

客数。再販案件とは当社が仕入れたライセンスを顧客に再販売するリセールにあたり、当社においては金額が僅

少なため、当該顧客は除く

 

顧客当たりの四半期平均売上高(ARPA)(単位:百万円)

 

2021年3月期

第4四半期

2022年3月期

第4四半期

2023年3月期

第4四半期

2024年3月期

第4四半期

2025年3月期

第4四半期

大手企業

23.0

30.0

43.0

40.5

33.3

中小企業

14.6

11.9

16.4

24.4

13.3

顧客全体

21.7

27.1

39.4

38.3

30.2

   ※顧客当たりの四半期平均売上高は(ARPA):Average Revenue per Accountの略(顧客当たりの平均売上高)

で、再販案件及び四半期売上高が1百万円以下の顧客を除いた顧客当たりの四半期平均売上高。再販案件及び四

半期売上高が1百万円以下の顧客からの売上高を除いた四半期売上高÷四半期契約顧客数により算出

 

 (注)

1.大手企業:日経225、日経400、日経500のいずれかに採用されている企業、または当該企業のグループ企業や当該企業に準ずる売上(1,000億円以上)規模の企業

 

 

 

③ 技術力ある人材育成とクラウド先端テクノロジーを活用した成長戦略

 当社はクラウドエンジニアの採用と教育を事業上の重要テーマとして注力しています。

 採用に関しては、クラウドエンジニア等の専門職従業員を中心に堅調な組織拡大を実現しています。クラウドインテグレーションサービスにおけるクラウドエンジニア等の専門職従業員(注1)は下記の通り推移しており、今後も採用は成長戦略の重要テーマとして取り組んでまいります。

 

  クラウドインテグレーションサービスにおけるクラウドエンジニア等の専門職従業員(人)

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

99

118

192

275

359

 

 教育に関しては、マルチな専門性を育む仕組みと人づくりを推進しております。当社クラウドエンジニアの特徴として、Salesforce、Amazon Web Services、Heroku、MuleSoft、Okta、Databricksといったクラウドプラットフォームを活用したマルチクラウドエンジニアリング、サービス企画からUI/UXといったクリエイティビティ、IoT/AI等のクラウド先端テクノロジー等のマルチな専門性を有しております。また、コンピューターを用いた情報処理を学んだエンジニアで構成されており、当社への入社時の約8割はクラウド未経験者です。クラウドを学習する仕組みとして、教育専門のイネーブルメント組織を設け、オンボーディング(注2)、トレーナー/メンター制度と合わせて教育をサポートしています。またEラーニング(自社コンテンツ)を運用し、当社オリジナルの学習コンテンツを教育に活用しています。クラウドの資格取得も報奨金制度と合わせて活発に行い、Salesforceを中心に、Amazon Web Services、Heroku、MuleSoft等における有資格者を多数輩出しております(注3)。なお、資格保有者が国内において僅かな人数となっているSalesforceの最上位資格「認定テクニカルアーキテクト(CTA)」資格取得者についても1名輩出しております。社内における勉強会や事例紹介など個のナレッジをシェアする活動は創業以来行われており、これらの活動を経てマルチな専門性をもったエンジニアづくりを組織的に取り組んでいる結果、クラウド未経験の入社者がクラウド専門知識を身につけてプロジェクトにアサインされるまでの期間は約1ヶ月と短期間で戦力化、そして実践からのフィードバックサイクルを回して継続的な改善を行う体制を実現しております。

 これら取り組みに加えて、従業員のエンゲージメント向上にも注力しております。スキルアップ・キャリアアップによる給与水準の引き上げ、定期的なエンゲージメントスコアの測定、従業員アンケートの実施、1on1面談によるフォロー等、従業員一人ひとりの働きがいのケアを徹底しております。

 また、当社には、研究開発を起点としたクラウド先端テクノロジーによる高付加価値を創出する事業サイクルがあります。研究開発で得たクラウド先端テクノロジーを、企業や社会で発生するイシューに対して一早く適用していきます。このノウハウを蓄積し、クラウド先端テクノロジーをパッケージ化することで、同様なイシューへ横展開し、他の企業が知見を持たない特定領域において先行して競争優位性を確立していきます。またそこから自社プロダクトに進化させることで新規事業を創出していくサイクルをつくり上げ、今後も新規事業を輩出していくことを目指しています。

 

(注)

1. 専門職:事務職を除いたエンジニア、マネージャー等の専門職

2. オンボーディング:キャリア採用者を組織の一員として定着させ、戦力化させるまでの一連の受け入れプロセス

3. 2025年4月20日時点の主な資格保有者数(のべ資格取得者数の集計)は以下の通りです。

 

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(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて、当社が認識している対処すべき課題は次の通りです。

① 人材の確保及び育成

 当社が属するクラウド市場では、殊にエンジニアの人材不足が深刻化しております。当社が提供するサービスは、エンジニアの技術力によるところが大きく、今後も市場拡大が見込まれる中で当社が成長を持続していくためには、専門性を獲得できるエンジニアを安定的に確保し続けることが重要な課題であると認識しております。こうした課題に対処するため、経験者採用では、入社者の実に8割以上のエンジニアがクラウド開発未経験者であり、その代わりにコンピューターを用いた情報処理について学んだエンジニアを積極的に採用しております。クラウドの高い専門性については、教育イネーブルメントの専門チームによる入社後のオンボーディングや技術研修のスキームを構築しており、マルチな専門性を持つエンジニアに育成する仕組みがあります。そのほか、社内外研修への参加、資格取得の推奨、自社独自のEラーニングシステムの運用を行っており、継続的に人材の確保及び育成に注力してまいります。

② マルチクラウド強化

 当社のクラウドインテグレーションサービスにおいては、クラウドパートナーであるSalesforceを中心にAmazon Web ServicesやHeroku、MuleSoft、Tableau、Okta、Databricksなどより、プロジェクトの引き合いをいただくことで、効率的な案件獲得体制を実現しております。更なる契約顧客数の増加及び既存顧客のクロスセルによるARPAの増加に向け、マルチクラウドの強化を推進してまいります。

③ クラウド先端テクノロジーへの研究開発

 当社には、研究開発を起点としたクラウド先端テクノロジーによる高付加価値を創出する事業サイクルがあり、研究開発で得たクラウド先端テクノロジーを、企業や社会で発生するイシューに対して一早く適用していきます。このノウハウを蓄積し、クラウド先端テクノロジーをパッケージ化することで、同様なイシューへ横展開し、他の企業が知見を持たない特定領域において先行して競争優位性を確立していきます。この競争優位性を維持・向上させていくために、継続的に研究開発に取り組んでまいります。

④ 情報管理体制について

 当社は、顧客の機密情報や個人情報を多く預かっており、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。現在、個人情報保護方針及び社内規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後も社内教育・研修の実施やシステムの整備等を継続して行ってまいります。

 

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は「インターネットを通じてみんなの人生満足を追求する」の企業理念のもと、「あるべき未来をクラウドでカタチにする」というビジョンを掲げて企業のDX支援を手掛けております。持続的成長と中長期の企業価値向上を目指した経営方針に沿って事業展開するなか、内閣府が手掛ける地方創生SDGs官民連携プラットフォームへ加盟しており、ESGの観点から国連が提唱するSDGsの達成に貢献してまいります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般について

①ガバナンス

 各種会議体・委員会等を設置し、環境、社会、ガバナンスの観点を含めたあらゆる視点からサステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するための統治体制を構築しております。具体的には、コンプライアンス委員会(リスクマネジメント含む)、情報セキュリティ委員会(プライバシーマーク分科会含む)、衛生委員会を設置しており、各種会議体・委員会等において協議された内容は経営会議、取締役会に報告されております。各種会議体・委員会等は原則月1回、リスクマネジメント委員会は年2回の開催としております。

 

②リスク

 コーポレート本部長CAOを委員長とするリスクマネジメント委員会において、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価、管理しております。経営陣含めた社内の各種会議体・委員会等のみならず、社外の専門家の助言も勘案しながら、各リスク及び機会の重要度を評価し、評価に応じて具体的な対応を行うこととしております。

 

③取り組み内容

 顧客、従業員、ビジネスパートナー、株主・投資家等ステークホルダーの声を踏まえ、持続可能な社会と中長期的な企業価値の向上に向けた取り組み内容は下記の通りです。特に「働きがい・就業機会」については重点分野として、より一層注力して取り組んでまいります。

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(2) 人的資本について

①戦略

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)当社の強みと特徴 ③ 技術力ある人材育成とクラウド先端テクノロジーを活用した成長戦略」及び「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題  ① 人材の確保及び育成」に記載の通り、人的資本は事業上の重要テーマとして位置付けており、注力してまいります。

 

②指標及び目標

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)当社の強みと特徴 ③ 技術力ある人材育成とクラウド先端テクノロジーを活用した成長戦略」に記載のとおり、クラウドインテグレーションサービスにおけるクラウドエンジニア等の専門職従業員数の拡大を成長戦略の重要指標としております。2025年3月末のクラウドエンジニア等の専門職従業員数は359人となりましたが、2026年3月末は前年同期比で65人増加(18.1%増)の424人を目標としております。

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

 当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

(1)事業環境等に関するリスク

① 経営環境の変化について

 当社のビジネスは、企業を主要顧客としております。これまでは、顧客企業の積極的なIT投資を背景として、事業を拡大してまいりました。経営計画等において分析を行い、社会基盤、競争環境等の変化によりもたらされるリスクを想定し提供サービスを強化していくことで市場やお客様のニーズの変化に対応しております。しかしながら、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により、顧客企業のIT投資が減少するような場合には、新規顧客の開拓の低迷や既存顧客からの受注の減少等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② クラウド市場の動向について

 当社が事業を展開するクラウド市場は急速な成長を続けております。当社ではクラウド市場の成長傾向は継続するものと見込んでおり、その中で一定のシェアを獲得するべく、商品や営業組織の拡充を図っております。しかしながら、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により、予期しないクラウド業界の成長の鈍化が生じたような場合には、当社の新規契約数・商談数も影響を受ける可能性が生じるなど、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 市場及び顧客ニーズの把握について

 当社の属するクラウド業界における技術革新はめざましく、市場及び顧客のニーズも急激に変化するとともに多様化しております。当社では、マルチクラウドの強化、提供サービスの付加価値向上により、市場や顧客のニーズの変化に対応してまいります。しかしながら、変化を的確に把握し、それらに対応したサービスや技術を提供できない場合等には、競争力が低下するなど当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 技術革新への対応について

 クラウド市場では、日々新技術の開発及びそれに基づく新しいサービスの導入が頻繁に行われており、あわせて顧客のニーズも変化が激しくなっております。そのため、常に新しい技術要素に対して情報の収集、蓄積、分析及び習得に取り組んでいく必要があります。当社では、研究開発室を設置し、情報技術や開発技術の調査や研究を進めており、研究開発の推進や成果の展開にも注力し、技術革新への対応に努めております。しかしながら、技術革新において当社が予期しない急激な変化がありその対応が遅れた場合や、新技術に対応するために当初予定していなかったシステムへの投資が必要になった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 競合について

 当社のクラウドインテグレーションサービスにおいては、大手・中小を問わず競合企業が存在しております。当社では、マルチクラウドの強化、社内教育体制の確立によるエンジニアの技術力の強化、サービス品質の向上等により、競争力の維持に努めております。現時点では当社のこれらのサービスの質はそれら競合に比して優位にあると判断していますが、競合他社の技術力の急激な向上や予期しないサービスの提供や類似サービスによる価格競争が激化するようなことが生じた場合には、クラウドインテグレーションサービスにおいて提案している営業案件の失注等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業内容等に関するリスク

① 株式会社セールスフォース・ジャパンに関するリスク

 当社は株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するSalesforceプロダクトを中心にAmazon Web Services(AWS)等の複数のパブリッククラウドサービスを適材適所に活用するマルチクラウド・インテグレーターとして企業のDX支援サービスを拡大させ、売上高の持続的成長を実現してまいりました。当社は複数のパブリッククラウドサービスを取扱っておりますが、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するSalesforceプロダクトを活用した開発に一定程度依存しております。こうした現状を踏まえ、Okta、Databricks、Amazon Web Services等の他のパブリッククラウドへの領域の拡大もあわせて展開し、マルチクラウドの強化を推進しております。

 

 現状では株式会社セールスフォース・ジャパンに日本からの撤退の予定はないものと認識しており、今後の契約関係も安定して継続する見込みであります。しかしながら、同社の経営戦略の変更により日本でのアプリケーションの提供が廃止・停止となった場合、同社アプリケーションの機能に障害が発生して当社サービスに影響が生じた場合、同社アプリケーションの競争優位性が失われた場合、アプリケーション利用料の引上げを要求された場合、Salesforce, Inc.の経営戦略に変更があるような場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 人材の確保について

 当社の事業は、エンジニアの技術力に立脚しており、事業の継続的な成長のためには、優秀なエンジニアの安定的な確保と育成が極めて重要となります。当社は、継続的な採用・教育活動のほか、①先端技術(マルチクラウド、IoT、AI等)を活用した開発や上流工程からの関与といった業務の魅力向上、②社内・教育制度の充実、③技術ブログ等を通じた積極的な情報発信など、人材確保のための諸施策を推進しております。しかし、労働市場の競争激化などにより、これらの採用・育成が計画通りに進まない場合や、既存従業員の社外流出が加速する場合には、サービス提供体制の維持や事業拡大が制約される可能性があります。その結果、当社の財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼす恐れがあります。

③ 外注先の確保について

 当社は、必要に応じてシステムの設計、構築等について協力会社・パートナーに外注しており、定期的なミーティングの実施による状況把握、関係構築を図ることで当社にとって優良なパートナー・外注先の確保に努めております。現状では、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、協力会社において技術力及び技術者数が確保できない場合及び外注コストが高騰した場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ システムトラブルについて

 当社のサービスは、クラウド上で提供されるサービスであるという特性上、インターネットを経由して行われます。当社では、安定的なサービス提供のためセキュリティ対策の強化や社内体制の整備、定期的なバックアップ、稼働状況の監視等の対策をおこなっておりますが、アクセス数の急激な増加に伴う負荷の増加や自然災害及び人為災害、テロ、戦争などによる予期しえないトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 重大な不具合について

 当社のサービスは、開発計画から本番リリースに至るまでの開発プロセスが定められております。厳しい品質チェックを行った上で納品及び本番リリースしておりますが、顧客へ提供後に重大な不具合(バグ等)が生じ、補修等追加コストの発生や信用の失墜、損害賠償責任が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 不採算プロジェクトの発生について

 当社のクラウドインテグレーションサービスは、各プロジェクトについて想定される難度及び工数に基づき見積りを作成し、適正な利益率を確保した上で、プロジェクトを受注しております。顧客企業の要求する仕様や想定される工数に乖離が生じないよう、要員管理・進捗管理・予算管理をおこなっておりますが、予期し得ない不具合の発生等により、開発工数が大幅に増加し、不採算プロジェクトが発生するような場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 売上計上時期の期ずれについて

 当社のクラウドインテグレーションサービスのうち検収基準により売上を計上しているプロジェクトにおいては、受注したプロジェクトの規模や内容が予想と大きく乖離し納入時期が変更となって売上・収益の計上が翌四半期あるいは翌事業年度に期ずれする場合があります。期ずれした金額の大きさによっては各四半期あるいは事業年度における当社の経営成績に変動が生じる可能性があります。

 また、当社のクラウドインテグレーションサービスにおいては、3月決算企業の各四半期末である3月、6月、9月、12月に検収が行われることが多く、特に顧客の決算期末が集中する3月には多くなる傾向があり、下期に利益が多くなる傾向があります。当社では、新規契約や既存顧客からの追加契約の販売推進等により利益の平準化を図っておりますが、新規契約や既存顧客からの追加契約の受注が減少した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)組織体制等に関するリスク

① 情報管理体制について

 当社では、業務に関連して多数の顧客企業の情報資産を取り扱うことになるため、顧客企業から提供される個人情報その他の情報資産を保有することとなる場合があります。当社では、そのような情報資産を慎重に取り扱うべく、情報セキュリティ基本方針を策定し、役員及び従業員に対して情報セキュリティに関する定期的な教育研修を実施し、スキルのみならず意識を向上させることにも努めるなど、情報管理体制の強化施策を実行しております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような事象が生じた場合には、当社の社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 特定の人物への依存について

 当社の代表取締役CEOである黒川幸治は、当社の創業者かつ創業以来の最高経営責任者であり、当社の事業展開における事業戦略策定や、業界における人脈の活用等、重要な役割を果たしております。当社は、経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ることにより、同氏への過度な依存の脱却に努めており、各事業部内での適切な業務分掌、権限の委譲を行い、経営人材の育成を進めておりますが、現時点においては、未だに同氏に対する依存度は高いと考えております。今後、何らかの理由により同氏の当社業務遂行が困難になる場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 内部管理体制の構築について

 当社は、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制をさらに強化する必要があると認識しております。今後は人材採用及び育成を行うこと等により内部管理体制の強化を図っていく方針であります。しかしながら、事業の拡大ペースに応じた内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 知的財産権の侵害におけるリスクについて

 当社は、会社名について商標登録申請をしております。また、第三者の知的財産権の侵害の可能性については、事前調査を行い対応しております。常に注意を払い、従業員への教育を通じて意識向上に努めております。しかしながら、万が一、当社が第三者の知的財産を侵害した場合、当社への損害賠償請求やロイヤルティの支払い要求、使用差し止め請求等が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他リスク

① 感染症について

  感染症について、当社では、取引先及び従業員とその家族の安全確保と感染拡大の防止を最優先とし、リモートワークによるサービス提供を継続する取り組みを進めております。しかしながら、当社、委託先または取引先の感染者の発生、政府当局の今後の方策によっては、サービスの持続的な提供に影響を与える可能性があります。また今後、経済活動の低迷等による市況の変化によっては、当社のビジネス領域における市場動向に変化を及ぼし、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化

 当社では、当社の役員及び従業員等に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数(6,188,560株)に対する潜在株式数(318,960株)の割合は5.2%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、提出日現在の発行済株式総数及び潜在株式数については、2025年6月1日からこの有価証券報告書提出日までの新株予約権の行使により発行された株式数は含まれておりません。

③ 配当政策について

 当社は、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先し、創業以来配当を実施しておりません。株主への利益配分については、経営の最重要課題のひとつと位置付けておりますが、現在は内部留保の充実に注力する方針であります。内部留保資金につきましては、優秀な人材の採用等の資金や、今後予想される経営環境の変化に対応するための資金として、有効に活用していく方針であります。

 将来的には、財政状態及び経営成績を勘案しながら株主への利益配分を検討いたしますが、配当実施の可能性及びその実施時期については、現時点において未定であります。

④ 事業関連の法令について

 当社が運営する事業では、「下請法」が法規制の対象となっております。当社はこれらの法規制を遵守した運営を行ってきており、今後も社内教育や体制の構築等を行っていく予定であります。しかしながら、今後新たに法改正が行われ、当社が運営する事業が規制の対象となる等の制約を受ける場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 訴訟等について

 当社は、法令及び契約等の遵守のため、コンプライアンス規程を定めてコンプライアンス体制の充実に努めており、法令違反となるような行為を防止するための内部管理体制を構築するとともに、取引先や従業員、その他の第三者との関係において訴訟リスクの低減に注力しております。現時点では訴訟事件は発生しておりません。しかしながら、今後事業活動を行うなかで、取引先や従業員、その他の第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。かかる訴訟の内容及び結果によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 財政状態の状況

 当事業年度末における財政状態は、総資産4,198,504千円(前事業年度末比4.7%増)、負債合計は1,476,196千円(前事業年度末比27.0%減)、純資産合計は2,722,308千円(前事業年度末比36.9%増)となりました。

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産は、前事業年度末より127,654千円増加し、3,733,005千円となりました。これは主に、現金及び預金が553,033千円増加したこと、また売掛金及び契約資産が439,697千円減少したこと等によるものであります。

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産は、前事業年度末より60,536千円増加し、465,499千円となりました。これは主に、投資その他の資産が189,133千円増加したこと、また、有形固定資産が62,014千円減少したこと、無形固定資産が66,582千円減少したことによるものであります。

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債は、前事業年度末より509,897千円減少し、994,036千円となりました。これは主に、買掛金が144,852千円減少したこと、未払法人税等が121,517千円減少したこと等によるものであります。

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債は、前事業年度末より35,990千円減少し、482,159千円となりました。これは主に、長期借入金が68,033千円減少したこと等によるものであります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産は、前事業年度末より734,078千円増加し、2,722,308千円となりました。これは主に、当期純利益720,787千円の計上により利益剰余金が同額増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当社は、コーポレートビジョンである「あるべき未来をクラウドでカタチにする」のもと、クラウド先端テクノロジーとデザインで企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するマルチクラウド・インテグレーターです。

 当事業年度におけるわが国の経済は、雇用情勢等の改善を背景に緩やかな回復がみられる一方で、物価上昇、金融政策動向、海外政治経済動向等、先行き不透明感が継続しております。

 当社が属するDX市場に関して、DXには様々定義がありますが、日本経済団体連合会によれば、単純な改善や自動化、効率化をもってDXとは言い難く、社会の根本的な変化に対して、新たな価値を創出するための改革がDXと定義されております(出典:日本経済団体連合会「Digital Transformation(DX)」2020年5月19日)。コスト削減を目的とした、紙からデジタルへの置き換えといった社内のアナログな業務やデータをデジタル化する「守りのDX」から、収益や顧客エンゲージメントの向上を目的とした、新しい顧客体験を創出する「攻めのDX」にシフトすることが求められています。「攻めのDX」のステップとして、顧客接点の変革、サービス商品の変革、最後にビジネスモデルの変革となり、達成難度も高く、これを実現すると企業の高い競争力が獲得でき、この「攻めのDX」こそがDXの本質と言えます。

 日本企業において、ビジネス変革等の「攻めのDX」の必要性を強く感じる割合が約9割となりますが、その背景にはデジタル技術の普及による自社の優位性や競争力が低下することの懸念があります(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査(2019年5月17日)」)。一方で、顧客への新たな価値を創造するDXで成果が出ている企業の割合はわずか8.3%であり、DX推進の上位課題に「人材・スキルの不足」といった人や組織の課題が挙げられております(出典:一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)「企業IT動向調査報告書2024(2024年3月31日)」)。

 さらに、新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響により、各企業においてはリモートコミュニケーションを含めた業務のオンラインへのサービス転換や柔軟な労働環境への急速なシフト等の取り組みが加速し、DXは喫緊の経営課題となっております。

 このような環境下、国内DX市場の規模は、2022年度の3兆4,838億円から2030年度には8兆350億円に拡大すると予測されております(出典:株式会社富士キメラ総研「2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)。また、DX実現を支える国内パブリッククラウドサービス市場は2023年~2028年にかけて15.7%の年平均成長率で推移し、2028年の市場規模は2023年比2.1倍の6兆5,146億円になることが予測されております(出典:IDCJapan株式会社「国内パブリッククラウドサービス市場予測、2024年~2028年」)。

 当社においては、「クラウドインテグレーションサービス」について事業運営を行ってまいりました。なお、当社の事業はクラウドソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。

 当事業年度の経営成績に関して、旺盛なDX支援の需要を背景に、過去最高の通期業績となりました。当第4四半期会計期間における大手企業(注1)の「四半期契約顧客数(注2)」は55社(前年同期は43社。前四半期は51社)、大手企業の「顧客当たりの四半期平均売上高ARPA(注3)」は33.3百万円(前年同期は40.5百万円。前四半期は37.8百万円)となりました。

 従来からの強みであるIoT/MobilityやAIのサービスづくり、法人向けECサービス(B2B)やリアル店舗と連携するECサービス(B2C)、顧客とつながるコミュニティサービス、API(注4)連携、ID統合及びデータ統合プラットフォーム構築による顧客体験の向上といった「攻めのDX」を支援しました。

 大手企業の主力事業領域におけるSalesforceプラットフォームを活用したプロジェクトが業績に貢献しました。また、注力している自律型AIエージェントAgentforceやデータ統合プラットフォームData Cloudの導入支援については、新規の受注を獲得しており、当社の強みであるMuleSoftを絡めた提案活動も強化しております。

 ID認証プラットフォームのOkta導入支援については、株式会社マクニカとの協業により、データ統合プラットフォームDatabricksを組み合わせたソリューションの提供を開始しました。なお、OktaからAuth0(旧Okta Customer Identity Cloud)に関する高い専門性を証明する「Customer Identity Cloud Service Delivery

Specialization」の認定を、国内企業で初めて取得しました。

 クラウドエンジニア等の専門職従業員数(注5)については、2025年3月末時点で359人(前年同期は275人、前四半期は353人)となりました。

 

1. 大手企業:日経225、日経400、日経500のいずれかに採用されている企業、または当該企業のグループ企

業や当該企業に準ずる売上(1,000億円以上)規模の企業

2. 四半期契約顧客数:再販案件及び四半期売上高が1百万円以下の顧客を除いた四半期会計期間における契

約顧客数。再販案件とは当社が仕入れたライセンスを顧客に再販売するリセールにあたり、当社においては金額が僅少なため、当該顧客は除く

3. 顧客当たりの四半期平均売上高(ARPA):Average Revenue per Accountの略(顧客当たりの平均売上

高)で、再販案件及び四半期売上高が1百万円以下の顧客を除いた顧客当たりの四半期平均売上高。再販案件及び四半期売上高が1百万円以下の顧客からの売上高を除いた四半期売上高÷四半期契約顧客数により算出

4. API:Application Programming Interfaceの略でソフトウエア同士が互いに情報をやりとりするのに使

用するインタフェース仕様

5. クラウドエンジニア等の専門職従業員:事務職を除いたクラウドインテグレーションサービス部門のエ

ンジニア、マネージャー等の専門職

 

 これらの結果、当事業年度における当社の経営成績は、売上高7,949,168千円(前年同期比14.7%増)、売上総利益3,542,786千円(前年同期比18.0%増)、営業利益1,085,310千円(前年同期比43.3%増)、経常利益1,081,232千円(前年同期比43.8%増)、当期純利益720,787千円(前年同期比63.6%増)となりました

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,128,101千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度末において営業活動により得られた資金は、895,213千円(前年同期は600,031千円の獲得)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益1,081,815千円、売上債権の減少430,079千円、主な減少要因は法人税等の支払453,468千円、仕入債務の減少133,855千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度末において投資活動により支出した資金は、288,048千円(前年同期は149,627千円の支出)となりました。主な減少要因は、事業分離による支出114,776千円、敷金及び保証金の差入による支出98,174千円、有形固定資産の取得による支出61,273千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度末において財務活動により支出した資金は、54,130千円(前年同期は30,358千円の支出)となりました。主な増加要因は、新株の発行による収入105,182千円、主な減少要因は、自己株式の取得による支出97,466千円、長期借入金の返済による支出67,421千円であります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

b.受注実績

 当社は、受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社は、クラウドソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

事業の名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

クラウドソリューション事業(千円)

7,949,168

114.7

    (注)1.製品・サービス間の取引はありません。

   2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおり

     であります。

 

 

 

相手先

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ANAシステムズ株式会社

523,743

7.6

1,006,354

12.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りに関しては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ1,020,557千円増加し7,949,168千円(前事業年度比14.7%増)となりました。これは主に、旺盛なDX支援の需要を背景に、クラウドインテグレーションサービスによる売上高が増加したことによるものであります。

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度における売上原価は、前事業年度に比べ479,287千円増加し4,406,382千円(前事業年度比12.2%増)となりました。これは主に、クラウドインテグレーションサービスにおいて、旺盛な引き合いに応える供給体制を構築したことから労務費及びパートナーへの外注費が増加したことによるものであります。

 以上の結果、売上総利益は前事業年度に比べ541,270千円増加し3,542,786千円(前事業年度比18.0%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ213,338千円増加し2,457,476千円(前事業年度比9.5%増)となりました。これは、主に事業規模拡大に伴う組織拡大や処遇の向上等により給与手当が114,117千円増加したこと等によるものであります。

 以上の結果、営業利益は前事業年度に比べ327,932千円増加し1,085,310千円(前事業年度比43.3%増)となりました。

(営業外損益、経常利益)

 当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ3,389千円増加し4,104千円(前事業年度比473.5%増)となりました。これは主に、業務受託料が3,176千円増加したことによるものであります。また、営業外費用は、前事業年度に比べ1,914千円増加し8,182千円(前事業年度比30.5%増)となりました。これは主に、支払利息が1,942千円増加したことによるものであります。

 以上の結果、経常利益は前事業年度に比べ329,406千円増加し1,081,232千円(前事業年度比43.8%増)となりました。

(法人税等合計、当期純利益)

 当事業年度における法人税等合計は、税引前当期純利益が増加したことから法人税、住民税及び事業税が増加し、前事業年度に比べ50,295千円増加し361,027千円となりました。

 以上の結果、当期純利益は前事業年度に比べて280,316千円増加し720,787千円(前事業年度比63.6%増)となりました。

c.キャッシュ・フローの分析

 各キャッシュ・フローの分析については、「3(1)経営成績等の状況の概要③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

d.資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要のうち主なものは、クラウドインテグレーションサービスにおける労務費及び外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資を目的とした資金需要は、PC等の設備投資等によるものであります。

 なお、当社の資金の源泉は主に借入等によるものであります。

 

e.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通り、クラウドインテグレーションサービスにおける売上総利益率、四半期契約顧客数及び顧客当たりの四半期平均売上高(ARPA)を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでおります。売上総利益率、四半期契約顧客数及び顧客当たりの四半期平均売上高(ARPA)につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)当社の強みと特徴 ② 優良な顧客基盤を有する収益性の高いクラウドインテグレーションサービス」に記載の通りです。

 

f.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

g.経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」及び「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容や外部環境、事業体制等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 

h.経営者の問題認識と今後の方針について

 クラウド先端テクノロジーとデザインで企業のDXを支援することで、あらゆるヒト、モノがデジタルでつながる社会において、デジタルに最適化された新しい顧客体験をカタチにし、顧客中心型のビジネス変革を支援していきます。

 当社が今後更なる成長を遂げるために、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している課題に対処することが重要であると認識しております。

 

5【重要な契約等】

相手方の名称

契約名

契約締結日

契約内容

契約期間

株式会社セールスフォース・ジャパン

セールスフォース・ドットコムパートナー契約

2009年6月9日

セールスフォースパートナー契約

2009年6月9日から

2010年6月8日まで

(1年毎の自動更新あり)

Amazon Web Services,Inc.

AWSパートナーネットワーク契約

2015年9月28日

AWSパートナー契約

2015年9月28日から

解除されるまで

 なお、Cariot事業の合弁会社化に伴い、2024年7月26日付けで吸収分割契約及び株式譲渡契約を締結しております。これらの契約は2024年10月1日に効力が発生し、当有価証券報告書の提出日時点において、Cariot事業は当社が営む事業の範囲から外れております。詳細は、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

 当社の研究開発活動は、企業、産業や社会の課題をIoT/Mobility、AIに関連する先端テクノロジーで解決することを目指し、既存サービスの付加価値向上と新規サービスの研究開発を目的とした活動となります。

 なお、当社の事業はクラウドソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。

 当事業年度における当社の研究開発費の総額は57,749千円であります。

 当事業年度における当社の研究開発活動は、以下のとおりであります。

(1)リモートコミュニケーションの活用技術の研究

 リモートワークを前提とした働き方への対応を含めたDX支援への需要が増加する中、その社会的ニーズにアジリティ高く応えることを目的とし、リモートコミュニケーション基盤機能拡充に関する技術研究をしています。具体的にはセンサ技術、AR/VRを用いた遠隔保守・メンテナンスサポートの実現やAIによる画像分析・映像分析技術を用いたビデオコミュニケーションにおけるプライバシー保護、顧客体験向上を目的とした応用研究をしております。直近では、生体情報としてプライバシー保護の必要性が認識されている人間の声を、各種音声変換AIを用いてリアルタイムで別の音声に変換する研究開発に注力しています。リモートコミュニケーションを活用したDX支援分野においてより付加価値の高いソリューションへとつなげていく取り組みになります。

 

(2)AI、ORを用いたプランニング/オペレーションを自動化/省力化する技術の研究

 従来職人的(属人的)とされてきた業務を強化学習、OR(Operations Research)(注1)等を用い、自動化、あるいは劇的な省力化の実現を目指す研究をしています。これまでに、車両や貨物船による輸配送計画の最適化、プロジェクトへのアサイン案作成の自動化、製造業における業務計画作成の自動化に関する研究を行ってきました。なお、本田技研工業株式会社と新機種開発時のテストスケジュール作成に関する共同研究を行っており、数週間から1カ月かかっていたスケジュール作成について数時間で同等レベルの結果を得る等、実証実験に成功しております。直近では主に、強化学習やシミュレーション技術を意思決定に活用するための研究等を進めております。

 

(注)

1. OR(Operations Research):アルゴリズム等により、課題に対する最適解を数学的・統計的に求める手法