第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営方針

当社グループは、「コーエーテクモの精神」と「コーポレートスローガン」の2つを“存在意義(パーパス)”としました。私たちが常に大切にする精神と、社会にとってどのような存在であるべきか、を示すものでもあります。この“存在意義”を実践するために、「ビジョン」「価値観」「経営基本方針」の3つの理念があります。

 

存在意義

コーエーテクモの精神

「創造と貢献 新しい価値を創造して、社会に貢献する」

コーポレートスローガン

「Level up your happiness 新しい面白さで もっと幸せに」

 

ビジョン:将来のありたい姿、存在意義を実現するための企業成長の姿

「世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー」

 

価値観:私たちが大切にする価値観。私たちの文化を形成するもの

「クオリティ&サティスファクション」

高い品質によってお客様に大きな満足を提供する

「クリエイティブ&ビジネス」

2つを両立できる人が新しい価値をつくる

「品質・納期・予算」

新しい面白さを生み出し、成長を支える私たちの源

 

経営基本方針:経営の執行を担う人たちが果たすべき役割や責任。4つを循環させ続けることで、さらなる持続的成長につながる

① 最高のコンテンツの創発

素晴らしいコンテンツを通じて、お客様に最高の感動を提供する

② 成長性と収益性の実現

経営基盤を安定化させ、更なる発展を目指す

③ 社員の福祉の向上

業績と福祉の向上により、活力に満ちた魅力ある企業となる

④ 新分野への挑戦

社会にとって役に立つ新しさの実現にチャレンジし続ける

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、成長性と収益性の実現により企業価値を高めてまいりますが、重要な経営指標としては、売上高営業利益率30%以上を目標としています。

また、令和8年3月期より開始する3カ年の第4次中期経営計画では、3カ年累計の営業利益1,000億円以上を計画するとともに、第3次中期経営計画の目標であった単年度の営業利益400億円達成に再挑戦します。

 

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

第4次中期経営計画は、中長期での飛躍に向けた「成長のための基盤づくり」をテーマとして、新たな経営体制で臨みます。パイプラインの数と質、販売力、コスト効率の成長を4つの目標として掲げます。各目標に向け「経営基盤強化(人的資本・ガバナンス)」「事業戦略」「キャッシュアロケーション(成長投資・利益還元)」を3つの柱として重点的に取り組みます。

「経営基盤強化(人的資本・ガバナンス)」においては、人材育成方針として「クリエイティブ&ビジネス 新しい面白さを実現するクリエイター&成長性と収益性を実現するビジネスパーソン」を掲げ、人材戦略を実行します。ガバナンスでは、令和7年6月に、当社グループの業務執行の最高責任者として新たに社長執行役員CEOを設けるとともに、取締役会において独立社外取締役が過半数を占める体制にすることで経営の監督と執行の分離を進めます。

「事業戦略」においては、新規IP・ジャンルへのチャレンジによる成長と既存IPと協業による安定的な成長を実現し、成長性と収益性を両立した確度の高い事業ポートフォリオを構築します。

エンタテインメント事業では、コンソール・PC分野、オンライン・モバイル分野、ゲームIPの多方面展開への積極的な投資を行います。コーエーテクモのIPを作る力・売る力・生かす力・支える力を強化することで、世界中のユーザーにとって魅力ある高い品質のIPを創造し、その価値を最大化してまいります。

アミューズメント事業では、スロット・パチンコ、アミューズメント施設それぞれの分野において、既存事業の改善と新規施策を進め、持続的な成長を目指します。

不動産事業では、物件管理の向上に取り組み、ライブハウス型ホールKT Zepp Yokohama等の高稼動率維持によって安定収益を実現します。

営業外収支では、金融環境の変化に対応しながら安定した運用を行ってまいります。令和7年度からは、新しく設立した株式会社コーエーテクモコーポレートファイナンスにグループファイナンス機能を集約し、資金の効率性を高めてまいります。

「キャッシュアロケーション(成長投資・利益還元)」においては、人的資本を中心とする成長投資を拡大することで営業利益目標を達成し、その成果によってさらなる成長投資と株主還元による企業価値向上の好循環を実現します。利益還元の基本方針は「配当金に自社株買付けを加えた連結年間総配分性向50%、あるいは1株当たり年間配当50円」とし、営業利益成長による配当総額の伸長を目指します。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、第3次中期経営計画の振り返りを踏まえ、(3) 中長期的な会社の経営戦略に記載の第4次中期経営計画を実行していくうえで、優先的に対処すべき課題を以下と捉えております

①開発体制の拡充

グローバル市場の拡大や新興国市場の急成長により、当社グループに求められる開発力は質・量ともに一層の向上が必要とされています。魅力的なIPの創出と提供力の強化のため、開発体制の拡充は最優先の経営課題と認識しております。

当社グループでは、新卒採用を中心に年200人以上の人材採用を継続して行っており、当社グループの人材育成方針に基づき、クリエイティビティとビジネスの両面に秀でた人材の育成を進めております。こうした取組を通じて、当社グループの強みであるIPの創出力をさらに高め、収益性と価値を最大化する能力の向上を図ってまいります。

 

②AAA水準への品質向上

ゲーム産業における技術革新の加速や、ユーザーの品質に対する期待水準の高まり、さらにはマルチプラットフォーム化の進展を受けて、AAAタイトル水準の品質を安定的に実現する開発力が求められております。

この課題に対して、当社グループでは自社のゲームエンジン「KATANA ENGINE」の継続的な技術強化を図り、特にグラフィック表現の高度化を進める一方、一部タイトルにおいては汎用ゲームエンジンも活用し、開発効率と品質向上の両立を目指しています。また、PC版製品の快適性向上にも取り組み、ユーザー体験のさらなる強化を推進しています。

 

 

③コスト削減・管理の強化

グローバルでの競争の激化や、アミューズメント市場の成熟といった外部環境の変化を踏まえると、安定的な収益基盤の確立には全社的なコスト意識と管理能力の向上が不可欠です。

当社グループでは「KATANA ENGINE」の自動生成技術の高度化に加え、各プロジェクトの予算統制の徹底や、生成AI等の技術活用による生産性向上を図っております。

 

④グローバルマーケティング・パブリッシングの拡充

世界のゲーム市場は引き続き拡大基調にある一方で、可処分時間をめぐる競争が一層激化しており、地域ごとの市場特性に即したグローバルなマーケティング及びパブリッシング体制の構築は、重要な課題となっております。

中東・北アフリカ地域への展開を開始しており、今後はインド・東南アジア等の成長市場も視野に入れたグローバルマーケティング戦略を推進してまいります。また、将来的には自社でグローバルパブリッシングを担える体制の構築を目指し、マーケティング部門の体制強化及び人材拡充を進めております。

 

なお、当社グループの中長期的に持続的な成長及び企業価値向上のために、特に取組むべき課題については、マテリアリティとしてまとめ、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通」に記載しております。

 

(5) 次期の見通し

今後の景気見通しについては、緩やかに成長することが期待されるものの、米国の政策動向や、欧州・中東等の地政学リスク、金融資本市場の変動の影響等、先行きに対する懸念があります。ゲーム市場は、グローバルな市場規模の拡大、ユーザー人口の増加が続いており、今後もさらに成長していくことが予想されます。

 

このような経営環境下において、当社グループは、コーエーテクモの精神「創造と貢献 新しい価値を創造して、社会に貢献する」のもと、ビジョン「世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー」の実現に向けて、挑戦を続けてまいります。

 

令和8年3月期は複数の新作タイトルの発売を予定しているものの、中長期に向けた開発投資が先行することや昨今の金融資本市場の状況を踏まえ、売上高920億円(前年同期比10.6%増)、営業利益310億円(同3.5%減)、経常利益370億円(同26.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益270億円(同28.2%減)を見込んでおります。

 

(注)上記の業績予想数値は、いずれも業界の動向、国内及び海外の経済状況、為替相場の影響などの要因について、現時点で入手可能な情報をもとに行った見通しであります。そのため、上記数値はこれらの要因の変動により異なる可能性があります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりです。なお、本記載には将来に関する事項が含まれており、これらは当連結会計年度末現在における当社グループの判断に基づくものです。

 

当社グループは、コーエーテクモの精神「創造と貢献 新しい価値を創造して、社会に貢献する」及びコーポレートスローガン「Level up your happiness 新しい面白さでもっと幸せに」を存在意義としております。存在意義を実現するために、ビジョン「世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー」を掲げ、サステナビリティ基本方針に基づくサステナビリティ活動を経営戦略と紐づけて実行し、ともに推進することで、持続可能な価値の創出を目指しています。

 

なお、サステナビリティ基本方針は、令和6年度にサステナビリティ委員会で審議・決議し、取締役会に報告したものです。

 

<サステナビリティ基本方針>

コーエーテクモグループは「創造と貢献」の精神のもと、「新しい面白さ」を創出し、世界中のみなさまの心の豊かさや幸せに貢献することを存在意義とします。私たちを支えてくださる様々なステークホルダーの期待に応えるように、社会課題へ積極的に取り組み、「人」を中心に考え、企業価値向上と持続可能な社会を目指します。

 

(1)サステナビリティ共通

① ガバナンス

当社グループは、社会と当社グループの持続的な成長を目指し、サステナビリティに関する施策を戦略的に推進するため、令和5年にサステナビリティ委員会を設置しました。サステナビリティ委員会は、当社の代表取締役社長(令和7年6月19日以降は、代表取締役 社長執行役員CEO)が委員長を務め、CSuO(Chief Sustainability Officer)、当社並びに国内グループ会社の各事業部・本部の責任者が委員となります。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する方針及び戦略、取組事項について四半期に1回以上、定期的に審議し、決議を行います。サステナビリティ委員会での審議・決議の内容は年に1回以上、取締役会に報告し、取締役会が監督を行っています。サステナビリティ委員会で決議された内容に基づき、サステナビリティ推進室を中心に、社内関連部署及びグループ会社が連携して施策の推進にあたっています。

 

<令和6年度 サステナビリティに関する主な審議内容>

会議体

(開催頻度)

令和6年度実績

主な審議内容

報告

決議

取締役会

(年1回

以上)

計6回

・令和5年度サステナビリティ委員会の活動報告

・サステナビリティ基本方針の改定について

・温室効果ガスの削減目標、シナリオ分析

・マテリアリティの見直し

サステナビリティ委員会

(四半期に

1回以上)

第1回

・ESG評価機関の評価

・令和6年3月期 有価証券報告書サステナビリティ項目の開示について

・サステナビリティ委員会の委員構成

第2回

・令和6年3月期 有価証券報告書のサステナビリティ項目振り返り

・人的資本に関する目標の検討

・マテリアリティの見直しの進捗

第3回

・マテリアリティの目的・見直しの方向性

・ワーク・エンゲイジメント分析結果

・サステナビリティ基本方針の改訂

第4回

-

・マテリアリティのロングリストの検討

第5回

-

・マテリアリティの特定

第6回

・温室効果ガス シナリオ分析

・令和7年度サステナビリティ委員会の委員の交代

・ESG評価機関の評価分析

・温室効果ガス 削減目標の設定

 

 

 

② 戦略

当社グループは、「世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー」をビジョンとしています。ビジョンの実現に向け、10年先を見据えて、事業活動に関連する社会課題及び社会的要請のうち、当社グループの事業領域と親和性の高い課題に重点的に取組むため、令和6年度にマテリアリティを見直しました。また、このマテリアリティを踏まえて第4次中期経営計画を策定しており、持続的な成長のための重要な指針としています。

現在、各マテリアリティに対する推進体制の構築、目標の明確化、及び施策の策定に取組んでいます。

 

<マテリアリティの定義>

「創造と貢献」に基づき、ビジョン「世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー」に向け、中長期的に持続的な成長及び企業価値向上のために、特に重点的に取組むべき課題をマテリアリティとしています。

 

<マテリアリティ検討プロセス>

マテリアリティの見直しに際しては、社会課題及び経営方針の両面から課題を抽出し、マテリアリティ候補の重要性を評価した上で、計4回にわたりサステナビリティ委員会で審議・決議を行いました。その後、取締役会の決議を経て、最終決定をしています。

 

プロセス

検討内容

STEP1

マテリアリティ改定の目的・体系整理

・中長期的なビジョンを見据えて、サステナビリティ委員会にて当社グループのマテリアリティの目的及び定義を設定。

STEP2

マテリアリティ候補リスト作成

・攻め(経営方針等を踏まえた候補をリスト化)と守り(国際的な動向・要請等から候補をリスト化)の観点からマテリアリティ候補を整理。

①攻めの観点

ビジョン、経営基本方針、中期経営計画等を踏まえ、攻めのマテリアリティ候補をリスト化(7項目)

②守りの観点

国際ガイダンス、ガイドライン(ISO26000、GRI Standards、CSRD、SASB Standards)及び業界のガイドライン(CESA)に基づき、社会課題を把握し、守りのマテリアリティ候補をリスト化(30項目)

STEP3

絞り込み・マテリアリティの仮案の作成

・各項目をリスクと機会の側面から、ステークホルダーにとっての重要度を検討し、ESG評価機関(FTSE Russell、MSCI、CSA)及びSASBの評価項目から優先順位付けを実施。

・当社にとっての重要度を検討するため、以下の場を設けてレビュー及び討議を実施。

①サステナビリティ委員会

②全社外取締役(5名)にグループインタビュー

③代表取締役社長、代表取締役副社長に個別インタビュー

・ステークホルダーにとっての重要度と当社にとっての重要度の観点を踏まえ、37項目から26項目に絞り込み。

STEP4

経営討議を通じた最終化

・サステナビリティ委員会に加え、代表取締役副社長も参画し、マテリアリティ候補の重要度評価と「コーエーテクモの中長期的に持続的な成長及び企業価値向上のために、特に重点的に取組むべき課題」という観点に基づき、討議。意味合いが重複する項目を統合、重要な要素を抽出し、26項目から9項目を選定。

・サステナビリティ委員会で選定されたマテリアリティは取締役会にて審議、承認。

 

 

 

<コーエーテクモグループのマテリアリティ>

マテリアリティ

詳細説明

①期待を超える新しいコンテンツで最高の感動を提供

新しいコンテンツを生み出し続けることが、私たちの持続的成長の土台であり、人々に最高の感動を提供し続けることによって、活力ある社会にしていきます。

②IPの展開による新たな魅力を創出

私たちが持つIPを様々なエンタテインメントコンテンツとして展開・活用させ、新しい魅力を生み出すことで、人々に新たな面白さを提供します。

③新たな価値を生み出す人材の育成

私たちは、創造力と技術力を持つ人材の育成を通じて、新たな価値を生み出し、企業の成長とより良い社会の実現に貢献します。

④多様な人材が活力に満ちて働ける職場環境の実現

社員の多様な価値観を尊重し、活力に満ちた環境を整えることで、エンゲージメントを向上させ、高いモチベーションを維持しながら、企業の競争力向上につなげます。

⑤経済価値の適切な分配

私たちの企業活動を通じて生み出した利益を株主・社員・地域社会をはじめとしたステークホルダーに適切に還元し、社会への貢献を通じて持続的な成長を続けます。

⑥コーポレートガバナンスの強化

透明性・公正性を重視し、持続的な成長と企業価値の向上を実現します。また、取引先を含めた腐敗防止や汚職防止に取り組み、ステークホルダーからの信頼を高めます。

⑦文化や歴史の魅力を世界に発信

コンテンツを通じて、日本やアジアをはじめとした歴史や文化に配慮しながら、その魅力を世界に発信することで、異なる文化への理解を深め、尊重し合う社会を目指します。

⑧消費者を保護し、安心して楽しめる環境の提供

消費者保護やカルチャライズ、情報セキュリティ等に配慮して、世界中のお客様が安心して楽しめるプレイ環境を整え、お客様との信頼関係を高めていきます。

⑨心の豊かさへの貢献

私たちは、新たな体験や感動を通じて、お客様の心を豊かにし、コミュニティを育んでいきます。社会の一員として積極的に地域社会や学術活動に参画することでより良い社会の実現に寄与します。

 

 

③ リスク管理

全社的なリスク管理プロセスは、代表取締役社長(令和7年6月19日以降は、代表取締役 社長執行役員CEO)が委員長を務めるリスク管理委員会にて全社一元的に管理されております。

リスク管理委員会は、委員長である代表取締役社長(令和7年6月19日以降は、代表取締役 社長執行役員CEO)の判断により必要に応じて適宜開催され、リスク管理基本方針及び諸施策に関する審議を行っております。また、従業員等への適切な指示及び教育を通じて、リスク対応体制の整備を推進し、全社的なリスク管理の実効性向上に努めています。

 

(2)気候変動

① ガバナンス

当社グループは気候変動に関する環境問題を社会の一員として取組むべきものとして捉え、気候変動に関するガバナンスについては、前項の(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンスに準じた体制に基づき、サステナビリティ委員会で定期的に審議・決議し、取締役会に報告を行っています。

また、令和6年度に行ったマテリアリティの見直しにおいて、当社グループにとっての重要度等を総合的に検討した結果、気候変動に関する課題は、現段階ではマテリアリティに該当しないとの結論に至りました。また、シナリオ分析において、定量リスク及び短期的な定性リスクが総じて低い結果となりました。一方で、中長期的には気候変動に対する取組が必要と考えており、今後も継続的に対応を続けてまいります。

 

 

<令和6年度気候変動に関する審議・報告事項>

会議体

(開催頻度)

令和6年度実績

主な審議内容

取締役会
(定期報告は

年1回以上)

計3回

・令和5年度サステナビリティ委員会の活動報告として、Scope1・2・3実績について(報告)

・温室効果ガスの削減目標、シナリオ分析(報告)

・マテリアリティの見直しにおける気候変動の項目に対する検討結果(報告)

サステナビリティ委員会

(年2回以上)

計3回

・令和6年3月期 有価証券報告書サステナビリティ関連開示Scope1・2・3実績について(報告)

・温室効果ガス 削減目標の設定(決議)

・温室効果ガス シナリオ分析(報告)

・マテリアリティの見直しにおける気候変動の項目に対する検討

 

 

② 戦略及びリスク管理

ア.気候変動関連シナリオに基づく定性的なリスクと機会

気温上昇が1.5℃に抑えられた世界、気温上昇が4℃に進む世界などを想定し、各シナリオにおいて、気候変動が当社グループの財務に与えるリスクと機会を分析しました。シナリオ分析の検討に際し、国際的な信用性が高く「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言においても引用されるIEA(International Energy Agency、国際エネルギー機関)及びIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change、国連気候変動政府間パネル)の設定するシナリオを参照しました。なお、気候変動のリスクと機会の検討にあたっては、検討期間を「短期」「中期」「長期」の3期に分類し次のように定義しています。

 

<気候変動のリスクと機会の検討における「短期」「中期」「長期」の定義>

期間

想定年数

短期

1~3年

中期

3~10年

長期

10~15年

 

 

<気候変動のリスクと機会の検討における影響度についての評価>

影響度は財務に負の影響を与える蓋然性の程度を低、中、高とし評価しています。

 

a.移行リスク(1.5℃シナリオ:参照シナリオ「Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE)」)

移行リスクでは、現行の規制や新たな規制において調達での影響があると予測されます。当社グループの主要調達先である情報通信業は、電力使用にともなうCO2排出量が大きく、GX-ETS(グリーントランスフォーメーション排出量取引制度)が令和8年から開始されることから経営状況に負の影響を与える蓋然性があり、短期、中期、長期のいずれも新たな規制によるリスクが高くなりました。また、ゲームソフトの購入やモバイルゲームでの課金による収入が売上の大半を占めるなど、対個人サービスの売上比率が高いため、当社グループの製品・サービスに対する規制強化による影響は中長期的に高くなりました。

その他、技術リスクでは、一般的に低炭素製品や技術へのシフトが進み、当社グループの主要調達先である情報通信業では、サーバー設置の整備等が求められることにより中期的にリスクが高くなりますが、長期的にはある程度の新技術対応が進むと考えられることから、影響度が中程度に減少しております。

評判リスクは、当社グループの気候変動の取組に対し、中期的に個人の顧客や株主からの信用度におけるリスクや消費者の嗜好面でのリスクがあることを予想し売上への影響としては高くなりますが、長期的には技術発展が進み、リスクが下がることが考えられます。当社グループはこのように高まるリスクに向けて準備すべく、中期期間中の令和12年度を目標年として、③指標及び目標の記載のように、温室効果ガス排出量の削減目標を策定し、削減の取組を進めてまいります。

 

 

<移行リスク>

分類

影響先

短期

中期

長期

現行の規制

・カーボンプライシングの仕組み
・排出量報告義務の強化
・既存製品・サービスの義務付けと規制

調達

売上

新たな規制

・カーボンプライシングの仕組み
・排出量報告義務の強化
・既存製品・サービスの義務付けと規制

調達

売上

法規制

・訴訟へのエクスポージャー

調達

売上

技術リスク

・既存製品・サービスを低排出オプションに置換
・低排出技術への移行

調達

売上

市場リスク

・顧客行動の変化

調達

売上

評判リスク

・消費者の嗜好の変化

調達

売上

 

 

b.機会(1.5℃シナリオ:参照シナリオ「Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE)」)

市場の機会における調達面では、中期的に主要調達先の情報通信業に対するインセンティブ制度が充実することから、調達コストが低減する可能性が高いと考えられます。また、レジリエンスにおいても、一般的に省エネ対策や再エネプログラムへの参加が進むことが予想され、主要調達先の一つであるゲームプラットフォーム企業では使用エネルギー量が高い点から、中期的にメリットを受ける蓋然性が高くなります。資源の効率性では、ゲームのパッケージ販売からオンライン販売へのシフト等を含む生産手段のデジタル化や運送手段の効率化による影響が高く、輸送費や生産コストの低減が見込まれることから、メリットが大きくなると考えられます。エネルギー源においては、低排出なエネルギー源の使用により、中期的には顧客や株主からの信用度を獲得する蓋然性が高くなりますが、長期的には、これらの新エネルギーが一般的になっていくことが考えられ、長期的な機会は中程度になります。製品・サービスにおいては、消費者の嗜好も変化する点から、当社グループが低排出に配慮した製品・サービスを提供するなどした場合、中長期的に機会が高くなると考えられます。

 

<機会>

分類

影響先

短期

中期

長期

市場

・新市場への参入
・インセンティブ導入

調達

売上

レジリエンス

・再エネプログラムへの参加及び省エネ対策実施
・リソースの代替・多様化

調達

売上

資源の効率性

・効率的な輸送手段の利用
・生産・流通プロセスの効率化
・リサイクルの利用
・効率的な建物への移転
・水の使用量・消費量の削減

調達

売上

エネルギー源

・低排出エネルギー源の利用 

・支援的な政策インセンティブの利用 

・新技術の活用

調達

売上

製品・サービス

・低排出製品・サービスの開発及び拡大
・R&D・技術革新を通じた新製品やサービスの開発
・事業活動の多様化
・消費者の嗜好の変化

調達

売上

 

 

 

c.物理的リスク(4℃シナリオ:参照シナリオ「IPCC RCP8.5」)

急性リスクでは、干ばつ、熱波、竜巻、地滑り、地盤沈下、山火事など多様なリスク要因が業績に影響を与えると予測しています。調達に関しては、ゲームプラットフォーム企業を中心とした情報通信業や現時点での調達先実績の比率の高い不動産業を対象として、数年から15年までの期間において、洪水、台風、大雨、地盤沈下などの影響を受けると考えられます。当社グループの取引先である情報通信業では通信障害などのリスクが考えられ、不動産業界でも不動産価値の低下や修復費用の増大などの影響があることから、中程度のリスクとなります。売上に関しては、ゲームを購入する対個人向けサービスが10年以内に自然災害の影響を大きく受けることは想定されにくいものの、10年以上の長期では、自然災害の蓋然性が増大することから、その影響を受けられると考えられます。

慢性リスクでは、温度変化、降水パターンの変化、海面上昇、熱ストレス、海洋の酸性化などが各産業の業績に影響を与えると予測しています。調達先の情報通信業に関しては、3年以内に慢性的な変化が起きる蓋然性は低いですが、それ以上の中長期になると徐々にこれらの影響が大きくなると考え、当社グループのリスクは中程度となりました。売上は、売上実績の比率が高い対個人向けサービスや不動産業界の影響が、10年以上の長期にはリスクが増大することから、影響度は中程度になると考えられます。

<物理的リスク>

分類

影響先

短期

中期

長期

急性リスク

・台風、豪雨

・洪水

・熱波

・山火事

調達

売上

慢性リスク

・温度変化(空気・淡水・海水)

・降水パターンと降水の種類の変化(雨、雹、雪/氷)

・海岸浸食

調達

売上

 

 

イ.気候変動関連シナリオに基づく定量的なリスク

当社グループは、気候変動に関する定量的分析として、ゲームソフト開発が当社グループ事業の大半を占めている点を考慮し、電力の価格変化による影響について検討しました。また、当社グループや従業員が利用しているビルや社宅、寮という自社所有の不動産を考慮し、資産の物理的被害の影響も分析しました。下記の定量的なリスクの分析の結果は、サステナビリティ委員会及び取締役会に報告され、影響は限定的であると評価しております。

シナリオ分析の検討に際しては、地球環境産業技術研究機構(RITE)の温暖化対策評価モデルDNE21による電力価格予測を参照し、資産の物理的被害は、国土技術研究センター(JICE)の洪水による浸水リスク試算ツール及び国土交通省の浸水ナビを用いています。影響期間は、定性的分析と同様に短期(1~3年)、中期(3~10年)、長期(10~15年)とし、リスクや機会の程度(影響度)は、売上額に対する影響額が10%以上の場合は高、1%以上10%未満は中、1%未満は低という3段階で評価しています。

 

a.電力の価格変化による財務的影響

地球環境産業技術研究機構(RITE)の「排出上振れシナリオ」では、1.5℃未満シナリオにおいて、主要先進国の炭素価格が高まらず、また「成長実現シナリオ」の想定ほど技術が進展しない状況での電力料金の推移を予測しています。当社のベースラインである令和5年度の使用電力量(国内のみ)に基づき、電力量が増加しない前提で、電力料金の上昇影響を分析した結果、短期・中期・長期的に増加するコストの影響は、低と評価され、当社グループの中長期的な計画には大きな影響が及ばない見込みです。

 

b.資産の物理的被害による財務的影響

4℃シナリオにおける当社グループ所有の事務所の浸水深から、気候変動後の資産被害額を概算しました。売上高に対する割合から財務的影響を分析した結果、いずれの資産も被害額は生じず、財務的影響もないと評価されます。当社グループの中長期的な計画に負の影響はない見込みです。

 

③ 指標及び目標

  当社グループは、気候関連リスク・機会への対応の一環として、温室効果ガス排出量を指標として設定し、自社排出となるScope1,2を、令和12年度までに令和5年度比50%削減すること、令和32年度までには、ネットゼロにすることを目標とします。目標達成に向けて当社グループの資産を管理する不動産部を中心に当社管理本部が施策を検討し、サステナビリティ委員会にて決議します。目標達成に向けての省エネルギー対策の更なる推進や再生可能エネルギーの購入等を進めてまいります。

 

 

指標

目標

令和12年度(2030年度)

令和32年度(2050年度)

Scope1・2のGHG排出量

令和5年度(2023年度)比で

50%に削減

ネットゼロ

 

 

<コーエーテクモグループの温室効果ガス排出量>

(単位:t-CO2)

分類

令和5年度

令和6年度

Scope1

127

112

Scope2(マーケットGHG排出量)

5,225

5,464

Scope3

 94,861

 81,200

 

※Scope3のカテゴリ別の内訳については下記のとおりです。

分類

令和5年度

令和6年度

カテゴリ1

購入した製品・サービス

69,500

55,411

カテゴリ2

資本財

4,208

3,634

カテゴリ3

Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動

1,309

1,337

カテゴリ4

輸送・配送(上流)

833

1,131

カテゴリ5

事業から出る廃棄物

93

123

カテゴリ6

出張

76

101

カテゴリ7

雇用者の通勤

613

671

カテゴリ11

販売した製品の使用

17,445

18,029

カテゴリ12

販売した製品の廃棄

90

70

カテゴリ13

リース資産(下流)

694

693

 

(注)1.算出範囲:国内外の連結子会社

2.算定基準:サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.5 環境省/経済産業省)

3.排出係数:燃料と国内電力は環境省「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」によって公表されている排出係数を使用。海外の電力については各国政府が公表する排出係数もしくはGES((公財)地球環境戦略研究機関)のCDMデータベースにおける排出係数を使用。

4.カテゴリ8、9、10、14、15は対象外

5.算定対象期間は、令和5年度は令和5年4月~令和6年3月、令和6年度は令和6年4月~令和7年3月です。

6.令和6年度より温室効果ガス排出量の算定方法について変更を行いました。過年度分も遡及適用し、令和5年度のScope3カテゴリ1、カテゴリ3、カテゴリ5は変更後の温室効果ガス排出量に変更しています。

 

 

(3)人的資本

当社グループにとって人的資本の強化は中長期的な成長に向けて最優先で取組むべき課題であると考え、人材育成方針、育成すべき人材像、人材戦略を定め、施策を行っています。令和6年度に見直したマテリアリティにおいても「③新たな価値を生み出す人材の育成」と「④多様な人材が活力に満ちて働ける職場環境の実現」を中長期的な重要課題として定め、人材戦略と紐づけて取組を進めています。

 

① 人材育成方針及び戦略

ア.人材育成方針

「良きクリエイターは良きビジネスパーソンであれ」の考えの下に、新しい面白さを実現するクリエイターと、成長性と収益性を実現するビジネスパーソンの2つの両立を人材育成方針としています。この人材育成方針に基づき、会社の持続的な成長を支えるための育成すべき人材像を3つの視点から定義しております。

 

<育成すべき人材像>

a.自立(自律)したプロフェッショナルなクリエイター

・担当する業務に関する知識・技術が卓越しており、また、周辺業務についての知識も有している人材

・ブランド力を向上するクオリティの高い商品を、妥協せず徹底的にチェックを行いながら期限内に仕上げられる人材

 

b.価値創造を支え、ビジネスを推進・強化する人材

・新分野の開拓や新たなグローバルIPの創造と展開に向けて、自ら新しい企画を立ち上げ、商品化できる人材

・全社的な視点で最大の成果を出すために、自ら動き、必要な支援や仕組みづくりを行うことができる人材

 

c.グローバルな視点でIPの価値を高める人材

・異文化や多様性を理解・尊重し、グローバルな観点で主体的にビジネスを推進する人材

・コーエーテクモのIPの価値を理解し、海外のパートナー企業やグループ内海外拠点をはじめとした多様な文化背景を持つメンバーと協働して価値を醸成できる人材

 

イ.戦略

当社グループでは、人材育成方針に基づく「育成すべき人材像」の実現に向けて、3つの人材戦略を策定し、実行しています。

 

a.新卒入社者を中心とした多様な人材の確保

・新卒採用への取組

当社グループは長年にわたり新卒採用を最重要事項として取組んでいます。変化の激しいゲーム業界で継続して成長するためには、フレッシュな感性や新しい能力・価値観を持った新入社員の存在が必要です。好きな気持ちこそが原動力であるという考えから「ゲームファンの採用」を一貫して続けており、日本のみならず海外においても就職活動イベントへの参加や積極的な学校訪問等の活動を行い、多様な人材の採用に力を入れています。

 

・女性活躍推進の取組

当社グループは、社員への公平な評価・処遇を掲げ、実力本位で平等な昇進、登用の機会を確保しています。キャリア促進をさせることで、女性が活躍しやすい環境づくりに取組んでいます。令和6年度には、管理職層の意識改革と女性部下育成スキルの向上を目的とした研修を実施しました。

 

・外国籍社員が活躍できるオープンな環境

多様性を推進し、グローバルで活躍できる優秀な人材を確保すべく、新卒を中心に外国籍社員を積極的に採用しております。その採用にあたって入社当初の生活面での不安を軽減し、安心して勤務を開始できるよう、社員寮といった住居支援等を含む福利厚生制度から安心して働ける環境を整備しています。最近では管理職やリーダー職として活躍する外国籍社員も増加するなど、多様な人材が活躍できる組織となっており、当社グループの競争力の強化につながっています。

 

 

b.成長を実現する人材育成制度

当社グループには、ゲームファンとして入社した新入社員を育成し、ディレクターやプロデューサーへと成長させるための仕組みが整備されており、これが卓越したヒューマンパワーを生み出しています。社員の成長を後押しするために、将来的にディレクター・プロデューサーとして必要な基礎知識を補強し、社内のノウハウを共有するための「プロデューサー研修」をはじめとして、様々な研修を実施しています。また、各部署内で社員が講師となり、お互いに必要なスキルを教え合う各部署主幹研修が自発的に行われており、部署全体で成長を促していく風土作りにつながっています。その他にも、社員の適性に応じた複線的なキャリアパスを用意し、外部研修や社内講演会、通信教育制度等の学びをサポートすることで、社員個々人が自分のキャリアを具体的に描けるようにしています。

 

c.安心して働ける環境の構築(社内環境整備方針)

当社グループは、社員が能力を発揮し、長く活躍できるための環境を整備しています。また、業界でも屈指の福利厚生を完備することで、社員の離職防止及びモチベーション向上を図っています。

・働きやすい勤務制度の整備

フレックスタイム制の導入、子どもが小学6年生まで利用できる時短勤務制度や時差出勤(スライド出勤)を導入し、育児と仕事を両立しながら活躍できる職場環境を整備しています。令和6年度からは育児・介護のための在宅勤務の制度化、フレックスタイム制におけるコアタイムの短縮により、様々なワークスタイルや柔軟な働き方の拡充をしています。

 

・モチベーションを高める支援制度

当社グループは、令和7年度を含め10年連続のベースアップを実施しております。また、社宅・独身寮の提供といった生活の安定を支える施策に加え、報奨金制度、業績表彰制度等、モチベーションを高める支援制度に取組んでいます。

 

・キャリア支援施策の実施

社員が望むキャリアを実現し、自分に合った業務で能力を発揮していけるように、キャリア面談、キャリアステージ研修、社内公募制度、自己申告制度等を通じて会社としてキャリアを支援しています。こうした支援を通じて社員のキャリアに対する意識を高めています。

 

・健康経営に向けて

社員が安心して長く働けるよう健康増進に向け、産業医体制の拡充、再検査受診補助、長時間労働者へのケア、メンタルヘルスケアに関する研修、24時間利用可能なメール相談、オンライン産業医面談、ストレスチェック等のサービスを提供し、社員が自身の状況を把握し、カウンセリングを受けられる環境整備をしています。経済産業省及び日本健康会議が選出する「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」にも認定されており、今後も積極的に社員の健康増進に取組んでいきます。

 

・エンゲージメント向上

令和5年度よりエンゲージメントサーベイを実施し、従業員エンゲージメントを測定しています。調査で分かった「強み」と「弱み」に対して全社的取組だけでなく、各職場主導で注力課題を設定し、個別の対応策を検討・実施し、継続的な改善活動を行っていきます。

 

・多様性を活かす風土の醸成

多様な人材が互いに尊重し合い活躍できる組織を目指し、ダイバーシティとLGBTQ+に関する意識向上を図る研修も行っております。また、令和6年4月からは、国内グループ会社で、同性パートナーを社内規程上の配偶者と同じ扱いとし、慶弔見舞金や慶弔休暇等の対象とするパートナーシップ制度を導入しています。

 

・人権の尊重に向けた取組

当社グループは、全従業員一人ひとりの人権を尊重することを企業活動の基本としており、行動規範に人権に関する方針を明記しています。また、平成28年度から英国現代奴隷法2015に基づく声明を公表し、毎年更新を行っています。

 

ハラスメント防止は、人権尊重の取組の一環として重要であると考えております。当社グループでは、快適で安全な職場環境を実現するため、ハラスメント防止に関するグローバル規則の策定、社員を対象とした教育研修の実施など、各種対策を推進しております。また、ハラスメントに関する相談や通報に対して迅速かつ適切に対応できるよう、複数の相談窓口とハラスメント対策委員会を設置し、プライバシーに配慮した対応を行っております。「人権の尊重」の観点から、ハラスメント防止をはじめとした職場環境の整備に努め、今後「人権」に関する取組を更に強化してまいります。

 

 

② 指標及び目標

3つの人材戦略に沿って更なる強化に資する指標と目標を策定し、取組んでいます。

 

戦略

指標

範囲

(注1)

令和4年度
 実績

令和5年度
 実績

令和6年度
 実績

目標

(目標年度) (注2)

多様な人材の確保

女性管理職比率

()

国内

7.8

7.8

7.2

12.0

(令和12年度)

(全社)

(13.3)

(14.6)

(14.3)

開発職人員数 (注3)

()

全社

1,928

国内1,449
海外479

2,077

国内1,538
海外539

2,217

国内1,664
海外553

-

(全従業員に占める割合)

(%)

(83.3)

(83.6)

(84.2)

外国籍社員数 (注4)

()

全社

666

国内120
海外546

747

国内140
海外607

783

国内159
海外624

-

(全従業員に占める割合)

(%)

(28.8)

(30.1)

(29.1)

新卒採用人数

()

国内

150

158

199

200

(全社)

(200)

(215)

(244)

新入社員女性比率

()

国内

24.0

33.5

28.1

30.0以上

(全社)

(27.5)

(36.3)

(31.6)

人材育成制度

従業員一人当たりの
総研修時間

(h/年)

国内

-

-

49.6

60.0以上

(令和12年度)

従業員一人当たりの
各部署主幹研修時間

(h/年)

国内

-

-

20.1

24.0以上

(令和12年度)

通信教育制度(自己啓発支援)利用率

()

国内

22.2

19.6

25.4

30.0以上

(令和12年度)

安心して働ける環境の構築

従業員エンゲージメント (レーティング)

偏差値

国内

-

50.4 (B)

50.4 (B)

58.0 (A)

(令和15年度)

離職率

()

国内

4.6

5.1

4.7

5.0以下

(参考:定年退職を除く)

(4.4)

(5.0)

(4.6)

新入社員3年後離職率

()

国内

5.4

4.8

5.9

-

(全社)

(6.7)

(4.7)

(6.7)

定期健診受診率

()

国内

-

-

100.0

100.0

定期健康診断後の精密検査受診率

()

国内

-

-

42.1

50.0以上

年次有給休暇取得率

()

国内

85.4

84.9

81.8

80.0以上

育児休業取得率

()

国内

75.8

男性66.7

女性100.0

72.3

男性64.9

女性100.0

85.2

男性80.0

女性100.0

100.0

育児休業からの復職率

()

国内

100.0

100.0

100.0 (注5)

100.0

ハラスメント防止研修受講率

()

国内

96.7

99.5

100.0

100.0

 

(注)1.国内に含まれるのは㈱コーエーテクモホールディングス、㈱コーエーテクモゲームス、㈱コーエーテクモクオリティアシュアランス、㈱コーエーテクモウェーブ、㈱コーエーテクモネットであります。

2.目標年度の記載がない指標は目標年度を定めずに継続して目標とする指標

3.執行役員・正社員で、開発関連部署に所属している者

4.日本からの海外出向者は海外子会社社員に含めております。

5.復職予定者を含む

 

 

(4)知的財産

当社グループは、グローバルIPの創造と展開によって重層的な収益構造を構築し、高い成長性と収益性を実現しており、そのためには、知的財産権の保護・強化が不可欠であることから、以下の2点の取組を継続して行っております。


① 戦略

ア.知的財産権の保護・権利化の取組

新規グローバルIPを保護するため、特許権・商標権等の適切な権利取得と、併せて出願件数の増加のための発明奨励に取組んでおります。新規で開発するゲームの全てにおいて発明発掘のヒアリングを行い、漏れのない権利化を実施しております。出願にあたっては、ゲームシステムの根幹に関するものを重要発明として優先的に出願し、IP保護に努めております。加えて、発明の顕現性を定数評価し、評価が高いものを優先的に出願対象とすることで、収益性を高める権利化を実施しております。出願の根幹となる発明奨励については、出願時の職務発明補償金のみならず、権利化できた際には、発明者に対して報奨金制度に基づいたインセンティブを付与し、更なる新規発明の創出への意欲向上に努めております。また、従業員向けに特許・商標権の社内研修会を定期的に開催し、IPに関連する法令知識の普及に努めております。

 

イ.知的財産権の活用・価値向上のための取組

知的財産権の価値向上を図るため、第三者による侵害事案に対しては、法的手続きを含めた適切な対応を講じております。特にインターネット上での侵害に対しては、発見後速やかにプラットフォームに通報して削除を求め、令和6年度は1,123件の侵害コンテンツの削除を行いました。前年度から連続して1,000件を超える削除を実施しており、今後も引き続き侵害コンテンツの削除に注力していきます。加えて、新たにヤフーオークションの知的財産権保護プログラムBに登録し、昨今増加傾向にある当社IPを侵害する商品に対しては、必要な対応を行うことで、当社IPの保護及び価値向上に取組んでおります。悪質な権利侵害に対しては、必要に応じて適切な措置を講じることで、正規ライセンシーの権利を保護し、当社IPに関心を寄せるユーザーの皆さまが安心してコンテンツを利用できる環境の整備に努めております。これにより、当社IPの継続的な価値向上を図ってまいります。

 

(5)情報セキュリティ

当社グループの成長には、ステークホルダーからの信頼を確保することが不可欠であると考えております。このため、情報セキュリティを経営上の重要課題の一つとして考え、グローバルに事業を展開するグループ全体で、不正アクセス、情報漏洩、内部不正などの情報セキュリティ上の事故を未然に防止するとともに、個人情報の保護に向けた取組を継続的に実施しております。

 

① ガバナンス

リスクに関する情報を入手した際のエスカレーションプロセスを定めており、万が一インシデントが発生した場合には、情報セキュリティ統括責任者の指揮下で対応する体制が整備され、状況に応じ代表取締役社長(令和7年6月19日以降は、代表取締役 社長執行役員CEO)を委員長とするリスク管理委員会が開催されます。

また、各部門において個人データ取扱マニュアルを整備しており、プライバシーに関するインシデントが発生した場合には、各部門の個人データ取扱責任者から関係部署責任者等の関係者への速やかな報告が行われる体制を構築しております。併せて、状況に応じて代表取締役社長(令和7年6月19日以降は、代表取締役 社長執行役員CEO)への報告が行われる運用としております。

 

② 戦略

ア.リスクコントロール

a.不正アクセス、マルウェア(※)対策

外部からの攻撃に備えるとともに、不正アクセスなどのリスクに対して、多層的な防御策を採用した統合的かつ効果的な施策を実施しています。新たな基準やトレンドについても常に情報を収集し、必要性を見極めながら最適な対策を実施できるよう、情報セキュリティ管理のアップデートを行っています。

※コンピュータウイルスやワーム、ランサムウェアなどの悪意のあるソフトウェアの総称。システムへの侵入や情報の盗難、破壊等を目的とする。

 

b.情報漏えいリスクへの対策

情報漏えいのリスクを低減するために、個人情報や機密情報を含むファイルは情報保護ツールを用いて暗号化しており、データが漏えいしても関係者以外は内容を閲覧できないように保護する対策を講じています。また、従業員の情報持ち出し管理の強化に加えて、操作ログの取得を行い、社内からの情報漏えいの抑止に努めています。

 

 

c.自然災害リスクへの対策

事業の継続性を高めるために、国際的な基準に準拠したクラウド環境の活用を促進し、大地震などの自然災害やサイバー攻撃による基幹システムの停止を防いでいます。また、当社グループ内の各拠点間のネットワークのバックアップ網を強化し、単一障害点を作らない設計と各拠点網の冗長化、バックアップ網の強化を進めています。

 

イ.社員教育

情報セキュリティ教育や標的型攻撃メール訓練などを定期的に実施し、社員の意識向上とスキル向上に努めています。具体的には、Eラーニングによる情報セキュリティ教育を国内外のグループ会社の全社員を対象に実施しており、受講率は100%を達成しています。また、標的型攻撃メール訓練では、疑似攻撃メールを社員に送信し、適切な対応を学ばせることで、攻撃に対する認識と対応力を強化しています。訓練結果においては、開封率及び報告率のいずれにおいても、国内日本企業の平均より対応力が高く、令和6年度は令和5年度と比較して改善が見られており、継続的な教育効果が認められています。

 

ウ.国内外グループ会社の管理

グループ各社の社内情報インフラの管理を当社の情報システム部に集約し、責任の明確化と運用の標準化を図ることで、管理体制の強化と運用効率の向上を実現しています。また、社内情報インフラの管理を一元化することで、統一的なセキュリティ運用の実現にも寄与しており、脅威への迅速な対応や情報漏えいリスクの低減を図り、グループ全体の情報資産の安全性を確保しています。これらの取組により、安定した運用と高いセキュリティレベルの維持に努めております。

 

エ.アクションプランの整備(BCP対策)

情報セキュリティインシデントの事象ごとに検知、初動対応、トリアージ、レスポンスの具体的内容を取りまとめたアクションプランを整備し、有事に備えています。これにより、緊急時にも迅速かつ的確に対応できる体制を整えています。万が一インシデントが発生した場合には、上記(5)情報セキュリティ ① ガバナンス に記載のエスカレーションプロセスに従い、関係部署が連携して対応を行います。 
 

③ リスク管理

当社グループは、情報セキュリティに関する事業上のリスクとして、以下のようなものがあると考えています。

・不正アクセスやサイバー攻撃によるシステム停止、データ流出・損失・改ざん

・関連法令や規制の遵守に伴うコストや手間の増加

・情報セキュリティ事故の発生に伴う訴訟や罰金・損害賠償の負担

・情報セキュリティ事故の発生に伴う社会的な信用の低下

これらのリスク管理のため、前項の取組及び施策を実施し、情報セキュリティの強化に努めております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があります。また、以下の記載は当社への投資に関連するリスクを全て網羅するものではないことをご留意ください。

 

・グループ全体におけるリスク

(1) 人材確保・育成について

ゲーム開発は知識集約型の事業であり、優秀な人材を確保することが競争力の維持、向上に必要不可欠です。国内でさらに加速する少子化や需給状況の逼迫による労働市場全体での採用活動の活発化が見られ、新卒採用を最重要事項として取組む当社グループにとってリスクが高まっていると認識しております。当社グループは人的資本経営を推進し、従業員のエンゲージメントを向上させることで人材確保と成果の最大化を実現する方針です。しかしながら、採用競争の激化や人材流動化に十分対応できなかった場合、特に当社グループの長期的な業績に影響を与える可能性があります。

人的資本経営に関する取組の詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本 ① 人材育成方針及び戦略 イ.戦略」をご参照ください。

 

(2) 知的財産権について

当社グループは、保有する知的財産権が他者から侵害されないよう保護に努め、同時に当社グループの製品・サービスが他者の知的財産権を侵害しないよう、充分に留意しております。しかしながら、侵害の可能性について第三者との間で疑義や係争等が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また近年では、生成AIによる著作物の権利帰属に関するリスクも生じておりますが、当社グループでは閉域網を整備し社内ガイドラインを定めることで適切に運用しております。

 

(3) 個人情報等のデータセキュリティについて

当社グループは、ユーザーに関する個人情報を取得している他、開発中コンテンツに関する機密情報などを保有しており、サイバー攻撃等の脅威にさらされています。こうしたリスクに対応するため、個人情報等の情報資産の取り扱いや保護に関する社内規程を定め適切に管理している他、最新のセキュリティツールの導入やサイバー攻撃に対する社内研修などを通じて情報セキュリティの向上に努めております。しかしながら想定以上の攻撃や自然災害等により情報流出やシステム障害が発生した場合、当社グループの経営成績や社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 人権保護について

ゲーム開発においてより質の高いコンテンツを生み出すためには、従業員一人ひとりが活力を持って業務に取り組むことが重要です。当社グループでは、各種のハラスメントや長時間労働の強制、取引先に対する不当な要求が一切行われないよう、社内規程や各種通報制度の整備、社内研修の実施等の取組を行っております。しかしながら、取組が想定通りの効果を発揮せずこうした事象が発生した場合、当社グループの経営成績や社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 有価証券の保有について

当社グループでは、エンタテインメント事業等の開発投資、事業投資に対処するために、現預金や換金性の高い有価証券を保有しております。これらの資産は国内外の株式や債券等に投資し、安全かつ効率的な資金運用を行っております。運用の意思決定やポートフォリオの設定は内部統制に基づく社内規程に従って行いリスクの管理に努めておりますが、株式及び債券市場、為替相場、経済情勢等が急激に変動した場合、保有する有価証券の減損や評価損が発生し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 

・事業固有のリスク

<エンタテインメント事業>

(1) コンテンツ表現における倫理的配慮について

エンタテインメント業界を取り巻く環境は急速に変化しており、特にダウンロード販売を通じた全世界向け配信の一般化や、SNS等の普及による消費者の価値観の更なる多様化が見られます。このような状況下においては、全ての価値観や文化的背景に配慮した表現を追求することが、作品の独創性に一定の制約をもたらす可能性があります。当社グループにおいては、正確な事実認識に基づいた一貫性ある表現を行うことで、多様な価値観や文化的背景への配慮を示しつつ、魅力あるエンタテインメントコンテンツを創出してまいります。しかしながら、当社グループが提供するコンテンツに対して、特定の地域や属性の消費者から予期せぬ反応が寄せられ、当社グループの経営成績、事業展開及び社会的評価に影響を与える可能性があります。

 

(2) 市場環境の変化について

ゲーム業界においては、過去タイトルの大幅なディスカウント販売に加え、小規模スタジオや個人開発者による低価格で良質なコンテンツの台頭、さらにはサブスクリプション型サービスの普及により、フルプライスのパッケージゲームに代わる選択肢が多様化・拡大しております。当社グループでは、こうした市場環境の変化を新たな収益機会と捉え、新作の低価格帯への挑戦、サブスクリプション型サービスへの提供等に積極的に取組んでおります。しかしながら、現在の傾向が今後予測を上回る速度・規模で進行した場合、当社グループの長期的な経営成績や事業戦略に影響を与える可能性があります。

 

(3) 開発期間の長期化について

製品が市場で広く受け入れられるためには、高品質な製品を市場トレンドに即してタイムリーに提供することが求められます。一方、グラフィックの進化やプラットフォームの多様化などゲーム開発はますます高度かつ複雑になっております。これにより開発期間が長期化し、開発費の高騰や技術の陳腐化、市場ニーズとの乖離につながる恐れがあります。当社グループでは、様々な規模の開発タイトルを組み合わせた事業ポートフォリオを構築し、リスクの分散と市場投入時期の最適化に努めております。しかしながら、開発進捗の遅延や品質基準の達成に想定以上の時間を要した場合、製品発売の遅延が発生し、当社グループの経営成績やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

(4) 品質管理について

製品の複雑化は、品質管理にも影響を及ぼしております。当社グループでは、株式会社コーエーテクモクオリティアシュアランスのもと、AIを活用したデバッグ作業の一部自動化や、発売前における社内評価制度の厳格化など効率化と品質向上のための取組を強化しております。しかしながら、これらの取組が不十分でユーザーが求める品質水準に到達しなかった場合、当社グループの経営成績及び社会的評価に影響を与える可能性があります。

 

(5) 海外事業展開について

当社グループは、海外での事業展開を積極的に進めておりますが、各国における法規制の変更や政治・社会情勢の不安定化等の地政学的リスクが存在しております。また、海外売上高も大きな割合を占めており、為替相場の変動、特に円高の進行は当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

地域別の売上高については、連結財務諸表「注記事項(収益認識関係)1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報 収益の地域別の内訳」をご参照ください。

 

<アミューズメント事業>

(1) 法的規制について

アミューズメント事業では、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」、関連する政令及び条例による規制を受けております。今後、これらの法令に重大な改廃があった場合、又は新たな法令が制定・施行された場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、米国の政策動向の不確実性や中国における景気の下振れリスク等があったものの、緩やかに成長しました。

第3次中期経営計画の最終年度となる当期は、グループ経営方針として「グローバルIPの創造と展開」を掲げ、各種施策に取り組みました。

売上高において、パッケージゲームでは9タイトルを発売し、オンライン・モバイルゲームでは既存の自社運営・許諾タイトルが中心となりました。自社パブリッシングの新作タイトルが増加し、バックカタログ等のダウンロード販売が伸長しました。加えて、運営タイトルのコスト削減を進めたこと等により、前年度を上回る営業利益を達成しました。また、金融市場を注視しながら機動的な運用を行ったことで、営業外収支、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高となりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ359億74百万円減少し、2,098億28百万円となりました。転換社債型新株予約権付社債が満期到来により現金償還となり、償還資金に充てるため有価証券が大きく減少いたしました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ498億43百万円減少し204億7百万円となりました。転換社債型新株予約権付社債が償還されたため、大きく減少いたしました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ138億68百万円増加し1,894億21百万円となりました。

 

b.経営成績

当社グループの当期業績は、売上高831億50百万円(前年同期比1.7%減)、営業利益321億19百万円(同12.7%増)、経常利益499億88百万円(同9.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益376億28百万円(同11.4%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

エンタテインメント事業

「シブサワ・コウ」ブランドでは、10月に『三國志8 REMAKE』、3月に『Winning Post 10 2025』を発売しました。スマートフォンタイトルでは、『三國志 覇道』『信長の野望 覇道』が収益に貢献しました。

「ω-Force」ブランドでは、「真・三國無双」シリーズの最新作『真・三國無双 ORIGINS』とローグライト無双アクション『無双アビス』(PS5、PS4、Nintendo Switch、Xbox Series X|S 、Windows(Steam)用)を発売しました。『真・三國無双 ORIGINS』は全世界累計出荷本数が100万本、体験版が200万ダウンロードを突破しました。

「Team NINJA」ブランドでは、2月に『NINJA GAIDEN 2』のリマスタータイトル『NINJA GAIDEN 2 Black』(PS5、Xbox Series X|S、Xbox Game Pass、Windows(MS Store、Steam)用)、3月にイマーシブ恋愛アドベンチャー『Venus Vacation PRISM - DEAD OR ALIVE Xtreme -』(PS5、PS4、Windows(Steam)、DMM GAMES用)の2タイトルを発売しました。また、『Rise of the Ronin』のWindows(Steam)版を3月に配信開始しました。

「ガスト」ブランドでは、12月に『FAIRY TAIL2』を発売しました。3月には「アトリエ」シリーズの新タイトル『ユミアのアトリエ ~追憶の錬金術士と幻創の地~』を発売し、シリーズ最速で世界累計出荷30万本を突破しました。

「ルビーパーティー」ブランドでは、ネオロマンス30周年を記念したイベント『ネオロマンス 30th Anniversary ~アンジェリーク&遙かなる時空の中で~』を1月に開催しました。

「midas」ブランドでは、位置情報ゲーム『信長の野望 出陣』でコラボご当地イベント、ゲーム内キャンペーン、1.5周年を記念した施策等を実施しました。

「AAAスタジオ」では、新規タイトル『ゼルダ無双 封印戦記』(Nintendo Switch 2用)(※)の開発に注力しました。

IP事業においては、『三国志・戦略版』(国内では『三國志 真戦』)が引き続き収益に寄与しました。

以上の結果により、エンタテインメント事業の売上高は780億78百万円(前年同期比1.8%減)、セグメント利益は314億79百万円(同11.2%増)となりました。

※ 『ゼルダ無双 封印戦記』の海外における発売元は任天堂株式会社です。

 

アミューズメント事業

アミューズメント施設では新店1店舗を出店するとともに、既存店売上高が好調に推移しました。スロット・パチンコでは液晶ソフト受託開発に取り組み、当期は開発受託3タイトルが稼働を開始しました。

以上の結果により、アミューズメント事業の売上高は41億50百万円(前年同期比5.9%増)、セグメント利益は5億円(同25.7%減)となりました。

 

不動産事業

ライブハウス型ホールKT Zepp Yokohamaは高い稼働率となり、本施設の売上高は過去最高となりました。

以上の結果により、不動産事業の売上高は12億34百万円(前年同期比2.4%増)、セグメント利益は3億4百万円(同100.8%増)となりました。

 

その他事業

ベンチャーキャピタル事業において、ファンドの管理費用が発生しました。

以上の結果により、その他事業の売上高は3億18百万円(前年同期比18.2%減)、セグメント損失は1億64百万円(前期はセグメント損失6億35百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して121億円増加し、225億52百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は343億69百万円(前連結会計年度は366億3百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益499億88百万円の計上の一方で、法人税等の支払額127億42百万円の減少要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、獲得した資金は409億73百万円(前連結会計年度は248億59百万円の支出)となりました。これは主に有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入1,208億35百万円の増加要因の一方で、有価証券及び投資有価証券の取得による支出780億7百万円の減少要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、支出した資金は631億75百万円(前連結会計年度は154億75百万円の支出)となりました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の償還による支出460億円、配当金の支払額170億27百万円の減少要因によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

エンタテインメント

5,681

29.1

合計

5,681

29.1

 

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.受注実績

当社グループでは一部個別の受託開発を行っておりますが、金額的重要性が低く、また受注状況の記載が営業の状況に関する実態を表さないため、記載を省略しております。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

エンタテインメント

77,738

△2.1

アミューズメント

4,150

5.9

不動産

1,232

2.6

報告セグメント計

83,121

△1.6

その他

29

△61.4

合計

83,150

△1.7

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 令和5年4月1日

至 令和6年3月31日)

当連結会計年度

(自 令和6年4月1日

至 令和7年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Apple Inc.

18,201

21.5

14,659

17.6

ソニー・インタラクティブエンタテインメント

-

-

10,839

13.0

Lingxi Games Information Technology (Tianjin) Co., Ltd.

12,970

15.3

9,211

11.1

Valve Corporation

-

-

8,631

10.4

Google LLC

10,089

11.9

8,396

10.1

 

(注)1.Apple Inc.及びGoogle LLCはプラットフォーム提供会社であり、同社に対する販売実績は、当社グループが提供するゲームサービスの利用者(一般ユーザー)に対する利用料等であります。

2.前連結会計年度のソニー・インタラクティブエンタテインメント及びValve Corporationに対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成にあたっては、連結会計年度末日における財政状態並びに連結会計年度の経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社グループは、過年度の実績や現状を踏まえ、合理的と判断される前提・仮定に基づき、かかる見積り・予測を行なっておりますが、実際の結果はこれと異なる場合があります。

当社グループは、主として以下の会計方針において、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある見積り・予測が内包されていると認識しております。

a.繰延税金資産の計上

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。

 

b.有価証券の減損

当社グループの保有する有価証券については、市場価格のある有価証券、市場価格のない有価証券ともに、合理的な判断基準を設定の上、減損処理の要否を検討しております。従って、将来、保有する株式及び債券の時価や投資先の財務状況が悪化した場合には、有価証券評価損を計上する可能性があります。なお、減損処理に関する基準については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(有価証券関係)」をご参照ください。

 

 

c.固定資産の減損

当社グループは、固定資産につき、固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 2002年8月9日)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 2003年10月31日))に基づき、その資産性について営業損益、事業計画や時価等を元に検討しております。

 

d.退職給付に係る負債の計上

当社及び一部の子会社は、従業員の退職給付制度として、確定給付制度を採用しております。確定給付制度については、退職給付債務の現在価値と制度資産の公正価値との純額を負債又は資産として認識しております。退職給付債務は、割引率、退職率及び死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき見積もられています。また、退職給付債務の現在価値を算定するために使用する割引率は、原則として、退職給付債務の見積期間と整合する期末日時点の優良社債の市場利回りを参照して決定しております。年金資産の長期期待運用収益率は、現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しております。 経営者は、これらの前提条件は適切であると考えていますが、実績との差異や仮定の変動は将来の退職給付費用や退職給付債務に影響します。なお、退職給付債務の残高、使用している割引率等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」をご参照ください。

 

e.受注制作のソフトウエアに係る売上高及び売上原価

当社グループは、ゲームソフト等の受託開発契約について、一定の期間にわたり履行義務が充足されると判断し、履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識しております。進捗度の測定は、各報告期間末の期末日までに発生した開発原価が、予想される開発原価の総額に占める割合に基づいて行っております。なお、契約における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短い受託開発については、「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日。以下「収益認識会計基準適用指針」という。)第95項に定める代替的な取り扱いを適用し、一定の期間にわたり収益を認識せず、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。

収益総額、見積総原価及び決算日における進捗率について、当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。

 

f.販売報告等を未受領の取引における売上高の見積り計上

当社グループで計上される売上高の一部については、履行義務を充足しているもののプラットフォーマー等の取引先から正式な販売報告等を受領していない取引が含まれております。本取引については、取得可能な事前情報に基づいて合理的な見積を行い売上計上しておりますが、将来、市場動向の変化等により当初見積りの前提条件と乖離が発生する可能性があります。なお、当期の当該売上高等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

② 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度における経営成績は売上高831億50百万円(前年同期比1.7%減)、営業利益321億19百万円(同12.7%増)、経常利益499億88百万円(同9.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益376億28百万円(同11.4%増)となりました。

これらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

③ 当連結会計年度の財政状態の分析

資産、負債及び純資産の状況

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計は、2,098億28百万円(前期末比14.6%減)となりました。うち流動資産は614億84百万円(同33.9%減)、固定資産は1,483億43百万円(同2.9%減)であります。

流動資産の主な内訳は現金及び預金240億34百万円、有価証券204億54百万円、売掛金及び契約資産151億23百万円であります。

固定資産の主な内訳は投資有価証券994億9百万円であります。

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は、204億7百万円(前期末比71.0%減)となりました。うち流動負債は189億14百万円(同72.6%減)、固定負債は14億92百万円(同12.9%増)であります。

流動負債の主な内訳は未払法人税等67億95百万円、未払金37億98百万円であります。

固定負債の主な内訳は繰延税金負債5億35百万円であります。

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は、1,894億21百万円(前期末比7.9%増)となりました。

 

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループでは、新規タイトルの創出による特定タイトルへの依存度低下、最適な製品発売時期を見据えた開発スケジュール管理の徹底により、年間ベースでの業績目標を達成すべく努力しております。しかしながら、市場動向や、やむをえない開発スケジュールの変更による製品発売時期変動のため、業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.資金需要

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、エンタテインメント事業におけるゲームソフトの開発費、各事業における販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。

 

b.財務政策

当社グループは自己資金による財務調達を基本方針としておりますが、不足が生じた場合は、外部借入や社債の発行による資金調達を実施しております。また、当社グループの収益性向上に資するべく、余剰資金による投資有価証券等の運用を継続的に実施しております。

 

⑥ 経営上の目標の達成状況について

当社グループは更なる成長性と収益性の実現に向けて売上高営業利益率30%以上を重要な経営指標として位置付けております。当連結会計年度における売上高営業利益率は前期より4.9ポイント上昇し、38.6%となりました。

なお、令和8年3月期から開始する第4次中期経営計画では新たに営業利益額の目標を策定いたしました。今後も目標達成に向けて取組んでまいります。

 

 

5 【重要な契約等】

当社グループの経営上の重要な契約は、次のとおりであります。

(1) ゲーム開発・販売等に関する契約

 

契約会社名

相手先名

契約内容

契約期間

株式会社コーエーテクモゲームス

株式会社ソニー・

インタラクティブ

エンタテインメント

「PlayStation®製品」対応ソフトの製造・販売に関する商標権及び技術情報の供与

平成27年6月1日から平成31年3月31日まで以後1年ごと自動更新

任天堂株式会社

家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」対応ソフトの製造・販売に関する商標権及び技術情報の供与(注)

平成29年2月28日から令和2年2月27日まで以後1年ごと自動更新

Microsoft Corporation

「Xbox One」及び「Xbox Series」対応ソフトの製造・販売に関する規定、ロイヤリティ条件、承認方法、及びオンラインにおける規定等の合意

令和2年6月1日から令和4年3月31日まで以後1年ごと自動更新

Apple Inc.

iOS搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

1年間(1年毎の自動更新)

Google LLC

Android搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

定めなし

Valve Corporation

Steamでの販売・配信に関する許諾契約

定めなし

 

(注)令和7年5月27日に下記契約を新たに締結いたしました。当該契約は従来の契約に優先して適用されます。

契約会社名

相手先名

契約内容

契約期間

株式会社コーエーテクモゲームス

任天堂株式会社

家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」及び「Nintendo Switch 2」対応コンテンツの開発・販売・配信に関する契約

令和7年5月27日から令和11年3月31日まで以後1年ごと自動更新

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは開発部署において、多岐にわたるゲーム開発を行い、独創的なコンテンツを創出しております。また、研究開発を行う専任部署において先端技術を研究し、自社ゲームエンジン「KATANA ENGINE™」を開発しております。当連結会計年度は、エンタテインメント事業において11,090百万円の研究開発費を計上いたしました。