第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「企業活動を通して社会に貢献する」を基本理念として掲げております。当社グループは将来にわたって社会からの信頼を高めるべく、企業の社会的責任を最重要視し、公明正大な事業活動を通して企業価値の向上及び持続的成長、株主利益の拡大を図ることを基本方針としております。

 

(2)経営環境

 当社主力の肥料事業におきましては、肥料原料の海外依存に加え、中国等の輸出規制や円安の影響により、国際市況は不安定な状況が続き、価格も高い水準で推移しております。このため、国内肥料価格も依然として高止まりしており、買い控えや施肥量の削減、安価肥料へのシフトによる需要低迷のトレンドが継続しております。

 こうした事業環境は、当社の販売戦略及び事業展開に影響を及ぼしており、引き続き慎重な対応が求められる状況です。

 

(3)中長期的な会社の戦略及び対処すべき課題

 (中期経営計画策定に向けた進捗報告)

 当社グループでは、新たな中期経営計画または中長期成長戦略の策定に向けて検討を進めており、2025年8月末までに公表する予定です。これに先立ち、2025年5月15日には「中期経営計画策定に向けた進捗報告」として、2025年5月15日時点での方向性や戦略の骨子について開示致しました。

 

(経営方針)

 [2030年に向けたグループビジョン]

 ・日本が誇る農業ソリューションカンパニーへ

 ・世界へ向けて素材の機能性を創出する肥料・化学品メーカーへ

 

 揺るがない企業理念・行動規範や、グループビジョンのもと、さまざまなステークホルダーの課題に対応し、次の100年の成長に向けた大きな改革に踏み出す方針です。

 

 経営効率・投資効率を一層重視する企業として長期的な成長と収益基盤の強化を目指し、肥料事業の再編投資、化学品事業等での成長投資を積極的に推進するとともに、既存グループ会社の再編・シナジー効果を追求します。

 そのための本社戦略部門強化、肥料事業における抜本的な組織管理体制の見直し等を通じて、経営基盤の刷新を進めます。

 

 

(戦略の骨子)

①事業ポートフォリオ変革

 収益性と成長性の両立を図る持続的な事業ポートフォリオの再構築に取り組みます。肥料事業の収益力強化、化学品事業及び新規・周辺領域への重点投資、さらにはM&Aを含む新規領域への本格参入と、既存の延長線とは異なる成長機会の創出を通じて、企業全体の競争力強化を図ります。

 

②肥料事業

 創業100年の技術力を活かして付加価値製品・技術の提供を拡大するとともに、近年の高温障害等、環境課題に応えるバイオスティミュラント資材分野に本格的に進出します。また、全国規模の生産品目・設備の最適化により、投資効率を最大化する等、徹底したコスト戦略も行い、安定的な利益を確保できる事業へと転換させます。

 これらの取り組みを通じて、日本の農業が抱える課題の解決に貢献する農業ソリューションカンパニーを目指します。

 

③化学品事業

 当社グループの成長をけん引するドライバーとして、迅速かつ柔軟な事業展開を通じて、早期の成果創出と事業成長を図ります。海外展開やシナジーのあるM&Aに積極的に取り組むとともに、研究開発部門への投資を強化し、新たな価値の創出と技術優位性の確立を通じて、持続的に成長できる事業へと発展させます。事業の高度化・収益力の強化を通じて、当社グループ全体の成長を支える中核事業としての役割を一層高めます。

 

④不動産事業

 2025年8月に完工予定の渋谷地区再開発商業ビルの安定収益化を図るとともに、保有資産の見直しを通じて資本効率の向上に取り組みます。

 

⑤サステナビリティ戦略

 脱炭素社会への移行に向けた対応として、カーボンニュートラル実現に貢献する取り組みを進めており、削減目標の公表に向けた準備も進めています。

 

⑥財務・資本政策の最適化

 資本効率と株主還元の最適化に向けて、検討を進めます。

 

(当社グループの目指す長期目標)

今回策定する新中期経営計画での構造改革期間を経て、次期中期経営計画期間中での数値目標達成を目指します。

[数値目標:純利益20億円以上 ROE8%以上、DER 0.5程度]

~ ROE向上を軸に、PBRの改善と企業価値向上を目指す ~

 

 

(資本政策の基本的な方針)

 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、資本効率の向上と財務健全性とのバランスを確保することを資本政策の基本方針と致します。株主資本当期純利益率(ROE)を資本効率向上の重要な指標ととらえ、新規事業分野への投資、付加価値の高い製品の開発、効率的な生産・販売体制の構築を追求し、連結当期純利益の増大を図り、株主資本当期純利益率(ROE)の向上を図ってまいります。また、株主に対する利益還元を経営の重要政策と位置づけ、安定的かつ継続的に業績に見合った成果の配当を行うことを基本とし、引き続き配当性向50%を目標と致します。なお、特殊要因がある場合にはこれを考慮して配当金額を決定することがあります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ関連を含む事業リスクの管理組織として、リスク・コンプライアンス委員会を設置しており、リスク管理及びコンプライアンスに関する啓蒙強化、不正行為の発生を未然に防止、社内秩序の維持・強化に努めております。

 

(2)戦略等

 当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針等については、次の通りであります。

 

 「人的資本」は当社において最重要資産の一つであると考えております。すべての従業員が働きやすい環境で持てる力を十分に発揮できるとともに、従業員がやりがいを持って働くことのできる会社をめざし、各種取り組みを行っております。

 

① 採用方針

 当社の持続的な発展に貢献できる有能な人材の確保のため、新卒採用を中心に、様々な経験・スキル・資格を有し、即戦力となるキャリア人材の採用も積極的に行い、多様性のある持続可能な組織集団を目指しております。

 

② 環境整備

 年齢・性別・国籍・障がいの有無等に関係なく、すべての従業員が持てる力を十分に発揮し活躍できる環境整備に取り組んでまいります。

(職掌(コース)制度の拡充)

 従業員が適性発揮、希望実現や育児・介護等のライフステージでの継続勤務により会社生活を充実させるとともに、これらの方針のもと、会社がすべての従業員を有効活用できるよう柔軟な職掌(コース)制度の拡充に取り組んでおります。これらの方針のもと、2023年4月よりエリア総合職コースと専門職コースを導入致しました。

 また、社内公募制による職掌転換制度を導入し、自らチャレンジをする環境や従業員のライフスタイルに合わせたコースを選択できる環境構築を行っております。

 

③ 人材育成

 従業員個々、特に総合職コースの従業員が専門性と総合力を備え、多様なビジネスプロフェッショナル集団を構成し、企業力を高めることが会社の持続的な発展へと繋がると考えております。当社においては人材育成の指針として「人材育成ガイドライン」を導入し、3つの育成ローテーション「育成ローテーション」「プロフェッショナルローテーション」「レベルアップローテーション」に分けて従業員それぞれの特性・適性に合わせて質の高い教育を従業員に提供し、様々な知識や経験をもった将来会社の幹部となる人材育成を行います。

 また、2023年度より入社1~2年目社員を対象とした総合職新卒教育指導員制度を導入致しました。

 

④ 多様性の確保

 当社は社内教育のみでは得られない知見を持つ人材確保のため、キャリア採用を積極的に行っております。2023年度より優秀なキャリア人材確保のため専門職コースを導入し、多様な人材を年齢・性別等関係なく採用しております。また、新卒採用者、キャリア採用者の区分なく能力本位で管理職への登用を行ってまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティ関連を含む事業リスクの影響を把握・評価しております。事業活動を行うにあたって、重大な危機の発生を未然に防ぐこと、及び万一重大な危機が発生した場合に事業活動への影響を最小限にとどめることは最重要課題と認識し、モニタリングを行いながら定期的に見直しを図っております。また、検討・対応内容については、必要に応じて経営会議及び取締役会に報告しております。

 

<ガバナンス・リスク管理体制の模式図>

 

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3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業に関するリスク

① 国内の農業環境の変化によるリスク

 当社グループの主力事業である肥料事業は、政府の農業政策とそれによる国内農業の変化により大きな影響を受けます。人口減による農産物消費量の減少、農産物輸入の拡大、農業者の高齢化や都市化による耕地面積の減少等を要因に、農産物生産の減少に伴う肥料需要の減少が顕在化した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 また、農業資材費低減、減肥政策等の農業経営の見直しも、肥料需要の減少に繋がると予想され、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 肥料流通の変化によるリスク

 肥料の国内流通は、全国農業協同組合連合会他の系統組織が大きなシェアを占めており、当社グループも肥料販売の大半を系統組織に依存しておりますが、何らかの理由で系統の流通シェアが大きく減少した場合や流通が困難になった場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 販売における与信リスク

 当社グループは販売の大半を系統組織に依存しており、その与信リスクは些少でありますが、その他一般の販売先向けは一定程度の与信リスクを負担しているため、与信管理規程によるリスク管理を行っておりますが、販売先の経営状況によっては、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 肥料市場における競争激化によるリスク

 肥料の国内市場において、需要の減少に伴うメーカー間の競争が激化し販売価格が低下した場合、業界の統合再編により他社の競争力が当社グループを上回る状況になった場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 工場操業停止によるリスク

 当社グループは全国21カ所に工場を有しております。組織的な労働安全衛生体制及び保安防災管理体制の構築・運用並びに設備の保全・保安等の対応策により、労働災害及び生産設備等の事故防止に取り組んでおります。しかしながら、重篤な労働災害や重大な災害・事故等を完全に防止することはできないため、それらのリスクが顕在化し、一時的又は長期にわたる工場操業停止により当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 原料事情によるリスク

 主要原料の多くを海外に依存している肥料事業及び化学品事業の一部品目において、原料市況、運賃市況、外国為替市況、エネルギー市況、社会不安(戦争、テロ、感染症、地政学的リスク等)等によっては、原料の価格高騰や調達の難航、供給不足が予想され、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 原料及び製品在庫に関するリスク

 肥料事業の一部品目においては原価に占める原材料費の割合が高いため、原料市況が大きく下落した場合、安定供給のため保有している原料及び製品在庫が当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 飼料の需要及び市況に関するリスク

 国内の畜産物の需要減により配合飼料が減産もしくは生産停止となった場合、また、国内外の飼料原料の市況の変動により代替原料の使用が増加した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 化粧品原料及び化粧品凍結乾燥品に関するリスク

 化粧品原料及び化粧品凍結乾燥品に関する安全性については細心の注意を払っておりますが、当社グループの製品に起因する予期せぬ副作用等が発生した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 食品・農産物に関するリスク

 当社グループが取り扱う食品・農産物については、その安全性を確保すべくトレーサビリティを重要視しておりますが、何らかの理由で食品衛生法等関連法規上の問題が発生した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 海外展開におけるリスク

 当社グループは海外市場への展開を図っております。今後、海外展開に伴い、現地における地政学的問題、法規制、労働環境や習慣等に起因する予測不可能な事態の発生、社会的又は政治的混乱等が発生した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法的規制、研究開発、訴訟、自然災害その他に関するリスク

① 法的規制に関するリスク

 肥料事業、化学品事業、その他当社グループが行う事業は、肥料の品質の確保等に関する法律、農薬取締法、飼料安全法、食品衛生法等を始めとした様々な関連法規によって規制されており、当社グループはこれら法規の遵守を徹底すべく細心の注意を払っております。

 しかし、過失や事故等により法規違反を犯す可能性は否定できず、違反を起こしたことで、当社グループの事業活動を制限する何らかの行政命令や罰金、それに起因する損害賠償の請求等があった場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 また、何らかの環境変化のため、予期せぬ法的規制の変更や新設により、既存の事業活動が制限を受ける場合、既存の原料の使用ができなくなる場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 研究開発に関するリスク

 当社グループは、製品の品質向上、技術水準の維持に加え、新商材の開発のために研究開発活動を行っておりますが、何らかの理由で商材の開発を断念する場合、開発した商材の上市ができなかった場合、研究開発コストの回収ができず、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 知的財産権に関するリスク

 当社グループは特許権等の知的財産権の管理には細心の注意を払っておりますが、当社グループの保有する知的財産権が第三者によって侵害され利益を遺失した場合、第三者の保有する知的財産権を侵害し損害賠償を請求された場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟に関するリスク

 当社グループは事業遂行にあたり、コンプライアンスを最重要事項に位置づけ、企業活動を行っておりますが、各種関連法規違反の有無に係わらず、製造物責任、知的財産権、環境問題等の問題において訴訟を提起される可能性があります。訴訟が提起された場合は、その結果の如何に係わらず企業イメージや顧客信頼度の毀損、あるいは損害賠償負担等により、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 保有資産に関するリスク

 当社グループの保有する土地・建物や有価証券等の資産価値が下落することで、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 退職給付に関するリスク

 当社の年金資産の運用にあたっては、社内に設置した退職給付信託・年金信託財産運用委員会で許容できるリスクの範囲内で常に年金資産の極大化に努めております。しかしながら、証券市場の低迷等により年金資産が減少した場合、退職給付費用が増加し、年金資産の積み増し等が必要となることがあります。また、退職給付債務の割引率や昇給率等が、実際の数値と異なる場合、退職給付債務の金額に変動が生じる可能性があります。これらの場合には、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 天候・自然災害に関するリスク

 主要事業である肥料事業が農業に依存することから、台風、大風、大雪、大雨、旱魃、日照不足等の異常気象や悪天候に加え、大規模自然災害やそれに伴う農地や環境被害による影響を受ける可能性があります。

 また、生産設備に対する減災に向け、自主防災組織の結成や環境保安査察による定期的な設備点検を実施するほか、当社グループとして可能なバックアップ体制を構築しておりますが、地震等の大規模自然災害による被害を受け減産や生産停止した場合、コンピューターシステムへの被害等が起こった場合等、被害の程度によっては、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 人材の確保に関するリスク

 当社グループの将来の業績を支えるのは有能な人材であると認識しており、新卒採用の強化やキャリア採用を実施しているほか、エリア総合職及び専門職コースを導入する等、現状に即した人事制度となるよう定期的に制度の見直しを行っております。労働市場の変化により、有能な人材の採用や育成ができない場合、有能な人材が流出した場合、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 感染症に関するリスク

 当社グループは、感染症への対策として、WEB会議システムの活用や在宅勤務及び時差出勤等、必要に応じて安全対策を実施しております。しかし、感染症拡大が長期化した場合、当社グループや主要取引先における納品の遅延や原料調達への影響等により、当社グループの業績・財務に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 財政状態の状況

 当連結会計年度末(以下「当年度末」という。)の資産の合計は50,094百万円となり、前連結会計年度末(以下「前年度末」という。)に比べ1,448百万円増加しました。

 同じく負債の合計は26,229百万円となり、前年度末に比べ1,136百万円増加し、純資産の合計は23,865百万円となり、前年度末に比べ311百万円増加しました。

 この結果、自己資本比率は前年度末の48.3%から47.5%となり、1株当たりの純資産額は前年度末2,621.83円から2,658.36円となりました。

 

② 経営成績の状況

 肥料業界において、政府は、輸入原料依存から国内資源を活用した肥料への転換を進め、国際情勢に左右されにくい安定的な肥料の供給と持続可能な農業生産を目指しております。当社においても、持続可能な農業生産の実現に向け、畜産・食品由来堆肥や回収リンを活用した肥料の開発に取り組み、さらに化学農薬削減に向けた土壌還元消毒用資材等の販売を推進しております。また、新たな取り組みとして、農作物の高温・乾燥耐性に資するバイオスティミュラント資材の上市を実現し、2025年4月より全国拠点で新規販売を開始しました。今後、大規模な販売促進活動を通じて、普及拡大を図ってまいります。

 化学品事業における有機素材(化粧品原料)では、農業副産物を活用したアップサイクル素材や、天然素材に醗酵・抽出技術を加えた機能性素材の開発を推進しております。また、2024年12月にインドネシアの化粧品原料販売商社に出資し、経営参画を開始しました。まずはインドネシア市場での販売拡大に取り組み、将来的には東南アジア各国への展開も視野に入れ、成長機会の獲得を目指してまいります。無機素材では、マイクロビーズ代替の高品質化粧品原料や、バリア機能を持つ食品包装フィルム用合成マイカを活用し、海外展開を進めました。化成品では、HALAL・KOSHER認証の取得により、国内市場での販売強化とマーケットの拡大を図ってまいりました。化学品事業全体としても、今後さらに成長領域への展開を図り、持続的な事業拡大を目指してまいります。

 

 

 当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は41,369百万円(前年同期比0.3%増)、営業利益650百万円(前年同期は営業損失852百万円)、経常利益672百万円(前年同期は経常損失786百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は350百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失630百万円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は以下の通りであります。

 

 当連結会計年度より、各セグメント損益の実態をより適切に反映させるため、全社費用の配賦基準の見直しを行っております。なお、前連結会計年度のセグメント情報については、見直し後の配分方法に基づいて作成したものを記載しております。

 

(肥料事業)

 肥料事業は、安価肥料への移行トレンドが継続し、売上高33,060百万円(前年同期比1.8%減)、利益面では、前期の肥料価格値下がり前の在庫に起因する売買差損の影響が軽減されたことに加え、販管費の抑制が奏功し、セグメント利益は55百万円(前年同期はセグメント損失1,245百万円)となりました。

 

(化学品事業)

 化学品事業は、工業用リン酸及び調合酸、無機素材の販売数量増加や原価良化等により、売上高6,260百万円(前年同期比12.3%増)、セグメント利益は637百万円(前年同期比45.2%増)となりました。

 

(不動産事業)

 不動産事業は、渋谷区において新たに土地交換で取得した土地に、賃貸用建物を建設中であることから賃料収入が減少し、売上高320百万円(前年同期比21.2%減)、セグメント利益は3百万円(前年同期比96.0%減)となりました。

 

 

(その他事業)

 その他の事業は、連結子会社において運送・請負業務の価格改定等、収益改善を図ったことにより、売上高3,080百万円(前年同期比7.9%増)、セグメント利益は95百万円(前年同期はセグメント利益3百万円)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末に比べ224百万円減少し2,051百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度(以下「当年度」という)における営業活動による資金の増加は152百万円(前連結会計年度(以下「前年度」という)は1,516百万円の増加)となりました。これは、主に棚卸資産の増加(△702百万円)、仕入債務の減少(△1,438百万円)により減少しましたが、減価償却費(1,286百万円)、税金等調整前当期純利益(627百万円)、売上債権の減少(425百万円)により増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当年度における投資活動による資金の減少は2,485百万円(前年度は2,206百万円の減少)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出(△1,890百万円)及び無形固定資産の取得による支出(△571百万円)によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当年度における財務活動による資金の増加は2,107百万円(前年度は1,122百万円の増加)となりました。これは、主に配当金の支払額(△179百万円)により減少しましたが、短期借入金の純増(2,420百万円)により増加したものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

肥料事業

32,696

△0.4

化学品事業

3,619

16.1

不動産事業

その他事業

466

13.8

合計

36,782

1.2

(注) 金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当社グループは、製品の大部分について見込生産方式を採っておりますので、記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

肥料事業

33,060

△1.8

化学品事業

6,260

12.3

不動産事業

320

△21.2

その他事業

3,080

7.9

調整額(セグメント間取引)

△1,351

合計

41,369

0.3

  (注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

全国農業協同組合連合会

26,414

64.1

25,710

62.1

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 当連結会計年度末(以下「当年度末」という。)の資産の合計は50,094百万円となり、前連結会計年度末(以下「前年度末」という。)に比べ1,448百万円増加しました。

 

(流動資産)

 流動資産残高は29,878百万円となり、前年度末に比べ240百万円減少しました。これは主に安価肥料への移行トレンドの継続等により、受取手形及び売掛金が425百万円減少したことによるものであります。

 

(固定資産)

 固定資産残高は20,216百万円となり、前年度末に比べ1,689百万円増加しました。これは主に前年度に土地交換で新たに取得した渋谷区の土地に賃貸用建物を建設中であることにより、建設仮勘定が1,316百万円増加したことによるものであります。

 

 当年度末の負債の合計は、26,229百万円となり、前年度末に比べ1,136百万円増加しました。

 

(流動負債)

 流動負債残高は21,949百万円となり、前年度末に比べ1,350百万円増加しました。これは主に支払手形及び買掛金が1,438百万円減少した反面、設備関連資金を含め必要経費の補填に短期借入金が2,420百万円増加したことによるものであります。

 

(固定負債)

 固定負債残高は4,279百万円となり、前年度末に比べ214百万円減少しました。これは主に退職給付に係る負債が245百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 純資産の合計は23,865百万円となり、前年度末に比べ311百万円増加しました。これは剰余金の配当180百万円と当期純利益350百万円の計上から、利益剰余金が170百万円増加したことによるものであります。

 

 この結果、自己資本比率は前年度末の48.3%から47.5%となり、1株当たり純資産額は前年度末の2,621.83円から2,658.36円となりました。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、主に化学品事業における工業用リン酸及び調合酸、無機素材の販売数量の増加により、前年度に比べ136百万円(0.3%)増収の41,369百万円となりました。

 

(売上総利益)

 売上総利益は、主に化学品事業における販売数量の増加と原価の改善等により、また、肥料事業の前期における肥料価格値下げ前の在庫に起因する売買差損等のマイナス影響が軽減したことにより、前年度に比べ1,484百万円(31.4%)増益の6,213百万円となりました。

 

(営業利益)

 営業利益は、前年度に比べ1,503百万円増益の650百万円(前年同期は営業損失852百万円)となりました。

 

(経常利益)

 経常利益は、前年度に比べ1,459百万円増益の672百万円(前年同期は経常損失786百万円)となりました。

 

(税金等調整前当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は、前年度に比べ1,463百万円増益の627百万円(前年同期は税金等調整前当期純損失836百万円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度に比べ981百万円増益の350百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失630百万円)となりました。

 

 この結果、1株当たりの当期純利益は、前年度の△70.37円から39.09円となり、自己資本利益率は前年度の△2.6%から1.5%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主要な資金需要は、営業活動では、製品製造のための原材料費・労務費・経費、販売費及び一般管理費等の運転資金、投資活動では、設備の新設・更新によるものであります。また、財務活動では、期日の到来した借入金の返済及び配当金の支払いによる株主還元であります。なお、株主還元についての資本政策における基本的な方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の戦略及び対処すべき課題 (資本政策の基本的な方針)」に記載しております。

 当社グループは、安定した事業活動に必要な程度の確保と財務の健全性・安定性維持の観点から、これら資金需要を満たすための財源として、営業活動により生み出されるキャッシュ・フロー及び内部留保資金のほか、金融機関からの借入れにより調達することを基本方針とし、資金の流動性を十分に確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発は、現在の事業活動を拡大する開発研究と将来に向けての基礎的研究を、筑波総合研究所を中心として展開しております。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は294百万円となっております。

 

 セグメントごとの研究開発活動を示すと次の通りであります。

 

(1)肥料事業

 肥料事業については、農業生産の効率化・省力化によるコスト低減、農産物の高付加価値化といった生産様式の多様化に対応して、新肥料・新技術の開発を行うとともに、環境に調和した持続的な農業生産に資する、次のようなテーマを中心に研究開発を行っております。

① ペースト肥料や緩効性肥料など機能性肥料の開発と普及のための試験研究

② 土壌微生物の機能を利用した資材の開発と普及のための試験研究

③ 堆肥や食品工業廃材など未利用資源の肥料利用

④ 多様な栽培形態に対応し、環境に配慮した肥料・施肥技術の試験研究

⑤ 産学官連携による基礎的研究にもとづく新技術・新商材の開発

⑥ スマート農業に関わる新たな農業支援技術の開発

 当連結会計年度における研究開発費の金額は182百万円であります。

 

(2)化学品事業

 化学品事業については、農業以外の新素材関連の研究開発を行い、各種天然素材を用いた化粧品原料の開発及び合成雲母・合成スメクタイトの開発・改良を次のようなテーマで行っております。

① 天然素材からコラーゲンなど高付加価値原料の抽出・精製技術の開発

② 各種天然由来原料の老化抑制作用、美白作用などの機能性評価

③ 各種植物原料の醗酵による新たな機能性製品の開発

④ 食品包装フィルムのバリア機能の向上に向けた開発

⑤ 化粧品(ファンデーション)用途ではより薄く且つ平滑性を高めた新銘柄の開発

⑥ 電子材料用途ではナノ分散可能な新銘柄(有機スメクタイト)の開発

 当連結会計年度における研究開発費は111百万円であります。